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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】段窓
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230501BHJP
   E06B 1/16 20060101ALI20230501BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/16
E06B1/18 Y
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020019228
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021123973
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】山田 正義
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-112269(JP,U)
【文献】実開昭56-086273(JP,U)
【文献】実開昭54-090029(JP,U)
【文献】特開2016-108909(JP,A)
【文献】特開2016-142026(JP,A)
【文献】特開2017-180056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/16
E06B 1/16
E06B 1/18
E06B 1/12
E04B 2/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無目と、無目を挟んで上下に配置される上窓及び下窓を備え、
無目は、中空部の上面に上窓の下枠が形成され、中空部の下面に下窓の上枠が形成されており、
無目の中空部内には、少なくとも屋内側見付壁の屋外側面に沿う第1補強部材が配置されており、無目の屋内側には、少なくとも無目の屋内側見付壁の屋内側面の上下方向ほぼ全幅に沿う第2補強部材が配置されており、第1補強部材と第2補強部材は、無目の屋内側見付壁を挟んで連結されており、無目の屋内側見付壁に、無目の屋内側面を覆うカバー部材が取付けられている段窓
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物開口部に配置される段窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無目の上下に窓が配置された段窓が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社三協アルミ社発行「三協アルミ MTG70R」2017年7月発行 434頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献1の段窓は、上下に窓を配置することで、広い採光面積を保持することができる。
しかし、火災時には、無目が熱によって反ることなどによって、無目の上下に配置された窓の障子、特に引き違い窓の障子との間に隙間が生じ延焼する危険性があった。
【0005】
本発明は、無目の上下に窓が配置された段窓において、防火性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、無目と、無目を挟んで上下に配置される上窓及び下窓を備え、無目は、中空部の上面部に上窓の下枠が形成され、下面部に下窓の上枠が形成されており、無目の中空部内には、少なくとも屋内側見付壁の屋外側面に沿う第1補強部材が配置されており、無目の屋内側には、少なくとも無目の屋内側見付壁の屋内側面の上下方向ほぼ全幅に沿う第2補強部材が配置されており、第1補強部材と第2補強部材は、無目の屋内側見付壁を挟んで連結されており、無目の屋内側見付壁に、無目の屋内側面を覆うカバー部材が取付けられている段窓である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、無目の上下に窓が配置された段窓において、防火性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る段窓の内観図であり、(a)は上方位置に引き違い窓が配置され、下方位置にFIX窓が配置された段窓であり、(b)は上方位置及び下方位置にともに引き違い窓が配置された段窓である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る段窓の竪断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る段窓の無目部分の竪断面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る段窓の竪断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る段窓の無目部分の竪断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態の段窓について、図面を参考にして、説明する。
なお、第1の実施形態の段窓として、無目の上方位置に引き違い窓(上窓)が配置され無目の下方位置にFIX窓(下窓)が配置された段窓を用いて説明し、第2の実施形態の段窓として、上方位置及び下方位置にともに引き違い窓が配置された段窓を用いて説明するが、段窓の上方および下方に配置される窓の窓種については、特に限定されない。
【0010】
-第1の実施形態-
第1の実施形態の段窓は、図1(a)に示すように、アルミ等の金属材料からなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組み、左、右竪枠13,14間に無目15を固定してなる枠体1と、枠体1の内周の無目15よりも上方位置に配置される引き違い窓(上窓)と、枠体1の内周の無目15よりも下方位置に配置されるFIX窓(下窓)4を備えている。
枠体1の上枠11、下枠12及び無目15は、それぞれ左、右竪枠13,14の内周面に左右端部を当接させて配置され、ネジ等の固定手段によって固定されている。
【0011】
上枠11は、図2に示すように、躯体開口部の内周に配置される見込壁11aと、見込壁11aの屋内側端および屋外側端に連設された屋内側見付壁11bおよび屋外側見付壁11cと、見込壁11aの見込み方向で中央位置の内周面から下方に延設された中央壁11dを有し、屋外側見付壁11cと中央壁11dとの間から外障子3を案内する上外レール11eが下方に延設されており、上方位置に配置された引き違い窓の上枠を構成している。
【0012】
下枠12は、図2に示すように、躯体開口部の内周に配置される見込壁12aと、見込壁12aの屋内側内周面に設けられる屋内側部12bと、見込壁12aの屋外側に連設された屋外側見付壁12cを有し、屋内側部12bと屋外側見付壁12cによってガラス等のパネルを保持するガラス間口12dが形成されており、下方位置に配置されたFIX窓の下枠を構成している。
下枠12のガラス間口12d内には、セッティングブロック121が配置され、枠体1の下段に配置されるFIX窓4の複層ガラス等のパネル45を支持している。
【0013】
無目15は、図2に示すように、一つの中空部によって形成される無目本体部15aを有しており、無目本体部15aの上面は、上方位置に配置される引き違い窓の内、外障子2,3を案内する下内レール15b及び下外レール15cが設けられ、上方位置に配置される引き違い窓の下枠を構成している。
【0014】
また、無目本体部15aの下面は、屋外側内周面から屋外側ガラス間口壁15dが下方に向けて設けられるとともに、屋外側ガラス間口壁15dよりも屋内側に押縁15eが取付けられてガラス間口15fを形成されており、下方位置に配置されるFIX窓4の下枠を構成している。
【0015】
無目本体部15aの中空部内には、スチール等の金属材料からなる第1補強部材91が配置されており、無目本体部15aの屋内側には、スチール等の金属材料からなる第2補強部材92が配置され、第2補強部材92を覆うようにカバー部材7が取付けられている。
【0016】
上方の引き違い窓の内障子2及び外障子3は、図1(a)、図2に示すように、それぞれ上框21,31と、下框22,32と、左、右竪框23,24,33,34を四周に組み、内周に複層ガラス等のパネル25,35を嵌め込んで形成されている。
【0017】
内障子2は、上框21が上枠11の屋内側見付壁11bと中央壁11dとの間に案内されており、下框22が無目15の上面に設けられた下内レール15bに案内されて、開閉自在に支持されている。
【0018】
外障子3は、上框31が上枠11の上外レール11eに案内されており、下框32が無目15の上面に設けられた下外レール15cに案内されて、開閉自在に支持されている。
【0019】
下段のFIX窓4は、図2に示すように、無目15の下面に形成されたガラス間口15fと、下枠12の上面に形成されたガラス間口12dと、左,右竪枠13,14に形成された図示しないガラス間口に複層ガラス等のパネル45が嵌め込まれて形成されている。
【0020】
(無目の補強構造)
以上、本実施形態の段窓においては、無目15の中空部内に第1補強部材を配置するとともに、無目15の屋内側に第2補強部材を配置することで、強度向上及び防火性能を向上させている。
以下、第1実施形態の段窓の無目15について、さらに説明する。
【0021】
無目15は、図3に示すように、一つの中空部を有し、中空部の上方に形成される上面部151と、中空部の下方に形成される下面部152と、上面部151と下面部152の屋外側同士を連絡する屋外側面部154と、上面部151と下面部152の屋内側同士を連絡する屋内側面部153を有している。
【0022】
上面部151は、屋内側壁部151aと、下内レール15bを支持する上段部151bと、下外レール15cを支持する下段部151dと、上段部151bと下段部151dを連絡する連絡部151cを有しており、無目15の上方に配置される引き違い窓の内、外障子2,3を支持する階段状の下枠を構成している。
上段部151bの下面と下段部151dの下面には、無目15を左、右竪枠13,14に連結するためのタッピングホール151e,151fが形成されている。
【0023】
下面部152は、中空部の屋内側底面を構成する底壁部152aと、底壁部152aの屋外側に連続し上方に凹んで形成される底面凹部152bを有しており、底面凹部152bの屋外側に屋外側ガラス間口壁15dが垂下され、底面凹部152bの屋内側に押縁15eが取付けられることでガラス間口15fが形成されており、FIX窓4の上枠を構成している。
底壁部152aの上面と底面凹部152bの上面には、無目15を左、右竪枠13,14に連結するためのタッピングホール152c,152dが形成されている。
【0024】
屋内側面部153は、下面部152の底壁部152aの屋内端に連続して上方に垂直状に延びる中空部の屋内側壁153aと上面部151の屋内側壁部151aが一体形成された屋内側見付壁153bと、屋内側見付壁153bの上端近傍から屋内側に延びる上突出片153cと、屋内側見付壁153bの下端近傍から屋内側に延びる下突出片153dを有している。
【0025】
無目15の中空部内に配置される第1補強部材91は、中空部の屋内側壁153aの屋外側面に沿って配置される屋内側壁部91aと、屋内側壁部91aの上端が屋外側に屈曲してなる屋内側上壁部91bと、屋内側壁部91aの下端が屋外側に屈曲してなる下壁部91cと、下壁部91cの屋外側より上方に屈曲してなる立上壁91dと、立上壁91dの上端が屋外側に屈曲してなる屋外側上壁部91eと、屋外側上壁部91eの屋外側が下方に屈曲してなる屋外側壁部91fを有している。
そして、第1補強部材91は、無目15の長さ寸法とほぼ同じ長さ寸法を有している。
【0026】
一方、無目15の屋内側に配置される第2補強部材92は、見付壁部92aと、見付壁部92aの上端が屋内側に屈曲して延びる上返し部92bと、見付壁部92aの下端が屋内側に屈曲して延びる下返し部92cを有しており、見付壁部92aが、無目15の屋内側見付壁153bの屋内側面の上下幅とほぼ同じ幅寸法を有している。
そして、第2補強部材92は、無目15の長さ寸法よりも若干短い長さ寸法を有している。
【0027】
そして、第1補強部材91の下壁部91cが無目15の下面部152の底面凹部152bの上面に載置された状態で屋内側壁部91aが無目15の中空部の屋内側壁153aの屋外側面に当接して配置され、第2補強部材92が、見付壁部92aが屋内側見付壁153bの屋内側面に当接して配置され、すなわち第1補強部材91と第2補強部材92によって無目15の屋内側見付壁153bを挟んだ状態で、ビス等の固定手段b,bによって共締め固定されている。
【0028】
無目15に第1補強部材91及び第2補強部材92が固定された状態では、無目15の中空部内においては、第1補強部材91の屋内側壁部91aが無目15の屋内側壁153a(屋内側見付壁153b)の屋外側面の上下方向ほぼ全幅に亘って配置され、無目15の屋内側においては、第2補強部材92の見付壁部92aが無目15の屋内側見付壁153bの屋内側面の上下方向ほぼ全幅に亘って配置されている。
【0029】
以上のように、無目15の下方に配置される下窓としてFIX窓4が採用された本実施形態の段窓においては、無目15の本体部分を一つの大きな中空部によって形成することで、無目15構造を簡単にして材料を削減し、製造を容易にしながら、中空部内に配置する第1補強部材91の見付け幅を大きく形成することで強度を確保することができる。
そして、無目15の屋内側見付壁153bの屋内側と屋外側を見付(上下)幅寸法の大きな第1補強部材と第2補強部材によって挟んで固定することができるので、無目15の屋内側を広い範囲にわたって補強することができ、火災による無目の反りを抑制し、防火性能を向上させることができる。
【0030】
さらに、無目15の中空部内に配置された第1補強部材91は、屋内側上壁部91bが上方位置に配置される引き違い窓の下内レール85bを支持する上段部851bの下方位置に配置され、屋外側上壁部91eが上方位置に配置される引き違い窓の下外レール85cを支持する下段部851dの下方位置に配置されている。
【0031】
したがって、無目15の中空部内において、第1補強部材91の屋内側上壁部91bが引き違い窓の上内レール15bを支持する上段部151bの下方位置に配置され、第1補強部材91の屋外側上壁部91eが引き違い窓の下外レール15cを支持する下段部151dの下方位置に配置されているので、火災によって無目の上面部151が溶融した場合であっても、上方位置に配置された引き違い窓の内、外障子2,3を支えて脱落等を抑制することができる。
【0032】
また、無目15の屋内側に配置された第2補強部材92は、上返し部92bが無目15の上突出片153cの下面に沿って配置され、下返し部92cが無目15の下突出片153dの上面に沿って配置される。
【0033】
屋内側から第2補強部材92が固定された無目15の屋内側面部153には、カバー部材7が取り付けられることで、第2補強部材92は屋内側に露出することなく、外気から保護されている。
なお、無目15の屋内側面部153に対するカバー部材7の取付けは、無目15の上突出片153c及び下突出片153dに対して、カバー部材7の見付け面部71の上端部に設けられた上面部72及び下面部73を係合して取付ければ良く、必要応じて、上突出片153cと上面部72もしくは下突出片153dと下面部73をビス等の固定手段により固定して取り付けてもよい。
【0034】
-第2の実施形態-
第1の実施形態の段窓は、図1(b)に示すように、アルミ等の金属材料からなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組み、左、右竪枠13,14間に無目15を固定してなる枠体1と、枠体1の内周の無目15の上方位置及び下方位置に配置される上下の引き違い窓を備えている。
枠体1の上枠11、下枠12及び無目15は、それぞれ左、右竪枠13,14の内周面に左右端部を当接させて配置され、ネジ等の固定手段によって固定されている。
【0035】
第2実施形態の段窓の上枠11は、第1実施形態の段窓の上枠11と同様であるので、図4に符号のみを記載して、ここではその説明は省略する。
【0036】
下枠12は、図4に示すように、躯体開口部の内周に配置される見込壁12eと、見込壁12eの屋内側内周面に設けられる屋内側中空壁12fを有し、屋内側中空壁12fの上面に内障子2を案内する下内レール12gが設けられ、見込壁12eの屋外側内周面に下外レール12hが設けられており、下方位置に配置された引き違い窓の下枠を構成している。
【0037】
無目85は、図4に示すように、一つの中空部によって形成される無目本体部85aを有しており、無目本体部85aの上面は、上方位置に配置される引き違い窓の内、外障子2,3を案内する下内レール85b及び下外レール85cが設けられ、上方位置に配置される引き違い窓の下枠を構成している。
【0038】
また、無目本体部85aの下面は、下方位置に配置される引き違い窓の内障子2の上部が案内される案内溝を構成する中央壁部85dと、外障子3を案内する上外レール85eと、屋外壁部85fが設けられ、下方位置に配置される引き違い窓の上枠を構成している。
【0039】
無目本体部85aの中空部内には、スチール等の金属材料からなる第1補強部材93が配置されており、無目本体部85aの屋内側には、スチール等の金属材料からなる第2補強部材94が配置され、第2補強部材94を覆うようにカバー部材7が取付けられている。
【0040】
第2実施形態の段窓の上下位置に配置される引き違い窓については、第1実施形態の段窓の上方位置に配置される引き違い窓と同様であるので、図4に符号のみを記載して、ここではその説明は省略する。
【0041】
(無目の補強構造)
以下、第2実施形態の段窓の無目85について、さらに説明する。
【0042】
無目85は、図5に示すように、一つの中空部を有し、中空部の上方に形成される上面部851と、中空部の下方に形成される下面部852と、上面部851と下面部852の屋外側同士を連絡する屋外側面部854と、上面部851と下面部852の屋内側同士を連絡する屋内側面部853を有している。
【0043】
上面部851は、屋内側壁部851aと、下内レール85bを支持する上段部851bと、下外レール85cを支持する下段部851dと、上段部851bと下段部851dを連絡する連絡部851cを有しており、無目85の上方に配置される引き違い窓の内障子2及び外障子3を支持する階段状の下枠を構成している。
上段部851bの下面と下段部851dの下面には、無目85を左、右竪枠13,14に連結するためのタッピングホール851e,851fが形成されている。
【0044】
下面部852は、屋内側壁部852aと、上面に平坦面852bを有する底壁部852cと、底壁部852cの下面に設けられる中央壁部85dと、上外レール85eと、屋外壁部85fを有しており、無目85の下方に配置される引き違い窓の上枠を構成している。
底壁部852cの平坦面852bの屋内側と屋外側には、タッピングホール852d,852eが形成されている。
【0045】
屋内側面部853は、中空部の屋内側壁853aと上面部851の屋内側壁部851aと下面部852の屋内側壁部852aが一体形成された屋内側見付壁853bと、屋内側見付壁853bの上端近傍から屋内側に延びる上突出片853cと、屋内側見付壁853bの下端近傍から屋内側に延びる下突出片853dを有している。
【0046】
無目15の中空部内に配置される第1補強部材93は、中空部の屋内側壁853aの屋外側面に沿って配置される屋内側壁部93aと、屋内側壁部93aの上端が屋外側に屈曲してなる屋内側上壁部93bと、屋内側壁部93aの下端が屋外側に屈曲してなる下壁部93cと、下壁部93cの屋外側より上方に屈曲してなる立上壁93dと、立上壁93dの上端が屋外側に屈曲してなる屋外側上壁部93eと、屋外側上壁部93eの屋外側が下方に屈曲してなる屋外側壁部93fを有している。
【0047】
一方、無目15の屋内側に配置される第2補強部材94は、見付壁部94aと、見付壁部94aの上端が屋内側に屈曲して延びる上返し部94bと、見付壁部94aの下端が屋内側に屈曲して延びる下返し部94cを有しており、見付壁部94aは、無目15の屋内側見付壁853bの屋内側面の上下幅とほぼ同じ幅寸法を有している。
【0048】
そして、第1補強部材93の下壁部93cが無目85の下面部852の平坦面852bの上面に載置された状態で屋内側壁部93aが無目85の中空部の屋内側壁853aの屋外側面に当接して配置され、第2補強部材94が、見付壁部94aが屋内側見付壁853bの屋内側面に当接して配置され、すなわち第1補強部材93と第2補強部材94によって無目85の屋内側見付壁853bを挟んだ状態で、ビス等の固定手段b,bによって共締め固定されている。
【0049】
第2の実施形態の段窓においても、無目85に対して、第1補強部材93及び第2補強部材94が固定された状態では、無目85の中空部内において、第1補強部材93の屋内側壁部93aが無目85の屋内側壁853a(屋内側見付壁853b)の屋外側面の上下方向ほぼ全幅に亘り、無目85の屋内側においては、第2補強部材94の見付壁部94aが無目85の屋内側見付壁853bの屋内側面の上下方向ほぼ全幅に亘って配置されている。
【0050】
以上のように、無目15の下方に配置される下窓として引き違い窓が採用された段窓においても、無目15の本体部分を一つの中空部によって形成することで、無目15の構造を簡単にして材料を削減し、製造を容易にしながら、中空部の屋内側壁853aの全面に沿って第1補強部材91の屋内側壁部93aを配置することで強度を確保することができる。
そして、無目15の屋内側見付壁153bを、屋内側見付壁153bと同程度の幅寸法を有する第2補強部材94と第1補強部材93で挟んで共締め固定することで、無目15の屋内側を広い範囲にわたって補強することができ、火災による無目の反りを抑制し、防火性能を向上させることができる。
【0051】
また、無目85の中空部内に配置された第1補強部材93は、屋内側上壁部93bが上方位置に配置される引き違い窓の下内レール85bを支持する上段部851bの下方位置に配置され、屋外側上壁部93eが上方位置に配置される引き違い窓の下外レール85cを支持する下段部851dの下方位置に配置されている。
【0052】
したがって、第1実施形態の段窓と同様に、無目15の中空部内において、第1補強部材93の屋内側上壁部93bが引き違い窓の上内レール85bを支持する上段部851bの下方位置に配置され、第1補強部材93の屋外側上壁部93eが引き違い窓の下外レール85cを支持する下段部851dの下方位置に配置されているので、火災によって無目の上面部851が溶融した場合であっても、上方位置に配置された引き違い窓の内、外障子2,3を支えて脱落等を抑制することができる。
【0053】
また、無目85の屋内側に配置された第2補強部材94は、上返し部94bが無目85の上突出片853cの下面に沿って配置され、下返し部94cが無目85の下突出片853dの上面に沿って配置される。
【0054】
屋内側から第2補強部材94が固定された無目85の屋内側面部853には、カバー部材7が取り付けられることで、第2補強部材94は屋内側に露出することなく、外気から保護されている。
なお、無目85の屋内側面部853に対するカバー部材7の取付けは、無目85の上突出片853c及び下突出片853dに対して、カバー部材7の見付け面部71の上端部に設けられた上面部72及び下面部73を係合して取付ければ良く、必要応じて、上突出片853cと上面部72もしくは下突出片853dと下面部73をビス等の固定手段により固定して取り付けてもよい。
【0055】
以上のように、本実施形態の段窓は、段窓の無目が比較的大きな一つの中空部によって形成されていることで、中空部内に配置する第1補強部材を見付け幅の大きなものとすることができるので、構造を簡単にして材料を削減し、製造を容易にしながら、強度が高く反りの発生が起こりにくい無目を提供することができる。
【0056】
そして、無目の屋内側見付壁が幅寸法の比較的大きな第1補強部材と第2補強部材によって挟まれた状態となるので、無目の屋内側を広い範囲にわたって保護することができ、火災による無目の反りを抑制し、防火性能を高めることができる。
【0057】
また、無目の上方に配置される上窓が引き違い窓である場合には、無目の中空部内においては、第1補強部材の屋内側上壁部が引き違い窓の上内レールを支持する上段部の下方位置に配置され、第1補強部材の屋外側上壁部が引き違い窓の下外レールを支持する下段部の下方位置に配置されているので、火災によって無目の上面部が溶融した場合であっても、上方位置に配置された引き違い窓の内、外障子を支えて脱落等を抑制することができる。
【0058】
その他、以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
15 :無目
15a :無目本体部(中空部)
91 :第1補強部材
92 :第2補強部材
153b :屋内側見付壁
7 :カバー部材
図1
図2
図3
図4
図5