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特許7271560繊維束にポリマーメルトを含浸させるための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】繊維束にポリマーメルトを含浸させるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/04 20060101AFI20230501BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20230501BHJP
   B29C 70/28 20060101ALI20230501BHJP
   B29B 15/10 20060101ALI20230501BHJP
   B29K 105/06 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
C08J5/04
B29C70/06
B29C70/28
B29B15/10
B29K105:06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020541855
(86)(22)【出願日】2018-10-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-17
(86)【国際出願番号】 EP2018077179
(87)【国際公開番号】W WO2019076653
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】17196681.5
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520132584
【氏名又は名称】フェッデム ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】FEDDEM GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Mosaikweg 19, 53489 Sinzig, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ディーター グロス
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン ヨスト
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/040122(WO,A1)
【文献】特開2006-167982(JP,A)
【文献】特開2005-305933(JP,A)
【文献】特開平08-118490(JP,A)
【文献】特開昭63-264326(JP,A)
【文献】特表2017-533994(JP,A)
【文献】特表2014-518784(JP,A)
【文献】特表2010-540296(JP,A)
【文献】米国特許第04883625(US,A)
【文献】国際公開第2016/071266(WO,A1)
【文献】国際公開第99/024251(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29B11/16
15/08-15/14
C08J5/04-5/10
5/24
B29C70/06
B29C70/28
B29K105/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストランド形状の繊維束(32)にポリマーメルトを含浸させるための装置であって、含浸ユニット(4)の間隙形状の走入部(27)内に互いに平行に導入された複数の繊維束(32)が、確定された間隔をもって互いに相補形状に配置された、波形の表面(22,23)を備えた2つのガイドプレート(16,17)の間に貫通案内され、かつ含浸ユニット(4)の走出部(28)を介して前記含浸ユニット(4)から進出させられ、前記繊維束(32)に、前記含浸ユニット(4)を通る該繊維束の貫通走行中に前記ポリマーメルトが十分に含浸させられ、該ポリマーメルトは、前記間隙形状の走入部(27)の下流側で、前記ガイドプレート(16,17)の間における貫通路(29)内に導入される、装置において、
前記含浸ユニット(4)は、前記繊維束(32)の走行方向に対して垂直な方向に隣接して互いに平行に配置された少なくとも2つの部分ユニット(11,12)から形成されており、前記部分ユニット(11,12)は、側部において互いに連結されており、かつ確定された数の繊維束(32)のためにそれぞれ1つの間隙形状の走入部(27)と走出部(28)とを含んでいて、前記貫通路(29)は前記ポリマーメルトのためのそれぞれ1つの入口(26)を有している
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記それぞれ1つの間隙形状の走入部(27)は、前記繊維束の走行方向において、減じられた間隙高さの領域(35)を有しており、該領域(35)は、移行部なしに前記ガイドプレート(16,17)の間におけるそれぞれの貫通路に接続しており、かつ前記ガイドプレート(16,17)の間における貫通路高さが、前記ポリマーメルトの入口の領域において、前記減じられた間隙高さの領域に対して増大させられている、
請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記減じられた間隙高さの領域は、前記繊維束に対する引張り力を高めることによって、前記貫通路(29)における前記繊維束の、該繊維束の走行方向からの変位を生ぜしめる、
請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記入口(26)は、前記ガイドプレート(16,17)の波の谷と山との間において前記ガイドプレート(16,17)の第1の波の山もしくは第1の波の谷の領域に位置している、
請求項2記載の装置。
【請求項5】
ポリマー出口(33)が、前記繊維束の走行方向への前記ポリマーメルトの変向を生ぜしめる前記ポリマー出口(33)の上流に通路狭窄部を有している、
請求項2記載の装置。
【請求項6】
それぞれの前記部分ユニット(11,12)はその走出部(28)に、前記ポリマーメルトが十分に含浸させられた前記繊維束の直径を較正するダイプレート(18)を含んでいる、
請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記部分ユニット(11,12)は、サイドパート(13,14)、フロントプレート(15)、および前記ガイドプレート(16,17)を有するメインパート(19)を備えて複数部分から形成されており、前記繊維束の前記走入部(27)は、前記フロントプレート(15)の上側と、上側の前記ガイドプレート(16)の前側領域との間に形成されている、
請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記フロントプレート(15)は、前記メインパート(19)にフランジ結合されており、かつ前記ポリマーメルトのそれぞれの前記入口(26)に通じるランナ(21)が、前記メインパート(19)の端面と前記フロントプレート(15)との間に形成されている、
請求項7記載の装置。
【請求項9】
前記ポリマーメルトを供給するための前記ランナ(21)は、分配領域(20)を有していて、該分配領域(20)において前記ポリマーメルトは、前記含浸ユニット(4)または前記部分ユニット(11,12)の全幅にわたって延びるメルトリボンへと広げられ、該メルトリボンは、前記ガイドプレート(16,17)の間における前記入口(26)に供給される、
請求項8記載の装置。
【請求項10】
それぞれの前記部分ユニット(11,12)を通して案内される前記繊維束の数は、3~70である、
請求項1記載の装置。
【請求項11】
繊維束にポリマーメルトを含浸させるための方法であって、扇状に広げられた繊維束(32)を、含浸ユニット(4)の、互いに間隔をおいて配置された、波形の表面を備えた2つのガイドプレート(16,17)を通して貫通案内し、前記ポリマーメルトを、前記ガイドプレート(16,17)の走入領域内に導入し、かつ前記繊維束に、該繊維束の貫通走行時に、前記含浸ユニット(4)によって前記ポリマーメルトを十分に含浸させる、方法において、
前記繊維束を、前記含浸ユニット(4)内への該繊維束の走入前に、少なくとも2つの繊維束グループに分割し、該繊維束グループをそれぞれ、前記含浸ユニット(4)の部分ユニット(11,12)内に導入し、かつ前記繊維束グループのそれぞれに、前記部分ユニット(11,12)に別個に供給された前記ポリマーメルトを十分に含浸させる
ことを特徴とする、方法。
【請求項12】
個々の繊維グループ束の前記繊維束の引張りテンションおよび貫通走行速度、および/またはそれぞれの前記部分ユニット(11,12)のための前記ポリマーメルトの温度および圧力が、別個に制御可能であり、かつ調整可能である、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記部分ユニット(11,12)に、種々様々な材料のポリマーメルトを供給する、
請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記含浸ユニット(4)の前記ガイドプレート(16,17)は可動である、
請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記ガイドプレート(16,17)のうちの少なくとも1つのガイドプレートに、振動運動を加える、
請求項14記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部に記載された、繊維束にポリマーメルトを含浸させるための装置、および請求項12の前提部に記載された方法に関する。
【0002】
多くの工業分野において、プラスチック材料が使用され、これらのプラスチック材料は、軽量構造要素および他の成形部材のために使用され、これらの軽量構造要素および成形部材には、重量低減のためと同時に高い強度のために、ガラスまたはカーボン製の繊維材料が添加されている。このような材料は、特に自動車工業および飛行機構造において様々に使用される。
【0003】
管、ケーブル、ホースなどのような長く延びた構造材料を補強するためには、長く延びた繊維材料も使用され、これらの繊維材料は、プラスチック内に埋め込まれていて、かつ構造材料に特に長手方向強度を与える。既にプラスチック内における僅かな繊維配分によって、かなりの強度上昇が得られる。
【0004】
繊維強化されたプラスチック部材の製造は、通常、繊維が添加されたプラスチック顆粒/プラスチックペレットまたはプラスチックリボン/プラスチックテープが供給される、射出成形設備、押出しプレス設備、深絞り設備、または押出し成形設備を介して行われる。
【0005】
このような目的のために製造された顆粒またはリボンは、通常、次のようにして製造される。すなわちこの場合貯蔵部から引き出されたエンドレス繊維が、いわゆるロービングの形態で、ガラス、カーボン、または例えばアラミドのような他の材料から成る極細繊維の束として、まずテンショニング装置を介して広げられ、次いでエンドレス繊維にプラスチックメルトを含浸させられ、その後でエンドレス繊維は較正され、かつ冷却され、かつ最後に3~50mmの長さの顆粒に分断されるか、またはエンドレステープとして巻き取られる。これらの顆粒またはテープは、次いで、これらの出発材料から種々様々な形式の構造要素を製造するプラスチック処理機に供給される。
【0006】
プロセス経過における1つの臨界的なステップは、繊維束へのプラスチックの含浸である。広げられた繊維束をテンション下で、対応する波形の表面を有する2つのガイドプレートの間における貫通路を通して案内することが公知であり、このとき繊維束には、貫通路入口において、上側および下側から供給されるポリマーメルトが浸透させられる。ガイドプレートの間におけるさらなる貫通走行中に、ガイドプレートの波における繊維束の複数回の変向および接触に基づいて、ポリマーメルトの浸透が改善される。
【0007】
欧州特許第2701886号明細書に基づいて公知の、繊維ロービングにポリマー樹脂を含浸させるための相応の工具では、貫通させるための供給通路は、ガイドプレートの間における貫通の際におけるポリマーメルトの均等な供給を達成するために、横断面の特殊な構成を有している。
【0008】
欧州特許第2517854号明細書は、貫通路内へのポリマーメルトの進入場所に関与する、工具の部分態様に関する。そこに記載された含浸ユニットでは、ガイドプレートの間における貫通路内への繊維束のための入口は、ロービングが貫通路内への進入前に持ち上げられ、ポリマーメルトの出口とリボン形状のロービングとの間における間隙が最小になるように構成されている。これによって上側から供給されたポリマーメルトは、供給通路からのその進出時に、直接ロービングに衝突し、かつロービングに直接浸透する。
【0009】
米国特許第5277566号明細書に記載された含浸工具では、ポリマーメルトは、第1の波の谷において下側のガイドプレートに供給される。ロービングは、この箇所において貫通路の中央の領域において走行する。
【0010】
含浸ユニットの全幅にわたるプラスチックメルトの均等な供給は、臨界的である。特に同時に加工すべき繊維束が多数ある場合には、メルトの圧力状態、温度および流速度を貫通路にわたって、もしくは貫通路内へのメルトのための入口領域の全幅にわたって、十分正確に調節すること、または制御することは、困難を伴ってしか可能でない。
【0011】
ゆえに本発明の根底を成す課題は、繊維束にポリマーメルトを含浸させるための改善された装置であって、繊維束の浸透の均一性が改善されていて、装置を種々様々な需要に簡単に適合させることができ、かつまた1つの設備構成によって種々様々なプラスチック材料を処理することもできる、装置を提供することである。
【0012】
この課題は、独立請求項に記載された発明によって解決される。本発明の好適な発展形態は、従属請求項に記載されている。
【0013】
本発明は、繊維束にポリマーメルトを含浸させるための装置から出発しており、この装置では、含浸ユニットの間隙形状の走入部内に互いに平行に導入された繊維束が、確定された間隔をもって互いに相補形状に配置された、波形の表面を備えた2つのガイドプレートの間に貫通案内される。繊維束には、含浸ユニットを通る該繊維束の貫通走行中にポリマーメルトが十分に含浸させられ、該ポリマーメルトは、間隙形状の走入部の下流側で、ガイドプレートの間における貫通路内に導入される。
【0014】
本発明によれば、含浸ユニットは、それぞれ確定された数の繊維束のために少なくとも2つの貫通路を有しており、このとき貫通路は、ポリマーメルトのためにそれぞれ1つの入口を有している。
【0015】
本発明の好適な構成では、したがって含浸ユニットは、互いに平行に配置された少なくとも2つの部分ユニットから形成されており、これらの部分ユニットは、側部において互いに連結されていてよく、かつポリマーメルトのためのそれぞれ1つの入口を有しており、このとき部分ユニットは、確定された数の繊維束のためにそれぞれ1つの間隙形状の走入部と走出部とを含んでいる。
【0016】
可能な限り大きな含浸ユニットの代わりに、本発明は、逆の方法を採用しており、すなわちこの場合本発明は、含浸ユニットを、ポリマーメルトが互いに別個に供給される比較的小さなユニットに分割している。これによって、装置を種々様々な需要にフレキシブルに適合させることができるという利点が得られ、このとき同時に、装置のパラメータの完全なコントロールが保証されたままである。
【0017】
この分割はまた、設備においてそれぞれの部分ユニットで、種々様々なパラメータを、例えば種々様々なプラスチック材料または充填率で、使用することをも可能にする。
【0018】
設備の性能を僅かしか使用しない場合には、1つの部分ユニットを不作動にすること、またはそれどころか取り外すことも問題なく可能である。逆に需要が比較的大きな場合には、そのために追加的なユニットを接続することが可能である。これによって設備の高いフレキシビリティが得られ、かつエネルギおよびコストをも節約することができる。
【0019】
含浸ユニットのさらなる改善のために本発明は、好ましくは、繊維束のための走入部に、減じられた間隙高さの領域を設けることを提案しており、この領域は、繊維束を含浸ユニットの貫通路内への進入前に変向させ、高められた引張り力を、含浸ユニットを通って走行する繊維束に加えることができるようになっている。
【0020】
ガイドプレートの間における貫通路内へのポリマーメルトの入口は、本発明の好適な構成では、ガイドプレートの波の谷と山との間に位置しており、このときガイドプレートの間における貫通路高さは、ポリマーメルトの入口領域において最大にされている。これによって、供給されたメルトの改善された温度制御を、繊維束への、改善されかつ確定された浸透と含浸とを伴って得ることができる。さらにメルトのポリマー入口における先細り部を介して、含浸ゾーンをより良好に満たすために役立つ下流に向かう方向が得られる。
【0021】
含浸ユニットの部分ユニットは、特に、ガイドプレートを含むメインユニット、サイドパート、フロントプレート、および下流側のダイプレートから形成されている。繊維束の走入部は、好ましくはフロントプレートの上側と上側のガイドプレートの前側の付加部との間に位置している。複数の部分ユニットが互いに直接連結されている場合には、2つの部分ユニットの間にそれぞれ単に1つのサイドパートだけが必要であるか、または部分ユニットを、別の構成では直接、共通のサイドパートなしに互いに連結することもできる。
【0022】
ポリマーメルトを供給するためのそれぞれの供給通路は、メインパートの端面とフロントプレートとの間に位置している。ここではポリマーメルトを分配するための分配領域も、1つの部分ユニットの全幅にわたって形成されている。したがって部分ユニットの形成は、ポリマーメルトの分配をも大幅に簡単化する。
【0023】
好ましくは、それぞれの部分ユニットは、3~70、好ましくは10~30の数の繊維束を処理することができる。
【0024】
本発明に係る方法は、好ましくは、繊維束を、含浸ユニット内への該繊維束の走入前に、少なくとも2つまたはそれ以上の繊維束グループに分割し、該繊維束グループを互いに別個に、それぞれ1つの部分ユニット内に導入することを提案している。
【0025】
それぞれの部分ユニット内において、引張りテンション、貫通走行速度、温度、および圧力を、必要な場合に可変に調節または調整することができる。
【0026】
部分ユニットには、種々様々な材料のポリマーメルトをも供給することができる。
【0027】
最後に、ガイドプレートには、繊維へのポリマーメルトの浸透をさらに改善するために、振動運動、特に低周波数の正弦波の運動をも加えることができる。
【0028】
次に1実施例を参照しながら本発明を詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】繊維材料に添加されるプラスチック顆粒を製造するための設備を示す側面概観図である。
図2図1に示された設備を上から見て示す図である。
図3】2つの部分ユニットから成る含浸ユニットを示す図である。
図4】1つの部分ユニットの個々の部分を示す分解図である。
図5】1つの部分ユニットのフロントプレートを示す正面図である。
図6】1つの部分ユニットを示す断面図である。
図7】メインパートを示す正面図である。
図8】ガイドプレートの配置形態を示す図である。
図9】ガイドプレートの間における貫通路内への、ポリマーメルトのための入口を示す詳細図である。
【0030】
本発明に係る装置は、種々様々な形式の繊維束にポリマー材料を含浸させることができる。繊維というのは、ガラス繊維、カーボン繊維、細いワイヤ、繊維糸、アラミド繊維、またはこれに類した製品のような、高い長手方向強度を有するそれぞれの形式の繊維であると理解すべきである。含浸のために適したポリマー材料としては、繊維材料を被覆および含浸させるのに適した、特にPA、PP、PE、および他の熱可塑性プラスチックを挙げることができる。しかしながら熱可塑性プラスチックは、繊維材料と結合しにくいので、含浸ユニットにおける繊維材料への強力な浸透が必要である。
【0031】
ロービングというのは、多数の上に述べた繊維を1本のストランドに束ねたものであり、これがここでは実質的に繊維束と呼ばれる。1本のストランドにおける繊維の数は、数千になることがあり、かつロービングは、数キロメートルの長さを有することがある。ロービングは、通常、ローラに巻き取られている。
【0032】
ロービングの含浸および被覆の後で、生ぜしめられたストランドは短い部分に裁断され、かつ顆粒としてプラスチックプロセッサにさらなる処理のために供給される。プラスチックプロセッサは、顆粒から、管およびその他の成形品のような、高強度でかつ軽い製品を製造することができる。テープ製造の場合、含浸されたロービングは、エンドレステープとして巻き取られる。
【0033】
図1には、顆粒を製造するための設備が側面図で示されている。クリールラック1は、架台に多数の繰出し可能な繊維束を含んでおり、これらの繊維束は、ほぼコード状にクリールラック1のローラに巻き取られていて、かつコントロールされてそこから繰り出すことができる。次いで個々の繊維束は、テンショニングユニット3内に導入され、このテンショニングユニット3において繊維束は、互いに並んで平行に配置され、かつそれぞれ拡張(aufspannen)によって広げられる。
【0034】
テンショニングユニットから繊維束は、含浸ユニット4内に移送され、この含浸ユニット4において繊維束には、ポリマーメルトが浸透させられる。後続の水槽区間5において、繊維とポリマーとから成る複合体は冷却され、かつ水槽区間の終端部において成形ローラ6を介して円筒形状に成形される。次いでテープ引出し装置7が設けられており、このテープ引出し装置7によって、設備内における繊維・ポリマー複合体の長手方向テンションを維持することができる。次に繊維・ポリマー複合体は、造粒機8に供給され、かつペレット/顆粒に裁断される。
【0035】
図2には、図1に示された設備が平面図で示されている。クリールラックは、互いに角度を成して配置された2つの部分クリールラック9,10から形成されており、両部分クリールラック9,10は、それぞれ複数のスプールを収容している。これらのスプールから引き出された繊維束は、プリテンショニングユニット3内に走入し、このプリテンショニングユニット3において繊維束は、拡張されかつ予加熱され、かつ次いで、互いに平行に配置された2つの部分ユニットから形成されている含浸ユニット4に供給される。
【0036】
含浸ユニットには、押出し機2が対応配置されており、この押出し機2は、繊維束を含浸するためのポリマーメルト(溶融ポリマー)を提供する。繊維束グループは、さらなるプロセスにおいて互いに平行に処理されるが、しかしながら必要な場合には種々様々なさらなるプロセスステップを通過することも可能である。
【0037】
図3には、2つの部分ユニット11,12から成っている含浸ユニット4が示されている。両部分ユニットは、互いに同じ形式で構成されていて、かつそれぞれ1つの繊維束グループを処理することができる。含浸ユニット4は、2つよりも多くの部分ユニットから成っていてもよい。したがってそれぞれ加工することができる繊維束の数が20の場合、3つの部分ユニットでは60の繊維束を同時に加工することができる。部分ユニットは、好ましくは螺合部25を介して互いにフランジ結合されている。しかしながらまたこれらの部分ユニットは、互いに無関係に独立していてもよい。
【0038】
図4には、分解された部分ユニットが示されている。この部分ユニットは、メインパート19から成っていて、このメインパート19は、上側に下側のガイドプレート17を保持している。メインパート19は、サイドパート13,14によって横方向において画定されている。繊維の走行方向に見てメインパート19の端面には、フロントプレート15が位置しており、かつメインパート19の上側には、上側のガイドプレート16が配置されている。背側の端部には、ダイプレート18が固定されている。
【0039】
上側のガイドプレート16と下側のガイドプレート17とは、相互の間に0.5~8mmの小さな間隔を有していて、繊維束を貫通案内させる貫通路を形成している。ガイドプレート16,17の表面には、互いに相補形状を成して波形の表面22,23が設けられている。メインパート19の端面には、ランナ21の一方の半部を見ることができ、ランナ21の他方の半部(図示せず)は、フロントプレート15の背側に形成されている。ランナ21は、上方に向かって分配領域20内に開口しており、この分配領域20において供給されたポリマーメルトは、幅方向に分配され、かつこれによってメインパート19の前側の全幅にわたって延伸する。
【0040】
図5には、サイドパート13,14を備えたフロントプレート15が端面図で示されている。この図は特に、繊維束が含浸ユニット内に導入される走入部27を示す。
【0041】
図6には、メインパート19、フロントプレート15、上側のガイドプレート16、下側のガイドプレート17、および上側のガイドプレート16と下側のガイドプレート17との間における貫通路29を備えた部分ユニットが、断面図で示されている。走入部27を介して繊維束は、含浸ユニット内に導入され、長手方向テンション下で貫通路29を貫いて走行し、この走行は、繊維束が走出部28を介して貫通路29から進出し、かつ次いで接続するダイプレート18によって較正されて含浸ユニットから進出するまで続く。ポリマーメルトの供給は、下側から、押出し機に接続されているランナ21を介して行われる。
【0042】
図7には、メインパート19の端面における分配領域20が再度示されており、このとき分配領域20は、複数の分配ランド(Verteilungssteg)と変向部とを含んでおり、これらの分配ランドおよび変向部は、ポリマーメルトを部分ユニットの全幅にわたって均等に分配するために役立つ。
【0043】
図8には、ガイドプレート16,17相互の配置形態が拡大図で示されている。両プレートの配置形態は、0.5~8mmの貫通路29を確定しており、この貫通路29を通して繊維束32は、走入部27から走出部28に至るまで貫通引出しされる。繊維束に加えられる長手方向テンションに基づいて、繊維束は、貫通路を通る貫通走行中に一連の箇所において、波形に成形されたガイドプレート16,17のそれぞれの山の先端に接触し、かつこれによって改善されて繊維束にポリマーメルトが浸透させられる。加熱装置30を介して、繊維束の貫通走行時におけるメルト(溶融材料)の必要な塑性は維持される。
【0044】
ポリマーメルトは、部分ユニットの全幅にわたって延在するメルト通路34を介して、ポリマー出口33において貫通路29に供給され、かつそこで繊維束32に浸透する。
【0045】
図9には、ポリマーメルトが入口26において貫通路29内に進入する領域が、さらに拡大されて示されている。ポリマー出口33は、谷と山との間における波形の貫通路29の下降する通路部分に位置していて、かつ繊維束の走行方向において屈曲しているので、その結果メルトの変向角は、貫通路29への進入時に最小になっている。進出箇所の熱制御を改善するために、貫通路29はこの領域において幾分拡大されていて、これによってこの箇所において比較的大量のメルトを集中させることができる。さらにメルトのポリマー入口におけるメルト通路の先細り部を介して、含浸ゾーンをより良好に満たすために役立つ下流に向かう流れ方向が得られる。
【0046】
別の構成において、ポリマーメルトの圧力を変化させることができるようにするために、メルト通路を、調節可能なレール状の絞り箇所36を介して狭窄する、または拡大することができる。
【0047】
貫通路29内への入口26が、谷と山との間における後続の上昇する通路部分へとさらに移動させられると、貫通路29内へのメルトの進入部の比較的フラットな角度をさらに得ることができる。図9における図示とは択一的に、ガイドプレート16,17の波形は、鉛直方向に対して鏡像的に形成されていてもよく、このように構成されていると、貫通路29内への入口26は、既に谷と山との間における、繊維束の走行方向において第1の(上昇する)通路部分に位置することになる。
【0048】
走入面24に接続する減じられた貫通路高さと、波形の貫通路29の開始部における後続の円弧形状31とを備えたテンショニング領域35によって、含浸装置内において繊維束に対して必要なテンションをさらに高めることができる。
【0049】
繊維束を通過するポリマーメルトの浸透のさらなる改善を達成するために、含浸装置は、ガイドプレートのうちの少なくとも1つのガイドプレートを僅かに振動運動させるための装置をも含んでいてよい。
【符号の説明】
【0050】
1 クリールラック
2 押出し機
3 プリテンショニングユニット
4 含浸ユニット
5 水槽
6 成形ローラ
7 テープ引出し装置
8 造粒機
9 部分クリールラック
10 部分クリールラック
11 部分ユニット
12 部分ユニット
13 サイドプレート
14 サイドプレート
15 フロントプレート
16 上側のガイドプレート
17 下側のガイドプレート
18 ダイプレート
19 メインパート
20 分配領域
21 ランナ
22 上側の表面
23 下側の表面
24 走入面
25 螺合部
26 入口
27 走入部
28 走出部
29 貫通路
30 加熱装置
31 円弧部
32 繊維束
33 ポリマー出口
34 メルト通路
35 テンショニング領域
36 絞り箇所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9