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▶ チャイナ・タバコ・カントン・インダストリアル・カンパニー・リミテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】加熱非燃焼式巻きタバコ
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/20 20200101AFI20230501BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20230501BHJP
【FI】
A24F40/20
A24D1/20
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020573409
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 CN2019095698
(87)【国際公開番号】W WO2020258385
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2021-01-06
(31)【優先権主張番号】201910568122.3
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520510416
【氏名又は名称】チャイナ・タバコ・カントン・インダストリアル・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CHINA TOBACCO GUANGDONG INDUSTRIAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】8-16F, No.186, Linhexiheng Road, Tianhe District Guangzhou, Guangdong 510500 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】リウ イーポー
(72)【発明者】
【氏名】リー フォン
(72)【発明者】
【氏名】フー チン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ ルイフォン
(72)【発明者】
【氏名】ルー チーチン
(72)【発明者】
【氏名】スン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リウ シー
(72)【発明者】
【氏名】リー ホアンウェイ
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-527127(JP,A)
【文献】特表2005-517421(JP,A)
【文献】特表2016-538850(JP,A)
【文献】特表2015-504667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/20
A24D 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備える加熱非燃焼式巻きタバコであって、
前記巻きタバコは、ミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、前記煙収集セクションが前記ミスト発生基材と唇側セクションとの間に位置し、
前記ミスト発生基材セクションは、全部又は一部がタバコ又は処理済みのタバコ成分であり、前記タバコ成分は、黄色種タバコ、混合型タバコ、空気乾燥タバコ、再生タバコ、膨張タバコのうちの1種及びこれらの任意の組み合わせを含み、
前記巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、前記P/Pの比が50~80%であり、かつ前記ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗をP21とすると、P21/Pの比が66%~75%である、ことを特徴とする加熱非燃焼式巻きタバコ。
【請求項2】
前記P/Pの比が50%、前記P21/Pの比が66%~75%である、ことを特徴とする請求項に記載の加熱非燃焼式巻きタバコ。
【請求項3】
前記巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗Pが200~700Paである、ことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱非燃焼式巻きタバコ。
【請求項4】
前記巻きタバコの喫煙抵抗Pが150~500Paである、ことを特徴とする請求項に記載の加熱非燃焼式巻きタバコ。
【請求項5】
前記ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗P21が100~400Paである、ことを特徴とする請求項に記載の加熱非燃焼式巻きタバコ。
【請求項6】
前記煙収集セクションの空隙率が≧60%である、ことを特徴とする請求項に記載の加熱非燃焼式巻きタバコ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルの技術分野に属し、より具体的には、加熱非燃焼式巻きタバコに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱非燃焼式巻きタバコは、通常、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、ヒータは、通常、電源、加熱素子、巻きタバコ収容室、開口、制御素子、及び上記部を収容するケースを備え、巻きタバコが開口から巻きタバコ収容室に出入りし、発熱素子と直接接触又は間接的に接触し、熱が加熱素子を介して巻きタバコに伝達され、使用者に供給するエアロゾルが形成される。
【0003】
エアロゾル形成過程に亘って、加熱素子は操作に必要な範囲の温度とするために加熱を行い、揮発性化合物を放出させ、エアロゾルが使用者の口腔に至るまで通路全体における複数の箇所に喫煙抵抗が存在し、全体の喫煙抵抗の大きさが複数種の要因の変化の結果によるものであり、これらの要因には、巻きタバコの特定の性質及び構造のタイプ、キャビティに配置された巻きタバコの数量、及びヒータのエアチャンネルの設計方式などが含まれる。喫煙抵抗は、実際には、エアロゾルの発生における気流の順調さを反映するものであり、消費者の喫煙時の直感的なエクスペリエンスであり、喫煙の官能品質や煙の温度、唇側セクションでの温度に大きく影響する指標の1つでもある。したがって、加熱非燃焼式巻きタバコは、喫煙抵の抗安定性、喫煙抵抗の大きさ及び各部材の喫煙抵抗の分布のいずれも全体の喫煙エクスペリエンスに影響し、消費者による製品の受け入れへ影響を直接与える。
【0004】
従来技術では、喫煙抵抗の低下及び喫煙抵抗の調整性のいずれにも多くの開示があるが、巻きタバコであるエアロゾル形成基材又は加熱部材だけについてのものが多く、電気加熱型エアロゾル生成製品全体の喫煙抵抗の発生及び全体の喫煙エクスペリエンスに対するその相対的な分布の影響についての研究が少なく、ただし、巻きタバコの喫煙抵抗又は加熱部材の喫煙抵抗だけを調整すれば、最終的なエアロゾル発生過程における全体の喫煙抵抗による喫煙感への影響を確保できず、所望の官能効果の向上も不安定である。従来技術CN109090705Aでは、新型低喫煙抵抗チャネル付きフィルタロッドが開示されており、該技術案におけるチャネル付きフィルタロッドは、エンボス加工されたチャンネル成形用紙を、開繊して助剤を施したトウの外に包んで、次に、フィルタロッド成形紙及びシーリング接着剤を用いて巻いて成形させたものであり、さまざまな長さ及び円周の規格を有し、圧力降下が10~200Pa/cmであり、波形管のような降温効果を備える低喫煙抵抗型直接貫通チャンネル付きフィルタロッドが製造され、それは、巻きタバコのフィルタロッドの喫煙抵抗低下に対応するためのものである。
【0005】
したがって、加熱非燃焼式巻きタバコについては、加熱非燃焼式巻きタバコの各部材の喫煙抵抗及びその全体の喫煙抵抗の両方を合理的に調整して、良好な喫煙感を作り出すことが期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来の加熱非燃焼式巻きタバコの喫煙抵抗の調整についての欠陥及び不備を解決するために、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用するときに総喫煙抵抗、各部分の喫煙抵抗、及び全体の喫煙抵抗に対する各部分の喫煙抵抗の割合関係を好適にする加熱非燃焼式巻きタバコを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は以下の技術案によって実現される。
【0008】
巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備える加熱非燃焼式巻きタバコであって、
前記巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、前記P/Pの比が≧50%である。
【0009】
従来の巻きタバコの喫煙抵抗は加熱非燃焼式タバコ製品の喫煙抵抗を設計する際の参照とすることができ、後者の喫煙抵抗を従来の巻きタバコの喫煙抵抗と同程度又はそれよりもわずかに低く調整することが容易に想到し得るもとであり、後者の巻きタバコの喫煙抵抗、及び対応するヒータのエアチャンネルの2つの点から設計するのは技術的には現実的である。ただし、加熱非燃焼式巻きタバコの喫煙抵抗が従来の燃焼式タバコ製品の喫煙抵抗と異なり、従来の巻きタバコでは、燃焼による消費や熱の伝達に伴い、非規則的なタバコの内部構造が変わり、喫煙抵抗が喫煙に伴い大きく変化し、喫煙抵抗が消費に対して動的に変化するものであり、消費者は自分の喫煙方式に応じてスモックの量の大きさ及び煙補償速度を決定することもでき、さらにタールを制御するために、従来の巻きタバコのフィルタロッドの喫煙抵抗及びシガレットの喫煙抵抗が一般には高く、一方、加熱非燃焼式タバコ製品は、燃焼のかわりに、加熱してベークする方法を取るため、使用前後にタバコの形態に大きな変化がなく、喫煙抵抗の変化も小さく、またタールを低下させる必要もなく、実際には、従来の巻きタバコに比べて、加熱非燃焼式巻きタバコのタールが極めて低い。したがって、喫煙抵抗を適切にし、喫煙エクスペリエンスを満足の行くようにすることが急務となっている。
【0010】
加熱非燃焼式巻きタバコの喫煙抵抗を、従来の巻きタバコと同程度又は従来の巻きタバコよりも僅か低くすると、前者と組み合わせて使用するヒータへの給気の順調さが損なわれたり、シガレットの構造が複雑化したり、ミスト発生基材の緻密さが高すぎたり、上記問題が同時に存在したりして、その結果、喫煙抵抗が非常に大きくなり、且つスモックの量の補償が不足してしまい、解決手段の1つとして、発熱素子の温度を下げることができるが、その反面、煙の降温が困難になり、ヒータを熱から保護しにくくなり、熱によるリスクが増える。また、研究から明らかなように、ミスト発生基材の適切な物理状態が、熱伝達やエアロゾルの発生に必須なものであり、規則的に軸方向に配列させたミスト発生基材及び非規則的に配列させたミスト発生基材は、熱伝達や気流経路への影響が異なり、発熱素子の挿入によるミスト発生基材の物理的形態への影響も無視できない。
【0011】
したがって、加熱非燃焼式タバコ製品に対しては、従来の巻きタバコと異なる喫煙抵抗とすることで、喫煙エクスペリエンスを確保することが現実的であり、タバコ製品のシガレットの構造設計、ミスト発生基材の適切なタイプや物理的状態の選択、及び組み合わせて使用するヒータの発熱素子、エアチャンネルの設計、制御手順を総合的に考慮する必要がある。また、各部分の喫煙抵抗の割合関係及び総喫煙抵抗の値を設定することは官能品質の大幅な向上に有利である。
【0012】
なお、本発明の各部材の喫煙抵抗の検出には、標準的な条件下で、流量17.5ml/sの安定的な気流が巻きタバコのサンプルを流れるときのサンプルの両端の圧力差を喫煙抵抗とする。
【0013】
具体的な方法は以下のとおりである。(1)電源を入れて予熱する。(2)高棒、低棒ともに適用する校正機器を用いる。(3)サンプルの出口端を機器のテストヘッド内から9mmだけ挿入して、テストヘッド内のサンプルを締める。(4)データを読み取って記録し、結果をPaで示す。
【0014】
また、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の総喫煙抵抗をテストする場合、シガレットを、組み合わせて使用するヒータの所定の位置に挿入してテストし、巻きタバコのタバコセクションをテストする場合、タバコセクションの窪みや変形を防止するためにタバコセクションを被覆材料とともに注意深く分離し、次にテストを行う。
【0015】
喫煙抵抗に影響する要素が多数あり、1つは、加熱非燃焼式巻きタバコのタバコ製品の各部の構造のサイズ、ミスト発生基材セクションの密度やタバコの形態、及び被覆材料であり、もう1つは、組み合わせて使用するヒータのエアチャンネルの設計であり、それは、熱伝達や物質移動、流体力学に係り、加熱非燃焼式巻きタバコのスモックの量、煙温度に影響し、さらに、ヒータ部分の温度や喫煙時のマウスピースの温度に影響する。
【0016】
加熱非燃焼式タバコ製品の不可欠な一部としてのヒータは、シガレットとともに喫煙エクスペリエンスに影響する。主な影響は下記3つの点である。
【0017】
パフ煙の温度及び唇側セクションでの温度
従来の巻きタバコは点火して喫煙するものであり、温度についての問題がなく、それに対して、加熱非燃焼式巻きタバコでは、温度制御への要求が高い。加熱非燃焼式巻きタバコは、ヒータ及びシガレット構造により制限されるので、最初のいくつかのパフでは温度が低く、それ以降、煙温度が徐々に低下する。煙温度が高すぎると、消費者へ灼熱感又は熱傷を与え、喫煙感に悪影響を与えるだけでなく、安全上の問題にもなり、重視しなければならない。
【0018】
パフによるスモックの量
スモックの量は、吸われた物質の量を示し、これは従来の巻きタバコと同様であり、一定量のスモックの量が必要とされる。スモックの量が小さすぎると、消費者へ満足感を与えることができず、スモックの量が大きすぎると、必要な温度又はエネルギーが大きくなり、又はミスト発生基材への要求が高まり、これは余計なことである。また、スモックの量の大きさは、従来の巻きタバコと異なってもよく、従来の巻きタバコのスモックの量よりも低くてもよく、これは環境や消費者によって受け入れられ得る。加熱非燃焼の場合は、ヒータの構造、熱源やミスト発生基材の量が小さいことにより制限されるため、一般には、パフ初期のスモックの量が大きいが、それ以降、物質の消費に伴いスモックの量が徐々に減少するという現象が生じ、また、初期のいくつかのパフのスモックの量が小さく、喫煙の中期にはスモックの量が大きく、末期にはスモックの量が小さいという現象もあり(放物線のように)、したがって、加熱非燃焼式タバコ製品では、パフごとの安定性をできるだけ維持し、又は所定のパフ数以内でスモックの量の安定性を維持すべきであり、これは、発熱素子、温度制御プログラム、エアチャンネルの設計、加熱非燃焼式シガレットの設計を総合的に作用させる必要がる。
【0019】
喫味の強さ
喫味の強さは、従来の巻きタバコと同様に、喫煙の満足感を決定するコアであり、喫味の強さを適切とすると、消費者のエクスペリエンス向上に有利である。
【0020】
予熱時間
予熱時間は、喫煙できるまでに消費者がウェイトする時間を決定するものであり、従来の巻きタバコにはこのような問題がない。加熱非燃焼式巻きタバコの場合、予熱時間を適切にすると、ミスト発生基材セクションが十分にベークされるとともに、喫煙のスモックの量が確保され、満足感が向上し、また、良好な温度制御作用があり、ただし、予熱時間が長すぎると、大量のエネルギーが消費されるとともに、ウェイト時間が長くなる。予熱時間は、発熱素子、制御方法、巻きタバコの構造及びエアロゾル形成基材の形態を決定する。
【0021】
喫煙抵抗
喫煙抵抗は、喫煙するときの抵抗の大きさを表し、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータのエアチャンネルの順調さを反映し、従来型タバコでは、喫煙抵抗は、巻きタバコの官能品質やタール量に大きい影響を与える物理的指標であり、一般には、喫煙抵抗が増大すると、煙の濃厚さが低くなり、喫煙抵抗が大きすぎると喫煙が困難になり、加熱非燃焼式タバコ製品では、喫煙抵抗はスモックの量に影響するだけでなく、煙温度、ヒータの温度にも関連し、喫煙抵抗を適切にすることは、消費者のエクスペリエンスにとって重要である。
【0022】
本発明のヒータは、電池を備える電気ヒータであってもよく、電池を備えない電気ヒータであってもよい。電気ヒータは、外周加熱方式であってもよく、中心加熱方式やタバコ物質を含めるエアロゾル形成基材を、エアロゾルの発生に必要な温度範囲に加熱し得る他の任意の加熱装置であってもよい。
【0023】
本発明のヒータは、赤外線加熱など、他の加熱方式で加熱するヒータであってもよい。
【0024】
より好ましくは、前記P/Pの比が50~85%である。たとえばP/Pの比が50%、P/Pの比が80%、又はP/Pの比が85%であってもよい。
【0025】
好ましくは、前記巻きタバコセクションは、ミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、前記煙収集セクションが前記ミスト発生基材セクションと唇側セクションとの間に位置し、前記ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗がP21であり、ここで、P21/Pの比が50%~90%である。
【0026】
なお、本発明のミスト発生基材セクションは、タバコ原料を含む加熱非燃焼式用タバコ製品の任意の形態としてもよい。
【0027】
ミスト発生基材セクションは、加熱されるとエアロゾルを発生させる役割を果たし、その成分の全部又は一部がタバコ又は処理済みのタバコ成分である。前記タバコ成分は、黄色種タバコ、混合型タバコ、空気乾燥タバコ、再生タバコ、膨張タバコのうちの1種及びこれらの任意の組み合わせを含むが、これらに制限されない。前記タバコの形態については、長尺状、糸状、シート状、粒子、粉末のうちの1種及びこれらの組み合わせに制限されない。前記ミスト発生基材セクションは、上記1種又は複数種のタバコ成分からなる非規則的な構造であってもよく、上記1種又は複数種のタバコ成分からなる規則的な構造又は均質な構造であってもよい。また、前記ミスト発生基材セクションは、プロピレングリコール、グリセリンなど、加熱されると霧を発生させ得る成分、又は霧発生成分を含む物質を一定量で含んでもよく、また、香り強化、スタイル調整、ある成分をマスキングしたりその放出を抑制する効果を奏する他の成分や組成を含んでもよい。
【0028】
前記ミスト発生基材セクションに含まれる物質の重量又は密度を好適な範囲とする必要があり、このようにすると、スモックの量を確保し、喫煙抵抗を調整し、熱を素早く効率的に伝達することができ、重量又は密度が小さすぎると、製造しにくくなり、スモックの量が不足になり、重量又は密度が大きすぎると、気流の順調さが損なわれて、喫煙抵抗が大きくなる。
【0029】
本発明では、煙収集セクションは、一定の空隙又は貫通孔構造を有する材料からなるものであり、主に、タバコ物質を含めるエアロゾル形成基材が発生したエアロゾルを仮貯蔵することで、喫煙するときに喫煙抵抗を低下させ、エアロゾルを消費者にいち早く提供する役割や、物理的なスペース又は特殊な構造、材料を通じて熱を効率的に交換し、煙を降温する効果を果たす役割を果たし、また、一定の強度を有する構造材料によって支持作用を果たし、製作、輸送や使用中のシガレット構造の変形を回避する役割もある。
【0030】
前記煙収集セクションは、1種の材料又は複数種の材料、又は複合材料を用いてもよいし、無機非金属材料、高分子材料、金属材料及びこれらの組み合わせを用いてもよいし、高熱伝導率の材料を用いてもよいし、相変化材料を用いてもよく、また、単一の構造、又は複数種の構造を一定の規則に従って軸方向に配列させることができ、さらに、実際のニーズに応じて、当該エアロゾルに対してある成分で処理、保湿、増香及び香気調整処理を行ってもよい。本発明では、唇側セクションは、エアロゾルが使用者の口腔に接する側であり、エアロゾルが巻きタバコによる各段の処理を受けた後、唇側セクションを介して使用者の口腔に吸い込まれる。
【0031】
好ましくは、前記P21/Pの比が50%~80%である。
【0032】
より好ましくは、前記P/Pの比が50%、前記P21/Pの比が66%~75%である。
【0033】
好ましくは、前記巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗Pは200~700Paである。たとえば200Pa、600Pa又は700Paであってもよい。
【0034】
好ましくは、前記巻きタバコセクションの喫煙抵抗Pが150~500Paである。好ましくは、前記ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗P21が100~400Paである。
【0035】
上記加熱非燃焼式巻きタバコの各セクションの喫煙抵抗を制御し、また全体の喫煙抵抗の分布を制御するために、好ましくは、前記煙収集セクション的空隙率が≧60%である。
【0036】
好ましくは、前記煙収集セクションは、軸方向に順次配列させた複数種の部分又は構造、又は軸方向に沿って変化する1種の構造を含み、エアロゾルが流れる経路のうち少なくとも一部又は1種の構造の煙収集セクションの空隙率が≧60%である。
【発明の効果】
【0037】
従来技術に比べて、本発明の有益な効果は以下のとおりである。
【0038】
(1)本発明は、加熱非燃焼式巻きタバコを提供し、該加熱非燃焼式巻きタバコのヒータや巻きタバコの喫煙抵抗、及びこれらの喫煙抵抗と全体の喫煙抵抗との割合関係を制御することにより、喫煙感を大幅に向上させ、スモックの量や煙温度を約8点、全体の喫煙官能スコアを約8点とすることができ、スモックの量がより豊富になり、煙温度及びマウスピース温度がともにある程度低下し、それにより、使用者のニーズによりよく応えられる。
【0039】
(2)本発明の加熱非燃焼式巻きタバコでは、巻きタバコセクションの喫煙抵抗が、加熱非燃焼式巻きタバコ全体の喫煙抵抗の50%以上を占め、それにより、エアチャンネルの設計最適化及び空気の適当な供給を実現し、喫煙抵抗とスモックの量をバランスよくし、喫煙エクスペリエンスを向上させる。
【0040】
(3)本発明の加熱非燃焼式巻きタバコでは、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗が巻きタバコセクションの喫煙抵抗の50%~90%を占め、それにより、煙のスモックの量が十分であり、遮断が低下するという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、具体的な実施形態を参照しながら本発明をさらに説明するが、実施例は本発明を何ら限定するものではない。特に断らない限り、本発明の実施例で使用される原料試薬は一般的に購入できる原料試薬である。
【0042】
実施例1
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%である。
【0043】
実施例2
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が80%である。
【0044】
実施例3
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%であり、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗をP21とすると、P21/Pの比が50%である。
【0045】
実施例4
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%であり、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗をP21とすると、P21/Pの比が80%である。
【0046】
実施例5
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%であり、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗をP21とすると、P21/Pの比が66%である。
【0047】
実施例6
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗P、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%であり、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗をP21とすると、P21/Pの比が75%である。
【0048】
実施例7
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%であり、Pは200Paであり、巻きタバコの喫煙抵抗Pは150Paであり、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗P21は100Paである。
【0049】
実施例8
加熱非燃焼式巻きタバコは、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコはミスト発生基材セクション、煙収集セクション、及び唇側セクションを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、P/Pの比が50%であり、Pは600Paであり、巻きタバコの喫煙抵抗Pは500Paであり、ミスト発生基材セクションの喫煙抵抗P21は400Paである。
【0050】
比較例1
エアロゾル生成製品は、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとを備え、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗をP、巻きタバコの喫煙抵抗をPとすると、前記P/Pの比が40%である。
【0051】
結果検出
本発明では、喫煙抵抗を調整することは、主に、給気効果を改善し、エアロゾルの発生に寄与し、エアロゾルに対する遮断を減らし、煙温度の低下に寄与し、スモックの量、煙温度を含める喫煙の官能エクスペリエンスを向上させるという有益な効果がある。スコアを合計10点とし、スモックの量の場合、1~3点はスモックの量が小さいことを示し、4~6点はスモックの量が適当であることを示し、7~8点はスモックの量が比較的十分であることを示し、9~10点はスモックの量が十分であることを示し、煙温度の場合、1~3点は煙温度が高いことを示し、4~6点は煙温度が比較的高いことを示し、7~8点は煙温度が比較的好適であることを示し、9~10点は煙温度が好適であることを示し、総合的な評価は、スモックの量の大きさ、煙温度及び煙放出の一致性に関するものであり、1~3点は全体として比較的悪いことを示し、4~6点は一般であることを示し、7~8点は比較的良好であることを示し、9~10点は全体として良好であることを示す。
【0052】
(1)総合的な喫煙官能評価
表1 各実施例及び比較例の官能評価のスコアリングテーブル
【0053】
なお、以上のテストには、ヒータとして同一のものが使用され、給気の通路及び方式が異なる以外、発熱素子、温度制御プログラム及び全体の構造が同じであり、上記相違は喫煙抵抗の値で反映する。
【0054】
(2)関連指標の検出
a.スモックの量について減量法によりテストし、ISO基準喫煙方法によって行い、つまり35ml/2s/30sとした。7パフ吸った後、喫煙前後の品質の差を計算し、各実施例のテスト結果を比較例1の結果で割って、煙量の相対値を得た。
【0055】
b.唇側から5mm離れたシガレットの表面温度及び中心位置の煙温度を熱電対でテストし、7パフについてテストした煙の最高温度の値及びシガレット表面の最高温度の値を得た。
【0056】
表2 官能に関するテストデータの表
【0057】
上記実施例及び比較例1のデータから分かるように、本発明では、巻きタバコの喫煙抵抗は、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗の50%以上に制御され、巻きタバコの喫煙抵抗が、巻きタバコと、それと組み合わせて使用するヒータとの両方を使用する場合の喫煙抵抗を占める比較例1に比べて、喫煙するときのスモックの量も、煙及びマウスピースの最高温度も改善し、喫煙するときのスモックの量は、比較例1よりも豊富になり、煙及びマウスピースの最高温度はともに一定の程度低下したが、全体の喫煙感はすべて大幅に向上し、上記喫煙官能スコアの結果と一致した。
【0058】
もちろん、本発明の上記実施例は、本発明を明確に説明するための例示に過ぎず、本発明の実施形態を限定するものではない。当業者であれば、上記説明に基づいて他のさまざまな形態の変化又は変更を行うことができる。ここですべての実施形態を挙げることが必要ではなく、また不可能なことである。本発明の精神及び原則を逸脱することなく行われるすべての修正、等同置換や改良などは、本発明の特許請求の範囲の特許範囲に含まれるものとする。