(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】高温食品加工ラインを定置洗浄する方法および食品滅菌ライン
(51)【国際特許分類】
A23L 3/18 20060101AFI20230501BHJP
A23C 3/033 20060101ALI20230501BHJP
A23L 2/46 20060101ALI20230501BHJP
A23L 11/65 20210101ALI20230501BHJP
A23L 23/00 20160101ALI20230501BHJP
【FI】
A23L3/18
A23C3/033
A23L2/46 101
A23L11/65
A23L23/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021113619
(22)【出願日】2021-07-08
(62)【分割の表示】P 2018532162の分割
【原出願日】2016-12-19
【審査請求日】2021-08-03
(32)【優先日】2015-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】517027033
【氏名又は名称】エスピーエックス フロウ テクノロジー デンマーク アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】トルセン クラウス
(72)【発明者】
【氏名】ポールセン オレ
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-091018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0233041(US,A1)
【文献】特許第6987059(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A23C
A23F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品処理プロセスにおいてポンプ輸送可能な食品(11)の物質流を、処理された製品(15)に変換しながら、定置洗浄手順中に食品加工ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、
-複数
の連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)であり、
第2の実質的に同様のプロセス要素(23)を備える並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、第1の実質的に同様のプロセス要素(13)を備える第1のシーケンス(I)が前記食品加工ライン(30)に対して前記並列のシーケンス(III)とは逆に弁(133、135)開閉されることができるように、前記複数のプロセス要素のうちの少なくとも第1
および第2の実質的に同様のプロセス要素(13、23)がそれぞれ、
少なくとも前記食品加工ライン(30)上のプロセス要素の第1のシーケンス(I)および並列のシーケンス(III)上に並列に配置され
る、プロセス要素(12、13、23、14)を備え、
-前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を前記食品加工ライン(30)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
-前記シーケンス(I、III)が、それぞれ前記入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)から分流し、再結合し、
前記方法が、
a
)プロセス要素の前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)から弁(233、235)遮断し、前記食品(11)の物質流を通過させるためにプロセス要素の前記第1のシーケンス(I)を開放(133、135)したままにしておくステップと、
b)前記食品処理プロセスを前記食品加工ライン(30)上で実行し、これによって前記食品処理プロセスにおいて前記食品(11)を処理された製品(15)に変換するステップと、
c
)前記物質流を前記第1のシーケンス(I)の通過から前記並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)から弁(133、135)遮断し、同時に、前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に開放(233、235)することによって、前記第1のシーケンス(I)を、食品加工ライン(30)において前記並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、
d)前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)から弁遮断している間に、前記第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、
を含み、
前記複数のプロセス要素(13、23)の前記第1のプロセス要素および前記実質的に同様の第2のプロセス要素が、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)であり、前記第1の最終ヒータ(13)および前記第2の最終ヒータ(23)が、両方とも直接水蒸気ヒータであり
、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、更に、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品加工ラインと再結合した後に、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのクーラ(14、44、54)をさらに備え、前記クーラ(14)がフラッシュクーラ(14)、あるいは1つまたは複数の間接クーラ(441、541、542)で増強されたフラッシュクーラ(14)であ
り、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)がプレヒータおよび/またはクーラを備えない、方法。
【請求項2】
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が停止されるまでおよび/または前記食品処理プロセスが終了するまで、ステップc)およびd)が繰り返される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最終ヒータ(13a、23a)が独立して保持セル(13b、23b)で増強されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品加工ラインから分流する前に、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのプレヒータ(12、32)をさらに備える、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
充填ステーション(45、55)が前記食品加工ライン(40、50)上に配置された最終プロセス要素である、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
供給タンク(41、51)が前記食品加工ライン(40、50)上に配置された前記第1のプロセス要素である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記弁(133、233)および/または前記弁(135、235)が対で単一の三方弁(58)に一体化されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、液状食品(11)を低温殺菌または滅菌する
、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記食品(11)が最初にプレヒータ(12)で予熱され、続いて、前記第1または前記並列のシーケンス(I、III)のいずれかにおいて
熱処理にさらされる、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記食品(11)が、それぞれの前記第1または並列のシーケンス(I、III)において、最初にプレヒータ(12、32)で低温殺菌温度にさらされ、続いて120℃を上回る滅菌
温度処理にさらされる、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
食品滅菌プロセスにおいてポンプ輸送可能な食品(11)の物質流を、滅菌された製品(15)に変換しながら、定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)が、
-
第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える第1のシーケンス(I)が前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)に対して前記並列のシーケンス(III)とは逆に弁(133、135)開閉されることができるように、少なくとも前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上のプロセス要素の第1のシーケンス(I)および並列のシーケンス(III)上にそれぞれ並列に配置された、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備え
る、複数
の連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)を備え、
-前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
-前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品滅菌ライン(30)から分流し、再結合し、
前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)がプレヒータおよび/またはクーラを備えず、
前記方法が、
a
)プロセス要素の前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁(233、235)遮断し、プロセス要素の前記第1のシーケンス(I)を前記食品(11)の物質流を通過させるために開放(133、135)したままにしておくステップと、
b)前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を120℃~160℃の温度で動作させることによって、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上で前記食品滅菌プロセスを実行し、これによって、前記食品滅菌プロセスにおい
て前記食品(11)を滅菌された製品(15)に変換するステップと、
c
)前記物質流を前記第1のシーケンス(I)の通過から前記並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30)から弁(133、135)遮断し、同時に、前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30)に開放(233、235)することによって、前記第1のシーケンス(I)を、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)において前記並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、
d)前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁遮断している間に、前記第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、
を含み、
前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)が、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品滅菌ラインと再結合した後に、前記食品
滅菌ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのクーラ(14、44、54)をさらに備え、前記クーラ(14)がフラッシュクーラ(14)、あるいは1つまたは複数の間接クーラ(441、541、542)で増強されたフラッシュクーラ(14)である、方法。
【請求項12】
前記ポンプ輸送可能な食品(11)を滅菌する間に、前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を120℃~160℃の温度で0.5~10秒の時間動作させる、請求項11に記載の定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法。
【請求項13】
前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)が直接水蒸気ヒータ(13a、23a)と保持セル(13b、23b)との組合せを備える、請求項11または請求項12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記直接水蒸気ヒータ(13a、23a)での加熱時間が2秒未満であり、前記保持セル(13b、23b)での保持時間が1秒~約10秒である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ポンプ輸送可能な食品(11)がミルク、ミルク派生品、ジュース、野菜液状食品、豆乳、スープ、および/またはデザートである、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
-第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える並列のシーケンス(III)を食品滅菌ライン(30)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える第1の滅菌シーケンス(I)が食品滅菌ライン(40、50)に対して並列のシーケンス(III)とは逆に弁(133、135)開閉されることができるように、少なくとも食品滅菌ライン(40、50)上のプロセス要素の第1の滅菌シーケンス(I)および並列の滅菌シーケンス(III)上にそれぞれ動作可能に並列に配置された、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備え
る、複数
の連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(42、52、13、23、44、54)を備える食品滅菌ライン(40、50)であって、
-前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を食品滅菌ライン(40、50)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
-前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品滅菌ライン(40、50)から分流し、再結合し、
前記食品滅菌ライン(40、50)が、更に、
-前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)から分流する前に、前記シーケンス(I、III)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたプレヒータ(42、52)と、
-前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)と再結合した後に、前記シーケンス(I、III)の下流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたフラッシュクーラ(44、54)と、
を備え、
前記第1および前記並列の滅菌シーケンス(I、III)のうちの一方が前記食品滅菌ラインのための動作可能な滅菌シーケンスを実行しているとき、前記第1および前記並列の滅菌シーケンス(I、III)のうちの他方が、前記洗浄剤を循環させることによって前記定置洗浄手順を実行しており、前記食品滅菌ラインのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能でなく、前記第1および前記並列の滅菌シーケンスが、前記動作可能な滅菌シーケンスと前記定置洗浄手順の間で交互に動作して前記食品滅菌ラインを連続して動作させ、前記第1および前記並列の滅菌シーケンス(I、III)がプレヒータおよび/またはクーラを備えない
ことを特徴とする、食品滅菌ライン(40、50)。
【請求項17】
前記プレヒータ(42、52)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置された供給タンク(41、51)をさらに備える、請求項16に記載の食品滅菌ライン(40、50)。
【請求項18】
前記食品滅菌ライン(40、50)の下流端に配置された充填ステーション(45、55)をさらに備える、請求項16または請求項17のいずれかに記載の食品滅菌ライン(40、50)。
【請求項19】
前記フラッシュクーラ(44、54)の後の、および存在する場合は、前記充填ステーション(45、55)の前の前記食品滅菌ライン(40、50)上に配置された少なくとも1つの間接クーラ(441、541、542)をさらに備える、請求項16から18のいずれか1項に記載の食品滅菌ライン(40、50)。
【請求項20】
請求項1から15のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコントローラをさらに備える、請求項16から19のいずれか1項に記載の食品滅菌ライン(40、50)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加工する分野、詳細には高温食品加工ラインを定置洗浄する方法に関する。さらに本発明は、本発明の方法の実行を可能にするように構成された高温食品加工ラインについて記載する。
【背景技術】
【0002】
食品加工の分野では、熱処理による食品の滅菌は、頻発する課題である。熱処理による食品の滅菌の目的は、例えば、細菌、胞子、酵母、かび、またはバクテリオファージなどの微生物学的実体または微生物の数の低減である。特に、熱処理されている食品からの病原体の除去は、特に重要である。
最新の食品加工プラントは、加工される食品が運ばれる加工ライン内部の汚染を低減させるように設計されている。本設計における重要な要素は、例えば、ステンレス鋼などの低汚染の、および/または洗浄し保守するのが容易な材料を使用することだけでなく、定置洗浄(CIP)、すなわち、装置および加工ラインを分解することなく、加工ライン、プロセス要素、および加工装置の洗浄を可能にする加工ライン、プロセス要素、および加工装置を設計することである。
本発明は、定置洗浄のための方法の改良、および改良された方法で使用するのに最適化された加工ラインに関する。本開示全体にわたって、定置洗浄(cleaning-in-place)、CIP、および/または定置洗浄(cleaning in place)は、選好なしに交換可能に使用される。一般に、当業者は、特定のタイプの食品に応じた適切な定置洗浄方法を知っており、そのような方法は、一般に本開示の範囲外である。それにもかかわらず、食品滅菌ラインに関し以下で詳述するような本発明によるCIP手順を行う場合、CIP手順は、当技術分野で知られているような定置滅菌手順であることが必要である(および法律上必須である)。
【0003】
定置洗浄する場合に頻発する問題は、食品が運ばれるプロセス要素の所与のシーケンスを備える加工ラインにおいて同一の食品が異なる加工装置を異なるやり方で汚染するということである。例えば、低温熱交換器および高温熱交換器、例えば、プレヒータおよび最終ヒータを備えるプロセス要素のシーケンスでは、低温熱交換器は、通常、例えば、加工要素のシーケンスを通過するミルクによって高温熱交換器とは異なるやり方で汚染されるようになり、通常、例えば、ミルクは、低温熱交換器の表面よりも高温熱交換器の表面でより強く燃焼されるため、高温熱交換器が最も汚染されるようになる。
本開示の全体にわたって、プロセス要素(process element)と加工装置(processing equipment)とは区別され、すべての加工装置は、加工要素と見なされるが、すべてのプロセス要素が加工装置と見なされるわけではない。
加工装置でもある加工要素の一例は、熱交換器である場合がある。熱交換器は、プロセスの別の要素に作用することによってプロセスにおいて作用し、したがって、加工要素かつ加工装置であるが、例えば、弁は、プロセスにおいて作用するが、プロセスの他の要素には作用しないため、弁は、プロセス要素ではあるが加工装置ではない。
【0004】
上記の例示的なプロセス要素のシーケンスを定置洗浄する場合、プロセス要素のシーケンスを定置洗浄するための所要時間は、通常、最も汚染された加工装置を洗浄するのに必要な時間によって決定される。また、プロセス要素のシーケンスは、加工装置の各要素をそれぞれ独立して汚染除去できるように設計することができるが、加工ラインは、少なくとも最長の洗浄時間を有する加工装置を洗浄するのに必要な時間停止したままである。
これは、最長の洗浄時間を有する加工装置が最終的に洗浄されている間、より短い洗浄時間を有する加工装置が、使える状態にあるもののアイドル状態にあるため、非常に不利である。特に、最も汚染された加工装置が洗浄を必要としているときに、一部の加工装置が最小限しか汚染されていない場合、加工装置の不必要な休止時間、および加工ラインがそのように構築されている場合、加工装置の不必要な洗浄も問題となる。
ところで、本発明者らは驚くことに、本明細書に開示された方法に従うことによって、この問題を克服し、または少なくとも著しく低減させることができることを発見した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に提示される詳細な開示によると、本発明の目的は、本概要および詳細な説明において詳述されるような方法および生産ラインを提供することによって解決された。
【0006】
第1の態様および実施形態によると、食品処理プロセスにおいてポンプ輸送可能な食品(11)の物質流を、処理された製品(15)に変換しながら、定置洗浄手順中に食品加工ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法が本明細書で開示され、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)であって、前記複数のプロセス要素のうちの少なくとも第1および第2の実質的に同様のプロセス要素(13、23)が、それぞれ、前記食品加工ライン(30)上のプロセス要素の第1のシーケンス(I)および並列のシーケンス(III)上に並列に配置され、それにより、前記第2の実質的に同様のプロセス要素(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、前記第1の実質的に同様のプロセス要素(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)に対して逆に弁(133、135)開閉するこができ、前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を前記食品加工ライン(30)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、前記シーケンス(I、III)が、それぞれ前記入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)から分流し、再結合する、プロセス要素(12、13、23、14)を備え、前記方法が、a)前記食品加工ライン(30)上で食品処理プロセスを実行する前に、プロセス要素の前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)から弁(233、235)遮断し、前記食品(11)の物質流を通過させるためにプロセス要素の前記第1のシーケンス(I)を開放(133、135)したままにしておくステップと、b)前記食品処理プロセスを前記食品加工ライン(30)上で実行し、これによって前記食品処理プロセスにおいて前記食品(11)を処理された製品(15)に変換するステップと、c)前記食品処理プロセスを実行した時間の後に、前記食品処理プロセスの実行中に同時に、前記物質流を前記第1のシーケンス(I)の通過から前記並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)から弁(133、135)遮断し、同時に、前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に開放(233、235)することによって、前記第1のシーケンス(I)を、前記食品加工ライン(30)において前記並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、d)前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)から弁遮断している間に、前記第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、を含む。
【0007】
さらに、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が停止されるまでおよび/または前記食品処理プロセスが終了するまで、ステップc)およびd)が繰り返される、第1の態様の第2の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記複数のプロセス要素(13、23)の前記第1および前記実質的に同様の第2のプロセス要素が、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)である、第1の態様の第3の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記第1の最終ヒータ(13)および前記第2の最終ヒータ(23)が、両方とも直接水蒸気ヒータである、第1の態様の第4の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記最終ヒータ(13a、23a)が独立して保持セル(13b、23b)で増強されている、第1の態様の第5の実施形態による方法が本明細書で開示される。
【0008】
さらに、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品加工ラインから分流する前に、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのプレヒータ(12、32)をさらに備える、第1の態様の第6の実施形態による方法が本明細書で開示される。
【0009】
さらに、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品加工ラインと再結合した後に、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのクーラ(14、44、54)をさらに備える、第1の態様の第7の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記クーラ(14)がフラッシュクーラ(14)、あるいは1つまたは複数の間接クーラ(441、541、542)で増強されたフラッシュクーラ(14)である、第1の態様の第8の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、充填ステーション(45、55)が前記食品加工ライン(40、50)上に配置された最終プロセス要素である、第1の態様の第9の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、供給タンク(41、51)が前記食品加工ライン(40、50)上に配置された第1のプロセス要素である、第1の態様の第10の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記弁(133、233)および/または前記弁(135、235)が対として単一の三方弁(58)に一体化されている、第1の態様の第11の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、液状食品(11)を低温殺菌または滅菌するための熱処理食品加工ラインである、第1の態様の第12の実施形態による方法が本明細書で開示される。
【0010】
さらに、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)において、前記食品(11)が最初にプレヒータ(12)で予熱され、続いて、前記第1または前記並列のシーケンス(I、III)のいずれかにおいて高温処理にさらされる、第1の態様の第13の実施形態による方法が本明細書で開示される。
さらに、前記食品(11)がそれぞれの前記第1または並列のシーケンス(I、III)において、最初にプレヒータ(12、32)で低温殺菌温度にさらされ、続いて120℃を上回る滅菌高温処理にさらされる、第1の態様の第14の実施形態による方法が本明細書で開示される。
【0011】
第2の態様および実施形態によると、食品滅菌プロセスにおいてポンプ輸送可能な食品(11)の物質流を、滅菌された製品(15)に変換しながら、定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法が本明細書で開示され、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)が、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備える複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)であって、前記第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、前記第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)に対して逆に弁(133、135)開閉することができるように、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上のプロセス要素の第1のシーケンス(I)および並列のシーケンス(III)上にそれぞれ並列に配置された、プロセス要素(12、13、23、14)であり、前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品滅菌ライン(30)から分流し、再結合する、プロセス要素(12、13、23、14)を備え、前記方法が、a)食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上で食品滅菌プロセスを実行する前に、プロセス要素の前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁(233、235)遮断し、プロセス要素の前記第1のシーケンス(I)を前記食品(11)の物質流を通過させるために開放(133、135)したままにしておくステップと、b)前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を120℃~160℃の温度で動作させることによって、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上で前記食品滅菌プロセスを実行し、これによって、前記食品滅菌プロセスにおいて前記食品(11)を滅菌された製品(15)に変換するステップと、c)前記食品滅菌プロセスを実行した時間の後に、前記食品滅菌プロセスの実行中に同時に、前記物質流を前記第1のシーケンス(I)の通過から前記並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30)から弁(133、135)遮断し、同時に、前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30)に開放(233、235)することによって、前記第1のシーケンス(I)を、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)において並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、d)前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁遮断している間に、前記第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、を含む。
【0012】
さらに、第2の態様の第2の実施形態によると、定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記ポンプ輸送可能な食品(11)を滅菌する間に、前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を120℃~160℃の温度で0.5~10秒の時間動作させる、方法が本明細書で開示される。
【0013】
さらに、第2の態様の第3の実施形態によると、定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)が保持セル(13b、23b)を有する直接水蒸気ヒータ(13a、23a)の組合せを備える、方法が本明細書で開示される。
【0014】
さらに、第2の態様の第4の実施形態によると、定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記直接水蒸気ヒータ(13a、23a)での加熱時間が2秒未満であり、前記保持セル(13b、23b)での保持時間が1秒~約10秒である、方法が本明細書で開示される。
さらに、第1または第2の態様によると、前記ポンプ輸送可能な食品(11)がミルク、ミルク派生品、ジュース、野菜液状食品、豆乳、スープ、および/またはデザートである、方法が本明細書で開示される。
【0015】
第3の態様および実施形態によると、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備える複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(42、52、13、23、44、54)であって、前記第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、前記第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(40、50)に対して逆に弁(133、135)開閉することができるように、前記食品滅菌ライン(40、50)上のプロセス要素の第1の滅菌シーケンス(I)および並列の滅菌シーケンス(III)上にそれぞれ動作可能に並列に配置された、プロセス要素(42、52、13、23、44、54)であり、前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を食品滅菌ライン(40、50)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品滅菌ライン(40、50)から分流し、再結合する、プロセス要素(42、52、13、23、44、54)を備え、前記食品滅菌ライン(40、50)が、前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)から分流する前に、前記シーケンス(I、III)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたプレヒータ(42、52)と、前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)と再結合した後に、前記シーケンス(I、III)の下流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたフラッシュクーラ(44、54)と、をさらに備える、食品滅菌ライン(40、50)において、一方のシーケンス(I、III)が食品滅菌プロセスのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能なときに、もう一方のシーケンス(I、III)が食品滅菌プロセスのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能ではない、ことを特徴とする、食品滅菌ライン(40、50)が本明細書で開示される。
さらに、第3の態様の第2の実施形態によると、前記プレヒータ(42、52)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置された供給タンク(41、51)をさらに備える食品滅菌ライン(40、50)が本明細書で開示される。
さらに、第3の態様の第3の実施形態によると、前記食品滅菌ライン(40、50)の下流端に配置された充填ステーション(45、55)をさらに備える食品滅菌ライン(40、50)が本明細書で開示される。
【0016】
さらに、第3の態様の第4の実施形態によると、前記フラッシュクーラ(44、54)の後の、および存在する場合は前記充填ステーション(45、55)の前の、前記食品滅菌ライン(40、50)上に配置された少なくとも1つの間接クーラ(441、541、542)をさらに備える食品滅菌ライン(40、50)が本明細書で開示される。
さらに、第3の態様の第5の実施形態によると、第1および第2の態様ならびにこれらの実施形態のいずれかによる方法を実行するためのコントローラをさらに備える食品滅菌ライン(40、50)が本明細書で開示される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図6】さらなる実施形態における本発明の高温食品加工ラインである。
【
図7】さらなる実施形態における本発明の高温食品加工ラインである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
例えば、乳製品、ジュース、またはスープなどの食品の熱処理では、特に食品の滅菌では、食品がプロセス要素を汚し、これによって加工要素上に砕片の層を蓄積することが繰返し発生する問題である。食品滅菌プロセスは、例えば、温度に特に敏感であり、例えば、100℃を超えるより高い温度で動作する加工装置は、より低い温度で動作する加工装置よりも、一般に、食品熱処理ラインを備える加工プラントを流れる食品の所与の流速でより多くかつより速く汚れる。
【0019】
図1は、ポンプ輸送可能な食品を熱処理するための、例えば、低温殺菌ための、超高温処理(UHT処理)ための、および/または滅菌のための典型的な従来技術の加工ライン(10)を詳述する。本プロセスは、例えば、国際公開第2004/077968号に例示されている。表示されたプロセスでは、食品(11)は、プレヒータ(12)で予熱され、第1の最終ヒータ(13)で滅菌温度に加熱され、(フラッシュ)クーラ(14)で冷却されて、熱処理された製品を生成する。(ジュース処理のために国際公開第2004/077968号に例示されている)図のプロセスは、水蒸気(16)を使用したインフュージョンまたはインジェクション加熱(13)のための第1の最終ヒータ、および蒸気(17)を同時回収するフラッシュ冷却(14)の形態の冷却を利用して、熱処理された製品(15)を生成する。
したがって、本図に詳述された加工ライン(10)は、連続して配置された、例えば、パイプによって流体接続された、流体接続されたプロセス要素(12、13、14)のシーケンス(I)を備え、特定の食品に対して意図されたこの特定の食品の熱処理および/または滅菌プロセスの要求に従って、食品(11)をポンプ輸送することによって加工ライン(10)を通過させることができる。
【0020】
食品を、流体接続されたプロセス要素(12、13、14)のシーケンス(I)を通して輸送するために、1つまたは複数の食品ポンプが所望の物質輸送のための必要な駆動力を供給する。当業者は、本発明の文脈において、所与のタイプの食品および流速に対して、前述の流体接続されたプロセス要素のシーケンス(I)に沿って適切な位置で1つまたは複数の食品ポンプを適用し、前記流体接続されたプロセス要素のシーケンス(I)を通して食品(11)を適切に輸送し、所望の熱処理および/または滅菌プロセスを実行することができるように、食品ポンプを適切に寸法決めし適用するための要件に精通している。
それゆえ、食品ポンプが前記流体接続されたプロセス要素のシーケンス(I)に含まれてもよいと理解されるであろうが、そのような食品ポンプの詳細は、特定の食品、ならびにプロセス要素のシーケンス(I)において実行される熱処理および/または滅菌プロセスの方法に特有のものとして、本発明の範囲外と考えられる。
【0021】
図2は、食品を熱処理するための、例えば、低温殺菌のための、超高温処理(UHT処理)のための、および/または滅菌のための別の従来技術の加工ライン(20)を詳述する。本プロセスは、例えば、国際公開第2004/077968号に例示されている。表示されたプロセスでは、食品(11)は、予熱(12)され、セパレータ(18)において2つの異なる製品流に分離され、続いて各製品流が、2つの別個の最終ヒータである、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)において滅菌温度に加熱され、2つの製品流が、個々に冷却されるか(図示せず)、またはフラッシュクーラ(14)において混合され冷却されて、熱処理された製品を生成する。最終ヒータの後に保持セル(図示せず)が配置され、インジェクタ温度で1秒以下の保持セル熱処理が行われる。
(ジュース処理のために国際公開第2004/077968号に例示されている)図のプロセスは、水蒸気(16)を使用したインフュージョンまたはインジェクション加熱(13)のための並列に配置された第1および第2の最終ヒータ、ならびに蒸気(17)を同時回収するフラッシュ冷却(14)の形態の冷却を利用して、熱処理された製品(15)を生成する。しかしながら、セパレータ(18)のために、分離されて、閉鎖ラインへ導かれる材料が、全プロセス物質流の障害となるため、最終ヒータのいずれかを、もう一方もシャットダウンさせることなく、したがって全生産ラインをシャットダウンさせることなくシャットダウンさせることは不可能である。
【0022】
したがって、
図2に詳述された加工ライン(20)は、連続して配置された、例えば、パイプによって流体接続された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)のシーケンス(II)を備え、特定の食品に対して意図されたこの特定の食品の熱処理および/または滅菌プロセスの要求に従って、食品(11)を加工ライン(20)を介して通過させることができ、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)が、この加工ライン(20)上に並列に配置されている。
従来技術の例示された両方の加工ライン(10、20)では、図で最終ヒータ1(13)および最終ヒータ2(23)とラベル付けされたプロセス要素、すなわち、第1および第2の最終ヒータは、これらのプロセス要素が最も高い温度で動作するため、加工ラインで処理されている食品による汚れに最も脆弱である。それゆえ、加工ライン(10、20)の休止時間は、(主に)最終ヒータ(13、23)の動作条件を維持する必要性によって決定され、これによって、さらなるプロセス要素および/または加工装置が十分に利用されなくなる。
【0023】
異なる食品が同時に熱処理される国際公開第2004/077968号で論じられたプロセスなどでさえ、最終ヒータの一方のみが、もう一方のヒータよりも脆弱な場合、例示された最終ヒータ(13、23)のうちの最も脆弱なものが汚れのために洗浄を必要としているときはいつも加工ライン(20)全体が動作を中止しなければならないという大きな問題が残されている。
【0024】
本発明者らは、驚くことに今や、プロセス要素のシーケンス(II)上に並列に配置された第1の最終ヒータ(13)と第2の最終ヒータ(23)との間で高温食品処理プロセスを交互に動作させることによって、連続的なプロセスを動作させることができ、さらに、高温食品処理プロセスで現在使用されていない最終ヒータに対する定置洗浄プロセスを行うことによって加工ラインの全体的な休止時間を著しく低減させ、これによって、最も容易に汚染されるプロセス要素および/または加工装置による加工ラインの休止時間への影響をなくし、または著しく低減させることを実現した。
図3は、本開示の本発明の方法を実行するように配置された加工ライン(30)を詳述する。
【0025】
ポンプ輸送可能な食品(11)、好ましくはポンプ輸送可能な液状食品、より好ましくはミルク、ミルク派生品、ジュース、野菜液状食品、豆乳、スープ、および/またはデザート、ならびに/あるいは最も好ましくはミルク派生品が加工ライン(30)に提供され、加工ライン(30)が、少なくとも2つの連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、14)を備える。食品は、ポンプ輸送によって、少なくとも2つの連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、14)を横切ることができ、前述の加工ライン(30)を通過した後に処理された製品(15)を生成する。これによって、食品(11)の物質流が加工ライン(30)を通して確立される。例示された加工ライン(30)では、処理プロセスは、食品滅菌プロセスであり、食品(11)がプレヒータ(12)で第1の温度に予熱され、続いて第1の最終ヒータ(13)で最終加工温度に加熱され、今や熱処理された製品となった食品がクーラ(14)で冷却されて、所望の処理された製品(15)を生成する。
好ましい実施形態では、第1の温度は、食品(11)が食品加工ライン(30)で処理される低温殺菌温度、例えば、脱脂乳に対しては75℃であり、および/または最終加工温度は、滅菌温度、例えば、脱脂乳に対しては146℃である。一般に、当業者は、所与の食品に対する低温殺菌および滅菌温度を決定する仕方を知っており、本発明は、本発明の食品加工ライン(30)上で実行される所与の食品プロセスにおいて食品(11)が被る実際の温度によって限定されない。
【0026】
例示された加工ライン(30)では、例示された実施形態の第1および第2の最終ヒータ(13、23)は両方とも、水蒸気(16)を利用した直接水蒸気加熱によって、すなわちインジェクション(直接水蒸気インジェクション、DSIインジェクション)またはインフュージョン(直接水蒸気インフュージョン)によって動作し、いずれの選択肢も好まれる。さらに、例示された加工ライン(30)では、クーラ(14)は、冷却プロセスからの余剰水が蒸気(17)として回収されるフラッシュクーラ(14)である。一般に、直接水蒸気加熱は、燃焼を低減させ、最終製品(15)の味が、調理された味を弱めた初期食品(11)の味に近くなるため、食品加工ラインにおいて滅菌温度を確立するための熱交換器よりも好ましい。
一般に、本発明の方法による食品滅菌プロセスを実行する場合、直接水蒸気ヒータの動作温度は、120℃~160℃、好ましくは125℃~150℃、より好ましくは130℃~147℃、最も好ましくは135℃~144℃であることが意図されている。
さらに、滅菌温度の合計の加熱時間は、0.5~10秒、好ましくは1~9秒、より好ましくは2~8秒、一層好ましくは3~7秒、最も好ましくは4~6秒であることが意図されている。
一部の実施形態では、最終ヒータ(13、23)は、直接水蒸気ヒータ(13a、23a)と保持セル(13b、23b)との組合せとすることができる(
図5参照)。この状況では、直接水蒸気ヒータでの加熱時間が2秒未満であり、保持セルでの保持時間が1秒~約10秒であるのが好ましい。
【0027】
第1の最終ヒータは、プロセス要素の第1のシーケンス(I)に対する入口弁(133)としての入口点、および出口弁(135)としての出口点にそれぞれ配置された少なくとも2つの弁(133、135)をさらに備えるプロセス要素の第1のシーケンス(I)上に配置されており、それにより、プロセス要素のこの第1のシーケンス(I)が、前述のシーケンス(I)への入口点および出口点で2つのそれぞれの弁(133、135)を閉じることによって、加工ライン(30)上のさらなるプロセス要素(12、13)から隔離され得る。
【0028】
明瞭にするために、加工ライン(30)を通る物質輸送のためのポンプおよび他の手段の位置は、図面から省略されている。必要な数のポンプが到着ラインまたは出発ラインに沿って適用され、それにより、食品(11)は、プロセス要素の他のシーケンスを前述のシーケンスから弁遮断している場合でさえ、プロセス要素の特定のシーケンスを横切ることができる。
図4は、弁ならびにポンプの提案された配置および数の表示を含む、
図3で開示された一般化された加工ライン(30)の1つの可能な実施形態を詳述し例示する。
図3の例示された加工ライン(30)では、第1の最終ヒータ(13)を備えるシーケンス(I)は、前述の加工ライン(30)およびシーケンス(I)を通過中の食品(11)による汚染に最も脆弱なプロセス要素およびプロセス装置である。したがって、加工ライン(30)の稼働時間は、このプロセス要素(13)を洗浄するのに必要な時間間隔によって決定される。
したがって、第2の最終ヒータ(23)が、加工ライン(30)にさらに設けられ、前述の加工ライン(30)上の前述の第1の最終ヒータ(13)と並列に配置され、これによって、プロセス要素の並列のシーケンス(III)を形成する。加工ライン(30)では、プロセス要素の各シーケンス(I、III)に、弁(133、135、233、235)が設けられている。これによって、プロセス要素のそれぞれのシーケンス(I、III)を、加工ライン(30)の動作中にその並列するシーケンスから弁遮断することができる。第1のシーケンス(I)と並列に、弁(233、235)が、プロセスライン(30)に対して、前述の並列のシーケンス(III)の入口弁(233)としての入口点、および出口弁(235)としての出口点にそれぞれ配置されている。
【0029】
一般に、本発明の食品加工ラインの特定のシーケンス(I、III)を弁遮断するために、本発明と共に使用することができる特定のタイプの弁に特に重点は置かれない。本発明の重要な態様は、特定のシーケンス(I、III)を、食品加工ラインの動作中に、同一の食品加工ラインと確実に、かつ通常速やかに結合および切断することが可能であることである。
弁は、生産ラインの大きな圧力変動を回避するために、食品加工ライン(30)の動作中に特定のシーケンス(I、III)を速やかに閉じることができることが望ましい場合がある。この趣旨で、下流の弁(135、235)が背圧弁であることが特に好まれる。
上流の弁(133、233)に対して
図5で例示的に詳述されるような三方弁(58)は、対になった弁(133、233)および(135、235)を対で置き換えることができる。
しかしながら、
図5に関連して以下に記載され、また上述されたように、最終の直接水蒸気インジェクションヒータ(13、23)を確実に適切に機能させ、システムにおける圧力サージを回避するためには、上流の弁(133、233)を単一の三方弁(58)によって置き換えるだけで、弁(135、235)を背圧弁のままにしておくことが一般に好ましい。
【0030】
プロセス要素の2つのシーケンス(I、III)のそれぞれには、プロセス要素のそれぞれの各シーケンス(I、III)上で前述の入口弁(133、233)と出口弁(135、235)との間に配置されたCIP入口弁(134、234)およびCIP出口弁(136、236)がさらに設けられている。これによって、それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)を閉じることによって、それぞれのシーケンス(I、III)を、前述のシーケンス(I、III)が配置された加工ライン(30)から弁遮断すると、プロセス要素の所与のシーケンス(I、III)に対応する、2つのそれぞれのCIP入口弁(134、234)とCIP出口弁(136、236)との間のそれぞれのシーケンス(I、III)に対して定置洗浄手順を実施することができる。
【0031】
図3の例示的な加工ライン(30)の動作において、上述した例示的な食品滅菌手順を実施する場合、食品(11)は、最初に(予熱後に)、食品(11)をプロセス要素の前述の第1のシーケンス(I)を通過させることによって、第1の最終ヒータ(13)の所望の最終加熱ステップにさらされる。この最終加熱中、並列のシーケンス(III)に含まれる入口弁(233)および出口弁(235)を閉じることによって、食品(11)の、プロセス要素の並列のシーケンス(III)へのアクセスが阻止される。
第1の最終ヒータ(13)でのポンプ輸送可能な食品(11)の加熱中に、ヒータは、汚染され、各加熱プロセスおよび食品(11)に対して個々に決定されなければならない所与の時間の後に、ヒータ(13)は、プロセスによって汚染されてしまうため、汚染された第1の最終ヒータ(13)に対してCIP手順を行うことが必要と考えられる。
【0032】
ここで、定置洗浄のために加工ライン(30)全体をシャットダウンするのではなく、第1の最終ヒータ(13)を備えるプロセス要素の第1のシーケンス(I)のみを、プロセス要素の第1のシーケンス(I)に含まれるそれぞれの入口弁(133)および出口弁(135)を閉じることによって、CIP手順のためにシャットダウンする。これは、プロセス要素の並列のシーケンス(III)に含まれるそれぞれの入口弁(233)および出口弁(235)を開くことによって、(第1のシーケンス(I)のCIP中に)クーラ(14)までプロセス要素の並列のシーケンス(III)を介して食品(11)を代わりに通過させている間に行われる。
【0033】
第1のシーケンス(I)が加工ライン(30)の物質流から切断されている間の定置洗浄は、CIP入口弁(134)を開くことによってCIP入口(131)を通して洗浄剤およびフラッシング剤が第1のシーケンス(I)に入ることを可能にすることによって、ならびにCIP出口弁(136)を開くことによってCIP出口(132)を通して洗浄剤が第1のシーケンス(I)を出ることを可能にすることによって、当技術分野で通常のやり方で遂行される。洗浄の後、CIP入口(134)およびCIP出口(136)弁は、閉じられ、したがって、CIPシステムを加工ライン(30)および第1のシーケンス(I)からもう一度隔離する。
【0034】
したがって、プロセス要素、特に第1の最終ヒータ(13)の第1のシーケンス(I)が、選択されたCIP手順によって十分に洗浄されると、プロセス要素の並列のシーケンス(III)が、第1のシーケンス(I)について記載されたのと同一のやり方で加工ライン(30)を通る食品(11)の物質流から切断され、続いて、上記のようなCIPにかけられ得る。その後すぐに、並列のシーケンス(III)を、加工ライン(30)を通る食品の物質流に結合させるための上記の手順に従って、第1のシーケンス(I)を再び物質流に結合させることができる。加工ライン(30)の設計に応じて、第2の最終ヒータ(23)および並列のシーケンス(III)は、第1のシーケンス(I)および第1の最終ヒータ(13)がCIPを受けるのに十分な時間だけ動作することができ、または、プロセス要素の2つのシーケンス(I、III)は、各シーケンス(I、III)が加工ライン(30)の稼働時間の50%動作するように、加工ライン(30)の作業負荷を最大で均等分担まで分担することができる。
上記の詳細な方法に従って加工ライン(30)を動作させる効果は、加工ライン(30)の全体的な稼働時間が、もはや最短の稼働時間を有するプロセス要素および/または加工装置に依存せず、むしろ最短の稼働時間を有するプロセス要素および/または加工装置と比較して、より長い、通常はるかに長い稼働時間を有するプロセス要素および/または加工装置に依存するようになるということである。
【0035】
本発明の例示された食品加工ライン(30)では、フラッシュクーラ(14)が、2つの前述のシーケンス(I、III)が、1つのプロセスラインに再結合された後に配置され、フラッシュクーラ(14)が、蒸気出口(17)および処理された製品(15)の出口を有する。フラッシュクーラ(14)は、典型的には最終ヒータが低温殺菌温度で動作しているときに、冷却のための熱交換器と置き換えることができ、または、フラッシュクーラ(14)からの処理された製品の出口温度が、包装には高すぎる場合には、熱交換器の形態のさらなるクーラで増強されてもよい。この後者の実施形態は、食品(11)を滅菌する場合に一般的であり、実施例において本発明の概念を試験するために使用される本発明の特定の実施形態に対して
図5で例示される。
図4および
図5は、本発明の一般化された食品加工ライン(30)の特定の実施形態を詳述し、食品加工ライン(40、50)が、液状食品(11)の処理のための食品加工ラインを低温殺菌(40)または滅菌(40、50)しており、
図4の食品加工ラインは、両方を行うことができる。
【0036】
図4の設定では、液状食品(11)は、供給タンク(41)に含まれ、ここから例えば、管状または板状の熱交換器の形態の間接ヒータ(42)にポンプ(471)輸送される。任意選択で、間接ヒータ(42)の後に、ブースタポンプ(472)を配置することができる。間接ヒータ(42)の後の食品加工ライン(40)上の点で、存在する場合は、任意選択のブースタポンプ(472)の後で、食品加工ライン(40)は、前述のプロセス要素の並列のシーケンス(I、III)に分割され、各シーケンスを上で詳述したように弁(133、135、233、235)開閉することができる。上で詳述したようなCIPの入口弁(134、234)および出口弁(136、236)が、上記のようなそれぞれのシーケンス(I、III)上にさらに設けられている。
【0037】
食品加工ライン(40)が低温殺菌食品加工ラインであるとき、間接ヒータ(42)は、食品(11)を低温殺菌温度ではない第1の温度に加熱し、食品加工ライン(40)が滅菌食品加工ラインであるとき、間接ヒータ(42)は、食品を好ましくは低温殺菌温度である第1の温度に加熱する。食品加工ライン(40)が低温殺菌食品加工ライン(40)であるとき、最終ヒータ(13、23)は、通常管状または板状熱交換器、例えば、切削された(scraped)板状熱交換器であり、食品加工ライン(40)が滅菌食品加工ライン(40)であるとき、最終ヒータ(13、23)は、直接水蒸気ヒータであり、特にインジェクション(直接水蒸気インジェクション、DSIインジェクション)またはインフュージョン(直接水蒸気インフュージョン)直接水蒸気ヒータが好まれ、その両方の選択肢が好まれる。
【0038】
フラッシュクーラ(44)は、上で詳述したように、2つのシーケンス(I、III)が再結合された後に配置される。蒸気(17)は、フラッシュクーラ(44)から凝縮器(46)に導かれ、さらなる使用のためにポンプ(474)輸送され、または廃棄物として処分され、一方処理された製品(15)は、食品加工ライン(40)を出る前に間接クーラ(441)を介して充填ステーション(45)にポンプ(473)輸送される。
図4に例示された食品加工ライン(40)は、食品(11)、特にミルク、ジュース、豆乳またはそのような類似の製品を滅菌するのに特に適切である。しかし、上で詳述したように、プロセス装置のわずかな変更で、食品加工ライン(40)は、食品加工ライン(40)に対して本発明の方法を実行しながら食品(11)を低温殺菌するのに等しく適切になる。
図5は、以下に記載される実験を行なうために使用された食品加工ライン(50)について詳述する。明瞭にするために、CIPシステムおよびCIP入口弁(134、234)は、詳述されていないが、これらは、
図3および
図4に詳述された通りである。
【0039】
図では、食品(11)、実験では脱脂乳は、滅菌に先立って任意選択の供給タンク(51)に保持される。任意選択の供給タンクから、食品(11)は、プレヒータ(52)へポンプ輸送され(571)、このプレヒータが、本例および実験では、食品をミルクに対する低温殺菌温度(75℃)に加熱し、これによって続く滅菌加熱のためのミルクを用意する。三方弁(58)によって、2つのそれぞれのシーケンス(I、III)への入口点として
図3および
図4に詳述された2つの個々の弁(133、233)を置き換えた。シーケンス(I、III)では、本実施形態の最終ヒータ(13)は、直接水蒸気インフュージョンヒータ(13a)(APV即時インフュージョン、国際公開第96/16556号参照)と続く保持セル(13b)との複合体であり、実験のミルクに対する保持時間の合計が、実際の滅菌に対して146℃で約7秒である。ボール弁(136、236)は、実験で使用されたCIP液体の出口点を表し、2つの背圧弁(135、235)が前述のシーケンス(I、III)を完了し、食品加工ライン(50)を再結合する。上で詳述したように、一般に弁(135、235)として背圧弁を使用することが好まれ、さらに、本実施形態のように、三方弁(58)が使用される場合、これが推奨される。
【0040】
実験で用いられた高い滅菌温度(146℃)のために、フラッシュクーラ(54)は、任意選択ではあるが一対の後続する間接クーラ(541、542)、およびフラッシュクーラ(54)における圧力損失後に必要な流量を提供するためにフラッシュクーラ(54)の直後に配置された遠心ポンプ(573)で増強された。フラッシュクーラ(54)は、ミルクを約64℃に冷却し、後続の間接クーラ(541、542)は、最終製品温度、本実験では20℃に冷却する。滅菌された食品(15)をいつでも使用できる形態で消費者に送出するために、任意選択の充填ステーション(55)が食品加工ライン(50)の端部に配置され、こうして食品加工ライン(50)を完了する。
【0041】
一般に、供給タンク(51)および間接クーラ(541、542)は、
図5のプロセスライン(50)では任意選択である。ラインにおけるこれらの存在は、特に2つの間接クーラの使用に関しては、本実験で使用されたパイロットプラントの設定を反映し、実験で使用するためのパイロットサイトで利用可能な熱交換器を反映する。生産において、フラッシュ冷却能力、および任意選択の間接クーラとの組合せは、ミルクまたはジュースなどの過熱された水性食品を冷却する場合、当業者に知られているやり方で生産能力および設置面積を最適化するように調整されてもよい。
【0042】
そのようなものとして、上記の実施形態に加えて、本明細書に開示された発明は、さらなる実施形態に関する。定置洗浄手順中に食品加工ライン(30)を動作させる方法は、a)複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)を備える食品加工ライン(30)を設けるステップであって、複数のプロセス要素(13、23)の少なくとも第1および第2のプロセス要素が実質的に同様である、ステップと、
b)食品(11)が食品加工ライン(30)および複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)を物質流として横切ることができるように食品加工ライン(30)を配置し、これによって食品処理プロセスにおいて食品(11)を処理された製品(15)に変換するステップと、
c)プロセス要素の第1のシーケンス(I)上に複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)のうちの少なくとも1つの第1のプロセス要素(13)を配置するステップであって、第1のシーケンス(I)が第1のシーケンス(I)への入口点に配置された入口弁(133)および第1のシーケンス(I)への出口点に配置された出口弁(135)をさらに備え、少なくとも1つの第1のプロセス要素(13)が、入口弁(133)と出口弁(135)との間に配置され、入口弁および出口弁(133、135)の配置が、入口弁および出口弁(133、135)を開閉することによって、第1のシーケンス(I)を、食品加工ライン(30)の動作中に食品加工ライン(30)および食品(11)の物質流に対して弁開閉することができるように食品加工ライン(30)上に配置されている、ステップと、
d)プロセス要素の並列のシーケンス(III)上に複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)のうちの少なくとも1つの第2のプロセス要素(23)を配置するステップであって、並列のシーケンス(III)が並列のシーケンス(III)への入口点に配置された入口弁(233)および並列のシーケンス(III)への出口点に配置された出口弁(235)をさらに備え、少なくとも1つの第2のプロセス要素(23)が、入口弁(233)と出口弁(235)との間に配置され、入口弁および出口弁(233、235)の配置が、入口弁および出口弁(233、235)を開閉することによって、並列のシーケンス(III)を、食品加工ライン(30)の動作中に食品加工ライン(30)および食品(11)の物質流に対して弁開閉することができるように食品加工ライン(30)上に配置されている、ステップと、
e)プロセス要素の第1のシーケンス(I)およびプロセス要素の並列のシーケンス(III)を食品加工ライン(30)上に並列に配置し、それにより、食品加工ライン(30)の動作中の食品(11)の物質流が、シーケンス(I、III)の一方を食品加工ライン(30)から弁遮断したときに、もう一方を通ることができる、ステップと、
f)それぞれの各シーケンス(I、III)上の入口弁(133、233)と出口弁(135、235)との間で、プロセス要素の各シーケンス(I、III)上にそれぞれ配置されたCIP入口弁(134、234)およびCIP出口弁(136、236)を、プロセス要素の2つのシーケンス(I、III)のそれぞれにさらに設けるステップであって、それぞれの第1または第2のプロセス要素(13、23)がそれぞれのCIP入口弁(134、234)とそれぞれのCIP出口弁(136、236)との間に配置されている、ステップと、を含み、
本方法は、
g)食品加工ライン(30)上で食品処理プロセスを実行する前に、プロセス要素の並列のシーケンス(III)を食品加工ライン(30)から弁遮断し、プロセス要素の第1のシーケンス(I)を食品(11)の物質流を通過させるために開放したままにしておくステップと、
h)食品加工ライン(30)上で食品処理プロセスを実行し、これによって食品処理プロセスにおいて食品(11)を処理された製品(15)に変換するステップと、
i)食品処理プロセスを実行した時間の後に、食品処理プロセスの実行中に同時に、物質流を第1のシーケンス(I)の通過から並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、第1のシーケンス(I)を食品加工ライン(30)から弁遮断し、同時に、並列のシーケンス(III)を食品加工ライン(30)に開放することによって、第1のシーケンス(I)を、食品処理プロセスの実行中に同時に、食品加工ライン(30)の並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、
j)第1のシーケンス(I)を食品加工ライン(30)から弁遮断している間に、第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、をさらに含む。
一実施形態において、食品加工ライン(30)が停止されるまでおよび/または食品処理プロセスが終了するまで、ステップi)およびj)が繰り返される方法。
一実施形態において、食品加工ライン(30)が120℃を上回る温度で食品を処理または滅菌するための熱処理システムである方法。
一実施形態において、食品加工ライン(30)において、食品(11)が、第1または並列のシーケンス(I、III)のいずれかで高温処理にかけられる前に最初にプレヒータ(12)で予熱される方法。
一実施形態において、複数のプロセス要素(13、23)の第1のプロセス要素および第2のプロセス要素が、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)である方法。
【0043】
一実施形態において、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)が、両方とも直接水蒸気ヒータであり、食品加工ライン(30)が、第1の最終ヒータおよび第2の最終ヒータ(13、23)の後の食品加工ライン(30)上に配置された少なくとも1つのフラッシュクーラ(14)をさらに備える方法。
【0044】
図3および
図4に開示されるような本発明の好ましい実施形態において、
a)複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)を備える食品加工ライン(30)を設けるステップであって、複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)が、プレヒータ(12)、第1の直接水蒸気ヒータ(13)、第2の直接水蒸気ヒータ(23)、およびフラッシュクーラ(14)を備え、直接水蒸気ヒータ(13、23)が実質的に同様であり、プレヒータ(12)、直接水蒸気ヒータ(13、23)、およびフラッシュクーラ(14)が、食品加工ライン(30)上に連続して配置され、直接水蒸気ヒータ(13、23)がプレヒータ(12)の後であるがフラッシュクーラ(14)の前に配置されている、ステップと、
b)ミルク派生品(11)が物質流として食品加工ライン(30)および複数の連続して流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)を横切ることができるように食品加工ライン(30)を配置し、これによって高温のミルク派生品滅菌プロセスにおいてミルク派生品(11)を熱処理されたミルク派生品(15)に変換するステップと、
c)第1の直接水蒸気ヒータ(13)をプロセス要素の第1のシーケンス(I)上に配置するステップであって、第1のシーケンス(I)が第1のシーケンス(I)への入口点に配置された入口弁(133)および第1のシーケンス(I)への出口点に配置された出口弁(135)をさらに備え、第1の直接水蒸気ヒータ(13)が、入口弁(133)と出口弁(135)との間に配置され、入口弁および出口弁(133、135)の配置が、入口弁および出口弁(133、135)を開閉することによって、第1のシーケンス(I)を、食品加工ライン(30)の動作中に食品加工ライン(30)およびミルク派生品(11)の物質流に対して弁開閉することができるように食品加工ライン(30)上に配置されている、ステップと、
d)第2の直接水蒸気ヒータ(23)をプロセス要素の並列のシーケンス(III)上に配置するステップであって、並列のシーケンス(III)が、並列のシーケンス(III)への入口点に配置された入口弁(233)および並列のシーケンス(III)への出口点に配置された出口弁(235)をさらに備え、第2の直接水蒸気ヒータ(23)が、入口弁(233)と出口弁(235)との間に配置され、入口弁および出口弁(233、235)の配置が、入口弁および出口弁(233、235)を開閉することによって、並列のシーケンス(III)を、食品加工ライン(30)の動作中に食品加工ライン(30)およびミルク派生品(11)の物質流に対して弁閉鎖し、再び開放することができるように食品加工ライン(30)上に配置されている、ステップと、
e)プロセス要素の第1のシーケンス(I)およびプロセス要素の並列のシーケンス(III)を食品加工ライン(30)上に並列に配置し、それにより、食品加工ライン(30)の動作中のミルク派生品(11)の物質流が、シーケンス(I、III)の一方を食品加工ライン(30)から弁遮断したときに、もう一方を通ることができる、ステップと、f)それぞれの各シーケンス(I、III)上の入口弁(133、233)と出口弁(135、235)との間で、プロセス要素の各シーケンス(I、III)上にそれぞれ配置されたCIP入口弁(134、234)およびCIP出口弁(136、236)を、プロセス要素の2つのシーケンス(I、III)のそれぞれにさらに設けるステップであって、それぞれの第1または第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)がそれぞれのCIP入口弁(134、234)とそれぞれのCIP出口弁(136、236)との間に配置されている、ステップと、
を含む定置洗浄手順中に食品加工ライン(30)を動作させる方法が開示され、
本方法は、
g)食品加工ライン(30)上で高温のミルク派生品滅菌プロセスを実行する前に、プロセス要素の並列のシーケンス(III)を食品加工ライン(30)から弁遮断し、プロセス要素の第1のシーケンス(I)をミルク派生品(11)の物質流を通過させるために開放したままにしておくステップと、
h)食品加工ライン(30)上で高温のミルク派生品滅菌プロセスを実行し、これによって高温のミルク派生品滅菌プロセスにおいてミルク派生品(11)を熱処理されたミルク派生品(15)に変換するステップと、
i)高温のミルク派生品滅菌プロセスを実行した時間の後に、高温のミルク派生品滅菌プロセスの実行中に同時に、物質流を第1のシーケンス(I)の通過から並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、第1のシーケンス(I)を食品加工ライン(30)から弁遮断し、同時に、並列のシーケンス(III)を食品加工ライン(30)に開放することによって、第1のシーケンス(I)を、高温のミルク派生品滅菌プロセスの実行中に同時に、食品加工ライン(30)の並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、
j)第1のシーケンス(I)を食品加工ライン(30)から弁遮断している間に、第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、
をさらに含む。
図6および
図7は、本発明の概念のさらなる発展形態を詳述する。
【0045】
図6は、生産ライン(60)上に、それぞれの第1および並列のシーケンス(I、III)と並列に配置されたさらなるシーケンス(IV)を備える、上に詳述されたような生産ライン(60)を詳述し、さらなるシーケンス(IV)が、入口弁(337)および出口弁(339)、ならびにそれらの間に配置されたCIP入口弁(334)およびCIP出口弁(336)、ならびにCIP入口弁とCIP出口弁との間に配置された最終ヒータ3(33)を備える。
図6に詳述されているような設定は、洗浄時間が汚染時間よりも長く、2つの並列のシーケンス(I、III)が連続した動作を保証することができないような場合に有用である。しかしながら、動作において、一般に良く設計された生産プラントでは、洗浄時間は、汚染時間よりも常に短い。
【0046】
しかしながら、
図7は、
図6に詳述されたシステムの改善された使用を詳述する。前述したように、洗浄時間は、汚染までの時間よりも通常短く、著しく短くさえある。以下の実験では、試験設定の洗浄時間は25分の生産実行後に90秒であったため、最終ヒータの能力を倍増することによって、1つまたは両方の最終ヒータ(13、23)の利用率の低下につながる可能性がある。したがって、2つの生産ライン(I、V)が共通の並列のシーケンス(III)を共有することが有利な場合があり、これによって共通の並列のシーケンス(III)の負荷時間が増加する。例えば、2つの最終ヒータ(13、23)が両方ともセパレータ(18)のために常時オンライン状態を維持しなければならない国際公開第2004/077968号に詳述された生産ライン(20)では、共通の並列のシーケンス(III)を共有することは、最終ヒータ(13、23)の一方のCIP中に、このタイプの滅菌生産ラインの継続的な動作も可能にする。
【0047】
一方の最終ヒータが高い乾物含量を有するジュースの一部を受け取り、もう一方が、低い乾物含量を有するジュースの一部を受け取る国際公開第2004/077968号の生産ラインに対しては、高い乾物含量を有する一部を受け取る最終ヒータは、もう一方のヒータよりも頻繁に洗浄を必要とすることが予想される傾向にある。
しかしながら、
図7に詳述された設定は、容易にこれにも適応することができる。そのような共有された設定では、2つの生産ライン(I、V)の処理温度が異なる温度を必要とする場合に、プレヒータ(12、32)は、異なることができ、または、システム要件が許せば、それらを単一ユニットへ組み合わせることができる。
【0048】
したがって、本発明によると、
- 前記食品滅菌ライン(40、50)上のプロセス要素の第1の滅菌シーケンス(I)および並列の滅菌シーケンス(III)上にそれぞれ動作可能に並列に配置された、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備え、それにより、前記第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に対して、それぞれ弁(234、235)開閉するときに、前記第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(40、50)に対して逆に弁(133、135)開閉することができる、複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(42、52、13、23、44、54)であって、
- 前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を食品滅菌ライン(40、50)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
- 前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(134、234)および出口弁(136、236)において前記食品滅菌ライン(40、50)から分流し、再結合する、
プロセス要素(42、52、13、23、44、54)を備え、
- 前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)から分流する前に、前記シーケンス(I、III)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたプレヒータ(42、52)と、
- 前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)と再結合した後に、前記シーケンス(I、III)の下流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたフラッシュクーラ(44、54)と、
をさらに備える、
食品滅菌ライン(40、50)において、
一方のシーケンス(I、III)が食品滅菌プロセスのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能なときに、もう一方のシーケンス(I、III)が食品滅菌プロセスのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能ではない、ことを特徴とする、
食品滅菌ライン(40、50)も開示される。
食品滅菌ライン(40、50)のさらなる実施形態では、食品滅菌ライン(40、50)は、前記プレヒータ(42、52)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置された供給タンク(41、51)をさらに備える。
食品滅菌ライン(40、50)のさらなる実施形態では、食品滅菌ライン(40、50)は、前記食品滅菌ライン(40、50)の下流端に配置された充填ステーション(45、55)をさらに備える。
【0049】
食品滅菌ライン(40、50)のさらなる実施形態では、食品滅菌ライン(40、50)は、前記フラッシュクーラ(44、54)の後の、および存在する場合は前記充填ステーション(45、55)の前の、前記食品滅菌ライン(40、50)上に配置された少なくとも1つの間接クーラ(441、541、542)をさらに備える。
食品滅菌ライン(40、50)の他の実施形態については、食品滅菌ライン(40、50)は、
図4および
図5の議論においてより詳細に詳述され、本発明の例示的な食品滅菌ライン(40、50)およびその実施形態が論じられた。
【0050】
食品滅菌ライン(40、50)のさらなる実施形態では、食品滅菌ライン(40、50)は、本開示で詳述された実施形態のうちのいずれかによる方法を実行するためのコントローラをさらに備える。そのようなコントローラは、当業者に一般に知られており、そのようなコントローラをプログラムして本発明の方法を実行することは、一旦本発明の方法についての知識が当業者に与えられると、当業者の技術の範囲内にある。
【実施例】
【0051】
(例1)
試験の目的は、連続的な滅菌生産中に1つの直接水蒸気最終ヒータまたはDSIインジェクタ(直接水蒸気インジェクション)から別の直接水蒸気最終ヒータに変更する間に、無菌試料を提供する実現可能性を証明することであった。
1つの共通のプレヒータおよび並列する2つの最終の直接水蒸気ヒータを有する完全な滅菌ライン(
図5のような)は、1つの共通のフラッシュ冷却容器へ、さらに滅菌冷却熱交換器、および滅菌包装機に送り込む。滅菌試験のためのミルク試料は、包装機によって包装された試料から採取された。
12kgの脱脂粉乳(Arla Foods)を100kgの水道水(55℃)(Flex-Mix Liquiverter)に溶解し、30分間水和させた。対照試料は、加工ラインを通過させる前に除去された。
【0052】
プラントは、予熱および冷却のためのプレートを有し、ダブルの最終ヒータ水蒸気インジェクタ(第1および第2のインジェクタ)(モデル:17mm/2、66mm)が取り付けられた100リットル/時のSPPパイロットUHTプラントであった。調製後、試料は、Rapak intasept 2200フィラーを有する5リットルの無菌バッグに充填された。
滅菌は、第2のインジェクタへのアクセスを拒否しながら、ミルクを第1のインジェクタ(DSI)を通過させることによって145℃で実行され、その後、第1のインジェクタへのアクセスを拒否しながら、第2のインジェクタを流路に切り替え、ミルクを第2のインジェクタで、145℃で滅菌した。ミルクは、各インジェクタを25分間通過した。
【0053】
各インジェクタからの試験試料(10)は、30℃で3日間保温され、各試料についてpHが測定された(pH=6.62)。非低温殺菌された供給試料を、同一の条件で、30℃で3日間保温し、pHを測定し、pH=4.63であった。滅菌された試料は、新鮮なミルク(pH約6.62)と比較してpHの低下を示さず、これによって、ミルク試料の両方の組が無菌であることを確認した。
本試験は、連続的な無菌ミルク生産中に無菌性を全体的に失うことなく2つの滅菌ライン間のインライン切替えの実現可能性を証明した。
(例2)
例1の実験を実行した後にインラインの洗浄手順を試験するために例1の試験プラントを使用した。
アルカリ液(27.5%のNaOH)を70℃でプロセス水と混合して2.5%のアルカリ溶液とした。このCIP溶液をCIP手順で洗浄剤を供給するためのバランスタンクに注いだ。
第1の試験では、CIP溶液が例1の第1のDSIインジェクタを通して55℃および150リットル/時でポンプ輸送され、CIP溶液の導電率が、第1のDSIインジェクタを備える生産ラインのシーケンスからのCIP溶液の出口の点で測定された。
出口でのCIP溶液が純粋な2.5%のアルカリ溶液の導電率に戻る時間は、90秒であり、3.75リットルのCIP溶液が最初の導電率に戻る前に第1のDSIインジェクタを備える生産ラインのシーケンスを通ってポンプ輸送されたことに相当する。
【0054】
第2の試験では、CIP溶液が例1の第2のDSIインジェクタを介して55℃および150リットル/時で全生産ラインを通してポンプ輸送され、CIP溶液の導電率が、第2のDSIインジェクタを備える生産ラインからのCIP溶液の出口の点で測定された。
出口でのCIP溶液が純粋な2.5%のアルカリ溶液の導電率に戻る時間は、300秒であり、12.5リットルのCIP溶液が最初の導電率に戻る前に第2のDSIインジェクタを備える生産ラインを通ってポンプ輸送されたことに相当する。
本発明の方法に従うことで、洗浄時間およびCIP溶液の消費は両方とも、従来技術の解決法よりも3.3倍改善された。
【0055】
結びのコメント
特許請求の範囲で使用されるような「備える」という用語は、他の要素またはステップを排除しない。特許請求の範囲で使用されるような「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、複数を排除しない。単一のプロセッサまたは他のユニットは、特許請求の範囲で列挙された、いくつかの手段の機能を満たすことができる。
本発明は、例示を目的として詳細に記載されたが、そのような詳述は、その目的のためだけであり、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって変形を行うことが可能であることを理解されたい。
本発明は、以下の事項を含んでいるともいえる。
[付記1]
食品処理プロセスにおいてポンプ輸送可能な食品(11)の物質流を、処理された製品(15)に変換しながら、定置洗浄手順中に食品加工ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、
- 複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)であり、前記複数のプロセス要素のうちの少なくとも第1のプロセス要素(13)および第2の実質的に同様のプロセス要素(23)がそれぞれ、前記食品加工ライン(30)上のプロセス要素の第1のシーケンス(I)および並列のシーケンス(III)上に並列に配置され、それにより、前記第2の実質的に同様のプロセス要素(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、前記第1の実質的に同様のプロセス要素(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)に対して逆に弁(133、135)開閉することができる、プロセス要素(12、13、23、14)で、- 前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を前記食品加工ライン(30)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
- 前記シーケンス(I、III)が、それぞれ前記入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)から分流し、再結合する、
プロセス要素(12、13、23、14)を備え、
a)前記食品加工ライン(30)上で食品処理プロセスを実行する前に、プロセス要素の前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)から弁(233、235)遮断し、前記食品(11)の物質流を通過させるためにプロセス要素の前記第1のシーケンス(I)を開放(133、135)したままにしておくステップと、
b)前記食品処理プロセスを前記食品加工ライン(30)上で実行し、これによって前記食品処理プロセスにおいて前記食品(11)を処理された製品(15)に変換するステップと、
c)前記食品処理プロセスを実行した時間の後に、前記食品処理プロセスの実行中に同時に、前記物質流を前記第1のシーケンス(I)の通過から前記並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)から弁(133、135)遮断し、同時に、前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に開放(233、235)することによって、前記第1のシーケンス(I)を、食品加工ライン(30)において前記並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、
d)前記第1のシーケンス(I)を前記食品加工ライン(30)から弁遮断している間に、前記第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、
を含む方法。
[付記2]
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が停止されるまでおよび/または前記食品処理プロセスが終了するまで、ステップc)およびd)が繰り返される、付記1に記載の方法。
[付記3]
前記複数のプロセス要素(13、23)の前記第1のプロセス要素および前記実質的に同様の第2のプロセス要素が、第1の最終ヒータ(13)および第2の最終ヒータ(23)である、付記1または付記2のいずれかに記載の方法。
[付記4]
前記第1の最終ヒータ(13)および前記第2の最終ヒータ(23)が、両方とも直接水蒸気ヒータである、付記3に記載の方法。
[付記5]
前記最終ヒータ(13a、23a)が独立して保持セル(13b、23b)で増強されている、付記3または4に記載の方法。
[付記6]
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品加工ラインから分流する前に、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのプレヒータ(12、32)をさらに備える、付記1から5のいずれか1項に記載の方法。
[付記7]
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、前記第1および前記並列のシーケンス(I、III)が前記食品加工ラインと再結合した後に、前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)上に配置された少なくとも1つのクーラ(14、44、54)をさらに備える、付記1から6のいずれか1項に記載の方法。
[付記8]
前記クーラ(14)がフラッシュクーラ(14)、あるいは1つまたは複数の間接クーラ(441、541、542)で増強されたフラッシュクーラ(14)である、付記7に記載の方法。
[付記9]
充填ステーション(45、55)が前記食品加工ライン(40、50)上に配置された最終プロセス要素である、付記1から8のいずれか1項に記載の方法。
[付記10]
供給タンク(41、51)が前記食品加工ライン(40、50)上に配置された前記第1のプロセス要素である、付記1から9のいずれか1項に記載の方法。
[付記11]
前記弁(133、233)および/または前記弁(135、235)が対で単一の三方弁(58)に一体化されている、付記1から10のいずれか1項に記載の方法。
[付記12]
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)が、液状食品(11)を低温殺菌または滅菌するための熱処理食品加工ラインである、付記1から11のいずれか1項に記載の方法。
[付記13]
前記食品加工ライン(30、40、50、60、70)において、前記食品(11)が最初にプレヒータ(12)で予熱され、続いて、前記第1または前記並列のシーケンス(I、III)のいずれかにおいて高温処理にさらされる、付記1から12のいずれか1項に記載の方法。
[付記14]
前記食品(11)が、それぞれの前記第1または並列のシーケンス(I、III)において、最初にプレヒータ(12、32)で低温殺菌温度にさらされ、続いて120℃を上回る滅菌高温処理にさらされる、付記1から13のいずれか1項に記載の方法。
[付記15]
食品滅菌プロセスにおいてポンプ輸送可能な食品(11)の物質流を、滅菌された製品(15)に変換しながら、定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法であって、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)が、
- 前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上のプロセス要素の第1のシーケンス(I)および並列のシーケンス(III)上にそれぞれ並列に配置された、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備え、それにより、前記第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、前記第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)に対して逆に弁(133、135)開閉することができる、複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(12、13、23、14)であって、
- 前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
- 前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品滅菌ライン(30)から分流し、再結合する、
プロセス要素(12、13、23、14)を備え、
a)前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上で食品滅菌プロセスを実行する前に、プロセス要素の前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁(233、235)遮断し、プロセス要素の前記第1のシーケンス(I)を前記食品(11)の物質流を通過させるために開放(133、135)したままにしておくステップと、
b)前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を120℃~160℃の温度で動作させることによって、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)上で前記食品滅菌プロセスを実行し、これによって、前記食品滅菌プロセスにおいて前記前記食品(11)を滅菌された製品(15)に変換するステップと、
c)前記食品処理プロセスを実行した時間の後に、前記食品滅菌プロセスの実行中に同時に、前記物質流を前記第1のシーケンス(I)の通過から前記並列のシーケンス(III)の通過へ切替え、これによって、前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30)から弁(133、135)遮断し、同時に、前記並列のシーケンス(III)を前記食品滅菌ライン(30)に開放(233、235)することによって、前記第1のシーケンス(I)を、前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)において前記並列のシーケンス(III)に置き換えるステップと、
d)前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)から弁遮断している間に、前記第1のシーケンス(I)に対する定置洗浄手順を実行するステップと、
を含む方法。
[付記16]
前記ポンプ輸送可能な食品(11)を滅菌する間に、前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を120℃~160℃の温度で0.5~10秒の時間動作させる、付記15に記載の定置洗浄手順中に食品滅菌ライン(30、40、50、60、70)を動作させる方法。
[付記17]
前記第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)が直接水蒸気ヒータ(13a、23a)と保持セル(13b、23b)との組合せを備える、付記15または付記16のいずれかに記載の方法。
[付記18]
前記直接水蒸気ヒータ(13a、23a)での加熱時間が2秒未満であり、前記保持セル(13b、23b)での保持時間が1秒~約10秒である、付記17に記載の方法。
[付記19]
前記ポンプ輸送可能な食品(11)がミルク、ミルク派生品、ジュース、野菜液状食品、豆乳、スープ、および/またはデザートである、付記1から18のいずれか1項に記載の方法。
[付記20]
- 前記食品滅菌ライン(40、50)上のプロセス要素の第1の滅菌シーケンス(I)および並列の滅菌シーケンス(III)上にそれぞれ動作可能に並列に配置された、ポンプ輸送可能な食品(11)を120~160℃の温度で滅菌するための第1および第2の直接水蒸気ヒータ(13、23)を備え、それにより、前記第2の直接水蒸気ヒータ(23)を備える前記並列のシーケンス(III)を前記食品加工ライン(30)に対して、それぞれ弁(233、235)開閉するときに、前記第1の直接水蒸気ヒータ(13)を備える前記第1のシーケンス(I)を前記食品滅菌ライン(40、50)に対して逆に弁(133、135)開閉することができる、複数の動作可能に連続して配置された、流体接続されたプロセス要素(42、52、13、23、44、54)であって、
- 前記2つのシーケンス(I、III)のそれぞれが、前記それぞれのシーケンス(I、III)を食品滅菌ライン(40、50)から弁遮断している間に定置洗浄手順で使用するための洗浄剤をそれぞれのシーケンス(I、III)に出し入れ可能にするための、シーケンス(I;III)上のすべてのプロセス要素(13、23)のまわりに配置された入口弁(134、234)および出口弁(136、236)を備え、
- 前記それぞれのシーケンス(I、III)が、前記それぞれの入口弁(133、233)および出口弁(135、235)において前記食品滅菌ライン(40、50)から分流し、再結合する、
プロセス要素(42、52、13、23、44、54)を備え、
- 前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)から分流する前に、前記シーケンス(I、III)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたプレヒータ(42、52)と、
- 前記シーケンスが前記食品滅菌ライン(40、50)と再結合した後に、前記シーケンス(I、III)の下流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置されたフラッシュクーラ(44、54)と、
をさらに備える、
食品滅菌ライン(40、50)において、
一方のシーケンス(I、III)が食品滅菌プロセスのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能なときに、もう一方のシーケンス(I、III)が食品滅菌プロセスのための動作可能な滅菌シーケンスとして利用可能ではない、
ことを特徴とする、食品滅菌ライン(40、50)。
[付記21]
前記プレヒータ(42、52)の上流の前記食品滅菌ライン(40、50)上に動作可能に配置された供給タンク(41、51)をさらに備える、付記20に記載の食品滅菌ライン(40、50)。
[付記22]
前記食品滅菌ライン(40、50)の下流端に配置された充填ステーション(45、55)をさらに備える、付記20または付記21のいずれかに記載の食品滅菌ライン(40、50)。
[付記23]
前記フラッシュクーラ(44、54)の後の、および存在する場合は、前記充填ステーション(45、55)の前の前記食品滅菌ライン(40、50)上に配置された少なくとも1つの間接クーラ(441、541、542)をさらに備える、付記20から22のいずれか1項に記載の食品滅菌ライン(40、50)。
[付記24]
付記1から19のいずれか1項に記載の方法を実行するためのコントローラをさらに備える、付記20から23のいずれか1項に記載の食品滅菌ライン(40、50)。