(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】改変された髄膜炎菌fHbpポリペプチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/31 20060101AFI20230501BHJP
A61K 39/095 20060101ALI20230501BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230501BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20230501BHJP
C07K 14/22 20060101ALI20230501BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230501BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230501BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230501BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230501BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230501BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230501BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
C12N15/31
A61K39/095
A61P31/04
A61P37/04
C07K14/22 ZNA
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
(21)【出願番号】P 2021506665
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2019071410
(87)【国際公開番号】W WO2020030782
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2018-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】305060279
【氏名又は名称】グラクソスミスクライン バイオロジカルズ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スカーセッリ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッジ,ダニエレ
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/126863(WO,A1)
【文献】特表2017-512060(JP,A)
【文献】特表2017-522319(JP,A)
【文献】特表2017-522320(JP,A)
【文献】特表2008-528597(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドであって、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号2の
アミノ酸配列における置換E211A及びS216Rを含
み、且つ、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドは、宿主動物に投与後、配列番号1の野生型髄膜炎菌fHbpポリペプチドを認識することができる抗体を誘導することができる、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチド。
【請求項2】
配列番号4のアミノ酸配列を含むか又はそれから成る、
請求項1記載のポリペプチド。
【請求項3】
v1、v2、及びv3の髄膜炎菌fHbpポリペプチドを含む融合ポリペプチドであって、変異体fHbp配列が、NからC末端にv2-v3-v1の順序であり、且つ、前記v1 fHbpポリペプチドが、
請求項1又は2記載の突然変異体v1.13fHbpポリペプチドである、前記融合ポリペプチド。
【請求項4】
(a)前記v2 fHbpポリペプチドが、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v2 fHbpポリペプチドであり、該v2 fHbpアミノ酸配列は配列番号12の残基S32及びL123における置換突然変異を含み、且つ、該置換はS32V及びL123Rであり、且つ、
(b)前記v3 fHbpポリペプチドが、配列番号15と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v3 fHbpポリペプチドであり、該v3 fHbpアミノ酸配列は配列番号15の残基S32及びL126における置換突然変異を含み、且つ、該置換はS32V及びL126Rである、
請求項3記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
(a)前記v2 fHbpポリペプチドが配列番号16のアミノ酸配列を含むか若しくはそれから成り、及び/又は
(b)前記v3 fHbpポリペプチドが配列番号17のアミノ酸配列を含むか若しくはそれから成る、
請求項4記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
前記v2及びv3配列、並びに前記v3及びv1配列がグリシン-セリンリンカーによって連結されている、
請求項3~5のいずれか1項記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
前記グリシン-セリンリンカーが「GSGGGG」である、
請求項6記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
配列番号19のアミノ酸配列を含む、
請求項3~7のいずれか1項記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
配列番号34のN末端アミノ酸配列をさらに含む、
請求項3~8のいずれか1項記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
請求項1又は2記載の突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、又は
請求項3~9のいずれか1項記載の融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子、場合によりプラスミド。
【請求項11】
請求項10記載の核酸分子で形質転換された組換え宿主細胞。
【請求項12】
請求項1又は2記載の突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、又は
請求項3~9のいずれか1項記載の融合ポリペプチドを含む免疫原性組成物。
【請求項13】
髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌NadA抗原、髄膜炎菌fHbp抗原、及び髄膜炎菌外膜小胞(OMV)の1つ以上をさらに含む、
請求項12記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
4CMenB組成物を含む、
請求項13記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
髄膜炎菌血清群A、C、W135及び/又はYからのコンジュゲートされた莢膜糖をさらに含む、
請求項12~14のいずれか1項記載の免疫原性組成物。
【請求項16】
髄膜炎菌血清群A、C、W135及びYの各々からのコンジュゲートされた莢膜糖類をさらに含む、
請求項15記載の免疫原性組成物。
【請求項17】
医療における使用のための、
請求項12~16のいずれか1項記載の免疫原性組成物。
【請求項18】
ワクチンとしての使用のための、
請求項12~16のいずれか1項記載の免疫原性組成物。
【請求項19】
哺乳動物における免疫応答を高める方法における使用のための、
請求項12~16のいずれか1項記載の免疫原性組成物。
【請求項20】
哺乳動物を髄膜炎菌感染に対して免疫化する際における使用のための、
請求項12~16のいずれか1項記載の免疫原性組成物。
【請求項21】
前記哺乳動物がヒトである、
請求項19又は20記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質工学の分野にあり、具体的には有用なワクチン免疫原である髄膜炎菌H因子結合タンパク質(fHbp)に関する。
【背景技術】
【0002】
侵襲性髄膜炎菌性疾患(IMD)は、細菌性病原体である髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)によって引き起こされる。主にIMDと全体的に関連する5つの血清群(MenA、B、C、W及びY)のうち、MenBはカナダ、米国、オーストラリア、ニュージーランド及びヨーロッパを含む多数の地域でIMDを引き起こす主要な血清群である。MenBは重篤であり、しばしば致死的な疾患であり、主に乳児及び若年成人が罹患する。誤診されやすく、発症後24時間以内に死に至る可能性があり、治療を行っても生涯にわたる重篤な障害を引き起こす場合がある。
【0003】
現在、B型髄膜炎菌に対して免疫化するために設計された2種類の認可されたワクチンがあり、GSKのBEXSERO及びPfizerのTRUMENBAである。
【0004】
BEXSERO(一般的に4CMenBとしても公知である)は、B群髄膜炎菌NZ98/254の流行株由来の外膜小胞(OMV)とともに、5種類の髄膜炎菌抗原:ナイセリアヘパリン結合タンパク質A(NHBA)、H因子結合タンパク質(fHbp)変異体1.1、ナイセリア接着タンパク質A(NadA)、並びに付属タンパク質GNA1030及びGNA2091の調製物を含有する。これらの抗原のうち4つは融合タンパク質(NHBA-GNA1030融合タンパク質及びGNA2091-fHbp融合タンパク質)として存在する。4CCMenBは文献に記載されている(例えば、Baiら(2011年) Expert Opin Biol Ther. 11:969-85、Su & Snape (2011年) Expert Rev Vaccines 10巻:575-88頁を参照されたい)。用語「BEXSERO」及び「4CMenB」は、本明細書において互換的に使用される。
【0005】
TRUMENBAは、リン酸アルミニウムに吸着された2種類の脂質化MenB fHbp抗原(v1.55及びv3.45)を含有する。
【0006】
fHbp(ゲノム由来のナイセリア抗原(GNA)1870、LP2086及びタンパク質「741」として当該技術分野で互換的に公知である)は、短いリンカー配列によって連結された20個の補体制御タンパク質(CCP)モジュールからなる大きな(180kDa)多ドメイン可溶性糖タンパク質であるヒトH因子(hfH)に結合する。hfHはヒト血漿中を循環し、補体系の代替経路を制御する。fHbpのhfHへの機能的結合は、主にhfHのCCPモジュール(又はドメイン)6-7に依存し、細菌の補体媒介性殺傷に対する耐性を増強する。したがって、fHbpの発現は、エクスビボのヒト血液及び血清中での生存を可能にする。
【0007】
異なるfHbp分類スキームが提案されているため、新規な亜変異体を割り当てるための統一fHbp命名法を用いた専用データベース(http)://neisseria.org/nm/typing/fhbp(https)://pubmlst.org/neisseria/fHbp/)が利用可能である。
【0008】
fHbpは、3つの(主な)変異体1、2及び3に分類され、さらに、亜変異体fHbp-1.x、fHbp-2.x及びfHbp-3.xに分けられた。xは特異的ペプチド亜変異体を示す。v2及びv3とは対照的に、fHbp v1は高度に不均一であり、いくつかの亜変異体を含有する。異なる命名体系では、亜変異体/変異体は配列の多様性に基づいてサブファミリーA(変異体2及び3に対応する)及びサブファミリーB(変異体1に対応する)にグループ化される。
【0009】
BEXSEROは、世界中で流通しているMenB株(Medini Dら, Vaccine 2015年; 33巻:2629-2636頁; Vogel Uら, Lancet Infect Dis 2013年;13巻:416-425頁; Krizovaら, Epidemiol Mikrobiol Imunol 2014年; 63巻:103-106頁; Tzanakaki Gら, BMC Microbiol 201年;14巻:111頁; Wasko Iら, Vaccine 2016年;34巻:510-515頁; 6. Simoes MJら, PLoS ONE 12(5): e0176177; 及びParikh SRら, Lancet Infect Dis 2017年; 17巻:754-62頁)に対して広範なカバレッジを提供すると予測される。さらに、2015年9月にBEXSEROが英国の乳児予防接種プログラムに導入された後、10ヵ月時点のデータは、2回投薬後の全MenB株における83%のワクチン有効性を示した(Parikh SRら, Lancet 2016年; 388巻:2775-82頁)。
【0010】
しかしながら、殺菌活性は変異体特異的であり;1つの変異体に対して高められた抗体は必ずしも他の変異体に対して交差防御的ではないが、いくつかの交差反応性がfHbp v2とv3の間で報告されている(Masignani Vら, J Exp Med 2003年; 197巻:789-799頁)。4CMenBワクチンに含まれる亜変異体fHbpv1.1に対して高められた抗体は、最も頻繁に発生するfHbp v1亜変異体と高度に交差反応性であるが、v1.1と最も遠い関係にあるv1亜変異体との交差反応性は低い。さらに、4CMenBワクチンに含まれる亜変異体fHbpv1.1に対して高められた抗体は、fHbp v2及びv3との交差反応性が低い(Brunelli Bら, Vaccine 2011年; 29巻:1072-1081頁)。これは、4CMenBカバレッジがfHbp v2、v3を保有する髄膜炎菌株、又はいくつかのv1亜変異体を保有する菌株に拡大することができないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、認可されたB型髄膜炎菌ワクチン、例えばBEXSEROの有効性にもかかわらず、既存の認可されたワクチン、例えば4CMenBの有効性を保持し、それに劣らないが、既存のワクチンでは十分にカバーされていないfHbp変異体を保有する髄膜炎菌株に対するカバレッジを改善する付加価値を持つ髄膜炎菌ワクチンを開発する必要が残されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様は、配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドを提供し、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2のE211、S216、E232、又はそれらの組み合わせにおける置換突然変異を含む。
【0013】
本発明の第2の態様は、配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチドを提供し、前記突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号6のE214、S219、E235、又はそれらの組み合わせにおける置換突然変異を含む。
【0014】
本発明の第3の態様は、v1、v2及びv3髄膜炎菌fHbpポリペプチドの3つ全てを含む融合ポリペプチドを提供し、変異体fHbp配列は、NからC末端にv2-v3-v1の順番であり、v1ポリペプチドは、本発明の第1の態様による突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、又は本発明の第2の態様による突然変異体v1.15fHbpポリペプチドである。
【0015】
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様による突然変異体v1.13fHbpポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、本発明の第2の態様による突然変異体v1.15fHbpポリペプチド、又は本発明の第3の態様による融合ポリペプチドを含む、単離された核酸分子、場合によりプラスミドを提供する。
【0016】
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様による核酸分子で形質転換された組換え宿主細胞を提供する。
【0017】
本発明の第6の態様は、本発明の第5の態様による組換え宿主細胞から得られたか又は調製された外膜小胞を提供する。
【0018】
本発明の第7の態様は、本発明の第1の態様による突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、本発明の第2の態様による突然変異体v1.15fHbpポリペプチド、本発明の第3の態様による融合ポリペプチド、又は本発明の第6の態様による外膜小胞を含む免疫原性組成物を提供する。前記免疫原性組成物は、髄膜炎菌感染に対して哺乳動物、好ましくはヒトを免疫化するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1Aは、fHbp v1.x亜変異体を発現する髄膜炎菌B株の頻度を示すグラフであり、これらのv1.x亜変異体のうちのいずれかが4CMenBワクチンによってカバーされているか(黒色)又はカバーされていない(白色)ことを示す図である。
図1Bは、fHbp v2を保有する髄膜炎菌B株の頻度を示すグラフであり、これらの株のうちいずれかが4CMenBワクチンでカバーされているか(黒色)又はカバーされていない(白色)ことを示す図である。
図1Cは、fHbp v3を保有する髄膜炎菌B株の頻度を示すグラフであり、これらの株のうちいずれかが4CMenBワクチンでカバーされているか(黒色)又はカバーされていない(白色)ことを示す図である。
【
図2-1】fHbp v1.1及びfHbp v1.13(野生型)に関する示差走査熱量測定(DSC)データを(
図2A)fHbp v.1.13 E211A;(
図2B)fHbp v1.13 S216R;(
図2C)fHbp v.1.13 E211A/E232A;(
図2D)fHbp v.1.13 E211A/S216Rと比較した4つのグラフ(サーモグラム)を含む。
【
図3-1】fHbp v1.1及びfHbp v1.13(野生型)のH因子ドメイン6-7への結合を(
図3A)fHbp v.1.13 E211A;(
図3B)fHbp v1.13 S216R;(
図3C)fHbp v.1.13 E211A/E232A;及び(
図3D)fHbp v.1.13 E211A/S216Rと比較した4つのグラフ(センターグラム)を含む。
【
図4-1】
図4(A-D)は、fHbp v1.1及びfHbp v1.13(野生型)と(
図4A)fHbp v.1.13 E211A;(
図4B)fHbp v1.13 S216R;(
図4C)fHbp v.1.13 E211A/E232A;及び(
図4D)fHbp v.1.13 E211A/S216Rとの結合を比較した4つのグラフ(センターグラム)を含む。
【
図5-1】
図5(A-D)は、fHbp v1.1及びfHbp v1.15(野生型)のH因子ドメイン6-7への結合を(
図5A)fHbp v.1.15 E214A;(
図5B)fHbp v1.15 S219R;(
図5C)fHbp v.1.15 E214A/E235A;及び(
図5D)fHbp v.1.15 E214A/S219Rと比較した4つのグラフ(センサーグラム)を含む。
【
図6-1】
図6(A-D)は、fHbp v1.1及びfHbp v1.15(野生型)の全長H因子タンパク質との結合を(
図6A)fHbp v.1.15 E214A;(
図6B)fHbp v1.15 S219R;(
図6C)fHbp v.1.15 E214A/E235A;及び(
図6D)fHbp v.1.15 E214A/S219Rと比較した4つのグラフ(センサーグラム)を含む。
【
図7】
図7(A-B)は、本発明による2つの異なるfHbp融合タンパク質のH因子ドメイン6-7への結合を公知のfHbp融合体と比較して示す2つのグラフ(センサーグラム)を含む。
図7Aは、fHbp231wt及びfHbp231Sの結合をfHbp231.13 E211A/S216R融合体と比較する。
図7Bは、fHbp231wt及びfHbp231Sの結合をfHbp231.13 E211A/E232A融合と比較する。
【
図8】fHbp231wt及びfHbp231SのH因子ドメイン6-7への結合を本発明によるfHbp231.15 E214A/E235A融合体と比較する図である。
【
図9】
図9(A-B)は、本発明による2つの異なる融合タンパク質のfHbp融合タンパク質の全長因子Hタンパク質への結合を公知のfHbp融合体と比較して示す2つのグラフを含む。
図9Aは、fHbp231wt及びfHbp231Sの結合をfHbp231.13 E211A/S216R融合体と比較する。
図9Bは、fHbp231wt及びfHbp231Sの結合をfHbp231.13 E211A/E232A融合体と比較する。
【
図10】本発明によるfHbp231wt及びfHbp231Sの全長因子Hタンパク質への結合をfHbp231.15 E214A/E235A融合体と比較する図である。
【
図11】
図11(A)は、v1.xにおいてfHbpを発現する様々な髄膜炎菌株に対する6つのfHbp関連抗原及びBEXSERO様製剤のそれぞれについてのrSBA力価(ウサギ補体)を示す。SBAの結果では、各ドットはプール血清で分析した単一株のSBA力価を表している。
図11Bは、v1.xにおいてfHbpを発現する同種の株に対して試験された6つのfHbp関連抗原及びBEXSERO様製剤の各々に対するhSBA力価(ヒト補体)を示す。
【
図12】
図12(A)は、6つのfHbp関連抗原の各々についてのrSBA力価(ウサギ補体)、及びv2又はv3でfHbpを発現する様々な髄膜炎菌株に対するBEXSERO様製剤を示す。SBAの結果では、各ドットはプール血清で分析した単一株のSBA力価を表す。
図12Bは、6つのfHbp関連抗原の各々に対するhSBA力価(ヒト補体)を示し、v2又はv3においてfHbpを発現する同種の株に対して試験したBEXSERO様製剤を示す。
【
図13】var2/3(
図13A)及びv1.x(
図13B)株タイプ用の製剤によるプールされたhSBAデータを示す図である。ワクチン接種したマウスから回収した血清をvar1(30株)及びvar2/3株(20株)に分けて、合計50のMenB株に対して補体源(hSBA)としてヒト血漿の存在下でプールとして試験した。この図では、fHbp 2-3-1.13はwt v1.13を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.13 NB ESは231.13_E211A/S216R融合体を指し、fHbp 2-3.1 NB EEは231.13_E211A/E232A融合体を指し、fHbp 2-3-1.15はwt v1.15を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.15 NB EEは231.15_ E214A/E235A融合体を指す。
【
図14】fHbp var2/3(A)及びfHbp var1(B)を発現する株に対してマウスで試験した試験ワクチン製剤によって提供されたカバレッジのパーセンテージを示す図である。この図では、fHbp 2-3-1.13はwt v1.13を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.13 NB ESは231.13_E211A/S216R融合体を指し、fHbp 2-3.1 NB EEは231.13_E211A/E232A融合体を指し、fHbp 2-3-1.15はwt v1.15を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.15 NB EEは231.15_ E214A/E235A融合体を指す。
【
図15】BEXSERO参照染色及びfHbp var 1.1及び1.4株を含む11株に対するマウス血清からのhSBA力価を示す図である。この図では、fHbp 2-3-1.13はwt v1.13を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.13 NB ESは231.13_E211A/S216R融合体を指し、fHbp 2-3.1 NB EEは231.13_E211A/E232A融合体を指し、fHbp 2-3-1.15はwt v1.15を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.15 NB EEはthe 231.15_ E214A/E235A融合体を指す。
【
図16】4つのBEXSERO指示株のパネル:fHbp var1.1についてはM14459(
図16A);PorA P1.4についてはNZ98/254(
図16B);NHBAについてはM4407(
図16C);及びNadAについては96217(
図16D)に対するBEXSERO + fHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質(「BEXSERO PLUS PLUS」と呼ばれる)を含む本発明の製剤対標準BEXSERO製剤を比較する図である。
【
図17】var2/3(
図17A)及びv1.x(
図17B)株タイプ用の製剤によるプールされたhSBAデータを示す図である。ワクチン接種したウサギから採取した血清をMenB株に対するプールとして試験し、var1及びvar2/3株に分けた。この図では、fHbp 2-3-1.13はwt v1.13を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.13 NB ESは231.13_E211A/S216R融合体を指し、fHbp 2-3-1.15はwt v1.15を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.15 NB EEは、231.15_ E214A/E235A融合体を指す。
【
図18】fHbp var2/3(A)及びfHbp var1(B)を発現する株に対してウサギで試験したワクチン製剤によって提供されたカバレッジのパーセンテージを示す図である。この図では、fHbp 2-3-1Sは従来技術の融合体231.1_R41Sを指し、fHbp 2-3-1.13はwt v1.13を含む融合体を指し、fHbp 2-3.1 NB ESは231.13_E211A/S216R融合体を指し、fHbp 2-3-1.13 NB EEは231.13_E211A/E232A融合体を指し、fHbp 2-3-1.15はwt v1.15を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.15 NB EEは231.15_ E214A/E235A融合体を指す。
【
図19】、BEXSERO参照染色及びfHbp var 1.1及び1.4株を含む11株に対するウサギ血清からのhSBA力価を示す図である。この図では、fHbp 2-3-1.13結合はwt v1.13を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.13非結合は231.13_E211A/S216R融合体を指し、fHbp 2-3-1.15結合はwt v1.15を含む融合体を指し、fHbp 2-3-1.15非結合は231.15_E214A/ E235A融合体を指す。
【
図20】免疫化及び非免疫化マウスにおける細菌負荷(生物発光MC58 c32/var.1)のダイナミックイメージングを示す図である。A群のマウスを4CMenB+fHbp23(S)1.13野生型で免疫化し、一方、B群のマウスを4CMenB+fHbp23(S)1.13_E211A/S216Rで免疫化した。非免疫化マウスは、対照としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のみを受けた。
【
図21】
図21(A及びB)は、免疫化及び非免疫化マウスにおける細菌負荷(生物発光MC58 cc32/var.1)のダイナミックイメージングシグナルの定量化及び比較を示す図である。比較は、粗全シグナル(各時間点での1秒あたり及びマウスあたりの光子)(
図21A)を用いて、又は細菌負荷の30分後及び6時間後のシグナルの比ごとに(
図21B)行われた。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明の詳細な説明
リポタンパク質H因子結合タンパク質(fHbp)は全てのMenB株の表面に発現する。Hfbpはヒト補体調節タンパク質H(hfH)に結合し、補体媒介性殺傷から細菌を防御する複合体を形成し、ヒト血流中の髄膜炎菌の生存機構を提供する。fHbpに対する抗体は、それ自体殺菌的であり、hfHへの結合を妨げることにより、株を殺菌しやすくするという二重の役割を有する。fHbpがhfHに結合する能力を低下又は消失させると、fHbpエピトープをマスクし、抗体結合を妨げる可能性を有するfHbpとhfHの間の防御的複合体の形成を妨げることによって、fHbp抗原の免疫原性が増加する。
【0021】
fHbpは3つの異なる遺伝的及び免疫原性変異体(v1、v2及びv3)に存在し、多数の亜変異体を有する。4CMenBでカバーされていないMenB株の大多数はv2又はv3 fHbp、又はv1.1と遠縁のv1亜変異体を発現する。
【0022】
図1Aに示されるように、MATSアプローチを用いた現在の疫学(例えばMediniら, Vaccine 2015年; 33巻(23号); 2629-36頁によって記載されている)は、v1.1及びv1.4を有する株が最も頻繁に発生し、次にv1.15、v1.14及びv1.13の順であった。4CMenBワクチンに含まれる亜変異体fHbpv1.1に対して高められた抗体は、最も頻繁に発生するこれらのfHbp v1亜変異体(v1.1及びv1.4)と高度に交差反応性であるが、v1.1と最も遠縁であるv1亜変異体(v1.15及びv1.13)との交差反応性は低い。これは、fHbp v1.15及びv1.13を発現する髄膜炎菌B株が、4CMenBワクチンでカバーされていない最も頻繁に発生する株であるためであり、
図1に示される。
【0023】
さらに、4CMenBワクチンに含まれる亜変異体fHbpv1.1に対して高められた抗体は、fHbp v2及びv3との交差反応性が低い(Brunelli Bら, Vaccine 2011年; 29巻:1072-1081頁)。
図1B及び1Cは、fHbp v2又はv3を発現する最も頻繁に発生する株のいくつかに対する4CMenBのカバレッジのギャップを示す。
【0024】
これは、fHbp v2、v3を保有する一部の髄膜炎菌株、又は一部のv1亜変異体を保有する株には、4CMenBカバレッジを拡大することができないことを意味する。
【0025】
本発明は、免疫原性であり、改良された髄膜炎菌株カバレッジを提供するために既存の髄膜炎菌ワクチンと組み合わせることができる突然変異fHbp変異体1.13又は変異体1.15(v1.13又はv1.15)ポリペプチドを提供する。
【0026】
特に、本発明のv1ポリペプチドは、4CMenBに含まれるfHbpv1.1抗原と比較して遺伝的に多様なfHbp変異体1の亜変異体である。
【0027】
さらに、本発明のv1ポリペプチドは、対応する野生型v1ポリペプチドと比較してhfHへの結合を低減させるために突然変異される。対照的に、BEXSEROに含まれるfHbp v1.1抗原、及びTRUMENBAに含まれるfHp v1.55及びv3.45抗原は、hfHに結合する。
【0028】
本発明のV1ポリペプチドは、単独で又は融合タンパク質の成分として、安定性を改善し、またfHbp結合を低減させるように改変されたfHbp変異体2及び3の突然変異体とともに提供することができる。本発明者らは、本発明のv1抗原とともに、これらのv2及びv3抗原を含む単一の融合タンパク質を提供することにより、既存の認可された髄膜炎菌Bワクチンと比較して株のカバレッジを改善した。明確にするために、v2及びv3抗原のいずれも、例えば4CMenB中には存在しない。本発明の融合タンパク質内のv2及びv3抗原の存在は、例えば4CMenBと比較して株のカバレッジを改善する。
【0029】
本発明のv1ポリペプチド及び融合タンパク質は、単独で又は髄膜炎菌NadA抗原、髄膜炎菌NadA抗原、髄膜炎菌fHbp抗原、及び髄膜炎菌外膜小胞(例えば、BEXSERO組成物と組み合わせて)と組み合わせて使用して、BEXSERO単独と比較して、(fHbp変異体の非結合型の付加/包含による)免疫原性が増加し、(新たなfHbp変異体/亜変異体の付加による)髄膜炎菌株カバレッジが増加した、組み合わせた免疫原性組成物を提供することができる。
【0030】
突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチド
本発明者らは、hfHへの結合を低減させるように改変することができるfHbp v1.13配列内の残基を同定した。このような突然変異体は、本明細書において非結合(NB)突然変異体と称される。本発明者らはまた、hfHへの結合を低減させるのに特に有用なv1.13配列中の突然変異の組み合わせを同定した。fHbp v1.13は、当該技術分野においてfHbp変異体B09としても公知である。
【0031】
M982株(GenBankアクセッション番号AAR84475.1)由来の成熟野生型fHbp v1.13リポタンパク質は、次のアミノ酸配列を有し、N末端ポリグリシンシグナル配列に下線を付す:
【0032】
成熟v1.13リポタンパク質は、全長ポリペプチドがさらに19残基のN末端リーダー配列を有し、これが成熟ポリペプチドから切断されるという点で、全長野生型配列とは異なる。したがって、全長野生型fHbp v1.13は、以下のアミノ酸配列(N末端リーダー配列を太字で示す)を有する:
【0033】
成熟v1.13リポタンパク質のΔG型は、成熟ポリペプチドのN末端ポリグリシン配列を欠いており、すなわち、配列番号1の最初の7個のアミノ酸を欠いている。それは、配列番号31の最初の26個のアミノ酸を欠いている:
【0034】
したがって、本発明の第1の態様は、配列番号2と少なくともk%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドを提供する。ただし、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号2の残基E211、S216又はE232のうちの1つ以上における置換突然変異を含む。
【0035】
kの値は、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100から選択することができる。それは好ましくは80(すなわち、突然変異体fHbp v1.13アミノ酸配列は配列番号2と少なくとも80%の同一性を有する)であり、より好ましくは85、より好ましくは90、より好ましくは95である。最も好ましくは、突然変異体fHbp v1.13アミノ酸配列は、配列番号2と少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する。
【0036】
好ましくは、アミノ酸配列は、置換E211A、S216R又はE232Aのうちの少なくとも1つ以上で配列番号2と異なる。より好ましくは、アミノ酸配列は、以下の(i)E211A及びE232A、又は(ii)E211A及びS216Rから選択される複数の残基における置換を含む。より好ましくは、アミノ酸配列は、配列番号2に対する残基E211A及びS216Rにおける置換を含む。
【0037】
理論に拘束されることを望まないが、配列番号2の残基211でのアラニン(A)に対するグルタミン酸(E)の置換は、hfHのリクルートに関与する負に荷電した残基を除去し、したがってfH結合の抑制に寄与する。配列番号2の残基216におけるセリン(S)に対するアルギニン(R)の置換は、野生型アミノ酸を、hfHに結合しない淋菌由来の対応する残基で置き換える。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明の突然変異体v1.13ポリペプチドは、配列番号3(v1.13ΔG E211A/E232A)又は配列番号4(v1.13ΔG(E211A/S216R))のアミノ酸配列を有する。より好ましくは、本発明の突然変異体v1.13ポリペプチドは、配列番号4のアミノ酸配列を有する。
【0039】
本発明の突然変異体v1.13ポリペプチドは、宿主動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与後、配列番号1の野生型髄膜炎菌fHbpポリペプチドを認識することができる抗体を誘導することができる。これらの抗体は理想的には殺菌性である(下記を参照されたい)。
【0040】
突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチド
本発明者らはまた、hfHへの結合を妨げるように改変することができるfHbp v1.15配列内の残基を同定した。このような突然変異体は、本明細書において非結合(NB)突然変異体と称される。本発明者らはまた、hfHへの結合を防止するのに特に有用なv1.15配列中の突然変異体の組み合わせを同定した。fHbp v1.15は、当該技術分野においてfHbp変異体B44としても公知である。
【0041】
NM452株(GenBankアクセッション番号ABL14232.1)由来の成熟野生型fHbp v1.15リポタンパク質は、以下のアミノ酸配列を有し、N末端ポリグリシンシグナル配列に下線を付す:
【0042】
成熟v1.15リポタンパク質は、全長ポリペプチドがさらに19残基のN末端リーダー配列を有し、それが成熟ポリペプチドから切断されるという点で、全長野生型配列とは異なる。したがって、全長野生型fHbp v1.15は、以下のアミノ酸配列(N末端リーダー配列を太字で示す)を有する:
【0043】
成熟v1.15リポタンパク質のΔG型は、N末端ポリグリシン配列を欠いており、すなわち、配列番号5の最初の12個のアミノ酸を欠いている。それは、配列番号32の最初の31個のアミノ酸を欠いている:
【0044】
したがって、本発明の第2の態様は、配列番号6と少なくともk%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチドを提供する。ただし、前記突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号6の残基E214、S219又はE235のうちの1つ以上における置換突然変異を含む。
【0045】
kの値は、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100から選択することができる。それは好ましくは80(すなわち、突然変異体fHbp v1.15アミノ酸配列は配列番号6と少なくとも80%の同一性を有する)であり、より好ましくは85、より好ましくは90、より好ましくは95である。最も好ましくは、突然変異体fHbp v1.15アミノ酸配列は、配列番号6と少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%の同一性を有する。
【0046】
好ましくは、アミノ酸配列は、置換E214A、S219R又はE235Aのうちの少なくとも1つ以上で配列番号6と異なる。より好ましくは、アミノ酸配列は、(i)S219R、(ii)E214A及びS219R、並びに(iii)E214A及びE235Aから選択される残基の置換を含む。
【0047】
好ましい実施形態では、本発明の突然変異体v1.15ポリペプチドは、配列番号7(v.1.15_S219R)、配列番号8(v1.15_E214A/S219R)又は配列番号9(v1.15_E214A/E235A)のアミノ酸配列を有する。
【0048】
本発明の突然変異体v1.15ポリペプチドは、宿主動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与後、配列番号5の野生型髄膜炎菌fHbpポリペプチドを認識することができる抗体を誘導することができる。これらの抗体は理想的には殺菌性である(下記を参照されたい)。
【0049】
融合ポリペプチド
また、本発明は、v1、v2及びv3髄膜炎菌fHbpポリペプチドの3つ全てを含む融合ポリペプチドを提供し、変異体fHbp配列は、NからC末端にv2-v3-v1の順番である。好ましい実施形態では、fHbp融合ポリペプチドは、式NH2-A-[-X-L]3-B-COOHのアミノ酸配列を有し、各Xは異なる変異体fHbp配列であり、Lは任意のリンカーアミノ酸配列であり、Aは任意のN末端アミノ酸配列であり、Bは任意のC末端アミノ酸配列である。
【0050】
本発明の融合体のv1 fHbpポリペプチド成分は、突然変異体v1.13 fHbpポリペプチド又は上記の突然変異体v1.13 fHbpポリペプチドのいずれかである。
【0051】
本発明の融合体のv2及びv3 fHbpポリペプチド成分は、好ましくは、野生型v2及びv3ポリペプチドと比較して増大した安定性及びhfHへの結合能力を有する突然変異体v2及びv3ポリペプチドである。上記で説明されるように、fHbpのhfHへの結合を低減させることは、fHbpエピトープをマスクし得るfHbpとhfHの間の防御的複合体の形成を妨げ、それによってポリペプチド抗原の免疫原性を増加させるため有利である。
【0052】
本発明者らは、ポリペプチドの安定性を増加させ、またhfHへの結合を低減させるように改変することができるv2及びv3配列内の残基を以前に同定した。これらの突然変異体v2及びv3配列は、国際公開第2015/128480号に詳細に記載されている。
【0053】
2996株由来の全長野生型fHbp v2は、以下のアミノ酸配列(太字で示したリーダー配列及び下線を付したポリグリシン配列)を有する。
【0054】
成熟リポタンパク質は、配列番号10の最初の19個のアミノ酸を欠いている:
【0055】
配列番号10のΔG形態は、最初の26個のアミノ酸を欠いている:
【0056】
好ましい実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号12と少なくともk%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v2 fHbpポリペプチドを含む。ただし、v2 fHbpアミノ酸配列は配列番号12の残基S32及びL123における置換突然変異を含む。好ましくは、置換はS32V及びL123Rである。
【0057】
kの値は、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100から選択することができる。それは好ましくは80(すなわち、突然変異体fHbp v2アミノ酸配列は配列番号12と少なくとも80%の同一性を有する)であり、より好ましくは85、より好ましくは90、より好ましくは95である。
【0058】
一部の実施形態では、本発明の融合タンパク質に含まれるfHbp v2ポリペプチドは、配列番号12に対して切断される。野生型成熟配列と比較して、配列番号12は、既に、ポリグリシン配列までの、及びポリグリシン配列を含むN末端で切断されているが(配列番号11及び12を比較する)、配列番号12は、C末端で切断され得、及び/又はN末端でさらに切断され得る。
【0059】
好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質に含まれるv2 fHbpポリペプチドは、配列番号16のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0060】
本発明の融合タンパク質に含まれるv2 fHbpポリペプチドは、同じ実験条件下で、同じポリペプチドよりも高い安定性を有するが、残基S32及びL123における配列差はなく、例えば、配列番号10からなる野生型髄膜炎菌ポリペプチドよりも高い安定性を有する。S32V突然変異は、好ましい疎水性相互作用を導入することによって構造を安定化する。L123R突然変異は、fHとの衝突及び不利な電荷を導入することによってfH結合を抑制する。
【0061】
安定性増強は、例えばJohnson (2013年) Arch Biochem Biophys 53巻:100-9頁、Bruylantsら, Current Medicinal Chemistry 2005年; 12巻:2011-20頁において検討されるように、示差走査熱量測定(DSC)を用いて評価することができる。DSCは以前より、v2 fHbpの安定性を評価するために使用されている(Johnsonら, PLoS Pathogen 2012年; 8: e1002981)。安定性を評価するためのDSCのための適切な条件は、100~200mM NaCl(例えば150mM)とともにpH6~8(例えば7~7.5)の緩衝溶液(例えば、25mM Tris)中の20μMポリペプチドを使用することができる。
【0062】
安定性の増加は、DSCにより評価した場合、野生型と比較して少なくとも1つのピークの熱転移中間点(Tm)の少なくとも5℃、例えば少なくとも10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃又はそれ以上の増加によって証明される。野生型fHbpは、アンフォールディング中に2つのDSCピーク(1つはN末端ドメイン、1つはC末端ドメイン)を示し、本発明の融合タンパク質に含まれるv2ポリペプチドは、両方のこのようなドメインを含み、「安定性の増加」はN末端ドメインのTmの少なくとも5℃の増加を指す。N末端ドメインのTmは、野生型v2配列では40℃で又はそれ以下でも起こり得(Johnsonら, (2012年) PLoS Pathogen 8: e1002981)、一方、C末端ドメインは80℃又はそれ以上のTmを有することができる。したがって、本発明の融合タンパク質に含まれる突然変異体fHbp v2アミノ酸配列は、好ましくは、少なくとも45℃、例えば≧50℃、≧55℃、≧60℃、≧65℃、≧70℃、≧75℃、又は≧80℃のTmを有するN末端ドメインを有する。
【0063】
M1239株由来の全長野生型fHbp v3は、以下のアミノ酸配列(太字で示したリーダー配列及び下線を付したポリグリシン配列)を有する:
【0064】
成熟リポタンパク質は、配列番号13の最初の19個のアミノ酸を欠いている:
【0065】
配列番号13のΔG形態は、最初の31個のアミノ酸を欠いている(すなわち、シグナル配列及びポリグリシン配列を欠いている):
【0066】
好ましい実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号15と少なくともk%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v3 fHbpポリペプチドを含む。ただし、v3 fHbpアミノ酸配列は配列番号15の残基S32及びL126における置換突然変異を含む。好ましくは、置換はS32V及びL126Rである。
【0067】
kの値は、80、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100から選択することができる。それは好ましくは80(すなわち、突然変異体fHbp v2アミノ酸配列は配列番号15と少なくとも80%の同一性を有する)であり、より好ましくは85、より好ましくは90、より好ましくは95である。
【0068】
一部の実施形態では、本発明の融合タンパク質に含まれるfHbp v3ポリペプチドは、配列番号15に対して切断される。野生型成熟配列と比較して、配列番号15は、ポリグリシン配列までの、及びポリグリシン配列を含むN末端で既に切断されているが(配列番号14及び15を比較する)、配列番号15は、C末端で切断され得、及び/又はN末端でさらに切断され得る。
【0069】
好ましい実施形態では、本発明の融合タンパク質に含まれるv3 fHbpポリペプチドは、配列番号17のアミノ酸配列を含むか又はそれからなる。
【0070】
本発明の融合タンパク質に含まれるv3 fHbpポリペプチドは、同じ実験条件下で、同じポリペプチドよりも高い安定性を有するが、残基S32及びL126における配列差はなく、例えば、配列番号13からなる野生型髄膜炎菌ポリペプチドよりも高い安定性を有する。S32V突然変異は、好ましい疎水性相互作用を導入することによって構造を安定化する。L126R突然変異は、fHとの衝突及び好ましくない電荷を導入することによってfH結合を抑制する。
【0071】
安定性増強は、例えばJohnson (2013年) Arch Biochem Biophys 531巻:100-9頁、Bruylantsら, (2005年) Current Medicinal Chemistry 12巻:2011-20頁において検討されるように、示差走査熱量測定(DSC)を用いて評価することができる。DSCは以前より、v3 fHbpの安定性を評価するために使用されている(van der Veenら, (2014年) Infect Immun PMID 24379280)。安定性を評価するためのDSCのための適切な条件は、100~200mM NaCl(例えば150mM)とともにpH6~8(例えば7~7.5)の緩衝溶液(例えば、25mM Tris)中の20μMポリペプチドを使用することができる。
【0072】
安定性の増加は、DSCにより評価した場合、野生型と比較して少なくとも1つのピークの熱転移中間点(Tm)の少なくとも5℃、例えば少なくとも10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃又はそれ以上の増加によって証明される。野生型fHbpは、アンフォールディング中に2つのDSCピーク(1つはN末端ドメイン、1つはC末端ドメイン)を示し、本発明の融合タンパク質に含まれるv3ポリペプチドは、両方のこのようなドメインを含み、「安定性の増加」はN末端ドメインのTmの少なくとも5℃の増加を指す。N末端ドメインのTmは、野生型v3配列では60℃で又はそれ以下でも起こり得(Johnsonら, (2012年) PLoS Pathogen 8: e1002981)、一方、C末端ドメインは80℃又はそれ以上のTmを有することができる。したがって、本発明の突然変異体fHbp v3アミノ酸配列は、好ましくは、少なくとも65℃、例えば≧70℃、≧75℃、又は≧80℃のTm を有するN末端ドメインを有する。
【0073】
上記されるように、好ましい実施形態では、fHbp融合ポリペプチドは、式NH2-A-[-X-L]3-B-COOHのアミノ酸配列を有し、各Xは異なる変異体fHbp配列であり、Lは任意のリンカーアミノ酸配列である。好ましい実施形態では、リンカーアミノ酸配列「L」は、グリシンポリマー又はグリシン-セリンポリマーリンカーである。例示的なリンカーとしては、限定されないが、「GGSG」、「GGSGG」、「GSGSG」、「GSGGG」、「GGGSG」、「GSSSG」及び「GSGGGG」が含まれる。他の適切なグリシン又はグリシン-セリンポリマーリンカーは、当業者には明らかである。本発明による好ましい融合ポリペプチドにおいて、v2及びv3配列、並びにv3及びv1配列は、グリシン-セリンポリマーリンカー「GSGGGG」によって連結される。
【0074】
好ましい実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、以下のアミノ酸配列(グリシン-セリンリンカー配列は下線を付され、突然変異残基は太字で示される)のうちの1つを含むか又はそれからなる:
【0075】
【0076】
好ましい実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号19のアミノ酸配列を含む。代替の好ましい実施形態では、本発明の融合ポリペプチドは、配列番号18のアミノ酸配列を含む。
【0077】
本発明の融合ポリペプチドは、宿主動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに投与した後、野生型髄膜炎菌fHbpポリペプチド、特に配列番号31、32、10及び/又は13のポリペプチドを認識することができる抗体を誘発することができる。これらの抗体は、理想的には殺菌性である(下記を参照されたい)。
【0078】
上記されるように、好ましい実施形態では、本発明によるfHbp融合ポリペプチドは、式NH2-A-[-X-L]3-B-COOHのアミノ酸配列を有し、各Xは異なる変異体fHbp配列であり、Aは任意のN末端アミノ酸配列である。好ましい実施形態では、本明細書に記載される融合タンパク質は、融合タンパク質の良好な発現を可能にするのに有利な、以下のN末端アミノ酸配列をさらに含む:
【0079】
MGPDSDRLQQRR (配列番号34)
【0080】
本明細書に開示される融合タンパク質(例えば、配列番号18-22、29及び30)のいずれかは、融合ポリペプチドのN末端で配列番号34のアミノ酸配列を含むように改変することができる。すなわち、配列番号34のアミノ酸配列は、融合ポリペプチドのfHbp v2成分のN末端に付加される。
【0081】
殺菌応答
本発明の好ましいv1.13、v1.15及び/又は融合ポリペプチドは、髄膜炎菌に対して殺菌性である抗体応答を誘発することができる。殺菌抗体応答はマウスにおいて簡便に測定され、ワクチン効果の標準的な指標である(例えばPizzaら, (2000年) Science 287巻:1816-1820頁の巻末注14;さらには国際公開第2007/028408号を参照されたい)。
【0082】
第1の実施形態の発明のポリペプチドは、好ましくは、v1.13fHbp配列を発現する髄膜炎菌株に対して殺菌性である抗体応答を誘発することができる。
【0083】
第1の実施形態の発明の好ましいポリペプチドは、血清殺菌アッセイにおいてv1.13fHbp配列を発現する髄膜炎菌株に対して殺菌性である抗体をマウスにおいて誘発することができる。
【0084】
第2の実施形態の発明のポリペプチドは、好ましくは、v1.15fHbp配列を発現する髄膜炎菌株に対して殺菌性である抗体応答を誘発することができる。
【0085】
第2の実施形態の発明の好ましいポリペプチドは、血清殺菌アッセイにおいてv1.15fHbp配列を発現する髄膜炎菌株に対して殺菌性である抗体をマウスにおいて誘発することができる。
【0086】
例えば、これらのポリペプチドを含む免疫原性組成物は、ヒト補体を用いたGoldschneiderアッセイ[Goldschneiderら, (1969年) J. Exp. Med. 129巻:1307-26頁、Santosら, (2001年) Clinical and Diagnostic Laboratory Immunology 8巻:616-23頁、Fraschら, (2009年) Vaccine 27S:B112-6]を用いて≧1:4の血清殺菌力価を提供することができ、及び/又は幼若ウサギ補体を用いて≧1:128の血清殺菌力価を提供することができる。
【0087】
ポリペプチド
本発明のポリペプチドは、種々の手段、例えば、化学合成(少なくとも部分的に)、プロテアーゼを用いたより長いポリペプチドの消化、RNAからの翻訳、細胞培養からの精製(例えば組換え発現又は髄膜炎菌培養からの精製)などによって調製することができる。大腸菌宿主における異種発現が好ましい発現経路である。
【0088】
本発明のポリペプチドは、理想的には少なくとも100個のアミノ酸、例えば150aa、175aa、200aa、225aa又はそれより長い。それらは、突然変異体fHbp v1、v2及び/又はv3アミノ酸配列を含み、突然変異体fHbp v1、v2又はv3アミノ酸配列は、同様に長さは少なくとも100アミノ酸、例えば、150aa、175aa、200aa、225aa又はそれより長い。
【0089】
fHbpは、天然には髄膜炎菌のリポタンパク質である。それはまた、大腸菌でその天然リーダー配列又は異種リーダー配列とともに発現される場合に脂質化されることも見出されている。本発明のポリペプチドは、N末端システイン残基を有し得、これは、脂質化され得、例えばパルミトイル基を含み、通常、トリパルミトイル-S-グリセリル-システインを形成し得る。他の実施形態では、ポリペプチドは脂質化されない。
【0090】
ポリペプチドは、好ましくは、実質的に純粋又は実質的に単離された形態(すなわち、他のナイセリア又は宿主細胞ポリペプチドを実質的に含まない)で調製される。一般的に、ポリペプチドは、天然に存在しない環境、例えば天然に存在する環境から分離された環境で提供される。ある種の実施形態では、ポリペプチドは、出発物質と比較してポリペプチドに対して富化された組成物に存在する。したがって、精製されたポリペプチドが提供され、それにより精製されたことは、ポリペプチドが、他の発現されたポリペプチドを実質的に含まない組成物に存在することを意味し、それにより実質的に遊離は、組成物中の総ポリペプチドの50%を超える(例えば、≧75%、≧80%、≧90%、≧95%又は≧99%)が本発明のポリペプチドであることを意味する。
【0091】
ポリペプチドは、種々の形態(例えば、天然、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、ジスルフィド架橋など)をとることができる。
【0092】
本発明のポリペプチドが生物学的宿主内での翻訳によって産生される場合、開始コドンが必要とされ、これはほとんどの宿主においてN末端メチオニンを提供する。したがって、本発明のポリペプチドは、少なくとも新生段階では、前記配列番号の配列の上流にメチオニン残基を含む。
【0093】
新生配列の切断は、突然変異体fHbp v1、v2又はv3アミノ酸配列自体がポリペプチドのN末端を提供することを意味する。しかしながら、他の実施形態では、本発明のポリペプチドは、突然変異体fHbp v1、v2又はv3アミノ酸配列の上流のN末端配列を含むことができる。一部の実施形態では、ポリペプチドは、突然変異体fHbp v1、v2又はv3アミノ酸配列の直後のN末端に単一のメチオニンを有し;他の実施態様では、より長い上流配列を使用することができる。このような上流配列は短い(例えば、40個又はそれ以下のアミノ酸、すなわち、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)場合がある。例としては、タンパク質輸送を指示するリーダー配列、又はクローニング若しくは精製を促進する短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、Hisn(n=4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上である)が挙げられる。他の適切なN末端アミノ酸配列は、当業者には明らかである。
【0094】
本発明のポリペプチドはまた、突然変異体fHbp v1、v2又はv3アミノ酸配列の最終アミノ酸の下流のアミノ酸を含み得る。このようなC末端伸長は短い(例えば、40個又はそれ以下のアミノ酸、すなわち、39個、38個、37個、36個、35個、34個、33個、32個、31個、31個、30個、29個、28個、27個、26個、25個、24個、23個、22個、21個、20個、19個、18個、17個、16個、15個、14個、13個、12個、11個、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個、2個、1個)場合がある。例としては、タンパク質輸送を指示する配列、クローニング又は精製を促進する短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、Hisn(n=4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上である)、又はポリペプチドの安定性を増強する配列が挙げられる。他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者には明らかである。
【0095】
一部の実施形態では、本発明は、ヒスチジンタグ(Johnsonら, (2012年) PLoS Pathogen 8:e1002981、Pajonら, (2012年) Infect Immun 80巻:2667-77頁を参照されたい)、特にC末端のヘキサヒスチジンタグを含むポリペプチドを除外する。
【0096】
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは、直鎖状又は分枝状であり得、修飾アミノ酸を含むことができ、非アミノ酸によって中断することもできる。この用語はまた、天然に又は介入によって修飾されたアミノ酸ポリマー、例えばジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーションを包含する。また、定義内には、例えばアミノ酸(例えば非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上のアナログを含有するポリペプチド、並びに当該技術分野において公知である他の修飾もまた含まれる。ポリペプチドは、一本鎖又は会合鎖として存在し得る。
【0097】
本発明のポリペプチドは、固体支持体に結合又は固定化され得る。
【0098】
本発明のポリペプチドは、検出可能な標識、例えば、放射性標識、蛍光標識、又はビオチン標識を含み得る。これは、イムノアッセイ技術において特に有用である。
【0099】
本発明のポリペプチドは、典型的には、人工アミノ酸配列、すなわち、いずれの天然に存在する髄膜炎菌にも存在しない配列からなる。
【0100】
H因子に対する親和性は、固定化ヒトfHを用いた表面プラズモン共鳴により定量的に評価することができる(例えばSchneiderら, (2009年) Nature 458巻:890-5頁に開示される)。親和性低減(すなわち、解離定数KDの増加)を少なくとも10倍、理想的には少なくとも100倍にする突然変異が好ましい(同じポリペプチドであるが突然変異なしに対して同じ実験条件下で測定した場合)。
【0101】
核酸
本発明の第4の態様は、突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、突然変異体v1.15fHbpポリペプチド、又は上記で定義される融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むプラスミド又は他の核酸を提供する。
【0102】
本発明の核酸は、多数の方法、例えば、ゲノム又はcDNAライブラリーからの、より短い核酸又はヌクレオチド(例えばリガーゼ又はポリメラーゼを用いる)を連結することによって、ヌクレアーゼ(例えば制限酵素)を用いてより長い核酸を消化することにより(例えばDNAのホスホルアミダイト合成)、全部又は一部に調製することができる。
【0103】
本発明の核酸は、種々の形態、例えば、一本鎖、二本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識化、非標識化などをとることができる。
【0104】
本発明の核酸は、好ましくは単離又は実質的に単離された形態である。
【0105】
用語「核酸」は、DNA及びRNA、並びにそれらのアナログ、例えば修飾された骨格を含有するもの、さらにペプチド核酸(PNA)などを含む。
【0106】
本発明による核酸は、例えば放射性標識又は蛍光標識で標識することができる。
【0107】
本発明はまた、本発明のヌクレオチド配列を含むベクター(プラスミドなど)(例えば、クローニングベクター又は発現ベクター、例えば核酸免疫化に適したベクター)及びこのようなベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0108】
宿主細胞
本発明の第5の態様は、上記で定義した本発明のヌクレオチド配列を含むプラスミドで形質転換された宿主細胞を提供する。
【0109】
本発明の宿主細胞は、好ましくは本発明のポリペプチドを発現する細菌である。細菌は、例えば髄膜炎菌又は大腸菌であり得る。細菌は、ポリペプチドを構成的に発現することができるが、一部の実施形態では、発現は、誘導性プロモーターの制御下にあり得る。細菌は、ポリペプチドを過剰発現する(国際公開第2006/081259号を参照されたい)。ポリペプチドの発現は、理想的には相変動性ではない。
【0110】
細胞は、髄膜炎菌細菌、例えば、mltAの下方制御又はノックアウトを有し、場合により、(i)LPSの脂質A部分を毒性にすることに関与する少なくとも1つの遺伝子、特にlpxl1;及び/又は(ii)莢膜多糖の合成又は輸送に関与する少なくとも1つの遺伝子、特にsynX及び/又はctrAの下方制御又はノックアウトも有する髄膜炎菌細菌であり得る。
【0111】
小胞
本発明の第6の態様は、本発明の宿主細胞、特に髄膜炎菌宿主細胞から調製された外膜小胞を提供する。
【0112】
本発明の宿主細胞から調製された小胞は、好ましくは小胞内で免疫アクセス可能な形態であるべき本発明のポリペプチドを含む。すなわち、本発明の精製ポリペプチドに結合することができる抗体はまた小胞に存在するポリペプチドに結合することができるべきである。
【0113】
これらの膜小胞には、髄膜炎菌の外膜の破壊又はブレブ形成によって得られ、外膜のタンパク質成分を含む小胞をそこから形成する任意のプロテオリポソーム小胞が含まれる。したがって、この用語は、外膜小胞(OMV;ときに「ブレブ」と呼ばれる)、ミクロ小胞(MV[国際公開第02/09643号])及び「天然OMV」(「NOMV」)[Katialら, (2002年) Infect Immun 70巻:702-707頁]を含む。
【0114】
MV及びNOMVは、細菌増殖中に自然に形成され、培地中に放出される自然発生膜小胞である。MVは、液体培地中でナイセリアを培養し、ブロス培地中のより小さいMVから全細胞を分離し(例えば、濾過又はより小さい小胞ではなく細胞のみをペレット化するための低速遠心分離による)、次に、細胞枯渇培地からMVを回収することによって(例えば、濾過により、MVの示差沈殿又は凝集により、MVをペレット化するための高速遠心分離による)得ることができる。MVの産生に使用するための株は、一般的に、培養物中で生産されるMVの量に基づいて選択することができ、例えば、米国特許第6,180,111号及び国際公開第01/34642号は、MV産生が高いナイセリアを記載する。
【0115】
OMVは、細菌から人工的に調製され、界面活性剤処理(例えばデオキシコール酸)、又は非界面活性剤手段(例えば国際公開第2004/019977号を参照されたい)を用いて調製され得る。OMVを形成する技術には、胆汁酸塩界面活性剤(ナイセリアを処理するのに好ましい、例えば、リトコール酸、ケノデオキシコール酸、ウルソデオキシコール酸、デオキシコール酸、コール酸、ウルソコール酸などの塩、及びデオキシコール酸ナトリウム[欧州特許第0011243号、Fredriksenら, (1991年) NIPH Ann. 14巻(2号):67-80頁])を用いて、界面活性剤を沈殿させないように十分に高いpH[国際公開第01/91788号]で細菌を処理することが含まれる。他の技術は、技術、例えば、超音波処理、均質化、微小流動化、キャビテーション、浸透ショック、粉砕、フランスプレス、ブレンドなどを用いて界面活性剤の非存在下で[国際公開第01/91788号]、実質的に行うことができる。界面活性剤を全く使用しないか又は低く使用する方法は、有用な抗原、例えばNspA及びfHbpを保持することができる。したがって、方法は、約0.5%デオキシコール酸塩又はそれ以下、例えば約0.2%、約0.1%、<0.05%又はゼロのOMV抽出緩衝液を使用することができる。
【0116】
OMV調製のための有用なプロセスは、国際公開第2005/004908号に記載され、高速遠心分離の代わりに、粗OMV上での限外濾過を伴う。このプロセスは、限外濾過が行われた後、超遠心分離のステップを伴うことができる。OMVはまた、国際公開第2011/036562号に記載されている2段階サイズの濾過プロセスを用いて精製することもできる。
【0117】
本発明で使用するための小胞は、任意の髄膜炎菌株から調製することができる。小胞は通常、血清群B株由来であるが、B以外の血清群(例えば、国際公開第01/91788号は血清型Aのための方法を開示する)、例えばA、C、W135又はYから調製することができる。株は、任意の血清型(例えば、1、2a、2b、4、14、15、16など)、任意の血清亜型、及び任意の免疫型(例えば、L1; L2; L3; L3,3,7; L10など)であり得る。髄膜炎菌は、高侵襲性及び高病原性系統、例えば、以下の7つの高病原性系統:亜群I;亜群III;亜群IV-1;ET-5複合体;ET-37複合体;A4クラスター;系統3のいずれかを含む、任意の適切な系統由来であり得る。
【0118】
本発明の細菌は、本発明のポリペプチドをコードすることに加えて、1つ以上のさらなる改変を有することができる。例えば、それらは改変されたfur遺伝子[国際公開第98/56901号]を有し得る。nspA発現は、porA及びcpsノックアウトと同時に上方制御され得る。OMV産生のための髄膜炎菌のさらなるノックアウト突然変異体は、例えば国際公開第2004/014417号に開示されている。Claassen ら(1996) 14(10):1001-8は、6つの異なるPorAサブタイプを発現するように改変された株からの小胞の構築を開示している。LPS生合成に関与する酵素のノックアウトによって達成される、低いエンドトキシンレベルの突然変異体ナイセリアもまた使用され得る。LPSの脂質A部分、特にlpxl1遺伝子を毒性にすることに関与する少なくとも1つの遺伝子の発現を低減又はスイッチオフにするように操作された突然変異体ナイセリアを、本発明とともに使用することができる[Fissehaら, (2005年) Infect Immun 73巻:4070-80頁]。同様に、莢膜多糖の合成又は輸送に関与する少なくとも1つの遺伝子、特にsynX及び/又はctrA遺伝子の発現を低減又はオフにするように操作された突然変異体ナイセリアを本発明とともに使用することができる。これらの突然変異体又は他の突然変異体は全て、本発明とともに使用することができる。
【0119】
したがって、本発明とともに使用される株は、一部の実施形態では1を超えるPorAサブタイプを発現することができる。6価及び9価のPorA株は、以前に構築されている。株は、PorAサブタイプの2、3、4、5、6、7、8、又は9:P1.7,16; P1.5-1,2-2; P1.19,15-1; P1.5-2,10; P1.12-1,13; P1.7-2,4; P1.22,14; P1.7-1,1及び/又はP1.18-1,3,6を発現することができる。他の実施形態では、株は、PorA発現について下方制御され得、例えば、PorAの量は、野生型レベル(例えば、株H44/76に対して)に対して少なくとも20%(例えば、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%など)低減されているか又はさらにはノックアウトされている。
【0120】
一部の実施形態では、株は、ある種のタンパク質を(対応する野生型株に対して)過剰発現することができる。例えば、株は、NspA、タンパク質287[国際公開第01/52885号]、fHbp[国際公開第2006/081259号](本発明のfHbpを含む)、TbpA及び/又はTbpB[国際公開第00/25811号]、Cu、Zn-スーパーオキシドジスムターゼ、HmbRなどを高発現し得る。
【0121】
本発明のポリペプチドをコードする遺伝子は、細菌染色体に組み込まれ得、又はエピソーム形態、例えばプラスミド内に存在し得る。
【0122】
小胞産生のために有利には、髄膜炎菌を遺伝子操作して、ポリペプチドの発現が相変動を受けないことを確実にすることができる。髄膜炎菌における遺伝子発現の相変動性を低減又は除去する方法は、国際公開第2004/015099号に開示されている。例えば、遺伝子は、構成的又は誘導可能なプロモーターの制御下に、又はその相変動性の原因となるDNAモチーフを除去又は置き換えることによって置かれ得る。
【0123】
一部の実施形態では、株は、参照文献国際公開第02/09746号、国際公開第01/09350号、国際公開第02/062378号、及び国際公開第2004/014417号に開示されているノックアウト及び/又は高発現突然変異の1つ以上を含むことができる。例えば、これら4つの参考文献のガイダンス及び命名法に従って、下方制御及び/又はノックアウトに有用な遺伝子は、以下の通りである:(a)Cps、CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LpxK、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpA、及び/若しくはTbpB; (b) CtrA、CtrB、CtrC、CtrD、FrpB、GalE、HtrB/MsbB、LbpA、LbpB、LpxK、Opa、Opc、PhoP、PilC、PmrE、PmrF、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpA、及び/若しくはTbpB ; (c) ExbB、ExbD、rmpM、CtrA、CtrB、CtrD、GalE、LbpA、LpbB、Opa、Opc、PilC、PorB、SiaA、SiaB、SiaC、SiaD、TbpA、and/or TbpB; 又は(d) CtrA、CtrB、CtrD、FrpB、OpA、OpC、PilC、PorB、SiaD、SynA、SynB、SynX及び/若しくはSynC。
【0124】
突然変異体株を用いる場合、一部の実施形態では、それは、(i)髄膜炎菌LOSを切断するための下方制御又はノックアウトLgtB及び/若しくはGalE;(ii)上方制御されたTbpA;(iii)上方制御されたNhhA;(iv)上方制御されたOmp85;(v)上方制御されたLbpA;(vi)上方制御されたNspA;(vii)ノックアウトされたPorA;(viii)下方制御された又はノックアウトされたFrpB;(ix)下方制御された又はノックアウトされたOpa;(x)下方制御された又はノックアウトされたOpc;(xii)欠失されたcps遺伝子複合体のうちの1つ以上又は全てを有し得る。切断されたLOSは、シアリル-ラクト-N-ネオテトラオースエピトープを含まないものであり得、例えばガラクトース欠損LOSであり得る。LOSはα鎖を有しない場合がある。
【0125】
小胞の調製に使用される髄膜炎菌株に応じて、それらは株の天然fHbp抗原(国際公開第2004/046177号)を含み得るか又は含み得ない。
【0126】
1つの好ましい実施形態では、髄膜炎菌は機能的MltAタンパク質を発現しない。国際公開第2006/046143号及びAdu-Bobieら, (2004年) Infect Immun 72巻:1914-19頁において検討されているように、髄膜炎菌におけるMltA(GNA33としても公知である膜結合型溶菌性トランスグリコシラーゼ)のノックアウトは、大量の膜小胞が培養液中に自然に放出され、そこから容易に精製され得る細菌を提供する。例えば、小胞は、国際公開第2011/036562号の2段階サイズの濾過プロセスを用いて精製することができ、これには、(i)小胞が異なるサイズに基づいて細菌から分離される第1の濾過工程であって、小胞が濾液中に通過する工程;及び(ii)小胞が保持液中に保持される第2の濾過工程が含まれる。MltA突然変異 (下方制御又はノックアウト)は、「GMMA」ワクチン[Koeberlingら, (2014年) Vaccine 32巻:2688-95頁]に用いられていて、特に、LPSの脂質A部分、特にlpxl1及び/又は莢膜多糖の合成又は輸送に関与する少なくとも1つの遺伝子、特にsynX及び/又はctrA遺伝子に毒性を付与することに関与する少なくとも1つの遺伝子のさらなる下方制御又はノックアウトと組み合わせることが好都合であり得る。GMMA(膜抗原用の一般化モジュール)は、反応原性が低減し、免疫原性が増加したGMMAを放出するように操作された髄膜炎菌株から産生される遺伝子的に解毒されたOMVである。GMMAは、単球活性化試験(MAT)で試験した場合、OMVよりも炎症性サイトカインの誘導が少ない。
【0127】
このアプローチを用いた「GMMA」ワクチンのための好ましい髄膜炎菌株は、本発明の突然変異体v2 fHbp及び/又は突然変異体v3 fHbpを発現し、発現は強力なプロモーターによって駆動され得る。この株によって放出される小胞には、免疫原性形態の突然変異体v2及び/又はv3 fHbpタンパク質が含まれ、小胞の投与は、Koeberling ら(2014) Vaccine 32:2688-95で検討されているように殺菌抗体反応を提供し得る。株はまた、v1 fHbpを発現することができ、又はv1 fHbpは、代わりに可溶性形態の別個の組換えタンパク質として提供することができる(v1 fHbpは、野生型又は突然変異配列であり得、例えば、上記で検討されるようにfHへの結合能力を破壊するように突然変異され得る)。本発明は、このような株を提供し、また、これらの株が、例えば培養培地から株の増殖後に精製されるように、放出する小胞を提供する。これらの株における発現のための好ましいv2突然変異体は、本明細書において検討されるようにS32及び/又はL123において突然変異を有し、これらの株における発現のための好ましいv3突然変異体は、本明細書において検討されるようにS32及び/又はL126において突然変異を有する。したがって、これらのv2及びv3突然変異体fHbp配列を発現する髄膜炎菌から調製される小胞は、本発明のワクチンに使用するための特に好ましい免疫原である。
【0128】
このような株で使用するための有用なプロモーターには、国際公開第2013/033398号及び国際公開第2013/113917号に開示されているものが含まれる。例えば、プロモーターは、(a)ポリン遺伝子由来のプロモーター、好ましくはporA又はporB、特に髄膜炎菌由来のプロモーター;又は(b)特に髄膜炎菌由来のrRNA遺伝子プロモーター(例えば、16S rRNA遺伝子)であり得る。髄膜炎菌のポリンプロモーターを用いる場合、それは好ましくはporA、より具体的には髄膜炎菌のporA遺伝子プロモーターからの-10領域、及び/又は髄膜炎菌のporA遺伝子プロモーターからの-35領域(好ましくは、-10領域及び-35領域が12~20ヌクレオチドの介在配列によって分離され、介在配列がポリG配列を含まないか又は8個以下の連続したGヌクレオチドを有するポリG配列を含む)由来である。rRNA遺伝子プロモーターを用いる場合、それは、より具体的には(i)髄膜炎菌rRNA遺伝子プロモーターからの-10領域及び/又は(ii)髄膜炎菌rRNA遺伝子プロモーターからの-35領域を含むことができる。 (a)及び(b)のハイブリッドを用いることも可能であり、例えばporAプロモーターからの-10領域及びrRNAプロモーターからの-35領域(コンセンサス-35領域であり得る)を有することも可能である。したがって、有用なプロモーターは、(i)(特に髄膜炎菌)rRNA遺伝子からの-10領域及び(特に髄膜炎菌)porA遺伝子からの-35領域、又は(ii)(特に髄膜炎菌)porA遺伝子からの-10領域及び(特に髄膜炎菌)rRNA遺伝子からの-35領域のいずれかを含むプロモーターであり得る。
【0129】
小胞内にLOSが存在する場合、小胞を処理してそのLOS及びタンパク質成分を結合させることができる(「ブレブ内」コンジュゲーション[国際公開第2004/014417号])。
【0130】
免疫原性組成物
本発明のポリペプチドは、免疫原性組成物中の活性成分(複数可)として使用することができ、そのため本発明の第7の態様は、本発明の第1の態様による突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、本発明の第2の態様による突然変異体v1.15fHbpポリペプチド、本発明の第3の態様による融合ポリペプチド、又は本発明の第6の態様による小胞を含む免疫原性組成物を提供する。前記免疫原性組成物は、髄膜炎菌感染に対して哺乳動物、好ましくはヒトを免疫化するのに有用である。
【0131】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の第1、第2又は第3の態様のポリペプチド抗原に加えて、本発明の免疫原性組成物は、4CMenBの1つ以上の抗原成分をさらに含む。
【0132】
上記されるように、4CMenB製剤(BEXSERO)は、B群髄膜炎菌NZ98/254、B:4:P1.7b,4の流行株由来のOMVの調製物を含有する。同じOMVはMeNZBワクチンに見出され、本明細書ではOMVnzと称される。さらに、4CMenBは5つの髄膜炎菌抗原:NHBA(287;亜変異体1.2)、fHbp(741;亜変異体1.1)、NadA(961;亜変異体3.1)、GNA1030(953)及びGNA2091(936)を含む。これらの抗原のうち4つは融合タンパク質(NHBA-GNA1030融合タンパク質(287-953)及びGNA2091-fHbp(936-741)融合タンパク質)として存在する。
【0133】
0.5ml量の完全4CMenB生成物を、50μgの各NHBA-GNA1030、NadA及びGNA2091-fHbpを含有し、1.5mgの水酸化アルミニウムアジュバントに吸着し、25μgの髄膜炎菌株NZ98/254由来のOMVを含有するように製剤化する。加えて、製剤の各0.5ml用量は、3.125mgの塩化ナトリウム、0.776mgのヒスチジン及び10mgのスクロースを含む。
【0134】
さらに好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、BEXSEROの商品名で市販されている完全ワクチン製品4CMenBを含む。
【0135】
さらに好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、配列番号19(fHbp 23S_1.13_E211A/S216R)のfHbp融合ポリペプチド及び完全4CMenB組成物を含む。
【0136】
髄膜炎菌血清群A、C、W135及びY
本発明の組成物はまた、1つ以上の髄膜炎菌血清群Y、W135、C及びA由来の莢膜糖抗原を含み得、抗原は、担体タンパク質にコンジュゲートされ、及び/又はオリゴ糖である。莢膜糖類は、オリゴ糖の形態で使用することができる。これらは、精製された莢膜多糖の断片化(例えば、加水分解による)によって好都合に形成され、通常、続いて、所望のサイズの断片が精製される。
【0137】
現在の血清群Cワクチン(MENJUGATE [Costantino ら(1992) Vaccine 10:691-698, Jones (2001) Curr Opin Investig Drugs 2:47-49]、MENINGITEC及びNEISVAC-C)には、コンジュゲートされた糖が含まれる。MENJUGATE及びMENINGITECはCRM197担体にコンジュゲートしたオリゴ糖抗原を有するが、NEISVAC-Cは破傷風トキソイド担体にコンジュゲートした完全多糖(脱-O-アセチル化)を用いる。
【0138】
MENVEO、MENACTRA、及びNIMENRIXの商品名で販売されているワクチン製品はいずれも、Y、W135、C及びAの各血清群に由来するコンジュゲートされた莢膜糖抗原を含有する。
【0139】
MENVEO(髄膜炎菌(A、C、Y、及びW-135群)多糖ジフテリアCRM197コンジュゲートワクチンとしても一般的に公知である)において、A、C、W135及びY抗原の各々はCRM197担体にコンジュゲートされる。
【0140】
MENACTRA(髄膜炎菌(A、C、Y及びW-135群)多糖ジフテリアトキソイドコンジュゲートワクチンとしても一般的に公知である)において、A、C、W135及びY抗原の各々はジフテリアトキソイド担体にコンジュゲートされる。
【0141】
NIMENRIX(髄膜炎菌多糖A、C、W-135及びY群コンジュゲートワクチンとしても一般的に公知である)において、A、C、W135及びY抗原の各々は破傷風トキソイド担体にコンジュゲートされる。
【0142】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の第1、第2又は第3の態様のポリペプチド抗原に加えて、本発明の免疫原性組成物は、髄膜炎菌血清群A、C、W135及び/又はY由来の1つ以上のコンジュゲートされた莢膜糖抗原をさらに含む。
【0143】
本発明の好ましい実施形態では、本発明の第1、第2又は第3の態様のポリペプチド抗原に加えて、本発明の免疫原性組成物は、完全4CMenB生成物、並びに髄膜炎菌血清群A、C、W135及び/又はY由来の1つ以上のコンジュゲートされた莢膜糖抗原をさらに含む。
【0144】
好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、本発明の第1、第2又は第3の態様のポリペプチド抗原に加えて、完全4CMenB産物、並びに髄膜炎菌血清型A、C、W135及び/又はYの各々に由来するコンジュゲートされた莢膜糖抗原を含み、髄膜炎菌血清型A、B、C、W135及び/又はYの各々に対する抗原を含む五価免疫原性組成物を形成する。
【0145】
好ましい実施形態では、組成物は、MENVEOに存在するA、C、W135及びY抗原コンジュゲート、MENACTRAに存在するA、C、W135及びY抗原コンジュゲート、又はNIMENRIXに存在するA、C、W135及びY抗原コンジュゲートを含む。
【0146】
さらに好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、配列番号19のfHbp融合ポリペプチド(fHbp23S_1.13_E211A/S216R)、完全4CMenB生成物、並びにMENVEOに存在するA、C、W135及びY抗原コンジュゲートを含む。
【0147】
あるいは、本発明の第1、第2又は第3の態様のポリペプチド抗原を含む本発明の免疫原性組成物は、BEXSERO及びMENVEO、MENACTRA又はNIMENRIXのうちの1つ以上と同時投与され得る。好ましくは、本発明の免疫原性組成物は、BEXSERO及びMENVEOと同時投与される。
【0148】
本明細書で使用される場合、「同時投与される」とは、異なる免疫原性組成物/ワクチンを別々に又は組み合わせて投与することができることを意味する。
【0149】
ワクチンが別々に投与される場合、それらは、典型的には、異なる部位、例えば左上腕への1回目のワクチン、及び右上腕への2回目のワクチンで投与される。したがって、2回のワクチンを対側(例えば、両腕又は両脚、又は対側腕及び脚)又は同側(例えば、身体の同じ側の腕及び脚)に投与することができる。ワクチンは別々に投与されるが、それらは、実質的に同時に(例えば、同じ医学的コンサルテーション又は医療専門家若しくはワクチン接種センターへの訪問の間)、例えば互いに1時間以内に投与される。
【0150】
しかしながら、別々に同時免疫するのではなく、組み合わせとしての投与を行うことができる。したがって、同時免疫化は、混合ワクチン、すなわち、異なる免疫原が混合された単一組成物を使用することができる。混合ワクチンは、対象に注射回数を減らすという利点をもたらし、コンプライアンスの向上という臨床上の利点をもたらす可能性がある。
【0151】
本発明の免疫原性組成物の使用
本発明の免疫原性組成物は、医療(医学)における使用に適しており、特に免疫原性組成物のレシピエントが、髄膜炎細菌による感染及び/又は疾患に対する防御を提供する免疫応答を開始するように、髄膜炎菌によって引き起こされる感染及び/又は疾患に対して哺乳動物を免疫化するために使用することができる。
【0152】
好ましい実施形態では、本発明の免疫原性組成物は、髄膜炎菌B感染又は疾患に対して哺乳動物を免疫するのに有用である。しかしながら、髄膜炎菌血清群B抗原が他の髄膜炎菌血清群抗原(例えばA.C、W及び/又はY抗原)と組み合わされる本発明の実施形態では、免疫原性組成物は、髄膜炎菌A、B、C、W及び/若しくはY感染又は疾患に対して哺乳動物を免疫化するのに有用である。
【0153】
したがって、本発明による免疫原性組成物は、髄膜炎菌によって引き起こされる感染及び/又は疾患に対して対象を免疫化するための予防方法において使用される。免疫原性組成物は、治療方法(すなわち、髄膜炎菌感染を治療するため)においても使用することができる。
【0154】
また、本発明は、哺乳動物に本発明の免疫原性組成物を投与することを含む、哺乳動物における髄膜炎菌感染に対する免疫応答をインビボで高める(生じさせる)方法を提供する。本発明はまた、このような方法で使用するための本発明のポリペプチドを提供する。
【0155】
免疫応答は好ましくは防御的であり、好ましくは抗体及び/又は細胞媒介性免疫を伴う。好ましくは、免疫応答は殺菌抗体応答である。本方法は、ブースター応答を高めることができる。インビボ免疫応答を高めることによって、哺乳動物はナイセリア病(特に髄膜炎菌感染)から防御することができる。
【0156】
本発明はまた、哺乳動物をナイセリア(例えば、髄膜炎菌)感染から防御する方法を提供し、本発明の免疫原性組成物を哺乳動物に投与することを含む。
【0157】
本発明は、医薬として(例えば、免疫原性組成物として、又はワクチンとして)又は診断試薬として使用するための本発明のポリペプチドを提供する。また、本発明は、哺乳動物におけるナイセリア(例えば、髄膜炎菌)感染を予防するための薬剤の製造における本発明の核酸又はポリペプチドの使用を提供する。
【0158】
本発明の免疫学的組成物は、好ましくは、治療(すなわち、感染を治療するため)又は予防(すなわち、感染を予防するため)の使用に適したワクチン製品として製剤化される。ワクチンは典型的には予防的である。
【0159】
哺乳動物は、好ましくはヒトである。ヒトは、成人、成年又は小児(例えば、幼児又は乳児)であり得る。小児用に意図されたワクチンはまた、例えば安全性、投薬量、免疫原性などを評価するために成人に投与され得る。
【0160】
これらの用途及び方法は、限定されないが、髄膜炎(特に、細菌、例えば髄膜炎菌性、髄膜炎)及び菌血症を含む疾患を予防/治療するために特に有用である。例えば、それらは、髄膜炎菌(例えば血清群B)によって引き起こされる侵襲性髄膜炎菌性疾患に対する個体の能動免疫化に適している。
【0161】
髄膜炎菌に対する防御は、例えば臨床試験において疫学的に測定することができるが、免疫原性組成物がレシピエントにおいて血清殺菌抗体(SBA)反応を誘発することを確認するために間接的な手段を用いることは都合がよい。SBAアッセイでは、組成物のレシピエント由来の血清は、補体(好ましくはヒト補体であるが代わりに、幼若ウサギ補体がしばしば使用される)の存在下で標的細菌(本発明においては、髄膜炎菌)とともにインキュベートされ、細菌の殺傷を血清の種々の希釈で評価してSBA活性を決定する。SBAアッセイで観察された結果は、対象とする抗原(複数可)の免疫原性活性のさらなる間接的証拠を提供するために競合的SBAアッセイを行うことによって補強することができる。競合的SBAアッセイでは、抗原(複数可)を含有する免疫原性組成物のレシピエント由来の血清は、前記抗原(複数可)とともにプレインキュベートされ、その後、ヒト補体の存在下で標的細菌とともにインキュベートされる。次に、細菌の殺傷を評価し、レシピエントの血清中の殺菌抗体がプレインキュベーション段階の間に対象となる抗原に結合し、したがって、細菌上の表面抗原に結合することができない場合、低減又は消滅する。
【0162】
組成物が髄膜炎菌の各々及び全ての菌株に対して防御すべきであるか又は組成物の各々及び全てのレシピエントが防御されなければならないということは必要ではない。このような普遍的な防御は、この分野の通常の標準ではない。むしろ、防御は通常、しばしば国ごとの基準により選択され、おそらく時間とともに変化する参照研究株のパネルに対して評価され、レシピエント集団全体にわたって測定される。
【0163】
本発明の好ましい組成物は、許容されるパーセンテージのヒト対象のための各抗原成分に対するセロプロテクションの基準よりも優れた抗体力価を患者に付与することができる。宿主が抗原に対してセロコンバージョンされていると考えられる結合抗体価を有する抗原は周知であり、このような抗体価は組織、例えばWHOによって公表されている。好ましくは、対象の統計学的に有意な試料の80%超がセロコンバージョンされ、より好ましくは90%を超え、さらに好ましくは93%を超え、最も好ましくは96~100%である。
【0164】
免疫原性組成物は、必要に応じて、免疫学的に有効な量の免疫原、並びに他の特定された成分のいずれかを含む。
【0165】
「免疫学的に有効な量」とは、その量の個体への投与が、単回投与又は一連のうちの一部として、治療又は予防に有効であることを意味する。
【0166】
用語「予防」とは、疾患の進行が低減及び/又は排除されること、又は疾患の発症が排除されることを意味する。例えば、対象の免疫系を(例えば、ワクチン接種により)プライミングして、免疫応答を引き起こし、疾患の発症が排除されるように感染を退けることができる。このように、ワクチン接種された対象は感染する可能性があるが、対照対象よりも感染を退けることができる。この量は、治療される個体の健康及び身体状態、年齢、治療される個体の分類学的グループ(例えば、非ヒト霊長類、霊長類など)、個体の免疫系の抗体合成能力、所望の防御の程度、ワクチンの製剤化、治療する医師による医学的状況の評価、及び他の関連する因子に依存して変化する。日常的な試行で判断することができる比較的幅広い範囲での低減が期待される。組成物は、他の免疫調節剤とともに投与することができる。
【0167】
ワクチンの有効性
本発明において使用するための免疫原性組成物は、好ましくは、少なくとも10%、例えば≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧85%、≧90%又はそれ以上の髄膜炎菌の少なくとも1つの株に対するワクチン効力を有する。
【0168】
ワクチンの有効性は、本発明に従って組成物を受ける対象における髄膜炎菌性疾患にかかる相対的なリスクが、このような組成物を受けていない対象(例えば、免疫されていない対象、又はプラセボ又は陰性対照を投与された対象)と比較して減少することによって決定される。したがって、本発明に従って免疫化された集団における髄膜炎菌性疾患の発生率は、相対的なリスクを与えるために本発明に従って免疫化されていない対照集団における発生率と比較され、ワクチンの効力は100%からこの数値を差し引いたものである。
【0169】
ワクチンの有効性は、個体ではなく集団について決定される。したがって、これは有用な疫学的ツールであるが、個人の防御を予測するものではない。例えば、個々の対象は、感染性病原体の非常に大きな接種材料に曝露され得るし、又はそれらをより感染し易くする他の危険因子を有する場合もあるが、これは有効性尺度の妥当性又は有用性を否定するものではない。本発明に従って免疫化され、ワクチン有効性が測定される集団のサイズは、理想的には、少なくとも100人、及び、おそらくより高い、例えば少なくとも500人の対象である。また、対照群の大きさは、少なくとも100例、例えば少なくとも500例とする。
【0170】
投与
本発明の組成物は、一般的に、患者に直接投与される。直接送達は、非経口注射(例えば、皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内、又は組織の間質腔へ)、又は直腸、口腔、膣、局所、経皮、鼻腔、眼、耳、肺若しくは他の粘膜投与によって達成され得る。大腿又は上腕への筋肉内投与が好ましい。注射は、針(例えば、皮下注射針)を介することができるが、針を使用しない注射を代わりに使用することができる。典型的な筋肉内投与量は約0.5mlである。
【0171】
ナイセリア感染は身体の種々の場所に影響を与え、そのため本発明の組成物は種々の形態で調製することができる。例えば、組成物は、液体溶液又は懸濁液のいずれかとして、注射剤として調製することができる。注射前の液体ビヒクル中の溶液又は懸濁液に適した固体形態もまた調製することができる。組成物は、局所投与のために、例えば軟膏、クリーム又は粉末として調製することができる。組成物は、経口投与のために、例えば錠剤若しくはカプセルとして、又はシロップ(場合により香り付けされる)として調製される。組成物は、微細粉末又はスプレーを用いて、例えば吸入器としての肺投与のために調製することができる。組成物は、坐剤又はペッサリーとして調製することができる。組成物は、鼻、耳又は眼への投与のために、例えば液滴として調製することができる。非経口注射に適した組成物が最も好ましい。
【0172】
本発明は、全身免疫及び/又は粘膜免疫を誘導するために使用され得る。
【0173】
本明細書で使用される場合、組成物の「用量」は、単一の免疫化としての対象への投与に適した組成物の容量である。ヒトワクチンは、典型的には約0.5mlの投与量で投与されるが、分割用量が(例えば小児に)投与され得る。用量の体積は、組成物中の抗原の濃度に応じてさらに変化し得る。
【0174】
組成物は、さらに、「複数回用量」キット、すなわち、複数の免疫化のために十分な組成物を含有する単一の容器に提供され得る。複数回用量は保存剤を含み得、又は複数回用量容器は組成物の個々の用量を除去するための無菌アダプターを有し得る。
【0175】
投与は単回用量スケジュールを伴うことができるが、通常は複数回用量スケジュールを伴う。好ましくは、少なくとも3回用量のスケジュールが与えられる。プライミング用量の間の適切な間隔は、例えば、4~16週間の間、1ヵ月又は2ヵ月間、ルーチンに決定することができる。例えば、BEXSEROは2、4、6ヵ月齢、又は2、3、4ヵ月齢で投与することができ、4回目の任意の用量は12ヵ月齢で投与することができる。
【0176】
免疫化を受ける対象は、任意の年齢、例えば、0~12ヵ月齢、1~5歳、5~18歳、18~55歳、又は55歳を超え得るヒトである。好ましくは、免疫化される対象は、青年(例えば、12~18歳)又は成人(18歳以上)である。
【0177】
場合により、対象は、小児期(例えば、12歳以前)に髄膜炎菌に対して免疫化され、本発明による免疫原性組成物の追加投与を受けた青年又は成人である。
【0178】
本発明が共免疫化に言及する場合、異なる免疫原性組成物/ワクチンは、別々に又は組み合わせとして投与することができる。
【0179】
ワクチンが別々に投与される場合、それらは、典型的には、異なる部位、例えば左上腕への1回目のワクチン、及び右上腕への2回目のワクチンで投与される。したがって、2回のワクチンを対側(例えば、両腕又は両脚、又は対側腕及び脚)又は同側(例えば、身体の同じ側の腕及び脚)に投与することができる。ワクチンは別々に投与されるが、それらは、実質的に同時に(例えば、同じ医学的コンサルテーション又は医療専門家若しくはワクチン接種センターへの訪問の間)、例えば互いに1時間以内に投与される。
【0180】
しかしながら、別々に同時免疫するのではなく、組み合わせとしての投与を行うことができる。したがって、同時免疫化は、混合ワクチン、すなわち、異なる免疫原が混合された単一組成物を使用することができる。混合ワクチンは、対象に注射回数を減らすという利点をもたらし、コンプライアンスの向上という臨床上の利点をもたらす可能性がある。
【0181】
非抗原成分
本発明の免疫原性組成物は、一般的に、薬学的に許容される担体を含み、それ自体は組成物を受ける患者に有害な抗体の産生を誘導せず、過度の毒性なしに投与することができる任意の物質であり得る。薬学的に許容される担体は、液体、例えば水、生理食塩水、グリセロール及びエタノールを含むことができる。また、補助物質、例えば湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝物質などは、このようなビヒクル中に存在することができる。適切な担体に関する詳細な考察は、Gennaro (2000年) Remington: The Science and Practice of Pharmacy. 第20版, ISBN: 0683306472で入手可能である。
【0182】
組成物は、好ましくは無菌である。それは、好ましくは発熱物質を含まない。それは、好ましくは、例えばpH6~pH8、一般にはpH7付近で緩衝化される。組成物が水酸化アルミニウム塩を含む場合、ヒスチジン緩衝液[国際公開第03/009869号]を用いることが好ましい。本発明の組成物は、ヒトに対して等張であり得る。
【0183】
本発明の組成物に使用することができるアジュバントには、限定されないが、不溶性金属塩、水中油型エマルジョン(例えば、MF59又はAS03、ともにスクアレンを含む)、サポニン、LPSの非毒性誘導体(例えばモノホスホリルリピドA又は3-O-脱アシル化MPL)、免疫刺激オリゴヌクレオチド、解毒細菌ADPリボシル化毒素、微粒子、リポソーム、イミダゾキノロン、又はそれらの混合物が含まれる。免疫刺激剤として作用する他の物質は、Vaccine Design… (1995年) eds. Powell & Newman ISBN: 030644867X. Plenumの第7章に開示されている。
【0184】
水酸化アルミニウム及び/又はリン酸アルミニウムアジュバントの使用が特に好ましく、ポリペプチドは一般的にこれらの塩に吸着される。これらの塩には、オキシヒドロキシド及びヒドロキシリン酸が含まれる(例えば、Vaccine Design… (1995年) eds. Powell & Newman. ISBN: 030644867X. Plenumの第8章及び第9章を参照されたい)。塩は、任意の適切な形態(例えばゲル、結晶性、非晶質など)をとることができる。
【0185】
さらなる抗原成分
本発明の免疫原性組成物は、他の疾患又は感染に対して免疫化するための抗原を含み得る。例えば、組成物は、以下のさらなる抗原の1つ以上を含み得る:
- 肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)由来の糖抗原[例えば、Watson (2000年) Pediatr Infect Dis J 19:331-332頁, Rubin (2000年) Pediatr Clin North Am 47巻:269-285頁、Jedrzejas (2001年) Microbiol Mol Biol Rev 65巻:187-207頁]。
- A型肝炎ウイルス、例えば不活化ウイルス由来の抗原[例えば、Bell (2000年) Pediatr Infect Dis J 19:1187-1188頁、Iwarson (1995年) APMIS 103巻:321-326頁]。
- B型肝炎ウイルス、例えば表面及び/又はコア抗原由来の抗原[例えば、Gerlichら, (1990年) Vaccine 8 Suppl: S63-68 & 79-80]。
- ジフテリア抗原、例えばジフテリアトキソイド [例えば、Vaccines (1988年) eds. Plotkin & Mortimer. ISBN 0-7216-1946-0の第3章]、例えばCRM197突然変異体[例えば、Del Guidiceら, (1998年) Molecular Aspects of Medicine 19巻:1-70頁]。
- 破傷風抗原、例えば破傷風トキソイド (例えば、Vaccines (1988年) eds. Plotkin & Mortimer. ISBN 0-7216-1946-0の第4章)。
- 百日咳菌(Bordetella pertussis)由来の抗原、例えば百日咳菌ホロトキシン(PT)及び百日咳菌由来の糸状赤血球凝集素(FHA)、また場合によりパータクチン及び/又は凝集原2及び3との組み合わせ(例えば、Gustafssonら, (1996年) N. Engl. J. Med. 334巻:349-355頁、Rappuoliら, (1991年) TIBTECH 9巻:232-238頁)。
- インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae) B由来の糖抗原[例えば、Costantino ら(1999) Vaccine 17:1251-1263]。
- ポリオ抗原(複数可)[例えば、Sutterら, (2000年) Pediatr Clin North Am 47巻:287-308頁、Zimmerman & Spann (1999年) Am Fam Physician 59巻:113-118頁、125-126頁]、例えばIPV。
- 麻疹、流行性耳下腺炎及び/又は風疹抗原(例えば、Vaccines (1988) eds. Plotkin & Mortimer. ISBN 0-7216-1946-0の第9、10及び11章)。
- インフルエンザ抗原(複数可)(例えば、Vaccines (1988年) eds. Plotkin & Mortimer. ISBN 0-7216-1946-0の第19章)、例えばヘマグルチニン及び/又はノイラミニダーゼ表面タンパク質。
- カタル球菌(Moraxella catarrhalis)由来の抗原[例えば、McMichael (2000年) Vaccine 19 Suppl 1: S101-107頁]。
- ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)(B群連鎖球菌)由来のタンパク抗原[例えば、Schuchat (1999年) Lancet 353巻(9146):51-6頁、国際公開第02/34771号]。
- ストレプトコッカス・アガラクチア(B群連鎖球菌)由来の糖抗原。
- 化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)(A群連鎖球菌)由来の抗原[例えば、国際公開第02/34771号、Dale (1999年) Infect Dis Clin North Am 13巻:227-43頁、Ferrettiら, (2001年) PNAS USA 98巻: 4658-4663頁]。
- 黄色ブドウ球菌(Streptococcus aureus)由来の抗原[例えば、Kurodaら, (2001年) Lancet 357巻(9264):1225-1240頁、1218-1219頁も参照されたい]。
【0186】
毒性タンパク質抗原は、必要に応じて解毒され得る(例えば、化学的及び/又は遺伝的手段による百日咳毒素の解毒[Rappuoliら, (1991年) TIBTECH 9巻:232-238頁])。
【0187】
ジフテリア抗原が組成物中に含まれる場合、破傷風抗原及び百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、破傷風抗原を含む場合、ジフテリア及び百日咳抗原も含むことが好ましい。同様に、百日咳抗原を含む場合、ジフテリア及び破傷風抗原も含むことが好ましい。したがって、DTPの組み合わせが好ましい。
【0188】
糖抗原は、好ましくはコンジュゲートの形態である。一般的に、コンジュゲーションはT非依存性抗原からT依存性抗原へと糖を変換する際に、糖の免疫原性を増強し、免疫記憶のためのプライミングを可能にする。コンジュゲーションは、特に小児用ワクチンに有用であり、周知の技術である。
【0189】
典型的な担体タンパク質は、細菌毒素、例えばジフテリア若しくは破傷風毒素、又はトキソイド若しくはその突然変異体である。CRM197ジフテリア毒素変異体[Research Disclosure, 453077(2002年1月)]は有用であり、PREVNARという商品名で販売されている肺炎連鎖球菌ワクチンの担体である。他の適切な担体タンパク質には、髄膜炎菌外膜タンパク質複合体[欧州特許出願公開第0372501号]、合成ペプチド[欧州特許出願公開第0378881号、欧州特許出願公開第0427347号]、熱ショックタンパク質[国際公開第93/17712号、国際公開第94/03208号]、百日咳タンパク質[国際公開第98/58668号、欧州特許出願公開第0471177号]、サイトカイン[国際公開第91/01146号]、リンホカイン[国立大学法人91/01146号]、ホルモン[国際公開第91/01146号]、増殖因子[国際公開第91/01146号]、様々な病原体由来抗原に由来する複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質[Falugiら, (2001年) Eur J Immunol 31巻:3816-3824頁]、例えばN19 [Baraldoら, (2004年) Infect Immun 72巻(8号):4884-頁]、インフルエンザ菌由来のプロテインD [欧州特許出願公開第0594610号、Ruanら, (1990年) J Immunol 145巻:3379-3384頁]、ニューモリシン[Kuoら, (1995年) Infect Immun 63巻:2706-13頁]又はその非毒性誘導体[Michonら, (1998年) Vaccine. 16巻:1732-41頁]、肺炎球菌表面タンパク質PspA[国際公開第02/091998号]、鉄摂取タンパク質[国際公開第01/7233号]、クロストリジウム・ディフィシレ(C.difficile)由来のトキシンA又はB[国際公開第00/61761号]、組換え緑膿菌(P.aeruginosa)外タンパク質A(rEPA) [国際公開第00/33882号]などが含まれる。
【0190】
必要に応じて、任意の適切なリンカーを用いて、任意の適切なコンジュゲーション反応を使用することができる。
【0191】
糖は、典型的には、コンジュゲーション前に活性化又は機能化される。活性化は、例えば、シアニル化試薬、例えばCDAP (例えば1-シアノ-4-ジメチルアミノピリジニウムテトラフルオロボレート[Leesら, (1996年) Vaccine 14巻:190-198頁、国際公開第95/08348号])を含むことができる。他の適切な技術は、カルボジイミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p-ニトロ安息香酸、N-ヒドロキシスクシンイミド、S-NHS、EDC、TSTUなどを使用する。
【0192】
リンカー基を介する連結は、任意の公知の手順、例えば、米国特許第4,882,317号及び米国特許第4,695,624号に記載されている手順を用いて作製することができる。1つのタイプの連結は、多糖の還元アミノ化を伴い、得られたアミノ基をアジピン酸リンカー基の一端とカップリングさせ、次にタンパク質をアジピン酸リンカー基の他端とカップリングさせる[Porroら, (1985年) Mol Immunol 22巻:907-919頁、欧州特許第0208375号]。他のリンカーには、B-プロピオンアミド[国際公開第00/10599号]、ニトロフェニル-エチルアミン[Geverら, Med. Microbiol. Immunol, 165巻: 171-288頁 (1979年)]、ハロアシルハライド[米国特許第4,057,685号]、グリコシド結合[米国特許第4,673,574号; 米国特許第4,761,283号; 米国特許第4,808,700号]、6-アミノカプロン酸[米国特許第4,459,28号]、ADH [米国特許第4,965,338号]、C4からC12部分[米国特許第4,663,160号]などが含まれる。リンカーを使用する代わりに、直接連結を使用することができる。タンパク質への直接連結は、例えば米国特許第4,761,283号書及び米国特許第4,356,170号に記載されているように、多糖の酸化、続くタンパク質による還元アミノ化を含み得る。
【0193】
糖へのアミノ基の導入(例えば、末端=O基を-NH2で置き換えることによる)、続いてアジピン酸ジエステル(例えば、アジピン酸N-ヒドロキシスクシンイミドジエステル)での誘導体化、及び担体タンパク質との反応を伴う方法が好ましい。別の好ましい反応は、例えば、MenA又はMenCのためのプロテインD担体を有するCDAP活性化を使用する。
【0194】
組成物中の抗原は、典型的には、各々少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般的に、任意の所与の抗原の濃度はその抗原に対する免疫応答を発揮するのに十分である。
【0195】
本発明の免疫原性組成物は、治療的に(すなわち、既存の感染を治療するために)又は予防的に(すなわち、将来の感染を予防するために)使用することができる。
【0196】
本発明の免疫原性組成物中にタンパク質抗原を使用する代わりに、抗原をコードする核酸(RNA、例えば自己複製RNA、又はDNA、例えばプラスミドであり得る)を使用することができる。
【0197】
一般
用語「含んでいる(comprising)」は、「含んでいる(including)」並びに「からなる(consisiting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物は、Xから独占的になり得るか、又は、例えば何か追加的なものを含み得、例えばX+Yであり得る。「含んでいる(comprising)」(又は「含む(comprises)」など)への言及は、場合により「からなる(consisiting of)」(「からなる(consists of)」など)への言及で置き換えられ得る。「本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、請求の範囲を、特定の材料又は工程、並びに請求された発明の「基本的及び新規な特徴(複数可)に実質的な影響を及ぼさないもの」に限定する。
【0198】
数値xに関する用語「約」は任意であり、例えばx±10%を意味する。
【0199】
「実質的に」という用語は、「完全に」除外しない。例えば、「実質的に」Yを含まない組成物は、Yを完全に含まない場合がある。必要に応じて、「実質的に」という用語は、本発明の定義から省略することができる。
【0200】
本開示が「エピトープ」に関する場合、このエピトープは、B細胞エピトープ及び/又はT細胞エピトープであり得るが、通常、B細胞エピトープである。このようなエピトープは経験的に(例えば、PEPSCAN(例えば、Geysenら, (1984年) PNAS USA 81巻:3998-4002頁、Carter (1994年) Methods Mol Biol 36巻:207-23頁を参照されたい)又は類似の方法を用いて)同定することができ、又はそれらは(例えば、Jameson-Wolf抗原指数(Jameson, BAら, 1988年, CABIOS 4巻(1号):181-186頁)、マトリックスベースのアプローチ(Raddrizzani & Hammer (2000年) Brief Bioinform 1巻(2号):179-89頁)、MAPITOPE (Bublilら, (2007年) Proteins 68巻(1号):294-304頁)、TEPITOPE (De Lallaら, (1999年) J. Immunol. 163巻:1725-29頁、Kwokら, (2001年) Trends Immunol 22巻:583-88頁)、ニューラルネットワーク(Brusicら, (1998年) Bioinformatics 14巻(2号):121-30頁)、OptiMer & EpiMer (Meisterら, (1995年) Vaccine 13巻(6号):581-91頁、Robertsら, (1996年) AIDS Res Hum Retroviruses 12巻(7号):593-610頁)、ADEPT (Maksyutov & Zagrebelnaya (1993年) Comput Appl Biosci 9巻(3号):291-7頁)、Tsites (Feller & de la Cruz (1991年) Nature 349巻(6311号):720-1頁)、親水性(Hopp (1993年) Peptide Research 6巻:183-190頁)、又は抗原指数(Wellingら, (1985年) FEBS Lett. 188巻:215-218頁)を用いて)予期することができる。エピトープは、抗体又はT細胞受容体の抗原結合部位によって認識され、それに結合する抗原の部分であり、それらは「抗原決定基」とも呼ばれる。
【0201】
本明細書で使用される場合、クエリーアミノ酸配列と対象アミノ酸配列の間の「配列同一性パーセンテージ」への言及は、ペアワイズ配列アラインメントを行うために当該技術分野において公知である適切なアルゴリズム又はソフトウェアプログラムを使用して計算される同一性の値を指すものと理解される。
【0202】
クエリーアミノ酸配列は、本明細書中の1つ以上のクレームにおいて同定されたアミノ酸配列によって記載することができる。クエリー配列は、対象配列と100%同一であり得、又は同一性%が100%未満であるように、対象配列と比較してある整数までのアミノ酸変化(例えば点突然変異、置換、欠失、挿入など)を含み得る。例えば、クエリー配列は、対象配列と少なくとも80、85、90、95、96、97、98、又は99%同一である。
【0203】
アラインメントを行い、パーセンテージ(%)配列同一性を計算するために使用される好ましいアラインメントツールは、Basic Local Alignment Search Tool(BLAST)アルゴリズムなどのローカルアラインメントツールである。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Centre for Biotechnology Information(www.ncbi.nlm.nih.gov)を通じて公に入手可能である。アラインメントは、ギャップオープンペナルティ12及びギャップ拡張ペナルティ2、BLOSUMマトリックス62を有するアフィンギャップ検索を使用して、Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定することができる。Smith-Waterman相同性検索アルゴリズムは、Smith & Waterman (1981年) Adv. Appl. Math. 2巻: 482-489頁に開示されている。他の好ましいアラインメントツールは、Water(EMBOSS)及びMarcher(EMBOSS)である。あるいは、アラインメントを行い、配列同一性パーセンテージ(%)を計算するために使用される好ましいアラインメントツールは、ベストフィットアラインメントツール、例えば、KERRアルゴリズムとしても公知であるGENEPASTである。
【0204】
同一性パーセントを計算するために、クエリー及び対象配列は、指定された領域(例えば、長さが少なくとも約40、45、50、55、60、65又はそれ以上のアミノ酸の領域、及び対象アミノ酸配列の全長までであり得る)にわたる最大対応について比較し、整列され得る。前記指定された領域は、アミノ酸配列中の任意の特定の点突然変異を含むクエリー配列の領域を含む必要がある。あるいは、配列同一性パーセンテージは、対象配列の「全長」にわたって計算され得る。クエリー配列、例えば、シグナルペプチド若しくはリーダーペプチド、又はC末端若しくはN末端タグ中に存在し得るN末端又はC末端アミノ酸ストレッチは、アラインメントから除外されるべきである。
【0205】
ポリペプチド配列に関して「断片」という用語は、ポリペプチドが全長タンパク質の画分であることを意味する。本明細書で使用される場合、突然変異体ポリペプチドの断片は、突然変異(複数可)もまた含む。断片は、全長タンパク質と共通の定性的な生物学的活性を有することができ、例えば、「免疫原性断片」は、1つ以上のエピトープ、例えば免疫優性エピトープを含有するか又はコードし、これは、全長配列に高められたものと同じ又は類似の免疫応答を断片に対して高めることを可能にする。ポリペプチド断片は、一般に、天然タンパク質と比較して欠失されたアミノ(N)末端部分及び/又はカルボキシ(C)末端部分を有するが、断片の残りのアミノ酸配列は天然タンパク質のアミノ酸配列と同一である。ポリペプチド断片は、例えば、約8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、24、26、28、40、45、50、55、60、70、80、90、100、150、200、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262個の連続するアミノ酸、例えば、参照ポリペプチド配列の間の全ての整数、例えば、参照ポリペプチド配列の50~260、50~255、50~250、50~200、50~150個の連続するアミノ酸を含有し得る。用語「断片」は、完全長fHbpポリペプチド及びその成熟リポタンパク質を明示的に排除する。
【0206】
血清群に続いて、髄膜炎菌分類には血清型、血清亜型、次に免疫型が含まれ、標準的な命名法には血清群、血清型、血清亜型、及び免疫型が列挙され、各々はコロンによって区切られ、例えば、B:4:P1.15:L3,7,9である。血清群Bの中では、ある系統はしばしば疾患を引き起こし(高侵襲性)、ある系統は他の系統よりも重度形態を引き起こし(高悪性)、他の系統はまったく疾患を引き起こさない。7つの高悪性系統、すなわち亜群I、III及びIV-1、ET-5複合体、ET-37複合体、A4クラスター及び系統3が認識される。これらは、多遺伝子座酵素電気泳動(MLEE)によって画定されているが、多遺伝子座配列タイピング(MLST)もまた髄膜炎菌を分類するために使用されている。4つの主な高悪性クラスターは、ST32、ST44、ST8及びST11複合体である。
【0207】
本明細書において、「安定性の増大」又は「より高い安定性」又は「安定性の増加」という用語は、本明細書に開示される突然変異体ポリペプチドが、同じ実験条件下で非突然変異体(野生型)ポリペプチドと比較して高い相対的熱安定性(kcal/mol)を有することを意味する。安定性の増大は、例えば、Bruylantsら(Differential Scanning Calorimetry in Life Sciences: Thermodynamics, Stability, Molecular Recognition and Application in Drug Design, 2005年 Curr. Med. Chem. 12巻: 2011-2020頁)及びCalorimetry Sciences Corporation's "Characterizing Protein stability by DSC" (Life Sciences Application Note, Doc. No. 20211021306 February 2006)において検討されている示差走査熱量測定(DSC)を用いて、又は示差走査蛍光測定(DSF)によって評価することができる。安定性の増加は、DSC又はDSFによって評価されるように、熱転移中間点(Tm)における少なくとも約5℃の増加として特徴付けることができる。例えば、Thomas ら, Effect of single-point mutations on the stability and immunogenicity of a recombinant ricin A chain subunit vaccine antigen, 2013年 Hum. Vaccin. Immunother. 9巻(4号): 744-752頁を参照されたい。
【0208】
本発明は、例示としてのみ上述され、本発明の範囲及び精神内に留まる間、改変がなされ得ることが理解される。
以下、本発明の実施形態を示す。
(1)配列番号2と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドであって、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号2の残基E211、S216及びE232のうちの1つ以上における置換突然変異を含む、前記突然変異体v1.13髄膜炎菌fHbpポリペプチド。
(2)前記アミノ酸配列が、置換E211A、S216R及びE232Aのうちの少なくとも1つ以上で配列番号2と異なる、(1)記載のポリペプチド。
(3)前記アミノ酸配列が、以下:
(i)E211A及びS216R、並びに
(ii)E211A及びE232A
から選択される複数の残基における置換を含む、(2)記載のポリペプチド。
(4)前記アミノ酸配列が残基E211A及びS216Rにおける置換を含む、(3)記載のポリペプチド。
(5)配列番号4のアミノ酸配列を含むか又はそれから成る、(4)記載のポリペプチド。
(6)前記アミノ酸配列が残基E211A及びE232Aにおける置換を含む、(3)記載のポリペプチド。
(7)配列番号3のアミノ酸配列を含むか又はそれから成る、(6)記載のポリペプチド。
(8)配列番号6と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチドであって、前記突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチドのアミノ酸配列が、配列番号6の残基E214、S219及びE235のうちの1つ以上における置換突然変異を含む、前記突然変異体v1.15髄膜炎菌fHbpポリペプチド。
(9)前記アミノ酸配列がE214A、S219R及びE235Aの置換のうちの少なくとも1つ以上で配列番号6と異なる、(8)記載のポリペプチド。
(10)前記アミノ酸配列が、以下:
(i)S219R
(ii)E214A及びS219R;並びに
(iii)E214A及びE235A
から成る群から選択される残基における置換を含む、(9)記載のポリペプチド。
(11)配列番号7、配列番号8又は配列番号9のアミノ酸配列を含むか又はそれから成る、(8)~(10)のいずれか1記載のポリペプチド。
(12)v1、v2、及びv3の髄膜炎菌fHbpポリペプチドを含む融合ポリペプチドであって、変異体fHbp配列が、NからC末端にv2-v3-v1の順序であり、且つ、前記v1 fHbpポリペプチドが、(1)~(7)のいずれか1記載の突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、又は(8)~(11)のいずれか1記載の突然変異体v1.15fHbpポリペプチドである、前記融合ポリペプチド。
(13)前記v1 fHbpポリペプチドが、(1)~(7)のいずれか1記載の突然変異体v1.13 fHbpポリペプチドである、(12)記載の融合ポリペプチド。
(14)(a)前記v2 fHbpポリペプチドが、配列番号12と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v2 fHbpポリペプチドであり、該v2 fHbpアミノ酸配列は配列番号12の残基S32及びL123における置換突然変異を含み、且つ、該置換はS32V及びL123Rであり、且つ、
(b)前記v3 fHbpポリペプチドが、配列番号15と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む突然変異体v3 fHbpポリペプチドであり、該v3 fHbpアミノ酸配列は配列番号15の残基S32及びL126における置換突然変異を含み、且つ、該置換はS32V及びL126Rである、
(12)又は(13)記載の融合ポリペプチド。
(15)(a)前記v2 fHbpポリペプチドが配列番号16のアミノ酸配列を含むか若しくはそれから成り、及び/又は
(b)前記v3 fHbpポリペプチドが配列番号17のアミノ酸配列を含むか若しくはそれから成る、
(14)記載の融合ポリペプチド。
(16)前記v2及びv3配列、並びに前記v3及びv1配列がグリシン-セリンリンカーによって連結されている、(12)~(15)のいずれか1記載の融合ポリペプチド。
(17)前記グリシン-セリンリンカーが「GSGGGG」である、(16)記載の融合ポリペプチド。
(18)配列番号18~22のいずれかのアミノ酸配列を含む、(12)~(17)のいずれか1記載の融合ポリペプチド。
(19)配列番号34のN末端アミノ酸配列をさらに含む、(12)~(18)のいずれか1記載の融合ポリペプチド。
(20)(1)~(7)のいずれか1記載の突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、(8)~(11)のいずれか1記載の突然変異体v1.15fHbpポリペプチド、又は(12)~(19)のいずれか1記載の融合ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子、場合によりプラスミド。
(21)(20)記載の核酸分子で形質転換された組換え宿主細胞。
(22)(1)~(7)のいずれか1記載の突然変異体v1.13fHbpポリペプチド、(8)~(11)のいずれか1記載の突然変異体v1.15fHbpポリペプチド、又は(12)~(19)のいずれか1記載の融合ポリペプチドを含む免疫原性組成物。
(23)髄膜炎菌NHBA抗原、髄膜炎菌NadA抗原、髄膜炎菌fHbp抗原、及び髄膜炎菌外膜小胞(OMV)の1つ以上をさらに含む、(22)記載の免疫原性組成物。
(24)4CMenB組成物を含む、(23)記載の免疫原性組成物。
(25)髄膜炎菌血清群A、C、W135及び/又はYからのコンジュゲートされた莢膜糖をさらに含む、(22)~(24)のいずれか1記載の免疫原性組成物。
(26)髄膜炎菌血清群A、C、W135及びYの各々からのコンジュゲートされた莢膜糖類をさらに含む、(25)記載の免疫原性組成物。
(27)(22)~(26)のいずれか1記載の免疫原性組成物を投与することを含む、哺乳動物における免疫応答を高める方法。
(28)医療における使用のための、(22)~(26)のいずれか1記載の免疫原性組成物。
(29)ワクチンとしての使用のための、(22)~(26)のいずれか1記載の免疫原性組成物。
(30)哺乳動物における免疫応答を高める方法における使用のための、(22)~(26)のいずれか1記載の免疫原性組成物。
(31)哺乳動物を髄膜炎菌感染に対して免疫化する際における使用のための、(22)~(26)のいずれか1記載の免疫原性組成物。
(32)前記哺乳動物がヒトである、(27)記載の方法、又は(28)~(31)のいずれか1記載の使用のための免疫原性組成物。
【0209】
【0210】
発明を実施するための形態
本発明は、ここで以下の非限定的な実施例を参照することによってさらに定義される。
【実施例】
【0211】
[実施例1]
変異体1.13突然変異体を含む安定化fHbp231融合体の安定性分析
上記されるように、示差走査熱量測定(DSC)は、タンパク質の熱安定性及びドメインフォールディングに関する情報を提供し、文献、例えばJohnson (2013年) Arch Biochem Biophys 531巻:100-9頁及びBruylantsら, Current Medicinal Chemistry 2005年; 12巻:2011-20頁に記載されている。DSCは以前、v2 fHbpの安定性を評価するために使用されてきた(Johnsonら, PLoS Pathogen 2012; 8:e1002981)。安定性を評価するためのDSCの適切な条件は、100~200mM NaCl(例えば150mM)を含むpH6~8(例えば7~7.5)の緩衝溶液(例えば25mM Tris)中の20μMのポリペプチドを使用することができる。
【0212】
本発明者らはこの技術を用いて、231S融合タンパク質の安定性におけるfHbp変異体1亜変異体の突然変異の効果を調べた。
【0213】
この実施例で使用される安定化されたfHbp231融合(「231S」と称する)は、安定化突然変異を含む変異体2及び変異体3配列を含む。具体的には、231S融合体のv2成分は、S32VとL123R突然変異の両方を含む配列番号16の配列を有する。231S融合体のv3成分は、S32VとL126R突然変異の両方を含む配列番号17の配列を有する。本発明者らは、安定性における効果を調査するために231S融合体のv1成分を変更した。
【0214】
fHbp変異体ポリペプチドの各々は、N末端及びC末端ドメインを含み、DSCサーモグラムにおいて、2つの異なる転移(ピーク)として明確に区別することができる。ほとんどのfHbp変異体のC末端転移に対応するTm値は約90℃で見られるが、N末端ドメインのTm値は異なるfHbp変異体間で大きく異なり、変異体2.1野生型で見られる最低値(42℃)及びvar1.1で最高値(70℃)を示した。
【0215】
図2は、DSCデータを比較する4つの異なるサーモグラムを示し、fHbp231S融合体の変異体1成分は以下の通りである:
fHbp v1.1又はfHbp v1.13又は(A)fHbp v.1.13 E211A(
図2A);
fHbp v1.1又はfHbp v1.13又は(B)fHbp v1.13 S216R(
図2B);
fHbp v1.1又はfHbp v1.13又はfHbp v.1.13 E211A/E232A(
図2C);及び
fHbp v1.1又はfHbp v1.13又はfHbp v.1.13 E211A/S216R(
図2D)。
【0216】
これらの4つのサーモグラムの各々から、(i)融合構築物中のfHbpユニットは正しくフォールドされ、(ii)v1突然変異は、野生型v1配列を含む融合体と比較して、C末端転移温度の増加を引き起こすことによって、融合構築物を安定化するのに効果的であると結論付けることができる。
【0217】
[実施例2]
fHbp単一変異体のhfHへの結合
ヒト因子H(hfH)への結合を低減させるfHbp変異体1.13及び1.15の能力における置換突然変異の影響を調べるために、表1に示す以下のポリペプチドを生成した(参照配列の一部としてまだ示されていないC末端のHis6タグを付加した):
【0218】
【0219】
本発明者らは、表面プラズモン共鳴(SPR)を用いてfHbp単一変異突然変異体のhfHへの結合を調査した。SPRは、タンパク質-タンパク質相互作用の詳細であり、定量的な研究を可能にし、それらの平衡及び動態パラメータを決定する技術である(例えば、Karlssonら, (1994年) Methods 6巻:99-110頁に記載されている)。
【0220】
SPRベースの結合方法は、センサーチップの表面上にリガンドを固定化することを伴う。対象とするリガンドは、明確に定義された化学を用いてセンサーチップの表面に固定化され、異なる濃度の分析物を有する溶液が、センサーチップ上を流れ、固定化されたリガンドに対するその相互作用を特徴付けることを可能にする。SPRシグナルは、金センサーチップの表面における屈折率の変化に起因する。
【0221】
経時的にSPRシグナルの変化をモニターすることにより、センサーグラム、結合応答(RU)対時間のプロットが生成され、これにより結合事象の異なる段階を可視化し、評価することができる。
【0222】
分析物の注入中に、結合応答の増加は、表面における分析物-リガンド複合体の形成によるものであり、センサーグラムは会合相によって支配される。注入後、定常状態に達し、結合及び解離分子は平衡状態にある。分析物注入が終了した後の応答の減少は、解離相を規定する複合体の解離によるものである。センサーグラムデータを適切な動力学結合モデルに適合させることにより、動態パラメータ、例えば会合(ka)及び解離(kd)速度定数、並びに試験した相互作用の結合親和性を計算することができる。
【0223】
発明者らは、以下の実験セットアップを使用した:
・チップ:アミン化学により、酢酸緩衝液pH4.0中10μg/mlの固定化された約400RUのH6-7ドメイン、及びアミン化学により、酢酸緩衝液pH4.0中20μg/mlの固定化した約2500RUの因子H、ヒト(Merck Millipore)を有するCM-5
・泳動緩衝液:HBS-P 1x
・分析された抗原:表1に示される
・抗原を250nMの固定濃度で適用した
・接触時間:120秒、流速:30μl/分、解離時間:120秒
・再生緩衝液:100mMグリシン-HCl、3M NaCl pH2.0。
【0224】
図3(A-D)に示されるデータは、fHbp v1.1(BEXSERO(登録商標)に存在するfHbp抗原)及びfHbp v1.13(野生型)の因子H(hfH)ドメイン6-7への結合を、fHbp v1.13 E211A(
図3A)、fHbp v1.13 S216R(
図3B)、fHbp v1.13 E211A/E232A(
図3C)及びfHbp v1.13 E211A/S216R(
図3D)と比較する。
【0225】
ドメイン6-7のみを含有するhfHの断片は、fHbp-hfH相互作用を模倣するのに十分であることが示され(Schneiderら, (2009年) Nature 458巻:890-893頁)、したがって、fHbp突然変異体及び構築物のhfHに対する親和性を評価するための単純化されたモデル系を提供する。
【0226】
fHbp v1.13の単一突然変異体はv.1.1及び野生型v1.13と比較してfH結合が低減しているが(
図3A及び3Bを参照されたい)、二重突然変異体v1.13 E211A/E232A及びv1.13 E211A/S216Rは、大幅に低減した結合活性を提示する(
図3C及び3Dを参照されたい)。
【0227】
図4(A-D)に示されるデータは、fHbp v1.1及びfHbp v1.13(野生型)の全長因子Hタンパク質への結合を、fHbp v1.13 E211A(
図4A)、fHbp v1.13 S216R(
図4B)、fHbp v1.13 E211A/E232A(
図4C)及びfHbp v.1.13 E211A/S216R(
図4D)と比較する。
【0228】
fHbp v1.13の単一突然変異体はv.1.1及び野生型v1.13と比較して低減したfH結合を示しているが(
図4A及び4Bを参照されたい)、二重突然変異体v1.13 E211A/E232A及びv1.13 E211A/S216Rは、大幅に低減した結合活性を提示する(
図4C及び4Dを参照されたい)。
【0229】
図5(A-D)に示されるデータは、fHbp v1.1及びfHbp v1.15(野生型)の因子Hドメイン6-7への結合を、fHbp v.1.15 E214A(
図5A)、fHbp v1.15 S219R(
図5B)、fHbp v.1.15 E214A/E235A(
図5C)及びfHbp v.1.15 E214A/S219R(
図5D)と比較する。
【0230】
fHbp v1.15単一突然変異体はv.1.1及び野生型v1.15と比較してfH結合の低減を示しているが(
図5A及び5Bを参照されたい)、二重突然変異体v1.15 E214A/E235A及びv1.15 E214A/S219Rは、因子HサブドメインfH6-7への有意な結合を示さない(
図5C及び5Dを参照されたい)。
【0231】
図6(A-D)に示されるデータは、fHbp v1.1及びfHbp v1.15(野生型)の全長因子Hタンパク質への結合を、fHbp v.1.15 E214A(
図6A)、fHbp v1.15 S219R(
図6B)、fHbp v.1.15 E214A/E235A(
図6C)及びfHbp v.1.15 E214A/S219R(
図6D)と比較する。
【0232】
fHbp v1.15の単一突然変異体E214Aはv.1.1及び野生型v1.15と比較して低減したfH結合を示しているが(
図6Aを参照されたい)、単一突然変異体v1.15 S219R及び二重突然変異体v1.15 E214A/E235Aは、全長fHタンパク質に有意に結合しない(
図6B及びCを参照されたい)。
【0233】
二重突然変異体v1.15 E214A/S219Rは、全長fHタンパク質に対する一部の残存結合活性を示すようである(
図6Dを参照されたい)。
【0234】
したがって、要約すると、hfH結合を低減又は消失させる最も有望な候補は、fHbp突然変異体v1.13 E211A/E232A、v1.13 E211A/S216R、v1.15 S219R及びv1.15 E214A/E235Aである。
【0235】
[実施例3]
fHbp23(S)1.13及び23(S)1.15融合突然変異体のhfHへの結合
以下の融合ポリペプチド(表2)を(参照配列の一部としてまだ指示されていないC末端のHis6タグを付加して)生成し、融合体のヒト因子H(hfH)への結合能におけるfHbp231融合タンパク質のvar1成分の突然変異の影響を調べた。
【0236】
【0237】
本発明者らは、実施例2に関して上記したように、SPRを用いてhfHbp23(S)1.13及び23(S)1.15融合突然変異体のhfHへの結合を調べた。
【0238】
この実施例で使用されるfHbp231S融合体(配列番号30)は、上記で詳細に記載されるように、それぞれS32V/L123R及びS32V/L126R安定化突然変異を含む変異体2及び変異体3配列を含む。具体的には、213S融合体のv2成分は配列番号16の配列を有し、213S融合体のv3成分は配列番号17の配列を有する。fHbp231S融合体のv1.1成分は、上述の配列番号30において太字で示され、国際公開第2011/126863号に記載されるR41S突然変異に対応するfH非結合点突然変異(R→S)を含む。
【0239】
この実施例で使用されるfHbp231wt融合体(配列番号29)は、v2及びv3における安定化突然変異の導入を伴わず、v1.1における非結合突然変異を伴わない、配列番号30の融合体に対応する。
【0240】
fHbp23S_1.13E211A/S216R融合体(配列番号19)は、配列番号30の融合体に対応するが、融合体のv1成分は、本発明のv1.13非結合性E211A/S216R突然変異体である。
【0241】
fHbp23S_1.15 E214A/E235A融合体(配列番号22)は、配列番号30の融合体に対応するが、融合体のv1成分は、本発明のv1.15非結合性E214A/E235A突然変異体である。
【0242】
fHbp-23S_1.13E211A/E232A融合体(配列番号18)は、配列番号30の融合体に対応するが、融合のv1成分は、本発明のv1.13非結合性E211A/S216R突然変異体である。
【0243】
fHbp231wt(配列番号29)及びfHbp231S(配列番号30)融合タンパク質は、この実験において対照として機能する。
【0244】
図7(A-B)に示されるセンサーグラムは、fHbp231wt fHbp231Sの因子H(hfH)ドメイン6-7への結合を、fHbp 23S_1.13E211A/S216R(
図7A)及びfHbp23S_1.13E211A/E232A(
図7B)と比較する。
【0245】
図8に示されるセンサーグラムは、fHbp231wt fHbp231Sの因子H(hfH)ドメイン6-7への結合をfHbp23S_1.15 E214A/E235Aと比較する。
【0246】
ドメイン6-7のみを含有するhfHの断片は、fHbp-hfH相互作用を模倣するのに十分であることが示され(Schneiderら (2009年) Nature 458巻:890-893頁)、したがって、fHbp突然変異体及び構築物のhfHに対する親和性を評価するための単純化されたモデル系を提供する。
【0247】
v1.13/1.15突然変異体の3つ全てが、因子Hドメイン6-7への強く低減した結合活性を提示することが
図7及び8から明らかである。2fHbp 31S融合体に関して、v1.13及びv1.15突然変異体融合によって示される結合活性は明らかに低減する。
【0248】
図9(A-B)に示されるセンサーグラムは、fHbp 231wt fHbp 231Sの全長因子Hタンパク質への結合をfHbp 23S_1.13E211A/S216R(
図9A)及びfHbp 23S_1.13E211A/E232A(
図9B)と比較する。
【0249】
図10に示されるセンサーグラムは、fHbp231wt及びfHbp231Sの全長因子Hタンパク質への結合をfHbp23S_1.15 E214A/E235Aと比較する。
【0250】
これらのデータは、試験したv1.13/1.15突然変異体の3つ全てが、fHbp231S融合体に匹敵する、全長因子Hへの強く低減した結合活性を提示することを示す。
【0251】
[実施例4]
種々の異なるfHbp v1亜変異体(v1.x)を発現する髄膜炎菌株に対する本発明によるfHbp融合タンパク質によって誘発される免疫原性の調査
主目的:
種々の異なるfHbp v1亜変異体においてfHbpを発現する髄膜炎菌株に対するhfH結合を低減又は抑制する突然変異を含む231.13融合タンパク質によって誘発された免疫原性を、既存のfHbp抗原/融合タンパク質及び認可された4CMenBワクチンと比較して調査すること。以下のfHbp v1亜変異体(v1.x)株:v1.1、v1.10、v1.13、v1.14及びv1.15に対して、ウサギ血清殺菌アッセイ(rSBA)及びヒト血清殺菌アッセイ(hSBA)を用いて免疫原性を決定する。
【0252】
これらの実験は、本発明によるfHbp融合タンパク質が、既存の抗原/融合組成物及び認可された4CMenBワクチンと比較して、fHbp v1.xを発現する株のパネルに対して同等の免疫原性(非劣性)を示すかどうかを評価することを目的とする。
【0253】
免疫化プロトコール:
・10匹(6~8週齢のCD1雌)のマウスの7つのグループは、以下の表3に詳述するように、7種の異なる抗原組成物のうちの1つを200μl用量で3回に分けて受けた。
・マウスを1、22及び36日目に腹腔内(i.p.)に免疫した。
・0、35及び50日目にマウスから採血した。
【0254】
【0255】
評価項目:
・3回目の免疫化から2週間後にfHbpに対して誘発された総IgG。
・fHbp v1.1、v1.10、v1.13、v1.14及びv1.15を発現する髄膜炎菌株のパネルに対するプールされた血清のrSBA及びhSBA分析。
【0256】
結果:
図11Aは、v1.xにおいてfHbpを発現する種々の髄膜炎菌株に対して試験された7つの抗原組成物の各々についてのrSBA力価(ウサギ補体)を示す。SBAの結果では、各ドットはプールされた血清について分析された単一株のSBA力価を表す。
図11Bは、v1.xにおいてfHbpを発現する同じ様々な株に対して試験された7つの抗原組成物の各々についてのhSBA力価(ヒト補体)を示す。
【0257】
結果は、本発明によるfHbp融合タンパク質(グループ1及び2)が、認可されたBEXSERO製品及びBEXSERO fHbp抗原(936-741)とv1.x株のパネルに対して同等(非劣性)の免疫原性を示すことを示す。
【0258】
興味深いことに、これらの結果はまた、本発明によるfHbp融合タンパク質(グループ1及び2)が、rSBAとhSBAの両方で測定した場合に、v1.x株の特許に対して、当該技術分野において公知である既存の融合タンパク質(具体的には231.1S融合体(本明細書では配列番号30))よりも免疫原性であることを示す。
【0259】
[実施例5]
fHbp v2/v3を発現する髄膜炎菌株に対する本発明によるfHbp融合タンパク質によって誘発される免疫原性の調査
主目的:
v2又はv3でfHbpを発現する髄膜炎菌株に対するhfH結合を低減又は抑制する突然変異を含む231.13融合タンパク質によって誘発された免疫原性を、既存のfHbp抗原/融合タンパク質及び認可された4CMenBワクチンと比較して調べること。これらの実験は、3つの異なる突然変異型fHbp変異体を含めることが、既存の抗原組成物と比較して、株カバレッジの幅を増加させる可能性があるかどうかを評価することを目的とする。
【0260】
以下のfHbp v2及びv3株:v2.16、v3.31及びv3.42に対するウサギ血清殺菌試験(rSBA)及びヒト血清殺菌試験(hSBA)を用いて免疫原性を決定する。
【0261】
免疫化プロトコール:
・10匹のマウスからなる7つのグループ(CD1雌、6~8週齢)は、下記の表4に詳述するように、7種類の異なる抗原組成物のうちの1つを200μl用量で3回に分けて受けた。
・マウスを1、22及び36日目に腹腔内(i.p.)に免疫した。
・0、35、50日目にマウスから採血した。
【0262】
【0263】
評価項目:
・3回目の免疫化から2週間後にfHbpに対して誘発された総IgG。
・変異型2又は変異型3においてfHbpを発現する髄膜炎菌株のパネルに対するプールされた血清のrSBA及びhSBA分析。
【0264】
結果:
図12Aは、v2又はv3においてfHbpを発現する種々の髄膜炎菌株に対して試験された7つの抗原組成物の各々についてのrSBA力価を示す。SBAの結果では、各ドットはプールされた血清について分析された単一株のSBA力価を表す。
図12Bは、v2又はv3においてfHbpを発現する同じ様々な株に対して試験された7つの抗原組成物の各々についてのhSBA力価を示す。
【0265】
結果は、3つ全てのfHbp変異体を含む融合タンパク質が、fHbp v1.1単独、BEXSEROに含まれる936-741融合体、又は実際にはBEXSERO生成物自体と比較して、rSBA及びhSBAにおいてはるかに高い力価を生じることを示す。これは、既存のワクチン又はワクチン成分と比較して、v2又はv3においてfHbpを発現する株に対する有意に改善された免疫学的応答の証拠である。
【0266】
[実施例6]
本発明のfHbp231.x非結合突然変異体を現在の4CMenBワクチンに含めることの付加価値の評価
主目的:
a)選択された血清群B髄膜炎菌の20fHbp var 2及び3株に対するhSBA力価で測定した場合、2つの異なる動物モデル(マウス及びウサギ)における3回目の投与から2週間後の現在の4CMenBワクチンと比較して、4CMenB+本発明のfHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質の株カバレッジ(hSBA力価≧64として定義される)を評価すること。
b)選択された血清群B髄膜炎菌の30fHbp var 1.x株に対するhSBA力価で測定した場合、2つの異なる動物モデル(マウス及びウサギ)における3回目の投与から2週間後の現在の4CMenBワクチンと比較して、4CMenB+本発明のfHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質の株カバレッジ(hSBA力価≧64として定義される)を評価すること。
c)4CMenB参照株並びに4CMenBでカバーされると予測されるfHbp var 1.1及び1.4を保有する株を含む11血清群B髄膜炎菌に対するhSBA力価で測定した場合、2つの異なる動物モデル(マウス及びウサギ)における3回目の投与から2週間後の現在の4CMenBワクチンと比較して、4CMenB+本発明のfHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質の株カバレッジ(非劣性を評価するため)を評価すること。
【0267】
評価項目:3回目の注射から2週間後に回収したプールされた血清(1グループあたり1プール)からのhSBA力価。
【0268】
マウスにおける試験設計
4~6週齢の系統のCD1雌マウスは、1、22及び36日目に200μlの4CMenB吸着させた水酸化アルミニウム(Bexsero)又は4CMenB吸着させた水酸化アルミニウム(BEXSERO)プラス様々な異なるfHbp231融合タンパク質(下記の表5に示される)の3回の腹腔内(IP)注射を受けた。1回目の注射前(0日目)に血液試料を回収し、3回目の注射から2週間後(49日目)に最終採血を行った。
【0269】
【0270】
ウサギにおける試験設計
9週齢のニュージーランド雌ウサギは、1、21及び35日目に500μlの4CMenBを吸着させた水酸化アルミニウム(BEXSERO)又は4CMenBを吸着させた水酸化アルミニウム(BEXSERO)プラス様々な異なるfHbp231融合タンパク質(下記の表6に示される)の3回の筋肉内(IM)注射を受けた。3回目の注射から2週間後に最終採血を行った。
【0271】
【0272】
試料サイズの妥当性
10匹のマウス及び3匹ウサギ/グループは、再試験又はさらなる滴定の20%を考慮して、大きなパネルの株(約73匹)に対して十分にプールされた血清をhSBAにおいて試験し得る動物の最小数である。
【0273】
選択された血清群B髄膜炎菌株を保有する計61個のfHbp var 1、2及び3をhSBAにより試験した。
【0274】
免疫学的読み出し
機能性抗体は、fHbp var 1.x、var 2、又はvar 3を保有する髄膜炎菌の61株及び参照Bexsero抗原株のパネルについて、ヒト補体(hSBA)を用いた血清殺菌アッセイにより測定された。
【0275】
SBAは、ヒトにおける髄膜炎菌に対する防御の唯一許容されている相関物質である。
【0276】
結果
体液性応答-rSBAで測定した機能性抗体
髄膜炎菌株の補体媒介性殺傷を引き起こすことができる異なるBEXSERO製剤によって誘発された機能性抗体を測定するため、3回目のワクチン接種から2週間後に回収された血清は、約60株の髄膜炎菌株のパネルに対して補体源としてヒトウサギ血清(hSBA)を用いた血清殺菌活性アッセイのプールとして試験された。
【0277】
選択したナイセリア株の総数は、3つの異なる株のパネルfHbp var 2及び3、fHbp var 1.x及びBEXSERO参照並びにfHbp var 1.1及び1.4株に分けられた。
・50株を選択して、本発明のfHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質を含む製剤のBEXSEROに対する付加価値を示した:
〇fHbpvar2又はvar3を保有する20株
・選択はfHbp頻度分布に基づいており、fHbp v2.16、v2.19、v2.21、v2.24、v3.116、v3.31及びv3.42を保有する株を含めた。
〇fHbp var1.xを保有する30株
・現在のBEXSEROギャップに対処し、fHbp var1の全遺伝的多様性をサンプリングするために選択を行い、fHbp v1.1、v1.4、v1.13、v1.15、v1.14、v1.10、v1.260、v1.510、v1.90、v1.275、v1.697、v1.226、v1.110、v1.249、v1.108、v1.227及びv1.215を含めた。
・11株を選択して、本発明のfHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質を含む製剤のBEXSEROに対する非劣性を示した。BEXSERO参照株プラスBEXSEROによってカバーされることが公知である追加の株(fHbp1.1及び1.4を含む)を含めた。
【0278】
マウスにおける免疫原性研究
本発明のfHbp融合タンパク質を含む製剤のBEXSEROに対する付加価値を測定するために、ワクチン接種されたマウスから回収された血清は、var1(30株)及びvar2/3株(20株)に分けて、計50個のMenB株に対して補体源(hSBA)としてヒト血漿の存在下でプールとして試験された。注目すべきは、BEXSEROでカバーされないように50株を選択し、したがって、全てのBEXSERO抗原に対してミスマッチさせたことである。結果は、
図13A及び13Bに報告される。
【0279】
図13A及び13Bから明らかなように、本発明のfHbp融合タンパク質を含む製剤は、var 2/3株に対してBESXEROよりも良好に機能し、またvar 1.x株パネルにおいてBEXSEROよりも優れている。
【0280】
カバーされた株とカバーされていない株を区別するのを支援するために、新しい閾値256(最初の閾値64の4倍)を選択した。カバーされた株のパーセンテージを計算し、
図14A及び14Bに示す。
【0281】
これらのグラフに示される結果は、再び、本発明の融合タンパク質を含む製剤が、BEXSERO単独と比較してvar2と3株パネルの両方に対して高いカバレッジを示し(
図14A)、BEXSEROと比較して大部分の変異型1.x株に対して高いカバレッジを誘導する(
図14B)ことを実証する。
【0282】
最後に、本発明の融合タンパク質を含む製剤の非劣性はまた、マウスにおけるBEXSERO参照株並びにfHbp var 1.1及び1.4株を含む11株のパネルに対してマウス抗血清を試験することによって評価された(
図15)。非劣性は、11個のMenB株のパネルに対してhSBAで試験された、プールされたマウス血清を用いて評価された。
【0283】
図15に示される結果は、本発明の融合タンパク質を含む全ての製剤について確認されたBEXSEROと比較して非劣性であるだけでなく、追加のfHbp成分に対して指向される抗体のさらなる寄与の結果として、改善された免疫原性がほとんどの株について明白であったことも示す。
【0284】
また、本発明のfHbp231.13_E211A/S216R融合タンパク質を含む製剤のBEXSEROに対する非劣性はまた、4つのBEXSERO指示株(fHbp var1.1についてM14459; PorA P1.4についてNZ98/254; NHBAについてM4407; NadAについて96217)のパネルに対して補体源としての幼若ウサギ補体(rSBA)を有する個々のマウス血清を試験することによって評価し、BEXSERO抗原の特異的免疫原性が新しい融合タンパク質の添加時に維持されることを確認した。結果を
図16(A-D)に報告する。これらのグラフでは、「BEXSERO PLUS PLUS」とは、製剤BEXSERO+fHbp231.13_E211A/S216Rを指す。
【0285】
ウサギにおける免疫原性研究
既存のBEXSERO製剤及び本発明の融合タンパク質を含む製剤に関するプールされたhSBAデータは、var2/3株型について
図17Aに、及びvar.1.x株型について
図17Bにさらに示す。破線はウサギ血清のhSBA閾値16を表す。
【0286】
本発明によるfHbp融合タンパク質を含む全ての製剤は、BEXSERO単独と比較してvar 2及び3株パネルに対して改善されたカバレッジを提供し、BEXSERO単独と比較して変異体1.x株の大部分に対してより高いhSBA力価を誘発した。
【0287】
上記されるマウス研究に関して、ウサギデータを分析するための新しい閾値として256(初期閾値64の4倍)の値を選択した。
【0288】
カバレッジ分析を行い、
図18A(var2/3株について)及び
図18B(var1.x株について)に要約する。これらの結果は、本発明によるfHbp融合タンパク質を含む製剤が、BEXSERO単独よりも高いパーセンテージのvar2/3株をカバーすることができ、BEXSERO単独及びBEXSERO+従来技術のfHbp融合体231.1_R41S(
図18では2-3-1Sとして言及される)よりも高いパーセンテージのv1.x株をカバーすることができることを確認する。
【0289】
最後に、本発明によるfHbp融合タンパク質を含む製剤のBEXSEROに対する非劣性は、
図19に報告されるように、ウサギにおいて、BEXSERO参照染色並びにfHbp var 1.1及び1.4株を含む11株のパネルに対してウサギ抗血清を試験することによって確認された。
【0290】
これらの結果は、本発明によるfHbp融合タンパク質を含む全ての製剤について非劣性が確認されたことを示す。
【0291】
[実施例7]
hfHトランスジェニックマウスモデルにおける4CMenB+23(S)1.13NB突然変異体対4CMenB+23(S)1.13wtの免疫原性の評価
免疫化プロトコール
・10匹のマウス(hfHを発現するトランスジェニックマウス)の2つのグループは、2つの調製物A及びBのうちの1つを用いて腹腔内(i.p.)に免疫化された:
グループA=4CMenB+fHbp23(S)1.13野生型
グループB=4CMenB+fHbp 23(S)1.13_E211A/S216R
・1匹のマウス(非免疫化)は、対照としてリン酸緩衝生理食塩水(PBS)のみを受けた。
・1、22、36日目に3用量の免疫化を行った。
・免疫化前及び3回目の投与後に血液試料を採取した。
・免疫前血清を各グループについてプールした。
【0292】
免疫化マウスにおける細菌負荷
各グループの9匹のマウスを負荷した(2匹のマウスはサンプリングから細菌負荷の間に死亡した;1匹はグループA、1匹はグループB)。マウスは、血清群B株MC58の生物発光変異体(500μlの生理食塩水中で107 CFU/マウス)を用いてi.p.負荷された。
【0293】
結果
感染の30分後及び6時間後にダイナミックイメージングを行い、1秒あたりの総光子数をスコア化し、1秒あたり及び1マウスあたりの総光子数、並びに感染の6時間後の1秒あたり及び1マウスあたりの総光子数/感染の0.5時間後の1秒あたり及び1マウスあたりの総光子数の比を用いて表した(
図20)。
【0294】
マウスあたり放出される総光子を計算し、
図21に示す。両グループにおいて、シグナルは非感染マウスと比較して有意に低減した。グループBのマウスはグループAと比較して1秒あたりより低い総光子量を示したが、この差は
図21Aの有意なレベル(p=0.2)には達しなかった。しかしながら、シグナルの比6h/0.5hで表される分析(
図21B)では、その差は有意である(p=0.007)(Mann Whitney検定)。
【0295】
結論
図20及び
図21から分かるように、両グループのマウスは、調製物AとBの両方で免疫化され、これは、0.5時間と比較して、6時間時点で両グループのマウスに見られた感染後のクリアランスによって証明されるようにMC58負荷に対して防御された。対照的に、非免疫化マウスは、負荷後の6時間までに感染をクリアにすることができなかった。しかしながら、負荷後のクリアランスは、4CMenB+fHbp23(S)1.13_E211A/S216Rで免疫化したグループBマウスの方が、4CMenB+fHbp23(S)1.13野生型で免疫化したグループAマウスよりも著明であった。
【0296】
したがって、これらのインビボデータは、本発明による非結合性二重突然変異体v1.13ポリペプチドを含有しない融合ポリペプチドを含む等価組成物と比較して、本発明による突然変異型の非fH結合融合ポリペプチドを含むワクチン組成物の改善された免疫原性を支持する。
【配列表】