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▶ ケイメッド(メディカル アンド インダストリアル イクイプメント) リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】調整可能なボトル支持体
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/142 20060101AFI20230501BHJP
   A61M 5/14 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
A61M5/142 502
A61M5/14 500
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2021172296
(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公開番号】P2022068864
(43)【公開日】2022-05-10
【審査請求日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】2016779.7
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】501472618
【氏名又は名称】ケイメッド(メディカル アンド インダストリアル イクイプメント) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KEYMED (MEDICAL & INDUSTRIAL EQUIPMENT) LTD.
【住所又は居所原語表記】Keymed House, Stock Road, SOUTHEND-ON-SEA, Essex, SS2 5QH, United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド、アダム
(72)【発明者】
【氏名】ジョウィット、ジョーダン
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ティム
(72)【発明者】
【氏名】マクミラン、ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】アタカン、ネヴザット
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表平09-511676(JP,A)
【文献】特表2007-516779(JP,A)
【文献】特表2015-503408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/142
A61M 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ用の調整可能なボトル支持体であって、
ボトルにおける部分を支持するための第1の支持部材および第2の支持部材を備え、
前記第1の支持部材および前記第2の支持部材は、ポンプボディに取り付け可能なアタッチメント部材に取り付けられ、
前記第2の支持部材は、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材が互いに整列して同じ高さになる第1の位置と、前記第1の支持部材から離れる方向に上向きに傾斜する第2の位置との間で回転するように、前記アタッチメント部材に旋回可能に取り付けられており、
前記第1の位置および前記第2の位置の両方において、前記第1の支持部材および前記第2の支持部材はボトルを支持する、調整可能なボトル支持体。
【請求項2】
前記第1の支持部材および前記第2の支持部材はそれぞれ、前縁、後縁および測縁を有するベースを備え、
前記第1の位置では、前記第1の支持部材の前縁と前記第2の支持部材の後縁は互いに同じ高さ位置にあり、
前記第2の支持部材はその前縁と後縁との間のピボット軸を中心に回転可能であり、
前記第2の位置では、前記第2の支持部材の前記後縁は、前記第1の支持部材の前記前縁よりも低い位置にある、請求項1に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項3】
前記第1の支持部材は、前記前縁から延びる下向きに傾斜した壁をさらに備える、請求項2に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項4】
前記第2の位置では、前記第2の支持部材の前記ベースと前記第1の支持部材の前記下向きに傾斜した壁との間の角度は、約90度である、請求項3に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項5】
前記第1の支持部材は、前記アタッチメント部材と一体である、請求項1に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項6】
前記第1の支持部材は、前記第1の位置および前記第2の位置において前記アタッチメント部材に解放可能に取り付けられる、請求項1に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項7】
前記第1の位置では、前記第1の支持部材は水平であり、前記第2の位置では、前記第1の支持部材は前記第2の支持部材から離れる方向に上向きに傾斜する、請求項6に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項8】
前記第1の支持部材は、前記第2の支持部材に最も近い前縁と、前記第2の支持部材から最も遠い後縁と、前記後縁に近い格納位置と前記後縁からさらに遠い拡張位置との間で移動するために前記第1の支持部材に移動可能に取り付けられた保持壁と、を有するベースをさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項9】
前記第2の支持部材は、ピボット軸によって前記アタッチメント部材に旋回可能に取り付けられており、
前記第2の支持部材を前記第1の位置および前記第2の位置に保持するために前記アタッチメント部材と選択的に係合可能な、前記第2の支持部材上の戻り止めをさらに備える、請求項1から8のいずれかに記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項10】
前記第2の支持部材は、前記アタッチメント部材から延び、三角形状に配置される3つのピボットピンを備えるピボット機構によって旋回可能に前記アタッチメント部材に取り付けられ、前記第2の支持部材の前記ピボット軸は前記三角形状の中心を通り、前記第2の支持部材は前記ピボット軸を中心とする3つの円弧状のスロットを有する側壁を備え、各ピボットピンは前記スロットの1つを通って延びている、請求項に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項11】
各スロットは、第1の端部と、第2の端部と、前記第1の位置および前記第2の位置においてピボットピンを受け入れるために各端部に形成されるノッチと、を備える、請求項10に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項12】
前記ノッチは、前記第1の位置および前記第2の位置において、前記第2の支持部材の重量が各ピンをノッチ内に保持するように作用するように配置される、請求項11に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項13】
前記戻り止めは、前記アタッチメント部材の第1の開口部および第2の開口部と選択的に係合可能な突起を有する、前記第2の支持部材上の弾性アームを備える、請求項9に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項14】
前記弾性アームは、前記アームから突出し、前記突起を前記アタッチメント部材の前記第1の開口部および前記第2の開口部と選択的に係合および係合解除させるためにユーザが操作可能なグリップ部分をさらに備える請求項13に記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項15】
前記第2の支持部材は、その上に支持されるボトル内の流体を加熱するように動作可能な加熱装置をさらに備える、請求項1から14のいずれかに記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項16】
前記第2の支持部材は、その上に支持されるボトルを照らすように動作可能な照明装置をさらに備える請求項1から15のいずれかに記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項17】
前記第2の支持部材に取り付けられ、前記第2の支持部材を前記第2の位置に保持するために展開位置に移動可能なフラップをさらに備える請求項1から16のいずれかに記載の調整可能なボトル支持体。
【請求項18】
前記第1の支持部材は、下向きに延びる支持脚をさらに備える請求項1から17のいずれかに記載の調整可能なボトル支持体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器用の調整可能な支持体またはホルダに関する。特に、この支持体は、蠕動ポンプに接続されたボトルを支持することを目的としており、蠕動ポンプは内視鏡検査などの医療処置のために当該ボトルから液体を供給するために使用される。
【背景技術】
【0002】
医療処置のための蠕動ポンプは、他の機器も運ぶ移動可能なワークステーションまたは手押し車の棚に設置されることが多い。そのため、スペースは比較的限られている。通常、液体は標準的な1リットルの使い捨てボトルに入っており、そのボトルは、断面が円筒形または正方形であり、ポンプの側面に固定された支持体に取り付けられる。しかしながら、一部の処置では、より大きな容量のボトルが望まれるが、標準的なボトルの支持体には適合しない。利用可能な限られたスペース内で、ポンプに隣接する様々なサイズや構成のボトルを支持する必要がある。これにより、ボトルはしっかり固定されながら簡単にアクセスできるため、空のときに交換できる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、ポンプ用の調整可能なボトル支持体であって、ボトルにおける部分を支持するための第1の支持部材および第2の支持部材を備え、第1の支持部材および第2の支持部材は、ポンプボディに取り付け可能なアタッチメント部材に取り付けられ、第2の支持部材は、第1の支持部材および第2の支持部材が互いに整列して同じ高さになる第1の位置と、第1の支持部材から離れる方向に上向きに傾斜する第2の位置との間で回転するように、アタッチメント部材に旋回可能に取り付けられている、調整可能なボトル支持体を提供する。したがって、本発明のボトル支持体は、異なる形状やサイズのボトルを収容するために容易に調整可能である。
【0004】
好ましくは、第1の支持部材および第2の支持部材はそれぞれ、前縁、後縁および測縁を有するベースを備え、第1の位置では、第1の支持部材の前縁と第2の支持部材の後縁は互いに同じ高さ位置にあり、第2の支持部材はその前縁と後縁との間のピボット軸を中心に回転可能であり、第2の位置では、第2の支持部材の後縁は、第1の支持部材の前縁よりも低い位置にある。
【0005】
第1の支持部材は、前縁から延びる下向きに傾斜した壁をさらに備えてもよい。この場合、第2の位置では、第2の支持部材のベースと第1の支持部材の下向きに傾斜した壁との間の角度は、好ましくは約90度である。これらの特徴により、より小さいボトルをホルダ上に確実に位置決めできる。
【0006】
一実施形態では、第1の支持部材は、アタッチメント部材と一体である。別の実施形態では、第1の支持部材は、第1の位置および第2の位置においてアタッチメント部材に解放可能に取り付けられる。この場合、好ましくは、第1の位置では、第1の支持部材は水平であり、第2の位置では、第1の支持部材は第2の支持部材から離れる方向に上向きに傾斜する。
【0007】
第1の支持部材は、第2の支持部材に最も近い前縁と、第2の支持部材から最も遠い後縁と、後縁に近い格納位置と後縁からさらに遠い拡張位置との間で移動するために第1の支持部材に移動可能に取り付けられた保持壁と、を有するベースをさらに備えてもよい。壁は、ボトルをホルダ上に配置して保持するのに役立ち、様々なボトルサイズを対応するために移動可能である。
【0008】
第2の支持部材は、ピボット軸によってアタッチメント部材に旋回可能に取り付けられてもよく、第2の支持部材を第1の位置および第2の位置に保持するためにアタッチメント部材と選択的に係合可能な、第2の支持部材上の戻り止めをさらに備えてもよい。
【0009】
あるいは、第2の支持部材は、アタッチメント部材から延び、三角形状に配置される3つのピボットピンを備えるピボット機構によって旋回可能にアタッチメント部材に取り付けられ、第2の支持部材のピボット軸は三角形状の中心を通り、第2の支持部材はピボット軸を中心とする3つの円弧状のスロットを有する側壁を備え、各ピボットピンはスロットの1つを通って延びてもよい。好ましくは、各スロットは、第1の端部と、第2の端部と、第1の位置および第2の位置においてピボットピンを受け入れるために各端部に形成されるノッチと、を備える。ノッチは、第1の位置および第2の位置において、第2の支持部材の重量が各ピンをノッチ内に保持するように作用するように配置される。
【0010】
戻り止めが提供される場合、それは、アタッチメントアームの第1の開口部および第2の開口部と選択的に係合可能な突起を有する、第2の支持部材上の弾性アームを備えてもよい。弾性アームは、アームから突出し、突起をアタッチメントアームの第1の開口部および第2の開口部と選択的に係合および係合解除させるためにユーザが操作可能なグリップ部分をさらに備えてみょい。
【0011】
任意に、第2の支持部材は、その上に支持されるボトル内の流体を加熱するように動作可能な加熱装置および/またはその上に支持されるボトルを照らすように動作可能な照明装置をさらに備えてもよい。
【0012】
調整可能なボトル支持体は、第2の支持部材に取り付けられ、第2の支持部材を第2の位置に保持するために展開位置に移動可能なフラップをさらに備えてもよい。また、第1の支持部材は、下向きに延びる支持脚をさらに備えてもよい。そのような特徴は、デバイスに取り付けられたボトルの重量を支持するのに役立つ。
【0013】
本発明は、例示としてのみ、添付の図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の一実施形態による、第1の平坦な姿勢の調整可能な支持体を示す。
図2図2は、第2の折りたたまれた構成での図1の支持体を示す。
図3図3は、ポンプボディと、ボトルが支持された状態の第1の平坦な姿勢の図1の調整可能な支持体と、を示す。
図4図4は、ポンプボディと、異なる形態のボトルを支持する第2の折りたたまれた姿勢の図2の調整可能な支持体と、を示す。
図5図5は、ピボット機構の一実施形態を備えた調整可能な支持体の分解図である。
図6A図6Aは、図5の支持体のピボット機構の詳細図である。
図6B図6Bは、図5の支持体のピボット機構の詳細図である。
図6C図6Cは、図5の支持体のピボット機構の詳細図である。
図6D図6Dは、図5の支持体のピボット機構の詳細図である。
図7A図7Aは、ピボット機構の第2の実施形態の一部の詳細図である。
図7B図7Bは、ピボット機構の第2の実施形態の一部の詳細図である。
図8図8は、図7A-Bのピボット機構を備えた調整可能な支持体の分解図である。
図9図9は、本発明の第2の実施形態による調整可能な支持体の、第1の平坦な姿勢での片側からの斜視図である。
図10図10は、図9の調整可能な支持体の反対側からの斜視図である。
図11図11は、図9の調整可能な支持体の側面図である。
図12図12は、第2の傾斜した構成で、第1の支持トレイが格納された状態の、図9の調整可能な支持体の側面図である。
図13図13は、図12の調整可能な支持体の片側からの正面斜視図を示す。
図14図14は、図12の調整可能な支持体の反対側かつ下からの背面斜視図を示す。
図15図15は、第1のトレイが拡張した状態の図14の調整可能な支持トレイを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の調整可能な機器ホルダは、一般的に、第1の支持トレイ、第2の支持トレイおよびアタッチメント部材16を備える。アタッチメント部材は、ホルダをポンプボディに取り付けるために使用される。一方または両方の支持トレイは、異なるサイズの物品を支持するために、アタッチメント部材に対して相対的に移動可能である。
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る調整可能な機器ホルダ10は、第1の固定支持トレイ12、第2の可動支持トレイ14およびアタッチメントアーム16を備える。アタッチメントアーム16は、ホルダ10をポンプボディ18(図3および4に模式的に示されている)に取り付けるために使用され、また、第2のトレイ14を第1の位置と第2の位置との間で移動できるようにするピボット機構20の取り付け点として使用される。第1の位置では、図1に示すように、可動式のトレイ14は平らであり、固定式のトレイ12と同じ高さである。第2の位置では、可動式のトレイ14は、例えば水平に対して約50度の角度で傾斜しており、図2に示すように固定式のトレイ12から離れる方向に上向きに傾斜している。この位置では、可動子のトレイ14の後端は、固定式のトレイ12の前端よりも低い位置にある。
【0017】
図3に示すように、ホルダ10が平らな第1の平坦位置にあるとき、より大きなボトル22、または他の物品は、第1の固定トレイ12および第2の可動トレイ14の両方の表面にわたって支持されうる。
【0018】
図3に示すように、傾いた第2の位置では、より小さいボトル24、または他の物品が支持されうる。ボトル24の側面は、可動式のトレイ14の表面に寄りかかっている。ボトル24の底面は、固定式のトレイ12の前端に寄りかかっている。
【0019】
第1の固定トレイ12は、前縁、後縁および対向する側縁26a~dを有する平らなベース26を備える。後縁26bと、使用時にポンプボディ18から最も遠くなる側縁26cには、好ましくは、上向きの壁28が形成される。前縁26aには、下向きに傾斜した壁30が形成される。好ましくは、これは水平に対して約40度で傾斜する。
【0020】
この例では、ホルダ10をポンプボディ18に取り付けるためのアタッチメントアーム16は、他の側縁26dから延びる。これは、図5を見るとよくわかる。固定トレイ12およびアタッチメントアーム16は、例えばシートメタルからプレス加工されたり、プラスチックの一体成形品として、一体に形成されてもよい。あるいは、それらは別々に形成され、接着または機械的に接合されてもよい。アタッチメントアーム16は、ポンプボディ18の一部に対して位置するように形成されており、ネジなどの取り付け手段のための固定穴32を含む。
【0021】
アタッチメントアーム16は、固定トレイ12の前縁26aおよび傾斜壁30を越えて突出する前方延長部34を含む。これは、可動トレイ14およびピボット機構20のための取り付け位置を提供する。
【0022】
可動トレイ14はまた、前縁、後縁および対向する側縁36a~dを有する平らなベース36を備える。側縁36c,dには、第1および第2の側壁38,40が設けられる。これらは、ベース36の上と下に延びる。使用時には、可動トレイ14は、第1の側壁38がアタッチメントアーム16の前方延長部34に隣接して取り付けられ、それに対して旋回する。しかしながら、他の材料から形成されてもよく、例えばシートメタルからプレス加工されてもよい。
【0023】
ピボット機構20は、可動支持体14が平らな位置と角度のある位置との間で旋回することを可能にし、追加の部品やツールを必要とせずに可動トレイを各位置に保持する。
【0024】
図5に見られる第1の実施形態では、ピボット機構20は、三角形状に配置された3つのピボットピン42を備える。ピン42は、アタッチメントアーム16の開口部44と、可動トレイ14の第1の側壁38の円弧状スロット46,48,50を通過し、可動トレイ14のベース36の下に取り付けられたプレート52に固定される。アタッチメントアーム16、ピン42およびプレート52はすべて静止したままであり、円弧状スロット46,48,50をピン42に対してスライドさせることにより、トレイ14はそれらに対して相対的に回転することができる。ピボット軸Xは、ピン42によって定義される三角形の中心を通る。
【0025】
図6A~Dに最もよく見られるように、各スロット46は、ピボット軸Xを中心とする円の一部を形成する円弧状の部分を備える。各スロット46はまた、両端にノッチ48,50を有する。最上部のスロットは、ピボット軸Xから外側に延びるノッチ48,50を有する。下の2つのスロットは、ピボット軸Xに向かって内側に延びるノッチ48,50を有する。図6Aから6Dは、可動トレイ14が平らな姿勢と角度のある姿勢との間で旋回するとき、ピン42がスロット46に対してどのように動くかを示している。
【0026】
図6Aに示す第1の位置では、各ピボットピン42は、それぞれのスロット46の第1の端部にあるノッチ48に位置しており、可動トレイ14は平らな位置にロックされる。トレイ14の姿勢を変えるためには、まず、図6Bに見られるように、各ピン42をノッチ48からそのスロット46の円弧状の部分に移動させるために、トレイ14が持ち上げられる。次に、図6Cに示すように、各ピン42がスロット46の円弧状の部分に沿って他端まで移動するように、トレイ14を(図では反時計回りに)回転させることができる。次に、図6Dに示すように、各ピン42をスロット46の第2の端部にあるノッチ50に係合させるために、可動トレイ14は下げられる。
【0027】
したがって、平らな位置と傾いた位置の両方で、レイを下向きに押すトレイ14自体(およびトレイに支持されるボトル)の重量は、ピン42をノッチ48,50に保持するように作用する。トレイ14を移動させるには、各ピンを関連するノッチからスロット46の円弧部分に移動させるために、トレイ14をわずかに持ち上げる必要があるだけである。
【0028】
ピボット軸Xは、可動トレイ14の後縁36bよりも前方に位置している。したがって、傾いた位置では、可動トレイ14の後縁36bは、固定トレイ12のベース26の前縁26aよりも低い位置にある。図4のように、より小さいボトル24がホルダ10に配置されると、ボトル24の側面は可動トレイ14のベース36に寄りかかり、ボトル24の底面は固定トレイ12の前縁の傾斜壁30に寄りかかる。傾いた可動トレイ14と傾斜壁30との間の角度は、ボトル24の臆面および底面にフィットするように、好ましくは、約90度である。これは、可動トレイ14の後縁36bが固定トレイ12のベースと同じ高さ位置のままである場合よりも、ボトル24をより確実に位置決めすることができる。ボトル24を傾いた位置で支持することで、ボトル24を完全に空にできることを確実にすることも容易になる。
【0029】
上記のように、可動トレイ14は、その上に置かれたボトル内の流体を温めるための加熱装置56を任意に含む。流体を温めることは、多くの医療処置において望ましい。加熱装置56は、可動トレイ14のベースにセットされた電気的に加熱されたプレートを備えてもよい。加熱装置56を電源に接続するワイヤまたはケーブルは、側壁38の開口部58およびブラケット16の対応する開口部60を通って可動トレイ14の外に配線されてもよい。これらの開口部58,60は、ピボットピン42および円弧状のスロット46の三角形状の中心に位置しており、したがって、ピボット軸Xの中心に位置し、可動トレイ14のピボット動作を妨げない。可動トレイ14は、任意に、ホルダ10に取り付けられるボトルを照らす照明装置も含む。ボトルは半透明または透明であってもよく、これはボトル内の液体の量を示すのに役立ち、ボトルがほぼ空になって交換が必要になったときを簡単に見分けることができる。
【0030】
別の実施形態では、ホルダ10の全体的な構造は、ピボット機構20を除いて、上記のものと同じである。この場合、ピボット機構20は、可動トレイ14をアタッチメントアーム16に連結するピボットピンと、可動トレイ14を平らな位置と傾いた位置に保持するために、第1の位置および第2の位置でアタッチメントアーム16と選択的に係合可能な、弾力的に付勢されたまたはスプリング付きの、可動トレイ14上の戻り止めと、を備える。
【0031】
図7A-Bおよび8に示す例では、アタッチメントアーム16は、固定トレイ12から分離されており、機械的な留め具で固定トレイ12に取り付けることができる。前方延長部34には、上下の穴62,64が形成され、可動トレイ14には、弾性レバーアーム68に突起状のボタン66が形成されている。レバーアーム68は、可動トレイ14と一体に形成され、アーム68の3つの縁のまわりに延びるスロット70によって定義される。レバーアームの端部の延長部は、ユーザにグリップ72を提供する。可動トレイ14は、可動トレイ14の側壁38の開口部58を通るピボットピン74であって、取り付けアーム16に固定されたピボットピン74によって、アタッチメントアーム16に回転可能に取り付けられる。
【0032】
可動トレイ14が平らな位置にあるとき、突起状のボタン66は下側の穴64に係合してトレイ14をその位置に保持する。ユーザがグリップ72を引っ張ると、レバーアーム68がアタッチメントアーム16から離れるように屈曲し、ボタン66が穴64から解放され、可動トレイ14が傾斜位置に回転することを可能にする。グリップ72を離すと、レバーアーム68はアタッチメントアーム16側に戻り、ボタン66が上側の穴62に係合する。もちろん、このプロセスは、トレイ14を平らな位置に戻すために、逆に行われる。
【0033】
ホルダ10が傾斜位置にあるときにボトル24の重量を支えるのを助けるために、可動トレイ14は、図2および4に示されるように、その下面から折りたたむことができるフラップまたは支柱54を含んでもよい。そのようなフラップ54は、上記のいずれかの形式のピボット機構20を備えたホルダ10に組み込まれてもよい。あるいは、可動トレイ14は、追加の形態のキャッチや戻り止めなしに、ピボットピンを中心に自由に回転してもよく、その代わりに、フラップ54は、可動トレイ14が傾いているときには単に展開され、可動トレイ14が平らな位置にあるときには可動トレイ14の下面に対して折り返される。
【0034】
図9~15には、本発明による危機ホルダ80の別の実施形態が示される。この機器ホルダ80は、いずれもブラケット86の形態のアタッチメント部材に取り付け可能な第1の支持トレイ82および第2の支持トレイを備える。ブラケット86は、上記の図3および4に示されるアタッチメントアーム16と同様の方法で、蠕動ポンプ18などの機器に取り付け可能である。
【0035】
本実施形態では、第1の支持トレイ82および第2の支持トレイ84の両方は、異なるサイズおよび形状のボトルまたは他の機器を収容するために、ブラケット86の異なる位置に配置されうる。
【0036】
第1の構成では、図9~11に示すように、第1の支持トレイ82および第2の支持トレイ84の両方は、概して平坦であり、互いに整列して、同じ高さであり、間隔をおいて配置される。第1の支持トレイ82は、ブラケット86の一端に隣接して取り付けられ、これは図の右側に示され、通常、使用時にはポンプの後部に面する。第2の支持トレイ84は、ブラケット86の他端に向かって取り付けられ、これは図では左側に示され、通常、使用時にはポンプの前部に面する。この第1の構成では、機器ホルダ80は、上記の図3に示したのと同様の方法で、より大きいボトルや他の機器の物品を支持できる。
【0037】
第2の構成では、図12~15に示すように、第1の支持トレイ82は、第2の支持トレイ84により近い、ブラケット86の中央領域に取り付けられている。さらに、第1の支持トレイ82は、角度を付けられた位置でブラケット86に固定されている。第2の支持トレイ84もまた、角度を付けられた位置でブラケット86に固定されている。この第2の構成では、機器ホルダ80は、上記の図4に示したタイプのボトルのように、より小さいボトルまたは他の機器を支持できる。
【0038】
第1の支持トレイ82は、ベース88と、後壁90と、当該トレイ82をブラケット86に取り外し可能に取り付けるためのタブ92と、を備える。後壁90は、好ましくは、以下でさらに説明するように、移動可能にベース88に取り付けられる。タブ92は、好ましくは、第1のトレイ82をブラケット86の開口部98に取り付けるための留め具96を受け入れる少なくとも2つの穴94を定義する。ブラケット86は、第1の支持トレイ82を2つの異なる構成でブラケット86に取り付けることができるように、2組の開口部98を提供する。
【0039】
第1の構成では、上記のように、第1の支持トレイ82は、ブラケット86の一端に隣接して取り付けられる。ベース88は、実質的に水平であり、後壁90は実質的に垂直である。後壁90は、ホルダ80に支持されるボトルの表面に接触するための突出部100を含んでもよい。
【0040】
第2の構成では、上記のように、第1の支持トレイ82は、ブラケット86の中央領域に傾いた状態で取り付けられる。好ましくは、ベース88は、水平に対して約40度の角度を持ち、その前縁がその後縁よりも低くなるように前方に傾いている。その結果、後壁90は、水平に対して約50度で前方に傾いている。
【0041】
第2のトレイ84は、第2の支持トレイ84が図9に見られるような第1の構成の第1の平坦位置と、図12に見られるような第2の構成の傾斜位置との間で回転することを可能にするピボット108によってブラケット86に取り付けられる第1の側壁104を有するベース102を備える。好ましくは、第2のトレイ84は、ベース102の反対側に第2の側壁106をさらに備え、これは、機器ホルダ80に置かれたボトルの移動を防止するための保持壁として機能する。
【0042】
上記のものも含め、任意の適切なピボット機構を使用できる。この例では、ピボット108は、第1の側壁104からブラケット86の開口部を通って延びるピンを備えてもよい。ピボット108を中心とする第2の支持トレイ84の回転範囲をガイドして制限するために、ガイドピン110は、ブラケット86の円弧状のスロット112を通って第1の側壁104から延びてもよい。任意の便利なタイプのストップまたはキャッチ114も、第2の傾斜した状態に第2のトレイ84を保持するために提供される。これは、上記のように、開放可能な留め具または弾力性のある戻り止めであってもよい。第2の支持トレイはまた、上記および図2に示されるように、折り畳み式の支持スラット54を含みうる。
【0043】
第2のトレイ84は、機器ホルダ80に置かれたボトル内の流体を加熱するための加熱装置116、および/または、ボトルを照らしてその中の液面を示すための照明装置117を任意に含んでもよい。加熱装置116は、第2のトレイ84のベース102の下面に固定されてもよい。加熱装置116および/または照明装置が設けられる場合、ブラケット86には、追加の円弧状のスロット118などの追加の開口部が設けられてもよい。
【0044】
第1の構成では、第2のトレイ84のベース102は、実質的に水平である。第2の構成では、ベース102は、その前縁がその後縁よりも高い状態に傾いているので、ベース102は、水平に対して約50度で後方に向かって下向きに傾斜している。
【0045】
好ましくは、第1のトレイ82の後壁90はまた、ベース88に対して格納位置と拡張位置との間で移動されてもよく、機器ホルダ80が収容できるボトルの容量に関してさらなる柔軟性を提供しうる。
【0046】
図14に示すように、第1のトレイ82の後壁90は、実質的にL字形であってもよく、後壁90に接合されたまたは後壁90と一体で、後壁90に垂直なフランジ120を有する。フランジ120は、ベース壁88のすぐ下に位置する。フランジ120は、少なくとも1つの細長いスロット122をさらに含む。ボルト124のような解放可能な留め具は、スロット122を通ってベース88の下側から突出し、例えば蝶ナット126によって所定の位置に固定される。好ましくは、フランジ120は、第1のスロット122と平行な第2の長いスロット128を含み、ベース壁88はその下面から第2の細長いスロット128を通って延びるガイドピン130を含む。
【0047】
したがって、蝶ナット126を緩めてフランジ120をベース88に対してスライドさせ、ボルト124をスロット122に沿って移動させることにより、後壁90はベース88に対して調整可能である。ガイドピン130と第2の細長いスロット128は、ベース88と後壁90の間の位置合わせを維持して、相対的なねじれを防ぐのに役立つ。
【0048】
より小さいボトルを収容するために、後壁90は、ベース壁88の後縁に近く、かつ、第2の支持トレイ84に近くなるように、図12~14に示す格納位置に固定されうる。より大きなボトルの場合、図15に示すように、後壁90は、ベース88の後縁から離れ、かつ、第2の支持トレイ84から離れるように拡張されうる。
【0049】
フランジ120の一部はまた、支持脚132を形成するように、第1の支持トレイ82の下に下方に延びるように形成されてもよい。第1の構成では、第1の支持トレイ82が水平であるとき、支持脚132は垂直に下向きに延び、ホルダ80が取り付けられたポンプ18が立っている面に接触するように寸法が決められている。支持脚132は、ホルダ80に置かれた物品の重量を支持するのに役立つ。
【0050】
このように、本発明は、様々な形状やサイズの機器を収容するために、代替の形状の間で動きうる、調整可能な機器ホルダを提供する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15