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特許7271689内視鏡用プロセッサ、トレーニング装置、情報処理方法、トレーニング方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】内視鏡用プロセッサ、トレーニング装置、情報処理方法、トレーニング方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/045 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
A61B1/045 623
A61B1/045 614
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021546149
(86)(22)【出願日】2019-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2019036940
(87)【国際公開番号】W WO2021053808
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】橘 俊雄
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/078237(WO,A1)
【文献】特開2018-139848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得する領域取得部と、
前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、前記領域取得部が取得した対象領域をガイドラインで定められた基準画像と同じ構図で撮影したときの画像の外形線の目安を示す指標とを重畳させて出力する画像出力部と、
前記指標が前記内視鏡画像の縁と一致する状態になるときに前記画像取得部が取得した内視鏡画像を記録する画像記録部と、
を備える内視鏡用プロセッサ。
【請求項2】
前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、撮影対象部位に関連づけられた基準画像との類似度を上げるためのガイドを内視鏡画像に重畳させて出力するガイド出力部を備える
請求項1に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項3】
前記画像記録部は、前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、撮影対象部位に関連づけられた基準画像との類似度が所定の値より高いと判定した場合に前記画像取得部が取得した内視鏡画像を記録する
請求項1または請求項2に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項4】
前記画像記録部が内視鏡画像を記録した場合に通知を出力する第1通知出力部を備える
請求項3に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項5】
前記第1通知出力部は、記録した内視鏡画像と基準画像との類似度に応じた通知を出力する
請求項4に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項6】
前記画像記録部は、ユーザからの指示を受け付けた場合に前記画像取得部が取得した内視鏡画像を記録する
請求項3から請求項5のいずれか一つに記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項7】
前記第1学習モデルは、内視鏡画像が入力された場合に、複数の撮影対象部位それぞれに対応する複数の対象領域を出力し、
前記画像出力部は、内視鏡画像と、複数の対象領域をそれぞれ示す指標とを重畳させ出力する
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項8】
前記画像出力部は、対応する内視鏡画像を記録済である撮影対象部位に対応する指標を重畳させない
請求項7に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項9】
前記画像出力部が所定の観察順序に合致しない基準画像に対応する指標のみを表示する場合に通知を出力する第2通知出力部を備える
請求項1から請求項8のいずれか一つに記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項10】
病変を観察中であることを検知する病変検知部を備え、
前記病変検知部が病変を観察中であることを検知した場合、前記領域取得部は動作を停止する
請求項1から9のいずれか一つに記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項11】
前記領域取得部の動作再開を判定する再開判定部を備え、
前記再開判定部が動作再開を判定した場合、前記領域取得部は動作を再開する
請求項10に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項12】
基準画像を受け付ける基準画像受付部を備える
請求項1から請求項11のいずれか一つに記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項13】
前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が高いと判定した場合に類似度を上げるように内視鏡を自動制御する自動制御部を備える
請求項1から請求項12のいずれか一つに記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項14】
前記自動制御部が内視鏡を制御中に前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が低下したと判定した場合、前記自動制御部の動作を停止する
請求項13に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項15】
前記自動制御部が内視鏡を自動制御している場合に通知を出力する第3通知出力部を備える
請求項13または請求項14に記載の内視鏡用プロセッサ。
【請求項16】
内視鏡画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得する領域取得部と、
前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、前記領域取得部が取得した対象領域をガイドラインで定められた基準画像と同じ構図で撮影したときの画像の外形線の目安を示す指標とを重畳させて出力する画像出力部と、
前記指標が前記内視鏡画像の縁と一致する状態になるときに前記画像取得部が取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が所定の閾値よりも高い場合に当該内視鏡画像を記録する画像記録部と、
前記画像記録部が記録した内視鏡画像と前記基準画像との類似度を記録する類似度記録部と、
前記類似度記録部が記録した類似度に基づいて手技の評価を表示する評価表示部と
を備える、トレーニング装置。
【請求項17】
内視鏡画像を取得し、
取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得し、
取得した内視鏡画像と、取得した対象領域をガイドラインで定められた基準画像と同じ構図で撮影したときの画像の外形線の目安を示す指標とを重畳させて出力し、
前記指標が前記内視鏡画像の縁と一致する状態になるときに取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が所定の閾値よりも高い場合に当該内視鏡画像を記録し、
処理をコンピュータに実行させる情報処理方法。
【請求項18】
内視鏡画像を取得し、
取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得し、
取得した内視鏡画像と、取得した対象領域をガイドラインで定められた基準画像と同じ構図で撮影したときの画像の外形線の目安を示す指標とを重畳させて出力し、
前記指標が前記内視鏡画像の縁と一致する状態になるときに取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が所定の閾値よりも高い場合に当該内視鏡画像を記録し、
記録した内視鏡画像と前記基準画像との類似度を記録し、
記録した類似度に基づいて手技の評価を表示する
トレーニング方法。
【請求項19】
内視鏡画像を取得し、
取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得し、
取得した内視鏡画像と、取得した対象領域をガイドラインで定められた基準画像と同じ構図で撮影したときの画像の外形線の目安を示す指標とを重畳させて出力し、
前記指標が前記内視鏡画像の縁と一致する状態になるときに取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が所定の閾値よりも高い場合に当該内視鏡画像を記録する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項20】
取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得し、
取得した内視鏡画像と、取得した対象領域をガイドラインで定められた基準画像と同じ構図で撮影したときの画像の外形線の目安を示す指標とを重畳させて出力し、
前記指標が前記内視鏡画像の縁と一致する状態になるときに取得した内視鏡画像と、基準画像との類似度が所定の閾値よりも高い場合に当該内視鏡画像を記録し、
記録した内視鏡画像と前記基準画像との類似度を記録し、
記録した類似度に基づいて手技の評価を表示する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡用プロセッサ、トレーニング装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間ドックまたは定期健康診断等での内視鏡検査においては、病変を発見することだけでなく、臓器の内壁をくまなく観察して病変が存在しないことを判定することが必要である。医学会および各医療機関等で定めたガイドラインでは、画像を記録する部位等を定めている。このガイドラインに沿って画像を記録することにより、病変の見落とし防止と、後日内視鏡専門医が画像を確認するダブルチェックとを実現できる。
【0003】
撮影中の内視鏡画像と、ガイドラインに沿った基準画像との類似度を判定することにより、ガイドラインに沿った画像の記録を支援する内視鏡システムが提案されている(特許文献1)。特許文献1の内視鏡システムにおいては、挿入部を受診者に挿入した挿入長に基づいて観察中の検査部位を判定することにより、検査部位に対応する基準画像を選択する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-139848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、たとえば胃の内視鏡検査においては、空気により膨らませた胃の内部で内視鏡を様々に操作するため、挿入長と検査部位とは対応しない。また大腸の内視鏡検査においても、挿入部の外側に腸管が蛇腹状に畳み込まれるため、挿入長と検査部位とは対応しない。したがって、特許文献1の内視鏡システムでは、適切な基準画像を選択して医師を支援することは困難である。
【0006】
一つの側面では、適切な基準画像を用いて内視鏡検査を支援する内視鏡用プロセッサ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
内視鏡用プロセッサは、内視鏡画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部が取得した内視鏡画像を、内視鏡画像が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデルに入力して、対象領域を取得する領域取得部と、前記画像取得部が取得した内視鏡画像と前記領域取得部が取得した対象領域を示す指標とを重畳させて出力する画像出力部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、適切な基準画像を用いて内視鏡検査を支援する内視鏡用プロセッサ等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】自動撮影機能の概要を説明する説明図である。
図1B】自動撮影機能の概要を説明する説明図である。
図1C】自動撮影機能の概要を説明する説明図である。
図1D】自動撮影機能の概要を説明する説明図である。
図2】内視鏡システムの構成を説明する説明図である。
図3】基準画像DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
図4】検査DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
図5】第1学習モデルの構成を説明する説明図である。
図6】第2学習モデルの構成を説明する説明図である。
図7】画面表示例を説明する説明図である。
図8】画面表示例を説明する説明図である。
図9】画面表示例を説明する説明図である。
図10】画面表示例を説明する説明図である。
図11】画面表示例を説明する説明図である。
図12】画面表示例を説明する説明図である。
図13】画面表示例を説明する説明図である。
図14】画面表示例を説明する説明図である。
図15】画面表示例を説明する説明図である。
図16】画面表示例を説明する説明図である。
図17】プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図18】対象選択のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図19】ガイド表示のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図20】記録のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図21】実施の形態2の画面表示例を説明する説明図である。
図22】実施の形態2の画面表示例を説明する説明図である。
図23】実施の形態2の対象選択のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図24】実施の形態2のガイド表示のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図25】実施の形態3の画面表示例を説明する説明図である。
図26】実施の形態3の画面表示例を説明する説明図である。
図27】実施の形態3の対象選択のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。
図28】実施の形態4の画面表示例を説明する説明図である。
図29】実施の形態5の内視鏡システムの構成を説明する説明図である。
図30】実施の形態5の画面表示例を説明する説明図である。
図31】実施の形態5のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図32】実施の形態6の画面表示例を説明する説明図である。
図33】経過観察DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。
図34】実施の形態7のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
図35】実施の形態8の内視鏡用プロセッサの機能ブロック図である。
図36】実施の形態9の内視鏡システムの構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は、自動撮影機能の概要を説明する説明図である。本実施の形態では、日本消化器がん検診学会で定めたガイドラインに沿って胃の内視鏡検査を実施する場合を例にして説明する。ガイドラインは、各医療機関等で独自に定められたものであっても良い。検査を行なう対象の臓器は、大腸または十二指腸等であっても良い。
【0011】
医師は、検診を受ける受診者に内視鏡30(図2参照)を挿入して、内視鏡画像49をリアルタイムで観察する。図1Aは、ガイドラインで定められた基準画像に対応する撮影対象部位が内視鏡画像49に含まれていない状態を示す。医師は、内視鏡30を適宜操作して、視野を撮影対象部位に向ける。
【0012】
図1Bは、内視鏡画像49に撮影対象部位が含まれる状態を示す。ガイド枠(バウンディングボックス)75により、基準画像に対応する部分が囲まれている。医師は、図1Cおよび図1Dに示すように、ガイド枠75で囲まれた部分が内視鏡画像49いっぱいに広がるように内視鏡30を操作する。
【0013】
図1Dに示すように、ガイド枠75が内視鏡画像49の縁とほぼ一致する状態になった場合に、内視鏡画像49が静止画で記録される。静止画は、リアルタイムで観察中の動画から1フレーム分のデータを切り出して生成されても、動画とは別に静止画に適した照明およびシャッター速度を用いて撮影されても良い。
【0014】
静止画の記録は、自動的に行われても、ガイド枠75の状態を確認した医師による指示に基づいて行われても良い。その後、医師は次の撮影対象部位に向けて内視鏡30を適宜操作する。
【0015】
以上の操作を繰り返すことにより、ガイドラインに定められた基準画像に対応する一連の静止画が記録される。医師は、ガイド枠75と内視鏡画像49とを合わせるように内視鏡30を操作する過程で、撮影対象部位を十分に目視観察できる。そのため、病変の見落としを防止できる。
【0016】
基準画像に合わせた位置、向き、および大きさで一連の内視鏡画像49が記録されるため、記録済の画像を内視鏡専門医等が確認するいわゆるダブルチェックを効率良く実施できる。
【0017】
なお、内視鏡検査中に病変を発見した場合、医師はガイドラインを外れて詳細な診断に必要な観察を行なうとともに、場合によっては内視鏡下治療も行なう。このような場合には、ガイド枠75は不要である。医師は、専門的な判断に基づいて適切な内視鏡画像49を記録する。
【0018】
図2は、内視鏡システム10の構成を説明する説明図である。内視鏡システム10は、内視鏡30と、内視鏡用プロセッサ20とを含む。内視鏡用プロセッサ20は、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、スピーカ25、表示装置I/F(Interface)26、入力装置I/F27、読取部28、内視鏡接続部29およびバスを備える。
【0019】
なお図2においては、光源、送気送水ポンプ、吸引ポンプおよび内視鏡30の先端に設けられた撮像素子の制御部等の、内視鏡用プロセッサ20の基本機能を実現する構成については、図示および説明を省略する。
【0020】
制御部21は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部21には、一または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)またはマルチコアCPU等が使用される。制御部21は、バスを介して内視鏡用プロセッサ20を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0021】
主記憶装置22は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置22には、制御部21が行なう処理の途中で必要な情報および制御部21で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0022】
補助記憶装置23は、SRAM、フラッシュメモリまたはハードディスク等の記憶装置である。補助記憶装置23には、第1学習モデル61、第2学習モデル62、基準画像DB66,検査DB67、制御部21に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。
【0023】
第1学習モデル61、第2学習モデル62、基準画像DB66および検査DB67は、内視鏡用プロセッサ20に接続された外部の大容量記憶装置に記憶されていてもよい。
【0024】
通信部24は、内視鏡用プロセッサ20とHIS(Hospital Information System:病院情報システム)等との間のデータ通信を行なうインターフェイスである。スピーカ25は、制御部21による指示に基づいて音を出力する。
【0025】
表示装置I/F26は、内視鏡用プロセッサ20と表示装置16とを接続するインターフェイスである。入力装置I/F27は、内視鏡用プロセッサ20とキーボード17等の入力装置とを接続するインターフェイスである。なお、表示装置16および入力装置は、内視鏡用プロセッサ20と一体に構成されていても良い。複数の表示装置16および入力装置が、内視鏡用プロセッサ20に接続されていても良い。
【0026】
内視鏡30は、挿入部31、操作部32、ユニバーサルコード33およびコネクタ部34を有する。操作部32は、湾曲ノブ35、3個のスイッチボタン36、チャンネル入口37、送気送水ボタン321および吸引ボタン322を有する。チャンネル入口37には、処置具等を挿入する挿入口を有する鉗子栓371が取り付けられている。
【0027】
挿入部31は長尺であり、一端が折止部を介して操作部32に接続されている。挿入部31は、操作部32側から順に軟性部311、湾曲部312および先端部313を有する。先端部313には、観察窓および照明窓が設けられており、観察窓の奥に撮像素子が配置されている。湾曲部312は、湾曲ノブ35の操作に応じて湾曲する。
【0028】
以後の説明では、挿入部31の長手方向を挿入方向と記載する。同様に、挿入方向に沿って操作部32に近い側を操作部側、操作部32から遠い側を先端側と記載する。
【0029】
ユニバーサルコード33は長尺であり、第一端が操作部32に、第二端がコネクタ部34にそれぞれ接続されている。ユニバーサルコード33は、軟性である。コネクタ部34は、内視鏡用プロセッサ20に設けられた内視鏡接続部29に着脱可能に結合する。
【0030】
スイッチボタン36は、図示を省略するケーブルおよびコネクタ部34を介して、内視鏡用プロセッサ20に接続されている。スイッチボタン36には、内視鏡用プロセッサ20の種々の機能のうち、内視鏡検査中に必要な操作を割り付け可能である。スイッチボタン36を使用することにより、医師は内視鏡30から手を離さずに、必要な操作を行なえる。
【0031】
本実施の形態においては、内視鏡画像49を静止画で記録するいわゆるレリーズ機能が割り当てられたスイッチボタン36を、撮影ボタンと記載する。ユーザである医師が撮影ボタンを押した場合、制御部21は速やかに静止画を検査DB67に記録する。以下の説明では、検査DB67に静止画を記録することを「撮影する」と記載する場合がある。
【0032】
図3は、基準画像DB66のレコードレイアウトを説明する説明図である。基準画像DB66は、ガイドラインに沿った撮影順序と、部位名と、基準画像とを関連づけて記録したDBである。基準画像DB66は、撮影順序フィールドと、部位名フィールドと、基準画像フィールドとを有する。
【0033】
撮影順序フィールドには、ガイドラインに沿った撮影順序が記録されている。部位名フィールドには、ガイドラインで撮影するべく定められた撮影対象部位の名称が記録されている。基準画像フィールドには、ガイドラインで推奨される基準画像が記録されている。基準画像DB66は、1つの撮影対象部位について1つのレコードを有する。
【0034】
図4は、検査DB67のレコードレイアウトを説明する説明図である。検査DB67は、内視鏡検査で画像を撮影した撮影対象部位の名称と、撮影された画像と基準画像との類似度と、記録した画像とを関連づけて記録したDBである。検査DB67は、医師ID(Identifier)フィールド、受診者IDフィールド、日付フィールド、番号フィールド、部位名フィールド、類似度フィールドおよび画像フィールドを有する。
【0035】
医師IDフィールドには、内視鏡検査を担当する医師に固有に付与された医師IDが記録されている。受診者IDフィールドには、内視鏡検査を受診した受診者に固有に付与された受診者IDが記録されている。日付フィールドには、日付が記録されている。番号フィールドには、内視鏡検査中に記録した静止画に昇順で割り当てた番号が記録されている。
【0036】
部位名フィールドには、ガイドラインに定められた撮影対象部位の名称が記録されている。「-」は、ガイドラインおよび基準画像から離れて医師の判断により撮影された画像であることを示す。類似度フィールドには、基準画像との類似度が記録されている。「-」は、基準画像が存在しないため類似度も算出されていないことを意味する。画像フィールドには、静止画のファイルが記録されている。
【0037】
類似度フィールドに記録される類似度の概要を説明する。類似度は、二つの画像が類似する程度を定量化した数値である。本実施の形態においては、まったく一致しない場合を0とし、完全に一致する場合を100とする、0から100までの数値で類似度を表現するが、これに限定するものではない。
【0038】
二つの画像の類似度の定量化には、様々な手法が従来から利用されている。たとえば2つの画像それぞれについて、色の分布および特徴点の位置等の様々な特徴量に基づいて特徴量ベクトルを生成する。特徴量ベクトル間の距離が大きいほど類似度は低く、特徴ベクトル間の距離が小さいほど類似度は高い。
【0039】
特徴量ベクトルは、画像分類用の学習モデルを使用して生成されても良い。画像分類用の学習モデルには、たとえばVGG16またはVGG19等の学習済のCNN(Convolutional Neural Network)モデルを利用できる。これらのCNNモデルに、さらに内視鏡画像49を追加学習させた学習済モデルを使用しても良い。2つの画像を画像分類用の学習モデルにそれぞれ入力し、出力層の各ノードからの出力をそれぞれの画像の特徴量ベクトルに使用する。
【0040】
内視鏡画像49を入力した場合に、基準画像との類似度を出力するようにパラメータを調整した学習モデルを使用して、類似度を算出しても良い。たとえば、基準画像と内視鏡画像49とが同一の画像である確率を基準度に使用する。このようにする場合、それぞれの基準画像について、類似度算出用の学習モデルを生成しておく。
【0041】
類似度は、たとえばR-CNN(Regions with Convolutional Neural Networks)等の物体検出手法を用いて内視鏡画像49から抽出した、所定のターゲットを示すバウンディングボックスに基づいて算出されても良い。たとえば噴門部を抽出したバウンディングボックスが、基準画像上の噴門部を示すバウンディングボックスと重複する面積が大きい場合に、類似度が高いと判定する。
【0042】
R-CNN等の物体検出手法を用いて所定のターゲットを検出した際の確率を類似度に使用しても良い。
【0043】
検査DB67に記録されたデータは、電子カルテシステム等に適宜アップロードされても良い。
【0044】
図5は、第1学習モデル61の構成を説明する説明図である。第1学習モデル61は、内視鏡画像49の入力を受け付けて、ガイドラインで定められた撮影対象部位、すなわち基準画像に類似する領域を出力する学習モデルである。図5は、R-CNNを使用した第1学習モデル61の例を示す。
【0045】
第1学習モデル61は、領域候補抽出部651と、分類部652と、図示を省略するニューラルネットワークとを含む。ニューラルネットワークは、畳込み層、プーリング層および全結合層を含む。第1学習モデル61に、内視鏡画像49が入力される。
【0046】
領域候補抽出部651は、入力された内視鏡画像49から、様々なサイズの領域候補を抽出する。分類部652は、抽出された領域候補の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて領域候補に映っている被写体を分類する。ここで分類する対象は、ガイドラインで定められたそれぞれの撮影対象部位である。第1学習モデル61は、領域候補の抽出と分類とを繰り返し、入力を受け付けた内視鏡画像49の各部分に写っている撮影対象部位を含む対象領域を判定する。
【0047】
図5においては、第1学習モデル61は、3つの検出枠(バウンディングボックス)653で示す対象領域に関する情報を出力している。図5に示す例では、前庭部小弯が80パーセントの確率で写っている対象領域と、前庭部大弯が70パーセントの確率で写っている対象領域と、前庭部前壁が60パーセントの確率で写っている対象領域とが、それぞれ出力されている。
【0048】
第1学習モデル61の生成方法の概要を説明する。第1学習モデル61は、病変が写りこんでいない内視鏡画像49と、内視鏡画像49に含まれる撮影対象部位の名前、位置および範囲とを関連づけて記録した複数の教師データを使用して生成される。具体的には、教師データ中の内視鏡画像49が入力された場合に、分類部652から出力されるデータが教師データ中の撮影対象部位の名前、位置および範囲と一致するように、誤差逆伝搬法によりニューラルネットワークのパラメータが調整される。
【0049】
図6は、第2学習モデル62の構成を説明する説明図である。第2学習モデル62は、内視鏡画像49の入力を受け付けて、粘液および残渣等の異物が写っている領域を出力する学習モデルである。図6は、R-CNNを使用した第2学習モデル62の例を示す。
【0050】
第2学習モデル62は、領域候補抽出部651と、分類部652と、図示を省略するニューラルネットワークとを含む。ニューラルネットワークは、畳込み層、プーリング層および全結合層を含む。第2学習モデル62に、内視鏡画像49が入力される。
【0051】
領域候補抽出部651は、入力された内視鏡画像49から、様々なサイズの領域候補を抽出する。分類部652は、抽出された領域候補の特徴量を算出し、算出した特徴量に基づいて領域候補に映っている被写体を分類する。ここで分類する対象は、粘液および残渣等の異物である。第2学習モデル62は、領域候補の抽出と分類とを繰り返し、入力を受け付けた内視鏡画像49の各部分に写っている異物を判定する。
【0052】
図6においては、第2学習モデル62は、2つの検出枠653で示す領域に関する情報を出力している。図6に示す例では、粘液が80パーセントの確率で写っている領域と、60パーセントの確率で写っている領域とが、それぞれ出力されている。
【0053】
第2学習モデル62は、基準画像ごとに作成されている。制御部21は、基準画像に対応する内視鏡画像49を撮影する前に、第2学習モデル62を用いて異物が写っている領域を判定する。異物が写っている場合には、制御部21はユーザの注意を促す通知を出力する。ユーザである医師がたとえば内視鏡30の副送水機能等を使用して異物を除去した後に、制御部21は静止画を撮影する。
【0054】
第2学習モデル62の生成方法の概要を説明する。第2学習モデル62は、撮影対象部位を撮影した内視鏡画像49と、内視鏡画像49に写りこんでいる異物の種類、位置および範囲とを関連づけて記録した複数の教師データを使用して生成される。具体的には、教師データ中の内視鏡画像49が入力された場合に、分類部652から出力されるデータが教師データ中の異物の種類、位置および範囲と一致するように、誤差逆伝搬法によりニューラルネットワークのパラメータが調整される。
【0055】
なお、第2学習モデル62は、がん、潰瘍、ポリープまたは出血部等の病変が写っている領域も出力するように学習済であっても良い。このようにする場合、異物に加えて病変の種類、位置および範囲とを関連づけて記録した教師データを使用して、第2学習モデル62が生成される。
【0056】
なお、R-CNNの代わりに、Fast R-CNN、Faster R-CNN、Mask R-CNN、SSD(Single Shot Multibook Detector)またはYOLO(You Only Look Once)等の、任意の物体検出アルゴリズムを使用してもよい。
【0057】
第1学習モデル61と第2学習モデル62とを統合した1つの学習モデルが使用されても良い。この場合、学習モデルは内視鏡画像49の入力を受け付けて、基準画像に対応する基準画像に類似する領域、および、内視鏡画像中の異物の両方を出力する。
【0058】
図7から図16は、画面表示例を説明する説明図である。図7は、第1学習モデル61により次の撮影対象部位を含む領域が出力された場合に、制御部21が表示装置16に表示する画面の例を示す。
【0059】
図7に示す画面は、内視鏡画像欄73、進捗表示欄71、状態表示欄72および過去画像欄74を含む。制御部21は、内視鏡画像欄73に内視鏡画像49をリアルタイムで表示する。制御部21は、内視鏡画像49に重畳して、ガイド枠75を表示する。ガイド枠75は、次の撮影対象部位を基準画像と同じ構図で撮影した場合の画像の外形線の目安を示す指標である。
【0060】
制御部21は、進捗表示欄71に、過去に撮影した内視鏡画像49をサムネールにより表示する。図7において、太枠で囲んだ部分にはサムネールが表示されている。細枠で囲んだ部分は、空欄になっている。すなわち、進捗表示欄71のサムネールを表示することにより制御部21は、内視鏡画像49を記録した場合に通知を出力する第1通知出力部の機能を果たす。
【0061】
なお、細枠で囲んだ部分に基準画像が表示されていても良い。このようにする場合には、制御部21はたとえばサムネールの周囲を囲む枠線の太さまたは色等により、撮影した内視鏡画像49と、基準画像とを区別できるように表示する。
【0062】
制御部21は、サムネールの選択を受け付けた場合に、大きな画像をポップアップ表示する。サムネールを生成して一覧表示する方法、および、ポップアップ表示する方法は、従来から使用されているため説明を省略する。
【0063】
制御部21は、状態表示欄72に動作中のモードを表示する。「Guide Mode ON」は、次の撮影対象部位を示すガイド枠75を表示するモードであることを意味する。内視鏡画像49に次の撮影対象部位が写っておらず、ガイド枠75が表示されていない場合であっても、ユーザは状態表示欄72を見ることにより動作中のモードを確認できる。
【0064】
過去画像欄74には、一つ前に撮影された内視鏡画像49が表示されている。なお、過去画像欄74には、進捗表示欄71に表示されたサムネールからユーザにより選択された画像が表示されても良い。
【0065】
ユーザは、ガイド枠75と内視鏡画像欄73の外周とを一致させるように内視鏡30を操作する。この操作により、ユーザは内視鏡画像49を基準画像と同様の倍率およびレイアウトに合わせられる。
【0066】
なお、ガイド枠75の近傍に、対応する撮影対象部位の名称等を表示しても良い。内視鏡画像49の四隅からガイド枠75の角へ向かう矢印等により、ガイド枠75が大きくなるように内視鏡30を操作する旨を表示しても良い。
【0067】
図8は、図7の代わりに表示される画面の例である。図8に示す画面においては、制御部21は、進捗表示欄71にガイドラインに定められた撮影対象部位の名称を一覧表示する。制御部21は、それぞれの名称の側にチェックボックス713を表示する。チェックが入っているチェックボックス713は、撮影済であることを意味する。すなわち、チェックボックス713の表示により制御部21は、内視鏡画像49を記録した場合に通知を出力する第1通知出力部の機能を果たす。
【0068】
制御部21は、次の撮影対象部位の名称を枠指標714により囲んで表示する。制御部21は、ガイド枠75を表示しないモードにおいては、枠指標714も表示しない。したがって、状態表示欄72が表示されなくてもユーザは動作中のモードを確認できる。
【0069】
ユーザは、図7を使用して説明した画面と、図8を使用して説明した画面とのどちらを使用するかを設定できる。制御部21は、ユーザによる選択に基づいて画面を表示する。なお、図7および図8を使用して説明した画面は例示である。制御部21は、これら以外のデザインの画面を表示してもよい。
【0070】
図9は、先端部313が撮影対象部位に近づきすぎて、ガイド枠75が表示されない状態の画面の例である。制御部21は、内視鏡画像欄73の四隅に表示された矢印状の接近指標751により、ガイド枠75が内視鏡画像欄73よりも外側になっていることを示す。
【0071】
なお、制御部21は、矢印を表示する代わりに、たとえば状態表示欄72の上に「近すぎます」等の文字を表示しても良い。矢印により内視鏡画像49が隠されることを防止できる。
【0072】
図10は、先端部313が撮影対象部位に近づいているが、内視鏡画像49が基準画像に対して回転している場合の画面の例である。制御部21は、ガイド枠75が内視鏡画像欄73の縁に近づいた場合に、ガイド枠75よりも内側の内視鏡画像49と基準画像との類似度が高くなるようにマッチングを行なう。内視鏡画像49が基準画像に対して回転している場合には、図10に示すようにガイド枠75が内視鏡画像欄73の縁に対して回転した状態で表示される。
【0073】
ユーザは、先端部313を観察対象部位に近づけながら挿入部31のねじり操作を行なうことにより、ガイド枠75と内視鏡画像欄73の外周とを一致させる。
【0074】
図11は、図10と同様に内視鏡画像49が基準画像に対して回転している場合の画面の変形例である。制御部21は、内視鏡画像欄73の縁に対して回転した状態のガイド枠75を表示する代わりに、回転方向を示す回転指標752を内視鏡画像49に重畳して表示する。ユーザは回転指標752を参照して、挿入部31のねじり操作を行なう。
【0075】
図12は、撮影対象部位に粘液等の付着物が存在する場合の画面の例である。制御部21は、ガイド枠75と内視鏡画像欄73の外周とが略一致した場合に内視鏡画像49を第2学習モデル62に入力し、付着物が存在する領域を取得する。付着物が存在する場合、制御部21は、付着物を示す付着物枠754を内視鏡画像49に重畳して表示する。制御部21は、過去画像欄74の代わりに、付着物マーク762を表示する。ユーザは、内視鏡30の副送水機能等を使用して付着物を除去する。
【0076】
図13は、撮影中の画面の例である。ユーザは、ガイド枠75と内視鏡画像欄73の外周を一致させ、付着物がないことを確認した後、先端部313を静止させて画像ブレを防ぐ。制御部21は、撮影中指標761を表示して、内視鏡画像49を撮影する。以上により、基準画像と同様の倍率およびレイアウトで、ブレのない内視鏡画像49が撮影される。
【0077】
撮影が完了した場合に、制御部21はスピーカ25から通知音を出力する。制御部21は、撮影した内視鏡画像49と基準画像との類似度を、表1に示すように音によって通知しても良い。
【0078】
【表1】
【0079】
類似度が高い内視鏡画像の撮影が続く場合、メジャーコードの通知音が連続するため、ユーザは気持ち良く内視鏡検査を進めることができる。一方、類似度が高くない内視鏡画像の撮影が続く場合、マイナーコードおよび単音により、ユーザの注意を促すことができる。
【0080】
なお、表1に示す通知音は例示である。類似度が高い場合には、「ピンポーン」という音や、ユーザの好むメロディ等の、成功感を強調する音を通知音に使用し、類似度が高くない場合には、「ピピッ」または「プー」といった進捗を表現する音を使用してもよい。通知音の有無および音量は、ユーザが適宜設定できることが望ましい。
【0081】
図14は、内視鏡画像49に次の撮影対象部位が写っておらず、ガイド枠75が表示されていない場合に表示される画面の変形例である。制御部21は、内視鏡画像欄73の外周に沿って太矢印を配列したガイド中マーク77を表示する。太矢印の総数は、撮影するべき静止画の総数を示す。黒色の太矢印は、撮影済の静止画の数を示す。図14に示す例では、18枚中の3枚が撮影済である。
【0082】
進捗表示欄71および状態表示欄72に加えて、ガイド中マーク77が表示されるため、ユーザは検査の進捗を意識しつつ、ガイド枠75が表示されるモードであることを容易に確認できる。制御部21は、ガイド枠75が表示されていない場合に、常時にガイド中マーク77を表示しても、断続的にガイド中マーク77を表示してもよい。
【0083】
状態表示欄72に加えて、ガイド中マーク77が表示されるため、ユーザはガイド枠75が表示されるモードであることを容易に確認できる。
【0084】
図15は、ユーザがガイドラインを外れた観察を行なっている場合に表示される画面の例である。図15においては、格子状のハッチングで病変部位を示す。ユーザが、たとえば特殊光観察を開始した場合、ズーム機能を用いた拡大観察を開始した場合、および、色素を散布した場合等に、制御部21はガイドラインを外れた観察を開始したと判断する。
【0085】
制御部21は、状態表示欄72にガイド枠75の表示を停止するモードであることを意味する「Guide Mode Pause」を表示する。制御部21は、ガイド枠75の表示を停止する。これにより、ユーザはガイド枠75に妨げられずに、内視鏡画像49全体を観察できる。
【0086】
図16は、制御部21が病変を検出した場合に表示される画面の例を示す。内視鏡画像49から、がんまたはポリープ等の病変をリアルタイムで検出するソフトウェア等は既に利用されているため、詳細については説明を省略する。
【0087】
病変を検出した場合、制御部21はガイド枠75の表示を中止して、病変部を囲む病変枠753を表示する。制御部は、病変を検出したことを通知する検出通知欄763を表示する。制御部21は、状態表示欄72にガイド枠75の表示を停止するモードであることを意味する「Guide Mode Pause」を表示する。制御部21は、スピーカ25から通知音を出力してもよい。ユーザは、検出された病変部を観察し、専門的な判断に基づいて適切な処置を行なう。
【0088】
図15または図16を使用して説明した画面を表示している場合、制御部21はユーザによるガイド枠75を表示するモードの再開指示を受け付ける。たとえば、ユーザは病変を十分に観察し、ガイドラインに沿った観察の続きを行なうと判定した場合、キーボード17の操作、または音声入力等によりガイド枠75を表示するモードへの変更指示を行なう。モード変更の指示が、撮影ボタンとは別のスイッチボタン36に割り当てられていても良い。
【0089】
図17は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。制御部21は、病変が検出されているか否かを判定する(ステップS501)。たとえば特殊光観察、拡大観察等の操作を受け付けた場合に、制御部21は病変が検出されていると判定する。
【0090】
制御部21は、内視鏡画像49に基づいて病変が検出されているか否かを判定しても良い。たとえば、色素散布により内視鏡画像49の色が突然変化した場合、または、内視鏡画像49中に処置具の先端が写った場合等に、制御部21は病変が検出されていると判定してもよい。制御部21は、病変検出ソフトウェアから内視鏡画像49内に病変が検出された旨の情報を受け付けても良い。
【0091】
制御部21は、チャンネルに処置具が挿入された場合に病変が検出されていると判定しても良い。たとえば、チャンネル入口37に設けたセンサを介して、制御部21は処置具の挿入を検出できる。
【0092】
制御部21は、スイッチボタン36または音声入力等により受け付けたユーザからの指示に基づいて、病変が検出されていると判定してもよい。ユーザは、ガイド枠75に妨げられずに内視鏡画像49を観察したい場合に、ガイド枠75を表示しないモードに移行させることができる。ステップS501により、制御部21は、病変を観察中であることを検知する病変検知部の機能を実現する。
【0093】
病変を検出していないと判定した場合(ステップS501でNO)、制御部21は内視鏡画像49を第1学習モデル61に入力し、撮影対象部位を取得する(ステップS502)。制御部21は、第1学習モデル61から取得した検出枠653の寸法が所定の値よりも大きく、かつ、所定の閾値を超える確率が出力された撮影対象部位があるか否かを判定する(ステップS503)。撮影対象部位がないと判定した場合(ステップS503でNO)、制御部21はステップS501に戻る。
【0094】
撮影対象部位があると判定した場合(ステップS503でYES)、制御部21は対象選択のサブルーチンを起動する(ステップS504)。対象選択のサブルーチンは、第1学習モデル61から出力された撮影対象部位から、ガイド枠75を表示する撮影対象部位を選択するサブルーチンである。対象選択のサブルーチンの戻り値は、撮影対象部位の選択に成功したか否かを示す変数を含む。対象選択のサブルーチンの処理の流れは後述する。
【0095】
制御部21は、対象選択のサブルーチンが撮影対象部位の選択に成功したか否かを判定する(ステップS505)。成功していないと判定した場合(ステップS505でNO)、制御部21はステップS501に戻る。
【0096】
成功したと判定した場合(ステップS505でYES)、制御部21はガイド表示のサブルーチンを起動する(ステップS506)。ガイド表示のサブルーチンは、内視鏡画像49に重畳してガイド枠75を表示するサブルーチンである。ガイド表示のサブルーチンの処理の流れは後述する。
【0097】
制御部21は、ガイド枠75の表示を内視鏡画像49の変化に合わせて変化させるトラッキングを行なう(ステップS507)。制御部21は内視鏡画像49が撮影対象部位を撮影する適正な状態であるか否かを判定する(ステップS508)。具体的には、内視鏡画像49の面積の大部分、たとえば9割以上がトラッキング中のガイド枠75で囲まれている場合に、適正な状態であると制御部21は判定する。
【0098】
適正な状態であると判定した場合(ステップS508でYES)、制御部21は記録のサブルーチンを起動する(ステップS509)。記録のサブルーチンは、内視鏡画像49を検査DB67に記録するサブルーチンである。記録のサブルーチンの処理の流れは後述する。
【0099】
制御部21は、処理を終了するか否かを判定する(ステップS510)。たとえば、ガイドラインで定められた撮影対象部位をすべて撮影した場合、または、挿入部31が受診者から抜去された場合、制御部21は処理を終了すると判定する。処理を終了すると判定した場合(ステップS510でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0100】
処理を終了しないと判定した場合(ステップS510でNO)または、所定の時間が経過しても適正な状態にならないと判定した場合(ステップS508でNO)、制御部21はステップS501に戻る。
【0101】
病変を検出したと判定した場合(ステップS501でYES)、制御部21は、図9または図10を使用して説明したようにガイド枠75を表示しないモードに移行する(ステップS521)。制御部21は、ガイド枠75を表示するモードの動作を再開する指示を受け付けるまで待機する(ステップS522)。指示を受け付けた後、制御部21はステップS501に戻り、ガイド枠75を表示するモードの動作を再開する。
【0102】
図18は、対象選択のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。対象選択のサブルーチンは、第1学習モデル61から出力された撮影対象部位から、ガイド枠75を表示する撮影対象部位を選択するサブルーチンである。
【0103】
制御部21は、第1学習モデル61から出力された撮影対象部位に、所定の撮影順序に則った次の撮影対象部位が含まれているか否かを判定する(ステップS531)。含まれていると判定した場合(ステップS531でYES)、制御部21は当該撮影対象部位をガイド枠75の表示対象に選択する(ステップS532)。制御部21は、対象選択のサブルーチンの処理結果は成功であると判定する(ステップS533)。
【0104】
含まれていないと判定した場合(ステップS531でNO)、制御部21は、対象選択のサブルーチンの処理結果は失敗であると判定する(ステップS534)。
【0105】
図19は、ガイド表示のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。ガイド表示のサブルーチンは、内視鏡画像49に重畳してガイド枠75を表示するサブルーチンである。
【0106】
制御部21は、リアルタイムで撮影した内視鏡画像49と、基準画像DB66から取得した基準画像とをマッチングして、内視鏡画像49中の基準画像に対応する部分を抽出する(ステップS551)。
【0107】
制御部21は、撮影対象部位が先端部313に近すぎるか否かを判定する(ステップS552)。たとえば、内視鏡画像49全体が基準画像の一部分と対応する場合、すなわち基準画像が内視鏡画像49からはみ出している場合には、制御部21は撮影対象部位が先端部313に近すぎると判定する。
【0108】
近すぎると判定した場合(ステップS552でYES)、制御部21は、図9を使用して説明したように内視鏡画像49に接近指標751を重畳させて、内視鏡画像欄73に表示する(ステップS553)。近すぎないと判定した場合、(ステップS552でNO)、制御部21は挿入部31の回転が必要であるか否かを判定する(ステップS554)。たとえば、マッチングした基準画像の縁が、内視鏡画像49に対して回転している場合、制御部21は回転が必要であると判定する。
【0109】
回転が必要であると判定した場合(ステップS554でYES)、制御部21は、図11を使用して説明したように内視鏡画像49に回転指標752を重畳させて、内視鏡画像欄73に表示する(ステップS555)。回転が不要であると判定した場合(ステップS554でNO)、制御部21は内視鏡画像49にガイド枠75を重畳させて、内視鏡画像欄73に表示する(ステップS556)。その後、制御部21は処理を終了する。
【0110】
ステップS556において、制御部21は、ステップS551で基準画像とマッチングした範囲の縁をガイド枠75に使用する。
【0111】
ステップS556において、制御部21は第1学習モデル61から取得した確率に基づいてガイド枠75の色、太さまたは線の種類を変更しても良い。ユーザは、ガイド枠75を信用できる程度を判断できる。
【0112】
制御部21は、近すぎないと判定した場合(ステップS552でNO)、回転の要否を判定せずにステップS556に進んでも良い。このようにする場合には、たとえば図10を使用して説明したように、内視鏡画像49と基準画像とが回転していることがガイド枠75で表現される。すなわち、ガイド枠75が回転指標752を兼ねる。
【0113】
制御部21は、第1学習モデル61から取得した検出枠653の寸法が所定の寸法よりも小さい場合に、ガイド表示のサブルーチンを実行する代わりに検出枠653をガイド枠75に使用しても良い。先端部313が観察対象部位から遠く、ガイド枠75が画面上に小さく表示されるに過ぎない場合には、検出枠653を使用することで制御部21の負荷を低減できる。
【0114】
ユーザは、ガイド表示のサブルーチンにより内視鏡画像49に重畳表示されるガイド枠75、接近指標751および回転指標752を参照して内視鏡30を操作することにより、基準画像との類似度が高い内視鏡画像49を撮影できる。すなわち、ガイド表示のサブルーチンにより制御部21は内視鏡画像49と基準画像との類似度を上げるためのガイドを表示するガイド出力部の機能を果たす。
【0115】
図20は、記録のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。記録のサブルーチンは、内視鏡画像49を検査DB67に記録するサブルーチンである。
【0116】
制御部21は、内視鏡画像49を第2学習モデル62に入力し、粘液等の異物が写っている領域を取得する(ステップS561)。制御部21は、所定の閾値を超える確率が出力された領域があるか否かを判定する(ステップS562)。閾値を超える確率で異物が写っている領域があると判定した場合(ステップS562でYES)、制御部21は、図12を使用して説明した画面を表示して、ユーザに通知する(ステップS563)。
【0117】
通知を確認したユーザは、副送水機能またはチャンネルからの送水等を用いて、異物を除去する。除去できない場合、または、除去する必要がないと判断した場合、ユーザは撮影ボタンを押して、撮影を指示する。
【0118】
制御部21は撮影の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS564)。撮影の指示を受け付けていないと判定した場合(ステップS564でNO)、制御部21はステップS561に戻る。
【0119】
閾値を超える確率で異物が写っている領域がないと判定した場合(ステップS562でNO)、または、撮影の指示を受け付けたと判定した場合(ステップS564でYES)、制御部21は図13を使用して説明した撮影中指標761を表示して、内視鏡画像49を撮影することをユーザに通知する。制御部21は、スピーカ25から音を出力してユーザに通知しても良い。ユーザは、先端部313を静止させて画像ブレを防ぐ。制御部21は、内視鏡画像49と基準画像との類似度を算出する(ステップS565)。
【0120】
制御部21は、内視鏡画像49を検査DB67に保存する(ステップS566)。具体的には、制御部21は検査DB67に新しいレコードを作成する。制御部21は、医師IDフィールド、受診者IDフィールドおよび日付フィールドに、それぞれ医師ID、受診者IDおよび日付を記録する。制御部21は、番号フィールドに連番で番号を記録する。制御部21は、部位名フィールドの撮影対象部位の名称を記録する。制御部21は、類似度フィールドにステップS565で算出した類似度を記録する。制御部21は、画像フィールドに内視鏡画像49を記録する。
【0121】
制御部21は、進捗表示欄71に、一つの撮影対象部位の撮影が終了したことを表示する。たとえば、図7を使用して説明した画面を使用する場合、制御部21は検査DB67に記録した画像のサムネールを作成して進捗表示欄71に表示する。図8を使用して説明した画面を使用する場合、制御部21は検査DB67に記録した画像に対応するチェックボックスにチェックマークを表示する。その後、制御部21は処理を終了する。
【0122】
ステップS563で改めて静止画を取得するレリーズ操作を行なわず、ステップS561で第2学習モデル62に入力した内視鏡画像49を検査DB67に記録する場合には、ステップS561で異物検出と同時に類似度の算出を行ない、ステップS565を省略してもよい。
【0123】
なお、図17を使用して説明したプログラムのステップS521でガイド枠75を表示しないモードに移行した場合、そのほかステップS564以外のタイミングでユーザが撮影ボタンを押した場合にも、制御部21は、ステップS566と同様に内視鏡画像49を検査DB67に記録する。このような場合、制御部21は、部位名フィールドおよび類似度フィールドに「-」を記録する。
【0124】
本実施の形態によると、ガイドラインで定められた基準画像と同様の部位を、同様の倍率およびレイアウトで、内視鏡画像49を記録する内視鏡システム10を提供できる。本実施の形態の内視鏡システム10は、内視鏡検診における見落としの防止、および、ダブルチェックの効率化を支援できる。
【0125】
本実施の形態によると、ガイドラインで定められた撮影順序に合わせてガイド枠75を表示するため、ガイドライン通りの順番での撮影を支援する内視鏡システム10を提供できる。本実施の形態の内視鏡システム10を使用してガイドライン通りの順番での撮影を習慣づけることにより、内視鏡検診の所要時間を短縮できる。
【0126】
医師が病変を発見して特殊光観察などの詳細な観察を開始した場合には、ガイド枠75の表示を停止することにより、医師の作業を阻害しない内視鏡システム10を提供できる。
【0127】
内視鏡画像49中に粘液等の異物が検出された場合には、撮影を行なわずにユーザに通知することにより、診断に支障のある異物が写りこんだ内視鏡画像49の自動撮影を防止する内視鏡システム10を提供できる。異物が検出されている場合であってもユーザが撮影ボタンを押した場合には内視鏡画像49を撮影するため、医師の判断を尊重して動作する内視鏡システム10を提供できる。
【0128】
図21および図22は、実施の形態2の画面表示例を説明する説明図である。図21に示す画面においては、内視鏡画像欄73に複数のガイド枠75が表示されている。それぞれのガイド枠75は、破線、一点鎖線および二点鎖線で表示されている。
【0129】
図8を使用して説明した画面と同様に、制御部21は、進捗表示欄71にガイドラインに定められた撮影対象部位の名称を一覧表示する。制御部21は、それぞれの名称の側にチェックボックス713を表示する。チェックが入っているチェックボックス713は、撮影済であることを意味する。
【0130】
制御部21は、破線、一点鎖線および二点鎖線のガイド枠75に対応する撮影対象部位の名称を、それぞれ破線、一点鎖線および二点鎖線の枠指標714で囲む。なお、ガイド枠75と撮影対象部位との対応付けは、たとえばガイド枠75の色と、撮影対象部位の文字色または撮影対象部位を囲む線の色とで示されていてもよい。
【0131】
図22は、二点鎖線のガイド枠75で示されていた「前庭部小弯」の撮影が完了した後に、制御部21が表示する画面の例である。制御部21は、「前庭部小弯」のチェックボックス713にチェックを表示する。「前庭部小弯」の撮影後、ユーザにより先端部313の位置は図21を撮影したときと同じ位置に戻されている。
【0132】
制御部21は、撮影済である「前庭部小弯」に対応するガイド枠75および枠指標714を表示しない。図22に示す画面を見たユーザは、ガイド枠75が表示されている「前庭部大弯」または「前庭部前壁」を撮影するように、内視鏡30を操作する。
【0133】
図23は、実施の形態2の対象選択のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。図23を使用して説明するサブルーチンは、図18を使用して説明したサブルーチンの代わりに使用されるサブルーチンである。
【0134】
制御部21は、第1学習モデル61から出力された撮影対象部位のうち、所定の閾値未満の確率である部位を削除する(ステップS571)。制御部21は、ステップS571で残った撮影対象部位から、既に撮影済である部位を削除する(ステップS572)。
【0135】
制御部21は、ステップS571の後に残った撮影対象部位があるか否かを判定する(ステップS573)。残った撮影対象部位があると判定した場合(ステップS533でYES)、制御部21は残った撮影対象部位すべてをガイド枠75の表示対象に選択する(ステップS574)。
【0136】
制御部21は、対象選択のサブルーチンの処理結果は成功であると判定する(ステップS575)。残った撮影対象部位がないと判定した場合(ステップS573でNO)、制御部21は、対象選択のサブルーチンの処理結果は失敗であると判定する(ステップS576)。ステップS575またはステップS576の終了後、制御部21は処理を終了する。
【0137】
図24は、実施の形態2のガイド表示のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。図24を使用して説明するサブルーチンは、図19を使用して説明したサブルーチンの代わりに使用されるサブルーチンである。
【0138】
制御部21は、対象選択のサブルーチンでガイド枠75の表示対象であると判定した撮影対象部位のうち、ユーザが次に撮影しようとしている撮影対象部位を特定できるか否かを判定する(ステップS581)。
【0139】
具体的には、制御部21は第1学習モデル61から取得した検出枠653の中心が内視鏡画像49の中心と略一致し、かつ、検出枠653の寸法が所定の値よりも大きい撮影対象部位が存在するか否かを判定する。このような条件を満たす撮影対象部位は、ユーザが正面視して先端部313を近づけている撮影対象部位であるからである。
【0140】
特定できると判定した場合(ステップS581でYES)、制御部21は、次の撮影対象部位の名称を枠指標714により囲んで表示する。制御部21は、リアルタイムで撮影した内視鏡画像49と、次に撮影すると特定した撮影対象部位の基準画像とをマッチングして、内視鏡画像49中の基準画像に対応する部分を抽出する(ステップS591)。
【0141】
制御部21は、次の撮影対象部位が先端部313に近すぎるか否かを判定する(ステップS592)。たとえば、内視鏡画像49全体が基準画像の一部分と対応する場合、すなわち基準画像が内視鏡画像49からはみ出している場合には、制御部21は撮影対象部位が先端部313に近すぎると判定する。
【0142】
近すぎると判定した場合(ステップS592でYES)、制御部21は、図9を使用して説明したように内視鏡画像49に接近指標751を重畳させて、内視鏡画像欄73に表示する(ステップS593)。近すぎないと判定した場合(ステップS592でNO)、制御部21は挿入部31の回転が必要であるか否かを判定する(ステップS594)。
【0143】
回転が必要であると判定した場合(ステップS594でYES)、制御部21は、図11を使用して説明したように内視鏡画像49に回転指標752を重畳させて、内視鏡画像欄73に表示する(ステップS595)。回転が不要であると判定した場合(ステップS594でNO)、制御部21は内視鏡画像49に次に撮影する対象部位に対応するガイド枠75を重畳させて、内視鏡画像欄73に表示する(ステップS596)。
【0144】
ステップS593、ステップS595またはステップS596の終了後、制御部21はガイド枠75を表示する撮影対象部位があるか否かを判定する(ステップS601)。撮影対象部位がないと判定した場合(ステップS601でNO)、制御部21は処理を終了する。なお、撮影対象部位がないと判定した場合、本サブルーチンから図17を使用して説明したプログラムに戻った後のステップS507ではトラッキング対象のガイド枠が存在しないため、適正な状態ではない(ステップS508でNO)と判定される。
【0145】
撮影対象部位があると判定した場合(ステップS601でYES)、または、ユーザが次に撮影しようとしている撮影対象部位を特定できないと判定した場合(ステップS581でNO)、制御部21は次にガイド枠75を表示する撮影対象部位を選択する(ステップS602)。制御部21は、選択した撮影対象部位の名称を枠指標714により囲んで表示する。
【0146】
制御部21は、リアルタイムで撮影した内視鏡画像49と、ステップS602で選択した撮影対象部位の基準画像とをマッチングして、内視鏡画像49中の基準画像に対応する部分を抽出する(ステップS603)。
【0147】
制御部21はマッチング結果に基づいて内視鏡画像49にガイド枠75を重畳表示する(ステップS604)。制御部21は、すべてのガイド枠75の表示を終了したか否かを判定する(ステップS605)。終了していないと判定した場合(ステップS605でNO)、制御部21はステップS602に戻る。終了したと判定した場合(ステップS605でYES)、制御部21は処理を終了する。
【0148】
なお、ステップS596で表示するガイド枠75を、ステップS604で表示するガイド枠75よりも太い線または濃い色等の目立つ形式で表示しても良い。制御部21が、次に撮影すると判定している撮影対象部位をユーザが容易に確認できる内視鏡システム10を提供できる。
【0149】
本実施の形態によると、同一の内視鏡画像49に複数の撮影対象部位が含まれている場合に、ユーザが適宜選択した撮影対象部位の撮影を支援する内視鏡システム10を提供できる。
【0150】
本実施の形態によると、内視鏡画像49に含まれる複数の撮影対象部位のうち、未撮影の撮影対象部位を示すガイド枠が同時に表示されるため、ユーザは撮影しやすい順番で適宜撮影を行なえる。撮影済の撮影対象部位を示すガイド枠75は表示されないため、重複撮影を防止できる。なお、ユーザが同じ撮影対象部位を再度撮影したい場合には、撮影ボタンを操作することで撮影できる。
【0151】
以上により、撮影漏れおよび重複撮影を防止する内視鏡システム10を提供できる。また、ユーザが任意の順番で撮影を行なえるため、ユーザの操作を阻害せずに快適な操作を支援できる。
【0152】
[実施の形態3]
本実施の形態は、ガイドラインに定められた撮影対象部位の順番と異なる順番でユーザが撮影を行なった場合に、通知を表示する内視鏡システム10に関する。実施の形態2と異なる部分については、説明を省略する。
【0153】
図25および図26は、実施の形態3の画面表示例を説明する説明図である。図25は、「食道胃接合部」の撮影を行なわずに前庭部を観察している場合に制御部21が表示する画面の例を示す。制御部21は、「食道胃接合部」の行を通知指標715で囲み、撮影されていないことを通知する。すなわち、通知指標715を表示することにより制御部21は、ガイドラインに定められた所定の観察順序に合致しないガイド枠75のみを表示する場合に通知を出力する第2通知出力部の機能を果たす。
【0154】
なお、制御部21はたとえば「食道胃接合部」の行を点滅させる、赤字で表示するなどの手段で目立たせても良い。制御部21は、さらにスピーカ25から音声を出力して、ユーザの注意を喚起しても良い。音声は、「食道胃接合部が撮影されていません」のような言語であっても、「ピーピーピー」等の警戒感を表現する通知音であってもよい。これらの動作によっても、制御部21は第2通知出力部の機能を果たす。
【0155】
仮にユーザが、単に食道胃接合部の撮影を忘れていた場合、ユーザは内視鏡30を適宜操作して先端部313を食道胃接合部付近に向ける。制御部21は、食道胃接合部に対応するガイド枠75を表示して、ユーザを支援する。
【0156】
仮に、病変がある等の理由により、食道胃接合部については基準画像に対応する画像を撮影できない場合、ユーザはスイッチボタン36の操作、または、音声入力等により、通知を解除する旨を指示する。図26は、食道胃接合部に関する通知が解除された状態を示す。制御部21は、食道胃接合部のチェックボックス713に取り消し線を表示するとともに、通知指標715を消去する。以後、ユーザは通知に煩わされることなく、内視鏡検診を続行できる。
【0157】
図27は、実施の形態3の対象選択のサブルーチンの処理の流れを説明するフローチャートである。図27を使用して説明するサブルーチンは、図23を使用して説明したサブルーチンの代わりに使用されるサブルーチンである。
【0158】
制御部21は、第1学習モデル61から出力された撮影対象部位のうち、所定の閾値未満の確率である部位を削除する(ステップS571)。制御部21は、ステップS571で残った撮影対象部位から、既に撮影済である部位を削除する(ステップS572)。
【0159】
制御部21は、ステップS571の後に残った撮影対象部位があるか否かを判定する(ステップS573)。残った撮影対象部位がないと判定した場合(ステップS573でNO)、制御部21は、対象選択のサブルーチンの処理結果は失敗であると判定する(ステップS576)。
【0160】
残った撮影対象部位があると判定した場合(ステップS533でYES)、制御部21は残った撮影対象部位のいずれよりも前に撮影するべきであるとガイドラインに定められた未撮影部位があるか否かを判定する(ステップS611)。未撮影部位があると判定した場合(ステップS611でYES)、制御部21は図25を使用して説明した通知指標715を表示して、ユーザに通知する。
【0161】
制御部21は、ユーザから未撮影部位の通知を停止する旨の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS613)。指示を受け付けたと判定した場合(ステップS613でYES)、制御部21は通知指標715を削除して通知を停止する(ステップS614)。制御部21は、主記憶装置22または補助記憶装置23に、通知を停止する旨の指示を受け付けたことを一時的に記憶し、以後ループして実行するステップS612では当該未撮影部位に関する通知を行なわない。
【0162】
未撮影部位がないと判定した場合(ステップS611でNO)、通知を停止する旨の指示を受け付けないと判定した場合(ステップS613でNO)、または、ステップS614の終了後、制御部21は残った撮影対象部位すべてをガイド枠75の表示対象に選択する(ステップS574)。
【0163】
制御部21は、対象選択のサブルーチンの処理結果は成功であると判定する(ステップS575)。ステップS575またはステップS576の終了後、制御部21は処理を終了する。
【0164】
本実施の形態によると、撮影対象部位の撮影を抜かして次の撮影対象部位に写った場合に、ユーザの注意を喚起する内視鏡システム10を提供できる。ユーザが意図的に撮影対象部位の撮影を抜かした場合には、通知の停止を受け付けることにより、必要以上にユーザを煩わせない内視鏡システム10を提供できる。
【0165】
[実施の形態4]
本実施の形態は、撮影時の注意点を表示する内視鏡システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0166】
図28は、実施の形態4の画面表示例を説明する説明図である。ガイド枠75が内視鏡画像49の中心に、所定以上の大きさで表示された場合に、ユーザは撮影の準備に入ったと推定できる。制御部21は基準画像欄78にガイド枠75に対応する基準画像を表示するとともに、その下の留意事項欄781に当該撮影対象部位を撮影する際の留意事項を表示する。なお、留意事項はたとえば基準画像DB66に基準画像と関連づけて記録されている。
【0167】
本実施の形態によると、ユーザは先端部313を撮影対象部位に向ける操作を行ないながら、留意事項に沿って洗浄等を行なえる。したがって、適切な画像をスムーズに撮影できるようにユーザを支援する内視鏡システム10を提供できる。
【0168】
[実施の形態5]
本実施の形態は、制御部21が湾曲部312を自動制御して、基準画像に近い画像を撮影する内視鏡システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。図29は、実施の形態5の内視鏡システム10の構成を説明する説明図である。
【0169】
図29においては湾曲部312の動作に関する構成を模式的に記載し、それ以外の部分の記載を省略する。また、図29においては、模式的に1個の湾曲ノブ35を記載する。U-D(Up - Down)方向、R-L(Right - Left)方向とも、同様の構成を有することで、いわゆる4方向湾曲の自動制御が可能である。
【0170】
湾曲ノブ35に、ユーザによる操作量を検出するセンサ355が取り付けられている。センサ355は、内視鏡用プロセッサ20に接続されている。湾曲部312を湾曲させる湾曲ワイヤ351は、操作部32内に設けられたアクチュエータ356に接続されている。
【0171】
ユーザにより湾曲ノブ35が操作された場合、センサ355により検出された操作量に応じて制御部21がアクチュエータ356を制御する。アクチュエータ356により湾曲ワイヤ351が牽引されて、湾曲部312が湾曲する。したがって、ユーザは通常の内視鏡30と同様に湾曲ノブ35を操作することにより、湾曲部312の湾曲操作を行なえる。
【0172】
図30は、実施の形態5の画面表示例を説明する説明図である。本実施の形態においては、ガイド枠75が内視鏡画像49の縁に近づいた場合に、制御部21は自動制御モードに移行して、自動制御中マーク764を表示する。すなわち、自動制御中マーク764を表示することにより制御部21は、内視鏡30を自動制御している場合に通知を出力する第3通知出力部の機能を果たす。
【0173】
自動制御モードにおいては、制御部21はガイド枠75と内視鏡画像49の縁とを合致させるように、アクチュエータ356を介して湾曲部312を自動制御し、適切な状態に位置合わせを行なった後に自動的に撮影を行なう。
【0174】
図31は、実施の形態5のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。スタートからステップS507までの処理の流れは、図17を使用して説明したフローチャートと同様であるため、説明を省略する。
【0175】
制御部21は内視鏡画像49が撮影対象部位を撮影する適正な状態の近傍であるか否かを判定する(ステップS621)。具体的には、内視鏡画像49の縁と、トラッキング中のガイド枠75とが近づいた場合に、適正な状態の近傍であると制御部21は判定する。制御部21は、内視鏡画像49と基準画像との類似度が所定の閾値を超える場合に、適正な状態の近傍であると判定しても良い。
【0176】
適正な状態の近傍であると判定した場合(ステップS621でYES)、制御部21は自動制御モードに移行して、内視鏡画像49を基準画像に近づけるようにアクチュエータ356を自動制御する(ステップS622)。
【0177】
制御部21は、自動制御により内視鏡画像49の状態が悪化したか否かを判定する(ステップS623)。具体的には、内視鏡画像49の縁と、トラッキング中のガイド枠75とが離れた場合に、状態が悪化したと制御部21は判定する。制御部21は、内視鏡画像49と基準画像との類似度が低下した場合に、状態が悪化したと判定しても良い。
【0178】
悪化したと判定した場合(ステップS621でYES)、制御部21はステップS501に戻る。悪化していないと判定した場合(ステップS621でNO)、制御部21は内視鏡画像49が撮影対象部位を撮影する適正な状態であるか否かを判定する(ステップS624)。具体的には、内視鏡画像49の面積の大部分、たとえば9割以上がトラッキング中のガイド枠75で囲まれている場合に、適正な状態であると制御部21は判定する。
【0179】
適正な状態ではないと判定した場合(ステップS624でNO)、制御部21はステップS622に戻る。適正な状態であると判定した場合(ステップS624でYES)、制御部21は記録のサブルーチンを起動する(ステップS509)。以後の処理は、図17を使用して説明したプログラムと同一であるため、説明を省略する。
【0180】
本実施の形態によると、撮影直前の微妙な調整を自動的に行なうため、ユーザの負担が少ない内視鏡システム10を提供できる。微調整以外の操作はユーザが手動で行なうため、従来と同様に内視鏡検査を行なえる内視鏡システム10を提供できる。
【0181】
なお、内視鏡システム10は、湾曲部312に加えて、送気送水、副送水、ズーム倍率の調整等も制御部21が自動制御できるように構成されていても良い。制御部21は、これらの自動制御を行なうことにより、内視鏡画像49と基準画像との類似度を上げるように内視鏡30を操作する自動制御部の機能を果たす。
【0182】
[実施の形態6]
本実施の形態は、ガイドラインに沿った内視鏡検診手技のトレーニング機能を有する内視鏡システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0183】
図32は、実施の形態6の画面表示例を説明する説明図である。ガイドラインに沿った内視鏡検診の終了後、制御部21は図32に示す画面を表示する。図32に示す画面には、点数欄79が表示されている。点数欄79には、一連の内視鏡検診でガイドラインに沿って撮影した画像の数と、類似度の平均点、最高点および最低点等の類似度の代表値とが表示されている。制御部21は、所要時間等を表示しても良い。
【0184】
制御部21は、1人の受診者の検査を終了し、内視鏡30が受診者から抜去された場合に、検査DB67に基づいて点数を算出して、図32に示す画面を表示する。類似度が高いほど、ガイドラインに沿った適切な内視鏡画像49を撮影できており、習熟度が高いことがわかる。すなわち、制御部21は図32に示す画面を出力することにより、類似度に基づいてユーザの手技の評価を表示する評価表示部の機能を果たす。
【0185】
制御部21は、たとえば1か月または1年等の所定の期間における点数の変遷をグラフにして表示しても良い。ユーザは点数の変遷により、被験者ごとの挿入の難易度を均して、内視鏡検診の上達度合いを確認できる。
【0186】
制御部21は、他のユーザの点数との比較を、たとえば偏差値またはグラフ等により表示しても良い。ユーザは、自分の手技の相対的なレベルを把握できる。
【0187】
本実施の形態によると、内視鏡検診の手技の点数を表示することにより、ユーザの手技の上達、すなわち、ユーザのトレーニングを支援する内視鏡システム10を提供できる。ユーザは、本実施の形態の内視鏡システム10を、内視鏡検診の手技のトレーニングを行なうトレーニング装置に利用できる。
【0188】
[実施の形態7]
本実施の形態は、患者の経過観察に利用する内視鏡システム10に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0189】
たとえば内視鏡下治療を行なった後、定期的に同じ場所を観察して、治癒の経過あるいは再発の有無等を確認する経過観察が行われる。経過観察においては、できるかぎり毎回同様の倍率およびレイアウトで画像を撮影することが望ましい。
【0190】
図33は、経過観察DBのレコードレイアウトを説明する説明図である。経過観察DBは、受診者IDフィールド、撮影日フィールドおよび画像フィールドを有する。
【0191】
受診者IDフィールドには、受診者IDが記録されている。撮影日フィールドには、撮影日が記録されている。画像フィールドには、静止画のファイルが記録されている。
【0192】
経過観察DBは、1回の経過観察ごとに1つのレコードを有する。経過観察DBは、補助記憶装置23または内視鏡用プロセッサ20に接続された外部の大容量記憶装置に記憶されている。
【0193】
図34は、実施の形態7のプログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。制御部21は、受診者IDの入力を受け付ける(ステップS631)。制御部21は受診者IDをキーとして経過観察DBを検索してレコードを抽出し、画像フィールドから基準画像を取得する(ステップS632)。基準画像は、たとえば前回の経過観察時の画像である。最初の経過観察時の画像が基準画像に使用されても良い。
【0194】
制御部21は、リアルタイムの内視鏡画像49を取得する(ステップS633)。制御部21は、内視鏡画像49と基準画像との類似度を算出する(ステップS634)。制御部21は、算出した類似度が所定の閾値より高いか否かを判定する(ステップS635)。
【0195】
類似度が所定の閾値より高いと判定した場合(ステップS635でYES)、制御部21はガイド表示のサブルーチンを起動する(ステップS636)。ガイド表示のサブルーチンは、図19を使用して説明したサブルーチンと同一のサブルーチンである。
【0196】
制御部21は、ガイド枠75の表示を内視鏡画像49の変化に合わせて変化させるトラッキングを行なう(ステップS637)。制御部21は内視鏡画像49が経過観察の画像を撮影する適正な状態であるか否かを判定する(ステップS538)。具体的には、内視鏡画像49の面積の大部分、たとえば9割以上がトラッキング中のガイド枠75で囲まれている場合に、適正な状態であると制御部21は判定する。
【0197】
適正な状態であると判定した場合(ステップS638でYES)、制御部21は経過観察DBに新しいレコードを撮影して、内視鏡画像49を記録する(ステップS639)。その後、制御部21は処理を終了する。
類似度が所定の閾値より低いと判定した場合(ステップS635でNO)、または適正な状態ではないと判定した場合(ステップS638でNO)、はステップS633に戻る。
【0198】
本実施の形態によると、同様の画像およびレイアウトで繰り返し経過観察画像を記録する内視鏡システム10を提供できる。医師は、治癒の状態、または、再発の状態等の経過を正確に判断できる。
【0199】
[実施の形態8]
図35は、実施の形態8の内視鏡用プロセッサ20の機能ブロック図である。内視鏡用プロセッサ20は、画像取得部81と、領域取得部82と画像出力部83とを備える。画像取得部81は、内視鏡画像49を取得する。領域取得部82は、画像取得部81が取得した内視鏡画像49を、内視鏡画像49が入力された場合に所定の撮影対象部位に対応する対象領域を出力する第1学習モデル61に入力して、対象領域を取得する。画像出力部83は、画像取得部81が取得した内視鏡画像49と領域取得部82が取得した対象領域を示す指標75とを重畳させて出力する。
【0200】
[実施の形態9]
本実施の形態は、汎用のコンピュータ90とプログラム97とを組み合わせて動作させることにより、本実施の形態の内視鏡システム10を実現する形態に関する。図36は、実施の形態9の内視鏡システム10の構成を示す説明図である。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0201】
本実施の形態の内視鏡システム10は、内視鏡30と、内視鏡用プロセッサと、コンピュータ90を含む。コンピュータ90は、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、スピーカ25、表示装置I/F26、入力装置I/F27、読取部28、およびバスを備える。コンピュータ90は、汎用のパーソナルコンピュータ、タブレットまたはサーバコンピュータ等の情報機器である。
【0202】
コンピュータ90は、有線または無線により内視鏡用プロセッサ20と接続されており、リアルタイムで内視鏡用プロセッサ20から内視鏡画像49を取得する。
【0203】
プログラム97は、可搬型記録媒体96に記録されている。制御部21は、読取部28を介してプログラム97を読み込み、補助記憶装置23に保存する。また制御部21は、コンピュータ90内に実装されたフラッシュメモリ等の半導体メモリ98に記憶されたプログラム97を読出しても良い。さらに、制御部21は、通信部24および図示しないネットワークを介して接続される図示しない他のサーバコンピュータからプログラム97をダウンロードして補助記憶装置23に保存しても良い。
【0204】
プログラム97は、コンピュータ90の制御プログラムとしてインストールされ、主記憶装置22にロードして実行される。これにより、コンピュータ90は内視鏡システム10の制御装置として機能する。
【0205】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0206】
10 内視鏡システム
16 表示装置
17 キーボード
20 内視鏡用プロセッサ
21 制御部
22 主記憶装置
23 補助記憶装置
24 通信部
25 スピーカ
26 表示装置I/F
27 入力装置I/F
28 読取部
29 内視鏡接続部
30 内視鏡
31 挿入部
311 軟性部
312 湾曲部
313 先端部
32 操作部
321 送気送水ボタン
322 吸引ボタン
33 ユニバーサルコード
34 コネクタ部
35 湾曲ノブ
351 湾曲ワイヤ
355 センサ
356 アクチュエータ
36 スイッチボタン
37 チャンネル入口
371 鉗子栓
49 内視鏡画像
61 第1学習モデル
62 第2学習モデル
651 領域候補抽出部
652 分類部
653 検出枠
66 基準画像DB
67 検査DB
71 進捗表示欄
713 チェックボックス
714 枠指標
715 通知指標
72 状態表示欄
73 内視鏡画像欄
74 過去画像欄
75 ガイド枠(指標)
751 接近指標
752 回転指標
753 病変枠
754 付着物枠
761 撮影中指標
762 付着物マーク
763 検出通知欄
764 自動制御中マーク
77 ガイド中マーク
78 基準画像欄
781 留意事項欄
79 点数欄
81 画像取得部
82 領域取得部
83 画像出力部
90 コンピュータ
96 可搬型記録媒体
97 プログラム
98 半導体メモリ
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36