(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】機能部品取付構造
(51)【国際特許分類】
B60R 13/02 20060101AFI20230502BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20230502BHJP
B60Q 3/51 20170101ALI20230502BHJP
B60Q 3/74 20170101ALI20230502BHJP
【FI】
B60R13/02 Z
F21V17/10 300
B60Q3/51
B60Q3/74
(21)【出願番号】P 2020005501
(22)【出願日】2020-01-16
【審査請求日】2021-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神谷 真央
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-244902(JP,A)
【文献】実開昭57-174144(JP,U)
【文献】特開2011-162024(JP,A)
【文献】特開2010-083324(JP,A)
【文献】特開2016-040137(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 13/02
F21V 17/10
B60Q 3/51
B60Q 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内装品に機能部品を着脱可能に取り付ける機能部品取付構造であって、
前記内装品は、
第一基材と、
前記第一基材に設けられ、前記機能部品へのソース部位である第一供給部が設けられ、前記機能部品に接合可能な第一接合部と、
前記第一基材に埋設され
、前記第一接合部が少なくとも一つ含まれる所定領域内に配置された第一磁石と、
少なくとも前記第一磁石よりも前記機能部品側に配置され、前記第一磁石が前記内装品の表面に表出されないように設けられた弾性体と、
を有し、
前記機能部品は、
前記弾性体に接する外縁角部に設けられた切欠部を有する第二基材と、
前記第二基材に設けられ、前記第一供給部に対応する第二供給部が設けられ、前記第一接合部に接合可能な第二接合部と、
前記第二基材に埋設され、前記第一接合部と前記第二接合部とが互いに接合した状態で前記第一磁石との間で前記第一磁石を吸引する吸引力を発生する第二磁石と、
を有し、
前記機能部品は、前記吸引力により前記第二基材が前記弾性体に食い込んで前記弾性体が弾性変形した状態で前記内装品に取り付けられている、機能部品取付構造。
【請求項2】
前記切欠部における前記内装品への前記機能部品の取付方向長さは、前記吸引力により前記第二基材が前記弾性体に食い込む量に比して大きい、請求項1に記載された機能部品取付構造。
【請求項3】
前記第一磁石は、前記第一基材における前記機能部品側の面に露出するように配置され、
前記弾性体は、
前記第一基材とは別体で構成され、前記第一基材
に前記機能部品側の面
を覆うように取り付けられている、請求項1
又は2に記載された機能部品取付構造。
【請求項4】
前記第一磁石は、前記第一基材の内部に隠され、
前記弾性体は、前記第一基材である、請求項1
又は2に記載された機能部品取付構造。
【請求項5】
前記弾性体は、ファブリックである、請求項
1乃至4の何れか一項に記載された機能部品取付構造。
【請求項6】
前記弾性体は、前記吸引力により
前記第二基材が接する領域で弾性変形する、請求項1乃至
5の何れか一項に記載された機能部品取付構造。
【請求項7】
前記第一接合部と前記第二接合部との接合は、前記弾性体の弾性変形の開始前に開始される、請求項1乃至
6の何れか一項に記載された機能部品取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の内装品に機能部品を着脱可能に取り付ける機能部品取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の内装品に機能部品を着脱可能に取り付ける機能部品取付構造が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1記載の機能部品取付構造は、車室内の天井部などの内装品に機能部品としての照明装置を取り付ける構造である。天井部には、開口が設けられたホルダが設置されている。照明装置は、天井部のホルダの開口に嵌るように取り付けられる。天井部のホルダ及び照明装置にはそれぞれ、永久磁石が設けられている。照明装置は、両永久磁石間に生じる磁力による吸引力により、重力に抗して天井部のホルダに保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した特許文献1記載の構造において、天井部のホルダ側の永久磁石は、保持部材に固定されていると共に、照明装置側の永久磁石は、ベース部材に対して上下方向にストローク変位し得るように保持されている。この構造において、照明装置が天井部のホルダの開口に近づけられると、両者の永久磁石が互いに上下方向に対向した際に、それらの永久磁石間に吸引力が発生する。この吸引力が発生すると、照明装置側の永久磁石が、ベース部材に対して上方にストローク変位しつつ、天井部のホルダ側の永久磁石に直接に当接するまで近づくことができる。そして、両者の永久磁石が互いに当接したときには、照明装置が天井部のホルダの下部に設けられた金属製のアースプレートに接することにより、その照明装置がそのホルダに保持された状態になる。
【0005】
上記の如く照明装置が天井部のホルダに保持された状態では、両者の永久磁石同士が互いに直接に当接する。この構造では、照明装置が内装品から取り外されているとき、天井部のホルダ側の永久磁石が内装品の天井表面に露出するので、意匠上の見栄えが悪い。一方、この意匠上の見栄えを向上させるためには、例えば、内装品の天井部の表面側にカバー部材を配置して永久磁石を覆って表出しないように隠す構造が考えられる。
【0006】
しかしながら、上記した内装品の天井部の表面側に配置されたカバー部材が硬質であると、永久磁石同士が互いに直接に当接する構造に比べて、その部材の厚さ分だけ永久磁石同士が近づくことが可能な最短距離が長くなるので、それら二つの永久磁石を用いて発生可能な吸引力が小さくなってしまう。このため、この構造では、照明装置が内装品に保持される保持力が小さくなり、内装品への照明装置の安定保持が損なわれる。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、内装品からの機能部品の取り外し時における意匠上の見栄えを向上させつつ、内装品への機能部品の安定保持を確保することが可能な機能部品取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、車両の内装品に機能部品を着脱可能に取り付ける機能部品取付構造であって、前記内装品は、前記機能部品に接合可能な第一接合部と、前記内装品に表出しないように埋設された第一磁石と、を有し、前記機能部品は、前記第一接合部に接合可能な第二接合部と、前記第一接合部と前記第二接合部とが互いに接合した状態で前記第一磁石との間で前記第一磁石を吸引する吸引力を発生する第二磁石と、を有し、前記吸引力により前記内装品と前記機能部品とに挟まれて弾性変形する弾性体を備える、機能部品取付構造である。
【0009】
この構成によれば、内装品の第一接合部と機能部品の第二接合部とが互いに接合した状態では、内装品の第一磁石と機能部品の第二磁石とが互いに吸引する吸引力を発生する。この吸引力が発生すると、弾性体が内装品と機能部品とに挟まれて弾性変形する。弾性体が内装品と機能部品とに挟まれた状態では、挟まれる前の状態に比して、第一磁石と第二磁石との距離が短くなり、両磁石間の磁力が増大すると共に、内装品と機能部品との間の隙間が無くなるので、内装品に対する機能部品のぐらつきやガタつきが抑えられ、内装品への機能部品の安定保持を確保することができる。また、内装品の第一磁石が内装品に表出しないように埋設される。このため、機能部品が内装品から取り外されているときでも、内装品の表面に機能部品を取り付けるための磁石が表出しないので、内装品の表面側における意匠上の見栄えを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る機能部品取付構造の斜視図である。
【
図2】実施形態の機能部品取付構造における内装品と機能部品との非取付状態を表した図(断面図)である。
【
図3】実施形態の機能部品取付構造における寸法関係を表した図である。
【
図4】
図2に示す機能部品とは体格が異なる機能部品の一例を表した図である。
【
図5】実施形態の機能部品取付構造において内装品への機能部品の取付過程で機能部品の第二基材が内装品の弾性体に当接した時の状態を表した図(断面図)である。
【
図6】実施形態の機能部品取付構造において内装品への機能部品の取り付けが完了した状態を表した図(断面図)である。
【
図7】実施形態の機能部品取付構造における機能部品の要部拡大図である。
【
図8】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第一例を車室内側から見た配置図である。
【
図9】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第二例を車室内側から見た配置図である。
【
図10】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第三例を車室内側から見た配置図である。
【
図11】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第四例を車室内側から見た配置図である。
【
図12】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第五例を車室内側から見た配置図である。
【
図13】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第六例を車室内側から見た配置図である。
【
図14】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第七例を車室内側から見た配置図である。
【
図15】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第八例を車室内側から見た配置図である。
【
図16】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第九例を車室内側から見た配置図である。
【
図17】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第十例を車室内側から見た配置図である。
【
図18】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第十一例を車室内側から見た配置図である。
【
図19】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第十二例を車室内側から見た配置図である。
【
図20】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第十三例を車室内側から見た配置図である。
【
図21】実施形態の機能部品取付構造における内装品が有する第一磁石の第十四例を車室内側から見た配置図である。
【
図22】本発明の第一変形形態に係る機能部品取付構造が備える内装品の構造を表した図(断面図)である。
【
図23】本発明の第二変形形態に係る機能部品取付構造が備える機能部品の構造を表した図(断面図)である。
【
図24】本発明の第三変形形態に係る機能部品取付構造が備える機能部品の構造を表した図(断面図)である。
【
図25】本発明の第四変形形態に係る機能部品取付構造における内装品と機能部品との接合形態を表した図である。
【
図26】本発明の第五変形形態に係る機能部品取付構造が備える機能部品の構造を表した図(断面図)である。
【
図27】本発明の第六変形形態に係る機能部品取付構造が備える内装品の構造を表した図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1-
図27を用いて、本発明に係る機能部品取付構造の具体的な実施形態について説明する。
【0012】
一実施形態の機能部品取付構造1は、車両に搭載され、車両の内装品10に機能部品20を着脱可能に取り付ける構造である。機能部品取付構造1は、
図1及び
図2に示す如く、内装品10と、機能部品20と、を備えている。
【0013】
内装品10は、車両ボディに対して車室内側に配置される部品である。内装品10は、例えば内装壁(例えば天井壁やドア壁など)をなしている。尚、内装品10は、天井やドア,床,インストルメントパネル,コンソール,シートの背面部などに配置されるものであってよい。
【0014】
内装品10は、基材11を有している。基材11は、例えば樹脂材料を射出して成形された硬質材である。基材11は、パネル状に形成されており、車両ボディに取り付け固定されている。
【0015】
内装品10は、また、弾性体12を有している。弾性体12は、少なくとも表裏方向で弾性を有するシート状の部材である。弾性体12は、取付対象である機能部品20の外縁により囲まれる領域に比して大きな領域に亘って形成されている。弾性体12は、基材11を覆って内装品10の表皮を形成する例えばファブリックなどの内装表皮部材である。尚、弾性体12は、力の付与により凹むと共にその力の付与を除くと元に戻って回復する弾性変形可能な軟質材であってよい。弾性体12は、付与される力が同じであれば基材11に比して大きく弾性変形する。弾性体12は、基材11に対して車室内側に配置されており、基材11に取り付け固定されている。基材11への弾性体12の取り付け固定は、基材11における車室内側すなわち機能部品20に接合する側の面で行われる。
【0016】
基材11には、接合部13が設けられている。内装品10の接合部13は、機能部品20に接合されることが可能な部位である。接合部13は、機能部品20に嵌合可能な形状(例えば円柱形状や直方体形状)に形成されている。尚、接合部13は、基材11の本体部に一体に設けられた部位であってもよいし、また、基材11の本体部とは別体で設けられてその本体部に取り付け固定されるものであってもよい。また、接合部13は、基材11において複数箇所に設けられてもよい。
【0017】
接合部13には、供給部14が設けられている。供給部14は、機能部品20に電力や電気信号を供給するソース部位である。供給部14は、接続端子14aと、電気配線14bと、を有している。接続端子14aは、接合部13における車室内側の表面に露出する金属端子である。また、電気配線14bの一端は接続端子14aに接続されていると共に、その他端は車載バッテリなどの電源に接続されている。尚、供給部14は、電力供給を行う或いは電気信号を送受するコンセントやUSBポートなどの通信部などであってよい。また、供給部14は、電力/信号供給用に限らず、エアコンの風(空気)や真空(吸気),ガス,音,水などを供給する部位であってもよい。また、接合部13が複数箇所設けられている場合は、供給部14は、接合部13ごとに対応して設けられる。
【0018】
弾性体12には、取付孔16が設けられている。取付孔16は、接合部13が車室内側から視認されて露出するように貫通する孔である。取付孔16は、接合部13の形状や機能部品20の嵌合形状に合わせた形状(例えば円形状)に形成されている。取付孔16は、
図3に示す如く、接合部13の外径Aに比して大きい内径Bを有している。
【0019】
基材11には、磁石17が埋設されている。磁石17は、基材11において接合部13に対して所定の位置関係に固定されるように配置されている。磁石17は、内装品10に機能部品20が取り付けられる箇所の中心(すなわち、接合部13)を取り囲むように複数箇所に離散的に配置されている。複数の磁石17の磁極配置は、予め定められた所定パターンでなされている。接合部13が複数箇所に設けられている場合は、接合部13ごとにその接合部13の周囲に磁石17が配置される。磁石17の配置は、後に詳述する。
【0020】
尚、
図1-
図3、
図5及び
図6においては、磁石17が接合部13を中心にして四方向に放射状に配置されかつ各径方向に三つずつ並んでいるものが示されている。磁石17aは、接合部13から最短距離に配置される磁石であり、磁石17bは、接合部13から中距離に配置される磁石であり、磁石17cは、接合部13から最長距離に配置される磁石である。
【0021】
基材11は、磁石17を埋設する埋設溝11a,11b,11cを有している。埋設溝11a,11b,11cは、基材11における機能部品20に対向する面(すなわち下面)側で機能部品20(尚、複数種類の機能部品20が取り付けられる場合は何れか一の機能部品20)に対向し得る領域の範囲内に設けられている。埋設溝11a,11b,11cは、接合部13を取り囲むように複数箇所に離散的に設けられている。埋設溝11a,11b,11cは、磁石17の形状に合致した形状で磁石17の数に対応した数だけ設けられている。
【0022】
各磁石17は、基材11における機能部品20に対向し得る領域の範囲内に配置されている。各磁石17は、基材11における弾性体12が取り付けられる面(すなわち下面)に露出するように配置されている。各磁石17は、基材11が車室内側から弾性体12により覆われることで内装品10の表面に表出されず車室内側から視認されないように形成されている。
図3に示す如く、接合部13の中心から磁石17a(特に、接合部13の中心からの距離が最短である磁石17)の内端(近端)までの距離を2倍した長さC1は、取付孔16の内径Bに比して大きい。
【0023】
機能部品20は、車両乗員が持ち運び可能な、車室内で所定機能を実現するための部品である。機能部品20は、内装品10の供給部14から供給される電力や電気信号を用いて所定機能を実現することができる。機能部品20は、例えば、ルームランプなどの照明ランプや音声出力を行うスピーカなどである。機能部品20は、内装品10に対して着脱可能である。
【0024】
尚、機能部品20は、内装品10に装着された状態で車載バッテリなどを用いて所定機能(例えばランプ点灯など)を実現するだけでなく、内装品10から脱離した状態でも内蔵バッテリなどを用いてその所定機能を実現する自立可能なものであってよい。この自立可能な機能部品20によれば、車室内だけでなく車室外で鉄板などに貼り付けて照明などとして機能させることができる。また、機能部品20は複数種類用意され、それぞれの機能部品20が内装品10に対して着脱可能であってもよい。
【0025】
機能部品20は、例えば、エアコンの空気を圧送するためのレジスタ(ファン)や音を拡声するための拡声部,ドライブレコーダ,カメラ,ナビゲーション,扇風機,wifiルータ,スマホ充電器などであってよい。また、機能部品20は、電力や電気信号を用いて所定機能を実現するものだけでなく、電気的な機能を持たないダミーカバーや吸気のためのノズルやフィルタ,水を出すための蛇口,モノ掛けフック,モノ掛けレール,モノ入れなどであってよい。
【0026】
機能部品20は、基材21を有している。以下、内装品10の基材11を第一基材11と、機能部品20の基材21を第二基材21と、それぞれ称す。第二基材21は、例えば樹脂材料を射出して成形された硬質材である。弾性体12は、付与される力が同じであれば第二基材21に比して大きく弾性変形する。第二基材21は、例えば直方体のブロック状に形成されている。第二基材21の外形は、弾性体12の取付孔16を覆って隠すようにその取付孔16に比して大きくなるように形成されている。尚、第二基材21は、車室内突起物規制の対象となるのを回避すべく、その外縁角部が丸みを帯びて面取りされるように形成されていることが好ましい。
【0027】
弾性体12は、第二基材21の外縁により囲まれる領域に比して大きな領域に亘って形成されている。
図3に示す如く、第二基材21における中心を挟んで対向する壁同士(特に、最短距離で対向する壁同士)の距離Dは、後述の接合部25の中心から磁石27(特に、接合部25の中心からの距離が最長である磁石27)の外端(遠端)までの距離を2倍した長さC2に比して大きい。
【0028】
第二基材21には、操作部22、機能部23、及び制御基板24が設けられている。操作部22は、車両乗員が機能部23を機能させるための操作を行う部位である。機能部23は、所定機能を果たす部位である。機能部23は、例えばランプ光源やスピーカ本体などである。操作部22及び機能部23はそれぞれ、第二基材21から車室内側すなわちその下面に表出している。制御基板24は、電力を用いて機能部23の所定機能を実現する制御を行う部位である。制御基板24は、第二基材21内に埋設されている。
【0029】
第二基材21には、接合部25が設けられている。以下、内装品10の接合部13を第一接合部13と、機能部品20の接合部25を第二接合部25と、それぞれ称す。第二接合部25は、内装品10の第一接合部13に接合することが可能な部位である。第二接合部25は、第一接合部13に嵌合可能な形状(例えば円柱形状や直方体形状)に形成されている。第二接合部25は、第二基材21の上面から上方へ突出している。
【0030】
第二接合部25が第二基材21の上面から上方へ突出する突出量は、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接する前にその第二接合部25と第一接合部13との接合が開始され、かつその後、第二基材21の上面と弾性体12の下面とが互いに接した後にその第二接合部25と第一接合部13との接合が完了するように設定されている。例えば、第二接合部25の突出量は、弾性体12の常態での厚さすなわち弾性体12の常態での下面から第一基材11の下面までの鉛直距離よりも小さい。第二接合部25は、第一接合部13の配置位置に合致した位置に配置されており、弾性体12の取付孔16の内径Bよりも小さい外径を有している。尚、「接合の完了」とは、第一接合部13と第二接合部25との嵌合が限界に達した状態であって、車両振動などが生じても機能部品20が内装品10から外れることなく第一接合部13と第二接合部25との接合が維持される状態のことである。
【0031】
第二接合部25には、供給部26が設けられている。供給部26は、制御基板24や機能部23に電力を供給する部位である。供給部26は、接続端子26aと、電気配線26bと、を有している。接続端子26aは、第二接合部25における内装品10との対向面に露出する金属端子である。接続端子26aは、内装品10と機能部品20との接合時に内装品10の接続端子14aに接続する。また、電気配線26bの一端は接続端子26aに接続されていると共に、その他端は制御基板24に接続されている。尚、供給部26は、電力供給を行い或いは電気信号を送受するコンセントやUSBポートなどの通信部などであってよい。
【0032】
第二基材21には、磁石27が埋設されている。以下、内装品10の磁石17を第一磁石17と、機能部品20の磁石27を第二磁石27と、それぞれ称す。第二磁石27は、内装品10の第一磁石17との間にその第一磁石17を吸引する磁力である吸引力を発生する磁石である。尚、第一磁石17と第二磁石27との間の吸引力は、機能部品20が内装品10に取り付けられる過程で第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接した時点で、機能部品20の重力よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。第二磁石27は、第二接合部25を取り囲むように配置されている。第二磁石27は、第一磁石17の配置に倣って配置されている。第二磁石27は、第一磁石17の磁極配置のパターンのうち少なくとも一部に合致するように磁極配置されている。
【0033】
第二基材21は、第二磁石27を埋設する埋設溝21aを有している。埋設溝21aは、第二基材21における内装品10に対向する面(すなわち上面)側で内装品10の第一磁石17に対向し得る領域の範囲内に設けられている。埋設溝21aは、第二接合部25を取り囲むように設けられている。埋設溝21aは、第二磁石27の形状に合致した形状で第二磁石27の数に対応した数だけ設けられている。
【0034】
第二磁石27は、第二基材21における内装品10の第一磁石17に対向し得る領域の範囲内に配置されている。第二磁石27は、第二基材21における弾性体12に接する面(すなわち上面)に露出するように配置されている。第二接合部25の中心から第二磁石27(特に、第二接合部25の中心からの距離が最短である第二磁石27)の内端(近端)までの距離を2倍した長さは、上記の長さC1に対応しており、その長さC1と同じである。尚、上記した第二接合部25の中心から第二磁石27(特に、第二接合部25の中心からの距離が最長である第二磁石27)の外端(遠端)までの距離を2倍した長さC2は、第一接合部13の中心から第一磁石17(特に、第一接合部13の中心からの距離が最長である第一磁石17)の外端(遠端)までの距離を2倍した長さに対応しており、その長さと同じである。
【0035】
尚、第二磁石27は、内装品10への機能部品20の安定保持のため、機能部品20の体格(外形サイズ)や形状,重量などに応じて形状や数,第二基材21での配置位置などが設定されていればよい。例えば、第二磁石27の数は、機能部品20の体格が大きいほど、第一接合部13と第二接合部25との接合強度が高くなるように多く設定されていてよい。機能部品20の体格が比較的小さいときは、
図3に示す如く、第二磁石27が第二接合部25を中心にして径方向に一つだけ設けられる(機能部品20A)。また、機能部品20の体格が比較的大きいときは、
図4に示す如く、第二磁石27が第二接合部25を中心にして径方向に離間して二つ設けられる(機能部品20B)。また、第二磁石27は、内装品10におけるすべての第一磁石17のうち少なくとも一部の第一磁石17に対向するように第二基材21に配置されていればよい。
【0036】
機能部品20は、
図7に示す如く、内装品10に装着された機能部品20を取り外す操作を補助する形状を有している。具体的には、機能部品20の第二基材21は、テーパ状に切り欠かれた切欠部29を有している。切欠部29は、第二基材21における弾性体12に接する上面の外縁角部に設けられている。尚、切欠部29は、第二基材21の上面外縁の全周に亘って設けられてもよいが、その全周のうちの一部(但し、二箇所以上)に設けられてもよい。
【0037】
切欠部29の高さ(具体的には、内装品10への機能部品20の取付方向における長さ)Hは、第一磁石17と第二磁石27との吸引力により機能部品20が内装品10に食い込む量(すなわち、弾性体12の変形量)に比して大きくなるように設定されている。具体的には、この高さHは、内装品10に機能部品20が装着された状態で弾性体12の表面と第二基材21との間に人の指や爪又は取外し治具が挿入可能な隙間が形成される大きさに設定されている。
【0038】
次に、機能部品取付構造1における内装品10への機能部品20の着脱動作を説明する。
【0039】
まず、内装品10及び機能部品20がそれぞれ準備される。そして、内装品10が車両に搭載される。また、機能部品20がその内装品10に取り付けられる。具体的には、機能部品20の取り付けは、その第二接合部25が内装品10の弾性体12の取付孔16内に挿入されて第一接合部13に接合するように行われる。この機能部品20の取り付け過程では、機能部品20の第二磁石27と内装品10の第一磁石17とが互いに接近するほど、両磁石17,27の間で生じる磁力としての吸引力が増大する。
【0040】
上記の如く、機能部品20の第二接合部25の上記突出量は、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接する前にその第二接合部25と第一接合部13との接合が開始され、かつその後、第二基材21と弾性体12とが互いに接した後にその第二接合部25と第一接合部13との接合が完了するように設定されている。この構造では、接合部13,25同士の接合が完了したときに、弾性体12が弾性変形した状態になる。
【0041】
機能部品20が内装品10に取り付けられる過程では、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接する前に、機能部品20の第二接合部25の上面が内装品10の第一接合部13の下面に接する、すなわち、第二接合部25が第一接合部13に接合し始める。そして、第一接合部13と第二接合部25との接合が完了する前に、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接する(
図5に示す状態)。かかる当接が生じた後は、第二接合部25の挿入の進行に伴って第二基材21の上面が弾性体12の下面を上方へ押圧することで、弾性体12が内装品10の第一基材11と機能部品20の第二基材21とに挟まれて弾性変形(具体的には、圧縮変形)する(
図6に示す状態)。
【0042】
上記の弾性体12の圧縮変形は、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接してから、第二接合部25が第一接合部13に接合し始めた後にそれらの接合部13,25同士の接合が完了するまで継続される。また、この圧縮変形は、内装品10の第一基材11と機能部品20の第二基材21とが互いに対向する領域の外縁全周に亘って行われる。
【0043】
第一接合部13と第二接合部25との接合が完了すると、以後、機能部品20は、車両乗員による支持力が解除されても、第一磁石17と第二磁石27との間の吸引力により、その機能部品20の重力及び弾性体12による弾性反力に抗して内装品10に取り付けられた状態に維持される。この際、弾性体12には、機能部品20が食い込むことで凹部が形成される。尚、内装品10への機能部品20の取り付けを維持するための上記吸引力は、車両振動などに起因して機能部品20が内装品10から落下することが無く、かつ、車両乗員による機能部品20の引き抜き操作で機能部品20が内装品10から容易に取り外すことができるように設定されている。
【0044】
本実施形態の機能部品取付構造1において、内装品10の第一磁石17は、機能部品20が内装品10から取り外されているときでも、弾性体12の裏面(すなわち上面)側に隠されることで内装品10の表面に表出しない。そして、機能部品20は、その隠された第一磁石17と機能部品20の上面側に設けられた第二磁石27との間の吸引力により、内装品10に取り付けられる。このため、機能部品20が内装品10から取り外された状態で、内装品10の表面に機能部品20を取り付けるための第一磁石17やベース部材,アタッチメント部材が表出することはないので、内装品10の表面側における意匠上の見栄えを向上させることができる。
【0045】
また、機能部品20が内装品10に取り付けられた状態では、弾性体12が圧縮変形する。弾性体12が圧縮変形した状態では、弾性体12が圧縮変形しない状態に比して、内装品10の第一磁石17と機能部品20の第二磁石27との距離が短くなるので、第一磁石17と第二磁石27との間の磁力が増大する。このため、内装品10への機能部品20の取り付け強度を向上させることができ、その機能部品20の安定保持を確保することができる。
【0046】
また、上記の如く弾性体12が圧縮変形した状態ではその圧縮変形が生じない状態に比して、内装品10の第一磁石17と機能部品20の第二磁石27との距離が短くなるが、両磁石17,27同士が直接に接することはなく、両磁石17,27の間に弾性体12が介在する。このため、内装品10への機能部品20の取り付け状態で第一磁石17と第二磁石27との間の磁力が過大となるのを回避することができるので、その取り付け状態からの機能部品20の取り外しを容易に行うことができる。
【0047】
また、機能部品20が内装品10に取り付けられた状態では、機能部品20が内装品10の弾性体12に食い込んで弾性体12が圧縮変形する。特に、この弾性体12の圧縮変形が内装品10の第一基材11と機能部品20の第二基材21とが互いに対向する領域の外縁全周に亘って行われる。従って、機能部品20と内装品10との密着性が向上する。このため、車室内側からの内装品10と機能部品20との間の隙間への異物の進入を防止することができ、これにより、接続端子14a,26a同士の接続が異物により阻害されるのを抑えることができ、車両側から機能部品20への導通性を良好に確保することができる。また、内装品10に食い込んだ機能部品20のぐらつきやガタつきを抑えることができ、機能部品20の耐久性を向上させることができる。
【0048】
また、弾性体12は、内装品10に取り付けられる機能部品20の体格が異なっても、その機能部品20の体格に合わせた領域で圧縮変形する。すなわち、内装品10にすべての機能部品20の体格に合わせた各凹溝を予め形成することは不要であり、何れかの体格の機能部品20が内装品10に取り付けられた際に他の体格の機能部品20のための凹溝が内装品10の表面に残ることは回避される。このため、機能部品20の体格が何れであっても、機能部品20が取り付けられた内装品10の表面における意匠上の見栄えを向上させることができる。
【0049】
更に、機能部品20が内装品10に取り付けられる過程では、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接する前に、機能部品20の第二接合部25が内装品10の第一接合部13に接合し始める。すなわち、弾性体12が第一基材11と第二基材21とに挟まれてその弾性変形が開始される前に、内装品10の第一接合部13と機能部品20の第二接合部25との接合が開始される。このため、内装品10への機能部品20の取り付け過程で、接合部13,25同士の接合の初期段階において、弾性体12による弾性反力が機能部品20に及ぶのを回避することができ、これにより、その取り付け操作(具体的には、接合部13,25同士の接合までに要する操作)を負担を増やすことなく簡易に実現することができる。
【0050】
車両乗員は、内装品10に機能部品20が取り付けられた状態からその機能部品20を取り外すことを望むときは、その機能部品20を内装品10から下方へ引き抜く操作を行う。上記の如く、内装品10への機能部品20の取り付けを維持するための上記吸引力は、車両振動などに起因して機能部品20が内装品10から落下することが無く、かつ、車両乗員による機能部品20の引き抜き操作で機能部品20が内装品10から容易に取り外すことができるように設定されている。このため、内装品10から機能部品20を容易に取り外すことができる。従って、内装品10への機能部品20の安定保持を確保しつつ、内装品10からの機能部品20の取り外しを容易に行うことができる。
【0051】
特に、機能部品20の第二基材21における切欠部29の高さHは、上記の如く、第一磁石17と第二磁石27との吸引力により機能部品20が内装品10に食い込む量(すなわち、弾性体12の変形量)に比して大きくなるように設定されている。この場合、内装品10に機能部品20が取り付けられた状態では、機能部品20の第二基材21に車両乗員の指や爪或いは取外し治具などを引っ掛けてその第二基材21を下方へ引き抜き易くなる引っ掛け部が形成される。車両乗員は、内装品10から機能部品20を取り外す際、内装品10に食い込んだ機能部品20における第二基材21の切欠部29に車両乗員の指などを挿入して、その機能部品20を押し下げる操作を行う。このため、内装品10からの機能部品20の取り外し性を向上させることができる。
【0052】
また、切欠部29は、機能部品20の第二基材21の上面の外縁角部に設けられたテーパ状の部位である。この構造では、機能部品20が内装品10に取り付けられた際に弾性体12が切欠部29の形状に合わせて変形するので、第二基材21の上面の外縁角部がテーパ状でない略直交した辺からなる構造に比べて、内装品10から機能部品20が取り外された後に弾性体12に残る変形跡を目立ち難くすることができる。
【0053】
また、本実施形態において、内装品10の第一磁石17は、上記の如く、第一基材11において第一接合部13を取り囲むように複数箇所に離散的に配置されている。この第一基材11における第一磁石17の配置によれば、内装品10への機能部品20の取り付けを保持するために必要な一個当たりの第一磁石17の磁力を抑制することができるので、内装品10への機能部品20の取り付け強度を確保しつつ、内装品10に取り付けられた機能部品20の取り外し性が低下するのを防止することができる。
【0054】
また、上記した第一磁石17の配置によれば、機能部品20の体格や重量などに応じて、第二磁石27との間の吸引力発生に用いられる第一磁石17の数や配置位置を変えることができるので、内装品10に取り付けられる機能部品20の保持力をその機能部品20の体格や重量などに応じた適切な大きさとすることができる。例えば、体格が小さい機能部品20では少ない数の第一磁石17を用いて内装品10と機能部品20との接合が行われ、一方、体格が大きい機能部品20では多い数の第一磁石17を用いて内装品10と機能部品20との接合が行われる。従って、機能部品取付構造1によれば、内装品10に対する機能部品20の取替性を向上させることができる。
【0055】
以下、
図8-
図20を用いて、第一基材11における第一磁石17の配置例を示す。
第一基材11における第一磁石17の配置は、例えば
図8に示す如く、二つの第一磁石17が第一接合部13を挟んだ対称の位置に配置されかつその二つの第一磁石17における機能部品20側の面の磁極が同極(例えばN極)であるものとしてもよい。この配置によれば、第一接合部13を挟んだ二箇所で内装品10に機能部品20を取り付ける吸引力を発生させることができるので、その吸引力を内装品10と機能部品20との間で分散させると共に、内装品10への機能部品20の保持安定性を向上させることができる。また、内装品10に対する機能部品20の取付方向の自由度を向上させることができる。
【0056】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図9に示す如く、二つの第一磁石17が第一接合部13を挟んだ対称の位置に配置されかつその二つの第一磁石17における機能部品20側の面の磁極が異極(N極及びS極)であるものとしてもよい。この配置によれば、第一接合部13を挟んだ二箇所で内装品10に機能部品20を取り付ける吸引力を発生させることができるので、内装品10への機能部品20の保持安定性を向上させることができる。また、機能部品20が内装品10に取り付けられる際における内装品10に対する機能部品20の向きを一方向に固定することができるので、内装品10に取り付け可能な機能部品20を対応する磁極配置がなされた機能部品20に限定することができ、内装品10への機能部品20の誤取り付けを防止することができる。
【0057】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図10に示す如く、第一接合部13の周囲において四つの第一磁石17がその第一接合部13の中心から等距離の位置に対称的に配置されかつそれら四つの第一磁石17における機能部品20側の面の磁極がすべて同極であるものとしてもよい。この配置によれば、第一接合部13の周囲の四箇所で内装品10に機能部品20を取り付ける吸引力を発生させることができるので、内装品10への機能部品20の保持安定性を向上させることができる。また、内装品10に対する機能部品20の取付方向の自由度を向上させることができる。
【0058】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図11に示す如く、第一接合部13の周囲において四つの第一磁石17がその第一接合部13の中心から等距離の位置に対称的に配置されかつそれら四つの第一磁石17における機能部品20側の面の磁極が異極であるものを含んでもよい。この配置によれば、第一接合部13の周囲の四箇所で内装品10に機能部品20を取り付ける吸引力を発生させることができるので、内装品10への機能部品20の保持安定性を向上させることができる。また、機能部品20が内装品10に取り付けられる際における内装品10に対する機能部品20の向きを制限することができるので、内装品10への機能部品20の誤取り付けを防止することができる。
【0059】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図12に示す如く、第一接合部13の周囲において三つの第一磁石17が等角度間隔でその第一接合部13の中心から等距離の位置に配置されかつそれら三つの第一磁石17における機能部品20側の面の磁極がすべて同極であるものとしてもよい。この配置によれば、第一接合部13の周囲の三箇所で内装品10に機能部品20を取り付ける吸引力を発生させることができるので、内装品10への機能部品20の保持安定性を向上させることができる。また、内装品10に対する機能部品20の取付方向の自由度を向上させることができる。
【0060】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図13及び
図14に示す如く、第一磁石17が第一接合部13を中心にして四方向に放射状に配置されかつ各方向に三つずつ並んでいるものとしてもよい。尚、この際、各第一磁石17における機能部品20側の面の磁極が、
図13に示す如くすべて同極であるものとしてもよいし、
図14に示す如く異極であるものが含まれてもよい。この配置によれば、機能部品20の体格に応じて内装品10において吸引力を発生させる第一磁石17の数を変えること、具体的には、機能部品20の体格が大きいほどその第一磁石17の数を増やすことができるので、機能部品20の体格が大きくなっても、内装品10と機能部品20との間で発生する磁力を大きくすることができ、内装品10への機能部品20の保持の安定化を図ることができる。
【0061】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図15に示す如く、第一磁石17が第一接合部13を中心にして八方向に放射状に配置されかつ各方向に三つずつ並んでいると共に、各方向に離間して並んだ隣り合う二つの第一磁石17の間隔が第一接合部13から遠いものほど大きくなるものとしてもよい。尚、この際、各第一磁石17における機能部品20側の面の磁極がすべて同極であるものとしてもよいし、異極であるものが含まれてもよい。
【0062】
この配置によれば、機能部品20の体格に応じて内装品10において吸引力を発生させる第一磁石17の数を変えることができるので、機能部品20の体格が大きくなっても、内装品10への機能部品20の保持の安定化を図ることができる。更に、この配置によれば、各方向に並んだ二つの第一磁石17の間隔が第一接合部13からの距離に関係なく等しい配置に比べて、内装品10における同じ面積の領域内で搭載する第一磁石17の数を減らし、或いは、内装品10における同じ数の第一磁石17で機能部品20を取り付け可能な領域を拡大することができる。
【0063】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図16に示す如く、第一磁石17が第一接合部13を中心にして八方向に放射状に配置されかつ各方向に三つずつ並んでいると共に、各第一磁石17の発生する磁力が配置位置が第一接合部13から遠いものほど大きくなるものとしてもよい。例えば、第一磁石17は、配置位置が第一接合部13から遠いものほど、体格が大きくものであってもよいし、或いは、体格が同じであっても磁石の種類が大きな磁力を発生するものであってもよい。尚、この際、各第一磁石17における機能部品20側の面の磁極は、すべて同極であるものとしてもよいし、異極であるものが含まれてもよい。また、各方向に並んだ二つの第一磁石17の間隔は、第一接合部13からの距離に関係なく等しくてもよいし、第一接合部13から遠いものほど大きくなるものとしてもよい。
【0064】
この配置によれば、機能部品20の体格に応じて内装品10の第一磁石17と機能部品20の第二磁石27とが発生する磁力の大きさを変えること、具体的には、機能部品20の体格が大きいほど内装品10と機能部品20との間で発生する吸引力を急激に大きくすることができるので、機能部品20の体格が大きくなっても、内装品10への機能部品20の保持の安定化を図ることができる。
【0065】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図17に示す如く、第一磁石17が第一接合部13を中心にして同心円状に複数層配置されるものとしてもよい。この配置によれば、機能部品20の体格に応じて内装品10において吸引力を発生させる第一磁石17の数を変えることができるので、機能部品20の体格が大きくなっても、内装品10への機能部品20の保持の安定化を図ることができる。
【0066】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図18に示す如く、第一磁石17が第一接合部13を中心にして格子状或いは六方配置などで複数並んでいるものとしてもよい。すなわち、第一基材11の表面で周期的に並ぶ格子点の大部分に第一磁石17が配置されると共に、その格子点の一部に第一接合部13が配置される。尚、第一接合部13は、複数箇所に設けられてもよい。
【0067】
この配置によれば、機能部品20の体格に応じて内装品10において吸引力を発生させる第一磁石17の数を変えることができるので、機能部品20の体格が大きくなっても、内装品10への機能部品20の保持の安定化を図ることができる。また、内装品10に複数の第一接合部13が設けられる構造においては、複数の第一接合部13に対して第一磁石17を規則的に配列することができ、互いに近接配置された第一接合部13同士で距離の偏りを生じさせることなく第一磁石17を共有することができる。更に、第一磁石17及び第一接合部13が第一基材11の表面で周期的に並ぶ格子点に配置される構造においては、第一基材11の表面に第一磁石17及び第一接合部13を規則的に配置して、その配置の容易化を図ることができる。
【0068】
内装品10に複数の第一接合部13が設けられている構造では、内装品10において機能部品20を取り付ける位置を容易に変えることができる。また、
図19に示す如く、二つの第一接合部13の間に第一磁石17が等間隔で複数配置される構造では、各第一接合部13それぞれに異なる機能部品20を接合させることができ、同時に複数の機能部品20(例えば、Aエリアを専有する機能部品20とBエリアを専有する機能部品20)を内装品10に取り付けることができる。
【0069】
第一基材11に配置される複数の第一磁石17における機能部品20側の面の磁極がすべて同極である構造では、内装品10の作成すなわち第一基材11への第一磁石17の組み立てを過大な製造負担を生じさせることなく容易に実現することができる。また、
図20に示す如く、第一基材11に配置される複数の第一磁石17における機能部品20側の面の磁極が交互に並ぶ構造では、その第一基材11の片面に一方の磁極が集中するのを回避することができ、磁極集中に起因する機能部品20などの誤作動などを防止することができる。
【0070】
また、第一基材11における第一磁石17の配置は、
図21に示す如く、第一接合部13を中心にしてランダムに配置されるものとしてもよい。また、各第一磁石17における機能部品20側の面の磁極がランダムに並んでもよい。この配置によれば、内装品10に取り付けられる機能部品20をその機能部品20における第二磁石27の配置パターンにより照合して、第一磁石17の配置パターンに合致して第二磁石27が配置された特定の機能部品20のみを内装品10に取り付けることができるので、内装品10に取り付けられる機能部品20を限定することができる。また、内装品10に複数の第一接合部13が設けられている構造では、第一接合部13の種類に応じて第一磁石17の配置を変えることとすれば、機能部品20の種類に応じて内装品10に取り付ける位置を変えることができるので、内装品10に取り付ける機能部品20を取り付け位置ごとに限定することができる。
【0071】
ところで、上記の実施形態においては、弾性体12が内装品10の第一基材11とは別体で構成されて第一基材11に取り付け固定された機能部品取付構造1が用いられている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、機能部品取付構造1に代えて、
図22に示す如き機能部品取付構造100を採用することとしてもよい。すなわち、この機能部品取付構造100は、内装品110を備えている。内装品110は、弾性体としての機能を有する第一基材111を有している。
【0072】
第一基材111には、第一接合部13が設けられていると共に、第一磁石17a,17b,17cが埋設されている。第一磁石17は、第一基材111内の埋設孔111a,111b,111cに埋設されている。第一基材111は、少なくとも表裏方向で弾性を有する部材である。第一基材111は、内装品110の表皮を形成する例えばファブリックなどの内装表皮部材である。尚、第一基材111は、力の付与により凹むと共にその力の付与を除くと元に戻って回復する弾性変形可能な軟質材であってよい。
【0073】
上記の第一変形形態でも、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。特に、機能部品20が内装品110から取り外されているときでも、内装品110の第一磁石17が第一基材111の内部に隠されるので、その第一磁石17が内装品110の表面に表出しない。そして、機能部品20が、その隠された第一磁石17と機能部品20の上面側に設けられた第二磁石27との間の吸引力により、内装品110に取り付けられる。このため、機能部品20が内装品110から取り外された状態で、内装品110の表面側に機能部品20を取り付けるための第一磁石17やベース部材,アタッチメント部材が表出することはないので、内装品110の表面側における意匠上の見栄えを向上させることができる。
【0074】
また、上記の実施形態においては、弾性体12が内装品10に設けられており、機能部品20には弾性体が設けられていない機能部品取付構造1が用いられている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、機能部品取付構造1に代えて、
図23に示す如き機能部品取付構造200を採用することとしてもよい。すなわち、この機能部品取付構造200は、機能部品220を備えている。機能部品220は、弾性体221を有している。弾性体221は、第二基材21における内装品10側の面に取り付けられている。弾性体221は、第一磁石17と第二磁石27との間の吸引力により内装品10と機能部品220の第二基材21とに挟持されて弾性変形する。上記の第二変形形態でも、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
尚、上記の第二変形形態では、弾性体221が機能部品220の第二基材21とは別体で構成されてその第二基材21に取り付け固定されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、弾性体221に代えて、機能部品220の第二基材21が、弾性体としての機能を有していてもよい。この場合、第二基材21は、少なくとも表裏方向で弾性を有する部材である。尚、第二基材21は、力の付与により凹むと共にその力の付与を除くと元に戻って回復する弾性変形可能な軟質材であってよい。この変形形態でも、上記の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0076】
また、この変形形態では、内装品10が弾性体を有していてなくてもよい。この構造では、内装品10の第一磁石17が、第一基材11における機能部品20側の面に表出するように取り付けられるのではなく、第一基材11の内部に隠れるように埋設されるものとする。この形態によれば、機能部品20が内装品10から取り外されているときでも、第一磁石17が第一基材11の内部に隠されて、内装品10の表面に機能部品20を取り付けるための第一磁石17やベース部材,アタッチメント部材が表出することはないので、内装品10の表面側における意匠上の見栄えを向上させることができる。
【0077】
また、上記の実施形態においては、機能部品20が内装品10に取り付けられる過程で、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接する前、すなわち、弾性体12の弾性変形が開始される前に、機能部品20の第二接合部25が内装品10の第一接合部13に接合し始める。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、機能部品20が内装品10に取り付けられる過程で、機能部品20の第二接合部25が内装品10の第一接合部13に接合し始める前に、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接することとしてもよい。この場合、第二基材21の上面が弾性体12の下面に当接した後は、第二接合部25の挿入の進行に伴って第二基材21の上面が弾性体12の下面を上方へ押圧することで、弾性体12が内装品10の第一基材11と機能部品20の第二基材21とに挟まれて弾性変形(具体的には、圧縮変形)することとなる。
【0078】
また、上記の実施形態においては、機能部品20が、内装品10の第一接合部13に接合可能な第二接合部25を有する。この第二接合部25は、第二基材21の上面から上方へ突出している。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、
図24に示す如く、第二接合部25が第二基材21に対して上方へ常時突出している必要はなく、第二接合部25が車両乗員による手動操作で第二基材21に対して上方へ突出できるものであってもよい。
【0079】
更に、上記の実施形態においては、内装品10と機能部品20とが直接に接合する機能部品取付構造1が用いられている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、機能部品取付構造1に代えて、
図25に示す如き機能部品取付構造300を採用することとしてもよい。すなわち、この機能部品取付構造300は、ハブ部材310を備えている。ハブ部材310は、内装品10と機能部品20との間に介在しており、内装品10に接続可能かつ複数の機能部品20に接続可能である。ハブ部材310は、内装品10の第一接合部13に接合可能な接合部311と、機能部品20の第二接合部25に接合可能な接合部312,313と、を有する。そして、ハブ部材310は、内装品10の第一磁石17に対応した磁石314と、機能部品20の第二磁石27に対応した磁石314と、を有する。この変形形態によれば、ハブ部材310を用いて内装品10の一つの第一接合部13に複数の機能部品20を接合させることができる。
【0080】
また、上記の実施形態においては、機能部品20の第二基材21が
図1や
図2などに示す如く断面形状が長方形となる直方体のブロック状に形成された機能部品取付構造1が用いられている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、機能部品取付構造1に代えて、
図26に示す如き機能部品取付構造400を採用することとしてもよい。すなわち、機能部品取付構造400は、機能部品420を備えている。機能部品420の第二基材421は、断面形状が台形となるブロック状に形成されている。上記した第二基材421における内装品10に接合する側の面(すなわち、上面)は、車室内側の面(すなわち、下面)に比して大きな面積を有している。尚、第二基材421は、車室内突起物規制の対象となるのを回避すべく、その外縁角部が丸みを帯びて面取りされるように形成されていることが好ましい。
【0081】
この変形形態によれば、上記の実施形態と同様の効果を得ることができると共に、内装品10の表面から車室内側へ突出する機能部品420について内装品10の表面から離間する部位ほど単位長さ当たりの容積を減らすことができ、これにより、車室内空間を広げて、車両乗員が車室内で感じる圧迫感を軽減することができる。
【0082】
また、上記の実施形態においては、内装品10への機能部品20の取り付け過程で機能部品20の第二接合部25が内装品10の弾性体12の取付孔16内に挿入され、その第二接合部25が内装品10の第一接合部13に接合し、内装品10の接続端子14aと機能部品20の接続端子26aとが接続する。そして、上記の取付孔16の内径Bは、第一接合部13の外径Aに比して大きい。この構造では、第二接合部25が取付孔16内に挿入されたときに第一接合部13と第二接合部25との中心位置ずれが生じ易く、第一接合部13と第二接合部25との接合ひいては内装品10への機能部品20の取り付けが困難となる可能性がある。
【0083】
そこで、第二接合部25が取付孔16内に挿入されたときにおける第一接合部13と第二接合部25との中心位置ずれを回避するために、機能部品取付構造1に代えて、
図27に示す如き機能部品取付構造500を採用することとしてもよい。すなわち、機能部品取付構造500は、内装品510を備えている。内装品510は、第一基材11と、弾性体12と、ガイド部材530と、を有している。
【0084】
ガイド部材530は、内装品510への機能部品20の取り付け過程で第一接合部13と第二接合部25との中心位置ずれが生じないように或いはその中心位置ずれが解消されるように第二接合部25をガイドする部材である。ガイド部材530は、第一基材11に対して車室内側に配置されており、第一基材11に取り付け固定されている。尚、ガイド部材530は、第一基材11に一体化されて形成されていてもよい。
【0085】
ガイド部材530は、第一基材11の第一接合部13を車室内側に露出させる孔を有するように形成されている。ガイド部材530は、第一接合部13を中心にしてその第一接合部13の外縁を囲むように、例えば環状に形成された部材或いはその第一接合部13の外縁に沿った周方向に複数点在する部材である。ガイド部材530の孔の内径は、第一接合部13の外径A以上(好ましくは、その外径A)である。ガイド部材530は、孔を形成する内壁が斜面になって、その内壁の内径が機能部品20が挿入される側から第一接合部13側にかけて徐々に小さくなるように形成されていると共に、その外壁の外径が弾性体12の取付孔16の内径B以下になるように形成されている。また、ガイド部材530は、弾性体12の取付孔16から車室内側へ突出しないように、弾性体12の厚さすなわち取付孔16の高さに比して小さい厚さを有している。
【0086】
この変形形態によれば、機能部品20の第二接合部25が内装品510の取付孔16内に挿入された際に第一接合部13と第二接合部25との中心位置ずれが生じていても、その挿入の進行に伴ってその第二接合部25がガイド部材530の内壁に当接してその中心位置ずれが解消される方向に移動するので、その中心位置ずれを解消させることができる。従って、第一接合部13と第二接合部25との接合ひいては内装品510への機能部品20の取り付けの容易化を図ることができる。
【0087】
更に、上記の実施形態においては、機能部品20が、内装品10に装着された機能部品20を取り外す操作を補助する形状を有し、その機能部品20の第二基材21が、第二基材21における弾性体12に接する上面の外縁角部に設けられた、テーパ状に切り欠かれた切欠部29を有する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、機能部品20の切欠部29に代えて、内装品10が、内装品10に装着された機能部品20を取り外す操作を補助する形状を有していてもよい。例えば、内装品10の弾性体12が、機能部品20の上面の外縁角部との間に隙間が形成されるように凹溝を有することとしてもよい。この凹溝は、内装品10に機能部品20が装着された状態で弾性体12の表面と機能部品20との間に人の指や爪又は取外し治具が挿入可能な隙間が形成される大きさに設定されている。この変形形態においても、内装品10からの機能部品20の取り外し性を向上させることができる。
【0088】
また、上記の実施形態においては、内装品10が、第一基材11に埋設される第一磁石17を有し、その第一磁石17が、第一接合部13を取り囲むように複数箇所に離散して配置されている。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、第一基材11に埋設される第一磁石17が一箇所のみに配置される内装品に適用することとしてもよい。
【0089】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,100,200,300,400,500:機能部品取付構造、10,110,510:内装品、11,111:基材(第一基材)、12,221:弾性体、13:接合部(第一接合部)、17:磁石(第一磁石)、20,220,420:機能部品、21,421:基材(第二基材)、25:接合部(第二接合部)、27:磁石(第二磁石)、29:切欠部。