(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20230501BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20230501BHJP
【FI】
H01L21/92 604A
H05K3/32 B
(21)【出願番号】P 2022069859
(22)【出願日】2022-04-21
【審査請求日】2022-08-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512310402
【氏名又は名称】ミナミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073324
【氏名又は名称】杉山 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134898
【氏名又は名称】岩田 克子
(72)【発明者】
【氏名】高野 一典
(72)【発明者】
【氏名】塚本 友之
(72)【発明者】
【氏名】吉住 浩二
(72)【発明者】
【氏名】行森 美昭
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-100836(JP,A)
【文献】特開2001-223290(JP,A)
【文献】特開2014-049524(JP,A)
【文献】特開2015-050250(JP,A)
【文献】特開2015-141906(JP,A)
【文献】特開2010-003927(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0135571(US,A1)
【文献】国際公開第2008/050376(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 23/12
H05K 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハ、プリント基板等のワークの電極パッド部に、それに印刷により塗布した接合用ペーストをもって
、長さ方向全体において同一直径の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを接合するときにおいて、電極パッド部に塗布した接合用ペーストに
前記金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せ
、前記接合用ペーストの粘着力によって前記金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せた状態を維持してワークを反転させ、この状態において加熱手段によって前記接合用ペーストを溶融し、固化させることを特徴とする金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法。
【請求項2】
加熱手段がホットプレートであり
、反転させたワークを、熱伝導の良好な材料からなり、平面形状が方形の枠状をなすスペーサーを介してホットプレートの上方に保持してなる請求項1記載の金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Cu-Pin(銅ピン)、Cu-Pillar(銅ピラー)、Cu-Post(銅ポスト)、Cu-Column(銅カラム)等と呼ばれる金属若しくは導電性の極小柱状ピンの、半導体ウェハやプリント基板等のワークの電極パッド部への接合方法に関し、更に詳細には、Package-on-Package(POP)などの半導体製品の製作にあたり、ウェハやプリント基板等のワークの電極パッド部に、それに印刷により塗布した接合用ペーストをもってCu-Pin等の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを接合するとき、Cu-Pin等の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを、電極パッド部の中心位置に、傾くことなく垂直に接合することができるようになしたことを特徴とする接合方法に係る。
【背景技術】
【0002】
Package-on-Package(POP)などの半導体製品の製作にあたり、ウェハやプリント基板等のワークの電極パッド部に、Cu-Pin等の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを搭載するときには、従来、一般的に次の工程によって行われる。
【0003】
先ず、ウェハやプリント基板等のワークの電極パッド部に、スクリーン印刷装置のスキージとメタルマスクをもって接合用ペーストを塗布(印刷)し、その後この塗布した接合用ペーストに、マウント装置によってCu-Pin等の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せ、更にこの状態において加熱手段であるリフロー装置によって加熱して接合用ペーストを溶融させた後に固化させ、もってワークの電極パッド部への金属若しくは導電性の極小柱状ピンの接合を行う。
【0004】
これを
図3及び
図4をもって説明すると、
図3はワークであるプリント基板100の複数の電極パッド部101に接合用ペースト102を印刷により塗布し、該接合用ペースト102の夫々にCu-Pin等の金属若しくは導電性の極小柱状ピン103を載せ、更に、この状態において加熱した状態を示すものである。尚、金属若しくは導電性の極小柱状ピン103は、いずれも立てた状態で載せられており、そして加熱は、図示した例においてはリフロー装置(加熱手段)としてのホットプレート104によって行われている。
【0005】
ところで、半導体製品の製作にあたり、搭載する部品が微細になるほど金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せる間隔は狭く且つ金属若しくは導電性の極小柱状ピンの高さは高くなっていく。そして、金属若しくは導電性の極小柱状ピンは、その長さが直径に対して高比率になると、立てたときに傾きが発生し易くなる。
【0006】
然るに、
図3に示す如く、プリント基板100を、その金属若しくは導電性の極小柱状ピン103が上面側になるようにしてホットプレート104をもって加熱すると、加熱によって溶融した接合用ペースト102が流動して、その上面に載せた金属若しくは導電性の極小柱状ピン103が傾きを起こしたり、倒れたり、或いは電極パッド部の中心からずれたり、高さが不揃いになる等し、最終的に
図4に示す如き接合状態となって不良品となる事態が頻発した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであって、ウェハ、プリント基板等のワークの電極パッド部に塗布した接合用ペーストに、長さ方向全体において同一直径の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せ、該接合用ペーストの粘着力によって極小柱状ピンを載せ、該接合用ペーストの粘着力によって極小柱状ピンを載せた状態を維持してワークを反転させ、この状態において加熱手段によって前記接合用ペーストを溶融し、固化させ、もって反転したワークから垂下した金属若しくは導電性の極小柱状ピン自体の重力と溶融した接合用ペーストの表面張力によって、金属若しくは導電性の極小柱状ピンを、ワークの電極パッド部の中心位置に、傾くことなく垂直に接合することができるようになした金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
而して、本発明は、ウェハ、プリント基板等のワークの電極パッド部に、それに印刷により塗布した接合用ペーストをもって、長さ方向全体において同一直径の金属若しくは導電性の極小柱状ピンを接合するときにおいて、電極パッド部に塗布した接合用ペーストに前記金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せ、前記接合用ペーストの粘着力によって前記金属若しくは導電性の極小柱状ピンを載せた状態を維持してワークを反転させ、この状態において加熱手段によって前記接合用ペーストを溶融し、固化させることを特徴とする金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法を要旨とするものである。
【0009】
また、本発明は、上記構成において、加熱手段としてホットプレートを用い、そして、反転させたワークを、熱伝導の良好な材料からなり、平面形状が方形の枠状をなすスペーサーを介してホットプレートの上方に保持するようにしてもよい。尚、本明細書において使用する「接合用ペースト」の語には、半田ペーストに限らず、フラック材、銀ペースト等本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の材料を含むものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記の如き構成であるから、反転したワークから垂下した金属若しくは導電性の極小柱状ピン自体の重力と溶融した接合用ペーストの表面張力によって、金属若しくは導電性の極小柱状ピンを、ワークの電極パッド部の中心位置に、傾くことなく垂直に接合することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法の説明図であり、金属若しくは導電性の極小柱状ピンを電極パッド部に載せたワークを反転させて加熱する状態を示すものである。
【
図2】同接合用ペーストが固化した状態を示すものである。
【
図3】従来の金属若しくは導電性の極小柱状ピンのワークの電極パッド部への接合方法の説明図であり、金属若しくは導電性の極小柱状ピンを電極パッド部に載せたワークを加熱する状態を示すものである。
【
図4】同接合用ペーストが固化した状態を示すものである
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1及び
図2において、1はワークであり、本実施
形態においては、プリント基板である。また、2は前記プリント基板1における電極パッド部であり、3は前記電極パッド部2の夫々に、印刷により塗布した接合用ペーストである。4は前記接合用ペースト3の夫々に載せた
、長さ方向全体において同一直径のCu-Pin等の金属若しくは導電性の極小柱状ピンである。
【0014】
また、5は加熱手段であるリフロー装置としてのホットプレートである。6は反転させたプリント基板をホットプレートの上方に保持するためのスペーサーである。
【0015】
而して、本実施形態においては、プリント基板1の電極パッド部2に、それに印刷により塗布した接合用ペースト3をもって、長さ方向全体において同一直径の金属若しくは導電性の極小柱状ピン4を接合するときにおいて、電極パッド部2に塗布した接合用ペースト3に前記金属若しくは導電性の極小柱状ピン4を載せ、前記接合用ペースト3の粘着力によって前記金属若しくは導電性の極小柱状ピン4を載せた状態を維持してプリント基板1を反転させるものである。そして、反転させたプリント基板1を、本実施形態においてはスペーサー6を介してホットプレート5の上方に保持し、この状態においてホットプレート5による熱によって前記接合用ペースト3を溶融するものである。また、スペーサー6は、例えば、平面形状が方形の枠のようなものであれば、ホットプレート5に載せることができ、着脱が容易である。尚、前記の他、固定するようにしてもよい。
【0016】
また、プリント基板1の反転は適宜の手段をもって行い、そして反転させたプリント基板1は、垂下した金属若しくは導電性の極小柱状ピン4の先端がホットプレート5に接触しない状態に保持される。また、スペーサー6は熱伝導の良好な材料からなり、該スペーサー6をもってホットプレート5の熱が伝達される。尚、加熱にあたり充分な熱量が得られない場合には、他の加熱手段、例えば、ヒータ等を併用するようにしてもよい。
【0017】
また、加熱手段として、本実施形態においてはホットプレートを用いているが、これ以外の従来公知のリフロー装置を用いるようにしてもよい。尚、その場合において、反転させたワークの保持は、適宜の手段を用いて行えばよい。
【0018】
上記本実施形態によれば、反転したプリント基板1から垂下した金属若しくは導電性の極小柱状ピン4自体の重力と溶融した接合用ペースト3の表面張力によって、金属若しくは導電性の極小柱状ピン4を、プリント基板1の電極パッド部2の中心位置に、傾くことなく垂直に接合することができるものである。
【符号の説明】
【0019】
1 プリント基板
2 電極パッド部
3 接合用ペースト
4 金属若しくは導電性の極小柱状ピン
5 ホットプレート
6 スペーサー
【要約】
【課題】 プリント基板の電極パッド部に、それに印刷により塗布した接合用ペーストをもって金属若しくは導電性の極小柱状ピンを接合するときにおいて、金属若しくは導電性の極小柱状ピンを、電極パッド部の中心位置に、傾くことなく垂直に接合することができるようにする。
【解決手段】 電極パッド部2に塗布した接合用ペースト3に金属若しくは導電性の極小柱状ピン4を載せた状態において、且つ加熱手段としてのホットプレート5によって溶融した接合用ペースト3が固化する前に、プリント基板1を反転させる。反転させたプリント基板1は、スペーサー6を介してホットプレート5の上方に保持する。
【選択図】
図1