(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】絶縁ゲートパワー半導体装置、およびそのような装置を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20230501BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20230501BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L29/78 655A
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 652E
H01L29/78 652H
H01L29/78 655B
H01L29/78 655D
H01L29/78 658A
(21)【出願番号】P 2021521170
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2019074531
(87)【国際公開番号】W WO2020078626
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-06-09
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519431812
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・スウィツァーランド・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY SWITZERLAND AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ-ミキエリス,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ラヒモ,ムナフ
(72)【発明者】
【氏名】コルバシェ,キアラ
【審査官】岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/002766(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/002769(WO,A1)
【文献】特開2008-177335(JP,A)
【文献】特開2000-260984(JP,A)
【文献】特開2010-171057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/739
H01L 29/78
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)であって、第1の主面(20)から、前記第1の主面(20)とは反対側の第2の主面(27)に向かう順に複数の層を含み、前記複数の層は、
第1の導電型のソース層(3)を含み、前記第1の導電型はn型またはp型のいずれかであり、前記複数の層はさらに、
第2の導電型のベース層(4)を含み、前記第2の導電型は前記第1の導電型とは異なっており、前記ベース層(4)は、第1のpn接合を形成するために前記ソース層(3)と直接接触しており、前記複数の層はさらに、
第2のpn接合を形成するために前記ベース層(4)と直接接触する前記第1の導電型の強化層(6)と、
前記第1の導電型のドリフト層(5)とを含み、
前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)はさらに、前記第1の主面(20)に配置され、前記第2の主面(27)に向かう方向に延在する2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)を含み、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)の各々は導電ゲート層(70)を有し、前記導電ゲート層(70)は、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)間に挟まれた縦型MOSセルを形成するために、ゲート絶縁層(72)によって前記ソース層(3)、前記ベース層(4)、前記強化層(6)、および前記ドリフト層(5)から隔てられ、
前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)はさらに、少なくとも一部が前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)間の区域に配置された、前記第2の導電型の保護層(8b)を含み、前記保護層(8b)が、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)間の前記区域から、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)より下の領域へと延在しており、そのため、前記第1の主面(20)と平行な平面上への直角投影において、前記保護層(8b)が前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)と重なり、
前記保護層(8b)は、前記ゲート絶縁層(72)に沿って延在する前記第1の導電型のチャネル層(60b)によって前記ゲート絶縁層(72)から隔てられており、
前記強化層(6)は、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)の間で連続していることを特徴とする、絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項2】
前記保護層(8b)の最大ドーピング濃度は、5×10
15cm
-3~1×10
17cm
-3の範囲、または5×10
15cm
-3~5×10
16cm
-3の範囲にある、請求項1に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項3】
前記強化層(6)の最大ドーピング濃度は、前記保護層(8b)の最大ドーピング濃度よりも高い、請求項1または2に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項4】
前記第1の導電型はn型であり、前記第2の導電型はp型である、請求項1~3のいずれか1項に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項5】
前記強化層(6)の最大ドーピング濃度は、4×10
16cm
-3~4×10
17cm
-3の範囲、または1×10
17cm
-3~4×10
17cm
-3の範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項6】
前記保護層(8b)は、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)間の前記区域において、および、前記第1の主面(20)と平行であり、かつ前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)を横切る線に沿って、変化のある横方向ドーピングプロファイルを有しており、前記ドーピングプロファイルは、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)間の中央区域において第2の導電型ドーパントの最大濃度を有しており、前記2つの隣り合うトレンチゲート電極(7)それぞれに向かって前記最大濃度から前記第2の導電型ドーパントの最小濃度まで減少している、請求項1~5のいずれか1項に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項7】
前記絶縁ゲートパワー半導体装置は、前記第2の主面(27)上に前記第2の導電型のコレクタ層(9)を有するIGBT(1b)、または前記第2の主面(27)上に前記第2の導電型のコレクタ層と前記第1の導電型の短絡とを交互に有する逆導通IGBT、または前記第2の主面上に前記第1の導電型のドレイン層を有するMOSFETである、請求項1~6のいずれか1項に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)を製造するための方法であって、前記方法は、
(a) 第1の主面(20)と、前記第1の主面(20)とは反対側の第2の主面(27)とを有する第1の導電型の基板(10)を提供するステップを含み、前記基板(10)のドーピングレベルは、完成した前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)における前記ドリフト層(5)のドーピングレベルと同じであり、前記方法はさらに、
(b) 完成した前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)における前記保護層(8b)を形成するために、第2の導電型の第1のドーパントを前記第1の主面(20)から前記基板(10)に注入するステップと、
(c) 完成した前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)における前記強化層(6)および前記チャネル層(60b)を形成するために、前記第1の導電型の第2のドーパントを前記第1の主面(20)から前記基板(10)に施して拡散させ、または注入するステップと、
(d) 前記第1の主面(20)から前記基板(10)内に延在する2つの隣り合うトレンチ凹部(78)を形成するステップとを含み、各トレンチ凹部(78)は、トレンチ側面(75)と、トレンチ底部(76)とを有し、前記方法はさらに、
(e) 少なくともステップ(a)、(b)、および(d)を行なった後に、各トレンチ凹部(78)の前記トレンチ側面(75)および前記トレンチ底部(76)上にゲート絶縁層(72)を形成するステップと、
(f) 完成した前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)における前記ベース層(4)を形成するために、前記第2の導電型の第3のドーパントを前記第1の主面(20)から前記基板(10)に施して拡散させ、または注入するステップと、
(g) 完成した前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)における前記ソース層(3)を形成するために、少なくともステップ(e)の後に、前記第1の導電型の第4のドーパントを前記第1の主面(20)から前記基板(10)に施して拡散させ、または注入するステップとを含み、
ステップ(b)において注入される前記第2の導電型の前記第1のドーパントは、前記ゲート絶縁層(72)に隣接し、かつ前記ゲート絶縁層(72)に沿って延在する区域における前記第2の導電型の前記第1のドーパントの濃度を低下させるために、ステップ(e)の間および後に前記基板(10)に拡散されて前記ゲート絶縁層(72)に偏析され、そのため、前記ゲート絶縁層(72)から前記保護層(8b)を隔てる前記チャネル層(60b)は、前記第2のドーパントが、完成した前記絶縁ゲートパワー半導体装置(1b)における前記第1のドーパントを過補償することによって形成される、方法。
【請求項9】
前記基板(10)はシリコンで作られ、前記ゲート絶縁層(72)は酸化シリコンで作られる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のドーパントはホウ素である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のドーパントはリンである、請求項8~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記トレンチ凹部(78)は、2.5μm~10μmの深さを有する、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(e)の間および後に、ある温度が少なくとも合計1時間適用され、前記温度は少なくとも900
℃である、請求項8~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記温度は、少なくとも975℃である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記温度は、少なくとも1050℃である、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
発明の分野
この発明はパワーエレクトロニクスの分野に関し、より特定的には、請求項1の前文に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置、およびそのような絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
先行技術では、トレンチ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor:IGBT)、またはトレンチパワーMOSFET(metal oxide semiconductor field effect transistor:金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)といった、縦型金属酸化膜半導体(metal oxide semiconductor:MOS)セル設計を利用するいくつかの縦型パワー半導体装置が公知である。
【0003】
EP 0 795 911 A2からは、
図10に示すようなトレンチIGBT100が公知である。この公知のトレンチIGBT100はアクティブMOSセルを含み、そこでは、(n+)ドープソース層3、pドープベース層4、nドープ強化層6、および(n-)ドープドリフト層5が、第1の主面20から、第1の主面20とは反対側の第2の主面27へと配置されている。2つのトレンチゲート電極7が第1の主面20に隣接して配置され、各トレンチゲート電極7は導電ゲート層70を含み、それは、ゲート絶縁層72(たとえばゲート絶縁層)によってこれらのドープ層(すなわち、ドリフト層5、強化層6、ベース層4、およびソース層3)から隔てられる。第2の主面27に向かって、トレンチIGBT100はさらに、(n+)ドープバッファ層55と、pドープコレクタ層9とを含む。ドリフト層5からコレクタ層9を隔てるバッファ層55により、
図10に示すようなトレンチIGBT100は、パンチスルー(punch-through:PT)構成を有する。明細書全体を通して、特定の装置における層が(n+)ドープされると記載される場合、それは、この特定の装置におけるnドープされると記載される層よりも高いドーピング濃度を有すると考えられる。同様に、特定の装置における層が(n-)ドープされると記載される場合、それは、この特定の装置におけるnドープされると記載される層よりも低いドーピング濃度を有すると考えられる。
【0004】
トレンチIGBT100のエミッタ電極を形成する第1の主電極2が、ソース層3およびベース層4の双方と電気的に接触するように第1の主面20上に配置される。第2の主面27上には、第2の主電極25が配置され、それは、トレンチIGBT100のコレクタ電極を形成し、コレクタ層9と電気的に接触する。
【0005】
上部ゲート絶縁層74が、第1の主電極2からゲート層70を電気的に絶縁するために、ゲート層70と第1の主電極2との間に配置される。トレンチゲート電極7は、第1の主面20から、トレンチゲート電極7の底部76が配置されるトレンチ深さ77へと延在する。トレンチゲート電極7は、底部76から第1の主面20へと延在する側面75を有する。
【0006】
ドリフト層5よりも高いドーピング濃度を有する強化層6は、プラズマ濃度を増加させることによってオン状態電圧の減少を可能にする。オン状態電圧を低下させることは、オン状態損失も低下させることを意味する。プラズマ濃度を増加させることによるオン状態電圧の減少は、より大きい強化層ドーピング濃度についてより顕著である。
【0007】
しかしながら、反面、より大きい強化層ドーピング濃度については、安全動作区域(safe operating area:SOA)、特にターンオフSOAまたは逆阻止SOA(reverse blocking SOA:RBSOA)が悪化し、IGBTが耐えることができるブレークダウン電圧が著しく減少する。加えて、強化層は、衝突イオン化効果、すなわち、キャリアのアバランシェ発生も悪化させている。アバランシェ発生というこの現象は、トレンチIGBT100のターンオフ中にさらにより深刻になり、その場合、それは動的アバランシェとして公知である。最大アバランシェエネルギーがターンオフの後に生成され、数マイクロ秒後に小さくなる。高い運動エネルギーを有するホットキャリアのアバランシェ発生は、トレンチゲート電極7の底部76で、また、強化層6がゲート絶縁層72に接触する場所で、特に非常に重要である。なぜなら、ホットキャリアがゲート絶縁層72に注入され、ゲート絶縁層72の損傷をもたらすためである。
【0008】
阻止性能の減少およびRBSOAの減少という欠点に悩まされることなく、高度にドープされた強化層のオン状態の利点を利用可能にするために、pドープ保護層領域80(「保護ピロー」とも呼ばれる)が、
図10に示すように、EP 0 795 911 A2において提案されている。pドープ保護層領域80は、トレンチゲート電極7の底部76で電界強度を減少させる効果を有しており、そのため、RBSOAおよびブレークダウン電圧が改良される。トレンチ底部でのpドープ保護層領域80の導入は、装置頑強性を向上させ、ブレークダウンメカニズムの始まりを延期することができるが、pドープ保護層領域80は、2.5×10
16cm
-3を上回る増加した強化層ドーピング濃度によって衝突イオン化が引き起こされるトレンチIGBT装置の固有の弱点を十分に補うことができない。
【0009】
強化層6の適度なドーピングレベルについては、すなわち、約2.5×1016cm-3を下回る強化層6のドーピング濃度については、トレンチIGBT100の有害な劣化の原因となる衝突イオン化効果またはアバランシェ発生は、主としてトレンチゲート電極7の底部76で起こっている。しかしながら、2.5×1016cm-3を上回る増加した強化ドーピング濃度を有する装置では、アバランシェ発生は、ゲート絶縁層72に近いベース層4と強化層6との間の界面でもますます著しくなる。
【0010】
強化層6とゲート絶縁層72との間の界面近傍でのホットキャリアのアバランシェ発生は、結果として生じるしきい値電圧不安定性を伴うゲート絶縁層72へのホットキャリア注入などの望ましくない欠点に変わる可能性がある。最終的に、これは動的アバランシェ頑強性の劣化をもたらし、そのような悪影響は、困難なスイッチング条件下でさらにより悪化する。
【0011】
EP 3 251 153 B1からは、
図11に示すようなトレンチIGBT200、およびそれを製造するための方法が公知である。トレンチIGBT200は、
図10に示すトレンチIGBT100に類似している。
図10に示すトレンチIGBT100と比較して、EP 3 251 153 B1において開示されたトレンチIGBT200は、トレンチゲート電極7の底部76でのpドープされた第1の保護層領域80に加えて、nドープされた第2の保護層領域81を有し、それらは、ドリフト層5のドーピング濃度よりも高いドーピング濃度を有し、トレンチゲート電極7それぞれをその側面75で、強化層6と第1の保護層領域80との間の垂直位置で包囲する。nドープされた第2の保護層領域81は一種の追加の強化層として作用し、強化層6のドーピング濃度が増加した、
図10に示すようなトレンチIGBT100において起こり得るような、早過ぎるアバランシェ発生およびゲート絶縁層72へのホットキャリア注入という欠点なく、プラズマ強化の利点を提供するように作用する。pドープされた第1の保護層領域80の役割は、到来電界から第2の保護層領域81を保護することであり、それにより、衝突イオン化の始まりを遅らせ、装置の頑強性をこのように増加させる。追加の第2の保護層領域81により、プラズマ濃度を増加させることができ、それは、強化層が増加したドーピング濃度を有するという欠点のない、オン状態損失の減少を意味する。
【0012】
EP 3 251 153 B1において開示されたトレンチIGBT200のための製造方法は、比較的複雑である。なぜなら、それは、トレンチゲート電極7のためのトレンチ凹部を2つの別々のプロセスステップで形成することを必要とするとともに、これら2つの別々のプロセスステップの間に、第2の保護層領域81を作成するための別のプロセスステップを有するためである。さらに、先行技術のトレンチIGBT200では、第1の保護層領域80および第2の保護層領域81を使用するにもかかわらず、特にゲート絶縁層72に近い強化層6とベース層4との間の界面でキャリアのアバランシェ発生が依然として比較的高く、したがって、ブレークダウン電圧は依然として比較的低い。一方、オン状態損失は、nドープされた第2の保護層領域81がある程度しか補償できない限定された強化層ドーピング濃度に起因して、その最適状態ではない。
【0013】
WO 2012/113818 A2には、エミッタ側のエミッタ電極とコレクタ側のコレクタ電極との間に、第1の導電型のソース領域と、接触区域においてエミッタ電極と接触する第2の導電型のベース層と、第1の導電型の強化層と、補償層厚さtpを有する第2の導電型のフローティング補償層と、強化層よりも低いドーピング濃度を有する第1の導電型のドリフト層と、第2の導電型のコレクタ層という、異なる導電型の層をこの順で有する、絶縁ゲートバイポーラ装置が開示されている。強化層とドリフト層との間のチャネルが維持されるように、補償層は、強化層とドリフト層との間の接触区域の投影に配置される。強化層は強化層厚さtnを有し、それは補償層厚さと同じ平面で測定され、Np×tp=k×Nn×tnという規則があてはまる。ここで、NnおよびNpはそれぞれ、強化層および補償層のドーピング濃度であり、kは、0.67~1.5の係数である。
【0014】
JP 2007 266133 Aには、n型ドリフト領域と、ドリフト領域と接触するn+型キャリア蓄積領域と、キャリア蓄積領域と接触するp型ボディ領域と、ボディ領域と接触するn+型エミッタ領域と、ドリフト領域とエミッタ領域との間に位置付けられたボディ領域およびキャリア蓄積領域にゲート絶縁膜を介して対向するトレンチゲート電極とが設けられた、半導体装置が開示されている。半導体装置には、フローティングボディ領域がさらに設けられる。フローティングボディ領域は、キャリア蓄積領域の一部を含む領域に形成される。
【0015】
US 2017 018642 A1には、第2の導電型のコラム領域と、第2の導電型のコラム領域上に配置された第2の導電型層とのうちの少なくとも1つに設けられた第1の導電型領域を含む、半導体装置が記載されている。第1の電極と第2の電極との間の電圧が0Vである場合、第1の導電型領域は非空乏層領域を有する。第1の電極と第2の電極との間の電圧が予め定められた電圧である場合、第1の導電型のコラム領域と第2の導電型のコラム領域との間の界面および第1の導電型のコラム領域と第2の導電型層との間の界面上に形成された空乏層と、第1の導電型領域と第1の導電型領域に設けられた領域の界面との間に形成された空乏層とが、互いに接続する。
【0016】
EP 2 763 178 A1には、エミッタ領域と、エミッタ領域より下に形成された上部ボディ領域と、上部ボディ領域より下に形成されたフローティング領域と、フローティング領域より下に形成された底部ボディ領域と、トレンチと、トレンチの内面を覆うゲート絶縁膜と、トレンチの内部に配置されたゲート電極とを含む、IGBTが説明されている。エミッタ領域より下に位置する上部ボディ領域およびフローティング領域におけるp型不純物の濃度の分布を、半導体基板の厚さ方向に沿って見た場合、p型不純物の濃度は、エミッタ領域より下に位置する上部ボディ領域の上端からの下向きの距離が増加するにつれて減少し、フローティング領域における予め定められた深さで局所的な最小値を呈する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
発明の概要
この発明の目的は、オン状態損失を増加させることなく、アバランシェ発生が減少され、および/またはゲート絶縁層から移動される、絶縁ゲートパワー半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この発明の目的は、請求項1に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置によって達成される。この発明のさらなる展開は、従属請求項で特定される。
【0019】
請求項1に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置は、2つの隣り合うトレンチゲート電極間に配置された第2の導電型の保護層を有し、その保護層によって、電界線を、トレンチゲート電極の底部でのホットキャリアのアバランシェ発生を減少させるためにトレンチゲート電極から移動させることができるとともに、ゲート絶縁層に近い強化層とベース層との間の界面から移動させることができる。第2の導電型の保護層は、ゲート絶縁層を高電界から効率的に保護することができ、ゲート絶縁層から保護層を隔てる、第2の導電型とは異なる導電型のチャネル層が、強化層からドリフト層へのキャリア用の経路を提供することによってキャリアの速やかな除去を可能にする。この発明の絶縁ゲートパワー半導体装置では、高いアバランシェ発生がゲート絶縁層で生じない。
【0020】
保護層は、2つの隣り合うトレンチゲート電極間の区域から、隣り合うトレンチゲート電極より下の領域へと延在しており、そのため、第1の主面と平行な平面上への直角投影において、保護層は2つの隣り合うトレンチゲート電極と重なる。ここで、「隣り合うトレンチゲート電極より下」とは、トレンチゲート電極の第2の主面に向かう側での位置(すなわち、トレンチ底部と第2の主面との間の位置)を意味し、そのため、第1の主面への直角投影において、保護層は、隣り合うトレンチゲート電極のうちの各1つと重なる。そのような特徴により、隣り合うトレンチゲート電極の底部は特にターンオフ中に高電界から保護され、このため、隣り合うトレンチゲート電極の底部でのアバランシェ発生が防止される。
【0021】
例示的な一実施形態では、保護層の最大ドーピング濃度は、5×1015cm-3~1×1017cm-3の範囲、例示的には5×1015cm-3~5×1016cm-3の範囲にある。保護層のそのようなドーピング濃度は、オン状態電圧の著しい増加なく、ターンオフ中の高電界からのゲート絶縁層の効率的な保護を可能にする。
【0022】
例示的な一実施形態では、強化層の最大ドーピング濃度は、保護層の最大ドーピング濃度よりも高い。強化層のより高いドーピング濃度は、より低いオン状態電圧およびより低いオン状態損失に変わる、オン状態におけるより高いプラズマ濃度を可能にする。
【0023】
例示的な一実施形態では、第1の導電型はn型であり、第2の導電型はp型である。
例示的な一実施形態では、強化層の最大ドーピング濃度は、4×1016cm-3~4×1017cm-3の範囲、より例示的には1×1017cm-3~4×1017cm-3の範囲にある。この範囲における比較的高い最大ドーピング濃度により、阻止能力が高いまま、低いオン状態電圧を得ることが可能である。
【0024】
例示的な一実施形態では、2つの隣り合うトレンチゲート電極間の区域は、第1の主面と平行であり、かつ2つの隣り合うトレンチゲート電極を横切る線に沿って、変化のある横方向ドーピングプロファイルを有しており、それは、2つの隣り合うトレンチゲート電極間の中央区域において第2の導電型ドーパントの最大濃度を有しており、2つの隣り合うトレンチゲート電極それぞれに向かって最大濃度から第2の導電型ドーパントの最小濃度まで減少している。第2の導電型ドーパントのそのような濃度プロファイルにより、ゲート絶縁層での電界強度の減少が最も効率的であり、一方、オン状態電圧およびオン状態損失を最小に保つことができる。さらに、第2の導電型ドーパントのそのような濃度プロファイルは、容易な態様で過補償によって第1の導電型のチャネル層を形成することを可能にする。
【0025】
例示的な実施形態では、絶縁ゲートパワー半導体装置は、第2の主面上に第2の導電型のコレクタ層を有するIGBT、または第2の主面上に第2の導電型のコレクタ層と第1の導電型の短絡とを交互に有する逆導通IGBT、または第2の主面上に第1の導電型のドレイン層を有するMOSFETである。
【0026】
例示的な一実施形態では、保護層は、第1の主面から第2の主面に向かう方向において、2つの隣り合うゲート電極のうちの各1つの底部の深さほど深くない第1の深さから、2つの隣り合うゲート電極のうちの各1つの底部の深さよりも深い第2の深さへと延在する。そのような例示的な実施形態では、保護層は、装置のターンオフ中にゲート絶縁層を高電界から最も効率的に保護することができる。
【0027】
この発明の目的はまた、請求項10に記載の方法によって達成される。
請求項10に記載の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法では、ゲート絶縁層から保護層を隔てるチャネル層は、ゲート絶縁層を形成するステップの間または後に、第2の導電型の第1のドーパントが基板に拡散されてゲート絶縁層に偏析されることに起因する過補償によって形成される。ここで、過補償とは、チャネル層の区域において、第2の導電率のドーパントの濃度が、第1の導電型のドーパントの濃度によって過補償される(すなわち、第1の導電型のドーパントの濃度が、第2の導電型のドーパントの濃度よりも高くなる)ことを意味する。絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するためのそのような方法は、チャネル層を確実に、かつ少ない数のプロセスステップで形成することを可能にする。少ない数のプロセスステップは、たとえば、製造方法を行なうために必要とされる比較的短い時間と、より低い製造コストとをもたらす。
【0028】
例示的な一実施形態では、基板はシリコンで作られ、ゲート絶縁層は酸化シリコンで作られる。(第2の導電型の)第1のドーパントの偏析は、シリコンと酸化シリコンとの間の界面で特に効率的に起こる。
【0029】
例示的な一実施形態では、保護層を形成するために使用される第1のドーパントは、ホウ素である。ホウ素は高い偏析係数を有し、この発明の製造方法で採用された偏析プロセスにとって特に好適である。
【0030】
例示的な一実施形態では、強化層を形成するために、およびチャネル層の区域において第1のドーパントを過補償するために使用される(第1の導電型の)第2のドーパントは、リンである。リンの使用は、この発明の製造方法の最中のチャネル層の区域における過補償を容易にする。
【0031】
例示的な一実施形態では、トレンチ凹部は、2.5μm~10μmの範囲の深さを有する。
【0032】
例示的な一実施形態では、ゲート絶縁層を形成するステップの間および後に、少なくとも900℃、例示的には少なくとも975℃、より例示的には少なくとも1050℃の温度が、少なくとも合計1時間適用される。そのような高温をそのような長い時間適用する場合、第1のドーパントの偏析は、ゲート絶縁層に沿った過補償によって第1の導電型のチャネル層を確実に形成するために最も効率的である。
【0033】
図面の簡単な説明
この発明の主題は、添付図面を参照して実施形態の以下の詳細な説明を読めば、当業者には明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】(それ自体としては請求の範囲に該当しない)第1の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す図である。
【
図2】請求されるこの発明の一実施形態に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す図である。
【
図3】第1の例(トレンチ間保護層)に従った絶縁ゲートパワー半導体装置、実施形態(T字型保護層)に従った絶縁ゲートパワー半導体装置、および保護層のない同様の絶縁ゲートパワー半導体装置(参照)のターンオフ挙動の比較を示す図である。
【
図4】強化層の異なるドーピングレベルについての、第1の例(トレンチ間保護層)に従った絶縁ゲートパワー半導体装置、実施形態(T字型保護層)に従った絶縁ゲートパワー半導体装置、および保護層のない同様の絶縁ゲートパワー半導体装置(参照)の阻止電圧およびオン状態電圧をそれぞれ示す図である。
【
図5】第1の例(トレンチ間保護層)に従った絶縁ゲートパワー半導体装置、実施形態(T字型保護層)に従った絶縁ゲートパワー半導体装置、および保護層のない同様の絶縁ゲートパワー半導体装置(参照)についての技術曲線を示す図である。
【
図6】(それ自体としては請求の範囲に該当しない)第2の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す図である。
【
図7】(それ自体としては請求の範囲に該当しない)第3の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す図である。
【
図8】(それ自体としては請求の範囲に該当しない)第4の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す図である。
【
図9A】
図2の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法の製造ステップを示す図である。
【
図9B】
図2の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法の製造ステップを示す図である。
【
図9C】
図2の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法の製造ステップを示す図である。
【
図9D】
図2の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法の製造ステップを示す図である。
【
図9E】
図2の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法の製造ステップを示す図である。
【
図9F】
図2の絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法の製造ステップを示す図である。
【
図10】トレンチゲート電極の底部にそれぞれ位置するp型保護層領域を有する公知のトレンチIGBTを示す図である。
【
図11】トレンチゲート電極の底部に位置するp型の第1の保護層領域を有し、加えてn型の第2の保護層領域を有する別の公知のトレンチIGBTを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面で使用される参照符号およびそれらの意味は、参照符号のリストにおいて概説される。一般に、同様の部分または同様に機能する部分には、同じ参照符号が与えられる。説明される実施形態および例は、添付された請求項によって定義されるようなこの発明の範囲を限定しないものとする。ここで、第1~第4の例は、それ自体としては請求の範囲に該当しないが、この発明の部分的な局面を説明しており、よりよい理解に役立つ。
【0036】
好ましい実施形態の詳細な説明
図1は、第1の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す。第1の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置は、第1の主面20から、第1の主面20とは反対側の第2の主面27に向かう順に、(n+)型ソース層3と、p型ベース層4と、n型強化層6と、(n-)型ドリフト層5とを含む、トレンチIGBT1aである。ベース層4は、第1のpn接合を形成するためにソース層3と直接接触しており、強化層6は、第2のpn接合を形成するためにベース層4と直接接触している。第1の例に従ったトレンチIGBT1aはさらに、2つの隣り合うトレンチゲート電極7を含み、それらは各々、第1の主面20に配置され、第1の主面20から、第2の主面27に向かう方向に延在する。2つのトレンチゲート電極7の各々は導電ゲート層70を有し、それは、トレンチゲート電極7の側面75および底部76でゲート絶縁層72によって覆われ、そのため、ゲート絶縁層72はゲート層70を、これらのドープ層から、すなわち、ソース層3、ベース層4、強化層6、およびドリフト層5から隔てる。トレンチIGBT1aのエミッタ電極を形成する第1の主電極2が、ソース層3およびベース層4の双方と電気的に接触するように第1の主面20上に配置される。上部ゲート絶縁層74が、第1の主電極2からゲート層70を電気的に絶縁するために、ゲート層70と第1の主電極2との間に配置される。2つの隣り合うトレンチゲート電極7間に横方向に挟まれた区域以外の(第1の主面20と平行な平面上への直角投影の)区域において、上部ゲート絶縁74は、ベース層4から第1の主電極2を隔てるようにベース層4上でさらに延在する。上述の構成により、2つの隣り合うトレンチゲート電極7間に挟まれた縦型MOSセルが形成される。
【0037】
第2の主面27に向かって、トレンチIGBT1aはさらに、p型コレクタ層9を含む。
図1に示すようなトレンチIGBT1aは、コレクタ層9がドリフト層5と直接接触する非パンチスルー(non-punch-through:NPT)構成を有する。NPT構成のための阻止状態における電界は三角形で、ドリフト層5内で停止し、空間電荷領域はコレクタ層9に到達しない。第2の主面27上には第2の主電極25が配置され、それは、トレンチIGBT1aのコレクタ電極を形成し、コレクタ層9と電気的に接触する。
【0038】
たとえば、ソース層3、ベース層4、強化層6、およびドリフト層5はシリコンから形成されてもよく、ゲート絶縁層7は酸化シリコンから形成されてもよい。
【0039】
トレンチIGBT1aはさらに、p型保護層8aと、ゲート絶縁層72に沿って延在し、ゲート絶縁層72からp型保護層8aを隔てるn型チャネル層60aとを含む。p型保護層8aの一部は、2つの隣り合うトレンチゲート電極7間の区域に形成される。保護層8aは、第1の主面20から第2の主面27に向かう方向において、2つの隣り合うゲート電極7のうちの各1つの底部76の深さほど深くない第1の深さから、2つの隣り合うゲート電極7のうちの各1つの底部76の深さよりも深い第2の深さへと延在する。ここで、ある位置の深さとは、第1の主面2からのその位置の距離を意味しており、第1の主面2は、トレンチIGBT1aのドープされた半導体層、すなわち、ここではソース層3およびゲート層70が、トレンチIGBT1aのエミッタ側でそこまで延在する、最も外側の平面として定義される。
【0040】
ソース層3のドーピング濃度は、ベース層4のドーピング濃度よりも高い。ソース層3についての例示的なドーピング濃度は、1×1018cm-3よりも高く、1×1021cm-3よりも小さく、例示的には1×1019cm-3~5×1019cm-3である。ドリフト層5は、比較的低いドーピング濃度を有する。例示的には、ドリフト層5は、一定して低いドーピング濃度を有する。ここで、ドリフト層5の実質的に一定のドーピング濃度は、ドーピング濃度がドリフト層5全体にわたって実質的に均質であることを意味するが、たとえばエピタキシャル成長プロセスにおける変動に起因して、ドリフト層内のドーピング濃度の変動が約1~5倍である場合がおそらく存在し得るということが除外されない。最終的なドリフト層の厚さおよびドーピング濃度は、用途の必要性に起因して選択される。最終的なドリフト層の厚さおよびドーピング濃度は、用途の必要性に起因して選択される。600Vを上回る装置については、ドリフト層のドーピング濃度は例示的には、5×1014cm-3未満である。パワー装置(600Vを上回る電圧)については、ドリフト層5の例示的なドーピング濃度は、2×1012cm-3~5×1014cm-3である。
【0041】
上述のような構造は、アクティブMOSセルを形成する。IGBT装置は、上に開示されるようなアクティブMOSセルを1つだけ含んでいてもよいが、トレンチIGBTがそのようなアクティブMOSセルを少なくとも2つ以上含むことも可能である。すなわち、アクティブMOSセルは、1つの基板において繰り返し配置され得る。
【0042】
保護層8aの最大ドーピング濃度は、5×1015cm-3~1×1017cm-3の範囲、例示的には5×1015cm-3~5×1016cm-3の範囲にある。強化層6の最大ドーピング濃度は例示的には、保護層8aの最大ドーピング濃度よりも高く、例示的には4×1016cm-3~4×1017cm-3の範囲、より例示的には1×1017cm-3~4×1017cm-3の範囲にある。
【0043】
保護層8aは、強化層6より下に、すなわち、強化層6の第2の主面25に向かう側に配置される。保護層8aのためのp型ドーパントとして、ホウ素が例示的に使用される。強化層6のためのn型ドーパントとして、リンが例示的に使用される。保護層8aは、強化層6から、第1の主面20から第2の主面27に向かう方向において、2つの隣り合うゲート電極7のうちの各1つの底部76の深さ77ほど深くない第1の深さから、2つの隣り合うゲート電極7のうちの各1つの底部76の深さ77よりも深い第2の深さへと延在する。ここで、深さとは、第1の主面20から、すなわち、ドープ層、この場合ではソース層3およびゲート層70がそこまで延在する、最も外側の平面から測定される。第1の例では、保護層8aは、第1の主面20と平行な平面上への直角投影において、2つの隣り合うトレンチゲート電極7間の領域に限定されている。すなわち、第1の主面20と平行な平面上への直角投影において、保護層8aはトレンチゲート電極7と重なっていない。
【0044】
2つの隣り合うトレンチゲート電極7間の区域は、強化層6より下にあり、第1の主面20と平行であり、かつ2つの隣り合うトレンチゲート電極7を横切る任意の線85に沿って、変化のある横方向p型ドーピングプロファイルを例示的に有していてもよく、それは、2つの隣り合うトレンチゲート電極7間の中央区域においてp型ドーパントの最大濃度を有しており、2つの隣り合うトレンチゲート電極7それぞれに向かって最大濃度からp型ドーパントの最小濃度まで減少している。n型ドーパントは例示的には、2つの隣り合うトレンチゲート電極7間の区域において、線85に沿って、実質的に一定の濃度プロファイルを有していてもよい。中央区域では、n型ドーパントの濃度はp型ドーパントの濃度よりも低くてもよく、2つの隣り合うゲート電極7に隣接する区域では、トレンチゲート電極7に隣接するこれらの区域におけるp型ドーパントのより低い濃度に起因して、n型ドーパントの濃度はそれぞれ、過補償によって、すなわち、n型ドーパントがp型ドーパントを過補償することによってn型チャネル層60aを形成するために、p型ドーパントの濃度よりも高くなってもよい。
【0045】
図2は、この発明の絶縁ゲートパワー半導体装置の一実施形態を示す。第1の例とこの実施形態との多くの類似点に起因して、第1の例とこの実施形態との相違点のみが説明される。他のすべての特徴については、第1の例の上述の説明を参照されたい。特に、同じ参照符号を有する要素は、第1の例について上述された要素と同じ特徴を有する要素を指す。この実施形態に従った絶縁ゲートパワー半導体装置はトレンチIGBT1bであり、保護層8bが第1の例の保護層8aとは別の形状を有する点で、
図1に示すトレンチIGBT1aとは異なる。具体的には、第1の例の保護層8aとは異なり、この実施形態の保護層8bは、隣り合うトレンチゲート電極7より下の領域へと延在する。ここで、「隣り合うトレンチゲート電極より下」という位置は、トレンチゲート電極7の第2の主面27に向かう側での位置を意味し、そのため、第1の主面20と平行な平面上への直角投影において、保護層8bは、隣り合うトレンチゲート電極7のうちの各1つと重なる。したがって、保護層8bは、トレンチゲート電極7間の横方向距離よりも小さい(第1の主面20と平行な横方向において、チャネル層60bの横方向幅の2倍分、より小さい)、2つの隣り合うトレンチゲート電極7間の横方向延在部を有する。トレンチゲート電極7より下の領域において、保護層はより広い幅を有しており、そのため、保護層8bは、トレンチゲート電極7より下の領域へと広がっているものの、トレンチゲート電極7の側面75および底部76に沿って延在するnチャネル層60bによって、トレンチゲート電極7から隔てられる。第1の例におけるチャネル層60aと同様に、
図2に示す実施形態におけるチャネル層60bも、強化層6からドリフト層5へと延在する連続的なn型領域を提供する。
【0046】
図3は、保護層のない第1のトレンチIGBT(
図3の「装置A」)、第1の例に従った第2のトレンチIGBT(
図3の「装置B」)、および
図2を参照して上述された実施形態に従った第3のトレンチIGBT(
図3の「装置C」)のターンオフ挙動に関するいくつかのグラフを示す。第1~第3のトレンチIGBT(「装置A」、「装置B」、および「装置C」)は、保護層の構成のみが互いに異なっており、一方、第1~第3のトレンチIGBTの残りの構成は、他のすべての局面に関して同じである。
図3は、上から下に、第1~第3のトレンチIGBTのターンオフ中の時間の関数としての、ゲート-エミッタ電圧Vgeのグラフ、コレクタ-エミッタ電圧Vceのグラフ(左側の縦軸を参照)およびコレクタ電流のグラフ(右側の縦軸を参照)、および最大アバランシェ発生Max{AvGen}のグラフをそれぞれ示す。
【0047】
図3から分かるように、ゲート-エミッタ電圧Vgeは、第2のトレンチIGBT(
図3の「装置B」)よりも、第3のトレンチIGBT(
図3の「装置C」)についてより速く減少し、第1のトレンチIGBT(
図3の「装置A」)よりも、第2のトレンチIGBT(
図3の「装置B」)についてより速く減少する。また、ゲート-エミッタ電圧Vge曲線におけるピークは、第3のトレンチIGBTについては、第1および第2トレンチIGBTと比べて、それほど顕著ではない。同様のより速いスイッチング挙動が、コレクタ-エミッタ電圧Vceおよびコレクタ電流Icについて観察され得る。それは、第2および第3のトレンチIGBTが、保護層のない第1のトレンチIGBTと比べて、より速いターンオフを可能にすることを意味する。この発明の実施形態に従った第2および第3のトレンチIGBTについては、作成されるキャリアがはるかにより少なく、アバランシェ発生の大幅な減少をもたらす。それは、第2および第3のトレンチIGBTについては、作成されるキャリアが極めてより少なく、これらのキャリアはより短い期間中に作成され、特にゲート絶縁層72の重要区域でのより少ない注入をもたらし、そのため、生じる熱がより少なく、加えて、この熱はより短い期間の間に生じる、ということを意味する。
【0048】
この発明の実施形態に従ったトレンチIGBTでは、ゲート絶縁層72におけるホットキャリア注入のリスクが減少する。ゲート絶縁層72で、特に強化層6とゲート絶縁層72との間の界面で、およびトレンチ底部76でホットキャリア注入のリスクが減少した結果、装置信頼性が向上する。
【0049】
図4は、強化層6の異なるドーピングレベルについての、保護層のない第1のトレンチIGBT(
図4の「装置A」)、第1の例に従った第2のトレンチIGBT(
図4の「装置B」)、および
図2を参照して上述された実施形態に従った第3のトレンチIGBT(
図4の「装置C」)の阻止電圧Vbdおよびオン状態電圧Vce,onをそれぞれ示す。第1~第3のトレンチIGBT(
図4の「装置A」、「装置B」、および「装置C」)は、保護層8a、8bの構成および強化層6のドーピング濃度のみが互いに異なっており、一方、第1~第3のトレンチIGBTの残りの構成は、他のすべての局面に関して同じである。
図4から分かるように、強化層のドーピング濃度を3×10
16cm
-3から4×10
16cm
-3に増加させると、静的阻止電圧またはブレークダウン電圧Vbdは、第2および第3のトレンチIGBTでは著しく減少せず、一方、それは、第1のトレンチIGBTについては大幅に減少する。第2および第3のトレンチIGBT(
図4の「装置B」および「装置C」)では、強化層のドーピング濃度を3×10
16cm
-3から4×10
17cm
-3に増加させると、ブレークダウン電圧Vbdは10%よりも少ない分だけ減少し、一方、同時に、オン状態電圧Vce,onは25%よりも多い分だけ減少する。したがって、第2および第3のトレンチIGBTでは、オン状態電圧Vce,onは、強化層6のドーピング濃度を4×10
17cm
-3までの比較的高い値に増加させることによって、(最適ブレークダウン電圧Vbdのわずかな減少のみで)最適化(減少)され得る。一方、保護層のない第1のトレンチIGBTにおける強化層6のドーピング濃度を5×10
16cm
-3を超えて増加させることは、ブレークダウン電圧Vbdの大幅な低下をもたらす。
【0050】
図5は、保護層のない第1のトレンチIGBT(
図5の「装置A」)、第1の例に従った第2のトレンチIGBT(
図5の「装置B」)、および
図2を参照して上述された実施形態に従った第3のトレンチIGBT(
図5の「装置C」)についての技術曲線を示す。スイッチングエネルギーEoffは、Vce,onに対して示される。
図5には、単一のスイッチング事象中に動的アバランシェメカニズムに起因して生成された電子の総数も示されている。先行技術の装置については、生成されるアバランシェ電子はより少ない。同じVce,onについては、スイッチング損失は約10%減少され得る(すなわち、第2および第3のトレンチIGBTでは、半分の数の電子のみが生成される)。所与のスイッチング損失については、オン状態電圧Vce,onは約0.2V減少され得る。
【0051】
図6には、第2の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置が示されており、それはトレンチIGBT1cである。第1の例と第2の例との多くの類似点に起因して、これら2つの例の相違点のみが説明される。他のすべての特徴については、第1の例の上述の説明を参照されたい。特に、同じ参照符号を有する要素は、第1の例について上述された要素と同じ特徴を有する同じ要素を指す。
図6に示すトレンチIGBT1cは、それがさらに、ドリフト層5よりも高いドーピング濃度を有する(n+)型バッファ層55を含む点で、トレンチIGBT1aとは異なる。バッファ層55は、ドリフト層5からコレクタ層9を隔てるように、ドリフト層5上に、第2の主面27に向かって配置される。したがって、
図6に示すようなトレンチIGBT1cは、パンチスルー(PT)構成を有する。バッファ層55は、一定のドーピング濃度プロファイルを有していてもよく、または、第2の主面27に向かう方向において徐々に増加するドーピング濃度プロファイルを有していてもよい。より高い阻止電圧でのトレンチIGBT1cの動作時、ドリフト層5とバッファ層55との間の界面での電界は、まだゼロに達していないであろう。バッファ層55における短い距離に沿って、それは次に、その比較的高いドーピング濃度に起因して、ゼロまで急に減少する。
【0052】
図7には、第3の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置が示されており、それは逆導通(reverse conducting:RC)トレンチIGBT1dである。第2の例と第3の例との多くの類似点に起因して、これら2つの例の相違点のみが説明される。他のすべての特徴については、第2の例の上述の説明を参照されたい。特に、同じ参照符号を有する要素は、同じ特徴を有する同じ要素を指す。第3の例のRCトレンチIGBT1dは、それが、pドープコレクタ層9を貫通し、n型ドリフト層5を第2の主電極25に電気的に接続するように、第2の主面27上に配置される複数のn型短絡92を含む点で、第2の例のトレンチIGBT1aとは異なる。したがって、
図7に示すように、pドープコレクタ層9は、第2の主面27と平行な平面において、n型短絡92と交互になる。バッファ層55はドリフト層5よりも高いドーピング濃度を有し、短絡92はバッファ層55よりもさらに高いドーピング濃度を有する。
【0053】
図8は、第4の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置を示す。第1の例と第4の例との多くの類似点に起因して、これら2つの例の相違点のみが以下に説明される。他のすべての特徴については、第1の例の上述の説明を参照されたい。特に、同じ参照符号を有する要素は、同じ特徴を有する同じ要素を指す。第4の例に従った絶縁ゲートパワー半導体装置は縦型パワーMOSFET10であり、それは、p型コレクタ層25を含まず、ドリフト層5と第2の主電極25との間の(n+)ドープドレイン層95を第2の主面27上に含む点で、
図1に示すトレンチIGBT1aとは異なる。
図8に示すパワーMOSFETについては、第1の主電極2はソース電極を形成し、第2の主電極25はドレイン電極を形成する。
【0054】
以下に、
図2を参照して上述された実施形態に従った絶縁ゲートトレンチパワー半導体装置を製造する方法が、
図9A~9Fを参照して説明される。この方法は、以下のステップを含む。
【0055】
図9Aに示すようなステップ(a)で、第1の主面20と、第1の主面20とは反対側の第2の主面27とを有する(n-)型基板10が提供され、基板10のドーピングレベルは、完成した絶縁ゲートパワー半導体装置におけるドリフト層5のドーピングレベルと同じである。例示的には、基板10はシリコンで作られていてもよい。
【0056】
図9Bに示すステップ(b)で、p型の第1のドーパント18が、第1の主面20から基板10に選択的に注入される。例示的には、p型ドーパントはホウ素であってもよい。
図9Bに示すように、注入マスク15が、第1のドーパントを予め定められた深さにある領域28に選択的に注入するために使用されてもよい。
【0057】
ステップ(c)で、完成した装置における強化層6およびチャネル層60bを作成するために、n型の第2のドーパントが、第1の主面20から基板10に施されて拡散され、または注入される。n型の第2のドーパントは例示的には、リンである。ステップ(c)で作成される高いn型ドーピング濃度は、
図9Cにn型層100として示される。そのドーピング濃度は、領域28よりも低い。
【0058】
ステップ(d)で、
図9Dに示すように、2つの隣り合うトレンチ凹部78が基板10に形成され、トレンチ凹部78の各々は、第1の主面20から基板10内に延在し、各トレンチ凹部78は、側面75と、底部76とを有する。トレンチ凹部78は例示的には、2.5μm~10μmの深さを有する。本実施形態では、2つの隣り合うトレンチ凹部78の各々は、基板10の第1の主面20と平行な平面上への直角投影において、p型領域28と部分的に重なる。トレンチ凹部78は、
図9Dに示すように、トレンチ凹部78の底部76および側面75の下方部分の一部が領域28に直接隣接するように、領域28に入り込む。
【0059】
ステップ(e)で、
図9Eに示すように、ゲート絶縁層72が、各トレンチ凹部78の側面75および底部76上に形成される。例示的には、ゲート絶縁層72はゲート酸化層であってもよく、特に、ゲート絶縁層72は酸化シリコンで作られていてもよい。ゲート絶縁層72を形成するステップ(e)の間または後に、少なくとも900℃、例示的には少なくとも975℃、より例示的には少なくとも1050℃の温度が、少なくとも合計1時間適用される。それに関連付けられた熱エネルギー入力により、p型ドーパントの拡散および偏析が、トレンチ凹部78に直接隣接する区域において、n型ドーパントの濃度を下回る第1のドーパントの濃度の減少をもたらす。これは、
図9Eに示すように、過補償によるn型チャネル層60bの生成をもたらす。
【0060】
ステップ(f)で、完成した絶縁ゲートパワー半導体装置におけるベース層4を形成するために、p型の第3のドーパントが、第1の主面20から基板10に施されて拡散され、または注入される。
【0061】
ステップ(g)で、完成した絶縁ゲートパワー半導体装置における高度にドープされた(n+)型ソース層3を形成するために、n型の第4のドーパントが、第1の主面20から基板10に施されて拡散され、または注入される。ステップ(g)は例示的には、ステップ(e)の後に行なわれる。その後、エッチングステップが行なわれてもよく、それにより、2つの隣り合うゲート電極7間の中央区域において、材料がある深さまで除去され、そこでは、後に形成されるエミッタ電極2からベース層4への接触を可能にするように、ベース層4のp型ドーパントが優位を占める。
【0062】
どの特定の絶縁ゲートパワー半導体装置が製造されるべきかに依存して、方法は、当業者には周知である追加の方法ステップを含んでいてもよい。たとえば、
図1、
図2、
図6、または
図7のいずれか1つに示すようなトレンチIGBT1a、1b、1c、または1dを製造するために、p型ドーパントが、コレクタ層9の生成のために、第2の主面27から注入され、アニールされてもよい。
図6に示すようなPTトレンチIGBT1cを製造するために、n型ドーパントが、バッファ層55の生成のために、第2の主面27から基板10に注入され、アニールされてもよい。
図7に示すようなRC IGBT1dを製造するために、n型ドーパントが、コレクタ層9を貫通する短絡92を作成するために、たとえばマスクを使用することによってコレクタ層9に選択的に注入され、アニールされてもよい。
図8に示すようなパワーMOSFET10を製造するために、n型ドーパントが第2の主面27から基板に注入されてもよく、基板10はドレイン層95を形成するためにアニールされてもよい。
【0063】
さらに、トレンチ凹部80は導電性材料で充填され、それにより、電気絶縁性のゲート絶縁層72が、ドリフト層5、ベース層4、およびソース層3からゲート層70を隔てるように、ゲート層70が形成される。このため、ゲート層70とゲート絶縁層72とを含むトレンチゲート電極7が形成され、トレンチゲート電極7は、第1の主面22と平行な平面において、ベース層4に対して横方向に配置される。その後、上部ゲート絶縁74が、少なくともトレンチゲート電極7上に形成される。
【0064】
最後に、エミッタ電極2が第1の主面20上に形成され、それは、ベース層4およびソース層3の双方と電気的に接触する。第2の主面27上にはコレクタ電極25が形成され、それは、第2の主面27上のドープ層、すなわち、たとえば
図1、
図2、
図6、および
図7に示すようなトレンチIGBT1a、1b、1cおよび1dについてはコレクタ層9、または、たとえば
図8に示すようなパワーMOSFET10についてはドレイン層95と接触する。
【0065】
上述の実施形態および例の変更および変形が可能であってもよい。
ゲート電極7は、ストライプ設計のような、すなわち、第1の主面20と平行な平面において短辺と短辺に直交する長辺とを有する、異なる設計を有していてもよい。ソース層3は、ゲート電極7の長辺に沿って配置される。正方形設計、円形設計、環状設計、六角形設計などのような、トレンチゲート電極7のための他の設計も、可能である。装置は2つの隣り合うトレンチゲート電極7を有していてもよく、または、それは3つ以上のトレンチゲート電極7を含んでいてもよい。例示的には、後者の場合、ゲート電極7は、規則的な幾何学的設計で配置される。
【0066】
すべての実施形態および例において、導電型は切り替えられてもよい。すなわち、n型として上述された層(たとえば、ドリフト層5、ソース層3、強化層6、バッファ層55、短絡92、およびチャンネル層60a、60b)はすべてp型であってもよく、p型であると上述された層(たとえば、ベース層4、コレクタ層6、および保護層8a、8b)はすべてn型であってもよい。
【0067】
図面に示す実施形態および例では、ソース層4は、それぞれのトレンチゲート電極7の片側にのみ形成される。しかしながら、ソース層はまた、ゲート電極7の両側に形成されてもよい。また、いくつかの変更された実施形態または例では、アクティブMOSセル同士は、ダミーセルまたは任意の他の適切な層構成もしくは構造によって、互いから隔てられてもよい。
【0068】
絶縁ゲートパワー半導体装置を製造するための方法におけるステップの順序は、上述のステップ(a)~(f)という示された順序に限定されず、任意の他の適切な順序であってもよい。たとえば、製造方法の最中に任意の他の適切な時点でベース層4および/またはソース層3を作成することも可能であり、たとえば、ベース層4は、トレンチ凹部78を形成するステップ(d)の前または後に作成されてもよく、一方、ソース層3は、ゲート絶縁層72を形成するステップ(e)の後の任意の時間に作成されてもよい。
【0069】
なお、「含む」という用語は他の要素またはステップを排除せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を排除しない。また、異なる実施形態に関連して説明された要素同士が組合されてもよい。なお、請求項における参照符号は、請求の範囲を限定するとして解釈されないものとする。
【0070】
本発明は、添付された請求項によって定義されるようなこの発明の範囲から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化され得るということが、当業者には理解されるであろう。
【0071】
参照符号のリスト
【符号の説明】
【0072】
1a:トレンチ絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、1b:トレンチIGBT、1c:パンチスルー(PT)IGBT、1d:逆導通(RC)IGBT、10:トレンチパワーMOSFET、18:第1のドーパント、100:トレンチIGBT、200:トレンチIGBT、2:第1の主電極、20:第1の主面、25:第2の主電極、27:第2の主面、28:領域、3:ソース層、4:ベース層、5:ドリフト層、55:バッファ層、6:強化層、60a、60b:チャネル層、7:トレンチゲート電極、70:ゲート層、72:ゲート絶縁層、74:上部ゲート絶縁層、75:側面、76:底部、77:トレンチ深さ、78:トレンチ凹部、8a:保護層、8b:保護層、80:(第1の)保護層領域81:第2の保護層領域、85:線、9:コレクタ層、92:短絡、95:ドレイン層。