(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】金属製品加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 6/10 20060101AFI20230501BHJP
F27D 11/06 20060101ALI20230501BHJP
F27D 1/12 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H05B6/10 371
F27D11/06 Z
F27D1/12 F
(21)【出願番号】P 2021564371
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020061804
(87)【国際公開番号】W WO2020221770
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-11-30
(31)【優先権主張番号】102019000006433
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】520510173
【氏名又は名称】ロテレック ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROTELEC SA
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グアスティーニ、ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】レン、ジャン-イヴ
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-251049(JP,A)
【文献】特表2009-522740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/10
F27D 11/06
F27D 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱チャンバ(12)に配置され供給方向(X1)に移動可能な少なくとも1つの金属製品(11)を、電磁誘導によって加熱可能な金属製品加熱装置であって、前記加熱装置は、前記加熱チャンバ(12)および加熱される前記金属製品(11)の周りのリングに配置される、1つ以上の加熱コイル(13)を備え、前記1つ以上の加熱コイル(13)は、前記金属製品(11)の前記供給方向(X1)に対して実質的に横切るように配置されるとともに、加熱される前記金属製品(11)の前記供給方向(X1)と実質的に平行または一致する方向(M1)を有して、加熱される前記製品の前記供給方向(X1)と同じ方向に向けられる磁場を生成可能であり、前記加熱装置はまた、前記1つ以上の加熱コイル(13)と加熱される前記金属製品(11)との間に配置される少なくとも1つの熱シールド(14)を備え、前記熱シールド(14)は、加熱される前記金属製品(11)の周りに配置される
、互いに独立した少なくとも2つの壁(15)によって形成され、前記壁(15)の各々は、複数のブロック(16)を備
え、前記熱シールド(14)はまた、前記壁(15)に配置されて、少なくとも1つの冷却用の流体を流すように構成される冷却パイプ(17)を備える、金属製品加熱装置。
【請求項2】
前記ブロック(16)は、互いに隣り合い、それらの間に前記熱シールド(14)の適切な熱膨張を可能にするフリースペース(S)が残される、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記熱シールド(14)の前記壁(15)は、前記ブロック(16)および前記冷却パイプ(17)が配置される
、少なくとも1つのプレート(22)を備える、請求項1または2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記熱シールド(14)は、実質的に正方形または長方形の断面を
有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記熱シールド(14)は、一組または二組の向かい合った平行な壁(15)と、前
記壁(15)から独立し、前記向かい合った側壁(15)の間に定義される角領域に対応して配置される接続要素(18)と、を備える、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記冷却パイプ(17)または冷却コイル(20)を収容するための区画室(19,19’)が前記壁(15)の前記ブロック(16)の間に形成され、前記区画室(19,19’)は、少なくとも2つの向かい合ったアーチ状の側壁(21)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
順番に配置され、前記供給方向(X1)および磁場が生成される前記方向(M1)に沿って並べられる、複数の加熱コイル(13)を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記加熱コイル(13)の各々は
、取り外し可能な取付手段(26)と前記加熱装置に沿って延びる支持体(27)とによって取り付けられる、それ自身の接続要素(25)を備える、請求項7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記1つ以上の加熱コイル(13)は、単体の銅要素によって作られる、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記1つ以上の加熱コイル(13)は、隣り合うリッツ型導体、すなわち、複数の導体ストランドによって形成され、互いに絶縁され、織り交ぜられまたは織り交ぜられず、シース内に収容される導体の、1つ以上の層によって作られる、請求項1に記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄鋼分野、例えば鋳造プラント、圧延プラント、それらの組み合わせ、または金属製品をその都度加熱する必要があるその他のプラント、において用いられる金属製品用の加熱装置に関する。加熱装置は、金属製品を加熱するために電磁誘導を用いる。
【0002】
非限定的な例として、当該金属または金属半製品は、円形、正方形、長方形、または同様の断面を有する、スラブ、ビレット、ブルーム等であり得る。
【背景技術】
【0003】
スラブ、ビレット、ブルーム、またはその他の同様の製品等の金属製品の製造において、ひび割れがなく、それぞれの場合において望ましい特徴を有する金属製品を得るために、製品は加熱されるまたは既定の温度に保たれることが知られている。
【0004】
これは、その都度発生する磁場に基づいて、および、特に金属製品内に誘導される電流によって、ジュール効果によって金属製品の断面の一部を加熱できる、適当な誘導加熱装置によって達成され得る。
【0005】
生成される磁場が、加熱される金属製品と平行となり、加熱装置に沿った加熱される金属製品の動きの方向へ向けられるように、誘導コイルすなわち巻線が、加熱される金属製品を通過させるチャンバを取り囲む、縦方向フラックスヒータ(LFH:Longitudinal Flux Heaters)と呼ばれる誘導加熱装置が存在する。
【0006】
LFH加熱装置は、特に、円形、正方形、または長方形の断面を有する、長い金属製品を加熱するのに適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのような加熱装置において、通常、コイルはセメント等の耐火性の物質でできた構造物に組み入れられ、冷却水が流れる一連のパイプによって冷却される。
セメントは、加熱される金属製品が通過するチャンバに面し、チャンバ内は1100℃までの非常に高い温度に達し得るが、通常チャンバの表面から数センチメートル離れて位置するコイルは冷却され、約100℃の最高温度にさらされる。
【0008】
加熱チャンバと冷却されたコイルが位置する領域との間の温度差は、したがって非常に大きく、これは、加熱装置内で伝播し、加熱装置が使用できなくなるまで、時間が経過するにつれてますます深くなる、ひび割れ、亀裂、またはその他の有害な現象を引き起こす、チャンバのコーティング材料内での制御できない熱膨張を引き起こす。
【0009】
この問題は、加熱装置のサイズが、例えばスラブ等の金属製品が加熱される場合には幅に関して、または例えばビレット等の金属製品が加熱される場合には長さに関して大きくなると、ますます強調される。
【0010】
セメント内へのコイルの組み入れも、コイルにメンテナンス作業を受けさせることが難しく、さらに、コイルは、組み入れられる耐火性の物質におけるひび割れまたは裂け目の存在の結果、ダメージを受け得ることを意味する。
【0011】
さらに、耐火性の物質は、上述のような熱膨張現象を引き起こす温度差と同様に、機械的な振動の結果、劣化および破損し得る。
したがって、従来技術の少なくとも1つの欠点を克服できる金属製品用の加熱装置の改良が必要である。
【0012】
特に、本発明の1つの目的は、高温および熱膨張現象に耐えることができ、そのため、加熱装置の構造および誘導コイルの両方に対する効率的な熱保護を保証する、金属製品用の加熱装置、特にLFH型の装置を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、加熱チャンバの背後に位置する要素、すなわち、加熱コイル、支持部またはその他の部材の温度を大幅に下げることを可能にする、金属製品用の加熱装置を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、特にその高い熱抵抗によって、放射による熱損失を減少させることを可能にし、それによって、誘導加熱の全体的な効率を改良する、金属製品用の加熱装置を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、効率的で、高い柔軟性を有し、異なる加熱ニーズに適応できる、金属製品用の加熱装置を提供することである。
本発明の別の目的は、少なくとも1つの熱シールドの使用によって、加熱チャンバの内側と外側との間で、すなわち、金属製品が加熱される領域と誘導コイルが冷却される領域との間で、熱デカップリングが実行される、熱金属製品用の加熱装置を提供することである。
【0016】
出願人は、従来技術の欠点を克服し、これらおよびその他の、目的および利点を得るために、本発明を考案し、試験し、具体化した。
【課題を解決するための手段】
【0017】
従属クレームが発明のその他の特徴または主要な発明のアイデアの変形例を説明するが、本発明は、独立クレームによって定められ、特徴づけられる。
上記の目的によると、発明の1つの目的は、加熱チャンバに配置され供給方向に沿って移動可能な少なくとも1つの金属製品を、電磁誘導によって加熱可能な金属製品用の加熱装置であって、加熱装置は、加熱チャンバおよび加熱される金属製品の周りのリングに配置される、1つ以上の加熱コイルを備え、1つ以上の加熱コイルは、金属製品の供給方向に対して実質的に横切るように配置されるとともに、加熱される金属製品の供給方向と実質的に平行または一致する方向を有して、加熱される製品の供給方向と同じ方向に向けられる磁場を生成可能であり、加熱装置はまた、1つ以上の加熱コイルと加熱される金属製品との間に配置される少なくとも1つの熱シールドを備え、熱シールドは、加熱される金属製品の周りに配置される耐熱性かつ絶縁性の材料製のブロックを備える壁を備え、また、壁に配置されて、少なくとも1つの冷却用の流体を流すように構成される冷却パイプを備える、金属製品用の加熱装置である。
【0018】
熱シールドを備え、加熱される金属製品の供給方向と実質的に平行または一致する方向を有し、加熱される製品の供給方向と同じ方向に向けられる磁場を生成できる、本加熱装置は、有利に、実質的に360度全体の、すなわち、加熱される金属製品を取り囲む、したがってそれに対して放射状に配置される、装置のすべての領域において、効果的な熱保護を得られる。これは、同じものの背後に配置される要素、したがって例えば加熱コイルの表面温度を、すべての方向において大幅に低減でき、また、熱シールドの高い熱抵抗によって放射を通した熱損失を低減でき、したがって加熱の全体的な効率を改善でき、さらに、熱膨張による有害な現象によって限定的に影響を受けるか、全く影響を受けない。
【0019】
発明の別の態様によると、壁を備えるブロックが、互いに隣り合って配置され、熱シールドの適切な熱膨張を可能にするフリースペースが残され得る。
いくつかの実施形態において、熱シールドの壁は、ブロックおよび冷却パイプが配置される、断熱性かつ絶縁性の材料で作られた少なくとも1つのプレートを備え得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、熱シールドは、実質的に正方形または長方形の断面を有し、互いに独立した少なくとも2つの壁によって形成され得る。
発明の他の態様によると、熱シールドは、一組または二組の向かい合った平行な壁と、壁から独立し、向かい合った側壁の間に定義される角領域に対応して配置される接続要素と、を備え得る。
【0021】
発明の他の特徴によると、壁のブロックの間において、冷却パイプまたは冷却コイルが収容される区画室が形成され、区画室は、好ましくは、少なくとも2つの向かい合ったアーチ状の側壁を備える。
【0022】
いくつかの実施形態において、加熱装置は、順番に配置され、供給方向および磁場が生成される方向に沿って並べられる、複数の加熱コイルを備え得る。
各加熱コイルは、適切な取り外し可能な取付手段と加熱装置に沿って延びる支持体とによって取り付けられる、それ自身の接続要素を備える。
【0023】
いくつかの実施形態において、1つ以上の加熱コイルは、単体の銅要素によって作られる。
他の実施形態において、1つ以上の加熱コイルは、隣り合うリッツ型導体、すなわち、複数の導体ストランドによって形成され、互いに絶縁され、織り交ぜられまたは織り交ぜられず、シース内に収容される導体の、1つ以上の層によって作られる。
【0024】
本発明のこれらのおよびその他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられた、いくつかの実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明による金属製品用の加熱装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の加熱装置の別の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の加熱装置の領域の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
理解を容易にするために、可能な場合は、図面中の同一の共通要素を識別するために同じ参照番号が使用される。一実施形態の要素および特徴は、さらなる明確化をすることなく、他の実施形態に都合よく組み込まれることが理解される。
【0027】
添付された図面にその1つ以上の例が示される、本発明の様々な実施形態の詳細を説明する。各例は発明の説明のために提供され、発明の限定として理解されるべきではない。例えば、1つの実施形態の一部として示されるまたは説明される特徴は、別の実施形態を作るために、他の実施形態に取り入れられるまたは組み合わされる。本発明がそのような修正および変形のすべてを含み得ることが理解される。
【0028】
これらの実施形態を説明する前に、この説明は、その適用において、添付の図面を用いた以下の説明で説明されるような、構成要素の構成および配置の詳細に制限されないことも明確にしなければならない。本説明は、他の実施形態を提供することができ、他の様々な方法で取得または実行され得る。ここで用いられる術語および用語は、説明のみを目的とするものであり、限定的であるとみなされないことも明確にしなければならない。
【0029】
添付の図面を参照して、例えば
図1を見ると、本発明に係る加熱装置10は、加熱チャンバ12に配置され供給方向X1に移動できる、少なくとも1つの金属製品11を電磁誘導によって加熱できる。
【0030】
特に、示されている金属製品11は、正方形または長方形の断面を有する、ブルームまたはビレットのような細長い金属製品であり得る。しかしながら、供給方向X1に移動する金属製品11は、スラブ、ワイヤロッド、またはその他のものであってもよい。
【0031】
加熱装置10は、
図5も参照すると、電磁誘導によって金属製品11を加熱できる1つ以上の加熱コイル13を備える。
1つ以上の加熱コイル13は、加熱チャンバ12の周り、すなわち、加熱される金属製品11の周りのリングに配置される。
【0032】
1つ以上の加熱コイル13は、供給方向X1に対して実質的に横切るように配置され、例えば
図1に示されるような、供給方向X1と実質的に平行または一致する方向M1を有する磁場を生成できる。磁場も供給方向X1と同じ方向に向けられる。
【0033】
加熱装置10は、少なくとも1つの加熱コイル13と加熱される金属製品11との間に配置される、少なくとも1つの熱シールド14を備える。
熱シールド14は、断熱性かつ絶縁性の材料でできたブロック16を備える壁15と、壁15に配置される冷却パイプ17と、を備える。水などのような、適切な冷却用の流体が冷却パイプ17内に送られる。特に、壁15は適切に隣接するように配置されるブロック16によって形成される。
【0034】
熱シールド14は、全体の加熱力の0.1パーセント未満の損失という高い電磁効率を有し、電磁気的な観点から、M1方向での長手方向の磁気の流れに対して完全に透過的である。熱シールドは、その高い熱抵抗によって放射を通じた熱損失を削減することを可能にし、したがって、誘導による全体の加熱効率を改善する。特に、熱シールド14は、加熱チャンバ12、したがって加熱装置10のすべての方向の熱保護を、したがって360度全体の熱保護を保証する。よって、各方向において、加熱チャンバ12の内側から外側への温度は急激に低下する。
【0035】
ブロック16は、
図2aおよび
図4の拡大図も参照すると、互いに隣り合って配置され、加熱装置10で発生する熱膨張を補正するために、それらの間にいくらかのフリースペースSが残される。フリースペースSの広さは、プロジェクトによって、例えば、熱シールド14が取り付けられる加熱装置10の種類に基づいて、自然に選択され得る。
【0036】
熱シールド14は、例えば
図2を参照すると、正方形または長方形の断面を有し得る。熱シールド14は互いに独立した少なくとも2つの壁15によって形成される。
非限定的な例として示されている実施形態においては、互いに独立した4つの壁15が示されている。
【0037】
熱シールド14は、一組または二組の向かい合った平行な壁15と、加熱チャンバの角および壁の角に対応して配置される接続要素18と、を有し得る。接続要素18は、熱シールド14の壁15に対して特定の傾きを有する。
【0038】
ブロック16は隣接して配置され、それらの間に、
図2aの拡大図も参照すると、少なくとも1つの冷却パイプ17を収容するための、または、
図4を参照すると、冷却パイプ17によって形成された冷却コイル20の一部を収容するための、区画室19,19’が作られる。
【0039】
ブロック16は、例えば小さいレンガ、タイルまたはそのようなものであり得て、耐火性の物質で作られ得る。
区画室19,19’は、ブロック16の間で画定される側壁21によって区切られ、冷却パイプ17または冷却コイル20をより安定した状態で収容できるようにアーチ状の形状を有する。
【0040】
熱シールド14の壁15は、絶縁性かつ耐熱性の材料で作られたプレート22も備える。冷却パイプ17およびブロック16は、プレート22の上に配置される。
冷却パイプ17およびブロック16に隣接して配置されるプレート22は、例えばプロファイルされた要素などの形式で、耐熱性かつ絶縁性の材料で作られた支持体23に収容される。
【0041】
図3は、冷却パイプ17を強調するために加熱コイル13のうちの1つが取り除かれた本加熱装置10を示す。冷却パイプ17は、冷却用の流体を供給する流体回路に接続するための適切なコネクタ24を備える。
【0042】
図5は、複数の加熱コイル13、例えば4つの加熱コイル13が順番に提供される本加熱装置10の側面図を示す。順番に配置される複数の加熱コイル13の供給の可能性は、本加熱装置に、より大きなモジュール性および特定のニーズに適応する可能性を与え、また、特定の長さの加熱装置を作る可能性を与える。
【0043】
加熱コイル13は、順番に設置され、供給方向X1に沿って並べられ、方向M1に磁場を生成する。
各加熱コイル13は、他から独立しており、したがって別の加熱コイル13に容易に置き換えられる。実際、各加熱コイル13は、ボルトまたはピン等の適切な取り外し可能な取付手段26と、加熱装置10に沿って、例えば加熱装置10の上部に沿って延びる支持体27と、によって取り付けられる、それ自身の接続要素25を備える。
【0044】
加熱コイル13は、単体の銅要素によって作られ得る。単体の銅要素は内部が中空であり、冷却回路を備える。単体の銅要素でできた加熱コイル13は、特に低い動作周波数、典型的には約1000Hz以下で用いられ得る。単体の銅要素は任意の断面、例えば正方形、長方形、円形またはその他の断面を有する。
【0045】
加熱コイル13は、リッツ型の導体、すなわち、複数の導体ストランドによって形成され、互いに絶縁され、織り交ぜられまたは織り交ぜられず、シース内に収容される導体によっても、作られ得る。
【0046】
加熱コイル13は、互いに隣接して配置される、リッツ型の導体の1つ以上の層によって形成され得る。この場合においても、加熱コイル13は、独自の冷却回路を備える。リッツ型導体は、表皮効果および近接効果による損失を大幅に低減でき、したがって、加熱装置10の全体的な加熱効率の改善につながる。リッツ型導体を備える加熱コイル13は、特に中間の動作周波数、典型的には1000Hzと10000Hzとの間を含む周波数で用いられ得る。
【0047】
ここまで見てきたように、熱シールド14を備え、加熱される金属製品11の供給方向X1と実質的に平行または一致する方向M1を有し、加熱される製品の供給方向に向けられる磁場を生成できる本加熱装置10は、有利に、実質的に360度全体の、すなわち、加熱される金属製品11を取り囲む、したがってそれに対して放射状に配置される、装置のすべての領域において、効果的な熱保護を得られる。これは、その背後に配置される要素、したがって例えば加熱コイル13の表面温度を、すべての方向において大幅に低減でき、また、熱シールド14の高い熱抵抗によって放射を通した熱損失を低減でき、したがって加熱の全体的な効率を改善でき、また、熱膨張による有害な現象によって限定的に影響を受けるか、全く影響を受けない。
【0048】
有利には、さらに、本加熱装置10は、少なくとも1つの熱シールド14の使用によって、加熱チャンバ12の内側と外側との間の、したがって金属製品の加熱領域と冷却された加熱コイル13が配置される領域との間の、熱デカップリングを得ることができる。
【0049】
ここまでに説明されたように、本発明の分野および範囲から逸脱することなく、加熱装置に対して部品の修正および/または追加が行われても良いことが明らかである。
本発明はいくつかの特定の例を参照して説明されてきたが、当業者は確かに、特許請求の範囲に示される特徴を有し、したがってすべてがそれによって定義される保護範囲内にある、加熱装置の他の多くの同等の形式を得ることができることも明らかである。
【0050】
以下の特許請求の範囲において、括弧内の参照符号の唯一の目的は読みやすくすることであり、特定の請求項において要求される保護範囲に関して、制限的な要因とみなされてはならない。