(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 9/04 20060101AFI20230502BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20230502BHJP
B60C 11/00 20060101ALI20230502BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20230502BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20230502BHJP
C08L 9/06 20060101ALI20230502BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B60C9/04 D
B60C1/00 C
B60C11/00 D
B60C9/00 B
B60C9/00 A
C08L7/00
C08L9/06
C08K3/04
(21)【出願番号】P 2019125806
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 裕記
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 誠人
(72)【発明者】
【氏名】清水 克典
【審査官】増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-222872(JP,A)
【文献】特開2012-131459(JP,A)
【文献】特開2009-78589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 9/04
B60C 1/00
B60C 11/00
B60C 9/00
C08L 7/00
C08L 9/06
C08K 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1枚のカーカスプライと、前記カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムと、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるキャップトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記1枚のカーカスプライの厚みが0.50mm~2.00mmであり、
前記カーカスコート用ゴムは、ジエン系ゴムとして天然ゴムおよびスチレン-ブタジエン共重合体ゴムと、充填剤として窒素吸着比表面積(N
2SA)が25~70m
2/gのカーボンブラックとを含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記天然ゴムの配合割合が20質量部以上であり、かつ前記カーボンブラックの配合割合が25質量部以上であり、かつ
前記キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)と、前記カーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)とが、下記式を満たす
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
0.20≦(M300 cap)/(M300 carcass)≦1.30
【請求項2】
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記天然ゴムの配合割合が30~90質量部であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記カーボンブラックの配合割合が30~75質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記カーカスプライが有機繊維を含み、前記有機繊維が、ポリエチレンテレフタレートまたはレーヨンであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関するものであり、詳しくは、ロードノイズの低減および乗り心地の向上を両立し得る空気入りタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは左右一対のビード部およびサイドウォール部と、両サイドウォール部に連なるとともにキャップトレッドとアンダートレッドとからなるトレッド部から主に構成されている。タイヤの内側にはカーカスプライが設けられ、カーカスプライの両端部はビードコアをタイヤ内側から外側へ包みこむように折り返されている。
【0003】
ところで、モータを動力源として走行する電気自動車は、内燃機関を動力源として走行する自動車と比較して、車両由来の騒音が大きく低減されている一方で、車両走行におけるタイヤ由来の騒音(ロードノイズ)については両自動車共に差異がみられない。そのため、タイヤ由来のロードノイズをさらに低減させる技術が求められている。
【0004】
ロードノイズを低減するには、例えばキャップトレッドゴム等のタイヤの部材を柔らかくし、バネ特性を低下させる手法が知られている。しかし、例えばキャップトレッドゴムを柔らかくすると乗り心地が低下するという問題点があり、ロードノイズの低減と乗り心地の向上は、二律背反の関係にある。
【0005】
なお、ロードノイズの低減を図る技術としては、例えば特許文献1~3に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-253708号公報
【文献】特開2014-80074号公報
【文献】国際公開WO2014/002631号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって本発明の目的は、ロードノイズの低減および乗り心地の向上を両立し得る空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意研究を重ねた結果、カーカスプライの厚み、カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムの組成、およびキャップトレッドゴムのモジュラスとカーカスコート用ゴムのモジュラスの比を特定化することにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成することができた。
すなわち本発明は以下の通りである。
【0009】
1.少なくとも1枚のカーカスプライと、前記カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムと、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるキャップトレッドゴムと、を備える空気入りタイヤにおいて、
前記1枚のカーカスプライの厚みが0.50mm~2.00mmでであり、
前記カーカスコート用ゴムは、ジエン系ゴムとして天然ゴムおよびスチレン-ブタジエン共重合体ゴムと、充填剤として窒素吸着比表面積(N2SA)が25~70m2/gのカーボンブラックとを含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記天然ゴムの配合割合が20質量部以上であり、かつ前記カーボンブラックの配合割合が25質量部以上であり、かつ
前記キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)と、前記カーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)とが、下記式を満たす
ことを特徴とする空気入りタイヤ。
0.20≦(M300 cap)/(M300 carcass)≦1.30
2.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記天然ゴムの配合割合が30~90質量部であることを特徴とする前記1に記載の空気入りタイヤ。
3.前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記カーボンブラックの配合割合が30~75質量部であることを特徴とする前記1または2に記載の空気入りタイヤ。
4.前記カーカスプライが有機繊維を含み、前記有機繊維が、ポリエチレンテレフタレートまたはレーヨンであることを特徴とする前記1~3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空気入りタイヤは、少なくとも1枚のカーカスプライと、前記カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムと、前記カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置されるキャップトレッドゴムと、を備え、前記1枚のカーカスプライの厚みが0.50mm~2.00mmであり、前記カーカスコート用ゴムは、ジエン系ゴムとして天然ゴムおよびスチレン-ブタジエン共重合体ゴムと、充填剤として窒素吸着比表面積(N2SA)が25~70m2/gのカーボンブラックとを含有し、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記天然ゴムの配合割合が20質量部以上であり、かつ前記カーボンブラックの配合割合が25質量部以上であり、かつ前記キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)と、前記カーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)とが、0.20≦(M300 cap)/(M300 carcass)≦1.30を満たすことを特徴としているので、ロードノイズの低減および乗り心地の向上を両立し得る空気入りタイヤを提供することができる。
【0011】
上述のように、ロードノイズを低減するには、キャップトレッドゴムを柔らかくすることが有効であるが、その反面、乗り心地が低下してしまう。本発明では、カーカスプライの厚み、カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムの組成、およびキャップトレッドゴムのモジュラスとカーカスコート用ゴムのモジュラスの比を特定化することにより、キャップトレッドゴムがロードノイズの改善を担い乗り心地を減じた場合でも、カーカスコート用ゴムが乗り心地を補完する役割を果たし、結果として二律背反の関係にあるロードノイズの低減と乗り心地の向上を同時に達成することが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0013】
(カーカスプライ)
本発明の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライは、タイヤ幅方向両側のビードコア間に架け渡されてタイヤの骨格を形成する部材である。なお、タイヤ幅方向とは、タイヤ回転軸と平行な方向を指す。本発明において、1枚のカーカスプライの厚みは、0.50mm~2.00mmであることが必要である。1枚のカーカスプライの厚みがこの範囲外であると、ロードノイズの低減と乗り心地の向上を同時に達成することができない。
【0014】
1枚のカーカスプライの厚みは、0.70mm~1.80mmであることがさらに好ましい。更に0.80mm~1.50mmがより好ましい。
【0015】
カーカスプライの種類はとくに制限されず公知のものの中から適宜選択することができるが、本発明の効果がさらに向上するという観点から、カーカスプライは有機繊維を含むことが好ましい。有機繊維としては、例えばポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリイミド繊維、ポリアクリレート繊維、ビニロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維等を例示することができるが、中でも、ポリエステル繊維としてポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨンが好適である。
【0016】
また、カーカスプライを形成するカーカスコードの、タイヤ周方向に対する角度(カーカス角度)は、90°が一般であるが、操縦安定性向上を目的として90°~70°等の低い角度を選択してもよい。このようにカーカス角度を設定することにより、操縦安定性をさらに高めることができる。なお、タイヤ周方向とは、タイヤ回転軸を中心軸とする周り方向を指す。
【0017】
なお、本発明の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライは、1枚であるものに制限されず、1枚を超える複数枚であってもよい。その場合も、1枚のカーカスプライの厚みが0.50mm~2.00mmであるという本発明の要件が適用される。
【0018】
本発明では、カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムの組成が特定される。すなわち、カーカスコート用ゴムは、ジエン系ゴムとして天然ゴム(NR)およびスチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)と、充填剤として窒素吸着比表面積(N2SA)が25~70m2/gカーボンブラックとを含有し、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記NRの配合割合が20質量部以上であり、前記カーボンブラックの配合割合が25質量部以上である。
【0019】
前記SBRを配合しない場合、前記NRの配合割合が20質量部未満である場合、前記カーボンブラックの配合割合が25質量部未満である場合、および/または、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が25~70m2/gの範囲外である場合は、ロードノイズの低減と乗り心地の向上を同時に達成することができない。
【0020】
ここで、本発明の効果向上の観点から、下記の形態が好ましい。
(1)前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記NRの配合割合は30~90質量部が好ましく、35~80質量部がさらに好ましい。
(2)前記ジエン系ゴム100質量部に対し、前記カーボンブラックの配合割合は30~75質量部が好ましく、35~65質量部がさらに好ましい。
(3)前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は25~50m2/gが好ましい。
なお本発明でいうNRは、合成イソプレンゴム(IR)を含むものとする。また窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K 6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
【0021】
本発明で使用されるジエン系ゴムは、NR、SBR以外のジエン系ゴムを必要に応じて併用することもできる。例えば、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム(NBR)等が挙げられる。本発明で使用されるジエン系ゴムは、その分子量やミクロ構造はとくに制限されず、アミン、アミド、シリル、アルコキシシリル、カルボキシル、ヒドロキシル基等で末端変性されていても、エポキシ化されていてもよい。
【0022】
また、前記カーカスコート用ゴムには、前記した成分に加えて、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのカーカスコート用ゴムに一般的に配合されている各種添加剤を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0023】
加硫後の前記カーカスコート用ゴムの平均厚みはとくに制限されないが、例えば0.20mm~0.80mmであり、0.25mm~0.75mmが好ましい。
【0024】
本発明の空気入りタイヤにおけるキャップトレッドゴムは、カーカスプライのタイヤ径方向外側に配置される。なおタイヤ径方向外側とはタイヤ径方向(空気入りタイヤの回転軸と直交する方向)において回転軸から離れる側をいう。
【0025】
本発明において、キャップトレッドゴムの組成は、下記で説明する(M300 cap)/(M300 carcass)の関係を満たすことができれば、とくに制限されず、適宜選択することができる。
例えば、ジエン系ゴム、シリカやカーボンブラック等の各種充填剤、カップリング剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛などのキャップトレッドゴムに一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0026】
加硫後のキャップトレッドゴムの最大厚み(アンダートレッドとの接触面からタイヤ径方向におけるタイヤ表面までの最大長さ)はとくに制限されないが、例えば2mm~20mmであり、2mm~15mmが好ましい。
【0027】
また、本発明の空気入りタイヤにおけるその他の部材、例えばビード部やサイドウォール部等を構成する部材についても、各成分の配合割合はとくに制限されず、適宜選択することができる。
例えば前記と同様に前記その他の部材のゴム組成物として、ジエン系ゴム、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛等の一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0028】
本発明の空気入りタイヤは、前記キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)と、前記カーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)とが、下記式を満たすことが必要である。
【0029】
0.20≦(M300 cap)/(M300 carcass)≦1.30
【0030】
すなわち、(M300 cap)/(M300 carcass)が0.20~1.30の範囲であることにより、上述のように、キャップトレッドゴムがロードノイズの改善を担い乗り心地を減じた場合でも、カーカスコート用ゴムが乗り心地を補完する役割を果たし、結果として二律背反の関係にあるロードノイズの低減と乗り心地の向上を同時に達成することが可能となる。
【0031】
本発明で言う前記キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)および前記カーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)は、JIS K6251に準拠し引張り速度500mm/分で引張り試験を行い300%伸長時の応力を測定した値(MPa)とする。
【0032】
前記キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)および前記カーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)の調整は、例えば加硫剤、架橋剤、可塑剤や充填剤量の増減により調節可能である。
【0033】
なお本発明の効果が一層向上するという観点から、前記(M300 cap)/(M300 carcass)は、0.25~1.20であることが好ましく、0.28~1.15であることがさらに好ましい。
【0034】
また本発明の空気入りタイヤは、従来の空気入りタイヤの製造方法に従って製造が可能であり、例えば乗用車用途が好ましい。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0036】
実施例1~2および比較例1~3
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、各種カーカスコート用ゴム組成物を得た。
【0037】
次に、カーカスプライを形成するカーカスコードとしてポリエステル繊維を用い、常法にしたがい該コードを該ゴム組成物で被覆し、加硫を行った。カーカスプライの厚みは、表1で示す通りであり、カーカスコート用ゴムの平均厚みは0.4mmであり、単位幅50mmあたりのカーカスコードの本数は50本であった。
【0038】
一方、キャップトレッドゴムを常法にしたがい調製し、硫黄や加硫促進剤等の加硫剤、架橋剤を増減することにより、表1に示す各種300%モジュラス(M300)を有するキャップトレッドゴムを得た。
【0039】
キャップトレッドゴムの300%モジュラス(M300 cap)およびカーカスコート用ゴムの300%モジュラス(M300 carcass)は、上述のように、JIS K6251(3号ダンベル使用)に基づきにて引張り試験を実施して測定した。結果を表1に示す。
【0040】
前記カーカスコート用ゴムでコートされたカーカスプライの1枚と、前記キャップトレッドゴムとを組み込み、タイヤサイズ245/40R18の各種空気入りタイヤを製造した。なお、カーカス角度は、90°とした。またカーカスプライおよびキャップトレッドゴム以外の各部材の条件は、各種空気入りタイヤ間で同一とした。
【0041】
得られた各種空気入りタイヤについて、下記の評価を行った。結果を表1に示す。
【0042】
乗り心地:試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaの条件にて、舗装路からなるテストコースにおいてテストドライバーによる官能評価を実施した。評価は5段階評価とし、「3」点を基準とし、相対評価した。
5:「3」点に対し、乗り心地に顕著な向上が見られる。
4:「3」点に対し、乗り心地に向上が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、乗り心地に劣っていた。
1:「3」点に対し、乗り心地に顕著に劣っていた。
【0043】
ロードノイズ:各試験タイヤをリムサイズ18×8.5Jのホイールに組み付けて試験車両に装着し、空気圧240kPaの条件にて、走行時のロードノイズについてテストドライバーによる官能評価を行った。評価は5段階評価とし、「3」点を基準とし、相対評価した。
5:「3」点に対し、ロードノイズに顕著な改善が見られる。
4:「3」点に対し、ロードノイズに改善が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、ロードノイズが感じられる。
1:「3」点に対し、ロードノイズが顕著に感じられる。
【0044】
【0045】
*1:NR(TSR20)
*2:SBR(日本ゼオン(株)製NIPOL 1502)
*3:カーボンブラック1(東海カーボン株式会社製商品名シーストV、N2SA=27m2/g)
*4:カーボンブラック2(東海カーボン株式会社製商品名シースト7HM、N2SA=126m2/g)
*5:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*6:ステアリン酸(日油(株)製ステアリン酸YR)
*7:老化防止剤(FLEXSYS社製SANTOFLEX 6PPD)
*8:アロマオイル(出光興産(株)製ダイアナプロセスNH-60)
*9:加硫促進剤(FLEXSYS社製SANTOCURE CBS)
*10:硫黄(四国化成工業(株)製ミュークロンOT-20)
【0046】
上記の表1から明らかなように、比較例1では、(M300 cap)/(M300 carcass)が本発明で規定する上限を超えているので、ロードノイズおよび乗り心地が両立できていない。
実施例1~2で調製された空気入りタイヤは、カーカスプライの厚み、カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムの組成、およびキャップトレッドゴムのモジュラスとカーカスコート用ゴムのモジュラスの比を特定化したので、比較例1に比べ、ロードノイズの低減および乗り心地の向上が両立している。
比較例2は、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が本発明で規定する範囲外であるのでロードノイズが改善しなかった。
比較例3は、カーカスコート用ゴムにおけるNRの配合割合が本発明で規定する下限未満であるので、ロードノイズが改善しなかった。
【0047】
比較例4および実施例3~4
上記実施例1~2および比較例1~3において、カーカスコート用ゴムでコートされたカーカスプライを2枚使用し、製造した空気入りタイヤのサイヤサイズを195/65R15としたこと以外は、上記例を繰り返した。結果を表2に示す。
【0048】
【0049】
表2の結果から、実施例3~4で調製された空気入りタイヤは、カーカスプライの厚み、カーカスプライをコートするカーカスコート用ゴムの組成、およびキャップトレッドゴムのモジュラスとカーカスコート用ゴムのモジュラスの比を特定化したので、比較例4に比べ、ロードノイズの低減および乗り心地の向上が両立している。