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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】試験紙及び試験紙の読取方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/78 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
G01N21/78 A
【請求項の数】 6
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021107606
(22)【出願日】2021-06-29
(62)【分割の表示】P 2019155196の分割
【原出願日】2013-04-16
(65)【公開番号】P2021177181
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2021-07-26
(31)【優先権主張番号】61/749,811
(32)【優先日】2013-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/798,175
(32)【優先日】2013-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517102189
【氏名又は名称】アイセンサー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】IXENSOR CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ・ツンメン
(72)【発明者】
【氏名】チェン・チェ・シャオ
(72)【発明者】
【氏名】チェン・イェンユー
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-524277(JP,A)
【文献】再公表特許第2005/100988(JP,A1)
【文献】特開平10-191995(JP,A)
【文献】特表2009-513978(JP,A)
【文献】特開2009-294211(JP,A)
【文献】特開2010-091470(JP,A)
【文献】特開2008-116234(JP,A)
【文献】特開2007-101482(JP,A)
【文献】特開2009-025290(JP,A)
【文献】特開2010-281728(JP,A)
【文献】特開2005-009866(JP,A)
【文献】特開平09-105750(JP,A)
【文献】特開平09-101305(JP,A)
【文献】特表2014-514547(JP,A)
【文献】特表2004-535576(JP,A)
【文献】米国特許第04877580(US,A)
【文献】国際公開第2012/131386(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
G01N 33/48 - G01N 33/98
G01J 3/00 - G01J 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本試験紙の第1画像を取り込むステップであって、前記第1画像が分析物の異なる範囲の特性値を検出するようにそれぞれ構成された複数の反応領域を含むステップと、
前記複数の反応領域の1つの適切な彩度の反応領域を選択するステップと、
前記選択された反応領域を分析物の特性値に関連付けるステップと、
を備えることを特徴とする標本サンプル中の分析物の特性を検出するために標本試験紙を読み取る撮像装置を備えたコンピュータのための方法。
【請求項2】
前記複数の反応領域の1つの適切な彩度の反応領域を選択するステップは、ノイズレベルよりも大きな前記反応領域の平均RGB値を有する反応領域を選択するステップを備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記第1画像とは異なる露出条件で標本試験紙の第2画像を取り込むステップと、
前記第2画像を選択するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記第1画像は、対応する閾値よりも小さいか、あるいは、大きな反応領域の平均RGB値を有することを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1画像とは異なる照度の下、標本試験紙の第2画像を取り込むステップと、
前記第2画像を選択するステップと、をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1画像は、対応する閾値よりも小さいか、あるいは、大きな反応領域の平均RGB値を有することを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、試験紙に塗布された1以上の検体の光分析に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、反応領域102を備えた従来の標本試験紙100を示す。反応領域102は、血液サンプル中のグルコース等の標本サンプル中の検体に反応する試薬を含有する。標本サンプルが反応領域102に到達すると、反応領域102は、血液中のグルコース等の検体の特性に応じて色彩を変化させる。ユーザは、反応領域102の色彩を検体の特性と関連付けるために、図面104反応領域102の色彩と視覚により比較する。また、ユーザは、標本試験紙100を計量器内に挿入し、光学的に検体の特性を測定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の一態様によれば、標本サンプル中の検体の特性を検査するための標本試験紙には、標本サンプルを受け取るように構成された反応領域と、標本サンプルを受け取った後、反応領域の色彩を測定するように構成された色彩較正領域とが設けられている。幾つかの実施形態では、多数の反応領域が設けられ、それぞれ検体の特性値の異なる範囲を検出するように構成されている。
【0004】
本開示の他の態様によれば、標本サンプル中の検体の特性を検出するために、標本試験紙を読み取る撮像装置を備えたコンピュータのための方法が提供されている。幾つかの実施形態では、その方法は、1以上の標本試験紙の画像を取り込むステップを備えており、各画像は試験紙の反応領域と色彩較正領域とを含む。これらの実施形態では、その方法はさらに、色彩較正領域に基づいて1以上の画像から反応領域の色彩を測定することと、反応領域の色彩を検体の特性値に関連付けることとを備える。
【0005】
幾つかの実施形態では、標本試験紙の少なくとも2つの画像を取り込むことを備えた方法が提供されており、各画像は反応領域を含む。その方法はさらに、画像から反応領域の色彩強度の変化を決定することと、画像が取り込まれるときの時間の違いを測定することとを備える。またその方法は、色彩強度の変化と、検体の特性値の時間変位とを関連付けることとを備える。
【0006】
幾つかの実施形態では、標本試験紙の第1画像を取り込むことを備える方法が提供されている。その画像は、反応領域を有し、各反応領域は異なる範囲の検体の特性値を検出するように構成されている。その方法はさらに、反応領域の1つを選択することと、選択された反応領域を検体の特性値に関連付けることとを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】従来技術に係る標本試験紙を示す。
図2】本開示の1以上の例に於ける、反応領域、色彩較正領域及び温度測定領域を備えた標本試験紙を示す。
図3】本開示の1以上の例に於ける、反応領域、色彩較正領域及び温度測定領域を備えた標本試験紙を示す。
図4】本開示の1以上の例に於ける、反応領域と色彩較正領域の配置を示す。
図5】本開示の1以上の例に於ける、反応領域と色彩較正領域の配置を示す。
図6】本開示1以上の例に於ける、タイマー領域毛細管を備えた標本試験紙の一部を示す。
図7】本開示の1以上の例に於ける、反応領域とタイマー領域を備えた標本試験紙を示す。
図8】本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙を測定して読み取るための診断アプリケーションを実行するコンピュータのための方法のフローチャートである。
図9】本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性値を経過時間に於ける色彩パラメータの変化としてプロットしたカーブを図示するグラフである。
図10】本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙を迅速に読み取って異なる計算を使用する診断アプリケーションを実行するコンピュータのための方法のフローチャートである。
図11】本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性に従ってユーザの食事制限を追跡するための診断アプリケーションを実行するコンピュータのための方法のフローチャートである。
図12】本開示の1以上の例に於ける、1日以上の食事、時間及び分析物の特性値の関係を図で示す。
図13A】本開示の1以上の例に於ける、標本サンプル中の分析物の特性値の異なる範囲を検出するための一連の反応領域を含む標本試験紙を示す。
図13B】本開示の1以上の例に於ける、分析物の異なる特性値を有する標本サンプルを保持した後の図13Aの標本試験紙を示す。
図13C】本開示の1以上の例に於ける、分析物の異なる特性値を有する標本サンプルを保持した後の図13Aの標本試験紙を示す。
図13D】本開示の1以上の例に於ける、分析物の異なる特性値を有する標本サンプルを保持した後の図13Aの標本試験紙を示す。
図14】本開示の1以上の例に於ける、標本サンプル中の分析物の特性値の異なる範囲を検出するための一連の反応領域を含む標本試験紙を示す。
図15】本開示の1以上の例に於ける、標本サンプル中の分析物の特性値の異なる範囲を検出する一連の反応領域を含む標本試験紙を示す。
図16】本開示の1以上の例に於ける、標本サンプル中の分析物の特性値の異なる範囲を検出する一連の反応領域を含む標本試験紙を示す。
図17】本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性値の異なる範囲を検出する多数の反応領域を備えた標本試験紙を読み取るための診断アプリケーションを実行するコンピュータのための方法のフローチャートである。
図18】本開示の1以上の例に於ける、ある反応領域の詳細を鮮明にするために異なる露光下での標本試験紙を示す。
図19】本開示の1以上の例に於ける、ある反応領域の詳細を鮮明にするために異なる露光下での標本試験紙を示す。
図20】本開示の1以上の例に於ける、異なる分析物の特性値を検出するための多数の反応領域を含む標本試験紙を示す。
図21】本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙の断面図である。
図22】本開示の1以上の例に於ける、第1分析物の特性値を経過時間に於ける第1色彩の変化をプロットしたカーブを図示するグラフである。
図23】本開示の1以上の例に於ける、第2分析物の特性値を経過時間に於ける第2色彩の変化をプロットしたカーブを図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図2は、本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙200の実施形態を示す。標本試験紙200は、標本サンプルを受け取るための反応領域202を有する。反応領域202は、標本サンプル中の検体と化学的に反応する試薬を有し、標本サンプル中の検体の特性値に比例した1以上の色彩パラメータを生成する。幾つかの実施形態では、1以上の色彩パラメータは、反応領域202の色彩、又は、色彩及び色彩強度を有する。一例では、色彩は反応領域202の色調であり、色彩強度は反応領域202の明度である。色調及び明度は、色調、彩度、及び明度(HSL)の色彩スペースでの色彩要素であり、それらはカメラによって取り込まれた赤、緑及び青(RGB)の画素数である。便宜上、色彩及び色彩強度はまとめて色彩として言及する。試薬は、特定の検体であってもよいし、1以上の酵素、1以上の抗体、又は、1以上の色素を有してもよい。例えば、血液中のグルコースの検査のための試薬は、グルコースオキシダーゼ、ヘテロポリ酸、及び、テトラジルアミン硝酸ソーダを有してもよい。
【0009】
一例では、標本試験紙200は、その一部である色彩較正領域204を有する。一例では、色彩較正領域204は、明度の相違する条件下で反応領域202の色彩を測定するために使用されている。そのような例では、色彩較正領域204は、公知の色彩サンプルの配置を有する色彩グラフであってもよい。他の例では、色彩較正領域204は、光条件の効果を除去するために反応領域202の検査色彩を補正するために使用される。そのような例では、色彩較正領域204は色彩補正のためのホワイトバランス基準値として機能する公知の基準値(例えば、18%)のグレーカードであってもよい。またグレーカード204は、コンピュータ210が標本試験紙200の画像212を取り込むときの露出基準値として機能させてもよい。一例では、色彩グラフすなわちグレーカード204は標本試験紙200に印刷されている。
【0010】
一例では、色彩較正領域204は、1以上の公知の色彩を有するダミー反応領域である。使用中、ダミー反応領域204は、1以上の酵素、1以上の抗体、又は、1以上の色素が欠けているため、同一色彩を維持する。他の例では、ダミーの反応領域204は、いかなる標本サンプルをも受け取ることがないので同一色彩を維持する。
【0011】
一例では、標本試験紙200は、反応領域202と色彩較正領域204とに沿う標本試験紙200の一部である温度較正領域206を有する。温度較正領域206は、その温度に従って色彩を変化させ、試薬と検体の間の化学反応が標本試験紙200の温度の影響を受けるので、反応領域202の色彩を補正するために使用される。一例では、温度較正領域206は、熱変色性色素(例えば、スピロラクトン、フルオラン、スピロピラン又はフルギト類等)、ロイコ色素等の有機材料、二酸化チタン、酸化亜鉛又は酸化インジウム等の無機材料、あるいは、熱変色性液晶媒体を含有する。他の実施形態では、温度較正領域206は、温度を示すチップ、機械的装置、あるいは、電気機械装置である。温度較正領域206に代えて、あるいは、これに加えて、コンピュータ210は、反応領域202の温度を概算するか、あるいは、測定する内蔵温度センサを使用してもよい。
【0012】
コンピュータ210で撮像装置208を使用することにより、ユーザは反応領域202、色彩較正領域204及び温度較正領域206の画像212の少なくともいずれか1つを取り込む。撮像装置208は、カメラ、センサあるいは他の同様な装置であればよく、コンピュータ210は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップパソコン、デスクトップパソコンあるいは他の同様な装置であればよい。コンピュータ210は、反応領域202の色彩から検体の特性を決定するために、画像212を分析する診断アプリケーションを実行する。
【0013】
一例では、診断アプリケーションケーションは、画像212中の色彩較正領域204を使用して反応領域202の色彩を決定する。色彩較正領域204が色彩グラフであれば、診断アプリケーションは、反応領域202の色彩を決定するために、反応領域202の全部又は一部の色彩を、色彩較正領域204の公知の色彩サンプルの1つと比較する。また診断アプリケーションは、色彩グラフ204がその公知の色彩と比較し、反応領域202の色彩の全部又は一部を読み取るまで画像212を処理する。色彩領域204がグレーカードであれば、診断アプリケーションは、画像212内のグレーカード204が適切なホワイトバランスを有し、反応領域202の色彩を読み取るまで画像212を処理する。
【0014】
他の例では、診断アプリケーションは、画像212中の色彩較正領域204を使用して反応領域202の色彩を決定し、画像212中の温度較正領域206を使用して色彩を補正する。診断アプリケーションは、温度較正領域206又はコンピュータ210の内蔵温度センサから標本試験紙200の温度を決定し、反応領域202の温度と色彩との間の公知の関係を使用して、反応領域の色彩を温度に補正する。この関係は、実験的、数学的あるいはその両方によって決定してもよい。診断アプリケーションは、本開示に記載された他のどのような補正の前後であっても、温度較正領域206を使用して色彩の補正を実行するようにしてもよい。
【0015】
一例では、診断アプリケーションは、色彩補正領域204及び温度補正領域206を使用する前に、画像212の照度を測定する。診断アプリケーションは、照度が均一であるか否かを決定するために、反応領域202の照明プロファイルを評価する。診断アプリケーションは、反応領域202又は色彩較正領域204(例えば、図5中、対向するコーナーピクセル506及び508)にわたる少なくとも2つの位置のRGB値から照明プロファイルを決定する。2つの位置の間の照明プロファイルが閾値によるノイズレベルよりも大きいとき(例えば、照明プロファイルがノイズレベルの2倍のとき)、反応領域202の照度は均一ではなく、診断アプリケーションは画像212の照度を補正する。一例では、診断アプリケーションは画像212の照度を補正するために以下の数式を使用する。
新RGB=i×(R(x,y), G(x,y), B(x,y))/(R est (x,y), G est (x,y), B est (x,y))
R(x,y), G(x,y), B(x,y)は、ピクセルの初期RGB値であり、R est (x,y), G est (x,y), B est (x,y)は、同一ピクセルでの照明プロファイルの評価RGB値であり、iは、反応領域の色彩の最大RGB値である。
例えば、色彩較正領域204は、反応領域102周囲のホワイトリングを含んでもよい。画像212では、コーナー506のRGB値は(200,200,200)であり、コーナー508のRGB値は(100,100,100)であると仮定される。さらに、照明プロファイルは直線であると仮定される。これらの仮定に基づけば、図5の反応領域502に於ける中心ピクセル510のホワイトポイントは(150,150,150)のRGB値を有することになる。ピクセル510の色彩が白色でなく、代わりに(125,75,75)のRGB値を有すると言われるとき、中心点の新RGB値はi×(125,75,75)/(150,150,150)であり、iは(255,255,255)である。
【0016】
本開示に記載された1以上の測定の後、診断アプリケーションは、反応領域202(例えば、50から100ピクセル)からピクセルの見本を取得し、1以上の色彩パラメータ(例えば、色彩、又は、色彩及び色彩強度)の値を決定する。診断アプリケーションは、1以上の色彩パラメータの値を平均し、1以上の平均色彩パラメータを検体の特性値(例えば、血液中のグルコース濃度レベル)に関連付ける。
【0017】
一例では、反応領域202、色彩較正領域204及び温度較正領域206は矩形状で、領域204及び206は領域202の上方側及び下方側にそれぞれ隣接して配置される。反応領域202、色彩較正領域204及び温度較正領域206は他の形状及び配列であってもよい。
【0018】
図3は、本開示の1以上の例に於ける、反応領域302、色彩較正領域304及び温度較正領域306を異なる配列とした標本試験紙300を示す。色彩温度領域306は部位306Aと306Bに分割され、反応領域302は部位306Aと306Bによって左右から挟まれる。色彩較正領域304は反応領域302及び温度較正領域306の組み合わせの下方側に隣接している。
【0019】
図4は、本開示の1以上の例に於ける、反応領域402と色彩較正領域404の配列を示す。色彩較正領域404は反応領域402を囲んでいる。一例では、反応領域402は円形状を有し、色彩較正領域404はリング形状を有する。
【0020】
図5は、本開示の1以上の例の反応領域502及び色彩較正領域504の配列を示す。配列400(図4)のように、色彩較正領域504は反応領域502を囲んでいる。しかしながら、反応領域502は矩形状を有し、色彩較正領域504は矩形リング状を有する。
【0021】
図6は、本開示の1以上の例に於ける、タイマー毛細管を備えた標本試験紙600の一部を示す。標本試験紙600は、本開示に記載した反応、色彩較正及び温度測定の配列を備えた標本試験紙を示す。標本試験紙600は、毛細管入口604、反応毛細管606及び反応領域608を有する。反応毛細管606は、毛細管入口604を反応領域608に接続する。タイマー毛細管602は、毛細管入口604に接続されている。タイマー毛細管602は反応毛細管606よりも断面が小さい。標本サンプルが毛細管入口64に受け取られると、反応毛細管606は、検体の特性を検出するために、標本サンプルの殆どを反応領域608へと搬送する。標本サンプルのごく一部はタイマー毛細管602に沿って移動し、経過時間をマークするので、タイマー毛細管602での標本サンプルの処理は、標本試験紙600がいつ読み取られるべきであるのかを示すタイマーとして使用される。
【0022】
図7は、本開示の1以上の実施形態の反応領域702及びタイマー領域704を備えた標本試験紙700を示す。標本試験紙700は、本開示で記載した反応領域、色彩較正及び温度測定の配列の全てを備えた標本試験紙700を示す。タイマー領域704は標本サンプルを受け取るための他の反応領域である。例えば、標本試験紙600と同様に、標本試験紙700は、毛細管入口に接続される反応毛細管と、毛細管入口をタイマー領域704に接続するタイマー毛細管とを有してもよい。反応領域702は、標本サンプルに非線形反応する試薬を有するものの、タイマー領域704は、標本サンプルにほぼ線形反応する試薬を有するので、タイマー領域704の色彩変化は、いつ標本試験紙700が読み取られるべきであるのかを示すタイマーとして使用される。一例では、タイマー領域704は密封され、標本サンプルの水粒子に反応して青からピンクに変化するコバルト塩化物(塩化コバルト)を含有する。また標本試験紙700は、色彩較正領域706及び温度較正領域708を有してもよい。
【0023】
一例では、タイマー領域704は、一旦、標本試験紙700が不透明シールパッケージから除去されると、光に反応して色彩を変化させる。タイマー領域704は、標本試験紙700がそのパッケージから取り除かれた経過時間を示すために光に反応して線形に色彩を変化させ、いつ標本試験紙700が読み取られるべきであるのかを示すために、標本サンプルに応じて反応領域702の反応時間を予想するようにしてもよい。タイマー領域704は、透明な保護膜で覆われてもよい。一例では、タイマー領域704は、アゾベンゼン、サリチリデンアニリン、フルギト類、スピロピランあるいはスピロオキサジン等のフォトクロミック染料を含有してもよい。
【0024】
一例では、タイマー領域704は、一旦、標本試験紙700が密封パッケージから除去されると、湿気のために色彩を変化させる。タイマー領域704は、標本試験紙700がそのパッケージから取り除かれるので、経過時間を示すために湿気に反応して線形に色彩を変化させ、いつ標本試験紙700が読み取られるべきかを示すために、標本サンプルに応じて反応領域702の反応時間を予想するようにしてもよい。タイマー領域704は、湿気に晒されるのを調整する、穴の空いた透明な保護膜によって覆われるようにしてもよい。一例では、タイマー領域704は、青からピンクに変化する塩化コバルトを含有する。
【0025】
タイマー領域704を使用する代わりに、コンピュータ210が標本サンプルに応じて反応領域702の反応時間を予想するために内蔵タイマーを使用してもよい。
【0026】
図8は、本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙(例えば、図2の標本試験紙200)を読み取るために、診断アプリケーションを実行するコンピュータ(例えば、図2のコンピュータ210)のための方法800のフローチャートである。本開示に記載される全ての方法では、ブロックが連続する命令で図示されているが、これらブロックは並列又はここに記載したのとは異なる命令で実行されてもよい。また、種々のブロックが数少ないブロックに統合されてもよいし、付加的なブロックに分割されてもよいし、あるいは、望ましい実施に基づいて削除してもよい。方法800はブロック802で始めてもよい。
【0027】
ブロック802では、コンピュータ210は標本試験紙200の1以上の画像212を読み取る。手ぶれのない安定した画像が画像212から選択されるようにして複数の画像212が取り込まれる。画像212は矢継ぎ早に(例えば、連続又は速射モードで)、あるいは、ビデオからフレームで取り込まれてもよい。一例では、各画像212は、反応領域202と色彩較正領域204とを有する。他の例では、各画像212は温度較正領域206を有してもよい。追加の他の例では、各画像212はさらにタイマー領域602又は704を有してもよい。
【0028】
色彩較正領域204がグレーカードであるとき、コンピュータ210は、画像212を取り込むための露出基準値として色彩較正領域204を使用してもよい。また、コンピュータ210は、露出基準値として約18%の反射率を有する標本試験紙の近くの物体(例えば、グラスや人肌)を使用してもよい。コンピュータ210が自動的に露出基準値を認識してもよいし、ユーザが適切な基準値を設定するために露出基準値に撮像装置208を操作してもよい。
【0029】
一例では、コンピュータ210は、標本サンプルが標本試験紙200に置かれた後、適切な時間で画像212を取り込む。前述のように、タイマー領域602又は704は、画像212がいつ取り込まれるべきかを示すようにしてもよい。コンピュータ210がタイマー602又は704を監視し、自動的に画像212を取り込むようにしてもよいし、ユーザがタイマー602又は704を視覚によって検査して、画像212を取り込むために撮像装置208を操作してもよい。ブロック802にはオプションブロック803が続く。
【0030】
オプションブロック803では、コンピュータ210は手ぶれのない安定した画像212を選択する。診断アプリケーションは、コンピュータ210が画像212を取り込んだとき安定していたか否かを決定するために、内蔵の加速度計を使用することにより画像が安定しているか否かを決定するようにしてもよい。診断アプリケーションは、画像212がまさに取り込まれようとしているとき、ユーザがコンピュータ210を安定させた状態に維持していなければ、警告を発するように内蔵の加速度計を使用するようにしてもよい。オプションブロック803にはブロック804が続く。
【0031】
ブロック804では、コンピュータ210は、画像212の反応領域202の照度を測定する。前述のように、コンピュータ210は、画像212の照明プロファイルを評価し、照度が均一でないとき、画像212の反応領域202の照度を補正する。ブロック803にはブロック806が続く。
【0032】
ブロック806では、コンピュータ210は、画像212の反応領域の色彩を決定する。前述のように、コンピュータ210は、画像212中の色彩較正領域204が色彩グラフであるとき、その色彩較正領域204に基づいて反応領域202の色彩を決定してもよい。またコンピュータ210は単に、画像212から反応領域202の色彩を読み取る。ブロック806にはブロック807が続く。
【0033】
ブロック807では、コンピュータ210は、1以上の較正領域に基づいて反応領域202の色彩を補正する。一例では、コンピュータ210は、画像212の色彩較正領域204がグレーカードであるとき、その色彩較正領域204に基づいてホワイトバランスのために反応領域202の色彩を補正する。一例では、コンピュータ210は、画像212中の温度較正領域206に基づいて温度のために反応領域202の色彩を補正する。なお、ブロック806及び807の順番は変更してもよい。ブロック807にはブロック808が続く。
【0034】
ブロック808では、コンピュータ210は、特性値(例えば、グルコースレベル)を分析するために、画像212中の反応領域202からサンプルピクセルの色彩、又は、色彩及び色彩強度の両方を関連付ける。
【0035】
反応領域202の色彩パラメータの変化率は、分析物の特性値に依存してもよい。各分析物の特性値のため、色彩パラメータの変化率は時間に対する曲線として描かれてもよい。図9は、3つの分析物の特性値(例えば、3つのグルコースレベル)のための時間に対する色彩パラメータ(例えば、色彩強度)の変化を描く3つの曲線902、904及び906を図示するグラフ900である。各曲線は、対応する分析物の特性値に特有の時間窓(例えば、時間窓908)で異なる勾配を有する。これにより、少なくとも2つの色彩パラメータの値の違いと、2つの値が取り込まれるときの違いとを、対応する分析物の特性を確認するために使用してもよい。時間窓は、標本サンプルが標本試験紙200に置かれた後、例えば、10秒以上で先の標本試験紙を読み取るために待機すべき時間よりも、例えば、2、3秒早く配置される。
【0036】
図10は、本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙(例えば、図2の標本試験紙200)を速く読み取るために異なる計算を使用した診断アプリケーションを実行するコンピュータ(例えば、図2のコンピュータ210)のための方法1000のフローチャートである。方法1000は、ブロック1002から始まる。
【0037】
ブロック1002では、コンピュータ210は、時間窓908の標本試験紙200の少なくとも2つの画像212を読み取る。画像212は、矢継ぎ早に(例えば、連続又は速射モードで)、あるいは、ビデオからフレームで取り込まれた画像であればよい。例えば、第1画像212は第1時間で取り込まれ、第2画像212は第2時間で取り込まれる。第1時間と第2時間の間の時間差は、時間窓(例えば、図9に示す時間窓908)として計算される。各画像212は、標本試験紙200に反応領域202を有する。一例では、各画像212は、標本試験紙200に色彩較正領域204を含んでもよい。他の例では、各画像はさらに、標本試験紙200に、温度較正領域206等の1以上の追加較正領域を有する。一例では、コンピュータ210は、タイマー領域602又は704に基づいて時間窓908で取り込まれた画像212を選択する。ブロック1002にはブロック1004が続く。
【0038】
ブロック1004では、コンピュータ210は、照度補正、色彩補正及び温度補正を含む、本開示に記載された全ての方法を使用して、各画像212の反応領域202の色彩を決定する。ブロック1004にはブロック1006が続く。
【0039】
ブロック1006では、コンピュータ210は、画像212から反応領域202の色彩強度の変化を決定する。ブロック1006にはブロック1008が続く。
【0040】
ブロック1008では、コンピュータ210は、分析物の特性値に対する色彩強度の変化を補正する。コンピュータ210は、分析物の特性値を決定するために、グラフ900、あるいは、グラフ900の数学的表現を使用してもよい。特に、コンピュータ210は、曲線902、904及び906に沿って時間窓908を移動させる。時間窓のカーブの変化度合いが反応領域202の変化度合いに合致する場合、反応領域202はその曲線の分析特性値を有する。
【0041】
図11は、本開示の1以上の例に於ける、分析特性に従ってユーザのダイエットを追跡するために、診断アプリケーションを実行するコンピュータ(例えば、図2のコンピュータ210)のための方法1100のフローチャートである。方法1100はブロック1102から始まる。
【0042】
ブロック1102では、コンピュータ210は食事の画像を取り込む。ブロック1102にはブロック1104が続く。
【0043】
ブロック1104では、コンピュータ210は食事の時間を記録する。ブロック1104にはブロック1106が続く。
【0044】
ブロック1106では、コンピュータ210は、食事と時間を関連付け、ほぼ同時に決定される特性値に対して、この関連付けを記録する。分析物の特性値は、本開示に記載された全ての方法で使用するようにして決定してもよい。ブロック1102、1104及び1106は、時間に対するユーザのダイエットを追跡するために繰り返されてもよい。ブロック1106にはブロック118が続く。
【0045】
ブロック1108では、コンピュータ210は、処置目的のため、医師のコンピュータ等の他のコンピュータに、コンピュータネットワークを介して記録された関連付けを表示する。図12は、本開示の1以上の例に於ける、1日を通じて、食事、時間及び分析物の特性値を関連付けたグラフ表示している。
【0046】
図13Aは、本開示の1以上の例の標本試験紙1300を示す。標本試験紙1300は、(全体の「反応領域1302」として、又は、個々の一般的な「反応領域1302」として)一連の反応領域1302A、1302B、1302C及び1302Dを有する。各反応領域1302は、標本サンプルの分析物の特性値の異なる範囲を検出するためである。一例では、グルコースレベルを検出するため、反応領域1302Aは0から100(mg/dl)を検出し、反応領域1302Bは0から200(mg/dl)を検出し、反応領域1302Cは0から400mg/dlを検出し、反応領域1302Dは0から800mg/dlを検出する。異なる範囲の分析物の特性値を検出するため、反応領域1302は1以上の試薬を異なる場所に集中させる。また反応領域1302は異なる試薬を有する。
【0047】
標本試験紙1300は、毛細管入口と、標本サンプルを搬送するために反応領域1302に接触して移動する毛細管とを有してもよい。また、標本試験紙1300は、サンプルを反応領域1302に供給するために反応領域1302に重なって接触する拡張領域を有してもよい。ユーザは、サンプルを反応領域1302に搬送するために、特別な構成なしに一例としての反応領域1302にサンプルを手作業で広げるようにしてもよい。標本試験紙1300は、さらに色彩較正領域1304及び温度較正領域1306を有してもよい。
【0048】
図13Aは、予試験状態での標本試験紙1300を示す。図13Bは、本開示の1以上の例の150mg/dlのグルコースの標本サンプルを保持する標本試験紙1300を示す。グルコースが反応領域1302Aの範囲よりも集中するので、過彩度の色彩を有し、グルコースレベルを決定するためには使用しない。しかしながら、反応領域1302B、1302C及び1302Dは使用してもよい。反応領域1302Bの色彩は、良好な彩度を有しているので、反応領域1302C及び1302Dよりも良く読み取られる。
【0049】
図13Cは、本開示の1以上の例に於ける、300mg/dlのグルコースの標本サンプルを保持する標本試験紙1300を示す。グルコースが反応領域1302A及び1302Bの範囲よりも集中しているので、それらは過彩度を有し、それらはグルコースレベルを決定するために使用されない。しかしながら、反応領域1302C及び1302Dは使用してもよい。反応領域1302Cの色彩は良好な彩度を有しているので、反応領域1302Dよりもより良く読み取られる。
【0050】
図13Dは、本開示の1以上の例に於ける、600mg/dlのグルコースの標本サンプルを保持する標本試験紙1300を示す。グルコースは、反応領域1302A、1302B及び1302Cの範囲よりも集中しているため、それらは過彩度の色彩となり、グルコースレベルを決定するためには使用されない。反応領域1302Dの色彩は良好な彩度であるので、グルコースレベルを決定するために使用される。
【0051】
一例では、反応領域1302は矩形状で、全体として矩形外形を有するために同一線上に配置されている。反応領域1302は他の形状や配置であってもよい。
【0052】
図14は、本開示の1以上の例に於ける、反応領域1402A、1402B、1402C及び1402D(全体として「反応領域1402」)のための異なる配列を備えた標本試験紙1400を示す。標本試験紙1400では、反応領域1402は正方形の外側外形を有するように配置されている。標本試験紙1300と同様に、標本試験紙1400は、サンプルを反応領域1402に搬送するための構造を有してもよいし、ユーザは反応領域1402に手動でサンプルを広げるようにしてもよい。
【0053】
図15は、本開示の1以上の例に於ける、反応領域1502A、1502B、1502C及び1502D(まとめて「反応領域1502」)のための異なる配列を備えた標本試験紙1500を示す。標本試験紙1500では、反応サブ領域1502は三角形状で、四角形の外形を有するように配置されている。標本試験紙1300と同様に、標本試験紙1500はサンプルを反応領域に搬送するための構造を備えてもよいし、ユーザが手動により反応領域1502を超えて広げてもよい。
【0054】
図16は、本開示の1以上の例に於ける、反応領域1602A、1602B、1602C及び1602D(まとめて、「反応領域1602」)のための異なる配列を備えた標本試験紙1600を示す。標本試験紙1600では、毛細管入口1604は毛細管1606によって反応領域1602に接続されている。反応領域1602は、毛細管入口1604から同じ距離で、毛細管入口1604の周囲に均等に配置されている。
【0055】
図17は、本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性値の異なる範囲を検出するための多数の反応領域を備えた標本試験紙(例えば、図13の標本試験紙1300)を読み取る診断アプリケーションを実行するコンピュータ(例えば、図2のコンピュータ210)のための方法1700のフローチャートである。方法1700はブロック170から始まる。
【0056】
ブロック1702では、コンピュータ210は、標本試験紙1300の画像を取り込む。その画像は反応領域1302を有する。前述のように、各反応領域1302は、分析物の特性値の異なる範囲を検出するためのものである。コンピュータ210は、本開示に記載された全ての方法を使用する各反応領域1302の色彩を決定してもよい。ブロック1702はブロック1704へと続く。
【0057】
ブロック1704では、コンピュータ210は、適切な彩度の反応領域1302を選択する。コンピュータ210は、最も小さい範囲を有するものから最も大きい範囲を有するものまで反応領域1302を検査する。反応領域1302の平均RGB値がノイズレベル(例えば、~10)に近く、分析物の濃度がその検出限界を超えていることが示されているとき、コンピュータ210は次の反応領域1302を検査する。この処理は、コンピュータ210によって平均RGB値がノイズレベルよりも大きい反応領域1302を選択するまで続く。ブロック1704はブロック1706へと続く。
【0058】
ブロック1706では、コンピュータ210は、選択された反応領域1302の色彩、又は、色彩強度と、分析物の特性値とを関連付ける。
【0059】
方法1700は、本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙1300の多数の画像を多数の露出で撮影することによって拡張してもよい。図18は、本開示の1以上の例に於ける、1/60、1/30及び1/15のそれぞれの標本試験紙1300の画像1802、1804及び1806を示す。1つの極端な例では、画像1802はより高い濃度(例えば、反応領域1302D)を検出する1以上の反応領域の詳細をはっきりさせるために露出不足とされており、その結果これら反応領域の感度が増大する。他の極端な例では、画像1806はより低い濃度(例えば、反応領域1302B)を検出するための1以上の反応領域の詳細をはっきりさせるために露出過剰とされており、その結果これらの反応領域の感度が増大する。極端な例の間の露出であれば、画像184は中間濃度を検出するために1以上の反応領域の詳細をはっきりさせ、その結果これら反応領域の感度が増大する。
【0060】
コンピュータ210は、各画像の反応領域1302の全ての平均RGB値に基づいて画像1802、1804及び1806の1つを選択してもよい。全ての画像の全ての反応領域1302の平均RGB値があまりに低いか(例えば、<30)、あるいは、あまりに高く(例えば、>240)、この画像の露出時間が不適切であることを示しているとき、コンピュータ210は他の画像を選択する。
【0061】
露出を調整する代わりに、方法1700は、本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙1300の多数の画像を多数の照明強度で撮影することにより拡張してもよい。図19は、本開示の1以上の例に於ける、低、中、高のフラッシュ強さでの標本試験紙1300の画像1902、1904及び1906をそれぞれ示す。1つの極端な例では、画像1902はより低い濃度(例えば、反応領域1302A)を検出するために1以上の反応領域の詳細をはっきりさせる低照明強度下にあり、その結果これら反応領域の感度が増大する。他の極端な例では、画像1906はより高い濃度(例えば、反応領域1302D)を検出するために1以上の反応領域の詳細をはっきりさせる高照明強度下にあり、その結果これら反応領域の感度が増大する。中間の照明強度によれば、画像1904は中間濃度(例えば、反応領域1302C)を検出するために1以上の反応領域の詳細をはっきりし、その結果これら反応領域の感度が増大する。
【0062】
このモードでは、コンピュータ210は、適切に駆動することを保証するために、画像1902、1904及び1906を先に取り込む照明源(例えば、フラッシュ)をテストしてもよい。例えば、コンピュータ210は、少なくとも1度フラッシュを駆動し、フラッシュが駆動するか否かを決定するために検出強度の変化を使用する。
【0063】
コンピュータ210は、各画像の反応領域1302の全体又は一部の平均RGB値に基づいて画像1902、1904及び1906の1つを選択してもよい。画像の反応領域1302の平均RGB値があまりに低いか(例えば、<30)、あるいは、あまりに高く(例えば、>240)、この画像の照明強度が不適切であることを示すとき、コンピュータ210は他の画像を選択する。
【0064】
図20は、本開示の1以上の例に於ける、標本試験紙2000を示す。標本試験紙2000は、異なる分析物の特性値を検出するための多数の反応領域を有する。一例では、標本試験紙2000は、標本サンプル中の第1分析物の特性を検出するための反応領域2002、標本サンプル中の第2分析物の特性を検出するための反応領域2004(例えば、2つの反応領域2004)、及び、標本サンプル中の第3分析物の特性を検出するための反応領域2006(例えば、3つの反応領域2006)を有する。図13Aに示す反応領域1302と同様に、多数の反応領域2004のそれぞれは第2分析物の特性値の異なる範囲を検出し、多数の反応領域2006のそれぞれは第3分析物の特性値の異なる範囲を検出する。
【0065】
一例では、標本サンプルの1分析物が他の分析物の検出に影響を及ぼすことが知られている。例えば、反応領域2006は血液サンプル中のグルコースを検出し、反応領域2004は血液サンプル中のヘマトクリット(HCT)のレベルを検出する。HCTレベルは直接又は間接的に(すなわち、血液サンプル中の他の物質のレベルを決定することにより)検出してもよい。診断アプリケーションはHCTレベルを決定し、HCTとグルコースレベルとの間の公知の関係を使用してグルコースレベルを補正する。この関係は、実験、計算又はその両方によって決定すればよい。診断アプリケーションは、本開示に記載された他の全ての補正の前後でHCTの補正を行うようにしてもよい。
【0066】
コンピュータ210は、標本試験紙から他の方法でHCTレベルを決定してもよい。図21は、本開示の1以上の例に於ける標本試験紙2100の断面図である。標本試験紙2100では、穴が血液サンプルの通路に設けられ、光が血液サンプルに照射され、その結果としての光色は、HCTレベルに関連付けされる。一例では、標本試験紙2100は、毛細管入口2102、毛細管入口2102に接続される毛細管2104及び毛細管2104に接続される反応領域2106を備える。穴2108が毛細管2104に形成されている。穴2108の上端開口2110は透明フィルム2112によって覆われ、下端開口2114は透明フィルム2116によって覆われている。コンピュータ210は、穴2108に光を透過させ、光が通過した穴2108の色彩を取り込み、血液中の赤色の血液セルの割合に依存して、HCTレベルに関連付けする。他の例では、フィルム2116はフィルム2112よりも反射する。光の一部は上端開口2110で反射又は散乱し、HCTレベルを決定するためにコンピュータ210によって取り込まれる。
【0067】
他の例では、赤色の血液セルを濾過し、リンパ液を吸収する材料の矩形片が標本試験紙に設けられている。そして、HCTレベルは、吸収されたリンパ液の量に関連付けされ、距離から決定され、血液サンプルは紙片を移動する。
【0068】
反応領域(例えば、タイマー領域602又は704)から分離したタイマー領域を使用する代わりに、方法800は、時間を検出するための反応領域の第2色彩要素と、本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性を検出するために反応領域の第1色彩要素とを使用することにより拡張してもよい。
【0069】
図22は、本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性値(例えば、血液中のグルコースレベル)を時間軸で反応領域の第1色彩要素(例えば、赤)の変化をプロットしたカーブを図示したグラフ2200である。図示されるように、第1色彩要素のカーブは、迅速に一定値に落ち着き、その結果分析物の特性の各値を示すように使用してもよい。
【0070】
図23は、本開示の1以上の例に於ける、分析物の特性値を時間軸で反応領域の第2色彩要素(例えば、青色要素)の変化をプロットしたカーブを図示するグラフ2300である。図示されるように、第2色彩要素のカーブは時間の経過に従って変化し、その結果、いつ第1色彩要素を読み取り、分析物の特性値を決定するのか(すなわち、第1色彩要素が安定した後)を示すためのタイマーとして使用することができる。一例では、方法800のブロック802で、コンピュータ210は多数の画像212を取り込み、いつ第2色彩要素が第1色彩要素を読み取る適切な時間を示すのか、そしてそのとき、分析物の特性値を決定するために第1色彩要素を読み取るのかを決定してもよい。
【0071】
ここに開示された試験紙、システム及び方法は、これには限定されないが、グルコース、コレステロール、尿酸、トロポニンI、ケトン、プロテイン、亜硝酸塩、及び、白血球等のある検体の存在又は濃度のあめのテストに使用してもよい。これには限定されないが、血液、間質液、尿、唾液、及び、他の体液等の種々の液体をテストしてもよい。
【0072】
前述のように、本開示の種々の実施形態が実例の目的のために記載されており、種々の変形例が本開示の範囲及び意図から逸脱することなく形成されることが理解されるであろう。また、ここに記載された種々の実施形態はそのものに限定されることを意図するものではなく、本発明によって示される範囲及び意図の範疇であればよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図23