(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】セジラニブの一定間欠投与を含む方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/517 20060101AFI20230501BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230501BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230501BHJP
C07K 16/28 20060101ALN20230501BHJP
【FI】
A61K31/517 ZMD
A61P43/00 105
A61P35/00
A61K31/517 ZNA
C07K16/28
(21)【出願番号】P 2021064539
(22)【出願日】2021-04-06
(62)【分割の表示】P 2018542709の分割
【原出願日】2017-02-14
【審査請求日】2021-04-06
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】300022641
【氏名又は名称】アストラゼネカ アクチボラグ
(73)【特許権者】
【識別番号】502006782
【氏名又は名称】アメリカ合衆国
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】バリー,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ケンドリュー,ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ホー,トニー
(72)【発明者】
【氏名】ウェッジ,スティーヴン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アイビー,スーザン・パーシー
(72)【発明者】
【氏名】コーン,エリーゼ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジョン-ミン
【審査官】伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0035317(US,A1)
【文献】特表2008-514576(JP,A)
【文献】The Lancet Oncology,2014年,15(11),pp.1207-1214
【文献】伊藤正男 他,医学書院 医学大辞典,株式会社 医学書院,2003年03月01日,第448頁
【文献】Childs Nerv Syst.,2015年,31(9),pp.1433-1445
【文献】Invest New Drugs,2007年,25,pp.445-451
【文献】European Journal of Cancer,2013年,49,pp.2972-2978
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
必要とする温血動物において血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすための方法における使用のための組成物であって、
固定間欠投与計画に準じた少なくとも2回の投与サイクルでセジラニブを含む組成物が投与され、
前記固定間欠投与計画が、
(1)サイクルの連続5日間における有効量の前記組成物の投与、次いで、サイクルの連続2日間において前記組成物が投与されないこと、または
(2)サイクルの連続4日間における有効量の前記組成物の投与、次いで、サイクルの連続3日間において前記組成物が投与されないこと
を含む、組成物。
【請求項2】
前記温血動物がヒトである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
固定間欠投与計画に準じたセジラニブを含む組成物の投与サイクルが7日からなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
組成物が、連続5日間投与され、その後の休止が2日間である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が、連続4日間投与され、その後の休止が3日間である、請求項
3に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを30mgの量で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを20mgの量で含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
パートナー薬および他の治療薬から選択される少なくとも1つの他の成分を投与することをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記パートナー薬が、DNA損傷応答阻害剤、免疫チェックポイント阻害剤、腫瘍細胞標的化治療剤、および化学療法剤から選択される、請求項
8に記載の組成物。
【請求項10】
前記パートナー薬が、PARP阻害剤から選択される、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
前記PARP阻害剤がオラパリブである、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
前記パートナー薬が、免疫チェックポイント阻害剤から選択される、請求項
9に記載の組成物。
【請求項13】
前記免疫チェックポイント阻害剤が、MEDI4736(デュルバルマブ)である、請求項
12に記載の組成物。
【請求項14】
前記パートナー薬が、化学療法剤から選択される、請求項
9に記載の組成物。
【請求項15】
前記化学療法剤が、プラチナに基づく化学療法剤、タキサンに基づく化学療法剤、およびイリノテカンから選択される、請求項
14に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
必要とする温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすための方法が、本明細書で開示され、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の投与サイクルを反復することを含む。さらに本明細書で開示されるのは、必要とする温血動物、例えばヒトにおいて血管新生に関連した少なくとも1つの病態を治療する方法であって、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の投与サイクルを反復することを含む、方法である。固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む組成物が連続1日以上のサイクルで投与され、その後、前記組成物が投与されない連続1日以上の休止(残り:rest)を含む。これらの方法は、セジラニブを含む組成物の使用のみを含み、従って単独療法で用いられてもよく、または1つ以上のパートナー薬の投与をさらに含んでもよく、従って併用療法で用いられてもよい。
【0002】
有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量を低減する新しい方法、ならびにセジラニブ投与に起因する有害事象および毒性を低減する方法であって、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の投与サイクルを反復することを含む、方法が本明細書で開示される。
【0003】
開示される方法は、セジラニブの総用量の減少に対するVEGF経路に対するカバー(cover)を維持し得、それ故、セジラニブの治療指数全体を改善するための方法も提供し得る。さらに、これらの開示は、併用療法を用いるがん治療の間、健常な非がん組織の修復を増強する新しい方法を提供する。
【背景技術】
【0004】
血管新生、すなわち新しい血管形成の過程は、胚発生、創傷治癒および雌生殖機能の幾つかの要素を含む種々の過程において重要な役割を果たす。望ましくないかまたは病的な血管新生は、糖尿病性網膜症、乾癬、がん、関節リウマチ、アテローム、カポジ肉腫および血管腫を含む病態に関連している(Fan et al,1995,Trends Pharmacol.Sci.16:57-66;Folkman,1995,Nature Medicine 1:27-31)。実際、血管新生は、腫瘍成長および転移に必須である(Folkman J.Tumor angiogenesis:therapeutic implications.N.Engl.J.Med.1971;285:1182-6;Cullinan-Bove et al,1993,Endocrinology 133:829-837;Senger et al,1993,Cancer and Metastasis Reviews,12:303-324)。
【0005】
したがって、血管新生の阻害は、がん治療において有望視されている。血管形成の破壊は、血管新生過程における幾つかのステージで生じ得る。血管内皮増殖因子(VEGF)は、重要な血管新生促進因子であることが知られていることから(Ferrara N.Molecular and biological properties of vascular endothelial growth factor.J.Mol.Med.1999;77:527-43;Ferrara N.VEGF and the quest for tumor angiogenesis factors.Nature Reviews Cancer 2002;2:795-803.)、VEGFおよびその受容体(VEGFR)は、血管新生の阻害における標的である(Kim et al,1993,Nature 362:841-844)。
【0006】
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞の原形質膜を貫通する生化学的シグナルの
伝達において重要である。これらの膜貫通分子は、特徴的に、原形質膜内のセグメントを通じて細胞内チロシンキナーゼドメインに接続された細胞外リガンド結合ドメインからなる。リガンドの受容体への結合により、受容体関連チロシンキナーゼ活性の刺激がもたらされ、受容体および他の細胞内分子の双方に対するチロシン残基のリン酸化が生じる。チロシンリン酸化におけるこれらの変化は、シグナル伝達カスケードを開始させ、種々の細胞応答をもたらす。現在まで、アミノ酸配列相同性によって規定される、少なくとも19の異なるRTKサブファミリーが同定されている。これらのサブファミリーの1つが現在、fms様チロシンキナーゼ受容体Flt-1、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体KDR(Flk-1とも称される)、および別のfms様チロシンキナーゼ受容体Flt-4によって含まれる。これらの関連RTKの中の2つ、Flt-1およびKDRは、VEGFに高親和性で結合することが示されている(De Vries et al,1992,Science 255:989-991;Terman et al,1992,Biochem.Biophys.Res.Comm.1992,187:1579-1586)。異種細胞において発現されるVEGFのこれら受容体への結合は、細胞タンパク質およびカルシウムフラックスのチロシンリン酸化状態における変化に関連している。
【0007】
VEGFの効果を阻害する化合物は、血管新生および/または血管透過性亢進に関連した病態、例えばがん(白血病、多発性骨髄腫およびリンパ腫を含む)、糖尿病、乾癬、関節リウマチ、カポジ肉腫、血管腫、急性および慢性腎障害、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫性疾患、急性炎症、過剰な瘢痕形成および癒着、子宮内膜症、リンパ浮腫、機能障害性子宮出血および黄斑変性症を含む網膜血管増殖を伴う眼疾患の治療において有用である。
【0008】
ヒト血管内皮上に、関連のチロシンキナーゼ活性を伴うVEGFにおける2つの高親和性受容体、すなわちVEGFR-1およびVEGFR-2が同定されている。VEGFR遺伝子ファミリーの第3のメンバーVEGFR-3は、新しい血管の形成を開始させる内皮先端細胞の調節における主要な役割を果たし、リンパ脈管新生にとって重要であると考えられる。VEGFR-3は、リガンドVEGF-CおよびVEGF-Dにより活性化され、VEGFR-2とのクロストークの可能性を有する。腫瘍増殖の媒介におけるそれらの相対的寄与は解明されていないが、幾つかの研究では、VEGFR-2が主要な役割を有し得ることが示唆される(Ferrara N. Molecular and biological properties of vascular endothelial growth factor.J.Mol.Med.1999;77:527-43)。
【発明の概要】
【0009】
セジラニブは、本明細書で用いられるとき、AZD2171マレイン酸塩とも称される、4-[(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ]-6-メトキシ-7-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]キナゾリンマレイン酸塩のIUPAC名を有する化合物を指し、以下の構造:
【化1】
を有する。
【0010】
本明細書で用いられるとき、セジラニブは、その塩、エステル、プロドラッグ、水和物、および溶媒和化合物を含む。
【0011】
遊離塩基4-[(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ]-6-メトキシ-7-[3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ]キナゾリンは、国際公開第00/47212号パンフレット(および米国特許第7,074,800号明細書)中の例えば実施例240に例示されている。そのマレイン酸塩のセジラニブは、米国特許第8,859,570号明細書に開示および例示されている。
【0012】
セジラニブは、VEGF-A、B、C、およびDに対する受容体として作用する、全部で3つのVEGF受容体(VEGFR-1、-2、-3)の経口的に活性なVEGF受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤である。3つ全部のVEGFRを標的化することにより、VEGFシグナル伝達経路の包括的阻害がもたらされる。VEGFR-2を介するシグナル伝達の阻害は、血管新生、血管新生生存、および血管透過性を低減する。加えて、VEGFR-3を介するシグナル伝達の阻害は、リンパ脈管新生を低減し、転移拡散の低下に寄与する。セジラニブは、微細血管密度および転移における低下に関連した前臨床モデルの範囲内で、用量依存的様式で腫瘍の成長を阻害することが報告されている。集合的に、これらの変化は、セジラニブがVEGFRファミリーの阻害を介して腫瘍成長、転移、および血管透過性を阻害することを示す(Brave et al.Assessing the activity of cediranib,a VEGFR-2/3
tyrosine kinase inhibitor,against VEGFR-1 and members of the structurally related PDGFR family.Mol.CancerTher.2011;10(5):861-73;Heckman et al.The tyrosine kinase inhibitor cediranib blocks ligand-induced vascular endothelial growth factor receptor-3 activity and lymphangiogenesis.Cancer Res.2008;68(12):4754-62;Smith et al.Acute pharmacodynamics and antivascular effects of the vascular endothelial
growth factor signaling inhibitor AZD2171 in Calu-6 human lung tumor xenografts.Mol.Cancer Ther.2007;6(8):2198-208;Wedge et al.AZD2171:A Highly Potent,Orally Bioavailable,Vascular Endothelial Growth Factor Receptor-2 Tyrosine Kinase Inhibitor for the Treatment of Cancer.Cancer Res.2005;65:4389-400.)。
【0013】
セジラニブは、例えば結腸直腸がん、神経膠芽腫、非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、腎細胞がん(RCC)、胞状軟部肉腫(ASPS)、および卵巣がんを含む複数の腫瘍タイプにおける単独療法および併用療法試験の双方、ならびに他の腫瘍タイプの範囲内の多数のシグナル探索試験を含む広範な臨床プログラムにおいて評価されている。セジラニブの実現可能性、活性、および薬物動態(PK)が、カルボプラチンおよびパクリタキセル(Laurie et al.Phase I pharmacokinetic study of daily oral AZD2171,an
inhibitor of vascular endothelial growth factor tyrosine kinases,in combination
with carboplatin and paclitaxel in pati
ents with advanced non-small cell lung cancer:the National Cancer Institute of Canada Clinical Trials Group.J.Clin.Oncol.2008;26(11):1871-78)ならびにシスプラチンおよびゲムシタビン(Goss et al.Phase I pharmacokinetic study of daily oral cediranib,an inhibitor of vascular endothelial growth factor tyrosine kinases,in combination with cisplatin and gemcitabine in patients with advanced non-small cell lung cancer:a study
of the National Cancer Institute of Canada Clinical Trials Group.Eur.J.Cancer 2009;45(5):782-8)と組み合わせて探索されている。
【0014】
必要とする温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすための方法が、本明細書で開示され、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の投与サイクルを反復することを含む。別の態様では、必要とする温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすための方法であって、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の少なくとも2回の投与サイクルを含む、方法が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、必要とする温血動物、例えばヒトにおいて血管新生に関連した少なくとも1つの病態を治療する方法であって、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の投与サイクルを反復することを含む、方法である。さらに本明細書で開示されるのは、必要とする温血動物、例えばヒトにおいて血管新生に関連した少なくとも1つの病態を治療する方法であって、固定間欠投与計画に準じたセジラニブを含む組成物の少なくとも2回の投与サイクルを含む、方法である。固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む組成物が連続1日以上のサイクル、例えば少なくとも連続2日間投与され、その後、前記組成物が投与されない、連続1日以上の休止(rest)、例えば少なくとも連続2日間の休止、を含む方法を含む。これらの方法は、セジラニブを含む組成物の使用のみを含み、従って単独療法で用いられてもよく、または1つ以上のパートナー薬の投与をさらに含んでもよく、従って併用療法で用いられてもよい。
【0015】
有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量を低減する新しい方法、ならびにセジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性を低減する方法であって、固定間欠投与計画に準じてセジラニブを含む組成物の投与のサイクル、例えば少なくとも2回のサイクルを反復することを含む、方法が本明細書で開示される。セジラニブにおけるリスクとして同定された有害事象および毒性の非限定例として、下痢、重篤な疲労、重篤な好中球減少症および熱性好中球減少症、高血圧、胃腸穿孔、瘻孔、動脈血栓塞栓症および可逆性後頭葉白質脳症(PRES)が挙げられる。
【0016】
開示される方法は、セジラニブの総用量の減少に対するVEGF経路に対するカバーを維持し得、ひいてはセジラニブの治療指数全体を改善するための方法も提供し得る。さらに、これらの開示は、併用療法を用いるがん治療の間、健常な非がん組織の修復を増強する新しい方法を提供する。
【0017】
固定間欠投与計画に準じたセジラニブを含む組成物の投与を含む新しい方法は、意外にも、セジラニブからの7days offを含む投与スケジュールと異なり、さらに患者における有害事象により要求される継続投与計画からの不定期の休薬(dose holidays)を含む先行試験と異なり、腫瘍制御の維持をもたらすことがある。それにより、新しい方法は、有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの減少した
総用量の投与を可能にする。したがって、新しい投与計画を用いることにより、セジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性を、VEGF経路に対するカバーを維持しながら低減する方法が提供される。さらにこれは、併用療法を用いるがん治療の間での健常な非がん組織の修復を増強する方法を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】
図1A~Pは、1日1回継続(QDCont)、1日1回で5days on、2days off(QD5on2off)、または1日1回で4日(QD4on3off)の投与計画に従い、a)0.6mg/kg(
図1A~1D)、b)1.2mg/kg(
図1E~1H)、c)2.4mg/kg(
図1I~L)、またはd)4.8mg/kg(
図1M~1P)で投与された、各々の、前臨床モデルにおけるセジラニブのモデル化された経時的平均遊離血漿濃度を示す。水平線は、指示通り、pVEGFR、pKit、pPDGFRαおよびpPDGFRβの阻害についてインビトロで作成された細胞のIC
50値を示す。VEGFRおよびKitのカバーを例示するプロットについては、R-Pは細胞に基づくアッセイにおける受容体リン酸化を表し;C-Pは細胞増殖を表し;VEGFRプロットについては、T-Gは内皮-線維芽細胞共培養アッセイにおける尿細管成長を表す。関連する細胞株が示される。PDGFRαおよびβのカバーを表すグラフでは、PDGFRαおよびPDGFRβのリン酸化ならびにPDGFBBまたはPDGFAAの駆動性増殖の阻害が関連する細胞株と一緒に示される。
【
図2】セジラニブの20mgおよび15mgの投与における時間に対するヒトにおけるセジラニブへの遊離薬物曝露のモデル化された平均(modelled mean)(黒線)を示す。
【
図3】(Calu6、A498、およびSW620腫瘍異種移植片において実施された)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ6(3回の7日サイクルで、1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で5日間、その後、溶媒を1日1回で2日間)を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。データは、平均(+/-平均値の標準誤差)として示される。nは、関連日に最終処分された動物の数を示す。
【
図4】(Calu6、A498、およびSW620腫瘍異種移植片における)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ7(3回の7日サイクルで、3mg/kgのセジラニブを1日1回で5日間、その後、溶媒を1日1回で2日間)を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。データは、平均(+/-平均値の標準誤差)として示される。nは、関連日に最終処分された動物の数を示す。
【
図5】(Calu6、A498、およびSW620の)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ8(3回の7日サイクルで、1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で3日間、その後、溶媒を1日1回で4日間)を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。データは、平均(+/-平均値の標準誤差)として示される。nは、関連日に最終処分された動物の数を示す。
【
図6】(Calu6、A498、およびSW620の)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ9(3回の7日サイクルで、3mg/kgのセジラニブを1日1回で3日間、その後、溶媒を1日1回で4日間)を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。データは、平均(+/-平均値の標準誤差)として示される。nは、関連日に最終処分された動物の数を示す。
【
図7】OV2022(卵巣がん)患者由来の腫瘍異種移植片モデルにて実施された有効性試験からの平均腫瘍体積対時間を示す。この試験では、セジラニブとオラパリブとの組み合わせが比較され、ここでセジラニブは、1日1回、または5days on、2days offスケジュールで1日1回投与された。グループ1-対照、グループ2-セジラニブ3mg/kgを1日1回、グループ3-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off、グループ4-オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ5-セジラニブ3mg/kgを1日1回+オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ6-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off+オラパリブ100mg/kgを1日1回。
【
図8】試験における腫瘍保有動物の各群における体重変化を示す。この試験では、セジラニブとオラパリブとの組み合わせが比較され、ここでセジラニブは、1日1回、または5days on、2days offスケジュールで1日1回投与された。グループ1-対照、グループ2-セジラニブ3mg/kgを1日1回、グループ3-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off、グループ4-オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ5-セジラニブ3mg/kgを1日1回+オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ6-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off+オラパリブ100mg/kgを1日1回。
【
図9】異なる投与計画コホート(実施例5に記載のようなDL1、DL2およびDL3)における各患者において試験中に認められた腫瘍サイズにおける(ベースラインからの)最大応答を示す(すなわち、認められた最大応答は試験中の任意の時点で認められていることがある)。黒十字は、データロック時に応じて治療を受ける患者を示す。
【
図10】異なる投与計画コホート(実施例5に記載のようなDL1、DL2およびDL3)における各患者における患者の腫瘍サイズのベースラインからの経時的変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書で用いられるとき、「治療する」および「治療」は、病態、障害、血管新生および/もしくは血管透過性効果の進行、重症度および/もしくは持続期間の低減または寛解または前述のいずれかの少なくとも1つの症状の寛解を指す。一部の実施形態では、「治療する」は、進行のない生存の増加を指す。
【0020】
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、腫瘍制御の維持をもたらす。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの減少した総用量の投与を可能にする。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法は、セジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性をVEGF
経路に対するカバーを維持しながら低減する方法である。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法では、プラチナ感受性再発卵巣がんを有する温血動物が治療される。一部の実施形態では、本明細書で開示される方法では、患者の進行のない生存が改善される。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における改善は、統計学的に有意である。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における統計学的に有意な改善は、p<0.05のときである。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における統計学的に有意な改善は、p<0.01のときである。
【0021】
一部の実施形態では、本明細書で開示される方法では、患者の全生存が改善される。一部の実施形態では、患者の全生存における改善は、統計学的に有意である。一部の実施形態では、患者の全生存における統計学的に有意な改善は、p<0.05のときである。一部の実施形態では、患者の全生存における統計学的に有意な改善は、p<0.01のときである。
【0022】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすために用いられるセジラニブを含む組成物であって、固定間欠投与計画に準じて投与される、組成物が開示される。別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすために用いられるセジラニブを含む組成物であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が固定間欠投与計画に準じて投与される、組成物が開示される。
【0023】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおける血管新生に関連した少なくとも1つの病態の治療において用いられるセジラニブを含む組成物であって、一定投与計画に準じて投与される、組成物が本明細書で開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおける血管新生に関連した少なくとも1つの病態の治療において用いられるセジラニブを含む組成物であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、組成物である。
【0024】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量の低減において用いられるセジラニブを含む組成物であって、一定投与計画に準じて投与される、組成物が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおいて有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量の低減において用いられるセジラニブを含む組成物であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、組成物である。
【0025】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおけるセジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性の低減において用いられるセジラニブを含む組成物であって、一定投与計画に準じて投与される、組成物が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおけるセジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性の低減において用いられるセジラニブを含む組成物であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、組成物である。
【0026】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおけるがんの併用療法治療の間、健常な非がん組織の修復の増強において用いられるセジラニブを含む組成物であって、一定投与計画に準じて投与される、組成物が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおけるがんの併用療法治療の間、健常な非がん組織の修復の増強において用いられるセジラニブを含む組成物であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、組成物である。
【0027】
別の実施形態では、プラチナ感受性再発がんを有する温血動物、例えばヒトの治療において用いられるセジラニブを含む組成物であって、一定投与計画に準じて投与される、組成物が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、プラチナ感受性再発がんを有する温血動物、例えばヒトの治療において用いられるセジラニブを含む組成物であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、組成物である。
【0028】
別の実施形態では、腫瘍制御の維持のための用いられるセジラニブを含む組成物が開示される。別の実施形態では、有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量の低減において用いられるセジラニブを含む組成物が開示される。別の実施形態では、セジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性をVEGF経路に対するカバーを維持しながら低減することに用いられるセジラニブを含む組成物が開示される。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、患者の進行のない生存を改善する。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における統計学的に有意な改善は、p<0.05のときである。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における統計学的に有意な改善は、p<0.01のときである。
【0029】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、セジラニブを含む組成物が固定間欠投与計画に準じて投与される、使用が開示される。別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて血管新生抑制および/または血管透過性低減効果をもたらすための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が固定間欠投与計画に準じて投与される、使用が開示される。
【0030】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて血管新生に関連した少なくとも1つの病態を治療するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、セジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用が本明細書で開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおいて血管新生に関連した少なくとも1つの病態を治療するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用である。
【0031】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいて有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量を低減するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、セジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用が開示される。一実施形態では、VEGF経路に対するカバーが維持される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおいて有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量を低減するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用である。
【0032】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおいてセジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性を低減するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、セジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおいてセジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性を低減するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用である。
【0033】
別の実施形態では、温血動物、例えばヒトにおけるがんの併用療法治療の間、健常な非がん組織の修復を増強するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、セジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、温血動物、例えばヒトにおけるがんの併用療法治療の間、健常な非がん組織の修復を増強するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用である。
【0034】
別の実施形態では、プラチナ感受性再発がんを有する温血動物、例えばヒトを治療するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、セジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用が開示される。さらに本明細書で開示されるのは、プラチナ感受性再発がんを有する温血動物、例えばヒトを治療するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用であって、少なくとも2回のサイクルのセジラニブを含む組成物が一定投与計画に準じて投与される、使用である。
【0035】
別の実施形態では、腫瘍制御の維持のための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用が開示される。別の実施形態では、有効なVEGF阻害をもたらすのに要求されるセジラニブの総用量を低減するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用が開示される。別の実施形態では、セジラニブ投与に起因する有害事象および/または毒性をVEGF経路に対するカバーを維持しながら低減するための薬剤の製造におけるセジラニブを含む組成物の使用が開示される。別の実施形態では、本明細書で開示される組成物は、患者の進行のない生存を改善する。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における統計学的に有意な改善は、p<0.05のときである。一部の実施形態では、患者の進行のない生存における統計学的に有意な改善は、p<0.01のときである。
【0036】
本明細書で用いられるとき、「有効量」は、所望される生物学的応答を誘発するのに十分な量を意味する。当業者によって理解されるように、セジラニブの有効量は、様々な要素、例えば、治療されている病態、治療されている病態の重症度、治療の所望される効果、治療を必要とする温血動物、および投与経路に応じて変動してもよい。
【0037】
本明細書で用いられるとき、「血管新生に関連した少なくとも1つの病態」は、以下の非限定例:がん、糖尿病、乾癬、関節リウマチ、カポジ肉腫、血管腫、リンパ浮腫、急性および慢性腎障害、アテローム、動脈再狭窄、自己免疫性疾患、急性炎症、過剰な瘢痕形成および癒着、子宮内膜症、機能障害性子宮出血および加齢性黄斑変性症を含む網膜血管増殖を伴う眼疾患を含む。
【0038】
本明細書で用いられるとき、用語「がん」は、異常細胞の制御されない成長によって特徴づけられる疾患クラスの任意のメンバーを含む。がんは、本明細書で用いられるとき、軟部組織または固形物を含む任意の組織を冒し得、白血病、多発性骨髄腫、およびリンパ腫を含む。同用語は、悪性または良性として特徴づけられる場合、原発性または再発性の任意のステージまたはグレードである場合、また臨床病理、形態、および/または化学療法に対する感受性とは無関係である場合のすべての既知のがんおよび腫瘍性状態を含む。がんの非限定例として、肺がん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)および小細胞肺がん(SCLC));消化器がんおよび胃腸がん、例えば、結腸直腸がん、胃腸間質性腫瘍、胃腸カルチノイド腫瘍、大腸がん、直腸がん、肛門がん、胆管がん、小腸がん、および胃(stomach)(胃(gastric))がん;食道がん;胆嚢がん;肝がん;膵がん;虫垂がん;乳がん;卵巣がん;腎がん(例えば、腎細胞がん);前立腺がん;中枢神経系のがん;皮膚がん;リンパ腫;神経膠芽腫;中皮腫;絨毛がん;胆管細胞がん;胞状軟部肉腫(ASPS);頭頚部がん(甲状腺がんを含む);骨原性肉腫;および血液がんが挙げられる。卵巣がんの非限定例として、プラチナ感受性卵巣がん、プラチナ感受
性再発卵巣がん、プラチナ非感受性卵巣がん(抵抗性および難治性)、高グレード漿液性卵巣がん、高グレード子宮内膜・卵巣がん、明細胞卵巣がん、粘液性卵巣がん、およびその他が挙げられる。本明細書で用いられるとき、卵巣がんは、卵管がんおよび原発性腹膜がんを含む腹膜がんを含む。
【0039】
本明細書で用いられるとき、「血管新生抑制および/または血管透過性低減効果」は、当業者に公知の種々のアッセイおよび試験、例えば、Fltおよび/またはKDRなどのVEGF受容体に関連したチロシンキナーゼ活性の阻害を測定するものにより評価され得る。これらの特性は、例えば、(a)インビトロ受容体チロシンキナーゼ阻害試験、(b)インビトロHUVEC増殖アッセイ、(c)インビボ固形腫瘍疾患モデルの1つ以上により評価されてもよい。かかるアッセイの非限定例が下記に示されるが、当業者は他の手順が等しく好適であることを理解するであろう。
【0040】
本明細書で用いられるとき、用語「固定間欠投与計画」は、予め計画された薬剤投与のサイクルを反復することを指し、該サイクルにおいて、連続1日以上薬剤が投与され(「days on」)、次いで、薬剤が投与されない連続1日以上の休止(「days off」)が続く。
【0041】
一部の実施形態では、サイクルは、days onおよびdays offのパターンが各サイクルにおいて同じである場合、規則的である。一部の実施形態では、サイクルは、days onおよびdays offのパターンがあるサイクルと次のサイクルとで異なる場合、不規則的である。しかし、一部の実施形態では、反復サイクルの各々は、1つ以上の有害事象の出現に対する応答性だけで決定されないように予め計画される。
【0042】
一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物の投与は、1~10サイクル、例えば1サイクル、2サイクル、3サイクル、4サイクル、5サイクル、6サイクル、7サイクル、8サイクル、9サイクルまたは10サイクルにわたり反復される。
【0043】
一部の実施形態では、サイクルは、3日~60日を含む。一部の実施形態では、サイクルは、7~50日、例えば7~30日、7~21日、または7~14日を含む。一部の実施形態では、サイクルは、7日からなる。
【0044】
一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む前記組成物の連続1~5日間、例えば連続2~5日間の投与、その後、6~2日の休止、例えば5~2日間の休止、となるサイクルを反復することを含む。一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む前記組成物の連続5日間の投与、その後、休止が2日であるサイクルを反復することを含む。一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む前記組成物の連続4日間の投与、その後、休止が3日であるサイクルを反復することを含む。一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む前記組成物の連続3日間の投与、その後、休止が4日であるサイクルを反復することを含む。
【0045】
一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む前記組成物の連続1~5日間、例えば連続2~5日間の投与、その後、休止が6~2日、例えば休止が5~2日であるサイクルを反復することを含む。一部の実施形態では、休止の前記日数、プラセボが投与される。
【0046】
一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、セジラニブの20mg用量で1日1回、7日サイクル中5日の経口投与、その後の2日のプラセボ投与を含む。一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、セジラニブの20mg用量で1日1回、7日サイクル中4日の経
口投与、その後の3日のプラセボ投与を含む。一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、セジラニブの30mg用量で1日1回、7日サイクル中5日の経口投与、その後の2日のプラセボ投与を含む。一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、セジラニブの30mg用量で1日1回、7日サイクル中4日の経口投与、その後の3日のプラセボ投与を含む。一部の実施形態では、投与のサイクルに続く休止のサイクルの選択は、治療されるべき温血動物の要件により決定されてもよい。例えば、任意の投与反復日数、その後の休止の日数は、1~10サイクルに対して選択されてもよく、ここで各サイクルは3~60日を含む。
【0047】
本開示方法での使用に適したセジラニブを含む組成物は、経口投与(例えば、錠剤、トローチ剤、ハードまたはソフトカプセル、水性または油性懸濁液、乳剤、分散性散剤または顆粒剤、シロップ剤またはエリキシル剤として)、吸入による投与(例えば、微粉化散剤または液体エアロゾルとして)、ガス注入による投与(例えば、微粉化散剤として)、非経口注射(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、血管内または注入投与のための滅菌溶液、懸濁液または乳濁液として)、局所投与(例えば、クリーム、軟膏剤、ゲル剤、または水性もしくは油性溶液または懸濁液として)、または直腸投与(例えば坐剤として)に適した形態であってもよい。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、経口投与される。
【0048】
一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、少なくとも1つの通常の賦形剤を用いる通常の方法で調製されてもよい。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、セジラニブからなる。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容できる賦形剤または担体をさらに含む。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、セジラニブを唯一の薬学的活性成分として含む。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、少なくとも1つの追加的な薬学的活性成分をさらに含む。
【0049】
セジラニブの用量は、治療要件に準じて変動してもよい。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、単位剤形である。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、1~50mg/m2(動物の体面積)の範囲内の単位用量で温血動物に投与され、例えばヒトにおいて約0.03mg/kg~1.5mg/kgで投与される。一部の実施形態では、単位用量は、例えば0.01mg/kg~1.5mg/kg、さらに例えば0.05mg/kg~0.75mg/kg、ひいては例えば0.03mg/kg~0.5mg/kgの範囲である。
【0050】
一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、0.6mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、1.2mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、2.4mg/kgの用量で投与される。一部の実施形態では、セジラニブを含む組成物は、4.8mg/kgの用量で投与される。
【0051】
一部の実施形態では、固体剤形は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを0.5mg~90mgの範囲の量で含む。一部の実施形態では、固体剤形は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを1mg~50mgの範囲の量で含む。一部の実施形態では、固体剤形は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを5mg~50mg、例えば10mg~40mg、例えば15mg~35mg、さらに例えば20mg~30mgの範囲の量で含む。一部の実施形態では、固体剤形は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを30mgの量で含む。一部の実施形態では、固体剤形は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを20mgの量で含む。一部の実施形態では、固体剤形は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、セジラニブを15mgの量で含む。
【0052】
一部の実施形態では、セジラニブの一日量は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して、5mg~50mg、例えば15mg~35mg、さらに例えば20mg~30mgの範囲である。一部の実施形態では、セジラニブの一日量は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して30mgである。一部の実施形態では、セジラニブの一日量は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して20mgである。一部の実施形態では、セジラニブの一日量は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して15mgである。一部の実施形態では、セジラニブの一日量は、セジラニブの遊離塩基の重量で測定して10mgである。
【0053】
一部の実施形態では、セジラニブは、30mgに相当する重量のセジラニブの遊離塩基(37.8mgのセジラニブマレイン酸塩)を含む、固体剤形、例えば錠剤で投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、20mgに相当する重量のセジラニブの遊離塩基(25.2mgのセジラニブマレイン酸塩)を含む、固体剤形、例えば錠剤で投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、15mgに相当する重量のセジラニブの遊離塩基(18.9mgのセジラニブマレイン酸塩)を含む、固体剤形で投与される。
【0054】
一部の実施形態では、セジラニブは、1日1回投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、1日2回投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、1日3回投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、1日4回投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、1日5回投与される。
【0055】
一部の実施形態では、セジラニブは、空の胃を有する温血動物、例えばヒトに、例えば食事の少なくとも1時間前または少なくとも2時間後に投与される。
【0056】
一部の実施形態では、例えば温血動物が錠剤を飲み込むことが困難である場合、セジラニブの錠剤は非炭酸飲料水に分散される。一部の実施形態では、セジラニブの分散錠が経鼻胃管または胃瘻管を通じて投与される。
【0057】
上に開示される通り、本方法では、セジラニブを、単独療法として、またはセジラニブに加えて、パートナー薬および他の治療薬から選択される少なくとも1つの他の成分を含み得る併用療法の一部として用いてもよい。かかる併用療法は、治療薬の個別成分(セジラニブ組成物および少なくとも1つの他の成分)の同時、逐次、および/または分離投与を通じて達成され得る。一部の実施形態では、個別成分は、同時に投与される。一部の実施形態では、個別成分は、別々に投与される。一部の実施形態では、個別成分は、逐次的に投与される。
【0058】
血管新生および血管機能のVEGR2媒介性維持ならびに高血圧の制御は、多数の正常組織にとって重要であり、VEGFRシグナル伝達の長期抑制は、疲労、甲状腺機能の修飾、および下痢などの臨床初見として顕在化され得る、正常組織におけるストレスをもたらし得る。正常組織に対して多大な影響を有し得る少なくとも1つの他の成分、例えば特に修復を必要とする損傷の原因であり得るものと組み合わせられるとき、セジラニブの継続投与により、正常組織の修復が遅延および/または阻止されることがある。したがって、スケジュール内での(単独療法または組み合わせのいずれかとしての)規則的な短い間欠中断を伴う、本明細書で開示される固定間欠投与計画を用いてセジラニブを投与することにより、腫瘍の回復を許容することがなく、正常組織の修復が可能になり得る。さらに、短い中断は、例えば降圧薬などの同時薬物療法に伴う課題が生じないことを保証し得る。
【0059】
腫瘍内科学の分野では、がんを有する患者を治療するための治療の異なる形態の組み合わせを用いることは共通している。腫瘍内科学では、かかる併用療法治療の少なくとも1
つの他の要素は、セジラニブの投与に加えて、手術、放射線療法、および化学療法剤から選択されてもよい。かかる化学療法剤は、少なくとも1つのパートナー薬を含んでもよい。正常組織に対してより多大な影響を有するパートナー薬、例えば化学療法薬においては、同じ戦略が適用される。損傷が最大である時期の前後では、ややより長期の予め計画された投与介入、例えば4~5日の介入が適切であり得る。パートナー薬の非限定例として、以下が挙げられる。
DNA損傷応答阻害剤(例えば、PARP阻害剤(例えば、オラパリブ(Lynparza))、Wee-1阻害剤、ATR阻害剤、ATM阻害剤、およびDNAPK阻害剤など)、
免疫チェックポイントモジュレーター(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体(例えば、MEDI4736(デュルバルマブ)など)、抗CTLA4抗体、TLR7作動薬、CD40作動薬、Lag-3拮抗剤、およびOX40作動薬など)、
腫瘍細胞標的化治療剤(例えば、EGFR、Her2、MAPK/raf、Met、Pi3K、mTOR、Akt、エストロゲン拮抗剤、アンドロゲン標的化治療薬、FGFR、MCT-1およびMCT-4阻害剤)、ならびに
化学療法薬(例えば、プラチナに基づく化学療法薬、タキサンに基づく化学療法薬、およびイリノテカン)、例えば、
(i)他の血管形成阻害剤、例えば、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ベンダムスチン、テモゾロミド、ニトロソウレア、およびチオテパ);代謝拮抗薬(例えば、ゲムシタビンおよび葉酸代謝拮抗薬、例えば、5-フルオロウラシルおよびテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、ヒドロキシ尿素およびプリン類似体、例えばフルダラビン、およびアデノシン類似体);抗腫瘍抗生物質(例えば、アドリアマイシンのようなアントラサイクリン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシンおよびミスラマイシン);抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンのようなビンカアルカロイド、タクソールおよびタキソテールのようなタキソイド、およびポロキナーゼ阻害剤);およびトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エトポシドおよびテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、カンプトテシン、およびイリノテカン);酵素(例えばアスパラギナーゼ);およびチミジル酸シンターゼ阻害剤(例えばラルチトレキセド);
(ii)細胞分裂阻害剤、例えば、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、およびヨードキシフェン、)、アンドロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えばフルベストラント)、アンドロゲン受容体の核移行およびDNAまたは共活性化タンパク質のいずれかへのその結合を阻止する拮抗剤MDV3100またはARN-509、アビラテロン[ZYTIGA(商標)]などのCYP17A1の阻害剤、およびアンドロゲン受容体機能およびTOK-001(galeterone)などのCYP17A1の混合阻害剤、LHRH拮抗剤およびLHRH作動薬(例えば、ゴセレリン、酢酸ゴセレリン、リュープロリド、リュープロレリンおよびブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、およびエキセメスタン)、抗プロゲストーゲン、抗アンドロゲン(例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、および酢酸シプロテロン)、および5α-レダクターゼの阻害剤(例えば、フィナステリド)、
(iii)抗浸潤剤(例えば、4-(6-クロロ-2,3-メチレンジオキシアニリノ)-7-[2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ]-5-テトラヒドロピラン-4-イルオキシキナゾリン(AZD0530;国際特許出願の国際公開第01/94341号パンフレット)、N-(2-クロロ-6-メチルフェニル)-2-{6-[4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-イル]-2-メチルピリミジン-4-イルア
ミノ}チアゾール-5-カルボキサミド(ダサチニブ、BMS-354825;J.Med.Chem.,2004,47,6658-6661)およびボスチニブ(SKI-606)のようなc-Srcキナーゼファミリー阻害剤、マリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、ウロキナーゼプラスミノゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤、およびヘパラナーゼに対する抗体)、
(iv)増殖因子機能の阻害剤、例えば血小板由来増殖因子の阻害剤および肝細胞増殖因子の阻害剤、例えば増殖因子抗体および増殖因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツズマブ[ハーセプチン(商標)]、抗EGFR抗体パニツムマブ、抗erbB1抗体セツキシマブ[Erbitux,C225])ならびに任意の他の増殖因子抗体または他の増殖因子受容体抗体の阻害剤、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、Stern et al.Critical reviews in oncology/haematology,2005,Vol.54,p.11-29により開示されたもの);かかる阻害剤はまた、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば上皮増殖因子ファミリーの阻害剤(例えば、EGFRファミリーチロシンキナーゼ阻害剤、例えば、N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(ゲフィチニブ,AZD1839)、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(エルロチニブ,OSI-774)および6-アクリルアミド-N-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-7-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン-4-アミン(CI1033))およびセリン/トレオニンキナーゼ阻害剤)、erbB2チロシンキナーゼ阻害剤(ラパチニブなど);肝細胞増殖因子ファミリーの阻害剤;インスリン増殖因子ファミリーの阻害剤;イマチニブおよび/またはニロチニブ(AMN107)などの血小板由来増殖因子ファミリーの阻害剤;セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤というキナーゼの阻害剤(例えば、Ras/Rafシグナル伝達阻害剤、例えばファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばソラフェニブ(BAY43-9006)、ティピファルニブ(R115777)およびAZD9291(タグリッソ);ロナファーニブ(SCH66336))、MEKおよび/またはAKTキナーゼを介した細胞シグナル伝達の阻害剤、c-kit阻害剤、ablキナーゼ阻害剤、PI3キナーゼ阻害剤、Plt3キナーゼ阻害剤、CSF-1Rキナーゼ阻害剤、IGF受容体(インスリン様増殖因子)キナーゼ阻害剤;オーロラキナーゼ阻害剤(例えば、AZD1152、PH739358、VX-680、MLN8054、R763、MP235、MP529、VX-528およびAX39459)およびサイクリン依存性キナーゼ阻害剤、例えばCDK2および/またはCDK4阻害剤を含む;
(v)他の血管形成阻害剤、例えば上で規定されたものとは異なる機構により作用するもの(例えば、Ang-2(MEDI-3617など)およびDLL4(MEDI-0639など))、例えば、血管標的化剤(例えば、リン酸コンブレタスタチン(コンブレタスタチンA4)、および国際特許出願公開の国際公開第99/02166号パンフレット、国際公開第00/40529号パンフレット、国際公開第00/41669号パンフレット、国際公開第01/92224号パンフレット、国際公開第02/04434号パンフレットおよび国際公開第02/08213号パンフレットに開示された化合物、および国際特許出願公開の国際公開第99/02166号パンフレットに記載の血管損傷剤(例えばN-アセチルコルヒノール-O-リン酸));ならびに
(vi)エンドセリン受容体拮抗剤(例えば、ジボテンタン(ZD4054)およびアトラセンタン);
生物学的応答修飾因子(例えばインターフェロン);
抗体(例えばエドレコロマブ);
アンチセンス治療薬(例えば、上に列挙される標的に特異的であるもの、例えばISIS2503、抗rasアンチセンス);
遺伝子療法手法、例えば、異常なp53または異常なBRCA1もしくはBRCA2などの異常な遺伝子を交換するための手法、GDEPT(遺伝子特異的酵素プロドラッグ療法)手法、例えばシトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼまたは細菌ニトロレダクターゼ
酵素を用いるもの、および化学療法または放射線療法、例えば多剤耐性遺伝子療法に対する患者の耐容性を高めるための手法など;ならびに
免疫療法手法、例えば、患者腫瘍細胞の免疫原性を増強するためのエクスビボおよびインビボ手法、例えばインターロイキン2、インターロイキン4または顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインの遺伝子導入、T細胞エネルギーを減少させるための手法、サイトカイン遺伝子導入樹状細胞などの遺伝子導入免疫細胞を用いる手法、サイトカイン遺伝子導入腫瘍細胞系を用いる手法および抗イディオタイプ抗体を用いる手法、CTLA4抗体、およびCD137、PD-1もしくはB7-H1、toll様受容体作動薬に特異的な抗体;SGN-40(ダセツズマブ)などのCD40またはPDL-192などのTweak受容体に対するアゴニスト抗体;FASに対するアゴニスト抗体を含む、T細胞増強のための手法;腫瘍関連抗原に対する抗体、および標的細胞タイプを枯渇させる抗体(例えば、リツキシマブ、オファツムマブ、オビヌツズマブなどの非コンジュゲート抗CD20抗体、MEDI-551などの抗CD19抗体、アレムツズマブなどの抗CD52抗体、TRU-016などの抗CD37抗体、イノツズマブなどの抗CD22抗体、放射標識抗CD20抗体BexxarおよびZevalin、および抗CD54抗体Campath;モキセツモマブシュードトクスなどの免疫毒素)を用いる手法、抗イディオタイプ抗体を用いる手法、ナチュラルキラー細胞機能を増強する手法、および抗体-毒素コンジュゲート(例えば、抗CD33抗体Mylotarg)、およびRevlimid(レナリドミド)などの免疫調節剤を用いる手法。
【0060】
特定の実施形態では、「抗PD-L1抗体」は、PD-L1ポリペプチドに選択的に結合する抗体を意味する。例示的な抗PD-L1抗体は、例えば米国特許第8,779,108号明細書および米国特許第9,493,565号明細書(参照により本明細書に援用される)に記載される。MEDI4736は、例示的な抗PD-L1抗体である。他の抗PD-L1抗体として、BMS-936559(Bristol-Myers Squibb)およびMPDL3280A(Roche)が挙げられる。
MEDI4736 VL(配列番号1)
【化2】
MEDI4736 VH(配列番号2)
【化3】
MEDI4736 VH CDR1(配列番号3)
RYWMS
MEDI4736 VH CDR2(配列番号4)
NIKQDGSEKYYVDSVKG
MEDI4736 VH CDR3(配列番号5)
EGGWFGELAFDY
MEDI4736 VL CDR1(配列番号6)
RASQRVSSSYLA
MEDI4736 VL CDR2(配列番号7)
DASSRAT
MEDI4736 VL CDR3(配列番号8)
QQYGSLPWT
【0061】
少なくとも1つのパートナー薬は、推奨用量で推奨用法に従って投与されてもよい。例えば、MEDI4736(デュルバルマブ)は、静脈内に2周毎に3mg/kgもしくは10mg/kgの用量でまたは4周毎に1500mgの固定用量として投与されてもよい。さらに例えば、オラパリブ(Lynparza)は、150mgまたは200mgまたは300mgの錠剤の形態で、BIDで経口投与されてもよい。
【0062】
一部の実施形態では、温血動物は、再発卵巣がん、卵管がんまたは原発性腹膜がんを有するヒトである。一部の実施形態では、前記ヒトに、セジラニブが、(a)プラチナに基づく化学療法剤、(b)オラパリブ(Lynparza)および(c)デュルバルマブ(各々、任意選択的にはセジラニブ単独維持療法が後続する)から選択される少なくとも1つのパートナー薬と組み合わせた固定間欠投与計画に準じて投与される。一部の実施形態では、前記ヒトに、セジラニブが、(a)プラチナに基づく化学療法剤、(b)オラパリブ(Lynparza)および(c)デュルバルマブ(各々、任意選択的にはセジラニブ単独維持療法が後続する)から選択される少なくとも2つのパートナー薬と組み合わせた固定間欠投与計画に準じて投与される。一部の実施形態では、前記ヒトに、セジラニブが、プラチナに基づく化学療法剤、オラパリブ(Lynparza)およびデュルバルマブ(各々、任意選択的にはセジラニブ単独維持療法が後続する)と組み合わせた固定間欠投与計画に準じて投与される。一部の実施形態では、前記ヒトに、セジラニブが、オラパリブ(Lynparza)およびデュルバルマブ(各々、任意選択的にはセジラニブ単独維持療法が後続する)と組み合わせた固定間欠投与計画に準じて投与される。
【0063】
一部の実施形態では、セジラニブは、(卵管、高グレード子宮内膜、明細胞、高グレード漿液性または原発性腹膜を含む)プラチナ感受性再発(PSR)卵巣がんを有する成人患者の治療のため、プラチナに基づく化学療法剤と後続する単独維持療法とを組み合わせた固定間欠投与計画に準じて投与される。一部の実施形態では、セジラニブは、(卵管または原発性腹膜を含む)プラチナ感受性再発(PSR)卵巣がんを有する成人患者の治療のため、プラチナに基づく化学療法と後続する単独維持療法とを組み合わせた固定間欠投与計画に準じて投与される。一部の実施形態では、プラチナ感受性再発卵巣がんを有する温血動物を治療する方法は、固定間欠投与計画に準じたセジラニブを含む組成物の少なくとも2回の投与サイクルを含み、ここで前記固定間欠投与計画は、有効量の前記組成物の投与の少なくとも連続2日間のサイクルと、その後の前記組成物が投与されない場合の少なくとも連続2日間のサイクルとを含み、かつプラチナに基づく化学療法剤を投与することをさらに含む。一部の実施形態では、プラチナ感受性再発卵巣がんは、卵管がん、高グレード子宮内膜、明細胞、高グレード漿液性および原発性腹膜がんから選択される。一部の実施形態では、プラチナ感受性再発卵巣がんは、卵管がんおよび原発性腹膜がんから選択される。一部の実施形態では、本方法は、セジラニブの単独維持療法をさらに含む。一部の実施形態では、セジラニブの単独維持療法は、セジラニブを含む組成物の固定間欠投与計画に準じた投与を含む。
【0064】
一部の実施形態では、セジラニブは連続投与計画に準じて投与され、その後、セジラニブは固定間欠投与計画に準じて投与される。連続投与計画は、有効量のセジラニブを含む組成物の連続1日以上の投与を含む。固定間欠投与計画は、有効量のセジラニブを含む組成物の連続1日以上のサイクル、例えば少なくとも連続2日間の投与と、その後の連続1日以上の休止、例えば少なくとも連続2日間は前記組成物が投与されない場合とを含む。これらの方法は、セジラニブを含む組成物の使用のみを含み、従って単独療法で用いられてもよく、または1つ以上のパートナー薬の投与をさらに含んでもよく、従って併用療法で用いられてもよい。
【0065】
本明細書で開示される方法を用いる臨床試験が現在、計画されている
【0066】
例えば、1つの計画された臨床試験は、プラチナ感受性再発上皮卵巣がん、原発性腹膜および/または卵管がんを有する患者における、プラチナに基づく化学療法剤と組み合わせたセジラニブの2つの投与計画の安全性、耐容性および有効性を評価するための無作為化、二重盲検、並行群間比較、国際試験である。提案されたプロトコルは、2つの段階、併用化学療法段階(最大6サイクル)および維持段階(進行まで)の間での2つの以下の治療計画:(1)セジラニブ20mgを経口的に1日1回(「継続」投与計画)、または(2)セジラニブ20mgを7日サイクルのうち連続5日間、固定間欠投与計画で経口的に1日1回の投与と、その後の連続2日間でのプラセボ投与、の中の1つを受けるような対象の無作為化を含む。すべての対象はまた、6サイクルのプラチナに基づく化学療法を同時に受けることになる。対象は、併用化学療法段階の間、カルボプラチン投与計画で治療されることになる。カルボプラチン投与計画の非限定例として、
・3週(1サイクル)毎1回で6サイクル(q3w×6)の、3時間にわたるパクリタキセル175mg/m2と組み合わせた、30~60分にわたるカルボプラチンの濃度時間曲線下面積5(AUC5;糸球体濾過率[GFR]が測定された)
・4週(1サイクル)毎1回で6サイクル(q4w×6)の、3時間にわたるPLD30mg/m2と組み合わせた、30~60分にわたるカルボプラチンのAUC5(GFRが測定された)、および
・3週(1サイクル)毎1回で6サイクルの、(1および8日目の)3時間にわたるゲムシタビン1000mg/m2と組み合わせた、(1日目の)30~60分にわたるカルボプラチンのAUC4(GFR)
が挙げられる。
【0067】
継続投与計画と比べてのセジラニブ固定間欠投与計画の安全性および耐容性は、無作為化から6か月以内にセジラニブの中断をもたらす、任意の有害事象により規定される毒性または対象の意思決定に起因するセジラニブの中断率により評価されることになる。この試験における一次エンドポイントは、無作為化から6か月以内での有害事象または対象の意思決定に起因してセジラニブ治療を中断する対象の割合である。分析は、一旦すべての対象が治療の6か月に達するかまたは中断すると、すべての無作為化された対象からなる完全分析セットを用いて実施されることになる。すべての対象は、スクリーニング時(無作為化から28日以内)および無作為化後の客観的な放射線学的疾患進行までの12週(±1週)毎に、固形腫瘍効果判定基準(RECISTバージョン1.1)の腫瘍評価を有することになる。
【0068】
一部の実施形態では、固定間欠投与計画は、継続投与計画と比べての毒性に起因して中断率を低減する。継続投与計画と比べてのセジラニブ固定間欠投与計画の有効性は、以下のエンドポイント:進行のない生存、全生存、治療失敗までの時間、および客観的応答率の1つ以上を用いて評価されてもよい。
【0069】
進行のない生存(PFS)は、無作為化から独立放射線審査による判定としての客観的な疾患進行の初回記録または任意の原因による試験時の死亡までの時間でいずれか最初に生じる方と定義される。
【0070】
全生存(OS)は、無作為化から任意の原因による死亡日までの時間と定義される。分析時に依然として生存する対象においては、OS時間は、対象の生存が知られた最終日に打ち切られることになる。
【0071】
治療失敗までの時間(TTF)は、無作為化から治療失敗までの時間と定義される。
【0072】
客観的応答率(ORR)は、すべての無作為化対象の集団全体に対して、(独立放射線審査による判定として)RECISTに準じて完全応答(CR)または部分応答(PR)
を有する対象の百分率と定義される。
【0073】
別の計画された臨床試験は、進行性固形腫瘍および進行性または再発性の卵巣がん、トリプルネガティブ乳がん、肺がん、前立腺がんおよび結腸直腸がんに対する、セジラニブと組み合わせた、抗プログラム死リガンド1抗体MEDI4736(デュルバルマブ)の第I/II相試験である。投与スケジュールが表1および表2に示される。
【0074】
【0075】
【0076】
デュルバルマブ+セジラニブアームにおいては、適格患者は、進行性または再発性卵巣がん(コホート1)、NSCLC(コホート2)、またはCRC(コホート3)と診断されていることになる。セジラニブの投与における継続投与計画を用いた第I相では、DL1での患者2名が、肺血栓塞栓症に起因し、セジラニブの早期中断を必要とし、DL1での患者1名が、サイクル2での再発グレード2の疲労に起因し、セジラニブの1日15mgへの用量低減を有した。DL2での患者4名中3名についても、サイクル2~3の間での再発グレード2の疲労、グレード2の腹痛およびグレード2の下痢に起因し、セジラニブの1日20mgへの用量低減を有した。
【0077】
本開示の発明者は、前臨床インビボデータが、間欠セジラニブスケジュール(5days on/2days off)では、毎日のセジラニブスケジュールと比べて抗腫瘍活性における差異を示さないことを発見した。したがって、28日毎に1500mgの固定用量でのデュルバルマブを伴う、本開示に従う間欠セジラニブスケジュール(5days
on/2days off)での新しいデュルバルマブ+セジラニブ用量レベルが、例えば耐容性における改善があるか否かを判定するための臨床試験にて用いられることになる。詳細には、本開示に従う間欠セジラニブ投与スケジュールが検討され、卵巣がん、NSCLC、およびCRCにおけるデュルバルマブ+セジラニブの第II相試験が現在開かれている。
【実施例】
【0078】
実施例1:インビボ固形腫瘍疾患モデルアッセイ。このアッセイでは、化合物が固形腫瘍成長を阻害する能力を測定することができる。
【0079】
以下は、用いてもよい典型的な手順の例である。
【0080】
CaLu-6腫瘍異種移植片は、血清不含培地中のマトリゲルの50%(v/v)溶液
100pu中、1×10個のCaLu-6細胞/マウスの皮下注射により、胸腺欠損雌Swiss nu/nuマウスの側腹部にて確立してもよい。同等の群の平均体積を得るため、細胞移植から10日後、マウスを8~10匹の群に割り当ててもよい。腫瘍はノギスを用いて測定してもよく、体積は(I×w)×i(l×w)×(z/6)(式中、Iは最長直径であり、wは最長部に対して垂直な直径である)として算出してもよい。試験化合物は、1日1回で最低21日間、経口的に投与してもよく、対照動物には希釈剤化合物を投与した。腫瘍は、週2回測定してもよい。成長阻害のレベルは、スチューデントt検定および/またはマン・ホイットニーの順位和検定を用いての対照群対治療群の平均腫瘍体積の比較により算出してもよい。化合物治療の阻害効果は、p<0.05のとき、有意であるとみなしてもよい。
【0081】
実施例2:ターゲットカバー(target cover)を評価すること。前臨床モデルにおいてセジラニブで達成されるターゲットカバーを確証するため、時間依存性PK特性を化合物用量の範囲で判定した。0.6、1.2、2.4および4.8mg/kgでの複数回投与に基づいてモデル化したセジラニブの平均遊離薬物特性を算出し、VEGFR-1、VEGFR-2、c-kitおよびPDGFRに対する効力としてのIC50に対して調節した。
【0082】
図1A~Pは、1日1回継続(QDCont)、1日1回で5days on、2days off(QD5on2off)、または1日1回で4日(QD4on3off)の投与計画に従い、a)0.6mg/kg(
図1A~1D)、b)1.2mg/kg(
図1E~1H)、c)2.4mg/kg(
図1I~1L)、またはd)4.8mg/kg(
図1M~1P)で投与した前臨床モデルにおけるセジラニブのモデル化された経時的平均遊離血漿濃度を示す。さらに、2または3日中断後の再投与後のセジラニブのPKを示す。PKにおける減少が、薬剤の最終投与後(投与から4または5日目のいずれか)に示され、図示のように、各プロット上のオーバーレイ(水平線)は、pVEGFR-1、-2、pKit、pPDGFRαおよびpPDGFRβの阻害についてインビトロで作成した細胞のIC
50値である。VEGFRおよびKitのカバーを例示するプロットについては、R-Pは細胞に基づくアッセイにおける受容体リン酸化を表し;C-Pは細胞増殖を表し;VEGFRプロットについては、T-Gは内皮-線維芽細胞共培養アッセイにおける尿細管成長を表す。関連する細胞株を示す。PDGFRαおよびβのカバーを表すグラフでは、PDGFRαおよびPDGFRβのリン酸化ならびにPDGFBBまたはPDGFAAの駆動性増殖の阻害を、関連する細胞株と一緒に示す。
図1A~P中のプロットは、用量範囲でのセジラニブにおける前臨床PK特性を例示し、ターゲットカバーが最終投与後に迅速に失われ得ることを示す。これにより、最大2.4mg/kg用量のセジラニブでは、VEGFRおよびc-kitに対するターゲットカバーを得ているが、PDGFRに対する十分なカバーを得ていないことも確証された。所与の治療サイクル内での最終投与後、投与中断により、VEGFRシグナル伝達の抑制が軽減され得ることも実証された。
【0083】
ヒトにおいてセジラニブで得られるターゲットカバーを確証するため、集団PK分析からの平均時間依存性遊離薬物PK特性をプロットし、VEGFR-1、VEGFR-2、c-kitおよびPDGFRに対する同じIC50値に対して同様に調節した。この分析によると、20mgおよび30mgが、臨床前に1.2~2.4mg/kgの範囲内で得られた場合と同様のターゲットカバーを有することが示された。薬剤投与が中断されるとき、VEGFRおよびc-kitに対するカバーが時間とともに失われ、また2日(以上)の中断により、VEGFRシグナル伝達の抑制が軽減され得ることも示された。
【0084】
図2は、セジラニブの20mgおよび15mgの投与における時間に対するヒトにおけるセジラニブへの遊離薬物曝露のモデル化された平均(黒線)を示す。95%信頼区間は
、灰色リボンによって表す。PK曲線は、化合物の最終投与後のセジラニブ濃度における減少を示す。プロット上のオーバーレイ(水平線)は、pVEGFR、pKit、pPDGFRの阻害についてインビトロで作成した細胞のIC
50値である。このデータにより、診療所にて認められた遊離薬物濃度が、臨床前にセジラニブが1.2~2.4mg/kgで投与されるときに認められる曝露の範囲内にあり、またPK特性が臨床前に認められる場合に類似することが確認される。
【0085】
実施例3:抗腫瘍利益の維持を評価すること。セジラニブの間欠投与によって抗腫瘍利益を維持できるか否かを判定するため、セジラニブに対する差次的感受性を表す、ヌードまたは重症複合免疫不全マウスに皮下的に移植される広範な腫瘍異種移植片モデルを用いた。腫瘍体積が約0.2cm
3に達した時、腫瘍を選択し、数群に無作為化した。SW620(CRCモデル)、Calu6(NSCLCモデル)およびA498(腎がんモデル)の腫瘍を、1.2mg/kgおよび2.4mg/kg(1.5および3mg/kgのセジラニブマレイン酸塩に相当)で1日1回経口投与した。間欠投与の影響を試験するため、セジラニブを1日1回、各7日サイクルの内の7日間、5日間または4日間経口投与した。動物10匹の群を用いたが、最終サイクルにおいて動物5匹のコホートを、腫瘍における薬力学的バイオマーカーの評価を支持するため、投与群間にて除外した。このデータによると、5days on、2days offスケジュールが、VEGFR抑制の軽減に反して、単独療法として抗腫瘍効果を維持することが示された。さらに、4days
on、3days offスケジュールもまた、5/2スケジュールほどに効果的でないとはいえ、抗腫瘍効果を維持する。このデータにより、特定の間欠投与方法がセジラニブの抗腫瘍効果を維持し得ることが確認された。これは、単独療法または他の機序を標的化する薬剤(例えば、DNA傷害剤、免疫療法剤、または腫瘍細胞標的化治療薬)との併用療法のいずれかとしてのセジラニブ治療において、短い構造化された中断をもたらすための機会を提示する(
図3~6)。
【0086】
図3は、(Calu6、A498、およびSW620腫瘍異種移植片において実施した)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ6(3回の7日サイクルで、1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で5日間、その後、溶媒を1日1回で2日間を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。このデータは、5/2スケジュールでのセジラニブ1.5mg/kgの間欠投与が有効性を維持することを示す。
【0087】
図4は、(Calu6、A498、およびSW620腫瘍異種移植片における)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ7(3回の7日サイクルで、3mg/kgのセジラニブを1日1回で5日間、その後、溶媒を1日1回で2日間を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。このデータは、5/2スケジュールでのセジラニブ3mg/kgの間欠投与が有効性を維持することを示す。
【0088】
図5は、(Calu6、A498、およびSW620の)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ8(3回の7日サイクルで、1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で3日間、その後、溶媒を1日1回で4日間を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。このデータは、3つの内の2つのモデルで、4/3スケジュールでのセジラニブ1.5mg/kgの間欠投与が有効性を維持することを示す。
【0089】
図6は、(Calu6、A498、およびSW620の)3つの有効性試験(各々、4つの経口投与計画群(グループ1(溶媒を1日1回で21日間)、グループ2(1.5mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、グループ3(3mg/kgのセジラニブを1日1回で21日間)、およびグループ9(3回の7日サイクルで、3mg/kgのセジラニブを1日1回で3日間、その後、溶媒を1日1回で4日間))を用いる)からの平均腫瘍体積対時間を示す。このデータは、4/3スケジュールでのセジラニブ3mg/kgの間欠投与が有効性を維持することを示す。
【0090】
実施例4:間欠スケジュールを用いてのオラパリブと組み合わせたセジラニブの有用性の試験すること:オラパリブと組み合わせたセジラニブの間欠(5days on、2days off)一日量はオラパリブと組み合わせたセジラニブの一定一日量と同様に有効である。
間欠用量のセジラニブを投与することにより、セジラニブの単独またはオラパリブとの組み合わせでの抗腫瘍有効性が低下しないことを確証するため、OV2022腫瘍(卵巣がん)異種移植片を、毎日または5days on、2days offスケジュールで、3mg/kgのセジラニブの単独または100mg/kgのオラパリブとの組み合わせで治療した。セジラニブの間欠スケジュールは、一定用量のセジラニブに相当する有効性をもたらし、それ故、セジラニブの間欠用量を有効に用いてもよいことが示された。
【0091】
図7は、OV2022(卵巣がん)患者由来の腫瘍異種移植片モデルにて実施した有効性試験からの平均腫瘍体積対時間を示す。この試験では、セジラニブとオラパリブとの組み合わせを比較し、ここでセジラニブは、1日1回、または5days on、2days offスケジュールで1日1回投与した。グループ1-対照、グループ2-セジラニブ3mg/kgを1日1回、グループ3-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off、グループ4-オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ5-セジラニブ3mg/kgを1日1回+オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ6-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off+オラパリブ100mg/kgを1日1回。
【0092】
図8は、試験における腫瘍保有動物の各群における体重変化を示す。この試験では、セジラニブとオラパリブとの組み合わせを比較し、ここでセジラニブは、1日1回、または5days on、2days offスケジュールで1日1回投与した。グループ1-対照、グループ2-セジラニブ3mg/kgを1日1回、グループ3-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off、グループ4-オラパリブ1
00mg/kgを1日1回、グループ5-セジラニブ3mg/kgを1日1回+オラパリブ100mg/kgを1日1回、グループ6-セジラニブ3mg/kgを1日1回で5days on、2days off+オラパリブ100mg/kgを1日1回。
【0093】
実施例5:第1相臨床試験結果-セジラニブのMEDI4736(デュルバルマブ)と組み合わせての間欠投与
間欠スケジュールの利益を組み合わせ試験にて臨床的に試験し、ここでセジラニブをデュルバルマブと組み合わせる能力は、セジラニブの継続または間欠スケジュールを用いて試験した。この試験では、継続用量が耐容性不良である一方で、間欠スケジュールは耐容性を示し、観測可能な臨床的有用性をもたらすことが示された。データを下記に示す。
【0094】
試験設計および患者
適格患者は、先行的な免疫チェックポイント阻害剤療法を伴わない再発性または転移性のRECIST v1.1で評価可能な固形悪性腫瘍、3つ以下の降圧薬で制御された高血圧、および良好な末端臓器機能を有し;エントリ時に生殖系列BRCA突然変異状態が要求された。すべての患者に、登録前に書面でのインフォームドコンセントを提供した。
試験は、Institutional Review Board of the Center for Cancer Research,国立がん研究所(National Cancer Institute).ClinicalTrials.gov識別子:NCT02484404により認可された。
【0095】
適格患者には、表3に記載の3+3用量漸増形式でデュルバルマブ+セジラニブを投与した。患者をコホートに同時に登録した。患者は、CTCAEv4を通じて毒性について評価した。臨床応答は、RECISTv1.1基準を用いてのイメージングにより、2サイクル毎に評価した。試験治療は、疾患の進行、介入疾患、14日以内に≦グレード1に回復していない有害事象、または患者の同意撤回において中断した。
【0096】
【0097】
用量制限毒性(DLT)および最大耐容量(MTD)の定義
この第1相試験の一次エンドポイントは、DLTの不在下でMTDまたは最高プロトコル規定用量によって規定される、デュルバルマブ+セジラニブの組み合わせの推奨される第2相用量(RP2D)を決定することであった。DLTは、第1サイクル(28日)間に生じる試験薬に関連したグレード3または4の非血液学的有害事象およびグレード4の血液学的有害事象(AE)と定義した。以下、すなわち、グレード3以上の好中球減少症の不在下でのグレード3のリンパ球減少症もしくは白血球減少症、降圧薬で制御されるグレード3の高血圧、または3日以内にグレード1もしくはより良好な方に格下げする最適な充足を伴うグレード3の無症候性の電解質異常、事象の発症後7日以内にグレード1もしくはより良好な方に格下げするグレード3の無症候性のアミラーゼもしくはリパーゼの増加、または全身性コルチコステロイド療法および/もしくはホルモン交換療法の有無にかかわらず管理されるグレード3の無症候性内分泌疾患、は例外であった。MTDは、患者6名中1名または5名以下がDLTを経験する最高用量レベルと定義した。認められたAEが特に薬剤の1つのみに起因した場合、その薬剤を保持しつつ、患者は認められたAEに関連しない薬剤の投与を継続した。試験薬の最終投与後90日以上にわたって生じる治療に関連した重篤なAEが記録された。
【0098】
結果
患者特性
女性14名を登録した。表4は、ベースライン患者特性を示す。卵巣がんが最も一般的な腫瘍タイプであった(9/14[64%])。
【0099】
【0100】
用量最適化および毒性
推奨された第2相用量(RP2D)は、4週毎のデュルバルマブ1500mgとともに、セジラニブ20mgの5days on/2days offと決定した。デュルバルマブを伴う毎日のセジラニブは、耐容性が不十分であったが、それは第1の治療サイクルの間、用量制限毒性(DLT)の公式基準を満たさなかった。毎日のセジラニブは、患者7名/8名にて再発グレード2または非DLTグレード3もしくは4の有害事象(AE)に起因して中断または用量低減し;DL1での患者2名にて試験時の新しい肺血栓塞栓症(PE)に起因してセジラニブを中断し、DL1での患者1名にてサイクル2で用量低減するとともに、DL2での患者4名にて、後のサイクル(サイクル2、3、および5)で再発グレード2の腹痛、下痢、疲労に起因して用量を1レベル低下させた。患者2名は、グレード3の大腸炎(サイクル6)およびグレード3の肺高血圧(サイクル5)からなる治療により出現したAE(TEAE)に起因して治療から除外した。患者は、全身性コルチコステロイドで治療したが、症状は改善しなかった。肺高血圧を有する患者はまた、PEを有し、治療の中断後の約1か月で終了し;剖検所見では、心膜液貯留、ならびに肺、甲状腺、リンパ節、および他の臓器の浸潤を含む疾患進行を呈した。プロトコル修正として、セジラニブ20mgの5days on/2days offによる新しい用量レベルを加えた。間欠スケジュールでの患者1名が、サイクル1でグレード4の高血圧のDLTを有し、他の患者5名がすべての投与サイクルを通じて治療に耐容性を示した。表5にまとめるように、すべての患者が少なくとも1つの任意のグレードのTEAEを有した。
【0101】
【0102】
臨床活性
デュルバルマブ+セジラニブでの患者14名中12名は、腫瘍応答について評価し;2名は、進行を示すことなく、サイクル1の間での薬物毒性または同意撤回に起因して評価不能であった。患者12名中6名がPR(5+l~8+月、50%ORR)を達成し、その3名をDL3で治療し、応答が間欠セジラニブスケジュールで減弱しないことが示唆された。試験中に認められた患者の腫瘍サイズにおける(ベースラインからの)最大応答を
図9に示す(すなわち、認められた最大応答は試験中の任意の時点で認められていることがある)。
図10は、各患者における腫瘍サイズのベースラインからの経時的変化を示す。
【0103】
間欠セジラニブスケジュールは、毎日スケジュールで認められる耐容性の改善および臨床的有用性の維持をもたらす。
【0104】
実施例6:第1相臨床試験-(MEDI4736)デュルバルマブおよびオラパリブと組み合わせたセジラニブの間欠投与
間欠スケジュールの利益は、セジラニブをデュルバルマブおよびオラパリブと組み合わせる能力をセジラニブの間欠スケジュール(5days on/2days off)を用いて試験する場合の組み合わせ試験にて臨床的にさらに試験した。試験の目標は、デュルバルマブ+オラパリブ+間欠セジラニブ(NCT02484404)の推奨される第2相用量(RP2D)を決定することであった。この試験では、デュルバルマブおよびオラパリブと組み合わせたセジラニブの間欠投与が再発性の女性がんにおいて耐容性および活性を示すことが示された。
【0105】
試験設計:
0~1の活動状態(PS)および良好な末端臓器機能を有する適格患者に、デュルバルマブ+オラパリブ+間欠セジラニブを投与した。患者に、1500mg、IV、28日毎のデュルバルマブおよび300mg錠剤のオラパリブBIDとともに、15または20mg(5days on/2days off)のセジラニブを投与した。用量制限毒性期間は、1回の28日サイクルであった。安全性は、CTCAEv4.0およびRECISTv1.1による応答により評価した。すべて患者に、登録前に書面でのインフォームドコンセントを提供した。
【0106】
結果:
中央値51歳[範囲44~73]および治療前の中央値2[範囲2~6]の女性9名は、デュルバルマブ+オラパリブ+間欠セジラニブで治療した。患者7名が卵巣がんを有し、患者1名が子宮内膜がんを有し、患者1名がトリプルネガティブ乳がん(TNBC)を有した。患者2名がグレード3/4の有害事象(リンパ球減少症)を経験した。毒性に関連した用量減少または中断はなかった。評価可能な患者5名にて、2つの部分応答(5+、2+月)および3つの安定疾患(2+~7+月)が認められた。
【配列表】