(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-04-28
(45)【発行日】2023-05-11
(54)【発明の名称】シャフト駆動装置及び部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230501BHJP
【FI】
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2022502685
(86)(22)【出願日】2020-02-26
(86)【国際出願番号】 JP2020007873
(87)【国際公開番号】W WO2021171445
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】寺田 和広
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/056293(WO,A1)
【文献】特開平11-4100(JP,A)
【文献】特開2009-170830(JP,A)
【文献】特開2011-103313(JP,A)
【文献】特表2005-536039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被押圧部を有し、昇降可能に保持された複数のシャフトと、
前記複数のシャフトの各々に付設され、各シャフトを上方に付勢するリターンばねと、
前記複数のシャフトのいずれかの前記被押圧部と接触可能であり、一つのシャフトを選択的に昇降させる駆動部材と、
前記駆動部材を、前記リターンばねの付勢力に抗して前記シャフトを下降させるように、前記シャフトの被押圧部と接触して押圧する第1姿勢と、前記押圧を解除する第2姿勢との間で姿勢変更させる昇降機構と、を備え、
前記シャフトの前記被押圧部は強磁性体によって構成され、
前記駆動部材には磁力が付与されている、シャフト駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシャフト駆動装置において、
前記駆動部材の近傍に配置されるマグネットをさらに備え、
前記マグネットは、前記駆動部材の配置位置に磁力が向かう方向に磁化されている、シャフト駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシャフト駆動装置において、
前記マグネットは、互いに異なる位置に配置された第1マグネット及び第2マグネットを含み、
前記第1マグネットは、前記駆動部材に対向する第1対向面を備え、
前記第2マグネットは、前記駆動部材に対向する第2対向面を備え、
前記第1対向面と前記第2対向面とは、同極に着磁されている、シャフト駆動装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシャフト駆動装置において、
前記第1対向面の面方向と前記第2対向面の面方向とが互いに交差する方向となるように、前記第1マグネット及び前記第2マグネットを保持するホルダをさらに備え、
前記駆動部材は、前記第1対向面の法線と前記第2対向面の法線とが交差する位置に配置されている、シャフト駆動装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載のシャフト駆動装置において、
前記マグネットが発生する磁力を前記駆動部材に集中させるヨークをさらに備える、シャフト駆動装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシャフト駆動装置において、
前記駆動部材の少なくとも表層部分が強磁性体で構成されている、シャフト駆動装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のシャフト駆動装置において、
前記複数のシャフトを中心軸の周囲に環状に配列した状態で保持し、前記中心軸回りに回転する回転体と、
前記回転体を回転駆動する回転駆動機構と、をさらに備え、
前記回転駆動機構は、前記駆動部材の配置位置の直下に選択された一つのシャフトの被押圧部が位置するよう、前記回転体を回転させる、シャフト駆動装置。
【請求項8】
ロータリーヘッドを備え、基板上に部品を実装する部品実装装置であって、
前記ロータリーヘッドは、
被押圧部を上端に、部品吸着ノズルを下端にそれぞれ有する複数のシャフトと、
前記複数のシャフトを中心軸の周囲に環状に配列した状態で昇降可能に保持し、前記中心軸回りに回転する回転体と、
前記複数のシャフトの各々に付設され、各シャフトを上方に付勢するリターンばねと、
前記複数のシャフトのいずれかの前記被押圧部と接触可能であり、一つのシャフトを選択的に昇降させる駆動部材と、
前記駆動部材を、前記リターンばねの付勢力に抗して前記シャフトを下降させるように、前記シャフトの被押圧部と接触して押圧する第1姿勢と、前記押圧を解除する第2姿勢との間で姿勢変更させる昇降機構と、
前記駆動部材の配置位置の直下に選択された一つのシャフトの被押圧部が位置するよう、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構と、を備え、
前記シャフトの前記被押圧部は強磁性体によって構成され、
前記駆動部材には磁力が付与されている、部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャフトを昇降させるシャフト駆動装置及び当該シャフト駆動装置が適用されたロータリーヘッドを有する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降させるべき複数のシャフトに対し、その昇降機構が1対1で配置されていないシャフト駆動装置が存在する。例えば特許文献1に開示された部品実装装置のロータリーヘッドは、前記シャフト駆動装置の一例である。前記ロータリーヘッドは、部品吸着ノズルが取り付けられた複数のシャフトを環状に配列した状態で昇降可能に保持する回転体と、シャフトを押し下げ可能なカムフォロア等の駆動部材と、この駆動部材を上下動させる昇降機構とを含む。前記駆動部材は、前記回転体の回転位相により選択される一つのシャフトの被押圧部と接触し、当該シャフトを押し下げる。前記複数のシャフトの各々には、当該シャフトを上方に付勢するリターンばねが付設されている。
【0003】
上記ロータリーヘッドでは、前記部品吸着ノズルが部品を保持した後のシャフト上昇時に、慣性力と前記回転体とシャフトとの間の摩擦力との和が、前記リターンばねの付勢力よりも優勢となる場合がある。この場合、前記駆動部材の上昇に前記シャフトが追従できず、前記駆動部材と前記被押圧部とが一時的に離間する。この離間後に前記被押圧部が前記駆動部材へ再接触する際、前記シャフトに衝撃が加わり、保持している部品を落としたり、部品の吸着姿勢にずれが生じたりする不具合が生じ得る。
【0004】
前記離間を抑止する一つの手段は、前記リターンばねの付勢力を大きくし、シャフトのリターン力を増強することである。しかし、前記リターン力の増強には、ばねの線径を大きくする、ばねのセット長を長くする等、寸法の増加を伴う設計変更が必要となる。従って、小型化が求められる分野の装置では、前記リターン力の増強には限界がある。
【0005】
また、リターン力が増強できない場合、種々の不具合が生じる。前記シャフトに働く慣性力は、当該シャフト自身の質量、前記部品吸着ノズルの質量及び吸着された部品の質量の合計に比例する。より大きな部品の実装を企図する場合、大型で重いシャフト及び部品吸着ノズルを要することから、前記リターン力が規制されていると対応できない。また、前記シャフトに働く慣性力は、当該シャフトの駆動加速度にも比例する。それゆえ、前記リターン力が小さいと前記駆動加速度を小さく設定せざるを得ず、装置の高速化を阻害する。さらに、前記回転体とシャフトとの間の摩擦力を、現実的なコストの範囲で低減するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、リターンばねの付勢力を大きくすることなく、シャフトの被押圧部と駆動部材との離間を抑止できるシャフト駆動装置、及び当該シャフト駆動装置が適用されたロータリーヘッドを有する部品実装装置を提供することにある。
【0008】
本発明の一局面に係るシャフト駆動装置は、被押圧部を有し、昇降可能に保持された複数のシャフトと、前記複数のシャフトの各々に付設され、各シャフトを上方に付勢するリターンばねと、前記複数のシャフトのいずれかの前記被押圧部と接触可能であり、一つのシャフトを選択的に昇降させる駆動部材と、前記駆動部材を、前記リターンばねの付勢力に抗して前記シャフトを下降させるように、前記シャフトの被押圧部と接触して押圧する第1姿勢と、前記押圧を解除する第2姿勢との間で姿勢変更させる昇降機構と、を備え、前記シャフトの前記被押圧部は、強磁性体によって構成され、前記駆動部材には磁力が付与されている。
【0009】
本発明の他の局面に係る部品実装装置は、ロータリーヘッドを備え、基板上に部品を実装する部品実装装置であって、前記ロータリーヘッドは、被押圧部を上端に、部品吸引ノズルを下端にそれぞれ有する複数のシャフトと、前記複数のシャフトを中心軸の周囲に環状に配列した状態で昇降可能に保持し、前記中心軸回りに回転する回転体と、前記複数のシャフトの各々に付設され、各シャフトを上方に付勢するリターンばねと、前記複数のシャフトのいずれかの前記被押圧部と接触可能であり、一つのシャフトを選択的に昇降させる駆動部材と、前記駆動部材を、前記リターンばねの付勢力に抗して前記シャフトを下降させるように、前記シャフトの被押圧部と接触して押圧する第1姿勢と、前記押圧を解除する第2姿勢との間で姿勢変更させる昇降機構と、前記駆動部材の配置位置の直下に選択された一つのシャフトの被押圧部が位置するよう、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構と、を備え、前記シャフトの前記被押圧部は、強磁性体によって構成され、前記駆動部材には磁力が付与されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明に係るシャフト駆動装置並びに部品実装装置が適用される表面実装機の上面図である。
【
図2】
図2は、前記部品実装装置が備えるロータリーヘッドの斜視図である。
【
図4】
図4は、ロータリーヘッドの要部断面図である。
【
図5】
図5は、表面実装機の電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、ロータリーヘッドのZ軸駆動装置の斜視図である。
【
図10】
図10(A)~(C)は、比較例におけるシャフトの昇降動作を説明するための模式図である。
【
図11】
図11(A)~(C)は、本実施形態におけるシャフトの昇降動作を説明するための模式図である。
【
図12】
図12(A)は、マグネット及びカムフォロアを保持するホルダの側断面図、
図12(B)は、前記ホルダの正面図である。
【
図13】
図13(A)及び(B)は、前記ホルダの第1、第2変形例を示す側断面図である。
【
図14】
図14(A)は、前記ホルダの第3変形例を示す側断面図、
図14(B)は、前記ホルダの第3変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態では、本発明に係るシャフト駆動装置が、プリント基板の上に電子部品を実装するロータリーヘッドを有する部品実装装置を含む表面実装機に適用される例を示す。もちろん本発明は、部品実装装置以外にも、複数の昇降可能なシャフトに対し、その昇降機構が1対1で配置されておらず、一つのシャフトを選択的に昇降させるように構成された各種のシャフト駆動装置に適用可能である。
【0012】
[表面実装機の全体構成]
図1は、本実施形態に係る表面実装機1の上面図である。表面実装機1は、基台10と、プリント基板B(基板)を搬送する搬送コンベア20と、プリント基板Bに電子部品E(部品)を実装する部品実装装置30と、部品実装装置30に電子部品Eを供給する部品供給装置40と、を備えている。
【0013】
基台10は、平面視で長方形状を有し、上面が平坦な基台である。基台10における搬送コンベア20の下方には、プリント基板Bに電子部品Eを実装する際にそのプリント基板Bをバックアップするためのバックアッププレート(図略)が設けられている。以下の説明では、基台10の長辺方向(
図1の左右方向)をX軸方向とし、基台10の短辺方向(
図1の前後方向)をY軸方向とし、基台10の上下方向(
図2の上下方向)をZ軸方向とする。
【0014】
搬送コンベア20は、Y軸方向における基台10の略中央位置に配置され、プリント基板BをX軸方向に沿った所定の搬送方向(例えば右側から左側)に沿って搬送する。搬送コンベア20は、搬送方向に循環駆動する一対のコンベアベルト22を備える。プリント基板Bは、両コンベアベルト22に架設される形で搬送される。プリント基板Bは、基台10の右側からコンベアベルト22に沿って表面実装機1内に受け入れられ、
図1の二点鎖線で囲まれる基台10上の作業位置まで搬入される。そして、プリント基板Bは、前記作業位置で停止され、電子部品Eの実装作業が行われた後、コンベアベルト22に沿って左側から表面実装機1の機外に搬出される。
【0015】
部品供給装置40は、搬送コンベア20の両側(
図1の前後両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。これらの部品供給装置40は、X軸方向に配列された複数のテープフィーダ42を備えている。テープフィーダ42は、複数の電子部品Eが収容された部品供給テープ(不図示)が巻回されたリール(不図示)、及び、リールから部品供給テープを引き出す電動式の送出装置(不図示)を含む。テープフィーダ42は、前記リールから前記部品供給テープを間欠的に繰り出し、所定の部品供給位置に電子部品Eを供給する。
【0016】
部品実装装置30は、基台10の上方に設けられる一対の支持フレーム32、ロータリーヘッド50、及び、ロータリーヘッド50をX軸方向及びY軸方向の任意の位置に移動させるロータリーヘッド移動機構を備えている。一対の支持フレーム32は、それぞれX軸方向における基台10の両側に位置において、Y軸方向に延びている。支持フレーム32には、前記ロータリーヘッド移動機構を構成するX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構が設けられている。ロータリーヘッド50はX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構によって一定の可動領域内でX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。
【0017】
Y軸サーボ機構は、左右一対で設けられ、Y軸ガイドレール33Yと、図示しないボールナットが螺合されたY軸ボールねじ34Yと、Y軸サーボモータ35Yとを有している。Y軸ガイドレール33Yには、前記ボールナットに固定されたヘッド支持体36が取り付けられている。Y軸サーボモータ35Yが通電制御されると、Y軸ボールねじ34Yに沿って前記ボールナットが進退する。その結果、前記ボールナットに固定されたヘッド支持体36及びロータリーヘッド50が、Y軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
【0018】
X軸サーボ機構は、X軸ガイドレール(不図示)と、図示しないボールナットが螺合されたX軸ボールねじ34Xと、X軸サーボモータ35Xとを有している。X軸ガイドレールには、その軸方向に沿ってロータリーヘッド50が移動自在に取り付けられている。X軸サーボモータ35Xが通電制御されると、X軸ボールねじ34Xに沿って前記ボールナットが進退する。その結果、前記ボールナットに固定されたロータリーヘッド50が、X軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
【0019】
[ロータリーヘッドの構成]
次に、ロータリーヘッド50の構成について説明する。
図2は、ロータリーヘッド50の斜視図である。ロータリーヘッド50は、アーム状をなしており、各種の機構が搭載されるヘッド本体部52と、このヘッド本体部52を覆うヘッドカバー53、54を含む。ロータリーヘッド50は、部品供給装置40によって供給される電子部品Eを吸着すると共に移送し、プリント基板B上の所定位置に搭載する。
【0020】
図3は、ロータリーヘッド50の要部斜視図、
図4は、ロータリーヘッド50の要部断面図である。ロータリーヘッド50は、回転軸62及びシャフト保持部64を含む回転体60、シャフト保持部64に保持される複数本のノズルシャフト55(シャフト)、N軸被駆動ギヤ62N、図示しないN軸駆動装置、R軸被駆動ギヤ62R、二つのZ軸駆動装置80(昇降機構)、各ノズルシャフト55に対応して設けられている複数の切替装置90、及び、二つのV軸駆動装置100を備えている。本実施形態では、計18本のノズルシャフト55が、回転軸62の回転軸線61(中心軸)の周囲に環状に配列された状態で、シャフト保持部64によってZ軸方向に昇降可能に保持されている例を示している。
【0021】
回転体60の回転軸62は、Z軸方向に沿って延びている。回転軸62は、ヘッド本体部52によって当該回転軸62の回転軸線61周りに回転可能に支持されている。シャフト保持部64は、ロータリーヘッド50の下端付近において回転軸62の周りに設けられ、回転軸62より大径な略円柱状を有している。
【0022】
N軸被駆動ギヤ62Nは、回転軸62に固定されており、回転軸62と一体に回転する。前記N軸駆動装置は、ヘッド本体部52に配置され、N軸サーボモータ35N(回転駆動機構;
図5参照)と、N軸サーボモータ35Nの出力軸周りに設けられたN軸駆動ギヤ(不図示)と、を有している。N軸駆動ギヤは、N軸被駆動ギヤ62Nと噛み合わされている。N軸サーボモータ35Nが通電制御されると、N軸駆動ギヤ及びN軸被駆動ギヤ62Nの回転駆動を介して、回転軸62が回転軸線61周りに任意の角度で回転駆動される。回転軸62の回転によって、シャフト保持部64も回転する。
【0023】
R軸被駆動ギヤ62Rは、N軸被駆動ギヤ62Nの下方に配置され、内側に回転軸62が挿通されている。回転軸62とR軸被駆動ギヤ62Rとの間には、ベアリング621(
図4)が配置されている。R軸被駆動ギヤ62Rは、ベアリング621によって回転軸62に対して回転軸線61周りに相対回転可能に、回転軸62に支持されている。
【0024】
図2に示すように、ロータリーヘッド50のZ軸方向における略中央部には、R軸被駆動ギヤ62Rを回転駆動するためのR軸駆動装置70が配置されている。R軸駆動装置70は、R軸サーボモータ35Rと、R軸サーボモータ35Rの出力軸周りに設けられたR軸駆動ギヤ(不図示)と、を有している。R軸駆動ギヤはR軸被駆動ギヤ62Rと噛み合わされている。R軸サーボモータ35Rが通電制御されると、R軸駆動ギヤ及びR軸被駆動ギヤ62Rの回転駆動を介してノズル自転用回転体622(
図4)がZ軸方向に沿った回転軸線61周りに任意の角度で回転される。
【0025】
回転体60のシャフト保持部64には、周方向に等間隔で、貫通孔64Aが18個形成されている。ノズルシャフト55は、貫通孔64Aを通してZ軸方向に沿って延在し、シャフト保持部64を貫通している。貫通孔64A内には、ノズルシャフト55の昇降をスムーズに行わせるためのボールベアリング64Bが内設されている。各ノズルシャフト55のうちシャフト保持部64から下方に突出する下端部には、ノズル保持部56Hが取り付けられている。ノズル保持部56Hは、電子部品Eを吸着する吸着ノズル56を保持している。
【0026】
各吸着ノズル56には、負圧又は正圧が供給可能とされている。各吸着ノズル56は、負圧によってその先端部に電子部品Eを吸着して保持するとともに、正圧によってその先端部に保持した電子部品Eを解放する。前記N軸駆動装置によって回転体60が回転されると、各ノズルシャフト55と共に各吸着ノズル56が回転体60の回転軸線61周りに旋回する。
【0027】
各ノズルシャフト55は、そのシャフト軸回りに自転が可能とされている。また、シャフト保持部64の上方において各ノズルシャフト55には、ノズルギヤ57Rを下端側に備えたシャフトホルダ57が挿通されている。ノズルギヤ57Rは、上述のR軸被駆動ギヤ62Rの回転に連動するノズル自転用回転体622が備えるギヤと噛み合わされている。R軸サーボモータ35Rの駆動によってノズル自転用回転体622が回転されると、各シャフトホルダ57がシャフト軸回りに回転する。
【0028】
各ノズルシャフト55の上端部55T(被押圧部)の近傍には、ばね止めボルト58が螺合されている。また、各ノズルシャフト55の上方部分には、リターンばね59が挿通される形で付設されている。リターンばね59は、ばね止めボルト58とシャフトホルダ57との間において圧縮された状態で配置されている。各ノズルシャフト55は、このリターンばね59の弾性力によって上方に付勢されている。
【0029】
二つのZ軸駆動装置80は、不動の装置であり、回転軸線61を挟んでロータリーヘッド50のX軸方向に対称配置されている。各Z軸駆動装置80は、環状に配置された18本のノズルシャフト55のうち、当該Z軸駆動装置80の配置位置に存在する一つのノズルシャフト55を選択的に昇降させる。すなわち、18本のノズルシャフト55の配列円の円周の特定位置に一つのZ軸駆動装置80が配置されており、回転体60の回転によって前記特定位置に停止された1本のノズルシャフト55を、Z軸方向に移動させる。
【0030】
Z軸駆動装置80は、箱状をなすZ軸駆動源81と、Z軸駆動源81から下方に伸びるZ軸可動部82と、カムフォロア83(駆動部材)と、を有している。Z軸駆動源81の内部には、Z軸可動部82をリニアモータ駆動によって駆動するためのZ軸リニアモータ35Z(
図5)が設けられている。Z軸可動部82は、Z軸駆動源81に対してZ軸方向に移動可能に支持されている。
【0031】
カムフォロア83は、上述の特定位置に停止された1本のノズルシャフト55の上端部55T(被押圧部)と接触可能な位置に配置されている。換言すると、カムフォロア83の配置位置の直下に、選択された1本のノズルシャフト55の上端部55Tが位置するように、上述のN軸駆動装置は回転体60を回転駆動する。カムフォロア83は、Z軸可動部82の下端部に、ホルダ84を介して取り付けられている。ホルダ84は、カムフォロア83をX軸方向に沿った軸周りに回転可能に保持している。
【0032】
Z軸駆動源81によってZ軸可動部82が下降されると、カムフォロア83が上記特定位置にあるノズルシャフト55の上端部55Tに当接して押圧し、当該ノズルシャフト55がリターンばね59の付勢力に抗して下降される(カムフォロア83の第1姿勢)。ノズルシャフト55が下降されると、そのノズルシャフト55の下端に取り付けられた吸着ノズル56が下降する。これにより、吸着ノズル56の先端部が、部品供給装置40の部品供給位置やプリント基板B上の所定位置に近接する。この状態からZ軸可動部82が上昇されると、上端部55Tを押下していたカムフォロア83も上昇する(カムフォロア83の第2姿勢)。これにより、上端部55Tの被押圧状態は解除され、リターンばね59の弾性復帰力によってノズルシャフト55及び吸着ノズル56が上昇する。
【0033】
本実施形態では、ノズルシャフト55の少なくとも上端部55T付近、並びに、カムフォロア83の少なくとも表層部分が強磁性体によって構成される。そして、ホルダ84内には、カムフォロア83に磁力を付与するためのマグネットが装備されている。これにより、カムフォロア83とノズルシャフト55の上端部55Tとが磁力によって吸着可能とされている。この点については、後記で詳述する。
【0034】
切替装置90は、各吸着ノズル56に供給される圧力を、負圧と正圧との間で切り替える装置である。切替装置90は、各吸着ノズル56(各ノズルシャフト55)に対応するよう、計18個設けられている。各切替装置90は、環状配列された各ノズルシャフト55の外側において、隣接する二つのノズルシャフト55の間に配置されている。各切替装置90は、
図3に示すように、軸状をなすバルブスプール92と、バルブスプール92の下側部分が収容される筒状のスリーブ94と、を有している。
【0035】
スリーブ94は、回転体60に設けられた各取り付け孔の内部に挿入するようにして取り付けられている。バルブスプール92は、その軸方向がZ軸方向に沿うように、スリーブ94の内部に収容されている。バルブスプール92は、スリーブ94内でZ軸方向に沿って移動することで、各吸着ノズル56に供給される空気の圧力を負圧と正圧との間で切り替える。なお、本実施形態では各スリーブ94に負圧及び正圧が供給される経路についての説明は省略する。
【0036】
各バルブスプール92は、その上側部分に当接部93を有している。当接部93は、横向きの略U字形状を有し、後述するV軸駆動装置100のV軸カムフォロア106が当接される。当接部93は、前記U字形状の開口側を外側(回転軸62側とは反対側)に向けた形で、それぞれ配置されている。
【0037】
二つのV軸駆動装置100は、回転体60の回転軸62を挟んでロータリーヘッド50の左右両側に対称配置されている。V軸駆動装置100は、各切替装置90のバルブスプール92をZ軸方向に移動させる装置である。V軸駆動装置100は、箱状をなすV軸駆動源102と、V軸駆動源102から上方に伸びるV軸可動部104と、を有している。V軸駆動源102の内部には、V軸可動部104をリニアモータ駆動によって駆動するためのV軸リニアモータ35V(
図5)が設けられている。V軸可動部104は、V軸駆動源102に対してZ軸方向に沿って移動可能に支持されている。
【0038】
V軸可動部104の上端部には、V軸カムフォロア106が、X軸方向に沿った軸周りに回転可能に取り付けられている。V軸可動部104は、選択的に昇降されるノズルシャフト55に対応するバルブスプール92に対して、略U字形状の当接部93の内側にV軸カムフォロア106が位置するような配置で、V軸駆動源102に支持されている。
【0039】
V軸駆動源102によってV軸可動部104が上方に移動されると、V軸カムフォロア106が当接部93に当接してバルブスプール92を押し上げ、吸着ノズル56に負圧が供給される。一方、V軸駆動源102によってV軸可動部104が下方に移動されると、V軸カムフォロア106がその両側に位置する当接部93に当接してバルブスプール92を押し下げ、吸着ノズル56に正圧が供給される。
【0040】
なお、ロータリーヘッド50には、基板認識カメラC1(
図5参照)が搭載されている。基板認識カメラC1は、ロータリーヘッド50とともに一体的に移動することで、作業位置に停止したプリント基板B上の任意の位置の画像を撮像する。また、基台10上における作業位置の近傍には、部品認識カメラC2(
図1参照)が固定的に配置されている。部品認識カメラC2は、吸着ノズル56によって部品供給装置40の部品供給位置から吸着された電子部品Eの画像を撮像する。
【0041】
[表面実装機の電気的構成]
続いて、
図5を参照して、表面実装機1の電気的構成について説明する。表面実装機1の本体は、制御部110によってその全体が制御統括されている。制御部110は、CPU等により構成される演算処理部111を備えている。演算処理部111には、モータ制御部112、記憶部113、画像処理部114、外部入出力部115、フィーダ通信部116、表示部117及び入力部118が、それぞれ接続されている。
【0042】
モータ制御部112は、記憶部113に記憶されている実装プログラム113Aに基づいて、部品実装装置30のX軸サーボモータ35X及びY軸サーボモータ35Yを駆動させる。また、モータ制御部112は、ロータリーヘッド50に搭載されているN軸サーボモータ35N、R軸サーボモータ35R、Z軸リニアモータ35Z、及びV軸リニアモータ35Vをそれぞれ駆動させる。さらにモータ制御部112は、実装プログラム113Aに従って搬送コンベア20を駆動させる。
【0043】
記憶部113は、CPUを制御するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)や、装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部113には実装プログラム113A、各種データ113Bなどが記憶されている。
【0044】
各種データ113Bには、実装対象となるプリント基板Bの生産枚数に関する基板情報、プリント基板Bに実装される電子部品Eの個数や種類等を含む部品情報、プリント基板B上の電子部品Eの搭載位置に関する搭載位置情報、部品供給装置40の各フィーダ42に保持された電子部品Eの数や種類に関するデータ等が含まれている。
【0045】
画像処理部114には、基板認識カメラC1及び部品認識カメラC2から出力される撮像信号がそれぞれ取り込まれる。画像処理部114は、取り込まれた基板認識カメラC1及び部品認識カメラC2からの撮像信号に基づいて、部品画像の解析並びに基板画像の解析のための画像処理を行う。
【0046】
外部入出力部115は、いわゆるインターフェースであって、表面実装機1の本体に設置される各種センサ類115Aから出力される検出信号を取り込む。外部入出力部115は、演算処理部111から出力される制御信号に基づいて、各種アクチュエータ類115Bに対する動作制御を行う。
【0047】
フィーダ通信部116は、部品供給装置40に取り付けられた各フィーダ42の制御部と接続されており、各フィーダ42を統括して制御する。各フィーダ42の制御部は、部品供給テープを送出するためのモータの駆動を制御する。
【0048】
表示部117は、表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、表面実装機1の状態等を表示画面上に表示する。入力部118は、キーボード等から構成され、手動による操作によって外部からの入力を受け付ける。
【0049】
以上のような構成とされた表面実装機1では、自動運転中において、搬送コンベア20によってプリント基板Bを基台10上の作業位置に搬送する搬送状態と、作業位置に搬入されたプリント基板B上に実装する実装状態とが交互に実行される。この実装状態では、部品供給装置40によって供給される電子部品Eを18個の吸着ノズル56にそれぞれ吸着させる吸着作業と、ロータリーヘッド50を移送してそれらの電子部品Eをプリント基板Bに搭載する搭載作業とが交互に繰り返される。
【0050】
[Z軸可動部の詳細]
次に、ロータリーヘッド50のZ軸駆動装置80(昇降機構)のZ軸可動部82の詳細構造について、
図6~
図9を参照して説明する。
図6、
図7、
図8は、それぞれZ軸可動部82の斜視図、側面図、正面図である。
図9は、
図8のIX-IX線断面図である。Z軸可動部82は、上述のカムフォロア83及びホルダ84に加えて、Z軸リニアモータ35Z(
図5)を含むリニアモータ機構の一部をなすレール820、上下一対のレールガイド821及び可動子822を備えている。
【0051】
レール820は、Z軸方向に直線状に延びる長尺体であり、そのY方向の側面は平坦面とされ、X軸方向の側面にはZ軸方向に延びるレール溝が設けられている。一対のレールガイド821は、Z軸駆動源81(
図2、
図4)の筐体に固定され、レール820の前記レール溝が嵌め込まれるガイド部を有している。レール820は、レールガイド821にガイドされつつ、Z方向へ摺動移動することができる。
【0052】
可動子822は、Z軸駆動源81内に配置されている図略の固定子と共に、リニアモータを構成する。可動子822は、ヨーク823及び複数の永久磁石824を含む。ヨーク823は、純鉄や低炭素鋼からなり、厚肉で長尺の矩形状の平板である。ヨーク823の裏面側が、レール820が有する前記平坦面に取り付けられている。複数の永久磁石824は、ヨーク823の表面側に、所定の均等なピッチでZ軸方向に配列されている。
【0053】
Z軸方向において、レール820は、ヨーク823よりも長い全長を有しており、ヨーク823はレール820に上詰めで取り付けされている。ホルダ84は、空きスペースとなるレール820の下方領域に、ネジ止め等の固定部840によって取り付けられている。つまり、レール820には、可動子822とホルダ84とが上下に並ぶように取り付けられている。従って、前記リニアモータが動作してレール820が昇降すると、ホルダ84及び当該ホルダ84に保持されているカムフォロア83も昇降する。
【0054】
ホルダ84は、アルミ合金等の非磁性体金属で形成され、側面視(
図7)でL型の形状を備えている。ホルダ84は、取り付け部84A、ホルダ本体部84B及び先端突出部84Cを有している。取り付け部84Aは、Z軸方向に延在する部分であり、レール820とX軸方向の幅が略同一である。取り付け部84Aは、レール820の前記平坦面に添設され、上記の固定部840によってレール820に固定されている。ホルダ本体部84Bは、取り付け部84Aの下端からX方向に延び出している。先端突出部84Cは、ホルダ本体部84Bの先端側の上方領域から、さらにX方向へ突出した部分である。カムフォロア83は、先端突出部84Cの直下に位置しており、ホルダ本体部84Bの先端側下方領域において回転自在に保持されている。
【0055】
図9を参照して、ホルダ84の内部構造を説明する。ホルダ84はカムフォロア83の他、その内部において第1マグネットM1及び第2マグネットM2を保持している。ホルダ84のホルダ本体部84B及び先端突出部84Cの内部には、カム保持部841、第1マグネット保持部842及び第2マグネット保持部843が備えられている。第1、第2マグネットM1、M2は、カムフォロア83に磁力を付与するために配置されたマグネットである。第1マグネットM1の上には、ホルダヨーク85が配置されている。
【0056】
カム保持部841は、ホルダ本体部84Bの先端且つ下方付近に設けられた、X軸方向に延びる筒状の空間である。カム保持部841は、ベアリングを備えたカムフォロア83の回転軸831を保持している。第1マグネット保持部842は、先端突出部84CをZ軸方向に貫通するように設けられた筒状の空間である。第1マグネット保持部842は、第1マグネットM1を保持している。先端突出部84Cとカムフォロア83とは、Z軸方向において至近距離で隣接している。このため、第1マグネットM1はカムフォロア83の近傍に配置されることになる。また、第1マグネットM1は、カムフォロア83の配置位置に磁力が向かう方向に磁化されている。
【0057】
第2マグネット保持部843は、カム保持部841に同軸で後方に連なるように設けられた、X軸方向に延びる筒状の空間である。第2マグネット保持部843は、第2マグネットM2を保持している。第2マグネット保持部843は、カムフォロア83を保持するカム保持部841と、X軸方向において隣接している。このため、第2マグネットM2もまた、カムフォロア83の近傍に配置されることになる。また、第2マグネットM2も、カムフォロア83の配置位置に磁力が向かう方向に磁化されている。
【0058】
カムフォロア83は、上記の通りホルダ84内に配置された第1、第2マグネットM1、M2から磁力を与えられるので、磁気的な吸着力を持つようになる。また、本実施形態のノズルシャフト55は、全体が鉄又は鉄合金等の強磁性体、若しくは、少なくとも上端部55T(被押圧部)付近が強磁性体で形成されたものが用いられる。このため、カムフォロア83とノズルシャフト55の上端部55Tとの間には磁力により密着しようとする力が作用する。従って、リターンばね59の付勢力に前記磁力が重畳された力が、ノズルシャフト55のリターン力となる。つまり、前記磁力の重畳により、前記リターン力を大きくすることができる。
【0059】
[カムフォロアに磁力を付与する意義]
続いて、
図10及び
図11を参照して、カムフォロア83に磁力を付与する意義について説明する。
図10(A)~(C)は、比較例におけるノズルシャフト55の昇降動作を説明するための模式図である。比較例では、カムフォロア83に磁力が付与されていないものとする。
【0060】
図10(A)は、ノズルシャフト55が下降すると共に、ノズルシャフト55の下端にノズル保持部56Hを介して取り付けられた吸着ノズル56が、電子部品Eを吸着して保持した後、ノズルシャフト55が上昇しようとする状態を示している。ノズルシャフト55の下降は、Z軸駆動装置80によってカムフォロア83が下方へ移動されることで実現される。前記下方への移動により、カムフォロア83が、ノズルシャフト55の上端部55Tと接触し、リターンばね59の付勢力に抗して上端部55Tを下方へ押圧する姿勢(第1姿勢)とされる。
【0061】
また、
図10(A)に示したノズルシャフト55の上昇は、Z軸駆動装置80によってカムフォロア83が上方へ移動されることで実現される。つまり、カムフォロア83による上端部55Tの前記押圧が解除されるよう、カムフォロア83が姿勢変更(第2姿勢)される。カムフォロア83の押圧が解除されると、リターンばね59の付勢力によって、ノズルシャフト55は上昇する。
図10(A)では、Z軸駆動装置80によって上昇されるカムフォロア83の上昇加速度を矢印A、リターンばね59の付勢力を矢印F1で示している。
【0062】
一方、吸着ノズル56が部品Eを保持した後のノズルシャフト55の上昇時には、リターンばね59の付勢力F1に反する二つの力が発生する。その一つが、ノズルシャフト55を保持する回転体60のシャフト保持部64の貫通孔64Aと、ノズルシャフト55の外周面との間の摩擦力F2である。貫通孔64A内にはボールベアリング64Bが配設されているが、どうしても一定の摩擦力F2が発生してしまう。
【0063】
もう一つは、ノズルシャフト55に働く慣性力F3である。慣性力F3の大きさは、ノズルシャフト55自身の質量、ノズル保持部56H及び吸着ノズル56の質量、及び、吸着ノズル56で吸着された電子部品Eの質量の合計に比例する。なお、大型の電子部品Eを実装対象とする場合、電子部品E自身の質量が増加すると共に、ノズル保持部56H及び吸着ノズル56も大型化を要することから質量が増加する。従って、大型の電子部品Eを取り扱い対象とするほど、慣性力F3も大きくなる傾向となる。
【0064】
これら摩擦力F2と慣性力F3との和が、リターンばね59の付勢力F1よりも優勢となる場合がある。この場合、
図10(B)に示すように、カムフォロア83の上昇にノズルシャフト55が追従できない場合が生じ得る。図中に矢印a1で示すように、カムフォロア83は、Z軸駆動装置80のリニアモータ機構によって所定の速度で上昇する。一方、ノズルシャフト55も、矢印a2で示すように、リターンばね59の付勢力F1によって上昇する。しかし、付勢力F1は上述の摩擦力F2及び慣性力F3で減殺されるので、ノズルシャフト55の上昇は、カムフォロア83の上昇に遅延する。このため、カムフォロア83の最下面とノズルシャフト55の上端部55Tとが一時的に離間し、隙間Gが生じる。
【0065】
その後、
図10(C)に示すように、上端部55Tはカムフォロア83へ再接触する。つまり、ノズルシャフト55は、矢印a3で示すように遅延分の上昇を行い、その上端部55Tがカムフォロア83に突き当たる。この再接触の際、ノズルシャフト55に衝撃が加わり、保持している電子部品Eを落としたり、ノズルシャフト55の吸着姿勢にずれが生じたりする不具合が生じ得る。とりわけ、部品認識カメラC2で吸着ノズル56による電子部品Eの吸着姿勢を「良」と判定した後に前記再接触の衝撃が加わり、電子部品Eの落下や姿勢ズレが生じた場合、電子部品Eの実装ミスが生じてしまう。
【0066】
上端部55Tとカムフォロアとの離間を抑止する一つの手段は、リターンばね59の付勢力F1を大きくし、ノズルシャフト55のリターン力を増強することである。しかし、前記リターン力の増強には、リターンばね59を形成しているばねの線径を大きくする、ばねのセット長を長くする等、リターンばね59の寸法の増加を伴う設計変更が必要となる。従って、小型化が求められるロータリーヘッド50並びに表面実装機1では、前記リターン力の増強には限界がある。
【0067】
また、ノズルシャフト55のリターン力が増強できない場合、種々の不具合が生じる。既述の通り、大型の電子部品Eを実装対象とするほど、慣性力F3が大きくなる。従って、前記リターン力が増強できないと、取り扱い対象の電子部品Eの種類に制限を掛けざるを得なくなり、表面実装機1の能力範囲が低下する。また、ノズルシャフト55に働く慣性力F3は、当該ノズルシャフト55の駆動加速度にも比例する。それゆえ、前記リターン力が小さいと前記駆動加速度を小さく設定せざるを得ず、ロータリーヘッド50の高速化を阻害する。
【0068】
摩擦力F2については、ノズルシャフト55や回転体60の材質選択や表面コーティング等、又はボールベアリング64Bの高性能化などの対策によって低減することは可能である。しかし、これらの対策には大幅なコストアップが必定となる。従って、摩擦力F2を、現実的なコストの範囲で低減するには限界がある。
【0069】
これらの問題を、本実施形態のロータリーヘッド50では解消することができる。
図11(A)~(C)は、本実施形態におけるノズルシャフト55の昇降動作を説明するための模式図である。
図11(A)は、比較例の
図10(A)に対応する図であり、ノズルシャフト55に取り付けられた吸着ノズル56が、電子部品Eを吸着して保持した後、当該ノズルシャフト55が上昇しようとする状態を示している。比較例と相違する点は、カムフォロア83に対してマグネットMから磁力φが付与されている点である。
【0070】
磁力φによって、カムフォロア83とノズルシャフト55の上端部55Tとの間には密着しようとする力が作用する。換言すると、カムフォロア83がノズルシャフト55を引き上げる力を具備するようになる。つまり、リターンばね59の付勢力F1に磁力φが重畳された力が、ノズルシャフト55のリターン力となる。このため、摩擦力F2と慣性力F3との和が、リターンばね59の付勢力F1よりも優勢であるとしても、磁力φの重畳によって優勢状態を解消することができる。従って、
図11(B)に示すように、カムフォロア83と上端部55Tとの密着性を確保でき、
図10(B)に示す比較例のような隙間Gの発生を防止することができる。
【0071】
図11(C)に示すように、ノズルシャフト55の上昇時にカムフォロア83と上端部55Tとの密着性を確保されているので、
図10(C)に示す比較例のような再接触に伴う衝撃もノズルシャフト55に加わることはない。すなわち、本実施形態によれば、リターンばね59の付勢力F1を大きくすることなく、マグネットMから磁力φのアシストによって、ノズルシャフト55の上昇時におけるカムフォロア83と上端部55Tとの離間を抑止できる。従って、吸着ノズル56に吸着された電子部品Eの落下や吸着姿勢ズレの発生を防止することができる。
【0072】
また、磁力φのアシストによって、より大きな加速度でノズルシャフト55を昇降駆動させることが可能となる。つまり、ロータリーヘッド50の高速化を図ることができる。加えて、より質量の大きい電子部品Eを実装対象として考慮できるようになるので、表面実装機1の能力範囲を拡大することができる。
【0073】
さらに、磁力φのアシスト分を考慮できるので、リターンばね59として比較的付勢力F1が小さいばねを採用することが可能となる。例えば、摩擦力F2及び慣性力F3を考慮した場合、ノズルシャフト55のリターン力として2[N](ニュートン)が必要であるとする。この2[N]の全てをリターンばね59の付勢力F1で担わせる場合、相当の大サイズのリターンばね59が必要となる。しかし、マグネットMの磁力φにより、0.5~1.0[N]程度担わせることができれば、リターンばね59として小サイズのものを使用することが可能となる。例えば、リターンばね59を短く設計でき、ノズルシャフト55も短いものを用いることができる。つまり、ロータリーヘッド50を小型化でき、高速化にも対応し易くなる。
【0074】
リターンばね59の付勢力F1を小さくできることによる副次的効果もある。付勢力F1が小さい分、リターンばね59付のノズルシャフト55を押下するカムフォロア83を駆動するZ軸駆動装置80の出力を小さくすることができる。つまり、Z軸リニアモータ35Zの発生トルクを小さくできる。これに伴い、通電に伴う発熱の低減、温度変化の抑制による精度の向上も期待できる。さらに、付勢力F1が弱いことから、リターンばね59が関わる周辺部材に加わるばね力が小さくなる。このため、各所の摩耗を低減し、製品寿命を延ばすことができる。
【0075】
[マグネットの各種配置態様]
続いて、ホルダ84へのマグネットMの各種配置態様について説明する。
図12(A)は、ホルダ84の側断面図、
図12(B)は、ホルダ84の正面図である。ここに示すホルダ84は、先に
図9に示したホルダ84を模式的に示した図でもある。
【0076】
ホルダ84は、カムフォロア83に磁力を付与するために、互いに異なる位置に配置された第1マグネットM1及び第2マグネットM2を保持している。第1マグネットM1は、カムフォロア83にZ軸方向において対向する平坦な第1対向面M1Aを備える。第2マグネットM2は、カムフォロア83にX軸方向に対向する平坦な第2対向面M2Aを備えている。ホルダ84は、第1対向面M1Aの面方向と第2対向面M2Aの面方向とが互いに交差する方向となるように、第1、第2マグネットM1、M2を保持している。
図12(A)では、第1対向面M1Aの面方向と第2対向面M2Aの面方向とが直交する例を示している。すなわち、第1対向面M1Aの法線n1と第2対向面M2Aの法線n2とが直交(交差)している。
【0077】
第1マグネットM1の第1対向面M1Aと第2マグネットM2の第2対向面M2Aとは、同極に着磁されている。具体的には、第1マグネットM1のS極が第1対向面M1Aとされ、第2マグネットM2のS極が第2対向面M2Aとされている。このように、カムフォロア83と対向する第1、第2対向面M1A、M2Aを同極とすることで、第1、第2マグネットM1、M2の磁力を効率的にカムフォロア83へ作用させることができる。
【0078】
カムフォロア83は、第1対向面M1Aの法線n1と第2対向面M2Aの法線n2とが直交する位置に配置されている。このことは、第1、第2マグネットM1、M2が発生する磁力が最も集中する位置に、カムフォロア83が配置されていることを意味する。つまり、互いに直交する方向に配置された2つのマグネットM1、M2で多面的にカムフォロア83へ磁力を付与し、カムフォロア83を強く磁化することができる。
【0079】
また、第1マグネットM1のN極側には第1ホルダヨーク851が、第2マグネットM2のN極側には第2ホルダヨーク852が、各々配置されている。第1、第2ホルダヨーク851は、マグネットが発生する磁力をカムフォロア83に集中させる機能を果たす。第1、第2ホルダヨーク851、852の配置によって、第1、第2マグネットM1、M2が発生する磁力に指向性を持たせることができる。従って、一層効率良く第1、第2マグネットM1、M2の磁力をカムフォロア83に作用させることができる。
【0080】
カムフォロア83は、第1、第2マグネットM1、M2の磁力によって磁化され易いよう、強磁性体で構成されていることが望ましい。或いは、少なくともカムフォロア83の表層部分83Aが強磁性体で構成されていることが望ましい。これにより、大きな磁力が付与され易いカムフォロア83とし、ノズルシャフト55の上端部55Tとカムフォロア83との間の密着性を一層高めることができる。
【0081】
また、カムフォロア83に磁力を付与する他の態様として、カムフォロア83自体をマグネットによって構成することもできる。この場合、磁力がノズルシャフト55の上端部55Tへ集中するように、ヨークをカムフォロア83の背面側に付設することが望ましい。但し、カムフォロア83はノズルシャフト55を押圧する役目を担うことから、相応の機械的強度が必要となる。マグネットからなるカムフォロア83では、そのような機械的強度を確保するのは難しい。従って、鉄又は鉄合金のような、機械的強度に優れた強磁性体からなるカムフォロア83を用いることが望ましい。
【0082】
図12では、ホルダ84内に2つのマグネットM1、M2を配置する例を示したが、ホルダ84内に1個又は3個以上のマグネットを配置するようにしても良い。
図13(A)は、第1変形例に係るホルダ86を示す側断面図である。第1変形例は、一つのマグネットM11だけをホルダ86内に配置する例である。マグネットM11の配置位置は、先の
図12における第2マグネットM2と同様である。すなわち、マグネットM11は、そのS極がカムフォロア83とX軸方向において対向するように、ホルダ86内に組み付けられている。カムフォロア83は、マグネットM11から磁力を付与される。
【0083】
図13(B)は、第2変形例に係るホルダ87を示す側断面図である。第2変形例も、一つのマグネットM12だけをホルダ87内に配置する例である。マグネットM12の配置位置は、先の
図12における第1マグネットM1と同様である。ホルダ87は、カムフォロア83に対してX軸方向(右側)に隣接する第1片871と、Z軸方向(上側)に隣接する第2片872とが、固定ネジ873で結合されてなる。マグネットM12は、S極がカムフォロア83とZ軸方向において対向するように、第2片872内に組み付けられている。第2変形例によれば、既存のホルダ84に、マグネットM12を後付けで取り付けることが可能という利点がある。
【0084】
図14(A)は、第3変形例に係るホルダ88を示すXZ面の断面図である。第3変形例は、三つのマグネット;第1、第2、第3マグネットM21、M22、M23をホルダ88内に配置する例である。第1マグネットM21は、カムフォロア83とZ軸方向において対向し、第2マグネットM22は、カムフォロア83とX軸方向において対向している。第3マグネットM23は、XZ軸の中間の斜めの方位において、カムフォロア83と対向している。第1、第2、第3マグネットM21、M22、M23は、いずれもS極がカムフォロア83と対向するように、ホルダ88に組み付けられている。
【0085】
図14(B)は、第4変形例に係るホルダ89を示すYZ面の断面図である。第4変形例も、三つのマグネット;第1、第2、第3マグネットM31、M32、M33をホルダ89内に配置する例である。第4変形例では、カムフォロア83の周方向に三つのマグネットを配置する例を示している。すなわち、第1マグネットM31は、カムフォロア83とZ軸方向において対向している。一方、第2マグネットM32及び第3マグネットM33は、第1マグネットM31に対して周方向にシフトした斜めの方向から、カムフォロア83と対向している。第1、第2、第3マグネットM31、M32、M33は、いずれもS極がカムフォロア83と対向するように、ホルダ89に組み付けられている。第3、第4変形例によれば、カムフォロア83は、三つのマグネットから磁力を付与されるので、より強力に磁化される。
【0086】
以上説明した本発明によれば、ノズルシャフト55の少なくとも上端部55T(被押圧部)は強磁性体によって構成され、カムフォロア83(駆動部材)にはマグネットMから磁力φが付与されているので、両者間には磁力φにより密着しようとする力が作用する。つまり、リターンばね59の付勢力F1に磁力φが重畳された力が、ノズルシャフト55のリターン力となる。このため、リターンばね59の付勢力F1を大きくすることなく、ノズルシャフト55の上昇時における上端部55Tとカムフォロア83との離間を抑止できる。従って、上端部55Tとカムフォロア83との離間の後の再接触という現象自体が生じず、前記再接触に伴う衝撃がノズルシャフト55に加わることを未然に防止できる。従って、吸着ノズル56が保持している電子部品Eを落としたり、電子部品Eの吸着姿勢にずれが生じたりする不具合を防止することができる。
【0087】
[上記実施形態に包含される発明]
なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0088】
本発明の一局面に係るシャフト駆動装置は、被押圧部を有し、昇降可能に保持された複数のシャフトと、前記複数のシャフトの各々に付設され、各シャフトを上方に付勢するリターンばねと、前記複数のシャフトのいずれかの前記被押圧部と接触可能であり、一つのシャフトを選択的に昇降させる駆動部材と、前記駆動部材を、前記リターンばねの付勢力に抗して前記シャフトを下降させるように、前記シャフトの被押圧部と接触して押圧する第1姿勢と、前記押圧を解除する第2姿勢との間で姿勢変更させる昇降機構と、を備え、前記シャフトの前記被押圧部は強磁性体によって構成され、前記駆動部材には磁力が付与されている。
【0089】
このシャフト駆動装置によれば、シャフトの被押圧部は強磁性体によって構成され、駆動部材には磁力が付与されているので、両者間には磁力により密着しようとする力が作用する。つまり、リターンばねの付勢力に前記磁力が重畳された力が、シャフトのリターン力となる。このため、前記リターンばねの付勢力を大きくすることなく、前記シャフトの上昇時における前記被押圧部と前記駆動部材との離間を抑止できる。従って、前記離間の後の再接触に伴う衝撃が前記シャフトに加わることを防止できる。
【0090】
上記のシャフト駆動装置において、前記駆動部材の近傍に配置されるマグネットをさらに備え、前記マグネットは、前記駆動部材の配置位置に磁力が向かう方向に磁化されていることが望ましい。
【0091】
このシャフト駆動装置によれば、駆動部材に磁力を簡易に付与することができる。また、前記駆動部材自体をマグネットとせず、強度に優れた材料で前記駆動部材を構成することができる。従って、前記駆動部材の耐久性を高めることができる。
【0092】
上記のシャフト駆動装置において、前記マグネットは、互いに異なる位置に配置された第1マグネット及び第2マグネットを含み、前記第1マグネットは、前記駆動部材に対向する第1対向面を備え、前記第2マグネットは、前記駆動部材に対向する第2対向面を備え、前記第1対向面と前記第2対向面とは、同極に着磁されていることが望ましい。
【0093】
このシャフト駆動装置によれば、多面的に配置される第1及び第2マグネットにより、効率的に駆動部材に磁力を付与することができる。
【0094】
上記のシャフト駆動装置において、前記第1対向面の面方向と前記第2対向面の面方向とが互いに交差する方向となるように、前記第1マグネット及び前記第2マグネットを保持するホルダをさらに備え、前記駆動部材は、前記第1対向面の法線と前記第2対向面の法線とが交差する位置に配置されていることが望ましい。
【0095】
このシャフト駆動装置によれば、第1及び第2マグネットの磁力が最も集中する位置に駆動部材が配置される。このため、前記被押圧部と前記駆動部材との間の密着性を一層高めることができる。
【0096】
上記のシャフト駆動装置において、前記マグネットが発生する磁力を前記駆動部材に集中させるヨークをさらに備えることが望ましい。
【0097】
このシャフト駆動装置によれば、ヨークによって磁力に指向性を持たせることができるので、マグネットの磁力を効率良く駆動部材に作用させることができる。
【0098】
上記のシャフト駆動装置において、前記駆動部材の少なくとも表層部分が強磁性体で構成されていることが望ましい。
【0099】
このシャフト駆動装置によれば、大きな磁力が付与され易い駆動部材とし、前記被押圧部と前記駆動部材との間の密着性を一層高めることができる。
【0100】
上記のシャフト駆動装置において、前記複数のシャフトを中心軸の周囲に環状に配列した状態で保持し、前記中心軸回りに回転する回転体と、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構と、をさらに備え、前記回転駆動機構は、前記駆動部材の配置位置の直下に選択された一つのシャフトの被押圧部が位置するよう、前記回転体を回転させる構成とすることができる。
【0101】
このシャフト駆動装置よれば、回転体を回転させて複数のシャフトの中から一つのシャフトを選択し、選択されたシャフトを駆動部材で昇降させることができる。この昇降の際、磁力のアシストによって、前記駆動部材と前記シャフトの被押圧部との密着性を確保することができる。
【0102】
本発明の他の局面に係る部品実装装置は、ロータリーヘッドを備え、基板上に部品を実装する部品実装装置であって、前記ロータリーヘッドは、被押圧部を上端に、部品吸着ノズルを下端にそれぞれ有する複数のシャフトと、前記複数のシャフトを中心軸の周囲に環状に配列した状態で昇降可能に保持し、前記中心軸回りに回転する回転体と、前記複数のシャフトの各々に付設され、各シャフトを上方に付勢するリターンばねと、前記複数のシャフトのいずれかの前記被押圧部と接触可能であり、一つのシャフトを選択的に昇降させる駆動部材と、前記駆動部材を、前記リターンばねの付勢力に抗して前記シャフトを下降させるように、前記シャフトの被押圧部と接触して押圧する第1姿勢と、前記押圧を解除する第2姿勢との間で姿勢変更させる昇降機構と、前記駆動部材の配置位置の直下に選択された一つのシャフトの被押圧部が位置するよう、前記回転体を回転駆動する回転駆動機構と、を備え、前記シャフトの前記被押圧部は、強磁性体によって構成され、前記駆動部材には磁力が付与されている。
【0103】
この部品実装装置によれば、ロータリーヘッドのシャフトの被押圧部が強磁性体によって構成され、駆動部材には磁力が付与されているので、両者間には磁力により密着しようとする力が作用する。つまり、リターンばねの付勢力に前記磁力が重畳された力が、シャフトのリターン力となる。このため、ロータリーヘッドにおいて前記リターンばねの付勢力を大きくすることなく、前記シャフトの上昇時における前記被押圧部と前記駆動部材との離間を抑止できる。従って、前記離間の後の再接触に伴う衝撃が前記シャフトに加わることを防止でき、部品吸引ノズルに保持された部品の落下や吸着姿勢のずれの発生を防止することができる。
【0104】
以上説明した本発明によれば、リターンばねの付勢力を大きくすることなく、シャフトの被押圧部と駆動部材との離間を抑止できるシャフト駆動装置、及び当該シャフト駆動装置が適用されたロータリーヘッドを有する部品実装装置を提供することができる。