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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】移載システム、移載装置及び移載方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20230502BHJP
   B65G 1/04 20060101ALN20230502BHJP
【FI】
B65G1/00 543A
B65G1/04 521
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021542030
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(86)【国際出願番号】 JP2020023646
(87)【国際公開番号】W WO2021039040
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2019154520
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176245
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】上野山 泰斗
【審査官】山▲崎▼ 歩美
(56)【参考文献】
【文献】実開昭50-011278(JP,U)
【文献】国際公開第2012/060146(WO,A1)
【文献】実用新案登録第2592760(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133
B65G 1/14-1/20
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配列され且つ水平な一方向における一方の側から物品が移載される複数の棚を有し、前記複数の棚のそれぞれが、前記上下方向及び前記一方の側に開口する開口領域が形成され且つ前記物品が載置される載置部と、前記上下方向における前記載置部の位置に応じて設けられた取付部と、を含む収納装置と、
前記複数の棚のそれぞれを移載対象の棚とし、前記移載対象の棚に対して前記一方の側から前記物品を移載するために用いられる移載装置と、を備え、
前記移載装置は、
前記移載対象の棚の前記取付部に前記一方の側から取り付けられる本体部と、
作業者が把持して前記一方向に沿って力を作用させることが可能な把持部を含み、前記物品を支持可能であり、前記本体部が前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられた状態で前記一方向に沿って前記本体部と前記移載対象の棚との間で移動する移動部と、
前記本体部が前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられた状態で前記移載対象の棚の前記開口領域を通って前記移動部を昇降させる昇降部と
1対のアタッチメントと、
を有し、
前記1対のアタッチメントのそれぞれは、
前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられる接続部と、
前記接続部から前記一方の側に延在し、前記本体部を支持する延在部と、を含み、
前記本体部は、前記1対のアタッチメントを介して前記取付部に取り付けられる、
移載システム。
【請求項2】
前記接続部は、前記上下方向に沿って延在し、
前記1対のアタッチメントのそれぞれは、前記接続部と前記延在部との間に掛け渡された補強部を更に含む、請求項に記載の移載システム。
【請求項3】
前記昇降部は、エアジャッキである、請求項1又は2に記載の移載システム。
【請求項4】
前記移載装置は、前記一方向に沿って前記移動部を案内するガイドを更に有し、
前記ガイドは、前記本体部が前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられた状態で前記本体部から前記移載対象の棚の前記開口領域の直下に延在するように、構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の移載システム。
【請求項5】
前記ガイドは、リニアガイドである、請求項に記載の移載システム。
【請求項6】
前記物品は、半導体ウエハを格納した容器である、請求項1~のいずれか一項に記載の移載システム。
【請求項7】
上下方向に配列され且つ水平な一方向における一方の側から物品が移載される複数の棚を有し、前記複数の棚のそれぞれが、前記上下方向及び前記一方の側に開口する開口領域が形成され且つ前記物品が載置される載置部と、前記上下方向における前記載置部の位置に応じて設けられた取付部と、を含む収納装置において、前記複数の棚のそれぞれを移載対象の棚とし、前記移載対象の棚に対して前記一方の側から前記物品を移載するために用いられる移載装置であって、
前記移載対象の棚の前記取付部に前記一方の側から取り付けられる本体部と、
作業者が把持して前記一方向に沿って力を作用させることが可能な把持部を含み、前記物品を支持可能であり、前記本体部が前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられた状態で前記一方向に沿って前記本体部と前記移載対象の棚との間で移動する移動部と、
前記本体部が前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられた状態で前記移載対象の棚の前記開口領域を通って前記移動部を昇降させる昇降部と、
1対のアタッチメントと、
を備え、
前記1対のアタッチメントのそれぞれは、
前記移載対象の棚の前記取付部に取り付けられる接続部と、
前記接続部から前記一方の側に延在し、前記本体部を支持する延在部と、を含み、
前記本体部は、前記1対のアタッチメントを介して前記取付部に取り付けられる、
移載装置。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の移載システムにおいて実施される移載方法であって、
作業者が前記移載装置を準備する第1ステップと、
前記第1ステップの後に、作業者が前記移載対象の棚の前記取付部に前記1対のアタッチメントを介して前記一方の側から前記本体部を取り付ける第2ステップと、
前記第2ステップの後に、前記移動部を下降させた状態で、作業者が前記把持部を把持して前記一方向に沿って力を作用させることで前記一方向に沿って前記移載対象の棚の前記開口領域の直下に前記移動部を移動させる第3ステップと、
前記第3ステップの後に、作業者が前記昇降部を用いることで、前記移載対象の棚の前記開口領域を通って前記移動部を上昇させ、前記移動部に前記物品を支持させる第4ステップと、
前記第4ステップの後に、前記移動部を上昇させた状態で、作業者が前記把持部を把持して前記一方向に沿って力を作用させることで前記一方向に沿って前記本体部に前記移動部を移動させる第5ステップと、を含む、
移載方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移載システム、移載装置及び移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の棚を有する収納装置と、複数の棚のそれぞれに対して物品を移載する移載装置と、移載装置の動作を制御する制御装置と、を備える収納システムが知られている。このような収納システムにおいては、制御装置の故障等に起因して自動で物品を移載することができなくなった場合に、作業者が手動で物品を移載する必要性が生じ得る。
【0003】
作業者が手動で物品を移載する必要性が生じた場合には、例えば、特許文献1に記載のフォークリフトトラックのような装置を利用することが考えられる。特許文献1に記載のフォークリフトトラックは、フォークが挿入されたベースパレット上の台車を用いて物品を移載するための装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-106007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のフォークリフトトラックのような装置を利用する場合には、棚に対するベースパレットの位置決めを精度良く行う必要があるため、特にリフトを昇降させる操作において作業者に高い技量が要求される。
【0006】
そこで、本開示は、棚の高さによらず作業者が物品を容易に移載することができる移載システム、移載装置及び移載方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の移載システムは、上下方向に配列され且つ水平な一方向における一方の側から物品が移載される複数の棚を有し、複数の棚のそれぞれが、上下方向及び一方の側に開口する開口領域が形成され且つ物品が載置される載置部と、上下方向における載置部の位置に応じて設けられた取付部と、を含む収納装置と、複数の棚のそれぞれを移載対象の棚とし、移載対象の棚に対して一方の側から物品を移載するために用いられる移載装置と、を備え、移載装置は、移載対象の棚の取付部に一方の側から取り付けられる本体部と、物品を支持可能であり、本体部が移載対象の棚の取付部に取り付けられた状態で一方向に沿って本体部と移載対象の棚との間で移動する移動部と、本体部が移載対象の棚の取付部に取り付けられた状態で移載対象の棚の開口領域を通って移動部を昇降させる昇降部と、を有する。
【0008】
この移載システムでは、収納装置において、複数の棚のそれぞれが、上下方向における載置部の位置に応じて設けられた取付部を含んでおり、移載装置において、移動部が、本体部が移載対象の棚の取付部に取り付けられた状態で移載対象の棚に対して移動可能となるように、構成されている。これにより、作業者が移載対象の棚の取付部に移載装置の本体部を取り付けるだけで、移載対象の棚に対する物品の移載が可能な状態となる。よって、この移載システムによれば、棚の高さによらず作業者が物品を容易に移載することができる。
【0009】
本開示の一側面の移載システムでは、移載装置は、1対のアタッチメントを更に有し、1対のアタッチメントのそれぞれは、移載対象の棚の取付部に取り付けられる接続部と、接続部から一方の側に延在し、本体部を支持する延在部と、を含み、本体部は、1対のアタッチメントを介して取付部に取り付けられてもよい。これによれば、移載装置の本体部が、2個の接続部から一方の側に延在する2個の延在部によって支持されるため、安定した状態で物品を移載することができる。
【0010】
本開示の一側面の移載システムでは、接続部は、上下方向に沿って延在し、1対のアタッチメントのそれぞれは、接続部と延在部との間に掛け渡された補強部を更に含んでいてもよい。これによれば、1対のアタッチメントの耐荷重が増大するため、例えば重い物品であっても、安定した状態で物品を移載することができる。
【0011】
本開示の一側面の移載システムでは、昇降部は、エアジャッキであってもよい。これによれば、移載装置を軽量化することができるため、収納装置の取付部に移載装置をより容易に取り付けることができる。
【0012】
本開示の一側面の移載システムでは、移載装置は、一方向に沿って移動部を案内するガイドを更に有し、ガイドは、本体部が移載対象の棚の取付部に取り付けられた状態で本体部から移載対象の棚の開口領域の直下に延在するように構成されていてもよい。これによれば、一方向に沿って延在するガイドに移動部が案内されるため、より一層安定した状態で物品を移載することができる。また、作業者が移載対象の棚の取付部に移載装置の本体部を取り付けるだけで、移載対象の棚の開口領域の直下にガイドが延在した状態となるため、作業者に余計な作業負担を生じさせるのを抑制することができる。
【0013】
本開示の一側面の移載システムでは、ガイドは、リニアガイドであってもよい。これによれば、簡易な構成で、より一層安定した状態で物品を移載することができる。
【0014】
本開示の一側面の移載システムでは、物品は、半導体ウエハを格納した容器であってもよい。これによれば、精密機器である半導体ウエハを格納した容器を容易に移載することができる。
【0015】
本開示の一側面の移載装置は、上下方向に配列され且つ水平な一方向における一方の側から物品が移載される複数の棚を有し、複数の棚のそれぞれが、上下方向及び一方の側に開口する開口領域が形成され且つ物品が載置される載置部と、上下方向における載置部の位置に応じて設けられた取付部と、を含む収納装置において、複数の棚のそれぞれを移載対象の棚とし、移載対象の棚に対して一方の側から物品を移載するために用いられる移載装置であって、移載対象の棚の取付部に一方の側から取り付けられる本体部と、物品を支持可能であり、本体部が移載対象の棚の取付部に取り付けられた状態で一方向に沿って本体部と移載対象の棚との間で移動する移動部と、本体部が移載対象の棚の取付部に取り付けられた状態で移載対象の棚の開口領域を通って移動部を昇降させる昇降部と、を備える。
【0016】
この移載装置によれば、上述した理由により、棚の高さによらず作業者が物品を容易に移載することができる。
【0017】
本開示の一側面の移載方法は、上記移載システムにおいて実施される移載方法であって、移載装置を準備する第1ステップと、第1ステップの後に、移載対象の棚の取付部に一方の側から本体部を取り付ける第2ステップと、第2ステップの後に、移動部を下降させた状態で、一方向に沿って移載対象の棚の開口領域の直下に移動部を移動させる第3ステップと、第3ステップの後に、昇降部を用いることで、移載対象の棚の開口領域を通って移動部を上昇させ、移動部に物品を支持させる第4ステップと、第4ステップの後に、移動部を上昇させた状態で、一方向に沿って本体部に移動部を移動させる第5ステップと、を含む。
【0018】
この移載方法によれば、上述した理由により、棚の高さによらず作業者が物品を容易に安定して移載することができる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、棚の高さによらず作業者が物品を容易に移載することができる移載システム、移載装置及び移載方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態の移載装置が用いられる収納装置を含む収納システムの側面図である。
図2図2は、一実施形態の移載装置が移載する容器の斜視図である。
図3図3は、一実施形態の移載システムの側面図である。
図4図4は、図3に示される移載システムの平面図である。
図5図5は、一実施形態の移載装置の斜視図である。
図6図6は、図5に示される移載装置の昇降部の断面図である。
図7図7は、図5に示される移載装置のVII-VII線に沿った断面図である。
図8図8は、図5に示される移載装置の底面図である。
図9図9は、図5に示される移載装置のアタッチメントの側面図である。
図10図10は、図9に示されるアタッチメントの平面図である。
図11図11は、一実施形態の移載方法のフローチャートである。
図12図12は、図11に示される移載方法が実施されている移載システムの側面図である。
図13図13は、図11に示される移載方法が実施されている移載システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[収納システムの構成]
【0022】
一実施形態の移載装置が用いられる収納装置を含む収納システムについて説明する。図1に示されるように、収納システム100は、1対の収納装置10と、クレーン3と、リングオープナ4と、搬送機5と、ポート6と、システム制御部7と、を備えている。以下の説明では、3次元空間の直交座標系における各軸方向をX方向、Y方向及びZ方向という。そのうち、Y方向は水平な一方向であり、Z方向は上下方向(鉛直方向)である。
【0023】
1対の収納装置10は、Y方向において間隔をあけて対向するように配置されている。Y方向における一方の側に配置された収納装置10は、リングオープナ4の上方に設けられている。各収納装置10は、容器(物品)9を収納する複数の棚11を有している。各収納装置10において、複数の棚11は、X方向及びZ方向に配列されている。各棚11には、Y方向におけるクレーン3側(一方の側)から容器9が移載される。以下の説明では、各棚11を基準とした場合に、クレーン3側を前側といい、その反対側を後側という。
【0024】
図2に示されるように、容器9は、半導体ウエハを格納する容器である。容器9は、リング9a、底部9b及び上蓋部9cを有している。容器9は、ウエハを保持する保持部が設けられたリング9aを複数有している。各リング9aは、ウエハを載せるトレーを構成する。各リング9aは、半導体ウエハを内部に保持し、半導体ウエハの外周を保護する。各リング9aは、例えば、Z方向から見て円形の開口が形成された矩形板枠の部材である。複数のリング9aは、その側面を機密にするべく、Z方向において交互に積み重ねられている。底部9bは、その上面に積み重ねられた複数のリング9aが載置されている。上蓋部9cは、積み重ねられた複数のリング9aの上方に配置されている。底部9b及び上蓋部9cは、例えば板状の部材である。積み重ねられた複数のリング9aは、上蓋部9cの重さを利用して下方の底部9bへ押さえ付けられている。容器9は、積層されたリング9aをそれぞれ分離可能である。底部9bは、容器9の内部と容器9の外部とを連通する開口を有する。容器9の内部には、底部9bに形成された開口を通じてパージガスが封入される。
【0025】
図1に示されるように、クレーン3は、容器9を搬送する搬送装置である。クレーン3は、複数の棚11とリングオープナ4との間で容器9を移載する。クレーン3は、1対の収納装置10の間の領域に配置されている。クレーン3は、走行部3a、支持柱3b及び荷台3cを有する。走行部3aは、モータ等の走行駆動部によって軌道(図示省略)に沿って走行する。当該軌道は、X方向に沿って延在している。支持柱3bは、走行部3aから上側にZ方向に沿って延在している。荷台3cは、モータ等の昇降駆動部によって支持柱3bに沿って昇降する。荷台3cは、容器9を載置する荷台、容器9の向きを調整する旋回部、及び、容器9を複数の棚11のそれぞれに移載する移載部を含んでいる。
【0026】
リングオープナ4は、クレーン3に対してY方向における一方の側に配置されている。リングオープナ4は、クレーン3によって各棚11から搬送された容器9に対して半導体ウエハを移載できるように複数のリング9aの一部の間をZ方向において開閉する装置である。所定の1又は複数のリング9aに対して半導体ウエハが移載される場合、リングオープナ4は、積層された複数のリング9aのうちの所定の1箇所又は複数箇所を開く。所定の1又は複数のリング9aに対して半導体ウエハが移載された後にクレーン3によって棚11に対して容器9が移載される場合、リングオープナ4は、複数のリング9aのうち、開いた箇所を閉じる。
【0027】
ポート6は、リングオープナ4に対してY方向における一方の側に配置されている。すなわち、ポート6は、Y方向において、リングオープナ4から見て収納装置10とは反対側に配置されている。ポート6は、搬送車(図示省略)と収納システム100との間でFOUP(Front Opening Unified Pod)8を受け渡す部分である。搬送車は、例えば、半導体工場の天井に設けられた軌道に沿って走行する天井走行式無人搬送車である。
【0028】
FOUP8は、搬送車によってポート6上に載置される。FOUP8は、開口部を有する箱状の筐体、及び、開口部を覆う蓋を有している。蓋は、筐体に対し取り外し可能に設けられている。FOUP8には、例えば、複数の半導体ウエハ等が収容される。FOUP8は、搬送車に保持されるフランジを有している。
【0029】
搬送機5は、Y方向においてリングオープナ4とポート6との間に配置されている。FOUP8は、搬送機5と隣接するようにポート6上に載置されている。搬送機5は、EFEM(Equipment Front End Module)である。搬送機5は、FOUP8の内部又は容器9の内部に挿入可能、かつ、半導体ウエハを移載可能なアームを有している。搬送機5は、FOUP8に設けられた開口部の蓋を取り外す機能を有している。搬送機5は、アームにより容器9のリング9aとFOUP8の内部との間で半導体ウエハを移載する機能を有している。具体的には、搬送機5は、容器9のリング9aの内部から半導体ウエハを取り出し、FOUP8の内部に当該半導体ウエハを格納する。このとき、搬送機5は、容器9において、開かれた複数のリング9aの間にアームを差し込むことにより、容器9から半導体ウエハを取り出す。あるいは、搬送機5は、ポート6上のFOUP8の内部に格納された半導体ウエハを取り出し、容器9のリング9aの内部に当該半導体ウエハを格納する。このとき、搬送機5は、FOUP8の開口部を通ってFOUP8の内部にアームを差し込むことにより、FOUP8から半導体ウエハを取り出す。
【0030】
システム制御部7は、収納システム100の各動作を制御する。システム制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。システム制御部7は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。システム制御部7は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。システム制御部7は、1つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。複数の装置で構成されている場合には、これらがインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に1つのシステム制御部7が構築されている。システム制御部7は、クレーン3、リングオープナ4及び搬送機5と無線又は有線で接続されており、クレーン3、リングオープナ4及び搬送機5の動作を制御する。
【0031】
ここで、収納システム100が、収納装置10に収納された容器9の内部から半導体ウエハをFOUP8に移載する動作を説明する。搬送車によりFOUP8がポート6上に載置された場合に、システム制御部7は各種制御を開始する。クレーン3は、収納装置10の各棚11から容器9を搬出し、リングオープナ4まで移動させる。リングオープナ4は、積層された複数のリング9aの所定の箇所をZ方向において開き、リング9aから半導体ウエハを取り出し可能にする。搬送機5は、FOUP8の蓋を取り外す。搬送機5は、容器9のリング9aから半導体ウエハを取り出し、FOUP8の内部に格納する。FOUP8が所定の枚数の半導体ウエハを格納した場合、搬送機5は、連通するFOUP8の開口部を蓋により閉塞する。ここでの所定の枚数は、1枚又はFOUP8に収納可能な上限の枚数であり、例えば25枚である。以上により収納システム100による容器9からFOUP8に移載する処理が完了する。
【0032】
収納システム100によりFOUP8から容器9の内部に半導体ウエハを移載する処理は、上記の処理において搬送機5による搬出及び搬入の対象を変更することで実施される。すなわち、上記の処理のうち、搬送機5は、FOUP8の内部から半導体ウエハを取り出し、容器9のリング9aに当該半導体ウエハを格納させる。容器9が所定の枚数の半導体ウエハを格納した場合、リングオープナ4は、容器9における複数のリング9aの一部の間をZ方向において閉じ、クレーン3は、各棚11に対して容器9を移載する。ここでの所定の枚数は、1枚又は容器9に収納可能な上限の枚数であり、例えば25枚である。以上により収納システム100によるFOUP8から容器9に移載する処理が完了する。これらにより、収納システム100は、容器9及びFOUP8からの半導体ウエハの移載を自動で実行することが可能となる。
[移載システム及び移載装置の構成]
【0033】
図3及び図4に示されるように、本実施形態では、収納装置10及び移載装置20によって移載システム1が構成されている。移載システム1及び移載装置20は、例えば収納システム100のシステム制御部7の故障等に起因して自動で容器9を移載することができなくなり、作業者が収納装置10に対して容器9を移載する場合に利用することができる。収納装置10において、容器9が移載される複数の棚11のそれぞれは、移載対象の棚11である。移載システム1において、作業者は、クレーン3が設けられている1対の収納装置10の間に入り、移載対象の棚11に移載装置20を取り付ける。移載装置20は、移載対象の棚11に対して前側(水平な一方向における一方の側)から容器9を移載するために用いられる。
【0034】
収納装置10は、更に複数の側壁部12及び奥壁部13を有している。側壁部12は、Y方向及びZ方向に延在する板状の部材である。複数の側壁部12は、X方向において間隔をあけてそれぞれ対向するように配置されている。複数の側壁部12は、複数の棚11と接続している。移載対象の棚11は、1対の側壁部12によりX方向において仕切られている。奥壁部13は、複数の側壁部12の後側の端部と接続している。奥壁部13は、X方向及びZ方向に延在する板状の部材である。収納装置10には、Z方向において連続して並んだ2つの棚11の間、且つ、X方向において連続して並んだ2つの側壁部12の間、且つ、前側において、X方向及びZ方向に広がる移載用開口が形成されている。移載用開口は、容器9が移載可能な幅(X方向における長さ)及び高さ(Z方向における長さ)を有している。容器9は、移載対象の棚11に移載される場合、前側から移載用開口を通って2つの側壁部12及び奥壁部13に囲まれた空間に移載される。なお、以下、移載対象の棚11に着目した場合に、X方向において、1対の側壁部12の内側を単に内側といい、1対の側壁部12の外側を単に外側という場合がある。
【0035】
移載対象の棚11は、載置部14及び取付部15を含んでいる。載置部14には、容器9が載置される。また、載置部14には、前側(一方の側の一例)及びZ方向に開口する開口領域14aが形成されている。載置部14は、1対の載置台16、ガス封入台17、ガス管18及び空間19を有している。1対の載置台16は、側壁部12の内側にそれぞれ設けられている。1対の載置台16のそれぞれは、X方向及びY方向に延在する板状の部材であり、X方向における容器9の両端を支持する部材である。1対の載置台16は、移載対象の棚11を挟んだ2つの側壁部12の内側の面にそれぞれ接続され、支持されている。X方向において、1対の載置台16の間は開口している。容器9が移載対象の棚11に搬入された場合に、1対の載置台16は、容器9の底部9bと接することで容器9を支持する。
【0036】
開口領域14aは、移載対象の棚11においてZ方向及び前側に開口している。開口領域14aは、1対の載置台16の間の空間である。開口領域14aは、奥壁部13の前側において、上方及び下方の空間を連通している。開口領域14aにより、少なくとも1対の載置台16の前側は、連結されていない。開口領域14aは、後述の移載装置20の移動部40が昇降可能な幅(X方向における長さ)及び奥行き(Y方向における長さ)を有している。開口領域14aは、例えば、1対の載置台16の厚さ(Z方向における長さ)と同一の厚さを有している。
【0037】
ガス封入台17及びガス管18は、ガスボンベ(図示省略)に連通し、パージガスを通気する。ガス封入台17は、1対の載置台16のうち、いずれか一方の載置台16上に設けられている。ガス管18は、ガス封入台17とガスボンベとを連通する管路である。移載対象の棚11の載置部14上に容器9が載置されるとき、容器9は、底部9bに形成された開口とガス封入台17とが係合するように載置される。パージガスが、底部9bに形成された開口、ガス封入台17及びガス管18を介して容器9の内部に封入されることにより、容器9は、パージ処理される。
【0038】
移載対象の棚11の開口領域14aの直下には、空間19が形成されている。移載対象の棚11の開口領域14aの直下とは、当該移載対象の棚11の開口領域14aと、当該移載対象の棚11の1段下の棚11に収納される容器9の上蓋部9cとの間の領域(移載対象の棚11が最下段である場合には、当該領域に対応する領域)である。空間19は、少なくとも後述の移載装置20のガイド60が挿入可能な高さ(Z方向における長さ)を有している。
【0039】
取付部15は、移載対象の棚11において、Z方向における載置部14の位置に応じて設けられている。移載装置20は、取付部15に接続することで移載対象の棚11に取り付けられる。取付部15は、側壁部12の前側の端部に設けられている。取付部15は、後述の移載装置20におけるアタッチメント70のアタッチメント固定具83が内側に向かって嵌入可能な複数の小穴を有している。
【0040】
移載装置20は、本体部30と、移動部40と、昇降部50と、ガイド60と、1対のアタッチメント70とを有している。
【0041】
本体部30は、取付部15に前側(一方の側)から取り付けられる。図5に示すように、本体部30は、1対の支持部31、枠体32、1対の係合凹部33及び1対の係合ストッパ34を含んでいる。1対の支持部31は、容器9を支持可能である。1対の支持部31は、X方向において容器9の両端を支持する。1対の支持部31のそれぞれは、Y方向に延在する長尺状の部材である。1対の支持部31は、それぞれの上面31aにおいて容器9を水平に支持可能である。
【0042】
枠体32は、1対の支持部31を支持している。枠体32は、1対の支持部31を支持しY方向に延在する1対の支持部材32a、及び、1対の支持部材32aを支持しX方向に延在する1対の支持部材32bから構成されている。1対の支持部材32a及び1対の支持部材32bにより構成される枠体32は、Z方向から見て矩形枠状を呈する。枠体32における1対の支持部材32a及び1対の支持部材32bは、それぞれの延在方向に対する横断面が矩形状の長尺状の部材である。1対の支持部材32aのそれぞれの上面は、1対の支持部31のそれぞれの底面と接続されている。1対の支持部材32bのそれぞれの上面のX方向における端部は、1対の支持部材32aのそれぞれの底面のY方向における端部と接続されている。
【0043】
1対の係合凹部33のそれぞれは、1対の支持部材32aのそれぞれの外側の面に設けられている。1対の係合凹部33のそれぞれは、Y方向に延在する凹部を有している。1対の係合凹部33のそれぞれは、後述する1対のアタッチメント70の本体固定具93が内側に向かって嵌入可能な小穴を有している。
【0044】
1対の係合ストッパ34のそれぞれは、Y方向において、1対の係合凹部33のそれぞれの前側の端部に接触又は近接するように1対の支持部材32aのそれぞれの外側の面に設けられている。1対の係合ストッパ34のそれぞれは、1対の係合凹部33のそれぞれの延在方向(Y方向)に対する横断面の一部又は全部を覆うように突出して設けられている。
【0045】
移動部40は、容器9を支持可能であり、本体部30が移載対象の棚11の取付部15に取り付けられた状態でY方向(一方向)に沿って本体部30と移載対象の棚11との間で移動する。移動部40は、取付部15に対して前側又は後側に移動可能となるように構成されている。移動部40は、移動板41、把持部42、滑り止め部43及び突起部44を含んでいる。
【0046】
移動板41は、容器9を支持可能である。移動板41は、板状を呈する。移動板41のY方向における長さは、容器9のY方向における長さより長い長さ又は同一の長さである。移動板41は、Y方向(一方向)に沿って本体部30と移載対象の棚11との間で移動する。把持部42は、移動板41に設けられている。把持部42は、作業者が移動板41を移動する場合に把持される。作業者は、把持部42を把持し、前側又は後側に力を作用させることで移動板41を前側又は後側に移動させる。把持部42は、移動板41上の前側の端部に設けられている。把持部42は、例えば樹脂で構成されている。
【0047】
滑り止め部43は、移動板41上に設けられ、容器9が移動板41から滑落することを抑制する。滑り止め部43は、移動板41上の後側の端部に設けられている。滑り止め部43は、例えば樹脂で構成されている。容器9が移動板41上に載置される場合、容器9は、把持部42と滑り止め部43との間に載置される。突起部44は、移動板41上に設けられ、容器9を移動板41上で位置決めする。突起部44は、移動板41の水平面から突出している。容器9の底部9bに設けられている凹みと突起部44とが係合することにより、容器9の水平方向への移動を抑制する。突起部44は、移動板41の下方に設けられたねじと接続し、そのねじによりZ方向における突起部44の上端の位置を調整可能である。
【0048】
昇降部50は、移動部40を昇降させる。昇降部50は、エアジャッキである。図5及び図6に示すように、昇降部50は、複数のバルーン部51、1対の外殻52、複数のエアチューブ53、複数の連結具54、逆止弁55及び手動ポンプ56を含んでいる。各バルーン部51は、その内部に気体が供給されることにより少なくともZ方向に膨張し、その内部から気体が排出されることにより少なくともZ方向に収縮する。各バルーン部51は、例えば筒状のシリコンゴムで構成されている。各バルーン部51の一端は、各エアチューブ53と接続されている。エアチューブ53を除く各バルーン部51の内部の両端部は、例えば、液状シリコンで閉塞されている。各バルーン部51は、移動板41の下方においてY方向に延在するように配置されている。各バルーン部51は、移動板41を水平に支持するため、Y方向において移動板41の中心と各バルーン部51の中心とが一致するように配置されている。複数のバルーン部51は、移動板41の外側の両端辺において、それぞれY方向に沿って移動板41の下方に設けられている。移動板41のY方向に沿った1つの端辺につき、複数のバルーン部51がZ方向において積層されている。
【0049】
1対の外殻52は、各バルーン部51における物理的な接触から保護する。1対の外殻52のそれぞれは、移動板41のY方向に沿った1つの端辺に設けられた複数のバルーン部51の外周において、Y方向に沿って設けられている。各外殻52は、上下に分離する上下1組の部材である。各外殻52は、枠体32の各支持部材32bの上面及び移動板41の下面に接続している。各バルーン部51が収縮している場合、上下1組の外殻52のそれぞれが接触し、Y方向に沿って延在した筒状を呈する。各バルーン部51が膨張する場合、上下1組の外殻52のうち、上方の部材が上昇することで下方の部材と分離する。各外殻52は、例えば金属で構成されている。
【0050】
各エアチューブ53は、各連結具54を介して各バルーン部51と手動ポンプ56とを連通する管路である。各エアチューブ53は、各バルーン部51の前側の端部から前側に延在している。各エアチューブ53は、各バルーン部51と手動ポンプ56との間において気体を流通させることができる。各エアチューブ53は、例えば、シリコンゴムで構成されている。各連結具54は、各バルーン部51から延在する各エアチューブ53を、各バルーン部51と逆止弁55との間で連結している。各連結具54は、各バルーン部51から逆止弁55に至るまでに1本のエアチューブ53で構成されるように、各エアチューブ53を連結している。各連結具54は、例えば金属で構成されている。
【0051】
逆止弁55は、各バルーン部51と手動ポンプ56との間に設けられている。逆止弁55の開放又は閉塞に関わらず、手動ポンプ56から各バルーン部51への気体の流通は抑制されない。逆止弁55が弁を開放する場合、各バルーン部51から手動ポンプ56へ気体が流通する。逆止弁55が弁を閉塞する場合、各バルーン部51から手動ポンプ56へ気体は流通しない。手動ポンプ56は、作業者が力を作用させることで、各エアチューブ53を通じて各バルーン部51に気体を流通させることができる。手動ポンプ56は、例えばエアポンプである。
【0052】
図7に示すように、昇降部50は移動部40を昇降させる。図7の(a)は、移動部40が下降した状態を示す。このとき、手動ポンプ56から各エアチューブ53を通じて各バルーン部51の内部に気体が供給されておらず、各バルーン部51は、収縮した状態である。移動部40の移動板41は、各支持部31の上面31aより下方又は各支持部31の上面31aと同一の高さに位置する。移動板41が各支持部31の上面31aより下方に位置する状態で移載装置20上に容器9が載置される場合、容器9は、各支持部31の上面31aのみに支持される。移動板41が各支持部31の上面31aと同一の高さに位置する状態で移載装置20上に容器9が載置される場合、容器9は、各支持部31の上面31a及び移動板41により支持される。
【0053】
図7の(b)は、移動部40が上昇した状態を示す。このとき、手動ポンプ56から各エアチューブ53を通じて各バルーン部51の内部に気体が供給されることで、各バルーン部51は、膨張した状態となる。各バルーン部51は、膨張することにより少なくともZ方向に向かって高さを増大させる。これにより、移動部40の移動板41は、各支持部31の上面31aより上方に位置する。移動板41が各支持部31の上面31aより上方に位置する状態で移載装置20上に容器9が載置される場合、容器9は、移動板41のみに支持される。
【0054】
図3及び図8に示すように、ガイド60は、Y方向(一方向)に沿って移動部40を案内する。図8の(a)は、移動部40が前側に配置されている状態を示す。図8の(b)は、移動部40が後側に移動した状態を示す。ガイド60は、リニアガイドである。ガイド60は、リニアガイド61、搬入ストッパ62及び搬出ストッパ63を含んでいる。
【0055】
リニアガイド61は、本体部30が移載対象の棚11の取付部15に取り付けられた状態で本体部30から移載対象の棚11の開口領域14aの直下に延在している。本体部30が取付部15に取り付けられた場合、リニアガイド61は、移載対象の棚11の開口領域14aの直下の空間19に挿入される。リニアガイド61は、上面視において矩形枠状を呈する。リニアガイド61は、Y方向に延在する部分により移動板41を前側又は後側に移動させる。リニアガイド61の後側の端部61aは、本体部30が移載対象の棚11に取り付けられる場合、収納装置10の奥壁部13に近接する位置に配置される。リニアガイド61の前側の端部61bは、枠体32の中心から見て前側に位置する支持部材32bまで延在している。
【0056】
搬入ストッパ62及び搬出ストッパ63は、リニアガイド61に設けられ、X方向に突出している。搬入ストッパ62及び搬出ストッパ63は、リニアガイド61の内側に設けられ、内側に突出している。搬入ストッパ62は、リニアガイド61の中心から見て後側に設けられ、移動板41の後側への移動を規制している。搬出ストッパ63は、リニアガイド61の中心から見て前側に設けられ、移動板41の前側への移動を規制している。
【0057】
ここで、図8に示すように、移動部40は、スライダ45及び当接部46を含んでいる。スライダ45は、移動板41の下面に設けられている。移動板41は、スライダ45に対してZ方向に移動可能に接続している。スライダ45は、例えばリニアスライダである。スライダ45は、X方向においてガイド60のリニアガイド61を外側から内側へ挟み込むようにリニアガイド61のY方向に延在する部材の外側に配置されている。スライダ45は、リニアガイド61に沿って移動板41と共に本体部30と移載対象の棚11の開口領域14aとの間を移動する。
【0058】
当接部46は、移動板41の下面に設けられている。当接部46は、例えば略直方体状の部材である。当接部46は、搬入ストッパ62及び搬出ストッパ63に当接することで移動部40の移動を規制している。移動板41が後側に移動する場合、移動板41が移載対象の棚11の開口領域14aに到達した後、且つ、移動板41の後側の端部が奥壁部13に到達する前に、当接部46が搬入ストッパ62と当接するように当接部46及び搬入ストッパ62はそれぞれ設けられている。当接部46及び搬入ストッパ62は、容器9を移載対象の棚11から搬出する場合において、突起部44が1対の載置台16上の容器9の底部9bに設けられた凹みの直下に位置するときの移動板41の位置から移動板41の移動を規制するように設けられている。移動板41が前側に移動する場合、移動板41が移載対象の棚11の開口領域14aより前側に移動した後に、当接部46が搬出ストッパ63と当接するように当接部46及び搬出ストッパ63はそれぞれ設けられている。
【0059】
図9及び図10に示すように、1対のアタッチメント70のそれぞれは、接続部80及び延在部90を含んでいる。1対のアタッチメント70のそれぞれは、補強部99を含んでいる。1対のアタッチメント70は、移載対象の棚11の取付部15に着脱自在に設けられる。1対のアタッチメント70は、X方向において本体部30を外側から挟み込むようにして本体部30と着脱自在に接続する。
【0060】
接続部80は、収納装置10の取付部15に取り付けられる。接続部80は、接続板81、壁当て部82、複数のアタッチメント固定具83、及び複数の取付フック84を含んでいる。接続板81は、Z方向に沿って延在している板状の部材である。接続板81は、X方向において、取付部15に対して内側に設けられている。接続板81は、X方向において内側に向かって複数のアタッチメント固定具83がそれぞれ嵌入可能な複数の小穴を有している。壁当て部82は、接続板81の外側の面に設けられている。本体部30が移載対象の棚11の取付部15に取り付けられる場合、壁当て部82の後側の面は、側壁部12の前側の面と接触する。壁当て部82は、略直方体状の部材である。
【0061】
各アタッチメント固定具83は、取付部15と接続板81とを連結している。各アタッチメント固定具83は、例えばねじ、ピン等である。各アタッチメント固定具83は、取付部15及び接続板81のそれぞれの小穴に嵌入し、外側から内側に延在することにより、各アタッチメント70のY方向及びZ方向への移動を規制する。
【0062】
各取付フック84は、接続板81に回動可能に設けられる鉤状の部材である。各取付フック84がその回動軸を中心に回動することにより、各取付フック84の鉤の部分と各アタッチメント固定具83とが係合する。これにより、各アタッチメント固定具83が取付部15及び接続板81のそれぞれの小穴から脱離しにくくなる。各取付フック84は、その鉤部を各アタッチメント固定具83から離間させる方向に回動させることで、各取付フック84の鉤の部分と各アタッチメント固定具83との係合を解除することができる。取付フック84は、アタッチメント固定具83の個数と同一の個数又はそれ以上の個数だけ設けられている。
【0063】
延在部90は、接続部80から前側(一方の側)に延在し、本体部30を支持する。延在部90は、延在板91、係合凸部92、本体固定具93、固定具支持台94、及び高さ調整ユニット95を含む。延在板91は、Y方向に沿って延在している板状の部材である。延在板91は、その後側の端部において接続板81と接続している。延在板91は、X方向において内側に向かって本体固定具93が嵌入可能な小穴を有している。
【0064】
係合凸部92は、本体部30の係合凹部33と係合することで、本体部30を移載対象の棚11に対してX方向について固定する。係合凸部92は、Z方向に移動可能に設けられる。係合凸部92は、Y方向に延在し、X方向において延在板91の内側に設けられ、内側に向かって突出している凸部である。係合凸部92は、係合凸部92の前側の端部に対して本体部30の係合凹部33における後側の端部より係合し、係合凹部33が係合凸部92に対して後側に移動するように挿入されることで、本体部30と各アタッチメント70とが係合する。これにより、係合凸部92は、本体部30を水平に支持する。係合凸部92は、係合ストッパ34により、係合凹部33から前側への突出が規制される。係合凸部92のY方向における長さは、係合凹部33の長さより短い長さ、又は同一の長さである。係合凸部92は、X方向において内側に向かって本体固定具93が嵌入可能な小穴を有している。
【0065】
本体固定具93は、係合凹部33、延在板91及び係合凸部92の小穴に嵌入することで、本体部30と各アタッチメント70とをY方向及びZ方向において固定する。本体固定具93は、例えばねじ又はピン等である。延在板91の小穴は、係合凹部33及び係合凸部92の小穴に比べてZ方向に延在している。本体固定具93は、本体部30が係合凹部33と係合凸部92とが係合した後に小穴に嵌入して本体部30と各アタッチメント70とを位置決めする。
【0066】
固定具支持台94は、X方向において延在板91の外側の面に設けられている。固定具支持台94は、本体固定具93と回動可能に接続する。固定具支持台94は、X方向において内側に向かって本体固定具93が嵌入可能な小穴を有している。本体固定具93は、X方向において外側から、固定具支持台94、延在板91、係合凸部92及び係合凹部33の順に小穴に嵌入する。係合凹部33、係合凸部92及び固定具支持台94のそれぞれの小穴は、延在板91の小穴に比べて、Z方向において延在する長さが小さい。係合凹部33、係合凸部92及び固定具支持台94のそれぞれの小穴は、本体固定具93の嵌入する部位の径より一回り大きい径を有している。
【0067】
高さ調整ユニット95は、固定具支持台94のZ方向における高さを調整する。高さ調整ユニット95は、高さ調整台96及び複数の高さ調整ねじ97を含んでいる。高さ調整台96は、X方向において延在板91の外側の面に、且つ、固定具支持台94の下方に固定されて設けられている。高さ調整台96は、Z方向に複数のねじ穴を有している。複数の高さ調整ねじ97は、Z方向に沿って高さ調整台96に設けられたねじ穴に嵌入し、高さ調整台96の上方に突出している。各高さ調整ねじ97の上端部が固定具支持台94に接触することにより、各高さ調整ねじ97は、固定具支持台94を支持する。各高さ調整ねじ97は、回動することにより、高さ調整台96から上方に突出した部分の長さを変える。これにより、各高さ調整ねじ97の上端により支持された固定具支持台94のZ方向における位置を調整する。すなわち、高さ調整台96から上方に突出した部分の長さを長くすることで、固定具支持台94のZ方向における位置は上方に移動する。高さ調整台96から上方に突出した部分の長さを短くすることで、固定具支持台94のZ方向における位置は下方に移動する。本体固定具93は、移動する固定具支持台94の小穴の縁に接触することによりZ方向に移動する。移動する本体固定具93は、係合凹部33及び係合凸部92のそれぞれの小穴の縁に接触することで本体部30及び係合凸部92をZ方向に移動させる。
【0068】
補強部99は、接続部80と延在部90との間に掛け渡されている。補強部99は、接続部80の接続板81の下端と延在部90の延在板91の前側の端部とを結び、延在板91を支持している。補強部99は、板状を呈する。各アタッチメント70の軽量化のため、接続板81、延在板91及び補強部99に囲まれた領域は開口している。なお、各アタッチメント70において、接続板81、延在板91及び補強部99は、1枚の板状の部材で構成されている。
[移載方法]
【0069】
次に、移載対象の棚11に対して前側から容器9を移載するために移載装置20を用いて実施される移載方法を説明する。まず、図11に示すように、移載装置20を用いて移載対象の棚11に対して前側から容器9を搬出する移載方法を説明する。このとき、容器9は、収納装置10における載置部14の1対の載置台16上に載置されている。
【0070】
最初に、作業者は、移載装置20を準備する(S200:第1ステップ)。作業者は、移載装置20を携行し、クレーン3が設けられている1対の収納装置10の間に入る。
【0071】
続いて、作業者は、1対のアタッチメント70のそれぞれを収納装置10における移載対象の棚11に対する取付部15に取り付ける(S210)。作業者は、接続部80を取付部15に取り付ける。各アタッチメント固定具83が取付部15及び接続板81のそれぞれの小穴に嵌入することにより、取付部15と接続板81とが連結される。各取付フック84が回動することにより、アタッチメント固定具83と取付フック84とのそれぞれが係合することで各アタッチメント固定具83が取付部15及び接続板81のそれぞれから脱離しにくくなる。
【0072】
続いて、作業者は、移載対象の棚11の取付部15に1対のアタッチメント70を介して前側から本体部30を取り付ける(S220:第2ステップ)。図12に示すように、作業者は、1対のアタッチメント70を移載対象の棚11の取付部15に取り付け、本体部30を1対のアタッチメント70に取り付ける。作業者は、本体部30の1対の係合凹部33を1対の係合凸部92に係合させ、後側に移動させる。1対の係合凸部92が本体部30の1対の係合ストッパ34に当接することにより、1対の係合凸部92の前側への突出が規制される。本体固定具93は、固定具支持台94、延在板91、係合凸部92及び係合凹部33のそれぞれの小穴に外側から順に嵌入する。これにより、本体部30と1対のアタッチメント70とが固定され、本体部30が1対のアタッチメント70を介して取付部15に取り付けられる。1対の係合凹部33を1対の係合凸部92に係合させるときに本体部30が後側へと移動することで、ガイド60のリニアガイド61が移載対象の棚11の空間19に挿入される。移動部40が空間19に向かって移動しにくい場合又はリニアガイド61の挿入が滞る場合には、高さ調整ユニット95により本体固定具93のZ方向における位置を調整する。これにより、本体部30に接続されている移動部40及びリニアガイド61のZ方向における位置が調整され、移動部40の移動及びリニアガイド61の挿入を円滑にすることができる。
【0073】
続いて、作業者は、移動部40を下降させた状態で、移載対象の棚11の開口領域14aの直下の空間である空間19に移動部40を移動させる(S230:第3ステップ)。昇降部50において逆止弁55が開放されることにより、各バルーン部51内の気体は外部に放出される。これにより、移動部40の移動板41は下降した状態となる。作業者は、移動部40の把持部42を把持し、移動板41をリニアガイド61に沿って後側に移動させることで、移動板41を移載対象の棚11の空間19に挿入する。移動板41は、当接部46が搬入ストッパ62と当接するまで後側に移動することができる。移動板41は、突起部44が1対の載置台16上の容器9の底部9bに設けられた凹みの直下に位置するように空間19内に挿入される。
【0074】
続いて、作業者は、昇降部50を用いることで移載対象の棚11の開口領域14aを通って移動部40を上昇させ、移動部40に容器9を支持させる(S240:第4ステップ)。図13に示すように、作業者は、移動部40の移動板41を後側に移動させ、移動板41を上昇させる。作業者は、手動ポンプ56を用いて、各エアチューブ53及び各連結具54を通じて各バルーン部51の内部に気体を供給する。各バルーン部51は、気体が供給されることで膨張し、移動板41を上昇させる。移動板41は、上昇することで移載対象の棚11の開口領域14aを通って上方に通過する。移動板41が1対の載置台16と同一の高さに位置する場合、移動板41が容器9と接触し、突起部44は、容器9の底部9bの中央に設けられた凹みと係合する。移動板41が更に上昇することで、容器9は移動板41に支持される。
【0075】
続いて、作業者は、容器9を支持している移動部40を本体部30まで移動させる(S250:第5ステップ)。作業者は、移動部40の把持部42を把持し、各バルーン部51を膨張させたまま前側に移動板41をリニアガイド61に沿って移動させることで、容器9を支持している移動板41を移載対象の棚11から搬出する。移動板41は、当接部46が搬出ストッパ63と当接するまで前側に移動させることができる。作業者は、昇降部50の各バルーン部51を収縮させてもよい。すなわち、図3に示すように、作業者は、移動板41を前側に移動させた状態で昇降部50により移動板41を下降させ、容器9を本体部30の各支持部31の上面31a上に載置させてもよい。第5ステップ(S250)が終了すると、図11に示された移載方法が終了する。これにより、容器9が移載対象の棚11から搬出される。
【0076】
次に、移載装置20を用いて移載対象の棚11に対して前側から容器9を搬入する移載方法を説明する。最初に、作業者は、移載装置20を準備する。作業者は、搬出する移載方法における移載装置20の準備作業(S200)と同一の作業を実施する。
【0077】
続いて、アタッチメントを取り付ける作業として、作業者は、1対のアタッチメント70のそれぞれを収納装置10における移載対象の棚11に対する取付部15に取り付ける。作業者は、搬出する移載方法における1対のアタッチメント70の取付作業(S210)と同一の作業を実施する。
【0078】
続いて、本体部30の取付作業として、作業者は、移載対象の棚11の取付部15に前側から本体部30を取り付ける。作業者は、搬出する移載方法における本体部30の取付作業(S220)と同一の作業を実施する。このとき、作業者により、容器9は、本体部30の1対の支持部31又は移動部40の移動板41上に載置される。
【0079】
続いて、昇降部50による移動部40の上昇作業として、作業者は、昇降部50を用いることで移動部40を上昇させ、移動部40のみに容器9を支持させる。作業者は、手動ポンプ56を用いて、各エアチューブ53及び各連結具54を通じて各バルーン部51の内部に気体を供給する。各バルーン部51は、気体が供給されることで膨張し、移動板41を上昇させる。移動板41が1対の支持部31と同一の高さに位置する場合、移動板41が容器9と接触し、突起部44は、容器9の底部9bの中央に設けられた凹みと係合する。移動板41が更に上昇することで、容器9は移動板41のみに支持される。なお、本体部30の取付作業のときに昇降部50が上昇した状態であれば、この昇降部50による移動部40の上昇作業は実行しなくてもよい。このとき、作業者は、容器9の底部9bの中央に設けられた凹みが突起部44と係合するように容器9を載置する。
【0080】
続いて、移動部40の移動作業として、作業者は、移動部40を上昇させた状態で、移載対象の棚11の開口領域14aに移動部40を移動させる。作業者は、移動部40の把持部42を把持し、移動板41をリニアガイド61に沿って後側に移動させることで、移動板41を移載対象の棚11の移載用開口を通って開口領域14aの直上に挿入する。移載対象の棚11の開口領域14aの直上とは、当該移載対象の棚11の開口領域14aと当該移載対象の棚11の1段上の棚11の開口領域14aとの間の領域である。移動板41は、当接部46が搬入ストッパ62と当接するまで後側に移動させることができる。移動板41は、容器9が移載対象の棚11の前側の端部から突出していない状態まで移動させる。
【0081】
続いて、昇降部50による移動部40の下降作業として、昇降部50を用いることで移動部40を下降させ、移載対象の棚11における載置部14の1対の載置台16のみに容器9を支持させる。作業者は、逆止弁55を開放することにより、各エアチューブ53及び各連結具54を通じて各バルーン部51の内部から気体を排出する。各バルーン部51は、気体が排出されることで収縮し、移動板41を下降させる。移動板41が開口領域14aを通って1対の載置台16より下方に移動した場合、容器9と移動板41との接触が解除され、容器9の底部9bの中央に設けられた凹みと突起部44との係合が解除される。容器9は、載置部14の1対の載置台16上に載置される。移動板41が更に下降することで、移動板41は空間19に位置する。これにより、移動部40の移動板41は下降した状態となる。
【0082】
続いて、移動部40の引き出し作業として、作業者は、移動部40を本体部30まで移動させる。作業者は、移動部40の把持部42を把持し、各バルーン部51を収縮させたまま前側に移動板41をリニアガイド61に沿って移動させることで、移動板41を移載対象の棚11から引き出す。移動板41は、当接部46が搬出ストッパ63と当接するまで前側に移動させることができる。移動部40の引き出し作業が終了すると、容器9を搬入する移載方法が終了する。
[作用及び効果]
【0083】
本開示の移載システム1、移載装置20、及び移載方法によれば、移載対象の棚11の高さによらず作業者が容器9を容易に安定して移載することができる。収納システム100のシステム制御部7の故障等に起因して自動で容器9を移載することができなくなり、作業者が収納装置10に対して容器9を移載する場合に、作業者は、移載システム1、移載装置20、及び移載方法を利用することができる。また、Z方向において複数の棚11に載置された容器9同士の間隔が狭く、且つ、容器9が重いことにより作業者が手作業で容器を持ち上げることが困難である場合に、作業者は、移載システム1、移載装置20、及び移載方法を利用することができる。これらの場合、作業者が移載対象の棚11の取付部15に移載装置20の本体部30を取り付けるだけで、移載対象の棚11に対する容器9の移載を容易に行うことができる。
【0084】
また、移載対象の棚11に対して1対のアタッチメント70が設けられていることにより、本体部30が接続部80から前側に延在する延在部90によって支持されるため、安定した状態で容器9を移載することができる。また、1対のアタッチメント70が補強部99を含んでいることによって、1対のアタッチメント70の耐荷重が増大するため、例えば容器9が重い場合であっても、安定した状態で容器9を移載することができる。
【0085】
また、昇降部50がエアジャッキであることにより、移載装置20を軽量化することができるため、収納装置10の取付部15に移載装置20をより容易に取り付けることができる。また、移載装置20がガイド60を有していることによって、Y方向に沿って延在するガイド60に移動部40が案内されるため、より一層安定した状態で容器9を移載対象の棚11に移載することができる。また、作業者が移載対象の棚11の取付部15に移載装置20の本体部30を取り付けるだけで、移載対象の棚11の開口領域14aの直下の空間19にガイド60が延在した状態となるため、作業者に余計な作業負担を生じさせるのを防止することができる。ガイド60は、リニアガイド61であってもよく、簡易な構成で、より一層安定した状態で容器9を移載することができる。
【0086】
また、容器9は、半導体ウエハを格納した容器であってもよく、精密機器である半導体ウエハを格納した容器を容易に移載することができる。また、移動部40は、滑り止め部43又は突起部44を含むことにより、容器9の移動板41からの滑落を抑制することができる。また、アタッチメント固定具83は、取付部15及び接続板81に設けられた小穴に対して外側から内側に嵌入することにより、容器9の移載終了後に取り外し容易であるため、作業者に余計な作業負担を生じさせるのを抑制することができる。
[変形例]
【0087】
本開示は、上述した本実施形態に限定されない。例えば、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、容器9は、複数のガラス基板を格納するレチクルポッド等のような容器、及び一般部品等の物品であってもよい。1対の載置台16は、奥側において連結部材を介して連結していてもよい。この場合、1対の載置台16は、開口領域14aを通って昇降する移動部40と干渉しないように連結される。
【0088】
本体部30は、1対の支持部31を含まなくてもよい。この場合、容器9の移載前後において、移動板41のみが容器9を支持する。本体部30は、1対の係合凹部33を含まなくてもよい。この場合、各アタッチメント70は、係合凸部92を含まなくてもよい。本体部30と各アタッチメント70との接続において、1つのアタッチメント70につき複数のアタッチメント固定具83が用いられることにより、本体部30が固定されてもよい。これにより、本体部30は、水平に支持される。すなわち、本体部30に接続される移動部40の移動板41が水平になるように各アタッチメント70に固定される。本体部30は、1対の係合ストッパ34を含まなくてもよい。この場合、本体部30が移載対象の棚11又は取付部15に当接することで本体部30の後側への移動が抑制される。本体部30は、1対の係合凹部33の代わりに1対の係合凸部92を含み、1対のアタッチメント70は1対の係合凸部92の代わりに1対の係合凹部33を含んでもよい。
【0089】
移動部40は、モータ等の駆動源による動力によってY方向に沿って移動する機構であってもよい。移動部40は、油圧ジャッキ、電動ジャッキ、エアジャッキ又はボールねじなどによってY方向に沿って移動する機構であってもよい。移動部40は、把持部42を含まなくてもよい。この場合、作業者は、移動板41を直接把持することで移動板41を移動させる。移動部40は、滑り止め部43又は突起部44を含まなくてもよい。スライダ45は、X方向においてガイド60のリニアガイド61のY方向に延在する部材を内側から外側へ押圧するように配置されていてもよい。
【0090】
昇降部50は、エアジャッキでなくてもよい。昇降部50は、モータ等の駆動源による動力によってZ方向に昇降する機構であってもよい。昇降部50は、油圧ジャッキ、電動ジャッキ、又はボールねじであってもよい。複数のバルーン部51は、Y方向において、移動板41の内側でもよい。この場合、リニアガイド61は、移動板41の下方、且つ、Y方向において外側に設けられる。バルーン部51は、移動板41のY方向に沿った1つの端辺につき、Z方向において1つ設けられてもよい。この場合、連結具54は1つ設けられている。バルーン部51は、移動板41に対して1つのバルーン部51が設けられてもよい。この場合、連結具54は、設けられなくてもよい。連結具54は、エアチューブ53が1本のチューブで構成される場合、設けられなくてもよい。
【0091】
移載装置20は、ガイド60を有さなくてもよい。この場合、移動部40は、例えば移動板41の前側にY方向に延在する把手部材を有していてもよい。把手部材は、移動板41が開口領域14aの直下に移動可能な長さを有する。移載対象の棚11に対して容器9を移載する場合、作業者は、把手部材を把持して移動部40及び昇降部50をY方向に沿って移動させる。ガイド60のリニアガイド61は、Y方向に延在する1又は複数の長尺上の部材から構成されていてもよい。ガイド60は、開口領域14aの直下の空間19まで延在していなくてもよい。この場合、移動部40の移動板41が開口領域14aの直下の空間19に移動可能で、且つ、移動板41が容器9を支持可能なように、移動部40におけるスライダ45の位置を調整し、スライダ45から後側に延在する移動板41のY方向における長さを調整してもよい。
【0092】
移載装置20は、1対のアタッチメント70を有さなくてもよい。この場合、本体部30は、1対のアタッチメント70を介さず取付部15に前側から直接取り付けられる。例えば、本体部30の各支持部31は、Y方向における後側、且つ、X方向における外側の側面に小穴を有してもよい。作業者は、アタッチメント固定具83を各取付部15及び各支持部31の小穴に嵌入させることにより本体部30を取付部15に前側から直接取り付けてもよい。アタッチメント70は、1対でなくてもよい。この場合、移載装置20は、例えば、1つのアタッチメント70を有し、本体部30は、係合凹部33を1つ有している。各アタッチメント70は、Z方向において、本体部30より上方に位置する取付部15と接続してもよい。この場合、接続部80の接続板81の下端と延在部90の延在板91の後側の端部とが接続し、補強部99は、接続部80の接続板81の上端と延在部90の延在板91の前側の端部とを結ぶように配置されている。接続板81は、X方向において、取付部15及び壁当て部82に対して外側に設けられてもよい。アタッチメント固定具83は、1対のアタッチメント70のそれぞれに1つだけ設けられていてもよい。接続部80の接続板81の上端と延在部90の延在板91の後側の端部とが接続している場合、1つのアタッチメント固定具83が接続板81の上部に嵌入している。接続部80の接続板81の下端と延在部90の延在板91の後側の端部とが接続している場合、1つのアタッチメント固定具83が接続板81の下部に嵌入している。
【0093】
1対のアタッチメント70のそれぞれには、複数の係合凸部92をY方向に設けてもよい。この場合、係合凸部92は、Y方向に延在する部材であり、複数の係合凸部92は、Y方向において間隔をあけて設けられている。本体部30の各係合凹部33は、Y方向において複数の係合凸部92とそれぞれ係合することで、本体部30を水平に支持する。1対の係合凸部92は、X方向において延在板91の外側に設けられ、Y方向に延在する凸部であってもよい。この場合、本体部30の1対の係合凹部33は、1対の係合凸部92の外側において接続される。各支持部材32aは、各係合凸部92の外側に設けられ、各支持部材32aは、各アタッチメント70の延在板91の上方又は下方において延在する。高さ調整台96のねじ穴の数及び高さ調整ねじ97の数は、それぞれ1つずつであってもよい。各アタッチメント70は、補強部99を含まなくてもよい。接続板81、延在板91及び補強部99に囲まれた領域は開口していなくてもよい。各アタッチメント70において、接続板81、延在板91及び補強部99は、1枚の板状の部材で構成されていなくてもよく、複数の板状の部材で構成されていてもよい。
【0094】
移載方法は、1対のアタッチメント70の取付作業(S210)を含まなくてもよい。この場合、第2ステップとして、作業者は、本体部30を1対のアタッチメント70を介さず取付部15に前側から直接取り付ける。移載方法は、本体部30を1対のアタッチメント70から取り外す作業、又は、取付部15から1対のアタッチメント70を取り外す作業を含んでもよい。移載方法において、移載対象の棚11に移動板41を移動させる場合に、移動板41の全部が空間19の内部に挿入されなくてもよい。移載対象の棚11に対して容器9を搬出する場合の移動部40の移動作業(S230)において、移動板41は、少なくとも容器9の重心より後側に挿入される。移載対象の棚11に対して容器9を搬入する場合の移動部40の移動作業において、移動板41は、移動板41上に載置された容器9の前側の端部が取付部15より後側に位置するように挿入される。
【符号の説明】
【0095】
1…移載システム、9…容器、9b…底部、10…収納装置、11…棚、14…載置部、14a…開口領域、15…取付部、20…移載装置、30…本体部、40…移動部、50…昇降部、60…ガイド、61…リニアガイド、70…アタッチメント、80…接続部、90…延在部、99…補強部、100…収納システム。
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
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図10
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図13