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7271506たばこ材料の複数の長軸方向に細長い要素を備えたロッドを有するエアロゾル発生物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】たばこ材料の複数の長軸方向に細長い要素を備えたロッドを有するエアロゾル発生物品
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/12 20060101AFI20230501BHJP
   A24B 15/16 20200101ALI20230501BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20230501BHJP
【FI】
A24B15/12
A24B15/16
A24F40/42
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020506933
(86)(22)【出願日】2018-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-15
(86)【国際出願番号】 EP2018071490
(87)【国際公開番号】W WO2019030277
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-02
(31)【優先権主張番号】17185607.3
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】リーヴェル トニー
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0055576(US,A1)
【文献】米国特許第04632131(US,A)
【文献】米国特許第05353816(US,A)
【文献】特表2003-532397(JP,A)
【文献】特表2017-500002(JP,A)
【文献】実開平02-138597(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/12
A24B 15/16
A24D 1/20
A24D 3/17
A24F 40/20
A24F 40/40-40/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されると吸入可能なエアロゾルを生成するためのエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生物品がエアロゾル発生基体のロッドを備え、前記エアロゾル発生基体のロッドが、
長い管状要素が長軸方向に延びるように組み立てられた均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素と、
前記複数の細長い管状要素を囲むラッパーと、を備え、
均質化したたばこ材料の前記複数の細長い管状要素が、エアロゾル発生基体の前記ロッド内で互いに実質的に平行に整列させられている、エアロゾル発生物品。
【請求項2】
少なくとも一つの細長い管状要素が均質化したたばこ材料の巻かれた細片を含む、請求項1に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項3】
前記細長い管状要素が少なくとも0.1ミリメートルの厚さを有する、請求項2に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項4】
前記細長い管状要素が少なくとも3ミリメートルの厚さを有する、請求項2または3に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項5】
前記細片が多孔性たばこ材料を含む、請求項2~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項6】
前記細片にテクスチャ―加工が施されている、請求項2~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項7】
前記細片にエンボス加工、穿孔、または捲縮が施されている、請求項6に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項8】
前記均質化したたばこ材料の細片が、360度(1回転)~1800度(5回転)だけ長軸方向軸の周りに巻き付けられている、請求項2~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項9】
各細長い管状要素が前記エアロゾル発生基体のロッドの長さと実質的に等しい長さを有する、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項10】
均質化したたばこ材料の200個未満の細長い管状要素を備える、請求項1~のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項11】
均質化したたばこ材料の少なくとも15個の細長い管状要素を備える、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項12】
均質化したたばこ材料の前記細長い管状要素が、実質的に長円形の断面、または実質的に楕円形の横断断面、または実質的に円形の横断断面である、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項13】
各細長い管状要素が、3ミリメートル未満の等価直径を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項14】
各細長い管状要素が、少なくとも0.1ミリメートルの等価直径を有する、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【請求項15】
前記複数の細長い管状要素を囲む前記ラッパーが、前記ロッドの上流端および下流端で前記細長い管状要素上に少なくとも部分的に折り畳まれていて、前記複数の細長い管状要素を前記ロッド内に保持する、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生基体を含むエアロゾル発生物品に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ含有基体などのエアロゾル発生基体が燃焼されるのではなく加熱されるエアロゾル発生物品が当業界で周知である。典型的に、こうした加熱式喫煙物品においてエアロゾルは、熱源からの熱を物理的に分離されたエアロゾル発生基体または材料に伝達することによって生成され、このエアロゾル発生基体または材料は熱源に接触して、または熱源の中に、または熱源の周囲に、または熱源の下流に位置していてもよい。エアロゾル発生物品の使用中、揮発性化合物は、熱源からの熱伝達によってエアロゾル発生基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に混入される。放出された化合物は冷えるにつれて、凝縮してエアロゾルを形成する。
【0003】
多数の先行技術文献では、エアロゾル発生物品を消費するためのエアロゾル発生装置が開示されている。こうした装置には、例えばエアロゾル発生装置の一つ以上の電気ヒーター要素から加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体への熱伝達によってエアロゾルが発生される、電気加熱式のエアロゾル発生装置が含まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加熱式エアロゾル発生物品用の基体はこれまで典型的に、たばこ材料の無作為な向きの断片、ストランド、または細片を使用して生産されてきた。たばこ材料の断片から加熱式の喫煙物品またはエアロゾル発生物品用のロッドを形成することには、多くの不利益がある。例えば、たばこ材料の破砕のプロセスは、望ましくないことに、たばこの微粉およびその他の廃棄物を生成する。たばこ材料の断片を含むロッドでは、「端部の緩み」、すなわちロッドの端部からのたばこ材料断片の喪失が見られうる。たばこ材料の断片を含むロッドでは、部分的にロッドが端部の緩みを見せる傾向にあることから、重量に大きい標準偏差が見られうる。また、たばこ材料の断片を含むロッドは均一でない密度を示す傾向にある、すなわちロッドに沿った異なる位置でのたばこ材料の分量の変動のため、ロッドの長さに沿った密度は一貫性に欠ける傾向にある。さらに、端部の緩みは不利なことに、エアロゾル発生物品とともに使用するエアロゾル発生装置や製造設備のより頻繁な清掃の必要性につながりうる。
【0005】
一例として、国際特許出願第WO-A-2012/164009号は、たばこ材料シートの集合体から形成された加熱式エアロゾル発生物品用のロッドを開示している。WO-A-2012/164009号で開示されたロッドは、空気がロッドを通して引き出されることを可能にする長軸方向の空隙率を有する。事実上、たばこ材料シートの集合体内の折り目は、ロッドを通した長軸方向のチャネルを画定する。均質化したたばこ材料シートの集合体から形成されたロッドの使用は、細断されたたばこからエアロゾル発生基体を形成することに関連する問題の一部に対処する。ところが、こうしたシートは典型的に、比較的低い引張強さを有するため、ロッドを形成するためにシートを集合させることには欠点がありうる。
【0006】
国際特許出願WO-A-2011/101164は、均質化したたばこ材料のストランドから形成された、加熱式エアロゾル発生物品のための代替的なロッドを開示していて、これは粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物の鋳造、圧延、カレンダ成形、または押し出しによって形成されて、均質化したたばこ材料シートを形成しうる。代替的な実施形態において、WO-A-2011/101164号のロッドは、粒子状たばこおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含む混合物を押し出すことによって得られた均質化したたばこ材料のストランドから形成されて、均質化したたばこ材料の連続的な長さを形成しうる。
【0007】
ところが、上述のタイプのロッド内でのたばこ基体の量の一貫した正確な制御を達成することは、特に高速で動作する時に困難でありうる。さらに、均質化したたばこのシートまたはストランドの形状および配設に応じて、エアロゾル発生物品の空隙率および引き出し抵抗(RTD)を制御することが特に困難でありうる。追加的に、細断されたたばこからエアロゾル発生基体を形成することに関連する一部の問題に対処する一方で、均質化したたばこ材料シートの集合体から形成されたロッドは、こうしたシートが典型的に、比較的低い引張強さを有するため、欠点を有しうる。
【0008】
それ故に、RTDの正確な制御を可能にするエアロゾル発生物品を提供することが望ましいことになる。同時に、使用中に基体へのヒーターの挿入を容易にする、一つのこうしたエアロゾル発生物品のための基体を提供することが望ましいことになる。効率的かつ高速で製造できる一つのこうした基体またはロッドを提供すること、かつこうしたロッドを製造する方法を提供することが同様に望ましいことになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によると、加熱されると吸入可能なエアロゾルを生産するためのエアロゾル発生物品が提供されていて、エアロゾル発生物品はエアロゾル発生基体のロッドを備える。エアロゾル発生基体のロッドは、細長い管状要素が長軸方向に延びるように組み立てられた均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素を備える。さらに、エアロゾル発生基体のロッドは、複数の細長い管状要素を囲むラッパーを備える。均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素は、エアロゾル発生基体のロッド内で互いに実質的に平行に整列させられている。
【0010】
本発明の別の態様によると、エアロゾル発生物品内でエアロゾル発生基体として使用されるロッドが提供されていて、ロッドは細長い管状要素が長軸方向に延びるように組み立てられた均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素を備える。さらに、エアロゾル発生基体のロッドは、複数の細長い管状要素を囲むラッパーを備える。均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素は、エアロゾル発生基体のロッド内で互いに実質的に平行に整列させられている。
【0011】
当然のことながら、本発明の一つの態様に関連して説明した任意の特徴は、本発明のその他の任意の態様にも等しく適用できる。
【0012】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾル発生基体が加熱される物品と、エアロゾル発生基体が燃焼される物品(従来的な紙巻たばこなど)との両方を意味するために使用される。本明細書で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、加熱時に揮発性化合物を放出してエアロゾルを生成する能力を有する基体を意味する。
【0013】
加熱式エアロゾル発生物品では、エアロゾルは風味発生基体(たばこなど)を燃焼することなく加熱することによって発生させられる。周知の加熱式エアロゾル発生物品としては、例えば電気加熱式エアロゾル発生物品、およびエアロゾルが可燃性燃料要素または熱源から、物理的に分離されたエアロゾル形成材料への熱の伝達によって生成されるエアロゾル発生物品が挙げられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドの中に挿入されるように適合されている内部ヒーターブレードを有する電気加熱式のエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システムにおいて特定の用途がある。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば欧州特許第EP0822670号に記載されている。本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル発生物品のエアロゾル発生基体と相互作用してエアロゾルを発生するヒーター要素を備える装置を意味する。別の方法として、本発明によるエアロゾル発生物品は、使用中にエアロゾル発生基体を加熱するための可燃性炭素熱源を備えうる。このタイプのエアロゾル発生物品は、先行技術、例えば国際特許出願第WO2009/022232号に記載されている。また、ニコチン含有エアロゾルが、燃焼を用いずに、また一部の場合には加熱を用いずに、例えば化学反応によって、たばこ材料、たばこ抽出物、またはその他のニコチン供与源から生成されるエアロゾル発生物品も周知である。喫煙中、揮発性化合物は、燃料要素からの熱伝達によってエアロゾル形成基体から放出され、エアロゾル発生物品を通して引き出された空気中に同伴される。放出された化合物は冷えるにつれて、凝縮してエアロゾルを形成する。
【0014】
本明細書で使用される「管状要素」という用語は、その長軸方向軸に沿った内腔または気流通路を画定する中空の細長い要素を意味する。本明細書の文脈において「管状」という用語は、スリットが管状要素の全長にわたって延びている場合に、C字形状断面を有する細長い要素など、任意の実質的に管状の要素を包含することを意図する。
【0015】
一部の実施形態において、管状要素は、均質化したたばこ材料の細片をその長軸方向軸の周りに巻き付けることによって形成されうる。一般に、管状要素を形成するために、均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに少なくとも360度巻き付けられる。一部の実施形態において、均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに少なくとも1.5周、すなわち少なくとも540度巻き付けられる。「実質的に管状の要素」を形成するために、均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに約360度だけ巻き付けられることが好ましく、少なくとも約300度、好ましくは少なくとも約330度、なおより好ましくは少なくとも約345度巻き付けられる。
【0016】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生物品の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生物品の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気はエアロゾル発生物品を通して長軸方向に引き出される。「横断方向」という用語は、長軸方向に対して直角を成す方向を指す。エアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品の構成要素の「断面」への言及はすべて、別途明記がない限り、横断断面を指す。
【0017】
「長さ」という用語は、長軸方向におけるエアロゾル発生物品の構成要素の寸法を意味する。例えば、長軸方向におけるロッドまたは細長い管状要素の寸法を意味するために使用されうる。
【0018】
「管状要素の厚さ」という用語は本明細書において、管状要素の外表面と内表面との間で測定された最小距離を意味するために使用される。実際には、所与の位置での距離は、管状要素の外表面および内表面に対して局所的に実質的に直角を成す方向に沿って測定される。実質的に円形の断面を有する管状要素について、距離は、管状要素の実質的に半径方向に沿って測定される。管状要素が長軸方向軸の周りで均質化したたばこ材料の細片を長軸方向軸の周りに720度(材料を二倍巻き付けるのに相当)未満だけ巻き付けることによって形成されている実施形態において、管状要素の厚さは、細片が切断されるウェブ材料の厚さに実質的に対応し、そのためこれは、ウェブ材料の二つの相反する表面間で測定される最小距離として測定されうる。
【0019】
本明細書で使用される「管状要素の等価直径」という用語は、管状要素の横断方向の内部断面と同じ表面積を有する円の直径を意味する。一般に、管状要素の横断方向の内部断面は任意の形状を有しうるが、長円形状または楕円形状などの円形または準円形の形状が好ましい。円形の横断方向の内部断面を有する管状要素については、等価直径は、管状要素の断面の直径である。
【0020】
本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、たばこ材料の粒子の凝集によって形成された任意のたばこ材料を包含する。均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されている。追加的に、均質化したたばこ材料は、たばこの処理中、取り扱い中、および輸送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、およびその他の粒子状のたばこ副産物、ならびに結合剤、エアロゾル形成体、風味剤、その他の植物材料のようなその他の非たばこ材料(繊維や他のものを含む)のうちの一つ以上を含む。均質化したたばこ材料シートは、鋳造、押し出し、製紙プロセス、または当業界で周知のその他任意の適切なプロセスによって生産されうる。
【0021】
本明細書で使用される「多孔性」という用語は、材料を通した空気の通過を可能にする複数の細孔または開口部を提供する材料を指す。
【0022】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生物品を通してエアロゾルが搬送される方向に対する、エアロゾル発生物品の要素(または要素の部分)の相対的な位置を記述する。
【0023】
上記に簡単に説明した通り、本発明のエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドを組み込む。エアロゾル発生基体のロッドは、細長い管状要素が長軸方向に延びるように、およびエアロゾル発生基体のロッド内で互いに実質的に平行に整列させられているように組み立てられた均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素を備える。これらの細長い管状要素はラッパーによって囲まれている。
【0024】
ロッド内の細長い管状要素の数、等価直径および厚さを調整することによって、有利なことに、ロッドの密度および空隙率を調節することが可能である。一般的に、本発明による均質化したたばこの複数の細長い管状要素を備えるエアロゾル発生基体は有利なことに、たばこ材料の断片を備えるエアロゾル発生基体よりも均一な密度を示す。細長い管状要素の幾何学的形状は、特に安定したチャネルがロッドに沿った気流のために提供されるようにする形状である。これは有利なことに、所定のRTDを有するエアロゾル発生基体を一貫した方法かつ優れた精度で製造できるように、RTDの一貫した微調整を可能にする。
【0025】
均質化したたばこの細長い管状要素を備えるエアロゾル発生基体の重量は、管状要素の数、サイズ、密度および間隔によって決定される。それ故に、本発明によるエアロゾル発生基体の重量は有利なことに、密度、寸法、エアロゾル形成体の負荷(存在する場合)および管状要素の間隔を制御することによって調節されうる。これは、同じ寸法のエアロゾル発生基体間での重量の不一致を低減する。
【0026】
ロッド内の細長い管状要素の厚さの変化はまた有利なことに、ロッド内の均質化したたばこの含量を調節するために使用されうる。例えば、均質化したたばこウェブの巻かれた細片から形成された管状要素において、管状要素の厚さの調整は、長軸方向軸の周りで細片が巻かれる回数を変化させることによって、または均質化したたばこウェブ自体の厚さを変化させることによって達成されうる。これは、たばこ材料の断片を備えるエアロゾル発生物品と比較して、エアロゾル発生物品に対する設計の柔軟性を向上させる。
【0027】
ロッド内の細長い管状要素のサイズ、幾何学的形状および配設は、本発明によるエアロゾル発生物品のロッドへの発熱体の挿入を容易にするように簡単に適合されうる。管状要素はロッド内に実質的に直線状に存在し、長軸方向に延びるため、ヒーターブレードなどの長軸方向に延びる発熱体の挿入は大幅に容易になる。ロッド内での細長い管状要素の規則正しい配設はまた有利なことに、ロッドを通した発熱体からの熱伝達の最適化に有利に働くことができる。
【0028】
たばこ材料の断片を備えるエアロゾル発生基体の中へのエアロゾル発生装置のヒーター要素の挿入と、たばこ材料の断片を備えるエアロゾル発生基体へのエアロゾル発生装置のヒーター要素の引き出しとは、エアロゾル発生基体からたばこ材料の断片を外す傾向がありうる。これは不利なことに、外れた断片を取り除くために、エアロゾル発生装置のヒーター要素およびその他の部分のより頻繁な掃除の必要性を生じさせうる。対照的に、均質化したたばこ材料の複数の細長い管状要素を備えるエアロゾル発生基体へのエアロゾル発生装置のヒーター要素の挿入および引き出しは有利なことに、材料が外れる傾向を著しく低減させる。
【0029】
本発明によるロッドは、高速で効率的に実施でき、かつ加熱式エアロゾル発生物品の製造用の既存の生産ラインに都合良く組み込むことができる連続的なプロセスで作成できる。
【0030】
エアロゾル発生基体のロッドは、エアロゾル発生物品の外径にほぼ等しい外径を有することが好ましい。
【0031】
エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも5ミリメートルの外径を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~およそ12ミリメートル、例えば約5ミリメートル~約10ミリメートル、または約6ミリメートル~約8ミリメートルの外径を有しうる。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは7.2ミリメートル±10パーセントの外径を有する。
【0032】
エアロゾル発生基体のロッドは、約5ミリメートル~約100mmの長さを有しうる。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約5ミリメートルの長さを有することが好ましく、少なくとも約7ミリメートルの長さを有することがより好ましい。追加的に、または別の方法として、エアロゾル発生基体のロッドは、約25ミリメートル未満の長さを有することが好ましく、約20ミリメートル未満の長さを有することがより好ましい。一つの実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約10ミリメートルの長さを有してもよい。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、約12ミリメートルの長さを有する。
【0033】
エアロゾル発生基体のロッドは、ロッドの長さに沿って実質的に均一な断面を有することが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、実質的に円形の断面を有することが特に好ましい。
【0034】
本発明によるエアロゾル発生物品は、ラッパーによって囲まれた均質化したたばこ材料の細長い管状要素を備えるロッドとして提供されうるエアロゾル発生基体を備える。細長い管状要素は、細長い管状要素が長軸方向に延びるように組み立てられている。
【0035】
本明細書で使用される「ロッド」という用語は、実質的に円形、長円形、または楕円形の断面の概して円筒状の要素を示すために使用される。
【0036】
本発明によるエアロゾル発生物品のロッドの複数の細長い管状要素は、均質なたばこ材料で形成されていて、これはたばこ葉ラミナの粉砕またはその他の方法での粉砕によって得られた粒子状たばこを含むことが好ましい。複数の細長い管状要素はすべて、互いに実質的に同一の組成を有してもよい。別の方法として、複数の細長い管状要素は、少なくとも二つの異なる組成の管状要素を含みうる。
【0037】
ロッド内の少なくとも一つの細長い管状要素は、均質化したたばこ材料のシートまたはウェブから切断された巻かれた細片を含むことが好ましい。
【0038】
本発明で使用するための均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥質量基準で少なくとも約40重量パーセントのたばこ含有量を有してもよく、乾燥質量基準で少なくとも約60重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥質量基準で少なくとも約70重量パーセントのたばこ含有量を有することがより好ましく、乾燥質量基準で少なくとも約90重量パーセントのたばこ含有量を有することが最も好ましい。
【0039】
エアロゾル発生基体で使用するための均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、粒子状たばこを凝集するのを補助するために、一つ以上の内在性結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、または一つ以上の外在性結合剤(すなわち、たばこ外在性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生基体で使用するための均質化したたばこ材料シートは、たばこ繊維および非たばこ繊維、エアロゾル形成剤、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填剤、水性および非水性の溶媒、およびこれらの組み合わせを含むが限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0040】
エアロゾル発生基体で使用するための均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含める適切な外在性結合剤は当業界で周知であり、ゴム(例えばグアーガム、キサンタンガム、アラビアゴムおよびローカストビーンガムなど)、セルロース結合剤(例えばヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースおよびエチルセルロースなど)、多糖類(例えばデンプンなど)、有機酸(アルギン酸など)、有機酸の共役塩基塩(アルギン酸ナトリウム、寒天およびペクチンなど)、およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0041】
エアロゾル発生基体で使用するための均質化したたばこ材料のシートまたはウェブに含める適切な非たばこ繊維は当業界で周知であり、セルロース繊維、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。エアロゾル発生基質で使用するための均質化したたばこ材料シートに含める前に、非たばこ繊維は、当業界で周知の適切なプロセスによって処理されてもよく、機械式パルプ化;精製;化学的パルプ化;脱色;硫酸塩パルプ化;およびこれらの組み合わせを含むが、限定されない。
【0042】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、エアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用される「エアロゾル形成体」という用語は、使用時にエアロゾルの形成を容易にし、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して実質的に抵抗性である、任意の適切な周知の化合物または化合物の混合物を説明する。
【0043】
適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくはグリセリン)またはその混合物である。
【0045】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、単一のエアロゾル形成体を含みうる。別の方法として、均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含みうる。
【0046】
均質化したたばこ材料のシートまたはウェブは、乾燥質量基準で5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有することが好ましい。均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量基準でおよそ5パーセント~およそ30パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。一つの好ましい実施形態において、均質化したたばこ材料シートは、乾燥質量基準でおよそ20パーセントのエアロゾル形成体含有量を有する。
【0047】
本発明のエアロゾル発生物品で使用するための均質化したたばこのシートまたはウェブは、当業界で周知の方法(例えば国際特許出願第WO-A-2012/164009 A2号で開示されている方法)によって作られてもよい。一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品で使用するための均質化したたばこ材料シートは、鋳造プロセスによって粒子状たばこ、グアーガム、セルロース繊維およびグリセリンを含むスラリーから形成されている。
【0048】
別の方法として、本発明によるエアロゾル発生基体で使用する均質化したたばこ材料の細長い管状要素は、押出成形によって形成されうる。一例として、たばこ葉ラミナを粉砕またはその他の方法で細分することによって得られた粒子状たばこを含むスラリーは、望ましい断面のダイを通して押されうる。さらに別の方法として、3D印刷プロセスも、均質化したたばこ材料の管状要素の製造に使用されてもよい。
【0049】
細長い管状要素は、約0.1ミリメートル~約3ミリメートルの等価直径を有しうる。細長い管状要素は、少なくとも約0.3ミリメートルの等価直径を有することが好ましい。細長い管状要素は、少なくとも約0.5ミリメートルの等価直径を有することがより好ましい。
【0050】
追加的に、または別の方法として、細長い管状要素は、少なくとも約2ミリメートルの等価直径を有することがより好ましい。細長い管状要素は、約1ミリメートル未満の等価直径を有することがより好ましい。
【0051】
一部の実施形態において、細長い管状要素は、約0.3ミリメートル~約2.7ミリメートルの等価直径を有することが好ましい。その他の実施形態において、細長い管状要素は、約0.5ミリメートル~約1.1ミリメートルの等価直径を有することが好ましい。
【0052】
均質化したたばこ材料の細片を巻くことによって管状要素が形成される場合、細片は少なくとも約1ミリメートルの幅を有しうる。均質化したたばこ材料の細片は、少なくとも約2ミリメートルの幅を有することが好ましい。均質化した材料の細片は、少なくとも約3ミリメートルの幅を有することがより好ましい。
【0053】
一部の実施形態において、均質化したたばこ材料の細片は、約1ミリメートル~約8.2ミリメートルの幅を有することが好ましい。その他の実施形態において、均質化したたばこ材料の細片は、約2.4ミリメートル~約3.5ミリメートルの幅を有することが好ましい。
【0054】
均質化したたばこ材料の細片は、少なくとも約40ミクロン、より好ましくは少なくとも約60ミクロン、より好ましくは少なくとも約80ミクロン、最も好ましくは少なくとも約100ミクロンの厚さを有するシートまたはウェブから切断されることが好ましい。別の方法としてまたは追加的に、均質化したたばこ材料の細片は、約5000ミクロン未満、より好ましくは約2000ミクロン未満、より好ましくは約1000ミクロン未満、最も好ましくは約500ミクロン未満の厚さを有するシートまたはウェブから切断されることが好ましい。例えば、シートまたはウェブの厚さは、約40ミクロン~約5000ミクロンとすることができ、約60ミクロン~約2000ミクロンが好ましく、約80ミクロン~約1000ミクロンがより好ましく、約100ミクロン~約500ミクロンが最も好ましい。
【0055】
細長い管状要素の厚さは、少なくとも約40ミクロンであることが好ましく、少なくとも約80ミクロンであることがより好ましく、少なくとも約120ミクロンであることがより好ましく、少なくとも約160ミクロンであることが最も好ましい。追加的に、または別の方法として、細長い管状要素の厚さは約5000ミクロン未満が好ましく、約3000ミクロン未満であることがより好ましく、約1000ミクロン未満であることが最も好ましい。
【0056】
好ましい実施形態において、管状要素の壁を通した気流、すなわちロッド内の実質的に半径方向に沿った気流が妨げられないように、管状要素は多孔性たばこ材料で形成されている。均質化したたばこ材料の細片を巻くことによって管状要素が形成される場合、細片自体は多孔性たばこ材料で形成されうる。
【0057】
均質化したたばこ材料に関連して本明細書で使用される「多孔性」という用語は、シートまたはウェブの表面を横断する方向でシートまたはウェブを通る空気の流れを可能にするために、十分な細孔または隙間がシートまたはウェブの構造内に提供されるように、たばこ材料が固有の空隙率の範囲内で生産されたことを示しうる。別の方法としてまたは追加的に、「多孔性」という用語は、たばこ材料の各シートまたはウェブが、望ましい空隙率を提供するための複数の気流孔を備えることを示しうる。例えば、たばこ材料シートは、エアロゾル発生基体のロッドの細長い管状要素を生産する巻く作業が行われる前に、気流穴のパターンで穿孔されうる。気流穴は、シート上に無作為にまたは均一に穿孔されうる。気流穴のパターンは、シートの実質的に全表面を覆うことができ、またはシートの一つ以上の特定の領域を覆うことができ、残りの領域は気流穴を含まない。
【0058】
管状要素が形成される均質化したたばこ材料の細片はテクスチャ加工が施されることが好ましい。本明細書で使用される「テクスチャ加工されたシート」という用語は、捲縮、型押し、デボス加工、穿孔、または他の方法での局所的な変形が施されたシートを意味する。例えば、細片が切断されるシートまたはウェブは、複数の間隔を置いたへこみ、突起、穿孔またはそれらの組み合わせを含みうる。テクスチャは、各シートの一方の側に、または各シートの両側に提供されうる。
【0059】
特に好ましい実施形態において、細片は捲縮が施される。本明細書で使用される「捲縮」という用語は、複数の実質的に平行した隆起またはコルゲーションを有するシートもしくはウェブまたはその部分を意味する。捲縮した細片から形成された一つ以上の管状要素を含めることは、ロッド内の隣接する管状要素間にいくらかの間隔を提供および保持するのに役立ちうる。
【0060】
別の方法として、または複数の管状要素のうちの少なくとも一つの表面上にテクスチャを施すことに加えて、添加剤が、複数の管状要素の少なくとも一つの表面の一部に塗布されてもよい。添加剤は、固体添加剤、または液体添加剤、または固体添加剤と液体添加剤の組み合わせであってもよい。本発明で使用するための適切な固体添加剤および液体添加剤は当業界で周知であり、風味剤(例えば、メントールなど)、吸着剤(例えば、活性炭など)、充填剤(例えば、炭酸カルシウムなど)、および植物性添加剤を含むが、これらに限定されない。
【0061】
実質的に管状の要素を形成するには、均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに少なくとも約330度巻き付けられる。均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに少なくとも約360度巻き付けられることが好ましい。均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに少なくとも約540度巻き付けられることがより好ましい。追加的に、または別の方法として、均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに約1800度未満巻き付けられることが好ましい。均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに約900度未満巻き付けられることがより好ましい。一部の好ましい実施形態において、均質化したたばこ材料の細片は、長軸方向軸の周りに約345~約540度巻き付けられる。
【0062】
それぞれの細長い管状要素は、エアロゾル発生基体のロッドの長さと実質的に等しい長さを有することが好ましい。一つの実施形態において、それぞれの管状要素は約5ミリメートル~約80ミリメートルの長さを有する。一つの好ましい実施形態において、それぞれの管状要素は約7ミリメートル~約40ミリメートルの長さを有し、それぞれの管状要素は約8ミリメートル~約28ミリメートルの長さを有することが最も好ましい。
【0063】
エアロゾル発生基体のロッドは、均質化したたばこ材料の約200個未満の細長い管状要素を備えることが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約150個未満の管状要素を備えることがより好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、約100個未満の管状要素を備えることがなおより好ましい。
【0064】
追加的に、または別の方法として、エアロゾル発生基体のロッドは、均質化したたばこ材料の少なくとも約7個の管状要素を備えることが好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約30個の管状要素を備えることがより好ましい。エアロゾル発生基体のロッドは、少なくとも約40個の管状要素を備えることがなおより好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル発生基体のロッドは、非たばこ材料の約7~約100本のストランドを備える。
【0065】
均質化したたばこ材料の細長い管状要素は、実質的に長円形の断面、または実質的に楕円形の横断断面、または実質的に円形の横断断面であることが好ましい。上述の通り、本発明によるエアロゾル発生物品で使用するための管状要素は、均質化したたばこ材料の細片をその長軸方向軸の周りに360度よりわずかに小さく巻き付けることによって効果的に形成されうる。これは、ほぼ閉じられたC字形状の断面を有する要素をもたらし、スリットは管状要素の全長にわたって長軸方向に延びる。一つのこうした管状要素は、長円形の断面、または実質的に楕円形の横断断面、または実質的に円形の横断断面を有すると見なされうる。
【0066】
上述の通り、エアロゾル発生基体のロッドを形成する複数の細長い管状要素は、ラッパーによって囲まれている。ラッパーは、多孔性または非多孔性のシート材料で形成されうる。ラッパーは任意の適切な材料または材料の組み合わせから形成されうる。ラッパーは紙ラッパーであることが好ましい。ラッパーは随意に、複数の管状要素の外側端に接着されうる。例えば、ラッパーの内表面および複数の管状要素の外側端のうちの少なくとも一つは、包装プロセス中に内側ラッパーが管状要素の端に接着するように、生産プロセス中に湿らされうる。別の方法として、接着剤は、包装工程の上流で、ラッパーの内表面および複数の管状要素の外側端のうちの少なくとも一つに塗布されうる。複数の管状要素およびラッパーの接着は有利なことに、複数の管状要素の位置および間隔をロッド内に保持するのに役立ちうる。
【0067】
ラッパーは随意に、ロッドの上流端および下流端で管状要素の上に少なくとも部分的に折り畳まれて、複数の管状要素をロッド内に保持しうる。ラッパーは、管状要素の残りの部分が露出されるように、ロッドの上流端および下流端で複数の管状要素の周辺部上にあることが好ましい。ところが、一部の実施形態において、ラッパーはロッドの上流端および下流端の全体上にあってもよい。こうした実施形態において、気流は有利なことに、十分な空隙率を有するラッパーを提供して、ロッドの端部を通る気流を可能にすることによって可能にしうる。
【0068】
管状要素の上流端および下流端の上でラッパーの端部を折り畳む代わりに、紙またはその他の材料の個別のリムセクションは、上述の通り、管状要素の上流端および下流端の少なくとも周辺部上にあるように、ラッパーに取り付けられうる。ラッパーがロッドの端部の上で折り畳まれるか、または別個のリムセクションが提供される、こうした実施形態において、複数の管状要素を囲むラッパーを覆う追加的な外側ラッパーが提供されうる。
【0069】
本発明によるエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生基体のロッドに加えて一つ以上の要素を備えることが好ましく、ロッドおよび一つ以上の要素は基体ラッパー内に組み立てられる。例えば、本発明によるエアロゾル発生物品は、マウスピース、エアロゾル冷却要素、および中空のアセテート管などの支持要素のうちの少なくとも一つをさらに備えうる。例えば、一つの好ましい実施形態において、エアロゾル発生物品は直線の連続的な配設で、上述の通りのエアロゾル発生基体のロッドと、エアロゾル形成基体のすぐ下流に位置する支持要素と、支持要素の下流に位置するエアロゾル冷却要素と、ロッド、支持要素およびエアロゾル冷却要素を囲む外側ラッパーとを備える。
【0070】
上述の通りのエアロゾル発生物品で使用するためのロッドは、以下に記述する方法によって製造されうる。方法の第一の工程において、均質化したたばこ材料のシートまたはウェブが提供されている。第二の工程において、長軸方向軸を有する細長い細片は、均質化したたばこ材料のシートまたはウェブから切断される。切断作業は、シートまたはウェブをロールまたはボビンから供給することによって、およびそれを所定の方向に沿って連続的に移動することによって実行されうる。切断手段は、ウェブまたはシートが供給される切断ステーションに提供されている。この目的で、機械的カッターを使用しうる。代替として、レーザーも使用できる。
【0071】
第三の工程において、細片は巻かれ、すなわち長軸方向軸の周りに巻き付けられて、細長い実質的に管状の要素を形成する。これは、細片がコイル状にされ、かつ巻かれた実質的に管状の要素へと形成されるように、細片を所定の方向に沿って漏斗形状要素に供給することによって達成されうる。幾つかの個々の巻かれた実質的に管状の要素は、並列に製造されうる。
【0072】
第四の工程において、第三の工程の終わりで得られた複数の細長い実質的に管状の要素は、細長い管状要素が長軸方向に延び、かつ互いに実質的に平行に整列されるように揃えられて組み立てられる。これは、複数の細長い実質的に管状の要素が実質的に円筒状のクラスター内にグループ化されるように、別の漏斗要素を通して複数の細長い実質的に管状の要素を供給することによって達成されうる。
【0073】
第五の工程において、組み立てられた管状要素はラッパーで囲まれて連続的なロッドを形成する。第六の工程において、連続ロッドは複数の個別ロッドに切断される。
【0074】
一つの好ましい実施形態において、方法は、細片を得るためにシートまたはウェブを切断する工程の前に、少なくとも一つのエアロゾル形成体を、均質化した材料のシートまたはウェブに塗布するさらなる工程を含む。代替的な実施形態において、方法は、複数の細長い管状部材を揃えて組み立てる工程の前に、少なくとも一つのエアロゾル形成体を細長い管状要素に塗布するさらなる工程を含む。
【0075】
一つのさらなる実施形態において、方法は、複数の細長い管状要素が揃えられて組み立てられた後で、少なくとも一つのエアロゾル形成体を複数の細長い管状要素に塗布するさらなる工程を含む。一つの追加的な代替方法として、方法は、連続的なロッドを個別のロッドに切断する工程の後で、少なくとも一つのエアロゾル形成体を複数の細長い管状要素に塗布する工程を含みうる。
【0076】
好ましい実施形態において、方法は、少なくとも一つのエアロゾル形成体を塗布する工程の後で、均質化したたばこ材料を乾燥する工程をさらに含みうる。
【0077】
複数のストランドをラッパーで囲んで連続的なロッドを形成する工程、および連続的なロッドを切断して個別のロッドを形成する工程は、既存の装置および技術を使用して実行されうるが、これは当業者に周知である。
【0078】
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0079】
図1図1は、ヒーター要素を備えるエアロゾル発生装置で使用するためのエアロゾル発生物品の概略的な長軸方向断面図を示す。
図2図2は、本発明の第一の実施形態によるエアロゾル発生基体の概略斜視図を示し、ラッパーは取り除かれている。
図3図3は、図2のエアロゾル発生基体の概略斜視図を示し、ラッパーは所定位置にある。
図4図4は、電気的に作動するエアロゾル発生装置と、図1に示すエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムの長軸方向断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体12のロッド、中空のセルロースアセテートチューブ14、スペーサー要素16およびマウスピースフィルター18を備える。これら四つの要素は連続的に、かつ同軸に整列して配設されていて、基体ラッパー20によって囲まれていて、エアロゾル発生物品10を形成する。エアロゾル発生物品10は、口側端22と、口側端22に対して物品の反対側の端に位置する遠位端24とを有する。図1に示すエアロゾル発生物品10は、エアロゾル発生基体のロッドを加熱するためのヒーターを備える電気的に作動するエアロゾル発生装置で使用するのに特に適切である。
【0081】
エアロゾル発生基体12のロッドは、約12ミリメートルの長さ、および約7ミリメートルの直径を有する。ロッド12は円筒状の形状であり、実質的に円形の断面を有する。
【0082】
図1のエアロゾル発生物品10で使用するためのエアロゾル発生基体12のロッドの実施形態を図2および図3に示す。ロッド12は、紙ラッパー32によって囲まれた複数の細長い実質的に管状の要素30を備える。図2において、複数の管状要素30はラッパー32を取り外した状態で示されている。
【0083】
図2で分かる通り、管状要素30のそれぞれは、均質化したたばこ材料の巻かれた細片を含み、長軸方向に延び、かつロッド12の長さに実質的に相当する長さを有する。管状要素30は相互に平行であり、隣接する管状要素が相互に接触するように積み重ねられている。管状要素30は、実質的に円形の断面および約1ミリメートルの等価直径を有する。図2および図3の実施形態において、ロッドは20個の細長い管状要素30を備える。ロッド12を通して延びる長軸方向のチャネルは、管状要素によって内部的に画定されている。さらに、ロッド12を通して延びる長軸方向のチャネルはまた、管状要素の間に画定されている。それ故に、ロッド12は、下記に説明する通り、エアロゾル発生装置のヒーターブレードを受容するように適合されていて、また使用中にロッド12を通して引き出されうる空気が通る気流経路を提供するように適合されている。
【0084】
図4は、図1に示すエアロゾル発生物品10のエアロゾル発生基体12のロッドを加熱するためのヒーターブレード210を利用する電気的に作動するエアロゾル発生システム200の一部分を示す。ヒーターブレード210は、電気的に作動するエアロゾル発生装置212のハウジング内にあるエアロゾル発生物品チャンバー内に取り付けられている。エアロゾル発生装置212は、図4で矢印で図示されている通り、空気がエアロゾル発生物品10に流れることを可能にするための複数の空気穴214を画定する。エアロゾル発生装置212は、電源および電子部品を備えるが、これらは図4で図示されていない。
【0085】
図1に示すエアロゾル発生物品10は消費されるために、図4に示すエアロゾル発生装置212と係合するように設計されている。ユーザーは、ヒーターブレード210が均質化したたばこ材料30の管状要素を通してエアロゾル発生基体12のロッドの中に挿入されるように、エアロゾル発生物品10をエアロゾル発生装置212に挿入する。マウスピースフィルター18は、装置212の口側端から外向きに突き出す。エアロゾル発生物品10がエアロゾル発生装置212と係合すると、ユーザーはエアロゾル発生物品10の口側端22を吸い、エアロゾル発生基体12のロッドはヒーターブレード210によってエアロゾル発生基体12のロッドからエアロゾルを発生させるのに十分な温度に加熱される。
【0086】
当然のことながら、図1に示すエアロゾル発生物品10はまた、その他のタイプのエアロゾル発生装置で使用するのに適しうる。
図1
図2
図3
図4