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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】車両のためのステアリングアシスト装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/06 20060101AFI20230501BHJP
   B62D 5/24 20060101ALI20230501BHJP
   B62D 5/065 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
B62D5/06 B
B62D5/24
B62D5/065 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021556477
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020052205
(87)【国際公開番号】W WO2020187476
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-10-15
(31)【優先権主張番号】202019101522.5
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ラング
(72)【発明者】
【氏名】ベアンハート ミラー
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ペーターラインス
(72)【発明者】
【氏名】ファルク ヘッカー
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-519245(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014117301(DE,A1)
【文献】特開2012-061949(JP,A)
【文献】国際公開第2002/028673(WO,A1)
【文献】特表2016-501768(JP,A)
【文献】実開昭58-146761(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 5/06
B62D 5/24
B62D 5/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(200)用のステアリングアシスト装置(220)であって、該ステアリングアシスト装置(220)が、以下の特徴、すなわち、
ルクを前記車両(200)のステアリングコラム(214)から前記ステアリングアシスト装置(220)内に導入する入力軸(330)と、
ルクセンサ(340)であって、前記入力軸(330)を介して導入された前記トルクを検出し、かつ該検出されたトルクを表すセンサ信号を提供するために構成されている、トルクセンサ(340)と、
記ステアリングアシスト装置(220)から前記トルクを導出する出力軸(350)と、
動装置ユニット(360)であって、前記トルクを前記入力軸(330)から前記出力軸(350)に機械的に伝達するために構成されていて、ステアリングハウジング(362)内に配置されている、伝動装置ユニット(360)と、
動装置ユニット(370)であって、前記センサ信号に依存して、前記伝動装置ユニット(360)に液圧作業媒体を供給するように構成されており、前記駆動装置ユニット(370)と前記トルクセンサ(340)とが、前記ステアリングハウジング(362)に機械的に接触して配置されている、駆動装置ユニット(370)と
を有しており、
前記駆動装置ユニット(370)が、前記液圧作業媒体を圧送するポンプ(372)と、該ポンプ(372)を駆動するモータ(374)とを有しており、
前記駆動装置ユニット(370)が、前記液圧作業媒体を内包するリザーバ(376)を有しており、少なくとも前記ポンプ(372)が、前記リザーバ内に配置されており、
前記入力軸(330)と、前記トルクセンサ(340)と、前記伝動装置ユニット(360)と、前記駆動装置ユニット(370)とが前記ステアリングアシスト装置(220)の長手方向軸線(L)に沿って並んで配置されている、ステアリングアシスト装置(220)。
【請求項2】
少なくとも前記伝動装置ユニット(360)および前記駆動装置ユニット(370)が、1つの共通のハウジング(222,362)内に配置されている、請求項1記載のステアリングアシスト装置(220)。
【請求項3】
前記伝動装置ユニット(360)が、前記駆動装置ユニット(370)に流体接続された、前記液圧作業媒体を内包する第1の作業室(363)と、前記駆動装置ユニット(370)に流体接続された、前記液圧作業媒体を内包する第2の作業室(364)とを有しており、前記ポンプ(372)が、前記第1の作業室(363)と前記第2の作業室(364)とに接続している両方向のポンプである、請求項1または2記載のステアリングアシスト装置(220)。
【請求項4】
前記伝動装置ユニット(360)が、前記トルクセンサ(340)と前記駆動装置ユニット(370)との間に配置されているか、または前記駆動装置ユニット(370)が、前記トルクセンサ(340)と前記伝動装置ユニット(360)との間に配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のステアリングアシスト装置(220)。
【請求項5】
前記センサ信号に依存して前記駆動装置ユニット(370)を制御する電子ユニット(380)が設けられており、該電子ユニット(380)が、前記駆動装置ユニット(370)に機械的に接触して配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のステアリングアシスト装置(220)。
【請求項6】
前記電子ユニット(380)が、前記駆動装置ユニット(370)に関して、前記ステアリングアシスト装置(220)の長手方向軸線(L)に対して横方向にずらされて前記駆動装置ユニット(370)に配置されており、または前記駆動装置ユニット(370)が、前記電子ユニット(380)と前記伝動装置ユニット(360)との間に配置されている、請求項記載のステアリングアシスト装置(220)。
【請求項7】
前記伝動装置ユニット(360)が、ボールねじ伝動装置として構成されている、請求項1からでのいずれか1項記載のステアリングアシスト装置(220)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に商用自動車用のステアリングアシスト装置に関する。
【0002】
車両のステアリングシステム、特に、中荷重および重荷重の商用車両の、パワーステアリングとも呼ばれるフロントアクスルステアリングシステムでは、たとえばリサーキュレーティングボール式ステアリング伝動装置を、単方向の外部の液圧式ポンプ、大抵はベーンセルポンプにより運転することができる。ポンプとステアリング伝動装置との間の接続は、たとえば外部の配管により行うことができる。付加的には、外部のオイルリザーバが補償容器として必要となり得る。したがって、このようなステアリングシステムの個別の構成要素は、車両内に分配されて配置されている。
【0003】
この背景から、本発明の課題は、車両用の改善されたステアリングアシスト装置を提供することである。
【0004】
この課題は、請求項1に記載の、車両用のステアリングアシスト装置により解決される。
【0005】
車両用のステアリングアシスト装置であって、該ステアリングアシスト装置が、以下の特徴、すなわち、
-トルクを車両のステアリングコラムからステアリングアシスト装置内に導入する入力軸と、
-トルクセンサであって、入力軸を介して導入されたトルクを検出し、検出されたトルクを表すセンサ信号を提供するために構成されている、トルクセンサと、
-ステアリングアシスト装置からトルクを導出する出力軸と、
-伝動装置ユニットであって、トルクを入力軸からの出力軸に機械的に伝達するために構成されていて、ステアリングハウジング内に配置されている、伝動装置ユニットと、
駆動装置ユニットであって、センサ信号に依存して、伝動装置ユニットに液圧作業媒体を供給するように構成されており、駆動装置ユニットとトルクセンサとが、ステアリングハウジングに機械的に接触して配置されている、駆動装置ユニットと
を有している、ステアリングアシスト装置が提案される。
【0006】
車両は、商用車もしくは商用車両であってよく、たとえばトラック等であってよい。ステアリングアシスト装置は、車両のステアリングシステムの部分であってよい。ステアリングシステムは、ステアリングコラムを有していてよい。ステアリングシステムは、商用自動車用の能動的な液圧式のフロントアクスルステアリングシステムであってよい。ステアリングアシスト装置は、自動車の1つのアクスルのためのステアリング過程を支援するために構成されていてよい。ステアリングアシスト装置は、自動車のアクスルもしくはホイールのステアリング運動において、自動車の運転者のステアリング要求を液圧的に支援して実現することを可能にするために構成されていてよい。駆動装置ユニットは、ステアリングハウジングに直に配置されているか、または取り付けられていてよい。トルクセンサは、ステアリングハウジングに直に配置されているか、または取り付けられていてよい。作業媒体は、液圧オイル等であってよい。
【0007】
複数の実施形態によれば、特に、商用自動車用の能動的な液圧式のフロントアクスルステアリングシステム用の、もしくは中荷重および重荷重の商用自動車用の能動的なフロントアクスルステアリング用のステアリングアシスト装置の高度に統合された配置もしくは構造を提供することができる。このためには、ステアリングアシスト装置は、たとえば弁、特にロータリスライド弁の代わりに、トルクセンサを有していてよく、ステアリングアシスト装置の構成要素は、単独の統合された完全な構造群として配置されていてよい。ステアリング支援装置は、特に中荷重および重荷重の商用車用の高度に統合された能動的なフロントアクスルステアリングシステムもしくは高度に統合された能動的なパワーステアリングを可能にすることができる。したがって、たとえば、高度に統合された能動的なステアリングシステムもしくは能動的なパワーステアリングの配置は、液圧式のリサーキュレーティングボール式ステアリング伝動装置の機械的な技術を維持しながら実現することができる。
【0008】
有利には、複数の実施形態によれば、特に、ステアリングアシスト装置のために必要となる構造空間を減じることができ、ステアリングアシスト装置を完全かつコンパクトな、高度に統合された構造群として、伝動装置ユニットと駆動装置ユニットとの間の外部の管または管路なしに提供することができる。したがって、複数の構成要素の分配された配置の代わりに、ステアリングアシスト装置の集約されたコンパクトな配置を商用車において達成することができる。統合された配置により、個別の構成要素または構造群の減じられた個数ならびに減じられた組み立て手間によるコスト削減、故障しやすさの低減、有利には製造の枠内での作業媒体の充填、圧力検査および運転開始ならびに車両内における空間獲得を達成することができる。この場合も、たとえばポンプ、リザーバ、伝動装置ユニット、配管等のような構成要素の分配された配置は、高度に統合された集約された配置のために、回避することができる。
【0009】
したがって、たとえば顧客に、完全に充填され検査されたステアリングシステムもしくは完全に充填され検査されたステアリングアシスト装置を提供することができ、このステアリングアシスト装置は、「プラグ・アンド・プレイ」によって、もしくは簡単にかつ単純に自動車に組み付けることができる。この場合、ステアリングアシスト装置に関して、構成要素の個数の減少、ひいては空間需要、故障しやすさならびに取付け手間の減少も達成することができる。この場合、従来のリサーキュレーティングボール式ステアリング伝動装置は、構造的に十分に既存のままであってよく、駆動装置ユニットを付加的に1つのハウジング内に一緒に統合することができる。有利な副次的な効果として、たとえば100キロメートル当たり0.5リットルまでの燃料削減を達成することができる。
【0010】
1つの実施形態によれば、少なくとも伝動装置ユニットおよび駆動装置ユニットが、1つの共通のハウジング内に配置されていてよい。この共通のハウジングは、ステアリングハウジングまたは別のハウジングであってよい。このような実施形態は、ステアリングアシスト装置のコンパクトで省スペースかつ高度に統合された構造形式を達成することができるという利点を提供する。
【0011】
駆動装置ユニットが、作動媒体を圧送するポンプと、このポンプを駆動するモータとを有していてもよい。モータは、電動モータであってよい。このような実施形態は、駆動装置ユニット、ひいてはステアリングアシスト装置を少なくとも部分的に自己完結式に(ステアリング・バイ・ワイヤシステムまたは自律走行/DASの枠内で)運転することができるという利点を提供する。
【0012】
駆動装置ユニットが、作業媒体を内包するリザーバを有していてよい。この場合、少なくともポンプがリザーバ内に配置されていてよい。リザーバは、1つのハウジングにより取り囲まれた、液圧オイルまたは別の作業媒体を内包するチャンバを有していてよい。リザーバは、作業媒体のための補償容器として役立つことができる。このような実施形態は、駆動装置ユニットを特に省スペースかつコンパクトに実現することができるという利点を提供する。この場合、特にリザーバとポンプとの間で外部に延びる流体管路となってよい。
【0013】
さらに、ポンプは双方向ポンプであってよく、特にインターナルギヤポンプまたはクレセント入りポンプであってよい。換言すると、ポンプは2つの方向で運転させることができ、これにより作業媒体を互いに異なる2つの方向またはキャビティに圧送することができる。このような実施形態は、駆動装置ユニットと伝動装置ユニットとを構造的に簡単かつ確実に実施することができるという利点を提供する。
【0014】
1つの実施形態によれば、伝動装置ユニットが、トルクセンサと駆動装置ユニットとの間に配置されていてよい。代替的には、駆動装置ユニットが、トルクセンサと伝動装置ユニットとの間に配置されていてよい。このような実施形態は、大抵の車両においていずれにせよ使用可能である構造空間を利用することができるという利点を提供する。したがって車両の種類に応じて、ユニットの最適な配置もしくは順序を選択することができる。
【0015】
さらに、ステアリングアシスト装置が、センサ信号に依存して駆動装置ユニットを制御する電子ユニットを有していてよい。この場合、電子ユニットは、駆動装置ユニットに機械的に接触して配置されていてよい。電子ユニットは、信号を伝達することができるように駆動装置ユニットのモータに接続されていてよい。このような実施形態は、外部からの能動的な制御、ひいてはDAS/ADAS機能、自律走行または電気モビリティのための使用を別の構造的な措置なしに達成することができるという利点を提供する。特に、中央制御機器を介した液圧式のステアリングの制御を、たとえばDAS/ADAS機能(DAS=Driver Assistance Systems,運転支援システム;ADAS=Driver Assistance System,先進運転支援システム)または自律走行のために可能することができる。このことは、たとえば付加的な制御ユニットまたはステアリングコラムの領域もしくは入力軸領域における付加的な駆動モータのような別の補足物または技術的な変更なしに、廉価かつ信頼性よく実現することができる。
【0016】
電子ユニットは、駆動装置ユニットに関して、ステアリングアシスト装置の長手方向軸線に対して横方向にずらされて駆動装置ユニットに配置されていてよい。換言すると、電子ユニットは、駆動装置ユニットの左右に配置されているか、または取り付けられていてよい。このような実施形態は、ステアリングアシスト装置のために必要となる構造空間を減じることができるという利点を提供する。代替的には、駆動装置ユニットが、電子ユニットと伝動装置ユニットとの間に配置されていてよい。この場合、電子ユニット、駆動装置ユニットおよび伝動装置ユニットは、ステアリングアシスト装置の長手方向軸線に沿って並んで配置されていてよい。このような実施形態は、モータ相およびたとえばモータ位置、温度、圧力等を検出するセンサ線路の配線を簡単にすることができるという利点を提供する。
【0017】
電動装置ユニットが、駆動装置ユニットに流体接続された、作業媒体を内包する第1の作業室と、駆動装置ユニットに流体接続された、作業媒体を内包する第2の作業室とを有していてよい。第1の作業室は、第1の流体管路を介して駆動装置ユニットに接続されていてよく、第2の作業室は第2の流体管路を介して駆動装置ユニットに接続されていてよい。駆動装置ユニットによって第1の作業室に作業媒体が供給されると、第1の方向での伝動装置ユニットの運動を引き起こすか、または支援することができる。駆動装置ユニットによって第2の作業室に作業媒体が供給されると、第2の方向への伝動装置ユニットの運動を引き起こすか、または支援することができる。このような実施形態は、伝動装置ユニットの簡単かつ信頼性のある構造および運転を実現することができるという利点を提供する。
【0018】
さらに、伝動装置ユニットが、ボールねじ伝動装置として構成されていてよい。この場合、伝動装置ユニットは、統合されたリサーキュレーティングボールを備えたピストンとスピンドルとを有していてよい。スピンドルは、トルクセンサを介して入力軸に結合されていてよい。ピストンは、第1の作業室または第2の作業室内の作業媒体により運動可能であってよい。このような実施形態は、このような伝動装置ユニットが減じられた摩擦、減じられた固着滑り効果ならびに減じられた摩耗を有しているという利点を提供する。
【0019】
本明細書の導入部に記載した実施例を、図面に関連した以下の記載において詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】商用自動車用の液圧式のフロントアクスルステアリングシステムを示す概略図である。
図2】1つの実施例によるステアリングアシスト装置を備えたステアリングシステムを備えた自動車の概略図である。
図3】1つの実施例によるステアリングアシスト装置の概略図である。
図4】1つの実施例によるステアリングアシスト装置の概略図である。
図5】1つの実施例によるステアリングアシスト装置の概略図である。
図6】1つの実施例によるステアリングアシスト装置の概略図である。
【0021】
導入部に記載した有利な実施例の以下の説明では、種々異なる図面に図示された同様に作用する要素のために、同一または類似の参照符号が使用される。これらの要素の繰り替えしの説明は省略される。
【0022】
図1は、商用自動車用の液圧式のフロントアクスルステアリングシステム100の概略図を示している。フロントアクスルステアリングシステム100は、ステアリングコラムを介してステアリングホイールに結合された入力軸101と、組み込まれた回転ロッドを備えたロータリスライド弁102と、上側の作業室103もしくは上側のシリンダ室103と、下側の作業室104もしくは下側のシリンダ室104と、上側の作業室103と下側の作業室104との間に配置されたピストン105と、ロータリスライド弁102を介して締付け式に入力軸101に接続されたスピンドル106と、出力軸107もしくはセグメント軸107と、ステアリングハウジング108と、オイルリザーバ109と、単方向のポンプ110、たとえば受動的または能動的にモータにより駆動されるベーンセルポンプと、ポンプ110からロータリスライド弁102もしくはステアリング弁への配管の形の第1の高圧管路111と、ロータリスライド弁102から上側の作業室103への第2の高圧管路112と、ロータリスライド弁102から下側の作業室104への第3の高圧管路113と、作業室103,104からオイルリザーバ109への配管の形の第1の低圧管路114と、オイルリザーバ109からポンプ110の組み付け領域(Ensemblebereich)への第2の低圧管路115とを含んでいる。
【0023】
通常、ポンプ110は、内燃機関により駆動され、内燃機関にフランジ締結されていて、ステアリングは、大抵、運転者の下のフレームに設置されており、オイルリザーバ109もしくは補償容器は、ステアリングとポンプとの間のどこかに配置されており、配管を介した構成要素の接続が行われる。
【0024】
図2は、1つの実施例によるステアリングアシスト装置220を備えたステアリングシステム210を備えた車両200の概略図を示している。ステアリングシステム210は、車両200に配置されている。車両は、たとえば商用車両もしくは商用車、特に中荷重または重荷重の商用車両、たとえばトラック等であってよい。ステアリングシステム210は、車両200のフロントアクスル用のステアリングシステムとして構成されていてよい。したがって、ステアリングシステム210は、フロントアクスルステアリングシステム210とも呼ぶことができる。
【0025】
ステアリングシステム210は、図2に図示した実施例によれば、ステアリングホイール212、ステアリングコラム214およびステアリングアシスト装置220を有している。ステアリングコラム214を介して、ステアリングホイール212はステアリングアシスト装置220に機械的に連結されている。ステアリングアシスト装置220は、ハウジング222を有している。図2に図示した実施例によれば、ステアリングアシスト装置220の構成要素は、ハウジング222内に配置されている。より詳細には、ステアリングアシスト装置220の入力軸および/または出力軸だけがハウジング222から出るように延びている。ステアリングアシスト装置220を以降の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0026】
図3は、1つの実施例によるステアリングアシスト装置220の概略図を示している。ステアリングアシスト装置220は、ここでは図2に示したステアリングアシスト装置に一致するか、または類似している。ステアリングアシスト装置220は、入力軸330、トルクセンサ340、出力軸350、伝動装置ユニット360および駆動装置ユニット370を有している。
【0027】
入力軸330は、この入力軸330に結合可能であるかまたは結合されている、車両のステアリングコラムからのトルクをステアリングアシスト装置220に導入するために形成されている。入力軸330を介して導入されたトルクは、入力トルクと呼ぶこともできる。入力軸330は、ステアリングシステムのステアリングコラムを介して、ステアリングホイールに結合されているか、もしくは機械的に連結されている。トルクセンサ340は、入力軸330を介して導入されたトルクを検出するために構成されている。さらに、トルクセンサ340は、検出されたトルクを表すセンサ信号を提供するために構成されている。出力軸350は、トルクをステアリングアシスト装置220から導出するために、もしくはトルクを車両のアクスルもしくはホイールに出力するために形成されている。出力軸350を介して導出されたトルクは、出力トルクまたはアウトプット力とも呼ぶこともできる。
【0028】
伝動装置ユニット360は、トルクを入力軸330から出力軸350へと機械的に伝達するために構成されている。特に伝動装置ユニット360は、入力トルクを出力トルクに変換するために構成されている。伝動装置ユニット360は、ステアリングハウジング362を有している。伝動装置ユニット360は、ステアリングハウジング362内に配置されている。駆動装置ユニット370は、トルクセンサ340のセンサ信号に依存して、伝動装置ユニット360に液圧作業媒体を供給するために構成されている。換言すると、駆動装置ユニット370は、トルクセンサ340のセンサ信号に依存して、伝動装置ユニット360の運動もしくは伝動装置ユニット360内の運動を作業媒体により支援もしくは増幅するために構成されている。
【0029】
駆動装置ユニット370およびトルクセンサ340は、ステアリングハウジング362に機械的に接触して配置されている。より詳細には、駆動装置ユニット370とトルクセンサ340とは、ステアリングハウジング362に直にフランジ締結されているか、または別の形式で取り付けられている。付加的または代替的には、駆動装置ユニット370およびトルクセンサ340も、ステアリングハウジング362内に配置されている。総じて表現すれば、少なくとも伝動装置ユニット360および駆動装置ユニット370が、1つの共通のハウジング内に配置されている。任意には、トルクセンサ340も、共通のハウジング内に配置されている。共通のハウジングは、たとえばステアリングハウジング362である。
【0030】
図3に図示した実施例によれば、伝動装置ユニット360が、ボールねじ伝動装置として構成されている。伝動装置ユニット360は、駆動装置ユニット370に流体接続された、作業媒体を内包する第1の作業室363と、駆動装置ユニット370に流体接続された、作業媒体を内包する第2の作業室364と、組み込まれたリサーキュレーティングボールを備えたピストン365と、スピンドル366とを有している。このスピンドル366は、トルクセンサ340を介して入力軸330に機械的に結合されている。
【0031】
図3に図示した実施例によれば、駆動装置ユニット370は、作業媒体を圧送するためのポンプ372と、このポンプ372を駆動するモータ374とを有している。モータ374は、電動モータである。ポンプ372は、両方向のポンプとして構成されている。たとえば、ポンプ372は、インターナルギヤポンプ、クレセント入りポンプ(Sichelpumpe)等である。さらに、駆動装置ユニット370は、作業媒体を内包するリザーバ376を有している。少なくともポンプ372は、リザーバ376内に配置されている。図3に図示した実施例では、ポンプ372およびモータ374が、リザーバ376内に配置されている。
【0032】
ステアリングアシスト装置220は、図3に図示した実施例によれば、電子ユニット380もしくは制御ユニット380を有している。電子ユニット380は、駆動装置ユニット370に機械的に接触して配置されている。電子ユニット380は、駆動装置ユニット370に直にフランジ締結されているか、または別の形式で取り付けられている。電子ユニット380は、駆動装置ユニット370をトルクセンサ340のセンサ信号に依存して制御するために構成されている。より詳細には、電子ユニット380は、駆動装置ユニット370のモータ374を制御信号に依存して制御するために構成されている。電子ユニット380は、マイクロコントローラ、いわゆるロジックボード等である。電子ユニット380は、モータ制御のための終段を成すこともできる。
【0033】
ステアリングアシスト装置220に関して、図3には長手方向軸線Lも書き込まれている。入力軸330、スピンドル366ならびにピストン365は、この長手方向軸線Lに沿って延びている。図3に図示した実施例によれば、伝動装置ユニット360は、トルクセンサ340と駆動装置ユニット370との間に配置されている。入力軸330、トルクセンサ340、伝動装置ユニット360および駆動装置ユニット370は、長手方向軸線Lに沿って並んで配置されている。電子ユニット380は、駆動装置ユニット370に関して、長手方向軸線Lに対して横方向にずらされて、駆動装置ユニット370に配置されている。出力軸350は、ピストン365およびスピンドル366に対して相対的に、長手方向軸線Lに対して横方向にずらされて配置されている。電子ユニット380は、出力軸350と同じ方向で、長手方向軸線Lに対して横方向にずらされている。
【0034】
駆動装置ユニット370のポンプ372は、第1の高圧管路392を介して、伝動装置ユニット360の第2の作業室364に流体接続している。さらに、ポンプ372は、第2の高圧管路394を介して、伝動装置ユニット360の第1の作業室363に流体接続している。伝動装置ユニット360の第2の作業室364は、第1の低圧管路396を介して、リザーバ376に流体接続している。伝動装置ユニット360の第1の作業室363は、第2の低圧管路398を介して、リザーバ376に流体接続している。高圧管路392,394および低圧管路396,398は、ステアリングアシスト装置220内の内部に延びている。ポンプ372は、リザーバ376に流体接続している。
【0035】
ポンプ372、モータ374および電子ユニット380を含む駆動装置ユニット370またはいわゆるパワーパックは、車両内でステアリングドロップアームの領域内に取り付けられている。この領域では、大抵の車両において構造空間が提供されている。入力軸330は、従来のステアリングシステムに比べて延長させられていないか、僅かにしか延長させられていないので、ステアリング伝動装置の、従来必要であった構造空間を拡大する必要がないか、または僅かにしか拡大する必要がない。電子ユニット380の側方の配置により、短い構造長さが達成され、ひいては従来の構成要素に関する簡単な交換可能性が達成される。別の1つの実施例によれば、電子ユニット380が、出力軸350とは別の方向で長手方向軸線Lに対して横方向にずらされていてもよい。
【0036】
図4は、1つの実施例によるステアリングアシスト装置220の概略図を示している。このステアリングアシスト装置220は、駆動装置ユニット370が電子ユニット380と伝動装置ユニット360との間に配置されているか、もしくは電子ユニット380が、長手方向軸線Lに関して軸方向で駆動装置ユニット370の延長部に配置されていることを除いて、図3に示したステアリングアシスト装置220に一致している。
【0037】
図5は、1つの実施例によるステアリングアシスト装置220の概略図を示している。ステアリングアシスト装置220は、駆動装置ユニット370がトルクセンサ340と伝動装置ユニット360との間に配置されていることを除いて、図3に示したステアリングアシスト装置220に一致している。この場合、電子ユニット380は、同様に、駆動装置ユニット370に関して、長手方向軸線Lに対して横方向にずらされて駆動装置ユニット370に配置されている。
【0038】
図6は、1つの実施例によるステアリングアシスト装置220の概略図を示している。ステアリングアシスト装置220は、駆動装置ユニット370が電子ユニット380と伝動装置ユニット360との間に配置されているか、もしくは電子ユニット380が、長手方向軸線Lに関して軸方向で駆動装置ユニット370の延長部に配置されていることを除いて、図5に示したステアリングアシスト装置220に一致している。
【0039】
図2図6を参照すると、本明細書に記載された実施例にとって以下のことが云えると判る。通常の液圧式のリサーキュレーティングボール式ステアリング伝動装置に比べて、これらの実施例は、液圧式のロータリスライド弁の代わりにトルクセンサ340を有している。回転ロッドは既存のままである。この回転ロッドは、運転者によるステアリング操作時に、角度差を形成し、この角度差は、トルクセンサ340により検出され、運転者の手動トルクに換算される。付加的に、これらの実施例によれば、両方向のポンプ372およびモータ374を有する駆動装置ユニット370と、この駆動装置ユニット370を制御する電子ユニット380とが、ハウジング222内に組み込まれている。作業媒体としての液圧オイルは、今、運転者の希望に応じて、ポンプ372により、かつ適切な制御アルゴリズムを使用しながら、それぞれの作業室363または364内に圧送される。作用形式は、液圧式の伝動装置と比較可能である。
【0040】
1つの実施例が、第1の特徴と第2の特徴との間で「および/または」という接続詞を含んでいる場合、このことは、この実施例が、1つの実施形態では第1の特徴も第2の特徴も有しており、別の1つの実施形態では単に第1の特徴または第2の特徴しか有していないと読むことができる。
【符号の説明】
【0041】
100 フロントアクスルステアリングシステム
101 入力軸
102 ロータリスライド弁
103 上側の作業室
104 下側の作業室
105 ピストン
106 スピンドル
107 出力軸
108 ステアリングハウジング
109 オイルリザーバ
110 ポンプ
111 第1の高圧管路
112 第2の高圧管路
113 第3の高圧管路
114 第1の低圧管路
115 第2の低圧管路
200 車両
210 ステアリングシステム
212 ステアリングホイール
214 ステアリングコラム
220 ステアリングアシスト装置
222 ハウジング
330 入力軸
340 トルクセンサ
350 出力軸
360 伝動装置ユニット
362 ステアリングハウジング
363 第1の作業室
364 第2の作業室
365 ピストン
366 スピンドル
370 駆動装置ユニット
372 ポンプ
374 モータ
376 リザーバ
380 電子ユニットもしくは制御ユニット
392 第1の高圧管路
394 第2の高圧管路
396 第1の低圧管路
398 第2の低圧管路
L 長手方向軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6