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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20230502BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20230502BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20230502BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20230502BHJP
   H04M 1/72 20210101ALI20230502BHJP
【FI】
G08B21/02
H04M1/00 U
H04R1/10 101B
H04R3/00 310
H04M1/72
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019172113
(22)【出願日】2019-09-20
(65)【公開番号】P2021051360
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】濱田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】武井 政樹
(72)【発明者】
【氏名】海和 徹
(72)【発明者】
【氏名】浅香 宏充
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美紗
(72)【発明者】
【氏名】植本 将史
(72)【発明者】
【氏名】小林 美陽
【審査官】白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-060403(JP,A)
【文献】特開2007-334609(JP,A)
【文献】特表2017-536595(JP,A)
【文献】特開2015-186072(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0064344(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0359467(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0188129(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
G08B19/00-31/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04R1/00-1/14
1/20-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの右耳に装着される右イヤホン及び左耳に装着される左イヤホンと通信して、前記右イヤホンに備えられている第1の人感センサが生成した第1の出力信号と、前記左イヤホンに備えられている第2の人感センサが生成した第2の出力信号とを受信する通信回路と、
前記通信回路が受信した前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との差分値に基づいて、前記ユーザに第三者が接近したか否かを検出する検出部と、
前記検出部が前記ユーザに第三者が接近したことを検出したとき、前記ユーザに第三者が接近したことを通知する通知部と、
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記検出部は、前記ユーザに第三者が接近していない状態で、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との差分値が第1の所定値以下となるように、前記第1の出力信号と前記第2の出力信号とに重み付け係数を乗算する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記通知部は前記通信回路であって、前記通信回路が、前記ユーザに第三者が接近したことを知らせる音声信号を前記右イヤホンと前記左イヤホンとのうちの少なくとも一方に送信する請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記通知部は、前記ユーザに第三者が接近したことを知らせる音声を発生するスピーカユニット、前記ユーザに第三者が接近したことを知らせる文字または画像を表示するディスプレイ、前記ユーザに第三者が接近したことを振動によって知らせる振動部のうちのいずれかである請求項1または2に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人感センサを備えるイヤホンと通信する携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、イヤホンを装着したユーザに接近する人を検知して、ユーザに知らせることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-60403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザに接近する第三者であってユーザに知らせるべき第三者を的確に検知して知らせることができる携帯端末が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ユーザの右耳に装着される右イヤホン及び左耳に装着される左イヤホンと通信して、前記右イヤホンに備えられている第1の人感センサが生成した第1の出力信号と、前記左イヤホンに備えられている第2の人感センサが生成した第2の出力信号とを受信する通信回路と、前記通信回路が受信した前記第1の出力信号と前記第2の出力信号との差分値に基づいて、前記ユーザに第三者が接近したか否かを検出する検出部と、前記検出部が前記ユーザに第三者が接近したことを検出したとき、前記ユーザに第三者が接近したことを通知する通知部とを備える携帯端末を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の携帯端末によれば、ユーザに接近する第三者であってユーザに知らせるべき第三者を的確に検知して知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図2】右イヤホン及び左イヤホンを装着し、第1~第7実施形態の携帯端末を所持している状態のユーザを示す概念図である。
図3】第1実施形態の携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の携帯端末において実行される好ましい処理を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図6】第2実施形態の携帯端末において実行される処理の第1の例を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態の携帯端末において実行される処理の第2の例を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図9】第3実施形態の携帯端末において実行される処理の第1の例を示すフローチャートである。
図10】第3実施形態の携帯端末において実行される処理の第1の例を示すタイミングチャートである。
図11】第3実施形態の携帯端末において実行される処理の第2の例を示すフローチャートである。
図12】第4実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図13】第4実施形態の携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
図14】第5実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図15】第5実施形態の携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
図16】第6実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図17】第6実施形態の携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
図18】第7実施形態の携帯端末を示すブロック図である。
図19】第7実施形態の携帯端末において実行される処理を示すフローチャートである。
図20】ユーザが移動することによって停止している熱源がユーザに相対的に接近して離れていくときの、ユーザの位置の変化と人感センサの出力信号の信号強度の変化との関係を示す図である。
図21】第7実施形態の携帯端末において実行される好ましい処理を示すフローチャートである。
図22】ユーザが停止している熱源を認識していないと想定される状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1~第7実施形態の携帯端末について、添付図面を参照して説明する。第1~第7実施形態の携帯端末において、同一部分には同一符号を付し、その説明を省略することがある。
【0009】
<第1実施形態>
図2に示すように、ユーザ30は、右耳及び左耳にそれぞれ右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着している。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lはそれぞれ人感センサ13R及び13Lを備える。ユーザ30は、右イヤホン1R及び左イヤホン1Lと通信する携帯端末2を所持している。携帯端末2はスマートフォンであってもよい。
【0010】
図1に示すように、右イヤホン1Rは、人感センサ13Rの他に、中央処理装置(CPU)11R、振動ユニット12R、通信回路14Rを備える。左イヤホン1Lは、人感センサ13Lの他に、CPU11L、振動ユニット12L、通信回路14Lを備える。携帯端末2は、CPU21、スピーカユニット22、通信回路24、ディスプレイ25、振動部26を備える。
【0011】
人感センサ13R及び13Lは、遠赤外線または周辺電位を測定することによって人が周囲にいるか否かを検知する。振動ユニット12R及び12Lは、振動板と振動板を駆動する磁気回路とを有するスピーカユニットであってもよいし、骨伝導デバイスを有する骨伝導ユニットであってもよい。通信回路14R及び14Lは、ブルートゥース(登録商標)等の任意の近距離無線通信規格に従って携帯端末2の通信回路24と通信する。
【0012】
携帯端末2は、楽曲ファイルを記憶するメモリを備え、楽曲ファイルを再生して通信回路24によって右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに楽曲ファイルの音声データを送信してもよい。振動部26はユーザ30に振動を伝達するいわゆるバイブレータである。
【0013】
人感センサ13Rが人を検知すると、通信回路14Rによって人感センサ13Rの出力信号を携帯端末2に送信する。人感センサ13Lが人を検知すると、通信回路14Lによって人感センサ13Rの出力信号を携帯端末2に送信する。原理的には、CPU21は、通信回路24が受信した人感センサ13Rまたは13Lの出力信号に基づいてユーザ30に人が接近したことを検出することができる。
【0014】
ところが、実際には、人感センサ13R及び13Lは右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着しているユーザ30が発している遠赤外線等を測定するので、第三者が接近していなくても所定の出力信号を生成する。よって、ユーザ30に知らせるべきユーザ30に接近する第三者を的確に検知できないことがある。
【0015】
そこで、CPU21は、通信回路24が受信した人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とを互いに減算する。通信回路24が、ユーザ30の周囲に第三者がいない状態における人感センサ13R及び13Lの出力信号を受信してCPU21が両者の出力信号を互いに減算すると、ほぼ0となる。即ち、CPU21が人感センサ13R及び13Lの出力信号を互いに減算すると、ユーザ30を検知することによって生成された出力信号を除去することができる。ここでは、人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とがほぼ同じ信号強度であるとみなす。
【0016】
ユーザ30に第三者が接近すると、人感センサ13Rもしくは13L、または人感センサ13R及び13Lの双方は、ユーザ30が発する遠赤外線等に加えて第三者が発する遠赤外線等も測定して、出力信号を生成する。CPU21は、通信回路24が受信した人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とを互いに減算して差分値を生成する。上記のようにユーザ30を検知することによって生成された出力信号は除去されるから、CPU21は、差分値が所定の値以上であれば、ユーザ30に第三者が接近したと判定することができる。
【0017】
CPU21は、差分値が所定の値以上であれば、ユーザ30に人が接近したことを知らせるため、右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに所定の音声信号を送信する。CPU21は、スピーカユニット22より音を発生させてもよく、ディスプレイ25に人が接近したことを示す文字または画像を表示してもよく、振動部26を振動させてもよい。
【0018】
CPU21が人感センサ13Rの出力信号から人感センサ13Lの出力信号を減算し、差分値が正で所定の値以上であれば、第三者はユーザ30に右方向から接近していることが分かる。差分値が負で所定の値以下(差分値の絶対値が所定の値以上)であれば、第三者はユーザ30に左方向から接近していることが分かる。CPU21は、第三者が接近している方向の右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lに音声信号を送信してもよい。人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号との信号強度の比から第三者が接近する方向が分かる。CPU21は、ユーザ30に方向を知らせてもよい。
【0019】
図3に示すフローチャートを用いて、携帯端末2で実行される処理を説明する。携帯端末2の図示していない電源がオンされて携帯端末2が動作を開始すれば、CPU21は、ステップS11にて、人感センサ13R及び13Lの出力信号を取得する。CPU21は、ステップS12にて、人感センサ13Rの出力信号から人感センサ13Lの出力信号を減算して差分値を生成する。これによって、人感センサ13R及び13Lがユーザ30を感知した信号成分がほぼ除去される。CPU21は、人感センサ13Lの出力信号から人感センサ13Rの出力信号を減算してもよい。
【0020】
CPU21は、ステップS13にて、人感センサ13Rの出力信号から人感センサ13Lの出力信号を減算した差分値に基づき、第三者が接近しているか否かを判定する。CPU21は、差分値の絶対値が所定の値以上であれば、第三者が接近していると判定する。第三者が接近していなければ(NO)、CPU21は、処理をステップS15に移行させる。第三者が接近していれば(YES)、CPU21は、ステップS14にて、上記の任意の方法でユーザ30に通知して処理をステップS15に移行させる。
【0021】
CPU21は、ステップS15にて、携帯端末2の電源がオフされたか否かを判定する。CPU21は、電源がオフされなければ(NO)、ステップS11~S15の処理を繰り返し、電源がオフされれば(YES)、処理を終了させる。なお、ステップS14におけるユーザ30への通知は、ユーザ30が通知を停止する操作をしたときに停止させてもよいし、所定時間後に自動的に停止させるようにしてもよい。
【0022】
ところで、人感センサ13R及び13Lがユーザ30を検知することによって生成した出力信号を除去する方法として、次の方法が考えられる。記憶部は、ユーザ30に第三者が接近していない状態での人感センサ13R及び13Lの出力信号を右及び左の基礎出力信号として記憶する。CPU21は、ユーザ30に第三者が接近した状態における人感センサ13Rの出力信号から右の基礎出力信号を減算し、人感センサ13Lの出力信号から左の基礎出力信号を減算する。
【0023】
このような方法では、人感センサ13R及び13Lが遠赤外線で熱を検知する方法を採用しているとき、ユーザ30が例えば運動することによって体温が上昇すると、体温の上昇分がノイズとなる。実際にはユーザ30に第三者が接近していないにもかかわらず、第三者が接近していると誤検出することがある。上述した人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とを互いに減算する方法では、誤検出が少なく高精度に第三者の接近を検知することができる。
【0024】
なお、人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とを互いに減算する方法では、第三者がユーザ30の正面または真後ろで人感センサ13Rと人感センサ13Lとからの等距離線上を移動しながら接近すると、第三者の接近を検出できない。しかしながら、第三者がこのようにユーザ30に接近することは極めて稀であるから、実質的に問題とならない。
【0025】
人感センサ13Rの感度と人感センサ13Lの感度とが異なったり、ユーザ30の左右の耳の温度が異なったりすると、ユーザ30に第三者が接近していない状態で、人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とはほぼ同じ信号強度とはならないことがある。人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号とが異なるときには、重み付け係数を乗算することによって両者の信号強度を合わせることが好ましい。
【0026】
図4に示すフローチャートを用いて、人感センサ13Rの出力信号と人感センサ13Lの出力信号の信号強度を合わせる処理を含む、携帯端末2で実行される好ましい処理を説明する。
【0027】
CPU21は、ステップS01にて、人感センサ13R及び13Lの出力信号を取得する。CPU21は、ステップS02にて、人感センサ13R及び13Lの出力信号に対して所定の重み付け係数を乗算して重み付けする。CPU21は、ステップS03にて、重み付けした人感センサ13Rの出力信号から重み付けした人感センサ13Lの出力信号を減算して差分値を生成する。CPU21は、ステップS04にて、差分値が第1の所定値以下であるか否かを判定する。第1の所定値は小さな値に設定される。
【0028】
ステップS04にて差分値が第1の所定値以下でなければ(NO)、CPU21は、ステップS05にて重み付け係数を変更して、ステップS01~S05の処理を繰り返す。ステップS01~S05の処理は、ユーザ30の周囲に第三者がいない状態で実行される。ステップS01~S05の処理を繰り返せば、差分値が第1の所定値以下となる重み付け係数が得られる。
【0029】
ステップS04にて差分値が第1の所定値以下であれば、CPU21は、ステップS06にて、人感センサ13R及び13Lの出力信号に対する重み付け係数を決定する。なお、人感センサ13R及び13Lのうちの一方の出力信号に対する重み付け係数は1であってもよい。ステップS01~S06の処理によって重み付け係数を決定する初期設定が完了する。
【0030】
CPU21は、ステップS11にて、人感センサ13R及び13Lの出力信号を取得する。CPU21は、ステップS120にて、決定した重み付け係数で重み付けして、人感センサ13Rの出力信号から人感センサ13Lの出力信号を減算して差分値を生成して、処理をステップS13に移行させる。ステップS13~15の処理は図3と同じである。
【0031】
図4に示す例では、重み付け係数を徐々に変更して差分値が第1の所定値以下となる重み付け係数を決定しているが、重み付け係数を次のように決定してもよい。人感センサ13Rの出力信号をS1、人感センサ13Lの出力信号をS2とする。出力信号S1及びS2に対する重み付け係数をα1及びα2とする。α1×S1-α2×S2が差分値となる。重み付け係数α1を1、重み付け係数α2をS1/S2とすれば、差分値を0とすることができる。重み付け係数α1及びα2はユーザ30ごとに異なるから、各ユーザ30に対して個別に設定される。
【0032】
以上のように、第1実施形態の携帯端末2において、通信回路24は、ユーザ30の右耳に装着される右イヤホン1R及び左耳に装着される左イヤホン1Lと通信する。通信回路24は、右イヤホン1Rに備えられている人感センサ13R(第1の人感センサ)が生成した第1の出力信号と、左イヤホン1Lに備えられている人感センサ13L(第2の人感センサ)が生成した第2の出力信号とを受信する。
【0033】
CPU21は検出部として機能し、通信回路24が受信した第1の出力信号と第2の出力信号との差分値に基づいて、ユーザ30に第三者が接近したか否かを検出する。後述する通知部は、CPU21がユーザ30に第三者が接近したことを検出したとき、ユーザ30に第三者が接近したことを通知する。
【0034】
CPU21は、ユーザ30に第三者が接近していない状態で、第1の出力信号と第2の出力信号との差分値が第1の所定値以下となるように、第1の出力信号と第2の出力信号とに重み付け係数を乗算するのがよい。
【0035】
通信回路24は通知部として機能し、通信回路24が、ユーザ30に第三者が接近したことを知らせる音声信号を右イヤホン1Rと左イヤホン1Lとのうちの少なくとも一方に送信する。第三者がユーザ30に右方向から接近しているときには音声信号を右イヤホン1Rに送信し、左方向から接近しているときには音声信号を左イヤホン1Lに送信してもよい。第三者がユーザ30に接近する方向に対応して、ユーザ30が接近する方向から音が聞こえるようなステレオ音声信号を右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに送信してもよい。
【0036】
スピーカユニット22は通知部として、ユーザ30に第三者が接近したことを知らせる音声を発生してもよい。ディスプレイ25は通知部として、ユーザ30に第三者が接近したことを知らせる文字または画像を表示してもよい。振動部26は通知部として、ユーザ30に第三者が接近したことを振動によって知らせてもよい。
【0037】
第1実施形態の携帯端末2によれば、人感センサ13R及び13Lがユーザ30を検知することによって生成した出力信号を除去するので、ユーザに接近する第三者であってユーザに知らせるべき第三者を的確に検知して知らせることができる。
【0038】
<第2実施形態>
第1実施形態の携帯端末2においては、ユーザ30の周囲に複数の人がいる状況でもユーザ30に第三者の接近を通知してしまう。第2実施形態の携帯端末2は、ユーザ30の周囲に複数の人がいる状況ではユーザ30に第三者の接近を通知しないように構成している。
【0039】
図5において、右イヤホン1Rはマイクロホン17Rを備え、左イヤホン1Lはマイクロホン17Lを備える。携帯端末2はマイクロホン27を備える。マイクロホン17R、17L、及び27は、ノイズキャンセル用のマイクロホンであってもよい。携帯端末2のみがマイクロホン27を備え、右イヤホン1R及び左イヤホン1Lはマイクロホン17R及び17Lを備えなくてもよい。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lのみがマイクロホン17R及び17Lを備え、携帯端末2はマイクロホン27を備えなくてもよい。
【0040】
マイクロホン17R及び17Lは、マイクロホン17R及び17Lが収音した音声信号を携帯端末2に送信する。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lは、マイクロホン17R及び17Lが収音した音声信号に基づき音量を携帯端末2に送信してもよい。
【0041】
図6に示すフローチャートを用いて、携帯端末2で実行されるユーザ30の周囲に複数の人がいる状況で第三者の接近を通知しないよう処理する第1の例を説明する。図6に示すステップS21及びS22は、図3または図4のステップS13とステップS14との間に設けられる。図3または図4のステップS13にて第三者の接近が検出されると、CPU21は、ステップS21にて、人感センサ13Rまたは13Lの出力信号が第2の所定値を超えるか否かを判定する。第2の所定値は大きな値に設定される。
【0042】
人感センサ13Rまたは13Lの出力信号が第2の所定値を超えるということは、ユーザ30の周囲に複数の人がいると考えられる。そこで、人感センサ13Rまたは13Lの出力信号が第2の所定値を超えなければ(NO)、CPU21は処理を図3または図4のステップS14に移行させて、ユーザ30に第三者が接近していることを通知する。人感センサ13Rまたは13Lの出力信号が第2の所定値を超えれば(YES)、CPU21は、ステップS22にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS21に戻す。
【0043】
なお、図6に示す第1の構成例においては、マイクロホン17R、17L、及び27は使用されない。
【0044】
図7に示すフローチャートを用いて、携帯端末2で実行されるユーザ30の周囲に複数の人がいる状況で第三者の接近を通知しないよう処理する第2の例を説明する。図7に示すステップS23~S25は、図3または図4のステップS13とステップS14との間に設けられる。
【0045】
図3または図4のステップS13にて第三者の接近が検出されると、CPU21は、ステップS23にて、マイクロホン17R、17L、及び27のうちのいずれかからの音声信号(または音量)を取得する。CPU21は、ステップS24にて、音量が所定の音量を超えるか否かを判定する。音量が所定の音量を超えなければ(NO)、CPU21は処理を図3または図4のステップS14に移行させて、ユーザ30に第三者が接近していることを通知する。音量が所定の音量を超えれば(YES)、CPU21は、ステップS25にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS23に戻す。
【0046】
以上のように、第2実施形態の携帯端末2においては、CPU21は、ユーザ30の周囲に複数の第三者が存在すると判断されるとき、通知部による通知をオフする。CPU21は、第1または第2の出力信号が第2の所定値を超えるとき、ユーザ30の周囲に複数の第三者が存在すると判断して、通知部による通知をオフする。CPU21は、右イヤホン1R、左イヤホン1L、または携帯端末2に備えられたマイクロホン(17R、17L、または27)が収音した音声信号が所定の音量を超えるとき、ユーザ30の周囲に複数の第三者が存在すると判断して、通知部による通知をオフしてもよい。
【0047】
第2実施形態の携帯端末2によれば、第1実施形態の携帯端末2と同様の効果に加えて、ユーザ30の周囲に複数の人がいる状況でユーザ30に第三者の接近を通知しないようすることができる。
【0048】
<第3実施形態>
人感センサ13R及び13Lは消費電力が多いため、ユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを右耳または左耳に装着せず使用していない状況では、人感センサ13R及び13Lをオフすることが好ましい。第3実施形態の携帯端末2は、ユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを使用していない状況で人感センサ13R及び13Lをオフするように構成している。
【0049】
図8において、右イヤホン1Rは近接センサ18Rを備え、左イヤホン1Lは近接センサ18Lを備える。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lは、近接センサ18R及び18Lの出力信号を携帯端末2に送信する。
【0050】
図9に示すフローチャート及び図10に示すタイミングチャートを用いて、ユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを使用していない状況で人感センサ13R及び13Lをオフするよう処理する第1の例を説明する。図9に示すステップS31~S34は、図3のステップS11とステップS12との間、または図4のステップS11とステップS120との間に設けられる。図3または図4のステップS11にてCPU21が人感センサ13R及び13Lの出力信号を取得すると、処理はステップS31に移行される。
【0051】
CPU21は、ステップS31にて、人感センサ13Rまたは13Lの出力信号が第3の所定値以下であるか否かを判定する。第3の所定値は、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着してユーザ30の周囲に第三者がいない状態における出力信号の値より小さい値である、例えば0.8倍の値とする。人感センサ13R及び13Lの出力信号が第3の所定値以下でなければ(NO)、ユーザ30は右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着していると判断されるので、CPU21は処理をステップS12またはS120に移行させる。
【0052】
ステップS31にて人感センサ13Rまたは13Lの出力信号が第3の所定値以下であれば、ユーザ30は右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを装着していないと判断されるので、CPU21は、ステップS32にて、人感センサ13R及び13Lを所定の時間ごとにオフするよう右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示する。
【0053】
CPU21は、ステップS33にて、人感センサ13R及び13Lをオンしている期間に出力信号が第3の所定値を超えるか否かを判定する。出力信号が第3の所定値を超えなければ(NO)、ユーザ30は右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを依然として装着していないと判断されるので、CPU21は、ステップS32及びS33の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS33にて出力信号が第3の所定値を超えれば(YES)、ユーザ30は右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着したと判断される。そこで、CPU21は、ステップS34にて、人感センサ13R及び13Lをオンするよう右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示して、処理をステップS31に戻す。
【0055】
図10において、時刻t1においてユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを外すと、(a)に示すように、出力信号の値は第3の所定値以下となり、(b)に示すように、人感センサ13R及び13Lはオンとオフとを繰り返す。人感センサ13R及び13Lがオンされている時刻t2においてユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着すると、(a)に示すように、出力信号の値は第3の所定値を超える。すると、(b)に示すように、人感センサ13R及び13Lは常時オンされる。
【0056】
なお、図9に示す第1の構成例においては、近接センサ18R及び18Lは使用されない。
【0057】
図11に示すフローチャートを用いて、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを使用していない状況で人感センサ13R及び13Lをオフするよう処理する第2の例を説明する。CPU21は、ステップS35にて、近接センサ18R及び18Lの出力信号を取得する。CPU21は、ステップS36にて、近接センサ18R及び18Lの出力信号の値に基づき、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着しているか否かを判定する。近接センサ18R及び18Lの出力信号が所定の値以上であれば、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着していると判定できる。
【0058】
ステップS36にてユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着していれば(YES)、CPU21は処理をステップS12またはS120に移行させる。ステップS36にてユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを装着していなければ(NO)、CPU21は、ステップS37にて、人感センサ13R及び13Lをオフするよう右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示する。
【0059】
CPU21は、ステップS38にて、近接センサ18R及び18Lの出力信号の値に基づき、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着したか否かを判定する。ユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを装着しなければ(NO)、CPU21は、ステップS37及びS38の処理を繰り返す。ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着すれば(YES)、CPU21は、ステップS39にて、人感センサ13R及び13Lをオンするよう右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示して、処理をステップS35に戻す。
【0060】
以上のように、第3実施形態の携帯端末2において、CPU21は、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを右耳及び左耳に装着しているか否かを判定する。CPU21は、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着していないと判定したとき、人感センサ13R及び13Lを少なくとも間欠的にオフするよう、右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示する。
【0061】
CPU21は、第1及び第2の出力信号が第3の所定値以下であるか否か基づいて、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着しているか否かを判定することができる。第3の所定値は、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着してユーザ30の周囲に第三者がいない状態における第1及び第2の出力信号より小さい値であって、1未満の係数を乗算した値である。
【0062】
この場合、CPU21は、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着していないと判定したとき、人感センサ13R及び13Lを所定の時間ごとにオフするよう右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示する。
【0063】
CPU21は、近接センサ18R及び18Lの出力信号に基づいて、ユーザ30が右イヤホン1R及び左イヤホン1Lを装着しているか否かを判定することができる。この場合、CPU21は、ユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを装着していないと判定したとき、人感センサ13R及び13Lをオフするよう右イヤホン1R及び左イヤホン1Lに指示する。
【0064】
第3実施形態の携帯端末2によれば、第1実施形態の携帯端末2と同様の効果に加えて、ユーザ30が右イヤホン1Rまたは左イヤホン1Lを使用していない状況で人感センサ13R及び13Lを少なくとも間欠的にオフすることができる。よって、右イヤホン1R及び左イヤホン1Lの消費電力を低減することができる。
【0065】
<第4実施形態>
人通りの少ない道路等の特定の場所においてのみ、ユーザ30に対して第三者の接近を通知することが好ましい場合がある。また、夜間のような特定の時間のみ、ユーザ30に対して第三者の接近を通知することが好ましい場合がある。第4実施形態の携帯端末2は、特定の場所においてのみ、または特定の時間のみ、ユーザ30に対して第三者の接近を通知するように構成している。
【0066】
図12において、携帯端末2は、全地球航法衛星システム(Global Navigation Satellite System: GNSS)用の複数の衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信部28を備える。GNSSは、一例としてGPS(Global Positioning System)である。CPU21は、GNSS受信部28が受信した3つ以上の衛星からのGNSS信号に基づいて、携帯端末2の現在位置を算出する。CPU21は、GNSS信号に基づいて現在時刻を取得する。
【0067】
携帯端末2の現在位置及び現在時刻の取得方法はGNSS信号に基づく方法に限定されない。CPU21以外のプロセッサがGNSS信号に基づいて携帯端末2の現在位置を算出して、CPU21に位置情報を供給してもよい。携帯電話回線または無線LANの基地局の位置に基づいて現在位置を算出してもよい。携帯端末2は標準電波に基づいて現在時刻を取得してもよい。
【0068】
不揮発性メモリ29には、ユーザ30に対して第三者の接近を通知する、予め設定された場所(指定領域)の情報及び時間(指定時間)の情報が記憶されている。ユーザ30は、図示していない操作部を操作して指定領域及び指定時間を設定して不揮発性メモリ29に記憶させる。指定領域は緯度と経度とで指定領域が設定されていてもよいし、特定の町の丁目または通りが指定領域とされてもよい。接近の通知を開始する開始時刻と終了する終了時刻との組み合わせで指定時間が設定されてもよいし、所定の時刻から3時間のように指定時間が設定されてもよい。
【0069】
図13に示すフローチャートを用いて、特定の場所において、かつ特定の時間のみ、ユーザ30に対して第三者の接近を通知する処理を説明する。図13に示すステップS41及びS42は、図3または図4のステップS13とステップS14との間に設けられる。
【0070】
図13において、CPU21は、ステップS41にて、現在位置は指定領域内であるか否かを判定する。現在位置が指定領域内でなければ(NO)、CPU21は、ステップS43にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS41に戻す。
【0071】
現在位置が指定領域内であれば(YES)、CPU21は、ステップS42にて、現在時刻が指定時間内であるか否かを判定する。現在時刻が指定時間内でなければ(NO)、CPU21は、ステップS43にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS41に戻す。現在時刻が指定時間内であれば(YES)、CPU21は処理をステップS14に移行させる。
【0072】
図13では、現在位置は指定領域内であり、現在時刻が指定時間内であるときのみ、ユーザ30に対して第三者の接近を通知するようにしているが、現在時刻に関係なく現在位置が指定領域内であるときに、ユーザ30に対して第三者の接近を通知してもよい。また、現在位置に関係なく現在時刻が指定時間内であるときに、ユーザ30に対して第三者の接近を通知してもよい。
【0073】
以上のように、第4実施形態の携帯端末2は、現在位置を取得する現在位置取得部と、ユーザ30に第三者の接近を通知する場所を示す指定領域を記憶する記憶部を備える。CPU21及びGNSS受信部28は現在位置取得部の一例である。不揮発性メモリ29は記憶部の一例である。CPU21は、現在位置が指定領域内でないとき、ユーザ30に対する通知をオフする。
【0074】
第4実施形態の携帯端末2は、現在時刻を取得する現在時刻取得部と、ユーザ30に第三者の接近を通知する時間を示す指定時間を記憶する記憶部を備える。CPU21及びGNSS受信部28は現在時刻取得部の一例である。不揮発性メモリ29は記憶部の一例である。なお、指定領域を記憶する記憶部と指定時間を記憶する記憶部とは同じ記憶部あってもよく、異なる記憶部であってもよい。CPU21は、現在時刻が指定時間でないとき、ユーザ30に対する通知をオフする。
【0075】
第4実施形態の携帯端末2によれば、第1実施形態の携帯端末2と同様の効果に加えて、特定の場所においてのみ、または特定の時間のみ、ユーザ30に対して第三者の接近を通知することができる。通知の必要のない場所または時間で第三者の接近を通知しないので、無駄な通知をしないようすることができる。なお、指定領域以外では消費電力を減らすために人感センサ13R及び13Lをオフにするのが望ましい。
【0076】
<第5実施形態>
ユーザ30が、電車、自動車、飛行機等の高速の移動体に乗っているときには、ユーザ30に対して第三者の接近を通知する必要がない。ユーザ30が、自転車で移動しているとき、スケートボードまたはローラースケートに乗っているときのように、低速で移動しているときには、ユーザ30に対して第三者の接近を通知した方がよい。第5実施形態の携帯端末2は、高速の移動体に乗っていると想定されるとき、ユーザ30に対する通知をオフするように構成している。
【0077】
図14において、右イヤホン1Rは加速度センサ101Rを備え、左イヤホン1Lは加速度センサ101Lを備える。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lは、加速度センサ101R及び101Lの出力信号を携帯端末2に送信する。携帯端末2は、加速度センサ201を備える。携帯端末2のみが加速度センサ201を備え、右イヤホン1R及び左イヤホン1Lは加速度センサ101R及び101Lを備えなくてもよい。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lのみが加速度センサ101R及び101Lを備え、携帯端末2は加速度センサ201を備えなくてもよい。
【0078】
図15に示すフローチャートを用いて、高速の移動体に乗っていると想定されるとき、ユーザ30に対する通知をオフする処理を説明する。図15に示すステップS51及びS52は、図3または図4のステップS13とステップS14との間に設けられる。CPU21は、ステップS51にて、加速度センサ101R、101L、または201の出力信号に基づき、ユーザ30が高速で移動しているか否かを判定する。
【0079】
例えば、30km/h以上を高速とする。CPU21は、加速度センサ101R、101L、または201が検出した加速度を積分して速度を求める。CPU21は、求めたユーザ30の移動速度が30km/h以上であるとき、高速で移動していると判定する。ユーザ30が高速で移動していなければ(NO)、CPU21は処理をステップS14に移行させる。ユーザ30が高速で移動していれば(YES)、CPU21は、ステップS52にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS51に戻す。
【0080】
以上のように、第5実施形態の携帯端末2は、ユーザ30の移動速度を取得する移動速度取得部を備える。CPU21は移動速度取得部として機能する。通知部は、移動速度取得部が取得したユーザ30の移動速度が所定の速度以上であるとき、ユーザ30に対する通知をオフする。移動速度取得部は、右イヤホン1R、左イヤホン1L、または携帯端末2に備えられた加速度センサ101R、101L、または201が取得した加速度に基づいて、ユーザ30の移動速度を求めることができる。
【0081】
第5実施形態の携帯端末2によれば、第1実施形態の携帯端末2と同様の効果に加えて、電車、自動車、飛行機等の高速の移動体に乗っているときにユーザ30に通知しないようにすることができる。
【0082】
<第6実施形態>
CPU21がユーザ30に第三者が接近していることを検出して、ユーザ30に通知したとき、ユーザ30が第三者を認識すればユーザ30に対する通知を継続する必要はない。第6実施形態の携帯端末2は、ユーザ30が第三者を確認したと想定されるとき、ユーザ30に対する通知をオフするように構成している。
【0083】
図16において、右イヤホン1Rは加速度センサ101R及び地磁気センサ102Rを備え、左イヤホン1Lは加速度センサ101L及び地磁気センサ102Lを備える。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lは、加速度センサ101R及び101Lの出力信号と地磁気センサ102R及び102Lの出力信号を携帯端末2に送信する。地磁気センサ102R及び102Lを設けることは必須ではないが、設けることが好ましい。
【0084】
図17に示すフローチャートを用いて、ユーザ30が第三者を確認したと想定されるとき、ユーザ30に対する通知をオフする処理を説明する。図17に示すステップS61~S63は、図3または図4のステップS14とステップS15との間に設けられる。CPU21が第三者の接近を検出してユーザ30に通知した後、CPU21は、ステップS61にて、ユーザ30の頭部の動きを取得する。
【0085】
CPU21は、加速度センサ101R及び101Lの出力信号に基づいて、または、加速度センサ101R及び101Lの出力信号及び地磁気センサ102R及び102Lの出力信号に基づいて、ユーザ30の頭部の動きを取得することができる。CPU21が加速度センサ101R及び101Lの出力信号に加えて、地磁気センサ102R及び102Lの出力信号に基づいて頭部の動きを取得すると、頭部の動きをより高精度に取得することができる。
【0086】
CPU21は、ステップS62にて、頭部の動きに基づいてユーザ30が第三者を確認したと想定されるか否かを判定する。ユーザ30の顔が接近する第三者の方を向き、その後に顔が元の向きに戻るような動きをすれば、第三者を確認したと想定することができる。ユーザ30が第三者を確認したと想定されなければ(NO)、CPU21は、ステップS61及びS62の処理を繰り返す。ユーザ30が第三者を確認したと想定されれば(YES)、CPU21は、ステップS63にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS15に移行させる。
【0087】
以上のように、第6実施形態の携帯端末2は、ユーザ30の頭部の動きを取得する動き取得部を備える。CPU21は、少なくとも加速度センサ101R及び101Lの出力信号に基づいてユーザ30の頭部の動きを取得する動き取得部として機能する。通知部がユーザ30に対して第三者が接近したことを通知した後に、動き取得部が、ユーザ30の頭部が第三者を確認したと想定される動きを取得したら、通知部はユーザ30に対する通知をオフする。
【0088】
第6実施形態の携帯端末2は、第1実施形態の携帯端末2と同様の効果に加えて、ユーザ30が第三者を確認したと想定されるとき、ユーザ30に対する通知をオフすることができる。よって、必要以上にユーザ30に通知しないようにすることができる。
【0089】
<第7実施形態>
第三者が停止していても、ユーザ30と第三者との距離が短くなっていくと、CPU21は第三者の接近を検出してユーザ30に通知することがある。人感センサ13R及び13Lは熱源が発生する遠赤外線を検出するので、停止している自動車等を検出してユーザ30に通知することもある。第三者を含む停止している任意の熱源が存在し、ユーザ30が移動して熱源がユーザ30に相対的に接近することによって、人感センサ13Rまたは13Lが出力信号を生成しても、ユーザ30に通知する必要はない。
【0090】
第7実施形態の携帯端末2は、停止している任意の熱源がユーザ30に相対的に接近して、CPU21がユーザ30に第三者が接近したと検出するときに、ユーザ30に対する通知をオフするように構成している。
【0091】
図18において、右イヤホン1Rは加速度センサ101R及び地磁気センサ102Rを備え、左イヤホン1Lは加速度センサ101L及び地磁気センサ102Lを備える。右イヤホン1R及び左イヤホン1Lは、加速度センサ101R及び101Lの出力信号と地磁気センサ102R及び102Lの出力信号を携帯端末2に送信する。携帯端末2はGNSS受信部28を備える。携帯端末2の現在位置を算出する。
【0092】
図19に示すフローチャートを用いて、停止している熱源がユーザ30に相対的に接近する状況でユーザ30に対する通知をオフする処理を説明する。図19に示すステップS71~S75は、図3または図4のステップS13とステップS14またはステップS15との間に設けられる。
【0093】
図19において、CPU21は、ステップS71にて、人感センサ13R及び13Lの出力信号の信号強度を所定間隔で取得する。CPU21は、ステップS72にて、ユーザ30の位置を所定時間取得する。CPU21は、ユーザ30の位置を所定時間内に間欠的に取得してもよい。CPU21は、ステップS73にて、ユーザ30の位置の変化と出力信号の信号強度の変化との関係を算出する。
【0094】
図20において、ユーザ30は直線Ls上を左側から右側へと移動するとする。直線Lsの位置xとして位置0であって、直線Lsと直交する方向に直線Lsから所定の距離だけ離れた位置に、停止している第三者40が存在するとする。このとき、人感センサ13Lの出力信号の信号強度は、ユーザ30が位置0に近付くに従って漸増し、位置0を過ぎて位置0から離れるに従って漸減する。位置xと信号強度との関係を示す特性図において白丸はステップS71にて所定間隔で取得した出力信号の信号強度を示す。
【0095】
CPU21は、GNSS信号に基づいて携帯端末2(ユーザ30)の現在位置を取得するが、位置精度がさほど高精度でないため、加速度センサ101Rまたは101Lの出力信号に基づいてユーザ30の位置を取得して、位置精度を向上させるのがよい。加速度センサ101Rまたは101Lの出力信号である加速度を積分して速度に変換し、速度をさらに積分することによって位置情報を得ることができる。
【0096】
図20に示すように、第三者40等の停止している任意の熱源が存在し、ユーザ30が直線的に移動するときの、位置xと人感センサ13Rまたは13Lの出力信号の信号強度とは、比例定数をkとすると、k/(x)の関係を有する。CPU21は、ユーザ30の少なくとも3点の位置と出力信号の少なくとも3点の信号強度とに基づいて、ユーザ30の位置の変化と信号強度の変化との関係が1/(x)に比例しているか否かによって、停止している熱源がユーザ30に相対的に接近する状態であるか否かを判定することができる。
【0097】
この原理に基づき、CPU21は、ステップS74にて、熱源が停止しているか否かを判定する。熱源が停止していなければ(NO)、CPU21は、処理をステップS14に移行させて、ユーザ30に第三者が接近していることを通知する。熱源が停止していれば(YES)、CPU21は、ステップS75にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS15に移行させる。
【0098】
なお、図19に示す処理においては、地磁気センサ102R及び102Lの出力信号は使用されない。
【0099】
図20に示すような状況においては、停止している熱源がユーザ30に相対的に接近してもユーザ30に通知する必要はないとしたが、ユーザ30が脇見等で停止している熱源を認識していないと想定されるときには、ユーザ30に通知することが好ましい。
【0100】
図21に示すフローチャートを用いて、図19に示す処理に加えて、ユーザ30が熱源を認識していないと想定されるときにユーザ30に通知するようにした処理を説明する。図21において、ステップS74にて、熱源が停止していれば(YES)、CPU21は、ステップS76にて、地磁気センサ102R及び102Lの出力信号に基づいてユーザ30の頭部の向きを取得する。
【0101】
CPU21は、ステップS77にて、ユーザ30は脇見をしているか否かを判定する。図22に示すように、ユーザ30が直線Ls上を左側から右側へと移動していて、ユーザ30の頭部の向きが一点鎖線で示すように第三者40側を向いていないとき、ユーザ30は第三者40を認識していないと想定される。このようなとき、CPU21は、ユーザ30は脇見をしている(YES)と判定して、処理をステップS14に移行させて、ユーザ30に第三者が接近していることを通知する。
【0102】
ユーザ30が移動する方向と頭部の向きとが何度以上ずれているときに脇見をしている状態とするかは、適宜に設定すればよい。例えば、CPU21は、停止している熱源が存在していない側にユーザ30が移動する方向に対して30度以上ずれているときに、脇見をしている状態とすることができる。
【0103】
CPU21は、ステップS77にてユーザ30は脇見をしていない(NO)と判定すれば、ステップS75にて、ユーザ30に対する通知をオフして、処理をステップS15に移行させる。
【0104】
以上のように、停止している任意の熱源が存在し、ユーザ30が移動することによって停止している熱源がユーザ30に相対的に接近すると、人感センサ13Rまたは13Lが出力信号を生成する。すると、CPU21は、ユーザ30に第三者が接近したと検出する。第7実施形態の携帯端末2は、このような状態で、ユーザ30に対する通知をオフするよう通知部を制御する通知制御部を備える。CPU21は、通知制御部として機能する。
【0105】
CPU21は、ユーザ30の移動によるユーザ30の位置の変化と、人感センサ13Rまたは13Lの出力信号の信号強度の変化との関係に基づいて、停止している熱源がユーザ30に相対的に接近する状態を検出することができる。
【0106】
CPU21は、停止している熱源がユーザ30に相対的に接近する状態を検出したとき、ユーザ30が移動する方向とユーザ30の頭部の向きとに基づいて、ユーザ30が停止している熱源を認識していないと想定されるか否かを判定することが好ましい。CPU21は、ユーザ30が停止している熱源を認識していないと想定されるとき、ユーザ30に対する通知をオフしないよう通知部を制御することが好ましい。
【0107】
第7実施形態の携帯端末2によれば、第1実施形態の携帯端末2と同様の効果に加えて、停止している熱源が存在し、ユーザ30が移動することによって熱源がユーザ30に相対的に接近するときに、ユーザ30に第三者の接近を通知しないようにすることができる。また、第7実施形態の携帯端末2によれば、停止している熱源を認識していないと想定されるときに、第三者の接近を通知することができる。
【0108】
本発明は以上説明した第1~第7実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。第2~第7実施形態は任意に組み合わせが可能である。第1~第7実施形態を、CPUに各実施形態の処理を実行させるコンピュータプログラムで構成することも可能である。
【符号の説明】
【0109】
1L 左イヤホン
1R 右イヤホン
2 携帯端末
11L,11R,21 中央処理装置(CPU)
12L,12R 振動ユニット
13L, 13R 人感センサ
14L,14R,24 通信回路
17L,17R,27 マイクロホン
18L,18R 近接センサ
22 スピーカユニット
25 ディスプレイ
26 振動部
28 GNSS受信部
29 不揮発性メモリ
30 ユーザ
101L,101R,201 加速度センサ
102L, 102R 地磁気センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22