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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】圧電スイッチの駆動方法及び駆動回路
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/00 20060101AFI20230502BHJP
   H03K 17/96 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
H01H13/00 C
H03K17/96 V
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019181667
(22)【出願日】2019-10-01
(65)【公開番号】P2021057297
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】田村 淳
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 拓哉
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-136414(JP,A)
【文献】特開2000-182464(JP,A)
【文献】特開2006-107140(JP,A)
【文献】特開2019-31218(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
H03K 17/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間して筐体の内面に取り付けられる第一圧電素子及び第二圧電素子を備え、前記筐体の外面を操作領域として機能させる圧電スイッチの駆動方法であって、
前記第一圧電素子に駆動電圧を与えて、前記第一圧電素子を振動させる振動工程と、
前記第二圧電素子において発生する電圧を測定する第一測定工程と、
前記第一測定工程で測定された電圧値に基づき、前記操作領域に対する操作の有無及び前記操作の種類のうち少なくとも一方を判別する第一判別工程と、を含み、
前記第一圧電素子及び前記第二圧電素子において発生する電圧をそれぞれ測定する第二測定工程と、
前記第二測定工程で測定された前記第一圧電素子の電圧値と前記第二圧電素子の電圧値とに基づき、前記操作の有無を判別する第二判別工程と、を更に含み、
前記振動工程、前記第一測定工程、及び前記第一判別工程は、前記第二判別工程において前記操作が有ると判別されたときに実施され、
前記第一判別工程では、前記操作の種類が判別される、圧電スイッチの駆動方法。
【請求項2】
前記第一判別工程では、前記電圧値が予め設定された第一閾値以上の場合、前記操作が無いと判別し、前記電圧値が前記第一閾値未満の場合、前記操作が有ると判別すると共に、前記電圧値が予め設定された第二閾値以上であれば、前記操作の種類がタッチであると判別し、前記電圧値が前記第二閾値未満であれば、前記操作の種類が前記タッチよりも押圧力の大きいプッシュであると判別する、請求項1に記載の圧電スイッチの駆動方法。
【請求項3】
互いに離間して筐体の内面に取り付けられる第一圧電素子及び第二圧電素子を備え、前記筐体の外面を操作領域として機能させる圧電スイッチの駆動回路であって、
前記第一圧電素子に駆動信号を与えて、前記第一圧電素子を振動させる駆動部と、
前記第二圧電素子において発生する電圧を測定する第一測定部と、
前記第一測定部で測定された電圧値に基づき、前記操作領域に対する操作の有無及び前記操作の種類のうち少なくとも一方を判別する制御部と、
前記第一圧電素子及び前記第二圧電素子において発生する電圧をそれぞれ測定する第二測定部と、を備え、
前記制御部は、前記第二測定部で測定された前記第一圧電素子の電圧値と前記第二圧電素子の電圧値とに基づき、前記操作の有無を判別し、
前記駆動部及び前記第一測定部は、前記制御部において前記操作が有ると判別されたときに動作し、
前記制御部は、前記操作の種類を判別する、圧電スイッチの駆動回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一つの態様は、圧電スイッチの駆動方法及び駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、機械的な力を加えて撓ませることにより電気信号が発生する圧電素子を用いた圧電スイッチが記載されている。この圧電スイッチは無接点式であるため、接点の接触不良、凍結時の作動不良等の問題がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭58-79823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
圧電スイッチには、様々な可能性が期待されている。そこで、本発明者らは、圧電スイッチの新たな駆動方法及び駆動回路について鋭意研究を行った結果、本発明を完成させるに至った。
【0005】
圧電スイッチの新たな駆動方法及び駆動回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る圧電スイッチの駆動方法は、互いに離間して筐体の内面に取り付けられる第一圧電素子及び第二圧電素子を備え、筐体の外面を操作領域として機能させる圧電スイッチの駆動方法であって、第一圧電素子に駆動電圧を与えて、第一圧電素子を振動させる振動工程と、第二圧電素子において発生する電圧を測定する第一測定工程と、第一測定工程で測定された電圧値に基づき、操作領域に対する操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一方を判別する第一判別工程と、を含む。
【0007】
上記一つの態様では、第一圧電素子及び第二圧電素子はいずれも筐体の内面に取り付けられている。このため、第一圧電素子が振動すると、その振動が筐体を通じて第二圧電素子に伝達される。振動の伝達のされ易さは、筐体の外面の操作領域に対する操作の有無及び操作の種類によって異なる。そこで、上記一つの態様では、振動工程で第一圧電素子を振動させ、第一測定工程で第二圧電素子において発生する電圧を測定する。そして、測定された電圧値に基づき、第一判別工程において、操作領域に対する操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一つを判別する。このように、上記一つの態様によれば、圧電スイッチの新たな駆動方法が提供される。
【0008】
第一判別工程では、電圧値が予め設定された第一閾値以上の場合、操作が無いと判別し、電圧値が第一閾値未満の場合、操作が有ると判別すると共に、電圧値が予め設定された第二閾値以上であれば、操作の種類がタッチであると判別し、電圧値が第二閾値未満であれば、操作の種類がタッチよりも押圧力の大きいプッシュであると判別してもよい。この場合、第一閾値及び第二閾値を用いるので、操作の有無及び操作の種類を容易に判別することができる。
【0009】
第一圧電素子及び第二圧電素子において発生する電圧をそれぞれ測定する第二測定工程と、第二測定工程で測定された第一圧電素子の電圧値と第二圧電素子の電圧値とに基づき、操作の有無を判別する第二判別工程と、を更に含み、振動工程、第一測定工程、及び第一判別工程は、第二判別工程において操作が有ると判別されたときに実施され、第一判別工程では、操作の種類が判別されてもよい。この場合、操作が有ると判別されたときだけ第一圧電素子が振動するので、消費電力を抑制することができる。
【0010】
本発明の一つの態様に係る圧電スイッチの駆動回路は、互いに離間して筐体の内面に取り付けられる第一圧電素子及び第二圧電素子を備え、筐体の外面を操作領域として機能させる圧電スイッチの駆動回路であって、第一圧電素子に駆動信号を与えて、第一圧電素子を振動させる駆動部と、第二圧電素子において発生する電圧を測定する第一測定部と、第一測定部で測定された電圧値に基づき、操作領域に対する操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一方を判別する制御部と、を備える。
【0011】
上記一つの態様では、第一圧電素子及び第二圧電素子はいずれも筐体の内面に取り付けられている。このため、第一圧電素子が振動すると、その振動が筐体を通じて第二圧電素子に伝達される。振動の伝達のされ易さは、筐体の外面の操作領域に対する操作の有無及び操作の種類によって異なる。そこで、上記一つの態様では、振動部が第一圧電素子を振動させ、第一測定部が第二圧電素子において発生する電圧を測定する。そして、測定された電圧値に基づき、制御部が、操作領域に対する操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一つを判別する。このように、上記一つの態様によれば、圧電スイッチの新たな駆動回路が提供される。
【0012】
上記圧電スイッチの駆動回路は、第一圧電素子及び第二圧電素子において発生する電圧をそれぞれ測定する第二測定部を更に備え、制御部は、第二測定部で測定された第一圧電素子の電圧値と第二圧電素子の電圧値とに基づき、操作の有無を判別し、駆動部及び第一測定部は、制御部において操作が有ると判別されたときに動作し、制御部は、操作の種類を判別してもよい。この場合、操作が有ると判別されたときだけ第一圧電素子が振動するので、消費電力を抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一つの態様によれば、圧電スイッチの新たな駆動方法及び駆動回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る圧電スイッチの斜視図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿っての断面図である。
図3図3は、配線部材の導体層をベース側から見た透視図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿っての断面図である。
図5図5は、実施形態に係る圧電スイッチ及び駆動回路を備える電子機器の構成を示すブロック図である。
図6図6は、第一例に係る圧電スイッチの駆動方法を示すフローチャートである。
図7図7(a)は、操作領域R1が操作された場合の断面図である。図7(b)は、操作領域R1が操作された場合の圧電素子P1,P2の電圧振幅を示すグラフである。
図8図8(a)は、操作領域R2が操作された場合の断面図である。図8(b)は、操作領域R2が操作された場合の圧電素子P1,P2の電圧振幅を示すグラフである。
図9図9は、第二例に係る圧電スイッチの駆動方法を示すフローチャートである。
図10図10(a)は、操作が無いときの圧電素子P1,P2の振動状態を示す断面図である。図10(b)は、操作が有るときの圧電素子P1,P2の振動状態を示す断面図である。図10(c)は、圧電素子P2における電圧振幅の違いを示すグラフである。
図11図11は、第三例に係る圧電スイッチの駆動方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係る圧電スイッチの斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿っての断面図である。図1及び図2に示されるように、圧電スイッチ1は、複数の圧電素子P1,P2と、複数の圧電素子P1,P2が互いに離間して配置された配線部材2と、を備えている。圧電スイッチ1は、例えば、スマートフォン、タブレット、スマートウォッチ等の電子機器50(図5参照)の筐体3に取り付けられて用いられる。なお、図1では筐体3の図示が省略されている。
【0017】
複数の圧電素子P1,P2は、筐体3の内面3aに互いに離間して取り付けられる。複数の圧電素子P1,P2は、筐体3の外面3bが押圧されることにより、筐体3と共に変位するように内面3aに取り付けられている。複数の圧電素子P1,P2は、例えば、接着層(不図示)によって、内面3aに接合(接着)されている。
【0018】
筐体3の外面3bには、例えば、操作者が指により操作(押圧)可能な操作領域R1,R2が圧電素子P1,P2に対応して設定されている。言い換えると、圧電素子P1,P2は、筐体3の外面3bにおける対応する部分をそれぞれ操作領域R1,R2として機能させている。圧電スイッチ1は、操作を検出するセンシングデバイスである。
【0019】
操作領域R1,R2は、例えば、外面3bに直交する方向から見て、圧電素子P1,P2と重なるように設定されている。操作領域R1,R2には、例えば、着色が施されていてもよい。これにより、操作者が操作領域R1,R2を視覚的に認識し易い。操作領域R1,R2の外面3bは、凸状に突出して形成されてもよい。これにより、操作者が操作領域R1,R2を視覚的及び触覚的に認識し易い。例えば、操作領域R1,R2は、操作者にとっては仮想スイッチとして機能する。操作領域R1,R2は、一例として、音量調整スイッチとして機能する。
【0020】
圧電スイッチ1は、その駆動方法及び駆動回路によっては、操作領域R1,R2を別の操作領域として区別せず、操作領域R1,R2、及び、外面3bにおいて操作領域R1と操作領域R2との間に配置された領域を、一体的な一つの操作領域R3としても機能させる。操作領域R3を仮想スイッチとして用いる場合は、操作領域R3に着色が施されてもよいし、操作領域R3の外面3bが凸状に突出して形成されてもよい。操作領域R3は、外面3bに直交する方向から見て、圧電素子P1,P2と完全に重なる操作領域R1,R2、及び、外面3bにおいて操作領域R1,R2との間に位置する部分からなっていてもよい。
【0021】
圧電素子P1,P2は、互いに同等の構成を有している。圧電素子P1,P2は、例えば、矩形板状を呈している。圧電素子P1,P2は、例えば、互いに同形状を呈している。圧電素子P1,P2は、厚さ方向(Z方向)で互いに対向する主面Pa,Pbをそれぞれ有している。主面Paは、配線部材2と接続されている。主面Paは、後述する第一電極11の外面、及び、第二電極12の電極部分13の外面を含んでいる。主面Pbは、後述する第二電極12の電極部分14の外面を含んでいる。主面Pbは、内面3aに取り付けられている。主面Pbは、例えば、接着層(不図示)によって、全面的に内面3aに接合(接着)されている。
【0022】
圧電素子P1,P2は、圧電体10と、第一電極11と、第二電極12と、をそれぞれ有している。圧電体10は、圧電材料からなる。本実施形態では、圧電体10は、圧電セラミック材料からなる。この圧電セラミック材料は、例えば、PZT[Pb(Zr、Ti)O]、PT(PbTiO)、PLZT[(Pb,La)(Zr、Ti)O]、又はチタン酸バリウム(BaTiO)である。圧電体10は、例えば、上述した圧電セラミック材料を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。
【0023】
圧電体10は、例えば、矩形板状を呈している。圧電体10は、互いに対向している一対の主面10a,10bと、互いに対向している一対の端面10c,10dと、を有している。一対の主面10a,10bは、例えば、互いに同形状を呈している。一対の主面10a,10bは、例えば、矩形状を呈している。一対の端面10c,10dは、例えば、互いに同形状を呈している。一対の端面10c,10dは、例えば、矩形状を呈している。一対の端面10c,10dは、一対の主面10a,10bを互いに接続するように、一対の主面10a,10bの対向方向に延在している。一対の端面10c,10dは、一対の主面10a,10bの長辺方向で互いに対向している。一対の端面10c,10dは、一対の主面10a,10bの短辺方向にも延在している。
【0024】
以下では、一対の主面10a,10bの長辺方向をX方向、一対の主面10a,10bの短辺方向をY方向、一対の主面10a,10bの対向方向をZ方向とする。X方向は、圧電素子P1,P2が互いに離間する方向と一致している。Z方向は、一対の主面10a,10bに直交する方向である。圧電体10の長さ(X方向の長さ)は、例えば、5.4mmである。圧電体10の幅(Y方向の長さ)は、例えば、1.5mmである。圧電体10の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば、0.3mmである。
【0025】
第一電極11及び第二電極12は、導電性材料(例えば、Ag、Pd、又はCuなど)を含む導体である。これらの導体は、導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成される。第一電極11及び第二電極12には、互いに異なる極性の電圧が印加される。
【0026】
第一電極11は、主面10aと接している。第一電極11は、Z方向から見て、矩形状を呈している。第一電極11のX方向の長さは、例えば、4.4mmである。第一電極11の幅(Y方向の長さ)は、主面10aの幅(Y方向の長さ)と同等である。第一電極11は、主面10aのY方向の全体を覆っている。
【0027】
第二電極12は、電極部分13と、電極部分14と、電極部分15とを有している。電極部分13は、主面10aに配置されている。電極部分13は、主面10aと接している。電極部分13は、Z方向から見て、矩形状を呈している。電極部分13のX方向の長さは、例えば、0.5mmである。電極部分13の幅(Y方向の長さ)は、主面10aの幅(Y方向の長さ)と同等である。電極部分13は、主面10aのY方向の全体を覆っている。
【0028】
電極部分14は、主面10bに配置されている。電極部分14は、主面10bと接している。電極部分14は、Z方向から見て、主面10bと同形状を呈している。電極部分14は、主面10bの全体を覆っている。電極部分15は、端面10cに配置されている。電極部分15は、端面10cと接している。電極部分15は、X方向から見て、端面10cと同形状を呈している。電極部分15は、端面10cの全体を覆っている。
【0029】
電極部分13と電極部分15とは、主面10aと端面10cとの間の稜線部において互いに接続されている。電極部分14と電極部分15とは、主面10bと端面10cとの間の稜線部において互いに接続されている。電極部分13と電極部分14とは、電極部分15によって互いに接続されている。電極部分13、電極部分14、及び電極部分15は、互いに一体的に形成され、連続している。電極部分13、電極部分14、及び電極部分15は、互いに電気的に接続されている。
【0030】
第一電極11及び電極部分13は、主面10aにおいて互いに離間している。第一電極11は、主面10aの端面10d側に配置され、電極部分13は、主面10aの端面10c側に配置されている。第一電極11が主面10aと接している面積は、電極部分13が主面10aと接している面積よりも大きい。
【0031】
第一電極11及び電極部分14は、互いに圧電体10を介して対向している。Z方向から見て、電極部分14は、第一電極11と重なる領域を有している。第一電極11及び第二電極12に互いに異なる極性の電圧が印加されると、第一電極11と電極部分14との間で電界が発生する。これにより、圧電体10において、第一電極11と電極部分14とで挟まれた領域が圧電的に活性な活性領域Raとなり、活性領域Raに変位が発生する。
【0032】
圧電体10では、端面10d側の領域が活性領域Raとなり、端面10c側の領域が不活性領域となる。圧電素子P1,P2は、圧電素子P1の端面10cと、圧電素子P2の端面10dとが互いに対向するように配置されている。すなわち、圧電素子P1の不活性領域は、圧電素子P2寄り(圧電素子P2側)に配置されている。圧電素子P2の活性領域Raは、圧電素子P1寄り(圧電素子P1側)に配置されている。
【0033】
配線部材2は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)又はフレキシブルフラットケーブル(FFC)である。配線部材2は、可撓性を有する帯状部材である。配線部材2は、平面視で(撓ませずに平面に載置した状態で、厚さ方向から見て)、例えば、T字状を呈している。
【0034】
配線部材2は、圧電素子P1,P2が配置された第一配線部21と、第一配線部21と接続された第二配線部22と、を有している。第一配線部21は、圧電素子P1,P2が互いに離間する方向(X方向)に延在している帯状部材である。第一配線部21の長さ(X方向の長さ)は、例えば、25mmである。第一配線部21の幅(Y方向の長さ)は、例えば、2mmである。第一配線部21の厚さ(Z方向の長さ)は、例えば、125μmである。
【0035】
第一配線部21のX方向の一端21a側には、圧電素子P1が配置され、他端21b側には、圧電素子P2が配置されている。一端21aと圧電素子P1とのX方向における離間距離は、例えば、他端21bと圧電素子P2とのX方向における離間距離と同等であり、例えば、1.5mmである。圧電素子P1,P2の配置間隔L2は、圧電素子P1,P2が互いに離間する方向(X方向)における圧電素子P1,P2の長さL1よりも長い。
【0036】
第二配線部22は、第一配線部21と交差する方向に延在している帯状部材である。第二配線部22は、Y方向に延在している。第二配線部22の一端22aは、圧電素子P1と圧電素子P2との間において、第一配線部21と接続されている。一端22aは、圧電素子P1と圧電素子P2との間の中間位置において、第一配線部21と接続されている。第二配線部22の長さ(Y方向の長さ)は、例えば、39mmである。第二配線部22の幅(X方向の長さ)は、例えば、4.6mmである。
【0037】
図3は、配線部材の導体層をベース側から見た透視図である。図4は、図3のIV-IV線に沿っての断面図である。図2図4に示されるように、配線部材2は、ベース30と、複数の導体層31,32,33,34,35,36,37,38(以下、導体層31~38)と、接着層39と、カバー40と、複数の接続導体41と、補強部材4と、複数の接続電極5,6,7,8と、を有している。図3では、補強部材4の図示が省略されている。複数の接続電極5,6,7,8が破線で示されている。各導体層31~38がベース30を透過して実線で示されている。
【0038】
ベース30は、帯状を呈し、互いに対向している一対の主面30a,30bを有している。ベース30は、電気絶縁性を有している。ベース30は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。ベース30の厚さは、例えば25μmである。
【0039】
各導体層31~38は、接着層(不図示)によって、ベース30の主面30aに接合(接着)されている。各導体層31~38は、互いに離間して主面30a上に配置されている。各導体層31~38は、第二配線部22の他端22bからY方向に延在し、第一配線部21のX方向の中央部に至っている。各導体層31,32,33,34は、第一配線部21のX方向の中央部において90度屈曲してX方向に延在し、一端21aに至っている。各導体層35,36,37,38は、第一配線部21のX方向の中央部において90度屈曲してX方向に延在し、他端21bに至っている。
【0040】
すなわち、各導体層31,32,33,34は、第二配線部22においてY方向に延在している部分と、第一配線部21のX方向の中央部において90度屈曲している部分と、第一配線部21の一端21a側においてX方向に延在している部分とが互いに接続されて構成されている。各導体層35,36,37,38は、第二配線部22においてY方向に延在している部分と、第一配線部21のX方向の中央部において90度屈曲している部分と、第一配線部21の他端21b側においてX方向に延在している部分とが互いに接続されて構成されている。
【0041】
各導体層31~38は、例えば、Cuを含む。各導体層31~38は、例えば、電解メッキにより形成された電解Cu箔と、電解Cu箔上に無電解メッキにより形成されたCuメッキ層と、を有している。各導体層31~38は、第二配線部22のY方向の他端22b側において接着層39及びカバー40から露出している。各導体層31~38の露出部には、例えば、無電解メッキにより、Niメッキ層及びAuメッキ層がこの順に更に設けられている。各導体層31~38の幅は、例えば200μmである。電解Cu箔の厚さは、例えば9μmである。Cuメッキ層の厚さは、例えば、9μm以上14μm以下である。Niメッキ層の厚さは、例えば3μm以上8μm以下である。Auメッキ層の厚さは、例えば0.03μm以上である。
【0042】
接着層39は、各導体層31~38を覆うと共に、各導体層31~38の間を埋めるように、主面30a上に配置されている。接着層39は、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。接着層39の厚さは、例えば、25μmである。
【0043】
カバー40は、主面30a上に配置されている。カバー40は、各導体層31~38と、主面30aのうち、各導体層31~38から露出している領域とに接着層39によって接合(接着)されている。カバー40は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる樹脂層である。カバー40の厚さは、例えば12.5μmである。
【0044】
接着層39及びカバー40は、第二配線部22のY方向の他端22b側における主面30a上には配置されていない。接着層39及びカバー40と他端22bとは、Y方向において離間している。接着層39及びカバー40と他端22bとのY方向における離間距離は、例えば5mmである。第二配線部22のY方向の他端22b側では、上述のように、各導体層31~38の一端部が露出している。各導体層31~38の一端部には、例えば、コネクタが接続されてもよい。
【0045】
複数の接続導体41は、ベース30に設けられた各貫通孔内に配置されている。複数の接続導体41は、各導体層31~38の他端部上に配置されている。複数の接続導体41は、例えば、Cuを含む。
【0046】
導体層31,33の他端部上に配置された各接続導体41は、Z方向から見て、接続電極5と重なる位置に配置され、導体層31,33と接続電極5とを電気的に接続している。導体層32,34の他端部上に配置された各接続導体41は、Z方向から見て、接続電極6と重なる位置に配置され、導体層32,34と接続電極6とを電気的に接続している。導体層35,37の他端部上に配置された各接続導体41は、Z方向から見て、接続電極7と重なる位置に配置され、導体層35,37と接続電極7とを電気的に接続している。導体層36,38の他端部上に配置された各接続導体41は、Z方向から見て、接続電極8と重なる位置に配置され、導体層35,37と接続電極8とを電気的に接続している。
【0047】
補強部材4は、ベース30の主面30b上に配置された板状部材である。補強部材4は、接着層39及びカバー40から露出した各導体層31~38の一端部と、Z方向から見て、重なるように設けられている。補強部材4は、例えば、熱硬性接着剤(不図示)によって、主面30bに接合(接着)されている。熱硬性接着剤の厚さは、例えば40μmである。補強部材4は、第二配線部22のY方向の他端22b側に設けられ、第二配線部22のX方向の全体を覆っている。補強部材4は、例えば、矩形板状を呈し、補強部材4の幅(X方向の長さ)は、第二配線部22の幅(X方向の長さ)と同等である。補強部材4のY方向の長さは、例えば8mmである。補強部材4の厚さは、例えば225μmである。補強部材4は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂からなる。
【0048】
接続電極5,6,7,8は、ベース30の主面30b上に配置されている。接続電極5,6,7,8とベース30とは、互いに直接接合されている。接続電極5,6,7,8は、第一配線部21に配置されている。
【0049】
接続電極5は、Z方向から見て、圧電素子P1の第一電極11と重なる位置に配置され、当該第一電極11と接続されている。接続電極6は、Z方向から見て、圧電素子P1の第二電極12の電極部分13と重なる位置に配置され、当該電極部分13と接続されている。接続電極7は、Z方向から見て、圧電素子P2の第一電極11と重なる位置に配置され、当該第一電極11と接続されている。接続電極8は、Z方向から見て、圧電素子P2の第二電極12の電極部分13と重なる位置に配置され、当該電極部分13と接続されている。接続電極5,6,7,8は、例えば、導電性接着剤により第一電極11及び第二電極12の電極部分13と接続されている。導電性接着剤は、例えば、はんだなどの熱溶融性金属により形成されてもよいし、導電性材料としてAu、Cu等を含む導電性ペーストにより形成されてもよい。
【0050】
接続電極5,7は、例えば、Z方向から見て、圧電素子P1,P2の第一電極11と同形状を呈している。接続電極6,8は、例えば、Z方向から見て、圧電素子P1,P2の第二電極12の電極部分13と同形状を呈している。
【0051】
続いて、圧電スイッチ1の駆動回路100について説明する。図5は、実施形態に係る圧電スイッチ及び駆動回路を備える電子機器の構成を示すブロック図である。図5に示されるように、電子機器50は、電子機器本体51と、圧電スイッチ1と、駆動回路100と、を備えている。駆動回路100は、圧電スイッチ1及び電子機器本体51のそれぞれと電気的に接続されている。駆動回路100は、測定部101と、測定部102と、駆動部103と、制御部104と、を備えている。
【0052】
測定部101は、圧電素子P1及び圧電素子P2において発生する電圧をそれぞれ測定する電圧計である。測定部101は、測定した圧電素子P1及び圧電素子P2の電圧値をそれぞれ制御部104に送信する。測定部101は、例えば、ADコンバータである。
【0053】
測定部101は、例えば、配線部材2の導体層31,32,35,36(図3参照)に接続されている。導体層31は、接続導体41及び接続電極5(図3参照)を介して、圧電素子P1の第一電極11(図2参照)と電気的に接続されている。導体層32は、接続導体41及び接続電極6(図3参照)を介して、圧電素子P1の第二電極12(図2参照)と電気的に接続されている。導体層35は、接続導体41及び接続電極7(図3参照)を介して、圧電素子P2の第一電極11と電気的に接続されている。導体層36は、接続導体41及び接続電極8(図3参照)を介して、圧電素子P2の第二電極12と電気的に接続されている。
【0054】
測定部101は、導体層31,32間の電圧を測定することにより、圧電素子P1において発生する電圧を測定し、導体層35,36間の電圧を測定することにより、圧電素子P2において発生する電圧を測定する。測定部101は、導体層31の代わりに導体層33、導体層32の代わりに導体層34、導体層35の代わりに導体層37、又は、導体層36の代わりに導体層38と接続されていてもよい。この場合であっても、測定部101は、圧電素子P1,P2において発生する電圧を測定可能である。
【0055】
測定部102は、圧電素子P2において発生する電圧を測定する電圧計である。測定部102は、測定した圧電素子P2の電圧値を制御部104に送信する。測定部102は、例えば、ADコンバータである。測定部102は、例えば、配線部材2の導体層37,38(図3参照)に接続されている。導体層37は、接続導体41及び接続電極7(図3参照)を介して、圧電素子P2の第一電極11(図2参照)と電気的に接続されている。導体層38は、接続導体41及び接続電極8(図3参照)を介して、圧電素子P2の第二電極12(図2参照)と電気的に接続されている。
【0056】
測定部102は、導体層37,38間の電圧を測定することにより、圧電素子P2において発生する電圧を測定する。測定部102は、導体層37の代わりに導体層35、又は、導体層38の代わりに導体層36と接続されていてもよい。この場合であっても、測定部102は、圧電素子P2において発生する電圧を測定可能である。
【0057】
駆動部103は、圧電素子P1に駆動信号(駆動電圧)を与えて、圧電素子P1を振動させる。駆動部103は、例えば、制御部104から信号を受信すると、圧電素子P1に所定時間にわたって駆動信号を与えるように構成されている。駆動信号は、例えば、正弦波信号である。駆動部103は、例えば、ファンクションジェネレータである。
【0058】
駆動部103は、例えば、圧電素子P1の導体層33,34(図3参照)に接続されている。導体層33は、接続導体41及び接続電極5(図3参照)を介して、圧電素子P1の第一電極11(図2参照)と電気的に接続されている。導体層34は、接続導体41及び接続電極6(図3参照)を介して、圧電素子P1の第二電極12(図2参照)と電気的に接続されている。駆動部103は、導体層33,34間に駆動信号を入力することにより、圧電素子P1を振動させる。駆動部103は、導体層33の代わりに導体層31、又は、導体層34の代わりに導体層32と接続されていてもよい。この場合であっても、駆動部103は、圧電素子P1を振動させることができる。
【0059】
制御部104は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備え、駆動回路100を統括的に制御する。制御部104は、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。制御部104は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、CPUで実行することによって各種の処理を行う。制御部104の動作については、後述する。制御部104は、電子機器本体51の制御部を兼ねていてもよい。
【0060】
続いて、圧電スイッチ1の駆動方法について説明する。
【0061】
[第一例]
図6は、第一例に係る圧電スイッチの駆動方法を示すフローチャートである。図6に示されるように、第一例に係る圧電スイッチ1の駆動方法は、工程S11~S13を含んでいる。この例では、操作領域R1,R2に対する操作の有無が判別される。工程S11では、測定部101が複数の圧電素子P1,P2において発生する電圧をそれぞれ測定する。測定部101は、圧電素子P1,P2の電圧値を制御部104に送信する。
【0062】
図7及び図8を参照して、圧電素子において発生する電圧について説明する。図7(a)は、操作領域R1が操作された場合の断面図である。図7(b)は、操作領域R1が操作された場合の圧電素子P1,P2の電圧振幅を示すグラフである。図8(a)は、操作領域R2が操作された場合の断面図である。図8(b)は、操作領域R2が操作された場合の圧電素子P1,P2の電圧振幅を示すグラフである。図7(a)及び図8(a)に示されるように、この例では、操作領域R1,R2の外面3bが圧電素子P1,P2のそれぞれに対応し、凸状に突出して形成されている。図7(b)及び図8(b)の縦軸は電圧振幅を示し、横軸は時間を示している。
【0063】
図7(a)及び図8(a)に示されるように、筐体3の外面3bが操作者の指により操作(押圧)されると、筐体3は押圧された位置を中止として、内側に撓むように変位する。これにより、内面3aに取り付けられた圧電素子P1,P2は、筐体3と共に変位する。筐体3の変位量は、押圧された位置で最も大きくなる。したがって、図7(a)に示されるように、操作領域R1が操作された場合は、圧電素子P1の変位量が圧電素子P2の変位量よりも大きくなる。この結果、図7(b)に示されるように、圧電素子P1において発生する電圧の電圧値(電圧振幅値)が圧電素子P2において発生する電圧の電圧値(電圧振幅値)よりも大きくなる。これに対し、図8(a)に示されるように、操作領域R2が操作された場合は、圧電素子P2の変位量が圧電素子P1の変位量よりも大きくなる。この結果、図8(b)に示されるように、圧電素子P2において発生する電圧の電圧値が圧電素子P1において発生する電圧の電圧値よりも大きくなる。
【0064】
図6に示される工程S12では、工程S11で測定された電圧値に基づき、制御部104が、複数の圧電素子P1,P2の中から、電圧値が最も高い第一圧電素子と、電圧値が第一圧電素子の次に高い第二圧電素子と、を特定する。上述のように、対応する操作領域が操作された圧電素子の電圧値は、他の圧電素子の電圧値よりも大きくなるので、第一圧電素子を特定することは、操作された操作領域を特定することと同義である。
【0065】
工程S12では、制御部104は、例えば、圧電素子P1,P2の電圧値を比較することにより、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定する。制御部104は、例えば、圧電素子P1の電圧値と圧電素子P2の電圧値との差が正の値か負の値かを判別することにより、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定してもよい。例えば、圧電素子P1の電圧値が圧電素子P2の電圧値よりも高い場合、制御部104は、圧電素子P1が第一圧電素子であり、圧電素子P2が第二圧電素子であると特定する。
【0066】
図7(b)及び図8(b)に示されるように、圧電素子P1,P2の電圧振幅は時間によって変化する。例えば、制御部104は、所定時間ごとに、その所定時間範囲における圧電素子P1,P2の電圧振幅のピーク値(最大値)を圧電素子P1,P2の電圧値として扱い、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定する。すなわち、制御部104は、所定周期で、直近の一周期における圧電素子P1,P2の電圧振幅のピーク値(最大値)を圧電素子P1,P2の電圧値として扱い、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定する処理を繰り返す。
【0067】
工程S12では、制御部104は、例えば、工程S11で測定された電圧値のいずれかが予め設定された閾値以上であれば、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定するように構成されてもよい。工程S12で用いられる閾値は、例えば、測定部101で測定される電圧のノイズレベルよりも高く設定される。この構成では、操作有りの可能性が高いときだけ、第一圧電素子及び第二圧電素子が特定されるので、圧電スイッチ1を効率よく駆動することができる。具体的には、制御部104は、工程S11で測定された電圧値のいずれかが予め設定された閾値以上となった時点から、所定時間における圧電素子P1,P2の電圧振幅のピーク値を圧電素子P1,P2の電圧値として扱い、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定する。
【0068】
工程S13では、制御部104が、工程S12で特定された第一圧電素子の電圧値と第二圧電素子の電圧値との差、又は、工程S12で特定された第一圧電素子の電圧値に対する第二圧電素子の電圧値の比を算出し、算出した差又は比に基づき、第一圧電素子に対応する操作領域に対する操作の有無を判別する。例えば、圧電素子P1が第一圧電素子である場合、制御部104は、操作領域R1に対する操作の有無を判別する。差を用いる場合、制御部104は、具体的には、算出した差の絶対値が、差の絶対値に対して予め設定された閾値以上であれば、操作領域R1に対する操作が有ると判別し、差の絶対値が閾値未満であれば、操作領域R1に対する操作が無いと判別する。比を用いる場合、制御部104は、具体的には、算出した比の絶対値が、比の絶対値に対して予め設定された閾値以下であれば、操作領域R1に対する操作が有ると判別し、比の絶対値が閾値を超えていれば、操作領域R1に対する操作が無いと判別する。
【0069】
ここでの「操作領域R1に対する操作が有る」は、操作領域R1のみに対する操作が有ることを示している。操作領域R1,R2が同時に操作された場合は、第一圧電素子の電圧値と第二圧電素子の電圧値が共に高くなる。よって、差の絶対値が閾値未満となる共に、比の絶対値が閾値を超えるので、「操作領域R1に対する操作が無い」と判別される。つまり、この例では、操作領域R1,R2を同時に操作する場合は、誤操作として扱われる。
【0070】
制御部104は、第一圧電素子に対応して設定された操作領域に対する操作が有ると判別した場合、例えば、操作された操作領域を示す情報を電子機器本体51に送信する。制御部104は、操作が無いと判別した場合は、例えば、電子機器本体51に何も情報を送信しない。例えば、操作領域R1,R2がそれぞれ音量アップスイッチ、音量ダウンスイッチとして設定されている場合、電子機器本体51は、制御部104から操作領域を示す情報を受信すると、その情報に基づき音量調整を行う。具体的には、電子機器本体51は、操作領域R1を示す情報を受信すると、音量アップを行い、操作領域R2を示す情報を受信すると、音量ダウンを行う。
【0071】
[第二例]
図9は、第二例に係る圧電スイッチの駆動方法を示すフローチャートである。図9に示されるように、第二例に係る圧電スイッチ1の駆動方法は、工程S21~S26を含んでいる。この例では、操作領域R1,R2に対する操作の有無に加えて、操作領域R1,R2に対する操作の種類が判別される。操作の種類として、例えば、筐体3の外面3bを押圧する押圧力の大きさにより分類されるタッチ及びプッシュがある。タッチは、押圧力が所定値未満の操作として定義され、プッシュは、押圧力が所定値以上の操作として定義される。タッチの押圧力は、プッシュの押圧力よりも小さい。
【0072】
工程S21~工程S23は、図6に示される工程S11~S13と同様に行われる。すなわち、工程S21では、測定部101が複数の圧電素子P1,P2において発生する電圧をそれぞれ測定する。測定部101は、圧電素子P1,P2の電圧値を制御部104に送信する。工程S22では、制御部104が、工程S21で測定された電圧値に基づき、複数の圧電素子P1,P2の中から、電圧値が最も高い第一圧電素子と、電圧値が第一圧電素子の次に高い第二圧電素子と、を特定する。工程S23では、制御部104が、工程S22で特定された第一圧電素子の電圧値と第二圧電素子の電圧値との差、又は、第一圧電素子の電圧値に対する第二圧電素子の電圧値の比を算出し、算出した差又は比に基づき、第一圧電素子に対応して筐体3の外面3bに設定された操作領域に対する操作の有無を判別する。
【0073】
制御部104は、工程S23において操作が有ると判別した場合、駆動部103に信号を送信する。駆動部103は、制御部104から信号を受信すると、工程S24において、圧電素子P1に所定時間にわたって駆動電圧を与えて、圧電素子P1を振動させる。圧電素子P1,P2は、いずれも同じ筐体3の内面3aに取り付けられている。したがって、圧電素子P1が振動することにより、筐体3が振動し、その結果、圧電素子P2も振動する。つまり、圧電素子P1の振動が、筐体3を通じて圧電素子P2に伝達される。
【0074】
工程S25では、測定部102が圧電素子P2において発生する電圧を測定する。測定部102は、例えば、常に圧電素子P2の電圧を測定し、圧電素子P2の電圧値を制御部104に送信している。測定部102は、例えば、駆動部103が圧電素子P1を振動させるときだけ、圧電素子P2の電圧を測定し、圧電素子P2の電圧値を制御部104に送信する構成であってもよい。この場合、制御部104は、駆動部103に信号を送信すると同時に、測定部102に信号を送信する。測定部102は、制御部104から信号を受信すると、圧電素子P2の電圧を所定時間にわたって測定する。
【0075】
図10を参照して、圧電素子P2において発生する電圧について説明する。図10(a)は、操作が無いときの圧電素子P1,P2の振動状態を示す断面図である。図10(b)は、操作が有るときの圧電素子P1,P2の振動状態を示す断面図である。図10(c)は、圧電素子P2における電圧振幅の違いを示すグラフである。図10(c)の縦軸は電圧振幅を示し、横軸は時間を示している。図10(c)では、連続パルスのうちの1パルスのみが示されている。
【0076】
図10(a)に示されるように、操作領域R1,R2に操作が無いとき、圧電素子P1の振動は、ほとんど阻害されることなく筐体3を通じて圧電素子P2に伝達される。これに対し、図10(b)に示されるように、操作領域R1,R2に操作が有るとき、圧電素子P1の振動は、筐体3を押圧する操作者の指によって阻害され、圧電素子P2に十分に伝達されない。操作者の指によって筐体3の振動が抑制されるので、圧電素子P2の振動が抑制される。よって、操作が有るときは、操作が無いときに比べて、圧電素子P2の振動が小さくなる結果、図10(c)に示されるように、圧電素子P2における電圧振幅が小さくなる。
【0077】
操作の種類がプッシュである場合、操作の種類がタッチである場合よりも、筐体3の押圧力が高い。よって、プッシュの場合は、タッチの場合に比べて、圧電素子P1の振動が更に阻害され、圧電素子P2に伝達され難くなる。よって、プッシュの場合は、タッチの場合に比べて、圧電素子P2の振動が小さくなる結果、図10(c)に示されるように、圧電素子P2における電圧振幅が小さくなる。
【0078】
したがって、圧電素子P2の電圧値の大きさに基づき、操作の有無、及び押圧力の異なる操作の種類を判別することができる。操作の有無の判別に用いる電圧値の閾値Taは、例えば、操作が有る場合及び操作が無い場合の圧電素子P2の電圧をそれぞれ測定し、その電圧値に基づき、予め設定され得る。閾値Taは、例えば、操作が有る場合の電圧値と操作が無い場合の電圧値との中間値に設定され得る。操作の種類の判別に用いる電圧値の閾値Tbは、例えば、タッチの場合及びプッシュの場合の圧電素子P2の電圧をそれぞれ測定し、その電圧値に基づき、予め設定され得る。閾値Tbは、例えば、タッチの場合の電圧値とプッシュの場合の電圧値との中間値に設定され得る。
【0079】
工程S26では、制御部104は、工程S25で測定された電圧値に基づき、筐体3の外面3bに設定された操作領域R1,R2に対する操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一方を判別する。ここでは、制御部104は、工程S23において、操作領域R1,R2に対する操作の有無を既に判別している。したがって、制御部104は、工程S26において、操作の種類のみを判別する。具体的には、制御部104は、圧電素子P2の電圧値が予め設定された閾値Tb以上であれば、操作の種類がタッチであると判別し、圧電素子P2の電圧値が閾値Tb未満であれば、操作の種類がプッシュであると判別する。制御部104が工程S26において操作の有無を判別する場合については、後述する。
【0080】
制御部104は、工程S26において操作の種類を判別すると、工程S22で特定した第一圧電素子に対応する操作領域を示す情報と、工程S26において判別した操作の種類を示す情報とを電子機器本体51に送信する。この例では、例えば、操作領域R1を異なる2つのスイッチとして機能させることができる。例えば、操作領域R1は、タッチにより音量アップスイッチとして機能し、プッシュによりAI(artificial intelligence)アシスタント起動スイッチとして機能する。同様に、操作領域R2についても、異なる2つのスイッチとして機能させることができる。例えば、操作領域R2は、タッチにより音量ダウンスイッチとして機能し、プッシュにより電源スイッチとして機能する。
【0081】
第二例では、押圧力の大きさにより分類される操作の種類について説明したが、押圧力の大きさの代わりに、押圧時間の長さにより分類される操作の種類を制御部104が判別してもよい。操作者の指が筐体3の外面3bを押圧する押圧時間が長いと、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満である時間が長くなる。したがって、制御部104は、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満である時間が所定時間以上であれば、操作がロングタッチであると判別し、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満である時間が所定時間未満であれば、操作が単なるタッチ(タップ)であると判別してもよい。この場合であっても、例えば、操作領域R1,R2のそれぞれを異なる2つのスイッチとして機能させることができる。
【0082】
また、制御部104は、押圧力の大きさで分類された操作の種類、及び、押圧時間の長さで分類された操作の種類の両方を判別してもよい。この場合、制御部104は、単なるタッチ、ロングタッチ、単なるプッシュ、及びロングプッシュを判別する。これにより、操作領域R1,R2のそれぞれを異なる4つのスイッチとして機能させることができる。
【0083】
また、第二例に係る圧電スイッチ1の駆動方法は、工程S21~S23を含まず、工程S24において、駆動部103は操作の有無にかかわらず、圧電素子P1に駆動電圧を与えて圧電素子P1を振動させる構成であってもよい。この場合、駆動回路100は、測定部101を備えなくてもよい。駆動部103は、例えば、常に圧電素子P1に駆動電圧を与えて圧電素子P1を振動させる。工程S26において、制御部104は、まず操作の有無を判別する。具体的には、制御部104は、圧電素子P2の電圧値が予め設定された閾値Ta以上の場合、操作が無いと判別し、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満の場合、操作が有ると判別する。制御部104は、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満で操作が有ると判別した場合は、更に、操作の種類についても判別する。具体的には、制御部104は、圧電素子P2の電圧値が予め設定された閾値Tb以上であれば、操作の種類がタッチであると判別し、圧電素子P2の電圧値が閾値Tb未満であれば、操作の種類がプッシュであると判別する。
【0084】
[第三例]
図11は、第三例に係る圧電スイッチの駆動方法を示すフローチャートである。図10に示されるように、第三例に係る圧電スイッチ1の駆動方法は、工程S31~S35を含んでいる。この例では、操作領域R3(図2参照)が使用される。
【0085】
工程S31では、工程S11,S21(図6及び図9参照)と同様に、測定部101が複数の圧電素子P1,P2において発生する電圧をそれぞれ測定する。測定部101は、圧電素子P1,P2の電圧を制御部104に送信する。工程S32では、制御部104は、工程S31で測定された電圧値に基づき、筐体3の外面3bに設定された操作領域R3に対する操作の有無を判別する。制御部104は、例えば、工程S31で測定された電圧値のいずれかが予め設定された閾値以上であるときに操作が有ると判別し、閾値未満のときは操作が無いと判別する。この閾値は、例えば、電圧のノイズレベルよりも高く設定される。
【0086】
工程S33~S35は、図9に示される工程S24~S26と同様に行われる。すなわち、制御部104は、工程S32において操作が有ると判別した場合、工程S33において圧電素子P1に駆動電圧を与えて、圧電素子P1を振動させる。工程S34では、測定部102は、圧電素子P2において発生する電圧を測定する。工程S35では、制御部104は、工程S34で測定された電圧値に基づき、操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一方を判別する。ここでは、制御部104は、工程S32において、操作領域R3に対する操作の有無を既に判別している。したがって、制御部104は、工程S35において、操作の種類のみを判別する。制御部104が工程S35において操作の有無を判別する場合については、後述する。制御部104は、工程S35において操作の種類を判別すると、操作の種類を示す情報を電子機器本体51に送信する。
【0087】
第三例では、押圧力の大きさにより分類される操作の種類について説明したが、押圧力の大きさの代わりに、押圧時間の長さにより分類される操作の種類を制御部104が判別してもよい。また、制御部104は、押圧力の大きさで分類された操作の種類、及び、押圧時間の長さで分類された操作の種類の両方を判別してもよい。
【0088】
また、第三例に係る圧電スイッチ1の駆動方法は、工程S31,S32を含まず、工程S33において、駆動部103は操作の有無にかかわらず、圧電素子P1に駆動電圧を与えて圧電素子P1を振動させる構成であってもよい。この場合、駆動回路100は、測定部101を備えなくてもよい。駆動部103は、例えば、常に圧電素子P1に駆動電圧を与えて圧電素子P1を振動させる。工程S35において、制御部104は、まず操作の有無を判別する。具体的には、制御部104は、圧電素子P2の電圧値が予め設定された閾値Ta以上の場合、操作が無いと判別し、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満の場合、操作が有ると判別する。制御部104は、圧電素子P2の電圧値が閾値Ta未満で操作が有ると判別した場合は、更に、操作の種類についても判別する。具体的には、制御部104は、圧電素子P2の電圧値が予め設定された閾値Tb以上であれば、操作の種類がタッチであると判別し、圧電素子P2の電圧値が閾値Tb未満であれば、操作の種類がプッシュであると判別する。
【0089】
以上説明したように、第一例に係る圧電スイッチ1の駆動方法及び駆動回路100では、複数の圧電素子P1,P2は、互いに離間して筐体3の内面3aに取り付けられ、筐体3の外面3bにおける対応する部分をそれぞれ操作領域R1,R2として機能させる。操作領域R1,R2が操作されると、操作された操作領域R1,R2に対応する圧電素子P1,P2の変位量が最も大きくなる。そこで、操作された操作領域を特定するために、複数の圧電素子P1,P2において発生する電圧をそれぞれ測定し、測定された電圧値に基づき、電圧値が最も高い第一圧電素子を特定する。これにより、操作された操作領域を特定できる。更に、第一圧電素子の次に電圧値が高い第二圧電素子を特定し、第一圧電素子の電圧値と第二圧電素子の電圧値との差、又は、第一圧電素子の電圧値に対する第二圧電素子の電圧値の比に基づき、特定された操作領域に対する操作の有無を判別する。これにより、電圧値に対するノイズ、及び、誤操作の影響を抑制できる。この結果、操作された操作領域を正確に特定することができる。
【0090】
差を用いる場合、工程S13では、制御部104は、差の絶対値が予め設定された閾値以上であれば、操作が有ると判別する。比を用いる場合、工程S13では、制御部104は、比の絶対値が予め設定された閾値以下であれば、操作が有ると判別する。これにより、操作領域に対する操作の有無を容易に判別することができる。
【0091】
工程S12では、制御部104は、所定時間範囲における圧電素子P1,P2の電圧振幅のピーク値を圧電素子P1,P2の電圧値として扱い、第一圧電素子及び第二圧電素子を特定する。これにより、第一圧電素子及び第二圧電素子を正確に特定することができる。
【0092】
第二例及び第三例に係る圧電スイッチ1の駆動方法及び駆動回路100では、圧電素子P1,P2はいずれも筐体3の内面3aに取り付けられている。このため、圧電素子P1が振動すると、その振動が筐体3を通じて圧電素子P2に伝達される。振動の伝達され易さは、筐体3の外面3bの操作領域R1,R2,R3に対する操作の有無及び操作の種類によって異なる。そこで、工程S24,S33で駆動部103が圧電素子P1を振動させ、工程S25,S34で測定部102が圧電素子P2において発生する電圧を測定する。そして、測定された電圧値に基づき、工程S26,S35において、制御部104が操作領域R1,R2,R3に対する操作の有無及び操作の種類のうち少なくとも一つを判別する。
【0093】
工程S26,S35では、制御部104は、圧電素子P2の圧電値に基づき、閾値Ta及び閾値Tbを用いて操作の有無及び操作の種類を判別する。よって、操作の有無及び操作の種類を容易に判別することができる。
【0094】
工程S31では、測定部101が圧電素子P1及び圧電素子P2において発生する電圧をそれぞれ測定し、工程S332では、制御部104が工程S31で測定された圧電素子P1の電圧値と圧電素子P2の電圧値とに基づき、操作の有無を判別する。工程S33~S35は、工程S32において操作が有ると判別されたときに実施される。このため、操作が有ると判別されたときだけ、圧電素子P1が振動する。よって、消費電力を抑制することができる。また、圧電素子P1の振動に起因したノイズの発生を抑制できる。
【0095】
工程S21では、測定部101が圧電素子P1及び圧電素子P2において発生する電圧をそれぞれ測定し、工程S23では、制御部104が工程S21で測定された圧電素子P1の電圧値と圧電素子P2の電圧値とに基づき、操作の有無を判別する。しかも、制御部104は、工程S22において第一圧電素子及び第二圧電素子を特定することにより、操作された操作領域を特定する。このように、第二例では、操作の有無が判別されるだけでなく、操作領域も特定される。工程S24~S26は、工程S23において操作が有ると判別されたときに実施される。このため、操作が有ると判別されたときだけ、圧電素子P1が振動する。よって、消費電力を抑制することができる。また、圧電素子P1の振動に起因したノイズの発生を抑制できる。
【0096】
圧電スイッチ1では、圧電素子P1,P2は、互いに離間して配線部材2に配置されている。このため、圧電スイッチ1を第二例又は第三例の駆動方法及び駆動回路100で駆動した場合、圧電素子P1の振動は、筐体3だけでなく配線部材2を通じても圧電素子P2に伝達される。配線部材2は、圧電素子P1,P2の主面Paに接続されているので、圧電素子P1,P2の主面Pbが取り付けられた筐体3からは離間している。このため、配線部材2を通じて伝達される振動は、筐体3を通じて伝達される振動と異なり、操作領域R1,R2,R3に対する操作の有無によって変化し難い。よって、配線部材2を通じて伝達される振動は、操作の有無を判別する際のノイズとなる。そこで、圧電スイッチ1では、配線部材2における圧電素子P1,P2の配置間隔L2は、圧電素子P1,P2の長さL1よりも長くなっている。これにより、圧電素子P1の振動は、配線部材2を通じて圧電素子P2に伝達される途中で減衰される。この結果、圧電スイッチ1を第二例及び第三例の駆動方法及び駆動回路100で駆動した場合でも、操作の有無を正確に判別することができる。
【0097】
配線部材2では、第二配線部22は、圧電素子P1と圧電素子P2との間において、第一配線部21と接続されている。このため、圧電素子P1の振動は、配線部材2を通じて圧電素子P2に伝達される途中で更に減衰される。これにより、圧電スイッチ1を第二例及び第三例の駆動方法及び駆動回路100で駆動した場合でも、操作の有無を更に正確に判別することができる。
【0098】
圧電素子P2の活性領域Raは、圧電素子P1寄りに配置されているので、圧電素子P1の反対寄りに配置されている場合に比べて、筐体3を通じて伝達される圧電素子P1の振動が減衰され難い。この結果、圧電スイッチ1を第二例及び第三例の駆動方法及び駆動回路100で駆動した場合でも、操作を更に正確に判別することができる。
【0099】
圧電素子P1及び圧電素子P2は、操作領域R1,R2,R3が押圧されることにより、筐体3と共に変位するように筐体3の内面3aに取り付けられている。このため、圧電スイッチ1を第二例及び第三例の駆動方法及び駆動回路100で駆動した場合でも、操作領域R1,R2,R3に対する操作の有無を、圧電素子P1及び圧電素子P2の少なくとも一方において発生する電圧によっても判別することができる。
【0100】
本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0101】
圧電素子P1,P2は、内部電極を介して複数の圧電体層が積層されてなる積層型圧電素子であってもよい。配線部材2は、少なくとも導体層31,33のいずれか一方、導体層32,34のいずれか一方、導体層35,37のいずれか一方、導体層36,38のいずれか一方をそれぞれ有していればよい。この場合、測定部101及び駆動部103を互いに同じ導体層に接続すると共に、測定部101及び測定部102を互いに同じ導体層に接続することができる。圧電スイッチ1は、3つ以上の圧電素子を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…圧電スイッチ、2…配線部材、3…筐体、3a…内面、3b…外面、21…第一配線部、22…第二配線部、100…駆動回路、101…測定部、102…測定部、103…駆動部、104…制御部、P1…圧電素子、P2…圧電素子、Pa…主面、Pb…主面、Ra…活性領域、R1…操作領域、R2…操作領域。
図1
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