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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】撮像ユニット
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20230501BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20230501BHJP
   H04N 23/10 20230101ALI20230501BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20230501BHJP
   G03B 15/02 20210101ALI20230501BHJP
   G03B 15/05 20210101ALI20230501BHJP
【FI】
H04N23/60 500
H04N23/56
H04N23/10
G03B15/00 U
G03B15/02 G
G03B15/00 Q
G03B15/05
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022006088
(22)【出願日】2022-01-19
(62)【分割の表示】P 2020506031の分割
【原出願日】2018-03-14
(65)【公開番号】P2022068150
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 秀徳
(72)【発明者】
【氏名】小谷 一也
【審査官】大濱 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037586(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088260(WO,A1)
【文献】特開平11-040983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/60
H04N 23/56
H04N 23/10
G03B 15/00
G03B 15/02
G03B 15/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装機が備える基台の上方に配置された撮像ユニットであって、
被写体を下方から撮像する撮像部と、
波長の異なる複数の光源の中から1以上の光源の光を選択して前記被写体に照射可能な光照射部と、
前記光照射部によって照射可能な光の色と前記光が照射される照射面の材質と単位長さ当たりの画素数を表す分解能との対応関係を記憶する記憶部と、
前記複数の光源の中から選択された光源の光を前記被写体に照射して前記撮像部で前記被写体を撮像することにより得られた被写体画像を処理するにあたり、前記被写体に照射した光の色と前記被写体の照射面の材質とに基づいて前記対応関係から前記分解能を求め、前記分解能を用いて前記被写体画像を処理する画像処理部と、
を備えた撮像ユニット。
【請求項2】
前記複数の光源は、少なくとも青色の光源と赤色の光源とを含む、
請求項1に記載の撮像ユニット。
【請求項3】
前記光照射部は、多段光源を備え、
前記多段光源のうち、最も上段の光源である上段光源の光の照射方向はほぼ水平である、
請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項4】
前記光照射部は、多段光源を備え、
前記多段光源のうち、最も上段の光源である上段光源は青色の光源である、
請求項1又は2に記載の撮像ユニット。
【請求項5】
前記上段光源の光の照射方向はほぼ水平である、
請求項4に記載の撮像ユニット。
【請求項6】
前記分解能として、分解能そのものを用いるか、所定の基準分解能に対する補正係数を用いる、
請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、撮像ユニット及び部品実装機を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装機としては、波長が互いに異なる2種類の照明装置及びその照明装置で照らされる被写体を撮像するカメラを基台上に設け、それぞれの波長でコントラスト値を演算し、予め求めてあるそれぞれの波長でのコントラストカーブ特性により、演算されたコントラスト値に対応する可視光波長での合焦位置を求めるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-232548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、部品実装機では、波長が互いに異なる2種類の照明装置で照らされる被写体を撮像するにあたり、倍率色収差の影響により焦点の距離が同じであっても光軸からの距離が異なることがある。このような倍率色収差の影響については、特許文献1では考慮されていない。また、被写体を撮像した画像は、光を照射する照射面の材質によって分解能が異なることもある。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、被写体を撮像した画像を処理する際の倍率色収差や被写体の照射面の材質の影響を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の撮像ユニットは、
撮像部と、
前記撮像部に撮像される被写体を保持する保持部と、
波長の異なる複数の光源の中から1以上の光源の光を選択して前記保持部に保持された前記被写体に照射可能な光照射部と、
前記光照射装置によって照射可能な光の色と前記光が照射される照射面の材質と単位長さ当たりの画素数を表す分解能との対応関係を記憶する記憶部と、
前記複数の光源の中から選択された光源の光を前記被写体に照射して前記撮像部で前記被写体を撮像することにより得られた被写体画像を処理するにあたり、前記被写体に照射した光の色と前記被写体の照射面の材質とに基づいて前記対応関係から前記分解能を求め、前記分解能を用いて前記被写体画像を処理する画像処理部と、
を備えたものである。
【0007】
この撮像ユニットでは、記憶部は、光照射装置によって照射可能な光の色と光が照射される照射面の材質と単位長さ当たりの画素数を表す分解能との対応関係を記憶している。画像処理部は、複数の光源の中から選択された光源の光を被写体に照射して撮像部で被写体を撮像することにより得られた被写体画像を処理する。被写体画像の分解能は、被写体に照射した光の色や被写体の照射面の材質によって異なることがある。そのため、画像処理部は、被写体に照射した光の色と被写体の照射面の材質とに基づいて対応関係から分解能を求め、分解能を用いて被写体画像を処理する。したがって、被写体を撮像した画像を処理する際の倍率色収差や被写体の照射面の材質の影響を抑制することができる。
【0008】
本開示の部品実装機は、
上述したいずれかの撮像ユニットを備えた部品実装機であって、
前記保持部は、部品供給部から供給される前記被写体としての部品を保持して基板上に移動し前記基板の所定位置で前記部品の保持を解放するものであり、
前記撮像部は、前記保持部が前記部品を保持して前記基板上に移動する移動経路に設けられており、
前記画像処理部は、前記分解能を用いて前記被写体画像としての前記部品の撮像画像を処理することにより、前記保持部に対する前記部品の位置を認識する
ものである。
【0009】
本開示の部品実装機によれば、上述したいずれかの撮像ユニットを備えているため、上述したいずれかの撮像ユニットと同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】部品実装機10の斜視図。
図2】パーツカメラ40の構成の概略説明図。
図3】部品実装機10の制御に関わる構成を示すブロック図。
図4】分解能較正ルーチンのフローチャート。
図5】倍率色収差の説明図。
図6】分解能の演算に用いるパラメータの説明図。
図7】部品撮像処理ルーチンのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の撮像ユニット及び部品実装機の好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。図1は部品実装機10の斜視図、図2はパーツカメラ40の構成の概略説明図、図3は部品実装機10の制御に関わる構成を示すブロック図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1に示した通りとする。
【0012】
部品実装機10は、基台12と、基台12の上に設置された実装機本体14と、実装機本体14に装着された部品供給装置としてのリールユニット70とを備えている。
【0013】
実装機本体14は、基台12に対して交換可能に設置されている。この実装機本体14は、基板搬送装置18と、ヘッド24と、ノズル37と、パーツカメラ40と、制御装置60とを備えている。
【0014】
基板搬送装置18は、基板16を搬送したり保持したりする装置である。この基板搬送装置18は、支持板20,20と、コンベアベルト22,22(図1では片方のみ図示)とを備えている。支持板20,20は、左右方向に延びる部材であり、図1の前後に間隔を開けて設けられている。コンベアベルト22,22は、支持板20,20の左右に設けられた駆動輪及び従動輪に無端状となるように架け渡されている。基板16は、一対のコンベアベルト22,22の上面に乗せられて左から右へと搬送される。この基板16は、多数立設された支持ピン23によって裏面側から支持可能となっている。そのため、基板搬送装置18は基板支持装置としての役割も果たす
【0015】
ヘッド24は、X軸スライダ26の前面に取り付けられている。X軸スライダ26は、Y軸スライダ30の前面に取り付けられている。Y軸スライダ30は、前後方向に延びる左右一対のガイドレール32,32にスライド可能に取り付けられている。Y軸スライダ30の前面には、左右方向に延びる上下一対のガイドレール28,28が設けられている。X軸スライダ26は、このガイドレール28,28にスライド可能に取り付けられている。ヘッド24は、X軸スライダ26が左右方向に移動するのに伴って左右方向に移動し、Y軸スライダ30が前後方向に移動するのに伴って前後方向に移動する。なお、各スライダ26,30は、それぞれ駆動モータ26a,30a(図3参照)により駆動される。また、ヘッド24は、Z軸モータ34を内蔵し、Z軸に沿って延びるボールネジ35に取り付けられたノズル37の高さをZ軸モータ34によって調整する。さらに、ヘッド24は、ノズル37を軸回転させるQ軸モータ36(図3参照)を内蔵している。
【0016】
ノズル37は、ノズル先端に部品を吸着して保持したり、ノズル先端に吸着している部品を吸着解除したりする部材である。ノズル37は、図示しない圧力供給源から圧力を供給可能であり、例えば負圧が供給されると部品を吸着し、負圧の供給が停止されるか又は正圧が供給されると部品を吸着解除する。ノズル37は、ヘッド24の本体底面から下方に突出している。また、Z軸モータ34によってノズル37がZ軸方向に沿って昇降することで、ノズル37に吸着された部品の高さが調整される。Q軸モータ36によってノズル37が回転することで、ノズル37に吸着された部品の向きが調整される。
【0017】
パーツカメラ40は、基板搬送装置18の前側の支持板20の前方に配置されている。パーツカメラ40は、パーツカメラ40の上方が撮像範囲であり、ノズル37に保持された部品を下方から撮像して撮像画像を生成する。パーツカメラ40は、図2に示すように、照明部41と、撮像部49とを備えている。
【0018】
照明部41は、撮像対象の部品に対して光を照射する。この照明部41は、ハウジング42と、連結部43と、落射光源44と、ハーフミラー46と、多段光源47と、を備えている。ハウジング42は、上面及び下面(底面)が八角形状に開口した椀状の部材である。ハウジング42は、下面の開口よりも上面の開口の方が大きく、下面から上面に向かって内部空間が大きくなる傾向の形状をしている。連結部43は、ハウジング42と撮像部49とを連結する筒状の部材である。落射光源44は、LED45を複数有している。ハーフミラー46は、落射光源44のLED45からの水平方向の光を上方に反射する。また、ハーフミラー46は上方からの光については撮像部49に向けて透過する。多段光源47は、上段光源47aと、中段光源47bと、下段光源47cとを備えている。上段光源47aは、複数のLED48aを有し、中段光源47bは、複数のLED48bを有し、下段光源47cは、複数のLED48cを有している。LED48a~48cは、いずれも光軸49aから傾斜した方向に光を照射する。LED48a~48cの照射方向の光軸49aからの傾斜角は、LED48aが最も大きく、LED48aはほぼ水平方向に光を照射する。また、この傾斜角は、LED48cが最も小さくなっている。上段光源47aはほぼ水平方向に光を照射することから側射光源と称し、中段光源47bは斜め上向きに光を照射することから傾斜光源と称する。本実施形態では、上段光源47aのLED48aは青色LEDであり、中段光源47bのLED48b、下段光源47cのLED48c及び落射光源44のLED45が赤色LEDである。
【0019】
撮像部49は、受光した光に基づいて撮像画像を生成する。この撮像部49は、図示しないレンズなどの光学系及び撮像素子(例えばCCD)を備えている。落射光源44及び多段光源47から発せられ撮像対象の部品で反射した後の光がハーフミラー46を透過して撮像部49に到達すると、撮像部49はこの光を受光して撮像画像を生成する。
【0020】
リールユニット70は、複数のリール72を備え、実装機本体14の前側に着脱可能に取り付けられている。各リール72には、テープが巻き付けられている。テープの表面には、テープの長手方向に沿って複数の収容凹部が設けられている。各収容凹部には、部品が収容されている。これらの部品は、テープの表面を覆うフィルムによって保護されている。こうしたテープは、リールから後方に向かって巻きほどかれ、フィーダ部74においてフィルムが剥がされて部品が露出した状態となる。この露出した状態の部品は、ノズル37によって吸着される。リールユニット70の動作は、各フィーダ部74が備えるフィーダコントローラ76(図3参照)によって制御される。
【0021】
制御装置60は、図3に示すように、CPU61、記憶部63(ROM、RAM、HDDなど)、入出力インターフェース65などを備えており、これらはバス66を介して接続されている。この制御装置60は、基板搬送装置18、X軸スライダ26の駆動モータ26a、Y軸スライダ30の駆動モータ30a、Z軸モータ34、Q軸モータ36、パーツカメラ40及びノズル37用の図示しない圧力供給源へ駆動信号を出力する。また、制御装置60は、パーツカメラ40からの撮像画像を入力する。制御装置60は、リールユニット70のフィーダコントローラ76と通信可能に接続されている。なお、図示しないが、各スライダ26,30には図示しない位置センサが装備されており、制御装置60はそれらの位置センサからの位置情報を入力しつつ、各スライダ26,30の駆動モータ26a,30aを制御する。
【0022】
次に、部品実装機10の動作について説明する。制御装置60のCPU61は、図示しない管理コンピュータから生産ジョブを受信する。生産ジョブは、部品実装機10においてどの部品種の部品をどういう順番で基板16に装着するか、また、何枚の基板16に部品の実装を行うかなどを定めた情報である。
【0023】
CPU61は、生産ジョブを受信すると、まず、その生産ジョブにおいて基板16に実装するすべての部品種を読み出し、分解能の較正(キャリブレーション)を実行する。図4は分解能較正ルーチンのフローチャートである。
【0024】
分解能較正ルーチンの説明に先立ち、倍率色収差について説明する。倍率色収差とは、光軸に対して斜めに入射した光が像面の異なる位置に像を結んでしまうことにより画像周辺ほど色ずれが発生する現象をいう。具体的には、図5に示すように、焦点の距離が同じであってもレンズの中心線からの距離が青色光と赤色光とで異なる。また、光が照射される照射面の材質によっても異なる。本実施形態では、こうした倍率色収差や照射面の材質の影響を、画像処理時の分解能を較正することにより解消する。
【0025】
CPU61は、図4の分解能較正ルーチンを開始すると、まず、今回の生産ジョブで使用する1つの部品種を測定対象の部品種に設定し、その部品種の部品をノズル37に吸着させる(S100)。具体的には、CPU61は、その部品種の部品を供給するフィーダ部74によって所定の部品供給位置に送り出された部品にノズル37が対向するように各部を制御し、その部品がノズル37に吸着されるようにノズル37に負圧を供給する。
【0026】
続いて、CPU61は、ノズル37の中心が第1地点P1と一致するようにノズル37を移動させる(S110)。第1地点P1は、部品実装機10の座標上の1点であり、パーツカメラ40の上方の撮像範囲内に設定されている(図6参照)。
【0027】
続いて、CPU61は、ノズル37に吸着された部品を各種の点灯光で照射しながら撮像し、撮像した画像を第1地点画像として記憶部63に記憶する(S120)。各種の点灯光とは、ここでは赤色光、青色光、赤色光+青色光の3種類の点灯光である。CPU61は、まず赤色LED(中段光源47bのLED48b、下段光源47cのLED48c及び落射光源のLED45)で部品を照射しながら撮像し、次に青色LED(上段光源47aのLED48a)で部品を照射しながら撮像し、次に赤色LED及び青色LEDで部品を照射しながら撮像する。CPU61は、今回の部品種と各種の点灯光で撮像した第1地点画像とを対応づけて記憶部63に記憶する。
【0028】
続いて、CPU61は、ノズル37の中心が第2地点P2と一致するようにノズル37を移動させる(S130)。第2地点P2は、部品実装機10の座標上の1点であり、パーツカメラ40の上方の撮像範囲内に設定されている(図6参照)。第2地点P2は、第1地点P1からX軸に沿って左方向に所定の長さLx[μm]だけ離れた位置に設定されている。
【0029】
続いて、CPU61は、ノズル37に吸着された部品を各種の点灯光で照射しながらその部品を撮像し、撮像した画像を第2地点画像として記憶部63に記憶する(S140)。CPU61は、まず赤色LEDで部品を照射しながら撮像し、次に青色LEDで部品を照射しながら撮像し、次に赤色LED及び青色LEDで部品を照射しながら撮像する。CPU61は、今回の部品種と各種の点灯光で撮像した第2地点画像とを対応づけて記憶部63に記憶する。
【0030】
続いて、CPU61は、今回の部品種について各種の点灯光における分解能を演算して記憶部63に保存する(S150)。図6は、分解能の演算に用いるパラメータの説明図である。CPU61は、図6に示すように、赤色光で撮像した第1地点画像(図6の右側)の部品中心のピクセル位置Cと赤色光で撮像した第2地点画像(図6の左側)の部品中心のピクセル位置Cとの間のピクセル数Pxを求め、その部品種の赤色光での分解能(=Lx/Px)[μm/pixel]を求める。なお、第1地点P1における部品中心Cと第2地点P2における部品中心Cとの長さ[μm]は、ノズル中心の第1地点P1と第2地点P2との長さLx[μm]と一致する。CPU61は、青色光や赤色光+青色光についても、同様にして分解能を求める。そして、今回の部品種と点灯光と分解能との対応関係を表1に示す分解能較正テーブルに追加して記憶部63に保存する。
【0031】
【表1】
【0032】
続いて、CPU61は、ノズル37に吸着されていた部品をフィーダ部74の元の位置に戻し(S160)、基板16に実装するすべての部品種について処理したか否かを判定する(S170)。S170で否定判定だったならば、CPU61は、未処理の部品種を測定対象に設定し(S180)、再びS100以降の処理を行う。一方、S170で肯定判定だったならば、CPU61は、本ルーチンを終了する。これにより、今回の生産ジョブで使用する部品種(例えば部品種Pa~Pd)と点灯光と分解能との対応関係を表す表1の分解能較正テーブルが完成する。
【0033】
次に、部品実装機10が部品実装処理を行うときの動作について説明する。制御装置60のCPU61は、生産ジョブに基づいて部品実装機10の各部を制御して複数の部品が実装された基板16を生産する。図7は部品実装処理ルーチンのフローチャートである。
【0034】
CPU61は、部品実装処理ルーチンを開始すると、まず、カウンタの変数nに1をセットし(S200)、n番目の部品をノズル37に吸着させる(S210)。続いて、CPU61は、今回の部品の部品種に対応する点灯光を記憶部63に保存された点灯光テーブル(表2参照)から取得する(S220)。点灯光テーブルは、部品種とその部品種の部品の照射面の材質とその部品種の部品を撮像する際に使用する点灯光との対応関係を示したものである。点灯光テーブルは、予め予備実験などで部品種の部品ごとに撮像に最も適した点灯光を調べた結果に基づいて作成されている。なお、点灯光テーブルから部品の照射面の材質を省略してもよい。
【0035】
【表2】
【0036】
続いて、CPU61は、部品撮像処理を実行する(S230)。具体的には、CPU61は、ノズル37に吸着された部品をパーツカメラ40の上方の撮像範囲に移動させ、S220で取得した点灯光をその部品に照射しながらその部品をパーツカメラ40で撮像させる。
【0037】
続いて、CPU61は、表1の分解能較正テーブルから、今回の部品種と使用した点灯光とに対応する分解能を取得し(S240)、得られた部品の画像と取得した分解能とを用いて、ノズル37の中心に対する部品の位置を認識する(S250)。撮像した画像におけるノズル37の中心の位置は既知である。ノズル37の中心は部品の所定の吸着位置(通常は部品の中心)と一致するように制御されている。しかし、部品の供給位置のずれ等により、ノズル37の中心と部品の所定の吸着位置はずれて吸着されることが多い。そのため、S250で、部品の所定の吸着位置とノズル37の中心とのずれ量を認識する。画像から得られるずれ量の単位はピクセルである。そのため、分解能を用いてピクセルを長さの単位(ここではμm)に置き換える。上述したように、分解能は、部品種(換言すると部品種の照射面の材質)と点灯光に依存する。ここでは、表1の分解能較正テーブルから求めた適正な分解能を用いて、ノズル37の中心に対する部品の所定の吸着位置のずれ量の単位をピクセルから長さ(μm)に置き換える。そのため、長さの単位に置き換えられたずれ量は精度の高いものとなる。
【0038】
続いて、CPU61は、ノズル37に吸着された部品を基板16の指定位置に実装する(S260)。具体的には、CPU61は、ノズル37の中心に対する部品の位置のずれ量(長さの単位)を考慮して部品が基板16の指定位置の直上に配置されるように各部を制御し、ノズル37がその位置で部品を放すようにノズル37に正圧を供給する。
【0039】
続いて、CPU61は、すべての部品の実装を終了したか否かを判定する(S270)。S270で否定判定だったならば、CPU61は、カウンタの変数nを1インクリメントし(S280)、再びS210以降の処理を行う。一方、ステップS270で肯定判定だったならば、CPU61は、本ルーチンを終了する。こうすることにより、1枚の基板16にはすべての部品種の部品が実装される。その後、CPU61は、部品実装済みの基板16が生産ジョブ内の生産予定枚数に到達するまでこの部品実装処理ルーチンを繰り返す。
【0040】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の撮像ユニットの構成要素との対応関係について説明する。本実施形態の撮像部49が本開示の撮像ユニットの撮像部に相当し、ノズル37が保持部に相当し、照明部41が光照射部に相当し、記憶部63が記憶部に相当し、CPU61が画像処理部に相当する。また、部品が被写体に相当する。
【0041】
以上説明した本実施形態では、部品を撮像した画像の分解能は、部品に照射した光の色や部品の照射面の材質によって異なることがある。そのため、CPU61は、部品に照射した光の色と部品種(部品の照射面の材質の一例)とに基づいて分解能較正テーブルから分解能を求め、その分解能を用いて部品の画像を処理する。したがって、部品を撮像した画像を処理する際の倍率色収差や照射面の材質の影響を抑制することができる。
【0042】
また、照明部41は、赤色LED(中段光源47bのLED48b、下段光源47cのLED48c及び落射光源44のLED45)と青色LED(上段光源47aのLED48a)とを含んでいる。そのため、赤色光、青色光、赤色光+青色光の3パターンのいずれかで部品を照射することができる。特に赤色光+青色光のパターンで部品を照射したときには部品種によって分解能が異なることがあるため、本開示の技術を適用する意義が高い。
【0043】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0044】
例えば、上述した実施形態では、分解能較正テーブルとして、部品種と点灯光と分解能との対応関係を示すテーブル(表1)を用いたが、部品の照射面の材質と点灯光と分解能との対応関係を示すテーブル(表3)を用いてもよい。部品の照射面の材質としては、例えば、素材がそのまま照射面になっている場合にはその素材そのものである。素材としては、特に限定されるものではないが、例えば、鉄、銅、銀、金、アルミナセラミック、ジルコニアセラミック、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。そのほかに、例えば、照射面が着色剤で着色されている場合には、照射面の材質は着色剤であり、照射面がコーティング剤でコートされている場合には、照射面の材質はコーティング剤である。なお、部品種が決まれば部品の照射面の材質も必然的に決まるため、部品種は部品の照射面の材質の一例ということができる。異なる2つ以上の部品種の部品の照射面の材質が同じである場合には、部品の照射面の材質と点灯光と分解能との対応関係を示すテーブル(表3)を採用した方がデータのサイズが小さくなる。例えば、表1では、4つの部品種Pa~Pdのそれぞれについて点灯光ごとに分解能が対応づけられている。ここで、部品種Paと部品種Pcは、表2に示すように、いずれも照射面が材質Aである。そのため、部品種の代わりに材質を用いた表3のテーブルを採用すれば、データ数が少なくなる。
【0045】
【表3】
【0046】
上述した実施形態では、分解能として、分解能そのものを用いたが、所定の基準分解能に対する補正係数を用いてもよい。所定の基準分解能としては、基準材質(例えば白色セラミック片)に光を照射したときに得られた画像から求めた分解能を用いることができる。
【0047】
上述した実施形態では、分解能較正テーブルを、ノズル37をX方向に移動したときに測定した分解能を用いて作成したが、ノズル37をY方向に移動したときに測定した分解能を用いて作成してもよい。あるいは、X方向の分解能とY方向の分解能のそれぞれについて分解能較正テーブルを作成し、X方向のピクセル数を長さに変換するときにはX方向の分解能を使用し、Y方向のピクセル数を長さに変換するときにはY方向の分解能を使用してもよい。
【0048】
上述した実施形態では、部品種に3つの点灯光の分解能を対応づけた分解能較正テーブル(表1)を作成したが、表2の点灯光テーブルに示すように部品種ごとに最適な点灯光がわかっている場合には、部品種に最適な点灯光の分解能を対応づけた分解能較正テーブル(例えば部品種Paは青色光の分解能のみ、部品種Pbは赤色光の分解能のみ)を作成してもよい。こうすれば、分解能較正テーブルを作成する時間が短縮される。
【0049】
上述した実施形態では、部品実装機10を用いて分解能較正テーブルを作成したが、部品実装機10の代わりに、部品実装機10とは別のオフライン撮像機を用意し、そのオフライン撮像機に照明部41と同様の照明部を取り付けて、上述した手順と同様にして分解能較正テーブルを作成してもよい。
【0050】
上述した実施形態の分解能較正ルーチンでは、生産ジョブで使用するすべての部品種について分解能を演算したが、既に各点灯光の分解能が記憶部63に記憶されている部品種についてはS100~S160の処理をスキップしてもよい。
【0051】
上述した実施形態では、ノズル37を1つ備えたヘッド24を用いたが、円周方向に複数のノズルを備えたロータリーヘッドを用いてもよい。
【0052】
上述した実施形態では、点灯光として、青色光、赤色光、青色光及び赤色光の3種類を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、これらの点灯光に代えて又は加えて他の点灯光(例えば緑色光やUV光、IR光など)を用いてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、本開示の撮像ユニットの構成要素としてパーツカメラ40を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、レンズ側で色収差の対策がなされていない多色照明装置を有したカメラであれば、どのようなカメラであってもよい。
【0054】
上述した実施形態では、本開示の撮像ユニットの保持部としてノズル37を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、例えばメカニカルチャックや電磁石としてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、本開示の部品実装機の部品供給部としてリールユニット70を例示したが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、トレイに部品を載せて供給するトレイユニットを採用してもよい。
【0056】
本開示の撮像ユニットは、以下のように構成してもよい。
【0057】
本開示の撮像ユニットにおいて、前記複数の光源は、少なくとも青色の光源と赤色の光源とを含むようにしてもよい。この場合、青色、赤色、赤色+青色の3パターンのいずれかで被写体を照射することができる。特に赤色+青色のパターンで被写体を照射したときには被写体の材質によって分解能が異なることがあるため、本開示の技術を適用する意義が高い。
【0058】
本開示の撮像ユニットにおいて、前記分解能として、分解能そのものを用いてもよいし、所定の基準分解能に対する補正係数を用いてもよい。所定の基準分解能とは、基準材質(例えば白色セラミック片)に光を照射したときに得られた画像から求めた分解能である。
【0059】
本開示の撮像ユニットにおいて、前記被写体は、基板へ実装される部品であり、前記照射面の材質として、前記部品の種類を用いてもよい。こうすれば、光の色と部品の種類と分解能との対応関係が記憶部に記憶され、この対応関係から光の色と部品の種類とに基づいて分解能を求めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、保持部に保持された部品を撮像する作業を伴う産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 部品実装機、12 基台、14 実装機本体、16 基板、18 基板搬送装置、20 支持板、22 コンベアベルト、23 支持ピン、24 ヘッド、26 X軸スライダ、26a 駆動モータ、28 ガイドレール、30 Y軸スライダ、30a 駆動モータ、32 ガイドレール、34 Z軸モータ、35 ボールネジ、36 Q軸モータ、37 ノズル、40 パーツカメラ、41 照明部、42 ハウジング、43 連結部、44 落射光源、45 LED、46 ハーフミラー、47 多段光源、47a 上段光源、47b 中段光源、47c 下段光源、48a~48c LED、49 撮像部、49a 光軸、60 制御装置、61 CPU、63 記憶部、65 入出力インターフェース、66 バス、70 リールユニット、72 リール、74 フィーダ部、76 フィーダコントローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7