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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】感圧接着剤
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20230501BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20230501BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230501BHJP
   C09D 175/16 20060101ALI20230501BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20230501BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230501BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230501BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230501BHJP
   C09J 133/00 20060101ALI20230501BHJP
   C09J 175/16 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
C08F290/06
C09D4/02
C09D7/63
C09D175/16
C09J4/02
C09J7/38
C09J11/06
C09J11/08
C09J133/00
C09J175/16
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021087383
(22)【出願日】2021-05-25
(62)【分割の表示】P 2017548274の分割
【原出願日】2016-03-17
(65)【公開番号】P2021138959
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2021-06-23
(31)【優先権主張番号】62/136,694
(32)【優先日】2015-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジンピン・ウー
(72)【発明者】
【氏名】シャオシン・ドン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ルゥ
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-056966(JP,A)
【文献】国際公開第2011/010599(WO,A1)
【文献】特表2013-533894(JP,A)
【文献】特開2008-169319(JP,A)
【文献】特表2010-504416(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 290/06
C09D 4/02
C09D 7/63
C09D 175/16
C09J 4/02
C09J 7/38
C09J 11/06
C09J 11/08
C09J 133/00
C09J 175/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 30重量%から75重量%の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであって、2,000g/モルから50,000g/モルの数分子量Mnの平均を有する少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;
) 10重量%から60重量%の少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマー;
) 1重量%から50重量%の少なくとも1つの粘着付与樹脂;ならびに
d) 5重量%までの少なくとも1つの開始剤系;
e) 5重量%までの少なくとも1つの多官能性モノマー;
f) 3重量%までの少なくとも1つの湿潤剤;および
g) 場合により他の添加剤
を含み、a)+b)+c)+d)+e)+f)+g)の%の合計が100%であり、
少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが2mg KOH/gから50mg KOH/gの平均OH価、および1.2から1.8の(メタ)アクリレートの数-官能価の平均を有し、
少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーa)が、ポリエステルから誘導され、
組成物が、硬化時に20℃以下のガラス転移温度Tgを有し、
少なくとも1つの粘着付与樹脂c)が、80℃以下の軟化温度を有し、
少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーb)が、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、2-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される、硬化性組成物。
【請求項2】
組成物は、d)少なくとも1つの開始剤系を含み、ここで、d)少なくとも1つの開始剤系が、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノ-アシルホスフィン、ビス-アシルホスフィン、ホスフィンオキシドおよびメタロセンならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの光開始剤を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
組成物が、1重量%未満の非反応性溶媒および1重量%未満の水を含む、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
a)少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートが、以下の式(I)
【化1】
[式中、2≦n≦20および2≦m≦4であり、
は、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート基であり;
は、アルキレン、シクロアルキレンおよびアリールアルキレンからなる群から選択されるジオール基であり;
は、成分a)が2mg KOH/gから50mg KOH/gの平均OH価を有するよう-R-OHの部分を含み、Rは、成分a)が1.2から1.8(メタ)アクリレートの数官能価の平均を有するよう-R-(メタ)アクリロイルオキシの部分を含み;
およびRは、アルキレン、シクロアルキレンおよびアリールアルキレンからなる群から選択される二価の基である。]
のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
c)少なくとも1つの粘着付与樹脂が、水素化されていてもよいピペリレン系炭化水素樹脂、および無水マレイン酸ロジンエステルによって改質された水素化または非水素化ロジンエステルからなる群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
組成物が、接着剤硬化性組成物である、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
組成物が、感圧接着剤硬化性組成物である、請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
請求項1からのいずれか一項に定義された硬化性組成物を硬化させることにより形成されるフィルム。
【請求項9】
- 請求項1からのいずれか一項に定義された硬化性組成物を基材に塗布すること、次いで
- 前記硬化性組成物を硬化させること
を含む、基材をコーティングする方法。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に定義された硬化性組成物の硬化によって得られる硬化組成物。
【請求項11】
硬化した接着剤組成物または硬化したコーティング組成物である、請求項10に記載の硬化組成物。
【請求項12】
接着テープ、接着シート、接着剤スプレー、製品包装、製品ラベル、建設物品または医療用製品の形態の感圧接着剤である請求項1からのいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化させることにより得られる、硬化接着剤組成物。
【請求項13】
包装、ラベル貼付、建設、モデル作製、医学または建設用途のためのものである、請求項12に記載の硬化接着剤組成物。
【請求項14】
接着剤での請求項1からのいずれか一項に定義された硬化性組成物の使用。
【請求項15】
感圧接着剤中に存在する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
請求項1からのいずれか一項に定義された硬化性組成物を用いて製造される、感圧接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の実施形態は、硬化性の実質的に溶媒を含まない且つ実質的に水を含まない感圧接着剤(PSA)系を対象にする。本明細書に記載の実施形態はまた、a)30重量%から75重量%の範囲の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、b)10重量%から60重量%の範囲の少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマー、c)1重量%から50重量%の範囲の少なくとも1つの粘着付与樹脂、ならびに任意成分である、d)少なくとも5%までの開始剤系、例えば、0.1重量%から5重量%の範囲の少なくとも1つの光開始剤、e)5%までの少なくとも1つの多官能性モノマー、f)3%までの少なくとも1つの湿潤剤、およびg)他の添加剤を含むPSA系を対象にする。PSA系は硬化性であり、金属またはプラスチック基材等の基材上に配置することができる。本明細書に記載の実施形態は、剥離強度、粘着性、せん断抵抗および硬化時間等の特性に関して有利である。
【背景技術】
【0002】
UV硬化性感圧接着剤は、一般に、アクリル系、スチレン系ブロックコポリマーまたはウレタン化学をベースにしており、これらは加工およびフィルム形成中にある欠点を有する。アクリル系PSA系は、通常、ホットメルト型の接着系、溶媒ベースの接着系またはコーティング処理を容易にする水ベースの接着系である。溶媒ベースのPSA系は揮発性の有機化合物を含んでおり、蒸発させるのが困難である。そのような困難性により、環境面および性能面でその用途が制限される。ホットメルト型の接着系は、接着剤を形成するために加熱を必要とし、また、高温でのせん断および剥離特性が悪い等、性能に限界がある。
【0003】
米国特許第7,166,649号は、ポリエステル-ポリエーテル系ウレタンアクリレート、1つ以上のアクリレートモノマーおよびUV光開始剤のUV硬化反応生成物である感圧性組成物を開示する。この場合、目標性能を達成するためにコポリマー系が必要である。
【0004】
米国特許第7,268,173号および米国特許出願公開第2005/0209360号および同第2005/0176842号は、溶媒を含まない放射線硬化性で印刷可能な感圧接着剤の前駆体であって、(i)1つ以上のモノ(メタ)アクリレート官能性オリゴマー化合物であって、該モノ(メタ)アクリレート官能性オリゴマー化合物の少なくとも1つが少なくとも1つのウレタン結合を含み;(ii)1つ以上のポリ(メタ)アクリレート官能性オリゴマー化合物;(iii)エチレン性不飽和基を含む1つ以上のモノマー化合物、および(iv)フリー放射光開始剤を含む、前駆体を開示する。
【0005】
米国特許第8,735,506号には、ヒドロキシ官能性アクリレートモノマーおよびジイソシアネートから調製された誘導体化剤でアクリルポリマーを誘導体化することによってUV硬化性感圧接着剤組成物を製造する方法が開示されている。
【0006】
米国特許第6,180,200号には、少なくとも1つの放射線硬化性アクリレートオリゴマー、反応性希釈剤、自由放射光開始剤、エポキシ樹脂、ジオール、カチオン性光開始剤およびメルカプトプロピルトリメトキシシランを含むデジタル多目的ディスクを結合するためのカチオン性且つハイブリッド放射線硬化性感圧接着剤組成物が開示されている。
【0007】
米国特許第5,391,602号は、アクリルまたはメタクリル反応性末端基およびモノオールまたはポリオール非反応性末端基の残基でキャップされたポリウレタン主鎖を含み、チオール化合物も含有する放射線硬化性感圧接着剤組成物を開示する。ポリウレタン主鎖は、ポリオキシプロピレンジオールまたはポリオキシエチレンジオールの残基を含む。
【0008】
米国特許第5,112,882号は、6から10個の炭素原子を含むモノマーおよび光活性架橋剤から誘導された1つ以上のポリ(アルファオレフィン)ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーおよびテトラポリマーを含む感圧接着剤組成物を開示する。この組成物は硫黄を含まない。感圧接着剤は、感圧接着テープ、転写接着フィルムを含む物品、および積層構造の支持体間の結合材料として有用である。
【0009】
米国特許第5,686,504号は、着色されたUV硬化アクリル系感圧接着剤およびその製造方法を開示する。接着剤は、顔料および水素引き抜き光開始剤を配合したアクリルコポリマーを含む。粘着付与剤および/または多官能性アクリレートもしくはメタクリレートを添加することもできる。第3級アミン官能基と水素引き抜き光開始剤との組み合わせにより、高い結合力が達成された。
【0010】
米国特許第7,932,302号は、ジイソシアネートをゴムオリゴマー/ポリマーに由来するポリオールと反応させることによって形成されるウレタン延長主鎖を含む約20重量%から約90重量%の1つ以上のオリゴマー/ポリマーを、約10重量%から約80重量%の1つ以上の粘着付与剤と共に含む放射線硬化性接着剤組成物を開示する。放射線硬化性組成物が基材に塗布され、次いで電磁放射線に供される感圧接着剤の製造方法も開示される。オリゴマーはトルエン中の60重量%溶液で供給された。
【0011】
米国特許第4,999,242号は、アクリル系接着剤100重量部、炭素-炭素二重結合を有する化合物5から500重量部およびシリコーンアクリレート化合物0.01から20重量部を含む、放射線透過性基材上に形成された放射線硬化性接着剤層を含む放射線硬化性感圧接着テープを開示する。
【0012】
米国特許出願公開第2012/0059087号は、エポキシ化天然油脂から製造される感圧接着剤、およびアルコール、アミン、アミノアルコールおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの多官能剤との反応を開示する。米国公開特許出願第2012/0059087号はまた、これらの方法によって形成される感圧接着剤を提供する。
【0013】
米国特許出願公開第2014/0057101号には、エポキシ化天然油脂をダイマー酸と反応させて製造された生成物を含む感圧接着剤組成物が開示されている。前駆体を担体上にコーティングし、UV-放射により硬化させて感圧接着剤を形成した。
【0014】
米国特許第5,308,887号は、シリコーン/アクリル系をベースとする放射線硬化性感圧接着剤組成物およびそれから調製された接着テープを開示する。接着剤組成物は、5から95重量部のアクリルモノマーを含み、ここで、前記アクリルモノマー、95から5重量部のシリコン感圧接着剤は、好ましくは、シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンとシラノール官能性コポリマーシリコーンとの相互縮合生成物、0から5重量部の光開始剤および0から5重量部の架橋剤を含む。
【0015】
米国特許出願公開第2008/0108721号は、セルロース化合物およびアクリルモノマーを含むアクリルバインダー樹脂を約35重量%から約65重量%、アクリレートオリゴマー化合物を25重量%から60重量%、硬化剤を1%から20%、および光開始剤を1%から5%含む光硬化性粘着剤組成物を開示する。接着剤の合成およびキャスティング中に溶剤が使用された。
【0016】
米国特許出願公開第2011/0054062号は、UVロジンモノマーブレンド、アクリル化ウレタンポリオール、TPDGAトリプロピレングリコール、光開始剤、非イオン性湿潤剤および分子変形剤、スリップ添加剤および脱気剤および/または芳香剤を含むUV感圧接着剤を開示する。
【0017】
米国特許出願公開第2008/0160300号には、ポリマーバインダー樹脂100重量部当たり約20から約150重量部のUV硬化性アクリレートを含む感圧接着剤組成物が開示されており、UV硬化性アクリレートが、室温で固体またはほぼ固体である。ポリマーバインダー樹脂は、ヒドロキシ官能基、カルボキシル官能基、エポキシ官能基またはアミン官能基の1つ以上を有するアクリル樹脂である。溶媒が組成物に含まれていた。
【0018】
米国特許出願公開第2004/0127594号は、アクリレートコポリマー、モノアクリレートオリゴマー、分子当たり2から5個のアクリレート官能基を有するマルチアクリレートオリゴマーおよび光開始剤を含む硬化性感圧接着剤組成物を開示し、この接着剤が感圧接着剤特性を示し、硬化時に少なくとも半相互貫入ポリマー網目構造を形成し、半IPNは約3000を超える、架橋間(Mc)の平均分子量を有し、硬化した接着剤は約40N/dmより大きい剥離強度を有する。
【0019】
米国特許出願公開第2006/0216523号には、ウレタンアクリレートオリゴマー、紫外線開始剤および可塑剤を含む前駆体を架橋または硬化させて得られる感圧接着ポリマーを含有するベースポリマーを含み、前記ベースポリマーが0℃以下のガラス転移温度Tgを有する医療用感圧接着テープ用の感圧接着剤組成物が開示されている。
【0020】
米国特許出願公開第2003/0069323号は、不飽和オリゴマー樹脂および接着促進剤を含む感圧接着剤を製造するためのエネルギー硬化性ポリマー形成組成物を開示する。この組成物は、粘着付与剤、および光開始剤、鎖延長剤、反応性希釈剤等の様々な他の任意成分も含む。
【0021】
米国特許第5,907,018号明細書には、エチレン不飽和を有するシリコーンポリマー約25から約99重量%、このポリマーと共重合可能なフリーラジカル重合性ビニルモノマー約1から約75重量%および十分な量のシリケート粘着付与樹脂を含むアクリレート/シリコーン感圧接着剤組成物が開示されている。接着剤は、塗装表面に対する接着性が改善され、低温性能を有する。
【0022】
米国特許出願公開第2012/0329900号は、アクリルコポリマーおよびカチオン性光開始剤を含む感圧接着剤用のカチオン性UV架橋性アクリルポリマーを開示する。アクリルコポリマーはペンダント反応性官能基を含む。ペンダント反応性官能基を有するアクリルコポリマーから形成される感圧接着剤は、高い生強度および/または接着剤の高温保持強度をもたらす。
【0023】
米国特許出願公開第2013/0068386号は、ホットメルト接着剤に対して、35%を超える、少なくとも1つの放射線重合性反応性基を含有するポリウレタンポリマーを含む放射線架橋性ホットメルト接着剤を開示する。
【0024】
米国特許第5,879,759号には、放射線硬化による感圧接着剤の製造のための2段階法が開示されている。この方法は、Tg<0℃のモノマー65から100重量%から構成されるモノマー組成物を最初に照射して、コーティング可能なシロップを形成する工程、その後Tg>0℃の少なくとも1つのモノマーおよび少なくとも1つの多官能性モノマーまたはオリゴマーを前記シロップに添加する工程、さらにこの混合物を照射してPSAを形成する工程を含む。
【0025】
米国特許第6,429,235号は、不飽和オリゴマー樹脂および粘着性を低下させることなく接着剤の剥離強度を増加させる接着促進剤を含む感圧接着剤を製造するためのエネルギー硬化性ポリマー形成組成物を開示する。組成物は、粘着付与剤、および光開始剤、鎖延長剤、反応性希釈剤等の様々な他の任意成分も含む。米国特許第6,429,235号は、剥離特性およびせん断特性の両方を増加させることができる接着促進剤を開示する。
【0026】
米国特許第5,900,473号は、異なるTgを有する少なくとも2つのヒドロキシポリエステルと、(メタ)アクリレート、イソシアネートおよびそれらの組み合わせで官能化された少なくとも1つのプレポリマーとのブレンドの反応生成物を含む放射線硬化性感圧接着剤を開示する。米国特許第5,900,473号はまた、2つの異なるポリエステルのTgを規定する。米国特許第5,900,473号は、除去可能なPSA用途において1種のポリエステルポリオールを使用するよりも、2つの異なるポリエステルポリオールを使用するというより良好な性能を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【文献】米国特許第7,166,649号明細書
【文献】米国特許第7,268,173号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0209360号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0176842号明細書
【文献】米国特許第8,735,506号明細書
【文献】米国特許第6,180,200号明細書
【文献】米国特許第5,391,602号明細書
【文献】米国特許第5,112,882号明細書
【文献】米国特許第5,686,504号明細書
【文献】米国特許第7,932,302号明細書
【文献】米国特許第4,999,242号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0059087号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0057101号明細書
【文献】米国特許第5,308,887号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0108721号明細書
【文献】米国特許出願公開第2011/0054062号明細書
【文献】米国特許出願公開第2008/0160300号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0127594号明細書
【文献】米国特許出願公開第2006/0216523号明細書
【文献】米国特許出願公開第2003/0069323号明細書
【文献】米国特許第5,907,018号明細書
【文献】米国特許出願公開第2012/0329900号明細書
【文献】米国特許出願公開第2013/0068386号明細書
【文献】米国特許第5,879,759号明細書
【文献】米国特許第6,429,235号明細書
【文献】米国特許第5,900,473号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
放射線硬化性PSA系は、速い硬化時間、良好な加工性および環境安全性のような既知のPSA系に優る多くの利点を提供する。しかし、高い粘着特性、高い剥離特性、および良好なせん断特性の利点を実現する硬化性PSA系を開発することは非常に困難であった。従って、このような利点を実現する硬化性PSA系が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
開示された硬化性PSA系または本発明による硬化性組成物の実施形態は、既知のPSA系に関連する欠点の少なくともいくつかを克服する。
【0030】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーおよび軟化温度が80℃以下である少なくとも1つの粘着付与樹脂、ならびに場合により、光開始剤、多官能性モノマー、湿潤剤、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロープ剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤等およびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの成分を含むPSA系(意味:または硬化性組成物)が記載されている。
【0031】
実施形態では、PSA系は、a)約30から約75重量%の範囲の少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、以下の式(I)によるウレタン(メタ)アクリレートを含む。
【0032】
【化1】
式中、2≦n≦20、好ましくは3≦n≦10および2≦m≦4であり、Rは、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート基であり;Rは、アルキレン、シクロアルキレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるジオール基であり;Rは、a)が約0.01mg KOH/gから約100mg KOH/gの平均OH価を有するような-R-OHの部分を含み、Rは好ましくは成分a)が1.1から1.9、より好ましくは1.2から1.8(メタ)アクリレート、さらにより好ましくは1.3から1.7(メタ)アクリレートの数官能価の平均を有するような-R-(メタ)アクリロイルオキシの部分を含み;RおよびRは、アルキレン、シクロアルキレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される二価の基であり、より詳細には、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーa)は、約2,000g/モルから約50,000g/モルの数分子量Mnの平均を有する。
【0033】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーa)は、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートジオールまたはそれらの混合物から誘導され、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートジオールまたはそれらの混合物から製造されたまたは得られることを意味する。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1)ポリオールおよびカルボン酸ポリ酸、2)無水物およびラクトン、例えば、カプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステルの反応から生じる重縮合ポリエステルをはじめとするポリエステルから誘導することができる。
【0034】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーa)は、約1.1から約1.9の数官能価の平均を(メタ)アクリレート中に有することができる。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーa)は、約8,000g/モルから約25,000g/モルの分子量Mnおよび約0.01mg KOH/gから約100mg KOH/gの平均OH価を有することができる。
【0035】
実施形態では、PSA系は、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、2-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーを約10から約60重量%の範囲で含む。
【0036】
実施形態では、PSA系は、Sylvatac(R) RE 25、Sylvatac(R) RE 40、Sylvalite(R) RE 10L、Sylvalite(R) 80HP(Arizona Chemical)、Teckros(R) HRLおよびTeckros(R) RL5(Teckrez)からなる群から選択される少なくとも1つの粘着付与樹脂を約1から約50重量%の範囲で含む。
【0037】
実施形態では、PSA系は、少なくとも1つの光開始剤を含み、放射エネルギーで硬化可能であり、ここで、光開始剤が、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノ-アシルホスフィン、ビス-アシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。実施形態では、少なくとも1つの光開始剤は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトンであってもよい。
【0038】
実施形態では、PSA系は、いかなる開始剤も含まず、電子線エネルギーで硬化可能である。実施形態では、PSA系は、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤および/または促進剤を含み、化学的に硬化可能である。少なくとも1つのフリーラジカル開始剤は、過酸化物またはヒドロペルオキシドを含むことができ、促進剤は、第3級アミンまたは金属塩をベースとする他の還元剤を含むことができる。
【0039】
実施形態では、PSA系は、硬化時に約20℃以下、または硬化時に約10℃以下のガラス転移温度Tgを有する。Tgは、1Hzの周波数および3℃/分の加熱速度での動的機械分析によって測定される。実施形態では、PSA系は、25℃±2℃の温度で15,000cP(mPa.s)以下の粘度を有する液体である。実施形態では、PSA系は、1重量%未満の溶媒および1重量%未満の水を含むか、または溶媒を含まず、水を含まない。実施形態では、フィルムまたはコーティングがPSA系によって形成することができる。
【0040】
実施形態では、基材をコーティングする方法は、基材にPSA系を塗布し、接着剤を硬化させることを含むことができ、ここで、塗布は、周囲温度でPSA系を塗布することを含む。実施形態では、基材は、金属等の高表面エネルギー基材、またはプラスチック等の低表面エネルギー基材であってもよい。実施形態では、PSA系は、スプレー、ナイフコーティング、ローラーコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬等およびそれらの組み合わせによって基材に塗布され得る。実施形態では、硬化は、可視光放射、UV放射、LED放射、レーザー放射、電子線放射、過酸化物、促進剤および熱からなる群の1つに暴露することによる硬化を含み得る。実施形態では、硬化はこれらの硬化技術の組み合わせを含む。
【0041】
実施形態では、感圧接着剤は、本明細書に記載のPSA系から製造または調製することができる。実施形態では、硬化生成物は、本明細書に記載のPSA系から製造または調製することができる。実施形態では、本明細書に記載のPSA系を接着剤、特に感圧接着剤に使用することができる。
【0042】
実施形態では、PSA系は、a)平均分子量が2,000から50,000の範囲内であり、数(メタ)アクリレート官能価の平均が1.2から1.9の範囲である少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能性ウレタンオリゴマー約30から75% w/w;b)60% w/wまでの少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマー;c)50% w/wまでの軟化点温度が40℃未満の少なくとも1つの脂環式粘着付与樹脂;d)5%までのフリーラジカル開始剤系;e)5% w/wまでの少なくとも1つの多官能性(メタ)アクリレートモノマー(少なくとも2の官能価を有する意味)およびf)3% w/wまでの他の添加剤を含む。
【0043】
本明細書に記載されるPSA系の実施形態は、熱を加えずに滑らかで均一なコーティングまたはフィルムを形成するように適合され、それにより、コーティングまたはフィルムは、剥離強度、粘着性およびせん断抵抗に関して有利な特性を有する。本明細書に記載されているPSA系の実施形態は、接着テープ、接着シートまたは接着剤スプレーとしての用途を見出すことができ、製品の包装およびラベル貼付、建設および医療において他の用途を見出すことができる。
【0044】
本明細書に記載のPSA系は、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーおよび少なくとも1つの粘着付与樹脂を含むことができる。実施形態では、a)少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、b)少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーおよびc)少なくとも1つの粘着付与樹脂は、本明細書に記載のPSA系の100重量%を構成する。PSA系は、光開始剤、多官能性モノマー、湿潤剤、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロープ剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤等およびそれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤のような他の添加剤も場合により含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0045】
I-ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーa)
実施形態では、本明細書に記載のPSA系は、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含むことができる。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、2つの(メタ)アクリロイル基で終端された選択鎖および/または1つの(メタ)アクリロイル基および1つの遊離OH基によって終端された選択鎖を有する少なくとも2つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの混合物を含む。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、式(I)のウレタン(メタ)アクリレートを含む。
【0046】
【化2】
【0047】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、バイオベースのウレタンオリゴマーであってもよい。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ジオールから、またはそれらの混合物から誘導され得る。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、1)ポリオールおよびカルボン酸ポリ酸、および2)無水物およびラクトン、例えば、カプロラクトンの開環重合によって得られるポリエステルの反応から生じる重縮合ポリエステルをはじめとするポリエステルから誘導され得る。
【0048】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、2から20または3から10または3から5のn値(例えば、ウレタン繰り返し単位の数)を有する。好ましくは、m(例えば、メチレン繰り返し単位の数)は、2から4の値を有することができる。少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、遊離OH基を含む主鎖を有していてもよく、ここで、平均OH価は、約0.01mg KOH/gから約100mg KOH/gまたは約0.5mg KOH/gから約100mg KOH/gまたは約1mg KOH/gから約50mg KOH/gまたは約2mg KOH/gから約50mg KOH/gまたは 約3mg KOH/gから約10mg KOH/gの範囲であることができる。
【0049】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリレート中に約1から約2の(メタ)アクリレートまたは約1.1から約1.9の(メタ)アクリレートまたは約1.2から約1.8の(メタ)アクリレートまたは約1.3から約1.7の(メタ)アクリレートまたは2未満の(メタ)アクリレートの数官能価の平均を有する。ある場合には、末端(メタ)アクリロイル基に関する数官能価の平均は、全体的官能価の2に対する補数がOH基平均官能価に確かに対応することを意味する。
【0050】
実施形態では、Rは、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート基であることができ;Rは、アルキレン、シクロアルキレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるジオール基であることができ;Rは、約0.01mg KOH/gから約100mg KOH/gの平均OH価を有する-R-OHの部分を含み、Rは-R-(メタ)アクリロイルオキシの部分を含み;RおよびRは、アルキレン、シクロアルキレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される二価の基である。
【0051】
実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、約1,000g/モルから約200,000g/モルまたは約2,000g/モルから約50,000g/モル、好ましく約5,000g/モルから約25,000g/モルの分子量を有することができる。実施形態では、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、接着組成物中に、約5重量%から約90重量%または約10重量%から約85重量%または約20重量%から約80重量%または約30重量%から約75重量%または約40重量%から約60重量%で存在することができる。
【0052】
II-モノ(メタ)アクリレート官能性モノマーb)
実施形態では、少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーは、組成物中に約1重量%から約80重量%または約2重量%から約75重量%または約3重量%から約70重量%または約5重量%から約65重量%または約10重量%から約60重量%または約20重量%から約40重量%で存在することができる。
【0053】
実施形態では、少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーは、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート(SR611)、イソボルニルアクリレート(SR506)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(SR285)、カプロラクトンアクリレート(SR495B)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(SR256)、2-フェノキシエチルアクリレート(SR339)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート(SR203)、イソオクチルアクリレート(SR440)、2-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0054】
III-粘着付与樹脂c)
実施形態では、少なくとも1つの粘着付与樹脂は、無水マレイン酸ロジンエステルによって改質されたものをはじめとする、水素化C炭化水素樹脂(ピペリレン系等)または水素化もしくは非水素化ロジンエステルを含むことができる。実施形態では、少なくとも1つの粘着付与樹脂は水素化される。実施形態では、少なくとも1つの粘着付与樹脂は、80℃以下の軟化温度を有する。実施形態では、少なくとも1つの粘着付与樹脂は、接着剤組成物中に、約1重量%から約50重量%または約2重量%から約35重量%または約3重量%から約25重量%または約4重量%から約15重量%または約5重量%から約10重量%で存在することができる。
【0055】
実施形態では、少なくとも1つの粘着付与樹脂は、Sylvatac(R) RE 25、Sylvatac(R) RE 40、Sylvalite(R) RE 10L、Sylvalite(R) 80HP(Arizona Chemical)、Teckros(R) HRLおよびTeckros(R) RL5(Teckrez)からなる群から選択することができる。
【0056】
IV-その他の添加剤
実施形態では、PSA系は、光開始剤、多官能性モノマー、湿潤剤、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロープ剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤等およびそれらの組み合わせの1つ以上のような他の添加剤も場合により含むことができる。
【0057】
実施形態では、組成物をUV光等の放射エネルギーで硬化可能にするために、少なくとも1つの光開始剤を含む開始剤系の十分な量を組成物に場合により含めることができる。好ましくは、組成物は、開始剤系を約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%含むことができる。本明細書に記載の組成物に使用するのに適した光開始剤は、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノ-アシルホスフィン、ビス-アシルホスフィン、ホスフィンオキシド、メタロセンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される化合物を含むことができる。実施形態では、少なくとも1つの光開始剤は、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトンであってもよい。
【0058】
実施形態では、本明細書に記載の組成物は、いかなる開始剤も含まず、電子線エネルギーで硬化可能にされる。
【0059】
実施形態では、組成物を化学的に硬化可能にするために、少なくとも1つのフリーラジカル開始剤および/または促進剤を含む開始剤系の十分な量を場合により組成物に含めることができる。好ましくは、組成物は、約0.1重量%から約20重量%、好ましくは約2重量%から約15重量%の開始剤系を含むことができる。本明細書に記載の組成物に使用するのに適したフリーラジカル開始剤は、過酸化物およびヒドロペルオキシドを含むことができ、適切な促進剤には、第3級アミンまたは金属塩をベースとする他の還元剤が含まれ得る。そのような化学的硬化は、促進剤を使用する場合、より低い温度でも起こり得る。
【0060】
実施形態では、少なくとも1つの多官能性モノマーおよび/または湿潤剤の十分な量を組成物に場合により含めることができる。そのような添加剤は、本明細書に記載の組成物中に、約0.1重量%から約20重量%または約1重量%から約10重量%で存在することができる。
【0061】
実施形態では、PSA系は接着促進剤を含まず、系自体が十分な接着特性を有するので接着促進剤を含まない。
【0062】
実施形態では、組成物は、5重量%未満の溶媒および5重量%未満の水または3重量%未満の溶媒および3重量%未満の水または1重量%未満の溶媒および1重量%未満の水または0.5重量%未満の溶媒および0.5重量%未満の水を含む。好ましくは、組成物はいかなる溶媒も含まず、水を含まない。溶媒は、アセトンまたはメチルエチルケトン等のケトン、酢酸エチルまたは酢酸ブチル等の酢酸アルキル、イソプロピルアルコールおよびエタノール等のアルコール、ヘキサン等のアルカン、トルエン等のアルケンおよびそれらの組み合わせをはじめとする非反応性溶媒であることができる。非反応性溶媒とは、飽和であり、重合に参加するために利用できない溶媒を意味する。
【0063】
実施形態では、PSA系は、硬化時に約20℃以下、または硬化時に約10℃以下、または硬化時に約0℃以下であり、硬化時に約20℃から約-30℃の範囲であるガラス転移温度Tgを有する。ガラス転移温度は、3℃/分の掃引速度を有するDMA法によって決定することができる。
【0064】
本発明の1つの主題は、以下
a) 数分子量Mn(GPCにより測定)の平均が2,000g/モルから50,000g/モル、好ましくは5,000g/モルから25,000g/モルの少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー30重量%から75重量%、好ましくは40重量%から60重量%;
b) 少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマー約10重量%から60重量%、好ましくは20重量%から約40重量%;
c) 少なくとも1つの粘着付与樹脂約1重量%から50重量%、好ましくは2重量%から35重量%;ならびに場合により
d) 5重量%までの少なくとも1つの開始剤系;
e) 5重量%までの少なくとも1つの多官能性モノマー;
f) 3重量%までの少なくとも1つの湿潤剤;および
g) 他の添加剤
を含み、a)+b)+c)+d)+e)+f)+g)の%の合計は100%である硬化性組成物に関する。
【0065】
より詳細にはd)成分が存在し、前記d)少なくとも1つの開始剤系が、好ましくはα-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、ベンジルジメチルケタール、α-アミノケトン、モノ-アシルホスフィン、ビス-アシルホスフィン、ホスフィンオキシドおよびメタロセンならびにそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの光開始剤を含み、好ましくは少なくとも1つの開始剤系が1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトンである。
【0066】
より詳細には、成分a)+b)+c)は、成分a)、b)およびc)のみを含む硬化性組成物の100重量%に等しい。
【0067】
硬化性組成物は、硬化時に20℃以下、好ましくは硬化時に0℃以下のガラス転移温度Tg(1Hzの周波数および3℃/分の加熱速度での動的機械分析実験によって測定したTg)を有することができるか、または組成物は、25℃±2℃の温度で液体であり得、より詳細には、組成物は、1重量%未満の非反応性溶媒および1重量%未満の水を含み、好ましくは組成物が非反応性溶媒を含まず、水を含まない。
【0068】
他の添加剤h)は、艶消し剤、着色剤、染料、顔料、接着促進剤、充填剤、レオロジー調整剤、チキソトロープ剤、可塑剤、UV吸収剤、UV安定剤、分散剤、酸化防止剤、帯電防止剤、潤滑剤、乳白剤、消泡剤、レオロジー剤およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0069】
粘着付与樹脂c)は、リングアンドボール法(ASTM D6493等)により測定して80℃以下の軟化温度を有することが好ましい。より具体的には、前記樹脂c)は、水素化されていてもよいピペリレン系炭化水素樹脂、および無水マレイン酸ロジンエステルによって改質された水素化または非水素化ロジンエステルからなる群から選択され、好ましくはc)少なくとも1つの粘着付与樹脂は水素化されている。
【0070】
好ましくは、成分b)少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーは、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、2(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、 テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、2-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートおよびそれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくは、アルコキシル化テトラヒドロフルフリルアクリレートおよび/またはイソボルニルアクリレートである。
【0071】
より好ましくは、成分a)少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートは、式(I)のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む。
【0072】
【化3】
式中、2≦n≦20、好ましくは3≦n≦10および2≦m≦4であり;
は、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アリールアルキレンおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるジイソシアネート基であり;
は、アルキレン、シクロアルキレンおよびアリールアルキレンからなる群から選択されるジオール基であり;
は、成分a)が2mg KOH/gから50mg KOH/g、好ましくは3mg KOH/gから10mg KOH/gの平均OH価を有するような-R-OHの部分を含み、Rは、成分a)が1.2から1.8の(メタ)アクリレート、好ましくは1.3から1.7の(メタ)アクリレートの数官能価の平均を有するような-R-(メタ)アクリロイルオキシの部分を含み;
およびRは、アルキレン、シクロアルキレンおよびアリールアルキレンからなる群から選択される二価の基である。
【0073】
好ましくは、本発明による硬化性組成物は、接着剤硬化性組成物、より具体的には感圧接着剤硬化性組成物である。
【0074】
本発明はまた、本発明による上記で定義した硬化性組成物を硬化させることによって形成されるフィルムも包含する。
【0075】
本発明の他の主題は、基材をコーティングする方法であって、
- 本発明による上記で定義した硬化性組成物を基材に塗布し、次いで
- 硬化性組成物を硬化させること
を含む該方法に関する。
【0076】
前記硬化は、好ましくは、可視光放射、UV放射、LED放射、レーザー放射、電子線放射、過酸化物、過酸化物および促進剤、熱ならびにそれらの組み合わせからなる群の1つに暴露することによる、より好ましくはUVおよび/または可視光放射に暴露することによる硬化を含む。
【0077】
前記塗布は、スプレー、ナイフコーティング、ローラーコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬およびそれらの組み合わせによる塗布を含む。
【0078】
本発明の別の主題は、本発明による上記で定義した硬化性組成物の硬化によって得られる硬化組成物に関する。
【0079】
好ましくは、前記硬化組成物は硬化した接着剤組成物である。前記硬化組成物は、硬化したコーティング組成物であってもよい。
【0080】
本発明のより具体的な主題は、本発明による上記で定義した硬化性組成物を硬化させることによって得られる硬化した接着剤組成物であり、硬化した接着剤は、好ましくは、接着テープ、接着シート、接着スプレー、製品パッケージ、製品ラベル、建設物品または医療製品の形態の感圧接着剤であり、より詳細には、前記感圧接着剤は、包装、ラベル貼付、建設、モデル作成、医学および建設用途向けである。
【0081】
本発明はまた、接着剤、好ましくは感圧接着剤における本発明の硬化性組成物の使用を包含する。
【0082】
本発明の別の主題は、本発明による上記で定義した硬化性組成物を用いて製造された感圧接着剤である最終製品に関する。
【0083】
実施形態では、硬化性組成物は15,000cPs未満または12,500cPs未満または10,000cPs未満の粘度を有する25℃±2℃の温度で液体である。そのような粘度の特徴により、フィルム形成のための基材上への組成物の広がりが容易になる。組成物は、例えば、スプレー、ナイフコーティング、ローラーコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬等およびそれらの組み合わせによる、任意の既知の従来の方法で基材に塗布することができる。転写方法を使用する基材への間接的な塗布も用いることができる。基材は、それぞれ金属基材またはプラスチック基材等の高表面エネルギー基材または低表面エネルギー基材のような任意の商業的に関連する基材であってもよい。基材は、ステンレス鋼、紙、ボール紙、ガラス、ポリオレフィン、PET、PVC、PMMA、PC、複合材料および木材を含んでもよい。
【0084】
実施形態では、本明細書に記載の組成物から感圧接着剤フィルムを調製する方法は、組成物を基材上にコーティングし、組成物を硬化させることを含むことができる。コーティングは、周囲温度または周囲温度に近い温度(例えば、10から35℃の範囲)で行うことができる。実施形態では、本明細書に記載の感圧接着剤組成物の層が基材に塗布されると、その層は硬化され得る。硬化は、少なくとも3つの経路、即ち、1)放射エネルギー(UV光、可視光および/またはLED光等)を用いて光開始剤で硬化すること、2)電子線エネルギーを用いていかなる開始剤もなしで硬化すること、および3)促進剤(例えば、第3級アミンまたは金属塩をベースとする別の還元剤)を用いて低温で化学物質(過酸化物、ヒドロペルオキシド)で硬化させることによって行うことができる。
【0085】
本明細書に記載の感圧接着剤組成物の層は、少なくとも1つのウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーおよび少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーの架橋を引き起こし、塗布した組成物を硬化させるのに効果的な時間、エネルギーに暴露することができる。所望の程度の硬化を達成するために、強度および/または波長を所望に応じて調整することができる。暴露時間は、時間が組成物を固体PSAフィルムに硬化させるのに有効であれば特に制限されない。 十分な架橋を引き起こすためのエネルギーへの曝露の時間枠は、特に限定されず、少なくとも約5秒、または少なくとも約30秒、または少なくとも約1分、または少なくとも約5分、または少なくとも約10分であり得る。
【0086】
本発明で定義される以下のパラメータは以下のように決定される。
- Tg:1Hzの周波数および3℃/分の加熱速度での動的機械分析による
- Mn値:以下に詳細に開示するような従来のGPCによる。
【0087】
分子量Mnおよび多分散性Mw/Mnは、従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。少量のサンプルをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、HP PLGel(R) GPCカラム(5μm、100A、250×4.6mm;3μm MiniMix-E、250×4.6mmおよび5μm MiniMix-D、250×4.6mm)を備えた液体クロマトグラフ(Agilent 1100シリーズ)に注入した。サンプルの成分は、溶液中の分子サイズに基づいてGPCカラムによって分離された。これらの成分をHewlett-Packard 1047A(R)屈折率検出器で検出し、Agilent HPLC Chemstation(R)およびPolymer Laboratories GPCソフトウェアによって記録した。既知の分子量および狭い分散度のポリスチレン標準を用いて検量線を作成した。
【0088】
- OH値は、Radiometer TitraLab TM TM865自動滴定装置によって決定される。4から5gのサンプルを25mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、次いで25mlのp-トルエンスルホニルイソシアネート(TSI)試薬を容積分析で加え、10分間撹拌する。次いで、0.25M濃度の水酸化テトラブチルアンモニウムでサンプルを滴定した。結果は、自動滴定装置によってmg KOH/gで報告される。
- a)の数官能価の(メタ)アクリレート平均は、計算された理論的官能価である。
- 粘着付与樹脂c)の軟化点:炭化水素およびロジンエステル粘着付与樹脂に現在使用されているASTM D6493のような、リングアンドボール標準法による。
【実施例
【0089】
表1は、本明細書に記載の組成物の実施例1から4のa)によるオリゴマー(例えば、脂肪族ポリエステルウレタンアクリレート1、「オリゴマー1」)の構造特性を提供する。このオリゴマーは、1.6の数-官能価の理論的平均;5.18の実験的mg KOH/g;22,339g/モルの分子量(GPC Mw);9,189g/モルの数平均分子量(GPC Mn)および5,743のアクリレート当たりの当量分子量を有する。組成物では、上記式(I)中のnは4である。
【0090】
【表1】
【0091】
実施例1から4の成分およびそれらの割合(重量%)を、それぞれ表2から5に、実施例1から4の各々の対応する剥離、粘着性およびせん断特性と共に以下に示す。実施形態では、オリゴマー(例えば、ウレタンアクリレート)は、約40%から60%の範囲の重量%で組成物に含まれていてもよい。実施形態では、少なくとも1つのモノ(メタ)アクリレート官能性モノマーは、約15%から40%の範囲の重量%で組成物に含まれていてもよい。実施形態では、粘着付与樹脂は、約5%から35%の重量%範囲で組成物中に含まれていてもよい。実施形態では、光開始剤は、約2%から3%の重量%範囲で組成物中に含まれていてもよい。
【0092】
[実施例1]
【0093】
【表2】
【0094】
[実施例2]
【0095】
【表3】
【0096】
[実施例3]
【0097】
【表4】
【0098】
[実施例4]
【0099】
【表5】
【0100】
以下のサンプル調製および試験手順を、実施例1から4による組成物から調製したフィルムの性能を評価するのに用いた。数平均分子量は、ポリスチレンを標準として用いるGPCにより決定した。実施例1から4の感圧接着剤組成物を、2ミルのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に正方形のドローダウンを用いて直接キャスティングした。実施例1から4の感圧接着剤組成物を、約1mJ/cmの硬化エネルギーで400ワット/インチの水銀蒸気ランプを用いてUV光下で硬化させた。次いで、実施例1から4の感圧接着剤組成物を剥離ライナー上に積層した。試験のために1インチストリップを切断した。180°剥離接着試験のためのサンプルは、標準のステンレス鋼またはポリプロピレンパネルに1インチストリップのサンプルを4.5ポンドの自動ローラーを用いて塗布することによって調製した。次いで、積層したサンプルを試験前に72°F(22.2℃)および50%湿度で3日間放置した。剥離強度は、ASTM-D903-98に従って180°の角度および12インチ/分の速度で測定した。粘着性は、ChemInstrumentsのプローブタックテスターPT-500を用いてASTM-D2979-95に従って測定した。プローブタック試験には、1平方インチのサンプルを使用した。せん断接着力はASTM 4498-95に従って測定した。せん断試験には、幅1インチ、長さ3インチの接着サンプルを使用した。1平方インチの接着剤をステンレス鋼パネルに塗布し、試験前に1時間放置した。次いで、1kgの重りを加えた。サンプルが破損し、重りが落ちた時間を記録した。
【0101】
見られるように、実施例1から4の感圧接着剤組成物は、ステンレス鋼およびポリプロピレン基材の両方に良好な剥離特性を示すフィルムを製造した。ステンレス鋼基材については、実施例1から4の感圧接着剤組成物のフィルムの剥離強度は、約4.0lb/inから約6.5lb/inの範囲であった。ポリプロピレン基材については、実施例1から4の感圧接着剤組成物のフィルムの剥離強度は、約4.75lb/inから約7.50/b/inの範囲であった。また見られるように、実施例1から4の感圧接着剤組成物は良好な粘着特性を示すフィルムを製造した。実施例1から4の感圧接着剤組成物のフィルムの粘着性は、約44lb/inから約61lb/inの範囲であった。さらに見られるように、実施例1から4の感圧接着剤組成物は良好なせん断特性を示すフィルムを製造した。1kgの重りが落下するのに要した時間は、実施例1から4の感圧接着剤組成物のフィルムについては約30時間から約82時間であった。
【0102】
比較例
表6は、比較例1のオリゴマー(例えば、ポリエステルウレタンアクリレート2、「オリゴマー2」)の構造特性を提供する。このオリゴマーは、主鎖中に遊離OH基を有さない二官能性ウレタンアクリレートである。
【0103】
【表6】
【0104】
オリゴマーは2という数-官能価の理論平均;11,837g/モルの分子量(GPC Mw)および5,803g/モルの数平均分子量(GPC Mn)を有する。
【0105】
比較例1は、実施例1から4のようなオリゴマー、(メタ)アクリレート官能性モノマーおよび粘着付与樹脂の類似の量(例えば、重量%値)を含む。表7は、比較例1の成分およびそれらの重量%(wt%)値を特性と共に示す。オリゴマー(例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー2)は、45重量%の重量%で組成物中に含まれている。少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能性モノマーは、約28重量%の重量%で組成物中に含まれている。粘着付与樹脂は、25%の重量%で組成物中に含まれている。光開始剤は、2.25%の重量%で組成物中に含まれている。
【0106】
【表7】
【0107】
比較例1の組成物から製造されたフィルムの性能を評価するのに使用されたサンプル調製および試験手順は、実施例1から4について上述したものと同じであった。比較例1の感圧接着剤組成物は、特に剥離強度および粘着性に関して、実施例1から4の組成物から製造されたフィルムと同様の性能でなかったフィルムを製造した。ステンレス鋼基材については、比較例1の感圧接着剤組成物のフィルムの剥離強度は約3.3lb/inであったのに対して、実施例1から4では剥離強度は約4.0lb/inから約6.5lb/inの範囲であった。ポリプロピレン基材については、比較例1の感圧接着剤組成物のフィルムの剥離強度は約2.7lb/inであったのに対して、実施例1から4では剥離強度は約4.75lb/inから約7.50lb/inの範囲であった。粘着性に関して、比較例1の感圧接着剤組成物のフィルムのプローブタックは1.35lbであったが、実施例1から4ではプローブタックは約1.35から約1.88lbの範囲であった。
【0108】
本明細書において、「約」という語が数値に関連して使用される場合、関連する数値は、記載された数値の周りの±10%の公差を含むことが意図される。また、本明細書中のパーセンテージを参照する場合、それらのパーセンテージは重量に基づき、即ち、重量パーセンテージであることが意図される。
【0109】
当業者に理解されるように、本明細書では、新規で改良された非自明のPSA系が十分詳細に記載されたことは明らかであろう。また、当業者には、本明細書に開示された実施形態の精神および範囲から実質的に逸脱しないPSA系の特徴について、修正、変形、置換、および等価物が存在することは明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に入るそのような修正、変形、置換および等価物の全てが、添付の特許請求の範囲に包含されることが明らかに意図される。