(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20230502BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2020015350
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】中西 裕美
【審査官】横井 亜矢子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-156656(JP,A)
【文献】国際公開第2012/073362(WO,A1)
【文献】特開2013-182121(JP,A)
【文献】特開2018-160836(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0285904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
G02B 5/18,5/32
H04N 13/00-17/06
H01S 5/00-5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザダイオードと、
前記レーザダイオードから出射されたレーザ光の光路上に配置され、前記レーザ光を回折することにより回折像に変換する回折素子と、
前記レーザ光の光軸に垂直な平面内で前記回折素子を運動させる駆動部と、
前記回折像を映すスクリーンと、
前記レーザダイオードと、前記回折素子と、前記駆動部と、前記スクリーンとを取り囲み、開口部を有する保護部材と、
前記開口部に設置され、前記スクリーンに映される前記回折像を反射することにより前記保護部材の外部に前記回折像を投影する反射部材と、を備える、表示装置。
【請求項2】
情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された情報に基づいて、前記駆動部を制御する制御部と、をさらに備える、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記スクリーンに映される前記回折像を前記反射部材に向けて反射し、前記反射部材に入射する前記回折像の入射角度が、前記スクリーンから前記反射部材に直接入射する前記回折像の入射角度よりも大きくなるように設置される第1ミラーをさらに備え、
前記保護部材は、前記レーザダイオードと、前記回折素子と、前記駆動部と、前記スクリーンと、前記第1ミラーとを取り囲む、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記回折素子により前記回折像に変換された前記レーザ光の前記回折素子から前記スクリーンへの光路を形成するように前記レーザ光を反射する第2ミラーをさらに備え、
前記保護部材は、前記レーザダイオードと、前記回折素子と、前記駆動部と、前記スクリーンと、前記第2ミラーとを取り囲む、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
複数の前記レーザダイオードと、
前記複数のレーザダイオードから出射されるレーザ光を合波し、回折素子へ向けて出射するフィルタと、をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数のレーザダイオードは、
赤色のレーザ光を出射する赤色レーザダイオードと、
緑色のレーザ光を出射する緑色レーザダイオードと、
青色のレーザ光を出射する青色レーザダイオードと、を含む、請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像を映し出すスクリーンと、スクリーンを取り囲み、画像を外部に結像させる2面コーナーリフレクタが設置された保護部材とを含む表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記表示装置によって表示される画像を変化させることができれば、当該表示装置を種々の用途に応用することができる。そこで、表示される画像を変化させることができる表示装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に従った表示装置は、レーザダイオードと、レーザダイオードから出射されるレーザ光の光路上に配置され、レーザ光を回折することにより、回折像に変換する回折素子と、レーザ光の光軸に垂直な平面内で回折素子を運動させる駆動部と、回折像を映すスクリーンと、レーザダイオードと、回折素子と、駆動部と、スクリーンとを取り囲み、開口部を有する保護部材と、開口部に設置され、スクリーンに映される回折像を反射することにより保護部材の外部に回折像を投影する反射部材と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の表示装置によれば、表示される画像を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本開示の一実施の形態における表示装置の構造を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施の形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、蓋を取り外した状態における表示装置の構造を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は、蓋を取り外した状態における表示装置の構造を示す概略斜視図である。
【
図5】
図5は、光モジュールの構造を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は、キャップを取り外した状態における光モジュールの構造を示す概略斜視図である。
【
図7】
図7は、回折素子の構造を示す概略断面図である。
【
図8】
図8は、レーザ光が回折素子により回折像に変換された状態を示す模式図である。
【
図9】
図9は、反射部材の構造を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は、蓋を取り外した状態における表示装置の構造を示す概略平面図である。
【
図12】
図12は、本開示の一実施の形態における表示装置の構造を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示の表示装置は、レーザダイオードと、レーザダイオードから出射されるレーザ光の光路上に配置され、レーザ光を回折することにより、回折像に変換する回折素子と、レーザ光の光軸に垂直な平面内で回折素子を運動させる駆動部と、回折像を映すスクリーンと、レーザダイオードと、回折素子と、駆動部と、スクリーンとを取り囲み、開口部を有する保護部材と、開口部に設置され、スクリーンに映される回折像を反射することにより保護部材の外部に回折像を投影する反射部材と、を備える。
【0009】
本開示の表示装置は、回折素子と、レーザ光の光軸に垂直な平面内で回折素子を運動させる駆動部と、を備える。駆動部によって回折素子をレーザ光の光軸に垂直な平面内で運動させることで、光が入射する回折素子の領域や向きを変化させ、スクリーンに映される回折像を変化させることができる。このため、保護部材の外部に投影される回折像を変化させることができる。したがって、本開示の表示装置によれば、表示される画像を変化させることができる。
【0010】
上記表示装置は、情報を受信する受信部と、受信部により受信された情報に基づいて、駆動部を制御する制御部と、をさらに備えてもよい。このような構成を採用することで、受信部により受信された情報に基づいて、駆動部を制御し、表示装置によって表示される画像を変化させることができる。
【0011】
上記表示装置は、スクリーンに映される回折像を反射部材に向けて反射し、反射部材に入射する回折像の入射角度が、スクリーンから反射部材に直接入射する回折像の入射角度よりも大きくなるように設置される第1ミラーをさらに備えてもよい。保護部材は、レーザダイオードと、回折素子と、駆動部と、スクリーンと、第1ミラーとを取り囲んでもよい。ここで、回折像の入射角度とは、回折像を構成する光の入射角度をいう。このような構成を採用することで、反射部材に入射する回折像の入射角度を大きくし、表示装置からより離れて回折像を投影することができる。したがって、表示装置から表示される画像を見易くすることができる。
【0012】
上記表示装置は、回折素子により回折像に変換されたレーザ光の回折素子からスクリーンへの光路を形成するようにレーザ光を反射する第2ミラーをさらに備えてもよい。保護部材は、レーザダイオードと、回折素子と、駆動部と、スクリーンと、第2ミラーとを取り囲んでもよい。このような構成を採用することで、回折素子により回折像に変換されたレーザ光の光路の長さを、回折素子から直接スクリーンに入射する場合に比べて大きくすることができる。したがって、表示装置から表示される画像を大きくすることができる。
【0013】
上記表示装置は、複数のレーザダイオードと、複数のレーザダイオードから出射されるレーザ光を合波し、回折素子へ向けて出射するフィルタと、をさらに備えてもよい。このような構成を採用することで、複数のレーザダイオードから出射されたレーザ光をフィルタによって合波し、合波されたレーザ光を回折素子に入射させることができる。
【0014】
上記表示装置において、複数のレーザダイオードは、赤色のレーザ光を出射する赤色レーザダイオードと、緑色のレーザ光を出射する緑色レーザダイオードと、青色のレーザ光を出射する青色レーザダイオードと、を含んでもよい。このような構成とすることで、所望の色の光を形成し、回折素子に入射させることができる。
【0015】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示にかかる表示装置の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0016】
図1は、本実施の形態における表示装置の構造を示す概略斜視図である。
図2は、本実施の形態における表示装置の構成を示すブロック図である。
図3は、
図1の蓋を取り外した状態における表示装置の構造を示す概略斜視図である。
図4は、
図1の蓋を取り外した状態に対応し、
図3とは異なる視点から見た斜視図である。
図5は、光モジュールの構造を示す概略斜視図である。
図6は、
図5のキャップを取り外した状態における光モジュールの構造を示す概略斜視図である。
図7は、回折素子の構造を示す概略断面図である。
図8は、レーザ光が回折素子により回折像に変換された状態を示す模式図である。
図9は、反射部材の構造を示す概略斜視図である。
図10は、キャップを断面にて、他の部品を平面視にて示したX-Z平面における概略図である。
図11は、蓋を取り外した状態における表示装置の構造を示す概略平面図である。
図12は、本実施の形態における表示装置の構造を示す概略断面図である。
図12は、表示装置を
図11中のA-Aで切断した状態を示す断面図である。
【0017】
図1、
図3および
図4を参照して、本実施の形態における表示装置1は、光モジュール10と、回折素子21と、保持部材22と、駆動部31と、第1ミラーとしてのミラー61と、第2ミラーとしてのミラー62,63,64,65と、スクリーン40と、保護部材50と、を含む。保護部材50は、光モジュール10と、回折素子21と、保持部材22と、駆動部31と、ミラー61,62,63,64,65と、スクリーン40とを取り囲む。
【0018】
保護部材50は、蓋51と、ケース52と、を含む。保護部材50には、蓋51と、ケース52とによって取り囲まれた内部空間Uが形成されている。内部空間Uは、内壁部541によって第1凹部53と、第2凹部54とに仕切られている。ケース52は、第1凹部53を規定する平面状の底壁面531を有する。ケース52は、内部空間Uを取り囲むように溝551,552,553が形成されている。第1溝551は、X軸方向に沿って延びる。第2溝552は、Y軸方向に沿って延びる。第3溝553は、X軸方向に沿って延びる。第2凹部54には、電池70および基板46が収容されている。
【0019】
蓋51は、直方体状の形状を有する。Z軸方向から見て、蓋51は、長方形状の形状を有する。蓋51には、開口部51Aが形成されている。Z軸方向から見て、開口部51Aは長方形状の形状を有する。Z軸方向から見て、開口部51Aにおける一対の長辺は蓋51の長辺に沿って形成されている。Z軸方向から見て、開口部51Aは、蓋51の一方の短辺に接するように形成されている。
【0020】
図3および
図4を参照して、光モジュール10は、底壁面531上に固定されている。
図5および
図6を参照して、光モジュール10は、円盤の形状を有するベース体110と、ベース体110の一方の主面110A上に配置され、光を形成する光形成部120と、光形成部120を覆うようにベース体110の一方の主面110A上に接触して配置されるキャップ140と、一方の主面110A側および他方の主面110B側の両側に突出する複数のリードピン151とを備えている。ベース体110とキャップ140とは、たとえばYAG(Yittrium Aluminium Garnet)レーザ溶接、抵抗溶接などの手法により溶接され、気密状態とされている。すなわち、光形成部120は、ベース体110とキャップ140とによりハーメチックシールされている。
【0021】
ベース体110とキャップ140とにより取り囲まれる空間には、たとえば乾燥空気、乾燥窒素などの水分が低減(除去)された気体が封入されている。キャップ140には、光形成部120からの光を透過する貫通孔である出射窓141が形成されている。出射窓141には、透過部材142が設置されている。
【0022】
図6を参照して、光形成部120は、半円柱状の形状を有するベースブロック160を含む。ベースブロック160は、長方形形状を有する搭載面160Aを有している。ベースブロック160は、半円形状を有する底面において、ベース体110の一方の主面110Aに固定されている。搭載面160Aは、ベース体110の一方の主面110Aに対して交差するように、より具体的には垂直に配置される。ベース体110の一方の主面110Aおよび他方の主面110Bは、Y-Z平面に沿う。搭載面160Aは、X-Z平面に沿う。
【0023】
図6を参照して、搭載面160A上には、平板状の第1サブマウント171が配置されている。そして、第1サブマウント171上に、第1レーザダイオード181が配置されている。第1レーザダイオード181は、赤色のレーザ光を出射する。第1サブマウント171および第1レーザダイオード181は、第1レーザダイオード181から出射されるレーザ光が搭載面160Aの一の辺に沿って出射されるように配置される。
【0024】
搭載面160A上には、平板状の第2サブマウント172が配置されている。そして、第2サブマウント172上に、第2レーザダイオード182が配置されている。第2レーザダイオード182は、緑色のレーザ光を出射する。第2サブマウント172および第2レーザダイオード182は、第2レーザダイオード182から出射されるレーザ光が搭載面160Aの上記一の辺に交差する他の辺に沿って出射されるように配置される。第2サブマウント172および第2レーザダイオード182は、第2レーザダイオード182から出射されるレーザ光が、第1レーザダイオード181から出射されるレーザ光と交差する方向(直交する方向)に出射されるように配置される。
【0025】
搭載面160A上には、平板状の第3サブマウント173が配置されている。そして、第3サブマウント173上に、第3レーザダイオード183が配置されている。第3レーザダイオード183は、青色のレーザ光を出射する。第3サブマウント173および第3レーザダイオード183は、第3レーザダイオード183から出射されるレーザ光が搭載面160Aの上記他の辺に沿って出射されるように配置される。第3サブマウント173および第3レーザダイオード183は、第3レーザダイオード183から出射されるレーザ光が、第1レーザダイオード181からの光と交差する方向(直交する方向)に出射されるように配置される。第3サブマウント173および第3レーザダイオード183は、第3レーザダイオード183から出射されるレーザ光が、第2レーザダイオード182から出射されるレーザ光に沿った方向(第2レーザダイオード182から出射されるレーザ光に平行な方向)に出射されるように配置される。
【0026】
第1レーザダイオード181、第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183の光軸の高さ(搭載面160Aを基準面とした場合の基準面と光軸との距離;Y軸方向における基準面との距離)は、第1サブマウント171、第2サブマウント172および第3サブマウント173により調整されて一致している。第1レーザダイオード181は、Z方向にレーザ光を出射する。第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183は、X方向にレーザ光を出射する。第1レーザダイオード181のレーザ光の出射方向と第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183のレーザ光の出射方向とは交差する。より具体的には、第1レーザダイオード181のレーザ光の出射方向と第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183のレーザ光の出射方向とは直交する。第3レーザダイオード183の設置面である第3サブマウント173の主面、第2レーザダイオード182の設置面である第2サブマウント172の主面および第1レーザダイオード181の設置面である第1サブマウント171の主面は、互いに平行である。
【0027】
第1レーザダイオード181を出射したレーザ光と第2レーザダイオード182を出射したレーザ光とが交差する位置に対応する搭載面160A上の領域に、第1フィルタ191が配置される。第1レーザダイオード181を出射したレーザ光と第3レーザダイオード183を出射したレーザ光とが交差する位置に対応する搭載面160A上の領域に、第2フィルタ192が配置される。第1フィルタ191および第2フィルタ192は、それぞれ互いに平行な主面を有する平板状の形状を有している。第1フィルタ191および第2フィルタ192は、たとえば波長選択性フィルタである。第1フィルタ191および第2フィルタ192は、誘電体多層膜フィルタである。
【0028】
第1フィルタ191は、赤色のレーザ光を透過し、緑色のレーザ光を反射する。第2フィルタ192は、赤色のレーザ光および緑色のレーザ光を透過し、青色のレーザ光を反射する。このように、第1フィルタ191および第2フィルタ192は、特定の波長の光を選択的に透過および反射する。その結果、第1フィルタ191および第2フィルタ192は、第1レーザダイオード181、第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183から出射されたレーザ光を合波する。
【0029】
第1フィルタ191および第2フィルタ192の主面は、Z方向およびX方向に対して傾斜している。より具体的には、第1フィルタ191および第2フィルタ192の主面は、X方向(第1レーザダイオード181の出射方向)およびX方向(第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183の出射方向)に対して45°傾斜している。
【0030】
図3および
図4を参照して、保持部材22は、底壁面531上に固定されている。保持部材22は、支持部材59に回転可能なように保持されている。保持部材22は、貫通孔が形成された一対の円盤と円盤同士を接続する中空円筒状の接続部(図示せず)とを含む。保持部材22の一方の円盤における貫通孔を覆うように回折素子21が配置されている。保持部材22の他方の円盤の外周面には第1ギア22Aが形成されている。駆動部31は、第2ギア31Aを有する。駆動部31のモーター(図示せず)の中心軸と第2ギア31Aの回転軸とは一致する。第1ギア22Aと、第2ギア31Aとは、噛み合っている。
【0031】
回折素子21は、保持部材22に固定されている。回折素子21は、円盤状の形状を有する。回折素子21は、Y-Z平面に沿って配置される。駆動部31が駆動することで、回折素子21はY-Z平面内で回転させることができる。
図7を参照して、回折素子21は、レーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光が入射する入射面21Aと、厚み方向において入射面21Aとは反対側の出射面21Bとを含む。出射面21Bには、特定のパターンが形成されている。
図8を参照して、X軸方向から見て、回折素子21の中心Wと、レーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光の光軸Vとは一致するように、回折素子21が配置される。本実施の形態では、第1ギア22Aにおける回転軸と、レーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光の光軸Vとは一致する。回折素子21は、レーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光の光軸Vに垂直な仮想平面T内で光軸V周りに回転する。レーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光は、回折素子21によって回折像S
1(本実施の形態では矢印の回折像)に変換される。回折素子21が光軸V周りに回転することで、回折像S
1を回転させることができる。
【0032】
図3、
図4および
図11を参照して、ミラー62は、第1溝551と第2溝552とが接続する接続部に配置される。ミラー63は、第2溝552と第3溝553とが接続する接続部に配置される。ミラー64は、第3溝553のミラー63が配置される側とは反対側の端部に配置される。ミラー65は、Y軸方向において駆動部31とミラー64との間に配置されている。ミラー62,63,64,65は、平板状の形状を有する。ミラー62,63,64,65は、それぞれ反射面62A,63A,64A,65Aを有する。反射面62A,63A,64A,65Aは、それぞれX軸方向に対して45°傾斜している。平板状のスクリーン40が底壁面531上に固定されている。スクリーン40は、Y-Z平面に沿って配置されている。ミラー65と、スクリーン40とはX軸方向に並んで配置されている。ミラー62,63,64,65は、回折像S
1に変換されたレーザ光の光路L
6,L
7,L
8,L
9,L
10を形成するようにレーザ光を反射する。その結果、回折像S
1がスクリーン40に映される。
【0033】
図3および
図4を参照して、平板状のミラー61が、底壁面531上に固定されている。ミラー61は、反射面61Aを有する。反射面61Aは、X-Y平面に沿って配置される。ミラー61は、スクリーン40に映された回折像S
1を後述する反射部材41(
図1参照)に向けて反射する。
【0034】
図1および
図9を参照して、反射部材41は、蓋51の開口部51Aを閉塞するように配置されている。反射部材41は、X-Y平面内に等間隔にマトリックス状に配置される複数の反射部42を含む。反射部42は、第1反射面42Aと第2反射面42Bとを含む。第1反射面42Aと第2反射面42Bとは交差する(本実施の形態では直交する)。
【0035】
図2および
図3を参照して、表示装置1は、基板46上に配置される受信部44と、制御部45とをさらに備える。受信部44は、情報を受信する。制御部45は、受信部44により受信された情報に基づいて、駆動部31の回転を制御する。本実施の形態における表示装置1の電気的構成について説明する。
図2を参照して、本実施の形態では、受信部44は、例えば携帯端末80からの情報を受信する。受信部44と、制御部45とは電気的に接続される。駆動部31と、制御部45とは電気的に接続される。光モジュール10と、制御部45とは電気的に接続される。本実施の形態では、受信部44により受信された情報に基づいて光モジュール10からの出射される光を所望の色の光に調整する。
【0036】
次に、本実施の形態における表示装置1の動作について説明する。
図10を参照して、第1レーザダイオード181から出射された赤色のレーザ光は、光路L
1に沿って進行し、第1フィルタ191に入射する。第1フィルタ191は赤色のレーザ光を透過するため、第1レーザダイオード181から出射されたレーザ光は光路L
2に沿ってさらに進行し、第2フィルタ192に入射する。そして、第2フィルタ192は赤色のレーザ光を透過するため、第1レーザダイオード181から出射されたレーザ光は光路L
3に沿ってさらに進行し、キャップ140の出射窓141に配置された透過部材142を通り、回折素子21に向けて出射する。
【0037】
第2レーザダイオード182から出射された緑色のレーザ光は、光路L4に沿って進行し、第1フィルタ191に入射する。第1フィルタ191は緑色のレーザ光を反射するため、第2レーザダイオード182から出射されたレーザ光は光路L2に合流する。その結果、緑色のレーザ光は赤色のレーザ光と同軸に合波され、光路L2に沿って進行し、第2フィルタ192に入射する。そして、第2フィルタ192は緑色のレーザ光を透過するため、第2レーザダイオード182から出射されたレーザ光は光路L3に沿ってさらに進行し、キャップ140の出射窓141に配置された透過部材142を通り、回折素子21に向けて出射する。
【0038】
第3レーザダイオード183から出射された青色のレーザ光は、光路L5に沿って進行し、第2フィルタ192に入射する。第2フィルタ192は青色のレーザ光を反射するため、第3レーザダイオード183から出射されたレーザ光は光路L3に合流する。その結果、青色のレーザ光は赤色のレーザ光および緑色のレーザ光と合波され、光路L3に沿って進行し、キャップ140の出射窓141に配置された透過部材142を通り、回折素子21に向けて出射する。
【0039】
図10および
図11を参照して、キャップ140の透過部材142から、赤色、緑色および青色のレーザ光が合波されて形成されたレーザ光が回折素子21に向けて出射される。
図8を参照して、回折素子21に入射したレーザ光は、回折像S
1に変換される。
図11を参照して、回折像S
1に変換されたレーザ光は、光路L
6に沿って進行し、ミラー62に入射する。ミラー62によって反射されたレーザ光は、光路L
7に沿って進行し、ミラー63に入射する。ミラー63によって反射されたレーザ光は、光路L
8に沿って進行し、ミラー64に入射する。ミラー64によって反射されたレーザ光は、光路L
9に沿って進行し、ミラー65に入射する。ミラー65によって反射されたレーザ光は、光路L
10に沿って進行し、スクリーン40に入射する。
図3を参照して、スクリーン40に回折像S
1が映される。
【0040】
図1、
図11および
図12を参照して、スクリーン40から直接入射する回折像S
1は、反射部材41における第1反射面42Aおよび第2反射面42Bによって反射され、保護部材50の外部に投影され、画像S
2として表示される。回折像S
1は、ミラー61によって反射され、反射部材41に入射することで、保護部材50の外部に投影され、画像S
3として表示される。Z軸方向において、画像S
3は、画像S
2よりも表示装置から離れて表示される。
【0041】
ここで、本実施の形態における表示装置1は、回折素子21と、駆動部31とを備える。駆動部31によって回折素子21をレーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光の光軸Vに垂直な仮想平面T内で運動(回転)させることで、レーザ光が入射する回折素子21の向きを変化させ、スクリーン40に映される回折像を変化させることができる。その結果、保護部材50の外部に投影される画像が変化する。
【0042】
本実施の形態における表示装置1では、保護部材50の外部に矢印が投影される。例えばスマートフォンにおけるナビゲーションシステムと連動させ、スマートフォンからの信号によって投影される矢印の向きを変化させることができる。このようにすることで、スマートフォンの表示画面を見なくても、ユーザーは投影される矢印の向きを確認することができ、ユーザーが進むべき方向を把握することができる。
【0043】
上記実施の形態における表示装置1は、受信部44と、制御部45と、を備える。このような構成を採用することで、受信部44により受信された情報に基づいて、駆動部31を制御し、表示装置1によって表示される画像を変化させることができる。
【0044】
図3および
図12を参照して、上記実施の形態における表示装置1は、ミラー61を備える。スクリーン40に映される回折像S
1がミラー61によって反射され、反射部材41に入射する際の回折像S
1の入射角度θ
1は、回折像S
1がスクリーン40から反射部材41に直接入射する際の回折像S
1の入射角度θ
2よりも大きい。このような構成を採用することで、反射部材41に入射する回折像S
1の入射角度を大きくし、表示装置1からより離れて回折像S
1を投影させることができる。したがって、表示装置1から表示される画像を見易くすることができる。
【0045】
上記実施の形態における表示装置1は、回折素子21により回折像S1に変換されたレーザ光の回折素子21からスクリーン40への光路L6,L7,L8,L9,L10を形成するようにレーザ光を反射するミラー62,63,64,65を備える。このような構成を採用することで、回折素子21により回折像S1に変換されたレーザ光の光路の長さを、回折素子21から直接スクリーンに入射する場合に比べて長くすることができる。したがって、表示装置1によって表示される画像を大きくすることができる。
【0046】
上記の実施の形態においては、光モジュール10は、赤色レーザダイオードとしての第1レーザダイオード181、緑色レーザダイオードとしての第2レーザダイオード182および青色レーザダイオードとしての第3レーザダイオード183を含む構成としたが、これに限らず、いずれか1色または2色、すなわち、第1レーザダイオード181、第2レーザダイオード182および第3レーザダイオード183のうち1つまたは2つを含む構成であればよい。また、赤外光等を加えて、光モジュール10から出射される光が4つ以上としてもよい。また、上記実施の形態においては、第1フィルタ191および第2フィルタ192として波長選択性フィルタが採用される場合を例示したが、これらのフィルタは、たとえば偏波合成フィルタであってもよい。上記実施の形態では、表示装置1が第2ミラーとして4つのミラー62,63,64,65を備える場合について説明したが、これに限られず、1つの第2ミラーが設置されてもよいし、第2ミラーが設置されなくてもよい。上記実施の形態では、表示装置1がミラー61を備える場合について説明したが、これに限られず、ミラー61が設置されなくもよい。上記実施の形態では、回折素子21が光軸V周りに回転する場合について説明したが、これに限られず、光軸Vに垂直な仮想平面T内で回折素子21を移動させることで、レーザダイオード181,182,183から出射されるレーザ光を回折像S1とは異なる回折像に変換するようにしてもよい。
【0047】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本開示の表示装置は、表示される画像を変化させることが求められる場合において特に有利に適用される。
【符号の説明】
【0049】
1 表示装置
10 光モジュール
21 回折素子
21A 入射面
21B 出射面
22 保持部材
22A 第1ギア
31 駆動部
31A 第2ギア
40 スクリーン
41 反射部材
42 反射部
42A 第1反射面
42B 第2反射面
44 受信部
45 制御部
46 基板
50 保護部材
51 蓋
51A 開口部
52 ケース
53 第1凹部
54 第2凹部
59 支持部材
61,62,63,64,65 ミラー
61A,62A,63A,64A,65A 反射面
70 電池
80 携帯端末
110 ベース体
110A,110B 主面
120 光形成部
140 キャップ
141 出射窓
142 透過部材
151 リードピン
160 ベースブロック
160A 搭載面
171 第1サブマウント
172 第2サブマウント
173 第3サブマウント
181 第1レーザダイオード
182 第2レーザダイオード
183 第3レーザダイオード
191 第1フィルタ
192 第2フィルタ
531 底壁面
541 内壁部
551 第1溝
552 第2溝
553 第3溝
L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7,L8,L9,L10 光路
S1 回折像
S2,S3 画像
U 内部空間
V 光軸
W 中心
T 仮想平面
θ1,θ2 入射角度