IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アドヴィックスの特許一覧

<>
  • 特許-制御装置 図1
  • 特許-制御装置 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 15/78 20060101AFI20230502BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G06F15/78 517
B60R16/02 660L
B60R16/02 660G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019015443
(22)【出願日】2019-01-31
(65)【公開番号】P2020123207
(43)【公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100174713
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧川 彰人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 圭
(72)【発明者】
【氏名】河合 太宮人
【審査官】三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-511199(JP,A)
【文献】特開2015-093498(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125690(WO,A1)
【文献】特開2015-020619(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/78
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の安全性を向上させるための車両安全プログラムである第1プログラムを実行する第1コアと、
前記第1プログラムとは異なる車両走行時のドライバの利便性又は快適性を向上させるための走行支援プログラムである第2プログラムを実行する第2コアと、
前記第1コア及び前記第2コアに電力を供給する第1電力供給部及び第2電力供給部と、
前記第1電力供給部の出力電圧が第1所定範囲内であるか否かを検出する第1電圧検出部と、
前記第2電力供給部の出力電圧が第2所定範囲内であるか否かを検出する第2電圧検出部と、
前記第1電圧検出部により前記第1電力供給部の出力電圧が前記第1所定範囲外であることが検出された場合、前記第1電力供給部から前記第1コア及び前記第2コアに対する電力供給を遮断する第1遮断部と、
前記第2電圧検出部により前記第2電力供給部の出力電圧が前記第2所定範囲外であることが検出された場合、前記第2電力供給部から前記第1コア及び前記第2コアに対する電力供給を遮断する第2遮断部と、
を備え、
前記第2コアの動作は、前記第1電圧検出部により前記第1電力供給部の出力電圧が前記第1所定範囲外であることが検出された場合、又は前記第2電圧検出部により前記第2電力供給部の出力電圧が前記第2所定範囲外であることが検出された場合、停止する制御装置。
【請求項2】
前記第1コアは、車両の車輪速度を検出する車輪速度検出部から受信した検出結果に基づいて、車輪速度に関する速度情報を演算し、前記第2コアに前記速度情報を送信する請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2コアは、車両の加速度及び回転の少なくとも一方に関する情報である車両挙動を検出する車両挙動検出部から受信した検出結果に基づいて、車両挙動に関する挙動情報を演算し、前記第1コアに前記挙動情報を送信する請求項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
制御装置は、一般に、コア(プロセッサコア)及びメモリ等を備えるマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と称する)と、電力供給回路と、を備えている。例えば、国際公開第2016/125690号に記載の車両制御装置は、2つの定電圧生成回路を備えている。この車両制御装置は、当該2つの定電圧生成回路のうちの一方が基準電圧を超える電圧を出力した場合、当該定電圧生成回路のマイコンへの出力を遮断するように構成されている。そして、この車両制御装置のマイコンは、一方の定電圧生成回路の出力が遮断された場合、消費電力がより小さい処理を実行するように、処理の内容又は方法を異常時用のものに変更する。これにより、定格電圧が相対的に小さい定電圧生成回路のみが正常である場合も、代替処理により車両制御装置の動作を継続させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2016/125690号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車両制御装置では、代替処理により処理負荷が小さくなったとしても、マイコンのコア自体は動作している。マイコンの中で、最も消費電力が大きい装置はコアであり、例えばマイコンへの供給電力の約9割以上がコアの動作で消費される。つまり、コアが動作している限り、代替処理による消費電力の低減効果は限定的となり、所定の機能を維持するためには、例えばさらなる定電圧生成回路の追加等が必要となってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、2つの電力供給部のうちの一方が失陥した場合に、必要な機能を維持しつつ、確実に消費電力を低減させることができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制御装置は、車両の安全性を向上させるための車両安全プログラムである第1プログラムを実行する第1コアと、前記第1プログラムとは異なる車両走行時のドライバの利便性又は快適性を向上させるための走行支援プログラムである第2プログラムを実行する第2コアと、前記第1コア及び前記第2コアに電力を供給する第1電力供給部及び第2電力供給部と、前記第1電力供給部の出力電圧が第1所定範囲内であるか否かを検出する第1電圧検出部と、前記第2電力供給部の出力電圧が第2所定範囲内であるか否かを検出する第2電圧検出部と、前記第1電圧検出部により前記第1電力供給部の出力電圧が前記第1所定範囲外であることが検出された場合、前記第1電力供給部から前記第1コア及び前記第2コアに対する電力供給を遮断する第1遮断部と、前記第2電圧検出部により前記第2電力供給部の出力電圧が前記第2所定範囲外であることが検出された場合、前記第2電力供給部から前記第1コア及び前記第2コアに対する電力供給を遮断する第2遮断部と、を備え、前記第2コアの動作は、前記第1電圧検出部により前記第1電力供給部の出力電圧が前記第1所定範囲外であることが検出された場合、又は前記第2電圧検出部により前記第2電力供給部の出力電圧が前記第2所定範囲外であることが検出された場合、停止する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、2つの電力供給部のうちの一方に出力電圧の異常が発生した場合でも、第2コアの動作(機能)が停止するため、コア1つの動作分の消費電力を低減させることができる。そして、この場合、他方の電力供給部のみの電力供給で第1コアが動作し、機能を低下させる代替処理なく、第1プログラムの実行を継続させることができる。このように、本発明によれば、2つの電力供給部のうちの一方が失陥した場合に、必要な機能を維持しつつ、確実に消費電力を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の制御装置の構成図である。
図2】本実施形態の第1コア及び第2コアを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。説明に用いる各図は概念図である。本実施形態の制御装置1は、車両に搭載される車両用制御装置であって、主にブレーキ制御を実行するブレーキECU(電子制御ユニット)である。具体的に、制御装置1は、図1に示すように、マイコン2と、第1電力供給部31と、第2電力供給部32と、第1電圧検出部41と、第2電圧検出部42と、第1スイッチ(「第1遮断部」に相当する)51と、第2スイッチ(「第2遮断部」に相当する)52と、を備えている。なお、本実施形態の制御装置1には、マイコン2と並列にIC94が搭載されている。
【0010】
マイコン2は、第1プログラムを実行する第1コア21と、第1プログラムとは異なる第2プログラムを実行する第2コア22と、を備えている。第1コア21及び第2コア22は、プロセッサコアであって、演算処理を実行するプロセッサの中核部分である。また、マイコン2は、第1プログラム及び第2プログラムを記憶するメモリ23を備えている。このように、マイコン2は、2つのコア及び各種メモリ等を備えている。
【0011】
第1プログラムは、車両の安全性を向上させるための車両安全プログラムである。車両安全プログラムは、例えば、アンチスキッド制御、横滑り防止制御(ESC)、及び衝突被害軽減ブレーキ(AEB)などを実行するためのプログラムである。車両安全プログラムは、少なくともアンチスキッド制御の実行処理を含むプログラムともいえる。なお、アンチスキッド制御は、ABS制御ともいえる。
【0012】
第2プログラムは、車両走行時のドライバの利便性又は快適性を向上させるための走行支援プログラムである。走行支援プログラムは、サービス関連のプログラムといえ、例えばアクティブクルーズコントロール(以下「ACC」という)及びレーンキープアシスト等を実行するためのプログラムである。走行支援プログラムは、少なくともACCの実行処理を含むプログラムといえる。車両の安全走行の観点で、走行支援プログラムの実行の優先度は、車両安全プログラムの実行の優先度よりも低い。本実施形態の各プログラムは、ブレーキ性能向上や自動ブレーキのためのプログラムともいえる。
【0013】
第1コア21は、車両の車輪速度を検出する車輪速度検出部91から受信した検出結果に基づいて、車輪速度に関する情報(以下「速度情報」ともいう)を演算する。本実施形態の車輪速度検出部91は、各車輪に対して設けられた車輪速度センサである。第1コア21は、速度情報、例えば各車輪の車輪速度及びそれらに基づいて演算された車速(車体速度)などに基づいて、車両安全プログラムを実行する。また、図2に示すように、第1コア21は、第2コア22に速度情報を送信する。つまり、第2コア22は、第1コア21から速度情報を取得する。
【0014】
第2コア22は、車両の加速度及び回転の少なくとも一方に関する情報である車両挙動を検出する車両挙動検出部92から受信した検出結果に基づいて、車両挙動に関する情報(以下「挙動情報」ともいう)を演算する。車両挙動検出部92は、車両に設けられた各種センサであって、例えば、加速度センサ、ヨーレートセンサ、ロールセンサ、及び/又はピッチセンサで構成されている。第2コア22は、挙動情報に基づいて、走行支援プログラムを実行する。また、第2コア22は、第1コア21に挙動情報を送信する。つまり、第1コア21は、第2コア22から挙動情報を取得する。
【0015】
第1コア21及び第2コア22は、CANを介して上記の他の情報も取得可能である。また、コア21、22間の通信は、各種メモリを介して行われてもよい。このように、第1コア21及び第2コア22は、互いに独立して異なるプログラムを実行し、車両制動装置に異なる機能を発揮させる。
【0016】
第1電力供給部31及び第2電力供給部32は、それぞれ、第1コア21及び第2コア22に電力を供給する電源回路である。より具体的に、第1電力供給部31及び第2電力供給部32は、第1コア21及び第2コア22に対して一定の電圧(所定電圧)を出力するための定電圧回路である。第1電力供給部31及び第2電力供給部32は、レギュレータともいえる。本実施形態において、第1電力供給部31及び第2電力供給部32の出力電圧は、同じ値に設定されている。第1電力供給部31及び第2電力供給部32は、バッテリ93から電力供給される。
【0017】
第1電力供給部31は、バッテリ93とマイコン2とを接続する第1電源ライン61上に配置されている。第2電力供給部32は、バッテリ93とマイコン2とを接続する第2電源ライン62上に配置されている。第1電源ライン61及び第2電源ライン62は、バッテリ93の出力端子付近及びマイコン2の入力端子付近において、1つの共通ラインで構成されている。つまり、第1電力供給部31及び第2電力供給部32は、バッテリ93とマイコン2との間で並列接続されている。マイコン2には、第1電力供給部31の出力電圧及び第2電力供給部32の出力電圧のうち、高い方の出力電圧が印加される。
【0018】
第1電圧検出部41は、第1電力供給部31の出力電圧が第1所定範囲内であるか否かを検出する検出回路である。第1所定範囲は、例えばマイコン2が正常に動作する電圧値の下限値から上限値の間の範囲に設定されている。第1電圧検出部41は、第1電源ライン61における第1電力供給部31と第1スイッチ51との間の部分から分岐した第1検出ライン63上に配置されている。
【0019】
第1電圧検出部41は、周知の構成、例えばコンパレータ及び基準電圧源等により構成されている。第1電圧検出部41は、第1電力供給部31の出力電圧が第1所定範囲外である場合、すなわち当該出力電圧が第1所定範囲の上限値を超えているか又はその下限値未満である場合、第1スイッチ51をオフするように構成されている。また、第1電圧検出部41は、出力電圧が第1所定範囲内か否かに関する情報(すなわち検出結果)をマイコン2に送信する。第1電圧検出部41は、第1スイッチの形態に応じて、第1スイッチ51をオン(接続状態)からオフ(遮断状態)に切り替える。第1電圧検出部41は、例えば、第1スイッチ51が電気リレー式である場合、リレーコイルに電流を供給し、あるいは第1スイッチ51が半導体素子(スイッチング素子)である場合、制御端子に供給する電流を変化させる。
【0020】
第2電圧検出部42は、第2電力供給部32の出力電圧が第2所定範囲内であるか否かを検出する検出回路である。本実施形態の第2所定範囲は、第1所定範囲と同じ範囲に設定されている。第2電圧検出部42は、第2電源ライン62における第2電力供給部32と第2スイッチ52との間の部分から分岐した第2検出ライン64上に配置されている。第2電圧検出部42は、第2電力供給部32の出力電圧が第2所定範囲外である場合、第2スイッチ52をオフするように構成されている。また、第2電圧検出部42は、検出結果をマイコン2に送信する。第2電圧検出部42は、第1電圧検出部41と同様の構成であるので、その他の説明は省略する。
【0021】
第1スイッチ51は、第1電圧検出部41により第1電力供給部31の出力電圧が第1所定範囲外であることが検出された場合、第1電力供給部31から第1コア21及び第2コア22に対する電力供給を遮断する装置である。第1スイッチ51は、第1電源ライン61における第1電力供給部31とマイコン2との間の部分に配置されている。第1スイッチ51は、通常はオン状態で維持され、第1電力供給部31とマイコン2とを接続している。そして、第1スイッチ51は、第1電力供給部31の出力電圧が異常値になった場合、オフになる。
【0022】
第2スイッチ52は、第2電圧検出部42により第2電力供給部32の出力電圧が第2所定範囲外であることが検出された場合、第2電力供給部32から第1コア21及び第2コア22に対する電力供給を遮断する装置である。第2スイッチ52は、第2電源ライン62における第2電力供給部32とマイコン2との間の部分に配置されている。第2スイッチ52は、通常はオン状態で維持され、第2電力供給部32とマイコン2とを接続している。そして、第2スイッチ52は、第2電力供給部32の出力電圧が異常値になった場合、オフになる。第1スイッチ51及び第2スイッチ52は、例えばリレースイッチ又はスイッチング素子で構成されている。
【0023】
ここで、第2コア22の動作は、第1電圧検出部41により第1電力供給部31の出力電圧が第1所定範囲外であることが検出された場合、又は第2電圧検出部42により第2電力供給部32の出力電圧が第2所定範囲外であることが検出された場合、停止する。つまり、第2コア22は、第1電力供給部31及び第2電力供給部32のうちの一方が失陥した場合、自身の動作(機能)を停止させ、作動状態から非作動状態に移行する。これに伴い、走行支援プログラムの実行も停止される。
【0024】
第2コア22は、第1電圧検出部41及び第2電圧検出部42から送信される検出結果に基づいて、又は第1スイッチ51及び第2スイッチ52の状態(オンオフ)を監視することで、第1電力供給部31の出力電圧及び第2電力供給部32の出力電圧が正常値であるか否かを判定(認識)することができる。
【0025】
このように、本実施形態の制動装置1は、車両安全プログラムを実行する第1コア21と、車両安全プログラムとは異なる走行支援プログラムを実行する第2コア22と、第1コア21及び第2コア22に電力を供給する第1電力供給部31及び第2電力供給部32と、第1電力供給部31の出力電圧が第1所定範囲内であるか否かを検出する第1電圧検出部41と、第2電力供給部32の出力電圧が第2所定範囲内であるか否かを検出する第2電圧検出部42と、第1電圧検出部41により第1電力供給部31の出力電圧が第1所定範囲外であることが検出された場合、第1電力供給部31から第1コア21及び第2コア22に対する電力供給を遮断する第1スイッチ51と、第2電圧検出部42により第2電力供給部32の出力電圧が第2所定範囲外であることが検出された場合、第2電力供給部32から第1コア21及び第2コア22に対する電力供給を遮断する第2スイッチ52と、を備えている。そして、第2コア22は、第1電力供給部31の出力電圧又は第2電力供給部32の出力電圧が所定範囲外である場合、機能を停止するように構成されている。
【0026】
この構成によれば、第1電力供給部31及び第2電力供給部32の一方が失陥した場合、第2コア22が停止することで、第2コア22への給電が不要となり、マイコン2の消費電力がコア1つの動作分だけ低減する。そして、失陥していない第1電力供給部31及び第2電力供給部32の他方からの電力供給のみにより、第1コア21は、代替処理なく継続して動作することができる。つまり、本実施形態によれば、1つの電力系統が失陥しても、消費電力を低減しつつ、優先度が相対的に高い車両安全プログラムを正常時同様に実行することができる。
【0027】
失陥により電力供給が2系統から1系統になると、マイコン2やIC94で必要な負荷電流を1つの系統で負担することになる。しかし、本実施形態によれば、1つのコア自体が停止することで、処理変更や回路の大型化なく、1つの系統による電力供給で必要なプログラムを実行させることができる。このように、本実施形態によれば、2つの電力供給部31、32のうちの一方が失陥した場合に、必要な機能を維持しつつ、確実に消費電力を低減させることができる。
【0028】
また、例えば、定電圧回路に設けられたスイッチング素子がショート故障した場合、バッテリ93の電圧が適切に降圧されずに過電圧となり、マイコン2の発熱が増大してしまう。しかし、本実施形態によれば、出力電圧の異常が検出されると、異常側の電力供給が遮断されるとともに、第2コア22が停止する。このため、第1コアの動作電力が確保され、必要な機能が維持されるとともに、マイコン2の発熱量が抑制される。
【0029】
また、第1コア21は、第2コア22を介さずに、車輪速度に関する情報を取得できるため、第2コア22の動作の有無にかかわらず車両安全プログラムを実行することができる。したがって、第1コア21は、第2コア22が停止しても、速度情報に基づいて車両安全プログラムを実行できる。車輪速度が取得できることで、車速や各車輪の車輪加速度などの演算が可能となり、それらの演算結果に基づいてアンチスキッド制御等の実行が可能となる。
【0030】
また、車両挙動に関する情報は、走行支援に必要な情報として第2コア22に送信され、第2コア22から第1コア21に送信される。第2コア22停止時には、挙動情報が第1コア21に送信されないが、第1コア21は車輪速度に関する情報を用いて挙動情報を代替可能なため、車両安全プログラムの実行に支障はない。このように、制動装置1は、第1コア21及び第2コア22それぞれが必要最低限の情報を取得できるように構成されている。つまり、この構成は、第1コア21が必要とする情報の冗長性の確保が可能であるとともに、装置の部品点数低減や小型化の観点でも有利である。また、走行支援に必要な車両挙動に関する情報は、車両安全制御が必要とする車両挙動に関する情報よりも多いため、車両挙動に関する情報を第2コア22で受信することで、車両挙動に関する情報を第1コア21で受信する場合と比べて処理負荷を軽減することができる。
【0031】
(その他)
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、第1プログラムは車両安全プログラム以外のプログラムでもよい。また、第2プログラムは、走行支援プログラム以外のプログラムでもよい。この場合でも、第1プログラムに最も優先度が高いプログラムを設定することで、電源失陥時でも必要な動作・機能が確保される。また、第1コア21及び第2コア22がプログラムを実行するために取得する情報も、上記に限らず、例えばステアリング情報やストローク情報などの別の情報を含んでもよい。また、各検出部91、92の検出結果は、両方のコア21、22に送信されて、それぞれで処理されてもよい。また各コア21、22が実行するプログラムは、マイコン2の外部のメモリ(記憶媒体)に保存されていてもよい。また、制御装置1は、制動用に限らず、例えばエンジンやモータ等の駆動制御用であってもよく、あるいは車両以外に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…制御装置、2…マイコン、21…第1コア、22…第2コア、23…メモリ、31…第1電力供給部、32…第2電力供給部、41…第1電圧検出部、42…第2電圧検出部、51…第1スイッチ(第1遮断部)、52…第2スイッチ(第2遮断部)、91…車輪速度検出部、92…車両挙動検出部。
図1
図2