(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】ラベル検査装置
(51)【国際特許分類】
B65B 57/00 20060101AFI20230502BHJP
B65B 57/18 20060101ALI20230502BHJP
B65B 57/12 20060101ALI20230502BHJP
B07C 5/342 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
B65B57/00 A
B65B57/18
B65B57/00 Z
B65B57/12
B07C5/342
(21)【出願番号】P 2019003734
(22)【出願日】2019-01-11
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】519012747
【氏名又は名称】株式会社進共
(74)【代理人】
【識別番号】100096002
【氏名又は名称】奥田 弘之
(74)【代理人】
【識別番号】100091650
【氏名又は名称】奥田 規之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 憲
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066660(JP,A)
【文献】特開2018-039577(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B57/00-57/20
B07C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアによって搬送される各包装容器に表示された二次元コードを読み取る第1のカメラと、
上記包装容器内に挿入されたラベルの画像データを取り込む第2のカメラと、
少なくとも商品識別コードと、ラベルの画像データとの組合せからなる検査対象情報を予め格納しておく設定情報記憶手段と、
制御手段と
、を備え、
上記の
包装容器は、収納する卵のサイズに適合させたものよりなり、
各包装容器には、当該包装容器に対応したサイズの卵が複数収納されており、
上記包装容器内に挿入されるラベル、及び上記設定情報記憶手段内に格納されたラベルの画像データには卵のサイズが記載されており、
上記制御手段は、第1のカメラを介して取り込まれた包装容器の二次元コードに基づいて、当該包装容器の商品識別コードを特定する処理と、
上記設定情報記憶手段を参照し、当該商品識別コードに関連付けられた
ラベルの画像データを取得する処理と、
上記第2のカメラを介して取り込まれたラベルの画像データと、上記商品識別コードに関連付けられたラベルの画像データを比較し、両者の一致/不一致を判定する処理と、
不一致の場合には
包装容器と、当該包装容器内に挿入されたラベルとの不一致を示すエラー出力をする処理と、
を実行することを特徴とするラベル検査装置。
【請求項2】
上記検査対象情報は、商品識別コード、ラベルの画像データ及び賞味期限との組合せからなり、
上記制御手段は、上記第2のカメラを介して取り込まれたラベルの画像データ中から賞味期限に相当する文字列を取得する処理と、
賞味期限に相当する文字列と上記商品識別コードに関連付けられた賞味期限を比較し、両者の一致/不一致を判定する処理と、
不一致の場合には賞味期限不一致のエラー出力をする処理と、
を実行することを特徴とする請求項1に記載のラベル検査装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記第2のカメラを介して取り込まれたラベルの画像データ中から賞味期限に相当する文字列を取得できない場合に、賞味期限不存在のエラー出力処理を実行することを特徴とする請求項2に記載のラベル検査装置。
【請求項4】
上記エラー出力がなされた際に、包装容器を搬送するベルトコンベアを停止する手段を備えたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のラベル検査装置。
【請求項5】
上記エラー出力がなされた際に、包装容器を搬送するベルトコンベアの外部に当該エラー出力の対象となった包装容器を排出する手段を備えたことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のラベル検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、卵の包装容器に挿入されたラベルの適否を判定し、不適格の場合にはその事実を外部に出力する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
養鶏場で採卵された卵は選別工場に運ばれ、洗卵・検卵・選別と包装が行われた後、スーパーマーケット等の販売店に納入される。
卵にはサイズ(重量)のばらつきがあるため、上記の選別工程においてサイズに応じたグループ分けがなされ、それぞれのサイズに適合した包装容器(卵パック)に収納される。
【0003】
また、包装容器が透明の場合、卵のサイズや賞味期限、生産者、販売者等を特定する文字列やイラストが記載されたラベル(インパックラベル)が包装容器内に封入される。このラベルを確認することにより、店頭において消費者は自己にとって最適な卵を選択することが可能となる。
【0004】
このラベルは、蓋を開けた状態でベルトコンベアによって搬送された包装容器に対して、ラベル投入装置によって自動的に投入される。
通常は、生産者、販売者、サイズ、賞味期限等を同じくする一群の包装容器毎にベルトコンベア上に投入されると共に、当該包装容器に適合するラベルがラベル投入装置にセットされ、自動的に投入される。
【文献】特開2004-010102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、何らかの手違いによって卵の充填された包装容器とラベルとの間に不一致が生じる可能性があり、そのまま販売店に納入されると消費者からのクレームの対象となる。
このため、従来は最終工程において人間が目視によってラベルと包装容器との一致/不一致を検査していたが、そのために多大な労力と人件費を要するばかりでなく、人為的な見落としが生じる危険性があった。
【0006】
この発明は、このような従来技術の問題点を解決するために案出されたものであり、卵が詰められた包装容器と、包装容器内に投入されたラベルとの適合性を自動的に検査できる技術の実現を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載したラベル検査装置は、複数の卵が収納された包装容器に表示された二次元コードを読み取る第1のカメラと、上記包装容器内に挿入されたラベルの画像データを取り込む第2のカメラと、商品識別コードと、ラベルの画像データ及び賞味期限との組合せからなる検査対象情報を予め格納しておく設定情報記憶手段と、制御手段とを備え、上記制御手段は、第1のカメラを介して取り込まれた包装容器の二次元コードに基づいて、当該包装容器の商品識別コードを特定する処理と、上記設定情報記憶手段を参照し、当該商品識別コードに関連付けられたラベルの画像データ及び賞味期限を取得する処理と、上記第2のカメラを介して取り込まれたラベルの画像データと、上記商品識別コードに関連付けられたラベルの画像データを比較し、両者の一致/不一致を判定する処理と、不一致の場合にはラベル不一致のエラー出力をする処理と、を実行することを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載したラベル検査装置は、請求項1の装置を前提とし、さらに上記制御手段が、上記第2のカメラを介して取り込まれたラベルの画像データ中から賞味期限に相当する文字列を取得する処理と、賞味期限に相当する文字列と上記商品識別コードに関連付けられた賞味期限を比較し、両者の一致/不一致を判定する処理と、不一致の場合には賞味期限不一致のエラー出力をする処理と、を実行することを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載したラベル検査装置は、請求項2の装置を前提とし、さらに上記制御手段が、上記第2のカメラを介して取り込まれたラベルの画像データ中から賞味期限に相当する文字列を取得できない場合に、賞味期限不存在のエラー出力処理を実行することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載したラベル検査装置は、請求項1~3の装置においてエラー出力がなされた際に、包装容器を搬送するベルトコンベアを停止する手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載したラベル検査装置は、請求項1~4の装置においてエラー出力がなされた際に、包装容器を搬送するベルトコンベアの外部に当該エラー出力の対象となった包装容器を排出する手段を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明に係るラベル検査装置にあっては、設定情報記憶手段に予め登録されたラベルの画像と卵の包装容器内に挿入されたラベルとの一致/不一致が自動的に判定され、不一致の場合にはその旨が外部に出力されるため、人間の目視による検査が不要となり、人件費の削減や検査時間の削減、検査精度の向上を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、この発明に係るラベル検査装置10の構成を示す概念図であり、制御装置12と、タッチパネルディスプレイ(以下「タッチパネル」)14と、警告灯16と、ライン制御装置18と、カメラコントローラ20と、第1のカメラ22と、第2のカメラ24を備えている。
【0014】
制御装置12は、CPUやメモリ、各種入出力端子を備えたシーケンサ等のコンピュータよりなり、メモリに格納されたプログラムにしたがってCPUが動作することにより、後述の各種処理が実行される。
上記メモリ内には、設定情報記憶部26と、検査結果記憶部28が設けられている。
タッチパネル14、警告灯16、カメラコントローラ20、ライン制御装置18は、制御装置12と接続されている。
【0015】
第1のカメラ22及び第2のカメラ24は、カメラコントローラ20に接続されている。
カメラコントローラ20は、各カメラから取り込まれた画像に対して、エッジ抽出や位置修正、2値化処理等の各種画像処理を実行し、処理済みの画像データを制御装置12に出力する機能を果たすものである。
【0016】
検査対象である卵の包装容器30は、ベルトコンベア32によって第1のカメラ22及び第2のカメラ24の近傍の検査エリア34まで搬送される。
この際、包装容器30の蓋は開けられた状態で、所定個数の卵36とラベル(インパックラベル)38がすでに載せられている。なお、図示の便宜上、包装容器30の蓋の記載は省略されている。
【0017】
包装容器30の側面30aには、バーコード40が印字されたバーコードラベル42が貼り付けられており、第1のカメラ22は、このバーコード40の画像を取り込むのに適した位置に配置されている。
また第1のカメラ24は、ラベル38の画像を取り込むのに適した位置に配置されている。
図示は省略したが、第1のカメラ22及び第2のカメラ24の近傍には、それぞれ専用の照明装置が配置されている。
【0018】
設定情報記憶部26には、
図2に示すように、予め製品のJANコード(商品識別コード)とラベル画像、賞味期限の組合せからなる検査対象情報が複数組格納されている。
これらの検査対象情報は、タッチパネル14から事前に入力されている。
【0019】
ライン制御装置18は、ベルトコンベア32の搬送/停止動作を制御する装置である。また、不良商品をベルトコンベア32からライン外に個別に排出するプッシャ等の排出装置が設けられている場合、ライン制御装置18は当該排出装置の駆動をも制御することができる。
【0020】
つぎに、
図3のフローチャートにしたがい、検査装置10の処理手順を説明する。
まず、ベルトコンベア32によって包装容器30が検査装置10の検査エリア34に搬送されると、制御装置12は、第1のカメラ22によって取り込まれ、カメラコントローラ20から出力されたバーコード40の画像データに基づいてJANコードを検出する(S10)。
【0021】
つぎに制御装置10は、設定情報記憶部26を参照し、当該JANコードに関連付けられたラベル画像及び賞味期限を取得する(S12)。
同時に制御装置10は、第2のカメラ24によって取り込まれ、カメラコントローラ20から出力された画像データに基づいて、ラベル38の画像を検出すると共に、賞味期限を表す文字列を検出する(S14)。
【0022】
つぎに制御装置10は、設定情報記憶部26から取得したラベル画像と第2のカメラ24から取得したラベル画像が一致するか否か(S16)、第2のカメラ24によって取り込まれた画像データ中に賞味期限の記載が含まれているか否か(S18)、設定情報記憶部26から取得した賞味期限と第2のカメラ24から読み取った賞味期限が一致するか否か(S20)を判定する。
【0023】
これら3つの判定結果の中、一つでも「NO」がある場合には、制御装置10によってエラー出力処理が実行される(S22)。
例えば、制御装置10からタッチパネル14にエラーメッセージが出力され、ディスプレイ上に表示されると共に、ライン制御装置18を介してベルトコンベア32が停止される。
また、制御装置10から警告灯16にエラー警報信号が出力され、警告灯16の点滅及び警報音の再生が実行される。
あるいは、ベルトコンベア32による搬送はそのままで、ライン排出装置によってエラーの検出された包装容器30がベルトコンベア32の外に排出される。
エラーが発生した際には、制御装置12によって検査結果記憶部28にエラーの発生日時、エラーの種別等が記録される。
【0024】
これに対し、何れの判定処理においても「YES」の場合、検査済みの包装容器30はベルトコンベア32によってつぎの工程に移送され、検査エリア34には別の包装容器30が搬送される。そして、S10以降の処理が繰り返される。
すべての検査対象について検査が完了するまで、上記の処理は繰り返される(S24)。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明に係るラベル検査装置の構成を示す概念図である。
【
図3】ラベル検査装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0026】
10 ラベル検査装置
12 制御装置
14 タッチパネル
16 警告灯
18 ライン制御装置
20 カメラコントローラ
22 第1のカメラ
24 第2のカメラ
26 設定情報記憶部
28 検査結果記憶部
30 包装容器
32 ベルトコンベア
34 検査エリア
36 卵
38 ラベル
40 バーコード
42 バーコードラベル