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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 31/08 20060101AFI20230502BHJP
   B65H 33/00 20060101ALI20230502BHJP
   B65H 29/60 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B65H31/08
B65H33/00
B65H29/60 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021550667
(86)(22)【出願日】2020-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2020035934
(87)【国際公開番号】W WO2021065647
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019178679
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-202337(JP,A)
【文献】特開2010-189148(JP,A)
【文献】特開2011-190053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/60
B65H 31/00-31/40
B65H 33/00-33/18
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント装置を備え、画像形成後の前記シートを予め定められた主搬送方向へ排出する本体ユニットと、
相互に連結され、さらに、前記本体ユニットに対し前記主搬送方向の下流側に連結された複数の連結ユニットと、
前記本体ユニットおよび前記連結ユニットが有する機器を制御する制御装置と、
ユーザーの操作を受け付ける操作装置と、を備える画像形成装置であって、
前記連結ユニット各々は、
主開口が形成され、前記主開口を開閉可能な扉を有する筐体と、
前記主開口を通じて前記筐体内への収容および前記筐体内からの引き出しが可能な台車部および前記シートを積載可能なスタックトレイを有するシート積載台車と、
前記筐体内に収容された前記シート積載台車の前記スタックトレイを昇降させる昇降機構と、
前記連結ユニットに設けられ、前記主搬送方向の上流側に連結された前記本体ユニットまたは他の前記連結ユニットから排出される前記シートを、前記スタックトレイ上へ向かうスタック搬送路へ搬送するスタック搬送状態および前記主搬送方向の下流側に連結された他の前記連結ユニットへ向かう中継搬送路へ搬送する中継搬送状態の一方から他方へ切り替わり可能なシート搬送装置と、を有し、
前記制御装置は、前記複数の連結ユニットから選択される対象ユニットの前記スタックトレイに予め設定された指定枚数の前記シートが積載されるまで、前記対象ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態に保持するとともに前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の上流側の他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記中継搬送状態に保持する指定枚数スタック制御を実行し、
さらに前記制御装置は、前記指定枚数スタック制御を実行中に前記操作装置が予め定められた割込操作を受け付けた場合に割込スタック制御を実行し、
前記割込スタック制御は、
前記対象ユニットの前記シート搬送装置を前記中継搬送状態へ切り替えるとともに前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の下流側に存在する他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態へ切り替える第1搬送切替制御、または、前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の上流側に存在する他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態へ切り替える第2搬送切替制御と、
前記対象ユニットの前記昇降機構に前記スタックトレイを前記台車部上の載置位置まで下降させる載置動作を実行させる退避制御と、を含み、
前記制御装置は、前記割込スタック制御において、前記対象ユニットの前記スタックトレイにおける前記シートの積載枚数を表す数値を前記シートに形成する割込プリント処理を前記プリント装置に実行させ、前記数値がプリントされた前記シートが前記対象ユニットの前記スタックトレイへ搬送されたときに、前記第1搬送切替制御または前記第2搬送切替制御と、前記退避制御と、を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記割込スタック制御において、前記操作装置が前記割込操作を受け付けた後に前記対象ユニットの前記スタックトレイにおける前記シートの積載枚数が所定枚数の整数倍に達するタイミングで、前記割込プリント処理を前記プリント装置に実行させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
シートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント装置を備え、画像形成後の前記シートを予め定められた主搬送方向へ排出する本体ユニットと、
相互に連結され、さらに、前記本体ユニットに対し前記主搬送方向の下流側に連結された複数の連結ユニットと、
前記本体ユニットおよび前記連結ユニットが有する機器を制御する制御装置と、
ユーザーの操作を受け付ける操作装置と、を備える画像形成装置であって、
前記連結ユニット各々は、
主開口が形成され、前記主開口を開閉可能な扉を有する筐体と、
前記主開口を通じて前記筐体内への収容および前記筐体内からの引き出しが可能な台車部および前記シートを積載可能なスタックトレイを有するシート積載台車と、
前記筐体内に収容された前記シート積載台車の前記スタックトレイを昇降させる昇降機構と、
前記連結ユニットに設けられ、前記主搬送方向の上流側に連結された前記本体ユニットまたは他の前記連結ユニットから排出される前記シートを、前記スタックトレイ上へ向かうスタック搬送路へ搬送するスタック搬送状態および前記主搬送方向の下流側に連結された他の前記連結ユニットへ向かう中継搬送路へ搬送する中継搬送状態の一方から他方へ切り替わり可能なシート搬送装置と、を有し、
前記制御装置は、前記複数の連結ユニットから選択される対象ユニットの前記スタックトレイに予め設定された指定枚数の前記シートが積載されるまで、前記対象ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態に保持するとともに前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の上流側の他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記中継搬送状態に保持する指定枚数スタック制御を実行し、
さらに前記制御装置は、前記指定枚数スタック制御を実行中に前記操作装置が予め定められた割込操作を受け付けた場合に割込スタック制御を実行し、
前記割込スタック制御は、
前記対象ユニットの前記シート搬送装置を前記中継搬送状態へ切り替えるとともに前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の下流側に存在する他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態へ切り替える第1搬送切替制御、または、前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の上流側に存在する他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態へ切り替える第2搬送切替制御と、
前記対象ユニットの前記昇降機構に前記スタックトレイを前記台車部上の載置位置まで下降させる載置動作を実行させる退避制御と、を含み、
前記制御装置は、前記割込スタック制御において、前記操作装置が前記割込操作を受け付けた後に前記対象ユニットの前記スタックトレイにおける前記シートの積載枚数が予め設定された2以上の整数の整数倍に達したときに、前記第1搬送切替制御または前記第2搬送切替制御と、前記退避制御と、を実行する、画像形成装置。
【請求項4】
前記昇降機構が前記載置動作を実行することに連動して前記扉を閉じた状態にロックするロック状態から前記扉のロックを解除するロック解除状態へ移行するロック機構をさらに備える、請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ユニットとシート積載台車を有する複数の連結ユニットとを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の印刷物をプリントする際に用いられる画像形成装置が、本体ユニットと複数の連結ユニットとを備える場合がある(例えば、特許文献1参照)。前記複数の連結ユニットは、相互に連結され、さらに前記本体ユニットに連結されている。
【0003】
前記本体ユニットは、プリント装置を備え、印刷物を前記連結ユニットへ排出する。前記連結ユニットは、筐体および前記筐体に収容されるシート積載台車を備え、前記シート積載台車は、前記印刷物を積載するスタックトレイを昇降可能に支持する。
【0004】
前記筐体は、前記筐体の開口を開閉可能な扉を有する。前記シート積載台車は、前記筐体の開口を通じて、前記筐体内へ収容される、または、前記筐体内から引き出される。
【0005】
前記プリント装置による大量の枚数の前記シートへの連続プリントが行われる際に、前記連結ユニット各々が、予め設定された指定枚数の前記印刷物を前記スタックトレイに積載する処理を順番に実行する。
【0006】
例えば、1000枚の前記シートへの連続プリントが行われる際に、2つの前記連結ユニット各々が、500枚の前記印刷物を前記スタックトレイに積載する処理を順番に実行する。
【0007】
前記シート積載台車は、多数の前記印刷物が積載された状態で後工程の場所へ移動される。前記後工程では、例えば前記印刷物に対する穴開け処理または製本処理などが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-189148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、前記後工程の状況により、前記スタックトレイにおける前記印刷物の積載枚数が前記指定枚数に達する前に、前記シート積載台車を前記後工程の場所へ移動したい場合がある。
【0010】
上記の場合において、前記連続プリントを中断することは前記印刷物の生産効率の低下に繋がるため好ましくない。
【0011】
本発明の目的は、連続プリントを中断することなく、スタックトレイに指定枚数のシートを積載している途中のシート積載台車を移動させることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、本体ユニットと、複数の連結ユニットと、制御装置と、操作装置と、を備える。前記本体ユニットは、シートに画像を形成するプリント処理を実行するプリント装置を備え、画像形成後の前記シートを予め定められた主搬送方向へ排出する。前記複数の連結ユニットは、相互に連結され、さらに、前記本体ユニットに対し前記主搬送方向の下流側に連結されている。前記制御装置は、前記本体ユニットおよび前記連結ユニットが有する機器を制御する。前記操作装置は、ユーザーの操作を受け付ける。前記連結ユニット各々は、筐体と、シート積載台車と、昇降機構と、シート搬送装置と、を備える。前記筐体は、主開口が形成され、前記主開口を開閉可能な扉を有する。前記シート積載台車は、前記主開口を通じて前記筐体内への収容および前記筐体内からの引き出しが可能な台車部および前記シートを積載可能なスタックトレイを有する。前記昇降機構は、前記筐体内に収容された前記シート積載台車の前記スタックトレイを昇降させる。前記シート搬送装置は、前記連結ユニットに設けられ、前記主搬送方向の上流側に連結された前記本体ユニットまたは他の前記連結ユニットから排出される前記シートを、前記スタックトレイ上へ向かうスタック搬送路へ搬送するスタック搬送状態および前記主搬送方向の下流側に連結された他の前記連結ユニットへ向かう中継搬送路へ搬送する中継搬送状態の一方から他方へ切り替わり可能である。前記制御装置は、前記複数の連結ユニットから選択される対象ユニットの前記スタックトレイに予め設定された指定枚数の前記シートが積載されるまで、前記対象ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態に保持するとともに前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の上流側の他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記中継搬送状態に保持する指定枚数スタック制御を実行する。さらに前記制御装置は、前記指定枚数スタック制御を実行中に前記操作装置が予め定められた割込操作を受け付けた場合に割込スタック制御を実行する。前記割込スタック制御は、第1搬送切替制御または第2搬送切替制御と、退避制御と、を含む。前記第1搬送切替制御は、前記対象ユニットの前記シート搬送装置を前記中継搬送状態へ切り替えるとともに前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の下流側に存在する他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態へ切り替える制御である。前記第2搬送切替制御は、前記対象ユニットに対し前記主搬送方向の上流側に存在する他の前記連結ユニットの前記シート搬送装置を前記スタック搬送状態へ切り替える制御である。前記退避制御は、前記対象ユニットの前記昇降機構に前記スタックトレイを前記台車部上の載置位置まで下降させる載置動作を実行させる制御である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、連続プリントを中断することなく、スタックトレイに指定枚数のシートを積載している途中のシート積載台車を移動させることができる画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成を表す図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置における本体ユニットの構成を表す図である。
図3図3は、実施形態に係る画像形成装置における連結ユニットの構成を表す図である。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を表すブロック図である。
図5図5は、実施形態に係る画像形成装置における中継搬送状態の連結ユニットを表す図である。
図6図6は、実施形態に係る画像形成装置における割込スタック制御の第1例の手順を表すフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る画像形成装置における割込スタック制御の第2例の手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0016】
[画像形成装置100の構成]
実施形態に係る画像形成装置100は、大量の印刷物をプリントする際に用いられる。図1に示されるように、画像形成装置100は、本体ユニット1、複数の連結ユニット2、主制御装置8、主操作装置801および表示装置802などを備える。
【0017】
本体ユニット1は、シート9に画像を形成するプリント処理を実行するプリント装置14を備える。本体ユニット1は、画像形成後のシート9を予め定められた主搬送方向D1へ排出する。なお、画像形成後のシート9は印刷物である。
【0018】
図2に示されるように、本体ユニット1は、本体筐体10内に設けられたシート供給部11、一次シート搬送装置12、一次搬送路13およびプリント装置14を備える。主制御装置8も、本体筐体10内に設けられている。
【0019】
主操作装置801および表示装置802は、本体筐体10の上面部分に設けられている。主操作装置801は、ユーザーの操作を受け付ける装置である。例えば、主操作装置801は、タッチパネルおよび操作ボタンの一方または両方を含む。
【0020】
表示装置802は、主操作装置801への操作に関するメニュー画面、または、その他の情報を表示する。
【0021】
一次シート搬送装置12は、シート供給部11に収容されたシート9を1枚ずつ一次搬送路13に沿って搬送する。プリント装置14は、一次搬送路13に沿って搬送されるシート9に対して前記プリント処理を実行する。
【0022】
一次シート搬送装置12は、それぞれシート9を搬送する複数組の搬送ローラー対120を備える。一次シート搬送装置12は、画像形成後のシート9を、一次搬送路13の出口13aから主搬送方向D1へ排出する。
【0023】
図1に示されるように、複数の連結ユニット2は、主搬送方向D1に沿って相互に連結され、さらに本体ユニット1に対し主搬送方向D1の下流側に連結されている。
【0024】
主制御装置8は、本体ユニット1および連結ユニット2各々が有する機器を制御する。図4に示されるように、主制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)81と、RAM(Random Access Memory)82、二次記憶装置83および信号インターフェイス84などの周辺機器とを備える。
【0025】
CPU81は、コンピュータープログラムを実行することにより、各種のデータ処理および制御を実行するプロセッサーである。RAM82は、コンピューター読み取り可能な揮発性の記憶装置である。RAM82は、CPU81が実行する前記コンピュータープログラムおよびCPU81が各種の処理を実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。
【0026】
二次記憶装置83は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置83は、前記コンピュータープログラムおよび各種のデータの記憶および更新が可能である。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置83として採用される。
【0027】
信号インターフェイス84は、画像形成装置100が備える各種のセンサーが出力する信号をデジタルデータへ変換し、変換後のデジタルデータをCPU81へ伝送する。さらに、信号インターフェイス84は、CPU81が出力する制御指令を制御信号へ変換し、前記制御信号を制御対象の機器へ伝送する。
【0028】
図3に示されるように、連結ユニット2各々は、連結筐体20と、連結筐体20に内包された機器とを備える。連結筐体20に内包された機器は、二次搬送路3、二次シート搬送装置4、シート積載台車5および昇降機構6などを含む。連結筐体20の上面には、補助トレイ23が形成されている。
【0029】
連結筐体20には、主開口201およびメンテナンス開口202が形成されている。連結筐体20は、主開口201を開閉可能な扉21を有する。さらに、連結筐体20は、メンテナンス開口202を開閉可能なメンテナンスカバー22も備える。
【0030】
シート積載台車5は、主開口201を通じて連結筐体20内への収容および連結筐体20内からの引き出しが可能な台車部52およびシート9を積載可能なスタックトレイ51を有する。
【0031】
二次搬送路3は、本体ユニット1から連結筐体20内へ搬入されるシート9の搬送路である。二次搬送路3の入口3aは、連結ユニット2各々における主搬送方向D1の上流側に連結されたユニットである上流側隣接ユニットに連通する。前記上流側隣接ユニットは、本体ユニット1または他の連結ユニット2である。
【0032】
二次搬送路3は、中継搬送路31と、中継搬送路31の第1分岐部P1から分岐したスタック搬送路32と、中継搬送路31の第2分岐部P2から分岐した補助搬送路33とを含む。
【0033】
中継搬送路31の出口は、シート9が主搬送方向D1の下流側へ排出される中継排出口3bである。スタック搬送路32の出口は、シート積載台車5のスタックトレイ51へ向かうシート9が排出されるスタック排出口3cである。補助搬送路33の出口は、補助トレイ23へ向かうシート9が排出される補助排出口3dである。
【0034】
二次搬送路3の入口3aは、一次搬送路13の出口13aまたは他の連結ユニット2における中継排出口3bに連通している。
【0035】
連結ユニット2各々は、画像形成後のシート9を自ユニットに蓄積する端末ユニット、画像形成後のシート9を中継搬送する中継ユニット、またはそれらのいずれでもない休止ユニットのうちのいずれかとして機能する。
【0036】
本実施形態において、前記端末ユニットとして機能する連結ユニット2は、シート積載台車5のスタックトレイ51上、または、シート9を補助トレイ23上に積載することが可能である。
【0037】
以下の説明において、シート9をシート積載台車5のスタックトレイ51上に積載するときの連結ユニット2のことを対象ユニット2aと称し、その他の連結ユニット2のことを非対象ユニット2bと称する(図1参照)。対象ユニット2aは、前記端末ユニットの一例である。
【0038】
二次シート搬送装置4は、シート9を二次搬送路3に沿って搬送する。二次シート搬送装置4は、それぞれシート9を搬送する複数組の搬送ローラー対41を備える。
【0039】
さらに、二次シート搬送装置4は、可動案内機構42をさらに備える。可動案内機構42は、第1分岐部P1または第2分岐部P2に到達したシート9を中継搬送路31、スタック搬送路32および補助搬送路33のいずれかへ選択的に案内する。
【0040】
以下の説明において、可動案内機構42がシート9をスタック搬送路32へ案内するときの二次シート搬送装置4の状態をスタック搬送状態と称する。また、可動案内機構42がシート9を中継搬送路31に沿ってするときの二次シート搬送装置4の状態を中継搬送状態と称する。
【0041】
即ち、前記スタック搬送状態は、二次シート搬送装置4が、前記上流側隣接ユニットから排出されるシート9を中継搬送路31からスタック搬送路32へ搬送し、さらにそのシート9をスタックトレイ51上へ搬送する状態である。
【0042】
一方、前記中継搬送状態は、二次シート搬送装置4が、前記上流側隣接ユニットから排出されるシート9を中継搬送路31に沿って搬送し、さらにそのシート9を下流側隣接ユニットへ向けて排出する状態である。前記下流側隣接ユニットは、主搬送方向D1の下流側の隣に連結された他の連結ユニット2である。
【0043】
二次シート搬送装置4は、前記スタック搬送状態および前記中継搬送状態の一方から他方へ切り替わり可能である。
【0044】
昇降機構6は、連結筐体20内に収容されたシート積載台車5のスタックトレイ51を昇降させる。昇降機構6は、二次シート搬送装置4がスタックトレイ51へのシート9の搬送を開始するときに、スタックトレイ51をスタック排出口3cに近接する初期位置に保持する。
【0045】
さらに、昇降機構6は、スタックトレイ51におけるシート9の積載枚数が増えるに従って、スタックトレイ51を徐々に下降させる。これにより、スタックトレイ51上のシート9の最上面がスタック排出口3cに近接する状態に維持される。
【0046】
CPU81は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される複数の処理モジュールを含む。前記複数の処理モジュールは、主制御部8a、プリント制御部8bおよびスタック制御部8cなどを含む。
【0047】
主制御部8aは、主操作装置801に対する操作に応じて各種の処理を開始させる開始制御、および、表示装置802の制御などを実行する。
【0048】
プリント制御部8bは、例えば連続プリント制御を実行する。前記連続プリント制御は、一次シート搬送装置12およびプリント装置14を制御することにより、プリント枚数が予め設定される総出力枚数に達するまで、プリント装置14に連続プリント処理を実行させることである。
【0049】
前記連続プリント処理は、複数のシート9に対して連続して指定画像の前記プリント処理を実行することである。プリント制御部8bは、前記連続プリント制御を実行しているときに、前記指定画像のプリント枚数が前記総出力枚数に達するまで、前記指定画像の前記プリント枚数をカウントする。
【0050】
スタック制御部8cは、プリント制御部8bが前記連続プリント制御を実行しているときに、指定枚数スタック制御を実行する。前記指定枚数スタック制御は、複数の連結ユニット2から対象ユニット2aを順次選択し、連結ユニット2各々の二次シート搬送装置4および昇降機構6を制御することにより、予め設定された指定枚数のシート9を対象ユニット2aのスタックトレイ51に積載させる制御である。
【0051】
例えば、前記連続プリント処理における前記総出力枚数が2000枚、前記指定枚数が500枚である場合に、スタック制御部8cは、2つの連結ユニット2各々を2回ずつ対象ユニット2aとして順次選択し、500枚のシート9を選択した対象ユニット2aのスタックトレイ51に積載させる制御を順次実行する。
【0052】
スタック制御部8cは、連結ユニット2各々のスタックトレイ51における前記指定画像が形成されたシート9の積載枚数をカウントアップする。
【0053】
スタック制御部8cは、前記指定枚数スタック制御において、対象ユニット2aの二次シート搬送装置4を前記スタック搬送状態に維持し、対象ユニット2aに対して主搬送方向D1の上流側に存在する非対象ユニット2bの二次シート搬送装置4を前記中継搬送状態に維持する。
【0054】
さらに、スタック制御部8cは、対象ユニット2aの昇降機構6を制御することにより、対象ユニット2aのスタックトレイ51を、シート9の積載枚数が増えるに従って前記初期位置から徐々に下降させる。
【0055】
さらに、スタック制御部8cは、前記指定枚数スタック制御において、対象ユニット2aに対して主搬送方向D1の下流側に存在する非対象ユニット2bの二次シート搬送装置4を停止させる。
【0056】
以上に示されるように、スタック制御部8cは、前記指定枚数スタック制御において、複数の連結ユニット2から選択される対象ユニット2aのスタックトレイ51に予め設定された前記指定枚数のシート9が積載されるまで、対象ユニット2aの二次シート搬送装置4を前記スタック搬送状態に保持するとともに、対象ユニット2aに対し主搬送方向D1の上流側の非対象ユニット2bの二次シート搬送装置4を前記中継搬送状態に保持する。
【0057】
シート積載台車5は、多数のシート9がスタックトレイ51上に積載された状態で後工程の場所へ移動される。前記後工程では、例えばシート9に対する穴開け処理または製本処理などが行われる。
【0058】
ところで、前記後工程の状況により、対象ユニット2aのスタックトレイ51におけるシート9の積載枚数が前記指定枚数に達する前に、シート積載台車5を前記後工程の場所へ移動したい場合がある。
【0059】
上記の場合において、前記連続プリント処理を中断することは印刷物の生産効率の低下に繋がるため好ましくない。
【0060】
画像形成装置100において、スタック制御部8cおよびプリント制御部8bは、後述する割込スタック制御を実行する。これにより、画像形成装置100は、前記連続プリント処理を中断することなく、スタックトレイ51に前記指定枚数のシート9を積載している途中のシート積載台車5を移動させることができる。
【0061】
画像形成装置100において、連結ユニット2各々は、ロック機構7および台車引出しボタン25をさらに備える(図3参照)。ロック機構7は、スタック制御部8cが昇降機構6に所定の載置動作を実行させたときに、昇降機構6の前記載置動作に連動して扉21を閉じた状態にロックするロック状態から扉21のロックを解除するロック解除状態へ切り替わる。
【0062】
昇降機構6の前記載置動作は、スタックトレイ51を台車部52上の載置位置まで下降させる動作である。前記載置動作により、スタックトレイ51が台車部52上に載置される。図5は、スタックトレイ51が前記載置位置に存在し、二次シート搬送装置4が前記中継搬送状態であるときの連結ユニット2を表す。
【0063】
例えば、ロック機構7は、昇降機構6がスタックトレイ51を前記載置位置へ下降させたことを検出する検出センサーの検出状態に応じて動作するアクチュエーターによって前記ロック状態および前記ロック解除状態の一方から他方へ切り替わる機構である。
【0064】
また、ロック機構7が、昇降機構6がスタックトレイ51を前記載置位置へ下降させる動作に連動するリンク機構に連結され、前記リンク機構に連動して前記ロック状態および前記ロック解除状態の一方から他方へ切り替わる機構であってもよい。
【0065】
ロック機構7が前記ロック解除状態である場合にのみ、扉21を開いてシート積載台車5を連結筐体20 から引き出すことができる。
【0066】
台車引出しボタン25は、ユーザーの操作を受け付ける操作装置の一例である。ユーザーは、前記指定枚数スタック制御が実行されている途中の対象ユニット2aにおいて、シート積載台車5を引き出したいときに台車引出しボタン25を操作する。
【0067】
[割込スタック制御(第1例)]
以下、図6に示されるフローチャートを参照しつつ、前記割込スタック制御の第1例の手順について説明する。
【0068】
スタック制御部8cは、前記指定枚数スタック制御を実行中に対象ユニット2aの台車引出しボタン25が操作されたときに、前記割込スタック制御を開始させる。なお、前記指定枚数スタック制御が実行されているときの対象ユニット2aの台車引出しボタン25が受け付ける操作は、予め定められた割込操作の一例である。
【0069】
以下の説明において、S101,S102,…は、前記割込スタック制御における複数の工程の識別符号を表す。
【0070】
<工程S101>
前記割込スタック制御において、まず、プリント制御部8bが、所定の割込プリント処理をプリント装置14に実行させ、その後、処理を工程S102へ移行させる。
【0071】
前記割込プリント処理は、対象ユニット2aのスタックトレイ51におけるシート9の積載枚数を表す積載枚数画像をシート9に形成する処理である。以下の説明において、前記割込プリント処理によって前記積載枚数画像が形成されたシート9のことを割込プリントシートと称する。
【0072】
なお、前記割込プリントシートは、前記指定画像が形成されたシート9ではない。そのため、前記割込プリントシートは、前記指定画像の前記プリント枚数、および、スタックトレイ51上のシート9の前記積載枚数のカウントの対象から除外される。
【0073】
<工程S102>
工程S102において、スタック制御部8cが、前記割込プリントシートがスタック搬送路32へ向けて第1分岐部P1を通過したか否かを判定する。
【0074】
例えば、スタック制御部8cは、前記割込プリント処理が実行されてから予め定められた時間が経過したときに、前記割込プリントシートが第1分岐部P1を通過したと判定する。
【0075】
また、二次シート搬送装置4が、中継搬送路31における入口3aから第1分岐部P1までの領域に配置されたシート検出センサーを備えることが考えられる。この場合、スタック制御部8cが、前記シート検出センサーの検出信号の変化に基づいて、前記割込プリントシートが第1分岐部P1を通過したか否かを判定する。
【0076】
そして、スタック制御部8cは、スタック搬送路32へ向かう前記割込プリントシートが第1分岐部P1を通過したと判定したときに、処理を工程S103へ移行させる。本実施形態において、スタック搬送路32へ向かう前記割込プリントシートが第1分岐部P1を通過することは、前記割込プリントシートが対象ユニット2aのスタックトレイ51へ搬送されることを意味する。
【0077】
<工程S103>
工程S103において、スタック制御部8cが、次に対象ユニット2aとして選択される連結ユニット2が、現在の対象ユニット2aに対して主搬送方向D1の下流側である場合には、処理を工程S104へ移行させ、そうでない場合には処理を工程S105へ移行させる。
【0078】
<工程S104>
工程S104において、スタック制御部8cは、第1搬送切替制御を実行し、その後、処理を工程S106へ移行させる。
【0079】
前記第1搬送切替制御は、現在の対象ユニット2aの二次シート搬送装置4を前記中継搬送状態へ切り替えるとともに、次に対象ユニット2aとして選択される連結ユニット2の二次シート搬送装置4を前記スタック搬送状態へ切り替える制御である。
【0080】
なお、工程S105において、次に対象ユニット2aとして選択される連結ユニット2は、現在の対象ユニット2aに対し主搬送方向D1の下流側に存在する他の連結ユニット2トである。
【0081】
<工程S105>
工程S105において、スタック制御部8cは、第2搬送切替制御を実行し、その後、処理を工程S106へ移行させる。
【0082】
前記第2搬送切替制御は、次に対象ユニット2aとして選択される連結ユニット2の二次シート搬送装置4を前記スタック搬送状態へ切り替える制御である。本実施形態において、前記第2搬送切替制御は、現在の対象ユニット2aの二次シート搬送装置4を停止させる制御も含む。
【0083】
なお、工程S106において、次に対象ユニット2aとして選択される連結ユニット2は、現在の対象ユニット2aに対し主搬送方向D1の上流側に存在する他の連結ユニット2トである。
【0084】
工程S104または工程S105の処理により、前記指定枚数スタック制御の途中で、対象ユニット2aが変更され、新たな対象ユニット2aに対応する前記指定枚数スタック制御が再開される。
【0085】
<工程S106>
工程S106において、スタック制御部8cは、工程S104または工程S105の制御が行われる時点での対象ユニット2aの昇降機構6に前記載置動作を実行させる退避制御を実行し、その後、前記割込スタック制御を終了させる。
【0086】
前記退避制御により、元の対象ユニット2aにおいて、ロック機構7が前記ロック解除状態へ切り替わり、扉21を開いてシート積載台車5を連結筐体20内から引き出すことが可能になる。
【0087】
図6に示される前記割込スタック制御が実行されることにより、前記指定枚数スタック制御の途中で、前記連続プリント処理を中断することなく対象ユニット2aを変更することが可能である。
【0088】
即ち、画像形成装置100が採用されることにより、前記連続プリント処理を中断することなく、スタックトレイ51に前記指定枚数のシート9を積載している途中のシート積載台車5を移動させることができる。
【0089】
また、工程S101において前記割込プリント処理が行われ、引き出し可能となったシート積載台車5のスタックトレイ51において、前記割込プリントシートが最上位に積載される。
【0090】
従って、ユーザーは、引き出されたシート積載台車5のスタックトレイ51におけるシート9の積載枚数を用意に把握することができる。
【0091】
[割込スタック制御(第2例)]
次に、図7に示されるフローチャートを参照しつつ、前記割込スタック制御の第2例の手順について説明する。
【0092】
スタック制御部8cは、前記指定枚数スタック制御を実行中に対象ユニット2aの台車引出しボタン25が操作されたときに、図7に示される前記割込スタック制御を開始させる。
【0093】
以下、前記割込スタック制御の前記第2例における前記割込スタック制御の前記第1例との異なる点について説明する。
【0094】
図7に示されるように、前記割込スタック制御の前記第2例の処理は、図6に示される前記割込スタック制御における工程S101の処理の前に、工程S100の処理が追加された処理である。
【0095】
<工程S100>
工程S100において、スタック制御部8cは、台車引出しボタン25がユーザーの操作を受け付けた後に、対象ユニット2aのスタックトレイ51におけるシート9の前記積載枚数が予め設定された整数である単位整数の倍数に達するタイミングまで待機する。前記単位整数は、例えば、5、10または100などである。
【0096】
そして、スタック制御部8cは、対象ユニット2aのスタックトレイ51におけるシート9の前記積載枚数が前記単位整数の倍数に達するタイミングで、処理を工程S101へ移行させる。これにより、プリント制御部8bが前記割込プリント処理をプリント装置14に実行させる(工程S101)。
【0097】
なお、前記割込スタック制御の前記第2例における工程S101以降の処理は、前記割込スタック制御の前記第1例における工程S101以降の処理と同じである。
【0098】
即ち、前記割込スタック制御の前記第2例において、スタック制御部8cは、台車引出しボタン25が操作を受け付けた後に対象ユニット2aのスタックトレイ51におけるシート9の前記積載枚数が前記単位整数の倍数に達したときに、前記第1搬送切替制御または前記第2搬送切替制御と、前記退避制御と、を実行する(工程S103~S106)。
【0099】
前記割込スタック制御の前記第2例が採用される場合も、前記割込スタック制御の前記第1例が採用される場合と同様の効果が得られる。さらに、前記第2例が採用されることにより、シート積載台車5が引き出されるときのスタックトレイ51上のシート9の前記積載枚数が、ユーザーにとって管理しやすい枚数に自動的に調整される。
【0100】
[応用例]
画像形成装置100において、前記割込スタック制御の開始イベントとなる前記割込操作が、本体ユニット1の主操作装置801に対する操作であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7