(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】CLTパネル補強構造物
(51)【国際特許分類】
E04C 2/12 20060101AFI20230502BHJP
E04C 2/30 20060101ALI20230502BHJP
E04C 5/01 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
E04C2/12 E
E04C2/30 V
E04C5/01
(21)【出願番号】P 2019165715
(22)【出願日】2019-09-11
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】田畑 治
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-038481(JP,A)
【文献】特開2003-176601(JP,A)
【文献】特開2004-324125(JP,A)
【文献】米国特許第5350265(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0159242(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 2/00-2/54
E04C 3/12
E04C 3/16
E04C 5/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有するCLTパネルと、
第1開口を有する第1プレート、及び第1管を備えた第1補強材と、
第2開口を有する第2プレート、及び第2管を備えた第2補強材と、を備えており、
上記第1管は、上記第1プレートの最大面と交差する方向へ、上記第1プレートの上記第1開口を含む第1領域から延出しており、
上記第2管は、上記第2プレートの最大面と交差する方向へ、上記第2プレートの上記第2開口を含む第2領域から延出しており、
上記第1補強材は、上記第1管の外周面が上記貫通孔の内周面に当接した状態で上記第1管が上記貫通孔に挿入されており、且つ上記第1プレートの最大面が上記CLTパネルの第1面に当接しており、
上記第2補強材は、上記第2管の外周面が上記第1管の内周面に当接した状態で上記第2管が上記貫通孔に挿入されており、且つ上記第2プレートの最大面が上記CLTパネルの上記第1面と反対に位置する第2面に当接しているCLTパネル補強構造物。
【請求項2】
上記第1管は、上記第2プレートまで延びており、
上記第2管は、上記第1プレートまで延びている請求項1に記載のCLTパネル補強構造物。
【請求項3】
上記第1領域は、上記第1開口の周縁であり、
上記第2領域は、上記第2開口の周縁である請求項1又は2に記載のCLTパネル補強構造物。
【請求項4】
上記第1プレート及び上記第2プレートは、接着剤により上記CLTパネルに接着されている請求項1から3のいずれかに記載のCLTパネル補強構造物。
【請求項5】
上記第1プレート、上記第1管、上記第2プレート、及び上記第2管は、それぞれ金属製である請求項1から4のいずれかに記載のCLTパネル補強構造物。
【請求項6】
上記CLTパネルは、建築物の壁をなす請求項1から5のいずれかに記載のCLTパネル補強構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CLTパネルの貫通孔周辺の補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、挿通孔が設けられた木製の角材からなる梁の補強構造を開示する。補強構造は、梁の両方の側面における挿通孔周りにビス止めされた一対の補強片と、挿通孔に嵌め込まれる補強管と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅等の建築物において、CLTパネルが採用されることがある。例えば、CLTパネルを建築物の壁として用いたときに、配管や配線を通すための貫通孔がCLTパネルに形成される。CLTパネルに貫通孔が形成されると、貫通孔周辺において、CLTパネルの耐力が下がる。
【0005】
特許文献1に記載された補強構造では、補強片が多数のビスによって梁の表面に固定されることによって、梁の挿通孔周りにおいて、せん断力に対する強度が補強されている。しかしながら、特許文献1に記載された補強構造が、CLTパネルの貫通孔の周辺に適用され、CLTパネルに多数のビスがねじ込まれると、各ビスによってCLTパネルを構成する木板の繊維が切断され、却ってCLTパネルの強度を低下させるおそれがある。
【0006】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、CLTパネルの貫通孔の周辺の強度を効率的に補強する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明に係るCLTパネル補強構造物は、貫通孔を有するCLTパネルと、第1開口を有する第1プレート、及び第1管を備えた第1補強材と、第2開口を有する第2プレート、及び第2管を備えた第2補強材と、を備えている。上記第1管は、上記第1プレートの最大面と交差する方向へ、上記第1プレートの上記第1開口を含む第1領域から延出している。上記第2管は、上記第2プレートの最大面と交差する方向へ、上記第2プレートの上記第2開口を含む第2領域から延出している。上記第1補強材は、上記第1管の外周面が上記貫通孔の内周面に当接した状態で上記第1管が上記貫通孔に挿入されており、且つ上記第1プレートの最大面が上記CLTパネルの第1面に当接している。上記第2補強材は、上記第2管の外周面が上記第1管の内周面に当接した状態で上記第2管が上記貫通孔に挿入されており、且つ上記第2プレートの最大面が上記CLTパネルの上記第1面と反対に位置する第2面に当接している。
【0008】
第1管と第1プレートの接続箇所において、第1プレートの最大面に沿った断面積が、第1管のみの断面積よりも広くなるので、接続箇所において圧縮力に対する耐力が、第1管のみの耐力より大きくなる。第2管と第2プレートの接続箇所においても、同様に耐力が大きくなる。第2管の外周面と第1管の外周面とが当接した箇所においても、同様に、第1管のみの耐力或いは第2管のみの耐力よりも、耐力が大きくなる。これにより、CLTパネルの貫通孔付近の耐力を効率的に補強できる。
【0009】
(2) 好ましくは、上記第1管は、上記第2プレートまで延びており、上記第2管は、上記第1プレートまで延びている。
【0010】
CLTパネルの貫通孔の全域において、第1管と第2管とが重なるので、CLTパネルの貫通孔付近の耐力を更に効率的に補強できる。
【0011】
(3) 好ましくは、上記第1領域は、上記第1開口の周縁であり、上記第2領域は、上記第2開口の周縁である。
【0012】
第1プレートが第1管の開口端から当該開口内に突出することが抑えられ、第2プレートが第2管の開口端から当該開口内に突出することが抑えられる。
【0013】
(4) 好ましくは、上記第1プレート及び上記第2プレートは、接着剤により上記CLTパネルに接着されている。
【0014】
第1プレート及び第2プレートとCLTパネルとの固定に、ビスが不要である、或いは使用するビスの本数を極力少なくできるので、CLTパネルの木の繊維がビスにより切断されることが抑制される。
【0015】
(5) 好ましくは、上記第1プレート、上記第1管、上記第2プレート、及び上記第2管は、それぞれ金属製である。
【0016】
(6) 上記CLTパネルは、建築物の壁をなす。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、CLTパネルの貫通孔の周辺の強度を効率的に補強できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態に係るCLTパネル補強構造物10の斜視図である。
【
図3】
図3(A)は、実施形態に係る周縁34を示す第1プレート31の最大面31Bの正面図であり、
図3(B)は、実施形態に係る周縁44を示す第2プレート41の最大面41Bの正面図である。
【
図4】
図4(A)は、第1補強材30と第2補強材40の分解斜視図であり、
図4(B)は、第1補強材30の
図2におけるIVB-IVB断面図である。
【
図5】
図5は、先端32Cが貫通孔21の開口端周辺にない状態を示すCLTパネル補強構造物100の断面図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る第1プレート131及び第2プレート141を示すCLTパネル補強構造物100の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明においては、CLTパネル補強構造物10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、CLTパネル20が延びる方向であって、上下方向7と直行する方向として長手方向11が定義され、CLTパネル20の厚み方向であって、上下方向7及び長手方向11のいずれとも直交する方向として幅方向12が定義される。
【0020】
本実施形態のCLTパネル補強構造物10が
図1及び
図2に示される。CLTパネル補強構造物10は、住宅やマンションにおいて耐力壁として用いられる。なお、CLTとは、Cross Laminated Timberの略語であって、以下において同様である。
【0021】
CLTパネル補強構造物10は、CLTパネル20と、第1補強材30と、第2補強材40と、ビス50と、を備える。
【0022】
[CLTパネル20]
CLTパネル20は、住宅やマンション等の建築物の壁をなす。CLTパネル20は、挽き板などの木板の繊維の方向が各層で互いに直交するように積層されて接着されてなる平板である。CLTパネル20の大きさは特に限定されないが、例えば、縦の長さが3000mm、横の長さが2000mm、厚さが90mmの平板形状である。
図1に示されるように、CLTパネル20は、最大面であって表裏の関係にある第1面22と、第2面23と、を有する。
【0023】
図1及び
図2に示されるように、CLTパネル20は、幅方向12に沿って延びる貫通孔21を有する。貫通孔21には、配管(不図示)や配線(不図示)が通される。貫通孔21は、特に限定されないが、例えば、直径が110mm程度の円柱形状である。貫通孔21は、第1面22側の開口端が下記詳述の接続箇所33と干渉しないように面取りされる。また、貫通孔21が形成される位置も特に限定されないが、第1補強材30及び第2補強材40が、床や天井と干渉しない位置であることが好ましい。
【0024】
[第1補強材30]
図1及び
図2に示されるように、第1補強材30は、一部がCLTパネル20の貫通孔21に挿入されて、CLTパネル20の第1面22に固定される。第1補強材30は、第1開口31Aを有する第1プレート31、及び第1管32を備える。
【0025】
第1プレート31は、四角形の金属製の平板であり、ほぼ中央に第1開口31Aが形成されている。第1プレート31は、表裏の関係にある最大面31B,31Cを有する。最大面31Bは、CLTパネル20の第1面22に当接する。最大面31Cは、CLTパネル20の第1面22と同じ向きを向く。最大面31Bと第1面22とは、接着剤により接着されている。第1プレート31の大きさは特に限定されないが、例えば、貫通孔21の直径が110mm程度であるとき、縦の長さ及び横の長さがそれぞれ300mm程度、厚さが3mm程度である。第1開口31Aの直径は、例えば、110mm程度であり、貫通孔21の直径と同程度である。
【0026】
第1管32は、第1プレート31の最大面31Bと直交する方向(交差する方向の一例)へ、第1プレート31の第1開口31Aの周縁34の一部から延出している。周縁34は、
図3(A)に示されるように、最大面31Bのうち第1開口31Aとの境界から、例えば、第1開口31Aの中心と中心を同じくし第1開口31Aの直径の少なくとも1.25倍の直径である円で表される境界までの領域を指す。本実施形態では、第1管32は、周縁34のうち第1開口31Aとの境界から延出している。なお、周縁34及び第1開口31Aは、第1領域の一例である。
【0027】
第1管32は、金属製の円管である。第1管32は、外周面32Aが第1開口31Aと溶接されることによって第1プレート31と接合されている。この接続箇所33には、溶接金属が充填または外周面32A及び最大面31Bの間において積層されている。第1管32の外径は、貫通孔21の直径と同程度である。第1管32が、第1プレート31の最大面31Bから突出する寸法は、本実施形態では、CLTパネル20の厚さと同等であり90mmである。なお、本実施形態のように、第2プレート41の第2管42の外周の接続箇所43において溶接金属があるときには、第1管32は、接続箇所43まで延びていればよく、必ずしもCLTパネル20の厚さと同等まで突出していなくてもよい。
【0028】
[第2補強材40]
図1及び
図2に示されるように、第2補強材40は、一部が第1管32内に挿入されて、CLTパネル20の第2面23に固定される。第2補強材40は、
図4(A)にも示されるように、第2開口41Aを有する第2プレート41、及び第2管42を備える。
【0029】
第2プレート41は、四角形の金属製の平板であり、ほぼ中央に第2開口41Aが形成されている。第2プレート41は、表裏の関係にある最大面41B,41Cを有する。最大面41Bは、CLTパネル20の第2面23に当接する。最大面41Cは、CLTパネル20の第2面23と同じ向きを向く。最大面41Bと第2面23とは、接着剤により接着されている。第2プレート41の大きさは特に限定されないが、例えば、第1プレート31と同じ大きさである。
【0030】
第2管42は、第2プレート41の最大面41Bと直交する方向(交差する方向の一例)へ、第2プレート41の第2開口41Aの周縁44の一部から延出している。周縁44は、
図3(B)に示されるように、最大面41Bのうち第2開口41Aとの境界から、例えば、第2開口41Aの中心と中心を同じくし第2開口41Aの直径の少なくとも1.25倍の直径である円で表される境界までの領域を指す。本実施形態では、第2管42は、周縁44のうち第2開口41Aとの境界から延出している。なお、周縁44及び第2開口41Aは、第2領域の一例である。
【0031】
第2管42は、金属製の円管である。第2管42は、外周面42Aが第2開口41Aと溶接されることによって第2プレート41に接合されている。この接続箇所43には、溶接金属が充填または外周面32A及び最大面41Bの間において積層されている。第2管42は、第1プレート31まで延びている。第2管42の外径は、第1管32の内径と同程度である。貫通孔21に挿入された第2管42の外周面42Aは、第1管32の内周面32Bに当接する。
【0032】
[ビス50]
図1に示されるように、ビス50は、第1プレート31及び第2プレート41の外方からCLTパネル20に対してねじ込みによって貫入されて、第1プレート31をCLTパネル20の第1面22に仮固定し、また、第2プレート41をCLTパネル20の第2面23に仮固定する。第1プレート31及び第2プレート41におけるビス50の位置は、特に限定されないが、例えば、第1プレート31及び第2プレート41の四隅である。なお、各図において省略されているが、第1プレート31及び第2プレート41には、ビス50の軸部を挿通するための貫通孔が形成されている。
【0033】
[CLTパネル補強構造物10]
図1及び
図2に示されるように、第1補強材30は、第1管32がCLTパネル20の第1面22側より貫通孔21に挿入される。貫通孔21に挿入された第1管32の外周面32Aは、貫通孔21の内周面21Aに当接する。第1プレート31の最大面31Bには接着剤が塗布されており、最大面31BがCLTパネル20の第1面22と当接するまで第1管32が貫通孔21に挿入されることによって、第1プレート31の最大面31BとCLTパネル20の第1面22とが接着剤によって接着される。接着剤が硬化するまで、必要に応じて、第1プレート31の貫通孔にビス50が挿通されてCLTパネル20に打ち込まれる。
【0034】
図1及び
図2に示されるように、第2補強材40は、第2管42がCLTパネル20の第2面23側より貫通孔21に挿入される。貫通孔21には既に第1管32が挿通されているので、貫通孔21に挿入された第2管42の外周面42Aは、第1管32の内周面32Bに当接する。第2プレート41の最大面41Bには接着剤が塗布されており、最大面41BがCLTパネル20の第2面23と当接するまで第2管42が貫通孔21に挿入されることによって、第2プレート41の最大面41BとCLTパネル20の第2面23とが接着剤によって接着される。接着剤が硬化するまで、必要に応じて、第2プレート41の貫通孔にビス50が挿通されてCLTパネル20に打ち込まれる。
【0035】
[実施形態の作用効果]
図4(B)に示されるように、第1管32と第1プレート31の接続箇所33において、第1プレート31の最大面31Bに沿った断面積が、第1管32のみの断面積よりも広くなる。これにより、接続箇所33において圧縮力Pに対する第1補強材30の耐力が、第1管32のみの耐力より大きくなる。第2管42と第2プレート41の接続箇所43においても、同様に、接続箇所43において圧縮力Pに対する第2補強材40の耐力が、第2管42のみの耐力より大きくなる。
【0036】
また、
図2に示されるように、第2管42の外周面42Aと第1管32の外周面32Aとが当接した箇所51においても、同様に、第1管32のみの耐力或いは第2管42のみの耐力よりも、第1管32及び第2管42による耐力が大きくなる。これにより、第1補強材30及び第2補強材40によって、CLTパネル20の貫通孔21付近の耐力を効率的に補強できる。
【0037】
また、CLTパネル20の貫通孔21の幅方向12の全域において、第1管32と第2管42とが重なっているので、CLTパネル20の貫通孔21付近の耐力が更に効率的に補強される。
【0038】
また、第1開口31Aの直径と貫通孔21の直径が同程度とされ、第2開口41Aの直径と第1管32の内径が同程度とされることで、第1プレート31が第1管32の開口端から当該開口内に突出せず、第2プレート41が第2管42の開口端から当該開口内に突出しない。
【0039】
また、第1プレート31及び第2プレート41は、CLTパネル20と接着剤によって固定されている。第1補強材30及び第2補強材40によるCLTパネル20の貫通孔21付近の補強は、第1プレート31及び第2プレート41がCLTパネル20にビス50によって固定されることにより実現されているのではなく、前述したように、接続箇所33、43や箇所51における第1補強材30及び第2補強材40の断面積の増加による耐力の増加によって実現されている。したがって、第1プレート31及び第2プレート41とCLTパネル20との固定に使用するビス50の本数を極力少なくできるので、CLTパネル20の木の繊維がビス50により切断されることが抑制される。
【0040】
[変形例]
上記実施形態では、第1管32は、
図2に示されるように、第1管32が第2プレート41まで延び、先端32Cが第2開口41A付近に位置していたが、
図5に示されるように、先端32Cが第2開口41A付近に位置しなくともよい。このとき、第2管42の外周面42Aと第1管32の外周面32Aとが当接した箇所51が設けられていれば、第2管42は、第1プレート31まで延びなくともよい。このような構成であっても、接続箇所33、43や箇所51における第1補強材30及び第2補強材40の断面積の増加による貫通孔21付近の耐力の増加が実現される。
【0041】
また、接続箇所43では、溶接金属が最大面41Cに積層され、先端32Cは、最大面41Bに当接してもよい。これにより、CLTパネル20の貫通孔21の幅方向12の全域において、隙間なく第1管32と第2管42とが重なることとなるので、CLTパネル20の貫通孔21付近の耐力が更に効率的に補強される。なお、第1管32は、第2プレート41と当接する先端32Cが第2プレート41の最大面41Bと接着剤により接着されてもよい。
【0042】
また、第1開口31Aの直径は、貫通孔21の直径と同程度でなくともよく、例えば、
図6に示されるように、第1管32の内径より第1開口131Aの直径が短い第1プレート131が用いられてもよい。第1開口131Aは、直径が少なくとも第1管32の内径の5割以上の長さであり、好ましくは第1管32の内径の8割以上の長さである。なお、
図6に示される例では、第1開口131Aは、直径が第1管32の内径の8割である。
【0043】
第1管32は、第1プレート131の第1開口131Aの周縁134の一部から延出している。周縁134は、第1開口131Aの直径が第1管32の内径の5割であるとき、最大面131Bのうち第1開口131Aとの境界から、例えば、第1開口131Aの中心と中心を同じくし第1開口131Aの直径の2倍程度の直径である円で表される境界までの領域を指す。このとき、第1プレート131は、最大面131Bが第1管32の端面に溶接されることによって第1管32と接合される。このような構成であっても、第1プレート131が第1管32の開口端から当該開口内に突出することが抑えられる。なお、周縁134及び第1開口131Aは、第1領域の一例である。
【0044】
また、第2開口41Aの直径は、第1管32の内径と同程度でなくともよく、例えば、
図6に示されるように、第2管42の内径より第2開口141Aの直径が短い第2プレート141が用いられてもよい。第2開口141Aは、直径が少なくとも第2管42の内径の5割以上の長さであり、好ましくは第2管42の内径の8割以上の長さである。なお、
図6に示される例では、第2開口141Aは、直径が第2管42の内径の8割である。
【0045】
第2管42は、第2プレート141の第2開口141Aの周縁144の一部から延出している。周縁144は、第2開口141Aの直径が第2管42の内径の5割であるとき、最大面141Bのうち第2開口141Aとの境界から、例えば、第2開口141Aの中心と中心を同じくし第2開口141Aの直径の2倍程度の直径である円で表される境界までの領域を指す。このとき、第2プレート141は、最大面141Bが第2管42の端面に溶接されることによって第2管42と接合される。このような構成であっても、第2プレート141が第2管42の開口端から当該開口内に突出することが抑えられる。なお、周縁144及び第2開口141Aは、第2領域の一例である。
【0046】
また、第1プレート31及び第2プレート41とCLTパネル20との固定に、ビス50が不要とされてもよい。これにより、CLTパネル20の木の繊維がビス50により切断されない。
【0047】
また、上記実施形態では、貫通孔21が1つであったため、各プレート31、41に1つの管が設けられたが、CLTパネル20が複数の貫通孔21を有するとき、各プレートには、複数の管が設けられてもよい。
【0048】
接続箇所33では、溶接金属が最大面31Cに積層されてもよい。このとき、貫通孔21は、第1面22側の開口端が面取りされなくともよい。
【0049】
また、第1プレート31が外周面32Aに溶接される位置は、第1管32の幅方向12に沿った端でなくともよい。
【0050】
また、第2プレート41が外周面42Aに溶接される位置は、第2管42の幅方向12に沿った端でなくともよい。
【0051】
また、第2管42は、第2プレート41の第2開口41Aの周縁から延出し、幅方向12に沿って、第1プレート31まで延びたが、第1プレート31を越えて延びてもよい。また、第2管42は、第1開口31Aに位置する箇所が溶接により、第1補強部材と接合されてもよい。また、第2管42は、外周面42Aが第1管32の内周面32Bに接着剤により接着されてもよい。
【0052】
また、第1管32は、第1開口31Aを囲う周縁34の外側の領域から延出してもよい。また、第2管42は、第2開口41Aを囲う周縁44の外側の領域から延出してもよい。
【符号の説明】
【0053】
10・・・CLTパネル補強構造物
20・・・CLTパネル
21・・・貫通孔
21A・・・内周面
22・・・第1面
23・・・第2面
30・・・第1補強材
31・・・第1プレート
31A・・・第1開口
31B・・・最大面
32・・・第1管
32A・・・外周面
32B・・・内周面
34・・・周縁(第1領域の一例)
40・・・第2補強材
41・・・第2プレート
41A・・・第2開口
41B・・・最大面
42・・・第2管
42A・・・外周面
44・・・周縁(第2領域の一例)
100・・・CLTパネル補強構造物
131・・・第1プレート
131A・・・第1開口
131B・・・最大面
134・・・周縁(第1領域の一例)
141・・・第2プレート
141A・・・第2開口
141B・・・最大面
144・・・周縁(第2領域の一例)