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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】シリコン窒化膜エッチング組成物
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
H01L21/306 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021547825
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-31
(86)【国際出願番号】 KR2020001801
(87)【国際公開番号】W WO2020180016
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-08-13
(31)【優先権主張番号】10-2019-0025511
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516210942
【氏名又は名称】ヨンチャン ケミカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】YOUNG CHANG CHEMICAL CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100083138
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100189625
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 元基
(74)【代理人】
【識別番号】100196139
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 京子
(72)【発明者】
【氏名】イ スンフン
(72)【発明者】
【氏名】イ スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンファン
(72)【発明者】
【氏名】ジン スンオ
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-099550(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0093430(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸、エポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物、及び水を含むシリコン窒化膜エッチング組成物において、
前記リン酸80乃至90重量%;
前記エポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物は、ガンマ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxymethyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltriprothoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)etyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltrimethoxysilane)、またはこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれるものであり、前記エポキシ系ケイ素化合物は、120乃至190℃の温度でシリコン酸化膜に対するエッチングを妨げるものであって、0.005乃至5重量%;
フッ素化合物0.01乃至1重量%;及び
残部の水;からなることを特徴とする、シリコン窒化膜エッチング組成物。
【請求項2】
前記フッ素化合物は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム又はこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする、請求項に記載のシリコン窒化膜エッチング組成物。
【請求項3】
上記の組成物は、160℃でシリコン窒化膜に対するエッチング速度が、シリコン酸化膜
に対するエッチング速度よりも200倍以上であることを特徴とする、請求項に記載の
シリコン窒化膜エッチング組成物。
【請求項4】
前記シリコン窒化膜に対するエッチング速度が、シリコン酸化膜に対するエッチング速度
よりも1000倍以上であることを特徴とする、請求項に記載のシリコン窒化膜エッ
チング組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜を選択的にエッチングする組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜は、半導体製造工程において代表的な絶縁膜として使用され、それぞれ単独で使用されることもあり、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜が交互に積層されて使用されることもある。
【0003】
また、前記シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜は、金属配線などの導電性パターンを形成するためのハードマスクとしても使用される。
【0004】
一般的に、半導体ウェット工程でシリコン窒化膜を除去するためにリン酸を使用しているが、シリコン酸化膜に対して選択比が高くなく、選択比が変わるのを防止するために純水を継続的に供給しなければならない。
【0005】
ところが、このような工程では、純水の量が少しだけ変わっても、シリコン窒化膜の除去不良が発生するという問題点がある。また、リン酸自体が強酸であるため、腐食性を持っており、取り扱い難い。
【0006】
従来技術として、リン酸にフッ化水素酸または硝酸などを混合して製造されたエッチング組成物が知られているが、これは、むしろシリコン窒化膜とシリコン酸化膜の選択比を阻害させる否定的な結果をもたらし、特にリン酸にフッ化水素酸を混合する場合、工程のバッチ数が増加することにより、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の選択比が大きく変化するという欠点がある。
【0007】
このような現象は、フッ化水素酸が工程上で蒸発するため、フッ化水素酸の濃度変化が生じるからである。
【0008】
よって、シリコン酸化膜に比べてシリコン窒化膜を選択的にエッチングしながら工程のバッチによるマージンが安定的なエッチング組成物が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、シリコン酸化膜のエッチングを最小限に抑えるとともにシリコン窒化膜をエッチングすることができるエッチング組成物、すなわち、シリコン酸化膜に対してシリコン窒化膜を選択的にエッチングすることができるエッチング組成物を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、シリコン酸化膜の表面のパーティクル発生やシリコン窒化膜の除去不良などの問題点を発生させないエッチング組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明のエッチング組成物は、無機酸、エポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物、及び水を含む。
【0012】
本発明の好適な一実施形態において、前記エポキシ系ケイ素化合物は、エポキシ結合が分子構造内に含まれたものであって、ガンマ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxymethyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシメチルトリエトキシシラン(gamma-Glycidoxymethyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシメチルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxymetyltriprothoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltriprotho xysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltriprothoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)metyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyc lohexyl)etyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)metyltriethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)metyltriprothoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)etyltriethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)etyltriproethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltriethoxysilane)、及びベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltriprothoxysilane)よりなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする。
【0013】
前記無機酸は、硫酸、硝酸、リン酸、及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1種であってもよく、前記無機酸は、リン酸であり、前記エッチング組成物は、硫酸を添加物としてさらに含むことができる。
【0014】
前記エポキシ系ケイ素化合物は、全体混合物に対して0.005乃至5重量%で含むことができる。
【0015】
前記エッチング組成物は、組成物全体に対してフッ素化合物を0.01乃至1重量%でさらに含むことができ、フッ素化合物は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、及びこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれることができる。
前記ケイ素化合物は、120乃至190℃の温度でシリコン酸化膜に対するエッチングを妨げるのに効果的であり、160℃でシリコン窒化膜に対するエッチング速度が、シリコン酸化膜に対するエッチング速度よりも200倍以上であることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によるエッチング組成物は、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング選択比が高い特徴を持つのはもとより、シリコン酸化膜のエッチング速度を調節することができ、ポリシリコンなどの下部膜質に対する選択比も優れて半導体製造工程で広範囲に適用することができ、シリコン酸化膜の表面のパーティクル吸着及びシリコン窒化膜の除去不良などの問題点を改善することができる。
【0017】
また、本発明のエッチング組成物は、高エッチング及び高選択比を実現することができるので、枚葉式の装備に適用することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明をより詳細に説明する。
他に定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常理解されるのと同じ意味を持つ。一般的に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
本明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0019】
本発明の一実施形態は、リン酸、エポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物及び水を含むことにより、下部金属膜などの損傷及びシリコン酸化膜のエッチングを抑制しつつ、選択的にシリコン窒化膜をエッチングすることができるエッチング組成物に関する。
【0020】
より詳細には、半導体製造工程における、DRAM及びNand Flash Memory製造工程でシリコン窒化膜を選択的にウェットエッチングすることができる組成物であってエッチング選択比が200以上である、選択的シリコン窒化膜エッチング組成物に関する。
【0021】
本明細書において、エッチング量及びエッチング速度は、それぞれエッチング前後の薄膜厚さの減少量及び減少速度である。
【0022】
本明細書において、エッチング選択比(シリコン窒化膜のエッチング速度/シリコン酸化膜のエッチング速度)は、シリコン窒化膜のエッチング速度とシリコン酸化膜のエッチング速度との比である。
【0023】
以下、本発明の具体的な実施形態を説明する。しかし、これは例示に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0024】
本発明のシリコン窒化膜組成物は、無機酸、エポキシ(Epoxy)構造を持つケイ素系化合物、及び水を含む。
【0025】
前記無機酸は、硫酸、硝酸、リン酸、及びこれらの混合物よりなる群から選ばれるいずれか1種であり得る。好ましくは、前記無機酸はリン酸であり、前記エッチング組成物は硫酸を添加剤としてさらに含むことができる。
【0026】
リン酸は、シリコン窒化膜のエッチング選択比及びエッチング速度を確保するのに最も良い無機酸であり、他の無機酸と混合して使用する場合、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の選択比を調節することができる。
【0027】
前記組成物における無機酸の含有量は、80乃至90重量%であることが好ましい。80重量%未満であれば、窒化膜に対するエッチング速度が低くなるという問題点があり、90重量%超過であれば、酸化膜に対する窒化膜の高い選択比を得ることができない。
【0028】
エポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物は、ガンマ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxymethyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltrimethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシメチルトリエトキシシラン(gamma-Glycidoxymethyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシメチルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxymetyltriprothoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシエチルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxyethyltriprotho xysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltriethoxysilane)、ガンマ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン(gamma-Glycidoxypropyltriprothoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)metyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyc lohexyl)etyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltrimethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)metyltriethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)metyltriprothoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)etyltriethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)etyltriproethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltriethoxysilane)、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン(beta-(3,4-Epoxycyclohexyl)propyltriprothoxysilane)、またはこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれるいずれか1種であることができる。
【0029】
エポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物の含有量は、特に限定されないが、全体混合物に対して0.005乃至5重量%で含むことができる。0.001重量%未満であれば、シリコン酸化膜に対するエッチング防止効果が低下し、10重量%超過であれば、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜に対する選択比の向上に対する幅が減少し、シリコン窒化膜のエッチング不良が発生したりシリコン酸化膜の表面にパーティクルが残留したりする問題点が生じるおそれがある。
【0030】
前記エッチング組成物は、組成物全体に対してフッ素化合物を0.01乃至1重量%でさらに含むことができ、フッ素化合物は、フッ化水素、フッ化アンモニウム、フッ化水素アンモニウム、またはこれらの2種以上の混合物よりなる群から選ばれることができる。
【0031】
前記フッ素化合物が0.01重量%未満で添加される場合には、シリコン窒化膜のエッチング速度が小さくなってシリコン窒化膜の除去が難しいおそれがあり、前記フッ素化合物が1重量%超過で添加される場合には、シリコン窒化膜のエッチング速度が高くなるものの、シリコン酸化膜のエッチング速度も高くなって選択比が悪くなるという問題がある。
【0032】
前記ケイ素化合物は、120乃至190℃の温度で酸化膜に対するエッチングを妨ぐのに効果的であり、160℃でシリコン窒化膜に対するエッチング速度が、シリコン酸化膜に対するエッチング速度よりも200倍以上であることができる。
以下、本発明の好適な実施例及び比較例を説明する。ところが、下記の実施例は本発明の好適な一実施例に過ぎず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0033】
実施例1乃至実施例11
表1、表2に記載された組成成分及び組成割合で、マグネチックバーが設置されているそれぞれの実験用ビーカーに投与した後、常温で10分間500rpmの速度で攪拌して組成物を製造した。
【0034】
比較例1乃至比較例4
表1に記載された組成成分及び組成割合で実施例と同様の方法によって組成物を製造した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
A-1:リン酸
B-1:ガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
B-2:ガンマ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン
B-3:ガンマ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン
B-4:ガンマ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン
B-5:ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
B-6:ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン
B-7:テトラエチルオルソシリケート(Tetra ethly Ortho silicate)
B-8:アミノプロピルトリエトキシ-シラン
C-1:脱イオン水
D-1:フッ化アンモニウム(NHF)
D-2:フッ酸
【0038】
特性の測定(シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のエッチング速度の測定)
前記実施例及び比較例で製造されたエッチング組成物の性能を測定するために、CVD方法を用いて、半導体製造過程と同様に蒸着してシリコン窒化膜及びシリコン酸化膜ウェハ―をそれぞれ準備した。
【0039】
エッチングを始める前に、走査型電子顕微鏡及びエリプソメーターを用いてエッチング前の厚さを測定した。
【0040】
その後、500rpmの速度で攪拌される石英材質の攪拌槽で160℃に維持されているエッチング組成物にシリコン酸化膜及びシリコン窒化膜のウェハ―のクーポンを浸漬してエッチング工程を行い、エッチングの完了後に超純水で洗浄し、しかる後に、乾燥装置を用いて残余のエッチング組成物及び水分を完全に乾燥させた。
【0041】
乾燥したウェハ―のクーポンは、走査型電子顕微鏡及びエリプソメーターを用いてエッチング後の薄膜厚さを測定した。
エッチング前後の薄膜厚さによってエッチング速度を測定した。
【0042】
前記表1を参照すると、実施例1乃至9のエッチング組成物は、シリコン酸化膜に比べて、優れたシリコン窒化膜の選択的なエッチング速度を有することが分かる。これは、シリコン酸化膜に対するエッチング抑制を介して行われることが分かる。
【0043】
このような結果から、本発明のエッチング組成物がエポキシ(Epoxy)系ケイ素化合物を含むことにより、シリコン窒化膜のエッチング速度、エッチング選択比、及びエッチング安定性を向上させてエッチング工程の効率を向上させることができるエッチング組成物を提供することができることを確認した。
【0044】
前記表2を参照すると、実施例10乃至11においてエポキシ系ケイ素化合物のシリコン酸化膜エッチング抑制剤とフッ素化合物のシリコン窒化膜エッチング増加剤を一緒に用いて製造されたエッチング組成物は、フッ素化合物の添加によりシリコン窒化膜のエッチング速度がより著しく増加し、シリコン酸化膜のエッチング速度はほぼ変化がなかったことを確認することができる。
【0045】
フッ素化合物を使用していない実施例3と比較しては、フッ素化合物の作用により、シリコン窒化膜のエッチング速度はほぼ2倍以上増加し、シリコン酸化膜エッチング抑制剤の作用により、酸化膜のエッチング速度はほぼ変化がないことから、選択比を大きく向上させた効果を得ている。
【0046】
したがって、本発明のエッチング溶液は、シリコン窒化膜のエッチング工程に使用されて高エッチング及び高選択比を実現することができるので、枚葉式の装備にも適用が可能である。
【0047】
特性の測定(シリコン酸化膜のパーティクル及び異常成長の測定)
エッチング組成物内から発生した反応副産物は、析出してエッチング工程が行われた膜質の厚さを増加させることができる。このような現象を異常成長という。また、エッチング組成物内から生成された反応副産物は、パーティクルを生成することができる。上述した異常成長及びパーティクルが発生する場合、後続の工程で様々な不良が発生し得る。
【0048】
前記比較例1乃至4及び実施例1乃至11でエッチングされたシリコン酸化膜の表面を電子顕微鏡(SEM)でスキャニングしてパーティクルの発生有無を検査し、エッチングされたシリコン酸化膜の垂直断面を電子顕微鏡(SEM)で撮影して異常成長か否かを検査した結果を下記表3に示した。
【0049】
【表3】
【0050】
実施例1乃至11と比較例を対比してみると、前記表3に示されているように、本発明によるエッチング組成物である実施例1乃至11では、パーティクル及び異常成長の両方が発生しなかった。
【0051】
これに比べて、比較例1では異常成長が発生し、比較例2乃至4ではパーティクル及び異常成長の両方が発生した。
【0052】
結果的に、本発明によるエッチング組成物は、エッチング工程から発生しうるパーティクル及び異常成長を最小限に抑えて不良の発生を減少させることができる。