(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】電子部品内蔵回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20230502BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230502BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20230502BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20230502BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230502BHJP
H01L 23/14 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H05K3/46 T
H05K1/02 R
H05K1/03 610S
H05K3/00 Q
H01L23/12 501P
H01L23/14 R
(21)【出願番号】P 2019058701
(22)【出願日】2019-03-26
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義弘
(72)【発明者】
【氏名】露谷 和俊
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-032720(JP,A)
【文献】特開2007-150002(JP,A)
【文献】特開2001-207032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H05K 1/02
H05K 1/03
H05K 3/00
H01L 23/12
H01L 23/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁層と、
再配線層が設けられた主面と前記主面の反対側に位置する裏面を有し、前記裏面が前記第1の絶縁層で覆われるよう、前記第1の絶縁層の表面に搭載された電子部品と、
前記第1の絶縁層の前記表面上に設けられ、前記電子部品の前記主面を覆う第2の絶縁層と、
前記第2の絶縁層の表面に設けられ、少なくとも一部が前記再配線層と重なる第1の導体層と、
前記第1
の絶縁層を前記第2の絶縁層とは反対側から覆う第3の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第3の絶縁層の間に設けられ、前記第3の絶縁層の前記表面を露出させる開口部を有する第2の導体層と、を備え、
前記電子部品は、前記開口部に対して位置決めされており、
前記第2の絶縁層は前記第1の絶縁層よりも光の透過率が低いことを特徴とする電子部品内蔵回路基板。
【請求項2】
前記第2の絶縁層は、顔料、染料又はカーボンブラックによって着色されていることを特徴とする請求項1に記載の電子部品内蔵回路基板。
【請求項3】
前記第2
の絶縁層を前記第1の絶縁層とは反対側から覆う第4の絶縁層をさらに備え、
前記第3及び第4の絶縁層は、芯材に樹脂材料を含浸させたコア層であり、
前記第1及び第2の絶縁層は、芯材を含まない樹脂層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品内蔵回路基板。
【請求項4】
前記第3の絶縁層は前記第
4の絶縁層よりも光の透過率及び反射率が低いことを特徴とする請求項3に記載の電子部品内蔵回路基板。
【請求項5】
第3の絶縁層の表面に設けられた第2の導体層に、前記第3の絶縁層を露出させる開口部を形成する工程と、
前記第2の導体層が埋め込まれるよう、前記第3の絶縁層の前記表面を第1の絶縁層で覆う工程と、
再配線層が設けられた主面と前記主面の反対側に位置する裏面を有する電子部品を用意し、前記裏面が第1の絶縁層で覆われるよう、前記開口部を画像認識することによって位置決めしながら、前記第1の絶縁層の表面に電子部品を搭載する工程と、
前記電子部品の前記主面を覆う第2の絶縁層を前記第1の絶縁層の前記表面上に設ける工程と、
前記第2の絶縁層の表面に少なくとも一部が前記再配線層と重なる第1の導体層を形成する工程と、
画像認識によって前記第1の導体層の形状を検査する工程と、を備え、
前記第2の絶縁層は前記第1の絶縁層よりも光の透過率が低いことを特徴とする電子部品内蔵回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品内蔵回路基板及びその製造方法に関し、特に、多層配線構造を有する電子部品内蔵回路基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ICなどの電子部品が内部に埋め込まれた回路基板としては、特許文献1に記載された回路基板が知られている。特許文献1に記載された回路基板は、第1の絶縁層の表面にフェースアップ方式で電子部品を搭載し、電子部品の主面を覆うよう、第1の絶縁層の表面上に第2の絶縁層を形成している。第2の絶縁層の表面には、配線パターンが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子部品の主面上における第2の絶縁層の厚みは非常に薄いことから、第2の絶縁層の表面に形成された配線パターンの形状を画像認識によって検査する際、第2の絶縁層を介して電子部品の主面に形成された再配線層が透けて見えてしまう。このため、撮影された画像内において配線パターンと再配線層の干渉が生じ、配線パターンの形状を検査する際の画像認識精度が低下するという問題があった。
【0005】
したがって、本発明は、配線パターンの形状を画像認識によって検査する際、撮影された画像内における配線パターンと再配線層の干渉を少なくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による電子部品内蔵回路基板は、第1の絶縁層と、再配線層が設けられた主面と主面の反対側に位置する裏面を有し、裏面が第1の絶縁層で覆われるよう、第1の絶縁層の表面に搭載された電子部品と、第1の絶縁層の表面上に設けられ、電子部品の主面を覆う第2の絶縁層と、第2の絶縁層の表面に設けられ、少なくとも一部が再配線層と重なる第1の導体層とを備え、第2の絶縁層は第1の絶縁層よりも光の透過率が低いことを特徴とする。
【0007】
本発明による電子部品内蔵回路基板の製造方法は、再配線層が設けられた主面と主面の反対側に位置する裏面を有する電子部品を用意し、裏面が第1の絶縁層で覆われるよう、第1の絶縁層の表面に電子部品を搭載する工程と、電子部品の主面を覆う第2の絶縁層を第1の絶縁層の表面上に設ける工程と、第2の絶縁層の表面に少なくとも一部が再配線層と重なる導体層を形成する工程と、画像認識によって導体層の形状を検査する工程とを備え、第2の絶縁層は第1の絶縁層よりも光の透過率が低いことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第2の絶縁層の光透過率が低いことから、画像認識によって第1の導体層の形状を検査する際に、電子部品に設けられた再配線層が透けて見えにくい。このため、第1の導体層の形状を検査する際の画像認識精度を高めることが可能となる。
【0009】
本発明において、第2の絶縁層は顔料、染料又はカーボンブラックによって着色されていても構わない。これによれば、第2の絶縁層の光透過率を大きく低下させることが可能となる。
【0010】
本発明による電子部品内蔵回路基板は、第1及び第2の絶縁層を挟む第3及び第4の絶縁層をさらに備え、第3及び第4の絶縁層は、芯材に樹脂材料を含浸させたコア層であり、第1及び第2の絶縁層は、芯材を含まない樹脂層であっても構わない。これによれば、電子部品内蔵回路基板の機械的強度を高めることが可能となる。
【0011】
本発明による電子部品内蔵回路基板は、第1の絶縁層と第3の絶縁層の間に設けられ、第3の絶縁層の表面を露出させる開口部を有する第2の導体層をさらに備え、第3の絶縁層は第4の絶縁層よりも光の反射率が低くても構わない。これによれば、第2の導体層に設けられた開口部をアライメントマークとして用いる場合、アライメントマークの下地となる第3の絶縁層の光反射率が低いことから、高いコントラストを得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、画像認識によって第1の導体層の形状を検査する際に、電子部品に設けられた再配線層が透けて見えにくいことから、画像認識精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による電子部品内蔵回路基板100の構造を説明するための模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、再配線層133のパターン形状の一例を示す模式図な平面図である。
【
図3】
図3は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図4】
図4は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図5】
図5は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図6】
図6は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図7】
図7は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図8】
図8は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図9】
図9は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図10】
図10は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図11】
図11は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図12】
図12は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図13】
図13は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図14】
図14は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図15】
図15は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図16】
図16は、電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【
図17】
図17は、本発明の第2の実施形態による電子部品内蔵回路基板200の構造を説明するための模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態による電子部品内蔵回路基板100の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0016】
図1に示すように、第1の実施形態による電子部品内蔵回路基板100は、4層の絶縁層111~114と、絶縁層111~114の各表面に位置する導体層L1~L4を有している。特に限定されるものではないが、最下層に位置する絶縁層111及び最上層に位置する絶縁層114は、ガラス繊維などの芯材にエポキシなどの樹脂材料を含浸させたコア層であっても構わない。これに対し、絶縁層112,113は、ガラスクロスなどの芯材を含まない樹脂層であっても構わない。特に、絶縁層111,114の熱膨張係数は、絶縁層112,113の熱膨張係数よりも小さいことが好ましい。このように、樹脂層である絶縁層112,113をコア層である絶縁層111,114で挟み込む構造とすれば、電子部品内蔵回路基板100の厚さが薄い場合であっても十分な機械的強度を得ることが可能となる。
【0017】
本実施形態においては、絶縁層113が顔料、染料又はカーボンブラックによって着色されている。これに対し、他の絶縁層111,112,114についてはそのような着色は行われていない。このため、絶縁層113は不透明であり、他の絶縁層111,112,114に比べて光の透過率が低い。このように、樹脂層を構成する絶縁層112と絶縁層113は、光学特性が互いに異なる。これに対し、コア層を構成する絶縁層111と絶縁層114については、光学特性が互いに同じであっても構わない。
【0018】
最上層に位置する絶縁層114及びその表面に形成された導体層L1の一部は、ソルダーレジスト121によって覆われている。同様に、最下層に位置する絶縁層111及びその表面に形成された導体層L4の一部は、ソルダーレジスト122によって覆われている。特に限定されるものではないが、ソルダーレジスト121は電子部品内蔵回路基板100の上面101を構成し、ソルダーレジスト122は電子部品内蔵回路基板100の下面102を構成する。図示しないが、電子部品内蔵回路基板100の上面101には、キャパシタやインダクタなどの電子部品を搭載することができる。下面102にはマザーボードと接続されるユーザー端子を形成することができる。或いは、電子部品内蔵回路基板100を上下反転し、下面102に電子部品を搭載しても構わない。
【0019】
図1に示すように、本実施形態による電子部品内蔵回路基板100は、絶縁層113に埋め込まれた電子部品130を有している。電子部品130は例えば半導体ICであり、再配線層133が設けられた主面131が上面101側を向いて絶縁層113で覆われ、裏面132が下面102側を向いて絶縁層112で覆われている。
図2は、再配線層133のパターン形状の一例を示す模式図な平面図である。
図2に示すように、再配線層133は電子部品130に設けられた電極パッドPに接続されており、電極ピッチや電極面積を拡大する役割を果たす。
図1には電子部品130を1個だけ図示しているが、2個以上の電子部品130を埋め込んでも構わない。
【0020】
導体層L1は、配線パターン141を含んでいる。配線パターン141のうち、ソルダーレジスト121で覆われていない部分は、電子部品内蔵回路基板100の外部端子を構成する。
【0021】
導体層L2は、配線パターン142を含んでいる。配線パターン142の一部は、絶縁層114を貫通して設けられた複数のビア導体151を介して、導体層L1の配線パターン141に接続されている。また、配線パターン142の別の一部は、平面視で電子部品130と重なる位置に設けられたビア導体152を介して、電子部品130の再配線層133に接続されている。
【0022】
導体層L3は、配線パターン143を含んでいる。配線パターン143の一部は、絶縁層112,113を貫通して設けられた複数のビア導体153を介して、導体層L2の配線パターン142に接続されている。ビア導体153は、平面視で電子部品130と重ならない位置に配置されている。
【0023】
導体層L4は、配線パターン144を含んでいる。配線パターン144の一部は、絶縁層111を貫通して設けられた複数のビア導体154を介して、導体層L3の配線パターン143に接続されている。また、配線パターン144のうち、ソルダーレジスト122で覆われていない部分は、端子電極を構成する。
【0024】
次に、本実施形態による電子部品内蔵回路基板100の製造方法について説明する。
【0025】
図3~
図16は、本実施形態による電子部品内蔵回路基板100の製造方法を説明するための工程図である。
【0026】
まず、
図3に示すように、ガラス繊維などの芯材を含む絶縁層111の両面にCu等の導体箔からなる導体層L3,L4が貼合されてなる基材(ワークボード)、すなわち両面CCL(Copper Clad Laminate)を準備する。絶縁層111に含まれる芯材の厚みは、ハンドリングを容易にするための適度な剛性を確保するため、40μm以上であることが望ましい。なお、導体層L3,L4の材質については特に制限されず、上述したCuの他、例えば、Au、Ag、Ni、Pd、Sn、Cr、Al、W、Fe、Ti、SUS材等の金属導電材料が挙げられ、これらの中でも、導電率やコストの観点からCuを用いることが好ましい。後述する他の導体層L1,L2についても同様である。また、導体層L3の表面L3aは、絶縁層112に対する密着性を高めるために、粗化されていることが好ましい。導体層L3の表面L3aが粗化されている場合、導体層L3に照射した光が散乱されるため、Cuなどの金属材料からなる場合であっても、やや黒っぽく見える。
【0027】
また、絶縁層111に用いる樹脂材料は、シート状又はフィルム状に成形可能なものであれば特に制限されず使用可能であり、ガラスエポキシの他、例えば、ビニルベンジル樹脂、ポリビニルベンジルエーテル化合物樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BTレジン)、ポリフェニレエーテル(ポリフェニレンエーテルオキサイド)樹脂(PPE,PPO)、シアネートエステル樹脂、エポキシ+活性エステル硬化樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(ポリフェニレンオキサオド樹脂)、硬化性ポリオレフィン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、芳香族液晶ポリエステル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、若しくはベンゾオキサジン樹脂の単体、又は、これらの樹脂に、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸アルミウイスカ、チタン酸カリウム繊維、アルミナ、ガラスフレーク、ガラス繊維、窒化タンタル、窒化アルミニウム等を添加した材料、さらに、これらの樹脂に、マグネシウム、ケイ素、チタン、亜鉛、カルシウム、ストロンチウム、ジルコニウム、錫、ネオジウム、サマリウム、アルミニウム、ビスマス、鉛、ランタン、リチウム及びタンタルのうち少なくとも1種の金属を含む金属酸化物粉末を添加した材料を用いることができ、電気特性、機械特性、吸水性、リフロー耐性等の観点から、適宜選択して用いることができる。さらに、絶縁層111に含まれる芯材としては、ガラス繊維、アラミド繊維等の樹脂繊維等を配合した材料を挙げることができる。後述する他の絶縁層112~114についても同様である。
【0028】
次に、
図4に示すように、例えばフォトリソグラフィー法など公知の手法を用いて導体層L3をパターニングすることにより、配線パターン143を形成する。この時、電子部品130の搭載領域と重ならない位置に、アライメントマークとして機能する開口部Aを導体層L3に形成しておく。開口部Aは、下地である絶縁層111を露出させるものであり、導体層L3と絶縁層111のコントラストの違いによってアライメントマークとして機能する。
【0029】
次に、
図5に示すように、導体層L3を埋め込むよう、絶縁層111の表面に例えば未硬化(Bステージ状態)の樹脂シート等を真空圧着等によって積層することにより、絶縁層112を形成する。絶縁層112は着色されておらず、高い透明性を有している。
【0030】
次に、
図6に示すように、絶縁層112上に電子部品130を載置する。電子部品130は、主面131が上側を向くよう、フェースアップ方式で搭載される。電子部品130が半導体ICである場合、シリコン基板が例えば200μm以下、より好ましくは50~100μm程度に薄型化されていても構わない。電子部品130を搭載する際には、開口部Aからなるアライメントマークを画像認識することによって電子部品130の位置決めを行う。
【0031】
次に、
図7に示すように、電子部品130を覆うよう、顔料、染料又はカーボンブラックによって着色された絶縁層113及び導体層L2を形成する。絶縁層113の形成は、例えば、未硬化又は半硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布した後、未硬化樹脂の場合それを加熱して半硬化させ、さらに、プレス手段を用いて導体層L2とともに硬化成形することが好ましい。絶縁層113は、電子部品130の埋め込みを妨げる繊維が含まれない樹脂シートが望ましい。これにより、絶縁層113と、導体層L2、絶縁層112及び電子部品130との密着性が向上する。
【0032】
次に、
図8に示すように、例えばフォトリソグラフィー法など公知の手法を用いて導体層L2の一部をエッチングにより除去することにより、絶縁層113を露出させる開口部162,163を形成する。このうち、開口部162は電子部品130の再配線層133と重なる位置に形成され、開口部163は電子部品130と重ならず、且つ、導体層L3の配線パターン143と重なる位置に形成される。
【0033】
次に、
図9に示すように、導体層L2をマスクとしてレーザー加工又はブラスト加工を行うことにより、導体層L2で覆われていない部分における絶縁層113,112を除去する。これにより、導体層L2の開口部162に対応する位置には、絶縁層113にビア152aが形成され、電子部品130の再配線層133が露出する。同様に、導体層L2の開口部163に対応する位置には、絶縁層113,112にビア153aが形成され、導体層L3の配線パターン143が露出する。
【0034】
次に、
図10に示すように、無電解メッキ及び電解メッキを施すことにより、ビア152a,153aの内壁にビア導体152,153をそれぞれ形成する。これにより、ビア導体152,153を介して、電子部品130の再配線層133及び導体層L3の配線パターン143が導体層L2に接続される。
【0035】
次に、
図11に示すように、導体層L2をフォトリソグラフィー法など公知の手法によってパターニングすることにより、配線パターン142を形成する。配線パターン142の一部は、平面視で電子部品130の再配線層133と重なっている。その後、画像認識によって配線パターン142の形状を検査する。本実施形態においては、絶縁層113が顔料、染料又はカーボンブラックによって着色され、これによって光透過率が低減されていることから、画像認識によって配線パターン142の形状を検査する際、絶縁層113を介して電子部品130の再配線層133が透けて見えにくく、撮影された画像内において配線パターン142と再配線層133の干渉が生じにくい。これにより、配線パターン142の形状を検査する際の画像認識精度を高めることが可能となる。
【0036】
次に、
図12に示すように、導体層L2を埋め込むよう、絶縁層114と導体層L1が積層されたシートを真空熱プレスする。絶縁層114の厚みは、絶縁層111と同じであっても構わない。
【0037】
次に、
図13に示すように、例えばフォトリソグラフィー法など公知の手法を用いて導体層L1,L4の一部をエッチングにより除去することにより、導体層L1に絶縁層114を露出させる開口部161を形成し、導体層L4に絶縁層111を露出させる開口部164を形成する。このうち、開口部161は配線パターン142と重なる位置に形成され、開口部164は配線パターン143と重なる位置に形成される。
【0038】
次に、
図14に示すように、導体層L1,L4をマスクとしてレーザー加工又はブラスト加工を行うことにより、導体層L1で覆われていない部分における絶縁層114を除去するとともに、導体層L4で覆われていない部分における絶縁層111を除去する。これにより、導体層L1の開口部161に対応する位置には、絶縁層114にビア151aが形成され、導体層L2の配線パターン142が露出する。また、導体層L4の開口部164に対応する位置には、絶縁層111にビア154aが形成され、導体層L3の配線パターン143が露出する。
【0039】
次に、
図15に示すように、無電解メッキ及び電解メッキを施すことにより、ビア151a,154aの内壁にビア導体151,154をそれぞれ形成する。これにより、ビア導体151を介して、導体層L2の配線パターン142が導体層L1に接続される。また、ビア導体154を介して、導体層L3の配線パターン143が導体層L4に接続される。
【0040】
次に、
図16に示すように、導体層L1,L4をフォトリソグラフィー法など公知の手法によってパターニングすることにより、導体層L1に配線パターン141を形成し、導体層L4に配線パターン144を形成する。そして、所定の平面位置にソルダーレジスト121,122を形成すれば、本実施形態による電子部品内蔵回路基板100が完成する。
【0041】
このように、本実施形態においては、絶縁層113が顔料、染料又はカーボンブラックによって着色されることによって光透過率が低減されていることから、画像認識によって配線パターン142の形状を検査する際、絶縁層113を介して電子部品130の再配線層133が透けて見えにくくなる。これにより、配線パターン142の形状を検査する際の画像認識精度を高めることが可能となる。また、絶縁層112については光透過率が高いことから、電子部品130を搭載する際、開口部Aからなるアライメントマークを容易に画像認識することが可能となる。
【0042】
図17は、本発明の第2の実施形態による電子部品内蔵回路基板200の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0043】
図17に示すように、第2の実施形態による電子部品内蔵回路基板200は、絶縁層111の代わりに、顔料、染料又はカーボンブラックによって着色された絶縁層111Aが用いられている点において、第1の実施形態による電子部品内蔵回路基板100と相違している。その他の点は第1の実施形態による電子部品内蔵回路基板100と同一であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0044】
本実施形態においては、絶縁層111Aが顔料、染料又はカーボンブラックによって着色されている。これに対し、絶縁層112,114についてはそのような着色は行われていない。このため、絶縁層111Aは不透明であり、絶縁層112,114に比べて光の反射率や透過率が低い。このように、本実施形態においては、コア層を構成する絶縁層111Aと絶縁層114についても光学特性が互いに異なる。
【0045】
上述の通り、導体層L3の表面L3aが粗化されている場合、導体層L3が黒っぽく見えることから、開口部Aからなるアライメントマークのコントラストが不十分となることがある。特に、開口部Aからなるアライメントマークが絶縁層112で覆われると、そのコントラストは大幅に低下する。しかしながら、本実施形態においては、絶縁層111Aが着色されていることから、絶縁層112によって覆われた状態でも、十分なコントラストが確保される。
【0046】
このように、本実施形態においては絶縁層111Aが着色されているため、アライメントマークのコントラストは十分に確保される。このため、非常に高い精度で電子部品130の搭載位置を制御することが可能となる。絶縁層114にも顔料、染料又はカーボンブラックを添加することによって着色しても構わないが、絶縁層111Aとは異なり、絶縁層114を着色する必要はないことから、不必要なコストの増大を避けるためには、絶縁層114を着色しないことが好ましい。
【0047】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0048】
例えば、上記の実施形態では、絶縁層113が顔料、染料又はカーボンブラックによって着色されているが、絶縁層113の光透過率を低減させる方法がこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0049】
100,200 電子部品内蔵回路基板
101 電子部品内蔵回路基板の上面
102 電子部品内蔵回路基板の下面
111~114,111A 絶縁層
121,122 ソルダーレジスト
130 電子部品
131 電子部品の主面
132 電子部品の裏面
133 再配線層
141~144 配線パターン
151~154 ビア導体
151a~154a ビア
161~164 開口部
A 開口部
L1~L4 導体層
L3a 導体層の表面
P 電極パッド