(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20230502BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230502BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 624B
G09G3/20 670Q
G09G3/20 621B
G02F1/133 550
(21)【出願番号】P 2019161774
(22)【出願日】2019-09-05
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 隆行
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-017877(JP,A)
【文献】特開2012-198362(JP,A)
【文献】特開2013-061435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行列状に設けられた複数の画素と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、
前記複数の第1データ線のそれぞれと第1外部端子との間のオンオフを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれと第2外部端子との間のオンオフを切り替える、スイッチ回路と、
を備え、
前記複数の画素は、同じ列の隣接する2つの画素である第1画素及び第2画素を一対の画素対として複数対の画素対を構成し、
各画素対において、
前記第1画素は、
前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、
前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、
第1画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第1液晶表示素子と、
前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第1画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第1極性切り替えスイッチと、
前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧を、前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に出力する第1ソースフォロワバッファと、
前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧を、前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に出力する第2ソースフォロワバッファと、
前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、
を有し、
前記第2画素は、
前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第3サンプルホールド回路と、
前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第4サンプルホールド回路と、
第2画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第2液晶表示素子と、
前記第3サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第4サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第2画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第2極性切り替えスイッチと、
前記第3サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧を、前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に出力する第3ソースフォロワバッファと、
前記第4サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧を、前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に出力する第4ソースフォロワバッファと、
前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、
を有し、
各画素対において、前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタ及び前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、共通の制御信号線を伝搬する制御信号によってオンオフの制御が行われるように構成されている、
液晶デバイス。
【請求項2】
奇数列に設けられた各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
偶数列に設けられた各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記スイッチ回路は、奇数列に設けられた検査対象の前記画素から前記対応する第1データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第1外部端子に出力するとともに、偶数列に設けられた検査対象の前記画素から前記対応する第2データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第2外部端子に出力するように構成されている、
請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項3】
各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記スイッチ回路は、検査対象の前記第1画素から前記対応する第1データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第1外部端子に出力するとともに、検査対象の前記第2画素から前記対応する第2データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第2外部端子に出力するように構成されている、
請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項4】
各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記液晶デバイスは、
検査対象の複数の前記第1画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の画素駆動電圧と、検査対象の複数の前記第2画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する複数のセンスアンプをさらに備えた、
請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項5】
各画素対において、
前記第1画素は、
前記第1サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に対して出力するか否かを切り替える前記第1スイッチトランジスタと、
前記第2サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第3スイッチトランジスタと、
を備え、
前記第2画素は、
前記第3サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に対して出力するか否かを切り替える前記第2スイッチトランジスタと、
前記第4サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第4スイッチトランジスタと、
を備え、
前記液晶デバイスは、
検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する複数のセンスアンプをさらに備えた、
請求項1に記載の液晶デバイス。
【請求項6】
入力ポートと、
一又は複数の出力ポートと、
前記入力ポートに入射された光信号を偏向して前記一又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する、複数の画素を有する請求項1~5の何れか一項に記載の液晶デバイスによって構成された空間光変調器と、
を備えた、波長選択光スイッチ装置。
【請求項7】
行列状に設けられた複数の画素と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、
前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、
前記複数の第1データ線のそれぞれと第1外部端子との間のオンオフを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれと第2外部端子との間のオンオフを切り替える、スイッチ回路と、
を備え、
前記複数の画素は、同じ列の隣接する2つの画素である第1画素及び第2画素を一対の画素対として複数対の画素対を構成し、
各画素対において、
前記第1画素は、
前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、
前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、
第1画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第1液晶表示素子と、
前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第1画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第1極性切り替えスイッチと、
前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧を、前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に出力する第1ソースフォロワバッファと、
前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧を、前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に出力する第2ソースフォロワバッファと、
前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、
を有し、
前記第2画素は、
前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第3サンプルホールド回路と、
前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第4サンプルホールド回路と、
第2画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第2液晶表示素子と、
前記第3サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第4サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第2画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第2極性切り替えスイッチと、
前記第3サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧を、前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に出力する第3ソースフォロワバッファと、
前記第4サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧を、前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に出力する第4ソースフォロワバッファと、
前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、
を有し、
各画素対において、前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタ及び前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、共通の制御信号線を伝搬する制御信号によってオンオフの制御が行われるように構成されている、
液晶デバイスの画素検査方法であって、
検査対象の前記画素対において、
前記第1画素の第1スイッチトランジスタ及び前記第2画素の第2スイッチトランジスタを何れもオンし、
前記第1サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出して、その読み出された電圧から故障の有無を検出し、
前記第2サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出して、その読み出された電圧から故障の有無を検出し、
前記第3サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出して、その読み出された電圧から故障の有無を検出し、
前記第4サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出して、その読み出された電圧から故障の有無を検出する、
液晶デバイスの画素検査方法。
【請求項8】
奇数列に設けられた各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
偶数列に設けられた各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記スイッチ回路を用いて、奇数列に設けられた検査対象の前記画素から前記対応する第1データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第1外部端子に出力するとともに、偶数列に設けられた検査対象の前記画素から前記対応する第2データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第2外部端子に出力する、
請求項7に記載の液晶デバイスの画素検査方法。
【請求項9】
各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記スイッチ回路を用いて、検査対象の前記第1画素から前記対応する第1データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第1外部端子に出力するとともに、検査対象の前記第2画素から前記対応する第2データ線に読み出された画素駆動電圧を前記第2外部端子に出力する、
請求項7に記載の液晶デバイスの画素検査方法。
【請求項10】
各画素対において、
前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタは、前記第1画素駆動電極と、前記対応する第1データ線と、の間に設けられ、
前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、前記第2画素駆動電極と、前記対応する第2データ線と、の間に設けられ、
前記液晶デバイスは、
複数のセンスアンプをさらに備え、
前記複数のセンスアンプを用いて、検査対象の複数の前記第1画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の画素駆動電圧と、検査対象の複数の前記第2画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する、
請求項7に記載の液晶デバイスの画素検査方法。
【請求項11】
各画素対において、
前記第1画素は、
前記第1サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に対して出力するか否かを切り替える前記第1スイッチトランジスタと、
前記第2サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第3スイッチトランジスタと、
を備え、
前記第2画素は、
前記第3サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、正極性の画素駆動電圧として前記対応する第1データ線に対して出力するか否かを切り替える前記第2スイッチトランジスタと、
前記第4サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、負極性の画素駆動電圧として前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第4スイッチトランジスタと、
を備え、
前記液晶デバイスは、
複数のセンスアンプをさらに備え、
前記複数のセンスアンプを用いて、前記検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第1データ線のそれぞれに読み出された複数の正極性の画素駆動電圧と、検査対象の行の複数の前記画素から前記複数の第2データ線のそれぞれに読み出された複数の負極性の画素駆動電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、複数の検出信号として出力する、
請求項7に記載の液晶デバイスの画素検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法に関し、回路規模の増大を抑制しつつ画素の検査を実行するのに適した液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示された液晶表示装置は、マトリクス状に配置された複数の画素と、複数の画素の各列に対応して設けられた複数組のデータ線と、複数の画素の各行に対応して設けられた複数のゲート線と、複数組のデータ線に対して組単位で順番に正極性及び負極性の映像信号を供給するための複数のスイッチと、複数のスイッチ及び複数のゲート線を駆動する駆動手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液晶表示装置には、信頼性向上のため、例えば製品出荷前に画素に欠陥や特性劣化がないかを検査することが求められている。
【0005】
しかしながら、特許文献1には、画素の検査方法についての具体的な内容が開示されていない。そのため、特許文献1に開示された液晶表示装置に、画素を検査するための検査回路を組み込もうとすると、画素の検査に用いられる制御信号線の増加によって、配線が混雑してしまう。この配線混雑を避けるために配線間隔を十分に大きくすると、画素ピッチが大きくなり、結果的に回路規模が増大してしまうという課題があった。
【0006】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、回路規模の増大を抑制しつつ画素の検査を実行するのに適した液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様にかかる液晶デバイスは、行列状に設けられた複数の画素と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、前記複数の第1データ線のそれぞれと第1外部端子との間のオンオフを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれと第2外部端子との間のオンオフを切り替える、スイッチ回路と、を備え、前記複数の画素は、同じ列かつ隣接する2つの画素である第1画素及び第2画素を一対の画素対として複数対の画素対を構成し、各画素対において、前記第1画素は、前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、第1画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第1液晶表示素子と、前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第1画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第1極性切り替えスイッチと、前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、を有し、前記第2画素は、前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第3サンプルホールド回路と、前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第4サンプルホールド回路と、第2画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第2液晶表示素子と、前記第3サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第4サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第2画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第2極性切り替えスイッチと、前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、を有し、各画素対において、前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタ及び前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、共通の制御信号によってオンオフの制御が行われるように構成されている。
【0008】
本発明の一態様にかかる液晶デバイスの画素検査方法は、行列状に設けられた複数の画素と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第1データ線と、前記複数の画素の各列に対応して設けられた複数の第2データ線と、前記複数の第1データ線のそれぞれと第1外部端子との間のオンオフを切り替えるとともに、前記複数の第2データ線のそれぞれと第2外部端子との間のオンオフを切り替える、スイッチ回路と、を備え、前記複数の画素は、同じ列かつ隣接する2つの画素である第1画素及び第2画素を一対の画素対として複数対の画素対を構成し、各画素対において、前記第1画素は、前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第1サンプルホールド回路と、前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第2サンプルホールド回路と、第1画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第1液晶表示素子と、前記第1サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第2サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第1画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第1極性切り替えスイッチと、前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第1スイッチトランジスタと、を有し、前記第2画素は、前記第1外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第1データ線に供給された正極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第3サンプルホールド回路と、前記第2外部端子から前記スイッチ回路を介して対応する前記第2データ線に供給された負極性の映像信号をサンプリングしてホールドする第4サンプルホールド回路と、第2画素駆動電極、共通電極、及び、それらの間に封入された液晶によって構成された第2液晶表示素子と、前記第3サンプルホールド回路にホールドされた前記正極性の映像信号の電圧、及び、前記第4サンプルホールド回路にホールドされた前記負極性の映像信号の電圧、の何れかを選択して、前記第2画素駆動電極に印可するか否かを制御する、第2極性切り替えスイッチと、前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、画素駆動電圧として前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に対して出力するか否かを切り替える第2スイッチトランジスタと、を有し、各画素対において、前記第1画素の前記第1スイッチトランジスタ及び前記第2画素の前記第2スイッチトランジスタは、共通の制御信号によってオンオフの制御が行われるように構成されている、液晶デバイスの画素検査方法であって、検査対象の前記画素対において、前記第1画素の第1スイッチトランジスタ及び前記第2画素の第2スイッチトランジスタを何れもオンし、前記第1サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出し、前記第2サンプルホールド回路から前記第1極性切り替えスイッチを介して前記第1画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出し、前記第3サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出し、前記第4サンプルホールド回路から前記第2極性切り替えスイッチを介して前記第2画素駆動電極に印可された電圧を、前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出し、前記第1画素及び前記第2画素のそれぞれから前記対応する第1データ線又は前記対応する第2データ線に読み出された電圧に基づいて、検査対象の前記画素対の故障の有無を検出する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回路規模の増大を抑制しつつ画素の検査を実行することが可能な液晶デバイス、波長選択光スイッチ装置、及び、液晶デバイスの画素検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】構想段階の液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す液晶表示装置に設けられた水平ドライバ及びアナログスイッチ部をより詳細に示す図である。
【
図3】
図1に示す液晶表示装置に設けられた画素の具体的な構成例を示す図である。
【
図4】
図1に示す液晶表示装置による画素の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】画素に書き込まれる正極性映像信号及び負極性映像信号のそれぞれの黒から白までの電圧レベルを説明するための図である。
【
図6】
図1に示す液晶表示装置の画像表示モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【
図7】実施の形態1にかかる液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図8】
図7に示す液晶表示装置に設けられた画素の具体的な構成例を示す図である。
【
図9】
図7に示す液晶表示装置の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【
図10】
図7に示す液晶表示装置の第1の変形例に設けられた一部の画素、水平ドライバ、及び、アナログスイッチ部を示す図である。
【
図11】
図7に示す液晶表示装置の第2の変形例に設けられた一部の画素、水平ドライバ、及び、アナログスイッチ部を示す図である。
【
図12】
図7に示す液晶表示装置の第3の変形例に設けられた画素の具体的な構成例を示す図である。
【
図13】
図7に示す液晶表示装置の第4の変形例の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【
図14】実施の形態2にかかる液晶表示装置の構成例を示す図である。
【
図15】
図14に示す液晶表示装置に設けられた画素及びその周辺回路の具体的な構成例を示す図である。
【
図16】
図14に示す液晶表示装置に設けられたスイッチ部、センスアンプ部、及び、ラッチ部をより詳細に示す図である。
【
図17】
図14に示す液晶表示装置の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<発明者による事前検討>
実施の形態1にかかる液晶表示装置について説明する前に、本発明者が事前検討した内容について説明する。
【0012】
(構想段階の液晶表示装置50の構成)
図1は、構想段階のアクティブマトリクス型の液晶表示装置(液晶デバイス)50の構成例を示す図である。
図1に示すように、液晶表示装置50は、画像表示部51と、タイミング発生器13と、極性切り替え制御回路14と、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15と、水平ドライバ16と、アナログスイッチ部(スイッチ回路)17と、AND回路ADA1~ADAn、ADB1~ADBnと、を備える。水平ドライバ16は、アナログスイッチ部17とともにデータ線駆動回路を構成しており、シフトレジスタ回路161と、1ラインラッチ回路162と、コンパレータ部163と、階調カウンタ164と、を有する。なお、
図1には、通常動作時に液晶表示装置50に接続されるランプ信号発生器40も示されている。
【0013】
図2は、液晶表示装置50に設けられた水平ドライバ16及びアナログスイッチ部17をより詳細に示す図である。コンパレータ部163は、m(mは2以上の整数)列の画素52に対応するm個のコンパレータ163_1~163_mを備える。アナログスイッチ部17は、m列の画素52に対応するm組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-を備える。
【0014】
画像表示部51の画素配置領域には、水平方向(X軸方向)に延びるn行(nは2以上の整数)の行走査線G1~Gn及びn行の読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnと、垂直方向(Y軸方向)に延びるm列のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-の組と、が配線されている。また、画像表示部51の画素配置領域には、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bが配線されている。
【0015】
画像表示部51は、規則的に配置された複数の画素52を有する。ここで、複数の画素52は、水平方向(X軸方向)に延びるn行の行走査線G1~Gnと、垂直方向(Y軸方向)に延びるm組のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-と、が交差する合計n×m個の交差部に二次元マトリクス状に配置されている。
【0016】
行走査線Gj(jは1~nの任意の整数)、及び、読み出し用スイッチ選択線TGjは、j行目に配置されたm個の画素52のそれぞれに共通に接続されている。また、データ線Di+,Di-(iは1~mの任意の整数)は、i列目に配置されたn個の画素52のそれぞれに共通に接続されている。さらに、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bは、何れも、全ての画素52に共通に接続されている。ただし、ゲート制御信号線S+,S-、及び、ゲート制御信号線Bは、何れも、行毎に個別に設けられても良い。
【0017】
極性切り替え制御回路14は、タイミング発生器13によって生成されたタイミング信号に基づいて、ゲート制御信号線S+に対して正極性用のゲート制御信号(以下、ゲート制御信号S+と称す)を出力し、ゲート制御信号線S-に対して負極性用ゲート制御信号(以下、ゲート制御信号S-と称す)を出力し、さらに、ゲート制御信号線Bに対してゲート制御信号(以下、ゲート制御信号Bと称す)を出力する。
【0018】
垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15は、n行の走査パルスを1行目からn行目にかけて1行ずつ順番に1水平走査期間HSTの周期で出力する。AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力するか否かを制御する。AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力するか否かを制御する。
【0019】
例えば、画素52に映像信号が書き込まれる動作(画像書き込み動作)の場合、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力する。他方、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力しない。そのため、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnは何れもLレベルに固定される。
【0020】
それに対し、画素52に書き込まれた映像信号が読み出される動作(画像読み出し動作)の場合、外部からLレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADB1~ADBnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnに出力する。他方、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力しない。そのため、行走査線G1~Gnは何れもLレベルに固定される。
【0021】
(画素52の具体的な構成例)
図3は、画素52の具体的な構成例を示す図である。ここでは、n行×m列の画素52のうちj行目かつi列目に設けられた画素52について説明する。
【0022】
図3に示すように、画素52は、NチャネルMOSトランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)Tr1,Tr2,Tr5,Tr6,Tr9と、PチャネルMOSトランジスタ(以下、単にトランジスタと称す)Tr3,Tr4,Tr7,Tr8と、を有する。
【0023】
トランジスタTr1及び保持容量Cs1は、データ線Di+を介して供給される正極性の映像信号をサンプルしてホールドするサンプルホールド回路を構成している。具体的には、トランジスタTr1では、ソースがデータ線対の一方のデータ線Di+に接続され、ドレインがトランジスタTr3のゲートに接続され、ゲートが行走査線Gjに接続されている。保持容量Cs1は、トランジスタTr3のゲートと接地電圧端子Vssとの間に設けられている。
【0024】
トランジスタTr2及び保持容量Cs2は、データ線Di-を介して供給される負極性の映像信号をサンプルしてホールドするサンプルホールド回路を構成している。具体的には、トランジスタTr2では、ソースがデータ線対の他方のデータ線Di-に接続され、ドレインがトランジスタTr4のゲートに接続され、ゲートが行走査線Gjに接続されている。保持容量Cs2は、トランジスタTr3のゲートと接地電圧端子Vssとの間に設けられている。なお、保持容量Cs1,Cs2は、互いに独立して設けられ、それぞれ正極性及び負極性の映像信号を並列的に保持する。
【0025】
トランジスタTr3,Tr7は、保持容量Cs1に保持された電圧を出力するソースフォロワバッファ(インピーダンス変換用バッファ)を構成している。具体的には、ソースフォロワのトランジスタTr3では、ドレインが接地電圧ラインVssに接続され、ソースがノードNaに接続されている。バイアス制御可能な定電流負荷として用いられるトランジスタTr7では、ソースが電源電圧ラインVddに接続され、ドレインがノードNaに接続され、ゲートがゲート制御信号線Bに接続されている。
【0026】
トランジスタTr4,Tr8は、保持容量Cs2に保持された電圧を出力するソースフォロワバッファを構成している。具体的には、ソースフォロワのトランジスタTr4では、ドレインが接地電圧ラインVssに接続され、ソースがノードNbに接続されている。バイアス制御可能な定電流負荷として用いられるトランジスタTr8では、ソースが電源電圧ラインVddに接続され、ドレインがノードNbに接続され、ゲートがゲート制御信号線Bに接続されている。
【0027】
トランジスタTr5,Tr6は、極性切り替えスイッチを構成している。具体的には、トランジスタTr5では、ソースがノードNaに接続され、ドレインが画素駆動電極PEに接続され、ゲートがゲート制御信号線対の一方のゲート制御信号線S+に接続されている。トランジスタTr6では、ソースがノードNbに接続され、ドレインが画素駆動電極PEに接続され、ゲートがゲート制御信号線対の他方のゲート制御信号線S-に接続されている。
【0028】
液晶表示素子LCは、光反射特性を有する画素駆動電極(反射電極)PEと、画素駆動電極と離間対向配置され光透過性を有する共通電極CEと、これらの間の空間領域に充填封入された液晶LCMと、によって構成される。共通電極CEには、共通電圧Vcomが印加されている。トランジスタ(スイッチトランジスタ)Tr9は、画素駆動電極PEとデータ線Di+との間に設けられ、読み出し用スイッチ選択線TGjによってオンオフを切り替える。
【0029】
データ線対Di+,Di-には、アナログスイッチ部17によってサンプリングされた互いに極性の異なる映像信号が供給される。ここで、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力された走査パルスが行走査線Gjに供給されると、トランジスタTr1,Tr2は同時にオン状態となる。それにより、保持容量Cs1,Cs2にはそれぞれ正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。
【0030】
なお、正極側及び負極側のそれぞれのソースフォロワバッファの入力抵抗はほぼ無限大である。したがって、保持容量Cs1,Cs2のそれぞれに蓄積された電荷は、リークすることなく、1垂直走査期間が経過して新たな映像信号が書き込まれるまで保持される。
【0031】
極性切り替えスイッチを構成するトランジスタTr5,Tr6は、ゲート制御信号S+,S-に応じてオンオフを切り替えることにより、正極側のソースフォロワバッファの出力電圧(正極性の映像信号の電圧)と、負極側のソースフォロワバッファの出力電圧(負極性の映像信号の電圧)と、を交互に選択して画素駆動電極PEに対して出力する。これにより、画素駆動電極PEには、周期的に極性反転する映像信号の電圧が印加される。このように、この液晶表示装置は、画素自体に極性反転機能を有しているため、各画素において、画素駆動電極PEに供給される映像信号の電圧の極性を高速に切り替えることにより、垂直走査周波数に依らず、高い周波数での交流駆動が可能となる。
【0032】
(画素52の交流駆動方法の説明)
図4は、液晶表示装置50による画素52の交流駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。ここでは、n行×m列の画素52のうちj行目かつi列目に設けられた画素52の交流駆動方法について説明する。
【0033】
なお、
図4において、VSTは、映像信号の垂直走査の基準となる垂直同期信号を表している。Bは、2種類のソースフォロワバッファの定電流負荷として用いられるトランジスタTr7,Tr8のそれぞれのゲートに供給されるゲート制御信号を表している。S+は、極性切り替えスイッチに設けられた正極側のトランジスタTr5のゲートに供給されるゲート制御信号を表している。S-は、極性切り替えスイッチに設けられた負極側のトランジスタTr6のゲートに供給されるゲート制御信号を表している。VPEは、画素駆動電極PEに印加される電圧を表している。Vcomは、共通電極CEに印加される電圧を表している。VLCは、液晶LCMに印加される交流電圧を表している。
【0034】
また、
図5は、画素52に書き込まれる正極性映像信号及び負極性映像信号のそれぞれの黒から白までの電圧レベルを説明するための図である。
図5の例では、正極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに黒レベルを表し、電圧レベルが最大のときに白レベルを表している。それに対し、負極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに白レベルを表し、電圧レベルが最大のときに黒レベルを表している。ただし、正極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに白レベルを表し、電圧レベルが最大のときに黒レベルを表すようにしてもよい。また、負極性映像信号は、電圧レベルが最小のときに黒レベルを表し、電圧レベルが最大のときに白レベルを表すようにしてもよい。なお、図中の一点鎖線は、正極性映像信号及び負極性映像信号の反転中心を示している。
【0035】
画素52において、トランジスタTr9は、読み出し用スイッチ選択線TGjがLレベルに固定されているためオフ状態を維持する。他方、トランジスタTr1,Tr2は、行走査線Gjに走査パルスが供給された場合に一時的にオンする。トランジスタTr1,Tr2がオンした場合、保持容量Cs1,Cs2にはそれぞれ正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。
【0036】
図4に示すように、ゲート制御信号S+がHレベルを示す期間、正極側のトランジスタTr5がオンする。このとき、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、トランジスタTr7がオンするため、正極性側のソースフォロワバッファがアクティブになる。それにより、画素駆動電極PEは、正極性の映像信号の電圧レベルに充電される。なお、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、トランジスタTr8がオンするため、負極性側のソースフォロワバッファもアクティブになる。しかしながら、負極性側のトランジスタTr6がオフしているため、画素駆動電極PEは、負極性の映像信号の電圧レベルに充電されることはない。画素駆動電極PEに完全に電荷が充電された時点で、ゲート制御信号BをLレベルからHレベルに切り替えるとともに、ゲート制御信号S+をHレベルからLレベルに切り替える。それにより、画素駆動電極PEがフローティング状態となるため、液晶容量には正極性の駆動電圧が保持される。
【0037】
一方、ゲート制御信号S-がHレベルを示す期間、負極側のトランジスタTr6がオンする。このとき、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、負極側のトランジスタTr8がオンするため、負極側のソースフォロワバッファがアクティブになる。それにより、画素駆動電極PEは、負極性の映像信号の電圧レベルに充電される。なお、ゲート制御信号BをLレベルにすることにより、トランジスタTr7がオンするため、正極性側のソースフォロワバッファもアクティブになる。しかしながら、正極性側のトランジスタTr5がオフしているため、画素駆動電極PEは、正極性の映像信号の電圧レベルに充電されることはない。画素駆動電極PEに完全に電荷が充電された時点で、ゲート制御信号BをLレベルからHレベルに切り替えるとともに、ゲート制御信号S-をHレベルからLレベルに切り替える。それにより、画素駆動電極PEがフローティング状態となるため、液晶容量には負極性の駆動電圧が保持される。
【0038】
上述の正極側及び負極側のそれぞれの動作を交互に繰り返すことにより、画素駆動電極PEには、正極性及び負極性のそれぞれの映像信号の電圧を用いて交流化された駆動電圧VPEが印加されることになる。
【0039】
なお、保持容量Cs1,Cs2に保持された電荷を直接に画素駆動電極PEに転送するのではなく、ソースフォロワバッファを介して転送しているため、画素駆動電極PEにおいて正極性及び負極性の映像信号の電圧の充放電を繰り返し行った場合でも、電荷を中和させることなく、電圧レベルの減衰しない画素駆動を実現することができる。
【0040】
また、
図4に示すように、画素駆動電極PEへの印加電圧VPEの電圧レベルの切り替わりに同期して、共通電極CEへの印加電圧Vcomの電圧レベルを、印加電圧VPEとは逆のレベルに切り替えている。なお、共通電極CEへの印加電圧Vcomは、画素駆動電極PEへの印加電圧VPEの反転基準電圧とほぼ等しい電圧を反転基準にしている。
【0041】
ここで、液晶LCMに印加される実質的な交流電圧VLCは、画素駆動電極PEへの印加電圧VPEと、共通電極CEへの印加電圧Vcomと、の差電圧であるから、液晶LCMには、直流成分を含まない交流電圧VLCが印加されることとなる。このように、共通電極CEへの印加電圧Vcomを画素駆動電極PEへの印加電圧VPEと逆相で切り替えることにより、画素駆動電極PEに印加すべき電圧の振幅を小さくすることができるため、画素の回路部分を構成するトランジスタの耐圧及び消費電力を低減することができる。
【0042】
なお、仮に1画素当たりのソースフォロワバッファに定常的に流れる電流が1μAの微少電流である場合でも、液晶表示装置の全画素に定常的に流れる電流は無視できないほどに大きな電流になる可能性がある。例えば、フルハイビジョン200万画素の液晶表示装置では、消費電流が2Aに達してしまう可能性がある。そこで、画素52では、定電流負荷として用いられるトランジスタTr7,Tr8を、常時オンにはせず、それぞれ正極側及び負極側のトランジスタTr5,Tr6がオンしている期間のうちの限られた期間のみオンしている。それにより、一方のソースフォロワバッファを動作させている場合には、他方のソースフォロワバッファの動作を停止させることができるため、消費電流の増大を抑制することができる。
【0043】
液晶表示素子LCの交流駆動周波数は、垂直走査周波数に依らず、画素自身の反転制御周期を調整することで自由に調整することができる。例えば、垂直走査周波数が一般的なテレビ映像信号で用いられる60Hzであって、フルハイビジョンの垂直周期走査線数nが1125ラインであるとする。また、各画素における極性切り替えを15ライン期間程度の周期で行うものとする。換言すると、各画素における極性切り替え1周期当たりのライン数rを30ラインとする。この場合、液晶の交流駆動周波数は、60Hz×1125/(15×2)=2.25kHzとなる。つまり、液晶表示装置50は、液晶の交流駆動周波数を飛躍的に高めることができる。それにより、液晶の交流駆動周波数が低い場合に問題となっていた液晶画面に表示される映像の信頼性、安定性、表示品質を大幅に向上させることができる。
【0044】
続いて、液晶表示装置50の各動作モードでの動作について説明する。
【0045】
(画像表示モードでの液晶表示装置50の動作)
まず、液晶表示装置50の画像表示モードでの動作について、
図6を用いて説明する。
図6は、液晶表示装置50の画像表示モードでの動作を示すタイミングチャートである。
【0046】
図6に示すように、水平同期信号HSTのパルス信号が供給されると、シフトレジスタ回路161は、クロック信号HCKに同期して、N(Nは2以上の整数)ビット幅の映像信号をm列分、逐次取り込む。1ラインラッチ回路162は、シフトレジスタ回路161に取り込まれたm列分の映像信号を、トリガ信号REG_Sが一時的にアクティブになったタイミングで一斉に出力する。
【0047】
階調カウンタ164は、クロック信号CNT_CKの立ち上がり回数をカウントし、そのカウント値に応じた階調レベルの階調信号Coutを出力する。ここで、階調カウンタ164は、1水平走査期間の開始時(水平同期信号HSTの立ち上がり時)には最小レベルの階調信号Coutを出力し、カウント値の上昇に伴って階調信号Coutの階調レベルを増加させ、1水平走査期間の終了時(水平同期信号HSTの次の立ち上がり直前)には最大レベルの階調信号Coutを出力する。なお、階調カウンタ164によるカウント値は、例えば水平同期信号HSTの立ち上がりに応じてリセット信号CNT_Rがアクティブになることによって“0”に初期化される。
【0048】
コンパレータ部163に設けられたm列のコンパレータ163_1~163_mは、クロック信号CMP_CKに同期して動作し、階調カウンタ164から出力された階調信号Coutが1ラインラッチ回路162から一斉に出力されたm列の映像信号(ラインデータ)のそれぞれと一致したタイミングで、一致信号P1~Pmをアクティブ(例えばLレベル)にする。
【0049】
アナログスイッチ部17に設けられたm組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-のうち、正極性側のスイッチ素子SW1+~SWm+は、それぞれ、データ線D1+~Dm+と、共通配線Dcom+と、の間に設けられている。また、負極性側のスイッチ素子SW1-~SWm-は、それぞれ、データ線D1-~Dm-と、共通配線Dcom-と、の間に設けられている。m組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、それぞれ、コンパレータ163_1~163_mからの一致信号P1~Pmによってオンオフを切り替える。
【0050】
なお、共通配線Dcom+には、ランプ信号発生器40から出力された正極性用のランプ信号である基準ランプ電圧Ref_R+が外部端子(第1外部端子)を介して供給されている。また、共通配線Dcom-には、ランプ信号発生器40から出力された負極性用のランプ信号である基準ランプ電圧Ref_R-が外部端子(第2外部端子)供給されている。
【0051】
基準ランプ電圧Ref_R+は、各水平走査期間の開始から終了にかけて映像のレベルが黒レベルから白レベルに変化する掃引信号である。基準ランプ電圧Ref_R-は、各水平走査期間の開始から終了にかけて映像のレベルが白レベルから黒レベルに変化する掃引信号である。したがって、共通電圧Vcomに対する基準ランプ電圧Ref_R+と、共通電圧Vcomに対する基準ランプ電圧Ref_R-とは、互いに反転関係となっている。
【0052】
スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、水平走査期間の開始時にスタート信号SW_Startがアクティブ(例えばHレベル)になることによって一斉にオンする。その後、スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、それぞれ、コンパレータ163_1~163_mから出力された一致信号P1~Pmがアクティブ(例えばLレベル)になることによってオンからオフに切り替わる。なお、水平走査期間の終了時にはスタート信号SW_Startはインアクティブ(例えばLレベル)になる。
【0053】
図6の例では、階調レベルkの映像信号が書き込まれる画素列、に対応して設けられたスイッチ素子SWq+,SWq-(qは1~mの何れかの整数)、のオンオフを切り替えるタイミングを表す波形が、波形SPkとして示されている。
図6を参照すると、上記スイッチ素子SWq+,SWq-は、スタート信号SW_Startの立ち上がりでオンした後、一致信号Pqがアクティブになることによってオンからオフに切り替わる。ここで、スイッチ素子SWq+,SWq-は、オンからオフに切り替わるタイミングで基準ランプ電圧Ref_R+,Ref_R-(
図6における電圧P,Q)をサンプリングする。これらのサンプリングされた電圧P,Qは、データ線Dq+,Dq-に供給される。換言すると、階調レベルkの映像信号のDA変換結果であるアナログ電圧P,Qがそれぞれデータ線Dq+,Dq-に供給される。
【0054】
なお、画像表示モードでは、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給されている。そのため、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスは、それぞれ行走査線G1~Gnに供給される。それにより、例えばj行目の各画素52に設けられたトランジスタTr1,Tr2は、一時的にオンする。その結果、j行目の各画素52に設けられた保持容量Cs1,Cs2には、それぞれ対応する正極性及び負極性の映像信号の電圧が蓄積、保持される。他方、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnはオフしているため、各画素52に設けられたトランジスタTr9はオフ状態を維持する。その後の各画素52の交流駆動方法については、既に説明した通りである。
【0055】
上述のように、スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、各水平走査期間の開始時に一斉にオンするが、それぞれ、対応する画素52に表示させる画像の階調レベルに応じた任意のタイミングでオフする。つまり、スイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は、全て同時にオフする場合もあれば、異なるタイミングでオフする場合もある。また、オフする順番も固定されていない。
【0056】
このように、液晶表示装置50は、ランプ信号を用いて映像信号をDA変換したうえで画素52に書き込むことにより、画像の直線性を向上させることができる。
【0057】
(画素検査モードでの液晶表示装置50の動作)
続いて、液晶表示装置50の画素検査モードでの動作について説明する。なお、画素検査モードでは、ランプ信号発生器40の代わりに検査装置(不図示)が設けられる。
【0058】
画素検査モードでは、まず、検査対象であるj行目のm個の画素52に対して検査用の映像信号の書き込みが行われる。このときの動作は、基本的には、画素表示モードでの動作と同様である。その後、検査対象であるj行目のm個の画素52に書き込まれた映像信号(画素駆動電圧VPE)の読み出しが行われる。
【0059】
画素読み出し動作では、外部から供給されるモード切替信号MDがHレベルからLレベルに切り替わる。そのため、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力されるj行目の走査パルスが、読み出し用スイッチ選択線TGjに供給される。それにより、検査対象であるj行目の各画素52に設けられたトランジスタTr9は、一時的にオンする。他方、行走査線Gjはオフしているため、各画素52に設けられたトランジスタTr1,Tr2はオフ状態を維持する。
【0060】
例えば、j行目かつi列目に設けられた画素52では、トランジスタTr9がオンすることによって画素駆動電極PEとデータ線Di+とが導通状態となる。このとき、トランジスタTr7,Tr8をアクティブにし、かつ、トランジスタTr5,Tr6の何れかをオンすることにより、画素駆動電極PEは、トランジスタTr3,Tr7又はトランジスタTr4,Tr8からなるソースフォロワバッファによって駆動された状態となる。それにより、ソースフォロワバッファによって画素駆動電極PEに印可されている駆動電圧VPEは、データ線Di+に読み出される。
【0061】
検査対象であるj行目のm個の画素52からデータ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の画素駆動電圧VPEは、アナログスイッチ部17に設けられたm組のSW1+,SW1-~SWm+,SWm-を順次オンすることにより、共通配線Dcom+に逐次供給される。ランプ信号発生器40の代わりに設けられた検査装置(不図示)は、共通配線Dcom+を介して逐次供給されるm個の画素駆動電圧VPEに基づいて、j行目のm個の画素52の故障(画素の欠陥及び特性劣化)の有無を検出する。
【0062】
このような検査は、1行目のm個の画素52からn行目のm個の画素52にかけて1行ずつ順番に行われる。
【0063】
ここで、検査対象の画素52では、低出力インピーダンスのソースフォロワバッファによって駆動された画素駆動電極PEの電圧VPEがそのまま読み出されるため、検査対象の画素52の欠陥や特性劣化を正確かつ容易に検出することが可能である。
【0064】
しかしながら、液晶表示装置50の構成では、n行の画素52のそれぞれに読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnが設けられているため、配線が混雑してしまう。この配線混雑を避けるために配線間隔を十分に大きくすると、画素ピッチが大きくなり、結果的に回路規模が増大してしまうという課題があった。
【0065】
具体的には、本例では、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnが、それぞれ、垂直方向(Y軸方向)に並ぶn行の画素12の間に、水平方向(X軸方向)に延在するようにして配線されている。この影響により、縦方向(Y軸方向)の画素ピッチを十分に小さくすることができない。ここで、一般的には、縦方向の画素ピッチと、横方向(X軸方向)の画素ピッチとは、同じ値に揃える必要がある。そのため、縦方向の画素ピッチを十分に小さくすることができないと、横方向の画素ピッチも十分に小さくすることができない。それにより、液晶表示装置50では、画素の小型化が困難であった。
【0066】
画素の小型化ができないと、パネルサイズが大きくなるため、ウエハ1枚から得られるチップの取れ数が少なくなり、その結果、チップコストが高くなってしまう。また、このような回路規模の大きな液晶表示装置50が搭載されたプロジェクタでは、光学系が大きくなるため、プロジェクタ本体が大型化してしまい、かつ、高価になってしまう。
【0067】
そこで、画素ピッチを小さくして回路規模の増大を抑制しつつ画素の検査を実行することが可能な、実施の形態1にかかる液晶表示装置及びその検査方法が見いだされた。
【0068】
<実施の形態1>
図7は、実施の形態1にかかる液晶表示装置(液晶デバイス)1の構成例を示す図である。液晶表示装置1では、液晶表示装置50と比較して、画素検査時に用いられる制御信号線の本数が削減されている。
【0069】
具体的には、液晶表示装置1は、液晶表示装置50と比較して、画像表示部51の代わりに画像表示部11を備えるとともに、n個のAND回路ADB1~ADBnの代わりに、n個の2分の1のp個のAND回路ADB1~ADBpを備える。なお、
図7には、通常動作時に液晶表示装置1に接続されるランプ信号発生器40も示されている。
【0070】
水平ドライバ16は、アナログスイッチ部17とともにデータ線駆動回路を構成しており、シフトレジスタ回路161と、1ラインラッチ回路162と、コンパレータ部163と、階調カウンタ164と、を有する。コンパレータ部163は、m(mは2以上の整数)列の画素12に対応するm個のコンパレータ163_1~163_mを備える。アナログスイッチ部17は、m列の画素12に対応するm組のスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-を備える。
【0071】
画像表示部11の画素配置領域には、まず、n行(nは2以上の偶数)の行走査線G1~Gnが、それぞれ、垂直方向(Y軸方向)に並ぶように、かつ、水平方向(X軸方向)に延在するようにして配線されている。なお、
図7の例では、n本の行走査線G1~Gnのうち、奇数番目の行に配線されたp本の行走査線がそれぞれ行走査線G1_u~Gp_uと表され、偶数番目の行に配線されたp本の行走査線がそれぞれ行走査線G1_d~Gp_dと表されている。
【0072】
また、
図7の例では、n個のAND回路ADA1~ADAnのうち、行走査線G1_u~Gp_uに対応して設けられた奇数番目のp個のAND回路がそれぞれAND回路ADA1_u~ADAp_uと表され、行走査線G1_d~Gp_dに対応して設けられた偶数番目のp個のAND回路がそれぞれAND回路ADA1_d~ADAp_dと表されている。
【0073】
また、画像表示部11の画素配置領域には、p(pはnの2分の1)行の読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpが、それぞれ、垂直方向に並ぶように、かつ、水平方向に延在するようにして配線されている。
【0074】
また、画像表示部11の画素配置領域には、m列のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-の組が、それぞれ、水平方向に並ぶように、かつ、垂直方向に延在するようにして配線されている。
【0075】
さらに、画像表示部11の画素配置領域には、奇数番目の行に配置された各画素12(以下、画素12_uとも称す)を制御するためのゲート制御信号線S+_u,S-_u,B_u、及び、偶数番目の行に配置された各画素12(以下、画素12_dとも称す)を制御するためのゲート制御信号線S+_d,S-_d,B_dがそれぞれ配線されている。
【0076】
画像表示部11は、規則的に配置された複数の画素12を有する。ここで、複数の画素12は、水平方向(X軸方向)に延びるn行の行走査線G1~Gn(即ち、行走査線G1_u,G1_d~Gp_u,Gp_d)と、垂直方向(Y軸方向)に延びるm組のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-と、が交差する合計n×m個の交差部に二次元マトリクス状(行列状)に配置されている。
【0077】
n本の行走査線G1~Gnのうちj(jは1~nの任意の整数)行目に配線された行走査線Gjは、j行目に配置されたm個の画素12のそれぞれに共通に接続されている。
【0078】
換言すると、まず、奇数番目の行に配線されたp(pはnの2分の1の整数)本の行走査線G1_u~Gp_uのうち、f(fは1~pの任意の整数)番目の奇数行に配線された行走査線Gf_uは、f番目の奇数行に配置されたm個の画素12_uのそれぞれに共通に接続されている。また、偶数番目の行に配線されたp本の行走査線G1_d~Gp_dのうち、f番目の偶数行に配線された行走査線Gf_dは、f番目の偶数行に配置されたm個の画素12_dのそれぞれに共通に接続されている。
【0079】
また、読み出し用スイッチ選択線TGf(fは1~pの任意の整数)は、f番目の奇数行に配置されたm個の画素12(即ち、画素12_u)、及び、f番目の偶数行に配置されたm個の画素12(即ち、画素12_d)、のそれぞれに共通に接続されている。即ち、読み出し用スイッチ選択線TGfは、m×2個の画素12に共通に接続されている。
【0080】
さらに、ゲート制御信号線S+_u,S-_u及びゲート制御信号線B_uは、何れも奇数番目の行に設けられた全ての画素12(即ち、画素12_u)に共通に接続され、かつ、ゲート制御信号線S+_d,S-_d及びゲート制御信号線B_dは、何れも偶数番目の行に設けられた全ての画素12(即ち、画素12_d)に共通に接続されている。なお、ゲート制御信号線S+_u,S-_u及びゲート制御信号線B_uは、何れも奇数番目のそれぞれの行に対して個別に設けられても良く、ゲート制御信号線S+_d,S-_d及びゲート制御信号線B_dは、何れも偶数番目のそれぞれの行に対して個別に設けられても良い。
【0081】
≪画素12の具体的な構成例≫
図8は、液晶表示装置1に設けられた画素12の具体的な構成例を示す図である。なお、
図8の例では、p行(pはnの2分の1)ある奇数行のうちf番目の奇数行、かつ、i列目、の画素12である画素(第1画素)12_uと、p行ある偶数行のうちf番目の偶数行、かつ、i列目、の画素12である画素(第2画素)12_dと、からなる一対の画素対が示されている。
【0082】
ここで、画素12_u,12_dは、基本的には画素52と同じ回路構成を有している。しかしながら、説明をわかりやすくするため、画素12_uの構成要素に付与されている符号の末尾には“_u”が付加され、画素12_dの構成要素に付与されている符号の末尾には“_d”が付加される場合がある。
【0083】
図8を参照すると、画素12_u,12_dは、垂直方向(Y軸方向)に隣接配置されており、データ線Di+,Di-を共用している。
図8の例では、画素12_u,12_dは、それらの境界線を対称軸にして対称に配置されている。
【0084】
図8の例では、画素12_uにおけるトランジスタTr1_u~Tr9_u、保持容量Cs1_u,Cs2_u、液晶表示素子LC_u、画素駆動電極PE_u、液晶LCM_uが、それぞれ画素52におけるトランジスタTr1~Tr9、保持容量Cs1,Cs2、液晶表示素子LC、画素駆動電極PE、液晶LCMに対応する。また、画素12_dにおけるトランジスタTr1_d~Tr9_d、保持容量Cs1_d,Cs2_d、液晶表示素子LC_d、画素駆動電極PE_d、液晶LCM_dが、それぞれ画素52におけるトランジスタTr1~Tr9、保持容量Cs1,Cs2、液晶表示素子LC、画素駆動電極PE、液晶LCMに対応する。
【0085】
画素12_uにおいて、トランジスタTr1_u,Tr2_uのそれぞれのゲートは何れも行走査線Gf_uに接続されている。また、トランジスタTr5_uのゲートはゲート制御信号線S+_uに接続され、トランジスタTr6_uのゲートはゲート制御信号線S-_uに接続されている。トランジスタTr7_u,Tr8_uのそれぞれのゲートは、何れもゲート制御信号線B_uに接続されている。さらに、トランジスタTr9_uのゲートは、読み出し用スイッチ選択線TGfに接続されている。
【0086】
画素12_dにおいて、トランジスタTr1_d,Tr2_dのそれぞれのゲートは何れも行走査線Gf_dに接続されている。また、トランジスタTr5_dのゲートはゲート制御信号線S+_dに接続され、トランジスタTr6_dのゲートはゲート制御信号線S-_dに接続されている。トランジスタTr7_d,Tr8_dのそれぞれのゲートは、何れもゲート制御信号線B_dに接続されている。さらに、トランジスタTr9_dのゲートは、読み出し用スイッチ選択線TGfに接続されている。
【0087】
つまり、画素12_uに設けられたトランジスタTr9_uのゲートと、画素12_dに設けられたトランジスタTr9_dのゲートとは、共通の読み出し用スイッチ選択線TGfに接続されている。各画素12_u,12_dのその他の構成については、画素52の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0088】
極性切り替え制御回路14は、タイミング発生器13によって生成されたタイミング信号に基づいて、ゲート制御信号線S+_u,S+_dに対して正極性用のゲート制御信号(ゲート制御信号S+_u,S+_d)を出力し、ゲート制御信号線S-_u,S-_dに対して負極性用ゲート制御信号(ゲート制御信号S-_u,S-_d)を出力し、さらに、ゲート制御信号線B_u,B_dに対してゲート制御信号(ゲート制御信号B_u,B_d)を出力する。
【0089】
垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15は、n行の走査パルスを1行目からn行目にかけて1行ずつ順番に1水平走査期間HSTの周期で出力する。AND回路ADA1~ADAn(換言すると、AND回路ADA1_u,ADA1_d~ADAp_u,ADAp_d)は、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gn(換言すると、行走査線G1_u,G1_d~Gp_u,Gp_d)に出力するか否かを制御する。また、AND回路ADB1~ADBpは、それぞれ、外部から供給されるモード切替信号MDに基づいて、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるp行の走査パルスを読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpに出力するか否かを制御する。
【0090】
例えば、画素12に映像信号が書き込まれる動作(画像書き込み動作)の場合、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力する。なお、このとき、AND回路ADB1~ADBpは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるp行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpに出力しない。そのため、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpは何れもLレベルに固定される。
【0091】
それに対し、画素12に書き込まれた映像信号が読み出される動作(画像読み出し動作)の場合、外部からLレベルのモード切替信号MDが供給される。この場合、AND回路ADB1~ADBpは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるp行の走査パルスを、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpに出力する。なお、このとき、AND回路ADA1~ADAnは、それぞれ、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から1行ずつ順次出力されるn行の走査パルスを行走査線G1~Gnに出力しない。そのため、行走査線G1~Gnは何れもLレベルに固定される。
【0092】
≪画素検査モードでの液晶表示装置1の動作≫
続いて、液晶表示装置1の画素検査モードでの動作について説明する。なお、画素検査モードでは、ランプ信号発生器40の代わりに検査装置が設けられる。
【0093】
図8は、既に説明したように、p行(pはnの2分の1)ある奇数行のうちf番目の奇数行、かつ、i列目、の画素12である画素12_uと、p行ある偶数行のうちf番目の偶数行、かつ、i列目、の画素12である画素12_dと、を示す図である。また、
図9は、液晶表示装置1の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。以下では、
図8に示された読み出し用スイッチ選択線TGfを共用するi列目の画素12_u,12_dの検査方法を中心に説明する。
【0094】
画素検査モードでは、まず、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)に対して検査用の映像信号の書き込みが行われる。このときの動作は、基本的には、画像表示モードにおける映像信号の書き込み動作と同様である。
【0095】
具体的には、まず、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-をオンする。それにより、水平ドライバ16から出力された検査用の映像信号がデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-に供給される。また、このとき、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給されているため、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力される走査パルスが行走査線Gf_uに供給される。行走査信号Gf_uが立ち上がることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられたトランジスタTr1_u,Tr2_uが一時的にオンするため、画素12_uに設けられた保持容量Cs1_u,Cs2_uには、それぞれデータ線Di+,Di-に供給された映像信号の電圧が蓄積、保持される(時刻t11)。他方、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_uはオフ状態を維持する。
【0096】
本例では、検査用の映像信号として、4Vの電圧がデータ線Di+に供給され、1Vの電圧がデータ線Di-に供給される。そのため、保持容量Cs1_uには、4Vの映像信号の電圧が書き込まれ、保持容量Cs2_uには、1Vの映像信号の電圧が書き込まれる。
【0097】
続いて、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)に対して検査用の映像信号の書き込みが行われる。このときの動作は、基本的には、画像表示モードにおける映像信号の書き込み動作と同様である。
【0098】
具体的には、まず、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-をオンする。それにより、水平ドライバ16から出力された検査用の映像信号がデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-に供給される。また、このとき、外部からHレベルのモード切替信号MDが供給されているため、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力される走査パルスが行走査線Gf_dに供給される。行走査信号Gf_dが立ち上がることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられたトランジスタTr1_d,Tr2_dが一時的にオンするため、画素12_dに設けられた保持容量Cs1_d,Cs2_dには、それぞれデータ線Di+,Di-に供給された映像信号の電圧が蓄積、保持される(時刻t12)。他方、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_dはオフ状態を維持する。
【0099】
本例では、検査用の映像信号として、1Vの電圧がデータ線Di+に供給され、4Vの電圧がデータ線Di-に供給される。そのため、保持容量Cs1_dには、1Vの映像信号の電圧が書き込まれ、保持容量Cs2_dには、4Vの映像信号の電圧が書き込まれる。
【0100】
保持容量Cs1_u,Cs2_u,Cs1_d,Cs2_dに映像信号が書き込まれた後、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は何れもオフに制御される。それにより、水平ドライバ16からデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-への映像信号の供給が停止する。
【0101】
その後、画素12_u,12_dに書き込まれた映像信号の読み出しが行われる。
まず、読み出し前の準備動作として、外部から供給されるモード切替信号MDは、HレベルからLレベルに切り替わる。それにより、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力される走査パルスが読み出し用スイッチ選択線TGfに供給される。それにより、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_uがオンする。同時に、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む行のm個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_dもオンする。
【0102】
読み出し用スイッチ選択線TGfが立ち上がると、画素12_uに設けられた画素駆動電極PE_uと、データ線Di+と、が導通状態になるとともに、画素12_dに設けられた画素駆動電極PE_dと、データ線Di+と、が導通状態になる(時刻t13)。
【0103】
なお、このとき、画素12_uのトランジスタTr5_u,Tr6_u、及び、画素12_dのトランジスタTr5_d,Tr6_dは、何れもオフしている。そのため、画素12_u,12_dの構成要素のうち、画素駆動電極PE_u,PE_dのみがデータ線Di+に接続された状態となっている。
【0104】
本例では、検査用の映像信号として、1Vの電圧がデータ線Di+に供給されている。そのため、画素駆動電極PE_u,PE_dには、何れもソースフォロワのオフセットを考慮して凡そ1Vの電圧VPE_u,VPE_dが書き込まれることになる。
【0105】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、データ線Di+の電圧は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が1Vを示すことを検出した場合、画素駆動電極PE_u,PE_dが電源電圧及び接地電圧の何れにもショートしていないと判定し、データ線Di+が電源電圧又は接地電圧の値を示すことを検出した場合、画素駆動電極PE_u,PE_dの少なくとも何れかが電源電圧又は接地電圧にショートしていると判定する。
【0106】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_u,12_dを含む検査対象の2行のm×2個の画素12に設けられた画素駆動電極PEが電源電圧又は接地電圧にショートしていないかどうかを検査することができる。
【0107】
読み出し前の準備動作が完了すると、例えば、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側の保持容量Cs1_uに書き込まれた正極性の映像信号のデータ線Di+への読み出しが行われる。
【0108】
具体的には、まず、ゲート制御信号B_uをアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の、トランジスタTr3_u,Tr7_uからなるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4_u,Tr8_uからなるソースフォロワバッファを動作させる(時刻t14)。
【0109】
その後、ゲート制御信号S+_uをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側のトランジスタTr5_uをオンする(時刻t15)。それにより、保持容量Cs1_uに保持された正極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_uに伝達し、その画素駆動電極PE_uの電圧VPE_uは、トランジスタTr9_uを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。
【0110】
ここで、トランジスタTr3_u,Tr7_uは、ソースフォロワバッファを構成しているため、データ線Di+の電圧が、保持容量Cs1_uに保持された正極性の映像信号の電圧にトランジスタTr3_uの閾値電圧を加えた電圧に達するまで、当該データ線Di+を駆動し続けることができる。
【0111】
本例では、保持容量Cs1_uに4Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr3_u,Tr7_uからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_uを、トランジスタTr3_uの閾値電圧分を考慮した約5.5Vまで駆動し、さらには、データ線Di+を約5.5Vまで駆動する。
【0112】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、画素12_uからデータ線Di+に読み出された5.5Vの映像信号は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が5.5Vを示すことを検出した場合、トランジスタTr1_u,Tr3_u,Tr5_u,Tr7_u及び保持容量Cs1_uに異常が無いと判定し、データ線Di+が5.5V以外を示すことを検出した場合、トランジスタTr1_u,Tr3_u,Tr5_u,Tr7_u及び保持容量Cs1_uの何れかに異常があると判定する。
【0113】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12のそれぞれについて、正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量に異常が無いかどうかを検査することができる。
【0114】
その後、ゲート制御信号S+_uをインアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側のトランジスタTr5_uをオフする(時刻t16)。それにより、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられた正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量の検査が終了する。
【0115】
続いて、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の負極性側の保持容量Cs2_uに書き込まれた負極性の映像信号のデータ線Di+への読み出しが行われる。
【0116】
具体的には、ゲート制御信号S-_uをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の負極性側のトランジスタTr6_uをオンする(時刻t17)。それにより、保持容量Cs2_uに保持された負極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_uに伝達し、その画素駆動電極PE_uの電圧VPE_uは、トランジスタTr9_uを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。
【0117】
ここで、トランジスタTr4_u,Tr8_uは、ソースフォロワバッファを構成しているため、データ線Di+の電圧が、保持容量Cs2_uに保持された負極性の映像信号の電圧にトランジスタTr4_uの閾値電圧を加えた電圧に達するまで、当該データ線Di+を駆動し続けることができる。
【0118】
本例では、保持容量Cs2_uに1Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr4_u,Tr8_uからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_uを、トランジスタTr4_uの閾値電圧分を考慮した約1.8Vまで駆動し、さらには、データ線Di+を約1.8Vまで駆動する。
【0119】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、画素12_uからデータ線Di+に読み出された1.8Vの映像信号は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が1.8Vを示すことを検出した場合、トランジスタTr2_u,Tr4_u,Tr6_u,Tr8_u及び保持容量Cs2_uに異常が無いと判定し、データ線Di+が1.8V以外を示すことを検出した場合、トランジスタTr2_u,Tr4_u,Tr6_u,Tr8_u及び保持容量Cs2_uの何れかに異常があると判定する。
【0120】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12のそれぞれについて、負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量に異常が無いかどうかを検査することができる。
【0121】
その後、ゲート制御信号S-_uをインアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の負極性側のトランジスタTr6_uをオフする(時刻t18)。それにより、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられた負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量の検査が終了する。
【0122】
続いて、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側の保持容量Cs1_dに書き込まれた正極性の映像信号のデータ線Di+への読み出しが行われる。
【0123】
具体的には、まず、ゲート制御信号B_dをアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の、トランジスタTr3_d,Tr7_dからなるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4_d,Tr8_dからなるソースフォロワバッファを動作させる(時刻t19)。
【0124】
その後、ゲート制御信号S+_dをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側のトランジスタTr5_dをオンする(時刻t20)。それにより、保持容量Cs1_dに保持された正極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_dに伝達し、その画素駆動電極PE_dの電圧VPE_dは、トランジスタTr9_dを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。
【0125】
ここで、トランジスタTr3_d,Tr7_dは、ソースフォロワバッファを構成しているため、データ線Di+の電圧が、保持容量Cs1_dに保持された正極性の映像信号の電圧にトランジスタTr3_dの閾値電圧を加えた電圧に達するまで、当該データ線Di+を駆動し続けることができる。
【0126】
本例では、保持容量Cs1_dに1Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr3_d,Tr7_dからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_dを、トランジスタTr3_dの閾値電圧分を考慮した約1.8Vまで駆動し、さらには、データ線Di+を約1.8Vまで駆動する。
【0127】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、画素12_uからデータ線Di+に読み出された1.8Vの映像信号は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が1.8Vを示すことを検出した場合、トランジスタTr1_d,Tr3_d,Tr5_d,Tr7_d及び保持容量Cs1_dに異常が無いと判定し、データ線Di+が1.8V以外を示すことを検出した場合、トランジスタTr1_d,Tr3_d,Tr5_d,Tr7_d及び保持容量Cs1_dの何れかに異常があると判定する。
【0128】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12のそれぞれについて、正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量に異常が無いかどうかを検査することができる。
【0129】
その後、ゲート制御信号S+_dをインアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側のトランジスタTr5_dをオフする(時刻t21)。それにより、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられた正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量の検査が終了する。
【0130】
続いて、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の負極性側の保持容量Cs2_dに書き込まれた負極性の映像信号のデータ線Di+への読み出しが行われる。
【0131】
具体的には、ゲート制御信号S-_dをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の負極性側のトランジスタTr6_dをオンする(時刻t22)。それにより、保持容量Cs2_dに保持された負極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_dに伝達し、その画素駆動電極PE_dの電圧VPE_dは、トランジスタTr9_dを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。
【0132】
ここで、トランジスタTr4_d,Tr8_dは、ソースフォロワバッファを構成しているため、データ線Di+の電圧が、保持容量Cs2_dに保持された負極性の映像信号の電圧にトランジスタTr4_dの閾値電圧を加えた電圧に達するまで、当該データ線Di+を駆動し続けることができる。
【0133】
本例では、保持容量Cs2_dに4Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr4_d,Tr8_dからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_dを、トランジスタTr4_dの閾値電圧分を考慮した約5.5Vまで駆動し、さらには、データ線Di+を約5.5Vまで駆動する。
【0134】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、画素12_dからデータ線Di+に読み出された5.5Vの映像信号は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が5.5Vを示すことを検出した場合、トランジスタTr2_d,Tr4_d,Tr6_d,Tr8_d及び保持容量Cs2_dに異常が無いと判定し、データ線Di+が5.5V以外を示すことを検出した場合、トランジスタTr2_d,Tr4_d,Tr6_d,Tr8_d及び保持容量Cs2_dの何れかに異常があると判定する。
【0135】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12のそれぞれについて、負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量に異常が無いかどうかを検査することができる。
【0136】
その後、ゲート制御信号S-_dをインアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の負極性側のトランジスタTr6_dをオフする(時刻t23)。それにより、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)に設けられた負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量の検査が終了する。
【0137】
その後、外部から供給されるモード切替信号MDは、LレベルからHレベルに切り替わる。それにより、読み出し用スイッチ選択線TGfがLレベルに固定されるため、画素12_u,12_d(より詳細には、画素12_u,12_dを含む行のm×2個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_u,Tr9_dはオフする(時刻t24)。それにより、画素12_u,12_d(より詳細には、画素12_u,12_dを含む行のm×2個の画素12)に設けられたトランジスタ及び保持容量の検査が終了する。
【0138】
このような検査は、1行目のm個の画素12からn行目のm個の画素12にかけて2行ずつ順番に行われる。
【0139】
このように、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、各画素12を構成するトランジスタTr1~Tr9及び保持容量Cs1,Cs2のそれぞれが正常に動作しているか否かを検査することができる。
【0140】
また、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、n行の画素のそれぞれにn本の読み出し用スイッチ選択線TG1~TGnが設けられるのではなく、n行の画素12に対してn行の2分の1のp本の読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpが設けられている。換言すると、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、2行分のm×2個の画素12に対して1本の読み出し用スイッチ選択線が設けられている。それにより、本実施の形態にかかる液晶表示装置1では、液晶表示装置50の場合と比較して、横方向だけでなく縦方向の画素ピッチを小さくすることが可能になるため、結果的に回路規模の増大を抑制することができる。
【0141】
要するに、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、回路規模の増大を抑制しつつ、画素の検査を実行することができる。
【0142】
画素の小型化により、パネルサイズの小型化が可能になるため、ウエハ1枚から得られるチップの取れ数が多くなり、その結果、チップコストが削減される。また、このような回路規模の小さい液晶表示装置1が搭載されたプロジェクタでは、光学系の規模が抑制されるため、プロジェクタ本体の小型化及びコスト削減を実現することができる。
【0143】
例えば、液晶表示装置50では、1画素当たりの画素ピッチが6umであったのに対し、液晶表示装置1では、1画素当たりの画素ピッチを5.5um程度にまで小さくすることができる。これは多画素化に非常に有効である。例えば、4K2Kの場合、縦方向に2000画素が必要であるため、1画素当たり0.5umの小型化により、画素全体では1mm程度の小型化を実現することができる。
【0144】
なお、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpは、ウエハ完成後かつダイシング前に行われるチップの不良を判別するためのプローブテストでしか使用されない。そのため、プローブテスト後にウエハから切り出された各チップでは、例えば、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpがLレベルの電圧に固定される。ここで、各チップでは、所定電圧に固定された読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpが、それらを挟むように配置された画素12間において発生し得る信号クロストークを抑制するシールドとしての役割を果たす。
【0145】
例えば、読み出し用スイッチ選択線TGf(fは1~pのうちの任意の整数)を挟むように配置された画素12_u,12_dには、互いに独立した映像信号(アナログ信号)が書き込まれる。ここで、画素12_u,12_d間において信号クロストークが発生した場合、画素12_u,12_dはそれぞれ正確な絵を表示させることができなくなってしまう。
【0146】
具体的には、本例では、画素12に書き込まれる映像信号はアナログ階調によって表現されており、例えば10ビット幅の階調で5.5Vが表現される場合、1階調は5.3mVである。そのため、5.3mVを超える信号クロストークによって信号電圧にズレが発生した場合、画素12_u,12_dはそれぞれ正確な絵を表示させることができなくなってしまう。
【0147】
しかしながら、プローブテスト後にウエハから切り出された各チップでは、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpが何れもLレベルの電圧に固定されている。そのため、例えば、画素12_u,12_d間に配線された読み出し用スイッチ選択線TGfは、画素12_u,12_d間において発生し得る信号ストロークを抑制することができる。即ち、各チップでは、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpが、それぞれを挟むように配置された画素12間において発生し得る信号クロストークを抑制することができる。
【0148】
通常、画素ピッチを小型化するためには、信号線などの配線間の隙間を狭くする必要があるが、配線間隔を狭くすると配線間において信号クロストークが多く発生してしまう。それに対し、本実施の形態では、画素ピッチを小型化することができるだけでなく、読み出し用スイッチ選択線TG1~TGpによって、それぞれを挟むように配置された画素間において発生し得る信号ストロークを抑制することができる。
【0149】
また、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、トランジスタTr3,Tr7によって構成されるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4,Tr8によって構成されるソースフォロワバッファ、のそれぞれの閾値電圧のばらつきやリーク電流量などを検査することもできる。さらに、本実施の形態にかかる液晶表示装置1は、これらの閾値電圧のばらつきを補正したり、リーク電流を考慮した映像信号の書き込みを行ったりすることもできる。
【0150】
例えば、検査時において、閾値電圧のばらつきに応じた画素駆動電圧VPEのばらつき量を読み出して外部メモリに格納しておき、検査後の通常動作時において、外部メモリに格納されたばらつき量に対応するオフセットを反映させることによって、画素ごとの閾値電圧のばらつきをキャンセルすることができる。これにより、閾値電圧のばらつきによって発生する画面上の映像のざらつきが抑えられるため、均一な表示特性が得られる。
【0151】
また、例えば、検査時において、リーク電流量及びその画素位置を特定しておき、検査後の通常動作時において、リーク量を考慮した映像信号を対象となる位置の画素に書き込むことによって、画素ごとのリーク電流量のばらつきをキャンセルすることができる。これにより、リーク電流量が多いために廃棄されていたチップの使用が可能になるため、歩留まりが向上する。
【0152】
本実施の形態では、画素12_uの正極性側、画素12_uの負極性側、画素12_dの正極性側、及び、画素12_dの負極性側、の順に異常が無いかどうかの検査が行われた場合を例に説明したが、これに限られない。検査の順序は適宜変更可能である。
【0153】
続いて、液晶表示装置1のいくつかの変形例を説明する。
【0154】
≪液晶表示装置1の第1の変形例≫
図10は、液晶表示装置1の第1の変形
例に設けられた一部の画素12、水平ドライバ16、及び、アナログスイッチ部17を示す図である。
【0155】
液晶表示装置1
の第1の変形例では、m列の画素12のそれぞれに設けられたm列トランジスタTr9が、それぞれデータ線D1+~Dm+に接続されていた。それに対し、液晶表示装置1
の第1の変形例では、
図10に示すように、奇数列の画素12のそれぞれに設けられた奇数列のトランジスタTr9(Tr9_u,Tr9_d)が、それぞれ奇数列かつ正極性側のデータ線D1+,D3+,・・・,D(m-1)+に接続され、偶数列の画素12のそれぞれに設けられた偶数列のトランジスタTr9(Tr9_u,Tr9_d)が、それぞれ偶数列かつ負極性側のデータ線D2-,D4-,・・・,Dm-に接続されている。
【0156】
それにより、液晶表示装置1の第1の変形例は、水平方向(横方向)に隣接する2つの画素12のそれぞれに書き込まれた検査用の映像信号を、2つの共通配線Dcom+,Dcom-を用いて同時に読み出すことができる。例えば、液晶表示装置1の第1の変形例は、1列目の画素12に書き込まれた検査用の映像信号を、データ線D1+、スイッチ素子SW1+及び共通配線Dcom+を介して読み出しつつ、2列目の画素12に書き込まれた検査用の映像信号を、データ線D2-、スイッチ素子SW2-及び共通配線Dcom-を介して読み出すことなどができる。それにより、外部の検査装置(不図示)による全ての画素12の検査の短縮が可能である。
【0157】
≪液晶表示装置1の第2の変形例≫
図11は、液晶表示装置1の第2の変形
例に設けられた一部の画素12、水平ドライバ16、及び、アナログスイッチ部17を示す図である。
【0158】
図11に示す液晶表示装置1
の第2の変形例では、共通配線Dcom+が4本の共通配線Dcom1+~Dcom4+によって構成され、共通配線Dcom-が4本の共通配線Dcom1-~Dcom4-によって構成されている。液晶表示装置1
の第2の変形例のその他の構成については、液晶表示装置1
の第1の変形例の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0159】
ここで、液晶表示装置1の第2の変形例では、正極性側のデータ線D1+~Dm+が、アナログスイッチ部17を介して、共通配線Dcom1+~Dcom4+に分散して接続され、負極性側のデータ線D1-~Dm-が、アナログスイッチ部17を介して、共通配線Dcom1-~Dcom4-に分散して接続されている。
【0160】
それにより、液晶表示装置1の第2の変形例は、水平方向(横方向)に隣接する8個の画素12のそれぞれに書き込まれた検査用の映像信号を、8つの共通配線Dcom1+~Dcom4+,Dcom1-~Dcom4-を用いて同時に読み出すことができる。それにより、外部の検査装置(不図示)による全ての画素12の検査のさらなる短縮が可能である。
【0161】
図11の例では、共通配線Dcom+が4本の共通配線Dcom1+~Dcom4+によって構成され、共通配線Dcom-が4本の共通配線Dcom1-~Dcom4-によって構成されている場合について説明したが、これに限られない。共通配線Dcom+は、2以上の任意の数の共通配線によって構成されても良いし、共通配線Dcom-は、2以上の任意の数の共通配線によって構成されても良い。
【0162】
≪液晶表示装置1の第3の変形例≫
図12は、液晶表示装置1の第3の変形
例に設けられた一部の画素12を示す図である。なお、
図12の例では、p行(pはnの2分の1)ある奇数行のうちf(fは1~pの任意の整数)番目の奇数行、かつ、i列目、の画素12である画素12_uと、p行ある偶数行のうちf番目の偶数行、かつ、i列目、の画素12である画素12_dと、が示されている。
【0163】
図8の例では、画素12_u,12_dのそれぞれに設けられたトランジスタTr9_u,Tr9_dが何れも正極性側のデータ線Di+に接続されていた。それに対し、
図12の例では、画素12_uに設けられたトランジスタTr9_uが正極性側のデータ線Di+に接続され、画素12_dに設けられたトランジスタTr9_dが負極性側のデータ線Di-に接続されている。
【0164】
それにより、液晶表示装置1の第3の変形例は、読み出し用スイッチ選択線TGfを共用する一対の画素12_u,12_dのそれぞれに書き込まれた検査用の映像信号を、2つの共通配線Dcom+,Dcom-を用いて同時に読み出すことができる。
【0165】
具体的には、例えば、液晶表示装置1の第3の変形例は、1行目かつ1列目の画素12に書き込まれた検査用の映像信号を、データ線D1+、スイッチ素子SW1+及び共通配線Dcom+を介して読み出しつつ、2行目かつ1列目の画素12に書き込まれた検査用の映像信号を、データ線D1-、スイッチ素子SW-及び共通配線Dcom-を介して読み出すことなどができる。それにより、外部の検査装置(不図示)による全ての画素12の検査の短縮が可能である。
【0166】
なお、共通配線Dcom+は2本以上の共通配線によって構成され、共通配線Dcom-は2本以上の共通配線によって構成されてもよい。この場合、正極性側のデータ線D1+~Dm+が、アナログスイッチ部17を介して、共通配線Dcom+を構成する複数の共通配線に分散して接続され、負極性側のデータ線D1-~Dm-が、アナログスイッチ部17を介して、共通配線Dcom-を構成する複数の共通配線に分散して接続される。それにより、外部の検査装置(不図示)による全ての画素12の検査のさらなる短縮が可能である。
【0167】
≪液晶表示装置1の第4の変形例≫
図13は、液晶表示装置1の第4の変形
例の動作を示すタイミングチャートである。
【0168】
図13に示すように、液晶表示装置1
の第4の変形例では、液晶表示装置1の場合と比較して、画素12_uに書き込まれた正極性及び負極性の映像信号の読み出しタイミングを遅らせることにより、画素12_u,12_dのそれぞれに書き込まれた正極性の映像信号の読み出しタイミングを同じにするとともに、画素12_u,12_dのそれぞれに書き込まれた負極性の映像信号の読み出しタイミングを同じにしている。以下、詳細に説明する。
【0169】
全ての画素12に検査用の映像信号が書き込まれた後、読み出し前の準備動作を経て、画素12_u,12_dの正極性側の保持容量Cs1_u,Cs1_dに書き込まれた正極性の映像信号のデータ線Di+への読み出しが行われる。
【0170】
具体的には、ゲート制御信号B_uをアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_uの、トランジスタTr3_u,Tr7_uからなるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4_u,Tr8_uからなるソースフォロワバッファを動作させる(時刻t19)。同時に、ゲート制御信号B_dをアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_dの、トランジスタTr3_d,Tr7_dからなるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4_d,Tr8_dからなるソースフォロワバッファを動作させる(時刻t19)。
【0171】
その後、ゲート制御信号S+_uをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_uの正極性側のトランジスタTr5_uをオンする(時刻t20)。それにより、保持容量Cs1_uに保持された正極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_uに伝達し、その画素駆動電極PE_uの電圧VPE_uは、トランジスタTr9_uを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。同時に、ゲート制御信号S+_dをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_dの正極性側のトランジスタTr5_dをオンする(時刻t20)。それにより、保持容量Cs1_dに保持された正極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_dに伝達し、その画素駆動電極PE_dの電圧VPE_dは、トランジスタTr9_dを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。
【0172】
本例では、保持容量Cs1_uに4Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr3_u,Tr7_uからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_uを5.5Vまで駆動する。また、保持容量Cs1_dに1Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr3_d,Tr7_dからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_dを1.8Vまで駆動する。そのため、トランジスタTr9_u,Tr9_dが同時にオンすることにより、データ線Di+は正常であれば3.65V(=(5.5V+1.8V)/2)を示す。
【0173】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、画素12_u,12_dからデータ線Di+に読み出された3.65Vの映像信号は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が3.65Vを示すことを検出した場合、画素12_u,12_dのそれぞれの正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量に異常が無いと判定し、データ線Di+が3.65V以外を示すことを検出した場合、画素12_u,12_dのそれぞれの正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量の何れかに異常があると判定する。
【0174】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_u,12_dを含む検査対象の行のm×2個の画素12のそれぞれについて、正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量に異常が無いかどうかを検査することができる。
【0175】
その後、ゲート制御信号S+_u,S+_dをインアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_u,12_dの正極性側のトランジスタTr5_dをオフする(時刻t21)。それにより、画素12_u,12_dに設けられた正極性側のトランジスタ及び正極性側の保持容量の検査が終了する。
【0176】
続いて、画素12_u,12_dの負極性側の保持容量Cs2_u,Cs2_dに書き込まれた負極性の映像信号のデータ線Di+への読み出しが行われる。
【0177】
具体的には、ゲート制御信号S-_uをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_uの負極性側のトランジスタTr6_uをオンする(時刻t22)。それにより、保持容量Cs2_uに保持された負極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_uに伝達し、その画素駆動電極PE_uの電圧VPE_uは、トランジスタTr9_uを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。同時に、ゲート制御信号S-_dをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_dの負極性側のトランジスタTr6_dをオンする(時刻t22)。それにより、保持容量Cs2_dに保持された負極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_dに伝達し、その画素駆動電極PE_dの電圧VPE_dは、トランジスタTr9_dを介して、データ線Di+に伝達する(読み出される)。
【0178】
本例では、保持容量Cs2_uに1Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr4_u,Tr8_uからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_uを、トランジスタTr4_uの閾値電圧分を考慮した約1.8Vまで駆動する。また、保持容量Cs2_dに4Vの電圧が保持されている。そのため、トランジスタTr4_d,Tr8_dからなるソースフォロワバッファは、画素駆動電極PE_dを、トランジスタTr4_dの閾値電圧分を考慮した約5.5Vまで駆動する。そのため、トランジスタTr9_u,Tr9_dが同時にオンすることにより、データ線Di+は正常であれば3.65V(=(1.8V+5.5V)/2)を示す。
【0179】
ここで、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を一時的にオンする。それにより、画素12_u,12_dからデータ線Di+に読み出された3.65Vの映像信号は、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SWi+を介して、検査装置(不図示)に供給される。この検査装置は、例えば、データ線Di+が3.65Vを示すことを検出した場合、画素12_u,12_dのそれぞれの負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量に異常が無いと判定し、データ線Di+が3.65V以外を示すことを検出した場合、画素12_u,12_dのそれぞれの負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量の何れかに異常があると判定する。
【0180】
同様にして、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+~SWm+を一つずつ順番に一時的にオンすることにより、検査装置は、画素12_u,12_dを含む検査対象の行のm×2個の画素12のそれぞれについて、負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量に異常が無いかどうかを検査することができる。
【0181】
その後、ゲート制御信号S-_u,S-_dをインアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_u,12_dの負極性側のトランジスタTr6_dをオフする(時刻t23)。それにより、画素12_u,12_dに設けられた負極性側のトランジスタ及び負極性側の保持容量の検査が終了する。
【0182】
その後、外部から供給されるモード切替信号MDは、LレベルからHレベルに切り替わる。それにより、読み出し用スイッチ選択線TGfがLレベルに固定されるため、画素12_u,12_d(より詳細には、画素12_u,12_dを含む行のm×2個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_u,Tr9_dはオフする(時刻t24)。それにより、画素12_u,12_d(より詳細には、画素12_u,12_dを含む行のm×2個の画素12)に設けられたトランジスタ及び保持容量の検査が終了する。
【0183】
このような検査は、1行目のm個の画素12からn行目のm個の画素12にかけて2行ずつ順番に行われる。
【0184】
このように、本実施の形態にかかる液晶表示装置1の第4の変形例は、各画素12を構成するトランジスタTr1~Tr9及び保持容量Cs1,Cs2のそれぞれが正常に動作しているか否かを、液晶表示装置1の場合よりも速やかに検査することができる。
【0185】
本実施の形態では、画素12_uの保持容量Cs1_uに4Vの電圧が保持され、画素12_dの保持容量Cs1_dに1Vの電圧が保持された場合を例に説明したが、これに限られない。保持容量Cs1_u,Cs1_dにはそれぞれ任意の電圧が保持されて良い。同様に、本実施の形態では、画素12_uの保持容量Cs2_uに1Vの電圧が保持され、画素12_dの保持容量Cs2_dに4Vの電圧が保持された場合を例に説明したが、これに限られない。保持容量Cs2_u,Cs2_dにはそれぞれ任意の電圧が保持されて良い。
【0186】
<実施の形態2>
図1に示した液晶表示装置50では、検査対象の画素52から読み出された画素駆動電圧VPEが、データ線Di+、スイッチ素子SWi+、及び、共通配線Dcom+を介して、外部の検査装置(不図示)に出力される。そのため、検査対象の画素52のソースフォロワバッファは、大きな負荷容量及び大きな抵抗を持った配線を駆動する必要がある。
【0187】
具体的には、データ線Di+には、n行分の画素52の配線容量が付加されている。例えば、FHD(Full High Definition)の場合、データ線Di+には1080画素分の配線容量(例えば1pF)が付加されている。また、共通配線Dcom+には、例えば5pFの配線容量が付加されている。そのため、検査対象の画素52のソースフォロワバッファは、画素駆動電圧VPEを保持容量Cs1,Cs2の何れかの保持電圧と同等レベルに安定させるために、長時間かけて合計6pF程度の高い負荷容量の充電を行う必要がある。また、画素検査モードでは、全ての画素52のそれぞれの画素駆動電圧VPEがシリアルに読み出されるため、検査装置による検査時間が非常に長くなってしまう。つまり、液晶表示装置50では、検査装置による画素52の検査を速やかに実行させることができないという問題があった。検査時間の長時間化は、検査コストの増大を引き起こす。
【0188】
なお、検査時間を短くするために、画素駆動電圧VPEが安定するのを待たずに検査対象の画素52の検査が行われた場合、検査装置は、検査対象の画素52の欠陥や特性劣化を正確に検出することができない。この場合、例えば、画像表示部51に全体の画像を表示させてみなければ画素欠陥を特定することができないため、液晶組み立てや投影評価などの工数が増大してしまい、その結果、コストが増大してしまう。
【0189】
そこで、画素の速やかな検査を実行して例えば検査コストを削減することが可能な、実施の形態2にかかる液晶表示装置及びその検査方法が見いだされた。
【0190】
図14は、実施の形態2にかかる液晶表示装置2の構成例を示す図である。なお、
図14には、通常動作時に液晶表示装置2に接続されるランプ信号発生器40も示されている。また、
図15は、液晶表示装置2に設けられた画素12及びその周辺回路の具体的な構成例を示す図である。なお、
図15の例では、p行(pはnの2分の1)ある奇数行のうちf番目の奇数行、かつ、i列目、の画素12である画素12_uと、p行ある偶数行のうちf番目の偶数行、かつ、i列目、の画素12である画素12_dと、からなる一対の画素対が示されている。ここで、液晶表示装置2は、液晶表示装置1の場合と比較して、画素12への映像信号の書き込み経路とは別に、画素12からの映像信号の読み出し経路をさらに備える。
【0191】
具体的には、液晶表示装置2は、液晶表示装置1と比較して、スイッチ部18、センスアンプ部19、ラッチ部20、及び、シフトレジスタ回路21をさらに備える。また、
図15を参照すると、液晶表示装置2では、液晶表示装置1の第3の変形
例の場合と同様に、読み出し用スイッチ選択線TGfを共用するi列目の画素12_u,12_dのうち、画素12_uに設けられたトランジスタTr9_uが正極性側のデータ線Di+に接続され、画素12_dに設けられたトランジスタTr9_dが負極性側のデータ線Di-に接続されている。
【0192】
スイッチ部18は、検査対象の行のm個の画素12からm本のデータ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の画素駆動電圧VPEを、ノードNd1_1~Nd1_mに出力するか否かを切り替える。また、スイッチ部18は、検査対象の行のm個の画素12からm本のデータ線D1-~Dm-のそれぞれに読み出されたm個の画素駆動電圧VPEを、ノードNd2_1~Nd2_mに出力するか否かを切り替える。さらに、スイッチ部18は、m組のデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-に対して電圧供給線midの所定電圧(所定電圧mid)を出力するか否かの切り替えも行う。
【0193】
センスアンプ部19は、m本のデータ線D1+~Dm+からスイッチ部18を介してノードNd1_1~Nd1_mに出力された電圧と、m本のデータ線D1-~Dm-からスイッチ部18を介してノードNd2_1~Nd2_mに出力された電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、増幅信号e_1~e_mを出力する。ラッチ部20は、センスアンプ部19から出力された増幅信号e_1~e_mをラッチして一斉に出力する。
【0194】
図16は、液晶表示装置2に設けられたスイッチ部18、センスアンプ部19及びラッチ部20をより詳細に示す図である。スイッチ部18は、m個のスイッチ素子SW2_1~SW2_mと、m個のスイッチ素子SW3_1~SW3_mと、m個のスイッチ素子SW7_1~SW7_mと、m個のスイッチ素子SW8_1~SW8_mと、を備える。センスアンプ部19は、m個のセンスアンプSA_1~SA_mを備える。ラッチ部20は、m個のスイッチ素子SW4_1~SW4_mを備える。
【0195】
スイッチ部18において、スイッチ素子SW2_1~SW2_mは、それぞれ、データ線D1+~Dm+とノードNd1_1~Nd1_mとの間に設けられ、切替信号KSWによってオンオフを切り替える。スイッチ素子SW3_1~SW3_mは、それぞれ、ノードNd1_1~Nd1_mと電圧供給線midとの間に設けられ、切替信号nutによってオンオフを切り替える。また、スイッチ素子SW7_1~SW7_mは、それぞれ、データ線D1-~Dm-とノードNd2_1~Nd2_mとの間に設けられ、切替信号KSWによってオンオフを切り替える。スイッチ素子SW8_1~SW8_mは、それぞれ、ノードNd2_1~Nd2_mと電圧供給線midとの間に設けられ、切替信号nutによってオンオフを切り替える。
【0196】
センスアンプ部19において、センスアンプSA_1~SA_mは、ノードNd1_1~Nd1_mの電圧と、ノードNd2_1~Nd2_mの電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、増幅信号e_1~e_mを出力する。ラッチ部20において、スイッチ素子SW4_1~SW4_mは、それぞれ、増幅信号e_1~e_mが伝搬する信号線上に設けられ、トリガ信号Tlatによってオンオフを切り替える。
【0197】
例えば、スイッチ素子SW2_1~SW2_mをオンし、スイッチ素子SW3_1~SW3_mをオンすることにより、m個のデータ線D1+~Dm+と電圧供給線midとがショートする。それにより、m個のデータ線D1+~Dm+の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。同様に、スイッチ素子SW7_1~SW7_mをオンし、スイッチ素子SW8_1~SW8_mをオンすることにより、m個のデータ線D1-~Dm-と電圧供給線midとがショートする。それにより、m個のデータ線D1-~Dm-の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。
【0198】
また、例えば、スイッチ素子SW2_1~SW2_mをオンし、スイッチ素子SW3_1~SW3_mをオフすることにより、検査対象の行のm個の画素12からm個のデータ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の画素駆動電圧VPEがノードNd1_1~Nd1_mに出力される。同様に、スイッチ素子SW7_1~SW7_mをオンし、スイッチ素子SW8_1~SW8_mをオフすることにより、検査対象の行のm個の画素12からm個のデータ線D1-~Dm-のそれぞれに読み出されたm個の画素駆動電圧VPEがノードNd2_1~Nd2_mに出力される。このとき、センスアンプSA_1~SA_mは、ノードNd1_1~Nd1_mの電圧と、ノードNd2_1~Nd2_mの電圧と、の間のそれぞれの電位差を増幅して、H又はLレベルで表される増幅信号e_1~e_mを出力する。そして、ラッチ部20に設けられたスイッチ素子SW4_1~SW4_mは、センスアンプSA_1~SA_mの増幅信号e_1~e_mをラッチして一斉に出力する。
【0199】
≪画素検査モードでの液晶表示装置2の動作≫
続いて、液晶表示装置2の画素検査モードでの動作について説明する。
図17は、液晶表示装置2の画素検査モードでの動作を示すタイミングチャートである。以下では、
図15に示された、読み出し用スイッチ選択線TGfを共用するi列目の画素12_u,12_dの検査方法を中心に説明する。
【0200】
画素検査モードでは、まず、画素12_u,12_d(より詳細には、画素12_u,12_dを含む検査対象の行のm×2個の画素12)に対して検査用の映像信号の書き込みが行われる(時刻t31)。このときの動作は、液晶表示装置1の場合と同様であるため、その説明を省略する。
【0201】
本例では、画素12_uの保持容量Cs1_uに2.6V及び2.4Vの一方の電圧が書き込まれ、画素12_dの保持容量Cs1_dに2.6V及び2.4Vの他方の電圧が書き込まれる。また、画素12_uの保持容量Cs2_uに2.6V及び2.4Vの一方の電圧が書き込まれ、画素12_dの保持容量Cs2_dに2.6V及び2.4Vの他方の電圧が書き込まれる。
【0202】
保持容量Cs1_u,Cs1_d,Cs2_u,Cs2_dに映像信号が書き込まれた後、アナログスイッチ部17に設けられたスイッチ素子SW1+,SW1-~SWm+,SWm-は何れもオフに制御される(アナログスイッチ部17の各スイッチ素子のオンオフを制御する制御信号A_SWはインアクティブ(Lレベル)に制御される)。それにより、水平ドライバ16からデータ線D1+,D1-~Dm+,Dm-への映像信号の供給が停止する。
【0203】
続いて、画素12_u,12_dに書き込まれた映像信号の読み出しが行われる。
まず、読み出し前の準備動作として、外部から供給されるモード切替信号MDは、HレベルからLレベルに切り替わる。
【0204】
また、切替信号KSWをアクティブ(例えばHレベル)にすることによってスイッチ素子SW2_1~SW2_m、SW7_1~SW7_mをオフからオンに切り替える(時刻t32)。それにより、センスアンプSA_1~SA_mのそれぞれの非反転入力端子と、データ線D1+~Dm+と、が導通状態となり、かつ、センスアンプSA_1~SA_mのそれぞれの反転入力端子と、データ線D1-~Dm-と、が導通状態となる。
【0205】
その後、切替信号nutを一時的にアクティブ(例えばHレベル)にすることによってスイッチ素子SW3_1~SW3_m、SW8_1~SW8_mを一時的にオンする(時刻t33)。それにより、データ線D1+~Dm+と電圧供給線midとがショートするため、データ線D1+~Dm+の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。また、データ線D1-~Dm-と電圧供給線midとがショートするため、データ線D1-~Dm-の電圧は、所定電圧midにリフレッシュされる。
【0206】
読み出し前の準備動作が完了すると、例えば、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側の保持容量Cs1_uに書き込まれた正極性の映像信号のデータ線Di+への読み出し、及び、画素12_d(より詳細には、12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側の保持容量Cs1_dに書き込まれた正極性の映像信号のデータ線Di-への読み出しが行われる。
【0207】
具体的には、まず、ゲート制御信号B_uをアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の、トランジスタTr3_u,Tr7_uからなるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4_u,Tr8_uからなるソースフォロワバッファを動作させる(時刻t34)。同時に、ゲート制御信号B_dをアクティブ(Lレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の、トランジスタTr3_d,Tr7_dからなるソースフォロワバッファ、及び、トランジスタTr4_d,Tr8_dからなるソースフォロワバッファを動作させる(時刻t34)。
【0208】
その後、ゲート制御信号S+_uをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_u(より詳細には、画素12_uを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側のトランジスタTr5_uをオンする(時刻t35)。それにより、保持容量Cs1_uに保持された正極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_uに伝達する。同時に、ゲート制御信号S+_dをアクティブ(Hレベル)にすることによって、画素12_d(より詳細には、画素12_dを含む検査対象の行のm個の画素12)の正極性側のトランジスタTr5_dをオンする(時刻t35)。それにより、保持容量Cs1_dに保持された正極性の映像信号の電圧は、画素駆動電極PE_dに伝達する。
【0209】
その後、垂直シフトレジスタ&レベルシフタ15から出力される走査パルスが読み出し用スイッチ選択線TGfに供給される(時刻t36)。それにより、画素12_u,12_d(より詳細には、画素12_u,12_dを含む検査対象の行のm×2個の画素12)に設けられたトランジスタTr9_u,Tr9_dがオンするため、画素駆動電極PE_u,PE_dの電圧VPE_u,VPE_dは、それぞれトランジスタTr9_u,Tr9_dを介して、データ線Di+,Di-に読み出され、保持される。
【0210】
ここで、アナログスイッチ部17の全てのスイッチがオフに制御されているため、データ線Di+には、共通配線Dcom+の5pF程度の配線容量は付加されておらず、n行分の画素12の配線容量のみが付加されている。例えば、FHDの場合、データ線Di+には、1080画素分の1pF程度の配線容量のみが付加されている。したがって、液晶表示装置2では、検査対象の画素12_uに設けられた正極性側のソースフォロワバッファ(Tr3_u,Tr7_u)が、共通配線Dcom+の配線容量の影響を受けないため、液晶表示装置50の場合と比較して容量換算で6分の1程度の容量を駆動するだけでよい。さらに、この正極性側のソースフォロワバッファは、共通配線Dcom+の配線抵抗の影響も受けない。そのため、検査対象の画素12_uに設けられた正極性側のソースフォロワバッファによって画素駆動電圧VPE_uを保持容量Cs1_uの保持電圧と同等レベルに安定させるまでの時間が短縮される。
【0211】
同様に、アナログスイッチ部17の全てのスイッチがオフに制御されているため、データ線Di-には、共通配線Dcom-の5pF程度の配線容量は付加されておらず、n行分の画素12の配線容量のみが付加されている。例えば、FHDの場合、データ線Di-には、1080画素分の1pF程度の配線容量のみが付加されている。したがって、液晶表示装置2では、検査対象の画素12_dに設けられた正極性側のソースフォロワバッファ(Tr3_d,Tr7_d)が、共通配線Dcom-の配線容量の影響を受けないため、液晶表示装置50の場合と比較して容量換算で6分の1程度の容量を駆動するだけでよい。さらに、この正極性側のソースフォロワバッファは、共通配線Dcom-の配線抵抗の影響も受けない。そのため、検査対象の画素12_dに設けられた正極性側のソースフォロワバッファによって画素駆動電圧VPE_dを保持容量Cs1_dの保持電圧と同等レベルに安定させるまでの時間が短縮される。
【0212】
また、データ線Di+とデータ線Di-とのそれぞれの電圧レベルの大きさの比較は、それらの差電圧が数mV程度になれば、センスアンプSA_iを用いて行うことができる。そのため、データ線Di+とデータ線Di-とのそれぞれの電圧レベルが正規の値を示すまで充電を待つことなく画素検査を行うことができる。
【0213】
その後、ゲート制御信号S+_u,S+_d及び読み出し用スイッチ選択信号TGfは何れもインアクティブ(Lレベル)になる。それにより、トランジスタTr5_u,Tr5_dがオフするとともに、トランジスタTr9_u,Tr9_dがオフする(時刻t37)。
【0214】
検査対象の行のm個の画素12_uからデータ線D1+~Dm+のそれぞれに読み出されたm個の正極性の画素駆動電圧VPE_uは、それぞれ、センスアンプSA_1~SA_mの非反転入力端子に供給される。検査対象の行のm個の画素12_dからデータ線D1-~Dm-のそれぞれに読み出されたm個の正極性の画素駆動電圧VPE_dは、それぞれ、センスアンプSA_1~SA_mの反転入力端子に供給される。
【0215】
センスアンプSA_1~SA_mは、データ線D1+~Dm+に読み出されたm個の正極性の画素駆動電圧VPE_uと、データ線D1-~Dm-に読み出されたm個の正極性の画素駆動電圧VPE_dと、の間のそれぞれの電位差を増幅し、H又はLレベルで表される増幅信号e_1~e_mを出力する。
【0216】
例えば、読み出し用スイッチ選択線TGfを共用するi列目の画素12_u,12_dのうち、画素12_uからデータ線Di+に2.6Vの正極性の画素駆動電圧VPE_uが読み出され、かつ、画素12_dからデータ線Di-に2.4Vの正極性の画素駆動電圧VPE_dが読み出された場合、センスアンプSA_iは、Hレベルの増幅信号e_iを出力する。逆に、画素12_uからデータ線Di+に2.4Vの正極性の画素駆動電圧VPE_uが読み出され、かつ、画素12_dからデータ線Di-に2.6Vの正極性の画素駆動電圧VPE_dが読み出された場合、センスアンプSA_iは、Lレベルの増幅信号e_iを出力する。
【0217】
そして、ラッチ部20に設けられたスイッチ素子SW4_1~SW4_mは、トリガ信号Tlatが一時的にアクティブになったタイミングで、センスアンプSA_1~SA_mの増幅信号e_1~e_mを一斉に出力する(時刻t38)。
【0218】
その後、シフトレジスタ回路21は、ラッチ部20から一斉に出力された増幅信号e_1~e_mを取り込んで、これらを一つずつ順番に検査信号TOUTとして出力する(時刻t39)。
【0219】
液晶表示装置2の外部に設けられた検査装置(不図示)は、この検査信号TOUTの値と期待値とを比較することにより、検査対象の奇数行のm個の画素12_uの正極性側の故障(欠陥や特性劣化など)を検出するとともに、検査対象の偶数行のm個の画素12_dの正極性側の故障を検出する。
【0220】
この検査装置は、検査対象の奇数行のm個の画素12_uの負極側の故障を検出するとともに、検査対象の偶数行のm個の画素12_dの負極性側の故障を検出することができる。負極性側の故障の検出方法の詳細については、正極性側の故障を検出する場合と基本的には同様であるため、その説明を省略する。このような検査は、1行目のm個の画素12からn行目のm個の画素12にかけて2行ずつ順番に行われる。
【0221】
このように、本実施の形態にかかる液晶表示装置2は、液晶表示装置1と同等の効果を奏することがきる。さらに、画素12への映像信号を書き込む経路とは別に、画素12からの映像信号の読み出し経路を備え、検査対象の画素12に書き込まれた映像信号の読み出し時には、画素12への映像信号の書き込み経路の一部をデータ線から電気的に分離させる。それにより、本実施の形態にかかる液晶表示装置2は、検査対象の画素12に書き込まれた映像信号の読み出し時、例えば共通配線Dcom+,Dcom-の配線容量を余計に充電する必要がなくなるため、各画素12のソースフォロワバッファによって画素駆動電圧VPEを安定させるまでの時間を短縮させることができ、その結果、検査装置による画素12の検査を速やかに実行させることができる。
【0222】
本実施の形態では、画素12_uに設けられたトランジスタTr9_uが正極性側のデータ線Di+に接続され、画素12_dに設けられたトランジスタTr9_dが負極性側のデータ線Di-に接続された場合を例に説明したが、これに限られない。各画素12_dに設けられたトランジスタTr9_dは、正極性側のデータ線Di+に接続されてもよい。また、各画素12_uに設けられたトランジスタTr9_uは、負極性側のデータ線Di-に接続されてもよい。それにより、液晶表示装置2は、例えば、各画素12の正極性側の映像信号と負極性側の映像信号との比較結果から、各画素12の故障を検出することが可能となる。
【0223】
なお、上記実施の形態1,2にかかる液晶表示装置1,2の仕組みは、例えば、波長多重光通信の分野で用いられる波長選択光スイッチ装置(WWS;Wavelength Selective Switch)に搭載された空間光変調器(SLM;Spatial Light Modulator)にも適用されることができる。空間光変調器は、例えばLCOS(Liquid Crystal on Silicon)技術を用いて構成され、入力ポートに入射された光信号を偏向して、一又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する。
【0224】
より具体的には、波長選択光スイッチ装置は、例えば、入力ポート、一又は複数の出力ポート、波長分散器、光学結合器、及び、空間光変調器を備える。波長分散器は、入力ポートに入射された光信号を複数の波長成分に空間的に分散させる。光学結合器は、波長分散器によって分散された複数の波長成分を集光する。空間光変調器は、例えば、波長に応じて展開されたx軸方向と、x軸方向に垂直なy軸方向と、からなるxy平面にマトリクス状に配置された複数の画素12を有する。複数の画素12は、光学結合器によって集光された光信号を、波長毎に反射方向を変化させて(即ち、偏向して)、一つ又は複数の出力ポートのうち選択された何れかの出力ポートから出射する。
【0225】
波長選択光スイッチ装置は、空間光変調器に上記実施の形態1,2にかかる液晶表示装置1,2の仕組みを適用することにより、液晶表示装置1,2と同等の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0226】
1 液晶表示装置
1a,1b,1c,1d 液晶表示装置
2 液晶表示装置
11 画像表示部
12 画素
13 タイミング発生器
14 極性切り替え制御回路
15 垂直シフトレジスタ&レベルシフタ
16 水平ドライバ
17 アナログスイッチ部
18 スイッチ部
19 センスアンプ部
20 ラッチ部
21 シフトレジスタ回路
40 ランプ信号発生器
50 液晶表示装置
51 画像表示部
52 画素
161 シフトレジスタ回路
162 1ラインラッチ回路
163 コンパレータ部
163_1~163_m コンパレータ
164 階調カウンタ
ADA1~ADAn AND回路
ADB1~ADBn AND回路
B ゲート制御信号線
CE 共通電極
Cs1,Cs2 保持容量
D1+,D1-~Dm+,Dm- データ線
Dcom+,Dcom- 共通配線
G1~Gn 行走査線
LC 液晶表示素子
LCM 液晶
Na,Nb ノード
Nd1_1~Nd1_m ノード
Nd2_1~Nd2_m ノード
PE 画素駆動電極(反射電極)
S+,S- ゲート制御信号線
SA_1~SA_m センスアンプ
SW1+,SW1-~SWm+,SWm- スイッチ素子
SW2_1~SW2_m スイッチ素子
SW3_1~SW3_m スイッチ素子
SW4_1~SW4_m スイッチ素子
SW7_1~SW7_m スイッチ素子
SW8_1~SW8_m スイッチ素子
TG1~TGp 読み出し用スイッチ選択線
Tr1~Tr10 トランジスタ