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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】自転車のサスペンション用減衰装置
(51)【国際特許分類】
   B62K 25/08 20060101AFI20230501BHJP
   F16F 9/18 20060101ALI20230501BHJP
   F16F 9/32 20060101ALI20230501BHJP
   F16F 9/34 20060101ALI20230501BHJP
   F16F 9/46 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B62K25/08 B
F16F9/18
F16F9/32 N
F16F9/34
F16F9/46
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020562709
(86)(22)【出願日】2019-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 IB2019053236
(87)【国際公開番号】W WO2019215525
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-01-17
(31)【優先権主張番号】102018000005099
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519150544
【氏名又は名称】ハイライド サスペンション エス アール エル
【氏名又は名称原語表記】HiRide Suspension S.r.l.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】ドメニコ ボルゲーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ファビオ ノーチェ
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-7408(JP,A)
【文献】特開2002-308172(JP,A)
【文献】特開2012-107696(JP,A)
【文献】特開2014-208510(JP,A)
【文献】特開平6-234386(JP,A)
【文献】特開平8-233018(JP,A)
【文献】実開昭60-189651(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2011/0187076(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62K 25/00- 27/16
F16F 9/00- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の管状物体(2)であり、前記第1の管状物体(2)の内部が第1のチャンバ(4)を画定する、第1の管状物体(2)と、
前記第1の管状物体(2)に対して軸線方向に摺動可能な第2の管状物体(3)であり、前記第2の管状物体(3)の内部が前記第1のチャンバ(4)に流体連通する第2のチャンバ(5)を画定する、第2の管状物体(3)と、
前記第2のチャンバ(5)の内部に配置され、前記第2のチャンバ(5)に対して一体での第3の管状物体(8)であり、前記第3の管状物体(8)の内部が前記第2のチャンバ(5)に流体連通する第3のチャンバ(9)を画定する、第3の管状物体(3)と、
前記第1の管状物体(2)に対して一体の中空ステム(10)であり、前記中空ステム(10)の内部が前記第3のチャンバ(9)と前記第1のチャンバ(4)との間の流体連通を確立する貫通キャビティ(11)を画定する、中空ステム(10)と、
前記第2のチャンバ(5)と前記第3のチャンバ(9)との間に動作可能に配置される第1の静止弁(12)と、
前記ステム(10)に一体に接続され、前記第3のチャンバ(9)と前記ステム(10)の前記貫通キャビティ(11)との間に動作可能に配置される第2の静止弁(14)と、
前記第1のチャンバ(4)の内部で前記第1の管状物体(2)に接続され、前記ステム(10)の前記貫通キャビティ(11)と前記第1のチャンバ(4)との間に動作可能に配置される動的弁(15)と、
を備える、自転車のサスペンション(100)用減衰装置(1)であり、
前記動的弁(15)が、流体が通過する1つ以上の開口部を有する静止体(22)と、前記1つ以上の開口部の自由断面を変更するために前記静止体(22)に対して移動可能であり回転アクチュエータ(25)によって移動されるシャッタ(24)とを含み、
前記静止体(22)が中空体(26)を含み、前記中空体(26)の内部は流体再循環チャンバ(27)の境界を定め、1つ以上の第1流体入口/出口開口部と、1つ以上の第2流体入口/出口開口部とを更に含み、
前記中空体(26)は、第1中央開口部(29)と前記第1中央開口部(29)の周りに周方向に配置される複数の第2開口部(30)とを有する底壁(28)を含み、
前記底壁(28)の前記第1中央開口部(29)は、前記ステム(10)の前記貫通キャビティ(11)と流体連通し、前記底壁(28)の前記第2開口部(30)は、前記第1のチャンバ(4)と流体連通する、減衰装置(1)。
【請求項2】
前記シャッタ(24)は、前記中空体(26)の前記底壁(28)に配置され隆起部(32)を含むプレート(31)を備え、前記隆起部(32)は、前記中空体(26)の前記底壁(28)の前記第1中央開口部(29)に配置され、前記底壁(28)により補助チャンバ(33)の境界を定め、
前記プレート(31)は、前記プレート(31)の回転によって、前記静止体(22)の前記底壁(28)の前記第2開口部(30)を選択的に塞ぐように成形される、請求項1に記載の減衰装置(1)。
【請求項3】
前記プレート(31)の前記隆起部(32)は、前記補助チャンバ(33)と前記流体再循環チャンバ(27)との間の流体連通を形成する複数の貫通開口部(35)を含む、請求項2に記載の減衰装置(1)。
【請求項4】
前記プレート(31)は、前記回転アクチュエータ(25)のシャフト(38)を接続する軸線方向突起部(37)を含む、請求項2又は3に記載の減衰装置(1)。
【請求項5】
前記第1の管状物体(2)は前記回転アクチュエータ(25)を受けるハウジング(39)を含み、前記ハウジング(39)は前記第1のチャンバ(4)に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載の減衰装置(1)。
【請求項6】
前記動的弁(15)は前記ハウジング(39)に一体的に接続される、請求項5に記載の減衰装置(1)。
【請求項7】
前記ハウジング(39)は底壁(40)を含み、前記回転アクチュエータ(25)のシャフト(38)が前記底壁(40)を通り、
前記ハウジング(39)の前記底壁(40)が、中空体(26)の前記底壁(28)とともに、前記動的弁(15)の前記流体再循環チャンバ(27)の境界を定める、請求項5又は6に記載の減衰装置(1)。
【請求項8】
前記回転アクチュエータ(25)が、直流モータを備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の減衰装置(1)。
【請求項9】
前記第1のチャンバ(3)及び前記第2のチャンバ(5)が互いに連続し、一緒に単一のチャンバを形成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の減衰装置(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の減衰装置(1)を備える自転車用サスペンション(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、自転車のサスペンション、特にマウンテンバイクのような自転車のフロントサスペンションのための減衰装置である。
【背景技術】
【0002】
サスペンション自体、特にそのダンパの減衰作用を調整することが可能なサスペンションが知られている。特に、サスペンション自体の油の再循環に影響を与えるソレノイド弁によって減衰作用が調整されるサスペンションが知られている。電磁弁は磁気誘導装置であり、電流が流れるソレノイドが鉄鋼要素を移動させ、この移動が軸方向要素の長手方向変位を決定し、これが油路開口を開口し、閉鎖し、または部分的に開閉させる。このチョッキング作用は、サスペンションが実行する減衰作用を変更する。
【0003】
しかしながら、ソレノイド弁は、特にサスペンション自体の全体サイズに影響を及ぼすソレノイド弁のサイズのために、自転車のサスペンションに取り付けられるように適合されていない装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、ソレノイド型弁を用いずに減衰作用を変更することができ、その結果、減衰装置を備えたサスペンションを小型化することができる、従来技術の装置に代わる自転車用減衰装置を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的および他の目的は、請求項1に記載の自転車サスペンション用減衰装置によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態による減衰装置を備えたサスペンションの長手方向断面図である。
図2図1のサスペンションの弾性装置の長手方向断面図である。
図3】本発明の一実施形態による減衰装置の長手方向断面図である。
図4図3の減衰装置の詳細の長手方向断面図である。
図5a】本発明の一実施形態による減衰装置の斜視図である。
図5b図5aの静止弁の詳細の斜視図である。
図5c】第1の動作状態における図5aの静止弁の、一対の第1の導管17及び一対の第2の導管18をそれぞれ横切る2つの異なる平面による2つの断面図を示す図である。
図5d】第2の動作状態にある図5aの静止弁の、図5bの同じ2つの平面による2つの断面図を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による減衰装置の動的弁の平面断面図である。
図7図3の減衰装置の詳細の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明をより十分に理解し、利点をより十分に認識するために、そのいくつかの例示的で非限定的な実施形態を、添付の図面を参照して以下に説明する。
【0008】
なお、本明細書では「アップサイドダウン」フォークタイプのマウンテンバイクのフロントサスペンションを例示する方法でのみ言及している。しかしながら、本発明は当業者に明らかなように、異なるタイプのサスペンション、例えば、標準フォーク、言い換えれば、「アップサイドダウン」タイプではないサスペンションに適用することもできる。
【0009】
添付の図1を参照すると、自転車サスペンションが符号100で示されている。サスペンション100は、前述した記載に従い、例えば、アップサイドダウンフォークタイプのマウンテンバイクのフロントサスペンションであり得る。
【0010】
サスペンション100は、弾性装置200と減衰装置1とを備える。弾性装置200は実質的に弾性的に、地面から自転車の車輪に伝達されるエネルギーを減衰させ、貯蔵する機能を果たす一方、減衰装置1はそのようなエネルギーを部分的に消散させる機能を有する。図1の例示的な実施形態によれば、減衰装置1および弾性装置200は、互いに分離され、サスペンション100自体の2つの別個のステムを実装する。図示されていない更なる可能な変形例によれば、そのような複数装置は代替的に、単一の装置を形成するために接合されてもよい。図1に示す実施形態では、弾性装置200と減衰装置1とはサスペンション100の中心要素101によって互いに接合されており、中心要素101は例えば自転車のステアリングに接続することができる。中央要素101に対して反対側では、弾性装置200及び減衰装置1を自転車車輪のハブに接続することができ、その結果、弾性装置200及び減衰装置1は自転車車輪のハブに対して並列に動作可能に作用する。
【0011】
次に、図2を参照すると、一般に、弾性装置200は、外部管状物体201と、外部管状物体に対して軸線方向に摺動する内部管状物体202とを備える。例えば、外部管状物体201はサスペンションの前に挙げた中央要素101に一体的に接続することができる一方、内部管状物体202は自転車輪のハブに接続することができる。または、内部管状物体202はサスペンションの前に挙げた中央要素101に一体的に接続することができる一方、外部管状物体201は自転車輪のハブに接続することができる。例えばコイルバネ203のような弾性手段は外部管状部材201と内部本体202との間で動作し、その相対運動は、地面の粗さによって生じる自転車車輪の垂直運動によってもたらされる。可能な実施形態によれば、弾性装置200は例えば、外部管状物体201と一体のスペーサ204を含み、コイルバネ203はスペーサ204自体と内部管状物体202の底部との間で動作することができる。有利には、バネ203の前負荷を変更するために、例えば外部管状物体201においてねじ込み可能なフェルール205に作用することによって、スペーサ204を、外部管状物体201の内側で軸線方向に移動させることができる。また、内部筒状物体202と外部筒状物体201との相対的な螺合解除を防止する手段 206が設けられている。螺合解除を防止する手段206は例えば、ねじ抜きパッド207と、ストッパ当接部207のための補助バネとを含む。
【0012】
次に図3を参照すると、減衰装置1は、第1の管状物体2と、第1の管状物体2に対して軸線方向に摺動する第2の管状物体3とを備える。例えば、図3によれば、第2の管状体3は、第1の管状体2の内側を摺動することができるが、代替として、反対の配置を設けることができる(第1の管状体2の外側を摺動することができる)。第1の管状物体2は、例えばサスペンションの前に挙げた中央要素101によって、自転車フレーム、特に自転車フレームのステアリングに一体的に接続されるように適合される一方、第2の管状物体3は、自転車ホイール、例えば自転車ホイールのハブに接続されるようになっている。
【0013】
第1の管状物体2の内部は第1のチャンバ4を画定し、第2の管状物体3の内部は第2のチャンバ5を画定する。第1のチャンバ4および第2のチャンバ5は好ましくは互いに連続しており、言い換えると、別個ではなく互いに分離されておらず、全体として単一のチャンバを形成している。例えば、図3に示す実施形態によれば、第2の管状物体3は、第1の管状体2の第1のチャンバ4内を摺動する。好ましくは、第1の管状物体2がその自由端50で(換言すれば、図示の実施形態に言及すると、減衰装置の通常の使用条件に関して上端である自転車ステアリングに接続されることになっている端部で)第1のプラグ6によって閉鎖され、第2の管状物体3はその自由端51(第1の管状物体2の自由端50とは反対側、換言すれば、減衰装置1の通常の使用条件に関して下側位置で自転車車輪のハブに接続されることになっている端部)で第2のプラグ7によって閉鎖される。
【0014】
減衰装置1は、第2のチャンバ5内に配置され、第2の管状物体2の半径方向寸法よりも小さい半径方向寸法を有する、第3の管状物体8を備え、その結果、第3の管状物体8において、第2のチャンバ5は環状形状を有する。第3の管状物体8は第2の管状物体2と一体であり、第3の管状物体8の内部は、第2のチャンバ5と流体連通する第3のチャンバ9を画定する。具体的には、第3の管状物体8が、第2の管状物体3の端部51から第2のチャンバ5内に軸線方向に延びている。
【0015】
減衰装置1は第1の管状物体2自体と一体の中空ステム10を含み、中空ステム10の内部は貫通チャンバ11を画定する。中空ステム10は、第1の管状物体2の自由端50から又は自由端50の近傍で、中空ステム10の第1の自由端52が第3のチャンバ9に入るまで、第1のチャンバ4および第2のチャンバ5を通って軸線方向に展開する。ステム10のキャビティ11は、第3のチャンバ9と第1のチャンバ4との間の流体連通を確立する。したがって、第1のチャンバ4、第2のチャンバ5、第3のチャンバ9およびキャビティ11は、例えば油などの流体が流れることができる閉じた油圧回路を形成している。
【0016】
前記流体が所定の方向に従って流れることを可能にし、また、減衰装置1による調節可能な減衰作用を確実に可能にするために、適切な弁が設けられる。これらのバルブのいくつかは調整不可能である(これらのバルブは「静止」弁と呼ばれる)一方、他のバルブは調整可能である(これらのバルブは「動的」弁と呼ばれる)。
【0017】
特に、減衰装置1は、第2のチャンバ5と第3のチャンバ9との間に動作可能に配置される第1の静止弁12を備える。第1の静止弁12は例えば、第3のチャンバ9内に、第3の管状物体8と一体に、第2の管状物体3の自由端51の近傍に配置することができる。第3のチャンバ9と第2のチャンバ5との間の流体連通を確立する通路開口13は、第3の管状物体8に形成されることが有利である。
【0018】
さらに、減衰装置1は、中空ステム10に、好ましくは中空ステム10の自由端52に、一体的に接続され、したがって第3のチャンバ9の内側に配置される第2の静止弁14を備える。第2の静止弁14は、第3のチャンバ9とステム10のキャビティ11との間に動作可能に配置されている。
【0019】
さらに、減衰装置1は、第1の管状物体2と一体であり、第1のチャンバ4の内側に配置される動的調節可能な弁15を備える。動的弁15は、ステム10のキャビティ11と第1のチャンバ4との間に動作可能に配置され、それらの間の流体の流れを調節する機能を有する。
【0020】
減衰装置1の作動中における流体の流れの方向、特に油の流れの方向について、図3および図4を参照して説明する。
【0021】
減衰装置1が圧縮されるときに、第2の管状物体3は第1のチャンバ4の内側で第1の管状体2に対して前進する傾向があり、その結果、中空ステム10は、第3のチャンバ9の内側で前進する傾向がある。このような状況では、第3のチャンバ9に収容された流体が、第2の静止弁14、中空ステム10のキャビティ11を通って、動的弁15に入るまで流れる。流体は、動的弁15から、第1のチャンバ4に出て、第2のチャンバ5内を流れ続け、第1の静止弁12に入り、次いで、再び第3のチャンバ9に入る。逆に、減衰装置1が伸びると、第2の管状物体3は第1の管状体2に対して第1のチャンバ4から出る傾向があり、流体の流れは上述の方向とは反対の方向を有する。第1の静的弁12および第2の静的弁14内、さらには動的弁15内の通路は、制動装置1によってもたらされる減衰作用の主な原因である流れ抵抗を生成する。
【0022】
第1の静止弁12および第2の静止弁14は、互いに同一であることが好ましい。両方とも、第3のチャンバ9内に配置され、したがって、同じ半径方向寸法を有することができる。図5aおよび図5bを参照して、それらの可能な配置を説明する。静止弁12および14は、第1のグループの導管17および第2のグループの導管18を備える弁本体16を備える。加えて、弁は弁本体16側で、第1のグループの導管17の導管を閉じるが、第2のグループの導管19の導管は閉じないように適合されるプレート19を備える。弾性手段、例えばバネ20は、第1のグループの導管17の導管の閉鎖位置にプレート19を付勢する。さらに、弁は、バルブ本体16におけるプレート19が配置されている側とは反対側で、第2のグループの導管18の導管を閉じるが、第1のグループの導管17の導管を閉じない積層アセンブリ21を備える。プレート19の側では、第1グループの導管17の導管は軸線方向に突出しているので、プレート19は導管に当接し、導管を閉じ、同時に第2グループの導管18の導管を開いたままにする。同様に、反対側では、第2のグループの導管18の導管は軸線方向に突出しており、その結果、積層アセンブリ21は、導管を閉じるために導管に当接し、第1のグループの導管17の導管は開いたままにする。その結果、バネ20-プレート19のシステムは第1グループの導管17の導管に対する逆止弁を形成し、一方、積層アセンブリ21は、第2グループの導管18の導管に対する逆止弁を実現する。実際、図5の弁の方位を参照すると、流体が下部から上部に流れるとき、積層アセンブリ21は第2のグループの導管18の導管に押し付けられて保持される(したがって、流体がそれらを流れることができないように導管は閉じたままである)一方、第1のグループの導管16の導管は流体がそれらを流れることができるように開いており、流体は一旦プレート19に到達すると、バネ20の弾性力に打ち勝って、プレート19を上昇させ、ひいては流体の流れを可能にする。このような動作状態は、図5cに具体的に示されている。逆に、流体が上部から下部に流れるとき、プレート19を第1のグループの導管17の導管に押し付けて保持する(したがって、流体が導管を流れないように閉じたままにする)一方、第2のグループの導管18の導管は開いているので、流体がそれらを流れることができ、流体は一旦積層アセンブリ21に到達すると、積層アセンブリ21のシートを曲げ、その結果、第2のグループの導管18の導管を開く。このような動作状態を図5dに示す。いずれの場合も、プレート19および積層アセンブリ21は、流体中で、減衰装置1を減衰させるために協働する流動抵抗を生成する。
【0023】
次に、図6および図7を参照して、可能な実施形態による動的弁15について説明する。
【0024】
動的弁15は、流体の流れを可能にするための1つ以上の開口部を有する静止体22と、開口部の自由断面を変化させるために静止体22に対して移動可能なシャッタ24とを備える。具体的には、シャッタ24は、開口部を完全に開いたままにでき、完全に閉じたままにでき、または部分的に開いたままにできる。シャッタ24は、回転アクチュエータ25、例えば直流モータによって移動される。
【0025】
一実施形態によれば、静止体22は好ましくは円筒形の中空体26を含み、中空体26の内部は、流体再循環チャンバ27を画定する。さらに、静止体22は、流体の入口/出口のための1つ以上の第1の開口部と、流体の出口/入口のための1つ以上の第2の出口とを備える。
【0026】
例えば、中空本体26は、好ましくは中心の第1開口部29が形成される底壁28と、好ましくは第1中心開口部29の周囲に円周方向に配置される、複数の第2開口部30とを備える。
【0027】
有利にはシャッタ24が、好ましくは中空体26の底壁28に配置され、それに垂直な軸線(好ましくは中空本体26の長手方向展開軸線と一致する)の周りに回転可能なプレート31を備える。より有利には、プレート31が、底壁28とともに補助チャンバ33を画定するために、中空体26の底壁28の第1の中央開口部29に配置される隆起部32を備える。このような補助チャンバ33は、例えば隆起部32から中空体26の底壁28に向かって軸線方向に突出する周囲壁34によって、横方向に画定される。
【0028】
プレート31の隆起部32は、好ましくは補助チャンバ33と再循環チャンバ27との間の流体連通を確立する複数の通路開口部35を備える。
【0029】
プレート31、特にその周囲壁34は、その回転により、静止体22の底壁28の第2開口部30を選択的に閉鎖するように形成されている。例えば、第2開口部30は、細長い形状を有し円周方向に沿って展開する一対の対向する開口部を備えることができ、プレート19の周囲壁34は、類似の形状、換言すれば、互いに反対側に存在し細長い形状を有し、円周方向に展開し、第2開口部30の半径方向の幅以上の半径方向厚さを有する一対の閉塞部分36を備えることができる。例えば、図6を参照すると、プレート19の周囲壁34は第2の開口部30の内半径以下の半径を有する2つの部分と、閉塞部分36に対応し、第2開口部30の外半径より大きい半径を有する部分とを有する形状を有し得る。
【0030】
プレート31は、閉塞部分36の軸線展開方向とは反対の方向に向かい、回転アクチュエータ25のシャフト38に連結される軸線方向突起部37を含むことができ、これにより形状カップリングが設けられている。
【0031】
一実施形態によれば、アクチュエータ25を収容するために、第1の管状物体2はハウジング39を備え、ハウジングは例えば、第1のプラグ6と一体に接続でき、または一体化することができる。ハウジング39は、自由端50に近接して第1チャンバ4内に配置され、アクチュエータ25のシャフト38によって交差される底壁40を備える。一実施形態によれば、ハウジング39の底壁40は、静止体22の底壁28に対向する位置に配置され、底壁28と共に再循環チャンバ27を画定する。例えば、動的弁15の中空体26は、ハウジング39から軸方向に突出するねじ部53上でハウジング39にねじ止めすることができる。好ましくは動的弁15の中空体29が次に、動的弁15をステム10に安定的に接続するためのねじを切った軸方向突起部54を備え、ステム10はこのような接続を可能にするためのねじを切った部分を有する。
【0032】
この適切な形状の動的弁15は、一方の側でステム10のキャビティ11に、他方の側で第1のチャンバ4に流体的に接続されることが有利である。具体的には、底壁28の第1のチャンバ29が軸10のキャビティ11に流体的に接続される一方、第2開口部30は第1のチャンバ4に流体的に接続される。このようにして、減衰装置1が圧縮されるときに、流体は、ステム10のキャビティ11から動的弁15の補助チャンバ33に流れ、補助チャンバ室33から第2の開口部30を通って第1の管状物体2の第1のチャンバ4に流れる。減衰装置1が伸びるときに、流体は逆の経路をたどる。いずれの場合も、アクチュエータ25によって支配されるプレート31は、流体の流動抵抗に影響する第2の開口部30の断面に作用し、その結果、減衰装置1が減衰作用を発揮する。
【0033】
アクチュエータ25は、制御ユニットによって指令することができる。特に、アクチュエータ25の動作は、ユーザの手動命令によって例えばユーザインタフェース装置によって指令でき、または、例えば本発明による減衰装置を備える自転車に付随する様々な種類のセンサからの信号に基づいて自動的に指令できる。
【0034】
上述した説明から、当業者は、本発明に従い、記載した特徴を有し、特に回転アクチュエータによって作動される動的弁を備える減衰装置として、ソレノイド弁に関して挙げた問題を克服することができる。実際に、動的弁は、装置の実際のサイズ、特に第1の管状物体の実際のサイズに適合することができ、その結果、動的弁自体を受け入れるためだけに装置を過大にする必要がない。
【0035】
当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明による減衰装置の記載された実施形態に、特定の条件付きの必要性を満たすために、構成要素のいくつかの追加、修正、または他の動作的に均等な構成要素との置換を導入することができる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図5d
図6
図7