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特許7271503信号伝達回路、スイッチ駆動装置、及びパワーモジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】信号伝達回路、スイッチ駆動装置、及びパワーモジュール
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20230501BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20230501BHJP
   H03K 5/12 20060101ALI20230501BHJP
   H02M 1/08 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H03K17/16 D
H03K17/687 A
H03K5/12
H02M1/08 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020503466
(86)(22)【出願日】2019-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2019006733
(87)【国際公開番号】W WO2019167827
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-08-30
(31)【優先権主張番号】P 2018036646
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石松 祐司
【審査官】工藤 一光
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-175437(JP,A)
【文献】国際公開第2017/143898(WO,A1)
【文献】特開2015-33248(JP,A)
【文献】米国特許第5747972(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M1/08-1/096
H03K5/01-5/12
H03K17/16
H03K17/687-17/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電圧と前記第1電圧よりも低い第2電圧との間で動作し、第1入力信号及び第2入力信号をそれぞれレベルシフトし、第1シフト済み信号及び第2シフト済み信号として出力するレベルシフタと、
前記第1電圧と前記第2電圧との間で動作し、前記第1シフト済み信号及び前記第2シフト済み信号に対してそれぞれフィルタ処理を行うフィルタ回路と、
を備え、
前記フィルタ回路は、
前記第1シフト済み信号の立上りタイミングを所定時間遅延させて出力する第1立上り遅延回路と、
前記第2シフト済み信号の立下りタイミングを所定時間遅延させて出力する第1立下り遅延回路と、
前記第1立上り遅延回路及び前記第1立下り遅延回路にそれぞれ前記第1電圧を印加する第1電源配線と、
を有し、
前記第1立上り遅延回路は、前記第1シフト済み信号を反転して出力する第1立上り遅延NOT回路と、前記第1立上り遅延NOT回路の第1立上り遅延信号を反転して出力する第2立上り遅延NOT回路とを有し、
前記第1立下り遅延回路は、前記第2シフト済み信号を反転して出力する第1立下り遅延NOT回路と、前記第1立下り遅延NOT回路の第1立下り遅延信号を反転して出力する第2立下り遅延NOT回路とを有し、
前記第1立上り遅延回路は、前記第2立上り遅延NOT回路の第2立上り遅延信号が前記第1電圧が下降する側への変動に追従せず、前記第1電圧が上昇する側への変動に追従するように構成され、
前記第1立下り遅延回路は、前記第2立下り遅延NOT回路の第2立下り遅延信号が前記第1電圧が下降する側への変動に追従せず、前記第1電圧が上昇する側への変動に追従するように構成され
前記第1立上り遅延回路は、
前記第2立上り遅延信号が印加される第1中間配線と、
前記第1電源配線と前記第1中間配線との間に設けられた第1抵抗と、
前記第2電圧が供給される第2電源配線と前記第1中間配線との間に接続された第1キャパシタと、
前記第1中間配線と前記第1電源配線との間に設けられた第1ダイオードと、
前記第1ダイオードへの電流の供給をオンオフするスイッチと、
前記第1シフト済み信号と前記第1立上り遅延回路の出力信号とに基づいて、前記スイッチを動作させるNAND回路と、
を有する
信号伝達回路。
【請求項2】
前記第1ダイオードは、MOSダイオードである
請求項に記載の信号伝達回路。
【請求項3】
前記第1立上り遅延回路は、前記第2立上り遅延信号が入力される第1シュミットトリガを有する
請求項1又は2に記載の信号伝達回路。
【請求項4】
前記フィルタ回路は、前記第1立上り遅延回路及び前記第1立下り遅延回路にそれぞれ前記第1電圧を印加する第1電源配線を有し、
前記第1立下り遅延回路は、
前記第2立下り遅延信号が印加される第2中間配線と、
前記第2電圧が供給される第2電源配線と前記第2中間配線との間に接続された第2キャパシタと、
前記第2中間配線と前記第2電源配線との間に設けられた第2抵抗と、
前記第2中間配線と前記第1電源配線との間に設けられた第2ダイオードと、
を有する
請求項1~のいずれか一項に記載の信号伝達回路。
【請求項5】
前記第2ダイオードは、MOSダイオードである
請求項に記載の信号伝達回路。
【請求項6】
前記第1立下り遅延回路は、前記第2ダイオードに並列に接続された放電用抵抗を有する
請求項又はに記載の信号伝達回路。
【請求項7】
前記第1立下り遅延回路は、前記第2立下り遅延信号が入力される第2シュミットトリガを有する
請求項1~のいずれか一項に記載の信号伝達回路。
【請求項8】
前記フィルタ回路は、前記第2シフト済み信号に対して前記フィルタ処理を行う回路として、
前記第2シフト済み信号の立上りタイミングを所定時間遅延させて出力する第2立上り遅延回路と、
前記第1シフト済み信号の立下りタイミングを所定時間遅延させて出力する第2立下り遅延回路と、
を有し、
前記第2立上り遅延回路は、前記第1立上り遅延回路と同じ構成であり、
前記第2立下り遅延回路は、前記第1立下り遅延回路と同じ構成である
請求項1~のいずれか一項に記載の信号伝達回路。
【請求項9】
前記フィルタ回路は、
前記第1立上り遅延回路の出力信号と前記第1立下り遅延回路の出力信号とに基づいてセット信号を生成する第1論理回路と、
前記第2立上り遅延回路の出力信号と前記第2立下り遅延回路の出力信号とに基づいてリセット信号を生成する第2論理回路と、
前記セット信号及び前記リセット信号が入力されるRSフリップフロップ回路と、を含む
請求項に記載の信号伝達回路。
【請求項10】
請求項の信号伝達回路と、
前記RSフリップフロップ回路の出力に応じた出力信号を生成してスイッチング素子に供給するドライバと、
を有するスイッチ駆動装置。
【請求項11】
請求項10に記載のスイッチ駆動装置と、
前記スイッチング素子と
を有するパワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝達回路、スイッチ駆動装置、及びパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばモータのコイルへの電力の供給を制御する一対のスイッチング素子を制御するスイッチ駆動装置は、スイッチング素子に信号を出力するRSフリップフロップ回路と、RSフリップフロップ回路のセット端子及びリセット端子にレベルシフトした信号を出力する信号伝達回路と、パルスジェネレータからのパルス信号をレベルシフトして信号伝達回路に出力するレベルシフタと、を有する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-314392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のスイッチ駆動装置では、スイッチ駆動装置に印加される電圧の変動に起因して信号伝達回路からRSフリップフロップ回路に出力される信号の誤信号が発生する場合がある。
【0005】
本発明の目的は、電圧変動による誤信号の出力を抑制することができる信号伝達回路、スイッチ駆動装置、及びパワーモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する信号伝達回路は、第1電圧と前記第1電圧よりも低い第2電圧との間で動作し、第1入力信号及び第2入力信号をそれぞれレベルシフトし、第1シフト済み信号及び第2シフト済み信号として出力するレベルシフタと、前記第1電圧と前記第2電圧との間で動作し、前記第1シフト済み信号及び前記第2シフト済み信号に対してそれぞれフィルタ処理を行うフィルタ回路と、を有し、前記フィルタ回路は、前記第1シフト済み信号の立上りタイミングを所定時間遅延させて出力する第1立上り遅延回路と、前記第2シフト済み信号の立下りタイミングを所定時間遅延させて出力する第1立下り遅延回路と、を有し、前記第1立上り遅延回路は、前記第1シフト済み信号を反転して出力する第1立上り遅延NOT回路と、前記第1立上り遅延NOT回路の第1立上り遅延信号を反転して出力する第2立上り遅延NOT回路とを有し、前記第1立下り遅延回路は、前記第2シフト済み信号を反転して出力する第1立下り遅延NOT回路と、前記第1立下り遅延NOT回路の第1立下り遅延信号を反転して出力する第2立下り遅延NOT回路とを有し、前記第1立上り遅延回路は、前記第2立上り遅延NOT回路の第2立上り遅延信号が前記第1電圧が下降する側への変動に追従せず、前記第1電圧が上昇する側への変動に追従するように構成され、前記第1立下り遅延回路は、前記第2立下り遅延NOT回路の第2立下り遅延信号が前記第1電圧が下降する側への変動に追従せず、前記第1電圧が上昇する側への変動に追従するように構成されている。
【0007】
この構成によれば、第1電圧が下降した後、再び下降前の第1電圧まで上昇するような第1電圧の変動において、第1電圧の下降時に第2立上り遅延信号及び第2立下り遅延信号が追従せず、第1電圧の上昇時に第2立上り遅延信号及び第2立下り遅延信号が追従する。このため、第1立上り遅延回路の出力信号及び第1立下り遅延回路の出力信号の誤信号の出力を抑制することができる。したがって、電圧変動による信号伝達回路の誤信号の出力を抑制することができる。
【0008】
なお、「第2立上り遅延信号が第1電圧が下降する側への変動に追従せず」とは、第2立上り遅延信号が第1電圧が下降する側への変動に追従しない状態と、第2立上り遅延信号が第1電圧が下降する側への変動の追従が抑制される状態とを含む概念である。また、「第2立下り遅延信号が第1電圧が下降する側への変動に追従せず」とは、第2立下り遅延信号が第1電圧が下降する側への変動に追従しない状態と、第2立下り遅延信号が第1電圧が下降する側への変動の追従が抑制される状態とを含む概念である。
【発明の効果】
【0009】
上記信号伝達回路、スイッチ駆動装置、及びパワーモジュールによれば、電圧変動による誤信号の出力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態のパワーモジュールの回路構成を示すブロック図。
図2】RSフリップフロップ回路の詳細な構成図。
図3】レベルシフタ及びフィルタ回路の構成図。
図4】フィルタ回路における立上り遅延回路の回路図。
図5】フィルタ回路における立下り遅延回路の回路図。
図6】フィルタ処理に関するタイミングチャート。
図7】上側出力信号の誤信号の発生形態に関する説明図。
図8】上側出力信号の誤信号の発生形態に関する説明図。
図9】上側出力信号の誤信号の発生形態に関する説明図。
図10】上側出力信号の誤信号の発生形態に関する説明図。
図11】立上り遅延回路及び立下り遅延回路にサージ電圧が印加されたときの信号の推移を示すタイムチャート。
図12】立上り遅延回路及び立下り遅延回路にサージ電圧が印加されたときの信号の推移を示すタイムチャート。
図13】パワーモジュールの適用例に関する説明図。
図14】パワーモジュールの適用例に関する説明図。
図15】パワーモジュールの適用例に関する説明図。
図16】変形例のレベルシフタの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、信号伝達回路、スイッチ駆動装置、及びパワーモジュールの実施形態について図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための構成や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに限定するものではない。以下の実施形態は、種々の変更を加えることができる。
【0012】
本明細書において、「部材Aが部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bとが物理的に直接的に接続される場合、並びに、部材A及び部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0013】
同様に、「部材Cが部材Aと部材Bとの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが直接的に接続される場合、並びに、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cとが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合を含む。
【0014】
図1に示すように、パワーモジュール1は、スイッチング素子の一例である上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lと、上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lを駆動させるスイッチ駆動装置2とを備える。一例では、図1に示すように、スイッチ駆動装置2は、1チップにより形成され、VCC端子(電源端子)、OUT端子(出力端子)、GND端子、HO端子、LO端子、FOB端子、HIN端子、LIN端子、VB端子、及びCIN端子を有する。スイッチ駆動装置2は、上側スイッチ駆動部20、下側スイッチ駆動部30、及び異常保護部40を有する。パワーモジュール1は、ブートストラップ回路50及び電流検出用抵抗61を有する。ブートストラップ回路50及び電流検出用抵抗61は、スイッチ駆動装置2の外部に設けられている。電流検出用抵抗61の第1端子は下側スイッチング素子10Lに電気的に接続され、電流検出用抵抗61の第2端子は接地されている。なお、スイッチ駆動装置2は、複数のチップにより形成されてもよい。一例では、上側スイッチ駆動部20及び下側スイッチ駆動部30が個別のチップとして形成されてもよい。また、ブートストラップ回路50の一部がスイッチ駆動装置2に設けられていてもよい。一例では、ブートストラップ回路50のブートダイオード51がスイッチ駆動装置2に設けられる。
【0015】
上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lは、4H-SiC(絶縁破壊電界が約2.8MV/cmであり、バンドギャップの幅が約3.26eVのワイドバンドギャップ半導体)が用いられている。なお、上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lに用いられるワイドバンドギャップ半導体は、シリコンカーバイド(SiC)に限られず、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga)、ダイヤモンド等であってもよい。窒化ガリウム(GaN)は、その絶縁破壊電界が約3MV/cmであり、バンドギャップの幅が約3.42eVである。酸化ガリウム(Ga)は、その絶縁破壊電界が約8MV/cmであり、バンドギャップの幅が約4.8eVである。ダイヤモンドは、その絶縁破壊電界が約8MV/cmであり、バンドギャップの幅が約5.47eVである。上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lの一例は、SiCMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)である。本実施形態では、上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lは、Nチャネル型のSiCMSOFETが用いられている。
【0016】
上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lは、直列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子10Uのソースが下側スイッチング素子10Lのドレインと電気的に接続されている。上側スイッチング素子10Uのドレインは高電圧VDC(数百ボルト)の印加端に電気的に接続されている。下側スイッチング素子10Lのソースは電流検出用抵抗61の第1端子に電気的に接続されている。また下側スイッチング素子10Lのソースは、CIN端子を介して異常保護部40に電気的に接続されている。上側スイッチング素子10Uのゲートは、HO端子を介して上側スイッチ駆動部20に電気的に接続されている。下側スイッチング素子10Lのゲートは、LO端子を介して下側スイッチ駆動部30に電気的に接続されている。
【0017】
上側スイッチ駆動部20は、HIN端子と電気的に接続されている。HIN端子は、外部のゲート駆動回路(図示略)からゲート信号電圧が印加される。上側スイッチ駆動部20は、このゲート信号電圧を上側スイッチング素子10Uのゲートに印加するための回路である。下側スイッチ駆動部30は、LIN端子と電気的に接続されている。LIN端子は、外部のゲート駆動回路(図示略)からゲート信号電圧が印加される。下側スイッチ駆動部30は、このゲート信号電圧を下側スイッチング素子10Lのゲートに印加するための回路である。
【0018】
上側スイッチ駆動部20は、入力側(HIN端子側)から出力側(HO端子側)に向けて順に、抵抗21、シュミットトリガ22、レベルシフタ23、コントローラ24、パルスジェネレータ25、レベルシフタ70、フィルタ回路80、RSフリップフロップ回路26、及びドライバ27を有する。上側スイッチ駆動部20において、少なくともレベルシフタ70及びフィルタ回路80を含んだ構成を「信号伝達回路」とする。本実施形態では、信号伝達回路は、レベルシフタ70、フィルタ回路80、及びRSフリップフロップ回路26を含んだ構成である。
【0019】
抵抗21は、HIN端子を接地端にプルダウンする。このため、HIN端子がオープン状態である場合には、ゲート駆動回路からHIN端子に入力されるゲート信号電圧としての上側入力信号HINがローレベル(上側スイッチング素子10Uがオフするための論理レベル)となるので、上側スイッチング素子10Uが意図せずにオンされることがない。
【0020】
シュミットトリガ22は、HIN端子に入力される上側入力信号HINをレベルシフタ23に伝達する。なお、シュミットトリガ22の閾値電圧には、所定のヒステリシスが与えられている。このような構成にすることにより、ノイズに対する耐性を高めることができる。
【0021】
レベルシフタ23は、シュミットトリガ22の出力信号をコントローラ24への入力に適した電圧レベル(VCC-GND)にレベルシフトして出力する。
コントローラ24は、異常保護部40から入力される異常信号やFOB端子から入力される外部異常信号に基づいて、レベルシフタ23の出力信号をパルスジェネレータ25に伝達するか否か(延いては上側スイッチング素子10Uの駆動可否)を制御する。
【0022】
パルスジェネレータ25は、コントローラ24の出力信号に基づいて、第1入力信号の一例であるオン信号SON(レベルシフタ70において後述するトランジスタ71のゲート信号)、及び第2入力信号の一例であるオフ信号SOFF(レベルシフタ70において後述するトランジスタ72のゲート信号)の各パルス信号を生成する。詳述すると、パルスジェネレータ25は、コントローラ24の出力信号の立上りエッジをトリガとして、オン信号SONを所定のオン期間TON1だけハイレベルとし、コントローラ24の出力信号の立下りエッジをトリガとして、オフ信号SOFFを所定のオン期間TON2だけハイレベルとする。なお、コントローラ24の出力信号(上側入力信号HINに応じた信号)、オン期間TON1及びオン期間TON2は、オン信号SONとオフ信号SOFFの双方が同時にはハイレベルとはならないように設定されている。すなわちパワーモジュール1が正常に動作しているとき、少なくともオン信号SONとオフ信号SOFFの一方がハイレベルときは、他方はローレベルになる。
【0023】
レベルシフタ70は、フィルタ回路80、RSフリップフロップ回路26、及びドライバ27を含む高電位ブロックと、パルスジェネレータ25を含む低電位ブロックとの間において、低電位ブロックから高電位ブロックに、信号レベルをシフトして伝達する回路である。詳述すると、レベルシフタ70は、低電位ブロックに属するパルスジェネレータ25から、第1入力信号の一例であるオン信号SONと第2入力信号の一例であるオフ信号SOFFの各パルス信号が入力される。レベルシフタ70は、これらの信号をそれぞれレベルシフトさせ、第1シフト済み信号及び第2シフト済み信号としてフィルタ回路80に出力する。なお、高電位ブロックは、VB端子に印加される第1電圧の一例であるブースト電圧VBと、OUT端子に印加される第2電圧の一例であるスイッチ電圧VSとの間で動作する。
【0024】
フィルタ回路80は、レベルシフタ70から入力される第1シフト済み信号及び第2シフト済み信号に対してフィルタ処理を行い、RSフリップフロップ回路26に出力する回路である。
【0025】
RSフリップフロップ回路26は、フィルタ回路80によりフィルタ処理が行われた第1シフト済み信号がセット信号SSETとして入力されるセット端子(S端子)、フィルタ回路80によりフィルタ処理が行われた第2シフト済み信号がリセット信号SRESETとして入力されるリセット端子(R端子)、及び出力信号Sを出力する出力端子(Q端子)を有する。RSフリップフロップ回路26は、セット信号SSETの立下りエッジをトリガとして出力信号Sをハイレベルにセットし、リセット信号SRESETの立下りエッジをトリガとして出力信号Sをローレベルにセットする。
【0026】
なお、セット信号SSET及びリセット信号SRESETは、いずれもレベルシフタ70から入力されるようになっている。また図2に示すように、RSフリップフロップ回路26は、2つのNAND回路26a,26bと、NOT回路26cとを有する。RSフリップフロップ回路26の形態については、図2の上段に示すようにリセット優先型のものであってもよく、図2の下段に示すようにセット優先型のものであってもよい。
【0027】
図1に示すように、ドライバ27は、RSフリップフロップ回路26の出力信号に応じた信号である上側出力信号HOを生成して、上側スイッチング素子10Uのゲートに上側出力信号HOを出力する。なお、上側出力信号HOのハイレベルはブースト電圧VBとなり、ローレベルはスイッチ電圧VSとなる。
【0028】
下側スイッチ駆動部30は、入力側(LIN端子側)から出力側(LO端子側)に向けて順に、抵抗31、シュミットトリガ32、レベルシフタ33、遅延回路34、及びドライバ35を有する。本実施形態では、上側スイッチ駆動部20のコントローラ24がレベルシフタ33と遅延回路34との間に設けられている。なお、下側スイッチ駆動部30のコントローラは、上側スイッチ駆動部20のコントローラ24とは別に設けられてもよい。この場合、下側スイッチ駆動部30のコントローラは、遅延回路34とドライバ35との間に設けられてもよく、遅延回路34を介さない分、異常が発生した場合に下側スイッチング素子10Lを速やかにオフすることができる。
【0029】
抵抗31は、LIN端子を接地端にプルダウンする。このため、LIN端子がオープン状態である場合には、ゲート駆動回路からのゲート信号電圧としての下側入力信号LINがローレベル(下側スイッチング素子10Lをオフするための論理レベル)となるので、下側スイッチング素子10Lが意図せずにオンされることはない。
【0030】
シュミットトリガ32は、LIN端子に入力される下側入力信号LINをレベルシフタ33に伝達する。なお、シュミットトリガ32の閾値電圧には、所定のヒステリシスが与えられている。このような構成にすることにより、ノイズに対する耐性を高めることができる。
【0031】
レベルシフタ33は、シュミットトリガ32の出力信号をコントローラ24への入力に適した電圧レベル(VCC-GND)にレベルシフトして出力する。
コントローラ24は、異常保護部40から入力される異常信号やFOB端子から入力される外部異常信号に基づいて、遅延回路34の出力信号をドライバ35に電圧するか否か(延いては下側スイッチング素子10Lの駆動可否)を制御する。
【0032】
遅延回路34は、コントローラ24の出力信号に所定の遅延(上側スイッチ駆動部20のパルスジェネレータ25、レベルシフタ70、及びRSフリップフロップ回路26で生じる回路遅延に相当)を与えてドライバ35に伝達する。
【0033】
ドライバ35は、遅延回路34により遅延されたコントローラ24の出力信号に基づいて、下側スイッチング素子10Lのゲートに下側出力信号LOを出力する。なお、下側出力信号LOのハイレベルは電源電圧VCCとなり、ローレベルは接地電圧VGNDとなる。
【0034】
異常保護部40は、温度保護回路(TSD[Thermal Shut Down]回路)41、減電圧保護回路42、ローパスフィルタ回路43、電流制限回路44、天絡保護回路45、異常信号生成回路46、トランジスタ47、シュミットトリガ48、及びレベルシフタ49を有する。
【0035】
温度保護回路41は、パワーモジュール1のジャンクション温度が所定の閾値温度を上回ったときに、温度保護信号を正常時の論理レベル(例えばローレベル)から異常時の論理レベル(例えばハイレベル)に切り替える。
【0036】
減電圧保護回路42は、電源電圧VCCが所定の閾値電圧を下回ったときに、減電圧保護信号を正常時の論理レベル(例えばローレベル)から異常時の論理レベル(例えばハイレベル)に切り替える。
【0037】
ローパスフィルタ回路43は、検出端子CINに電気的に接続されている。ローパスフィルタ回路43は、検出電圧CINを電流制限回路44及び天絡保護回路45にそれぞれ出力する。
【0038】
電流制限回路44は、検出電圧CINが第1閾値を上回ったときに、電流制限信号を正常時の論理レベル(例えばローレベル)から異常時の論理レベル(例えばハイレベル)に切り替える。
【0039】
天絡保護回路45は、検出電圧CINが第2閾値を上回ったときに、天絡保護信号を正常時の論理レベル(例えばローレベル)から異常時の論理レベル(例えばハイレベル)に切り替える。なお、第2閾値の一例は、第1閾値よりも高い電圧値である。
【0040】
異常信号生成回路46は、温度保護回路41から入力される温度保護信号、減電圧保護回路42から入力される減電圧保護信号、電流制限回路44から入力される電流制限信号、天絡保護回路45から入力される天絡保護信号、FOB端子から入力される外部異常信号をそれぞれ監視している。異常信号生成回路46は、電流制限回路44に異常が生じていた場合には、第1異常信号を正常時の論理レベル(例えばローレベル)から異常時の論理レベル(例えばハイレベル)に切り替える。温度保護回路41、減電圧保護回路42、及び天絡保護回路45のいずれか一つでも異常が生じていた場合、又は外部異常信号が入力された場合、第2異常信号を正常時の論理レベル(例えばローレベル)から異常時の論理レベル(例えばハイレベル)に切り替える。異常信号生成回路46は、第1異常信号及び第2異常信号をコントローラ24に出力する。
【0041】
そしてコントローラ24は、第1異常信号が入力されたとき、例えば上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lの少なくとも一方に流れる電流を制限する。コントローラ24は、第2異常信号が入力されたとき、上側スイッチング素子10U及び下側スイッチング素子10Lをともにオフにする。なお、異常信号生成回路46は、電流制限信号が入力された場合、第1異常信号を異常時の論理レベルに切り替え、温度保護信号、減電圧保護信号、天絡保護信号、及び外部異常信号が入力された場合、第2異常信号を異常時の論理レベルに切り替える。
【0042】
トランジスタ47は、FOB端子から外部異常信号を出力するためのオープンドレイン出力段を形成する。パワーモジュール1に異常が生じていない場合には、トランジスタ47が異常信号生成回路46によってオフとされ、外部異常信号がハイレベルとされる。一方、パワーモジュール1に異常が生じている場合には、トランジスタ47が異常信号生成回路46によってオンとされ、外部異常信号がローレベルとされる。
【0043】
シュミットトリガ48は、FOB端子に入力される外部異常信号(例えば、他のパワーモジュール1のFOB端子から出力された外部異常信号)をレベルシフタ49に伝達する。なお、シュミットトリガ48の閾値電圧には、所定のヒステリシスが与えられている。このような構成とすることにより、ノイズに対する耐性を高めることができる。
【0044】
レベルシフタ49は、シュミットトリガ48の出力信号をコントローラ24への入力に適した電圧レベル(VCC-GND)にレベルシフトして出力する。
ブートストラップ回路50は、アノードが抵抗53を介して電源電圧VCCの印加端に接続されたブートダイオード51と、ブートダイオード51のカソードと上側スイッチング素子10Uのソースとの間に設けられたブートキャパシタ52とを有する。ブートキャパシタ52は、VB端子とOUT端子とに電気的に接続されている。
【0045】
ブートストラップ回路50は、ブートダイオード51とブートキャパシタ52との接続ノード(VB端子)にブースト電圧VB(ドライバ27などを含む高電位ブロックの駆動電圧)を生成する。抵抗53は、外部電源からVCC端子を介してブートダイオード51に供給される電流を制限する。これにより、ブートキャパシタ52への充電電流が制限される。
【0046】
上側スイッチング素子10Uがオフとされて下側スイッチング素子10Lがオンとされることにより、OUT端子に現れるスイッチ電圧VSがローレベル(GND)とされるときには、電源電圧VCCの印加端からブートダイオード51、ブートキャパシタ52、及び下側スイッチング素子10Lを介する経路で電流が流れる。このため、VB端子とOUT端子との間に設けられるブートキャパシタ52が充電される。このとき、VB端子に現れるブースト電圧VB(すなわち、ブートキャパシタ52の充電電圧)は、電源電圧VCCからブートダイオード51の順方向下降電圧Vfを差し引いた電圧値(VCC-Vf)となる。
【0047】
一方、ブートキャパシタ52が充電されている状態で、上側スイッチング素子10Uがオンとされて下側スイッチング素子10Lがオフとされることにより、スイッチ電圧VSがローレベル(GND)からハイレベル(HV)に立上げられる。ブースト電圧VBは、スイッチ電圧VSのハイレベル(HV)よりもさらにブートキャパシタ52の充電電圧分(VCC-Vf)だけ高い電圧値(=HV+VCC-Vf)まで引き上げられる。したがって、このようなブースト電圧VBを高電位ブロック(RSフリップフロップ回路26及びドライバ27)やレベルシフタ70の駆動電圧とすることにより、上側スイッチング素子10Uのスイッチング動作であるオンオフ制御(特にオン制御)を行うことができる。
【0048】
次に、図3を参照して、レベルシフタ70及びフィルタ回路80の構成について説明する。
レベルシフタ70は、トランジスタ71、トランジスタ72、抵抗73、及び抵抗74を有する。各トランジスタ71,72は、N型のDMOSFET(Double-Diffused MOSFET)である。
【0049】
各トランジスタ71,72のソース及びバックゲートは、いずれも接地端GNDに接続されている。トランジスタ71のドレインは、フィルタ回路80の二つの入力端(NOT回路81aとNOT回路81c)に接続される一方、抵抗73を介してVB端子にも接続されている。トランジスタ72のドレインは、フィルタ回路の二つの入力端(NOT回路81bとNOT回路81d)に接続される一方、抵抗74を介してVB端子にも接続されている。なお、トランジスタ71,72は、いずれも、低電位ブロックを形成するトランジスタよりも高耐圧(例えば、600V耐圧)に設計されている。
【0050】
またトランジスタ71のゲートには、パルスジェネレータ25からオン信号SONが入力されるようになっている。またトランジスタ72のゲートには、パルスジェネレータ25からオフ信号SOFFが入力されるようになっている。
【0051】
このように、レベルシフタ70は、オン信号SONに応じてオンオフするトランジスタ71と抵抗73とを直列接続させた第1直列回路と、オフ信号SOFFに応じてオンオフするトランジスタ72と抵抗74とを直列接続させた第2直列回路とをVB端子(ブースト電圧VBの電源と見ることができる)と接地端GNDとの間において互いに並列に設けられている。
【0052】
そしてレベルシフタ70は、第1直列回路上における抵抗73よりも接地端GNDに近い側(図3に示す点A1と点A2)の電圧を、オン信号SONをレベルシフトさせて生成した信号S(第1シフト済み信号)として、フィルタ回路80(NOT回路81aとNOT回路81c)に出力するようにしている。またレベルシフタ70は、第2直列回路上における抵抗74よりも接地端GNDに近い側(図3に示す点B1と点B2)の電圧を、オフ信号SOFFをレベルシフトさせた信号S(第2シフト済み信号)として、フィルタ回路80(NOT回路81bとNOT回路81d)に出力するようになっている。なお、点A1と点A2とは同一であってもよく、点B1と点B2とは同一であってもよい。
【0053】
フィルタ回路80は、NOT回路81a~81d、第1立上り遅延回路82a、第1立下り遅延回路82b、第2立下り遅延回路82c、第2立上り遅延回路82d、第1論理回路の一例であるNAND回路83a、第2論理回路の一例であるNAND回路83b、及びNOT回路84a,84bを有する。
【0054】
NOT回路81aには、レベルシフタ70から第1シフト済み信号である信号Sが入力されるようになっている。NOT回路81bには、レベルシフタ70から第2シフト済み信号である信号Sが入力されるようになっている。NOT回路81cには、レベルシフタ70から第1シフト済み信号である信号Sが入力されるようになっている。NOT回路81dには、第2シフト済み信号である信号Sが入力されるようになっている。またNOT回路81aの出力端は第1立上り遅延回路82aを介してNAND回路83aの一方の入力端に接続されており、NOT回路81bの出力端は第1立下り遅延回路82bとNOT回路84aを順に介してNAND回路83aの他方の入力端に接続されている。またNOT回路81cの出力端は第2立下り遅延回路82cとNOT回路84bを順に介してNAND回路83bの一方の入力端に接続されており、NOT回路81dの出力端は第2立上り遅延回路82dを介してNAND回路83bの他方の入力端に接続されている。
【0055】
NAND回路83aは、第1立上り遅延回路82aの出力信号とNOT回路84aの出力信号とに基づいて出力信号を生成する。NAND回路83aの出力信号は、RSフリップフロップ回路26のセット信号SSETとして、RSフリップフロップ回路26のセット端子(S端子)に出力されるようになっている。また、NAND回路83bは、第2立上り遅延回路82dの出力信号とNOT回路84bの出力信号とに基づいて出力信号を生成する。NAND回路83bの出力信号は、RSフリップフロップ回路26のリセット信号SRESETとして、RSフリップフロップ回路26のリセット端子(R端子)に出力されるようになっている。
【0056】
第1立上り遅延回路82aは、前段側から入力されるパルス信号(第1シフト済み信号)に、立上りのタイミングを予め設定されている時間(所定時間)だけ遅延させる立上り遅延処理を施し、信号SAAとして後段側に出力する。第1立下り遅延回路82bは、前段側から入力されるパルス信号に、立下りのタイミングを予め設定されている時間(所定時間)だけ遅延させる立下り遅延処理を施し、信号SBBとして後段側に出力する。なお、信号SAAは、RSフリップフロップ回路26のセット側の主信号として用いられ、信号SBBは、セット側のマスク信号(誤パルスをマスキングする信号)として用いられる。
【0057】
ここで、「立上り遅延処理」は、処理対象であるパルス信号に対して、各パルスの開始のタイミングを遅延させる処理(パルス開始遅延処理)の一例である。開始のタイミングが遅延させられることにより、当該パルスの幅はその分だけ減少することになる。また、「立下り遅延処理」は、処理対象であるパルス信号に対して、各パルスの終了のタイミングを遅延させる処理(パルス終了遅延処理)の一例である。終了のタイミングが遅延させられることにより、当該パルスの幅はその分だけ増大することになる。
【0058】
第2立下り遅延回路82cは、前段側から入力されるパルス信号に、立下りのタイミングを予め設定されている時間(所定時間)だけ遅延させる立下り遅延処理を施し、信号SABとして後段側に出力する。第2立上り遅延回路82dは、前段側から入力されるパルス信号に、立上りのタイミングを予め設定されている時間(所定時間)だけ遅延させる立上り遅延処理を施し、信号SBAとして後段側に出力する。なお、信号SABはRSフリップフロップ回路26のリセット側の主信号として用いられ、信号SBAはリセット側のマスク信号として用いられる。
【0059】
NOT回路84aには、第1立下り遅延回路82cからセット側のマスク信号である信号SBBが入力されるようになっている。NOT回路84bには、第2立下り遅延回路82dからセット側の主信号である信号SABが入力されるようになっている。またNOT回路84aの出力端はNAND回路83aの他方の入力端に接続されており、NOT回路84bの出力端はNAND回路83bの一方の入力端に接続されている。
【0060】
上述した構成のフィルタ回路80によれば、フィルタ処理として、レベルシフタ70から入力される信号S及び信号Sのパルスのうち、時期的に互いにほぼ重複するものを、誤パルスとみなしてキャンセルする処理が行われるようになっている。
【0061】
図4は、第1立上り遅延回路82aの詳細な回路構成を示している。なお、第2立上り遅延回路82dの回路構成も図4の回路構成と同様である。
第1立上り遅延回路82aは、第1立上り遅延NOT回路の一例であるNOT回路91、第2立上り遅延NOT回路の一例であるNOT回路92、スイッチの一例であるトランジスタ93、第1ダイオード94、NAND回路96、及びシュミットトリガ97を有する。第1立上り遅延回路82aには、前段側からパルス信号としての入力信号Iが入力される。第1立上り遅延回路82aは、出力信号Yを出力する。NOT回路91、NOT回路92、トランジスタ93、第1ダイオード94、NAND回路96、及びシュミットトリガ97はそれぞれ、VB端子を介してブースト電圧VBが印加される第1電源配線98と、VS端子を介してスイッチ電圧VSが印加される第2電源配線99との間に設けられている。第1電源配線98と第2電源配線99との間において、NOT回路91、NOT回路92、NAND回路96、及びシュミットトリガ97は互いに並列に接続されている。このように、第1電源配線98は、第1立上り遅延回路82aにブースト電圧VBを印加するようになっている。
【0062】
NOT回路91は、第1シフト済み信号を反転して第1立上り遅延信号としてNOT回路92に出力する。NOT回路91は、トランジスタ91a及びトランジスタ91bを有する。トランジスタ91a及びトランジスタ91bは互いに直列に接続されている。トランジスタ91aの一例はPチャネル型MOSFETであり、トランジスタ91bの一例はNチャネル型MOSFETである。トランジスタ91aのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ91aのドレインはトランジスタ91bのドレインに接続され、トランジスタ91aのバックゲートはトランジスタ91aのソースに接続されている。トランジスタ91bのソースは第2電源配線99に接続され、トランジスタ91bのバックゲートはトランジスタ91bのソースに接続されている。トランジスタ91aのゲート及びトランジスタ91bのゲートは互いに接続され、入力信号Iが入力される入力端子PIに接続されている。
【0063】
NOT回路92は、NOT回路91からの第1立上り遅延信号を反転して第2立上り遅延信号としてシュミットトリガ97に出力する。NOT回路92は、トランジスタ92a、トランジスタ92b、第1抵抗92c、及びトランジスタ92eを有する。NOT回路92は、第1中間配線92dを通じてシュミットトリガ97に第2立ち上がり遅延信号を出力する。トランジスタ92a及びトランジスタ92bは互いに直列に接続されている。第1抵抗92cは、トランジスタ92aとトランジスタ92bとの間に設けられている。トランジスタ92aの一例はPチャネル型MOSFETであり、トランジスタ92bの一例はNチャネル型MOSFETである。トランジスタ92aのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ92aのドレインは第1抵抗92cを介してトランジスタ92bのドレインに接続され、トランジスタ92aのバックゲートはトランジスタ92aのソースに接続されている。トランジスタ92bのソースは第2電源配線99に接続され、トランジスタ92bのバックゲートはトランジスタ92bのソースに接続されている。トランジスタ92aのゲート及びトランジスタ92bのゲートは互いに接続され、NOT回路91のトランジスタ91aのドレインとトランジスタ91bのドレインとの間のノードNA1で接続されている。第1中間配線92dは、第1抵抗92cとトランジスタ92bのドレインとの間のノードNA2で接続されている。トランジスタ92eは、第1中間配線92dと第2電源配線99との間に設けられている。トランジスタ92eは、Nチャネル型MOSFETである。トランジスタ92eは、ゲートが第1中間配線92dに接続され、ドレイン及びソースが第2電源配線99に接続されていることにより、MOSキャパシタとして機能している。以下の説明において、トランジスタ92eを「第1キャパシタ92e」とする場合がある。
【0064】
シュミットトリガ97は、6つのトランジスタ97a~97fを有する。トランジスタ97a,97eはPチャネル型MOSFETであり、トランジスタ97b~97d,97fはNチャネル型MOSFETである。上述の第1中間配線92dは、トランジスタ97a,97b,97cのゲートに接続されている。トランジスタ97aのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ97aのドレインはトランジスタ97bのドレインに接続され、トランジスタ97bのソースはトランジスタ97cのドレインに接続され、トランジスタ97cのソースは第2電源配線99に接続されている。トランジスタ97aのバックゲートはトランジスタ97aのソースに接続されている。トランジスタ97b,97cのバックゲートはトランジスタ97cのソースに接続されている。トランジスタ97dのドレインはトランジスタ97bのソースとトランジスタ97cのドレインが接続されたノードNA6に接続され、トランジスタ97dのソースは第2電源配線99に接続されている。
【0065】
トランジスタ97aのドレインとトランジスタ97bのドレインとが接続されたノードNA4において、トランジスタ97eのゲート及びトランジスタ97fのゲートが接続されている。トランジスタ97eのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ97eのドレインはトランジスタ97fのドレインに接続され、トランジスタ97eのバックゲートはトランジスタ97eのソースに接続されている。トランジスタ97fのソースは第2電源配線99に接続され、トランジスタ97fのバックゲートはトランジスタ97fのソースに接続されている。トランジスタ97eのドレインとトランジスタ97fのドレインとが接続されたノードNA5は、トランジスタ97dのゲートに接続されている。
【0066】
トランジスタ97a,97b,97c,97dのそれぞれのオン抵抗に基づきシュミットトリガ97の2つの閾値が設定されている。なお、トランジスタ97a,97b,97c,97dのそれぞれのオン抵抗は、トランジスタ97a,97b,97c,97dのそれぞれのチャネル幅やチャネル長を適宜設定することにより決定される。
【0067】
トランジスタ93及びトランジスタ94は、第1電源配線98と第1中間配線92dとの間に設けられている。トランジスタ93及びトランジスタ94は互いに直列に接続されている。トランジスタ93の一例は、Pチャネル型MOSFETである。トランジスタ94の一例は、Pチャネル型MOSFETである。トランジスタ93のソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ93のドレインはトランジスタ94のソースに接続され、トランジスタ93のバックゲートはトランジスタ93のソースに接続されている。トランジスタ94のソースは第1中間配線92dに接続され、トランジスタ94のゲート及びバックゲートはトランジスタ94のソースに接続されている。このトランジスタ94は、ダイオード接続されており、アノードがトランジスタ93に接続され、カソードが第1中間配線92dに接続されたダイオードとして機能する。以下の説明において、トランジスタ94を「第1ダイオード94」とする場合がある。
【0068】
NAND回路96は、4つのトランジスタ96a~96dを有する。第1電源配線98に接続される2つのトランジスタ96a,96bは、Pチャネル型MOSFETであり、互いに並列に接続されている。トランジスタ96c及びトランジスタ96dは、Nチャネル型MOSFETであり、互いに直列に接続されている。入力信号Iはトランジスタ96a,96cのゲートに供給され、出力信号Yはトランジスタ96b,96dのゲートに供給される。トランジスタ96a,96bのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ96a,96bのドレインはトランジスタ96cのドレインに接続されている。トランジスタ96aのバックゲートは、トランジスタ96aのソースに接続されている。トランジスタ96bのバックゲートは、トランジスタ96bのソースに接続されている。トランジスタ96cのソースはトランジスタ96dのドレインに接続され、トランジスタ96dのソースは第2電源配線99に接続されている。トランジスタ96c,96dのバックゲートは、トランジスタ96dのソースに接続されている。トランジスタ96a,96bのドレインとトランジスタ96cのドレインとの間のノードNA3は、トランジスタ93のゲートに接続されている。
【0069】
NAND回路96は、入力信号Iと出力信号Yとに基づいてトランジスタ93を動作させる。詳述すると、NAND回路96は、入力信号Iと出力信号Yがともにハイレベルのときにトランジスタ93をオンし、入力信号Iと出力信号Yとの少なくとも一方がローレベルのときにトランジスタ93をオフする。言い換えると、NAND回路96は、出力信号Yがハイレベルになってから入力信号Iがローレベルになるまでの期間、トランジスタ93がオンする。
【0070】
図5は、第1立下り遅延回路82bの詳細な回路構成を示している。なお、第2立下り遅延回路82cの回路構成も図5の回路構成と同様である。
第1立下り遅延回路82bは、第1立下り遅延NOT回路の一例であるNOT回路101.第2立下り遅延NOT回路の一例であるNOT回路102、第2ダイオード103、放電用抵抗104、及びシュミットトリガ106を有する。第1電源配線98と第2電源配線99との間において、NOT回路101、NOT回路102、及びシュミットトリガ106は互いに並列に接続されている。このように、第1電源配線98は、第1立下り遅延回路82bにブースト電圧VBを印加するようになっている。
【0071】
NOT回路101は、第2シフト済み信号を反転して第1立下り遅延信号としてNOT回路102に出力する。NOT回路101は、トランジスタ101a及びトランジスタ101bを有する。トランジスタ101aの一例はPチャネル型MOSFETであり、トランジスタ101bの一例はNチャネル型MOSFETである。トランジスタ101aのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ101aのドレインはトランジスタ101bのドレインに接続され、トランジスタ101aのゲートはトランジスタ101bのゲートに接続され、トランジスタ101aのバックゲートはトランジスタ101aのソースに接続されている。トランジスタ101bのソースは第2電源配線99に接続され、トランジスタ101bのバックゲートはトランジスタ101bのソースに接続されている。
【0072】
NOT回路102は、第1立下り遅延信号を反転して第2立下り遅延信号としてシュミットトリガ106に出力する。NOT回路102は、トランジスタ102a、トランジスタ102b、第2抵抗102c、及びトランジスタ102eを有する。トランジスタ102aの一例はPチャネル型MOSFETであり、トランジスタ102bの一例はNチャネル型MOSFETである。トランジスタ102aのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ102aのドレインはトランジスタ102bのドレインに電気的に接続され、トランジスタ102aのゲートはトランジスタ102bのゲートに接続され、トランジスタ102aのバックゲートはトランジスタ102aのソースに接続されている。トランジスタ102bのソースは第2電源配線99に接続され、トランジスタ102bのバックゲートはトランジスタ102bのソースに接続されている。トランジスタ102aのゲート及びトランジスタ102bのゲートは、NOT回路101のトランジスタ101aのドレインとトランジスタ101bのドレインとが接続されたノードNB1で接続されている。第2抵抗102cは、トランジスタ102aとトランジスタ102bとの間に設けられている。トランジスタ102eは、第2中間配線102dと第2電源配線99との間に設けられている。トランジスタ102eは、Nチャネル型MOSFETである。トランジスタ102eは、ゲートが第2中間配線102dに接続され、ドレイン及びソースが第2電源配線99に接続されていることにより、MOSキャパシタとして機能している。以下の説明において、トランジスタ102eを「第2キャパシタ102e」とする場合がある。
【0073】
トランジスタ103及び放電用抵抗104は、NOT回路102のトランジスタ102aとトランジスタ102bとの間に設けられている。より詳細には、トランジスタ103及び放電用抵抗104は、NOT回路102のトランジスタ102aと第2抵抗102cとの間に設けられている。トランジスタ103の一例は、Pチャネル型MOSFETである。トランジスタ103のソースはトランジスタ102aのドレインに接続され、トランジスタ103のドレインは第2抵抗102cに接続されている。また、トランジスタ103のゲート及びバックゲートは、トランジスタ103のドレインに接続されている。したがって、このトランジスタ103はダイオード接続されており、アノードをトランジスタ102aに接続され、カソードを第2抵抗102cとの間のノードNB2に接続されたダイオードとして機能する。以下の説明において、トランジスタ103を「第2ダイオード103」とする場合がある。放電用抵抗104は、第2ダイオード103と並列に接続されている。放電用抵抗104の第1端子は第2ダイオード103のアノードに接続され、放電用抵抗104の第2端子は第2ダイオード103のカソードに接続されている。放電用抵抗104の抵抗値と第2抵抗102cの抵抗値とは互いに異なる。一例では、放電用抵抗104の抵抗値は、第2抵抗102cの抵抗値よりも小さい。なお、放電用抵抗104及び第2抵抗102cの抵抗値は任意に変更可能である。
【0074】
第2ダイオード103のカソードと第2抵抗102cとを接続するノードNB2には、第2中間配線102dが接続されている。第2中間配線102dは、シュミットトリガ106に接続されている。これにより、NOT回路102の出力信号がシュミットトリガ106に出力される。
【0075】
シュミットトリガ106は、6つのトランジスタ106a~106fを有する。トランジスタ106a,106eはPチャネル型MOSFETであり、トランジスタ106b~106d,106fはNチャネル型MOSFETである。上述の第2中間配線102dは、トランジスタ106a,106b,106cのゲートに接続されている。トランジスタ106aのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ106aのドレインはトランジスタ106bのドレインに接続され、トランジスタ106bのソースはトランジスタ106cのドレインに接続され、トランジスタ106cのソースは第2電源配線99に接続されている。トランジスタ106aのバックゲートはトランジスタ106aのソースに接続されている。トランジスタ106b,106cのバックゲートはトランジスタ106cのソースに接続されている。トランジスタ106cには、トランジスタ106dが並列に接続されている。トランジスタ106dのドレインは、トランジスタ106bのソースとトランジスタ106cのドレインが接続されたノードNB5に接続され、トランジスタ106cのソースは第2電源配線99に接続されている。
【0076】
トランジスタ106aのドレインとトランジスタ106bのドレインとが接続されたノードNB3は、トランジスタ106e,106fのゲートに接続されている。トランジスタ106eのソースは第1電源配線98に接続され、トランジスタ106eのドレインはトランジスタ106fのドレインに接続され、トランジスタ106fのソースは第2電源配線99に接続されている。トランジスタ106eのバックゲートはトランジスタ106eのソースに接続され、トランジスタ106fのバックゲートはトランジスタ106fのソースに接続されている。トランジスタ106eのドレインとトランジスタ106fのドレインとが接続されたノードNB4は、トランジスタ106dのゲートに接続されている。
【0077】
トランジスタ106a,106b,106c,106dのそれぞれのオン抵抗に基づきシュミットトリガ97の2つの閾値が設定されている。なお、トランジスタ106a,106b,106c,106dのそれぞれのオン抵抗は、トランジスタ106a,106b,106c,106dのそれぞれのチャネル幅やチャネル長を適宜設定することにより決定される。
【0078】
(フィルタ回路80の動作)
次に、第1立上り遅延回路82aの動作について説明する。
図4に示す第1立上り遅延回路82aにおいて、ローレベル(スイッチ電圧VSレベル)の入力信号Iが第1立上り遅延回路82aに入力された場合、NOT回路91のトランジスタ91aがオンされ、トランジスタ91bがオフされるため、ノードNA1の電位はハイレベルとなる。NOT回路92のトランジスタ92aがオフし、トランジスタ92bがオンになるため、ノードNA2の電位はローレベルとなる。これにより、第1中間配線92dを介してローレベルの第2立上り遅延信号がシュミットトリガ97に入力される。これにより、シュミットトリガ97のトランジスタ97aがオンし、トランジスタ97b,97cがそれぞれオフとなるため、トランジスタ97aに電流が流れ、ノードNA4の電位が上昇する。すなわちハイレベルの第3立上り遅延信号がトランジスタ97e,97fのゲートに入力される。これにより、トランジスタ97eがオフされ、トランジスタ97fがオンされ、ノードNA5の電位はローレベルとなる。したがって、出力信号Yはローレベルとなる。
【0079】
NAND回路96では、ローレベルの入力信号IによってNAND回路96のトランジスタ96aがオンされ、トランジスタ96cがオフされ、ローレベルの出力信号Yによってトランジスタ96bがオンされ、トランジスタ96dがオフされるため、トランジスタ96a,96bに電流が流れる。これにより、NAND回路96のトランジスタ96bのドレインとトランジスタ96cのドレインとが接続されたノードNA3の電位が高くなり、トランジスタ93をオフする。これにより、トランジスタ93及び第1ダイオード94を介して第1中間配線92dに電流が流れない。したがって、第1中間配線92dの電位はローレベルが維持される。
【0080】
一方、ハイレベルの入力信号Iが立上り遅延回路82aに入力された場合、NOT回路91のトランジスタ91aがオフされ、トランジスタ91bがオンされるため、ノードNA1の電位はローレベルとなる。このノードNA1の電位により、NOT回路92のトランジスタ92aがオンされ、トランジスタ92bがオフされる。オンされたトランジスタ92aと第1抵抗92cを介して第1キャパシタ92eに電荷が蓄積され、第1抵抗92cと第1キャパシタ92eとの時定数によって第1中間配線92dの電位が上昇する。第1中間配線92dの電位がシュミットトリガ97のしきい値電圧を越えると、トランジスタ97aがオフされ、トランジスタ97b,97cがオンされ、ノードNA4の電位がローレベルになる。ノードNA4の電位により、トランジスタ97eがオンされ、トランジスタ97fがオフされるため、トランジスタ97eに電流が流れ、出力信号Yはハイレベルとなる。
【0081】
NAND回路96において、ハイレベルの入力信号Iによってトランジスタ96aがオフされ、トランジスタ96cがオンされる。そして、ハイレベルの出力信号Yによって、トランジスタ96bがオフされ、トランジスタ96dがオンされる。直列接続されたトランジスタ96c,96dがオンされるため、ノードNA3の電位がローレベルとなる。このため、トランジスタ93がオンされる。
【0082】
入力信号Iがローレベルからハイレベルに変化するとき、NOT回路92のトランジスタ92aと第1抵抗92cを介して流れる電流によって第1キャパシタ92eが充電され、第1抵抗92c及び第1キャパシタ92eによる時定数に従って第1中間配線92dの電位が上昇する。そして、第1中間配線92dの電圧が、シュミットトリガ97のしきい値電圧を超えると、トランジスタ97aがオフされ、トランジスタ97b,97cがオンされる。さらに、トランジスタ97eがオンされ、トランジスタ97fがオフされることにより、出力信号Yがハイレベルとなる。
【0083】
入力信号Iがハイレベルからローレベルに変化するとき、NOT回路92のトランジスタ92bにより第1キャパシタ92eの電荷が第2電源配線99に放電され、第1中間配線92dの電位が速やかにローレベルとなる。そして、第1中間配線92dの電位がシュミットトリガ97のしきい値電圧以下となったときにトランジスタ97aがオンされ、トランジスタ97b,97cがオフされる。さらに、トランジスタ97eがオフされ、トランジスタ97fがオンされることにより、出力信号Yがローレベルとなる。
【0084】
このように、トランジスタ97a~97cの動作タイミングを遅延することにより、入力信号Iがローレベルからハイレベルに変化するタイミングに対して出力信号Yがローレベルからハイレベルに変化するタイミング、すなわち出力信号Yの立上りが遅れるようになる。
【0085】
次に、第1立下り遅延回路82bの動作について説明する。
図5に示す第1立下り遅延回路82bにおいて、ローレベルの入力信号Iが立下り遅延回路82bに入力された場合、NOT回路101のトランジスタ101aがオンされ、トランジスタ101bがオフされるため、ノードNB1はハイレベルとなる。このノードNB1の電位により、NOT回路102のトランジスタ102aがオフされ、トランジスタ102bがオンされ、ノードNB2の電位はローレベルとなる。すなわち、第2中間配線102dを介してローレベルの第2立下り遅延信号がシュミットトリガ106に入力される。これにより、第2中間配線102dに接続されたシュミットトリガ106のトランジスタ106aがオンされ、トランジスタ106b,106cがオフされ、トランジスタ106aに電流が流れ、ノードNB3の電位が上昇する。このため、ノードNB3がゲートに接続されたトランジスタ106eがオフされ、トランジスタ106fがオンされることにより、出力信号Yは、ローレベルとなる。
【0086】
一方、ハイレベルの入力信号Iが立下り遅延回路82bに入力された場合、NOT回路101のトランジスタ101aがオフされ、トランジスタ101bがオンされるため、ノードNB1の電位はローレベルとなる。このノードNB1の電位により、NOT回路102のトランジスタ102aがオンされ、トランジスタ102bがオフされることにより、トランジスタ102aと第2ダイオード103を介して第2キャパシタ102eに電荷が蓄積され、ノードNB2の電位が上昇する。すなわち第2中間配線102dを介してハイレベルの第2立下り遅延信号がシュミットトリガ106に入力される。これにより、第2中間配線102dにゲートが接続されたトランジスタ106aがオフされ、トランジスタ106b,106cがオンされることにより、ノードNB3の電位がローレベルとなる。このため、出力信号Yはハイレベルとなる。
【0087】
入力信号Iがローレベルからハイレベルに変化するとき、NOT回路102のトランジスタ102aと第2ダイオード103とを介して第2中間配線102dの電位が速やかに上昇する。これにより、第2中間配線102dの電圧がシュミットトリガ106のしきい値電圧を超えると、トランジスタ106aがオフされ、トランジスタ106b,106cがオンされる。その結果、出力信号Yがローレベルからハイレベルへと変化する。
【0088】
入力信号Iがハイレベルからローレベルに変化するとき、NOT回路102のトランジスタ102aがオフされ、トランジスタ102bがオンされる。このオンされたトランジスタ102bと第2抵抗102cとを介して第2キャパシタ102eの電荷が第2電源配線99に放電される。このとき、第2中間配線102dの電位は、第2抵抗102cと第2キャパシタ102eとによる時定数に従って下降する。そして、第2中間配線102dの電圧が、シュミットトリガ106のしきい値電圧以下となったときにトランジスタ106aがオンされ、トランジスタ106b,106cがオフされる。その結果、出力信号Yがハイレベルからローレベルへと変化する。
【0089】
このように、トランジスタ106a~106cの動作タイミングを遅延することにより、入力信号Iがハイレベルからローレベルに変化するタイミングに対して出力信号Yがハイレベルからローレベルに変化するタイミング、すなわち出力信号Yの立下りが遅れるようになる。
【0090】
(フィルタ処理)
図6は、フィルタ回路80によるフィルタ処理が行われる場合における、各信号のタイミングチャートの一例を示している。図6では、信号S及び信号Sにおいて、オン信号SON及びオフ信号SOFFに応じて正パルス(正規のパルス)P1及びP2が生じているが、これに加えて、誤パルスP3~P6が生じている状況になっている。
【0091】
図6に示すように、セット側の主信号SAA(信号Sに立上り遅延処理が施された信号)については、セット側のマスク信号SBB(信号Sに立下り遅延処理が施された信号)のパルス期間(図6の網掛けで示す期間)において、パルスがキャンセルされる。その結果、セット信号SSETには、誤パルスP3及びP4に基づくパルスは発生していない。また、リセット側の主信号SBA(信号Sに立上り遅延処理が施された信号)については、リセット側のマスク信号SAB(信号Sに立下り遅延処理が施された信号)のパルス期間(図6の網掛けで示す期間)において、パルスがキャンセルされる。その結果、リセット信号SRESETには、誤パルスP5及びP6に基づくパルスは発生していない。
【0092】
フィルタ回路80によれば、このようなフィルタ処理がなされ、上述したような誤パルスによる上側出力信号HOの誤信号の発生を回避させることが可能となっている。また主信号(信号SAAと信号SBA)には立上り遅延処理が施されており、マスク信号(信号SBBと信号SAB)には立下り遅延処理が施されている。そのため、主信号における誤パルスの期間が、マスク信号のパルスの期間から逸脱していても、この逸脱の度合が各遅延処理により得られた余裕分(遅延時間に応じて定まる)に収まっていれば、この誤パルスをキャンセルすることが可能となっている。これにより、フィルタ処理をより適切に(より確実に)行うことが可能となっている。
【0093】
(誤信号の発生形態について)
これまでに説明したとおり、パワーモジュール1によれば、フィルタ回路80が設けられており、シフト済み信号のパルスに起因する上側出力信号HOの誤信号の発生を回避することが可能となっている。
【0094】
ここで、フィルタ回路80が設けられていないと仮定した場合の、上側出力信号HOの誤信号の発生形態の幾つかの例について、図7図10の各タイミングチャートを例示しながら説明する。なお、これらのタイミングチャートはいずれも、下側入力信号LIN、上側入力信号HIN、ブースト電圧VB、スイッチ電圧VS、セット信号SSET、リセット信号SRESET、RSフリップフロップ回路26の出力信号S、及び上側出力信号HOについてのタイミングチャートである。
【0095】
図7は、上側スイッチ駆動部20のオン時に、高いdVS/dt(>0)の電圧変化が生じたときのタイミングチャートを例示している。図7に示すように、スイッチ電圧VSの変化にともなってブースト電圧VBが急峻に変化すると、トランジスタ71及びトランジスタ72の寄生容量への充電に起因し、セット信号SSET及びリセット信号SRESETの立上りが遅れる。この遅延の度合は、寄生容量の差によって異なる。また抵抗73及び抵抗74のばらつきによっても、立上りの遅延の度合が異なることがある。
【0096】
このような遅延度合の差により、セット信号SSETがFF閾値(RSフリップフロップ回路26が信号変化を認識する電圧の閾値)に達するタイミングと、リセット信号SRESETがFF閾値に達するタイミングとにずれが生じる。図7に示すように、セット信号SSETがFF閾値に達すると、図7の太線で示すように、上側出力信号HOはハイレベルに保たれるのが正規であるところ、ローレベルに落ちてしまう。このようにして、上側出力信号HOの誤信号が発生することになる。
【0097】
図8は、上側スイッチ駆動部20の回生時に、高いdVS/dt(>0)の電圧変化が生じたときのタイミングチャートを例示している。図8に示すように、スイッチ電圧VSの変化にともなってブースト電圧VBが急峻に変化すると、図7の場合と同様に、セット信号SSETがFF閾値に達するタイミングと、リセット信号SRESETがFF閾値に達するタイミングとにずれが生じる。
【0098】
図8に示すように、リセット信号SRESETがFF閾値に達すると、図8の太線で示すように、上側出力信号HOはローレベルに保たれるのが正規であるところ、ハイレベルに変化してしまう。このようにして、上側出力信号HOの誤信号が発生することになる。なお、上側出力信号HOがハイレベルに変化した後、下側入力信号LINがハイレベルになると、上下アームの短絡によりパワーモジュールが破損するおそれがある。
【0099】
図9は、dVS/dt(<0)の電圧変化が生じたとき(特に寄生容量の差に着目する場合)のタイミングチャートを例示している。図9に示すように、スイッチ電圧VSの変化にともなってブースト電圧VBが急峻に変化して負電圧にアンダーシュートすると、トランジスタ71及びトランジスタ72のボディダイオードに順バイアスがかかり、その後、逆バイアスがかかったときにVB端子から逆回復電流が流れる。
【0100】
このとき、セット信号SSET及びリセット信号SRESETの立上りは、トランジスタ71及びトランジスタ72の寄生容量への充電に起因して遅れる。この遅延の度合は、寄生容量の差によって異なる。また抵抗73及び抵抗74のばらつきによっても、立上りの遅延の度合が異なることがある。
【0101】
このような遅延度合の差により、セット信号SSETがFF閾値に達するタイミングと、リセット信号SRESETがFF閾値に達するタイミングとにずれが生じる。図9に示すように、リセット信号SRESETがFF閾値に達すると、図9の太線で示すように、上側出力信号HOはローレベルに保たれるのが正規であるところ、ハイレベルに変化してしまう。このように、上側出力信号HOの誤信号が発生することになる。
【0102】
図10は、dVS/dt(<0)の電圧変化が生じたとき(特に寄生ダイオードの影響に着目する場合)のタイミングチャートを例示している。図10に示すように、スイッチ電圧VSの変化にともなってブースト電圧VBが急峻に変化して負電圧にアンダーシュートすると、トランジスタ71及びトランジスタ72のボディダイオードに順バイアスがかかり、その後、逆バイアスがかかったときにVB端子から逆回復電流が流れる。
【0103】
このとき、セット信号SSET及びリセット信号SRESETの立上りは、トランジスタ71及びトランジスタ72の寄生容量への充電に起因して遅れる。ここで、双方の寄生容量が同等であるとしても、トランジスタ71側にのみ逆回復電流が流れた場合、寄生ダイオードの影響により立上りの遅延の度合が異なる。そのため、図9の場合と同様の形態により、上側出力信号HOの誤信号が発生することになる。
【0104】
この点、パワーモジュール1によれば、フィルタ回路80が設けられているため、上述したいずれの形態による上側出力信号HOの誤信号の発生についても、回避することができる。
【0105】
なお、スイッチ電圧VSの急峻な変化は、パワーモジュール1のアーム出力を高速にスイッチングするほど発生し易くなる。そのため、従来は上述したような誤信号の発生を抑えるように、このスイッチング速度を落とすようにしていた。しかしこの場合には、スイッチング損失が増大し、インバータの効率が低下するという欠点がある。この点、本実施形態のパワーモジュール1によれば、誤信号の発生を回避する手段を有しているため、アーム出力の高速スイッチングが可能となり、インバータの効率向上を図ることができる。
【0106】
(作用)
本実施形態の作用について説明する。
例えば、下側スイッチング素子10Lがオンからオフに変化すると、ブートキャパシタ52を介して配線54に逆回復電流が流れ、配線54のインダクタンスに起因してVB端子にサージ電圧が発生する場合がある。このような場合以外でも、VB端子には、サージ電圧が発生する場合があり、このサージ電圧に起因して上側出力信号HOの誤信号が発生するおそれがある。
【0107】
この点、本実施形態のパワーモジュール1では、各立上り遅延回路82a,82dの出力信号Yがハイレベルになってから入力信号Iがローレベルに変化するまでの期間において、トランジスタ93がオンしている。そして、トランジスタ93と第1中間配線92dとの間に第1ダイオード94が設けられ、第1ダイオード94のアノードがトランジスタ93に接続され、第1ダイオード94のカソードが第1中間配線92dに接続されている。このため、第1中間配線92dの電圧は、ブースト電圧VBが上昇する場合にそのブースト電圧VBに追従して上昇し、ブースト電圧VBが下降する場合に追従が抑制される。したがって、ブースト電圧VBの変動に起因してシュミットトリガ97の出力信号(第3立上り遅延信号)が論理反転することが抑制される。
【0108】
また、本実施形態のパワーモジュール1では、各立下り遅延回路82b,82cの出力信号Yがハイレベルの間、NOT回路102のトランジスタ102aがオンしている。そして、トランジスタ102aと第2中間配線102dとの間に第2ダイオード103が設けられ、第2ダイオード103のアノードがトランジスタ102aに接続され、第2ダイオード103のカソードが第2中間配線102dに接続されている。このため、第2中間配線102dの電圧は、ブースト電圧VBが上昇する場合にそのブースト電圧VBに追従して上昇し、ブースト電圧VBが下降する場合に追従が抑制される。したがって、ブースト電圧VBの変動に起因してシュミットトリガ106の出力信号(第3立下り遅延信号)が論理反転することが抑制される。
【0109】
図11は、入力信号Iがローレベルの場合において、ブースト電圧VBがサージ電圧によって所定電圧から下降→上昇→下降→上昇のように変動した場合のフィルタ回路80内の電圧の推移を示している。
【0110】
上述のフィルタ回路80の動作で説明したとおり、入力信号Iがローレベルの場合、各立上り遅延回路82a,82dでは、第1立上り遅延信号(ノードNA1)がハイレベルとなり、第2立上り遅延信号(ノードNA2)がローレベルとなり、出力信号Yがローレベルとなる。NAND回路96のトランジスタ96c,96dがオフとなるため、ノードNB3の電位がハイレベルとなりトランジスタ93がオフとなる。したがって、トランジスタ93を介して第1中間配線92dに電流が流れない。一方、ノードNA2の電位がローレベルであるため、トランジスタ92aを介して第1中間配線92dに電流が流れない。このため、第1中間配線92dは、ブースト電圧VBの影響を受けることなく、ローレベルを維持する。
【0111】
また各立下り遅延回路82b,82cでは、入力信号Iがローレベルの場合、第1立下り遅延信号(ノードNB1)がハイレベルとなり、第2立下り遅延信号(ノードNB2、第2中間配線102d)がローレベルとなり、第3立下り遅延信号(ノードNB4)がローレベルとなり、出力信号Yがハイレベルとなる。このため、第2中間配線102dに電流が流れないため、第2中間配線102dは、ブースト電圧VBの影響を受けることなく、ローレベルを維持する。
【0112】
図12は、入力信号Iがハイレベルの場合において、ブースト電圧VBがサージ電圧によって所定電圧から下降→上昇→下降→上昇のように変動した場合のフィルタ回路80内の電圧の推移を示している。
【0113】
上述のフィルタ回路80の動作で説明したとおり、入力信号Iがハイレベルの場合、各立上り遅延回路82a,82dでは、第1立上り遅延信号(ノードNA1)がローレベルとなり、第2立上り遅延信号(ノードNA2)がハイレベルとなり、出力信号Yがハイレベルとなる。ハイレベルの入力信号Iと出力信号Yとにより、NAND回路96のトランジスタ96a,96bがオフされ、トランジスタ96c,96dがオンされ、トランジスタ93がオンされる。トランジスタ93と第1中間配線92dとの間に第1ダイオード94が設けられている。このため、ブースト電圧VBが下降する場合、第1ダイオード94によって第1中間配線92dから第1電源配線98への逆流が抑制され、ブースト電圧VBの下降に対して第1中間配線92dの電位は追従し難い。一方、ブースト電圧VBが上昇する場合、トランジスタ93と第1ダイオード94を介して第1電源配線98から第1中間配線92dに電流が流れ、第1中間配線92dの電位が上昇する。このように、ブースト電圧VBの上昇に対して第1中間配線92dの電位が追従する。
【0114】
ここで、本実施形態に対する比較例の立上り遅延回路の動作について説明する。
比較例の立上り遅延回路は、本実施形態の立上り遅延回路82a,82dのトランジスタ93と第1ダイオード94を有していない。この比較例の立上り遅延回路では、ブースト電圧VBが下降した場合、第1キャパシタ92eの蓄積電荷によって第1中間配線92dの電位が第1抵抗92c及びトランジスタ92aを介して第1電源配線98に放電され、第1中間配線92dの電位は、ブースト電圧VBに追従して下降する。その後、ブースト電圧VBが上昇すると、第1電源配線98からトランジスタ92aと第1抵抗92cを介して第1中間配線92dに電流が流れる。この場合、第1中間配線92dに接続された第1キャパシタ92eにより、ブースト電圧VBの上昇に対して第1中間配線92dの上昇が遅れる。この場合、上昇したブースト電圧VBが供給されるシュミットトリガ97において、入力信号レベルとなる第1中間配線92dの電位がシュミットトリガ97のしきい値電圧以下となると、それによってトランジスタ97aがオンする。その結果、出力信号Yがローレベルとなり、論理反転が生じる。
【0115】
上述した比較例の立上り遅延回路に対して、本実施形態の立上り遅延回路82a,82dでは、第1中間配線92dの電位は、ブースト電圧VBの下降に対して追従し難く、ブースト電圧VBの上昇に対して追従する。このため、シュミットトリガ97における誤動作が抑制され、論理反転が抑制される。
【0116】
なお、サージ電圧によるブースト電圧VBの変動が終了したとき、ブースト電圧VBの上昇により所定電圧よりも第1中間配線92dの電圧が高くなる場合がある。この場合、第1電源配線98に向かって第1中間配線92dから第1抵抗92cとトランジスタ92aを介して放電され、第1中間配線92dの電位は第1電源配線98のレベル、つまりブースト電圧VBレベルまで低下する。
【0117】
また各立下り遅延回路82b,82cでは、入力信号Iがハイレベルの場合、第1立下り遅延信号(ノードNB1)がローレベルとなり、第2立下り遅延信号(ノードNB2、第2中間配線102d)がハイレベルとなり、第3立下り遅延信号(ノードNB4)がローレベルとなり、出力信号Yがローレベルとなる。トランジスタ102aと第2中間配線102dとの間に第2ダイオード103が設けられている。このため、ブースト電圧VBが下降する場合、第2ダイオード103によって第2中間配線102dから第1電源配線98への逆流が抑制され、ブースト電圧VBの下降に対して第2中間配線102dの電位は追従し難い。一方、ブースト電圧VBが上昇する場合、第2ダイオード103を介して第1電源配線98から第2中間配線102dに流れ、第2中間配線102dの電位が上昇する。このように、ブースト電圧VBの上昇に対して第2中間配線102dの電位が追従する。
【0118】
ここで、本実施形態に対する比較例の立下り遅延回路の動作について説明する。
比較例の立下り遅延回路は、本実施形態の立下り遅延回路82b,82cの第2ダイオード103を有していない。この比較例の立下り遅延回路では、上述した立上り遅延回路82a,82dと同様に、第2中間配線102dの電位により、シュミットトリガ106が誤動作して、出力信号Yにおいて論理反転が生じる。上述した比較例の立下り遅延回路に対し、本実施形態の立下り遅延回路82b,82cでは、第2中間配線102dの電位は、ブースト電圧VBの下降に対して追従し難く、ブースト電圧VBの上昇に対して追従する。このため、シュミットトリガ106における誤動作が抑制され、論理反転が抑制される。
【0119】
なお、サージ電圧によるブースト電圧VBの変動が終了したとき、ブースト電圧VBの上昇により所定電圧よりも第2中間配線102dの電圧が高くなる場合がある。この場合、第1電源配線98に向かって第2中間配線102dから放電用抵抗104とトランジスタ102aとを介して放電され、第2中間配線102dの電位は第1電源配線98のレベル、つまりブースト電圧VBレベルまで低下する。
【0120】
このように、ブースト電圧VBが変動したとしても、上述のように各立上り遅延回路82a,82d及び各立下り遅延回路82b,82cはそれぞれブースト電圧VBの変動に起因してシュミットトリガ97,106内の信号の論理反転が発生しないため、上側出力信号HOの誤信号の発生を抑制することができる。
【0121】
本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)各立上り遅延回路82a,82dのNOT回路92の第1中間配線92dと、第1電源配線98との間には、トランジスタ93及び第1ダイオード94が設けられている。トランジスタ93をオンすることにより、各立上り遅延回路82a,82dにハイレベルの入力信号Iが入力された場合にブースト電圧VBが下降する側に変動したときに第1中間配線92dの電位が追従せず、ブースト電圧VBが上昇する側に変動したときに第1中間配線92dの電位が追従する。このため、シュミットトリガ97内の信号が論理反転することを抑制し、出力信号Yの論理反転を抑制できる。また、各立下り遅延回路82b,82cのNOT回路102の第2中間配線102dと、トランジスタ102aとの間には、第2ダイオード103が設けられている。これにより、各立下り遅延回路82b,82cにハイレベルの入力信号Iが入力された場合にブースト電圧VBが下降する側に変動したときに第2中間配線102dの電位が追従せず、ブースト電圧VBが上昇する側に変動したときに第2中間配線102dの電位が追従する。このため、シュミットトリガ106内の信号が論理反転することを抑制し、出力信号Yの論理反転を抑制できる。このように、各立上り遅延回路82a,82d及び各立下り遅延回路82c,82dのそれぞれの出力信号Yの論理反転が抑制されるため、ブースト電圧VBの変動に起因する上側出力信号HOの誤信号の発生を抑制することができる。
【0122】
(2)各立上り遅延回路82a,82dは、NOT回路91の第1立上り遅延信号が入力されるNOT回路92を有する。これにより、ローレベルの入力信号Iが入力された場合に第1電源配線98から第1中間配線92dに電流が流れないため、第1中間配線92dはブースト電圧VBの影響を受けない。したがって、ブースト電圧VBの変動に起因する上側出力信号HOの誤信号の発生を抑制することができる。また各立下り遅延回路82b,82cは、NOT回路101の第1立下り遅延信号が入力されるNOT回路102を有する。これにより、ローレベルの入力信号Iが入力された場合に第1電源配線98から第2中間配線102dに電流が流れないため、第2中間配線102dはブースト電圧VBの影響を受けない。したがって、ブースト電圧VBの変動に起因する上側出力信号HOの誤信号の発生を抑制することができる。
【0123】
(3)各立下り遅延回路82b,82cには、放電用抵抗104が第2ダイオード103と並列に設けられている。このため、第2中間配線102dの電位がブースト電圧VBの上昇側への変動に追従した後、放電用抵抗104を介して放電することにより第2中間配線102dの電位を下げることができる。
【0124】
(パワーモジュール1の適用例)
図13図15を参照して、パワーモジュール1を適用する回路を例示して説明する。
パワーモジュール1は、Hブリッジ型コンバータに適用することができる。図13は、Hブリッジ型コンバータの一例であるHブリッジ型昇降圧コンバータ回路(以下、単に「コンバータ回路200」)の回路構成を示している。
【0125】
コンバータ回路200は、第1インバータ部201、第2インバータ部202、入力キャパシタ203、出力キャパシタ204、インダクタンス205、及びゲート駆動回路206を備え、入力電圧Viを出力電圧Voに昇降圧する。
【0126】
第1インバータ部201は、上側スイッチング素子201U及び下側スイッチング素子201Lを有する。上側スイッチング素子201Uのソース端子と下側スイッチング素子201Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第1インバータ部201は、入力キャパシタ203と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子201Uのドレイン端子は入力キャパシタ203の第1端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子201Lのソース端子は入力キャパシタ203の第2端子に電気的に接続されている。
【0127】
第2インバータ部202は、上側スイッチング素子202U及び下側スイッチング素子202Lを有する。上側スイッチング素子202Uのソース端子と下側スイッチング素子202Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第2インバータ部202は、出力キャパシタ204と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子202Uのドレイン端子は出力キャパシタ204の第1端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子202Lのソース端子は出力キャパシタ204の第2端子に電気的に接続されている。
【0128】
インダクタンス205は、第1インバータ部201及び第2インバータ部202に接続されている。詳述すると、インダクタンス205の第1端子は第1インバータ部201における上側スイッチング素子201Uのソース端子と下側スイッチング素子201Lのドレイン端子との接続点に接続されている。インダクタンス205の第2端子は第2インバータ部202における上側スイッチング素子202Uのソース端子と下側スイッチング素子202Lのドレイン端子との接続点に接続されている。
【0129】
ゲート駆動回路206は、各スイッチング素子201U,201L,202U,202Lのゲート端子にそれぞれ電気的に接続されている。ゲート駆動回路206は、各スイッチング素子201U,201L,202U,202Lのオンオフを制御する。
【0130】
パワーモジュール1は、図14に示すフルブリッジ型インバータ回路(以下、単に「インバータ回路210」)に適用することができる。インバータ回路210は、第1インバータ部211、第2インバータ部212、入力キャパシタ213、及びゲート駆動回路214を備え、入力電圧Viを、第1インバータ部211と第2インバータ部212との間の出力電圧Voに変換する。
【0131】
第1インバータ部211は、上側スイッチング素子211U及び下側スイッチング素子211Lを有する。上側スイッチング素子211Uのソース端子と下側スイッチング素子211Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第1インバータ部211は、入力キャパシタ213と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子211Uのドレイン端子は入力キャパシタ213の第1端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子211Lのソース端子は入力キャパシタ213の第2端子に電気的に接続されている。
【0132】
第2インバータ部212は、上側スイッチング素子212U及び下側スイッチング素子212Lを有する。上側スイッチング素子212Uのソース端子と下側スイッチング素子212Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。第2インバータ部212は、第1インバータ部211と並列に接続されている。詳述すると、上側スイッチング素子212Uのドレイン端子は上側スイッチング素子211Uのドレイン端子に電気的に接続され、下側スイッチング素子212Lのソース端子は下側スイッチング素子211Lのソース端子に電気的に接続されている。出力電圧Voは、上側スイッチング素子211Uのソース端子と下側スイッチング素子211Lのドレイン端子との接続点と、上側スイッチング素子212Uのソース端子と下側スイッチング素子212Lのドレイン端子との接続点との間から得られる電圧で規定されている。
【0133】
ゲート駆動回路214は、各スイッチング素子211U,211L,212U,212Lのゲート端子にそれぞれ電気的に接続されている。ゲート駆動回路214は、各スイッチング素子211U,211L,212U,212Lのオンオフを制御する。
【0134】
パワーモジュール1は、図15に示す3相交流インバータ回路(以下、単に「3相インバータ回路220」)に適用することができる。
3相インバータ回路220は、3相交流モータ(以下、単に「モータ227」)のU相、V相、及びW相のコイルに電気的に接続されたパワー駆動部221、パワー駆動部221を制御するゲート駆動回路225、及びパワー駆動部221と電源ESとに接続されたコンバータ部226を備える。コンバータ部226は、正側電力端子EP及び負側電力端子ENを有する。
【0135】
パワー駆動部221は、モータ227のU相、V相、及びW相のコイルに供給する電力を制御する。パワー駆動部221は、U相インバータ部222、V相インバータ部223、及びW相インバータ部224を有する。U相インバータ部222、V相インバータ部223、及びW相インバータ部224は、正側電力端子EPと負側電力端子ENとの間において互いに並列に接続されている。
【0136】
U相インバータ部222は、上側スイッチング素子222U及び下側スイッチング素子222Lを有する。上側スイッチング素子222Uのドレイン端子は正側電力端子EPに電気的に接続されている。上側スイッチング素子222Uのソース端子と下側スイッチング素子222Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。下側スイッチング素子222Lのソース端子は負側電力端子ENに接続されている。上側スイッチング素子222Uにはスナバダイオード222Aが逆並列に接続され、下側スイッチング素子222Lにはスナバダイオード222Bが逆並列に接続されている。詳述すると、スナバダイオード222Aのアノードが上側スイッチング素子222Uのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード222Aのカソードが上側スイッチング素子222Uのドレイン端子に電気的に接続されている。スナバダイオード222Bのアノードが下側スイッチング素子222Lのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード222Bのカソードが下側スイッチング素子222Lのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0137】
V相インバータ部223は、上側スイッチング素子223U及び下側スイッチング素子223Lを有する。上側スイッチング素子223Uのドレイン端子は正側電力端子EPに電気的に接続されている。上側スイッチング素子223Uのソース端子と下側スイッチング素子223Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。下側スイッチング素子223Lのソース端子は負側電力端子ENに接続されている。上側スイッチング素子223Uにはスナバダイオード223Aが逆並列に接続され、下側スイッチング素子223Lにはスナバダイオード223Bが逆並列に接続されている。詳述すると、スナバダイオード223Aのアノードが上側スイッチング素子223Uのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード223Aのカソードが上側スイッチング素子223Uのドレイン端子に電気的に接続されている。スナバダイオード223Bのアノードが下側スイッチング素子223Lのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード223Bのカソードが下側スイッチング素子223Lのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0138】
W相インバータ部224は、上側スイッチング素子224U及び下側スイッチング素子224Lを有する。上側スイッチング素子224Uのドレイン端子は正側電力端子EPに電気的に接続されている。上側スイッチング素子224Uのソース端子と下側スイッチング素子224Lのドレイン端子とは電気的に接続されている。下側スイッチング素子224Lのソース端子は負側電力端子ENに接続されている。上側スイッチング素子224Uにはスナバダイオード224Aが逆並列に接続され、下側スイッチング素子224Lにはスナバダイオード224Bが逆並列に接続されている。詳述すると、スナバダイオード224Aのアノードが上側スイッチング素子224Uのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード224Aのカソードが上側スイッチング素子224Uのドレイン端子に電気的に接続されている。スナバダイオード224Bのアノードが下側スイッチング素子224Lのソース端子に電気的に接続され、スナバダイオード224Bのカソードが下側スイッチング素子224Lのドレイン端子に電気的に接続されている。
【0139】
ゲート駆動回路225は、各スイッチング素子222U,222L,223U,223L,224U,224Lのゲート端子にそれぞれ電気的に接続されている。ゲート駆動回路225は、各スイッチング素子222U,222L,223U,223L,224U,224Lのオンオフを制御する。
【0140】
(変形例)
上記実施形態に関する説明は、本発明に従うパワーモジュールが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従うパワーモジュールは、上記実施形態以外に例えば以下に示される変形例、及び相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合せられた形態を取り得る。
【0141】
・上記実施形態において、レベルシフタ70の構成は任意に変更可能である。一例では、図16に示すように、レベルシフタ70は、逆流防止用ダイオード75を有する。逆流防止用ダイオード75は、そのアノード側が各トランジスタ71,72のソース及びバックゲートに接続され、そのカソード側が接地端GNDに接続されている。この構成によれば、逆流防止用ダイオード75が設けられており、レベルシフタ70での逆回復電流に起因する上側出力信号HOの誤信号の発生を回避することができる。
【0142】
・上記実施形態において、第1中間配線92dに第1電源配線98からの電流の供給をオンオフするスイッチは、トランジスタ93以外の構成のスイッチであってもよい。
・上記実施形態において、第1ダイオード94及び第2ダイオード103はそれぞれ、ダイオード接続MOS以外の構成のダイオードであってもよい。
【0143】
・上記実施形態において、第1キャパシタ92e及び第2キャパシタ102eはそれぞれ、MOSキャパシタ以外の構成のコンデンサであってもよい。
・上記実施形態において、各立下り遅延回路82b,82cにNOT回路を追加してもよい。この場合、フィルタ回路80は、立下り遅延回路82b,82cとRSフリップフロップ回路26との間のNOT回路84a,84bが省略される。
【0144】
図13に示すコンバータ回路200において、ゲート駆動回路206は、上側ゲート駆動回路及び下側ゲート駆動回路を含んで構成されてもよい。上側ゲート駆動回路は、第1インバータ部201の上側スイッチング素子201U及び第2インバータ部202の上側スイッチング素子202Uのオンオフを制御する。下側ゲート駆動回路は、第1インバータ部201の下側スイッチング素子201L及び第2インバータ部202の下側スイッチング素子202Lのオンオフを制御する。上側ゲート駆動回路及び下側ゲート駆動回路はそれぞれ、1チップとして形成されてもよい。
【0145】
図14に示すインバータ回路210において、ゲート駆動回路214は、上側ゲート駆動回路及び下側ゲート駆動回路を含んで構成されてもよい。上側ゲート駆動回路は、第1インバータ部211の上側スイッチング素子211U及び第2インバータ部212の上側スイッチング素子212Uのオンオフを制御する。下側ゲート駆動回路は、第1インバータ部211の下側スイッチング素子211L及び第2インバータ部212の下側スイッチング素子212Lのオンオフを制御する。上側ゲート駆動回路及び下側ゲート駆動回路はそれぞれ、1チップとして形成されてもよい。
【0146】
図15に示す3相インバータ回路220において、ゲート駆動回路214は、上側ゲート駆動回路及び下側ゲート駆動回路を含んで構成されてもよい。上側ゲート駆動回路は、U相インバータ部222の上側スイッチング素子222U、V相インバータ部223の上側スイッチング素子223U、及びW相インバータ部224の上側スイッチング素子224Uのオンオフを制御する。下側ゲート駆動回路は、U相インバータ部222の下側スイッチング素子222L、V相インバータ部223の下側スイッチング素子223L、及びW相インバータ部224の下側スイッチング素子224Lのオンオフを制御する。上側ゲート駆動回路及び下側ゲート駆動回路はそれぞれ、1チップとして形成されてもよい。
(付記)
(付記1)
第1電圧と前記第1電圧よりも低い第2電圧との間で動作し、第1入力信号及び第2入力信号をそれぞれレベルシフトし、第1シフト済み信号及び第2シフト済み信号として出力するレベルシフタと、
前記第1電圧と前記第2電圧との間で動作し、前記第1シフト済み信号及び前記第2シフト済み信号に対してそれぞれフィルタ処理を行うフィルタ回路と、
を備え、
前記フィルタ回路は、
前記第1シフト済み信号の立上りタイミングを所定時間遅延させて出力する第1立上り遅延回路と、
前記第2シフト済み信号の立下りタイミングを所定時間遅延させて出力する第1立下り遅延回路と、
を有し、
前記第1立上り遅延回路は、前記第1シフト済み信号を反転して出力する第1立上り遅延NOT回路と、前記第1立上り遅延NOT回路の第1立上り遅延信号を反転して出力する第2立上り遅延NOT回路とを有し、
前記第1立下り遅延回路は、前記第2シフト済み信号を反転して出力する第1立下り遅延NOT回路と、前記第1立下り遅延NOT回路の第1立下り遅延信号を反転して出力する第2立下り遅延NOT回路とを有し、
前記第1立上り遅延回路は、前記第2立上り遅延NOT回路の第2立上り遅延信号が前記第1電圧が下降する側への変動に追従せず、前記第1電圧が上昇する側への変動に追従するように構成され、
前記第1立下り遅延回路は、前記第2立下り遅延NOT回路の第2立下り遅延信号が前記第1電圧が下降する側への変動に追従せず、前記第1電圧が上昇する側への変動に追従するように構成されている
信号伝達回路。
(付記2)
前記フィルタ回路は、前記第1立上り遅延回路及び前記第1立下り遅延回路にそれぞれ前記第1電圧を印加する第1電源配線を有し、
前記第1立上り遅延回路は、
前記第2立上り遅延信号が印加される第1中間配線と、
前記第1電源配線と前記第1中間配線との間に設けられた第1抵抗と、
前記第2電圧が供給される第2電源配線と前記第1中間配線との間に接続された第1キャパシタと、
前記第1中間配線と前記第1電源配線との間に設けられた第1ダイオードと、
前記第1ダイオードへの電流の供給をオンオフするスイッチと、を有する
付記1に記載の信号伝達回路。
(付記3)
前記第1立上り遅延回路は、前記第1シフト済み信号と前記第1立上り遅延回路の出力信号とに基づいて、前記スイッチを動作させるNAND回路を有する
付記2に記載の信号伝達回路。
(付記4)
前記第1ダイオードは、MOSダイオードである
付記2又は3に記載の信号伝達回路。
(付記5)
前記第1立上り遅延回路は、前記第2立上り遅延信号が入力される第1シュミットトリガを有する
付記1~4のいずれか1つに記載の信号伝達回路。
(付記6)
前記フィルタ回路は、前記第1立上り遅延回路及び前記第1立下り遅延回路にそれぞれ前記第1電圧を印加する第1電源配線を有し、
前記第1立下り遅延回路は、
前記第2立下り遅延信号が印加される第2中間配線と、
前記第2電圧が供給される第2電源配線と前記第2中間配線との間に接続された第2キャパシタと、
前記第2中間配線と前記第2電源配線との間に設けられた第2抵抗と、
前記第2中間配線と前記第1電源配線との間に設けられた第2ダイオードと、を有する
付記1~5のいずれか1つに記載の信号伝達回路。
(付記7)
前記第2ダイオードは、MOSダイオードである
付記6に記載の信号伝達回路。
(付記8)
前記第1立下り遅延回路は、前記第2ダイオードに並列に接続された放電用抵抗を有する
付記6又は7に記載の信号伝達回路。
(付記9)
前記第1立下り遅延回路は、前記第2立下り遅延信号が入力される第2シュミットトリガを有する
付記1~8のいずれか1つに記載の信号伝達回路。
(付記10)
前記フィルタ回路は、前記第2シフト済み信号に対して前記フィルタ処理を行う回路として、
前記第2シフト済み信号の立上りタイミングを所定時間遅延させて出力する第2立上り遅延回路と、
前記第1シフト済み信号の立下りタイミングを所定時間遅延させて出力する第2立下り遅延回路と、
を有し、
前記第2立上り遅延回路は、前記第1立上り遅延回路と同じ構成であり、
前記第2立下り遅延回路は、前記第1立下り遅延回路と同じ構成である
付記1~9のいずれか1つに記載の信号伝達回路。
(付記11)
前記フィルタ回路は、
前記第1立上り遅延回路の出力信号と前記第1立下り遅延回路の出力信号とに基づいてセット信号を生成する第1論理回路と、
前記第2立上り遅延回路の出力信号と前記第2立下り遅延回路の出力信号とに基づいてリセット信号を生成する第2論理回路と、
前記セット信号及び前記リセット信号が入力されるRSフリップフロップ回路と、を含む
付記10に記載の信号伝達回路。
(付記12)
付記11の信号伝達回路と、
前記RSフリップフロップ回路の出力に応じた出力信号を生成してスイッチング素子に供給するドライバと、
を有するスイッチ駆動装置。
(付記13)
付記12に記載のスイッチ駆動装置と、
前記スイッチング素子と
を有するパワーモジュール。
【符号の説明】
【0147】
1…パワーモジュール2…スイッチ駆動装置10U…上側スイッチング素子(スイッチング素子)20…上側スイッチ駆動部(スイッチ駆動装置)27…ドライバ26…RSフリップフロップ回路70…レベルシフタ(信号伝達回路)80…フィルタ回路(信号伝達回路)82a…第1立上り遅延回路82b…第1立下り遅延回路82c…第2立下り遅延回路82d…第2立上り遅延回路83a…NAND回路(第1論理回路)83b…NAND回路(第2論理回路)91…NOT回路(第1立上り遅延NOT回路)92…NOT回路(第2立上り遅延NOT回路)92d…第1中間配線92c…第1抵抗92e…第1キャパシタ93…トランジスタ(スイッチ)94…第1ダイオード96…NAND回路97…シュミットトリガ(第1シュミットトリガ)98…第1電源配線99…第2電源配線101…NOT回路(第1立下り遅延NOT回路)102…NOT回路(第2立下り遅延NOT回路)102a…トランジスタ(スイッチ)102c…第2抵抗102d…第2中間配線102e…第2キャパシタ103…第2ダイオード104…放電用抵抗106…シュミットトリガ(第2シュミットトリガ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16