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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】屋外構築物
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/70 20060101AFI20230501BHJP
   E04F 15/00 20060101ALI20230501BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
E06B1/70 Z
E04F15/00 G
E04H1/12 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020006601
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2021113443
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 信二
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-176464(JP,A)
【文献】特開平02-091384(JP,A)
【文献】特開2010-265718(JP,A)
【文献】特開2019-190070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
E04F 15/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に併設され前記建物の外壁と共に、屋外と仕切られた空間をテラス上に形成する屋外構築物であって、
前記空間の内外を仕切り前記テラスに固定される下枠を有する建具と、
前記空間に前記下枠と間隔を空けて配置される内土間と、
前記テラスに固定され、前記下枠が前記空間側から固定する固定部材により連結される連結部材と、
前記下枠と前記内土間との間を覆い前記連結部材に、取り外し可能に上方から固定されるカバー部材と、
を有することを特徴とする屋外構築物。
【請求項2】
請求項1に記載の屋外構築物であって、
前記内土間を前記外壁と共に囲む複数の前記下枠と、
前記下枠毎に設けられる複数の前記カバー部材と、
を有し、
前記カバー部材は、長手方向に沿って貫通する中空部を有しており、
前記内土間には、モルタルまたはコンクリートが用いられていることを特徴とする屋外構築物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の屋外構築物であって、
前記建具は、前記空間の出入口をなしており、
前記カバー部材は、前記内土間と高さが揃うように配置されていることを特徴とする屋外構築物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の屋外構築物であって、
前記下枠は、互いに異なる複数種類の前記下枠を選択可能であり、
前記カバー部材は、前記下枠と前記内土間との間を覆う平面部と、
前記平面部から垂設され、前記複数種類の前記下枠のうちの高さが最も低い前記下枠の上端と前記平面部との間を覆う垂設壁部と、
を有していることを特徴とする屋外構築物。
【請求項5】
請求項4に記載の屋外構築物であって、
前記最も低い前記下枠を除く前記下枠は、見込み方向において前記垂設壁部に当接していることを特徴とする屋外構築物。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の屋外構築物であって、
前記垂設壁部と前記平面部とには化粧が施してあることを特徴とする屋外構築物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に併設され前記建物の外壁と共に仕切られた空間を形成する屋外構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から建物に併設され前記建物の外壁と共に仕切られた空間を形成する屋外構築物として、例えば、建物の外壁に沿って設置されるテラス囲いは知られている(例えば、特許文献1参照)。このテラス囲いには、内外を連通する開口部に引き違い戸を備えた開口部建材が設けられている。引き違い戸を支持する下枠は、地面との間にベース材を介して固定されており、ベース材は、下枠がビス止めされる支持部の室外側にて地面に上方からねじ止めされており、支持部よりも室内側に下枠が長手方向にわたって水平方向に突き当てられる立上がり壁を有している。ベース材よりも室内側は、下枠の室内側見付面の上端高さまでコンクリートで土間仕上げされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-190070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の屋外構築物は、下枠が上方からビス止めされているので、下方に雨水等が進入する虞があり、止水性が悪いという課題がある。また、下枠を室内側から進入するビスによりベース材に固定すると、ベース材の室内側にはコンクリートが打設されているため、例えば枠の交換が必要な場合には土間を斫らなければならず作業が煩雑でありメンテナンス性が悪いという課題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、止水性及びメンテナンス性により優れた屋外構築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために本発明の屋外構築物は、建物に併設され前記建物の外壁と共に、屋外と仕切られた空間をテラス上に形成する屋外構築物であって、前記空間の内外を仕切り前記テラスに固定される下枠を有する建具と、前記空間に前記下枠と間隔を空けて配置される内土間と、前記テラスに固定され前記下枠が前記空間側から固定する固定部材により連結される連結部材と、前記下枠と前記内土間との間を覆い前記連結部材に、取り外し可能に上方から固定されるカバー部材と、を有することを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、止水性及びメンテナンス性により優れた屋外構築物を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明にかかる屋外構築物の一例をなすテラス囲いの縦断面図である。
図2】テラス囲いの横断面図である。
図3図1におけるA部の拡大図である。
図4】既存のテラス上にテラス囲いを構築する施工方法を示す図である。
図5】複数種類の下枠を示す図である。
図6】テラスと共に構築する際に用いる連結部材を示す縦断面図である。
図7】テラス囲いをテラスと共に構築する施工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る屋外構築物について図面を参照して説明する。
本実施形態では、屋外構築物の一例として、図1に示すような、建物2に併設され、屋根3を備える、例えば、テラス4などに設けられるテラス囲い1を例に挙げて説明する。
【0009】
以下の説明においては、建物2の外壁2aに沿わせて構築されたテラス囲い1を建物2に向かって見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、屋内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。テラス囲い1の各部位であっても、また、テラス囲い1を構成する各部材については単体の状態であっても、構築された状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態のテラス囲い1は、骨格をなすフレーム5と、フレーム5に支持されてテラス囲い1の屋外側の壁部、及び、テラス囲い1の左右の壁部をなす建具6と、左右の建具6の上部にてフレーム5に取り付けられる一対の側壁面材7と、三方に設けられた建具6と外壁2aとに囲まれる空間Sの上方に設けられる屋根材8と、を有している。本実施形態の建具6は、図2に示すように、屋外側の壁部をなす建具(以下、正面建具ともいう)は、4枚の障子60を備えた4枚引き違い窓用の建具6であり、左右の壁部をなす建具(以下、側面建具ともいう)は、2枚の障子60を備えた引き違い窓用の建具6である。本実施形態の建具6は、空間Sの出入口をもなしている。
【0011】
フレーム5は、図1図2に示すように、テラス4から立設され屋外側の建具6を支持する左右の一対の柱50と、左右の柱50と各々間隔を空けて対向し各柱50の外壁2a側に配置される一対の対向枠51と、左右の柱50の上端部間を繋ぐ前枠52と、各柱50の上端から各々見込み方向に延出されて対向枠51と繋がる腕木53と、前枠52の上端と対向枠51の上端とを見込み方向に繋ぐ妻垂木54と、左右の妻垂木54の建物2側の端部間を繋ぐ後枠55と、左右の妻垂木54の間にて前枠25と後枠55のとの間に掛け渡される垂木56と、を有している。本実施形態においてフレーム5を構成する各部材は、いずれも押出成形材である。テラス4は、砂や砂利などで成形された土台4a上にモルタル4bが打設され、表面にタイルなどの仕上げ材4cが施されている。
【0012】
対向枠51は、腕木53よりも上方に突出しているため、後枠55は前枠52よりも高い位置に配置されており、妻垂木54、及び、垂木56は、後枠55側が前枠52側よりも高くなる傾斜をなしている。
【0013】
屋根材8は、例えば、透光性を有する平板材であり、前端部が前枠52に当接され、後端部が後枠55に収容されて、妻垂木54と垂木56との間にわたるように配置されている。本実施形態においては、前枠52、後枠55、左右の妻垂木54、垂木56に、屋根材8が取り付けられて屋根3をなしている。
【0014】
左右の柱50の間に設けられた正面建具6は、4枚の障子60と4枚の障子60をスライド移動可能に支持する枠体61とを備えており、各柱50と見込み方向に対向する各対向枠51との間に設けられた側面建具6は各々、2枚の障子60と2枚の障子60をスライド移動可能に支持する枠体61とを備えている。各枠体61は、支持する障子60の枚数に応じて障子60のスライド方向の幅が異なるものの断面形状及び取り付け構造は同一である。
【0015】
枠体61は、障子60を案内する上レール611aを有する上枠611および下レール612a、612bを有する下枠612と、上枠611と下枠612との両端部を上下に連結する一対の縦枠613と、を有し矩形状に枠組みされている。上枠611、下枠612、及び、一対の縦枠613はいずれも押出成形部材である。
【0016】
左右の柱50の間に設けられている正面建具6は、一対の縦枠613が、左右の柱50に各々固定され、上枠611は前枠52に固定されている。柱50と対向枠51との間に設けられている側面建具6は一対の縦枠613が、柱50または対向枠51に固定され、上枠611は腕木53に固定されている。
【0017】
下枠612及び内土間10の納まりは、いずれの建具6においても同一なので、ここでは、テラス囲い1において障子60が外壁2aと対面する正面建具6を例に挙げて説明する。
【0018】
図3に示すように、建具6の下枠612は、連結部材11を介してテラス4に固定されている。また、連結部材11を介してテラス4に固定された下枠612と内土間10との間隔は空いており、下枠612と内土間10との間を覆うカバー部材14が設けられている。連結部材11及びカバー部材14は、いずれも下枠612の全長にわたって設けられる。
【0019】
下枠612をテラス4に固定する連結部材11は、テラス囲い1を既存のテラス4上に構築した場合と、テラス囲い1をテラス4と共に構築した場合と、により相違する。ここでは、まず、既存のテラス4上に構築した場合の下枠612の取付構造について説明する。
【0020】
下枠612は、内障子60aが案内される内レール612aと、外障子60bが案内される外レール612bと、網戸62が案内される網戸レール612cとが見込み方向に互いに間隔を空けて設けられており、内レール612a、外レール612b、網戸レール612cの順に高さが低くなっている。内レール612a、外レール612b、網戸レール612cは各々、下方に延出された内下方延出部612d、外下方延出部612e、網戸下方延出部612fを有しており、内下方延出部612dと外下方延出部612eとの間、及び、外下方延出部612eと網戸下方延出部612fとの間は、網戸レール612c側が低くなる傾斜を有する外傾斜部612gと、中傾斜部612hとにより連結されている。
【0021】
内下方延出部612dからは、中傾斜部612hよりも高い位置からテラス囲い1の内側に向かって延び、内レール612aが低くなる傾斜を有する内傾斜部612iを有している。内傾斜部612iにおけるテラス囲い1の内側の先端には、鉛直方向に沿う内側壁部612jが設けられている。内側壁部612jの上端は、内レール612aの上端よりも高く、下端部側には、連結部材11に固定される固定部材としてのビス20が螺合されるビス螺合部612kが設けられている。
【0022】
本実施形態の連結部材11は、テラス4と下枠612とを連結する第一連結部材12と、テラス4とカバー部材14とを連結する第二連結部材13と、を有し、第一連結部材12と第二連結部材13は、下枠612を第一連結部材12に固定するビス20により共締めされている。第一連結部材12及び第二連結部材13は押出成形部材である。
【0023】
第一連結部材12は、テラス4上に配置され下枠612が載置される下枠載置部12aと、下枠載置部の外壁2a側の端から上方に延出され下枠612を固定するビス20が貫通するビス貫通部12bと、を有している。下枠載置部12aは、屋外側の部位が外壁側の部位よりも低い段差を有しており、屋外側の低い部位がテラス4に固定されている。
【0024】
第二連結部材13は、テラス4上に配置されて固定されるテラス固定部13aと、テラス固定部13aの屋外側の端部側から上方に延出された上方延出部13bと、上方延出部13bの上端から外壁2a側に延出されてカバー部材14が固定されるカバー部材固定部13cと、を有している。
【0025】
テラス固定部13aは、テラス4上に当接されるテラス当接部13dと、テラス当接部13dの上面から上方に突出する2つ突片13eと、を有しており、屋外側の端部は、上方延出部13bよりも屋外側に突出している。2つの突片13eは、見込み方向に間隔を空けて設けられており、テラス当接部13dは、2つの突片13eの間にてテラス4に固定されている。2つの突片13eにはカバー部材14が係合される。
【0026】
上方延出部13bには、屋外側の面から屋外側に、上下方向に間隔を空けて突出する2つの突出部13f、13gを有している。上側の突出部13fは、上方延出部13bの上下方向におけるほぼ中央に設けられており、下側の突出部13gは、下端側に位置しテラス当接部13dと間隔を空けて設けられている。上側の突出部13fの上面には、上方に突出してカバー部材14と係合する係合片13hが設けられている。
【0027】
カバー部材14は、長手方向に貫通する中空部14aを有する押出成形部材である。カバー部材14は、断面がほぼ矩形をなし中空部14aを形成するカバー本体部14bと、カバー本体部14bにて中空部14a上の平面を形成する平面部14cから屋外側に延出された上面延出部14dと、上面延出部14dの屋外側の縁から垂設された垂設壁部14eと、を有している。
【0028】
カバー本体部14bの下端部は、第二連結部材13の外壁2a側にてテラス4に当接される部位を除いて、上方に窪む凹部14fを有している。凹部14fを形成する外壁2a側の端部には、第二連結部材13のテラス当接部13dに設けられた外壁2a側の突片13eが係合する。凹部14fを形成しカバー本体部14bにおいて中空部14aの屋外側に位置する屋外側壁部14gが下方に延出された下方延出部14hには、第二連結部材13のテラス当接部13dに設けられた屋外側の突片13eが係合する。
【0029】
上面延出部14dの下面には、下方に突出する下方突起14iが設けられており、屋外側壁部14gと下方突起14iとの間に配置される第二連結部材13のカバー部材固定部13cに上方から上面延出部14dを貫通する皿ビス9が螺合されてカバー部材14が第二連結部材13に固定されている。
【0030】
垂設壁部14eの下端には、第二連結部材13の係合片13hと係合するカバー係合部14jが設けられている。カバー係合部14jが第二連結部材13の係合片13hと係合した状態で垂設壁部14eはほぼ鉛直な面を形成し、垂設壁部14eの屋外側に、下枠612の内側壁部612jが対面して当接するように配置される。
【0031】
既存のテラス4上にテラス囲い1を構築する施工方法は、図4(a)に示すように、まず、テラス4において、テラス囲い1の柱50を立設する位置を斫り、柱50の基礎を形成可能な縦孔40を形成する。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、縦孔40に柱50を立設し、対向枠51を外壁2aに固定してフレーム5を構築する。
【0033】
次に、図4(c)に示すように、テラス4上の各建具6の取り付け位置に連結部材11を固定し、固定した連結部材11及びフレーム5に各建具6の枠体61を固定する。具体的には、まず、図3に示すように、連結部材11は、第一連結部材12のビス貫通部12bが、第二連結部材13の2つの突出部13f、13gの間にて上方延出部13bに屋外側から当接するように配置し、各建具6を配置すべき位置にビス21でテラス4に固定する。
【0034】
次に、正面建具6は、一対の縦枠613を左右の柱50に各々固定し、上枠611を前枠52に固定する。左右の側面建具6は、一対の縦枠613を柱50または対向枠51に固定し、上枠611を腕木53に固定する。
【0035】
各建具6の下枠612は、固定した第一連結部材12の下枠載置部12a上に下枠612を載置する。このとき、第二連結部材13の上側の突出部13fの先端に内側壁部612jを当接し、ビス螺合部612kがビス貫通部12bと上方延出部13bとが見込み方向に重なる部位と対向する。
【0036】
次にテラス囲い1の内側からビス20を進入させ、ビス貫通部12b及び上方延出部13bを貫通したビス20をビス螺合部612kに螺合して、各下枠612を連結部材11に固定する。
【0037】
次に、カバー部材14を取り付ける。カバー部材14は、連結部材11に取り付けられた下枠612の内側壁部612jと第二連結部材13の上方延出部13bとの間に、垂設壁部14eを上方から挿入し、垂設壁部14eの下端に設けられたカバー係合部14jを第二連結部材13の係合片13hと係合させる。このとき、上面延出部14dの下方突起14iと屋外側壁部14gとの間に第二連結部材13のカバー部材固定部13cが配置され、カバー本体部14bの下端部の一部がテラス4上面に当接され、凹部14fを形成する外壁2a側の端部と第二連結部材13の突片13eとが係合し、下方延出部14hが第二連結部材13の屋外側の突片13eと係合する。
【0038】
カバー部材14は、上面延出部14dと上下方向に重なっている第二連結部材13のカバー部材固定部13cに上方から上面延出部14dを貫通する皿ビス9が螺合されて第二連結部材13に固定される。
【0039】
次に、図4(d)に示すように、内土間10を形成する。取り付けられたカバー部材14は、正面建具6の下枠612に沿って設けられているカバー部材14が正面建具6の下枠612のほぼ全長にわたって設けられており、側面建具6の下枠612に沿って設けられているカバー部材14は、正面建具6側のカバー部材14と外壁2aと間に挟まれるように設けられている。このため、内土間10を形成する領域が3本のカバー部材14と外壁2aとにより囲まれている。
【0040】
この3本のカバー部材14と外壁2aとを、内土間10を形成する型枠とし、3本のカバー部材14と外壁2aとに囲まれた領域にモルタルを打設し、表面にタイル等の仕上げ材4cを施して内土間10を完成させる。このとき、内土間10の高さとカバー部材14の平面部14cの高さとがほぼ同じ高さになり、高さが揃うように施工する。
【0041】
本実施形態のテラス囲い1によれば、下枠612は、テラス4に固定されている連結部材11に、テラス囲い1と建物の外壁2aと共に仕切られた空間Sの内側から外側に向かって進入するビス20により固定されており、下枠612と内土間10との間はカバー部材14により覆われているので、ビス20により固定されている部位は外部に露出しない。このため、下枠612を固定している部位から雨水等が浸入しないので、止水性に優れている。
【0042】
また、下枠612と内土間10との間を覆うカバー部材14は、連結部材11に取り外し可能に上方から固定されるので、カバー部材14を取り外すことによりビス20を露出させ、ビス20を外すことにより容易に下枠612を取り外すことが可能である。このためメンテナンス性にも優れている。このため、止水性及びメンテナンス性により優れたテラス囲い1を提供することが可能である。
【0043】
また、カバー部材14は、長手方向に沿って貫通する中空部14aを有しているので高い剛性を備えている。このため、外壁2aと共に囲むカバー部材14を、内土間10としてモルタル4bを打設する際の型枠として使用することが可能である。このため、施工性に優れている。
【0044】
また、内土間10とカバー部材14との高さが揃うように配置されているので、空間Sの出入口を段差のない状態、少なくとも歩行する人が段差を感じない状態に仕上げることが可能である。
【0045】
上記実施形態のテラス囲い1は、正面建具6及び側面建具6が引き違い窓用の同タイプの建具6が設けられている例について説明したが、建具6は、たとえば、図5(a)に示すような開き戸用の建具6a、図5(b)に示すような折り畳み戸用の建具6b、図5(c)に示すようなFIX窓用の建具6cなど、互いに異なる種類の建具が設けられていても構わない。たとえば、正面建具として引き違い窓用の同タイプの建具6が設けられ、一方の側面建具として開き戸用の建具6aが設けられ、他方の側面建具として折り畳み戸用の建具6bが設けられている構成、或いは、正面建具として引き違い窓用の同タイプの建具6が設けられ両側の側面建具としてそれぞれFIX窓用の建具6cが設けられている構成などであっても構わない。さらに、たとえば、正面建具として、引き違い窓用の同タイプの建具6と、その両側にFIX窓用の建具6cがそれぞれ連ねて設けられている構成など、複数種類の下枠がテラス囲いの正面または側面に連ねて設けられる構成であっても構わない。
【0046】
この場合には、複数種類の建具6、6a、6b、6cが有する各下枠612、61a、61b、61cのうちの最も高さが低い下枠、本実施形態では開き戸用の建具6aの下枠61aの上端をなす上面部61dと平面部14cとの間を覆う垂設壁部14eを有するカバー部材14を用いることにより、1種類のカバー部材14にて、いずれの建具6、6a、6b、6cも納めることが可能である。このとき、カバー部材14の平面部14c及び垂設壁部14eは、外部に露出し視認されるので、化粧を施しておいてもよい。
【0047】
このようなテラス囲い1によれば、カバー部材14が、複数種類の下枠612、61a、61b、61cのうちの高さが最も低い下枠61aの上端をなす上面部61dと平面部14cとの間を覆う垂設壁部14eを有しているので、最も低い下枠61aであってもカバー部材14との間に隙間が生じない。また、垂設壁部14eは下枠612、61a、61b、61cと内土間10との間を覆う平面部14cから垂設されているので、高さが最も低い下枠61aから内土間10までが繋がるように仕上げることが可能である。
【0048】
また、カバー部材14は、最も低い下枠61aを除く下枠612、61b、61cとも、垂設壁部14eが当接されているので、最も低い下枠61aを除く下枠612、61b、61cとカバー部材14との間にも隙間が生じない。このため、1つのカバー部材14により複数種類の全ての下枠612、61a、61b、61cとの間を隙間無く仕上げることが可能である。
また、垂設壁部14eと平面部14cとには化粧が施してあるので、意匠性により優れたテラス囲い1を提供することが可能である。
【0049】
次に、テラス囲い1をテラス4と共に構築する場合について説明する。以下の説明においては、上記実施形態と同一構成については図中で同符号を付して示し、その説明については省略する。テラス囲い1をテラス4と共に構築する場合には、テラス囲い1を既存のテラス4上に構築する場合と、連結部材が相違する。
【0050】
テラス囲い1をテラス4と共に構築する場合に用いる連結部材15は、図6に示すように、テラス4に埋設される第一連結部材16と、第一連結部材16に固定され、下枠612とカバー部材14とを連結する第二連結部材17と、を有している。第一連結部材16及び第二連結部材17ともに押出成形部材である。
【0051】
第一連結部材16は、長手方向に貫通し断面がほぼ矩形をなす中空部16aを有する本体部16bと、本体部16bにて中空部16a上の平面を形成する連結部材上面部16cから外壁2a側に延出された上面延出部16dと、上面延出部16dの外壁2a側の縁から垂設された垂設片16eと、を有している。
【0052】
第二連結部材17は、カバー部材14が載置されるカバー部材載置部17aと、カバー部材載置部17aの屋外側の端から下方に延出された下方延出部17bと、カバー部材載置部17aの屋外側の端よりも僅かに外壁2a側にて上方に延出された上方延出部17cと、上方延出部17cの上端から外壁2a側に延出されてカバー部材14が固定されるカバー部材固定部17dと、を有している。また、カバー部材載置部17aの下方延出部17bと上方延出部17cとの間には、上方延出部17cと間隔を空けて上方に突出する上方突起17eが設けられている。
【0053】
カバー部材載置部17aは、上記実施形態の第二連結部材13のテラス当接部13dと同様に、見込み方向に間隔を空けて設けられ、上方に突出する2つ突片17fを有している。2つの突片17fにはカバー部材14が係合される。
【0054】
上方延出部17cには、上下方向におけるほぼ中央から下側に屋外側に突出し鉛直方向に沿う面を形成する突出面部17gが上方延出部17cを上下に分断するように設けられている。突出面部17gの上端と上側の上方延出部17cの下端とを繋ぐ上平面部17hには、上方に突出してカバー部材14と係合する係合片17iが設けられている。
【0055】
テラス囲い1をテラス4と共に構築する場合には、まず、図7(a)に示すように、地面の、テラス囲い1の柱50を立設する位置に、柱50の基礎を形成可能な縦孔18を形成する。
【0056】
次に、図7(b)に示すように、縦孔18に柱50を立設し対向枠51を外壁2aに固定してフレーム5を構築する。
【0057】
次に、図7(c)に示すように、構築されたフレーム5に各建具6を取り付ける。このとき各建具6の枠体61には予め連結部材15及びカバー部材14を取り付けておく。具体的には、図6に示すように、第一連結部材16の垂設片16eを第二連結部材17の上方延出部17cと上方突起17eとの間に係合し、第二連結部材17の下方延出部17bを第一連結部材16の本体部16bに当接させてビス止めする。
【0058】
次に、第一連結部材16の本体部16b上に下枠612を載置し、下枠612の内側壁部612jを第二連結部材17の突出面部17gに当接させる。このとき、突出壁部17gの下の上方延出部17cとビス螺合部612kとが見込み方向に対面している。
【0059】
次に、テラス囲い1の内側となる上方延出部17c側から固定部材としてのビス20を進入させ、上方延出部17c側を貫通したビス20をビス螺合部612kに螺合して、下枠612を連結部材15に固定する。
【0060】
次に、連結部材15が固定された各下枠612にカバー部材14を取り付ける。カバー部材14は、連結部材15に取り付けられた下枠612の内側壁部612jと第二連結部材17の上方延出部17cとの間に、垂設壁部14eを上方から挿入し、垂設壁部14eの下端に設けられたカバー係合部14jを第二連結部材17の係合片17iと係合させる。このとき、上面延出部14dの下方突起14iと屋外側壁部14gとの間に第二連結部材17のカバー部材固定部17dが配置され、凹部14fを形成する外壁2a側の端部と第二連結部材17の突片17fとが係合し、下方延出部14hが第二連結部材17の屋外側の突片17fと係合する。
【0061】
カバー部材14は、上面延出部14dと上下方向に重なっている第二連結部材17のカバー部材固定部17dに上方から上面延出部14dを貫通する皿ビス9が螺合されて第二連結部材17に固定される。
【0062】
連結部材15及びカバー部材14が固定された正面建具6の、一対の縦枠613を左右の柱50に各々固定し、上枠611を前枠52に固定する。連結部材15及びカバー部材14が固定された左右の側面建具6の、一対の縦枠613を柱50または対向枠51に固定し、上枠611を腕木53に固定する。
【0063】
テラス4は、コンクリートやモルタルを用いて施工するので、図7(d)に示すように、コンクリートやモルタルを打設する際の型枠をなす、例えばコンクリートブロック等のブロック19などを、テラス4を形成する領域を囲むように、矩形状に配置する。
【0064】
次に、図7(e)に示すように、ブロック19等で形成した型枠内に砂や砂利などを投入した後にモルタル4bを打設する。このとき、投入した砂や砂利などは、各カバー部材14と外壁2aにより囲まれた領域の底をなすように、各カバー部材14の下端よりも高い位置で平面をなすように均し、テラス囲い1の外側は、型枠よりも低い位置で平面をなすように均しておく。このときに、第一連結部材16の本体部16bの下部側が砂や砂利などの中に埋設される。
【0065】
均した砂や砂利などの上にモルタルを打設し、図7(e)に示すように、必要に応じて表面にタイル等の仕上げ材4cを施して内土間10を完成させる。このとき、内土間10の高さとカバー部材14の平面部14cの高さとがほぼ同じ高さになり、高さが揃うように施工する。
【0066】
本実施形態によれば、予めテラス4が設けられていない現場においても、上記実施形態と同様のテラス囲い1を容易に構築することが可能であり、止水性及びメンテナンス性により優れたテラス囲い1を提供することが可能である。
【0067】
上記実施形態においては、屋外構築物の一例としてテラス囲い1を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば、サンルームや、上記テラス囲いにて左右に設けられていた建具を有しない屋外構築物でも構わない。
【0068】
上記実施形態においては、下枠612と連結部材11とを空間Sの内側から固定する固定部材をビス20としたが、これに限らず、下枠612と連結部材11とを空間Sの内側から固定可能であれば構わない。
【0069】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0070】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
建物に併設され前記建物の外壁と共に、屋外と仕切られた空間をテラス上に形成する屋外構築物であって、前記空間の内外を仕切り前記テラスに固定される下枠を有する建具と、前記空間に前記下枠と間隔を空けて配置される内土間と、前記テラスに固定され、前記下枠が前記空間側から固定する固定部材により連結される連結部材と、前記下枠と前記内土間との間を覆い前記連結部材に、取り外し可能に上方から固定されるカバー部材と、を有することを特徴とする屋外構築物である。
【0071】
このような屋外構築物によれば、下枠は、テラスに固定されている連結部材に、当該屋外構築物と建物の外壁と共に仕切られた空間側から固定する固定部材により固定されており、下枠と内土間との間はカバー部材により覆われているので、固定されている部位は外部に露出しない。このため、下枠を固定している部位から雨水等が浸入しないので、止水性に優れている。
【0072】
また、下枠と内土間との間を覆うカバー部材は、連結部材に取り外し可能に上方から固定されるので、カバー部材を取り外すことにより固定部材を露出させ、固定部材を外すことにより容易に下枠を取り外すことが可能である。このためメンテナンス性にも優れている。このため、止水性及びメンテナンス性により優れた屋外構築物を提供することが可能である。
【0073】
かかる屋外構築物であって、前記内土間を前記外壁と共に囲む複数の前記下枠と、前記下枠毎に設けられる複数の前記カバー部材と、を有し、前記カバー部材は、長手方向に沿って貫通する中空部を有しており、前記内土間には、モルタルまたはコンクリートが用いられていることを特徴とする。
【0074】
このような屋外構築物によれば、カバー部材は、長手方向に沿って貫通する中空部を有しているので高い剛性を備えている。このため、外壁と共に囲むカバー部材を、内土間としてモルタルまたはコンクリートを打設する際の型枠として使用することが可能である。このため、施工性に優れている。
【0075】
かかる屋外構築物であって、前記建具は、前記空間の出入口をなしており、前記カバー部材は、前記内土間と高さが揃うように配置されていることを特徴とする。
このような屋外構築物によれば、内土間とカバー部材との高さが揃っているので、空間の出入口を段差のない状態に仕上げることが可能である。
【0076】
かかる屋外構築物であって、前記複数の下枠には、互いに異なる複数種類の前記下枠が含まれており、前記カバー部材は、前記下枠と前記内土間との間を覆う平面部と、前記平面部から垂設され、前記複数種類の前記下枠のうちの高さが最も低い前記下枠の上端と前記平面部との間を覆う垂設壁部と、を有していることを特徴とする。
【0077】
このような屋外構築物によれば、カバー部材が、複数種類の下枠のうちの高さが最も低い下枠の上端と平面部との間を覆う垂設壁部を有しているので、最も低い下枠であってもカバー部材との間に隙間が生じない。また、垂設壁部は下枠と内土間との間を覆う平面部から垂設されているので、下枠から内土間までが繋がるように仕上げることが可能である。
【0078】
かかる屋外構築物であって、前記最も低い前記下枠を除く前記下枠は、見込み方向において前記垂設壁部に当接していることを特徴とする。
このような屋外構築物によれば、カバー部材は、最も低い下枠を除く下枠とも、垂設壁部が当接されているので、最も低い下枠を除く下枠とカバー部材との間にも隙間が生じない。このため、1種類のカバー部材により複数種類の全ての下枠との間を隙間無く仕上げることが可能である。
【0079】
かかる屋外構築物であって、前記垂設壁部と前記平面部とには化粧が施してあることを特徴とする。
このような屋外構築物によれば、意匠性により優れた屋外構築物を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 テラス囲い、2 建物、2a 外壁、4 テラス、10 内土間、
11 連結部材、12 第一連結部材、13 第二連結部材、14 カバー部材、
14a 中空部、14c 平面部、14e 垂設壁部、20 ビス、
61a 下枠、61b 下枠、61c 下枠、61d 上面部、612 下枠、
S 空間、
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