(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】外科ナビゲーションシステム用の顔面の目印を登録する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 34/20 20160101AFI20230501BHJP
G06T 7/50 20170101ALI20230501BHJP
【FI】
A61B34/20
G06T7/50
(21)【出願番号】P 2020534483
(86)(22)【出願日】2018-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2018060350
(87)【国際公開番号】W WO2019123321
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-11-19
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516389190
【氏名又は名称】アクラレント インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Acclarent, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】サラザール・ヘンリー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】パルシ・ジェットミア
(72)【発明者】
【氏名】シャメリ・エーサン
(72)【発明者】
【氏名】マットロック・ジョージ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ファング・イツァーク
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0198849(US,A1)
【文献】特開2007-215993(JP,A)
【文献】特開2007-181694(JP,A)
【文献】特開2007-248451(JP,A)
【文献】特開2007-187656(JP,A)
【文献】特表2000-505325(JP,A)
【文献】特表2010-530268(JP,A)
【文献】特表2014-520351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
G06T
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の顔面の登録のためのシステムであって、
(a)
平坦面を有するセンサアレイ本体と、
(b)前記センサアレイ本体
の前記平坦面に取り付けられた複数の
非接触型の距離センサであって、前記距離センサの各々が
、前記患者の顔面の複数の登録点と
対応する前記距離センサとの間の距離を判定するよう動作可能であ
り、前記複数の登録点は、前記システムのデータベースに保存されて登録される、前記患者の顔面上の所定の位置である、距離センサと、
(c)前記センサアレイ本体に取り付けられており、前記センサアレイ本体の位置及び配向を提供するように動作可能な位置センサと、
(d)少なくとも1つのプロセッサであって、前記距離センサの各々に対する前記距離、前記配向及び前記位置に基づいて、
前記データベースに保存されて登録された前記複数の登録点の三次元位置を判定するよう構成されている、少なくとも1つのプロセッサと、
を備え
ており、
前記少なくとも1つのプロセッサのナビゲーションプロセッサが、
(i)前記複数の登録点と前記患者の顔面の一式の術前画像とを関連付けるよう、及び
(ii)前記複数の登録点、前記一式の術前画像、及び手技の間に使用される手術用器具の位置センサにより提供される一式の器具データの関連付けに基づいて、前記手技の間の画像誘導手術ナビゲーションインタフェースを提供するよう、構成されている、システム。
【請求項2】
前記距離センサが、長方形、正方形、丸形、三角形及び楕円形からなる群から選択される形状で配列されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのプロセッサが、前記センサアレイ本体内に収容されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記距離センサが、光学センサ、超音波センサ及び磁気センサからなる群から選択されるタイプを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
配向インジケータを更に備え、前記センサアレイ本体が前記
患者の顔面に平行ではないときに、前記配向インジケータがユーザーに
通知を提供するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
自動化アームを更に備え、前記自動化アームは、前記センサアレイ本体が前記
患者の顔面に平行になるように、前記センサアレイ本体を配向するよう動作可能である、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一部の症例においては、患者の解剖学的通路の拡張が望まれる場合がある。これには、副鼻腔の口の拡張(例えば、副鼻腔炎を処置するため)、喉頭の拡張、耳管の拡張、耳、鼻、又は咽頭内の他の通路の拡張などが含まれ得る。解剖学的通路を拡張する1つの方法としては、ガイドワイヤ及びカテーテルを用いて解剖学的通路内に膨張可能なバルーンを位置決めし、次いでバルーンを流体(例えば、生理食塩水)で膨張させて解剖学的通路を拡張することが挙げられる。例えば、膨張可能なバルーンを副鼻腔の口内に位置決めし、次に膨張させることによって、粘膜の切開や骨の切除を必要とせずに、口に隣接する骨を再構築することにより口を拡張することができる。その後、拡張した口によって、罹患した副鼻腔からの排液及びその副鼻腔の通気を改善することができる。このような手技を行うために使用することができるシステムは、2011年1月6日に公開された、「Systems and Methods for Transnasal Dilation of Passageways in the Ear,Nose or Throat」と題する米国特許出願公開第2011/0004057号の教示により提示され得、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれている。このようなシステムの一例として、Acclarent,Inc.(Irvine,California)によるRelieva(登録商標)Spin Balloon Sinuplasty(商標)Systemがある。
【0002】
画像誘導手術(IGS)は、コンピュータを用いて、患者の身体内に挿入された器具の場所の、術前に得られた画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に対するリアルタイムの相関を得ることで、コンピュータシステムが器具の現在の場所を術前に得られた画像に重ねる技術である。いくつかのIGS手技では、術野のデジタルトモグラフィスキャン(例えば、CT又はMRI、3Dマップなど)を外科手術の前に得る。次に、特別にプログラムされたコンピュータを用いて、デジタルトモグラフィスキャンデータをデジタルマップに変換する。外科手術中、センサ(例えば、電磁界を発生させる及び/又は外部で発生した電磁界に反応する電磁コイル)が装着された特別な器具を用いて処置を実行し、同時に、センサがコンピュータに各手術用器具の現在位置を示すデータを送る。コンピュータは、器具装着センサから受信したデータを、術前トモグラフィスキャンから作成されたデジタルマップと相関付ける。トモグラフィスキャン画像は、スキャン画像内に示される解剖学的構造に対する各手術用器具のリアルタイム位置を示す指標(例えば、クロスヘア又は照明ドットなど)と共にビデオモニタ上に表示される。これにより、外科医は、器具自体を体内のその現在の位置において直接見ることができない場合であっても、ビデオモニタを見ることによって各センサ搭載器具の正確な位置を知ることができる。
【0003】
ENT及び副鼻腔手術で使用できる電磁IGSシステムの例は、Biosense-Webster,Inc.(Irvine、California)によるCARTO(登録商標)3 Systemである。機能的内視鏡下副鼻腔手術(FESS)、バルーン副鼻腔手術、及び/又は他のENT手技に適用される場合、IGSシステムを使用することで、外科医は、内視鏡単独による視野によって行うよりも正確に手術用器具を動かして位置決めすることが可能になる。その結果、IGSシステムは、FESS、バルーンサイナプラスティ、及び/又は通常の解剖学的目印が存在しないか又は内視鏡的に可視化することが困難である他のENT処置の実行中に特に有用であり得る。
【0004】
IGSシステムによって実施され得る機能の1つは、手技の間に、術前に得られた種々の画像と患者の実際の位置とを相関付けるために使用することができる、参照点を得ることである。この作業は、「患者登録」と呼ばれることがある。患者登録は、位置追跡器具(例えば、その先端位置が三次元空間で検出され得るガイドワイヤ)を使用することにより慣用的に行われ、手技により影響を受けるであろう患者の領域を追跡する。例えば、バルーン副鼻腔手術又は他のENT手技の場合、位置追跡されたガイドワイヤ又は他の器具を、患者の顔面の1つ以上の位置を追跡又は接触するために使用することができる。各接触点では、位置の追跡システムは、三次元空間におけるそのような点を登録し、いくつかの登録済の点を使用して、三次元空間における罹患領域の位置を判定するであろう。罹患領域が、一旦、完全にマップ化される、又は登録されると、この罹患領域は、手技の実施の間に、さまざまなタイプの術前画像全体にシームレスIGS体験を実現するために、術前画像と相関付けることができる。このような方法で患者登録を行うことは、いくつかの手技に必要な接触点の数、及び患者の顔面の非剛性表面に可撓性のガイドワイヤの先端部を押し付けるという相対的な不正確さのために、時間を費やすと同時に、間違いが起こりやすい。
【0005】
ENT手技及び他の医療手技においてIGSナビゲーションシステム及び付属する構成要素の使用を更に容易とする特徴を提供することが望ましい場合がある。IGS及びENT手術に関連していくつかのシステム及び方法がこれまでに製造及び使用されているが、本発明者らよりも以前に付属の特許請求の範囲に記載される本発明を製造及び使用した者はないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示に過ぎず、本願発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】例示的な医療手技用椅子に着座している患者に使用されている、例示的な副鼻腔手術ナビゲーションシステムの概略図である。
【
図2】位置感知先端部を有する例示的な登録プローブの正面斜視図である。
【
図3】
図2の登録プローブを使用して登録手技を行っている間の患者の正面立面図である。
【
図6】検知のセンサアレイ区域の起動及び可視化の間の
図4のセンサアレイの正面斜視図である。
【
図7】
図4のセンサアレイを使用して登録手技を行っている間の患者の正面立面図である。
【
図8】
図4のセンサアレイを使用する、外科手技領域の正面斜視図である。
【
図9】例示的な画像誘導手術システムのシステム略図である。
【
図10】患者を登録するために、画像誘導外科システムを使用して行われ得る、例示的な一式のハイレベル工程を示す図である。
【
図11】
図4のセンサアレイからのデータを生成して処理するため、画像誘導外科システムを用いて行うことができる、例示的な一式の工程を示す図である。
【
図12】患者を登録するために使用することができる、例示的な非接触式センサプローブの模式図である。
【
図13】例示的な非接触式センサプローブの先端部の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明者らは、例示目的として、画像誘導手術の状況において適用される、本明細書において開示される新規技術を考案した。本発明者らによる技術の開示された用途は、画像誘導手術の技術分野において長年、感じられていたものの満たされていなかったニーズを満たしているが、本発明者らの技術は、本明細書に記載されている正確な方法で実施されることに限定されるものでなく、当業者が本開示に照らし合わせて、過度の実験を行うことなく、他の方法で実施可能であることが理解されるべきである。したがって、本明細書に記載される実施例は、単なる例示であると理解されるべきであり、限定的なものとして扱われるべきではない。
【0008】
本明細書に記載の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、変形、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点も更に理解される。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形、実施例など)、互いに独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0009】
I.例示的な画像誘導手術ナビゲーションシステム
図1は、画像誘導を使用してENT手技の実施を可能にする例示的なIGSナビゲーションシステム(100)を示す。一部の例では、IGSナビゲーションシステム(100)は、拡張器具アセンブリ(10)を使用して、副鼻腔口を拡張するため、又は何らかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻又は咽頭内部など)を拡張する手技の間に使用される。本明細書に記載されている構成要素及び動作性を有することに加えて又はその代わりに、IGSナビゲーションシステム(100)は、以下の文献の教示の少なくとも一部にしたがって構成され、動作可能となり得る。すなわち、米国特許第8,702,626号、発明の名称「Guidewires for Performing Image Guided Procedures」(2014年4月22日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許第8,320,711号、発明の名称「Anatomical Modeling from a 3-D Image and a Surface Mapping」(2012年11月27日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許第7,720,521号、発明の名称「Methods and Devices for Performing Procedures within the Ear、Nose、Throat and Paranasal Sinuses」(2010年5月18日発行)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許第2014/0364725号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2014年12月11日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている);米国特許出願公開第2016/0310042号、発明の名称「System and Method to Map Structures of Nasal Cavity」(2016年10月27日発行);及び米国特許出願公開第2011/0060214号、発明の名称「Systems and Methods for Performing Image Guided Procedures within the Ear,Nose,Throat and Paranasal Sinuses」(2011年3月10日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)。
【0010】
本例のIGSナビゲーションシステム(100)は、馬蹄形フレーム(104)に一体化された一式の磁界発生器(106)を含む磁界発生器アセンブリ(101)を備える。磁界発生器(106)は、患者の頭部の周りに周波数の異なる交流磁界を発生させるように動作可能である。それによって、磁界発生器(106)は、患者の頭部に挿入されるナビゲーションガイドワイヤ(130)の位置の追跡が可能になる。磁界発生器(106)を形成及び駆動するために使用することができるさまざまな好適な構成要素は、本明細書における教示を鑑みると、当業者には明白となろう。
【0011】
本例では、フレーム(104)が椅子(118)に装着され、フレーム(104)が患者(P)の頭部(H)に隣接して配置されるように患者(P)は椅子(118)に着座している。単なる例として、椅子(118)及び/又は電界発生器アセンブリ(101)は、米国特許出願第62/555,824号、発明の名称「Apparatus to Secure Field Generating Device to Chair」(2017年9月8日出願)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の少なくとも一部の教示にしたがって構成され、動作可能となり得る。
【0012】
本例のIGSナビゲーションシステム(100)は、IGSナビゲーションシステム(100)の磁界発生器(106)及び他の要素を制御するプロセッサ(110)を更に備える。例えば、プロセッサ(110)は、磁界発生器(106)を駆動して電磁界を発生させて、ナビゲーションガイドワイヤ(130)からの信号を処理し、患者(P)の頭部(H)内におけるナビゲーションガイドワイヤ(130)内のセンサの場所を判定するように動作可能である。プロセッサ(110)は、1つ以上のメモリと通信する処理ユニットを備える。本例のプロセッサ(110)は、キーパッド及び/又はマウス若しくはトラックボールなどのポインティングデバイスを含む動作制御部(112)を備えるコンソール(116)内に装着されている。医師は、外科手技を行いながら、プロセッサ(110)と相互作用する動作制御部(112)を使用する。
【0013】
連結ユニット(132)は、ナビゲーションガイドワイヤ(130)の近位端部に固定されている。本例の連結ユニット(132)は、コンソール(116)とナビゲーションガイドワイヤ(130)との間でデータ及び他の信号の無線通信を提供するように構成されている。本例の連結ユニット(132)はコンソール(116)と無線で連結しているが、一部の他の変形形態は、連結ユニット(132)とコンソール(116)との間を有線連結してもよい。連結ユニット(132)に組み込むことができるさまざまな他の好適な特徴部及び機能が、本明細書における教示を鑑みると当業者に明白となろう。
【0014】
ナビゲーションガイドワイヤ(130)は、上記の拡張器具(20)中のガイドワイヤ(30)の代わりとして使用されてもよい。ナビゲーションガイドワイヤ(130)は、磁界発生器(106)によって発生する磁界内の移動に応答するセンサ(図示せず)を含む。本例では、ナビゲーションガイドワイヤ(130)のセンサは、ナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部に少なくとも1つのコイルを備える。このようなコイルが磁界発生器(106)によって発生された電磁界内に位置決めされると、その磁界内でのコイルの移動によってコイルに電流が発生することができ、この電流はナビゲーションガイドワイヤ(130)内の導電路に沿って、更に連結ユニット(132)を介してプロセッサ(110)に通信され得る。この現象により、IGSナビゲーションシステム(100)は、三次元空間内(すなわち、患者(P)の頭部(H)内)のナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部の場所を判定することができる。これを達成するため、プロセッサ(110)は、ナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部の位置座標を、ナビゲーションガイドワイヤ(130)内のコイル(単数又は複数)の位置関連信号から計算するアルゴリズムを実行する。
【0015】
プロセッサ(110)はプロセッサ(110)のメモリに格納されたソフトウェアを用いてシステム(100)を較正し、動作させる。このような動作は、磁界発生器(106)を駆動すること、ナビゲーションガイドワイヤ(130)からのデータを処理すること、動作制御部(112)からのデータを処理すること、及びディスプレイスクリーン(114)を駆動することを含む。プロセッサ(110)は、患者の頭部(H)のビデオカメラ画像、患者の頭部(H)のCTスキャン画像、及び/又は患者の鼻腔内及び患者の鼻腔に隣接する解剖学的構造のコンピュータ生成三次元モデルに関してナビゲーションガイドワイヤ(130)の遠位端部の位置を示すディスプレイスクリーン(114)を介して、リアルタイムでビデオを提供するように更に動作可能である。ディスプレイスクリーン(114)は、外科手技中にこのような画像を同時に及び/又は互いに重ねて表示することができる。このように表示される画像は、ナビゲーションガイドワイヤ(130)などの患者の頭部(H)に挿入される器具のグラフィック表示も含んでもよく、こうして、操作者は、その実際の場所で、リアルタイムで器具の仮想レンダリングを視認することができる。単なる例として、ディスプレイスクリーン(114)は、米国特許出願公開第2016/0008083号、発明の名称「Guidewire Navigation for Sinuplasty」(2016年1月14日公開)(開示内容は参照により本明細書に組み込まれている)の教示の少なくとも一部にしたがって画像を提供してもよい。操作者が内視鏡も使用している場合には、内視鏡画像をディスプレイスクリーン(114)に表示することもできる。
【0016】
ディスプレイスクリーン(114)によって提供される画像は、操作者が患者の頭部内で器具を操縦する、及び他の方法で操作する一助となり得る。ナビゲーションガイドワイヤ(130)は、拡張器具アセンブリ(10)のガイドワイヤ(30)の代替物として使用される場合、副鼻腔の口を拡張するため又はいくつかの他の解剖学的通路(例えば、耳、鼻又は咽頭などの中)を拡張するための手技の実行中に、患者内の拡張器具アセンブリ(10)の器具使用のナビゲーションを容易にし得る。拡張器具アセンブリ(10)の他の構成要素は、以下に限定されないが、拡張カテーテル(40)を含むナビゲーションガイドワイヤ(130)のセンサのようなセンサを組み込んでもよいことが、やはり理解されるべきである。
【0017】
II.画像誘導手術システムの登録及び較正を行うための例示的な接触器具
上記のとおり、さまざまなガイドワイヤを使用して、患者の顔面上のさまざまな点に位置追跡されたガイドワイヤ先端部を接触させることにより、IGSナビゲーションシステム(100)における登録及び較正を行うことができる。このようなガイドワイヤは、その性質上、より薄いか又は可撓性であってもよい。この可撓性のために、操作者が単独でガイドワイヤを把持すること、及びガイドワイヤの遠位先端部を操作して患者の頭部上の登録点に接触することが困難になることがある。例えば、ガイドワイヤの遠位先端部は患者の頭部との係合に応答して撓む傾向があり得、それによって登録の精度を損なうおそれがある。したがって、IGSナビゲーションシステム(100)における登録及び較正の過程の間に、ガイドワイヤに少なくとも一時的に剛性をもたらすことが望ましいことがある。このような剛性の付与により、操作者のガイドワイヤの取り扱いをより容易にすることができ、ガイドワイヤの遠位先端部が患者の頭部との係合に応答して撓むのを防止することができ、最終的に、より正確な登録を実現することができる。
【0018】
図2は、上記のIGSナビゲーションシステム(100)などのIGSナビゲーションシステムを登録して較正するために、別の方法で薄いガイドワイヤに剛性を一時的にもたらすために使用することができる例示的な接触に基づく登録及び較正器具(134)を示す。この例の較正器具(134)は、遠位端部(136)及び近位端部(137)を有する細長型剛性本体(138)を備える。一部の変形形態では、細長型本体(138)は、透明なポリカーボネート材料から形成される。遠位端部(136)は、最終的に、丸みのある遠位先端部(135)で終端する、縮径部分につながるテーパを含む。
【0019】
ガイドワイヤ(140)は、細長型剛性本体(138)に挿入され得、その結果、ガイドワイヤ(140)の端部は、丸みのある遠位先端部(135)の内側に支えられている。ガイドワイヤ(140)の端部は位置追跡されるので、丸みのある遠位先端部(135)を使用して、患者の顔面上の登録点に接触させて、これにより、細長型剛性本体(138)の壁の既知の幅のみによって隔離されている、登録点の近接近部内に、位置追跡された先端部が置かれる。この構成では、器具(134)が使用されて、脚踏みペダル又はボタンとの相互作用、音声命令の発声又は別の類似入力などのこのシステムへの別の入力を提供して、登録接触部を記録させると同時に、丸みのある遠位先端部(135)を各登録点に接触させることによって、IGSナビゲーションシステム(100)に関連する登録及び較正過程を行うことができる。一部の変形形態では、較正器具(134)は、遠位先端部(135)が患者の顔面に接触したときを検知する接触センサ(図示せず)を含む。一部のこのような型では、操作者は、接触センサが遠位先端部(135)と患者の顔面との間の接触を登録するために、閾値に打ち勝つほど十分な力で、患者の顔面に遠位先端部(135)を押し付けなければならない。
【0020】
このシステムは、遠位先端部(135)がガイドワイヤ(140)の位置追跡した先端部がそれらの登録点に接触する代わりに、患者の頭部又は顔面上の登録点に接触すると同時に、細長型剛性本体(138)の壁の幅が固定されて、既知であるという事実を考慮した登録及び較正アルゴリズムにおいて必要な調節を容易に行うことができるということをやはり理解すべきである。
【0021】
図2の較正器具(134)又はプローブは、登録過程の間に、可撓性ガイドワイヤ(140)に剛性をもたらすことができ、これにより、不正確さが生じる原因の1つに対処することができる(例えば、接触中に、位置追跡されたガイドワイヤを曲げることによる)。しかし、遠位先端部(135)は、登録過程の間に、患者の頭部又は顔面に押し付けられるので、それらの表皮の可撓性又は柔軟性のために、例えば発生する不正確さの他の原因に対処しない。患者の顔面上のさまざまな点は、較正器具(134)の力で数ミリメートル分、押し込まれ得、これにより、ENT又は他の外科手技の状況では、有意な不正確性をもたらすおそれがある。
【0022】
図3は、較正器具(134)を使用する患者登録手技を示す患者の正面立面図を示す。
図3の図示は、手技中のIGSシステム(100)のディスプレイに表示され得、較正器具(134)を使用して較正又は登録されなければならない1つ以上の登録点(142)を示すことができる。登録点は、例えば、それらが較正器具(134)の接触により登録される前に、1つの色で示されることができ、較正器具(134)の接触後に、異なる色に変更することができるか、又はそうでない場合、較正を表示することができる。一部の変形形態では、1つ以上のレーザを使用して、患者の顔面上に登録点(142)を投影し、こうして、操作者は、レーザにより光を照射した各点において、患者の顔面と遠位先端部(135)とを係合しなければならない。
【0023】
上述に加えて、較正器具(134)は、その開示が参照により本明細書において組み込まれている、2017年5月4日に公開の「System and Method for Navigation of Surgical Instruments」と題する、米国特許出願公開第2017/0119473号の少なくとも一部の教示に従い、構成されて動作可能であり得る。
【0024】
図3の例から分かるとおり、この登録は、完了するために、患者の顔面のさまざまな点に、較正器具(134)を5つ接触させることが必要となり得る。現実世界の使用では、登録点の数は、十数個、又は数百個に及ぶことさえあり得る。この文脈において、必要な各点の特定、配置及び接触を行うには、時間を非常に費やす過程となり得ることが明白となる。
【0025】
III.画像誘導外科システムを登録及び較正するための例示的なセンサアレイ
図4~
図6は、接触に基づく較正器具(134)の代わり、又はこれに加えて、患者登録を行うために使用することができる例示的なセンサアレイ(200)を示す。例示的なセンサアレイ(200)は、ケース(202)、複数のセンサ(204)及び位置センサ(206)を備える。複数のセンサ(204)は、例えば、プローブ信号(例えば、投影光、超音波、電磁波など)を送信し、次に、対応する応答信号(例えば、投影光、反射音、反射電磁波など)を受信する、一式の光学センサ、超音波センサ、又は他の近接センサを備えてもよい。次に、プローブ信号の送信とその応答の受信との間の期間、又は応答信号の強度若しくは他の特徴が使用されて、センサの信号トランスミッタとプローブ信号の衝突する標的との間の距離を判定することができる。本明細書における教示を鑑みると、センサ(204)がとり得る他の好適な形態が、当業者に明白になるであろう。
【0026】
位置センサ(206)は、三次元空間内のセンサアレイ(200)の位置及び配向を判定するために使用され得る、1つ以上の加速度計センサ、磁気センサ又は無線ビーコンセンサを備えてもよい。加速度計に基づくセンサは、中性点からのセンサアレイ(200)の移動及び回転を判定することが可能であり、このセンサは、任意の時間に、そのリアルタイムな位置を判定するために使用することができる。磁気センサ又は他の無線センサは、ナビゲーションガイドワイヤに関連して記載されているものと同様の方法で動作することができ、センサアレイ(200)に位置している追跡要素又は受信要素、及び手技領域のどこかに位置しており、かつ任意の時間に追跡要素の位置を特定するよう構成されている追跡デバイス又は送信デバイスを必要とすることがある。位置センサ(206)を形成するために使用することができる他の好適な構成要素は、本明細書における教示を鑑みると、当業者には明白となろう。
【0027】
上で明記したとおり、患者登録を使用して、患者の顔面の目印、又は三次元空間内の他の外科手術部位を特定することができ、その結果、一色の術前に取得した画像を較正することができるか、又はそうでない場合、実世界の手技設定内で同期され得る。これを実現するため、三次元空間内のセンサアレイ(200)の位置は既知でなければならず、センサアレイ(200)と患者の顔面又は他の外科手術部位との間の距離は既知でなければならない。次に、これらの変数を使用して、患者の顔面上の目印の位置若しくは他の位置、又は三次元空間内の他の外科手術部位を判定することができる。例えば、レーザセンサの場合、レーザビームは、ソースセンサ(204)によって発生されることができ、レーザビームは、xミリメートルの距離を横切って標的に衝突することができる。レーザビームの一部は、標的外に反射され、このような反射光又は散乱光は、ソースセンサ(204)によって検出される。次に、レーザ投影と反射検知との間の時間を使用して、ソースセンサ(204)と標的とを隔離するxミリメートルの距離を判定することができる。z軸に沿ったソースセンサ(204)の位置が、「Z」である場合、位置センサ(206)によって判定されるとおり、z軸に沿った標的の位置を(Z+/-x-ミリメートル)として判定することができる。
【0028】
図5において分かるとおり、複数のセンサ(204)は、ケース(202)のz軸(220)に沿った同じ点で位置決めされている。この構成は、適切となり得るが、センサ(204)は、センサ(204)の最初の位置が、位置センサ(206)に対して実質的に静止状態にあるかぎり、相殺され得るので、(例えば、異なる形状のケース(202)を可能にするよう)z軸(220)に沿った異なる点に置かれてもよいことをやはり理解すべきである。これを支援するため、ケース(202)は、プラスチック又は金属などの実質的に剛性の任意の材料から作製され得、その結果、複数のセンサ(204)が置かれているケース(202)の前面は、それ自体の重量下で、又は使用中に曲がることはない。このような曲がりは、位置センサ(206)によって報告される、z軸(220)に沿ったセンサ(204)の初期位置の変化をもたらし、三次元内の標的の位置の判定を誤らせるおそれがある。
【0029】
三次元空間内のセンサアレイ(200)の位置を提供することができることに加えて、位置センサ(206)はまた、三次元空間内のその配向を判定するために使用されてもよい。センサアレイ(200)が、その前面が標的表面に完全に平行になるように配向するができない場合に有用になり得る。このことは、センサアレイ(200)の周りの領域に臨床医が接近する空間を可能にする手技領域内の空間制限、人為的間違い又は他の原因のために起こり得る。標的への非平行配向は、考慮されない場合、z軸に沿ったケース(202)が曲がる可能性と同じ理由のために、不正確さがもたらされ得る。例えば、
図5を参照すると、及び標的が、
図5において配向しているとおり、センサアレイ(200)と完全に平行であると仮定すると、センサアレイ(200)が、x軸(222)の周りにわずかでも回転することになる場合、センサアレイ(200)の上側にあるセンサ(226)は、同じ列の低い方のセンサ(228)と比べると、標的に数ミリメートル近づく方向にシフトすることができる。この配向が既知でもなく、考慮もされない場合、上側のセンサ(226)により検出される外科手術部位の点の位置は、三次元空間内部で、不正確に登録されて較正されるおそれがある。
【0030】
位置センサ(206)の配向判定能力は、センサアレイ(200)が、標的と完全に平行ではないことを検出することができることであり、又はセンサアレイ(200)は再配向される必要があることを操作者に警告することができることである。代替的に、センサアレイ(200)(及び/又は、他の一部のシステム構成要素)は、非平行配向を考慮するための複数のセンサ(204)の個々のセンサ(204)の各々によってもたらされるデータを調節することができる。このことは、例えば、その配向のため、上側のセンサ(226)は、下側のセンサ(228)に比べて、標的にxミリメートル近いことを判定すること、並びにしたがって較正及び登録の間の計算値の調節を含むことができる。
【0031】
図8は、センサアレイ(200)が位置決めされて配向されておらず、その結果、標的と実質的に平行となっている例示的なシナリオを示している。分かるとおり、センサアレイ(200)は、アーム(216)から吊り下げられており、標的領域(211)の上に配置しているが、アーム(216)上に配向しておらず、したがって、センサアレイ(200)及び標的領域(211)に平行に引かれる交差線(218、220)によって観察され得るとおり、標的領域(211)に実質的に平行にある。ある実装形態では、アーム(216)は、幅広い範囲の手作業運動又は自動化運動を実現して、標的領域(211)に対する、取り付けられた幅広い範囲のセンサアレイ(200)の位置及び配向を支持することができる。一部の実装形態は、例えば、センサアレイが、標的領域(211)に実質的に平行となると、ユーザーに通知するよう構成されている、照明式インジケータ、可聴式インジケータ又は触覚式インジケータを備えてもよい、配向インジケータをやはり含んでもよく、これにより、センサアレイ(200)の手動による位置決め及び配向を支援することができる。自動化機構を備えるアーム(216)を含む実装形態では、アーム(216)は、実質的に平行な配向を維持するために、ユーザーによって起動又は手作業により動かされるにつれて、標的領域(211)に対する、センサアレイ(200)の位置及び配向を自動的に調節することができる。
【0032】
図6は、複数のセンサ(204)の感知範囲又は検知範囲内にある領域(208)のシミュレートした可視化による起動の間のセンサアレイ(200)を示している。
図7は、例示的なセンサアレイ(200)により検出及び登録が同時に行われ得る、患者の顔面上のいくつかの登録点のシミュレートした可視化を示している。分かるとおり、複数の登録点(210)は、センサアレイ(200)の大きな検知領域(208)によって同時に登録され得る。患者の頭部のサイズとセンサアレイ(200)の間の変動により、これらのセンサの一部によって送信されたプローブ信号は、患者の頭部を完全に見失うことがある(212)。このような場合、応答信号は、ソースセンサによって受信されないことがあるか(例えば、付帯標的への距離が大きすぎる場合、又は患者の頭部が、応答信号をもたらさない表面に置かれた場合)、又は応答信号が受信され得、標的までの計算距離は、患者の顔面を超える点が測定されたと判定する。このような場合、患者の顔面に衝突しない、センサによって生成したデータは、フィルターにかけられ得るか、又はそうではない場合、登録の目的には無視されると同時に、三次元空間における患者の顔面の目印を位置付けるために、有効な登録点(210)が登録され得る。
【0033】
例示的なセンサアレイ(200)の使用は、接触式較正器具(134)と比べて、いくつかの利点を実現することができる。
図6~
図7で分かるとおり、センサアレイ(200)は、複数の点(210)を同時に登録することができ、センサアレイ(200)のサイズ並びに/又は複数のセンサ(204)の数及び配列をさまざまにすることによって、任意の所望の数又は罹患領域にスケールを合わせることができる。接触式較正器具(134)によって提供される潜在的に時間を費やす点ごとの登録と比べて、センサアレイ(200)は、標的に実質的に平行にこのセンサアレイを単に位置決めして、配向させて(例えば、患者の上にあるセンサアレイ(200)に吊り下げるために、
図8に示されているアーム(216)などの、アーム、ギンブル(gimble)又は他の装置を移動させることによる)、センサと標的との間の距離をキャプチャするようセンサアレイ(200)を起動することにより登録を完了することができ、次に、この登録を三次元空間における標的の位置を計算するために使用することができる。登録に必要な時間の短縮により、手技中の患者の体験が改善されて、手技室、機器及び従事者の一層効率の高い利用を可能にすることができる。更に、議論したとおり、例示的なセンサアレイ(200)などの非接触式登録システムの使用により、三次元空間内の標的の一層正確な位置決めをすることができ、なぜなら、このシステムは、接触式較正器具(134)が可撓性となること、又はこの過程に不正確な登録データを導入することになる患者の肌の変形を低減又は排除するからである。
【0034】
IV.画像誘導外科システムを登録及び較正するためのセンサアレイを使用する例示的方法
図10~
図11は、
図9に示されているものなどのシステムによって行われ得る、画像誘導外科システムの非接触式顔登録の方法を示している。
図9の例示的なシステムは、画像誘導手術又はIGSシステム(300)、画像サーバ(302)、手技領域位置決めシステム(306)、及び登録センサ(304)を備える。記載されている例示的なシステムの構成要素及びその機能は、単なる例示に過ぎず、さまざまな方法で実施することができることを理解すべきである。例えば、一部の実装形態では、一部の特徴は、IGSシステム(300)、登録センサ(304)のどちらか一方、又はそれらの両方によって行われ得る。同様に、一部の構成要素を組み合わせてもよく、又は更なる構成要素に分割されてもよい。例えば、IGSシステム(300)によって行われる機能は、いくつかの構成要素(例えば、IGSシステム(300)、クラウドコンピューティングシステム、携帯型IGSデバイスなど)全体に行うことができるか、又はIGSシステム(300)及び画像サーバ(302)の機能は、単一構成要素又はデバイスにより組み合わされて行われ得る。このような変形形態は、この開示に照らしあわせると当業者に明白となろう。
【0035】
IGSシステム(300)は、プロセッサ及びメモリ、記憶装置、ディスプレイ、並びにさまざまなユーザー及び情報伝達インタフェースなどの構成要素を有するコンピュータを備えてもよい。IGSシステム(300)は、1つ以上の領域位置決めシステム(306)、登録センサ(304)、画像サーバ(302)及び/又は他のデータソースからの情報を受信するよう構成され得る。IGSシステムによって受信された情報を使用して、外科手技の実施を支援するための、画像、音声、ビデオ及びソフトウェア手段などの情報を用意して表示することができるか、又は他の方法で提供することができる。受信情報は、例えば、術前画像、ビデオ、並びに画像サーバ(302)又は別のシステムからのデータ、登録センサ(304)からの顔面の目印登録、器具の手技領域位置決めデータ及び配向データ、並びに領域位置決めシステム(306)からの手技領域内の他の対象物、並びに他の類似データを含むことができる。このデータを使用して、IGSシステム(300)は、例えば、三次元空間内のいくつかの位置追跡デバイスを追跡して、その三次元空間内に、登録済み患者をマッピングすることができ、その結果、術前画像は、手技の間に生成した画像と正確に関連付けられ得る。
【0036】
画像サーバ(302)は、手技前情報、手技情報及び手技後情報を格納することができる1つ以上の遠隔に又は現場に設置されたサーバとすることができ、このサーバは、術前画像、器具の位置及び配向、手技中及び手技後のデバイス及び他の追跡した対象、又は手技の成績の評価の一助となり得る他の計量値を含むことができる。
【0037】
登録センサ(304)は、例えば、センサアレイ(200)、又は
図12の例示的なセンサプローブ(500)などの別の登録器具を備えてもよい。登録センサ(304)は、センサアレイ(200)に関連して記載されているとおり、三次元空間内の標的領域(211)(例えば、患者の顔面の目印)を配置するために必要な情報の一部又はすべてを提供するよう構成されている。これには、例えば、ソースセンサ(204)と標的との間の距離を判定することを含むことができる。例えば、位置センサ(206)に関連して記載されている三軸センサであってもよい、領域位置決めシステム(306)は、三次元空間に標的領域(211)を配置するために必要な任意の追加情報を提供することができ、その情報には、例えば、ソースセンサ(204)の位置の判定を含むことができる。
図9のシステムの構成要素は、IGSシステム(300)と通信状態にあることができ、一部の実装形態では、有線及び無線通信のさまざまな形態を介して、互いに通信状態にあることができる。
【0038】
図11は、登録センサ(304)を使用する、三次元空間中の患者を登録するため、
図9のシステムを使用して行うことができる、一式のハイレベル工程を示しており、これにより、IGSナビゲーション特徴が、IGSシステム(300)において実現されることが可能となろう。例示的な工程は、術前画像を受信する工程(ブロック400)、患者登録を受信する工程(ブロック402)、術前画像と患者登録とを相関付ける工程(ブロック404)、及びIGSナビゲーションの提供(ブロック406)を含む。術前画像を受信する工程は、例えば、画像サーバ(302)、ローカルストレージ又は別の類似のデバイスからの1つ以上のデータセットをリクエスト及び/又は受信する工程を含むことができる。受信情報は、次に、IGSシステム(300)にローカルに格納され得、容易に利用可能な状態に維持されて、その結果、IGSナビゲーションの間に素早くアクセスすることができる。
【0039】
患者登録を行う工程(ブロック402)は、患者の顔面の目印若しくは他の物理的特徴、又は他の標的領域(211)特徴を配置するために使用され得る、1つ以上の登録点の形態での、登録センサ(304)と標的領域(211)との間の距離を表示する一式のデータを生成するため、登録センサ(304)を起動する工程を含んでもよく、登録センサ(304)の位置を判定するための領域位置決めシステム(306)の使用を含むことができ、その結果、患者の顔面は、領域位置決めシステム(306)に対する三次元空間内に配置され得る。術前画像と登録データとの相関付けは、1つ以上の術前画像を選択する工程、及び標的領域(211)に対して三次元空間内に登録データをマッピングする工程を含むことができる。IGSナビゲーションを提供する工程(ブロック406)は、次に、標的領域(211)に対する術前画像の正確な三次元マッピングを使用することにより行われ得る。これにより、IGSシステム(300)は、IGSナビゲーションが使用される手技の間に、術前画像に照らして、現在追跡した対象物(例えば、ガイドワイヤ、又は他の位置追跡された器具)の位置を正確に表示することが可能になる。
【0040】
図11は、登録センサ(304)を用いて、患者登録(ブロック402)を行なうときに行われ得る例示的な一式の工程を示す。これらの工程は、IGSシステム(300)、登録センサ(304)、並びに/又は適切な処理容量、メモリ容量及び格納容量を有する別のデバイスによって行うことができ、いくつかの実装形態では、特定の工程の本質が、前工程の完了時にのみ利用可能状態になる、入力値としてデータを必要としないかぎり、さまざまな順序で、又は並行して行われ得る。IGSシステム(300)は、登録センサ(304)及び標的領域(211)が実質的に平行かどうかを判定するため、それらに関連する配向データに基づく配向オフセット(ブロック408)を判定することができる。これは、標的領域(211)の現在の配向を判定するため、患者又は患者用テーブル若しくは椅子よって装着された又はこれらに取り付けられた器具の一部において位置決めセンサを使用する、登録センサ(304)の現在の配向を判定する位置決めセンサ(306)によって提供されるデータ、又は登録センサ(304)及び/若しくは標的領域(211)のために構成された静的配向値であって、前の時点に自動的に又は手作業により判定されて(例えば、患者用椅子を既知の配向で静的に位置決めすることによる)、かつIGSシステム(300)内に構成され得る上記の静的配向値を使用することによって提供されるデータを使用することを含む。
【0041】
登録センサ(304)及び標的領域(211)が実質的に平行でない場合に、配向オフセットが一旦、判定されると(ブロック408)、IGSシステム(300)は、このオフセットを考慮する1つの変数を調節することができる(ブロック410)。これは、例えば、既に記載したとおり、非平行配向を考慮するために、ソースセンサと標的との間の測定距離を長くするか、又は短くすることを含むことができる。IGSシステム(300)は、登録センサ(304)のための、ソース位置(ブロック412)も判定することができる。配向を判定することと同様に、これは、位置センサ(206、506)又は他の領域位置決めシステム(306)からの情報を使用して、又は登録センサ(304)が静的に正しい位置に固定されるのが可能な所定の静止値を使用して、現在の位置を判定することを含むことができる。
【0042】
IGSシステム(300)はまた、登録センサ(304)の1つ以上のセンサを起動することによりプローブ信号を送信し(ブロック414)、反射された、反響された、又は他には、標的領域(211)から戻されて、フォトアイ、マイクロホン又は他のレシーバによってキャプチャされた応答信号を受信する(ブロック416)ことができる。IGSシステム(300)は、応答信号(ブロック416)を受信した後、信号の移動時間及び距離を判定することができる(ブロック418)。信号の移動距離を判定する際(ブロック418)、IGSシステムは、より容易に判定され得る特定のセンサに対して任意の配向オフセットを考慮することができる(ブロック410)。信号移動距離(ブロック418)及び信号出所位置(ブロック412)が判定されて、IGSシステム(300)に利用可能になった後、このシステムは、標的領域(211)の位置を判定して(ブロック420)して、これを格納することができる。標的位置が一旦、既知になると(ブロック420)、IGSシステムは、その位置を術前画像(ブロック404)と標的領域(211)とを相関付けるために使用して、IGSナビゲーション(ブロック406)を提供する。
【0043】
V.画像誘導外科システムを登録及び較正する例示的な代替的センサプローブ
図12~
図13は、較正器具(134)などのこれまでに議論した接触プローブと同様の方法で、一度に患者の1つの点を登録するために使用することができる、例示的な代替的センサプローブを示している。
図12に示されているプローブ(500)は、プローブトランスミッタ(502)、プローブレシーバ(504)、位置センサ(506)及び近接トリガ(508)を備える。プローブトランスミッタ(502)及びプローブレシーバ(504)は、個別の構成要素として示されている一方、プローブトランスミッタ(502)及びプローブレシーバ(504)は、実際に、一部の変形形態では、単一構成要素に一体化され得る。プローブ(500)は、さまざまな形態で実装され得、例えば、較正器具(134)の細長型本体(138)に類似のハウジングは、
図12の1つ以上の構成要素を含むか、又はこれらに取り付けることができる。タッチペン様形状が、快適でユーザーに親しまれ得るので(例えば、鉛筆のグリップ用いてプローブ(500)を把持する)、較正器具(134)のものなどのハウジング又は本体は、プローブ(500)にとって望ましい形態となり得る。
【0044】
標的領域(211)上の点を登録する際に、プローブ(500)は、センサアレイ(200)と同様の方法で動作する。プローブトランスミッタ(502)及びプローブレシーバ(504)が、(例えば、プローブ(500)が、
図2のそれと類似した形態で実装される場合、丸みのある遠位先端部における)プローブの先端部の方向に位置決めされ得、起動されると、上記のとおり、センサアレイ(200)のセンサ(204)と同様に機能する。特に、光学トランスミッタ、超音波トランスミッタ、又は他の無線トランスミッタを含むことができる、プローブトランスミッタ(502)は、
図13に示されているとおり、標的領域(211)にプローブ信号(512)を送信する。プローブ信号は、反射、共鳴、又は標的領域(211)から他の方法で戻り、応答信号(514)としてプローブレシーバ(504)によって受信される。プローブ信号送信と応答信号の受信との間を移動する時間は、IGSシステム(300)又は別の処理デバイスによって使用されて、プローブ(500)と標的領域(211)との間の距離を判定することができる。この距離は、位置センサ(506)によって供給されるプローブ(500)の位置及び配向と組み合わされて、次に、三次元空間における標的領域(211)の登録済の点を判定することができる。位置センサ(506)は、プローブ(500)の位置及び配向を提供するために、三軸センサ、加速度計に基づく位置決めセンサ、磁気位置決めセンサ、又は領域位置決めシステム(306)として機能し得る又はこれと一緒に機能し得る他の位置決めセンサを含むことができる。
【0045】
プローブ(500)の近接トリガ(508)は、それ自体、センサを備えてもよく、又は標的領域(211)に対するリアルタイムの近接部を判定するよう構成されている、プローブトランスミッタ(502)及びプローブレシーバ(504)の特徴部又は構成であってよく、標的のある近接部内にある場合、標的領域(211)の点をキャプチャして登録する。これによって、プローブ(500)は、ユーザーが、登録点データをキャプチャするため、ボタン、脚踏みペダルをクリックする、又はある閾値を超える力で標的領域(211)に接触させる必要性を回避するよう、自動的に起動して、標的領域(211)に近接して位置決めされたときの点を登録することが可能となる。この方法で、ユーザーは、登録過程を完了するため、近接トリガ(508)に、標的領域(211)の点を登録させる近接部内の標的領域(211)の周囲にプローブ(500)を移動することができる。実際に、これによって、プローブ(500)は、標的領域(211)の任意の点を実質的に押し付けることなく、又は登録の正確性を減じるおそれのある登録を誘発する他の作用が生じることなく、標的領域(211)全体にわたる、いくつかの点を速やかに登録することが可能となると思われる。
【0046】
一部の変形形態では、プローブ(500)は、容量センサ又は抵抗センサを備えており、これらの一方が使用されて、プローブトランスミッタ(502)とプローブレシーバ(504)との組合せ物を効果的に形成する(又は、これらの代わりとして働く)ことができる。そのような変形形態では、容量センサ又は抵抗センサは、患者の顔面との接触を検出することが可能となり得、それにより、患者の顔面上に比較的軽く接触して、位置を登録することができる。言い換えると、操作者は、患者の顔面との接触により、容量センサ又は抵抗センサを起動させるために、かなりの力で患者の顔面にプローブ(500)を押し付ける必要がない。したがって、プローブ(500)の正常な使用中に、位置データが不正確になる点まで患者の顔面が変形するリスクがほとんどない。
【0047】
較正器具(134)の状況で上に明記したとおり、プローブ(500)は、患者の顔面上の登録点(142)を投影するために使用される1つ以上のレーザに連動させて使用することができ、こうして、操作者は、プローブ(500)を使用して、患者の顔面にレーザが照射された各点の位置を登録しなければならない。プローブ(500)の使用は、センサアレイ(200)より遅いことがあるが、較正器具(134)などのプローブの使用よりも、やはりかなり速くなり得る。プローブ(500)は、使用の簡単さ、複雑さの低減(例えば、多数のセンサではなく1つのセンサ)、電力消費量の低下、移動度の向上(例えば、装着されたアーム又はシーリングよりも携帯性がある)、費用の削減、及び本開示に照らし合わせると当業者に明白な他の類似の有益性などの追加的な有益な特徴を実現することができる。
【0048】
分かるとおり、登録センサは、センサアレイ(200)又はプローブ(500)の形態よりも多い、さまざまな形態で実装され得る。これは、例えば、標的領域全体に通過され得る長手方向の部材に沿って配設された一列のセンサ、標的領域の周りで回転され得る曲がった部材に沿って配設されている1つ以上の列のセンサ、又は他の類似構成体を含むことができる。
【0049】
センサアレイ(200)及びプローブ(500)に利用可能なものとして、本明細書に記載されているさまざまな種類のセンサ(例えば、光学センサ、超音波センサ、近接センサ、容量センサ、抵抗センサなど)が、産業/製造設定(例えば、組み立てラインなどにおける対象物の追跡)に公知な程度に、本状況は実質的にさまざまであることが理解されよう。産業/製造設定では、追跡された対象物は、一貫した表面幾何形状(例えば、感知された表面が平坦である)、一貫した表面色調及び/又は他の一貫した特性を有する可能性が一層高くなり得る。しかし、ヒト対象に関与する医療手技の現在の状況では、センサは、検知表面の間で、実質的に一層大きな範囲の変化を受けることがある。このような変化は、さまざまな表面の外形、色調、リビディティ(lividity)、及び/又はヒトの顔面の特性の他の変化を含むことができる。一部の例では、センサ、及び/又はセンサが動作される方法が修正されて、検知された表面間のこのような変化を収容することができる。例えば、光学センサは、さまざまな患者の間の皮膚の色調の変化を一層容易に考慮するために、異なる光周波数(例えば、複数の周波数を掃引する)で動作するように構成されてもよい。センサ、及び/又はセンサが動作される方法が、ヒトの顔面特性間の変化を考慮するように修正され得る他の方法は、本明細書における教示を鑑みると当業者には明白となろう。
【0050】
VI.例示的な組合せ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、種々の非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の出願におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではない、と理解すべきである。一切の棄権を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の種々の教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられている。また、いくつかの変形形態では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略してよいことも、考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されないかぎり、以下に言及される態様又は特徴のいずれも重要なものとして見なされるべきではない。以下に言及される特徴以外の更なる特徴を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の出願において示される場合、それらの更なる特徴は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0051】
標的領域の登録のためのシステムであって、(a)センサアレイ本体と、(b)センサアレイ本体に取り付けられた複数の距離センサであって、距離センサの各々が、標的領域の方向に向くよう位置決めされており、かつ標的領域の登録点とそのセンサとの間の距離を判定するよう動作可能である、距離センサと、(c)センサアレイ本体に取り付けられており、センサアレイ本体の位置及び配向を提供するように動作可能な位置センサと、(d)少なくとも1つのプロセッサであって、距離センサの各々に対する距離、配向及び位置に基づいて、手技空間内の標的領域の複数の登録済の点の三次元位置を判定するよう構成されている、少なくとも1つのプロセッサと、を備える、システム。
【実施例2】
【0052】
距離センサが、長方形、正方形、丸形、三角形及び楕円形からなる群から選択される形状で配列されている、実施例1のシステム。
【実施例3】
【0053】
センサアレイ本体の面が、実質的に平面であり、少なくとも1つのプロセッサが、センサアレイ本体内に収容されている、実施例1~2のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例4】
【0054】
距離センサが、光学センサ、超音波センサ及び磁気センサからなる群から選択されるタイプを含む、実施例1~3のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例5】
【0055】
少なくとも1つのプロセッサが、複数の距離センサの各センサに関して、(i)そのセンサによって送信されるプローブ信号の原点位置を判定することであって、原点位置が、センサアレイ本体の位置及び配向に基づいて、手技空間内のそのセンサの位置を表示すること、並びに(ii)原点位置、及び標的領域の登録点に衝突する前に、プローブ信号が移動した距離に基づいて、そのセンサの登録済の点を判定すること、により、複数の登録済の点の三次元位置を判定するように構成されている、実施例1~4のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例6】
【0056】
少なくとも1つのプロセッサが、センサアレイ本体に対する標的領域の配向を判定するよう、標的領域及びセンサアレイ本体が実質的に平行ではない場合に、複数の距離センサの各センサに関して、オフセット値を判定するよう、並びに原点位置、プローブ信号が移動した距離及びオフセット値に基づいて、そのセンサに対する登録済の点を判定するよう、更に構成されている、実施例5のシステム。
【実施例7】
【0057】
少なくとも1つのプロセッサに標的領域の配向をもたらすよう構成されている標的領域配向センサを更に備える、実施例6のシステム。
【実施例8】
【0058】
少なくとも1つのプロセッサのナビゲーションプロセッサが、複数の登録済の点と標的領域の一式の術前画像とを関連付けるよう、及び複数の登録済の点、一式の術前画像、及び手技の間に使用される手術用器具の位置センサにより提供される一式の器具データの関連付けに基づいて手技の間の画像誘導手術ナビゲーションインタフェースを設けるよう、構成されている、実施例1~7のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例9】
【0059】
距離センサは、複数の登録済の点の位置が判定されると、標的位置から約4インチ~20インチの距離で位置決めされ、かつ動作可能であるよう構成されている、実施例1~8のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例10】
【0060】
配向インジケータを更に備え、センサアレイ本体が標的領域に実質的に平行ではないときに、配向インジケータがユーザーに表示を提供するよう構成されている、実施例1~9のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例11】
【0061】
自動化アームを更に備え、自動化アームは、センサアレイ本体が標的領域に実質的に平行になるように、センサアレイ本体を配向するよう動作可能である、実施例1~10のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例12】
【0062】
複数の距離センサが、少なくとも30個の個々のセンサを備え、複数の距離センサは、送信されたプローブ信号が、標的領域の実質的にすべてに衝突するように、センサアレイ本体上に位置決めされている、実施例1~11のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例13】
【0063】
そのプローブ信号が使用中に標的領域から外れる、複数の距離センサの任意のセンサの場合、少なくとも1つのプロセッサが、そのセンサからの近接データを無視するよう更に構成されている、実施例1~12のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例14】
【0064】
複数の登録済の点の三次元位置を判定するために使用したデータを収集するために、複数の距離センサが一旦、起動されるように構成されている、実施例1~13のいずれか1つ以上のシステム。
【実施例15】
【0065】
登録プローブであって、(a)ユーザーによって保持されるようになされている細長型本体であって、遠位先端部を備える、細長型本体と、(b)遠位先端部に位置する標的センサであって、遠位先端部が患者の顔面に押し付けられる必要なしに、標的センサが、遠位先端部の前の患者の顔面の存在を検出するよう動作可能である、標的センサと、(c)非接触式登録プローブの位置及び配向を提供するよう動作可能である位置センサと、(d)少なくとも1つのプロセッサであって、(i)標的センサを起動するよう、(ii)標的センサからの信号に基づいて登録済の点として手技空間内の標的の三次元位置を判定するよう、及び(iii)信号が標的センサから受信されたときに、登録プローブの位置及び配向を判定するよう、構成されている、少なくとも1つのプロセッサと、を備える、登録プローブ。
【実施例16】
【0066】
遠位先端部が標的のキャプチャ距離内にあるとき、標的センサを起動させて登録済の点を判定させるよう構成されている近接トリガを更に備える、実施例15の登録プローブ。
【実施例17】
【0067】
標的センサが容量センサ又は抵抗センサを含む、実施例15~16のいずれか1つ以上の登録プローブ。
【実施例18】
【0068】
標的センサが、光学センサを含む、実施例15~17のいずれか1つ以上の登録プローブ。
【実施例19】
【0069】
位置センサが、加速度計に基づくセンサ、磁気に基づくセンサ、及び無線ビーコンに基づくセンサからなる群から選択されるタイプを含む、実施例15~18のいずれか1つ以上の登録プローブ。
【実施例20】
【0070】
画像誘導手術ナビゲーションのための顔面の目印を登録する方法であって、(a)センサアレイの複数の距離センサが、標的領域の方を向いてこれに実質的に平行となるようセンサアレイを位置決めすることであって、標的領域が患者の顔面領域である、ことと、(b)センサアレイを起動して、標的領域内の標的点に衝突する前に、複数の距離センサの各々に由来するプローブ信号が移動した距離を表示する一式の距離をキャプチャすることと、(c)三次元空間内のセンサアレイの位置及び配向を判定することと、(d)標的領域内の各標的点に関して、センサアレイの位置及び配向、並びにプローブ信号が移動した距離に基づいて、その標的点の三次元位置を判定することにより、一式の登録済の点を生成することと、(e)一式の登録済の点と一式の術前画像とを関連付けることによりナビゲーションデータセットを生成することと、(f)ナビゲーションデータセットに基づいた画像誘導手術ナビゲーションを実現することと、を含む、方法。
【0071】
VII.その他
本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、上述のものに加えて又はそれに代えて、さまざまな他の特徴を含み得ることが理解されるべきである。単なる例として、本明細書に記載されている実施例のうちのいずれも、参照により本明細書に組み込まれているさまざまな参考文献のいずれかに開示されているさまざまな特徴のうちの1つ以上を含むこともできる。
【0072】
本明細書に記載の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現要素、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例など)、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書における教示を鑑みると、本明細書の教示を組み合わせることができる種々の好適な方法が、当業者には直ちに明らかとなろう。このような改変及び変形形態は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0073】
本明細書に参考として組み込まれると言及されたいかなる特許、公報、又は他の開示内容も、全体的に又は部分的に、組み込まれた内容が現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれる、と理解されなければならない。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれるものとするが、既存の定義、記述、又は本明細書に記載される他の開示文献と矛盾する任意の文献、又はそれらの部分は、組み込まれる文献と既存の開示内容との間に矛盾が生じない範囲でしか組み込まれないものとする。
【0074】
本明細書に開示されるデバイスの変形形態は、1回の使用後に処分されるように設計するか又は複数回使用されるように設計することができる。変形形態は、一方又はその両方の場合において、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整されてよい。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組み立て工程の、任意の組合せを含み得る。特に、デバイスの変形形態は、分解することができ、かつ、デバイスの任意の数の特定の部品若しくは部分を、任意の組合せにおいて選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品を洗浄時及び/又は交換時に、デバイスの変形形態は、再調整用の施設において、又は外科手技の直前に外科チームによってのどちらかで、その後の使用のために再組立てすることができる。当業者であれば、デバイスの再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのためのさまざまな技術を利用することができることを理解するであろう。こうした技術の使用、及び結果として得られる再調整されたデバイスは、すべて本出願の範囲内にある。
【0075】
単なる例として、本明細書に記載の変形形態は、手術前に処理することができる。まず、新品又は使用済みの器具を入手し、必要に応じて洗浄することができる。次いで、器具を滅菌することができる。1つの滅菌技術では、器具は、プラスチックバッグ又はTYVEKバッグなど、閉鎖され密封された容器に入れられる。次いで、容器及び器具を、γ線、X線、又は高エネルギー電子などの容器を透過し得る放射線野に置くことができる。放射線は、器具上及び容器内の細菌を死滅させることができる。次いで、滅菌済みの器具を滅菌容器内で保管することができる。密封容器は、手術設備で開封されるまで器具を滅菌状態に保つことができる。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で周知の他の任意の技術を用いて、デバイスを滅菌してもよい。
【0076】
本発明のさまざまな変形形態について図示し説明したが、本明細書で説明した方法及びシステムの更なる応用が、当業者による適切な改変形態により、本発明の範囲から逸脱することなく実現可能である。このような可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかとなるであろう。例えば、上述の実施例、変形形態、幾何形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面において図示され、説明された構造及び動作の細部に限定されないものとして、理解されたい。
【0077】
〔実施の態様〕
(1) 標的領域の登録のためのシステムであって、
(a)センサアレイ本体と、
(b)前記センサアレイ本体に取り付けられた複数の距離センサであって、前記距離センサの各々が、前記標的領域の方向に向くよう位置決めされており、かつ前記標的領域の登録点とそのセンサとの間の距離を判定するよう動作可能である、距離センサと、
(c)前記センサアレイ本体に取り付けられており、前記センサアレイ本体の位置及び配向を提供するように動作可能な位置センサと、
(d)少なくとも1つのプロセッサであって、前記距離センサの各々に対する前記距離、前記配向及び前記位置に基づいて、手技空間内の前記標的領域の複数の登録済の点の前記三次元位置を判定するよう構成されている、少なくとも1つのプロセッサと、
を備える、システム。
(2) 前記距離センサが、長方形、正方形、丸形、三角形及び楕円形からなる群から選択される形状で配列されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記センサアレイ本体の面が、実質的に平面であり、前記少なくとも1つのプロセッサが、前記センサアレイ本体内に収容されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記距離センサが、光学センサ、超音波センサ及び磁気センサからなる群から選択されるタイプを含む、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記少なくとも1つのプロセッサが、前記複数の距離センサの各センサに関して、
(i)そのセンサによって送信されるプローブ信号の原点位置を判定することであって、前記原点位置が、前記センサアレイ本体の前記位置及び前記配向に基づいて、前記手技空間内のそのセンサの位置を表示すること、及び
(ii)前記原点位置、及び前記標的領域の前記登録点に衝突する前に、前記プローブ信号が移動した距離に基づいて、そのセンサの登録済の点を判定すること、
により、前記複数の登録済の点の前記三次元位置を判定するように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0078】
(6) 前記少なくとも1つのプロセッサが、
(i)前記センサアレイ本体に対する前記標的領域の配向を判定するよう、
(ii)前記標的領域及び前記センサアレイ本体が実質的に平行ではない場合に、前記複数の距離センサの各センサに関して、オフセット値を判定するよう、並びに
(iii)前記原点位置、前記プローブ信号が移動した前記距離及び前記オフセット値に基づいて、そのセンサに対する前記登録済の点を判定するよう、更に構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記少なくとも1つのプロセッサに前記標的領域の配向をもたらすよう構成されている標的領域配向センサを更に備える、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記少なくとも1つのプロセッサのナビゲーションプロセッサが、
(i)前記複数の登録済の点と前記標的領域の一式の術前画像とを関連付けるよう、及び
(ii)前記複数の登録済の点、前記一式の術前画像、及び手技の間に使用される手術用器具の位置センサにより提供される一式の器具データの前記関連付けに基づいて、前記手技の間の画像誘導手術ナビゲーションインタフェースを設けるよう、構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) 前記距離センサは、前記複数の登録済の点の前記位置が判定されると、前記標的位置から約10.16cm~50.8cm(約4インチ~20インチ)の距離で位置決めされ、かつ動作可能であるよう構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(10) 配向インジケータを更に備え、前記センサアレイ本体が前記標的領域に実質的に平行ではないときに、前記配向インジケータがユーザーに表示を提供するよう構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0079】
(11) 自動化アームを更に備え、前記自動化アームは、前記センサアレイ本体が前記標的領域に実質的に平行になるように、前記センサアレイ本体を配向するよう動作可能である、実施態様1に記載のシステム。
(12) 前記複数の距離センサが、少なくとも30個の個々のセンサを備え、前記複数の距離センサは、前記送信されたプローブ信号が、前記標的領域の実質的にすべてに衝突するように、前記センサアレイ本体上に位置決めされている、実施態様1に記載のシステム。
(13) そのプローブ信号が使用中に前記標的領域から外れる、前記複数の距離センサの任意のセンサの場合、前記少なくとも1つのプロセッサが、そのセンサからの近接データを無視するよう更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(14) 前記複数の登録済の点の前記三次元位置を判定するために使用したデータを収集するために、前記複数の距離センサが一旦、起動されるように構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(15) 登録プローブであって、
(a)ユーザーによって保持されるようになされている細長型本体であって、遠位先端部を備える、細長型本体と、
(b)前記遠位先端部に位置する標的センサであって、前記遠位先端部が患者の顔面に押し付けられる必要なしに、前記標的センサが、前記遠位先端部の前の前記患者の顔面の存在を検出するよう動作可能である、標的センサと、
(c)前記非接触式登録プローブの位置及び配向を提供するよう動作可能である位置センサと、
(d)少なくとも1つのプロセッサであって、
(i)前記標的センサを起動するよう、
(ii)前記標的センサからの信号に基づいて登録済の点として手技空間内の前記標的の前記三次元位置を判定するよう、及び
(iii)前記信号が前記標的センサから受信されたときに、前記登録プローブの前記位置及び配向を判定するよう、
構成されている、少なくとも1つのプロセッサと、
を備える、登録プローブ。
【0080】
(16) 前記遠位先端部が前記標的のキャプチャ距離内にあるとき、前記標的センサを起動させて前記登録済の点を判定させるよう構成されている近接トリガを更に備える、実施態様15に記載の登録プローブ。
(17) 前記標的センサが、容量センサ又は抵抗センサを含む、実施態様15に記載の登録プローブ。
(18) 前記標的センサが、光学センサを含む、実施態様15に記載の登録プローブ。
(19) 前記位置センサが、加速度計に基づくセンサ、磁気に基づくセンサ、及び無線ビーコンに基づくセンサからなる群から選択されるタイプを含む、実施態様15に記載の登録プローブ。
(20) 画像誘導手術ナビゲーションのための顔面の目印を登録する方法であって、
(a)センサアレイの複数の距離センサが、標的領域の方を向いてこれに実質的に平行となるよう前記センサアレイを位置決めすることであって、前記標的領域が患者の顔面領域である、ことと、
(b)前記センサアレイを起動して、前記標的領域内の標的点に衝突する前に、前記複数の距離センサの各々に由来するプローブ信号が移動した距離を表示する一式の前記距離をキャプチャすることと、
(c)三次元空間内の前記センサアレイの位置及び配向を判定することと、
(d)前記標的領域内の各標的点に関して、前記センサアレイの前記位置及び前記配向、並びに前記プローブ信号が移動した前記距離に基づいて、その標的点の前記三次元位置を判定することにより、一式の登録済の点を生成することと、
(e)前記一式の登録済の点と一式の術前画像とを関連付けることによりナビゲーションデータセットを生成することと、
(f)前記ナビゲーションデータセットに基づいた画像誘導手術ナビゲーションを実現することと、
を含む、方法。