(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】一次元での受信アンテナの分散配置によって二次元での物体の角度を判断するための受信アレイを有するイメージングレーダシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20230501BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20230501BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20230501BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20230501BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20230501BHJP
H01Q 13/20 20060101ALI20230501BHJP
G01S 7/02 20060101ALI20230501BHJP
G01S 13/44 20060101ALI20230501BHJP
G01S 13/34 20060101ALI20230501BHJP
G01S 13/89 20060101ALI20230501BHJP
G01S 13/10 20060101ALI20230501BHJP
G01S 13/931 20200101ALI20230501BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H04B7/08 422
H01Q1/24 Z
H01Q21/06
H01Q3/26 Z
H01Q13/20
G01S7/02 216
G01S13/44
G01S13/34
G01S13/89
G01S13/10
G01S13/931
(21)【出願番号】P 2020509007
(86)(22)【出願日】2018-07-23
(86)【国際出願番号】 EP2018069904
(87)【国際公開番号】W WO2019037996
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2021-06-28
(31)【優先権主張番号】102017214575.7
(32)【優先日】2017-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500062575
【氏名又は名称】アスティックス ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギーレ,アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ゲライン‐ホルツァー,ヨハンナ
(72)【発明者】
【氏名】マン,ゼバスティアン
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-287857(JP,A)
【文献】特表2011-526370(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0104866(KR,A)
【文献】特開2010-175471(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/328157(US,A1)
【文献】特開平06-291535(JP,A)
【文献】特開2010-281791(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014219113(DE,A1)
【文献】特開平10-093335(JP,A)
【文献】特表2014-530343(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014014864(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/32
H04B 7/08
H01Q 1/24
H01Q 21/06
H01Q 3/26
H01Q 13/20
G01S 7/02
G01S 13/44
G01S 13/34
G01S 13/89
G01S 13/10
G01S 13/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1次元と前記第1次元の方向ベクトルに直交する方向ベクトルを持つ第2次元とを有する二次元空間での物体の位置を判断するための装置であって、
前記装置は、少なくとも一つの送信アンテ
ナを有する少なくとも一つの送信
器と、デジタルビームフォーミング
を介して前記第1次元を走査するための受信アンテナ
列を有する少なくとも一つの受信アンテナアレ
イを有するイメージング受信回
路とを包含する装置であり、前記受信アンテナアレイが、線形アレイ、疎アレイ、または大開口アレイを有し、前記受信回
路の前記受信アンテナアレイの前記受信アンテナ
列が、曲線関数に従って、または二次元幾何学的物体の輪郭に従って、前記第1次元では線形に配置され
、ランダム関数によって前記第2次元で
配置さ
れ、前記第2次元における不連続位置の数
【数1】
は
【数2】
に従って前記受信アンテナ列の数
【数3】
により規定され、さらに前記第2次元における不連続位置の数は少なくとも3である、装置。
【請求項2】
前記受信回
路の前記受信アンテナ
列が、前記第1次元において直線、三角形、鋸歯、正弦波として配置されるか、前記受信回
路の前記受信アンテナ
列が、前記第1次元において矩形、円形、または楕円形として配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記受信回
路の前記受信アンテナ
列の位相中
心が前記第2次元において不規則パターンで配置される、請求項
1に記載の装置。
【請求項4】
前記受信回
路の受信アンテナアレ
イが送信時の多入力多出力(MIMO-on-Tx
)を介して少なくとも二つの切換え可能な送信アンテ
ナにより拡大されて、幾つかのバーチャル要素
【数4】
を有するバーチャル受信アンテナアレ
イを形成することが可能である、請求項
1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2次元において前記送信アンテ
ナの位相中
心が同一であるか、前記第2次元において前記送信アンテ
ナの前記位相中
心が異なっていて前記バーチャル受信アンテナアレ
イに追加オフセットが形成される、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置を含むレーダであって、前記レーダは周波数変調CWレー
ダ、デジタル変調レーダ、およ
びパルスレーダ
を含むグループから選択される、レーダ。
【請求項7】
前記受信アンテナ
列の数が
【数5】
である、請求項
1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの送信アンテ
ナと前記イメージング受信回
路とが、1GHzから300GHzの周波数範
囲で動作可能である、請求項
1に記載の装置。
【請求項9】
請求項
1に記載の装置を使用して、第1次元と第2次元とを有する二次元空間での物体の位置を判断するための方法であって、
前記方法は、
‐
前記少なくとも一つの送信アンテナ
を使用してレーダ信号を送信するステップと、
‐前記第1次元を走査するための
前記少なくとも一つの受信アンテナアレ
イを有する
前記イメージング受信回路
を使用して信号を受信するステップと、
‐前記信号データをデジタル化するステップと、
‐距離
高速フーリエ変換(FFT
)および/または速度FFTとデジタルビームフォーミングとを実行するステップと、
‐物体
を検出
し、前記物体の位置を判断するステップと、
を包含する方法。
【請求項10】
前記物体
は前記第1次元
に関して検出され、前記物体の前記位置
は前記第2次元
に関して判断される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1次元での
前記物体の良好
な検出の際に、前記第2次元における複数のビームについてのビームフォーミング
を使用して前記物体の前記位置が続いて判断される、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記第1次元での
前記物体の良好
な検出の際に、前記第2次元における複数のビームについてのビームフォーミングおよび振幅モノパルス
を使用して前記物体の前記位置が続いて判断される、請求項
9に記載の方法。
【請求項13】
前記受信アンテナアレイの前記受信アンテナ
列が曲線関数に従って配置される時に、
前記受信回路の前記受信アンテナ列の位相中心に基づく
2次元(2D
)ビームフォーミング
を使用して前記物体の前記位置が続いて判断される、請求項
9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1次元と、第1次元の方向ベクトルに直交する方向ベクトルを持つ第2次元とを有する二次元空間での物体の位置を判断するための装置であって、少なくとも一つの送信アンテナを有する少なくとも一つの送信器と、デジタルビームフォーミングによって第1次元を走査するための受信アンテナの列を有する少なくとも一つの受信アンテナアレイ(Rx Array)を有するイメージング受信回路とを包含する装置に関する。
【0002】
自動車応用のためのイメージレーダセンサ技術では、現在、多様なビーム掃引方法が使用されており、この方法は三つのカテゴリに細分されうる。それは、アンテナの機械的動作によるアナログビームフォーミングと、アナログ位相シフタを使用するビーム掃引と、「デジタルビームフォーミング」の原理を使用するデジタルビーム掃引である。この場合、少なくとも一つの送信チャネルと複数の受信チャネルとが必要とされ、デジタル化受信信号の位相シフトによってアンテナローブの形状が決まる。この技術は、無線周波数フロントエンドでのハードウェア費用を最小まで削減するのと同時にシステムの信頼性および柔軟性を高める。また、小型で費用効果の高いセンサ設計を可能にする平面アンテナが使用されうる。
【背景技術】
【0003】
一次元デジタルビームフォーミングの使用は自動車レーダセンサでは確立されている。しかしながら不都合なことに、この技術では二次元空間での物体の位置についての結論を導き出すことはできず、一次元でのロケーション判断のみが可能である。
【0004】
特許文献1には複数の送信チャネルの使用が記載されており、MIMO‐on‐TXにより、開口が合成的に拡大されて掃引角度の増大を可能にする。さらに、二次元空間での物体の位置を判断するための多様な方法が存在し、これらの方法の各々は個々の長所および短所を有する。
【0005】
稠密配置二次元アレイの使用は、個々の横列および縦列にビームフォーマを使用して、CFARアルゴリズムによる二次元ロケーション判断を行うことを可能にする。この構造は良好なサイドローブ抑制を提供して誤報の発生を低減させる。この構造の短所は、自動車応用での有用性をかなり制限するその複雑な構成である。このような構造の主な使用分野は、主として軍事的応用に見られる。高密度配置アレイのほかに、二次元受信アレイのアンテナ列が故意に省かれたいわゆる「疎アレイ」も使用される。この実行例では、サイドローブ抑制の減少を犠牲にすることで経路設定費用が著しく低下する。さらに、いわゆる振幅モノパルスを備えた複雑ではない構造が使用される。二次元ビームフォーミングは二つの送信アンテナと受信アレイとから得られ、送信アンテナは互いに対して傾いたアンテナパターンを有する。二次元でのロケーション判断は、アンテナパターンとともに受信信号の振幅比較の結果、得られる。しかしながら、幾つかの事例では自動車での設置位置および被覆物のタイプの結果としてアンテナの指向パターンの大きな歪みが発生するので、この方法は、レーダセンサの複雑で個別的な校正を必要とするという短所を有する。
【0006】
この問題は、位相モノパルスの使用により回避される。特許文献2を参照すること。その構造は、振幅モノパルスの場合の構造と同じように構成される。しかしながら、信号処理では、二つのバーチャル受信アレイの受信信号の振幅ではなく位相差が評価される。上記の方法に加えて、Txおよび/またはRxアンテナの周知のビーム特性に基づくロケーション判断を実行することがさらに可能である。
【0007】
一つあるいは複数の送信アンテナとともに、複数の受信アンテナ列を各々が有する複数の受信アンテナアレイが使用されて、その結果、かなりの空間の必要性と経路設定の費用が生じ、特にシステムのコストに重大な影響を与えるので不都合である。それゆえ機能性を損なうことなく受信アンテナ列の数を最小にすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許出願公開第102011113018号明細書
【文献】独国特許出願公開第102014014864号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
それゆえ、本発明により扱われる問題は、デジタルビームフォーミングを使用するイメージングレーダセンサによる空間内の一つ以上の物体の位置の非接触判断のための改良された装置および方法を提供するというものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この問題は、請求項1に記載の装置と請求項11に記載の方法とによって本発明により解決される。
【0011】
本発明の基本概念は、受信アンテナアレイが線形アレイ、疎アレイ、または大開口アレイを有し、受信回路の受信アンテナアレイの受信アンテナ列が、曲線関数に従って、または二次元幾何学的物体の輪郭に従って、第1次元で線形に配置されて、第2次元では分散されることである。
【0012】
ここで本発明は、物体のロケーションを判断するためのデジタルビームフォーミングの実行が可能であるという事実とともに、両方の次元での小サイドローブを特徴とする。前記小サイドローブは、応用での低い誤報率の保証を可能にする。
【0013】
ここでは第2送信アンテナまたは代替的に第2受信アンテナアレイが第2次元でのロケーション判断に必ずしも必要とされないように第1次元で線形に配置される受信アンテナアレイ配置を使用するので、特に有利である。上記のミリメートル波レーダセンサの使用分野は主として自動車応用を中心とし、その結果、センサのサイズ、方位角での距離および角度分解能、高度、そして必要な更新速度、ゆえに個々の測定の最大持続時間などに関与するセンサが必要となる。同時に、センサシステムが遅延なく障害物を特定して前記障害物の位置および範囲など自動車関連データを入手することが可能でなければならないので、高い信頼性が可能となる。一つあるいは複数の送信アンテナと、複数の受信アンテナ列を各々が有する複数の受信アンテナアレイとが利用され、その結果として空間要件と経路設定費用とが妥当なものとなって特にシステムのコストに重大な影響を与えるので、有利である。それゆえ、目標とするのは、機能性を損なわずに受信アンテナ列の数を最小化することである。
【0014】
好ましくは、受信回路の受信アンテナの列は、第1次元において直線、三角形、鋸歯、または正弦波として配置される。代替的に、受信回路の受信アンテナの列が第1次元において矩形、円形、または楕円形として配置される。
【0015】
上記の受信アンテナアレイ(Rx Array)が線形アレイ、疎アレイ、または任意の位置にある大開口アンテナのアレイであると有利である。この場合に、受信アンテナの個々の列の配置は、直線、三角形、鋸歯、正弦関数など任意の曲線関数を利用して、または代替的に、矩形、三角形(開輪郭ではV形状)、円形(開輪郭では円弧)、または楕円形など任意の二次元幾何学的物体の開または閉輪郭で行われ、各場合に第1および第2次元の配向が予め規定され、アレイは第2次元において分散される。アレイが第2次元で分散される結果、上記のアレイは、さらなる受信アンテナアレイを伴わずに、小サイドローブとともに二次元空間での物体の位置決めについての情報を同時に入手することを可能にする。
【0016】
好ましくは、受信回路の受信アンテナ列の位相中心は、第2次元において不規則パターンで配置される。
【0017】
こうして受信アンテナの列は不規則パターンで分散され、受信アンテナ列(6)の第2次元での異なる不連続位置の数
【数1】
は少なくとも3、好ましくは
【数2】
であり、使用される受信アンテナ列の数全体は
【数3】
で求められる。位置決めを単純化するため、ランダム関数が使用され、第2次元での平均値からの最大偏差の間隔は予め規定される。
【0018】
好ましくは、受信回路のリアル受信アンテナアレイ(Rx ANT)がMIMO‐on‐Txによって少なくとも二つの切換え可能送信アンテナにより拡大されて、幾つかのバーチャル要素
【数4】
を有するバーチャル受信アンテナアレイ(Rx Virt)を形成する。
【0019】
この場合、第2次元において送信アンテナの位相中心が同一であるか、付加的または代替的に、第2次元において送信アンテナの位相中心が異なっており、その結果としてバーチャル受信アンテナアレイ(Rx Virt)に追加のオフセットが形成される。
【0020】
結果的に、装置は、一つの送信器と単一の送信アンテナとを備えるレーダシステムばかりではなく、いわゆるMINO‐on‐TXを備えるレーダシステムにも有利に使用されうる。後者は、少なくとも二つ以上の切換え可能な送信アンテナの使用によりバーチャルアレイを形成するためのリアル受信アレイの拡張を意味する。バーチャル要素の数
【数5】
は、受信チャネルに対する送信アンテナの配置から得られる。ここで送信アンテナの配置については様々な可能性がある。第一に、第2次元では互いにオフセットを有さず、したがってバーチャル受信アレイの追加分散を生じないように送信アンテナが配置されうる。しかしながら代替的または付加的に、第2次元でのオフセットによる受信アレイの追加分散のために別の送信アンテナを能動的に利用することも可能である。様々な信号処理方法によって、ハードウェア変形としての装置の両方の実施形態について、少なくとも一方向でのビームフォーミングの改良が達成されうる。
【0021】
こうして受信回路の受信アンテナアレイは、MIMO-on-Txによって少なくとも二つの切換え可能送信アンテナを使用して拡大されて幾つかのバーチャル要素
【数6】
を有するバーチャルアレイを形成し、詳しく記すと、第2次元において送信アンテナの位相中心が同一であるか第2次元において送信アンテナの位相中心が異なり、その結果、バーチャル受信アレイで追加オフセットが発生するか、両方の変形の組み合わせによれば送信アンテナは二つを超えると推定される。
【0022】
第1次元での集束の改良つまり主ビーム方向での狭いアンテナローブに加えて、開口が拡大された結果としてやはり達成されるのは、列が半分になったSARを使用する送信アンテナの切換えによるグレーティングローブの改良である。
【0023】
第2次元での送信アンテナのオフセットの結果として追加分散が達成され、こうしてこの次元でのビームフォーミングが狭いローブにつながるという事実から、第2次元での改良が得られる。こうして多数の送信アンテナが2次元でのオフセットを同時に含むので、結果的に両方の次元での特性の向上が得られる。
【0024】
好ましくは、上記の装置は、周波数変調CWレーダ方法、デジタル変調レーダ、および/またはパルスレーダでの使用に適している。
【0025】
好ましくは、受信アンテナ列の数は、
【数7】
である。
【0026】
好ましくは、少なくとも一つの送信アンテナとイメージング受信回路とは、1GHzから300GHzの周波数範囲、好ましくは20GHzから160GHzの周波数範囲、特に好ましくは76GHzから81GHzの周波数範囲で動作可能である。
【0027】
それゆえ、受信アンテナの分散により達成される改良の有効性は基本形状に依存せず、使用されるレーダ方法にも同様に依存しない。自動車レーダ応用の使用分野を考慮すると、記載の装置と方法は主として76~81GHzの周波数帯域で提供されるが、この周波数範囲に限定されるわけではない。本質的な有用性は、1GHzから300GHzの範囲のセンチメートルおよびミリメートル波範囲全体で得られるが、具体的な周波数範囲に制限されるわけではない。
【0028】
上記の装置を使用して、第1次元と第2次元とを有する二次元空間での物体の位置を判断するための本発明による方法は、以下のステップを包含する。
‐少なくとも一つの送信アンテナによってレーダ信号を送信するステップ
‐第1次元を走査するための少なくとも一つの受信アンテナアレイ(Rx Array)を有するイメージング受信回路によって信号を受信するステップ
‐信号データをデジタル化するステップ
‐距離FFTおよび/または速度FFTとデジタルビームフォーミングとを実行するステップ
‐物体検出および位置判断。
【0029】
この方法の元となる二次元目標位置の計算のための信号処理が、FMCWレーダの例についての信号流れ図の形で
図4に図示されている。測定、すなわちランプ波の送信と受信とデジタル化の後に、続くデジタルビームフォーミングの基礎が距離FFTと速度FFTとによって最初に確立される。例えばOSCFARまたはピーク検索機能によって最初に第1次元で目標検出が実行されてから、第1次元で前に見られた目標の位置でのFFTデータに基づいて第2次元でのビームフォーミングが行われる。第2次元でのさらなる位置判断は、以下に記載するように実行される。最後に、いわゆる距離速度セルの二次元データが両方のビームフォーマの組み合わせから計算される。
【0030】
好ましくは、第1次元で物体検出が実行されて第2次元で位置判断が実行される。
【0031】
第2次元での目標検出は、この次元で不規則に分散される要素に対するデジタルビームフォーミングにより実行され、得られるローブ幅は実質的にランダム分散の標準偏差により規定される。また加えて、振幅モノパルスが採用されうる。
【0032】
好ましくは、第1次元での良好な物体検出の際には、第2次元での複数のビームについてのビームフォーミングにより位置判断が続いて実行される。
【0033】
好ましくは、第1次元での良好な物体検出の際には、第2次元での複数のビームについてのビームフォーミングと振幅モノパルスとにより位置判断が続いて実行される。
【0034】
好ましくは、受信アンテナアレイの受信アンテナ列が曲線関数に従って配置される時に、位相中心に基づいて2Dビームフォーミングにより位置判断が続いて実行される。
【0035】
装置および方法についての一実施形態が図面を参照して以下でより詳しく説明されるが、これにより発明が制限されることは希望していない。
【0036】
上記の実施形態で、配置はデカルト座標系によって記され、二つの次元の方向ベクトルは互いに直交する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】16個のRxアンテナと一つのTxアンテナとを有するフロントエンドを示す。第2次元でのRxアンテナの配置はrand()*Max.偏差による。
【
図2】第2次元での位相中心の位置が異なることにより三つの形状のビームを含む第2次元でのアンテナパターンを示す。
【
図3】表1に挙げられたアンテナ位置(第1次元 線形、第2次元 ランダム発生)についてと、第2次元での偏差を含まないアンテナ位置の線形アレイについての第1次元でのアンテナパターンを示す。
【
図4】FMCWの使用による2Dロケーション判断の信号流れ図を示す。
【
図5】2個のTxと8個のRxとを有する楕円形アレイ配置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、送信アンテナ(3)を有する送信器(1)と、16列の受信アンテナ(6)を有する受信回路(2)とで構成されるレーダフロントエンドの例示的な実行例を示し、受信アンテナの列(6)は第1次元に沿った直線上で線形に配向されている。ランダム関数の利用により、第1次元に直交する第2次元においてアレイは分散されている。第1次元で2200μmの列間隔を有する線形アレイの関連位置と第2次元でのランダム判断位置とが表1に挙げられている。
【表1】
表1:列間隔が2200μmである次元1での線形配置と次元2でのアンテナのランダム発生配置とを含む、
図1に図示されているアレイの受信アンテナ列の位置決定
【0039】
図2は、
図1に図示されている一つの送信器と16個の受信チャネルとを有するフロントエンドについて第2次元で生じる3本のビームを示す。この場合には、位相中心の位置の分散の結果、ビームの視認方向の角度オフセットが生じ、こうして第2次元での評価が可能になる。この場合に、平均値からの分散の最大偏差は、有限数の受信列について第1次元でのビームフォーミングが重大な影響を受けないように規定されなければならない。
【0040】
図3は、第2次元での分散を含まない線形アレイと含む線形アレイとの比較において、0°の主ビーム方向についてのデジタルビームフォーミングにより生成されるアンテナパターンを例として示す。ここで、第2次元での分散の効果が、アンテナパターンの周縁部のみで、主としてサイドローブで顕著であることは明白である。
【0041】
図4は、FMCWレーダの例に基づく信号流れ図の形で二次元目標位置を計算するための信号処理を示す。測定、すなわちランプ波の送信と受信とデジタル化の後に、距離FFTと速度FFTによって次のデジタルビームフォーミングの基礎が最初に確立される。目標検出は、例えばOSCFARまたはピーク検索機能によって第1次元で最初に実行され、それから第1次元で前に発見された目標の位置でのFFTデータに基づいて第2次元のビームフォーミングが続く。第2次元でのさらなる位置判断は上述のように実行される。最後に、いわゆる距離速度セルの二次元データが両方のビームフォーマの組み合わせから計算される。
【0042】
図5は、アンテナの楕円形配置に基づくMIMO-on-Txレーダシステムの例示的な配置を図示している。図の配置で、8列の受信アンテナ(6)の位相中心は、角度依存の半径rにより描かれた楕円形の輪郭上に位置している。
【数8】
上式において、楕円形の最大半径はaと記され、最小半径はbと記されている。図の配置において、半径は第1次元を形成し、ランダム分散が角度に適用され、したがってこれは第2次元を表す。MIMO-on-Txは、楕円形に対して異なる位置にある二つの切換え可能送信アンテナ(3)によって可能となる。
【符号の説明】
【0043】
1 送信器
2 受信回路
3 送信アンテナ
4 位相中心
5 列間隔
6 受信アンテナの列
7 視認方向(偏差1)
8 指向特性 第2次元(偏差1)
9 視認方向(偏差2)
10 指向特性 第2次元(偏差2)
11 視認方向(偏差3)
12 指向特性 第2次元(偏差3)
13 サイドローブ