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特許7271519アミノグリコシド誘導体及び遺伝子疾患の治療におけるその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】アミノグリコシド誘導体及び遺伝子疾患の治療におけるその使用
(51)【国際特許分類】
   C07H 15/23 20060101AFI20230501BHJP
   A61K 31/7036 20060101ALI20230501BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
C07H15/23 CSP
A61K31/7036
A61P43/00 105
A61P43/00 111
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020516975
(86)(22)【出願日】2018-06-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-30
(86)【国際出願番号】 IL2018050612
(87)【国際公開番号】W WO2018225065
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】62/515,021
(32)【優先日】2017-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516361934
【氏名又は名称】エロックス ファーマシューティカルズ リミテッド
【住所又は居所原語表記】10 Prof. Menachem Plaut Street, Rehovot, Israel
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】バーソブ、ティモア
(72)【発明者】
【氏名】ファーゾン、ベラ
(72)【発明者】
【氏名】ベラコブ、バレリー
(72)【発明者】
【氏名】エイロン、バット-ヘン
【審査官】神谷 昌克
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/037719(WO,A1)
【文献】Carbohydrate Research,1984年,Vol.130,pp.195-219
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H
A61K
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】
から選択される、化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項3】
未成熟終止コドンに関連する遺伝子疾患の治療に使用するための、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
終止コドン変異を有する遺伝子の発現レベルの増加に使用するための、請求項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
未成熟終止コドンに関連する遺伝子疾患の治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項6】
終止コドン変異を有する遺伝子の発現レベルの増加に使用するための薬剤の製造における、請求項1に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、そのいくつかの実施の態様では、アミノグリコシドに関し、より詳細には、しかし限定するものではないが、新規なアミノグリコシド誘導体、及び終止コドン変異を有する遺伝子の発現の増加及び/又は遺伝子疾患の治療におけるその使用に関する。
【0002】
多くのヒト遺伝障害は、3つの終止コドン(UAA、UAG又はUGA)の1つが、アミノ酸をコードするコドンに置きかわるナンセンス変異に起因し、翻訳が中途で停止し、最終的には不活性タンパク質の断片に至る。現在、何百ものそのようなナンセンス変異が知られており、いくつかは、例えば、嚢胞性線維症(CF)、腎性シスチン症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、毛細血管拡張性運動失調症、ハーラー症候群、血友病A、血友病B、テイ-サックス病、レット症候群、アッシャー症候群、重症型表皮水疱症等を含む致死性疾患の特定のケースを説明することが示された。そうした疾患の多くでは、現在、有効な治療法がない。
【0003】
一部のアミノグリコシド化合物は、リボソームに終止コドン変異のリードスルーを誘導し、mRNA分子から完全長タンパク質を生成する能力のため、いくつかの遺伝子疾患の処置における治療的価値を有することが示されている。
【0004】
アミノグリコシドは、通常、生命をおびやかす感染症の処置に用いられる、きわめて強力な広域スペクトラム抗生物質である。パロモマイシン(図1)のようなアミノグリコシド抗生物質の作用機序は、原核生物のリボソームとの相互作用、より具体的には、16SリボソームRNAのデコーディングAサイトへの結合を伴い、これは、タンパク質の翻訳阻害と翻訳の忠実性の妨害につながることが認められている。
【0005】
細菌Aサイト-オリゴヌクレオチドモデルの結晶とNMRによる細菌リボソームの構造決定におけるいくつかの成果は、原核細胞の解読メカニズムを理解し、アミノグリコシドが遺伝暗号の有害な誤読をどのように行うのかを理解するための有用な情報を与えた。これらの研究及び他の研究は、非同系のmRNA-tRNA複合体に対するAサイトの親和性はアミノグリコシドが結合することにより増加し、リボソームが非同系複合体と同系複合体を効率的に識別することを妨げるという仮説を生み出した。
【0006】
真核生物でのアミノグリコシドによる終結抑制の増強は、原核生物でのアミノグリコシドによるタンパク質合成中の翻訳忠実度を妨げる活性と同様のメカニズムで生じると考えられている、すなわち、特定のアミノグリコシドによるリボソームのAサイトへの結合は、おそらく、終結因子を挿入する代わりに、同族に近いmRNA-tRNA複合体を安定化する立体構造の変化を誘導する。アミノグリコシドは、著しく異なる効率で様々な終止コドンを抑制することが示されており(UGA>UAG>UAA)、さらに、抑制効果は、終止コドンのすぐ下流の4番目塩基の同一性(C>U>A>=細菌)及び終止コドン周辺の局所配列に依存することが判明した。
【0007】
効果的なリードスルー薬の望ましい特性は経口投与で、細菌への影響はほとんど又はまったくない。消化管(GI)生物相平衡の乱れと耐性の出現により生じる悪影響のため、特にGI生物相に関して、リードスルー薬の抗菌活性は抗生物質の不必要な使用として望ましくない。この点で、臨床的に用いられるアミノグリコシドの大部分は細菌のリボソームに対して非常に選択的で、ヒト細胞の細胞質リボソームに重大な影響を及ぼさない。
【0008】
上述した問題を回避するために、バイオ医薬業界は、大規模な化合物ライブラリをナンセンスリードスルー活性でスクリーニングすることにより、新規な終止コドン変異抑制薬を求めている。
【0009】
嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御タンパク質(CFTR)終止コドン変異のアミノグリコシドによる抑制の最初の実験は、ヒト気管支上皮細胞株において完全長で機能的なCFTRの出現によって認められるように、CFTR遺伝子に見られる未成熟終止コドン変異が、一群のゲンタマイシン及びゲニチシン(登録商標)(G-148、図1)で抑制できることを示した。
【0010】
ヒトCFTR-G542X導入遺伝子を有するCFTR-/-トランスジェニックマウスの腸組織の抑制実験は、ゲンタマイシン及びより少ない量でのトブラマイシンによる処置が、マウスの腺にヒトCFTRタンパク質の出現をもたらすことを示した。最も重要なことに、二重盲検プラセボ対照交差試験による臨床研究は、ゲンタマイシンが患者の終止コドン変異を抑制でき、ゲンタマイシン治療は、CFTR終止コドン変異を有する19人の患者で鼻粘膜全体の膜コンダクタンスを改善したことが示された。in vitro系、培養細胞株又は動物モデルでアミノグリコシドの治療可能性がテストされた他の遺伝子疾患には、DMD、ハーラー症候群、腎性尿崩症、腎性シスチン症、網膜色素変性症、毛細血管拡張性運動失調症が含まれる。
【0011】
しかし、アミノグリコシドを医薬品として使用する際の主な制限の1つは、哺乳動物に対する高い毒性で、代表的には、腎臓(腎毒性)及び耳(聴器毒性)に関連する疾患で表される。この毒性は、リン脂質との相互作用、ホスホリパーゼの阻害、フリーラジカルの形成など、様々な要因とメカニズムの組合せに起因すると考えられている。
【0012】
細菌のリボソームに対して選択的と考えられているものの、ほとんどのアミノグリコシドは細菌のAサイトよりも親和性で真核生物のAサイトにも結合する。哺乳類の細胞での翻訳の阻害も、これらの薬剤の高い毒性の1つである。細胞毒性の別の要因は、配列が細菌のAサイトに非常に近い、ミトコンドリアリボソームの12SrRNAのAサイトへの結合である。
【0013】
アミノグリコシドの毒性を軽減する方法を理解し、提供する多くの研究が行われており、これは、フリーラジカルのレベルを低下させる抗酸化剤の使用、並びに、アミノグリコシドがリン脂質と相互作用する能力を低下させるポリ-L-アスパラギン酸及びダプトマイシンの使用を含む。最近、アミノグリコシドの取り込みにおけるメガリン(腎臓近位尿細管と内耳に特に豊富なマルチリガンドエンドサイトーシス受容体)の役割が明らかになった。アミノグリコシドとメガリンの結合と競合するアゴニストの投与により、アミノグリコシドの取り込み及び毒性が減少した。加えて、毒性を低減する手段として、アミノグリコシドの投与スケジュール及び/又は投与方法の変更が研究されている。
【0014】
アミノグリコシドの毒性を減らすための広範な努力にもかかわらず、投与スケジュールの変更を除き、終止コドン変異を抑制するためのアミノグリコシドの投与の標準的な臨床診療及び手順に至ったものはほとんどない。例えば、臨床試験におけるゲンタマイシンの毒性が生じない量の使用では、おそらく、in vitro系と比較してin vivoでの実験においてリードスルー効率が低下した。アミノグリコシドであるジェネティシン(登録商標)(G-418硫酸塩又は単にG-418として知られ、以下に示す。)は、in vitro翻訳転写系で最高の終止抑制活性を示した;しかし、それは、非常に低い濃度であっても致死的であることから、治療薬として使用することはできない。例えば、ゲンタマイシン、ネオマイシン及びカナマイシンのLD50が2.5~5.0mg/mlであるにの対し、G-418のヒト線維芽細胞に対するLD50は0.04mg/mlである。
【0015】
G-418は非常に低い濃度でも著しく有毒であることから、現在は、ゲンタマイシンが様々な動物モデル及び臨床試験でテストされている唯一のアミノグリコシドであるが、一部の研究は、アミカシン及びパロモマイシンが終止コドン抑制の治療においてゲンタマイシンに代わるものであることを示している。
【0016】
【化1】
【0017】
現在まで、ほぼ全ての抑制実験は臨床用の市販のアミノグリコシドで実施されているが、ゲンタマイシン、アミカシン及びトブラマイシンを含む限られたアミノグリコシドのみが、ヒトの内服用抗生物質として臨床的に使用されている。これらのうち、トブラマイシンには終止コドン変異抑制活性がなく、ゲンタマイシンが動物モデル及び臨床試験で終止コドン変異抑制活性についてテストされた唯一のアミノグリコシドである。最近、一連のネアミン誘導体が、脊髄性筋萎縮症(SPA)患者の線維芽細胞におけるSMNタンパク質のリードスルーを促進することが示されたが、これらの化合物は元来抗生物質として設計されたもので、これらの誘導体のリードスルー活性をさらに改善するという結論は導き出されていない。
【0018】
国際公開第2007/113841号及び国際公開第2012/066546号は、哺乳類細胞に対し低細胞毒性及び低抗菌活性を示し、高い未成熟終止コドン変異リードスルー活性を示すように設計され、遺伝子疾患の治療に使用できるパロモマイシンに由来するアミノグリコシドを開示する。このパロモマイシンに由来するアミノグリコシドは、パロマミンコアにある操作が導入され、これは、リードスルー活性の強化並びに毒性及び抗菌活性の低減につながる。この操作は パロマミンコアのいくつかの部位で行われた。
【0019】
【化2】
【0020】
これらの公報において教示されるパロマミンコアの代表的な操作には、アミノグリコシドコアの6’位のヒドロキシル基、アミノグリコシドコアの3’、4’、3、4、5及び/又は6位への1つ以上の単糖又はオリゴ糖の導入、パロマミンコアのN1位への(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル(AHB)基の導入、6’位水素のメチル基などのアルキルによる置換、及び、単糖がパロマミンコアに導入される場合の5’’位へのアルキル基の導入を含む。
【0021】
研究では、国際公開第2007/113841号に開示されている代表的化合物、NB84による2週間(D. Wangら, Molecular Genetics and Metabolism, 105, 116-125 (2012);K.M. Keelingら, PLoS ONE 8 (4), e60478 (2013))及び28週間(G. Gunnら, Molec. Genet. Metabol. 111, 374-381 (2014))の処置により、PTC抑制を介して十分なα-L-イズロニダーゼ機能が回復し、ヒトIDUA-W402Xナンセンス変異と相同するPTCを有するIduatm1Kmkeムコ多糖症I-H(MPS I-H)マウスモデルにおいて、組織GAG蓄積が減少することが示された。また、28週間のNB84による治療により、現行のMPS I-H治療が効かない、脳、心臓、骨などの複数の組織における疾患で、著しい緩和が明らかになったことも示されている。これらのデータは、修飾されたパロマミンコアを有するアミノグリコシドを用いた長期間のナンセンス抑制療法が遺伝子疾患の進行を緩和できることを示す。
【0022】
【化3】
【0023】
国際公開第2017/037717号及び国際公開第2017/037718号は、パロマミンコアに、リードスルー活性の強化並びに毒性及び抗菌活性の低減につながる追加の操作を導入することにより、哺乳類細胞に対し低細胞毒性及び低抗菌活性を示し、高い未成熟終止コドン変異リードスルー活性を示すように設計された別のパロモマイシンに由来するアミノグリコシドを開示する。これらの公報で教示され、かつ、国際公開第2007/113841号及び国際公開第2012/066546号で教示された操作に追加することができるか又は代わりになることができるパロマミンコアの代表的な操作には、アミノグリコシドコアの6’位のヒドロキシル基のさらなる置換、パロマミンコアのN1位への様々な置換基(アルキル、アリール、アルカリール、アシル、又はグアニジニルのような細胞透過性基)の導入、及び(単糖がパロマミンのコアに結合している場合)5’’位への細胞透過性基の導入が含まれる。
【0024】
国際公開第2017/118968号は、パロマミンコアに、リードスルー活性の強化並びに毒性及び抗菌活性の低減につながる追加の操作を導入することにより、哺乳類細胞に対し低細胞毒性及び低抗菌活性を示し、高い未成熟終止コドン変異リードスルー活性を示すように設計された別のパロモマイシンに由来するアミノグリコシドを開示する。これらの公報で教示され、かつ、国際公開第2007/113841号、国際公開第2012/066546号、2017/037717号及び国際公開第2017/037718号で教示された操作に追加することができるか又は代わりになることができるパロマミンコアの代表的な操作には、6’位へのヒドロキシアルキル基の導入、環Iの4’位と5’位の間の二重結合に有する不飽和環での置換、及び、様々な部位でのアシル基の導入が含まれる。
【0025】
国際公開第2017/037719号は、パロマミンコアに、リードスルー活性の強化並びに毒性及び抗菌活性の低減につながる追加の操作を導入することにより、哺乳類細胞に対し低細胞毒性及び低抗菌活性を示し、高い未成熟終止コドン変異リードスルー活性を示すように設計された別のパロモマイシンに由来するアミノグリコシドをさらに開示する。
【0026】
Huthら(J. Clin. Invest. 125, 583-92 (2015))は、有毛細胞に存在するカチオン性チャネルであるメカノトランスデューサー(MET)チャネルが、蝸牛へのアミノグリコシドの侵入に直接関与するという仮説を立て(背景技術、図1)、AGのこれらのチャネルを介する侵入の防止/阻害により、薬物の聴器副作用を大幅に低減できることを示唆した。この仮説をテストするために、AGであるシソマイシンの総正電荷を、1つのアミノ基又は2つのアミノ基の同時アシル化により減少させた、すなわち、シソマイシンの環IIのN1、環IIIのN3、及びN1とN3の両方のアシル化を行い、9種類の化合物の抗菌活性とMETチャンネルの阻害を評価した。N1-メチルスフォニル修飾シソマイシンは、親抗生物質であるシソマイシンの抗菌活性と同様の抗菌活性を維持しながら、聴器毒性を著しく低下させることが判明した。
【0027】
追加の背景技術は、Sabbavarapuら, Med. Chem. Commun., 2018, 9, 503;Nudelman, I.ら, Bioorg Med Chem Lett, 2006. 16(24): p. 6310-5;Hobbie, S.N.ら, Nucleic Acids Res, 2007. 35(18): p. 6086-93;Kondo, J.ら, Chembiochem, 2007. 8(14): p. 1700-9;Rebibo-Sabbah, A.ら, Hum Genet, 2007. 122(3-4): p. 373-81;Azimov, R.ら, Am J Physiol Renal Physiol, 2008. 295(3): p. F633-41;Hainrichson, M.ら, Org Biomol Chem, 2008. 6(2): p. 227-39;Hobbie, S.N.ら, Proc Natl Acad Sci U S A, 2008. 105(52): p. 20888-93;Hobbie, S.N.ら, Proc Natl Acad Sci U S A, 2008. 105(9): p. 3244-9;Nudelman, I.ら, Adv. Synth. Catal., 2008. 350: p. 1682-1688;Nudelman, I.ら, J Med Chem, 2009. 52(9): p. 2836-45;Venkataraman, N.ら, PLoS Biol, 2009. 7(4): p. e95;Brendel, C.ら, J Mol Med (Berl), 2010. 89(4): p. 389-98;Goldmann, T.ら, Invest Ophthalmol Vis Sci, 2010. 51(12): p. 6671-80;Malik, V.ら, Ther Adv Neurol Disord, 2010. 3(6): p. 379-89;Nudelman, I.ら, Bioorg Med Chem, 2010. 18(11): p. 3735-46;Warchol, M.E., Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg, 2010. 18(5):
p. 454-8;Lopez-Novoa, J.M.ら, Kidney Int, 2011. 79(1): p. 33-45;Rowe, S.M.ら, J Mol Med (Berl), 2011. 89(11): p. 1149-61;Vecsler, M.ら, PLoS One, 2011. 6(6): p. e20733;米国特許第3897412、4024332、4029882及び3996205明細書;Greenbergら, J. Am. Chem. Soc., 1999, 121, 6527-6541;Kotraら, antimicrobial agents and chemotherapy, 2000, p. 3249-3256;Haddadら, J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 3229-3237;Kandasamy, J.ら, J. Med. Chem. 2012, 55, pp. 10630-10643;Duscha, S.ら, MBio, 2014, 5(5), p. e01827-14;Shulman, E.ら, J Biol Chem., 2014, 289(4), pp. 2318-30;Simonsonら, ChemBioChem 3, 1223-28, 2002;Shalevら, PNAS 110, 13333-338, (2013),;M. Yusopovら, Nature 513, 517-22 (2014);Perez-Fernandez, D.ら at. Nature Commun. 5, 3112 (2014); Kato, T.ら ACS Infect. Dis. 1, 479-486 (2016);Schalevら Nucleic Acids Research, 43(17), 8601-8613 (2015);Sabbavarapuら ACS Med. Chem. Lett. 7, 418-423 (2016);Bidouら RNA Biology 14, 378-388 (2017);仏国特許発明第2427341号明細書;特開平4-46189号公報;Keelingら, PLoS ONE 8(4): e60478, 2013及びAlroyら, Abstracts / Molecular genetics and metabolism 2018, 123(2):S18.を含む。これらの全ての文献の教示は、本明細書に完全に記載されているかのように、参照により組み込まれる。
【0028】
発明の概要
本発明は、遺伝子疾患の治療に有益に使用でき、高い未成熟終止コドン変異リードスルー活性、哺乳類細胞に対する低毒性、低抗菌活性、並びに改善されたバイオアベイラビリティ及び/又は細胞透過性を示すアミノグリコシドに関する。現在開示されているアミノグリコシドは、パロモマイシンの環I、II及び場合によりIIIに基づくコア構造を特徴とする。
【0029】
本発明の一態様によれば、本明細書に記載の式A又はBでまとめて表される化合物が提供される。
【0030】
本発明の一態様によれば、一般式I:
【0031】
【化4】
【0032】
(式中、破線は、6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、及び置換又は未置換アリールから選択され;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORxから選択され、ここで、Rxは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール、及びアシルから選択されるか、又は、Rは前記ORxであってRと共にジオキサンを形成し;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORyから選択され、ここで、Ryは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール、及びアシルから選択されるか、又は、Rは前記ORyであってRと共にジオキサンを形成し;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択され、
但し、R~Rの少なくとも1つはスルホニルである)
で表される化合物が提供される。
【0033】
本明細書に記載された態様によれば、Rはスルホニルで、化合物が式Ia:
【0034】
【化5】
【0035】
(式中、R~R、R及びRは、式Iで定義したとおりで、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0036】
本明細書に記載された態様によれば、R’は置換アルキル及び未置換アリールから選択される。
【0037】
本明細書に記載された態様によれば、R’はメチルである。
【0038】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれ水素である。
【0039】
本明細書に記載された態様によれば、RはORxであり、Rxは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される。
【0040】
本明細書に記載された態様によれば、RはORyであり、Ryは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される。
【0041】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRは一緒になってジオキサンを形成する。
【0042】
本明細書に記載された態様によれば、本明細書に記載の式Ic又はIdで表される化合物が提供される。
【0043】
本発明の一態様によれば、一般式I
【0044】
【化6】
【0045】
(式中、破線は、6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、及び置換又は未置換アリールから選択され;
はORxであり、ここで、Rxは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
はORyであり、ここで、Ryは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択され、
前記ORx及び前記ORyは、R及びRが一緒になってジオキサンを形成するように互いに結合する)
で表される化合物が提供される。
【0046】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサンは、置換又は未置換の1,3-ジオキサンである。
【0047】
本明細書に記載された態様によれば、化合物は、式Ia:
【0048】
【化7】
【0049】
(式中、R、R~R及びR~Rは、式Iで定義されたとおりであり、かつ、
Rwは、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)で表される。
【0050】
本明細書に記載された態様によれば、Rwは、置換又は未置換アルキル及び置換又は未置換アリールから選択される。
【0051】
本明細書に記載された態様によれば、R~Rは、それぞれ水素である。
【0052】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれ水素であり、Rは水素、アシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール、置換又は未置換アリール、アミノ置換α-ヒドロキシアシル及びスルホニルから選択される。
【0053】
本明細書に記載された態様によれば、Rはアシルである。
【0054】
本明細書に記載された態様によれば、Rはスルホニルで、化合物が式Ib:
【0055】
【化8】
【0056】
(式中、Rw、R、R~R、R及びRは、式Iで定義されたとおりであり、かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0057】
本明細書に記載された態様によれば、R~RのそれぞれがORzである。
【0058】
本明細書に記載された態様によれば、R~RのそれぞれがORzであり、かつ、それぞれのR~Rにおいて、Rzが水素である。
【0059】
本明細書に記載された態様によれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが単糖又はオリゴ糖である。
【0060】
本明細書に記載された態様によれば、RはORzであり、Rzは単糖である。
【0061】
本明細書に記載された態様によれば、単糖は式II:
【0062】
【化9】
【0063】
(式中、波線は結合位置を示し;
破線は、5’’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;
12は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択され;かつ、
14及びR15のそれぞれは、独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール、スルホニル、及び細胞透過性基から選択され、又は、R14及びR15は一緒になって複素環を形成する)
で表される。
【0064】
本明細書に記載された態様によれば、RはORzであり、かつ、Rzは式IIで表される単糖で、前記化合物が式III:
【0065】
【化10】
【0066】
(式中、R~R及びR~Rは、それぞれ式I又は式Iaで定義されたとおりであり;かつ、
10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ式IIで定義されたとおりである)
で表される。
【0067】
本明細書に記載された態様によれば、Rはスルホニルで、化合物が式IIIa:
【0068】
【化11】
【0069】
(式中、R~R、R、R及びRは、式I又は式Iaで定義されたとおりであり、
10、R11、R12、R14及びR15は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0070】
本明細書に記載された態様によれば、RはORxであり、Rxは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される。
【0071】
本明細書に記載された態様によれば、RはORyであり、Ryは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される
本明細書に記載された態様によれば、R及びRは一緒になってジオキサンを形成する。
【0072】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれ独立してORzである。
【0073】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれRzであり、Rzは水素である。
【0074】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRは、それぞれ水素である。
【0075】
本明細書に記載された態様によれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0076】
本明細書に記載された態様によれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、かつ、R12は、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択される。
【0077】
本明細書に記載された態様によれば、R12は置換又は未置換アルキルである。
【0078】
本明細書に記載された態様によれば、R12はメチルである。
【0079】
本明細書に記載された態様によれば、化合物は、以下に示したNB74-MeS、NB74-PhS、NB124-MeS及びNB124-PhSから選択される。
【0080】
本明細書に記載された態様によれば、RはORzであり、かつ、Rzは式IIで表される単糖で、前記化合物が式III
【0081】
【化12】
【0082】
(式中、R~R及びR~Rは、それぞれ式I又はIa又はIbで定義されたとおりであり;かつ、
10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ式IIで定義されたとおりである)
で表される。
【0083】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサンは、置換又は未置換の1,3-ジオキサンであり、化合物は式IIIa:
【0084】
【化13】
【0085】
(式中、R、R、R及びR~Rは、それぞれ式I又はIa又はIbで定義されたとおりであり;
10、R11、R12、R14及びR15は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
Rwは、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0086】
本明細書に記載された態様によれば、Rwは、置換又は未置換アルキル及び置換又は未置換アリールから選択される。
【0087】
本明細書に記載された態様によれば、R~Rはそれぞれ水素である。
【0088】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれ水素であり、ここで、Rは水素、アシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール、置換又は未置換アリール、アミノ置換α-ヒドロキシアシル及びスルホニルから選択される。
【0089】
本明細書に記載された態様によれば、Rはアシルである。
【0090】
本明細書に記載された態様によれば、Rはスルホニルで、化合物が式IIIb:
【0091】
【化14】
【0092】
(式中、Rw、R、R、R、R、及びRは、式Ibで定義されたとおりであり;
10、R11、R12、R14及びR15は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0093】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれ独立してORzである。
【0094】
本明細書に記載された態様によれば、R及びRはそれぞれRzであり、Rzは水素である。
【0095】
本明細書に記載された態様によれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0096】
本明細書に記載された態様によれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、かつ、R12は、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択される。
【0097】
本明細書に記載された態様によれば、R12は置換又は未置換アルキル、例えば、メチルである。
【0098】
本明細書に記載された態様によれば、Rは置換又は未置換アルキルである。
【0099】
本明細書に記載された態様によれば、Rはメチルである。
【0100】
本発明の一態様によれば、式IV:
【0101】
【化15】
【0102】
(式中、Yは酸素及び硫黄から選択され;
16は、水素、アミン又はORqから選択され;
Rqは、水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、かつ、Rzは、水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択される)
で表される化合物が提供される。
【0103】
本明細書に記載された態様によれば、Yは酸素である。
【0104】
本明細書に記載された態様によれば、R16はアミンである。
【0105】
本明細書に記載された態様によれば、R16はORqで、Rqは水素である。
【0106】
本明細書に記載された態様によれば、R~Rは、それぞれ独立してORzである。
【0107】
本明細書に記載された態様によれば、R~R、Rzのそれぞれは水素である。
【0108】
本明細書に記載された態様によれば、R~Rは、それぞれ水素である。
【0109】
本明細書に記載された態様によれば、化合物は図10に示すNB160及びNB161から選択される。
【0110】
本明細書に記載された態様によれば、少なくとも1つのR~RはORzで、Rzは単糖又はオリゴ糖である。
【0111】
本明細書に記載された態様によれば、Rzは、本発明の態様のいずれかで定義される式IIによって表される単糖である。
【0112】
本明細書に記載された態様によれば、RはORzであり、かつ、Rzは式IIで表される単糖で、前記化合物が式IVa:
【0113】
【化16】
【0114】
(式中、破線は、5’’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
Y、R、R及びR~Rは、それぞれ式IVで定義されたとおりであり;
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;
12は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択され;かつ、
14及びR15のそれぞれは、独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール、スルホニル、及び細胞透過性基から選択され、又は、R14及びR15は一緒になって複素環を形成する)
である。
【0115】
本明細書に記載された態様によれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれは水素である。
【0116】
本明細書に記載された態様によれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれは水素であり、R12アルキルである。
【0117】
本明細書に記載された態様によれば、化合物は図10に示すNB162、NB163、NB164及びNB165から選択される
本発明の態様によれば、本明細書に記載された化合物の製造方法が提供され、以下に記載される一般的な説明及び代表的な手順に従って行われる。
【0118】
本発明の一態様によれば、本明細書に記載された化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が提供される。
【0119】
本明細書に記載された態様によれば、薬学的組成物は、未成熟終止コドントランケーション変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患の治療に使用するためである。
【0120】
本明細書に記載された態様によれば、
薬学的組成物は包装材料に包装され、包装材料の中又は上に印刷されて識別される、未成熟終止コドントランケーション変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患の治療に使用するためのものである。
【0121】
本発明の一態様によれば、必要とする対象に治療有効量の本明細書に記載された化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)を投与することを含む、未成熟終止コドントランケーション変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患を治療する方法が提供される。
【0122】
本発明の一態様によれば、未成熟終止コドントランケーション変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患の治療に使用するための、本明細書に記載された化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)が提供される。
【0123】
本発明の一態様によれば、未成熟終止コドントランケーション変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患の治療のための医薬品の製造における、本明細書に記載された化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)の使用が提供される。
【0124】
本明細書に記載された態様によれば、遺伝子疾患は、嚢胞性線維症(CF)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、毛細血管拡張性運動失調症、ハーラー症候群、血友病A、血友病B、アッシャー症候群、テイ-サックス病、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、先天性筋ジストロフィー(CMD)、第VII因子欠乏症、家族性心房細動、良性家族性天疱瘡、糖原病V型、ムコ多糖症、腎性シスチン症、多発性嚢胞腎、レット症候群、脊髄性筋萎縮症(SMA)、シスチン蓄積症、重症型表皮水疱症、ドラベ症候群、X連鎖性腎性尿崩症(XNDI)、X連鎖性網膜色素変性症及び癌からなる群から選択される。
【0125】
本発明の一態様によれば、本明細書に記載の化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)の存在下で遺伝子をタンパク質に翻訳することを含む、未成熟終止コドン変異を有する遺伝子の発現量を増加させる方法が提供される。
【0126】
本発明の一態様によれば、未成熟終止コドン変異を有する遺伝子の発現量を増加させるのに使用するための本明細書に記載の化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)が提供される。
【0127】
本発明の一態様によれば、未成熟終止コドン変異を有する遺伝子の発現量を増加させるための医薬品の製造における、本明細書に記載の化合物(例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)の使用が提供される。
【0128】
本明細書に記載された態様によれば、未成熟終止コドン変異は、UGA、UAG、UAAからなる群から選択されるRNAコードを有する。
【0129】
本明細書に記載された態様によれば、タンパク質は細胞質翻訳系で翻訳される。
【0130】
本明細書に記載された態様によれば、化合物は突然変異抑制量で使用される。
【0131】
本明細書に記載された態様によれば、真核生物の細胞質翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50は、リボソーム翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50より大きい。
【0132】
本明細書に記載された態様によれば、真核生物の細胞質翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50は、原核生物の翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50より大きい。
【0133】
本発明の一態様によれば、ナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)の減衰及び/又はNMDの減衰が有益である疾患又は障害(例、癌)の治療に使用するための本明細書に記載の化合物例、式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IIIa及びIIIbで表される化合物を含む、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIの化合物)が提供される。
【0134】
特に定義がない限り、ここで使用される全ての技術用語及び/又は科学用語はいずれも、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同一の意味を有する。ここに記載されているものに類似した、又はそれに等しい方法及び材料を、本発明の態様の実施又は試験に使用できるが、代表的な方法及び/又は材料が、以下に記載されている。矛盾する場合、定義を含めて、本特許明細書が優先される。さらに、材料、方法及び実施例は、例証に過ぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0135】
本発明の一部の態様は、添付の図面を参照し、実施例としてのみここに記載される。ここで図面について詳細に具体的に言及すると、示されている事項は一例であり、また、本発明の態様の例証的考察の目的のためであることが強調される。この点において、図面の説明は、本発明の態様がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0136】
図1図1(背景技術)は、アミノグリコシドのシソマイシンの構造(左)、及びHuthら, J. Clin. Invest. 125, 583-92 (2015)で報告されたMETチャネルがカチオンチャネルとして機能することを示す概略図(A、右)を示す。
図2図2は、本明細書においてセット1及びセット2構造とも呼ばれる、本発明のある態様に従う、N1位での置換を特徴とする代表的な化合物の化学構造を示す。
図3図3は、本発明のある態様に従う、N1位での置換を特徴とし、本明細書においてセット1及びセット2構造とも呼ばれる、代表的な化合物の製造のための一般的な合成経路を説明するスキームを示す。
図4図4は、N1位での置換を特徴とする代表的な受容体の合成を説明するスキームを示す。
図5図5は、本発明の代表的な態様に従うN1位での置換を特徴とする擬似三糖アミノグリコシドの代表的な合成を説明するスキームを示す。
図6図6は、本発明の代表的な態様に従う、N1位での置換を特徴とする擬似アミノ二糖の代表的な合成を説明するスキームを示す。
図7図7は、本発明のある態様に従う、図2に示すN1位での置換を特徴とする代表的な化合物の、それぞれの親化合物(N1位での置換を欠く)と比較した、in vitroリードスルー活性データを示す比較プロットを示す。図7A及び7Bは、R3X変異(図7A)及びG542X変異(図7B)のリードスルーにおけるNB74、NB74-MeS、NB74-PhS及びNB74-Acの活性を示す。図7C及び7Dは、R3X変異(図7C)及びG542X変異(図7D)のリードスルーにおけるNB124、NB124-MeS及びNB124-Acの活性を示す。変異R3X及びG542Xは、それぞれ、遺伝病アッシャー症候群及びCFのナンセンス変異コンテクスト構築物(それぞれ、UGAC及びUGAG)を表す。
図8図8は、試験アミノグリコシドの関数としての、失われた外有毛細胞の用量応答曲線を示す;NB74-MeS(上左)、NB74-Ac(上中央)、NB74-PhS(上右)、NB124-Ac(下左)及びNB124-MeS(下右)。有毛細胞の損失を蝸牛移植片の全長にわたり定量化し、有毛細胞の50%損失濃度(LC50 Coch)をGrafit5ソフトウェアで示した。
図9図9は、本発明の態様による代表的なアミノグリコシド化合物の存在下での、蝸牛移植片における有毛細胞損失を示す。マウスのコルチ器官の移植片を薬物とともに72時間インキュベートし、アクチンで染色した。未処理の対照移植片(図9A)、及び15μMのNB124(図9B)、150μMのNB124-Ac(図9C)並びに15μMのNB124-MeS(図9D)で処理した移植片の基底部セクションを示し、NB124-MeS及びNB124-Acは本質的に正常な形態である。図9Dにおける矢印は、外有毛細胞が欠落している小さな領域を指す。
図10図10は、本発明のある態様に従う、6’位にカルボキシル基含有置換基(例えば、カルボキシレート及びアミド)を有することを特徴とする代表的な化合物の化学構造を示す。
図11図11は、本発明のある態様に従う6’位にカルボキシル含有置換基(例えば、カルボキシレート及びアミド)を有することを特徴とする、代表的な受容体化合物及び代表的な擬似二糖化合物の製造のための代表的な合成経路を説明するスキームを示す。
図12図12は、本発明のある態様に従う6’位にカルボキシル含有置換基(例えば、カルボキシレート及びアミド)を有することを特徴とする、擬似三糖アミノグリコシドの代表的な合成を説明するスキームを示す。
図13図13は、本明細書においてセット3及びセット4構造とも呼ばれる、本発明のある態様に従う、4’位での又は4’及び6’位での置換を特徴とする代表的な化合物の化学構造を示す。
図14図14は、本明細書においてセット5及びセット6構造とも呼ばれる、本発明のある態様に従う、4’位での又は4’及び6’位での置換、及び、N1位での置換を特徴とする代表的な化合物の化学構造を示す。
図15図15は、本明細書においてセット4とも呼ばれる、本発明のある態様に従う、4’及び6’位での置換を特徴とする代表的な化合物の製造のための一般的な合成経路を説明するスキームを示す。
図16図16は、本発明のある態様に従う、4’及び6’位での置換を特徴とする受容体化合物の製造のための代表的な合成経路を説明するスキームを示す;挿入図に、本発明のある態様に従う代表的な供与体化合物の構造を示す。
図17図17は、本明細書においてセット4とも呼ばれる、本発明のある態様に従う、4’位での置換を特徴とする、代表的な化合物の製造のための一般的な合成経路を説明するスキームを示す。
図18A図18Aは、本発明のある態様に従う、4’位での置換を特徴とする受容体化合物の製造のための代表的な合成経路を説明するスキームを示す。
図18B図18Bは、本発明のある態様に従う、4’位での置換を特徴とする受容体化合物の製造のための代表的な合成経路を説明するスキームを示す。
図19図19は、本明細書においてセット5及びセット6構造とも呼ばれる、本発明のある態様に従う、4’位での又は4’及び6’位での置換、及び、N1位での置換を特徴とする代表的な化合物の製造のための一般的な合成経路を説明するスキームを示す。
図20図20は、本発明のある態様に従う4’及び6’位での置換、及び、N1位での置換を特徴とする受容体化合物の代表的な合成を説明するスキームを示す。詳細な説明 本発明は、そのいくつかの実施の態様では、アミノグリコシドに関し、より詳細には、しかし限定するものではないが、新規なアミノグリコシド誘導体、及び終止コドン変異を有する遺伝子の発現の増加及び/又は遺伝子疾患の治療におけるその使用に関する。
【0137】
具体的には、本発明は、そのいくつかの実施の態様では、パロモマイシンに由来し、高い未成熟終止コドン変異リードスルー活性を示し、そして、哺乳動物細胞における毒性、例えば聴器毒性の低下によって特徴付けられる新規のアミノグリコシド化合物に関する。これらの化合物を含む薬学的組成物、及び遺伝子疾患の治療でのその使用も、本発明の態様である。これらの化合物の製造方法も本発明の態様である。
【0138】
本発明の原理及び作用は、図面及び詳細な説明を参照し、よく理解できる。
【0139】
この発明の少なくとも1つの態様を詳細に説明する前に、本発明は、その応用において、以下の詳細な説明又は実施例に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の態様とすること、又は様々な手段で実施若しくは実行されることが可能である。本明細書で使用される言い回し及び用語は説明を目的とするものであって、限定と見なされるべきではないことも理解されたい。
【0140】
上述したように、治療薬としてのアミノグリコシドの使用は、主にその高い毒性のために制限されている。遺伝子疾患の治療では、アミノグリコシドが示す抗菌活性が毒性とも解釈できるので、そのような使用はさらに制限される。
【0141】
アミノグリコシドに関するさらなる制限には、静脈内投与又は皮下投与が一般に必要とされる低いバイオアベイラビリティと、有害な副作用に関連付けられる高用量の投与が一般に必要とされる真核細胞への低い透過性が含まれる。アミノグリコシドの高い水溶性と極性は、腸組織からの吸収と細胞膜透過性を制限すると想定される。
【0142】
さらに上述したように、パロマミンの化学構造の修飾により、哺乳類細胞に対して低毒性で、改善された未成熟終止コドン変異のリードスルー活性を発揮する合成アミノグリコシドが生み出された。本明細書に完全に記載されているかのように、参照により組み込まれる、国際公開第2007/113841号、国際公開第2012/066546号、国際公開第2017/037717号、国際公開第2017/037718号、国際公開第2017/037719号及び国際公開第2017/118968号が、このようなアミノグリコシドについて説明する。これらの公報に開示されている2つの有望な薬物候補はNB74及びNB124で、それらの構造を以下に示す。
【0143】
【化17】
【0144】
遺伝子疾患に対する治療効果のさらに改善しようとしてそのようなアミノグリコシドの構造活性相関をさらに解読しながら、本発明者らは、パロマミンの様々な部位でさらなる修飾を数多く行い、それは、本明細書では式A、B、I、I、III、III、IV及びIVaで表される。本発明者らは、改善された治療指数、すなわち、パロマミンコアを有する以前に開示された修飾アミノグリコシド(例、NB74及びNB124)の活性と少なくとも同程度のリードスルー活性を示すが毒性(例、聴器毒性)が減少しているという指数、を有する化合物を見出すことを目的として、以前に開示されたアミノグリコシドと特に比較した場合のこれらの化合物のリードスルー活性及び毒性における修飾の効果を研究した。
【0145】
本発明を実行し、代表的な新規アミノグリコシドが設計され、成功裏に実施された。以下の実施例で示されるように、これらの化合物は、疾患を引き起こすナンセンス変異の高いリードスルー活性と減少した毒性を有することが示された。
【0146】
より具体的には、図2に示すパロマミンコアを有する擬似二糖及び三糖のN1位にスルホニル基を有する代表的な化合物(任意選択的に、前述のパロマミンコアの修飾が追加されている)は、図7A~Dに示すように以前に開示されたアミノグリコシド(例、NB74及びNB124、前掲)の高いリードスルー活性を少なくとも維持し、図8及び9A~Dに示すように、実質的に低下した聴器毒性をさらに示すことが、実証されている。
【0147】
図14に示す任意選択的にN1位のスルホニル置換と組み合わせた、図10及び13に示す4’及び/又は6’位の修飾を有する代表的な化合物の検討と実行も行われている。
【0148】
したがって、本発明の態様は、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVaで表される新規なアミノグリコシド(AMG)化合物(本明細書では「アミノグリコシド誘導体」又は「修飾アミノグリコシド」とも呼ばれる)、その製造方法、及び未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション変異のリードスルーの誘発剤としてのその使用とそれに基づく当該変異に関連する遺伝子疾患及び障害の治療に関する。
【0149】
化合物
本実施態様の新規なアミノグリコシド誘導体は、上述したようにパロマミンコアを有し、アミノグリコシドが擬似三糖である場合の前述したC6’、C5、N1及び5’における修飾のような任意選択的な修飾と組み合わせて、C4’、C6’及びN1の少なくとも一か所以上に少なくとも修飾が導入される。
【0150】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、N1位での修飾を特徴とし、これらの態様のいくつかによれば、N1位のアミンはアシルにより、又はスルホニルにより置換される。そのようなAMG化合物は、本明細書においてN1置換化合物とも呼ばれる。代表的なそのような化合物は、本明細書においてセット1及びセット2化合物として示される(例、図2)。
【0151】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、N1位、N2’位、N3位の一か所以上で、及び任意に擬似三糖の場合、N5’’位での修飾を特徴とし、これらの態様のいくつかによれば、これらの部位の1以上のアミンはアシルにより、又はスルホニルにより置換される。そのようなAMG化合物は、本明細書においてアミン置換化合物とも呼ばれる。
【0152】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、C4’位での修飾を特徴とし、これらの態様のいくつかによれば、AMG化合物は、C4’位にアルコキシ又はアリールオキシを有する。そのようなAMG化合物は、本明細書においてC4’修飾化合物とも呼ばれる。代表的なそのような化合物は、本明細書においてセット4及びセット6化合物として示される(例、それぞれ、図13及び14)。
【0153】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、C4’位及びC6’位での修飾を特徴とし、これらの態様のいくつかによれば、本明細書で定義されるように、C4’及びC6’はジオキサン環の一部を形成する。そのようなAMG化合物は、本明細書においてC4’C6’修飾化合物とも呼ばれる。代表的なそのような化合物は、本明細書においてセット3及びセット5化合物として示される(例、それぞれ、図13及び14)。
【0154】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、C6’位での修飾を特徴とし、これらの態様のいくつかによれば、AMGは、C6’位にカルボキシル含有基(例、本明細書で定義されるカルボキシレート又はアミド)を特徴とする。そのようなAMG化合物は、本明細書においてC6’修飾化合物とも呼ばれる。
【0155】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、N1位、N2’位、N3位の一か所以上、及び任意に擬似三糖の場合、N5’’位での修飾と組み合わせた、本明細書に記載のC4’位、C4’位及びC6’位又はC6’位での修飾を特徴とする。代表的なそのような化合物は、本明細書においてセット5及びセット6化合物として示される(例、図14)。
【0156】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、上述したように、可能な場合、C6’位にアルキル、シクロアルキル又はアリール基を導入する、C6’位でのパロマミンコアの修飾をさらに特徴とする。
【0157】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、擬似二糖類である。
【0158】
本発明のある態様によれば、本明細書に記載されたAMG誘導体は、擬似二糖類で、それにより、単糖を導入することによるパロマミンコアのさらなる修飾を特徴とする。これらの態様のいくつかでは、AMGは、上述したのように、5’’位にアルキル、シクロアルキル又はアリール基を導入する、5’’位での修飾をさらに特徴とする。
【0159】
本発明の態様によれば、式A:
【0160】
【化18】
【0161】
(式中、破線は、(R及びRが水素以外の場合)6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールから選択され;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORxから選択され、ここで、Rxは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール及びアシルから選択されるか、又は、本明細書の態様に記載されているように、R及びRは一緒になってジオキサン環を形成し;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORyから選択され、ここで、Ryは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール及びアシルから選択されるか、又は、本明細書の態様に記載されているように、R及びRは一緒になってジオキサンを形成し;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択され、
ここで、
(i) R~Rの少なくとも1つがスルホニルであり;及び/若しくは、
(ii) R~Rの少なくとも1つがアシルであり、
そのため、本明細書に記載されたAMG化合物は、N1、N3及びN2’位の1以上のアミンが修飾されており、
並びに/又は、
(iii) 本明細書の定義に記載されているように、R2及びR3は一緒になってジオキサン環を形成し;若しくは、
(iv) Rは本明細書に記載のORzで、Rzは置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール及び置換若しくは未置換アルカリールから選択され、
そのため、本明細書に記載されたAMG化合物は、C4’位若しくはC4’及びC6’位が修飾されている)
で表されるAMG化合物が提供される。
【0162】
本明細書に記載された態様によれば、この態様によるAMG化合物は、
(i) R~Rの少なくとも1つがスルホニルであり;及び/又は、
(iii) 本明細書の定義に記載されているように、R2及びR3は一緒になってジオキサン環を形成する、
という条件で、本明細書に記載の式Aによって表される。
【0163】
本明細書に記載された態様によれば、この態様によるAMG化合物は、
(i) R~Rの少なくとも1つがアシルであり、及び、
(iii) 本明細書の定義に記載されているように、R2及びR3は一緒になってジオキサン環を形成し;又は、
(iv) Rは本明細書に記載のORzで、Rzは置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール及び置換若しくは未置換アルカリールから選択される、
という条件で、本明細書に記載の式Aによって表される。
【0164】
本明細書に記載された態様によれば、この態様によるAMG化合物は、
(i) R~Rの少なくとも1つがスルホニルであり;及び/又は、
(ii) R~Rの少なくとも1つがアシルであり、並びに、
(iv) Rは本明細書に記載のORzで、Rzは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択される、
という条件で、本明細書に記載の式Aによって表される。
【0165】
本明細書に記載された態様によれば、この態様によるAMG化合物は、
(ii) R~Rの少なくとも1つがアシルであり、及び、
(iv) Rは本明細書に記載のORzで、Rzは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択される、
という条件で、本明細書に記載の式Aによって表される。
【0166】
本明細書全体を通して、1つ以上のR~Rがスルホニルである態様において、「スルホニル」という用語は、-S(=O)-R’基であり、R’は、1つ以上のスルホニル基は、独立して、水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール又は置換又は未置換アルカリールである。
【0167】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、スルホニルはアルキルスルホニルであり、R’は置換又は未置換アルキルである。これらの態様のいくつかでは、アルキルは未置換アルキルである。これらの態様のいくつかでは、アルキルの炭素原子の長さは、1~10、1~8、1~6又は1~4である。ある態様では、アルキルはメチルである。
【0168】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、スルホニルはアリールスルホニルであり、R’は置換又は未置換アリール(例、フェニル)である。これらの態様のいくつかでは、アリールは未置換アリール(例、未置換フェニル)である。
【0169】
本明細書全体を通して、1つ以上のR~Rがスルホニルである態様において、2つ以上のR~Rがそれぞれスルホニルである場合、スルホニル基は同じ(各スルホニルのR’は同じである)であっても、異なって(2つ以上のスルホニル基のR’は異なる)いてもよい。
【0170】
本明細書において「ジオキサン環」又は「ジオキサン部分」とも呼ばれる「ジオキサン」という用語は、本明細書全体を通して、環の一部を形成する少なくとも2つの酸素を含む、本明細書で定義されるヘテロ脂環式基又は部分を指す。R及びRがジオキサンを形成する態様において、環は、好ましくは少なくとも6個の原子を有し、6員、7員、8員、9員、10員、又はそれ以上の環であってもよい。R及びRがジオキサンを形成する態様において、ジオキサンは、2つの酸素原子が1つの炭素原子で分離されている1,3-ジオキサンである。あるいは、ジオキサン中の2つの酸素原子は、2、3、4又は5以上の炭素原子により分離されていてもよい。
【0171】
本明細書全体を通して、「R及びRは一緒になってジオキサンを形成する」という用語は、Rが本明細書で定義されたORxで、Rが本明細書で定義されたORyで、Rx及びRyが互いに結合してジオキサンを形成することを意味する。R及びRがジオキサンを形成する場合、Rx及びRyはいずれも水素ではない。R及びRがジオキサンを形成する場合、ジオキサンの少なくとも2つの酸素原子はORx及びORyに由来する。ジオキサン中の酸素原子を分離する炭素原子の数は、Rx及び/又はRyにより決まる。ORx及びORyが互いに結合して1,3-ジオキサンを形成する場合、Rx及びRyの一方はメチルで、もう一方は存在しない。
【0172】
及びRがジオキサンを形成する態様の一部において、Rz及びRyは、本明細書で定義される炭化水素基又は部分を形成し、ORx及びORyに由来する少なくとも2つの酸素原子を連結する。
【0173】
本明細書において、「炭化水素」又は「炭化水素ラジカル」という用語は、基本骨格として炭素原子鎖を含む有機基を指し、本明細書では主に水素原子で置換された骨格鎖とも呼ばれる。炭化水素は、飽和でも不飽和であってもよく、脂肪族、脂環式及び/又は芳香族基で構成されてもよく、1つ以上の置換基(水素以外)で置換されていてもよい。置換炭化水素は1つ以上の置換基を有してもよく、各置換基は独立して、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハライド、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、アジド、スルホンアミド、カルボキシ、チオカルバメート、尿素、チオ尿素、カルバメート、アミド及びヒドラジン、並びに本明細書に記載された他の置換基であってもよい。
【0174】
炭化水素基は、1つ以上の窒素(-NR’-について本明細書で定義されるように置換又は未置換)及び/又は硫黄を含むがこれらに限定されない酸素以外の1つ以上のヘテロ原子によって任意に中断されてもよい。
【0175】
炭化水素に関する本明細書に記載の態様では、炭化水素はヘテロ原子によって中断されておらず、また、その骨格鎖にヘテロ原子を含まず、アルキレン鎖であるか、互いに任意の順序で共有結合しているアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケン及び/又はアルキンで構成される。
【0176】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R及びRは、本明細書では複素環アセタールとも呼ばれる1,3-ジオキサンを形成する。
【0177】
本明細書全体を通して、本明細書において「環状アセタール」とも呼ばれる「複素環式アセタール」という語句は、アセタール炭素及びそれと結合する2つの酸素原子がヘテロ脂環式環の一部を形成する環状基を指し、言い換えると、この語句は、1つの炭素原子を介して互いに結合する少なくとも2つの酸素原子を含むヘテロ脂環式環を指す。
【0178】
本明細書で用いられる「1,3-ジオキサン」という語句は、一般に、本明細書に定義された、少なくとも酸素原子が同じ炭素原子に結合するジオキサンを指す。この用語は、本明細書に記載されたジオキサン環を含む。
【0179】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、ジオキサンは6員環であり、ある態様では、それは6員1,3-ジオキサン(複素環アセタール)である。その態様では、Rx及びRyは一緒になって、本明細書で定義されるように、置換又は未置換の1個の炭素原子の炭化水素を形成する。
【0180】
本明細書全体を通して、1つ以上のR~Rがアシルである態様において、「アシル」という用語は、-C(=O)-R’基であってR’が本明細書に記載されたものを指す。これらの態様のいくつかでは、アシルはR’が置換若しくは未置換アルキル又は置換若しくは未置換アリールである。これらの態様のいくつかでは、R’は未置換アルキル、好ましくは、炭素原子の長さが1~4の短いアルキルである。これらの態様のいくつかでは、アシルは未置換フェニルなどの未置換アリールである。
【0181】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、化合物は、式Aに示される、環I及び環IIを有する擬似二糖である。
【0182】
これらの態様では、R~Rのいずれも、Rzが単糖又はオリゴ糖であるORzではない。
【0183】
これらの態様のいくつかでは、1つ以上又は全てのR~RがORzであり、かつ、Rzが単糖又はオリゴ糖以外のものである。
【0184】
これらの態様のいくつかでは、1つ以上又は全てのR~RがORzであり、かつ、それぞれのR~RにおけるRzが水素である。これらの態様では、1つ以上又は全てのR~Rが水酸基である。
【0185】
あるいは、R~Rの1つ以上又はすべてがORzであり、R~Rの1つ以上又はすべてにおけるRzが水素以外である。
【0186】
例えば、ある態様では、R~Rの1つ以上又はすべてがORzであり、R~Rの1つ以上又はすべてにおけるRzが、独立して置換されていても未置換であってもよいアルキルである。これらの態様では、1つ以上又は全てのR~Rが本明細書で定義されたアルコキシである。
【0187】
例えば、ある態様では、R~Rの1つ以上又はすべてがORzであり、R~Rの1つ以上又はすべてにおけるRzが、独立して置換されていても未置換であってもよいアリールである。これらの態様では、1つ以上又は全てのR~Rは本明細書で定義されたアリールオキシである。
【0188】
これらの態様のいくつかでは、アリールは未置換であり、非限定的な例として、1つ以上又は全てのR~Rが独立して、フェニルオキシ、1-アントリルオキシ、1-ナフチルオキシ、2-ナフチルオキシ、2-フェナントリルオキシ又は9-フェナントリルオキシであってもよい。
【0189】
これらの態様のいくつかでは、1つ以上のORzにおける1つ以上のアリールは置換アリールであり、1つ以上又は全てのR~Rは、独立して、非限定的な例として、アリールが、2-(N-エチルアミノ)フェニル、2-(N-ヘキシルアミノ)フェニル、2-(N-メチルアミノ)フェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2-アセトアミドフェニル、2-アミノフェニル、2-カルボキシフェニル、2-クロロフェニル、2-エトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-ヒドロキシメチルフェニル、2-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、2-メトキシカルボニルフェニル、2-メトキシフェニル、2-メチルフェニル、2-N,N-ジメチルアミノフェニル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-(N,N-ジブチルアミノ)フェニル、3-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、3-アミノフェニル、3-ビフェニリル、3-カルボキシフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、3-クロロフェニル、3-エトキシカルボニルフェニル、3-エトキシフェニル、3-フルオロフェニル、3-ヒドロキシメチルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、3-イソアミルオキシフェニル、3-イソブトキシフェニル、3-イソプロポキシフェニル、3-メトキシフェニル、3-メチルフェニル、3-N,N-ジメチルアミノフェニル、3-トリル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-(ベンジルオキシ)フェニル、4-(イソプロポキシカルボニル)フェニル、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジヘキシルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジイソプロピルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)フェニル、4-(n-ヘキシルオキシカルボニル)フェニル、4-(N-メチルアミノ)フェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-アミノフェニル、4-ベンジルオキシフェニル、4-ビフェニリル、4-ブトキシフェニル、4-ブチルアミドフェニル、4-カルボキシフェニル、4-クロロフェニル、4-エトキシカルボニルフェニル、4-ヘキサンアミドフェニル、4-ヒドロキシメチルフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ヨードフェニル、4-イソブチルフェニル、4-イソブチルアミドフェニル、4-イソプロポキシフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルフェニル、4-n-ヘキサンアミドフェニル、4-n-ヘキシルオキシフェニル、4-n-ヘキシルフェニル、4-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、4-プロピオンアミドフェニル、4-トリル、4-トリフルオロメチルフェニル、及び/又は、4-バレロイルオキシカルボニルフェニルであるアリールオキシであることができる。
【0190】
これらの態様のいくつかでは、1つ以上又は全てのR~RがORzであり、かつ、Rzが独立して置換されていても未置換であってもよいヘテロアリールである。これらの態様では、1つ以上又は全てのR~Rは本明細書で定義されたヘテロアリールオキシである。
【0191】
ある態様では、1つ以上又は全てのR~Rは、独立して、非限定的な例として、2-アントラニルオキシ、2-フリルオキシ、2-インドリルオキシ、2-ナフチルオキシ、2-ピリジルオキシ、2-ピリミジルオキシ、2-ピリルオキシ、2-キノリルオキシ、2-チエニルオキシ、3-フリルオキシ、3-インドリルオキシ、3-チエニルオキシ、4-イミダゾリルオキシ、4-ピリジルオキシ、4-ピリミジルオキシ、4-キノリルオキシ、5-メチル-2-チエニルオキシ及び6-クロロ-3-ピリジルオキシであってもよい。
【0192】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは、本明細書に記載されたアリールオキシ又はヘテロアリールオキシである。
【0193】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、RはORyであり、Ryは置換又は未置換アルキル又はアルケニル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、プロペニル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル及びメトキシメチルである。
【0194】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、RはORyであり、Ryは水素である。
【0195】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、RはORzであり、Rzは水素である。
【0196】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、RはORzであり、Rzは水素である。
【0197】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上又は全てのR~RはORzである。
【0198】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上又は全てのR~RがORzで、かつ当該1つ以上又は全てのRzが水素以外である場合、Rzは、各R~Rは同じであっても異なっていてもよい。
【0199】
これらの態様のいくつかでは、1つ以上又は全てのR~RはRzが水素以外の場合、Rzは、例えば、独立して、本明細書に記載された任意に置換されていてもよいアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール又はヘテロアリールであってもよい。
【0200】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上又は全てのR~RがORzである場合、Rzは独立して本明細書で定義されたアシルであり、それぞれの位置でエステル(カルボキシレート)を形成する。これらの態様のいくつかでは、1つ以上のR~Rは、本明細書で定義されたスルホニルである。
【0201】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R~Rの1つ以上がアシルである場合、アシルは、R’がアルキル、アルカリール又はアリールであり、そのそれぞれが任意に1つ以上のアミン基で置換される。
【0202】
これらの態様のいくつかでは、アシル中のR’は置換アルキルであり、ある態様では、R’は、アシルがα-ヒドロキシアシルであるように、カルボニル基のα位がヒドロキシ基で置換されている。これらの態様のいくつかでは、少なくとも1つのR~Rはスルホニルであるか、又は、RはORyでRyは水素以外(例、アルキル、アリール、シクロアルキル、又はアルカリール、それぞれ任意に置換されている)であるか、又は、R及びRは、本明細書の態様に記載されているように、一緒になってジオキサンを形成する。
【0203】
ある態様では、α-ヒドロキシアシルは1つ以上のアミン基によりさらに置換されており、アミノ置換α-ヒドロキシアシルである。
【0204】
これらの態様のいくつかでは、本明細書に記載されたアシル基、アミン置換基は、例えば、アシルに関して、R’のβ、γ、δ及び/又はω位の1ヶ所以上にあってもよい。
【0205】
代表的なアミノ置換α-ヒドロキシアシルは、限定するものではないが、本明細書ではAHBとも呼ばれる(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル基を含む。本発明のある態様によれば、AHBの代わりは、α-ヒドロキシ-β-アミノプロピオニル(AHP)であってもよい。さらなる代表的なアミノ置換α-ヒドロキシアシルは、L-(-)-γ-アミノ-α-ヒドロキシブチリル、L-(-)-δ-アミノ-α-ヒドロキシバレリル、L-(-)-β-ベンジルオキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、L-(-)-δ-ベンジルオキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシバレリルを含むがこれらに限定されない。
【0206】
本発明のある態様によれば、いかなる立体化学も示す、低級アルキル基を有するカルボニル基、水酸基及びアミノ基の組合せを含む他の置換基は、例えば、2-アミノ-3-ヒドロキシブタノイル、3-アミノ-2-ヒドロキシペンタノイル、5-アミノ-3-ヒドロキシヘキサノイルなどを含むAHB及び/又はAHPに代わる任意の置換基として考えられることに留意されたい。
【0207】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上R~RがORz以外である。本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上R~Rが水素である。
【0208】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは水素である。
【0209】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは水素である。
【0210】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R及びRは、それぞれ水素である。
【0211】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上R~RがORzであり、Rzが独立して、本明細書で定義された単糖又はオリゴ糖であり、したがって、そのような化合物は、擬似三糖、擬似四糖、擬似五糖、擬似六糖等である。
【0212】
1つ以上のR~RがORzでRzが単糖又はオリゴ糖であり、かつ、1つ以上のR~RはRzが単糖又はオリゴ糖であるORzではない場合には、Rzが単糖又はオリゴ糖であるORzではない1つ以上のR~Rは、R~Rについての各態様について、本明細書に記載されているとおりであり得る。
【0213】
本明細書で使用され、当該技術分野で周知の「単糖」という用語は、加水分解でさらに分解されない単一の糖分子からなる、単純な形態の糖を指す。単糖類の最も一般的な例は、グルコース(デキストロース)、フルクトース、ガラクトース及びリボースを含む。単糖は、炭水化物の炭素原子の数に応じて分類することができる、すなわち、グリセルアルデヒド及びジヒドロキシアセトンのような3個の炭素原子を有するトリオース;エリトロース、トレオース及びエリトルロースなどの4個の炭素原子を有するテトロース;アラビノース、リキソース、リボース、キシロース、リブロース及びキシルロースなどの5個の炭素原子を有するペントース;アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、フルクトース、プシコース、ソルボース及びタガトースなどの6個の炭素原子を有するヘキソース;マンノヘプツロース、セドヘプツロースなどの7個の炭素原子を有するヘプトース;2-ケト-3-デオキシマンノオクトナートなどの8個の炭素原子を有するオクトース;シアロースなどの9個の炭素原子を有するノノース;並びに、10個の炭素原子を有するデコース。単糖は、スクロース(一般的な糖)やその他の多糖(セルロース及びデンプンなど)のようなオリゴ糖の構成要素である。
【0214】
本明細書で使用される「オリゴ糖」という用語は、2つ以上の本明細書で定義される単糖単位を含み、グリコシル結合(-O-)を介して互いに連結された化合物を指す。好ましくは、オリゴ糖は2~6の単糖を含み、より好ましくは、オリゴ糖は2~4の単糖を含み、最も好ましくは、オリゴ糖は2つの単糖を有する2糖である。
【0215】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、単糖は、例えば、式IIで示されるようなペントースである。または、単糖はヘキソースである。あるいは、単糖は、ペントース又はヘキソース以外のもの、例えば、米国特許第3897412号明細書に記載のヘキソースである。
【0216】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、単糖はリボースであり、式II:
【0217】
【化19】
【0218】
(式中、波線は結合位置を示し;
破線は、5’’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及び本明細書で定義されたアシルから選択され;
12は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択され;
14及びR15のそれぞれは、独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール、スルホニル、及び細胞透過性基から選択され、又は、R14及びR15は一緒になって複素環を形成する)
で示される。
【0219】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R12は水素である。
【0220】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R12は水素以外である。これらの態様のいくつかでは、R12はアルキル、シクロアルキル又はアリールであり、そして、ある態様では、R12はアルキル、好ましくは低級アルキル、例えばメチルである。アルキル、シクロアルキル又はアリールは、本明細書で定義されたように置換されていても、未置換であってもよく、好ましくは未置換である。
【0221】
ある態様では、1つ以上のR~RがORzであり、かつ、Rzが単糖又はオリゴ糖である場合、本明細書の態様に記載されているように、単糖又はオリゴ糖の1つ以上の水酸基はアシルで置換され、エステル(カルボキシレート)を形成する。
【0222】
これらの態様のいくつかでは、R10及びR11はの1つ又は両者はアシルであり、それぞれの位置で本明細書に記載されたエステルを形成する。
【0223】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R~Rの1つがORzであり、かつ、Rzが単糖であり、したがって、そのような化合物は、擬似三糖である。
【0224】
本明細書に記載された擬似三糖についての態様のいずれかでは、1つ以上又は全てのR10及びR11は本明細書に記載されたアシルであってもよい。
【0225】
本明細書に記載された擬似三糖についての態様のいずれかでは、1つ以上又は全てのR~RはORzであり、かつ、Rzは、1つのR~Rでは単糖で、かつ、その他のR~Rではここに定義するもの(例、水素)である。
【0226】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R11はRzが単糖であるORzである。
【0227】
これらの態様のいくつかでは、化合物は式B:
【0228】
【化20】
【0229】
で示され、ここで、可変基は、式Aについて本明細書に記載されるとおりで、その任意の組み合わせを含む。
【0230】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは水素である。
【0231】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは水素以外である。
【0232】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rはアルキルであり、ある態様では、それは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル及びイソブチルを含むがこれらに限定されない、炭素原子が1~4の低級アルキルである。
【0233】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは未置換アルキルである。
【0234】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rはメチル(例、未置換メチル)である。
【0235】
または、本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルを含むがこれらに限定されないシクロアルキルである。
【0236】
あるいは、本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは置換又は未置換フェニルのようなアリールである。非限定的な例には、未置換フェニル及びトルエンが含まれる。
【0237】
あるいは、本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは、例えば、置換又は未置換ベンジルのようなアルカリールである。
【0238】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rはアルキル、アルケニル又はアルキニルであり、それらは、置換又は未置換である。
【0239】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは、置換又は未置換であるアリールであるか、又はそれを含む。式A及びBについてのある態様では、Rは未置換アリールであり、非限定的な例としてフェニル、1-アントリル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-フェナントリル又は9-フェナントリルである。
【0240】
式A及びBについてのある態様では、Rは置換アリールで、非限定的な例として、2-(N-エチルアミノ)フェニル、2-(N-ヘキシルアミノ)フェニル、2-(N-メチルアミノ)フェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2-アセトアミドフェニル、2-アミノフェニル、2-カルボキシフェニル、2-クロロフェニル、2-エトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-ヒドロキシメチルフェニル、2-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、2-メトキシカルボニルフェニル、2-メトキシフェニル、2-メチルフェニル、2-N,N-ジメチルアミノフェニル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-(N,N-ジブチルアミノ)フェニル、3-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、3-アミノフェニル、3-ビフェニリル、3-カルボキシフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、3-クロロフェニル、3-エトキシカルボニルフェニル、3-エトキシフェニル、3-フルオロフェニル、3-ヒドロキシメチルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、3-イソアミルオキシフェニル、3-イソブトキシフェニル、3-イソプロポキシフェニル、3-メトキシフェニル、3-メチルフェニル、3-N,N-ジメチルアミノフェニル、3-トリル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-(ベンジルオキシ)フェニル、4-(イソプロポキシカルボニル)フェニル、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジヘキシルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジイソプロピルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)フェニル、4-(n-ヘキシロキシカルボニル)フェニル、4-(N-メチルアミノ)フェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-アミノフェニル、4-ベンジルオキシフェニル、4-ビフェニリル、4-ブトキシフェニル、4-ブチルアミドフェニル、4-カルボキシフェニル、4-クロロフェニル、4-エトキシカルボニルフェニル、4-ヘキサナミドフェニル、4-ヒドロキシメチルフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ヨードフェニル、4-イソブチルフェニル、4-イソブチルアミドフェニル、4-イソプロポキシフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルフェニル、4-n-ヘンキサンアミドフェニル、4-n-ヘキシルオキシフェニル、4-n-ヘキシルフェニル、4-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、4-プロピオンアミドフェニル、4-トリル、4-トリフルオロメチルフェニル又は4-バレロイルオキシカルボニルフェニルであることができる。
【0241】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは置換又は未置換ヘテロアリールであるか、又はそれを含み、非限定的な例として2-アントリル、2-フリル、2-インドリル、2-ナフチル、2-ピリジル、2-ピリミジル、2-ピリル、2-キノリル、2チエニル、3-フリル、3-インドリル、3-チエニル、4-イミダゾリル、4-ピリジル、4-ピリミジル、4-キノリル、5-メチル-2-チエニル及び6-クロロ-3-ピリジルである。
【0242】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは本明細書で定義されたアミンであるか、又はそれを含み、非限定的な例として-NH、-NHCH、-N(CH、-NH-CH-CH-NH、-NH-CH-CH-OH及び-NH-CH-CH(OCHである。本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様のいずれかでは、Rは、ヒドロキシアルキル、例えば、ヒドロキシメチルである。
【0243】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは、RがORxでRxが水素である場合、環Iに「ジオール様」構造を形成するヒドロキシ置換基を含む。
【0244】
例えば、ある態様では、Rは、ヒドロキシ置換基がのヒドロキシORx基から1~6、1~4、1~3又は2炭素原子離れている。
【0245】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは、ヒドロキシ置換アルキル、ヒドロキシ置換アルケニル、ヒドロキシ置換シクロアルキル又はヒドロキシ置換アリールである。
【0246】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rはヒドロキシ置換アルキル又はヒドロキシ置換アルケニルで、ヒドロキシ置換基は末端置換基である。
【0247】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、アルキル又はアルケニルの炭素原子数は、1~10又は1~8、好ましくは1~6又は1~4である。

本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rはヒドロキシアルキルであり、アルキルはさらに置換されていても、されていなくてもよい。
【0248】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rはヒドロキシメチルである。
【0249】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、ヒドロキシ置換アルキル、アルケニル、シクロアルキル又はアリールはさらに置換されていても、されていなくてもよく、例えば、2つ以上の水酸基を含むことができる。
【0250】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、Rは水素である。本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、RはORxであり、Rxは水素である。
【0251】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、RはORxであり、Rxは水素以外である。
【0252】
本明細書に記載された式A及びBについての態様のいずれかでは、RはORxであり、かつ、Rxは本明細書に記載されたアシルで、この位置でエステルを形成する。
【0253】
ある態様では、RはORxであり、かつ、Rxはアルキル、好ましくは、メチル、エチル及びプロピルかならる群から選択される。
【0254】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rはアルキルであり、これらの態様のいくつかでは、Rは置換アルキル、例えば、1つ以上のアミン基により置換されたアルキル(アミノアルキル)である。
【0255】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは、本明細書で定義された置換又は未置換アルキルであるか、本明細書で定義された置換又は未置換シクロアルキルである。
【0256】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは本明細書で定義された置換又は未置換アリールである。
【0257】
とジオキサン環を形成するRに関する上述した態様のいずれかでは、少なくとも1つのR~Rはスルホニルであり、及び/又は、RはORyでRyは水素以外であり、及び/又は、少なくとも1つのR~Rはスルホニルである。
【0258】
式A及びBの態様によれば、アミノグリコシドの1位(R)、3位(R)、2’ 位(R)又は5’’ 位(存在する場合はR14及び/又はR15)におけるアミン置換基の一方又は両方は、R~R並びに存在する場合はR14及びR15の1つ又は複数が水素ではないように修飾される。
【0259】
本明細書全体を通して、水素以外の置換基を有するアミンは、本明細書では「修飾アミン置換基」又は単に「修飾アミン」と呼ばれる。
【0260】
本発明のある態様によれば、アミノグリコシドの1位(R)、3位(R)、2’ 位(R)又は5’’ 位(存在する場合はR14及び/又はR15)における1つ以上のアミン置換基は、アルキル、シクロアルキル、アルカリール及び/若しくはアリールのような疎水性基、又は、生理的pHで正電荷を有し、本明細書で定義されるグアニン若しくはグアニジン基、若しくは、ヒドラジン、ヒドラジド、チオヒドラジド、尿素及びチオ尿素のような、化合物の細胞透過性を高めることができる基(本明細書では、「細胞透過性(cell-permealizable、cell-permealizing)基」とも言い換えることがある)を含むように修飾される。
【0261】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、式Iの1位(環II)のアミン置換基は、Rは水素以外のような、本明細書に記載された修飾アミンである。あるいは、又は加えて、1つ以上のR及びRは水素以外である。
【0262】
これらの態様のいくつかでは、1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15は、独立して、アルキル、本明細書に記載された細胞透過性基、又は本明細書の態様に記載されたアシルである。
【0263】
1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15の代表的なものは、水素、(R/S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル(AHB)、(R/S)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロピオニル(AHP)、5-アミノペンタノイル、5-ヒドロキシペンタノイル、ホルミルホルミル、-C(=O)-O-メチル、-C(=O)-O-エチル、-C(=O)-O-ベンジル、-β-アミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、-δ-アミノ-α-ヒドロキシバレリル、-β-ベンジルオキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、-δ-ベンジルオキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシバレリル、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、ベンゾイル、プロピル、イソプロピル、-(CHNH、-(CHNH、-CHCH(NH)CH、-(CHNH、-(CHNH、-(CHNH-エチル、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH(CHNH、-CH(-NH)CH(OH)、-CH(-OH)CH(NH)、-CH(-OH)-(CH(NH)、-CH(-NH)-(CH(OH)、-CH(-CHNH)-(CHOH)、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH(CHNH、-(CHN(CHCHNH、-CH-C(=O)NH、-CH(CH)-C(=O)NH、-CH-フェニル、-CH(i-プロピル)-C(=O)NH、-CH(ベンジル)-C(=O)NH、-(CHOH、-(CHOH及び-CH(CHOH)を含むがこれらに限定されない。
【0264】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは水素、(R/S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル(AHB)、(R/S)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロピオニル、5-アミノペンタノイル、5-ヒドロキシペンタノイル、ホルミル、-C(=O)-O-メチル、-C(=O)-O-エチル、-C(=O)-O-ベンジル、-β-アミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、-δ-アミノ-αヒドロキシバレリル、-β-ベンジロキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、-β-ベンジロキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシバレリル、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、ベンゾイル、プロピル、イソプロピル、-(CHNH、-(CHNH、-CHCH(NH)CH、-(CHNH、-(CHNH、-(CHNH-エチル、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH(CHNH、-CH(-NH)CH(OH)、-CH(-OH)CH(NH)、-CH(-OH)-(CH(NH)、-CH(-NH)-(CH(OH)、-CH(-CHNH)-(CHOH)、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH(CHNH、-(CHN(CHCHNH、-CH-C(=O)NH、-CH(CH)-C(=O)NH、-CH-フェニル、-CH(i-プロピル)-C(=O)NH、-CH(ベンジル)-C(=O)NH、-(CHOH、-(CHOH又は-CH(CHOH)2。
【0265】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上のR及びRは、独立して、水素、(R/S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル(AHB)、(R/S)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロピオネート(AHP)、(R/S)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロピオニル、5-アミノペンタノイル、5-ヒドロキシペンタノイル、ホルミル、-COO-メチル、-COO-エチル、-COO-ベンジル、-β-アミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、-δ-アミノ-α-ヒドロキシバレリル、-β-ベンジルオキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシプロピオニル、-δ-ベンジルオキシカルボニルアミノ-α-ヒドロキシバレリル、メチルスルホニル、フェニルスルホニル、ベンゾイル、プロピル、イソプロピル、-(CHNH、-(CHNH、-CHCH(NH)CH、-(CHNH、-(CHNH、-(CHNH-エチル、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH(CHNH、-CH(-NH)CH(OH)、-CH(-OH)CH(NH)、-CH(-OH)-(CH(NH)、-CH(-NH)-(CH(OH)、-CH(-CHNH)-(CHOH)、-(CHNH(CHNH、-(CHNH(CHNH(CHNH、-(CHN(CHCHNH、-CH-C(=O)NH、-CH(CH)-C(=O)NH、-CH-フェニル、-CH(i-プロピル)-C(=O)NH、-CH(ベンジル)-C(=O)NH、-(CHOH、-(CHOH又は-CH(CHOH)である。
【0266】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、アミノ置換α-ヒドロキシアシルは(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル(AHB)である。
【0267】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15は、本明細書で定義される細胞透過性基であり、いくつかの態様では、本明細書で定義されるグアニジルである。
【0268】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15は、アルキル、シクロアルキル、アルカリール及び又はアリールのような疎水性基である。
【0269】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15は、それぞれの態様について本明細書で定義されるアシルであり、アシルは、独立して、本明細書で定義されるアミノ置換α-ヒドロキシアシルであってもよい。
【0270】
1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15がアルキルである態様のいくつかにおいて、アルキルは、例えば、本明細書に記載された任意に置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル及びイソブチルを含むがこれらに限定されない、炭素原子が1~4の低級アルキルであってもよい。
【0271】
これらの態様のいくつかでは、アルキルは独立して、エチル、プロピル及びイソプロピルなどであるがこれらに限定されない未置換アルキルである。
【0272】
これらの態様のいくつかでは、アルキルは独立して、ベンジルのようなアルカリールなどであるがこれらに限定されない置換メチルである。
【0273】
または、1つ以上のR~R並びに存在する場合R14及びR15は、独立して、シクロアルキルであり、シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルであってもよい。
【0274】
あるいは、1つ以上のR~R、並びに存在する場合R14及びR15は、独立してアリールであり、アリールは、例えば置換又は未置換フェニルであってもよく、非限定的な例には、未置換フェニル及びトルエンが含まれる。
【0275】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、式A又はBの1位(R、環II)のアミン置換基は本明細書に記載された修飾アミンであり、Rは水素以外である。
【0276】
これらの態様のいくつかでは、Rは、アルキル、シクロアルキル、アルカリール、アリール、アシル、又は、例えば、(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシブチリル(AHB)又は(S)-4-アミノ-2-ヒドロキシプロピオニル(AHP)のような本明細書で定義されたアミノ置換α-ヒドロキシアシルであってもよい。
【0277】
いくつかの態様では、Rがアルキルである場合、アルキルは、例えば、本明細書に記載された任意に置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル及びイソブチルを含むがこれらに限定されない、炭素原子が1~4の低級アルキルであってもよい。
【0278】
これらの態様のいくつかでは、アルキルは独立して、エチル、プロピル及びイソプロピルなどであるがこれらに限定されない未置換アルキルである。
【0279】
これらの態様のいくつかでは、アルキルは独立して、ベンジルのようなアルカリールなどであるがこれらに限定されない置換メチルである。
【0280】
または、Rはシクロアルキルで、シクロアルキルは、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシルであってもよい。
【0281】
あるいは、Rはアリールで、アリールは、例えば、置換又は未置換フェニルであってもよい。非限定的な例には、未置換フェニル及びトルエンが含まれる。
【0282】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは本明細書に記載されたアルキル、シクロアルキル又はアリールである。
【0283】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、Rは、本明細書に記載された細胞透過性基であり、ある態様では、Rはグアニジニルである。
【0284】
本明細書に記載された式Bについての態様のいずれかでは、R14及びR15の一方又は両方が水素以外であり、5’’位のアミンは本明細書で定義された修飾アミンである。これらの態様のいくつかでは、R14及びR15 の一方又は両方は、例えば、グアニジン基のような細胞透過性基である。または、R14及びR15 の一方又は両方は、例えば、Rで定義されたアルキル、シクロアルキル又はアリールである。
【0285】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R~R並びに存在する場合R14及びR15のいずれもスルホニルではない場合、R及びRは本明細書に記載されたジオキサン環を形成する。
【0286】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、R~R並びに存在する場合R14及びR15のいずれもスルホニルではない場合、Rは、本明細書の態様に記載されたORyでRyは水素以外である。
【0287】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、可変基が未置換アリールである場合、未置換アリールは、例えば、フェニル、1-アントラニル、1-ナフチル、2-ナフチル、2-フェナントリル及び/又は9-フェナントリルであってもよい。
【0288】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、可変基が置換又は未置換ヘテロアリールである場合、ヘテロアリールは、例えば、2-アントラニル、2-フリル、2-インドリル、2-ナフチル、2-ピリジル、2-ピリミジル、2-ピリル、2-キノリル、2-チエニル、3-フリル、3-インドリル、3-チエニル、4-イミダゾリル、4-ピリジル、4-ピリミジル、4-キノリル、5-メチル-2-チエニル及び/又は6-クロロ-3-ピリジルであってもよい。
【0289】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、可変基が置換アリールである場合、アリールは、例えば、2-(N-エチルアミノ)フェニル、2-(N-ヘキシルアミノ)フェニル、2-(N-メチルアミノ)フェニル、2,4-ジメトキシフェニル、2-アセトアミドフェニル、2-アミノフェニル、2-カルボキシフェニル、2-クロロフェニル、2-エトキシフェニル、2-フルオロフェニル、2-ヒドロキシメチルフェニル、2-ヒドロキシフェニル、2-ヒドロキシフェニル、2-メトキシカルボニルフェニル、2-メトキシフェニル、2-メチルフェニル、2-N,N-ジメチルアミノフェニル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-(N,N-ジブチルアミノ)フェニル、3-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、3,4,5-トリメトキシフェニル、3,4-ジクロロフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、3-アミノフェニル、3-ビフェニリル、3-カルボキシフェニル、3-クロロ-4-メトキシフェニル、3-クロロフェニル、3-エトキシカルボニルフェニル、3-エトキシフェニル、3-フルオロフェニル、3-ヒドロキシメチルフェニル、3-ヒドロキシフェニル、3-イソアミルオキシフェニル、3-イソブトキシフェニル、3-イソプロポキシフェニル、3-メトキシフェニル、3-メチルフェニル、3-N,N-ジメチルアミノフェニル、3-トリル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-(ベンジルオキシ)フェニル、4-(イソプロポキシカルボニル)フェニル、4-(N,N-ジエチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジヘキシルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジイソプロピルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジメチルアミノ)フェニル、4-(N,N-ジ-n-ペンチルアミノ)フェニル、4-(n-ヘキシルオキシカルボニル)フェニル、4-(N-メチルアミノ)フェニル、4-(トリフルオロメチル)フェニル、4-アミノフェニル、4-ベンジルオキシフェニル、4-ビフェニリル、4-ブトキシフェニル、4-ブチルアミドフェニル、4-カルボキシフェニル、4-クロロフェニル、4-エトキシカルボニルフェニル、4-ヘキサンアミドフェニル、4-ヒドロキシメチルフェニル、4-ヒドロキシフェニル、4-ヨードフェニル、4-イソブチルフェニル、4-イソブチルアミドフェニル、4-イソプロポキシフェニル、4-イソプロピルフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルフェニル、4-n-ヘキサンアミドフェニル、4-n-ヘキシルオキシフェニル、4-n-ヘキシルフェニル、4-ニトロフェニル、4-ニトロフェニル、4-プロピオンアミドフェニル、4-トリル、4-トリフルオロメチルフェニル及び/又は4-バレロイルオキシカルボニルフェニルであってもよい。
【0290】
スルホニル含有化合物
本明細書に記載された態様によれば、少なくとも1つのR~Rは本明細書で定義されたスルホニルである一般式A又はBで表される化合物が提供される。これらの態様による化合物は、この明細書では「スルホニル含有化合物」とも呼ばれる。
【0291】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は、一般式I:
【0292】
【化21】
【0293】
(式中、破線は、本明細書に記載されたように、6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、及び置換若しくは未置換アリールから選択され、並びに/又は、式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORxから選択され、ここで、Rxは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール及びアシルから選択され、及び/若しくは、Rxは式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり、又は、RはORxでRと共に本明細書の態様に記載されているようなジオキサンを形成し;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORyから選択され、ここで、Ryは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール及びアシルから選択され、並びに/若しくは、Ryは式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり、又は、RはORyでRと共にジオキサンを形成し;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール及びアシルから選択され、並びに/又は、Rzは、式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール及びスルホニルから選択されるか、又は/並びに、R~Rは、式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり、
但し、R~Rの少なくとも1つはスルホニルである)
で表される。
【0294】
これらの態様のいくつかによれば、Rはスルホニルであり、かつ、化合物は式Ia:
【0295】
【化22】
【0296】
(式中、R~R、R及びRは、式A、B又はIで定義されたとおりであり;かつ、
ここで定義されるスルホニルについて、R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表すことができる。
【0297】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、スルホニルはアルキルスルホニルであり、R’は置換又は未置換アルキルである。これらの態様のいくつかでは、化合物は式Iaで表され、式Ia中のR’は置換又は未置換アルキルである。ある態様では、スルホニルはメチルスルホニルであり、R’はメチルである。
【0298】
本明細書に記載された態様のいずれかでは、スルホニルはアリールスルホニルであり、R’は置換又は未置換アリールである。これらの態様のいくつかでは、化合物は式Iaで表され、式Ia中のR’は置換又は未置換アリール(例、フェニル)である。ある態様では、スルホニルはフェニルスルホニルであり、R’はフェニル(未置換フェニル)である。
【0299】
あるいは、本明細書に記載された式Iについての態様では、スルホニルのR’は、置換若しくは未置換ベンジルなどのアルカリール、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロ脂環式又はヘテロアリールであり、それぞれ任意に本明細書で定義されるように置換することができる。
【0300】
本明細書に記載された式Iaについての態様によれば、R及びRは、本明細書の式Aで記載されているとおりである。
【0301】
本明細書に記載された式Iaについての態様によれば、R及びRはそれぞれ水素である。
【0302】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Rは、式A又はBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりである。
【0303】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、RはORxであり、Rxは式A又はBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0304】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Rxは水素で、Rは水酸基である。
【0305】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Rxは置換又は未置換アルキルであり、その結果、Rはアルコキシである。
【0306】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Rxは置換又は未置換アリールであり、その結果、Rはアリールオキシである。
【0307】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Rは、式A又はBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりである。
【0308】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、RはORyであり、Ryは式A又はBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0309】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Ryは水素で、Rは水酸基である。
【0310】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Ryは置換又は未置換アルキルであり、その結果、Rはアルコキシである。
【0311】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Ryは置換又は未置換アリールであり、その結果、Rはアリールオキシである。
【0312】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、R及びRは一緒になって本明細書の態様に記載されているようなジオキサンを形成する。ある態様では、そのような化合物は、以下に示す式Ibで表される。
【0313】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、Rは、本発明の態様及びその組合せにおいて本明細書に記載されているように水素原子以外であり、かつ、これらの態様のいくつかでは、Rはアルキル、例えばメチルである。
【0314】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立して式A及びBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0315】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立してORzである。
【0316】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、R~RのそれぞれがORzであり、R~RのそれぞれにおいてRzは水素であり、その結果、R~Rは水酸基である。
【0317】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzは本明細書の態様に記載されているような単糖又はオリゴ糖である。
【0318】
これらの態様のいくつかによれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが本明細書の態様に記載されているような式IIで表される単糖である。
【0319】
本明細書に記載された式I又はIaについての態様によれば、RはORzであり、かつ、Rzは本明細書の態様に記載されているような単糖である。そのような化合物は、一般式III:
【0320】
【化23】
【0321】
(式中、R~R及びR~Rは、それぞれ、本発明の態様及びその組合せにおいて本明細書に記載されているとおり;かつ、
10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ、本発明の態様及びその組合せにおいて式IIで定義されているとおり)
で表すことができる。
【0322】
本明細書に記載された式IIIについての態様によれば、Rはスルホニルであり、そのような化合物は式IIIa:
【0323】
【化24】
【0324】
(式中、R~R、R6、及びRは、本発明の態様及びその組合せにおいて本明細書に記載されているとおりであり;
10、R11、R12、R14及びR15は、本発明の態様及びその組合せにおいて式で定義されているとおりであり;かつ、
R’は、スルホニルについての態様及びその組合せにおいて本明細書で定義さているとおり)
で表される。
【0325】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、RはORxであり、Rxは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される。
【0326】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、RはORyであり、Ryは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される。
【0327】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、R及びRは一緒になって本明細書の態様に記載されているようなジオキサンを形成する。ある態様では、そのような化合物は、以下の式IIIbで表される。
【0328】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、R及びRはそれぞれ独立して本明細書の態様のいずれかで定義されるORzである。
【0329】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、R及びRはそれぞれRzであり、Rzは水素である。
【0330】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、R及びRはそれぞれ水素である。または、R及びRは、それぞれ独立して、修飾アミンに関する態様として本明細書に記載されるとおりである。
【0331】
本明細書に記載された式III又はIIIaについての態様によれば、Rは、本発明の態様及びその組合せにおいて本明細書に記載されているように水素原子以外であり、かつ、これらの態様のいくつかでは、Rはアルキル、例えばメチルである。
【0332】
本明細書に記載された式IIIaについての態様によれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0333】
本明細書に記載された式IIIaについての態様によれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、かつ、R12は、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択される。
【0334】
本明細書に記載された式IIIaについての態様によれば、R12は置換又は未置換アルキルである。
【0335】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、Rは本明細書の態様に記載されているように水素原子以外である。これらの態様のいくつかでは、Rはアルキル、例えばメチルである。
【0336】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORxであり、Rxは水素である。
【0337】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORyであり、Ryは水素である。
【0338】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORyであり、Ryはアルキルである。
【0339】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORzであり、Rzは水素である。
【0340】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORzであり、Rzは水素である。
【0341】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、R及びRはそれぞれ水素である。
【0342】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0343】
本明細書に記載された態様によれば、スルホニル含有化合物は式IIIaで表され、そして、これらの態様のいくつかによれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、かつ、R12は本明細書の態様に記載されているように、水素以外である。
これらの態様のいくつかでは、R12はアルキル、例えばメチルである。
【0344】
本発明の態様による式IIIaで表される代表的な化合物には、
【0345】
【化25】
【0346】
が含まれるが、これらに限定されない。
【0347】
NB74-MeSは、本明細書ではNB74-N1MeS or NB74-N1-MeSとも互換的に呼ばれ;NB74-PhSは、本明細書ではNB74-N1PhS or NB74-N1-PhSとも互換的に呼ばれ;NB124-MeSは、本明細書ではNB124-N1MeS or NB124-N1-MeSとも互換的に呼ばれ:かつ、NB124-PhSは、本明細書ではNB124-N1PhS or NB124-N1-PhSとも互換的に呼ばれる。
【0348】
ジオキサン含有化合物
本明細書に記載された態様によれば、一般式A又はBで表される化合物が提供され、ここで、R及びRは一緒になって本明細書の態様に記載されているようなジオキサン環を形成する。これらの態様による化合物は、本明細書では「ジオキサン含有化合物」、「C4’及びC6’-修飾化合物」又は「C4’/C6’-修飾化合物」とも呼ばれる。
【0349】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は一般式I
【0350】
【化26】
【0351】
(式中、破線は、6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し(Rが水素以外の場合);
は、水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、及び置換若しくは未置換アリールから選択され、並びに/又は、式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり;
はORxであり、ここで、Rxは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
はORyであり、ここで、Ry置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール及びアシルから選択され、並びに/又は、Rzは、式A若しくはBについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール及びスルホニルから選択されるか、又は/並びに、R~Rは、式A若しくはB若しくは式I若しくはIaについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりであり、
ここで、ORx及びORyは一緒になって本明細書の態様に記載されているようなジオキサンを形成する)
又は、その薬学的に許容される塩で表される。
【0352】
本明細書に記載された式Iについての態様のいずれかでは、ORx及びORyは一緒になってジオキサンを形成し、その結果、Rz及びRyは互いに結合し、2つの酸素原子を結びつける本明細書の定義に記載されている炭化水素を形成し、その結果、ジオキサン含有化合物は、式I**
【0353】
【化27】
【0354】
(式中、Aは本明細書で定義された炭化水素であり、他の全ての置換基は、式A、B又はIで本明細書に定義されているとおりである)
で表すことができる。
【0355】
炭化水素の骨格における炭素原子の数は、ジオキサン環中の炭素原子の数を決定する。例えば、炭化水素の長さが1個の炭素原子(例えば、置換又は未置換のメチレンである場合)である場合、ジオキサン環は6員環である。炭化水素の長さが2個の炭素原子(例えば、置換又は未置換のメチレンである場合)である場合、ジオキサン環は7員環である。炭化水素の長さが3個の炭素原子(例えば、置換又は未置換のメチレンである場合)である場合、ジオキサン環は8員環である、など。
【0356】
本明細書に記載された式Iについての態様のいずれかでは、ジオキサンは、置換又は未置換の1,3-ジオキサンである.
本明細書に記載された式I**についての態様のいずれかでは、Aは置換又は未置換メチレンであり、ジオキサンは置換又は未置換の1,3-ジオキサンである。
【0357】
ジオキサンが1,3-ジオキサンである化合物は、本明細書では複素環式又は環式アセタールとも呼ばれ、式Ia:
【0358】
【化28】
【0359】
(式中、R、R~R及びR~Rは、式I、A及びBで定義されたとおりであり;かつ、
Rwは、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0360】
本明細書に記載された式Iaについての態様のいずれかでは、Rwは置換又は未置換アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル等で、それぞれは任意に置換されている。
【0361】
本明細書に記載された式Iaについての態様のいずれかでは、Rwは本明細書に記載された未置換アルキルであり、ある態様ではアルキルはメチルである。
【0362】
本明細書に記載された式Iaについての態様のいずれかでは、Rwは置換又は未置換アリールであり、例えば、未置換フェニル又は置換フェニルである。
【0363】
本明細書に記載された式Iaについての態様のいずれかでは、Rwは本明細書に記載された未置換アリールであり、ある態様ではアリールはフェニルである。
【0364】
本明細書に記載された式Iaについての態様のいずれかでは、Rwは本明細書に記載された置換アリールであり、ある態様ではアリールはフェニルである。
【0365】
置換される場合、フェニルは1つ以上の置換基を含むことがでる。ある態様では、置換フェニルは、1,3-ジオキサン部分への結合点に関してパラ位で置換されている。ある態様では、フェニルの置換基は、本明細書で定義されるアルキル又はアルコキシであってもよい。代表的な態様では、Rwはパラメトキシフェニル(PMP)である。
【0366】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、Rは、本発明の態様及びその組合せにおいて本明細書に記載されているように水素原子以外であり、かつ、これらの態様のいくつかでは、Rはアルキル、例えばメチルである。
【0367】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立して式A及びBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0368】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、R~Rのそれぞれは水素である。
【0369】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、R及びRのそれぞれは水素であり、Rは式Aについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているように水素原子以外である。
【0370】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、R及びRはそれぞれ水素であり、ここで、Rは、水素、アシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール、置換又は未置換アリール、アミノ置換α-ヒドロキシアシル及びスルホニルから選択される。
【0371】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、Rは本明細書の態様に記載されているようなアシルである。
【0372】
本明細書に記載された式I、I**又はIaについての態様によれば、Rは本明細書の態様に記載されているようにスルホニルであり、そのような化合物は式Ib:
【0373】
【化29】
【0374】
(式中、Rw、R、R~R、R及びRは、式Iで定義されたとおり;かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択され、スルホニルについての態様のいずれかとして本明細書に記載されているとおりである)
で表される。
【0375】
本明細書に記載された式I、I**、Ia又はIbについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立して式A及びBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0376】
本明細書に記載された式I、I**、Ia又はIbについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立してORzである。
【0377】
本明細書に記載された式I、I**、Ia又はIbについての態様によれば、R~RのそれぞれがORzであり、R~RのそれぞれにおいてRzは水素であり、その結果、R~Rは水酸基である。
【0378】
本明細書に記載された式I、I**、Ia又はIbについての態様によれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが本明細書の態様に記載されているような単糖又はオリゴ糖である。
【0379】
本明細書に記載された式I、I**、Ia又はIbについての態様によれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが本明細書の態様に記載されているような式IIで表される単糖である。
【0380】
本明細書に記載された式I、I**、Ia又はIbについての態様によれば、RはORzであり、かつ、Rzは本明細書の態様に記載されているような単糖である。そのような化合物は一般式III
【0381】
【化30】
【0382】
(式中、R~R及びR~Rは、それぞれ、本発明の態様及びその組合せにおいて式I、Ia又はIbで定義されているとおりであり;かつ、
10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ、本発明の態様及びその組合せにおいて式IIで定義されているとおり)
で表すことができる。
【0383】
式IIIの化合物は、式III***
【0384】
【化31】
【0385】
(式中、R、R、R及びR~Rは、それぞれ本発明の態様及びその組合せにおいて式I又はIa又はIbで定義されたとおりであり;
Aは、本明細書において式IIで定義された炭化水素であり;かつ、
10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ本発明の態様及びその組合せにおいて式IIで定義されたとおり)
で表すこともできる。
【0386】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサンは、本明細書の態様に記載されているような置換又は未置換の1,3-ジオキサンであり、そして、これらの態様のいくつかでは、化合物は式III
【0387】
【化32】
【0388】
(式中、R、R、R及びR~Rは、式又はIa又はIbで定義されたとおりであり;
10、R11、R12、R14及びR15は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
Rwは、本発明の態様及びその組合せとして本明細書に記載されているように、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表すことができる。
【0389】
本明細書に記載された式III、III***及びIIIaについての態様によれば、Rはスルホニルであり、そのような化合物は式IIIb:
【0390】
【化33】
【0391】
(式中、Rw、R、R、R、R、及びRは、式IIIaで定義されたとおりであり;
10、R11、R12、R14及びR15は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
R’は、発明の態様及びその組合せとして本明細書に記載されているように、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される。
【0392】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、R及びRはそれぞれ独立して本明細書の態様のいずれかで定義されるORzである。
【0393】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、R及びRはそれぞれRzであり、Rzは水素である。
【0394】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、R及びRはそれぞれ水素である。または、R及びRは、それぞれ独立して、修飾アミンに関する態様として本明細書に記載されるとおりである。
【0395】
本明細書に記載された式III、III**又はIIIaについての態様によれば、Rは、水素若しくはアシル、又は修飾アミンに関する態様として本明細書に記載されるとおりのものである。
【0396】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、Rは、本発明の態様及びその組合せとして本明細書に記載されているように水素原子以外であり、かつ、これらの態様のいくつかでは、Rはアルキル、例えばメチルである。
【0397】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0398】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、かつ、R12は、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択される。
【0399】
本明細書に記載された式III、III**、IIIa又はIIIbについての態様によれば、R12は置換又は未置換アルキルである。
【0400】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、Rは本明細書の態様に記載されているように水素原子以外である。これらの態様のいくつかでは、Rはアルキル、例えば、メチルである。
【0401】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、Rはアシルである。
【0402】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は式IIIaで表わされ、これらの態様では、Rはスルホニルである。
【0403】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORzであり、Rzは水素である。
【0404】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、RはORzであり、Rzは水素である。
【0405】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、R及びRはそれぞれ水素である。
【0406】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0407】
本明細書に記載された態様によれば、ジオキサン含有化合物は、式IIIaで表わされ、そして、これらの態様のいくつかによれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、かつ、R12は本明細書の態様に記載されているように水素以外である。これらの態様のいくつかでは、R12は アルキル、例えばメチルである。
【0408】
カルボキシル含有化合物
本明細書に記載された態様によれば、C6’位にカルボキシル含有基を含むため、式A及びBのR及びRを欠くことを除いて、本明細書の態様のいずれかで定義される一般式A又はBで一般的に表される化合物が提供される。これらの態様による化合物は、本明細書では、「カルボキシル含有化合物」又は「C6’修飾化合物」とも呼ばれる。
【0409】
本明細書全体を通して、
「カルボキシル」という用語は、カルボキシル含有化合物の文脈において用いられる場合、-C(=O)-R16基及び-C(=S)-R16基を含み、R16は水素であってもよく、その結果、カルボキシル含有化合物はアルデヒド又はチオアルデヒドであるか;R16はアミン(置換又は未置換)であってもよく、その結果、カルボキシル含有化合物はアミド又はチオアミドであるか;R16はORqでRqは水素であってもよく、その結果、カルボキシル含有化合物はカルボン酸又はチオカルボン酸であるか;R16はORqで、Rqはそれぞれ任意に置換されている本明細書で定義されるアルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、ヘテロアリールなどであってもよく、その結果、カルボキシル含有化合物はカルボキシレート(例、エステル)又はチオカルボキシレート(例、チオエステル)である。
【0410】
本明細書に記載された態様によれば、カルボキシル基含有化合物は一般式IV:
【0411】
【化34】
【0412】
(式中、Yは酸素及び硫黄から選択され;
16は、水素、アミン又はORqから選択され;
Rqは、水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択されており;
~Rは、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、かつ、Rzは、水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~Rは、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択され、本明細書の態様のいずれかで定義されている)
で表される。
【0413】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、Yは酸素である。
【0414】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R16はアミン、-NR’R’’(R’は本明細書に記載されているとおりで、R’’はR’について本明細書に記載されているとおり)である。
【0415】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R16はORqで、Rqは水素である。
【0416】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立して式A及びBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0417】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~Rのそれぞれは水素である。
【0418】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R及びRのそれぞれは水素であり、Rは式Aについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているように水素原子以外である。
【0419】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R及びRはそれぞれ水素であり、ここで、Rは水素、アシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール、置換又は未置換アリール、アミノ置換α-ヒドロキシアシル及びスルホニルから選択される。
【0420】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、Rは本明細書の態様に記載されているようなアシルである。
【0421】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、Rは本明細書の態様に記載されているようなスルホニルである。
【0422】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~Rのそれぞれは独立して式A及びBについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0423】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~Rのそれぞれは℃独立してORzである。
【0424】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~RのそれぞれがORzであり、R~RのそれぞれにおいてRzは水素であり、その結果、R~Rは水酸基である。
【0425】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、RはORyであり、Ryは水素である。
【0426】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、RはORyであり、Ryは式Aについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているとおりである。
【0427】
式IVaで表される代表的な化合物には、NB160及びNB161(例えば、図10)が含まれる。
【0428】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが本明細書の態様に記載されているような単糖又はオリゴ糖である。
【0429】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、R~Rの少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが式IIで表される本明細書の態様に記載されているような単糖である。
【0430】
本明細書に記載された式IVについての態様によれば、RはORzであり、かつ、Rzは本明細書の態様に記載されているような単糖である。このような化合物は、一般式IVa;
【0431】
【化35】
【0432】
(式中、破線は、5’’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
Y、R、R及びR~Rは、それぞれ、式IVで定義されたとおりであり;
10及びR11は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;
12は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択され;かつ、
14及びR15のそれぞれは、独立して水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール、スルホニル、及び細胞透過性基から選択され、又は、R14及びR15は式Bについての態様のいずれかにおいて本明細書に記載されているような一緒になって複素環を形成する)
で表すことができる。
【0433】
本明細書に記載された式IVaについての態様によれば、R10、R11、R12、R14及びR15は、それぞれ水素である。
【0434】
本明細書に記載された式IVaについての態様によれば、R10、R11、R14及びR15は、それぞれ水素であり、ここで、R12はアルキルである。
【0435】
式IVaで表される代表的な化合物には、NB162、NB163、NB164及びNB165(図10)が含まれる。
【0436】
一般
本明細書に記載され、式A、B、I、Ia、I、I**、Ia、Ib、III、IIIa、III、III**、IIIa、IIIb、IV及びIVaで表される化合物について、任意の置換基が、アミノグリコシドの1つ以上の炭素の部位、例えば、C6’、C4’、C3’、C2’、C1’、C3、C2、C1、C6、C5及び/又はC1’’、C2’’、C3’’、C4’’及びC5’’(存在する場合)に存在してもよく、かつ、これらの置換基が示されていない場合、これらの置換基は、それぞれ、水素であることができるか、あるいは、それぞれ置換又は未置換であるアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール及びシクロアルキルから独立して選択することができるか、あるいは、R~Rについて本明細書で定義されているとおりである。
【0437】
本発明の実施態様は、本明細書に記載され、式A、B、I、Ia、III、及びIIIaによって表される化合物であって、環Iが不飽和環で、「不飽和グルコサミン(環I)含有」化合物と呼ぶことができる化合物をさらに含む。そのような化合物は、次のように、式Ic又はId:
【0438】
【化36】
【0439】
【化37】
【0440】
で表すことができる。
【0441】
ここで、全ての置換基は、それぞれ式A、B、I、Ia、III、及びIIIaのそれぞれの置換基について本明細書で定義されるとおりである。
【0442】
本明細書に記載の態様及びそれらの組合せにおいて、化合物は塩、例えば、薬学的に許容される塩の形態であってもよい。
【0443】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される塩」という語句は、親化合物とそのカウンターイオンを指し、投与された化合物の生物学的活性と特性を無効にするものではなく、一般に、親化合物の溶解度を変更し、及び/又は、親化合物による生体への著しい刺激を軽減するために使用される。あるいは、本明細書に記載された化合物の薬学的に許容される塩は、化合物の合成中、例えば、反応混合物から化合物を単離する過程又は化合物を再結晶化する工程で形成することができる。
【0444】
本発明の態様において、本明細書に記載された化合物の薬学的に許容される塩は、任意に、正に帯電した形(例、塩基性基がプロトン化されている場合)の化合物の少なくとも1つの塩基性基(例えば、アミン及び/又はグアニジン)と、選択された塩基に由来し薬学的に許容される塩を形成する少なくとも1つのカウンターイオンの組合せを含む酸付加塩であってもよい。
【0445】
したがって、本明細書に記載された化合物の酸付加塩は、化合物の1つ以上の塩基性基と1つ以上の当量の酸との間で形成される複合体であってもよい。
【0446】
化合物中の荷電基と塩中のカウンターイオンとの間の化学量論的比率に応じて、酸付加塩は一付加塩又は重付加塩のいずれかであることができる。
【0447】
本明細書で用いられる「一付加塩」という語句は、カウンターイオンと荷電形態の化合物との化学量論比が1:1である塩を指し、その結果、付加塩は化合物1モル当量あたりカウンターイオン1モル当量を含む。
【0448】
本明細書で用いられる「重付加塩」という語句は、カウンターイオンと荷電形態の化合物との化学量論比が1:1より大きく、例えば2:1、3:1、4:1などである塩を指し、その結果、付加塩は、化合物1モル当量あたり2モル当量以上のカウンターイオンを含む。
【0449】
薬学的に許容される塩の例は、限定されないが、アンモニウムカチオン又はグアニジニウムカチオン及びその酸付加塩であろう。
【0450】
酸付加塩は、塩酸付加塩をもたらす塩酸、臭化水素酸付加塩をもたらす臭化水素酸、酢酸付加塩をもたらす酢酸、アスコルビン酸付加塩をもたらすアスコルビン酸、ベシレート付加塩をもたらすベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸付加塩をもたらすカンファースルホン酸、クエン酸付加塩をもたらすクエン酸、マレイン酸付加塩をもたらすマレイン酸、リンゴ酸付加塩をもたらすリンゴ酸、メタンスルホン酸(メシレート)付加塩をもたらすメタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸付加塩をもたらすナフタレンスルホン酸、シュウ酸付加塩をもたらすシュウ酸、リン酸付加塩をもたらすリン酸、p-トルエンスルホン酸付加塩をもたらすトルエンスルホン酸、コハク酸付加塩をもたらすコハク酸、硫酸付加塩をもたらす硫酸酒石酸付加塩をもたらす酒石酸、及び、トリフルオロ酢酸付加塩をもたらすトリフルオロ酢酸などであるがこれに限定されない様々な有機酸及び無機酸を含んでもよい。これらの酸付加塩のそれぞれは、これらの用語が本明細書で定義されているように、一付加塩又は重付加塩のいずれかであることができる。
【0451】
本発明の態様は、本明細書に記載された化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、プロドラッグ、溶媒和物、水和物及び/又は薬学的に許容される塩をさらに含む。
【0452】
本明細書で用いられる「エナンチオマー」という用語は、相互に完全な反転/反射(鏡像)によってのみ、その対応物に重ね合わせることができる化合物の立体異性体を指します。エナンチオマーは右利きと左利きのようにお互いを指すため、「利き手」があると言われています。エナンチオマーは、全ての生体系など、それ自体が利き手がある環境中に存在する場合を除き、同一の化学的及び物理的特性を有する。この態様の文脈において、化合物は、1つ以上のキラル中心を示してもよく、そのそれぞれは、R又はS配置及び任意の組合せを示し、本発明の一部の態様による化合物は、そのキラル中心にR又はS配置を有することができる。
【0453】
本明細書で用いられる「ジアステレオマー」という用語は、互いにエナンチオマーではない立体異性体を指す。化合物の2つ以上の立体異性体が、2つ以上の立体配置を有するが、全ての同等の(関連する)立体中心を有さず、互いに鏡像ではない場合に、ジアステレオマーが生じる。2つのジアステレオ異性体が1つの立体中心でのみ異なる場合、それらはエピマーである。各立体中心(キラル中心)は、2つの異なる立体配置、したがって2つの異なる立体異性体を生じる。本発明の文脈において、本発明の態様は、立体配置の任意の組み合わせで生じる複数のキラル中心を有する化合物、すなわち任意のジアステレオマーを包含する。本発明では、本発明の態様は、立体配置の組合せで生じる複数のキラル中心を有する化合物、すなわちジアステレオマーを含む。
【0454】
本明細書に記載された一部の態様によれば、6’位及び(存在する場合)5’’位のそれぞれの立体配置は、独立してR配置又はS配置である。
【0455】
本明細書に記載された一部の態様によれば、6’位の立体配置はR配置である。
【0456】
本明細書に記載された一部の態様によれば、存在する場合、5’’位の立体配置はS配置である。
【0457】
本明細書に記載された一部の態様によれば、6’位の立体配置はR配置で、かつ、存在する場合、5’’位の立体配置はR配置又はS配置である。
【0458】
本明細書に記載された一部の態様によれば、6’位の立体配置はR配置で、かつ、存在する場合、5’’位の立体配置はS配置である。
【0459】
この明細書に示された構造式では、キラル炭素が定義されたR又はS配置を有する場合は必ず、そのキラリティは、示された立体配置に応じて当該技術分野で許容される三角形の破線又は太線で表され、指定されていない。しかし、この態様は、示された三角形の破線又は太線によって反映されるもの以外の立体配置も含むことに留意されたい。キラル炭素がR配置又はS配置のいずれかの配置を有する場合は必ず、長方形の破線で表され、そのように記述される。R配置若しくはS配置又はそれらのラセミ混合物をとることができるキラル炭素原子は、本明細書では、単純な線又は曲線(波線)で示される。
【0460】
この明細書に示された構造式では、6員環の置換基は、アキシアル位又はエクアトリアルとして示されるが、これらの置換基のそれぞれは他の立体配置をとることができで、そのような全ての組合せが考えられる。
【0461】
「プロドラッグ」という用語は、in vivoで活性化合物(活性親薬物)に変換される薬剤を指す。プロドラッグは、一般に、親薬物の投与を促進するのに有用である。例えば、それらは経口投与により生物学的に利用可能になるかもしれないが、親薬物はそうではないかもしれない。プロドラッグはまた、薬学的組成物中の親薬物と比較して改善された溶解度を有してもよい。プロドラッグは、in vivoで活性化合物の持続放出を達成するためにもしばしば使用される。プロドラッグの非限定的な例は、エステル(「プロドラッグ」)として投与される1つ以上のカルボン酸を有する本発明の化合物であろう。そのようなプロドラッグはin vivoで加水分解され、それにより遊離化合物(親薬物)が供給される。選択されたエステルは、プロドラッグの溶解度特性及び加水分解速度の両者に影響を与える可能性がある。
【0462】
「溶媒和物」という用語は、溶質(本発明の化合物)と溶媒和により溶質の生物活性を妨げない溶媒によって形成される可変の化学量論(例、ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサなど)の複合体を指す。適切な溶媒には、例えば、エタノール、酢酸などが含まれる。
【0463】
「水和物」という用語は、溶媒が水である前述の溶媒和物を指す。
【0464】
本発明の一部の態様によれば、式A、B、I、Ia、I、I**、Ia、Ib、III、IIIa、III、III**、IIIa及びIIIBについて、本発明の範囲から除外されるは、これらの式に含まれる本出願の背景技術の項で引用された文献のいずれかを含む当該技術分野において公知の化合物である。
【0465】
本態様の範囲から除外される示的な化合物には、ゲンタマイシン、ジェネティシン、フォルチマイシン、アプラマイシン、アルベカシン、ジベカシン、ジェネティシン(G-418、G418)、ハベカシン、カナマイシン、リビドマイシン、パロモマイシン、ストレプトマイシン及びトブラマイシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0466】
本明細書で用いられる「ヒドロキシル」又は「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0467】
本明細書で用いられる「アミン」という用語は、-NR’R’’基と記述され、ここで、R’及びR’’のそれぞれは、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルカリール、アルクヘテロアリール、又はアシルであり、これらの用語は本明細書で定義される。または、R’及びR’’の一方又は両方は、例えば、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、トリハロアルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アミン、ハロゲン化物、スルホネート、スルホキシド、ホスホネート、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、チオアリールオキシ、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジン及びヒドラジンであることができる。
【0468】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、それは、直鎖及び分岐鎖基を含む脂肪族炭化水素と記述される。アルキルは、1~20個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子を有してもよく、また、分岐していても分岐していなくてもよい。本発明の一部の態様によれば、アルキルは、1~4個の炭素原子(すなわち、メチル、エチル、プロピル及びブチル)を有する低(又は低級)アルキルである。
【0469】
本明細書で数値範囲;例「1~10」という場合は、置換基、この場合はアルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子など、最大10個の炭素原子を含むことを意味する。
ある態様では、アルキルは、1~6又は1~4個の炭素原子を含む低級アルキルである。
【0470】
アルキルは置換又は未置換であることができる。置換される場合、置換基は、例えば、1つ以上のアルキル(分岐アルキルを形成する)、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、トリハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びヒドロキシアルキルであることができ、これらの用語は以下に定義されるとおりである。アリールで置換されたアルキルは、本明細書では「アルカリール」とも呼ばれ、その例はベンジルである。
【0471】
「アルキル」と記述される場合はいつでも、アルケニル又はアルキニルによっても置き換えることができる。本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、飽和又は不飽和炭化水素を含み、したがって、この用語はさらにアルケニル及びアルキニルを含む。
【0472】
「アルケニル」という用語は、本明細書で定義される不飽和アルキルと記述され、少なくとも2個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有し、例えばアリル、ビニル、3-ブテニル、2-ブテニル、2-ヘキセニル及びi-プロペニルである。アルケニルは、上記のように、1つ以上の置換基によって置換又は未置換されていてもよい。
【0473】
本明細書で定義される「アルキニル」という用語は、少なくとも2つの炭素原子及び少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和アルキルである。アルキニルは、上記のように、1つ以上の置換基によって置換又は未置換されていてもよい。
【0474】
「シクロアルキル」という用語は、3個以上の炭素原子を含み、すべてが炭素の単環又は縮合環(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)で、分岐又は非分岐の基を指し、1つ以上の環は完全に共役したパイ電子系を有さず、さらに置換又は未置換であることができる。代表的なシクロアルキル基には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロドデシルが含まれる。シクロアルキルは置換されていても、又は未置換であってもよい。置換される場合、置換基は、例えば、1つ以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、トリハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びヒドロキシアルキルであることができ、これらの用語は以下に定義されるとおりである。
【0475】
「アリール」という用語は、完全に共役したパイ電子系を有する、すべてが炭素の単環式又は縮合多環式(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基と記述される。アリール基は、未置換であっても、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。置換される場合、置換基は、例えば、1つ以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、トリハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びヒドロキシアルキルであることができ、これらの用語は以下に定義されるとおりである。
【0476】
「ヘテロアリール」という用語は、完全に共役したパイ電子系を有し、環に、例えば、窒素、酸素、硫黄などの1つ以上の原子を有する単環又は縮合環(すなわち、隣接する炭素原子の対を共有する環)基と記述される。ヘテロアリール基の例には、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、イソキノリン及びプリンが含まれるが、これらに限定されない。代表例は、チアジアゾール、ピリジン、ピロール、オキサゾール、インドール、プリンなどである。ヘテロアリール基は、未置換であっても、1つ以上の置換基によって置換されていてもよい。置換される場合、置換基は、例えば、1つ以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、トリハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びヒドロキシアルキルであることができ、これらの用語は以下に定義されるとおりである。
【0477】
本明細書で用いられる「ヘテロ脂環式」という用語は、環に窒素、酸素、硫黄などの1つ以上の原子を有する単環又は縮合環基と記述される。また、環は1つ以上の二重結合を有していてもよい。しかし、環は完全に共役したパイ電子系を有さない。代表例は、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランなどである。ヘテロ脂環式基は、未置換であっても、置換されていてもよい。置換される場合、置換基は、例えば、1つ以上のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ハロ、トリハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ及びヒドロキシアルキルであることができ、これらの用語は以下に定義されるとおりである。
【0478】
本明細書で用いられる「ハライド」という用語は、ハロゲン原子のアニオン、すなわちF、Cl、Br及びIを指す。
【0479】
「ハロ」という用語は、置換基としてのF、Cl、Br及びI原子を指す。
【0480】
「アルコキシド」という用語はR’-O-アニオンを指し、ここでR’は上記で定義されたとおりである。
【0481】
「アルコキシ」という用語は-OR’基を指し、ここでR’は本明細書で定義されるアルキル又はシクロアルキルである。
【0482】
「アリールオキシ」という用語は-OR’基を指し、ここでR’は本明細書で定義されるアリールである。
【0483】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は-OR’基を指し、ここでR’は本明細書で定義されるヘテロアリールである。
【0484】
「チオアルコキシ」という用語は-SR’基を指し、ここでR’は本明細書で定義されるアルキル又はシクロアルキルである。
【0485】
「チオアリールオキシ」という用語は-SR’基を指し、ここでR’は本明細書で定義されるアリールである。
【0486】
「チオヘテロアリールオキシ」という用語は-SR’基を指し、ここでR’は本明細書で定義されるヘテロアリールである。
【0487】
本明細書で用いられる「ヒドロキシアルキル」という用語は、1つ以上のヒドロキシ基で置換された、本明細書で定義されたアルキル基を指し、例えば、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル及び4-ヒドロキシペンチルである。
【0488】
本明細書で用いられる「アミノアルキル」という用語は、1つ以上のアミノ基で置換された、本明細書で定義されたアルキル基を指す。
【0489】
本明細書で用いられる「アルコキシアルキル」という用語は、1つ以上のアルコキシ基で置換されたアルキル基を指し、例えば、メトキシメチル、2-メトキシエチル、4-エトキシブチル、n-プロポキシエチル及びt-ブチルエチルである。
【0490】
「トリハロアルキル」という用語は、-CXを指し、ここで、Xは本明細書で定義されるハロゲンである。代表的なハロアルキルはCFである。
【0491】
「グアニジノ」、「グアニジン」、「グアニジニル」又は「グアニジル」基は、-RaNC(=NRd)-NRbRc基を指し、ここで、Ra、Rb、Rc及びRdのそれぞれは、R’及びR’’について本明細書で定義されるとおりであることができる。
【0492】
「グアニル」又は「グアニン」基は、RaRbNC(=NRd)-基を指し、ここで、Ra、Rb及びRdは、それぞれR’及びR’’について本明細書で定義されるとおりである。
【0493】
本明細書に記載された一部の態様では、グアニジン基は-NH-C(=NH)-NHである。
【0494】
本明細書に記載された一部の態様では、グアニル基は、HN-C(=NH)-基である。
【0495】
本明細書に記載された、アミン(修飾アミンを含む)、グアニジン及びグアニン基は、その遊離塩基として示されるが、本明細書に記載されるように、生理学的pHでのそのイオン化形態、及び/又は、その塩、例えばその薬学的に許容されるその塩を含むことを意味する。
【0496】
本明細書に記載された、アルキル、シクロアルキル、アリール、アルカリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、アシル及び他の置換基が置換される場合、それは1つ以上の置換基を含み、それぞれ独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、チオヒドロキシ、チオアルコキシ、アリールオキシ、チオアリールオキシ、アルカリール、アルケニル、アルキニル、スルホネート、スルホキシド、チオスルフェート、スルフェート、スルファイト、チオスルファイト、ホスホネート、シアノ、ニトロ、アゾ、スルホンアミド、カルボニル、チオカルボニル、C-カルボキシレート、O-カルボキシレート、N-チオカルバメート、O-チオカルバメート、オキソ、チオキソ、オキシム、アシル、アシルハライド、アゾ、アジド、尿素、チオ尿素、N-カルバメート、O-カルバメート 、C-アミド、N-アミド、グアニル、グアニジル、ヒドラジン及びヒドラジドであることができ、これらの用語は本明細書で定義されている。
【0497】
「シアノ」という用語は、-CN基と記述される。
【0498】
「ニトロ」という用語は、-NO基と記述される。
【0499】
「スルフェート」という用語は、-O-S(=O)-OR’末端基と記述され、この用語は上記で定義されており、又は、-OS(=O)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は上記で定義されたとおりである。
【0500】
「チオスルフェート」という用語は、-O-S(=S)(=O)-OR’末端基、又は、-O-S(=S)(=O)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は上記で定義されたとおりである。
【0501】
「スルファイト」という用語は、-O-S(=O)-O-R’末端基、又は、-O-S(=O)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は上記で定義されたとおりである。
【0502】
「チオスルファイト」という用語は、-O-S(=S)-O-R’末端基、又は、-O-S(=S)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は上記で定義されたとおりである。
【0503】
「スルフィネート」という用語は、-S(=O)-OR’末端基、又は、-S(=O)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は上記で定義されたとおりである。
【0504】
「スルホキシド」又は「スルフィニル」という用語は、-S(=O)R’末端基、又は、-S(=O)-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は上記で定義されたとおりである。
【0505】
「スルホネート」又は「スルホニル」という用語は、-S(=O)R’末端基、又は、-S(=O)-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0506】
「S-スルホンアミド」という用語は、-S(=O)-NR’R’’末端基、又は、-S(=O)-NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0507】
「N-スルホンアミド」という用語は、R’S(=O)-NR’’-末端基、又は、-S(=O)-NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0508】
本明細書で用いられる「カルボニル」又は「カルボナート」という用語は、-C(=O)-R’末端基、又は、-C(=O)-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0509】
本明細書で用いられる「チオカルボニル」という用語は、-C(=S)-R’末端基、又は、-C(=S)-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0510】
本明細書で用いられる「オキソ」という用語は、(=O)基と記述され、ここで、酸素原子は示された位置で原子(例えば、炭素原子)に二重結合で結合する。
【0511】
本明細書で用いられる「チオキソ」という用語は、(=S)基と記述され、ここで、硫黄原子は示された位置で原子(例えば、炭素原子)に二重結合で結合する。
【0512】
「オキシム」という用語は、=N-OH末端基又は=N-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されている。
【0513】
「アシルハライド」という用語は、-(C=O)R’’’’基と記述され、ここで、上記で定義されたように、R’’’’はハロゲン化物である。
【0514】
「アゾ」又は「ジアゾ」という用語は、-N=NR’末端基、又は、-N=N-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、R’は上記で定義されたとおりである。
【0515】
「アジド」という用語は、-N末端基と記述される。
【0516】
本明細書で用いられる「カルボキシレート」という用語は、C-カルボキシレート及びO-カルボキシレートを含む。
【0517】
「C-カルボキシレート」という用語は、-C(=O)-OR’末端基、又は、-C(=O)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0518】
「O-カルボキシレート」という用語は、-OC(=O)R’末端基、又は、-OC(=O)-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0519】
カルボキシレートは、線状又は環状であることができる。環状の場合、R’と炭素原子は一緒に結合してC-カルボキシレートの環を形成し、この基はラクトンとも呼ばれる。または、R’とOは一緒に結合してO-カルボキシレートの環を形成する。環状カルボキシレートは、例えば、形成された環の原子が別の基に結合する場合、結合基として機能する。
【0520】
本明細書で用いられる「チオカルボキシレート」という用語は、C-チオカルボキシレート及びO-チオカルボキシレートを含む。
【0521】
「C-チオカルボキシレート」という用語は、-C(=S)-OR’末端基、又は、-C(=S)-O-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0522】
「O-チオカルボキシレート」という用語は、-OC(=S)R’末端基、又は、-OC(=S)-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’は本明細書で定義されたとおりである。
【0523】
チオカルボキシレートは、線状又は環状であることができる。環状の場合、R’と炭素原子は一緒に結合してC-チオカルボキシレートの環を形成し、この基はチオラクトンとも呼ばれる。または、R’とOは一緒に結合してO-チオカルボキシレートの環を形成する。環状チオカルボキシレートは、例えば、形成された環の原子が別の基に結合する場合、結合基として機能する。
【0524】
本明細書で用いられる「カルバメート」という用語は、N-カルバメート及びO-カルバメートを含む。
【0525】
「N-カルバメート」という用語は、R’’OC(=O)-NR’-末端基、又は、-OC(=O)-NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0526】
「O-カルバメート」という用語は、-OC(=O)-NR’R’’末端基、又は、-OC(=O)-NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0527】
カルバメートは、線状又は環状であることができる。環状の場合、R’と炭素原子は一緒に結合してO-カルバメートの環を形成する。または、R’とOは一緒に結合してN-カルバメートの環を形成する。環状カルバメートは、例えば、形成された環の原子が別の基に結合する場合、結合基として機能する。
【0528】
本明細書で用いられる「カルバメート」という用語は、N-カルバメート及びO-カルバメートを含む。
【0529】
本明細書で用いられる「チオカルバメート」という用語は、N-チオカルバメート及びO-チオカルバメートを含む。
【0530】
「O-チオカルバメート」という用語は、-OC(=S)-NR’R’’末端基、又は、-OC(=S)-NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0531】
「N-チオカルバメート」という用語は、R’’OC(=S)NR’-末端基、又は、-OC(=S)NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0532】
チオカルバメートは、カルバメートについて本明細書に記載されるように、線状又は環状であることができる。
【0533】
本明細書で用いられる「ジチオカルバメート」という用語は、S-ジチオカルバメート及びO-ジチオカルバメートを含む。
【0534】
「S-ジチオカルバメート」という用語は、-SC(=S)-NR’R’’末端基、又は、-SC(=S)NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0535】
「N-ジチオカルバメート」という用語は、R’’SC(=S)NR’-末端基、又は、-SC(=S)NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0536】
本明細書で用いられる「尿素」という用語、これは本明細書では「ウレイド」とも呼ばれ、-NR’C(=O)-NR’’R’’’末端基、又は、-NR’C(=O)-NR’’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義され、また、R’’’は、R’及びR’’について本明細書で定義されるとおりである。
【0537】
本明細書で用いられる「チオ尿素」という用語、これは本明細書では「チオウレイド」とも呼ばれ、-NR’-C(=S)-NR’’R’’’末端基、又は、-NR’-C(=S)-NR’’連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されるとおりである。
【0538】
本明細書で用いられる「アミド」という用語は、C-アミド及びN-アミドを含む。
【0539】
「C-アミド」という用語は、-C(=O)-NR’R’’末端基、又は、-C(=O)-NR’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0540】
「N-アミド」という用語は、R’C(=O)-NR’’-末端基、又は、R’C(=O)-N-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’及びR’’は本明細書で定義されたとおりである。
【0541】
「ヒドラジン」という用語は、-NR’-NR’’R’’’末端基、又は、-NR’-NR’’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されるとおりである。
【0542】
本明細書で用いられる「ヒドラジド」という用語は、-C(=O)-NR’-NR’’R’’’末端基、又は、-C(=O)-NR’-NR’’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されるとおりである。
【0543】
本明細書で用いられる「チオヒドラジド」という用語は、-C(=S)-NR’-NR’’R’’’末端基、又は、-C(=S)-NR’-NR’’-連結基と記述され、これらの語句は上記で定義されており、ここで、R’、R’’及びR’’’は本明細書で定義されるとおりである。
【0544】
製造方法
さらに、本発明の態様によれば、本明細書に記載された化合物の製造方法が提供される。
【0545】
これらのプロセスは、一般に、パロマミン誘導体を準備し、それに所望の修飾を導入することによって行われ、その結果、本明細書に記載された擬似二糖化合物を得る。
【0546】
本明細書に記載された擬似三糖化合物の製造方法は、アミノグリコシドの技術分野で知られている、適切な受容体アミノグリコシド分子及び対応する供与体分子を検討することにより行われる。
【0547】
一般に、本発明の一部の態様による擬似三糖化合物の合成は、所望の擬似三糖を得るために、適切な受容体及び供与体分子を使用し、供与体及び/又は受容体の保護された誘導体と反応し、当該保護性基を除去することができる反応条件で行われる。
【0548】
用語「受容体」は、C3’、C4’、C6又はC5、好ましくはC5位に利用可能な(保護されていない)ヒドロキシル基を有するパロマミン由来の骨格構造を記述するために本明細書において使用され、これは、グリコシル化反応中に反応し、グリコシルを受け入れることができる。
【0549】
「供与体」という用語は、受容体と反応して最終的な擬似三糖化合物を形成するグリコシルを記述するために本明細書において使用される。
【0550】
本明細書で用いられる「グリコシル」という用語は、単糖のヘミアセタールからヒドロキシル基を除去することにより得られる化学基を指す。
【0551】
供与体及び受容体は、本発明の一部の態様による所望の化合物を形成するように設計されている。以下に、本発明のこの態様のいくつかの態様を説明し、本明細書に記載される化合物の代表的なサブセットの代表的な製造方法を示す。本発明の一部の態様による代表的な化合物のより詳細な製造方法は、以下の実施例及び図面に示されている。
【0552】
本発明の一部の態様による擬似三糖化合物の合成は、概ね、
(i) パロマミン骨格上の選ばれた部位の1つ以上のヒドロキシル及びアミンを選択的に保護することにより受容体化合物を製造し、選択された部位(例、C5)を保護せずに残し、したがって、本明細書で定義される供与体化合物(グリコシル)を自由に受け入れることができるようにし;
(ii) グリコシル上の選ばれた部位の1つ以上のヒドロキシル及びアミンを選択的に保護することにより供与体化合物の製造し、1つの部位を保護せずに残し、したがって、本明細書で定義される受容体化合物と自由に結合することができるようにし;そして、
(iii) 保護性基を除去し、それにより所望の化合物を得る、
ことを含む。
【0553】
本明細書で用いられる「保護された基」という語句は、その機能をブロックされ、反応(例えば、本明細書に記載のカップリング反応)の条件下で他の官能基との反応を保護するように置換又は修飾された置換基を指す。保護された基は、置換基の除去又は再修飾によって再生される。
【0554】
「アミノ保護基」又は「ヒドロキシ保護基」が用いられる場合、保護された基を生成するように、それぞれの置換基を修飾するために、保護性基が結合され、又は使用されることを意味する。
【0555】
本明細書で用いられる「保護性基」という語句は、化合物の他の官能基は反応させながら、特定の機能をブロック又は保護するために一般的に使用される置換基又は修飾を指す。保護性基は、置換基を放出するか又は再修飾されるように選択され、それにより所望の非保護基が生成する。
【0556】
例えば、「アミノ保護性基」又は「アミン保護性基」は、化合物のアミノ官能基をブロック又は保護し、化学反応への関与を防ぐ、アミノ基又は修飾されたアミノ基に結合する置換基である。アミノ保護性基は、置換基の除去又はアミン基を再生する修飾により取り除かれる。
【0557】
適切なアミノ保護基は、アジ化合物(アジド)、N-フタルイミド、N-アセチル、N-トリフルオロアセチル、N-t-ブトキシカルボニル(BOC)、N-ベンジルオキシカルボニル(CBz)及びN-9トリフルオロメチレンオキシカルボニル(Fmoc)を含む。
【0558】
「ヒドロキシ保護性基」又は「ヒドロキシル保護性基」とは、ヒドロキシル官能基をブロック又は保護し、化学反応への関与を妨げる、ヒドロキシル基の置換基又は修飾を指す。ヒドロキシ保護性基は、置換基の除去又はヒドロキシ基を再生する修飾により取り除かれる。
【0559】
適切なヒドロキシ保護基は、イソプロピリデンケタール及びシクロヘキサノンジメチルケタール(2つの隣接するヒドロキシル基を有する1,3-ジオキサンを形成)、4-メトキシ-1-メチルベンゼン(2つの隣接するヒドロキシル基を有する1,3-ジオキサンを形成)、O-アセチル、O-クロロアセチル、O-ベンゾイル及びO-シリル(例、O-トリメチルシリル;O-TMS)を含む。
【0560】
保護性基とその使用の一般的な説明については、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, New York, 1991を参照されたい。
【0561】
ある態様によれば、アミノ保護基は、アジド(N-)及び/又はN-フタルイミド基を含み、ヒドロキシル保護性基は、O-アセチル(AcO-)、O-ベンゾイル(BzO-)、O-TMS(TMSO-)及び/又はO-クロロアセチルを含む。
【0562】
本明細書では、適用可能な場合、「保護基」とは、化合物上の1つの反応性官能基が保護されている、又は、例えば、イソプロピリデンケタールによって同時に保護できる2つのヒドロキシル基のような、隣接する2つの官能基の場合のように、1以上の反応性官能基が同時に保護されている部分を指すことに留意されたい。
【0563】
ある態様では、供与体化合物は、その1’’位にLで示される脱離基を有し、任意に、5’’位に本明細書で定義された置換基R12を有する、一般式II
【0564】
【化38】
【0565】
(式中、Lは脱離基であり;
OTは、供与体保護ヒドロキシル基であり;
12は、式Ibについて本明細書で定義されており(式IIIに示されている5’位の配置は非限定的な例である);かつ、
Dは、式III、IIIa、III、IIIa、IIIb、III**及びIVaで定義されているR14及びR15の保護又は非保護の形式であり、ここで、式III、IIIa、III、IIIa、IIIb、III**及びIVaのR14及びR15が水素の場合、Dは保護アミノ基である)
で表すことができる保護された単糖である。
【0566】
本明細書で用いられる「脱離基」という語句は、脱離が一般に脱離原子、基又は化学的な部分の相対的安定性により促進される、化学反応中に有機分子から容易に脱離する不安定な原子、基、又は部分を記述する。通常、強酸の共役塩基である基は脱離基として機能する。本態様における適切な脱離基の代表例には、限定するものではないが、トリクロロアセトイミデート、アセテート、トシレート、トリフレート、スルホネート、アジド、ハライド、ヒドロキシ、チオヒドロキシ、アルコキシ、シアネート、チオシアネート、ニトロ及びシアノが含まれる。
【0567】
本発明の一部の態様によれば、他の保護性基も企図されるが、供与体ヒドロキシル保護性基のそれぞれはO-ベンゾイルで、かつ、R15又はR17のいずれかにおける供与体アミノ保護性基はアジドである。
【0568】
14及びR15の一方が水素以外である場合、それは保護されていても保護されていなくてもよいことに留意されたい。一般的には、R及びRの一方がグアニン又はグアニジンの場合、反応条件(例、受容体とのカップリング条件)に適した保護性基を使用することができる。任意に、グアニン又はグアニジンは保護されていない。R14及びR15の一方がアルキル、アリール又はシクロアルキルである場合、一般に式IIのDはNR1415の保護されていない形である。
【0569】
供与体化合物の構造は、本発明のある態様に従って得られる化合物の環IIIの絶対構造を決定する、すなわち、5’’位、並びに、式III、IIIa、III、IIIa、IIIb、III**及びIVa中のR14、R15及びR12の立体配置である。
【0570】
式IIIaにおいて本明細書に記載される化合物の製造における使用に適した代表的な受容体分子は、式V:
【0571】
【化39】
【0572】
(式中、破線は、6’位でのS配置又はR配置を表し;
OPは受容体保護ヒドロキシル基であり;
APは受容体保護アミノ基であり;
は、式I又はIaについて本明細書で定義されるとおりであり;
Aは、受容体保護ヒドロキシル基(OP);又は、それ以外の場合、これらの置換基の化学的性質と反応条件に応じて、保護又は非保護のORを定義する他の置換基の1つであり;かつ、
Bは、Rを定義する置換基の保護又は非保護の形式である)
で表される。
【0573】
本発明の一部の態様によれば、受容体ヒドロキシ保護基はO-アセチルである。
【0574】
本発明の一部の態様によれば、受容体ヒドロキシ保護基はO-TMSである。
【0575】
他のヒドロキシ保護性基も企図される。
本発明の一部の態様によれば、他の保護性基も企図されるが、受容体アミノ保護性基はアジドである。
【0576】
受容体の様々な部位における受容体ヒドロキシ保護基及び受容体アミノ保護基は、各部位で同じであっても異なっていてもよい。
【0577】
ある態様では、受容体は、供与体と反応させる前に、置換基Bを生成することにより調製される。
【0578】
受容体化合物の構造は、本発明のある態様に従って得られる化合物の環I及び環IIの絶対構造を設定する。
【0579】
式III又はIIIaの化合物の製造に適した代表的な受容体は、以下の実施例及び図3~6及び15~20に示されている。
【0580】
ある態様では、本発明の一部の態様によれる式Iaの擬似二糖化合物の合成は、式VI:
【0581】
【化40】
【0582】
(式中、破線は、6’位でのS配置又はR配置を表し;
APは受容体保護アミノ基であり;
は、式Iaについて本明細書で定義されるとおりであり;
Aは、本明細書に記載された受容体保護ヒドロキシル基(OP);又は、それ以外の場合、これらの置換基の化学的性質と反応条件に応じて、保護又は非保護のORを定義する他の置換基の1つである)
のアミノ保護化合物を用いて達成される。
【0583】
式IVの化合物は、当該技術分野で公知の方法を用いて、式IaのR7を定義する置換基に変換される。
【0584】
式I又はIaの化合物の製造における使用に適した代表的なアミノ保護化合物は、以下の実施例及び図面(例、図3~5)に示されている。
【0585】
本明細書に記載される式IIIaの化合物の製造における使用に適した代表的な受容体分子は、式VII:
【0586】
【化41】
【0587】
(式中、破線は、6’位でのS配置又はR配置を表し;
OPは受容体保護ヒドロキシル基であり;
APは受容体保護アミノ基であり;
は本明細書で定義されるとおりであり;
Bは、Rが式Iaの場合、受容体保護アミノ基であり、そうでなければ、Rを定義する基の保護又は非保護の形態であることができ;かつ、
Kは、Rwを定義する置換基の保護又は非保護の形式である)
によって表される。
【0588】
本発明の一部の態様によれば、受容体ヒドロキシ保護基はO-アセチルである。
【0589】
本発明の一部の態様によれば、受容体ヒドロキシ保護基はO-TMSである。
【0590】
他のヒドロキシ保護性基も企図される。
【0591】
本発明の一部の態様によれば、他の保護性基も企図されるが、受容体アミノ保護性基はアジドである。
【0592】
受容体の様々な部位における受容体ヒドロキシ保護基及び受容体アミノ保護基は、各部位で同じであっても異なっていてもよい。
【0593】
ある態様では、受容体は、可能であれば、供与体と反応させる前に、置換基Bを生成することにより調製される。
【0594】
受容体化合物の構造は、本発明のある態様に従って得られる化合物の環I及び環IIの絶対構造を設定する。
【0595】
式IIIaの化合物を製造に適した代表的な受容体は、以下の実施例及び図面に示される(例えば、図15及び16)。
【0596】
本発明の態様は、化合物の製造方法の文脈における本明細書に記載された中間体化合物をさらに包含する。
【0597】
治療用途
当該技術分野において知られているように、遺伝子疾患を引き起こす対立遺伝子の約3分の1は、未成熟終止(ストップ)コドン(PTC)を有し、これは、切断されたタンパク質の産生をもたらす。1つの可能な治療アプローチは、完全長タンパク質の合成を可能にするための、そのようなPTCのリードスルーの誘導及び/又は促進を伴う。PTCは、ナンセンス変異、フレームシフト、欠失及び挿入のような変異のいずれかに由来し、又は、切断された読み枠を有するmRNAのアイソフォームを生成する異常なスプライシングに由来する。これらの変異は、ドミナントネガティブ効果又は機能獲得効果のため、切断された、機能を持たない、又は有害なタンパク質の産生に繋がる可能性がある。
【0598】
一般に、PTCのリードスルーは、サプレッサートランスファーRNA(tRNA)、翻訳終了因子に対する低分子干渉RNA(siRNA)のような翻訳終了効率を低下させる因子、及び、ナンセンス変異領域を標的とするRNAアンチセンスによって実現できる。この本発明の目的の1つは、少なくとも1つの時期尚早な終止コドン変異に関連する少なくとも1つの遺伝子疾患に罹患している対象において、機能的なタンパク質の十分な濃度の達成を目的とする薬理学的治療アプローチを提供することである。
【0599】
本発明のある態様によれば、提供される治療アプローチは、完全長の機能的なタンパク質の合成及び発現を可能にするために、疾患を引き起こすPCTの翻訳リードスルーを誘導及び/又は促進することを目的としている。
【0600】
上記のとおり、臨床試験に達した1つの広範囲に研究されたアプローチは、アミノグリコシド系抗生物質のような、リボソームの解読部位に作用する薬物によるリードスルーに基づく;しかし、アミノグリコシドは、高濃度で及び/又は長期間、使用した場合、深刻な副作用を示す。この明細書に示された化合物は、最小限の副作用を示しながら、そのような変異を有する生物において、時期尚早の終止コドン変異のリードスルーを誘導及び/又は促進する能力を示すように設計された。そのような活性は、これらの化合物を、時期尚早の終止コドン変異に関連する遺伝子疾患の治療剤としての使用に適したものにする。
【0601】
以下の実施例で説明のとおり、本発明の態様に含まれる代表的な化合物は、実際に、未成熟終止コドン突然変異抑制活性を示し、疾患を引き起こす未成熟終止コドン突然変異によって特徴付けられる遺伝子のリードスルーを誘導するのに有用であることが示され、したがって、未成熟終止コドン変異に関連するそれぞれの遺伝病又は障害の治療に有用性を示す。
【0602】
別の、最近示された終止コドン変異(PTC)を抑制するアプローチには、PTC含有mRNAを標的として分解する保存された真核細胞経路であるナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)の減衰を含む。NMDの減衰は、PTCを含むmRNAを増加させ、それにより、PTC抑制によって生じる機能性タンパク質を高濃度に戻すことが示されている[例、Keelingら PLoS ONE 8(4): e60478, 2013;Bidouら, RNA Biology 14(3): 378-388, 2017]。さらなる研究は、国際公開第2012/066546号等に記載のアミノグリコシド(例えばNB124)がNMDの減弱を示し、このことは、本発明の態様のアミノグリコシド化合物もNMDを減弱できることを示す[例、Alroyら, Abstracts / Molecular genetics and metabolism 2018, 123(2):S 18]。
【0603】
本発明の態様によれば、本明細書に示される、例えば、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIを有する化合物のいずれか、並びに、これらの化合物それぞれの態様のいずれか、及びそれらの任意の組合せ(及び式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IlIa及びIlIbで表される化合物を含む)は、ナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)の減衰に使用するため、及び/又は、ナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)を減衰させるための医薬品の製造に使用するため、及び/又は、調節されていないナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)関連疾患又は障害を治療するため、及び/又は、ナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)を減衰させることにより治療可能な疾患又は障害を治療するためのものである。ある態様では、当該疾患又は障害は、本明細書の態様に記載されているような遺伝子疾患又は障害である。ある態様では、当該疾患又は障害は、本明細書の態様に記載されているような癌である。
【0604】
本発明の態様によれば、本明細書に示される、例えば、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIを有する化合物のいずれか、並びに、これらの化合物それぞれの態様のいずれか、及びそれらの任意の組合せ(及び式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IlIa及びIlIbで表される化合物を含む)は、本明細書で定義された癌の治療に使用するため、又は、本明細書で定義された癌を治療するための医薬品の製造に使用するため、又は、本明細書で定義された癌の治療方法に使用するためのものである。ある態様によれば、本明細書に記載された化合物は、腫瘍抑制遺伝子(例、p53)における未成熟終止コドン(ナンセンス)変異のリードスルーの誘導及び/又は促進に使用するためのものである。ある態様によれば、本明細書に記載された化合物は、NMDの減衰による癌の治療に使用するためのものである。
【0605】
本発明の態様によれば、本明細書に示される、例えば、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIを有する化合物のいずれか、並びに、これらの化合物それぞれの態様のいずれか、及びそれらの任意の組合せ(及び式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IlIa及びIlIbで表される化合物を含む)は、未成熟終止コドン変異のリードスルーを誘導及び/又は促進に使用するため、及び/又は、未成熟終止コドン変異を有する遺伝子の発現を増加させるため、及び/又は、未成熟終止コドン変異のリードスルーを誘導及び/又は促進するための医薬品の製造に使用するため、及び/又は、未成熟終止コドン変異を有する遺伝子の発現を増加させるためのものである。
【0606】
本発明の態様によれば、本明細書に示される、例えば、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIを有する化合物のいずれか、並びに、これらの化合物それぞれの態様のいずれか、及びそれらの任意の組合せ(及び式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IlIa及びIlIbで表される化合物を含む)は、未成熟終止コドン変異に関連する遺伝子疾患の治療に使用するため、又は、未成熟終止コドン変異に関連する遺伝子疾患の治療のための医薬品の製造に使用するためのものである。
【0607】
未成熟終止コドン変異はいずれのものでもよい。ある態様では、変異は、UGA、UAG又はUAAのRNAコードを有する。
【0608】
本明細書に記載された態様によれば、タンパク質は細胞質翻訳系で翻訳される。
【0609】
本明細書に記載された態様によれば、化合物は変異抑制量で使用される。
【0610】
本明細書に記載された態様によれば、真核生物の細胞質翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50は、リボソーム翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50より大きい。
【0611】
本明細書に記載された態様によれば、真核生物の細胞質翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50は、原核生物の翻訳系における化合物の翻訳阻害のIC50より大きい。
【0612】
本発明の態様によれば、本明細書に示される、例えば、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIを有する化合物のいずれか、並びに、これらの化合物それぞれの態様のいずれか、及びそれらの任意の組合せ(及び式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IlIa及びIlIbで表される化合物を含む)は、未成熟終止コドン変異に関連する遺伝子疾患の治療に使用するため、又は、未成熟終止コドン変異に関連する遺伝子疾患の治療のための医薬品の製造に使用するためのものである。
【0613】
本発明の態様によれば、未成熟終止コドン変異に関連する遺伝子疾患を治療する方法が提供される。本発明のこの観点では、この方法は、それを必要とする対象に1以上の例えば、式A、B、I、I、III、III、IV又はIVa、好ましくは式A、B、I、I、III又はIIIを有する1以上の化合物、並びに、これらの化合物それぞれの態様のいずれか、及びそれらの任意の組合せ(及び式Ia、I**、Ia、Ib、IIIa、III**、IlIa及びIlIbで表される化合物を含む)の治療有効量を投与することにより達成される。
【0614】
本明細書で用いられる「治療する」という用語は、容体の進行の抑制、実質的な阻止、減速若しくは逆転を、臨床的若しくは審美的症状の実質的な改善を、又は、臨床的若しくは審美的症状の出現を実質的な阻止を含む。
【0615】
本明細書で用いられる「治療有効量」という語句は、治療される症状の1つ以上をある程度緩和する、投与されるポリマーの量を意味する。
【0616】
本明細書で用いられる「遺伝子疾患」という語句は、しばしば両親から受け継がれた1以上の欠陥遺伝子が引き起こす慢性の疾患、及び、欠陥のある劣性遺伝子の健康なキャリア同士が生殖する場合、又は欠陥遺伝子が優勢である場合に予期せず生じず慢性の疾患をさす。遺伝子疾患は、子孫が影響を受けるために1つの変異遺伝子のコピーのみが必要な常染色体優性パターンを含む様々な遺伝パターン、及び、子孫が影響を受けるために2つの遺伝子のコピーが必要な常染色体劣性パターンで発生する可能性がある。
【0617】
本明細書で用いられる「遺伝子疾患」という語句は、遺伝的障害、遺伝病、遺伝的状態又は遺伝的症候群を含む。
【0618】
本発明のある態様によれば、未成熟終止コドン変異を有する遺伝子が関与する遺伝的障害、遺伝病、遺伝的状態又は遺伝的症候群は、この明細書では、トランケーション変異及び/又はナンセンス変異とも呼ばれ、その不適切な翻訳につながる。不適切な翻訳は、正しく機能しない必須タンパク質を生成し、必須タンパク質合成の減少又は停止の原因となる。本発明のいくつかの態様において、現在の態様の範囲内で企図される遺伝子疾患は、未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患と呼ばれる。
【0619】
本発明のある態様によれば、未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患は、完全ではあるがその他の点で欠陥のある転写産物(mRNA)の変異のリードスルーを誘導及び/又は促進することにより、言い換えれば、ナンセンス変異(未成熟終止コドン変異及び/又はトランケーション変異)の抑制の誘導及び/又は促進することにより、治療可能である。本発明のいくつかの態様において、遺伝子疾患は、リードスルーを誘導及び/又は促進する化合物により治療可能な疾患である。
【0620】
未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患を同定する方法は、当該技術分野において周知であり、完全又は部分的なゲノム解析、遺伝子バイオマーカーの検出、表現型分類及び遺伝情報分析が含まれる。
【0621】
遺伝子疾患が、未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連している場合、このような方法は、しばしば、変異体/野生型(WT)配列のペアをもたらし、これらのペアは、公知の同定方法で使用することができる。
【0622】
そのような遺伝子疾患を治療するための化合物のリードスルー誘導/促進活性は、当該技術分野で周知の方法によって確立できる。
【0623】
例えば、変異遺伝子(遺伝子疾患の原因となる遺伝子)の配列によって中断された2つのレポーター遺伝子を含むプラスミドは、完全細胞又は無細胞系のいずれかでタンパク質発現プラットフォームに導入され、試験化合物の存在下での2つの遺伝子の発現量の比が、一般に一連の濃度と反復の下で測定され、野生型遺伝子の発現量の比及び/又は試験化合物を含まない対照で測定された発現量の比と比較する。
【0624】
リードスルー活動の実験モデル、すなわち、未成熟終止コドン変異を含む遺伝子の塩基配列は、未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する遺伝子疾患を特定するプロセスの副産物であることに留意し、さらに、ゲノムデータ獲得における大きな進歩により、このプロセスは今や当業者の技術の範囲内にあることと、未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連することが示されている遺伝子疾患の場合のように、薬物候補の作用機序が確立されると、本明細書に示されたリードスルー誘導化合物の有効性、選択性及び安全性の特定、特徴付け及び評価は、十分に当業者の技術の範囲内であることに留意されたい。さらに、本明細書に示されるリードスルー誘導化合物を、医薬品開発のルーチンプロセスによりさらに活用することは、当業者の技術の範囲内である。
【0625】
本明細書においてリードスルー活性と呼ばれる、未成熟終止コドン変異及び/又はトランケーション変異のリードスルーをテストするための方法論は、当該技術分野において知られており、いくつかの代表的な実験方法は、以下の実施例に示され、それによって、本発明の態様によるリードスルー誘導化合物を特徴付けることができる。他の方法もリードスルー誘導化合物を特徴付けることができ、そのような方法も本発明の範囲内であることを理解されたい。本明細書に示された方法は、比較的短時間で数千の化合物を分析可能なハイスループットスクリーニング技術に適合させることができる。
【0626】
当業者は、多くのin vitro方法論が、薬物としての使用の安全性の観点からの本明細書に示されるリードスルー誘導化合物の特徴付けに用いられ、その細胞毒性対有効性の観点からの薬物候補の評価に用いられることを認識するであろう。当業者は、多くのin vitro方法論が、真核生物と原核生物の選択性から本明細書に示されるリードスルー誘導化合物の特徴付けに用いられ、そのような方法論は、比較的短時間で数千の化合物を分析可能なハイスループットスクリーニング技術にも適合させてもよい。
【0627】
少なくとも1つの未成熟終止コドン又は他のナンセンス変異の存在に関連する遺伝子の疾患、障害、状態及び症候群の非限定的な例には、癌、レット症候群、嚢胞性線維症(CF)、ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)、先天性筋ジストロフィー(CMD)、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、第VII因子欠乏症、家族性心房細動、良性家族性天疱瘡、血友病A、血友病B、ハーラー症候群、ルイ-バー症候群(毛細血管拡張性運動失調症、AT)、糖原病V型、ムコ多糖症、腎性シスチン症、多発性嚢胞腎、脊髄性筋萎縮症(SMA)I、II及びIII型、テイ-サックス病、アッシャー症候群、シスチン蓄積症、重症型表皮水疱症、ドラベ症候群、X連鎖性腎性尿崩症(XNDI)及びX連鎖性網膜色素変性症が含まれる。
【0628】
少なくとも1つの未成熟終止コドン又は他のナンセンス変異の存在に関連する追加の遺伝子障害、疾患、状態及び症候群は、“Suppression of nonsense mutations as a therapeutic approach to treat genetic diseases” by Kim M. Keeling, K.M Bedwell, D.M., Wiley Interdisciplinary Reviews: RNA, 2011, 2(6), p. 837-852;"Cancer syndromes and therapy by stop-codon readthrough", by Bordeira-Carrico, R. et al., Trends in Molecular Medicine, 2012, 18(11), p. 667-678に一覧されており、その中に引用されている参考文献はすべて、その全体が参照によりこの明細書に組み込まれる。
【0629】
本明細書で使用する「癌(cancer)」、「癌性疾患(cancerous disease)」及び「腫瘍(tumor)」という用語は、交換可能に用いられる。この用語は、異常かつ制御されていない細胞増殖(細胞分裂)によって引き起こされる悪性増殖及び/又は腫瘍を指す。「癌」という用語は、腫瘍転移を含む。「癌細胞」という用語は、悪性の増殖又は腫瘍を形成する細胞を指す。
【0630】
癌及び/又は腫瘍転移の非限定的な例には、任意の固形又は非固形の癌及び/又は腫瘍転移を含み、消化管の腫瘍(例、大腸がん(colon carcinoma)、直腸がん(rectal carcinoma)、大腸悪性腫瘍(colorectal carcinoma)、大腸がん(colorectal cancer)、大腸腺腫(colorectal adenoma)、遺伝性非ポリポーシス1型、遺伝性非ポリポーシス2型、遺伝性非ポリポーシス3型、遺伝性非ポリポーシス6型;大腸がん(colorectal cancer)、遺伝性非ポリポーシス7型、小腸及び/又は大腸癌(small and/or large bowel carcinoma)、食道癌、食道がんを伴うタイロース、胃がん、膵臓癌、膵内分泌腫瘍)、子宮内膜がん、隆起性皮膚線維肉腫、胆嚢がん、胆道腫瘍、前立腺がん、前立腺腺癌、腎がん(例、ウィルムス腫瘍2型又は1型)、肝臓がん(例、肝芽腫、肝細胞癌、肝細胞癌)、膀胱がん、胎児性横紋筋肉腫、胚細胞腫瘍、絨毛腫瘍、精巣胚細胞腫瘍、卵巣の未熟奇形腫、子宮、上皮性卵巣、仙尾骨腫瘍、絨毛がん、胎盤性絨毛腫瘍、上皮性成人腫瘍、卵巣がん、漿液性卵巣がん、卵巣性索腫瘍、子宮頸がん(cervical carcinoma)、子宮頸がん(uterine cervix carcinoma)、小細胞及び非小細胞肺癌、鼻咽頭、乳がん(例、乳管がん、浸潤性乳管内乳がん、散発性乳がん、乳がんに対する感受性、4型乳がん、乳がん-1、乳がん-3、乳がん-卵巣がん)、扁平上皮癌(例、頭頚部)、神経原性腫瘍、星状細胞腫、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、リンパ腫(例、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、B細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、T細胞リンパ腫、胸腺リンパ腫)、神経膠腫、腺がん、副腎腫瘍、遺伝性副腎皮質がん、脳の悪性腫瘍(腫瘍)、様々な他の癌腫(例、気管支原性大細胞、乳管、エールリッヒ-レットル腹水、類表皮、大細胞、ルイス肺、延髄、粘表皮、燕麦細胞、小細胞、紡錘細胞、有棘細胞、移行細胞、未分化、癌肉腫、絨毛がん、嚢胞腺癌)、上衣芽腫、上皮腫、赤白血病(例、フレンド、リンパ芽球)、線維肉腫、巨細胞腫瘍、グリア腫瘍、膠芽腫(例、多形、星細胞腫)、神経膠腫肝細胞腫、ヘテロハイブリドーマ、ヘテロ骨髄腫、組織球腫、ハイブリドーマ(例、B細胞)、ハイパーネフロマ、インスリノーマ、膵島腫瘍、角膜腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、白血病(例、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性プレB細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、急性巨核芽球性白血病、単球性白血病、急性骨髄性白血病(acute myelogenous leukemia)、急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia)、好酸球増加症を伴う急性骨髄性白血病、B細胞白血病、好塩基球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性B細胞白血病、好酸球性白血病、フレンド白血病、顆粒球性又は骨髄性白血病、有毛細胞白血病、リンパ球性白血病、巨核芽球性白血病、単球性白血病、単球-マクロファージ白血病、骨髄芽球性白血病、骨髄性白血病、骨髄単球性白血病、形質細胞白血病、プレB細胞白血病、前骨髄球性白血病、亜急性白血病、T細胞白血病、リンパ系新生物、骨髄性悪性腫瘍の素因、急性非リンパ性白血病)、リンパ肉腫、黒色腫、乳腺腫瘍、肥満細胞腫、髄芽腫、中皮腫、転移性腫瘍、単球腫瘍、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄腫(myeloma)、腎芽腫、神経組織グリア腫瘍、神経組織神経腫瘍、神経鞘腫、神経芽細胞腫、乏突起膠腫、骨軟骨腫、骨髄腫(osteomyeloma)、骨肉腫(例、ユーイング)、乳頭腫、移行細胞、褐色細胞腫、下垂体腫瘍(浸潤性)、形質細胞腫、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫(例、ユーイング、組織球細胞、ジェンセン、骨形成、細網細胞)、シュワン細胞腫、皮下腫瘍、奇形癌(例、多能性)、テラトーマ、精巣腫瘍、胸腺腫及び毛包上皮腫、胃癌、線維肉腫、多形性膠芽腫、複数のグロムス腫瘍、リーフラウメニ症候群、脂肪肉腫、リンチ癌家族症候群II、男性胚細胞腫瘍、肥満細胞白血病、髄質甲状腺、多発性髄膜腫、内分泌腫瘍、粘液肉腫、傍神経節腫、家族性ノンクロマフィン、毛孔腫、乳頭、家族性及び散発性、ラブドイド素因症候群、家族性、ラブドイド腫瘍、軟部肉腫及び膠芽腫を伴うターコット症候群、を含むがこれらに限定されない。
本明細書に記載されている方法及び使用のいずれかにおいて、本明細書に記載されている化合物は、それ自体、又は、本明細書で定義されている薬学的に許容される担体をさらに含む薬学的組成物の一部の形態を利用できる。
【0631】
本発明の態様によれば、活性成分、本明細書に記載されている新規な化合物、及び薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物が提供される。
【0632】
本明細書で使用される「薬学的組成物」は、本明細書に示される化合物と、他の化学成分、例えば薬学的に許容され、適切な担体及び賦形剤の調製物を指す。薬学的組成物の目的は化合物の生物への投与の促進である。
【0633】
以下において、「薬学的に許容される担体」という用語は、生物に著しい刺激を引き起こさず、投与された化合物の生物学的活性及び性質を無効にしない担体又は希釈剤を指す。担体の例は、以下に限定されるものではないが、プロピレングリコール、生理食塩水、エマルション及び有機溶媒と水の混合物、並びに固体(例えば粉末化された)担体、及び気体担体である。
【0634】
本明細書において、「賦形剤」という用語は、化合物の投与をさらに促進するために、薬学的組成物に添加される不活性物質を指す。賦形剤の例は、以下に限定されるものではないが、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖及び様々なタイプのデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油並びにポリエチレングリコールを含む。
【0635】
製剤化技術及び薬物の投与は、"Remington's Pharmaceutical Sciences" Mack Publishing Co., Easton, PAの最新版で見出され得、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0636】
本発明の薬学的組成物は、当該技術分野で周知の方法により、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠化、研和、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥により製造してもよい。
【0637】
したがって、本発明に従って使用する薬学的組成物は、本明細書に示された化合物を、医薬品として使用できる調製物に加工することを促進する、賦形剤及び助剤を含む1つ以上の薬学的に許容される担体を使用する、従来のやり方で製剤化されてもよい。適正な製剤は、選択された投与経路に依存する。
【0638】
ある態様によれば、投与は経口で行われる。経口投与の場合、本明細書に示される化合物は、当該技術分野において周知の薬学的に許容される担体と化合物を組み合わせることにより容易に製剤化できる。そのような担体は、患者による経口摂取のために、この明細書に示される化合物を錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル、水薬、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして製剤化することを可能にする。経口用の薬理学的製剤は、錠剤又は糖衣錠のコアを得るために、固体賦形剤を用い、必要に応じて、適当な助剤を添加後、場合により得られた混合物を粉砕し、顆粒の混合物を処理して作成することができる。適切な賦形剤は、特に、乳糖、ショ糖、マンニトール又はソルビトールを含む糖のような充填剤、例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、馬鈴薯デンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース調整物、及び/又は、ポリビニルピロリドン(PVP)のような生理学的に許容されるポリマーである。所望であれば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムのようなその塩などの崩壊剤を添加してもよい。
【0639】
経口で使用できる薬学的組成物には、ゼラチン製のプッシュフィットカプセル、並びにゼラチン及びグリセロール又はソルビトールのような可塑剤でできた柔らかい密封カプセルが含まれる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、及び任意に安定剤と混合した活性成分を含んでもよい。ソフトカプセル中では、本明細書に示される化合物は、脂肪油、液体パラフィン又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体に溶解又は懸濁されていてもよい。全ての経口投与用製剤は、選択された投与経路に適した投与量でなければならない。
【0640】
注射剤では、本明細書に示される化合物は、水溶液、好ましくは、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどの有機溶媒を含む若しくは含まないハンクス液、リンゲル液又は生理食塩水緩衝液などの生理学的に適合性の緩衝液で製剤化されてもよい。
【0641】
経粘膜投与では、浸透剤が使用される。そのような浸透剤は、一般に当該技術分野において公知のものである。
【0642】
糖衣錠のコアには好適なコーティングが施される。このために、アラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を任意に含んでもよい濃縮糖溶液を用いてもよい。活性アミノグリコシド化合物の用量の異なる組合せを識別したり、特徴付けたりするために、染料又は色素を錠剤又は糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0643】
口腔内投与の場合、組成物は、従来の方法で製剤化された錠剤又はトローチの形態であってもよい。
【0644】
吸入投与では、本明細書に示される化合物は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン又は二酸化炭素といった適切な噴射剤を使用し、加圧パック又はネブライザーからエアロゾルスプレー(一般に、粉末、液状及び/又は気体の担体を含む)として簡便に送達される。加圧エアロゾルでは、計量された量を送達するバルブを用いることで、投与単位を決定することができる。吸入器又は注入器で使用する、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、本明細書に示されている化合物、及びラクトース又はデンプンなどの、しかしこれらに限定されない適切な粉末基剤の粉末混合物を含むように製剤化されてもよい。
【0645】
本明細書に示される化合物は、例えば、ボーラス注射又は持続注入による非経口投与用に製剤化することができる。注射用製剤は、例えば、任意に防腐剤が添加されたアンプル又は複数回投与容器などの単位投与形態で提供されてもよい。組成物は、油性又は水性ビヒクル中の懸濁液、溶液又は乳濁液であってもよく、また、懸濁化剤、安定化剤及び/又は分散剤などの処方剤を含んでいてもよい。
【0646】
非経口投与用の薬学的組成物には化合物調製物の水溶液が含まれる。さらに、本明細書に示される化合物の懸濁液は、適切な油性の注射懸濁液及び乳濁液(例、オイルエマルションであって、油中水型、水中油型又は油中水型)として調製されてもよい。適切な親油性溶媒又はビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、又はオレイン酸エチル、トリグリセリド若しくはリポソームなどの合成脂肪酸エステルが含まれる。場合により、懸濁液は、本明細書に示される化合物の溶解度を高め、高濃度溶液の調製を可能とする適切な安定化剤又は薬剤も含んでもよい。
【0647】
または、本明細書に示される化合物は、使用前は、適切なビヒクル、例えば、無菌の発熱物質を含まない水を用いて構成するための粉末の形態であってもよい。
【0648】
本明細書に示される化合物は、例えば、ココアバター又は他のグリセリドなどの従来の座薬用基剤を使用して、座薬又は停留浣腸剤などの直腸組成物として製剤化することもできる。
【0649】
本明細書に記載された薬学的組成物は、ゲル状の担体又は賦形剤の適切な固体も含んでいてもよい。そのような担体又は賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0650】
本発明での使用に適した薬学的組成物は、意図した目的を達成するのに有効な量の活性成分が含まれている組成物を含む。より具体的には、治療有効量とは、症状を予防、軽減若しくは改善する、又は治療対象の生存期間を延長するのに有効な本明細書に示された化合物の量を意味する。
【0651】
治療有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示に照らして、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0652】
治療有効量又は用量は、最初に、この方法に用いられる本明細書に示される化合物についての動物による活性の分析から推定することができる。例えば、活性の分析によって決定される変異抑制濃度を含む循環濃度範囲を得るために、動物モデルを用いて用量を求めることができる。そのような情報は、より正確にヒトにおける有用な用量を決定するために用いることがでる。
【0653】
本明細書に示される化合物の毒性及び治療効果は、実験動物における標準的な薬学的手順により、例えば対象化合物のEC50(最大効果の50%が観察される化合物の濃度)及びLD50(試験動物の50%で死亡を引き起こす致死量)を求めることにより、決定することができる。これらの活性の測定及び動物による研究から得られたデータは、ヒトで使用するための用量の範囲を求める際に使用できる。
【0654】
投与量は、剤形及び投与経路に応じて異なってもよい。正確な製剤、投与経路、及び投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師が選択できる。(例、Finglら, 1975, in "The Pharmacological Basis of Therapeutics", Ch. 1 p.1)
最小有効濃度(MEC)と呼ばれる所望の効果を維持するのに十分な本明細書に示される化合物の血漿濃度を提供するために、投与量と間隔を個別に調整してもよい。MECは製剤ごとに異なるが、in vitroのデータから推定することができる;例、トランケーション変異を有する遺伝子全体の50~90%の発現、すなわち変異コドンのリードスルーを達成するために必要な化合物の濃度。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特性と投与経路に依存する。HPLCアッセイ又はバイオアッセイが血漿濃度の決定に使用できる。
【0655】
投与間隔もMEC値を用いて決定することができる。製剤は、期間の10~90%、好ましくは30~90%、最も好ましくは50~90%の間、MECを超える血漿濃度を維持するレジメンを使用して投与する必要がある。
【0656】
また、投薬は、治療する慢性疾患の重症度及び反応性に応じて、数日から数週間、又は、治療期間内で十分な改善が達成されるまで続く定期的な治療を伴う、上記の徐放性組成物の定期的な単回投与であってもよく、この定期治療により、障害の実質的な減少が達成されます。
【0657】
投与される組成物の量は、もちろん、治療される対象、苦痛の重症度、投与方法、処方医の判断などに依存するであろう。本発明の組成物は、必要に応じて、有効成分を含む1以上の単位剤形を含むFDA(米国食品医薬品局)承認キットなどの、パック又はディスペンサー装置で提供されてもよい。パックは、例えば、ブリスターパック又は加圧容器(吸入用)などであるがこれらに限定されない金属又はプラスチックのホイルを含んでいてもよい。パック又はディスペンサー装置には、投与に関する説明書が添付されている場合がある。パック又はディスペンサーには、医薬品の製造、使用又は販売を規制する政府機関が定める形式で、内容物に関連する通知を添付することもできる。そのような通知は、例えば、処方薬について米国食品医薬品局によって承認されたラベル表示、又は承認された製品挿入物に関するものであってもよい。組成物も、以上に詳細に述べたように、製造され、適切な容器に入れられ、示された状態の処置又は診断のために表示してもよい。
【0658】
したがって、ある態様では、薬学的組成物は、本明細書に定義され、及び/又は記載されている遺伝子疾患の処置に使用するために、包装材料に包装され、包装材料の中又は上に印刷されて識別される。
【0659】
ある態様では、薬学的組成物は、本明細書で定義される遺伝子疾患の治療、及び/又は本明細書で説明される使用のいずれかで使用するためのものである。
【0660】
本明細書に記載された組成物、方法及び使用のいずれにおいても、化合物は、遺伝子疾患の治療において、及び/又は、未成熟終止コドン変異のリードスルー活性の誘導又は促進において、及び/又は、本明細書に記載されている未成熟終止コドン変異を有する遺伝子の発現の増加において、有用な他の薬剤と組み合わせて利用することができる。
【0661】
このような薬剤の代表には、例えば、イバカフトール(VX-770)などのCFTR増強剤(X. Xueら, Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 50 (4), 805-816 (2014));及び、ナンセンス変異依存mRNA分解(NMD)を減衰させる薬剤、例えば、NMDI-1、カフェイン、UPF1リン酸化サイクルを破壊する他の薬剤など(K.M. Keelingら, PLoS ONE 8 (4), e60478 (2013))が含まれるが、これらに限定されない。他の任意の薬剤が考えられる。
【0662】
定義によれば慢性である遺伝子疾患の処置を主に対象とするので、本明細書に示される化合物、又はそれを含む薬学的組成物は、処置される対象の生涯を通じて投与されると予想される。したがって、化合物を含む薬学的組成物の投与の様式は、投与が、簡単かつ快適なものでなければならず、好ましくは自己投与であり、患者の健康と生活に対する影響を最小にするものでなければならない。
【0663】
本明細書に示される化合物、又はそれを含む薬学的組成物の繰り返しかつ定期的な投与は、例えば、毎日、すなわち1日1回行われ、より好ましくは、投与は、毎週、すなわち週1回行われ、より好ましくは、投与は、毎月、すなわち月1回行われ、最も好ましくは、投与は、数ヶ月(例えば、1.5ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月又は6ヶ月)に1回行われる。
【0664】
以上で論じられているように、トランケーション変異リードスルー薬物としての目下公知のアミノグリコシドの使用に関する限定の一部は、それらは、主に抗菌性である(抗生物質として用いられる)という事実に関係する。抗菌剤の長期間の使用は、腸内の微生物叢を変化させ、これにより、炎症性腸疾患の紅斑といった他の医学的状態を引き起こす可能性、又は悪化する可能性があり、かつ、一部の病理学的な微生物株に耐性の出現を引き起こす可能性があるため、まったく是認されず、生命を脅かすことさえある。
【0665】
ある態様では、本明細書に示される化合物は、実質的に抗菌活性を有さない。「抗菌活性を有さない」は、特定の株に対するその最小阻害濃度(MIC)が、この株に対する抗生物質とみなされる化合物の濃度よりはるかに高いことを意味する。さらに、これらの化合物のMICは、トランケーション変異抑制活性を発揮するのに必要とされる濃度よりも顕著に高い。
【0666】
実質的に非殺菌性であるため、本明細書に示される化合物は、前述の副作用を示さず、ゆえに、良性、及び/又は有益な微生物を含む可能性のある吸収経路を介して投与することができ、微生物は標的とはされず、したがって、保存が必要となる場合がある。本明細書に示される化合物のこの重要な特性により、抗菌性に関連した有害な蓄積効果を引き起こすことがなく、これらの化合物は、繰り返し、また生涯投与できるので、慢性疾患に対して特に有効な薬物となり、さらに経口又は直腸で、すなわちGI管を経由して投与でき、これは、慢性疾患の処置を目的とした薬物にとってきわめて有用かつ重要な特性である。
【0667】
ある態様によれば、本明細書に示される化合物は、原核細胞翻訳系ではなく、真核細胞翻訳系に選択的になるように選択され、及び/又は設計され、すなわちその化合物は、原核細胞、例えば細菌に対する活性と比較して、真核細胞、例えば哺乳類(ヒト)でより高い活性を示す。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、リボソームは遺伝子の翻訳に関与するところ、本明細書に示される化合物は16SリボソームRNAのAサイトに結合することにより作用することが知られており、真核生物のリボソームのAサイトにより高い親和性を有し、そうでなければ、原核生物リボソームのAサイト、並びに、原核生物の対応物と類似するミトコンドリアのリボソームのAサイトではなく、真核生物のAサイトに選択的である。
【0668】
本明細書で用いられる「約」という用語は、±10%を指す。
【0669】
「を含む(comprises)」、「を含む(comprising)」、「を含む(includes)」、「を含む(including)」、「を有する(having)」という用語、及びそれらの複合は、「を含むが、それ(ら)に限定されない(including but not limited to)」ことを意味する。
【0670】
「から成る(consisting of)」という用語は、「を含み、かつ、それ(ら)に限定される(including and limited to)」ことを意味する。
【0671】
「本質的に、・・・からなる」という用語は、組成物、方法又は構造が、追加の原料、工程及び/又は部分を含んでもよいが、追加の原料、工程及び/又は部分が、特許請求されている組成物、方法又は構造の基本的かつ新規な特性を著しく変えない場合に限られることを意味する。
【0672】
本明細書で使用される単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈からそうでないと明確に示さない限り、複数の言及を含む。例えば、「化合物(a compound)」又は「少なくとも1つの化合物(at least one compound)」という用語は、その混合物を含む、複数の化合物を含んでもよい。本出願を通じて、本発明の様々な態様は、範囲の型式で示され得る。範囲の型式の記載は、単に利便性及び簡潔さのためで、本発明の範囲の不変の限定と解釈されるべきではないことは、理解されるべきである。したがって、範囲の記載は、全ての可能性のあるそこに含まれる範囲、並びにその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられるべきである。例えば、1~6といった範囲の記載は、そこに含まれる範囲、例えば1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6など、並びに、その範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5及び6を具体的に開示していると考えられるべきである。これは、その範囲の広さに関係なく適用される。
【0673】
本明細書で数値範囲が示されている場合は常に、示されている範囲内の任意の数字(分数又は整数)を含むことを意味する。第1の示す数及び第2の示す数「の範囲/間の範囲」、並びに第1の示す数「から」第2の示す数「の範囲/までの範囲」という語句は、本明細書では互換的に用いられ、第1及び第2の示す数、並びにその間の全ての分数及び整数を含むことを意味する。
【0674】
本明細書で用いられる「方法」という用語は、化学、薬学、生物学、生化学及び医学の実務者に公知のやり方、手段、技術及び手順、又は、実務者が公知のものから容易に開発されるやり方、手段、技術及び手順を含むが、これらに限定されるものではない、特定の課題を達成するためのやり方、手段、技術及び手順を指す。
【0675】
この出願から満了する特許の存続期間中に、本明細書で定義される多くの関連する遺伝子疾患及び障害が明らかになり、この用語の範囲はそのような全ての新しい障害及び疾患を先験的に含むことが期待される。
【0676】
明確性のため、別々の態様の文脈で記載されている本発明のある特徴は、単一の態様と組み合わせて示してもよいことが理解される。反対に、簡潔さのため、単一の態様の文脈に記載されている、本発明の様々な特徴は、別々に、又は、適切なサブコンビネーションとして、又は、本発明の他に記載された態様で適切なように示してもよい。様々な態様の文脈で説明されているある特徴は、その態様がそれらの要素がなければ作用しないというのでなければ、その態様の本質的な特徴とは考えるべきではない。
【0677】
以上に説明され、特許請求の範囲に請求されている本発明の様々な態様及び側面は、以下の実施例で実験による裏付けが見出される。
【0678】
実施例
ここで、上記発明の詳細な説明と共に、本発明のいくつかの態様を非限定的に示す以下の実施例が参照される。
材料と方法
H-NMR、13C-NMR、DEPT、COSY、1D TOCSY、HMQC及びHMBCスペクトルはBrukerのAvance(登録商標)500/400(1D TOCSYを除く)/200(H NMRのみ)分光計で記録した。報告された化学シフト(単位ppm)は、特に示さない限り、内部標準MeSi(δ=0.0)/CDCl溶媒、及びHOD(δ=4.63)/DO溶媒を基準としている。
【0679】
質量スペクトル分析は、Bruker Daltonixのエレクトロスプレイイオン化装置(ESI)を有するApex 3質量分析計、TSQ-70B質量分析計(Finnigan Mat)又はα-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸マトリクスを使用したMALDI-TOFによるMALDIマイクロ質量分析計により行った。
【0680】
反応をシリカゲル60 F254(0.25mm、Merck)のTLCでモニターし、スポットを10%HSO(800mL)中に(NHMo24・4HO(120g)及び(NHCe(NO(5g)を含む黄色の溶液で炭化することにより可視化した。
【0681】
シリカゲルGel 60(70~230メッシュ)を用いて、フラッシュカラムクロマトグラフィーを行った。
【0682】
特に記述しない限り、全ての反応は無水溶媒を用いて行った。
【0683】
特に言及しない限り、全ての化学物質は市販のものを使用した。
【0684】
実施例1 本発明の態様による代表的なN1-置換化合物の化学合成
N1位の置換基がアシル基とスルフィニル基であることを特徴とする新しく設計されたアミノグリコシド誘導体のライブラリを製造した。最初のライブラリは、前述したリード候補NB74(表1)のN1位におけるアセテート(NB74-N1Ac)、ベンゾエート(NB74-N1Bz)、メチルスルホネート(NB74-N1MeS)及びフェニルスルホネート(NB74-N1PhS)による修飾に基づいていた(図2、セット1)。次に、前述したリード候補NB124(表1)のN1位において同様の修飾を行い、化合物NB124-N1Ac、NB124-N1Bz及びNB124-N1MeSを得た(図2、セット2)。
【0685】
新しく設計された代表的な化合物は、図3に示した一般的な合成経路に従って製造した。
【0686】
簡単に説明すると、最初に、市販のG418が、以前に報告された合成ステップに従って、4つの化学的工程で既知の共通中間体Aに変換された(Nudelmanら, Bioorg. Med. Chem. 18, 3735-46 (2010))。次いで、中間体Aは、遊離アミン(N1位)が、異なるアミド又はスルホンアミドで修飾され、所望であれば、C5位が環IIIとカップリング可能な遊離ヒドロキシルで修飾されている一連の共通受容体Bを得るために、選択的アセチル化に続いて遊離アミンがアセチル化又はスルホン化された。環IIIのカップリング工程は、所望のセット1及びセット2構造を得るための2段階の脱保護に続き、それぞれのトリクロロアセトイミデート供与体を使用して、以前に報告された合成工程に従って実行される。
【0687】
以下は、本発明のいくつかの態様による代表的な化合物の製造方法で、上記表1及び図2に示されている。
【0688】
図4は、G418を、受容体化合物5、6、7及び9に変換する合成経路を示す。
【0689】
図5は、受容体5~7及び9を、それぞれN1修飾NB-74及びNB-124に変換する合成経路を示す。
【0690】
2',3-ジアジド-1-N-ベンズアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物3;図4)の製造
【0691】
【化42】
【0692】
Nudelman, I.ら, Bioorganic Med. Chem. 18, 3735-3746 (2010)に記載されたように製造した化合物2(2g、5.13mmol)を乾燥ピリジン(10ml)に溶解した。撹拌混合物に塩化ベンゾイル(12当量、0.061mol、7ml)を添加し、氷浴上で0℃に冷却した。反応の進行をTLC(EtOAc/MeOH、1:1)でモニターし、12時間後に完了したことが示された。反応混合物を蒸発乾固させ、シリカゲルクロマトグラフィー(100% EtOAc)で精製して化合物3(2g、79%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.77 (d,1H, J = 3.5 Hz, H-1), 4.06 (dd, 1H,J = 6.8, 3.6 Hz, H-6), 4.02 - 3.93 (m, 2H, H-3,H-5), 3.40 (dd,1H, J = 10.0, 8.7 Hz, H-4), 3.11 (dd, 1H,J = 10.6, 4.2 Hz, H-2), 1.28 (d, 3H,J = 6.1 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 4.04 (ddd,1H, J = 11.9, 10.1, 4.4 Hz, H-1), 3.66 - 3.54 (m,3H, H-3, H-6, H-5), 3.45 (dd,1H, J = 10.1, 9.0 Hz, H-4), 2.34 - 2.29 (m, 1H, H-2), 1.58 (dd, 1H, J = 25.1, 12.3 Hz, H-2). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.85 (d, J = 7.2 Hz, 2H, Ph), 7.53 (t, J = 7.4 Hz, 1H, Ph), 7.45 (t, J = 7.6 Hz, 2H, Ph).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 169.02 (カルボニル), 134.28 (Ph), 131.24 (Ph), 128.04 (Ph), 126.98 (Ph), 97.31 (C-1'), 78.93 (C-4), 77.31 (C-5), 74.59 (C-6), 73.76 (C-3'), 72.83 (C-4'), 70.91 (C-5'), 67.91 (C-1), 63.26 (C-2'), 60.11 (C-3), 49.70 (C-6'), 32.45 (C-2), 16.58 (CH3-C-6').
MALDI TOF MS: C20H27NO ([M+H]) m/e 493.47; 実測値m/e 494.2.
【0693】
2',3-ジアジド-1-N-メタンスルホンアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物4;図4)の製造
【0694】
【化43】
【0695】
Nudelman, I.ら2010(前掲)に記載されたように製造した化合物2(2.5g、6.42mmol)をDMFに溶解し、メタンスルホニルクロリド(1当量、0.5ml)を添加し、得られた混合物を室温で24時間撹拌した。反応の進行をTLC(MeOH/EtOAc 1:9)でモニターした。その後、混合物を真空下で蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーで精製した。生成物は100%EtOAcで溶出した。生成物を含む画分を合わせ、真空下で蒸発させて化合物4(1g、33%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.70 (d,1H, J = 3.5 Hz, H-1), 4.04 - 4.00 (m, 1H, H-6), 3.96 - 3.88 (m, 2H, H-3,H-5), 3.35 (t,1H, J = 9.5 Hz, H-4), 3.07 (dd,1H, J = 10.4, 4.0 Hz, H-2), 1.24 (d, 1H, J = 3.4 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 4.88 - 4.87 (m, 1H, H-6), δ 3.54 - 3.44 (m, 2H, H-1, H-4), 3.24 (dd,1H, J = 13.4, 6.6 Hz, H-3), 3.15 (t, 1H, J = 7.7 Hz, H-5), 2.34 - 2.24 (m, 1H, H-2 eq), 1.51 - 1.43 (m, 1H, H-2 ax). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 3.01 (s, 3H, NHSO2-CH3).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 95.73 (C-1'), 77.24 (C-4), 75.50 (C-1), 73.70 (C-5), 72.24 (C-5'), 71.30 (C-4'), 69.43 (C-3'), 66.37 (C-6'), 61.74 (C-2'), 58.29 (C-6), 51.86 (C-3), 38.70 (NHSO2-CH3), 33.14 (C-2), 15.06 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C14H25NOS ([M+H]) m/e 467.47; 実測値m/e 668.29.
【0696】
3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアゾ-1-N-ベンズアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物5;図4)の製造
【0697】
【化44】
【0698】
化合物3(0.380g、0.770mmol)を乾燥ピリジン(5ml)に溶解し、溶液を-18℃に冷却し、無水酢酸(4.5当量、0.3ml、3mmol)を加えた。反応温度を-18℃に保ち、反応の進行をTLC(EtOAc/ヘキサン 7:3)でモニターし、12時間後に完了したことが示された。混合物をEtOAc(15ml)で希釈し、1MのHCl水溶液、NaHCOの飽和水溶液及びブラインで洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥し濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン 1:1)により精製して、化合物5(0.387g、収率76%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.55 - 5.49 (m, 1H, H-3), 5.37 (d, 1H, J = 3.5 Hz, 4H, H-1), 5.02 - 4.96 (m, 2H, H-4,H-6), 4.35 (dd, 1H,J = 10.4, 1.8 Hz, H-5), 3.66 - 3.62 (m, 1H, H-2), 1.26 (d, 3H, J = 6.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 6.66 (d,1H, J = 7.4 Hz, アミド), 4.92 - 4.87 (m, 1H, H-6), 4.27 - 4.20 (m, 1H,H-1), 3.84 (t,1H, J = 9.2 Hz, H-5), 3.55 - 3.47 (m, 1H, H-3), 3.46 - 3.39 (m, 1H, H-4), 2.67 (dt, 1H, J = 12.4, 4.2 Hz, H-2 eq), 1.55 - 1.47 (m, 1H, H-2 ax). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.73 - 7.70 (m, 2H, Ph), 7.53 (dd, 1H, J = 4.8, 3.7 Hz, Ph), 7.43 (t, 2H, J = 7.6 Hz, Ph), 2.11 (s, 3H, Ac), 2.10 (s, 3H, Ac), 2.09 (s, 3H, Ac), 2.06 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 172.61 (カルボニル), 170.12 (カルボニル), 169.95 (カルボニル), 169.94 (カルボニル), 167.06 (アミド), 133.37 (Ph), 131.91 (Ph), 128.68 (Ph), 126.86 (Ph), 98.64 (C-1'), 83.50 (C-4), 74.67 (C-6), 74.07 (C-5), 71.34 (C-3'), 70.90 (C-5'), 69.08 (C-4'), 68.85 (C-6'), 61.64 (C-2'), 58.41 (C-3), 48.65 (C-1), 32.89 (C-2), 21.01 (Ac), 20.91 (Ac), 20.69 (Ac), 20.62 (Ac), 14.01 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C23H33NO12 ([M+H]) m/e 661.1; 実測値m/e 622.1.
【0699】
3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-メタンスルホンアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物6;図4)の製造
【0700】
【化45】
【0701】
化合物6は、出発材料としての化合物4(0.8g、1.711mmol)、ピリジン(10ml)及び無水酢酸(5当量、0.8ml、9mmol)を使用し、化合物5の製造について記載されたように製造され、0.576g(53%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.89 (d,1H, J = 3.6 Hz, H-1), 5.49 - 5.44 (m, 1H,H-3), 4.99 (dd,2H, J = 10.5, 9.0 Hz, H-4,H-6), 4.44 (dd,1H, J = 10.6, 2.2 Hz, H-5), 3.43 - 3.39 (m, 1H, H-2), 1.29 (d, 3H, J = 5.9 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 4.76 - 4.71 (m, 1H, H-6), 3.77 (t,1H, J = 9.5 Hz, H-5), 3.68 (ddd,1H, J = 11.9, 10.0, 4.9 Hz, H-1), 3.57 - 3.48 (m, 2H, H-3, H-4), 2.39 (dt,1H, J = 12.5, 4.5 Hz, H-2 eq), 1.60 (dd, 1H, J = 25.7, 12.5 Hz, H-2 ax). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 2.97 (s, 3H, NHSO2-CH3), 2.13 (s, 3H, Ac), 2.07 (s, 6H, Ac), 2.06 (s, 3H,Ac).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 171.01 (カルボニル), 170.62 (カルボニル), 170.18 (カルボニル), 170.10 (カルボニル), 97.53 (C-1'), 78.80 (C-4), 75.69 (C-6), 74.53 (C-5), 70.05 (C-3'), 70.00 (C-5'), 69.34 (C-4'), 68.66 (C-6'), 60.54 (C-2'), 59.47 (C-1), 50.91 (C-3), 40.42 (NHSO2-CH3), 19.74 (C-2), 19.70 (Ac), 19.18 (Ac), 19.15 (Ac), 12.33 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C22H33NO13S ([M+Na]) m/e 635.60; 実測値m/e 658.05.
【0702】
3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-アセトアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物7;図4)の製造
【0703】
【化46】
【0704】
化合物7は、出発材料としての化合物2(0.1g、0.526mmol)、ピリジン(3ml)及び無水酢酸(6.4当量、0.2ml、1.6mmol)を使用し、化合物3の製造について記載されたように製造され、0.1g(66%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.90 (d, 1H, J = 3.5 Hz, H-1), 5.50 - 5.44 (m, 1H, H-3), 5.02 - 4.96 (m, 2H, H-4, H-6), 4.45 (dd, 1H, J = 10.5, 1.7 Hz, H-5), 3.43 - 3.38 (m, 1H, H-2) 1.29 (d,3H, J = 5.2 Hz, CH3-C-6). 環II:δ = 4.76 (t, 1H, J = 10.1 Hz, H-4), 4.09 - 4.00 (m, 1H, H-1), 3.80 (t, 1H, J = 9.4 Hz, H-5), 3.71 - 3.62 (m, 1H,H-3), 3.55 (t, 1H, J = 9.7 Hz, H-6), 2.24 - 2.17 (m, 1H, H-2 eq), 1.58 (q, 1H, J = 12.7 Hz, H-2 ax). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 2.08 (s, 3H,Ac), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.06 (s, 3H, Ac), 1.90 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 171.43 (アミド), 171.07 (カルボニル), 170.57 (カルボニル), 170.16 (カルボニル), 170.10 (カルボニル), 97.55 (C-1') 78.90 (C-3), 76.19 (C-6), 74.47 (C-1), 70.04 (C-3'), 70.00 (C-5'), 69.35 (C-4'), 68.67 (C-6'), 60.53 (C-2'), 59.68 (C-5), 32.23 (C-2), 21.21 (Ac), 19.73 (Ac), 19.39 (Ac), 19.18 (Ac), 19.16 (Ac), 12.35 (CH3-C-6');
MALDI TOFMS: C233312 ([M+Na]) m/e 599.55; 実測値m/e 622.08.
【0705】
3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物8;図4)の製造
【0706】
【化47】
【0707】
化合物8は、出発材料としての化合物1(0.3g、0.610mmol)、ピリジン(5ml)及び無水酢酸(4.5当量、0.3ml、3mmol)を使用し、化合物5の製造について記載されたように製造され、0.060g(15%)を得た。
H NMR (400MHz, CDCl3): δ = 5.56 - 5.45 (m, 1H), 5.35 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1'), 4.97 (dd, J = 13.2, 6.4 Hz, 2H), 4.71 (dd, J = 19.8, 9.5 Hz, 2H), 4.33 (dd, J = 10.5, 1.6 Hz, 1H), 3.79 - 3.67 (m, 2H), 3.62 (dd, J = 10.5, 3.4 Hz, 2H), 3.46 - 3.33 (m, 2H), 2.49 - 2.38 (m, 1H), 2.12 (s, 3H, Ac), 2.09 (s, 3H, Ac), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.05 (s, 3H, Ac), 1.42 (s, 11H, Boc), 1.25 (d, 3H, J = 6.6 Hz, CH3-C-6).
13C NMR (101MHz, CDCl3): δ = 171.58 (COOAc), 170.19 (COOAc), 170.00 (COOAc), 169.99 (COOAc) 155.22 (NHCOOC(CH3)3), 98.66 (C-1'), 84.17, 83.74, 80.15, 74.54, 74.44, 71.44, 70.92, 69.15, 68.87, 61.74, 58.62, 48.99, 33.37, 28.27.
【0708】
3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-フェニルスルホンアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物9;図4)の製造
【0709】
【化48】
【0710】
化合物8(0.460g、0.7mmol)をジクロロメタン(5ml)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1.5ml)を周囲温度で加えた。反応の進行をTLC(EtOAc/ヘキサン 1:1)でモニターし、1.5時間後に反応の完了が示された。次いで、反応混合物を減圧下で濃縮乾固させて、385mgのNフリー生成物を得た。粗生成物をクロロホルム(5ml)に溶解し、続いてN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.5当量、0.25ml)及びベンゼンスルホン酸クロリド(1.5当量、0.1ml)を加えた。反応の進行をTLC(EtOAc/ヘキサン 3:7)でモニターし、24時間後に反応の完了が示された。その後、反応混合物を減圧下で濃縮乾固し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、化合物9(135mg、28%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.46 (dd,1H, J = 10.4, 9.6 Hz, H-3), 5.37 (d,1H, J = 3.5 Hz, H-1), 4.98 - 4.93 (m, 2H, H-4, H-6), 4.30 (dd,1H, J = 10.5, 1.8 Hz, H-5), 3.56 - 3.52 (m, 1H, H-2), 1.22 (d,3H, J = 6.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 5.53 (dd, 1H, J = 8.2, 0.6 Hz, H-4), 4.71 (t, 1H, J = 10.0 Hz, H-6), 3.67 - 3.60 (m, 1H, H-5), 3.43 - 3.34 (m, 1H, H-1), 3.34 - 3.26 (m, 1H, H-3), 2.27 (dt, J = 12.6, 4.1 Hz, 1H, H-2 eq), 1.58 (m, 1H, H-2 ax). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.86 - 7.83 (m, 2H, Ph), 7.62 - 7.58 (m, 1H, Ph), 7.53 (dd, 2H, J = 10.4, 4.7 Hz, Ph), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.06 (s, 3H, Ac), 2.03 (s, 3H, Ac), 1.81 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 172.01 (カルボニル), 170.19 (カルボニル), 170.01 (カルボニル), 169.94 (カルボニル), 140.88 (Ph 4°), 132.83 (Ph), 129.31 (Ph), 126.69 (Ph), 98.50 (C-1'), 82.60 (C-4), 74.23 (C-6), 74.13 (C-5), 71.16 (C-3'), 70.82 (C-5'), 69.01 (C-6'), 68.72 (C-4'), 61.51 (C-2'), 58.29 (C-3), 52.05 (C-1), 34.29 (C-2), 21.01 (Ac), 20.69 (Ac), 20.66 (Ac), 20.63 (Ac), 13.87 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C27H35NO13S ([M+Na]) m/e 697.67; 実測値m/e 720.048.
【0711】
5-O-(5’’-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-フェニルスルホンアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物12;図5)の製造
【0712】
【化49】
【0713】
新たに蒸留したCHCl(5ml)に、粉末状の炎で乾燥した4Åモレキュラーシーブを加え、続いて化合物9(58mg、0.513mmol)、及びFridman, M.らAngew. Chemie, Int. Ed. 44, 447-452 (2005)に記載されたように製造した供与体化合物10(1g、2.05mmol)を加えた。混合物を室温で10分間撹拌し、次いで-30℃に冷却した。触媒量のBF・EtOを加え、混合物を撹拌しながら室温まで上昇させた。反応の進行をTLC(EtOAc/ヘキサン 3:7)でモニターし、2時間後に完了したことが示された。次いで、反応混合物をEtOAcで希釈し、セライト(登録商標)でろ過した。EtOAcによるセライト(登録商標)の洗浄後、洗浄液を合わせて濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製し、化合物12(314mg、57%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.90 (d,1H, J = 3.8 Hz, H-1), 5.42 (dd, 1H, J = 10.9, 9.2 Hz, H-3), 5.00 - 4.93 (m, 1H,H-4), 4.43 (dd,1H, J = 10.5, 1.8 Hz, H-5), 3.44 - 3.38 (m, 1H, H-2), 1.24 (d, 3H, J = 5.9 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 5.24 (d,1H, J = 8.7 Hz, R1NHSO2R2), 4.81 (dd, 1H, J = 9.9, 9.3 Hz, H-5), 3.90 - 3.86 (m, 1H,H-4), 3.72 - 3.67 (m, 1H, H-6), 3.52 - 3.39 (m, 2H,H-1,H-3), 2.33 (dt, 1H, J = 11.8, 3.8 Hz, H-2 eq), 1.56 - 1.46 (m, 1H, H-2 ax). 環 III: δ = 5.59 (d, 1H, J = 1.5 Hz, H-1), 5.49 (dd,1H, J = 5.0, 1.1 Hz, H-2), 5.41 (dd,1H, J = 7.1, 4.7 Hz, H-3), 4.48 - 4.44 (m, 1H, H-4), 3.61 - 3.58 (m, 1H, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.93 - 7.90 (m, 2H, Ph), 7.86 - 7.81 (m, 4H, Ph), 7.59 (dd, 2H, J = 10.6, 4.3 Hz, Ph), 7.55 - 7.49 (m, 3H, Ph), 7.41 (t,2H, J = 7.8 Hz, Ph), 7.33 (t, 2H, J = 7.8 Hz, Ph), 2.08 (s, 3H, Ac), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.04 (s, 3H, Ac), 1.82 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 171.62 (カルボニル), 170.15 (カルボニル), 170.00 (カルボニル), 169.92 (カルボニル), 165.24 (カルボニル), 165.16 (カルボニル), 140.84 (Ph 4°), 133.75 (Ph), 133.63 (Ph), 132.92 (Ph), 129.68 (Ph), 129.63 (Ph), 129.37 (Ph), 128.68 (Ph), 128.57 (Ph), 128.50 (Ph), 128.43 (Ph), 126.68 (Ph), 107.22 (C-1''), 96.26 (C-1'), 80.24 (C-4), 80.20 (C-4''), 76.96 (C-6), 74.62 (C-2''), 73.48 (C-5), 71.62 (C-3''), 70.53 (C-3'), 70.24 (C-5'), 68.94 (C-6'), 68.53 (C-4'), 61.38 (C-2'), 58.73 (C-1), 52.78 (C-5''), 52.55 (C-3), 34.68 (C-2), 21.17 (Ac), 20.72 (Ac), 20.67 (Ac), 20.57 (Ac), 13.44 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C46H50N10O18S ([M+Na]) m/e 1063.01; 実測値m/e 1085.13.
【0714】
5-O-(5’’-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-アセトアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物13;図5の製造
【0715】
【化50】
【0716】
化合物13は、出発材料としての化合物7(398mg、0.663mmol)、CHCl(10ml)及び供与体10(1g、1.722mmol)を使用し、化合物12の製造について記載されたように製造され、485mg(75%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.94 (d, 1H, J = 3.8 Hz, H-1), 5.47 - 5.41 (m, 1H, H-3), 5.02 - 4.94 (m, 2H, H-5, H-6), 4.48 (dd, 1H, J = 10.6, 1.8 Hz, H-4), 3.47 - 3.41 (m, 1H, H-2), 1.26 (d, 3H,J = 6.2 Hz, CH3-C-6). 環II:δ = 5.79 (d,1H, J = 8.0 Hz, RNHCO), 4.89 - 4.84 (m, 1H, H-4), 4.09 (ddd, 1H, J = 9.5, 8.3, 5.2 Hz, H-1), 3.98 (t, 1H,J = 9.1 Hz, H-5), 3.75 - 3.69 (m, 1H, H-6), 3.64 - 3.55 (m, 1H, H-3), 2.47 (dt,1H, J = 8.7, 4.6 Hz, H-2 eq), 1.38 (t, 1H, J = 12.8 Hz, H-2 ax). 環 III: δ = 5.64 (d, 1H,J = 1.5 Hz, H-1), 5.60 (d, 1H, J = 5.9 Hz, H-2), 5.48 (dd, 1H, J = 7.3, 4.8 Hz, H-3), 4.52 - 4.48 (m, 1H, H-4), 3.64 - 3.60 (m, 2H, H-5).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 172.05 (アミド), 170.09 (カルボニル), 170.02 (カルボニル), 169.88 (カルボニル), 169.79 (カルボニル), 165.24 (カルボニル),165.21 (カルボニル), 133.72 (Ph), 133.64 (Ph), 129.72 (Ph), 129.66 (Ph), 128.70 (Ph), 128.56 (Ph), 128.53 (Ph), 128.44 (Ph), 107.46 (C-1''), 96.30 (C-1'), 80.44 (C-5), 80.15 (C-4''), 77.20 (C-6), 74.65 (C-2''), 74.06 (C-4), 71.56 (C-3''), 70.62 (C-4'), 70.21 (C-3'), 68.98 (C-5'), 68.62 (C-6'), 61.44 (C-2'), 58.84 (C-3), 52.75 (C-5''), 48.24 (C-4), 32.94 (C-2), 23.18 (RNHAc), 21.19 (Ac), 20.88 (Ac), 20.75 (Ac), 20.68 (Ac), 13.58 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C42H48N10O17 ([M+Na]) m/e 964.89; 実測値m/e 987.15.
【0717】
5-O-(5’’-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-メタンスルホンアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物14;図5)の製造
【0718】
【化51】
【0719】
化合物14は、出発材料としての化合物6(0.680g、1mmol)、CHCl(10ml)及び供与体10(2g、4mmol)を使用し、化合物12の製造について記載されたように製造され、0.73g(73%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.91 (d,1H, J = 3.7 Hz, H-1), 5.46 - 5.40 (m,1H,H-3), 5.01 - 4.94 (m, 2H, H-4, H-6), 4.44 (dd, 1H, J = 10.5, 1.6 Hz, H-5), 3.45 (dd, 1H, J = 10.7, 4.1 Hz, H-2), 1.25 (d,1H, J = 5.7 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 5.06 (d,1H, J = 9.5 Hz, NHSO2-CH3), 4.92 (t, 1H, J = 9.7 Hz, H-6), 3.95 (t, 1H, J = 8.9 Hz, H-5), 3.79 - 3.73 (m, 1H, H-4), 3.61 - 3.49 (m, 2H,H-1, H-3), 2.47 (dt, 1H, J = 12.3, 4.0 Hz, H-2), 1.60 (dd, 1H, J = 26.6, 12.0 Hz, H-2). 環III: δ = 5.64 (d, 1H,J = 0.9 Hz, H-1), 5.59 (d, 1H,J = 5.7 Hz, H-2), 5.45 (dd,1H, J = 7.1, 4.7 Hz, H-3), 4.51 (d, 1H, J = 7.0 Hz, H-4), 3.62 (d, 2H,J = 4.5 Hz, H-5, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.93 (d, 2H, J = 7.4 Hz, Ar), 7.86 (d, 2H, J = 7.4 Hz, Ar), 7.55 (dt, 2H,J = 23.6, 7.5 Hz, Ar), 7.41 (t,2H, J = 7.8 Hz, Ar), 7.34 (t, 2H, J = 7.8 Hz, Ar), 2.97 (s, 3H, NHSO2-CH3), 2.25 (s, 2H, Ac), 2.08 (s, 3H, Ac), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.05 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 171.45 (カルボニル), 170.12 (カルボニル), 169.97 (カルボニル), 169.86 (カルボニル), 165.33 (カルボニル), 165.19 (カルボニル), 133.73 (Ar), 133.63 (Ar), 129.70 (Ar), 129.65 (Ar), 128.71 (Ar), 128.56 (Ar), 128.54 (Ar), 128.45 (Ar), 107.40 (C-1''), 96.28 (C-1'), 80.39 (C-4), 80.05 (C-6'), 77.09 (C-6), 74.66 (C-3), 73.47 (C-2''), 71.71 (C-5'), 70.61 (C-4'), 70.30 (C-3'), 68.99 (C-3''), 68.56 (C-4''), 61.46 (C-2'), 58.84 (C-1), 52.83 (C-3), 52.14 (C-5''), 42.08 (NHSO2-CH3), 34.82 (C-2), 21.15 (Ac), 21.06 (Ac), 20.70 (Ac), 20.64 (Ac), 13.50 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C41H48N10O18S ([M+Na]) m/e 1000.94; 実測値m/e 1023.31.
【0720】
5-O-(5’’-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-ベンズアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物15;図5)の製造
【0721】
【化52】
【0722】
化合物15は、出発材料としての化合物5(0.35g、0.529mmol)、無水CHCl(10ml)及び供与体10(0.864g、2.11mmol)を使用し、化合物12の製造について記載されたように製造され、0.4g(73%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.98 (d,1H, J = 3.6 Hz, H-1), 5.49 - 5.43 (m, 1H, H-3), 5.04 - 4.96 (m, 2H, H-4, H-6), 4.51 (d, 1H, J = 9.8 Hz, H-5), 3.48 - 3.43 (m, 1H, H-2), 1.27 (d, 1H, J = 5.7 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 6.59 (d, 1H, J = 7.6 Hz, アミド), 5.02 (t,1H, J = 9.8 Hz, H-6), 4.31 - 4.24 (m, 1H, H-1), 4.06 (t,1H, J = 8.9 Hz, H-5), 3.81 - 3.73 (m, 1H, H-4), 3.66 (tt,1H. J = 9.7, 4.8 Hz, H-3), 2.64 (dd, 1H, J = 10.1, 3.1 Hz, H-2 eq), 1.51 - 1.42 (m, 1H, H-2 ax). 環III: δ = 5.69 (s, 1H, H-1), 5.64 (d, 1H, J = 4.7 Hz, H-2), 5.51 (dd, 1H, J = 6.5, 4.8 Hz, 1H), 4.51 (d,1H, J = 7.4 Hz, H-3), 3.64 (m, 2H, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.94 (d, 2H, J = 7.6 Hz, Ph), 7.85 (d,2H, J = 7.7 Hz, Ph), 7.71 (d, 2H, J = 7.5 Hz, Ph), 7.58 (t, 1H,J = 7.3 Hz, Ph), 7.55 - 7.49 (m, 2H, Ph), 7.47 - 7.39 (m, 4H, Ph), 7.33 (t,2H, J = 7.7 Hz, Ph), 2.15 (s, 3H, Ac), 2.09 (s, 3H, Ac), 2.08 (s, 3H, Ac), 2.06 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 172.55 (アミド), 170.08 (カルボニル), 170.01 (カルボニル), 169.85 (カルボニル), 166.80 (カルボニル), 165.22 (カルボニル), 165.21 (カルボニル), 133.69 (Ph), 133.61 (Ph), 133.21 (Ph), 131.96 (Ph), 129.71 (Ph), 129.65 (Ph), 128.74 (Ph), 128.55 (Ph), 128.42 (Ph), 126.83 (Ph), 107.55 (C-1''), 96.37 (C-1'), 80.64 (C-5), 80.13 (C-4''), 77.32 (C-4), 74.69 (C-2''), 74.23 (C-6), 71.56 (C-3''), 70.66 (C-5'), 70.25 (C-3'), 69.03 (C-6'), 68.63 (C-4'), 61.50 (C-2'), 58.94 (C-3), 52.77 (C-5''), 48.97 (C-1), 33.04 (C-2), 21.17 (Ac), 20.92 (Ac), 20.73 (Ac), 20.66 (Ac), 13.58 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C47H50N10O17 ([M+H]) m/e 1026.34; 実測値m/e 1027.28.
【0723】
5-O-(5’’-(S)-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-メタンスルホンアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物16;図5)の製造
【0724】
【化53】
【0725】
化合物16は、出発材料としての化合物6(0.4g、0.629mmol)、無水CHCl(15ml)、及びKandasamy, J.ら Med chem comm 2, 165-171 (2011)に記載されたように製造した供与体化合物11(1.4g、2.5mmol)を使用し、化合物12の製造について記載されたように製造され、0.37g(58%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.92 (d, 1H, J = 3.8 Hz, H-1), 5.44 - 5.37 (m, 1H, H-3), 4.97 (dd, 2H, J = 17.2, 7.6 Hz, H-4, H-6), 4.43 (d, 1H, J = 10.3 Hz, H-5), 3.53 (dd, 1H, J = 10.8, 3.9 Hz, H-2), 1.24 (d, 3H, J = 5.6 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 5.11 (d,1H, J = 9.4 Hz, NHSO2-CH3), 4.92 (t, 1H, J = 9.6 Hz, H-5), 3.92 (t, 1H, J = 8.9 Hz, H-6), 3.76 (t, 1H, J = 9.1 Hz, H-4), 3.55 (ddd, 2H, J = 17.4, 10.2, 5.3 Hz, H-1,H-3), 2.48 (dd, 1H, J = 8.1, 4.0 Hz, H-2 eq), 1.61 (dd, 1H, J = 26.0, 12.3 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.61 (d, 2H, J = 4.5 Hz, H-1, H-2), 5.48 (dd, 1H,J = 7.8, 4.7 Hz, H-3), 4.31 (t, 1H, J = 6.8 Hz, H-4), 3.72 (p, 1H, J = 6.9 Hz, H-5), 1.28 (d, 3H,J = 7.0 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.89 (dd, 2H, J = 27.3, 7.7 Hz, Ar), 7.55 (dt, 2H, J = 20.8, 7.4 Hz, Ar), 7.37 (dt, 2H, J = 30.8, 7.7 Hz, Ar), 2.98 (s, 3H, NHSO2-CH3), 2.32 (s, 3H, Ac), 2.08 (s, 3H, Ac), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.05 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 171.65 (カルボニル), 170.17 (カルボニル), 170.03 (カルボニル), 169.86 (カルボニル), 165.35 (カルボニル), 165.01 (Ar), 133.73 (Ar), 133.64 (Ar), 129.71 (Ar), 129.63 (Ar), 128.74 (Ar), 128.68 (Ar), 128.56 (Ar), 128.51 (Ar), 128.45 (Ar), 107.60 (C-1''), 96.14 (C-1'), 83.99 (C-4''), 79.92 (C-6), 77.38 (C-4), 74.72 (C-2''), 73.15 (C-5), 71.62 (C-3''), 70.78 (C-3'), 70.22 (C-5'), 69.00 (C-4'), 68.56 (C-6'), 61.67 (C-2'), 59.02 (C-5''), 58.72 (C-1), 52.30 (C-3), 42.04 (NHSO2-CH3), 34.85 (C-2), 21.17 (Ac), 21.11 (Ac), 20.72 (Ac), 20.66 (Ac), 15.49 (CH3-C-5'), 13.48 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C42H50N10O18S ([M+Na]) m/e 1014.97; 実測値m/e 1037.28.
【0726】
5-O-(5’’-(S)-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-アセトアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物17;図5)の製造
【0727】
【化54】
【0728】
化合物17は、出発材料としての化合物7(1.5g、2.5mmol)、無水CHCl(15ml)及び供与体11(4.5g、10mmol)を使用し、化合物12の製造について記載されたように製造され、1.6g(64%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.95 (d, 1H, J = 3.6 Hz, H-1), 5.41 (dd, 1H, J = 10.6, 8.8 Hz, H-3), 5.01 - 4.93 (m, 2H, H-6, H-4), 4.46 (dd, 1H,J = 10.6, 1.3 Hz, H-5), 3.50 (dd, 1H, J = 10.6, 3.8 Hz, H-2), 1.25 (d,3H, J = 6.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 5.93 (d,1H, J = 8.3 Hz, NH-Ac), 4.87 (t,1H, J = 9.8 Hz, H-6), 4.14 - 4.04 (m, 1H, H-1), 3.94 (t, 1H, J = 8.9 Hz, H-5), 3.79 - 3.68 (m, 1H, H-4), 3.60 (dt, 1H,J = 11.6, 5.2 Hz, H-3), 2.48 - 2.41 (m, 1H, H-2 eq), 1.39 (dd,1H, J = 26.8, 13.1 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.61 (d, 2H, J = 4.4 Hz, H-1, H-2), 5.51 (dd, 1H, J = 7.9, 4.5 Hz, H-3), 4.31 - 4.27 (m, 1H, H-4), 3.70 (m, 1H, H-5), 1.29 (d, 3H, J = 6.9 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.88 (dd, 4H,J = 33.7, 7.4 Hz, Ar), 7.54 (dt, 2H, J = 24.3, 7.4 Hz, Ar), 7.36 (dt,4H, J = 36.9, 7.8 Hz, Ar), 2.22 (s, 3H, Ac), 2.08 (s, 3H, Ac ), 2.07 (s, 3H, Ac), 2.04 (s, 3H, Ac), 1.94 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 172.16 (カルボニル), 170.09 (カルボニル), 170.01 (カルボニル), 169.82 (カルボニル), 169.7 (カルボニル), 165.23 (カルボニル), 165.04 (カルボニル), 133.68 (Ar), 133.60 (Ar), 129.71 (Ar), 129.67 (Ar), 129.63 (Ar), 128.69 (Ar), 128.54 (Ar), 128.42 (Ar), 107.60 (C-1''), 96.13 (C-1'), 83.64 (C-4''), 80.41 (C-5), 77.54 (C-4), 74.78 (C-2''), 73.82 (C-6), 71.47 (C-3''), 70.82 (C-5'), 70.17 (C-3'), 69.03 (C-6'), 68.63 (C-4'), 61.64 (C-2'), 58.82 (C-5''), 48.23 (C-1), 32.80 (C-2), 23.15 (Ac), 21.14 (Ac), 20.89 (Ac), 20.71 (Ac), 20.65 (Ac), 15.51 (CH3-C-5''), 13.57 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C43H50N10O17 ([M+Na]) m/e 978.91; 実測値m/e 1001.32.
【0729】
5-O-(5’’-(S)-アジド-2’’,3’’-O-ジベンゾイル-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-3',4',6',6-テトラ-O-アセテート-2',3-ジアジド-1-N-ベンズアミド-6'-(R)-メチルパロマミン(化合物18;図5)の製造
【0730】
【化55】
【0731】
化合物18は、出発材料としての化合物5(0.323g、0.488mmol)、無水CHCl(10ml)及び供与体11(1.4g、1mmol)を使用し、化合物12の製造について記載されたように製造され、0.422g(83%)を得た。
H NMR (500MHz, CDCl3): 環I: δ = 5.99 (d, 1H, J = 3.8 Hz, H-1), 5.44 (t,1H, J = 10.3 Hz, H-3), 5.00 (dd, 2H, J = 19.0, 8.7 Hz, H-5, H-6), 4.49 (dd, 1H, J = 10.3, 1.3 Hz, H-4), 3.53 (dd, 1H, J = 10.6, 4.1 Hz, H-2), 1.26 (d, 3H, J = 5.8 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 6.62 (d, 1H, J = 7.8 Hz, NHCOBz), 5.03 (d, 1H, J = 10.1 Hz, H-6), 4.33 - 4.23 (m, 1H,H-1), 4.02 (t, 1H,J = 8.9 Hz, H-5), 3.77 (t, 1H, J = 9.2 Hz, H-4), 3.69 - 3.62 (m, 1H, H-3), 2.64 (dt, 1H, J = 7.9, 5.1 Hz, H-2 eq), 1.46 (q, 1H, J = 12.2 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.67 (d, 2H, J = 4.5 Hz, H-1, H-2), 5.54 (dd, 1H, J = 7.8, 4.9 Hz, H-3), 4.34 - 4.27 (m, 1H, H-4), 3.72 (p, 1H, J = 7.0 Hz, H-5), 1.31 (d, 3H, J = 6.9 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.92 (d, 2H, J = 7.5 Hz, Ar), 7.84 (d, 2H, J = 7.6 Hz, Ar), 7.72 (d, 2H, J = 7.4 Hz, Ar), 7.57 (t, 1H, J = 7.4 Hz, Ar), 7.52 (t,2H, J = 7.4 Hz, Ar), 7.43 (dt, 4H, J = 19.0, 7.6 Hz, Ar), 7.33 (t, 2H, J = 7.8 Hz, Ar), 2.22 (s, 3H, Ac), 2.09 (s, 3H, Ac), 2.08 (s, 3H, Ac), 2.06 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, CDCl3): δ = 172.81 (カルボニル), 170.10 (カルボニル), 170.03 (カルボニル), 169.82 (カルボニル), 166.79 (カルボニル), 165.21 (カルボニル), 165.02 (カルボニル), 133.66 (Ar), 133.58 (Ar), 133.25 (Ar), 131.95 (Ar), 129.72 (Ar), 129.63 (Ar), 128.74 (Ar), 128.53 (Ar), 128.41 (Ar), 126.84 (Ar), 107.74 (C-1''), 96.23 (C-1'), 83.67 (C-4''), 80.55 (C-5), 77.64 (C-4), 74.84 (C-2''), 73.91 (C-6), 71.46 (C-3''), 70.85 (C-4'), 70.20 (C-4'), 69.05 (C-6'), 68.66 (C-5'), 61.70 (C-2'), 58.90 (C-5''), 58.88 (C-3), 49.09 (C-1), 32.96 (C-2), 21.17 (Ac), 20.97 (Ac), 20.73 (Ac), 20.66 (Ac), 15.53 (CH3-C-5'), 13.60 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C47H50N10O17 ([M+HO]) m/e 1046.98; 実測値m/e 1065.6.
【0732】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-フェニルスルホンアミドパロマミン(化合物19;図5)の製造
【0733】
【化56】
【0734】
化合物12(314mg、0.295mmol)をMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、5ml)で処理した。反応の進行をTLC(EtOAc/MeOH、7:3)でモニターし、12時間後に完了したことが示された。次に、反応混合物を蒸発乾固させ、シリカゲルクロマトグラフィー(100% EtOAc)で精製し 、化合物19(0.148g、73%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 6.00 (d,1H, J = 3.6 Hz, H-1), 4.02 (dd,1H, J = 6.8, 3.5 Hz, H-5), 3.94 - 3.86 (m, 2H, H-3,H-6), 3.32 (dd,1H, J = 10.0, 8.7 Hz, H-4), 3.11 (dd, 1H, J = 10.6, 4.3 Hz, H-2), 1.21 (d, 1H, J = 6.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.60 (m, 2H, J = 17.3, 9.0 Hz, H-4, H-5), 3.43 - 3.35 (m, 1H, H-1), 3.27 - 3.13 (m, 2H, H-3, H-6), 1.85 (dt, 1H, J = 12.3, 4.0 Hz, H-2 eq), 1.33 - 1.20 (m, 1H, H-2 ax). 環III: δ = 5.29 (d, 1H, J = 0.8 Hz, H-1), 4.14 (d, 1H, J = 5.1 Hz, H-2), 4.02 (dd, 1H, J = 7.5, 4.1 Hz, H-3), 3.98 (td, 1H, J = 6.3, 2.9 Hz, H-4), 3.55 (dd, 1H, J = 13.3, 2.7 Hz, H-5), 3.46 (dd, 1H, J = 13.2, 6.2 Hz, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.92 (dd, 2H J = 5.2, 3.4 Hz, Ph), 7.63 (ddd, 1H, J = 8.6, 2.4, 1.2 Hz, Ph), 7.60 - 7.54 (m, 2H, Ph).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 142.82 (Ph 4°), 133.63 (Ph), 130.16 (Ph), 127.95 (Ph), 111.21 (C-1''), 97.10 (C-1'), 85.77 (C-5), 82.13 (C-4''), 76.39 (C-4), 76.24 (s), 76.00 (C-6), 75.01 (C-3'), 74.10 (C-4'), 72.57 (C-5'), 72.46 (C-6'), 68.97 (C-3''), 64.85 (C-2'), 61.38 (C-1), 54.82 (C-3), 54.39 (C-5''), 34.40 (C-2), 17.65 (CH3-C-6').
【0735】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-アセトアミドパロマミン(化合物20;図5)の製造
【0736】
【化57】
【0737】
化合物20は、出発材料としての化合物13(485mg、0.824mmol)及びMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、5ml)を使用し、化合物19の製造について記載されたように製造され、278mg(93%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.99 (d,1H, J = 3.6 Hz, H-1), 4.00 (dd, 1H,J = 6.8, 3.6 Hz, H-6), 3.93 (dd,1H, J = 9.9, 4.1 Hz, H-4), 3.88 (dd,1H, J = 10.1, 9.1 Hz, H-3), 3.28 (dd,1H, J = 10.1, 8.7 Hz, H-5), 3.07 (dd,1H, J = 10.6, 4.3 Hz, H-2), 1.19 (d, 1H, J = 6.0 Hz, CH3-C-6). 環II:δ = 3.75 (ddd, 1H,J = 12.0, 10.4, 4.5 Hz, H-1), 3.69 - 3.63 (m, 1H, H-4), 3.60 (t, 1H,J = 8.9 Hz, H-5), 3.49 (ddd, 1H, J = 12.3, 9.7, 4.8 Hz, H-3), 3.28 (dd, 1H, J = 10.4, 8.9 Hz, m, 1H, H-6), 2.09 (dt, 1H, J = 12.5, 4.3 Hz, H-2 eq), 1.32 (dd,1H, J = 25.7, 12.6 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.29 (d, 1H,J = 1.1 Hz, H-1), 4.12 (d, 1H,J = 5.3 Hz, H-2), 3.99 (dd,1H, J = 7.5, 4.2 Hz, H-3), 3.95 (dd, 1H,J = 7.0, 3.4 Hz, H-4), 3.52 (dd, 1H,J = 13.2, 2.7 Hz, H-5), 3.44 (dd, 1H,J = 13.2, 6.1 Hz, H-5).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 173.48 (アミド), 111.24 (C-1''), 97.25 (C-1'), 86.33 (C-5), 82.27 (C-4''), 76.66 (C-2''), 76.36 (C-5'), 76.14 (C-4), 75.14 (C-4'), 74.20 (C-3''), 72.67 (C-6), 72.52 (C-3'), 69.03 (C-6'), 64.97 (C-2'), 61.96 (C-3), 54.48 (C-5''), 50.71 (C-1), 33.85 (C-2), 22.80 (Ac), 17.63 (CH3-C-6').
MALDI TOF MS: C20H32N10O11 ([M+Na]) m/e 588.53; 実測値m/e 611.11.
【0738】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-メタンスルホンアミドパロマミン(化合物21;図5)の製造
【0739】
【化58】
【0740】
化合物21は、化合物14(0.73g、0.729mmol)及びMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、10ml)を使用し、化合物19の製造について記載されたように製造され、0.426g(93%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 6.03 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1), 4.06 (dd, 1H, J = 7.0, 3.3 Hz, H-6), 4.00 - 3.91 (m, 2H, H-5, H-3), 3.39 - 3.32 (m, 1H, H-4), 3.14 (dd, 1H, J = 10.7, 4.8 Hz, H-2), 1.26 (d, 3H, J = 4.8 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.74 - 3.64 (m,2H, H-4, H-6), 3.60 - 3.52 (m, 1H, H-1), 3.30 (dd,1H, J = 9.5, 4.6 Hz, H-3), 2.28 (dd, 1H, J = 8.4, 2.9 Hz, H-2 eq), 1.46 (dd, 1H, J = 26.2, 12.4 Hz, H-1 ax). 環III: δ = 5.37 (s, 1H, H-1), 4.19 (d,1H, J = 4.2 Hz, H-2), 4.06 (t, 2H, J = 5.5 Hz, H-3, H-4), 3.62 - 3.48 (m, 2H, H-5, H-5), スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 3.06 (s, 3H, NHSO2-CH3).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 109.65 (C-1''), 95.82 (C-1'), 84.58 (C-4), 80.93 (C-6'), 75.09 (C-6), 74.92 (C-3), 74.89 (C-2''), 73.70 (C-5'), 72.81 (C-4'), 71.20 (C-3'), 71.10 (C-3''), 67.68 (C-4''), 63.52 (C-2'), 60.33 (C-1), 53.50 (C-3), 53.03 (C-5''), 40.26 (NHSO2-CH3), 34.46 (C-2), 16.31 (CH3-C-6').
MALDI TOF MS: ([M-H]) m/e 624.58; 実測値m/e 623.19.
【0741】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-ベンズアミドパロマミン(化合物22;図5)の製造
【0742】
【化59】
【0743】
化合物22は、化合物15(0.4g、0.389mmol)及びMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、10ml)を使用し、化合物19の製造について記載されたように製造され、0.25g(95%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 6.08 (d, 1H, J = 3.3 Hz, H-1), 4.07 (dd, 1H, J = 7.1, 3.4 Hz, H-6), 4.03 - 3.95 (m, 2H,H-3,H-5 ), 3.42 - 3.37 (m, 1H, H-4), 3.16 (dd, 1H,J = 10.6, 4.7 Hz, H-2), 1.28 (d, 1H,J = 4.8 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 8.35 (d, 1H, J = 7.9 Hz, アミド), 4.08 (td, 2H, J = 11.1, 4.8 Hz, H-1, H-5), 3.81 - 3.70 (m, 1H, H-4), 3.59 (dt, 2H,J = 18.7, 7.0 Hz, H-6, H-3), 2.25 (dd, 1H, J = 8.0, 4.0 Hz,H-2 eq), 1.57 (dd, 1H, J = 26.2, 12.8 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.41 (s, 1H, H-1), 4.22 (d,1H, J = 5.2 Hz, H-2), 4.09 (dd,1H, J = 7.8, 3.8 Hz, H-3), 4.06 - 4.02 (m, 1H,H-4), 3.59 (dd, 1H, J = 13.1, 2.3 Hz, H-5), 3.51 (dd, 1H, J = 13.1, 6.3 Hz, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.89 (d,2H, J = 7.4 Hz, Ph), 7.56 (t, 1H, J = 7.3 Hz, Ph), 7.48 (t,2H, J = 7.6 Hz, Ph).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 169.01 (アミド), 134.16 (Ph), 131.39 (Ph), 128.11 (Ph), 127.06 (Ph), 109.87 (C-1''), 95.88 (C-1'), 84.94 (C-6), 80.91 (C-4''), 75.39 (s), 74.99 (C-2''), 74.51 (C-4), 73.71 (C-5'), 72.94 (C-4'), 71.25 (C-3''), 71.11 (C-3'), 67.86 (C-6''), 63.52 (C-2'), 60.67 (C-3), 53.10 (C-5''), 32.30 (C-2), 16.54 (CH3-C-6').
【0744】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-(S)-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-メタンスルホンアミドパロマミン(化合物23;図5)の製造
【0745】
【化60】
【0746】
化合物23は、化合物16(0.37g、0.364mmol)及びMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、10ml)を使用し、化合物19の製造について記載されたように製造され、0.230g(98%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 6.04 (d,1H, J = 3.6 Hz, H-1), 4.02 (dd, 1H, J = 6.8, 3.3 Hz, H-6), 3.95 - 3.89 (m, 2H, H-3, H-5), 3.29 (dd, 1H, J = 10.0, 8.7 Hz, H-4), 3.08 (dd, 1H, J = 10.6, 4.4 Hz, H-2), 1.21 (d, 3H, J = 6.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ 3.68 (t, 1H, J = 9.6 Hz, H-4), 3.61 (t, 1H, J = 8.5 Hz, H-5), 3.54 - 3.47 (m, 1H, H-1), 3.29 - 3.20 (m, 2H, H-3, H-6), 2.27 - 2.19 (m, 1H, H-2 eq), 1.42 (dd, 1H, J = 27.1, 11.5 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.30 (d, 1H, J = 0.5 Hz, H-1), 4.14 (d, 1H, J = 5.4 Hz, H-2), 4.08 (dd,1H, J = 7.7, 4.2 Hz, H-3), 3.72 (t,1H, J = 6.4 Hz, H-4), 3.67 - 3.60 (m, 1H, H-5), 1.33 (d, 3H, J = 6.9 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 3.01 (s, 3H, NHSO2-CH3).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 109.27 (C-1''), 95.81 (C-1'), 84.65 (C-4''), 84.53 (C-5), 75.12 (C-2''), 74.94 (C-4), 74.83 (C-6), 73.73 (C-3'), 72.77 (C-4'), 71.27 (C-3''), 71.15 (C-5'), 67.51 (C-6''), 63.41 (C-2'), 60.37 (C-1), 59.27 (C-5''), 53.50 (C-3), 40.23 (NHSO2-CH3), 34.47 (C-2), 16.10 (CH3-C-5'), 14.66 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C20H34N10O12S ([M+H]) m/e 638.61; 実測値m/e 637.5.
【0747】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-(S)-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-アセトアミドパロマミン(化合物24;図5)の製造
【0748】
【化61】
【0749】
化合物24は、化合物17(1.6g、1.6mmol)及びMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、10ml)を使用し、化合物19の製造について記載されたように製造され、0.820g(81%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 6.07 (d,1H, J = 3.4 Hz, H-1), 4.06 - 4.00 (m, 1H, H-6), 3.98 - 3.91 (m, 2H, H-3, H-5), 3.31 (dd, 1H, J = 10.0, 8.8 Hz, H-4), 3.09 (dd, 1H,J = 10.6, 4.5 Hz, H-2), 1.23 (d, 3H, J = 5.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.81 - 3.74 (m, 1H, H-1), 3.73 - 3.68 (m, 1H, H-4,), 3.68 - 3.61 (m, 1H, H-3), 3.56 - 3.48 (m, 1H, H-3), 3.32 (dd, 1H, J = 10.0, 9.4 Hz, H-6), 2.12 (dt, 1H, J = 12.1, 4.1 Hz, H-2 eq), 1.35 (dd, 1H, J = 25.9, 12.6 Hz, H-2 ax). 環 III: δ = 5.30 (s, 1H, H-1), 4.14 (d, 1H, J = 5.3 Hz, H-2), 4.11 - 4.06 (m, 1H, H-3), 3.73 (t, 1H, J = 5.8 Hz, H-4), 3.66 (dd, 1H, J = 11.5, 3.6 Hz, H-5), 1.34 (d, 3H,J = 6.7 Hz, CH3-C-5').
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 108.70 (C-1''), 95.10 (d,C-1'), 84.38 (C-5), 83.97 (C-4''), 74.56 (C-5''), 74.51 (C-2''), 74.04 (C-4), 73.12 (C-3'), 72.21 (C-6), 70.70 (C-3''), 70.52 (C-6'), 66.96 (C-6''), 62.81 (C-2'), 59.97 (C-3), 58.70 (s), 48.67 (C-1), 47.23 (C-4'), 31.82 (C-2), 20.80 (Ac), 15.51 (CH3-C-6'), 14.05 (CH3-C-5'').
MALDI TOFMS: C21H40NO11 ([M+Na]) m/e 602.56; 実測値m/e 625.23.
【0750】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-(S)-アジド-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アジド-1-N-ベンズアミドパロマミン(化合物25;図5)の製造
【0751】
【化62】
【0752】
化合物25は、化合物18(0.422g、0.405mmol)及びMeNH溶液(EtOH中の33%溶液、10ml)を使用し、化合物19の製造について記載されたように製造され、0.260g(96%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 6.11 (d, 1H, J = 3.5 Hz, H-1), 4.07 - 4.03 (m, 1H, H-6), 4.01 - 3.93 (m, 2H, H-3, H-5), 3.33 (dd, 1H, J = 10.0, 8.8 Hz, H-4), 3.14 - 3.07 (m, 1H, H-2), 1.24 (d, 3H, J = 6.1 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 4.04 (ddd, 1H, J = 11.1, 10.0, 3.8 Hz, H-1), 3.80 - 3.72 (m, 1H, H-4), 3.72 - 3.65 (m, 1H, H-5), 3.65 - 3.55 (m, 1H, H-3), 3.51 (dd, 1H, J = 10.6, 8.2 Hz, H-6), 2.23 (dt, 1H, J = 11.8, 3.6 Hz, H-2 eq), 1.57 - 1.47 (m, 1H, H-2 ax). 環III: δ = 5.33 (s, 1H, H-1), 4.17 (d, 1H, J = 5.2 Hz, H-2), 4.14 - 4.07 (m, 1H, H-3), 3.76 - 3.72 (m, 1H, H-4), 3.66 (dd, 1H, J = 6.4, 5.6 Hz, H-5), 1.35 (d, 3H, J = 7.0 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.84 (d,2H, J = 8.6 Hz, Ar), 7.54 (t,1H, J = 7.4 Hz, Ar), 7.46 (t, 2H, J = 7.6 Hz, Ar).
13C NMR (126 MHz, MeOD): δ = 169.04 (カルボニル), 134.16 (Ar), 131.53 (Ar), 128.05 (Ar), 126.97 (Ar), 109.54 (C-1''), 95.76 (C-1'), 85.02 (C-5), 84.82 (C-4''), 75.23 (C-2''), 75.15 (C-4), 74.46 (C-3'), 73.72 (C-4'), 72.86 (C-6), 71.32 (C-3''), 71.16 (C-5'), 67.61 (C-6'), 63.44 (C-2'), 60.69 (C-3), 59.34 (C-5''), 49.85 (C-1), 32.36 (C-2), 16.16 (CH3-C-6'), 14.63 (CH3-C-5').
MALDI TOFMS: C26H36N10O11 ([M+Na]) m/e 664.62; 実測値m/e 687.25.
【0753】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アミノ-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アミノ-1-N-フェニルスルホンアミドパロマミン(NB74-N1PhS;図2及び5)の製造
【0754】
【化63】
【0755】
化合物19(0.148g、0.243mmol)をTHF(5ml)とNaOH水溶液(0.1M、1.5ml)の混合物に溶解した。混合物を室温で10分間撹拌し、その後、PMe(THF 4ml中の1M溶液)を加えた。反応の進行をTLC[CHCl/MeOH/HO/MeNH(EtOH中の30%溶液)、10:15:6:15]でモニターし、5時間後に完了したことが示された。その後、反応混合物をシリカゲルカラムのフラッシュクロマトグラフィーで精製した。カラムをEtOAc、THF及びMeOHで洗浄した。生成物を、80%MeOH中の20%Me NH溶液(EtOH中の30%溶液)で溶出した。生成物を含む画分を集め、真空下で蒸発させ、少量の水に再溶解し、アンバーライトCG50(NH 型)の短いカラムを通過させた。カラムを最初にHO、MeOH/HO、MeOH及びHOで洗浄した。次に、生成物をMeOH/HO/NHOH(80:10:10)の混合物で溶出し、化合物NB74-N1PhS(67mg、51%)を得た。保存及び生物学的試験のために、NB74-N1PhSを硫酸塩に変換した:遊離塩基を水に溶解し、HSO(0.1N)でpHを7に調整し、凍結乾燥した。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.16 (d, 1H, J = 3.3 Hz, H-1), 4.04 (dd, 1H, J = 5.1, 2.2 Hz, H-6), 3.74 (dd, 1H, J = 9.9, 3.1 Hz, H-5), 3.52 - 3.45 (m, 1H, H-3), 3.19 - 3.13 (m, 1H, H-4), 2.59 (q, 1H, J = 6.2 Hz, H-2), 1.15 (d, 3H, J = 5.9 Hz, 1H, CH3-C-6). 環II: δ 3.49 (t, 1H, J = 9.1 Hz, H-5), 3.35 - 3.27 (m, 2H, H-4, H-6), 3.17 - 3.08 (m, 1H, H-1), 2.74 - 2.64 (m, 1H, H-3), 1.84 (dd, 1H, J = 8.7, 4.0 Hz, H-2), 1.23 (m,1H, H-2) 環III: δ = 5.17 (d, 1H, J = 2.2 Hz, H-1), 4.06 (dd, 1H, J = 6.6, 3.1 Hz,H-2), 3.91 - 3.88 (m, 1H,H-3), 3.88 - 3.83 (m, 1H, H-4), 2.96 (dd, 1H, J = 13.2, 3.5 Hz, 1H,H-5), 2.77 (dd, 1H, J = 13.2, 7.5 Hz, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.89 - 7.86 (m, 2H, Ph), 7.60 - 7.55 (m, 1H, Ph), 7.52 (dd, 2H, J = 10.2, 4.7 Hz, Ph).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 143.12 (Ph 4°), 133.54 (Ph), 130.15 (Ph), 127.96 (Ph), 111.18 (C-1''), 101.60 (C-1'), 85.81 (C-5), 85.69 (C-4), 83.47 (C-4''), 76.73 (C-6), 76.45 (C-5'), 76.34 (s), 74.92 (C-3'), 73.53 (C-4'), 72.69 (C-3''), 67.75 (C-6'), 57.54 (C-2'), 55.53 (C-1), 51.95 (C-3), 44.78 (C-5''), 36.75 (C-2), 16.55 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS C22H33NO13S ([M+H]) m/e 608.66; 実測値m/e 609.06).
【0756】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アミノ-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アミノ-1-N-アセトアミドパロマミン(NB74-N1Ac;図2及び5)の製造
【0757】
【化64】
【0758】
化合物NB74-N1Acは、化合物20(278mg、0.544mmol)、THF(5ml)、NaOH(0.1M、1.5ml)及びPMe(THF 4ml中の1M溶液)を使用し、化合物NB74-N1PhSの製造について記載されたように製造され、74mg(29%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.15 (d,1H, J = 3.0 Hz, H-1), 4.09 - 4.01 (m, 1H, H-6), 3.77 (dd, 1H, J = 9.9, 3.1 Hz,H-5), 3.49 (td, 1H, J = 10.0, 1.5 Hz, H-3), 3.15 (dd,1H, J = 9.5, 9.1 Hz, H-4), 2.62 - 2.55 (m, 1H, H-2), 1.14 (d, 3H, J = 5.5 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.75 - 3.67 (m, 1H,H-1), 3.53 - 3.45 (m, 1H, H-5), 3.37 - 3.28 (m, 2H,H-4, H-6), 2.81 - 2.73 (m, 1H,H-3), 1.91 - 1.90 (m, 1H,H-2), 1.25 - 1.13 (m, 1H, H-2). 環III: δ = 5.19 (d,1H, J = 2.8 Hz, H-1), 4.04 (dd,1H, J = 5.1, 2.3 Hz, H-2), 3.92 - 3.87 (m, 1H, H-3), 3.87 - 3.82 (m, 1H, H-4), 2.98 - 2.92 (m, 1H, H-5), 2.80 - 2.73 (m, 1H, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 1.90 (s, 3H, Ac).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 173.41 (アミド), 111.13 (C-1''), 101.75 (C-1'), 86.18 (C-4), 86.05 (C-5), 83.65 (C-4''), 83.55 (C-3'), 76.82 (C-6), 76.49 (C-2''), 76.29 (C-5'), 73.55 (C-4'), 72.63 (C-3''), 67.68 (C-6'), 57.62 (C-2'), 52.26 (C-3), 51.18 (C-1), 44.73 (C-5''), 30.78 (C-2), 18.38 (Ac), 16.47 (CH3-C-6').
MALDI TOF MS: C20H32N10O11 ([M+H]) m/e 510.54; 実測値m/e 511.14.
【0759】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アミノ-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アミノ-1-N-メタンスルホンアミドパロマミン(NB74-N1MeS;図2及び5)の製造
【0760】
【化65】
【0761】
化合物NB74-N1MeSは、化合物21(0.426g、0.68mmol)、THF(10ml)、NaOH水溶液(0.1M、2ml)及びPMe(THF 2ml中の1M溶液)を使用し、化合物NB74-N1PhSの製造について記載されたように製造され、150mg(40%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.23 (d, 1H, J = 2.8 Hz, H-1), 4.12 (dd, 1H, J = 6.2, 2.6 Hz, H-6), 3.82 (dd,1H, J = 10.0, 2.9 Hz, H-5), 3.58 - 3.52 (m, 1H, H-3), 3.25 - 3.16 (m, 1H, H-4, 2.69 - 2.64 (m, 1H, H-4), 1.20 (d, 3H, J = 1.0 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.58 - 3.52 (m, 1H,H-5), 3.34 (dt, 2H, J = 18.2, 8.3 Hz, H-4, H-6), 3.28 - 3.21 (m, 1H, H-1), 2.90 - 2.78 (m, 1H, H-3), 2.15 - 2.09 (m, 1H, H-2 eq), 1.38 - 1.29 (m, 1H, H-2, ax). 環III: δ = 5.29 (d, 1H, J = 2.4 Hz, H-1), 4.13 - 4.10 (m, 1H, H-2), 3.98 - 3.94 (m, 2H, H-3, H-4), 3.09 (dd,1H, J = 12.6, 2.6 Hz, H-5), 2.92 - 2.84 (m, 1H, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 3.02 (s, 3H, NHSO2-CH3).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 109.99 (C-1''), 100.09 (C-1'), 84.92 (C-5), 84.21 (C-4), 81.48 (C-3''), 75.33 (C-3), 75.19 (C-6'), 75.06 (C-5'), 73.17 (C-3'), 72.08 (C-4'), 71.20 (C-4''), 66.21 (C-2''), 55.94 (C-2'), 54.03 (C-5''), 50.58 (C-1), 48.16 (C-6), 42.93 (NHSO2-CH3), 36.49 (C-2), 15.03 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C19H38NO12S ([M+H]) m/e 546.59; 実測値m/e 547.2.
【0762】
6'-(R)-メチル-5-O-(5’’-アミノ-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アミノ-1-N-ベンズアミドパロマミン(NB74-N1Bz;図2及び5)の製造
【0763】
【化66】
【0764】
化合物NB74-N1Bzは、化合物22(0.25g、0.38mmol)、THF(5ml)、NaOH(0.1M、1.5ml)及びPMe(THF 2ml中の1M溶液)を使用し、化合物NB74-N1PhSの製造について記載されたように製造され、114mg(52%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD) 環I: δ = 5.26 (d, 1H, J = 2.8 Hz, H-1), 4.16 (dd,1H, J = 7.0, 2.0 Hz, H-6), 3.87 (dd, 1H, J = 9.9, 3.0 Hz, H-5), 3.60 (t, 1H, J = 9.5 Hz, H-3), 3.30 - 3.23 (m, 1H, H-4), 2.67 (dd, 1H, J = 10.3, 4.7 Hz, H-2), 1.23 (d, 1H, J = 5.1 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 4.10 - 4.02 (m, 1H, 3-H), 3.63 (ddd, 2H, J = 5.9, 2.0, 1.0 Hz, H-4, H-5), 3.47 - 3.41 (m, 1H, H-6), 2.97 - 2.88 (m, 1H, H-1), 2.09 (ddd, 1H, J = 3.8, 2.5, 0.7 Hz, H-2 eq), 1.43 (dt, 1H,J = 26.9, 6.7 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.32 (d, 1H, J = 2.0 Hz, H-1), 4.14 (dd, 1H, J = 5.3, 2.1 Hz, H-2), 4.00 - 3.96 (m, 1H, H-3), 3.93 (dd, 1H,J = 5.4, 3.8 Hz, H-4), 3.01 (dd, 1H, J = 13.4, 4.0 Hz, H-5), 2.84 (dd, 1H, J = 12.8, 7.7 Hz, H-5). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.84 (d, 2H, J = 7.4 Hz, Ph), 7.52 (t, 1H, J = 7.4 Hz, Ph), 7.44 (t, 2H, J = 7.5 Hz, Ph).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 168.98 (アミド), 134.34 (Ph), 131.24 (Ph), 128.07 (Ph), 127.02 (Ph), 109.66 (C-1''), 100.42 (C-1'), 84.93 (C-4), 84.66 (C-6), 82.41 (C-4''), 75.39 (C-5'), 75.04 (C-2''), 74.60 (C-4), 73.65 (C-3'), 72.19 (C-4'), 71.26 (C-3''), 66.35 (C-6'), 56.26 (C-2'), 50.93 (C-1), 50.36 (C-3), 43.50 (C-5''), 34.53 (C-2), 15.18 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C25H40NO11 ([M+H]) m/e 572.27; 実測値m/e 573.22.
【0765】
6'-(R)-メチル-5-O-[5’’-(S)-アミノ-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース]-2',3-アミノ-1-N-ベンズアミドパロマミン(NB124-N1MeS;図2及び5)の製造
【0766】
【化67】
【0767】
化合物NB124-N1MeSは、化合物23(0.230g、0.358mmol)、THF(5ml)、NaOH水溶液(0.1M、2ml)及びPMe(THF 2ml中の1M溶液)を使用し、化合物NB74-N1PhSの製造について記載されたように製造され、117mg(58%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.22 (d, 1H, J = 3.2 Hz, H-1), 4.16 - 4.04 (m, 1H, H-4), 3.81 (dd, 1H, J = 9.9, 3.1 Hz, 1HH-5), 3.53 - 3.48 (m, 1H, H-3), 3.21 (dd, 1H, J = 10.2, 8.7 Hz, H-6), 2.62 (dd, 1H, J = 10.4, 4.4 Hz, H-2), 1.20 (d, 3H, J = 5.8 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.54 (t, 1H, J = 9.1 Hz, H-5), 3.35 (dt, 2H, J = 13.4, 9.3 Hz, H-4, H-6), 3.28 - 3.20 (m, 1H, H-1), 2.86 - 2.77 (m, 1H, H-3), 2.11 (dd, 1H, J = 8.5, 4.1 Hz, H-2 eq), 1.33 (dd, 1H, J = 26.2, 12.4 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.26 (d, 1H, J = 2.6 Hz, H-1), 4.08 (dd, 1H, J = 5.4, 2.4 Hz, H-2), 4.04 - 3.98 (m, 1H, H-3), 3.59 (dd, 1H, J = 7.3, 6.3 Hz, H-4), 2.99 (t, 1H, J = 7.1 Hz, H-5), 1.20 (d, 3H, J = 7.1 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 3.03 (s, 3H, NHSO2-CH3).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 108.75 (C-1''), 100.26 (C-1'), 86.48 (C-4''), 84.55 (C-4), 83.75 (C-5), 75.31 (C-6), 74.99 (C-2''), 74.97 (C-5'), 73.88 (C-3'), 72.15 (C-6'), 71.07 (C-3''), 66.36 (C-4'), 56.22 (C-2'), 54.15 (C-1), 50.65 (C-3), 49.56 (C-5''), 40.39 (NHSO2-CH3), 36.69 (C-2), 17.29 (CH3-C-5'), 15.14 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C20H40NO12S ([M+H2O]) m/e 560.24; 実測値m/e 561.2.
【0768】
6'-(R)-メチル-5-O-(5-(R)-アミノ-5-デオキシ-β-D-リボフラノース)-2',3-アミノ-1-N-アセトアミドパロマミン(NB124-N1Ac;図2及び5)の製造
【0769】
【化68】
【0770】
化合物NB74-N1Acは、化合物24(0.820mg、1.36mmol)、THF(10ml)、NaOH水溶液(0.1M、2ml)及びPMe(THF 2ml中の1M溶液)を使用し、化合物NB74-N1PhSの製造について記載されたように製造され、370mg(52%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.21 (d,1H, J = 4.8 Hz, H-1), 4.07 (qd, 1H, J = 6.4, 2.8 Hz, H-6), 3.77 (d,1H, J = 12.1 Hz, H-5), 3.47 (dd,1H, J = 10.4, 8.9 Hz, H-3), 3.15 (t, 1H, J = 9.4 Hz, H-4), 2.60 (dd, 1H, J = 10.0, 3.2 Hz, H-2), 1.14 (d, 3H, J = 6.7 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 3.71 (td, 1-H, J = 12.3, 4.1 Hz, H-5), 3.58 - 3.50 (m, 1H, H-6), 3.36 (dt, 2H, J = 19.3, 9.4 Hz, H-1, H-4), 2.82 (ddd, 1H, J = 13.3, 9.7, 4.0 Hz, H-3), 1.93 (dt, 1H, J = 7.4, 4.0 Hz, H-2 eq), 1.23 (q, 1H, J = 12.5 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.22 (s, 1H, H-1), 4.06 (dd, 1H, J = 4.3, 2.3 Hz, H-2), 4.00 - 3.95 (m, 1H, H-3), 3.64 (dd,1H, J = 8.9, 5.8 Hz,H-4), 3.11 (dd, 1H, J = 7.5, 6.4 Hz,H-5), 1.24 (d, 3H, J = 8.0 Hz, CH3-C-5').
13C NMR (126 MHz, MeOD): δ = 172.08 (アミド), 109.46 (C-1''), 99.80 (C-1'), 85.02 (C-4), 84.22 (C-4''), 83.10 (C-3'), 75.41 (C-6'), 75.36 (C-5'), 74.93 (C-1), 73.27 (C-6), 72.01 (C-3''), 71.75 (C-5''), 66.09 (C-2''), 55.70 (C-2'), 50.65 (C-3), 50.29 (C-4'), 49.77 (C-5), 34.16 (C-2), 21.37 (Ac), 15.49 (CH3-C-5''), 14.93 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C21H40NO11 ([M+H]) m/e 524.56; 実測値m/e 525.26.
【0771】
6'-(R)-メチル-5-O-[5”-(S)-アミノ-5’’-デオキシ-β-D-リボフラノース]-2',3-アミノ-1-N-ベンズアミドパロマミン(NB124-N1Bz;図2及び5)の製造
【0772】
【化69】
【0773】
化合物NB124-N1Bzは、化合物25(0.260g、0.390mmol)、THF(5ml)、NaOH水溶液(0.1M、2ml)及びPMe(THF 2ml中の1M溶液)を使用し、化合物NB74-N1PhSの製造について記載されたように製造され、160mg(70%)を得た。
H NMR (500MHz, MeOD): 環I: δ = 5.22 (d, 1H, J = 3.1 Hz, H-1), 4.09 (dd, 1H, J = 19.0, 8.6 Hz, H-3), 3.82 (dd, 1H, J = 10.0, 3.0 Hz, H-5), 3.53 - 3.47 (m, 1H, H-4), 3.19 (dd, 1H, J = 10.1, 8.8 Hz, H-6), 2.60 (dd, 1H, J = 11.1, 5.1 Hz, H-2), 1.18 (d, 3H, J = 5.3 Hz, CH3-C-6). 環II: δ = 4.05 - 3.95 (m, 1H, H-1), 3.57 (dd, 2H, J = 7.6, 4.3 Hz, H-6, H-5), 3.39 (dd, 1H, J = 12.6, 6.1 Hz, H-4), 2.92 - 2.82 (m, 1H, H-3), 2.03 (dd, 1H, J = 8.4, 4.0 Hz, H-2 eq), 1.37 (dd, 1H, J = 25.9, 12.5 Hz, H-2 ax). 環III: δ = 5.25 (d,1H, J = 2.3 Hz, H-1), 4.07 (dd, 1H, J = 5.4, 2.2 Hz, H-2), 4.00 - 3.95 (m, 1H, H-3), 3.58 - 3.53 (m, 1H, H-4), 2.98 - 2.91 (m, 1H, H-5), 1.16 (d, 3H, J = 7.2 Hz, CH3-C-5'). スペクトル内の他のピークは次のように同定された: δ = 7.81 (d,2H, J = 7.3 Hz, Ar), 7.50 (t, 1H, J = 7.3 Hz, Ar), 7.43 (t, 2H, J = 7.5 Hz, Ar).
13C NMR (126MHz, MeOD): δ = 168.99 (カルボニル), 134.36 (Ar), 131.22 (Ar), 128.05 (Ar), 126.98 (Ar), 108.81 (C-1''), 100.33 (C-1'), 86.56 (C-4''), 84.92 (C-4), 83.87 (C-6), 75.36 (C-5'), 75.05 (C-2''), 74.46 (C-5), 73.96 (C-4'), 72.14 (C-6'), 71.14 (C-3''), 66.30 (C-3'), 56.30 (C-2'), 50.91 (C-3), 50.36 (C-1), 49.61 (C-5''), 34.59 (C-2), 17.34 (CH3-C-5'), 15.06 (CH3-C-6').
MALDI TOFMS: C26H42NO11 ([M+H]) m/e 586.63; 実測値m/e 587.29.
【0774】
セット1及びセット2化合物を製造する受容体化合物としてさらに利用できる、中間体A(図3)又は化合物2(図4)からの受容体化合物Bとして本明細書に示されているN1-スルホニル修飾擬似二糖化合物を製造する(本明細書に記載の各部位にヒドロキシ保護性基を導入する)別の合成経路を図6に示す。総収率は36%である。中間体化合物82及び83、並びに得られた化合物84の構造は、本明細書に記載されたNMR及びMS測定により検証される。
【0775】
実施例2 実施例1の化合物の活性及び毒性
試験した全てのアミノグリコシドは、硫酸塩の形で用いた。硫酸塩の分子量(グラム/モル)は以下のとおり:
NB74-N1PhS - 726.40、NB74-N1Ac - 581.62、NB74-N1MeS - 608.74、NB74-N1Bz - 634.23、NB124-N1MeS - 640.76、NB124-N1Ac - 559.28、NB124-N1Bz - 667.75。
【0776】
リードスルー活性;in vitro研究
二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ系を用い、上記実施例1に記載のセット1及びセット2の化合物のリードスルー活性をin vitroで以下のように試験した。
【0777】
試験したナンセンス変異又は対応するWTコドン、並びに4~6の上流及び下流フランキングコドンを含む、PCDH15、CFTR及びIDUAのcDNAに由来するDNA断片フラグメントは、以下の相補的なオリゴヌクレオチドのペアをアニーリングすることにより作成された。
【0778】
アッシャー症候群(PCDH15):
p.R3Xmut/wt:
5'-GATCCCAGAAGATGTTTT/CGACAGTTTTATCTCTGGACAGAGCT-3';及び
5'-CTGTCAGAGATAAAACTGTCA/GAAACATCTTCTG-3'
p.R245Xmut/wt:
5'-GATCCAAAATCTGAATGAGAGGT/CGAACCACCACCACCACCCTCGA- GCT-3';及び
5'-CGAGGGTGGTGGTGGTTGTTCG/ACCTCTCATTCAGATTTTG-3'
【0779】
嚢胞性線維症(CFTR):
p.G542Xmut/wt:
5'-TCGACCAATATAGTTCTTT/GGAGAAGGTGGAATCGAGCT-3';及び
5'-CGATTCCACCTTCTCA/GAAGAACTATATTGG-3'
断片を、BamHI及びSacI制限部位(p.R3X及びp.R245X)又はSalI及びSacI制限部位(全ての残り)の間のp2Lucプラスミドのポリリンカーにインフレームで挿入した。in vitroリードスルーアッセイの為に、得られたプラスミドに試験アミノグリコシドを加え、TNT網状赤血球ライセートQuick Coupled Transcription/Translation Systemを用いて転写及び翻訳した。ルシフェラーゼ活性は、二重ルシフェラーゼレポーターアッセイ系(Promega(登録商標))を用い、30℃で90分間インキュベートした後に測定した。Grentzmann et al. RNA 4, 479-486 (1998)に記載されたように、終止コドンリードスルーを計算した。
【0780】
アッシャー症候群に関連するR3Xナンセンス変異(未熟なUGA C終止コドン)及び嚢胞性線維症に関連するG542X(未熟なUGA G終止コドン)を有するレポーターが用いられ、得られたデータを図7A-Dに示す。
【0781】
図7A-Dにみられるように、NB74-Bz及びNB124-Bzを除く(データは示していない)全ての試験アミノグリコシドは、リードスルーを誘導した。試験アミノグリコシドの中で、NB124-MeSは全ての濃度で最高のリードスルーを誘導し、NB74-MeSが続いた。R3Xナンセンス変異では、NB74-MeSはNB74と比較して約1.5倍優れたリードスルー活性を示し;NB124-MeSは、NB124より優れたリードスルー活性も示した。G542X変異では、化合物NB74-MeS及びNB124-MeSは、それぞれNB74及びNB124と比較して優れた活性を示し、これはメタンスルホニル基の実質的な影響を裏付ける。
【0782】
得られたデータは、N1位のメタンスルホニル置換がNB化合物と真核生物Aサイトとの相互作用に寄与し、それらのリードスルー能を引き起こすことを示唆している。
【0783】
タンパク質翻訳阻害試験:
上記実施例1に記載のセット1及びセット2の化合物の真核生物の翻訳を阻害する能力を、以下のように、さらに試験した。ルシフェラーゼT7対照DNAプラスミド(Promega)を含むTNT(登録商標)T7 Quick Coupled Transcription/Translation Systemを用い、製造業者のプロトコルに従って、真核生物のin vitro翻訳阻害を定量化した。様々な濃度の試験アミノグリコシドを含む翻訳反応物(25μL)を、30℃で60分間インキュベートし、氷浴上で5分間冷却し、希釈試薬で希釈し、96ウェルプレートに移した。原核生物系及び真核生物系の両者で、ルシフェラーゼアッセイ試薬(50μL;Promega)の添加後、直ちに発光を測定し、FLx800蛍光マイクロプレートリーダー(Biotek)を用いて発光を記録した。Grafit 5ソフトウェアを用い、少なくとも2回の独立した実験のデータを濃度-応答曲線にフィッティングすることにより、半最大阻害濃度(IC50)値を得た。
【0784】
得られたデータを表1に示す。
【0785】
【表1】
【0786】
表1に示されるように、NB74-MeS(IC50=8.35μM)とその親構造NB74(IC50=14.31μM)のIC50値の比較は、NB74-MeSは真核生物のリボソームに対して1.7倍特異的であるのに対して、NB74-Bz(IC50=754.77μM)はNB74よりも真核生物のリボソームに対して54倍特異性が低いことを示す。これらのデータは、NB74-MeSのリードスルー活性上昇におけるメチルスルホニル基の影響が、真核生物リボソームに対する特異性の増加と関連することを示唆する。
【0787】
無細胞アッセイにおけるリードスルー活性:
ウミシイタケ及びホタルのルシフェラーゼ間の嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)変異、S466X、又は野生型配列を有する二重ルシフェラーゼプラスミドを、ウサギ網状赤血球(TNTミックス)を用い、in vitroで転写及び翻訳し、ホタル及びウミシイタケのルシフェラーゼの機能活性をテストした。WTプラスミドはホタルとウミシイタのケルシフェラーゼの両者を発現したのに対して、変異プラスミドは挿入配列に見られる終止コドンのため、ウミシイタケルシフェラーゼのみを発現した。リードスルーアッセイは、in vitro転写/翻訳反応混合物に化合物を添加することにより、試験化合物及びコントロールについて実施した。
【0788】
嚢胞性線維症(CFTR):
p.S466Xmut/wt:
5'-GGCAAGACTTGACTTCTAATGGTG-3';及び
5'-GGCAAGACTTCACTTCTAATGGTG-3'
NB74-MeS及びNB124-MeSによって誘導されるリードスルー活性は、WT及び変異プラスミドの結果と以下の式により、二重ルシフェラーゼアッセイのデータから計算した。
【0789】
【数1】
【0790】
以下のパラメーターも、WT及び変異プラスミドの二重ルシフェラーゼアッセイの結果から計算した。
【0791】
(i) 翻訳阻害(TI;μM):NB74-MeS及びNB124-MeSによるリボソームの翻訳阻害の度合いは、NB74-MeS及びNB124-MeSのモル濃度の対数に対する相対光単位(RLU)のプロットに非線形回帰曲線(Find ECanything analysis, GraphPad PRISM, version 7)を当てはめることにより、WTプラスミドのウミシイタケ生物発光の値の減少を用いて計算した。
【0792】
(ii) NB74-MeS及びNB124-MeSのリードスルー能(EC50、μM):NB74-MeS及びNB124-MeSのリードスルー活性は、変異プラスミドのウミシイタケルシフェラーゼ活性に対して正規化されたホタルルシフェラーゼ活性として示した。正規化されたホタルの値を、NB74-MeS及びNB124-MeSのモル濃度の対数に対してプロットし、4パラメーター非線形回帰(GraphPad PRISM software, Version 7)を用い、曲線を近似した。高濃度のNB74-MeS及びNB124-MeSは翻訳阻害を引き起こし、それ以上の用量増加は許されない。したがって、EC50の計算を可能にするために、TI80(上記で決定)よりも小さいNB74-MeS及びNB124-MeSの濃度までの値を考慮した。
【0793】
(iii) リードスルー効率は、NB74-MeS及びNB124-MeSの処理及び未処理変異プラスミド間のホタルルシフェラーゼ活性の倍数増加として表される。倍数増加は、野生型コントロールプラスミドの定常状態ウミシイタケ活性において20%より小さいか等しい阻害を示したNB74-MeS及びNB124-MeSの濃度で計算した。
【0794】
(iv) WTのリードスルー%は、WTプラスミドのホタル/ウミシイタケで除した変異プラスミドのホタル/ウミシイタケの割合として計算される。
【0795】
NB74-MeS及びNB124-MeSと嚢胞性線維症S466Xナンセンス変異とのインキュベーションは、無細胞アッセイにおける用量応答の抑制をもたらした(データは示していない)。計算されたTI80値は、NB74-MeSで16μM、NB124-MeSで1μMであった。計算されたTI50値は、NB74-MeSで16μMより大きく、NB124-MeSで2μMであった。
【0796】
以下の表2は、NB74-MeS及びNB124-MeSという2つの代表的な化合物について、0~16μMの行った嚢胞性線維症S466Xナンセンス変異抑制の用量応答無細胞アッセイの結果を示す。表2に示したデータは、漸増用量でのNB74-MeS及びNB124-MeSのインキュベーションにより、対照(未処理の細胞抽出物)と比較してリードスルーがかなり増加(約2倍から約10倍)し、野生型対照プラスミドと比較してリードスルーが9~17%増加したことを示す。
【0797】
【表2】
【0798】
これらのデータは、さらに、N1位へのスルホニル基の導入が、アミノグリコシドの生物活性に顕著な効果があるという発見を裏付ける。
【0799】
蝸牛移植片での毒性試験:
セット1及びセット2の化合物の聴器毒性の可能性を、例えば、E. Shulman et al., J. Biol. Chem. 289(4), 2318-2330 (2014)に記載された蝸牛移植片で試験した。聴器毒性は、以下のように、蝸牛の外有毛細胞からの50%脱毛に必要なAG濃度の値として測定した。
【0800】
出生2~3日後のCBA/Jマウスから得たコルチ器官の移植片における聴覚有毛細胞に対する毒性を試験化合物についてスクリーニングした。解剖した組織を、無血清サプリメント(Invitrogen, Eugene, OR)の1%ウシ血清アルブミン、2mMグルタミン、5mgグルコース/ml及び10単位のペニシリン/mlが添加された1mlのイーグル無血清基礎培地(Sigma Aldrich, St. Louis, MO)中の平らな表面を有する調製物として、コラーゲン被覆インキュベーション皿に置いた。移植片を5時間インキュベート(37℃、5%CO)し、1mlの培地を加え、移植片を沈めた。48時間のプレインキュベーションの後、培地を特定の濃度の試験化合物を含む新しい培地と交換した。さらに72時間インキュベーションした後、移植片をPBSで3回洗浄し、4℃で一晩、4%(v/v)パラホルムアルデヒドにより固定し、その後、PBS中の0.3%(v/v) Triton(登録商標)X-100で30分間かけて透過性にした。標本を室温で10分間、PBSで3回洗浄し、ローダミンファロイジン(1:100; Life Technologies, Eugene, OR)と共に、室温で1時間又は4℃で一晩、インキュベートした。
【0801】
PBSによる数回のすすぎの後、移植片をFluoro-Gel(Electron Microscopy Sciences, Hatfield, PA)を用いて顕微鏡スライドに置き、Leica SP5 Confocal TCS Microscope(Leica, Wetzlar, Germany)で画像化した。有毛細胞は、それらの不動毛束及び円周方向のF-アクチン環のファロイジン染色により同定された。それらの存在又は不在を、視野に重ね合わされた目盛り付きスケール(0.19mm)を有するepifluorescence Leitz Orthoplan microscope(Leica, Wetzlar, Germany)の50倍油浸対物レンズを用いて定量化した。全ての有毛細胞の列を、各フレーム内で縦方向に向け、蝸牛の頂点から基部まで数えた。細胞数をコンピュータープログラムに入力し、標準的なデータベース(KHRI Cytocochleogram, version 3.0.6, Kresge Hearing Research Institute, University of Michigan, Ann Arbor, MI, USA)と比較し、移植片の全長にわたって平均化した有毛細胞損失の割合として報告する。
【0802】
図8及び以下の表3は、得られた用量応答曲線の比較を示し、NB124-MeSでは19μM、NB74-MeSでは61.77μMの濃度で、有毛細胞の50%の損失(LC50 Coch)が観察されたことを示す。NB124-MeSの値は、NB124(LC50 Coch=11.1μM)にとって有利である。NB124-MeSの聴器毒性は、NB124よりおよそ2倍低い。
【0803】
NB74-Ac及びNB124-Acは、どちらも非常に低い聴器毒性の可能性を示すことがわかった。(両者のLC50 Coch値はミリモルの範囲で、マイクロモルではない。)例えば、NB74のアセテート置換の場合、聴器毒性は3桁減少した(NB74-Ac LC50 Coch=2.4mM;NB74 LC50 Coch=112μM)。
【0804】
これらのデータは、NB74-PhS、NB74-Ac及びNB124-Acについて、聴器毒性のデータがリードスルー活性及び真核生物の翻訳データの阻害と直接相関することも示す。これらの化合物の蝸牛毒性は、真核生物のリボソームに対する低親和性のため、大幅に減少する。
【0805】
【表3】
【0806】
全体として、これらのデータは、蝸牛毒性に影響する、置換基と標的METチャンネルとの電子的相互作用と立体的相互作用の間の微妙なバランスの存在の可能性を示唆する。それでも、NB124-MeSで示された蝸牛毒性の低下とリードスルー活性の増加はかなりのもので、有望な薬剤候補であることを示唆している。
【0807】
NB124-MeS、NB124-Ac及びNB124の聴器毒性を、蝸牛細胞の損失の測定によりさらにテストし、得られたデータを図9A~Dに示す。そこに示されているように、F-アクチン染色は蝸牛基底部セグメントにおける3列の外有毛細胞(OHC)及び1列の内有毛細胞(IHC)の配列の組織化の概要を明らかにした(図9A)。15μMのNB124-MeSの存在下では、10%の平均損傷を示し、上皮構造は正常なままで、対照とほとんど区別をすることができなかった(図9D)。これに対し、15μMのNB124の存在下では、有毛細胞の損失はほぼ完全で、80~90%を超える細胞損失が示された(図9B)。濃度150μMのNB124-Acでは、上皮は正常なままで、対照と区別をすることができなかった(図9C)。
【0808】
これらの研究で得られたデータは、N1位のメタンスルホニル置換が化合物のリードスルー活性に大きく貢献することを示す。加えて、NB124-MeSは、親のNB124と比較して聴器毒性の大幅な低下を示す。
【0809】
実施例3 本発明の態様による代表的な6'-修飾化合物
本発明者らは、リーシュマニア(leishmania)AサイトrRNA配列に結合したG418の最近解明された構造(Shalevら, PNAS 110, 13333-338, (2013))及び酵母リボソームに結合したG418の構造(M. Yusopovら, Nature 513, 517-22 (2014))に基づき、いくつかのモデリング研究を行った。これらの研究は、環IのC6’-OHを対応するカルボン酸又はアミド(C(=O)OH及び/又はC(=O)NH)に変換することが、カルボキシレート/アミド及びG1408残基の間の強力な静電的及び/又は水素結合相互作用の形成により、アミノグリコシドの環Iを哺乳動物リボソーム中のG1408に近づけることができることを示唆した。この仮説は、さらに、6'-NH+(アンモニウム)とG1408間の静電反発により説明された、6'-NHを含む化合物(ネオマイシンやゲンタマイシンなど)がリーシュマニアに対して不活性で、哺乳類リボソームへのそれらの活性/結合は6'-OHを有する化合物(例、パロモマイシン及びG418)よりも著しく劣る点を示す実験データ(Shalevら, PNAS 110, 13333-338, (2013))、及び、C6’位にC(=O)OH又はC(=O)NHを有することを特徴とする擬似二糖化合物は以前に合成されている(Simonsonら, ChemBioChem 3, 1223-28, 2002)が、それらの原核生物リボソームに対するIC50値は、親のパロマミン(6'-OH)よりも約2桁劣るという抗菌活性を欠くことを示す実験データにより裏付けられた。このような化合物は哺乳類リボソームとの関連では研究されていないものの、本発明者らは図10に示す擬似二糖及び三糖化合物を設計及び合成し、哺乳類の細胞質AサイトのG1408残基との相互作用を研究した。
【0810】
図11は、図10に示した擬似二糖アミノグリコシドNB160及びNB161の一般的な合成経路を示す。
【0811】
以下の図12は、図10に示した、新しく設計された擬似三糖アミノグリコシドNB162~165の一般的な合成経路を示す。
【0812】
上記実施例2に記載したように行われた、R3X変異に対する図10に示された化合物の予備的リードスルー活性試験では、これらの化合物のリードスルー活性が低いことを示した(データは示していない)。
【0813】
これは、上記実施例2に記載したように行われた、真核生物の翻訳システムアッセイによっても裏付けられた。哺乳類の翻訳システムに対する試験化合物の実測IC50値は、阻害が不十分であることを示した(データは示していない)。
【0814】
一連のモデリング、ドッキング及び分子シミュレーションの研究において、C6’位にカルボン酸を有する化合物では、カルボキシレートとN5''-アンモニウムの間に内部塩の架橋が形成され、リガンドとRNAホストの結合相互作用が大幅にシフトすることが判明した。
【0815】
実施例4 本発明の態様による代表的4'-修飾化合物
本発明者らは、聴器毒性効果を排除するアミノグリコシドの新しい構造設計に向けた継続的な試みにおいて、O4’で又はO4’及びO6’位で修飾されたパロモマイシン誘導体の、強力なリードスルー活性を保持しながら聴器毒性の減少する最近の報告(Perez-Fernandez, D.ら Nature Commun. 5, 3112 (2014);Duscha, S.ら. MBio, 2014, 5(5), p. e01827-14)を検討した。カナマイシンでの同様の4'-O-アルキル化は、パロモマイシンの場合のように、リボソーム選択性を増加し、毒性を減少しないことに留意されたい(Kato, T.ら ACS Infect. Dis. 1, 479-486 (2016))。
【0816】
本発明者らは、前述のNB74及びNB124擬似トリアミノグリコシドに基づいて、O4’位が修飾された(ここではセット4化合物とも呼ばれる)、又はO4’及びO6’位が修飾された(ここではセット3化合物とも呼ばれる)図13に示された一連の化合物、及び、それぞれ任意に上記実施例1に記載されているN1置換(例えば、N1-メチルスルホニル置換)と組み合わせた、図14に示された一連の化合物(ここではセット5及びセット6化合物とも呼ばれる)を設計した。図13に示すように、新しく設計された構造は、例えば、親NB74及びNB124の、セット3では4',6'-エチリジン(化合物61及び63)又は4',6'-ベンジリジン(化合物62及び64)、セット4では4'-O-エチル(化合物65及び67)又は4'-O-プロピル(化合物66及び68)を含む。
【0817】
図15は、セット3化合物の一般的な合成経路を示す。
【0818】
簡単に説明すると、セット3構造の合成のために、市販のG418は、最初にNudelmanら 2010(前掲)に記載された工程に従う2つの化学的工程(酸加水分解及び過アジ化)で中間体A(図3)に変換される。4',6'-ヒドロキシルの環状アセタール形成に続き、選択的アセチル化が行われ、受容体Cを得る。前述したトリクロロアセトアミド供与体とのカップリング反応(Nudelmanら 2006、前掲)と、それに続く2つの脱保護工程により、セット3構造を得る。
【0819】
RwがPh(化合物72)又はパラメトキシフェニル(PMP;化合物74)である代表的な受容体Cを製造する代表的方法を図16に示し、以下に説明する。
【0820】
簡単に説明すると、共通の中間体2は、以前に記載[Nudelmanら Bioorganic Med. Chem. 18, 3735-3746 (2010)]された2つの化学的工程(酸加水分解及び過アジ化)により市販のG418から得られた。次に、中間体2を、ベンズアルデヒドジメチルアセタール又はp-メトキシベンズアルデヒドジメチルアセタールによる選択的アセチル化で、4',6'-ヒドロキシルの環状アセタール形成を行い、それぞれ選択的に保護された71又は73を得た。次に、これらの2つのアセタールは低温で無水酢酸と反応させ、対応する受容体72及び74に別々に変換した。
【0821】
供与体75及び76(図16の挿入図に示されている)は、以前に記載された[Josephら Chem. Commun. 51, 104-106 (2015)]ように準備した。
【0822】
次いで、受容体72及び74のそれぞれと供与体75又は供与体76とのパックリングが、前述の手順で行われた。
【0823】
図17に示すように、セット4構造の構築において、同様の一連の手順が行われる。
【0824】
簡単に説明すると、パロモマイシンについて以前に報告されたものと同様の一連の工程(Perez-Fernandez, D.ら Nature Commun. 5, 3112 (2014);Duscha, S.ら MBio, 2014, 5(5), p. e01827-14)により、最初に中間体Aを中間体Dに変換する。次に、C4’位の様々なアルキル化、及びCAN又はDDQによるPMB保護の選択的除去により、中間体Dを共通の受容体Eに変換し、その後、アセチル化により、環III結合のためにC5-OHを含む望ましい受容体が得られる。トリクロロアセトイミデート供与体のカップリングと2つの脱保護工程により、セット4化合物が得られる。
【0825】
別の合成経路を図18A及び18Bに示す。簡単に説明すると、環状アセタール71及び73(それぞれ図16)を最初に完全に保護された中間体アセタール77及び79にそれぞれ変換し、次にこれらを環状ベンジリデンアセタールの選択的開環に供し、それぞれ化合物78及び80を得る。
【0826】
さらに別の代替手順では、71及び73の環状アセタールを除去し、対応する4',6'-ジオールを生成し、次いで、4’位にアルキル基を導入するのに必要な塩基性条件において安定なかさ高い保護性基による環外6'-OHの選択的保護を受ける。
【0827】
図14は、本明細書に記載されたセット1及びセット2に導入された構造修飾(例、N1-SMe修飾)と、本明細書に記載されたセット3及びセット4に示された構造修飾を組み合わせた化学構造を示し、セット5及びセット6構造と本明細書において呼ばれる化合物を提供する 。
【0828】
図19は、セット5及びセット6化合物の製造のための一般的な合成経路を示す。簡単に説明すると、上記実施例1に記載されているように、市販のG418は環IIのN1位にメタンスルホニル置換を含む中間体Fに最初に変換される。次に、中間体Fはさらにアルキル化されて、一連の供与体G及び/又はHを生成し、その後、本明細書に記載したように、続いて第三環のトリクロロアセトイミデート供与体とカップリングする。そして、2工程の脱保護により、セット5及びセット6の化合物を得る。
【0829】
図20は、代表的な受容体G、化合物86の製造のための代表的な合成経路を示す。
【0830】
簡単に説明すると、上述し、また、図6に示したように、アミン2を製造し、次いで、対応するN1-メタンスルホネート84に変換した。次に、化合物85を得るためのベンジリデン保護に続いて、アルコールの選択的保護を行い、代表的な受容体Gとしての化合物86を良好な単離収率で得た。受容体Hは、例えば化合物84から同様にして製造される。セット3、セット4、セット5及びセット6の化合物(上記実施例1で述べたように硫酸塩として保存)を、化合物NB74及びNB124を親化合物及び対照化合物として用い、上記実施例2に記載の、比較リードスルー活性アッセイ、翻訳阻害アッセイ及び毒性試験にかける。次いで、良好なリードスルー活性及び低い細胞毒性を示す化合物を、上記実施例2に記載の蝸牛毒性試験にかける。
【0831】
本発明を特定の実施の形態により説明したが、多くの代替、修正及び変形が当業者に明らかなことは明白である。したがって、特許請求の範囲の精神及び範囲に含まれるそのような代替、修正及び変更のすべてを包含することが意図されている。
【0832】
本明細書で言及する全ての出版物、特許及び特許出願は、その全体を参照することによりこの明細書に組み込まれ、個々の公報、特許又は特許出願が、具体的かつ個々に、参照によりこの明細書に組み込まれることが示されるように、本明細書に組み込む。さらに、この出願におけるいかなる参照の引用又は特定は、そのような参照が、この発明に対する従来技術として利用できることの承認と解釈されるべきではない。用いられたセクションの見出しの範囲は、これらが、必ずしも限定的なものと解釈されるべきではない。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 一般式I:
【化70】
(式中、破線は、6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、及び置換又は未置換アリールから選択され;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORxから選択され、ここで、Rxは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール、及びアシルから選択されるか、又は、R は前記ORxであってR と共にジオキサンを形成し;
は、水素、置換若しくは未置換アルキル及びORyから選択され、ここで、Ryは水素、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換ヘテロアリール、置換若しくは未置換アルカリール、及びアシルから選択されるか、又は、R は前記ORyであってR と共にジオキサンを形成し;
~R は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~R は、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択され、
但し、R ~R の少なくとも1つはスルホニルである)
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[2] 前記R がスルホニルで、前記化合物が式Ia:
【化71】
(式中、R ~R 、R 及びR は式Iで定義したとおりで、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される、[1]に記載の化合物。
[3] 前記R’は置換アルキル及び未置換アリールから選択される、[2]に記載の化合物。
[4] 前記R’はメチルである、[2]に記載の化合物。
[5] 前記R 及びR はそれぞれ水素である、[1]~[4]のいずれか1つに記載の化合物。
[6] 前記R はORxであり、Rxは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される、[1]~[5]のいずれか1つに記載の化合物。
[7] 前記R はORyであり、Ryは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される、[1]~[6]のいずれか1つに記載の化合物。
[8] 前記R 及びR は一緒になってジオキサンを形成する、[1]~[5]のいずれか1つに記載の化合物。
[9] 一般式I
【化72】
(式中、破線は、6’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、及び置換又は未置換アリールから選択され;
はORxであり、ここで、Rxは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
はORyであり、ここで、Ryは置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール及び置換又は未置換アルカリールから選択され;
~R は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル及びORzから選択され、ここで、Rzは水素、単糖、オリゴ糖、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換ヘテロアリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;かつ、
~R は、それぞれ独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びスルホニルから選択され、
前記ORx及び前記ORyは、R 及びR が一緒になってジオキサンを形成するように互いに結合する)
で表される化合物、又はその薬学的に許容される塩。
[10] 前記ジオキサンは、置換又は未置換1,3-ジオキサンである、[9]に記載の化合物。
[11] 式I a:
【化73】
(式中、R 、R ~R 及びR ~R は、式I で定義されたとおりであり、かつ、Rwは、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
である、[10]に記載の化合物。
[12] 前記Rwは、置換又は未置換アルキル及び置換又は未置換アリールから選択される、[11]に記載の化合物。
[13] 前記R ~R は、それぞれ水素である、[9]~[12]のいずれか1つに記載の化合物。
[14] 前記R 及びR はそれぞれ水素であり、ここで、前記R は水素、アシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール、置換又は未置換アリール、アミノ置換α-ヒドロキシアシル及びスルホニルから選択される、[9]~[12]のいずれか1つに記載の化合物。
[15] R はアシルである、[9]~[12]及び[14]のいずれか1つに記載の化合物。
[16] 前記R がスルホニルで、前記化合物が式I b:
【化74】
(式中、Rw、R 、R ~R 、R 及びR は、式I で定義されたとおりであり、かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される、[9]~[12]及び[14]のいずれか1つに記載の化合物。
[17] 前記R ~R のそれぞれがORzである、[1]~[16]のいずれか1つに記載の化合物。
[18] 前記R ~R のそれぞれがORzであり、かつ、当該それぞれのR ~R において、Rzが水素である、[1]~[16]のいずれか1つに記載の化合物。
[19]前記R ~R の少なくとも1つがORzであり、かつ、Rzが単糖又はオリゴ糖である、[1]~[17]のいずれか1つに記載の化合物。
[20] 前記R はORzであり、Rzは単糖である、[1]~[17]のいずれか1つに記載の化合物。
[21] 前記単糖は式II:
【化75】
(式中、波線は結合位置を示し;
破線は、5’’位の立体配置がR配置又はS配置であることを示し;
10 及びR 11 は、それぞれ独立して、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アリール、置換又は未置換アルカリール及びアシルから選択され;
12 は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択され;かつ、
14 及びR 15 のそれぞれは、独立して、水素、アシル、アミノ置換α-ヒドロキシアシル、置換若しくは未置換アルキル、置換若しくは未置換シクロアルキル、置換若しくは未置換アリール、置換若しくは未置換アルカリール、スルホニル、及び細胞透過性基から選択され、又は、R 14 及びR 15 は一緒になって複素環を形成する)
で表される、[1]~[16]、[19]及び[20]のいずれか1つに記載の化合物。
[22] 前記R はORzであり、かつ、Rzは式IIで表される単糖で、前記化合物が式III:
【化76】
(式中、R ~R 及びR ~R は、それぞれ式I又は式Iaで定義されたとおりであり;かつ、
10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、それぞれ[21]の式IIで定義されたとおりである)
で表される、[1]~[7]のいずれか1つに記載の化合物。
[23] 前記R がスルホニルで、前記化合物が式IIIa:
【化77】
(式中、R ~R 、R 、R 及びR は、式I又は式Iaで定義されたとおりであり;
10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、[21]の式IIで定義されたとおりであり;かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される、[22]に記載の化合物。
[24] 前記R はORxであり、Rxは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される、[22]に記載の化合物。
[25] 前記R はORyであり、Ryは水素及び置換又は未置換アルキルから選択される、[23]又は[24]に記載の化合物。
[26] R 及びR が一緒になってジオキサンを形成する、[23]に記載の化合物。
[27] R 及びR はそれぞれ独立してORzである、[23]~[26]のいずれか1つに記載の化合物。
[28] 前記R 及びR はそれぞれRzであり、Rzは水素である、[23]~[25]のいずれか1つに記載の化合物。
[29] 前記R 及びR は、それぞれ水素である、[23]~[28]のいずれか1つに記載の化合物。
[30] 前記R 10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、それぞれ水素である、[23]~[29]のいずれか1つに記載の化合物。
[31] 前記R 10 、R 11 、R 14 及びR 15 は、それぞれ水素であり、かつ、R 12 は、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択される、[23]~[29]のいずれか1つに記載の化合物。
[32] 前記R 12 が置換又は未置換アルキルである、[31]に記載の化合物。
[33] 前記R 12 がメチルである、[31]に記載の化合物。
[34]
【化78】
から選択される、[23]~[29]のいずれか1つに記載の化合物。
[35] 前記R はORzであり、かつ、Rzは式IIで表される単糖で、前記化合物が式III
【化79】
(式中、R ~R 及びR ~R は、それぞれ式I 又はI a又はI bで定義されたとおりであり;かつ、
10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、それぞれ[21]の式IIで定義されたとおりである)
で表される、[9]~[16]のいずれか1つに記載の化合物。
[36] 前記ジオキサンが置換又は未置換の1,3-ジオキサンであり、前記化合物が式III a:
【化80】
(式中、R 、R 、R 及びR ~R は、式I 又はI a又はI bで定義されたとおりであり;
10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
Rwは、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される、[35]に記載の化合物。
[37] 前記Rwは、置換又は未置換アルキル及び置換又は未置換アリールから選択される、[36]に記載の化合物。
[38] 前記R ~R は、それぞれ水素である、[36]又は[37]に記載の化合物。
[39] 前記R 及びR はそれぞれ水素であり、ここで、前記R は水素、アシル、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール、置換又は未置換アリール、アミノ置換α-ヒドロキシアシル及びスルホニルから選択される、[36]又は[37]に記載の化合物。
[40] 前記R はアシルである、[36]、[37]及び[39]のいずれか1つに記載の化合物。
[41] 前記R がスルホニルで、前記化合物が式III b:
【化81】
(式中、Rw、R 、R 、R 、R 、及びR は、式I bで定義されたとおりであり;
10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、式IIで定義されたとおりであり;かつ、
R’は、水素、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル、置換又は未置換アルカリール及び置換又は未置換アリールから選択される)
で表される、[36]、[37]及び[39]のいずれか1つに記載の化合物。
[42] 前記R 及びR はそれぞれ独立してORzである、[35]~[41]のいずれか1つに記載の化合物。
[43] 前記R 及びR はそれぞれRzであり、Rzは水素である、[35]~[42]のいずれか1つに記載の化合物。
[44] 前記R 10 、R 11 、R 12 、R 14 及びR 15 は、それぞれ水素である、[35]~[43]のいずれか1つに記載の化合物。
[45] 前記R 10 、R 11 、R 14 及びR 15 は、それぞれ水素であり、かつ、R 12 は、置換又は未置換アルキル、置換又は未置換シクロアルキル及び置換又は未置換アリールからなる群から選択される、[35]~[43]のいずれか1つに記載の化合物。
[46] 前記R 12 は置換又は未置換アルキルである[45]に記載の化合物。
[47] 前記R 12 はメチルである[46]に記載の化合物。
[48] 前記R は置換又は未置換アルキルである[1]~[47]のいずれか1つに記載の化合物。
[49] [1]~[48]のいずれか1つに記載の化合物、及び薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
[50] 遺伝子疾患の治療に使用するための、[1]~[48]のいずれか1つに記載の化合物又は[49]に記載の組成物。
[51] 遺伝子疾患は、未成熟終止コドン変異及び/又はタンパク質トランケーション表現型に関連する、[50]の化合物又は組成物。
[52] 終止コドン変異を有する遺伝子の発現レベルの増加に使用するための、[1]~[48]のいずれか1つに記載の化合物又は[49]に記載の組成物。
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
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図9A-9D】
図10
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図18A
図18B
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図20