(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】トルク検出センサおよび動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
G01L 3/14 20060101AFI20230501BHJP
G01L 3/10 20060101ALI20230501BHJP
G01L 1/22 20060101ALI20230501BHJP
G01L 5/1627 20200101ALI20230501BHJP
【FI】
G01L3/14 G
G01L3/10 311
G01L1/22 F
G01L1/22 M
G01L5/1627
(21)【出願番号】P 2020566389
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(86)【国際出願番号】 JP2020000421
(87)【国際公開番号】W WO2020149204
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】P 2019007141
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】ニデックドライブテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンミン
(72)【発明者】
【氏名】坪根 太平
(72)【発明者】
【氏名】ゴドレール イヴァン
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4518467(JP,B2)
【文献】特開平10-148591(JP,A)
【文献】米国特許第4776414(US,A)
【文献】特許第2929155(JP,B2)
【文献】特許第3512160(JP,B2)
【文献】実用新案登録第2545317(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L1/22
G01L3/10
G01L3/14
G01L5/16
-----------------------------------
本件特許出願に対応する国際特許出願PCT/JP2020/000421の
調査結果が利用された。
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形体にかかるトルクを検出するトルク検出センサであって、
第1の抵抗線パターンと第2の抵抗線パターンとを有し、
前記第1の抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に対して周方向一方側に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列された円弧状または円環状のパターンであり、
前記第2の抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に対して周方向他方側に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列された円弧状または円環状のパターンであり、
前記第1の抵抗線と、前記第2の抵抗線とが、互いに重ならない位置に配置され
、
前記第2の抵抗線パターンは、前記第1の抵抗線パターンよりも半径方向内側に位置するトルク検出センサ。
【請求項2】
円形体にかかるトルクを検出するトルク検出センサであって、
前記円形体の周方向の歪みを検出する周方向歪み検出用抵抗線パターンと、
前記円形体の軸方向の歪みを検出するスラスト歪み検出用抵抗線パターンと、
を有し、
前記周方向歪み検出用抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に対して周方向に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列されたパターンであり、
前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に延びる抵抗線が、周方向に複数配列されたパターンであり、
前記周方向歪み検出用抵抗線パターンと、前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンとは、互いに重ならない位置に配置され
、
前記周方向歪み検出用抵抗線パターンと、前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンとは、径方向の異なる位置に配置される、トルク検出センサ。
【請求項3】
請求項1に記載のトルク検出センサであって、
第3の抵抗線パターンと第4の抵抗線パターンとをさらに有し、
前記第1の抵抗線パターンは、円弧状のパターンであり、
前記第2の抵抗線パターンは、前記第1の抵抗線パターンと同心かつ線対称に配置される円弧状のパターンであり、
前記第3の抵抗線パターンは、前記第1の抵抗線パターンおよび前記第2の抵抗線パターンよりも半径方向内側に位置し、前記円形体の半径方向に対して周方向一方側に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列された円弧状のパターンであり、
前記第4の抵抗線パターンは、前記第3の抵抗線パターンと同心かつ線対称に配置され、前記円形体の半径方向に対して周方向他方側に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列された円弧状のパターンである、トルク検出センサ。
【請求項4】
請求項
3に記載のトルク検出センサであって、
前記第1の抵抗線パターンおよび前記第2の抵抗線パターンの境界線と、
前記第3の抵抗線パターンおよび前記第4の抵抗線パターンの境界線とが、
互いに交差する、トルク検出センサ。
【請求項5】
請求項1に記載のトルク検出センサであって、
前記第1の抵抗線パターンおよび前記第2の抵抗線パターンと重ならない位置に配置され、前記円形体の半径方向に延びる抵抗線が、周方向に複数配列されたスラスト歪み検出用抵抗線パターンをさらに有する、トルク検出センサ。
【請求項6】
請求項
5に記載のトルク検出センサであって、
前記第1の抵抗線パターンは、円弧状のパターンであり、
前記第2の抵抗線パターンは、前記第1の抵抗線パターンと同心に配置される円弧状のパターンであり、
前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンは、
前記第1の抵抗線パターンおよび前記第2の抵抗線パターンよりも半径方向外側に位置する外側抵抗線パターンと、
前記第1の抵抗線パターンおよび前記第2の抵抗線パターンよりも半径方向内側に位置する内側抵抗線パターンと、
を含む、トルク検出センサ。
【請求項7】
請求項
6に記載のトルク検出センサであって、
前記第1の抵抗線パターンと前記第2の抵抗線パターンとが、線対称に配置される、トルク検出センサ。
【請求項8】
請求項1、請求項3から請求項
7までのいずれか1項に記載のトルク検出センサであって、
前記円形体の周方向に沿って延びる温度検出用抵抗線パターン
をさらに有する、トルク検出センサ。
【請求項9】
請求項1、請求項3から請求項
8までのいずれか1項に記載のトルク検出センサであって、
前記第1の抵抗線パターンと前記第2の抵抗線パターンとを少なくとも含むブリッジ回路
を備える、トルク検出センサ。
【請求項10】
請求項
9に記載のトルク検出センサであって、
前記ブリッジ回路の出力信号に基づいて、トルクを検出する信号処理回路
をさらに備える、トルク検出センサ。
【請求項11】
請求項
10に記載のトルク検出センサであって、
前記ブリッジ回路および前記信号処理回路の少なくとも一方が実装された回路基板
を有する、トルク検出センサ。
【請求項12】
請求項
11に記載のトルク検出センサであって、
前記回路基板は、フレキシブルプリント基板である、トルク検出センサ。
【請求項13】
請求項
11または請求項
12に記載のトルク検出センサであって、
前記抵抗線パターンの材料は、銅または銅を含む合金である、トルク検出センサ。
【請求項14】
請求項
11または請求項
12に記載のトルク検出センサであって、
前記抵抗線パターンの材料は、導電性インクである、トルク検出センサ。
【請求項15】
請求項
11から請求項
14までのいずれか1項に記載のトルク検出センサと、
前記円形体と、
を有する動力伝達装置。
【請求項16】
請求項
15に記載の動力伝達装置であって、
前記円形体および前記回路基板のいずれか一方は、前記円形体および前記回路基板の他方と半径方向に接触する位置決め部
を有する、動力伝達装置。
【請求項17】
請求項
15または請求項
16に記載の動力伝達装置であって、
前記円形体に前記回路基板を固定する両面接着テープ
をさらに有する、動力伝達装置。
【請求項18】
請求項
15から請求項
17までのいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記回路基板は、前記抵抗線パターンが実装された面を前記円形体の表面に向けた状態で、前記円形体に固定される、動力伝達装置。
【請求項19】
請求項
15から請求項
18までのいずれか1項に記載の動力伝達装置であって、
前記円形体は、
軸方向に筒状に延びる可撓性の筒状部と、
前記筒状部の外周面に設けられた複数の外歯と、
前記筒状部の軸方向の一端から半径方向外側または半径方向内側へ向けて広がる平板状のダイヤフラム部と、
を有し、
前記回路基板は、前記ダイヤフラム部に固定される、動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルク検出センサおよび動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボットの関節などに搭載される減速機の需要が急速に高まっている。従来の減速機については、例えば、特開2000-131160号公報および特開2005-69401号公報に記載されている。これらの公報では、減速後の回転数で回転する歯車に、歪みゲージが貼り付けられている。これにより、歯車にかかるトルクの検出が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-131160号公報
【文献】特開2005-69401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記公報の構造では、歯車の周方向の数か所に、歪みゲージが離散的に貼り付けられている。各歪みゲージが検出するトルクは、歯車の局所的な一部分のトルクである。このような構造では、歯車の全周にかかるトルクを、精度よく検出することが困難であった。
【0005】
また、従来の構造では、複数の歪みゲージとは別に、歪みゲージからの出力信号を処理する回路基板を設ける必要があった。また、歪みゲージと回路基板とを接続するために、歪みゲージに導線を半田付けする必要があった。これにより、トルクの検出に関わる部分の製造コストが嵩むとともに、トルクの検出に関わる部分を全体として薄型化することが困難となっていた。
【0006】
本発明の目的は、歯車等の円形体用の安価かつ薄型のトルク検出センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、円形体にかかるトルクを検出するトルク検出センサであって、第1の抵抗線パターンと第2の抵抗線パターンとを有し、前記第1の抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に対して周方向一方側に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列された円弧状または円環状のパターンであり、前記第2の抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に対して周方向他方側に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列された円弧状または円環状のパターンであり、前記第1の抵抗線と、前記第2の抵抗線とが、互いに重ならない位置に配置され、前記第2の抵抗線パターンは、前記第1の抵抗線パターンよりも半径方向内側に位置する。
【0008】
本願の第1発明は、円形体にかかるトルクを検出するトルク検出センサであって、前記円形体の周方向の歪みを検出する周方向歪み検出用抵抗線パターンと、前記円形体の軸方向の歪みを検出するスラスト歪み検出用抵抗線パターンと、を有し、前記周方向歪み検出用抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に対して周方向に傾斜した抵抗線が、周方向に複数配列されたパターンであり、前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンは、前記円形体の半径方向に延びる抵抗線が、周方向に複数配列されたパターンであり、前記周方向歪み検出用抵抗線パターンと、前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンとは、互いに重ならない位置に配置され、前記周方向歪み検出用抵抗線パターンと、前記スラスト歪み検出用抵抗線パターンとは、径方向の異なる位置に配置される。
【発明の効果】
【0009】
本願の第1発明によれば、第1の抵抗線パターンと第2の抵抗線パターンとを含むブリッジ回路からの出力信号により、円形体にかかるトルクを検出できる。第1の抵抗線パターンと第2の抵抗線パターンとは、互いに重ならないため、これらの抵抗線パターンを単層で構成することができる。したがって、円形体用の安価かつ薄型のトルク検出センサを実現できる。
【0010】
本願の第2発明によれば、周方向歪み検出用抵抗線パターンを含むブリッジ回路からの出力信号により、円形体にかかるトルクを検出できる。また、スラスト歪み検出用抵抗線パターンの抵抗値に基づいて、周方向歪み検出用抵抗線パターンを含むブリッジ回路からの出力信号を補正することで、円形体の軸方向の変形に起因する成分をキャンセルできる。その結果、円形体にかかるトルクを、より精度よく検出できる。また、周方向歪み検出用抵抗線パターンとスラスト歪み検出用抵抗線パターンとは、互いに重ならないため、これらの抵抗線パターンを単層で構成することができる。したがって、円形体用の安価かつ薄型のトルク検出センサを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る動力伝達装置の縦断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る動力伝達装置の横断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るブリッジ回路の回路図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るトルク検出センサおよびダイヤフラム部の部分断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態に係るブリッジ回路の回路図である。
【
図10】
図10は、第5実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図11】
図11は、第6実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図12】
図12は、第7実施形態に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図13】
図13は、第1変形例に係るトルク検出センサの平面図である。
【
図14】
図14は、第2変形例に係るトルク検出センサおよびダイヤフラム部の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本願では、動力伝達装置の中心軸と平行な方向を「軸方向」、動力伝達装置の中心軸に直交する方向を「半径方向」、動力伝達装置の中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。ただし、上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
【0013】
<1.第1実施形態>
<1-1.動力伝達装置の構成>
図1は、第1実施形態に係る動力伝達装置1の縦断面図である。
図2は、
図1のA-A位置から見た動力伝達装置1の横断面図である。この動力伝達装置1は、モータから得られる第1回転数の回転運動を、第1回転数よりも低い第2回転数に減速させつつ後段へ伝達する装置である。動力伝達装置1は、例えば、ロボットの関節に、モータとともに組み込まれて使用される。ただし、本発明の動力伝達装置は、アシストスーツ、無人搬送車などの他の装置に用いられるものであってもよい。
【0014】
図1および
図2に示すように、本実施形態の動力伝達装置1は、インタナルギア10、フレックスギア20、波動発生器30、およびトルク検出センサ40を備えている。
【0015】
インタナルギア10は、内周面に複数の内歯11を有する円環状のギアである。インタナルギア10は、動力伝達装置1が搭載される装置の枠体に、例えばねじ止めで固定される。インタナルギア10は、中心軸9と同軸に配置される。また、インタナルギア10は、フレックスギア20の後述する筒状部21の半径方向外側に位置する。インタナルギア10の剛性は、フレックスギア20の筒状部21の剛性よりも、はるかに高い。このため、インタナルギア10は、実質的に剛体とみなすことができる。インタナルギア10は、円筒状の内周面を有する。複数の内歯11は、当該内周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。各内歯11は、半径方向内側へ向けて突出する。
【0016】
フレックスギア20は、可撓性を有する円環状のギアである。フレックスギア20は、中心軸9を中心として回転可能に支持される。フレックスギア20は、本発明における「円形体」の一例である。
【0017】
本実施形態のフレックスギア20は、筒状部21と平板部22とを有する。筒状部21は、中心軸9の周囲において、軸方向に筒状に延びる。筒状部21の軸方向の先端は、波動発生器30の半径方向外側、かつ、インタナルギア10の半径方向内側に位置する。筒状部21は、可撓性を有するため、半径方向に変形可能である。特に、インタナルギア10の半径方向内側に位置する筒状部21の先端部は、自由端であるため、他の部分よりも大きく半径方向に変位可能である。
【0018】
フレックスギア20は、複数の外歯23を有する。複数の外歯23は、筒状部21の軸方向の先端部付近の外周面において、周方向に一定のピッチで配列されている。各外歯23は、半径方向外側へ向けて突出する。上述したインタナルギア10が有する内歯11の数と、フレックスギア20が有する外歯23の数とは、僅かに相違する。
【0019】
平板部22は、ダイヤフラム部221と肉厚部222とを有する。ダイヤフラム部221は、筒状部21の軸方向の基端部から、半径方向外側へ向けて平板状に広がり、かつ、中心軸9を中心として円環状に広がる。ダイヤフラム部221は、軸方向に僅かに撓み変形可能である。肉厚部222は、ダイヤフラム部221の半径方向外側に位置する、円環状の部分である。肉厚部222の軸方向の厚みは、ダイヤフラム部221の軸方向の厚みよりも、厚い。肉厚部222は、動力伝達装置1が搭載される装置の、駆動対象となる部品に、例えばねじ止めで固定される。
【0020】
波動発生器30は、フレックスギア20の筒状部21に、周期的な撓み変形を発生させる機構である。波動発生器30は、カム31と可撓性軸受32とを有する。カム31は、中心軸9を中心として回転可能に支持される。カム31は、軸方向に視たときに楕円形の外周面を有する。可撓性軸受32は、カム31の外周面と、フレックスギア20の筒状部21の内周面との間に介在する。したがって、カム31と筒状部21とは、異なる回転数で回転できる。
【0021】
可撓性軸受32の内輪は、カム31の外周面に接触する。可撓性軸受32の外輪は、フレックスギア20の内周面に接触する。このため、フレックスギア20の筒状部21は、カム31の外周面に沿った楕円形状に変形する。その結果、当該楕円の長軸の両端に相当する2箇所において、フレックスギア20の外歯23と、インタナルギア10の内歯11とが噛み合う。周方向の他の位置においては、外歯23と内歯11とが噛み合わない。
【0022】
カム31は、直接または他の動力伝達機構を介して、モータに接続される。モータを駆動させると、カム31は、中心軸9を中心として第1回転数で回転する。これにより、フレックスギア20の上述した楕円の長軸も、第1回転数で回転する。そうすると、外歯23と内歯11との噛み合い位置も、周方向に第1回転数で変化する。また、上述の通り、インタナルギア10の内歯11の数と、フレックスギア20の外歯23の数とは、僅かに相違する。この歯数の差によって、カム31の1回転ごとに、外歯23と内歯11との噛み合い位置が、周方向に僅かに変化する。その結果、インタナルギア10に対してフレックスギア20が、中心軸9を中心として、第1回転数よりも低い第2回転数で回転する。したがって、フレックスギア20から、減速された第2回転数の回転運動を取り出すことができる。
【0023】
<1-2.トルク検出センサについて>
トルク検出センサ40は、フレックスギア20にかかる周方向のトルクを検出するセンサである。
図1に示すように、本実施形態では、円板状のダイヤフラム部221の円形の表面に、トルク検出センサ40が固定されている。
【0024】
図3は、トルク検出センサ40を軸方向に視た平面図である。
図3に示すように、トルク検出センサ40は、回路基板41を有する。本実施形態の回路基板41は、柔軟に変形可能なフレキシブルプリント基板(FPC)である。回路基板41は、中心軸9を中心とする円環状の本体部411と、本体部411から半径方向外側へ向けて突出したフラップ部412とを有する。回路基板41には、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42と、信号処理回路43とが、実装されている。第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2は、本体部411に配置されている。信号処理回路43は、フラップ部412に配置されている。
【0025】
第1の抵抗線パターンR1は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第1の抵抗線パターンR1が設けられている。第1の抵抗線パターンR1の材料には、例えば、銅または銅を含む合金が用いられる。第1の抵抗線パターンR1には、複数の第1抵抗線r1が含まれる。複数の第1抵抗線r1は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第1抵抗線r1は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。半径方向に対する第1抵抗線r1の傾斜角度は、例えば45°とされる。
【0026】
第2の抵抗線パターンR2は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、第2の抵抗線パターンR2が設けられている。第2の抵抗線パターンR2の材料には、例えば、銅または銅を含む合金が用いられる。第2の抵抗線パターンR2は、第1の抵抗線パターンR1よりも、半径方向内側に位置する。すなわち、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、互いに重ならない位置に配置される。第2の抵抗線パターンR2には、複数の第2抵抗線r2が含まれる。複数の第2抵抗線r2は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第2抵抗線r2は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。半径方向に対する第2抵抗線r2の傾斜角度は、例えば-45°とされる。
【0027】
図4は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42の回路図である。
図4に示すように、本実施形態のブリッジ回路42は、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第1固定抵抗Ra、および第2固定抵抗Rbを含む。第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、直列に接続される。第1固定抵抗Raと第2固定抵抗Rbとは、直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、2つの抵抗線パターンR1,R2の列と、2つの固定抵抗Ra,Rbの列とが、並列に接続される。また、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の中点M1と、第1固定抵抗Raおよび第2固定抵抗Rbの中点M2とが、電圧計Vに接続される。
【0028】
第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2のそれぞれの抵抗値は、フレックスギア20にかかるトルクに応じて変化する。例えば、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の一方側へ向かうトルクがかかると、第1の抵抗線パターンR1の抵抗値が低下し、第2の抵抗線パターンR2の抵抗値が増加する。一方、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の他方側へ向かうトルクがかかると、第1の抵抗線パターンR1の抵抗値が増加し、第2の抵抗線パターンR2の抵抗値が低下する。このように、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
【0029】
そして、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2のそれぞれの抵抗値が変化すると、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の中点M1と、第1固定抵抗Raおよび第2固定抵抗Rbの中点M2との間の電位差が変化するので、電圧計Vの計測値が変化する。したがって、この電圧計Vの計測値に基づいて、フレックスギア20にかかるトルクの向きおよび大きさを検出することができる。
【0030】
信号処理回路43は、電圧計Vにより計測される中点M1,M2の間の電位差信号(ブリッジ回路の出力信号)に基づいて、フレックスギア20にかかるトルクを検出するための回路である。第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42は、信号処理回路43と電気的に接続されている。信号処理回路43には、例えば、中点M1,M2の間の電位差を増幅する増幅器や、増幅後の電気信号に基づいて、トルクの向きおよび大きさを算出するための回路が含まれる。検出されたトルクは、有線または無線により信号処理回路43に接続された外部の装置へ出力される。
【0031】
図5は、ダイヤフラム部221およびトルク検出センサ40の部分断面図である。
図5に示すように、トルク検出センサ40は、両面接着テープ44により、フレックスギア20のダイヤフラム部221に固定される。具体的には、ダイヤフラム部221の表面と、回路基板41の裏面とが、両面接着テープ44を介して固定される。両面接着テープ44は、接着力を有する材料がテープ状に成形されて、形状を維持できる程度に硬化されたものである。このような両面接着テープ44を用いれば、流動性を有する接着剤を用いる場合よりも、ダイヤフラム部221に対するトルク検出センサ40の固定作業が容易となる。また、作業者による固定作業のばらつきを低減できる。
【0032】
なお、ダイヤフラム部221の変形をトルク検出センサ40へ精度よく伝達するために、両面接着テープ44は、ベースフィルムを有さず、接着材料のみで構成されていることが好ましい。
【0033】
以上のように、本実施形態の動力伝達装置1では、トルク検出センサ40により、フレックスギア20にかかるトルクを検出できる。したがって、検出したトルクを、動力伝達装置1が搭載される装置の制御や、故障検出に用いることができる。特に、本実施形態では、トルク検出センサ40が、動力伝達装置1の構成部品のうち、最も出力側の部品であるフレックスギア20に固定されている。このようにすれば、フレックスギア20に出力側からかかる外力を、トルク検出センサ40により精度よく検出することができる。したがって、例えば、外力を検出したときに装置を緊急停止させるような制御を、応答性よく行うことができる。
【0034】
特に、本実施形態のトルク検出センサ40では、フレックスギア20の周方向の一部分のみにひずみゲージを取り付けるのではなく、フレックスギア20の周方向のほぼ全周に亘って、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を設ける。これにより、フレックスギア20にかかるトルクを、より精度よく検出できる。
【0035】
また、本実施形態のトルク検出センサ40では、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とが、互いに重ならない位置に配置される。このため、回路基板41上において、これらの抵抗線パターンR1,R2を、単一の層に形成することができる。これにより、回路基板41をシンプルな構造とすることができる。その結果、安価かつ薄型のトルク検出センサ40を実現できる。
【0036】
特に、本実施形態のトルク検出センサ40では、ブリッジ回路42と信号処理回路43とが、1枚の回路基板41に実装されている。このようにすれば、ブリッジ回路42が搭載された回路基板41とは別に、信号処理回路43が搭載された回路基板を用意する必要がない。したがって、より安価で薄型のトルク検出センサ40を実現できる。また、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を、柔軟なフレキシブルプリント基板に実装することで、フレックスギア20にかかるトルクの検出精度を、より高めることができる。
【0037】
第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の材料には、銅または銅を含む合金が用いられる。銅または銅を含む合金を用いれば、コンスタンタン等の高価な材料を用いる場合よりも、材料費を抑えることができる。また、回路基板の配線として一般的な銅または銅を含む合金を用いることにより、通常のプリント配線基板と同様の製造工程で、トルク検出センサ40を製造できる。したがって、トルク検出センサ40の製造コストを、より抑制できる。
【0038】
<2.第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係るトルク検出センサ40について、説明する。
図6は、第2実施形態に係るトルク検出センサ40の平面図である。このトルク検出センサ40は、温度検出用抵抗線パターンRhを有する点が、第1実施形態と相違する。他の部分については、第1実施形態と同等であるため、重複説明を省略する。
【0039】
上述の通り、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の材料に、銅または銅を含む合金を用いると、トルク検出センサ40の材料費を抑えることができる。ただし、コンスタンタン等の高価な材料と比べて、銅の抵抗値は、環境温度により変化しやすい。そこで、第2実施形態のトルク検出センサ40は、温度の影響を補正するために、トルク検出センサ40に温度検出用抵抗線パターンRhを設けている。
【0040】
温度検出用抵抗線パターンRhは、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2と同様に、回路基板41上に実装されている。また、温度検出用抵抗線パターンRhは、信号処理回路43と電気的に接続されている。温度検出用抵抗線パターンRhの材料には、例えば、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2と同じ銅または銅を含む合金を用いればよい。
【0041】
温度検出用抵抗線パターンRhは、フレックスギア20の周方向に沿って、円弧状または円環状に延びるパターンである。このため、周方向のトルクによる温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値の変化は、極めて小さい。したがって、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値は、温度による変化が支配的となる。したがって、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値を測定すれば、フレックスギア20の温度または環境温度を反映した信号を取得できる。
【0042】
信号処理回路43は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42からの出力信号を、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値で補正する。具体的には、ブリッジ回路42からの出力信号の値を、温度による変化をキャンセルする方向に増加または減少させる。そして、補正後の出力信号に基づいて、トルクを検出する。このようにすれば、安価な銅または銅合金を使用しつつ、温度変化の影響を抑制して、フレックスギア20にかかるトルクを精度よく検出できる。
【0043】
特に、本実施形態では、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2との間の半径方向の隙間に、温度検出用抵抗線パターンRhが配置されている。このようにすれば、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2のいずれとも近接した位置に、温度検出用抵抗線パターンRhを配置できる。したがって、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値に基づいて、ブリッジ回路42の出力信号に対する補正値を、より適正に算出できる。
【0044】
また、温度検出用抵抗線パターンRhを設けることで、フレックスギア20を含む動力伝達装置1の温度を推定できる。したがって、動力伝達装置1の温度が過剰に高くなっていないかどうかの監視も可能となる。
【0045】
<3.第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係るトルク検出センサ40について、説明する。
図7は、第3実施形態に係るトルク検出センサ40の平面図である。このトルク検出センサ40は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の形状が、第1実施形態と相違する。他の部分については、第1実施形態と同等であるため、重複説明を省略する。
【0046】
図7に示すように、第1の抵抗線パターンR1は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約180°の範囲に、第1の抵抗線パターンR1が、半円状に設けられている。第1の抵抗線パターンR1には、複数の第1抵抗線r1が含まれる。複数の第1抵抗線r1は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第1抵抗線r1は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。半径方向に対する第1抵抗線r1の傾斜角度は、例えば45°とされる。
【0047】
第2の抵抗線パターンR2は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約180°の範囲に、第2の抵抗線パターンR2が、半円状に設けられている。第2の抵抗線パターンR2には、複数の第2抵抗線r2が含まれる。複数の第2抵抗線r2は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第2抵抗線r2は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。半径方向に対する第2抵抗線r2の傾斜角度は、例えば-45°とされる。
【0048】
第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、同心かつ線対称に配置される。具体的には、軸方向に視たときに、中心軸9を通る仮想直線Lに対して、一方側に第1の抵抗線パターンR1が配置され、他方側に第2の抵抗線パターンR2が配置される。すなわち、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、互いに重ならない位置に配置される。また、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、中心軸9に対する径が同一である。
【0049】
この第3実施形態の構造でも、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。このため、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42からの出力信号に基づいて、フレックスギア20にかかるトルクを検出できる。
【0050】
また、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、互いに重ならない位置に配置される。このため、回路基板41上において、これらの抵抗線パターンR1,R2を、単一の層に形成することができる。これにより、回路基板41をシンプルな構造とすることができる。その結果、安価かつ薄型のトルク検出センサ40を実現できる。
【0051】
動力伝達装置1の駆動時には、フレックスギア20のダイヤフラム部221が、僅かに軸方向に変位する。この軸方向の変位量は、ダイヤフラム部221の半径方向の位置によって異なる。そして、ダイヤフラム部221の軸方向の変位は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の抵抗値にも影響する。しかしながら、本実施形態では、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とが、中心軸9に対して同径の位置に配置される。このため、ダイヤフラム部221の軸方向の変位により、第1の抵抗線パターンR1の抵抗値と、第2の抵抗線パターンR2の抵抗値とが、同じように変化する。それゆえ、ブリッジ回路42の電圧計Vの検出値が、影響を受けにくい。したがって、ダイヤフラム部221の軸方向の変位の影響を抑えて、フレックスギア20にかかる周方向のトルクを精度よく検出できる。
【0052】
<4.第4実施形態>
続いて、第4実施形態に係るトルク検出センサ40について、説明する。
図8は、第4実施形態に係るトルク検出センサ40の平面図である。このトルク検出センサ40は、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4を有する点と、温度検出用抵抗線パターンRhを有する点とが、第1実施形態と相違する。他の部分については、第1実施形態と同等であるため、重複説明を省略する。
【0053】
図8に示すように、本実施形態の回路基板41には、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4を含むブリッジ回路42と、温度検出用抵抗線パターンRhとが、実装されている。ブリッジ回路42および温度検出用抵抗線パターンRhは、それぞれ、信号処理回路43と電気的に接続されている。各抵抗線パターンR1,R2,R3,R4,Rhの材料には、例えば、銅または銅を含む合金が用いられる。
【0054】
第1の抵抗線パターンR1は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約180°の範囲に、第1の抵抗線パターンR1が、半円状に設けられている。第1の抵抗線パターンR1には、複数の第1抵抗線r1が含まれる。複数の第1抵抗線r1は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第1抵抗線r1は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。半径方向に対する第1抵抗線r1の傾斜角度は、例えば45°とされる。
【0055】
第2の抵抗線パターンR2は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約180°の範囲に、第2の抵抗線パターンR2が、半円状に設けられている。第2の抵抗線パターンR2には、複数の第2抵抗線r2が含まれる。複数の第2抵抗線r2は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第2抵抗線r2は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。半径方向に対する第2抵抗線r2の傾斜角度は、例えば-45°とされる。
【0056】
第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、同心かつ線対称に配置される。具体的には、軸方向に視たときに、中心軸9を通る仮想直線Lに対して、一方側に第1の抵抗線パターンR1が配置され、他方側に第2の抵抗線パターンR2が配置される。また、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、中心軸9に対する径が同一である。
【0057】
第3の抵抗線パターンR3は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約180°の範囲に、第3の抵抗線パターンR3が、半円状に設けられている。第3の抵抗線パターンR3には、複数の第3抵抗線r3が含まれる。複数の第3抵抗線r3は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第3抵抗線r3は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向他方側に傾斜している。半径方向に対する第3抵抗線r3の傾斜角度は、例えば45°とされる。
【0058】
第4の抵抗線パターンR4は、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約180°の範囲に、第4の抵抗線パターンR4が、半円状に設けられている。第4の抵抗線パターンR4には、複数の第4抵抗線r4が含まれる。複数の第4抵抗線r4は、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各第4抵抗線r4は、フレックスギア20の半径方向に対して、周方向一方側に傾斜している。半径方向に対する第4抵抗線r4の傾斜角度は、例えば-45°とされる。
【0059】
第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2よりも、半径方向内側に位置する。また、第3の抵抗線パターンR3と第4の抵抗線パターンR4とは、同心かつ線対称に配置される。具体的には、軸方向に視たときに、中心軸9を通る仮想直線Lに対して、一方側に第3の抵抗線パターンR3が配置され、他方側に第4の抵抗線パターンR4が配置される。また、第3の抵抗線パターンR3と第4の抵抗線パターンR4とは、中心軸9に対する径が同一である。
【0060】
このように、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4は、いずれも、互いに重ならない位置に配置される。
【0061】
図9は、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4を含むブリッジ回路42の回路図である。
図9に示すように、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、直列に接続される。第3の抵抗線パターンR3と第4の抵抗線パターンR4とは、直列に接続される。そして、電源電圧の+極と-極との間において、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の列と、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4の列とが、並列に接続される。また、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の中点M1と、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4の中点M2とが、電圧計Vに接続される。
【0062】
第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4のそれぞれの抵抗値は、フレックスギア20にかかるトルクに応じて変化する。例えば、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の一方側へ向かうトルクがかかると、第1の抵抗線パターンR1および第4の抵抗線パターンR4の抵抗値が低下し、第2の抵抗線パターンR2および第3の抵抗線パターンR3の抵抗値が増加する。一方、フレックスギア20に、中心軸9を中心として、周方向の他方側へ向かうトルクがかかると、第1の抵抗線パターンR1および第4の抵抗線パターンR4の抵抗値が増加し、第2の抵抗線パターンR2および第3の抵抗線パターンR3の抵抗値が低下する。このように、第1の抵抗線パターンR1および第4の抵抗線パターンR4と、第2の抵抗線パターンR2および第3の抵抗線パターンR3とは、トルクに対して互いに逆向きの抵抗値変化を示す。
【0063】
このように、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4のそれぞれの抵抗値が変化すると、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の中点M1と、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4の中点M2との間の電位差が変化するので、電圧計Vの計測値が変化する。したがって、この電圧計Vの計測値に基づいて、フレックスギア20にかかるトルクの向きおよび大きさを検出することができる。
【0064】
また、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4は、互いに重ならない位置に配置される。このため、回路基板41上において、これらの抵抗線パターンR1,R2,R3,R4を、単一の層に形成することができる。これにより、回路基板41をシンプルな構造とすることができる。その結果、安価かつ薄型のトルク検出センサ40を実現できる。
【0065】
動力伝達装置1の駆動時には、フレックスギア20のダイヤフラム部221が、僅かに軸方向に変位する。この軸方向の変位量は、ダイヤフラム部221の半径方向の位置によって異なる。そして、ダイヤフラム部221の軸方向の変位は、各抵抗線パターンR1,R2,R3,R4の抵抗値にも影響する。しかしながら、本実施形態では、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とが、中心軸9に対して同径の位置に配置される。また、第3の抵抗線パターンR3と第4の抵抗線パターンR4とが、中心軸9に対して同径の位置に配置される。このため、ダイヤフラム部221の軸方向の変位により、第1の抵抗線パターンR1の抵抗値と第2の抵抗線パターンR2の抵抗値とが同じように変化し、第3の抵抗線パターンR3の抵抗値と第4の抵抗線パターンR4の抵抗値とが、同じように変化する。それゆえ、ブリッジ回路42の電圧計Vの検出値が、影響を受けにくい。したがって、ダイヤフラム部221の軸方向の変位の影響を抑えて、フレックスギア20にかかる周方向のトルクを精度よく検出できる。
【0066】
温度検出用抵抗線パターンRhは、フレックスギア20の周方向に沿って、円弧状または円環状に延びるパターンである。このため、周方向のトルクによる温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値の変化は、極めて小さい。したがって、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値は、温度による変化が支配的となる。したがって、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値を測定すれば、フレックスギア20の温度または環境温度を反映した信号を取得できる。
【0067】
信号処理回路43は、ブリッジ回路42からの出力信号を、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値で補正する。そして、補正後の出力信号に基づいて、トルクを検出する。このようにすれば、安価な銅または銅合金を使用しつつ、温度変化の影響を抑制して、フレックスギア20にかかるトルクを精度よく検出できる。
【0068】
特に、本実施形態では、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2と、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4との間の半径方向の隙間に、温度検出用抵抗線パターンRhが配置されている。このようにすれば、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4のいずれとも近接した位置に、温度検出用抵抗線パターンRhを配置できる。したがって、温度検出用抵抗線パターンRhの抵抗値に基づいて、ブリッジ回路42の出力信号に対する補正値を、より適正に算出できる。
【0069】
また、温度検出用抵抗線パターンRhを設けることで、フレックスギア20を含む動力伝達装置1の温度を推定できる。したがって、動力伝達装置1の温度が過剰に高くなっていないかどうかの監視も可能となる。
【0070】
<5.第5実施形態>
続いて、第5実施形態に係るトルク検出センサ40について、説明する。
図10は、第5実施形態に係るトルク検出センサ40の平面図である。このトルク検出センサ40は、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4の位置が、第4実施形態と相違する。他の部分については、第4実施形態と同等であるため、重複説明を省略する。
【0071】
図10に示すように、第1の抵抗線パターンR1と第2の抵抗線パターンR2とは、軸方向に視たときに、中心軸9を通る仮想直線L1に対して線対称に配置される。これに対し、第3の抵抗線パターンR3と第4の抵抗線パターンR4とは、軸方向に視たときに、中心軸9を通り、かつ、上記の仮想直線L1と直交する仮想直線L2に対して線対称に配置される。すなわち、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の境界線である仮想直線L1と、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4の境界線である仮想直線L2とが、直交している。
【0072】
このようにすれば、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の境界部の周方向の位置と、第3の抵抗線パターンR3および第4の抵抗線パターンR4の境界部の周方向の位置とが、重ならない。すなわち、抵抗線パターンの境界部の周方向の位置が分散する。このため、抵抗線パターンの境界部に起因する出力信号の周期的なリップルを低減できる。その結果、フレックスギア20にかかるトルクを、より精度よく検出できる。
【0073】
なお、仮想直線L1と仮想直線L2とは、必ずしも直交していなくてもよい。仮想直線L1と仮想直線L2とは、中心軸9の位置において、互いに交差していればよい。仮想直線L1に対する仮想直線L2の角度は、
図10の例では90°であるが、これに代えて、仮想直線L1に対する仮想直線L2の角度を、60°や45°としてもよい。
【0074】
<6.第6実施形態>
続いて、第6実施形態に係るトルク検出センサ40について、説明する。
図11は、第6実施形態に係るトルク検出センサ40の平面図である。このトルク検出センサ40は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2の形状は、第3実施形態と同等である。ただし、スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtを有する点が、第3実施形態と相違する。他の部分については、第3実施形態と同等であるため、重複説明を省略する。
【0075】
図11に示すように、本実施形態の回路基板41には、スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtが実装されている。スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtは、信号処理回路43と電気的に接続されている。スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtの材料には、例えば、銅または銅を含む合金が用いられる。
【0076】
図11のトルク検出センサ40は、スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtとして、外側抵抗線パターンRoと、内側抵抗線パターンRiと、の2つの抵抗線パターンを有する。
【0077】
外側抵抗線パターンRoは、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、外側抵抗線パターンRoが設けられている。外側抵抗線パターンRoは、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2よりも、半径方向外側に位置する。すなわち、外側抵抗線パターンRoは、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2と重ならない位置に配置されている。外側抵抗線パターンRoには、複数の外側抵抗線roが含まれる。複数の外側抵抗線roは、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各外側抵抗線roは、フレックスギア20の半径方向に延びる。
【0078】
内側抵抗線パターンRiは、1本の導体がジグザグに曲折しながら周方向に延びる、全体として円弧状または円環状のパターンである。本実施形態では、中心軸9の周囲の約360°の範囲に、内側抵抗線パターンRiが設けられている。内側抵抗線パターンRiは、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2よりも、半径方向内側に位置する。すなわち、内側抵抗線パターンRiは、第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、および外側抵抗線パターンRoと重ならない位置に配置されている。内側抵抗線パターンRiには、複数の内側抵抗線riが含まれる。複数の内側抵抗線riは、互いに略平行な姿勢で、周方向に配列される。各内側抵抗線riは、フレックスギア20の半径方向に延びる。
【0079】
このように、外側抵抗線パターンRoに含まれる複数の外側抵抗線roと、内側抵抗線パターンRiに含まれる複数の内側抵抗線riとは、いずれも半径方向に延びる。このため、周方向のトルクによる外側抵抗線パターンRoおよび内側抵抗線パターンRiの抵抗値の変化は、極めて小さい。ただし、フレックスギア20のダイヤフラム部221が軸方向に変位すると、外側抵抗線パターンRoおよび内側抵抗線パターンRiの抵抗値は、大きく変化する。したがって、外側抵抗線パターンRoおよび内側抵抗線パターンRiの各抵抗値を測定すれば、ダイヤフラム部221の軸方向の変位量を反映した信号を取得できる。
【0080】
信号処理回路43は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42からの出力信号を、外側抵抗線パターンRoおよび内側抵抗線パターンRiのそれぞれの抵抗値で補正する。具体的には、ブリッジ回路42からの出力信号の値を、ダイヤフラム部221の軸方向の変位の影響をキャンセルする方向に、増加または減少させる。そして、補正後の出力信号に基づいて、トルクを検出する。このようにすれば、ダイヤフラム部221の軸方向の変位の影響を抑制して、フレックスギア20にかかるトルクを精度よく検出できる。
【0081】
特に、本実施形態のトルク検出センサ40は、スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtとして、外側抵抗線パターンRoと内側抵抗線パターンRiとの2つの抵抗線パターンを有する。このようにすれば、外側抵抗線パターンRoと内側抵抗線パターンRiとを含むブリッジ回路を構成することができる。したがって、当該ブリッジ回路からの出力信号に基づいて、ダイヤフラム部221の軸方向の変位量を、より精度よく検出できる。したがって、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2を含むブリッジ回路42からの出力信号に対する補正値を、より適正に算出できる。
【0082】
なお、スラスト歪み検出用抵抗線パターンRtは、上述した任意の実施形態のトルク検出センサ40に追加することができる。例えば、第1実施形態のトルク検出センサ40に、本実施形態と同様のスラスト歪み検出用抵抗線パターンRtを追加してもよい。
【0083】
<7.第7実施形態>
続いて、第7実施形態に係るトルク検出センサ40について、説明する。
図12は、第7実施形態に係るトルク検出センサ40の平面図である。このトルク検出センサ40は、温度検出用抵抗線パターンRhを有する点が、第6実施形態と相違する。他の部分については、第6実施形態と同等であるため、重複説明を省略する。
【0084】
温度検出用抵抗線パターンRhの形状および作用については、上述した第2実施形態および第4実施形態と同等である。本実施形態では、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2と、内側抵抗線パターンRiとの間の隙間に、温度検出用抵抗線パターンRhが配置されている。ただし、温度検出用抵抗線パターンRhの位置は、第1の抵抗線パターンR1および第2の抵抗線パターンR2と、外側抵抗線パターンRoとの間であってもよい。
【0085】
<8.変形例>
以上、本発明の第1実施形態~第7実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態には限定されない。
【0086】
<8-1.第1変形例>
図13は、第1変形例に係るトルク検出センサ40の平面図である。
図13の例では、トルク検出センサ40の回路基板41が、3つの位置決め部413を有する。各位置決め部413は、回路基板41の本体部411の外周部から、半径方向外側へ向けて突出する。動力伝達装置1の製造時において、フレックスギア20にトルク検出センサ40を固定するときには、3つの位置決め部413と、フレックスギア20の肉厚部222の内周面とを、半径方向に接触させる。これにより、フレックスギア20に対して回路基板41の本体部411を同軸に位置決めする作業が、容易となる。また、フレックスギア20に対する本体部411の位置決め精度を向上させることができる。
【0087】
なお、フレックスギア20の肉厚部222の内周面に、半径方向内側へ突出する複数の位置決め部を設けてもよい。そして、当該位置決め部と、本体部411の外周部とを、半径方向に接触させることにより、フレックスギア20に対する回路基板41の位置決めを行ってもよい。また、フレックスギア20および回路基板41の両方に、位置決め部を設けてもよい。すなわち、位置決め部は、フレックスギア20および回路基板41の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
【0088】
<8-2.第2変形例>
図14は、第2変形例に係るトルク検出センサ40およびダイヤフラム部221の部分断面図である。
図14の例では、回路基板41は、抵抗線パターンR1,R2が実装された面をダイヤフラム部221の表面に向けた状態で、ダイヤフラム部221に固定されている。このようにすれば、ダイヤフラム部221の表面と抵抗線パターンR1,R2とが接近する。これにより、ダイヤフラム部221にかかるトルクを、より精度よく検出できる。
【0089】
回路基板41とダイヤフラム部221とは、流動性を有する接着剤ではなく、両面接着テープ44を介して固定される。このため、回路基板41とダイヤフラム部221の表面との間に、一定の間隔を確保できる。したがって、金属製のダイヤフラム部221と、抵抗線パターンR1,R2との間において、絶縁を保つことができる。
【0090】
<8-3.他の変形例>
上記の実施形態では、ブリッジ回路42および信号処理回路43の両方が、回路基板41に実装されていた。しかしながら、信号処理回路43は、回路基板41の外部に設けられていてもよい。
【0091】
また、上記の実施形態では、各抵抗線パターンの材料に、銅または銅を含む合金が使用されていた。しかしながら、抵抗線パターンの材料に、コンスタンタン、SUS、アルミニウム等の他の金属を用いてもよい。また、抵抗線パターンの材料に、セラミックスや樹脂などの非金属材を用いてもよい。また、抵抗線パターンの材料に、導電性インクを用いてもよい。導電性インクを用いる場合には、回路基板41の表面に、導電性インクで各抵抗線パターンをプリントすればよい。
【0092】
また、上記の実施形態のフレックスギア20では、ダイヤフラム部221が、筒状部21の基端部から半径方向外側へ向けて広がっていた。しかしながら、ダイヤフラム部221は、筒状部21の基端部から半径方向内側へ向けて広がるものであってもよい。
【0093】
また、上記の実施形態では、トルク検出の対象物が、フレックスギア20であった。しかしながら、上記実施形態と同等の構造を有するトルク検出センサ40を、フレックスギア20以外の円形体にかかるトルクを検出するために、用いてもよい。
【0094】
上記の実施形態の第1の抵抗線パターンR1、第2の抵抗線パターンR2、第3の抵抗線パターンR3、および第4の抵抗線パターンR4は、全て、円形体の周方向の歪みを検出する周方向歪み検出用抵抗線パターンである。これらの抵抗線パターンの数や位置は、適宜に設計変更可能である。その他、トルク検出センサおよび動力伝達装置の細部の構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変更してもよい。また、上記の各実施形態および各変形例に登場した要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【0095】
本出願は、2019年1月18日に出願された日本特許出願である特願2019-007141号に基づく優先権を主張し、当該日本特許出願に記載されたすべての記載内容を援用する。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本願は、トルク検出センサおよび動力伝達装置に利用できる。
【符号の説明】
【0097】
1 動力伝達装置
9 中心軸
10 インタナルギア
11 内歯
20 フレックスギア
21 筒状部
22 平板部
23 外歯
30 波動発生器
31 カム
32 可撓性軸受
40 トルク検出センサ
41 回路基板
42 ブリッジ回路
43 信号処理回路
44 両面接着テープ
221 ダイヤフラム部
222 肉厚部
411 本体部
412 フラップ部
413 位置決め部
L,L1,L2 仮想直線
M1,M2 中点
R1 第1の抵抗線パターン
R2 第2の抵抗線パターン
R3 第3の抵抗線パターン
R4 第4の抵抗線パターン
Ra 第1固定抵抗
Rb 第2固定抵抗
Rh 温度検出用抵抗線パターン
Rt スラスト歪み検出用抵抗線パターン
Ro 外側抵抗線パターン
Ri 内側抵抗線パターン
V 電圧計
r1 第1抵抗線
r2 第2抵抗線
r3 第3抵抗線
r4 第4抵抗線
ro 外側抵抗線
ri 内側抵抗線