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特許7272422熱交換器、及び熱交換器を備える空気調和機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】熱交換器、及び熱交換器を備える空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20230502BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20230502BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20230502BHJP
   F24F 1/0067 20190101ALI20230502BHJP
【FI】
F28F1/32 Y
F28F1/32 F
F28F1/02 B
F28D1/053 A
F24F1/0067
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021509485
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013239
(87)【国際公開番号】W WO2020196593
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-07-30
(31)【優先権主張番号】P 2019058394
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島野 太貴
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 政利
(72)【発明者】
【氏名】前間 慶成
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 亮
(72)【発明者】
【氏名】仲田 昇平
(72)【発明者】
【氏名】岡 孝多郎
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-163317(JP,A)
【文献】国際公開第2018/207321(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194043(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/194088(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/30 - 1/32
F28F 1/02
F28D 1/053
F24F 1/0067
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の扁平管と、
前記複数の扁平管の各々を差し込む複数の切欠き部が上下方向に並んで配置され、前記上下方向に隣り合って位置する前記切欠き部同士の間にそれぞれ形成された複数の中間部と、各中間部同士を接続する連結部と、を有するフィンと、
前記中間部を挟んで前記上下方向に隣り合う2つの前記切欠き部のうち、上側の前記切欠き部を第1切欠き部とし、下側の前記切欠き部を第2切欠き部としたとき、前記第1切欠き部と前記第2切欠き部との間に設けられた上端縁及び下端縁を有し、前記上端縁が前記中間部に位置し、前記下端縁が前記連結部に位置する第1膨出部と、
前記第1膨出部の前記下端縁の下方に設けられた第2膨出部と、を備え、
前記上端縁と前記下端縁は接触せずに、前記上端縁は、前記中間部側に位置する第1上端部が、前記連結部側に位置する第2上端部よりも上方に位置し、
前記第2膨出部は、前記第1膨出部の前記下端縁に沿って形成された上端縁と、前記第2切欠き部の下方に形成された下端縁と、を有し、
前記第2膨出部の前記上端縁は、前記中間部側に位置する第1上端部と、前記連結部側に位置する第2上端部と、を有し、前記第2膨出部の前記下端縁は、前記中間部側に位置する第1下端部と、前記連結部側に位置する第2下端部と、を有し、
前記第2膨出部における前記第1上端部と前記第1下端部とを結ぶ左端縁と、前記第2膨出部における前記第2上端部と前記第2下端部とを結ぶ右端縁が、前記上下方向に沿ってそれぞれ延びる、熱交換器。
【請求項2】
複数の前記第1膨出部が、前記フィンの前記上下方向に沿って間隔をあけて配列され、
前記第2膨出部の前記下端縁は、当該第2膨出部の下方に隣り合う前記第1膨出部の前記第2上端部と前記第2下端部とを結ぶ縁線に沿って形成される、
請求項に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第2膨出部は、その前記上端縁が前記第1膨出部の前記下端縁から4mm以下の範囲に位置するように形成される、
請求項1または2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1膨出部において、前記下端縁は、前記中間部側に位置する第1下端部と、前記第2切欠き部の前記連結部側に位置する連結部側端部との間の上下方向に直交する方向の距離が、前記第1下端部と前記連結部側端部との間の前記上下方向の距離の1/6倍未満となるように形成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1膨出部において、前記下端縁の前記連結部側に位置する第2下端部と、前記第1下端部と、前記第1上端部とを通り、前記第1膨出部の縁に沿う縁線において、前記第1上端部と前記第2下端部を結ぶ直線との垂直方向距離が最大となる点は、前記連結部に位置する、
請求項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記第1膨出部は、前記第1上端部が前記第1切欠き部の下辺から4mm以下の範囲に位置するように形成される、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項7】
請求項1ないしのいずれか1項に記載の熱交換器を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器、及び熱交換器を備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機において、扁平管を用いた熱交換器が知られている。このような熱交換器では、扁平管及びフィンの少なくとも一方の表面に水滴状の凝縮水が滞留した場合、扁平管内の流路を流れる作動流体とフィンの間を通過する気体との間の熱交換が凝縮水によって妨げられるので、熱交換器の性能に悪影響を及ぼす。
【0003】
これに対し、空気調和機を設置したとき、フィン上に凝縮水を重力方向に案内する膨出部を設けることによって凝縮水の排出を向上させた技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、この技術では、フィンの平面部から突出して形成された膨出部における第1の端部が扁平管を差し込む上下の切欠き部同士の間の領域に位置するとともに、膨出部の第2の端部が切欠き部が無い領域において第1の端部よりも下方に位置する形状に形成されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術は、フィンに付着した凝縮水の排出性を高められる一方で、この形状では扁平管の周囲に滞留した凝縮水を積極的に排出できる構造になっていないという問題があった。つまり、扁平管の下面において、表面張力、重力及び静止摩擦係数等が釣り合った状態で滞留した水滴は、水滴が大きく成長して重力が、表面張力等の重力方向と反対方向の力を超えるまで、排出されなかった。また、図4Bに示すように、膨出部54Aにおいて、凝縮水は、その多くの量が中間部側縁X-Zに沿って方向Wの側に流れが集中する。その結果、連結部側縁X-Zに沿って方向Wの側に流れる量は少なくなる。そして、方向Wに伝わった多くの凝縮水は、重力の影響により、凝縮水の一部が方向Wに伝わり、膨出部54Aの下方に設けられた第2切欠き部51bに挿入されている第2扁平管40b(図3参照)に滴下することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/194043号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、フィン及び扁平管の両方の表面に滞留した凝縮水の排出性を高められる熱交換器、及び熱交換器を備える空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の開示する熱交換器の一態様は、複数の扁平管と、複数の扁平管の各々を差し込む複数の切欠き部が上下方向に並んで配置され、上下方向に隣り合って位置する切欠き部同士の間にそれぞれ形成された複数の中間部と、各中間部同士を接続する連結部と、を有するフィンと、中間部を挟んで上下方向に隣り合う2つの切欠き部のうち、上側の切欠き部を第1切欠き部とし、下側の切欠き部を第2切欠き部としたとき、第1切欠き部と第2切欠き部との間に設けられた上端縁及び下端縁を有し、上端縁が中間部に位置し、下端縁が連結部に位置する第1膨出部と、第1膨出部の下端縁の下方に設けられた第2膨出部と、を備え、上端縁と下端縁は接触せずに、上端縁は、中間部側に位置する第1上端部が、連結部側に位置する第2上端部よりも上方に位置する。第2膨出部は、第1膨出部の下端縁に沿って形成された上端縁と、第2切欠き部の下方に形成された下端縁と、を有する。第2膨出部の上端縁は、中間部側に位置する第1上端部と、連結部側に位置する第2上端部と、を有し、第2膨出部の下端縁は、中間部側に位置する第1下端部と、連結部側に位置する第2下端部と、を有する。第2膨出部における第1上端部と第1下端部とを結ぶ左端縁と、第2膨出部における第2上端部と第2下端部とを結ぶ右端縁が、上下方向に沿ってそれぞれ延びる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フィン及び扁平管双方の表面に滞留した凝縮水の排出性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】実施形態に係る空気調和機の一例を説明するために示す冷媒回路図である。
図1B】実施形態に係る空気調和機の一例を説明するために示す、制御手段のブロック図である。
図2A】実施形態に係る室外熱交換器を説明するために示す、室外熱交換器の平面図である。
図2B】実施形態に係る室外熱交換器を説明するために示す、室外熱交換器の正面図である。
図3】扁平管とフィンとの関係を説明する図である。
図4A】実施形態における第1膨出部を説明するための図である。
図4B】比較例における第1膨出部を説明する図である。
図5】第1膨出部の位置関係を説明する側面図である。
図6】第1膨出部の位置関係を説明する正面図である。
図7】液体と固体の間の接触角を説明する図である。
図8A】第1膨出部の上端縁と第1切欠き部の下辺との距離を説明する正面図である。
図8B】第1膨出部の上端縁と第1切欠き部の下辺との距離を説明する側面図である。
図9】第1膨出部の下端縁と第2切欠き部の中間部側端部との距離を説明する図である。
図10】第2膨出部を更に設けた態様を説明する図である。
図11】第1膨出部の位置関係を説明する側面図である。
図12】比較例における第1膨出部の位置関係を説明する側面図である。
図13A】異なる接触角θ同士における第1扁平管40aの周囲に滞留した凝縮水(液滴)の大きさd2を比較した図であって、接触角θ=10°のときの液滴の大きさd2を示す図である。
図13B】異なる接触角θ同士における第1扁平管40aの周囲に滞留した凝縮水(液滴)の大きさd2を比較した図であって、接触角θ=60°のときの液滴の大きさd2をそれぞれ示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形させることが可能である。
【0011】
<冷媒回路の構成>
まず、図1Aを参照して、室外機2を含む空気調和機1の冷媒回路について説明する。図1Aに示すように、本実施形態における空気調和機1は、屋外に設置される室外機2と、室内に設置されて室外機2に液管4及びガス管5によって接続された室内機3と、を備えている。詳細には、室外機2の液側閉鎖弁25と、室内機3の液管接続部33とが液管4で接続されている。また、室外機2のガス側閉鎖弁26と、室内機3のガス管接続部34とがガス管5で接続されている。以上により、空気調和機1の冷媒回路10が形成される。
【0012】
<<室外機の冷媒回路>>
まず、室外機2について説明する。室外機2は、圧縮機21と、四方弁22と、室外熱交換器23と、膨張弁24と、液管4が接続された液側閉鎖弁25と、ガス管5が接続されたガス側閉鎖弁26と、室外ファン27と、を備えている。そして、室外ファン27を除くこれら各装置が、後述する各冷媒配管で相互に接続されることで、冷媒回路10の一部をなす室外機冷媒回路10aを形成している。なお、圧縮機21の冷媒吸入側には、アキュムレータ(不図示)が設けられてもよい。
【0013】
圧縮機21は、図示しないインバータにより回転数が制御されることで、運転容量を変えることができる容量可変型圧縮機である。圧縮機21の冷媒吐出側では、四方弁22のポートaと吐出管61が接続されている。また、圧縮機21の冷媒吸入側では、四方弁22のポートcと吸入管66が接続されている。
【0014】
四方弁22は、冷媒の流れる方向を切り替えるための弁であり、4つのポートa、b、c、dを備えている。ポートaは、上述したように圧縮機21の冷媒吐出側と、吐出管61によって接続されている。ポートbは、室外熱交換器23の一方の冷媒出入口と、冷媒配管62によって接続されている。ポートcは、上述したように圧縮機21の冷媒吸入側と、吸入管66によって接続されている。そして、ポートdは、ガス側閉鎖弁26と、室外機ガス管64によって接続されている。
【0015】
室外熱交換器23は、後述する室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と、冷媒とで熱交換させるものである。室外熱交換器23の一方の冷媒出入口は、上述したように四方弁22のポートbと、冷媒配管62によって接続され、他方の冷媒出入口は、液側閉鎖弁25と、室外機液管63によって接続されている。室外熱交換器23は、四方弁22の切り替えによって、冷房運転時に凝縮器として機能し、暖房運転時に蒸発器として機能する。
【0016】
膨張弁24は、図示しないパルスモータにより駆動される電子膨張弁である。具体的には、パルスモータに加えられるパルス数に応じて、膨張弁24の開度が調整される。暖房運転時、膨張弁24は、圧縮機21から吐出される冷媒の温度である吐出温度が所定の目標温度となるように、膨張弁24の開度が調整される。
【0017】
室外ファン27は、樹脂材料で形成されており、室外熱交換器23の近傍に配置されている。室外ファン27の中心部は、図示しないファンモータの回転軸に支持されている。ファンモータが回転することで室外ファン27が回転する。室外ファン27の回転によって、室外機2の図示しない吸込口から室外機2の内部へ外気を取り込み、室外熱交換器23において冷媒と熱交換した外気を、室外機2の図示しない吹出口から室外機2外部へ放出する。
【0018】
以上説明した構成の他に、室外機2には各種のセンサが設けられている。図1Aに示すように、吐出管61には、圧縮機21から吐出される冷媒の圧力を検出する吐出圧力センサ71と、圧縮機21から吐出される冷媒の温度(上述した吐出温度)を検出する吐出温度センサ73が設けられている。吸入管66には、圧縮機21に吸入される冷媒の圧力を検出する吸入圧力センサ72と、圧縮機21に吸入される冷媒の温度を検出する吸入温度センサ74が設けられている。
【0019】
室外熱交換器23が有する図示しない冷媒パスの略中間部には、室外熱交換器23の温度である室外熱交温度を検出する熱交温度センサ75が設けられている。そして、室外機2の図示しない吸込口付近には、室外機2の内部に流入する外気の温度、すなわち外気温度を検出する外気温度センサ76が設けられている。
【0020】
また、室外機2は、室外機制御手段200を備えている。室外機制御手段200は、室外機2の図示しない電装品箱に格納されている制御基板に搭載されている。図1Bに示すように、室外機制御手段200は、CPU210と、記憶部220と、通信部230と、センサ入力部240と、を備えている。
【0021】
記憶部220は、フラッシュメモリで構成されており、室外機2の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、圧縮機21や室外ファン27等の制御状態等を記憶している。また、図示を省略するが、記憶部220には室内機3から受信する要求能力に応じて圧縮機21の回転数を定めた回転数テーブルが予め記憶されている。
【0022】
通信部230は、室内機3との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部240は、室外機2の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU210に出力する。
【0023】
CPU210は、前述した室外機2の各センサでの検出結果を、センサ入力部240を介して取り込む。さらには、CPU210は、室内機3から送信される制御信号を、通信部230を介して取り込む。CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号等に基づいて、圧縮機21や室外ファン27の駆動制御を行う。また、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、四方弁22の切り替え制御を行う。さらには、CPU210は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、膨張弁24の開度を調整する。
【0024】
<<室内機の冷媒回路>>
次に、図1Aを用いて、室内機3について説明する。室内機3は、室内熱交換器31と、室内ファン32と、液管4の他端が接続された液管接続部33と、ガス管5の他端が接続されたガス管接続部34と、を備えている。そして、室内ファン32を除くこれら各装置が以下で詳述する各冷媒配管で相互に接続されることで、冷媒回路10の一部をなす室内機冷媒回路10bを形成している。
【0025】
室内熱交換器31は、後述する室内ファン32の回転により室内機3の図示しない吸込口から室内機3の内部に取り込まれた室内空気を、冷媒と熱交換させるものである。室内熱交換器31の一方の冷媒出入口は、液管接続部33と室内機液管67で接続されている。室内熱交換器31の他方の冷媒出入口は、ガス管接続部34と室内機ガス管68によって接続されている。室内熱交換器31は、室内機3が冷房運転を行う場合に蒸発器として機能し、室内機3が暖房運転を行う場合に凝縮器として機能する。
【0026】
室内ファン32は、樹脂材料で形成されており、室内熱交換器31の近傍に配置されている。室内ファン32は、図示しないファンモータによって回転することで、室内機3の図示しない吸込口から室内機3の内部に室内空気を取り込み、室内熱交換器31において冷媒と熱交換した室内空気を室内機3の図示しない吹出口から室内へ吹き出す。
【0027】
以上説明した構成の他に、室内機3には各種のセンサが設けられている。室内機液管67には、室内熱交換器31に流入する、あるいは室内熱交換器31から流出する冷媒の温度を検出する液側温度センサ77が設けられている。室内機ガス管68には、室内熱交換器31から流出する、あるいは室内熱交換器31に流入する冷媒の温度を検出するガス側温度センサ78が設けられている。そして、室内機3の図示しない吸込口付近には、室内機3の内部に流入する室内空気の温度、すなわち室温を検出する室温センサ79が設けられている。
【0028】
また、室内機3には、室内機制御手段300が備えられている。図1Bに示すように、室内機制御手段300は、CPU310と、記憶部320と、通信部330と、センサ入力部340と、を備えている(なお、本明細書では、室内機制御手段300を単に制御手段ということがある)。
【0029】
記憶部320は、フラッシュメモリで構成されており、室内機3の制御プログラムや各種センサからの検出信号に対応した検出値、室内ファン32等の制御状態等を記憶している。また、図示を省略するが、記憶部320には、後述する運転停止中の冷媒の漏洩を監視するための回転数を含む室内ファン32の回転数を定めた回転数テーブル等が予め記憶されている。
【0030】
通信部330は、室外機2との通信を行うインターフェイスである。センサ入力部340は、室内機3の各種センサでの検出結果を取り込んでCPU310に出力する。
【0031】
CPU310は、前述した室内機3の各センサでの検出結果を、センサ入力部340を介して取り込む。さらには、CPU310は、室外機2から送信される制御信号を、通信部330を介して取り込む。CPU310は、取り込んだ検出結果や制御信号に基づいて、後述する運転停止中の冷媒の漏洩を監視するための駆動を含む室内ファン32の駆動制御を行う。また、CPU310は、使用者が図示しないリモコンを操作して設定した設定温度と、室温センサ79で検出した室温との温度差を算出し、算出された温度差に基づいた要求能力を、通信部330を介して室外機2の室外機制御手段200に送信する。
【0032】
<冷媒回路の動作>
次に、本実施形態における空気調和機1の空調運転時の冷媒回路10における冷媒の流れや各部の動作について、図1Aを用いて説明する。以下では、図中、実線で示した冷媒の流れに基づいて、室内機3が暖房運転を行う場合について説明する。なお、破線で示した冷媒の流れが冷房運転を示している。
【0033】
室内機3が暖房運転を行う場合、CPU210は、図1Aに実線で示す状態になるように、すなわち、四方弁22のポートaとポートdがつながるように四方弁22を切り換えると共に、ポートbとポートcがつながるように四方弁22を切り替える。これにより、冷媒回路10において実線矢印で示す方向に冷媒が循環し、室外熱交換器23が蒸発器として機能するとともに室内熱交換器31が凝縮器として機能する暖房サイクルとなる。
【0034】
圧縮機21から吐出された高圧の冷媒は、吐出管61を流れて四方弁22に流入する。四方弁22のポートaに流入した冷媒は、四方弁22のポートdから室外機ガス管64に流入し、ガス側閉鎖弁26を介してガス管5に流入する。ガス管5を流れる冷媒は、ガス管接続部34を介して室内機3に流入する。
【0035】
室内機3に流入した冷媒は、室内機ガス管68を流れて室内熱交換器31に流入し、室内ファン32の回転により室内機3の内部に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。このように、室内熱交換器31が凝縮器として機能し、室内熱交換器31で冷媒と熱交換を行った室内空気が図示しない吹出口から室内に吹き出されることによって、室内機3が設置された室内の暖房が行われる。
【0036】
室内熱交換器31から流出した冷媒は、室内機液管67を流れ、液管接続部33を介して液管4に流入する。液管4を流れ、液側閉鎖弁25を介して室外機2に流入した冷媒は、室外機液管63を流れて膨張弁24を通過する際に減圧される。上述したように、暖房運転時の膨張弁24の開度は、圧縮機21の吐出温度が所定の目標温度となるように調整される。
【0037】
膨張弁24を通過して室外熱交換器23に流入した冷媒は、室外ファン27の回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発する。室外熱交換器23から冷媒配管62に流出した冷媒は、四方弁22のポートb及びポートc、吸入管66を流れ、圧縮機21に吸入されて再び圧縮される。
【0038】
<熱交換器>
本実施形態の熱交換器は、室内機3の室内熱交換器31及び室外機2の室外熱交換器23に適用可能であるが、以下の説明では、暖房運転時に蒸発器として機能する、室外機2の室外熱交換器(以下では、単に熱交換器という)23に適用して説明する。
【0039】
図2は、本実施形態に係る熱交換器23を説明する図であり、図2Aは熱交換器23の平面図を示し、図2Bは熱交換器23の正面図を示している。図2A及び図2Bに示すように、熱交換器23は、断面形状が長円形あるいは角が丸められた矩形となった伝熱管であってその側面(幅広面)が互いに対向するように上下方向(冷媒の流れ方向に垂直な方向)に配列された複数の扁平管40と、複数の扁平管40の両端に接続される左右一対のヘッダ12と、扁平管40が延びる方向と交差する方向に配置されて各扁平管40に跨って接合された複数のフィン50と、を備える。熱交換器23は、複数の扁平管40の配列方向(フィン50の長手方向)が重力方向と平行になるように室外機2に配置されている。以下の説明では、複数の扁平管40について、上下方向に互いに隣り合う2つの扁平管40のうち、図中の上側の扁平管40を第1扁平管40aと称し、図中の下側の扁平管40を第2扁平管40bと称することがある。なお、熱交換器23には、これらのほかに、空気調和機1の他の要素との間を繋ぎ、冷媒が流れる冷媒配管がヘッダ12に接続されている(不図示)。
【0040】
扁平管40は、より詳しく説明すると、上下方向に対して扁平な形状を有しており、冷媒が一対のヘッダ12間を流れる方向(扁平管40の長手方向)に沿って設けられて、扁平管40の短手方向に沿って空気が流通する。扁平管40の内部には、扁平管40の長手方向に沿って冷媒が流れる複数の冷媒流路41が、扁平管40の短手方向に並んで形成されている。図2Bに示すように、複数の扁平管40は、空気が通過するための隙間S1をあけて上下方向に並列に配置されており、各扁平管40の両端部が一対のヘッダ12に接続される。具体的には、長手方向に延びる複数の扁平管40を上下方向に対して所定の配列ピッチPh(隙間S1における上下方向の距離)で配列し、各扁平管40の両端部をヘッダ12に接続している。
【0041】
ヘッダ12は、円筒形状に形成されており、ヘッダ12の内部に、熱交換器23に供給された冷媒を複数の扁平管40の各々に分岐させて流入させたり、複数の扁平管40の各々から流出した冷媒を合流させたりする冷媒流路(不図示)が形成されている。
【0042】
フィン50は、熱交換器23の正面から見て、平板状に形成されており、扁平管40と交差するように扁平管40の長手方向に積層して配置されている。複数のフィン50は、空気が通過するための隙間S1をあけて並列に配置されている。具体的には、上下方向に沿う複数のフィン50が、扁平管40の長手方向に対して所定のフィンピッチPv(隙間S1における扁平管40の長手方向の距離)で配列されている。以下の説明では、複数のフィン50について、互いに左右に隣り合う2つのフィン50のうち、図中左側のフィン50を第1フィン50aと称し、図中右側のフィン50を第2フィン50bと称することがある。
【0043】
<扁平管、フィン及び膨出部>
次に、扁平管40、フィン50及び第1膨出部54の関係について、図3以降を参照して説明する。まず、図3に示すように、フィン50には、複数の扁平管40の各々を差し込む複数の切欠き部51が上下方向に並んで配置されている。フィン50は、上下方向に隣り合って位置する2つの切欠き部51同士(第1切欠き部51aと第2切欠き部51b)の間にそれぞれ形成された複数の中間部52(風下側の部分)と、各中間部52同士を接続する連結部53(風上側の部分)を有する。以下の説明では、複数の切欠き部51について、中間部52を挟んで隣り合う2つの切欠き部51のうち、図中の上側の切欠き部51を第1切欠き部51aと称し、下側の切欠き部51を第2切欠き部51bと称することがある。第1切欠き部51aには第1扁平管40aが挿入され、第2切欠き部51bには第2扁平管40bが挿入される。扁平管40の内部には、冷媒が流れる複数の冷媒流路41が設けられており、複数の冷媒流路41が、扁平管40の短手方向(空気が流通する方向)に沿って配列されている。
【0044】
フィン50には、図4Aに示すように、第1切欠き部51aと第2切欠き部51bとの間に、フィン50の厚み方向(扁平管の長手方向)に膨らむ第1膨出部54が設けられている。つまり、上下方向において、第1膨出部54の上方に第1切欠き部51aが位置しており、第1膨出部54の下方に第2切り欠き部が位置している。第1膨出部54は、中間部52と連結部53との境界をまたぐように中間部52から連結部53にかけて位置する上端縁X-Xと、連結部53に位置する下端縁Z-Zと、を有する。そして、第1膨出部54は、第1膨出部54における中間部52側に位置する第1上端部Xが、第1膨出部54における連結部53側に位置する第2上端部Xよりも上方に位置する、若しくは、第1上端部Xが、第2上端部Xと同じ高さに位置するように形成されている。すなわち、図4Aでは、第1上端部Xと第2上端部Xとが重力方向において同じ高さの場合を図示しているが、重力方向において第1上端部Xは、第2上端部Xよりも上方に位置するように形成されてもよい。
【0045】
詳しくは後述するように、第1膨出部54の上端縁X-Xを、第1膨出部54の上方にある第1切欠き部51aに挿入されている第1扁平管40a(不図示、図3参照)に対して適切な位置に設定する。これにより、第1扁平管40aの周辺に付着した凝縮水は、第1切欠き部51a(第1扁平管40a)の風上側の端部(図中右側の端部)を、第1切欠き部51aの縁の方向Wに沿って流れて、第1膨出部54の上端縁X-Xに到達する。
【0046】
上端縁X-Xに到達した後、凝縮水は、第1上端部Xと第2下端部Zを結ぶ中間部側縁X-Zに沿って伝わる方向Wの流れと、第2上端部Xと第2下端部Zを結ぶ連結部側縁X-Zに沿って伝わる方向Wの流れである2つの流れにほぼ均等に分岐する。そして、方向Wと方向Wに沿って伝わった凝縮水は、いずれも第1膨出部54の下方にある第2切欠き部51bに挿入されている第2扁平管40b(不図示。図3参照)に落下することなく、連結部53に沿って熱交換器23の重力方向の下方へ排出される。
【0047】
これに対し、図4Bは、比較例としての第1膨出部54Aを示しており、第1膨出部54Aにおいて、第1上端部Xが、第2上端部Xよりも重力方向において下方に位置するように形成された場合を示している。図4Bの比較例の場合、第1上端部Xが、第2上端部Xよりも下方に位置しているので、凝縮水は、第1膨出部54Aの上端縁X-Xに伝わった後、凝縮水の多くの量が中間部側縁X-Zに伝わって方向Wに沿う流れに集中し、連結部側縁X-Zに伝わって方向Wに沿う流れの量が少なくなる。そして、方向Wに沿って流れる多くの凝縮水は、重力の影響により、その一部が方向W3に沿って中間部52を伝わり、第1膨出部54Aの下方にある第2切欠き部51bに挿入されている第2扁平管40b(不図示、図3参照)に滴下する。一方、本実施形態に係る第1膨出部54は、中間部52の側に凝縮水が集中して流れることなく、連結部53に沿って凝縮水を下方に円滑に排出することができる。
【0048】
ここで、本実施形態に係る第1膨出部54は、図5及び図6に示すように、第1扁平管40aの周囲に滞留した凝縮水を円滑に排出するために、上下方向における第1膨出部54の第1上端部Xと、第1切欠き部51aの下辺との間の距離d1が4mm以下の範囲に位置するように形成されることが好ましい。距離d1を4mm以下の範囲とする理由は、以下で説明する検証結果に基づいている。なお、図5は熱交換器23の側面図であり、図6は熱交換器23の正面図である。凝縮水は、扁平管40上とフィン50上のいずれか一方または両方に液滴として付着するが、各扁平管40、フィン50との接触角と表面張力の関係は、図7に示す関係において、以下のヤングの式によって表される。
γS=γL・cosθ+γSL …ヤングの式
ここで、θ:接触角
γS:固体の表面張力
γL:液体の表面張力
γSL:固体と液体の界面張力
【0049】
図13A、13Bは、異なる接触角θにおける第1扁平管40aの周囲に滞留した凝縮水(液滴)の大きさd2を比較するための図である。図13Aは、接触角θ=10°のときの各フィンピッチ(1.0mm、1.5mm、2.0mm)における液滴の大きさd2の測定結果の平均値を示している。図13Bは、接触角θ=60°のときの各フィンピッチ(1.0mm、1.5mm、2.0mm)における液滴の大きさd2の測定結果の平均値を示している。
【0050】
尚、試験条件としては図8に示す通り、隣り合う第1フィン50aと第2フィン50bとの間に滞留した凝縮水について、フィン50のフィンピッチPvを1.0mm、1.5mm、2.0mmの3種類に設定して、(1)フィン50の表面の親水加工が十分に機能している状態として接触角θが10度の場合と、(2)劣化、汚れによりフィン50の表面の親水加工が機能していない状態として接触角θが60度の場合について、その液滴の大きさd2を測定した。なお、接触角θは、液滴を形成する水に界面活性剤を混ぜることで調整した。すなわち、界面活性剤の分量を増やすことで、液滴の接触角θを小さくしている。なお、この試験において、アクリル材によって形成されたフィン50を用いる。アクリル材によって形成されたフィン50は、アルミニウム材によって形成された実際のフィンと比較して、フィンの表面における水の広がり易さが異なる。そのため、アクリル製のフィンについて、接触角θがアルミニウム製のフィンと同等となるように界面活性剤の分量を調整することで、実際のフィンと異なる材質であっても影響なく検証できる。
【0051】
図13Aに示すように、接触角θ=10°でフィンピッチPvが1.0mmの条件で液滴の大きさd2を測定した結果、大きさd2の平均値は3.0mmとなった。また、図13Aに示すように、接触角θ=10°でフィンピッチPvが1.5mmの条件で液滴の大きさd2を測定した結果、大きさd2の平均値は3.3mmとなった。また、図13Aに示すように、接触角θ=10°でフィンピッチPvが2.0mmの条件で液滴の大きさd2を測定した結果、大きさd2の平均値は3.1mmとなった。
【0052】
また、図13Bに示すように、接触角θ=60°でフィンピッチPvが1.0mmの条件で液滴の大きさd2を測定した結果、大きさd2の平均値は11.0mmとなった。また、図13Bに示すように、接触角θ=60°でフィンピッチPvが1.5mmの条件で液滴の大きさd2を測定した結果、大きさd2の平均値は11.2mmとなった。また、図13Bに示すように、接触角θ=60°でフィンピッチPvが2.0mmの条件で液滴の大きさd2を測定した結果、大きさd2の平均値は11.3mmとなった。
【0053】
したがって、上記の測定結果から、接触角θが小さい条件であるほど、液滴の大きさd2が小さくなるため、第1膨出部54の第1上端部Xと第1切欠き部51aの下辺との間の距離d1を小さく設定する必要がある。フィン50の表面には親水処理が施されていることが一般的だが、親水処理されたフィンの表面に滞留する液滴の接触角θは、20°、または、20°以下に設定される。フィン50の親水処理は、汚れや劣化によってその効果が薄れていくため、新品の状態である接触角θ=20°のときの液滴の大きさd2に対応できるように、第1膨出部54の第1上端部Xと第1切欠き部51aの下辺との間の距離d1を設定すれば良い。
【0054】
そこで、上記測定結果から接触角θに応じた液滴大きさd2の近似式をつくり、接触角θ=20°のときの液滴の大きさd2を求めた。その結果、距離d1が4mm以下の場合には、接触角θ=20°であっても、第1扁平管40aの下面(第1切欠き部51aの下辺)に付着した液滴の下端に、第1膨出部54の第1上端部Xが接触することが分かった。
【0055】
したがって、図8Bに示す、第1膨出部54の第1上端部Xと第1切欠き部51aの下辺との間の距離d1を4mm以下とすることで、凝縮水の液滴の大きさd2が小さい接触角20度の場合(フィン50の表面の親水加工が十分に機能している状態)においても、その最小の液滴の大きさd2を下回ることができ、液滴が第1膨出部54の第1上端部Xに到達することが可能となる。
【0056】
このようにして、凝縮水の水滴は、第1膨出部54の第1上端部Xに到達したとき、上端縁X-Xを表面張力の影響によって濡れ広がり、さらに、第1上端部Xと第2上端部Xを経て、中間部側縁X-Z及び連結部側縁X-Zに伝わっていく。中間部側縁X-Z及び連結部側縁X-Zでは、水滴が、表面張力の影響に加えて重力の影響を受けるので、第1膨出部54が設けられることにより、水滴の排出が容易となる。
【0057】
さらに、第1膨出部54は、図9に示すように、第1膨出部54の中間部52側に位置する第1下端部Zと第2切欠き部51bの連結部側端部Yとの間の水平方向距離(上下方向に直交する方向の距離)d3は、第1下端部Zと第2切欠き部51bの連結部53側に位置する連結部側端部Yとの間の重力方向距離(上下方向の距離)d4の1/5以上となるように形成されると好ましい。これは、第1フィン50aと第2フィン50bの間にできる水滴の大きさd2と局所風速の最大値(5m/s)を考慮したとき、水滴にかかる重力は通風方向の風力によって水滴に働く抗力(風から受ける通風方向の力)の5倍程度の力で作用することを反映したものである。局所風速は、流体解析によって予め定められたものである。ここで、本実施形態における第2切欠き部51bの連結部側端部Yは、連結部53側に膨らむ円弧状に形成されている。このため、連結部側端部Yの位置は、第2切欠き部51の上辺と下辺との間の中央である。
【0058】
具体的には、水滴にかかる重力Fと抗力Dは以下の式によって表される。
D=Cd*A*ρairv/2g
Cd ・・・抗力係数
A ・・・水滴の投影面積(A=πr/2)[m
r ・・・水滴の半径[m]
ρair ・・・空気の密度[kg/m
v ・・・風速[m/s]
g ・・・重力加速度
F=M*g
M ・・・水滴の重量(M=4πr/3)[g]
【0059】
なお、第1下端部Zにおいて、表面張力、重力及び静止摩擦係数等が釣り合った状態で滞留した水滴が、第1下端部Zから排出されるためには、水滴が大きく成長して重力が表面張力等の重力方向上方の力に勝る必要がある。したがって、水滴の半径がある程度大きくなった状態(例えば、0.6mm)における重力と抗力の関係に基づいて、第1下端部Zと連結部側端部Yの相対的な位置関係を設定すれば良い。上記の重力Fと抗力Dを比較すると、重力Fは抗力Dの6倍より大きくなる。水平方向距離d3は、重力方向距離d4の1/6倍未満となるように形成されることが好ましい。
【0060】
第1膨出部54の下端縁Z-Zの下方には、図10に示すように、第2膨出部55が更に設けられてもよい。第2膨出部55の上端縁V-Vは、第1膨出部54の下端縁Z-Zの下方に近接して配置される。また、第2膨出部55の下端縁U-Uは、第1膨出部54の上端縁X-Xと交わらない。第2膨出部55が設けられることにより、第1膨出部54から落下してくる水滴を風の影響によって飛散させることなく、第1膨出部54から第2膨出部55を経由して、更に下方の第1膨出部54へと誘導することができる。さらに、上下方向において、第2膨出部55は、第2膨出部55の上端縁V-Vが第1膨出部54の下端縁Z-Zから4mm以下の範囲に位置するように形成されるとよい。その理由は、前述した、第1膨出部54の第1上端部Xと第1切欠き部51aの下辺との間の距離d1を4mm以下とすることと同様である。
【0061】
第1膨出部54は、フィン50の中間部52と連結部53の境界をまたぐように配置されるので(図5参照)、フィン50の機械的強度が高められ、組立工程などにおいて、フィン50が屈曲することを抑制できる。また、第2膨出部55も、連結部53において上下方向における切欠き部51の位置をまたぐように配置されるので、連結部53における切欠き部51近傍の機械的強度が高められ、組立工程などにおいて、フィン50が屈曲することを抑制できる。
【0062】
また、第1膨出部54において、図11に示すように、下端縁Z-Zにおける連結部53側に位置する第2下端部Zと、第1下端部Zは、連結部53に位置する。また、第1膨出部54において、第1上端部Xを通って第1膨出部54の縁に沿う縁線において、第1上端部Xと第2下端部Zを結ぶ直線との垂直方向の距離dが最大となる点dmax(図11では第1下端部Z)は、連結部53に位置する。これにより、第1膨出部54によって更に円滑に排出することができる。
【0063】
図12は、比較例の第1膨出部54を示している。比較例の第1膨出部54において、図12に示すように、第1上端部Xを通り、第1膨出部54の縁に沿う縁線において、第1上端部Xと第2下端部Zを結ぶ直線との垂直方向の距離dが最大となる点Yは、中間部52に位置する。この比較例の場合、第1上端部Xから中間部側縁X-Zに沿って流れる凝縮水は、点Yの位置で表面張力によって停滞し、その後、中間部側下端Zに向かって流れる。この時、点Yの位置で滞留した凝縮水が重力や風の影響によって第2切欠き部51bに挿入されている第2扁平管40b(不図示)に滴下するおそれがある。
【0064】
<実施形態の効果>
扁平管40の周囲に滞留する凝縮水を減少させ、凝縮水の排出時間を短縮できる。具体的には、扁平管40の下方に第1膨出部54が設けられることで、扁平管40の上面から下面に回り込んだ凝縮水や、扁平管40の下面で発生した凝縮水に表面張力と重力の影響を作用させることで、円滑に排出することができる。また、フィン50の連結部53は、風上側に位置しているので、第1膨出部54から排出される凝縮水が扁平管40の領域に流れないようにすることで、円滑に排出することができる。また、第1膨出部54の下方に第2膨出部55が設けられることにより、風の影響を受けないで円滑に排出することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 空気調和機
2 室外機
3 室内機
4 液管
5 ガス管
10 冷媒回路
10a 室外機冷媒回路
10b 室内機冷媒回路
12 ヘッダ
21 圧縮機
22 四方弁
23 室外熱交換器
24 膨張弁
25 液側閉鎖弁
26 ガス側閉鎖弁
27 室外ファン
31 室内熱交換器
32 室内ファン
33 液管接続部
34 ガス管接続部
40 扁平管
50 フィン
51 切欠き部
52 中間部
53 連結部
54 第1膨出部
55 第2膨出部
61 吐出管
62 冷媒配管
63 室外機液管
64 室外機ガス管
66 吸入管
67 室内機液管
68 室内機ガス管
71 吐出圧力センサ
72 吸入圧力センサ
73 吐出温度センサ
74 吸入温度センサ
75 熱交温度センサ
76 外気温度センサ
77 液側温度センサ
78 ガス側温度センサ
79 室温センサ
200 室外機制御手段
210 CPU
220 記憶部
230 通信部
240 センサ入力部
300 室内機制御手段
310 CPU
320 記憶部
330 通信部
340 センサ入力部
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B