(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】スポイラ状表示板および自動車
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/50 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
B60Q1/50
(21)【出願番号】P 2023039364
(22)【出願日】2023-03-14
【審査請求日】2023-03-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515311039
【氏名又は名称】東山 秀昭
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】東山 秀昭
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-241883(JP,A)
【文献】実開昭59-131333(JP,U)
【文献】特開平10-44861(JP,A)
【文献】登録実用新案第3064176(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(2)の後部に設けられるスポイラ状の表示板であって、
自動車(2)の後部に回動可能に設けられ、リアスポイラとして機能するスポイラ位置(P1)と、このスポイラ位置(P1)から回動して起立した表示位置(P2)とを選択的に取り得、表示位置(P2)にあるとき自動車(2)の少なくとも後方(R)に向けて第1メッセージ(M1)を表示する第1表示板(10)と、
表示位置(P2)にある第1表示板(10)から上方に突出し、自動車(2)の少なくとも後方(R)に向けて第2メッセージ(M2)を表示する第2表示板(20)と、
を備えていることを特徴とするスポイラ状表示板。
【請求項2】
自動車(2)のルーフ上部に設けられるスポイラ状の表示板であって、
自動車(2)のルーフ上部に回動可能に設けられ、ルーフスポイラとして機能するスポイラ位置(P1)と、このスポイラ位置(P1)から回動して起立した表示位置(P2)とを取り得、表示位置(P2)にあるとき自動車(2)の前方(F)および後方(R)に向けて第1メッセージ(M1)を表示する第1表示板(10)と、
表示位置(P2)にある第1表示板(10)から上方に突出し、自動車(2)の前方(F)および後方(R)に向けて第2メッセージ(M2)を表示する第2表示板(20)と、
を備えていることを特徴とするスポイラ状表示板。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記第1表示板(10)を回動させる回動駆動機構(30)と、第1表示板(10)から第2表示板(20)を突出させる突出機構(40)とを備えていることを特徴とするスポイラ状表示板。
【請求項4】
請求項1または2において、
前記第1表示板(10)および/または第2表示板(20)は第1メッセージ(M1)および/または第2メッセージ(M2)を照明する照明手段(60)を備えていることを特徴とするスポイラ状表示板。
【請求項5】
請求項1または2のスポイラ状表示板を備えていることを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポイラ状表示板および自動車に関するものである。より詳しくは、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、自動車を停止して周囲に適切なメッセージを表示することができるようにするスポイラ状表示板および自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
<特許文献1>実公平6-24279号公報
特許文献1には、
「自動車の車体後部のリアスポイラーに三角表示板を一体的に内蔵させることにより、非常時には内蔵された三角表示板を引き出すことにより、迅速に表示することを可能とした三角表示板付きリアスポイラーを提供すること」を課題とし(同文献〔考案が解決しようとする課題〕の欄)、
「車体後部に取り付けられる収納可能な三角表示板付きリアスポイラーにおいて、上記三角表示板が、底辺表示板と二つの斜辺表示板とで成り、底辺表示板がリアスポイラーの上面に設けた凹部内でほぼ平坦に折り畳んだ収納状態から、該リアスポイラー上面から略直角に立ち上がることにより起立状態となるとともに、二つの斜辺表示板が該底辺表示板の下方でリアスポイラー内の切り込み部へ垂直状態で内蔵され且つそれぞれ反対側の端部を支点として該リアスポイラーの斜め上方へ引き出されてその各自由端が互いに固定されることにより、リアスポイラー上で実質的に垂直な三角形状の組立状態となるよう構成した」(同文献〔課題を解決するための手段〕の欄)
三角表示板付きリアスポイラーが記載されている。
【0003】
しかし、この三角表示板付きリアスポイラーは、三角表示板を表示できるだけであり、他のメッセージを表示できない。
また、表示面積も大きくはないので、周囲に対する注意喚起力にも乏しい。
【0004】
<特許文献2>特開平2-241883号公報
特許文献2には、
「進行方向に対して直角となる立上り部が設けられたスポイラ本体と、所定値以上の減速度を検出する減速度センサと、前記減速度センサの出力に応動する駆動部とから成り、前記減速度センサの出力による前記駆動部の応動で前記立上り部を地表と直角に立ち上がらせ、前記減速度センサの出力の停止による前記駆動部の復帰で前記立上り部を地表と平行位置とすることを特徴とする車両用リアスポイラを提供し、更に、その立上り部の下面に文字あるいは電光による表示部を設けることで、高速走行時の急制動の場合の性能向及び追突事故防止を図」った(同文献「課題を解決するための手段」の欄)
車両用リアスポイラが記載されている。
【0005】
しかし、この車両用リアスポイラは、追突事故防止を図ったものであり、表示されるメッセージも同文献第5図に示されるような「急制動中!!」というものであるから、事故等が発生したり急病が発症したりしたときに、周囲に注意を喚起する表示としては適していない。
また、仮に表示内容を変えたとしても、表示面積も大きくはないので、周囲に対する注意喚起力にも乏しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平6-24279号公報
【文献】特開平2-241883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示することができるスポイラ状表示板および自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明のスポイラ状表示板は、
自動車の後部に設けられるスポイラ状の表示板であって、
自動車の後部に回動可能に設けられ、リアスポイラとして機能するスポイラ位置と、このスポイラ位置から回動して起立した表示位置とを選択的に取り得、表示位置にあるとき自動車の少なくとも後方に向けて第1メッセージを表示する第1表示板と、
表示位置にある第1表示板から上方に突出し、自動車の少なくとも後方に向けて第2メッセージを表示する第2表示板と、
を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成となっているので、本発明のスポイラ状表示板によれば、次のような作用効果が得られる。
自動車の通常運転時には、第1表示板をスポイラ位置とし、リアスポイラとして機能させることができる。なお、通常運転時には、第2表示板は第1表示板から突出していない。
一方、事故等が発生したり急病が発症したりした非常時には、自動車を安全な場所へ駐停車し、第1表示板をスポイラ位置から表示位置へ起立させるとともに、第2表示板を第1表示板から上方に突出させ、第1表示板には第1メッセージを、第2表示板には第2メッセージを、それぞれ少なくとも自動車の後方へ向けて表示させることができる。
メッセージは、起立した第1表示板だけでなくこの第1表示板から上方へ突出した第2表示板にも表示することができるので、表示面積を広くできるとともに第1,第2表示板にそれぞれ適切なメッセージを表示でき、結果として、周囲に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
以上のようにこの本発明によれば、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明のスポイラ状表示板は、
自動車のルーフ上部に設けられるスポイラ状の表示板であって、
自動車のルーフ上部に回動可能に設けられ、ルーフスポイラとして機能するスポイラ位置と、このスポイラ位置から回動して起立した表示位置とを取り得、表示位置にあるとき自動車の前方および後方に向けて第1メッセージを表示する第1表示板と、
表示位置にある第1表示板から上方に突出し、自動車の前方および後方に向けて第2メッセージを表示する第2表示板と、
を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記の構成となっているので、本発明のスポイラ状表示板によれば、次のような作用効果が得られる。
自動車の通常運転時には、第1表示板をスポイラ位置とし、ルーフスポイラとして機能させることができる。なお、通常運転時には、第2表示板は第1表示板から突出していない。
一方、事故等が発生したり急病が発症したりした非常時には、自動車を安全な場所へ駐停車し、第1表示板をスポイラ位置から表示位置へ起立させるとともに、第2表示板を第1表示板から上方に突出させ、第1表示板には第1メッセージを、第2表示板には第2メッセージを、それぞれ自動車の前方および後方に向けて表示させることができる。
メッセージは、起立した第1表示板だけでなくこの第1表示板から上方へ突出した第2表示板にも表示することができるので、表示面積を広くできるとともに第1,第2表示板にそれぞれ適切なメッセージを表示でき、結果として、周囲に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
しかもこの発明のスポイラ状表示板によれば、自動車のルーフ上において第1,第2表示板で車両前後にメッセージが表示されるので、より広範囲にメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
以上のようにこの本発明によれば、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
【0012】
このスポイラ状表示板においては、
前記第1表示板を回動させる回動駆動機構と、第1表示板から第2表示板を突出させる突出機構とを備えている構成とすることができる。
このように構成すると、手動でではなく、上記回動駆動機構と突出機構とにより、第1表示板を自動で回動させ、第2表示板を自動で突出させることができる。
【0013】
このスポイラ状表示板においては、
前記第1表示板および/または第2表示板は第1メッセージおよび/または第2メッセージを照明する照明手段を備えている構成とすることができる。
このように構成すると、上記照明手段により、夜間においても周囲に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することが可能となる。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明の自動車は、
上記のようなスポイラ状表示板を備えていることを特徴とする。
この自動車によれば、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係るスポイラ状表示板ないし自動車の実施の形態を示す図で、(a1)は側面図、(b1)は背面図、(a2)は作動状態を示す側面図、(b2)は同じく背面図。
【
図2】本発明に係るスポイラ状表示板ないし自動車の他の実施の形態を示す図で、(a1)は側面図、(b1)は背面図、(a2)は作動状態を示す側面図、(b2)は同じく背面図。
【
図3】本発明に係るスポイラ状表示板の実施の形態を示す図で、(a)は側面図、(b)は背面図。
【
図4】同実施の形態の作動状態を示す図で、(a)は側面図、(b)は背面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るスポイラ状表示板ないし自動車の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0017】
図1,および
図3,
図4に示す実施の形態のスポイラ状表示板1は、
自動車2の後部3に設けられるスポイラ状の表示板であって、
自動車2の後部3に回動可能に設けられ、リアスポイラとして機能するスポイラ位置P1と、このスポイラ位置P1から回動して起立した表示位置P2とを選択的に取り得、表示位置P2にあるとき自動車2の少なくとも後方(矢印R方向)に向けて第1メッセージM1を表示する第1表示板10と、
表示位置P2にある第1表示板10から上方に突出し、自動車2の少なくとも後方Rに向けて第2メッセージM2を表示する第2表示板20と、
を備えている。
【0018】
上記の構成となっているので、このスポイラ状表示板1によれば、次のような作用効果が得られる。
【0019】
自動車2の通常運転時には、
図1(a1)(b1)に示すように、第1表示板10をスポイラ位置P1とし、リアスポイラとして機能させることができる。なお、通常運転時には、第2表示板20は第1表示板10から突出していない。
【0020】
一方、事故等が発生したり急病が発症したりした非常時には、
図1(a2)(b2)に示すように、自動車2を安全な場所へ駐停車し、第1表示板10をスポイラ位置P1から表示位置P2へ起立させるとともに、第2表示板20を第1表示板10から上方に突出させ、第1表示板10には第1メッセージM1(例えば「警察→救急車」)を、第2表示板20には第2メッセージM2(例えば「SOS」)を、それぞれ少なくとも自動車2の後方Rへ向けて表示させることができる。
【0021】
メッセージは、起立した第1表示板10だけでなくこの第1表示板10から上方へ突出した第2表示板20にも表示することができるので、表示面積を広くできるとともに第1,第2表示板10,20にそれぞれ適切なメッセージM1,M2を表示でき、結果として、周囲の人々に適切なメッセージM1,M2を表示して周囲および後続車に対する注意を十分に喚起することができる。
【0022】
以上のようにこのスポイラ状表示板1によれば、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示して周囲および後続車に対する注意を十分に喚起することができる。
【0023】
なお、
図1に示す実施の形態では、第1,第2表示板10,20により自動車2の後方Rへ向けて第1,第2メッセージM1,M2を表示するようにしたが、後方だけでなく前方(矢印F方向)へも向けて第1表示板10および/または第2表示板20により第1メッセージおよび/または第2メッセージM2を表示するようにしてもよい。特に、第2表示板20は第1表示板10よりも上方に位置するので、車両の前方からでも視認することが可能であり、車両前方にいる周囲の人々および対向車にもメッセージを伝えることができる。図(b2)では背面側への表示状態を示しているが、前面側への表示状態も同様である。
【0024】
図2,および
図3,
図4に示す実施の形態のスポイラ状表示板1は、
自動車2のルーフ上部4に設けられるスポイラ状の表示板であって、
自動車2のルーフ上部4に回動可能に設けられ、ルーフスポイラとして機能するスポイラ位置P1と、このスポイラ位置P1から回動して起立した表示位置P2とを取り得、表示位置P2にあるとき自動車2の前方Fおよび後方Rに向けて第1メッセージM1を表示する第1表示板10と、
表示位置P2にある第1表示板10から上方に突出し、自動車2の前方Fおよび後方Rに向けて第2メッセージM2を表示する第2表示板20と、
を備えている。
【0025】
上記の構成となっているので、このスポイラ状表示板1によれば、次のような作用効果が得られる。
【0026】
自動車2の通常運転時には、
図2(a1)(b1)第1表示板10をスポイラ位置P1とし、ルーフスポイラとして機能させることができる。なお、通常運転時には、第2表示板20は第1表示板10から突出していない。
【0027】
一方、事故等が発生したり急病が発症したりした非常時には、自動車2を安全な場所へ駐停車し、
図2(a2)(b2)に示すように、第1表示板10をスポイラ位置P1から表示位置P2へ起立させるとともに、第2表示板20を第1表示板10から上方に突出させ、第1表示板10には第1メッセージM1を、第2表示板20には第2メッセージM2を、それぞれ自動車2の前方Fおよび後方Rに向けて表示させることができる。図(b2)では背面側への表示状態を示しているが、前面側への表示状態も同様である。
【0028】
メッセージは、起立した第1表示板10だけでなくこの第1表示板10から上方へ突出した第2表示板20にも表示することができるので、表示面積を広くできるとともに第1,第2表示板20にそれぞれ適切なメッセージM1,M2を表示でき、結果として、周囲の人々に適切なメッセージを表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
【0029】
しかもこのスポイラ状表示板1によれば、自動車2のルーフ上において第1,第2表示板20で車両前後にメッセージM1,M2が表示されるので、より広範囲にメッセージを表示して周囲、後続車、および対向車に対する注意を十分に喚起することができる。
【0030】
以上のようにこのスポイラ状表示板1によれば、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示して周囲、後続車、および対向車に対する注意を十分に喚起することができる。
【0031】
第1表示板10を回動させる手段、第1表示板10から第2表示板20を突出させる手段は、それぞれ手動でも可能であるが、この実施の形態は、例えば
図3,
図4を参照して後に詳しく説明するような第1表示板10を回動させる回動駆動機構30と、第1表示板10から第2表示板20を突出させる突出機構40とを備えている。
【0032】
このように構成すると、手動でではなく、上記回動駆動機構30と突出機構40とにより、第1表示板10を自動で回動させ、第2表示板20を自動で突出させることができる。
【0033】
このスポイラ状表示板においては、例えば
図5に示すように
第1表示板10および/または第2表示板20は第1メッセージM1および/または第2メッセージM2を照明する照明手段60を備えている構成とすることができる。
【0034】
このように構成すると、上記照明手段60により、夜間においても周囲に適切なメッセージM1,M2を表示して周囲に対する注意を十分に喚起することが可能となる。
照明手段60は警告灯としての役割も果たす
【0035】
第1、第2表示板10,20の両方又はいずれか一方は電光表示板で構成することができる。
このように構成すると、昼夜を問わず周囲に適切なメッセージM1,M2を表示して周囲に対する注意を十分に喚起することが可能となる。
【0036】
例えば、
図1又は
図2に示したようなスポイラ状表示板1を備えている自動車2によれば、自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージM1,M2を表示して周囲に対する注意を十分に喚起することができる。
【0037】
以下、さらに詳しく説明する。
第1,第2表示板10,20はいずれも公知の適宜の材料、例えば合成樹脂(FRPを含む)、金属等で構成することができる。また、少なくともメッセージの表示面は、公知の電光掲示板で構成することができる。
【0038】
メッセージM1,M2の具体例としては、「SOS」、「警察→救急車」、「事故→警察→救急車」、「車両故障→走行注意」、「体調不良→救急車」、「故障→JAF連絡」、「警察→TEL」等を挙げることができる。
【0039】
メッセージM1,M2としては、例えばこれらメッセージの適宜の組み合わせを採用することができる。
図1では、第1メッセージM1として「警察→救急車」を、第2メッセージM2として「SOS」を採用した例を示している。
【0040】
第1,第2表示板10,20を電光掲示板で構成する場合、表示するメッセージM1,M2はそのときの非常時の状況に応じて適宜のメッセージを採用することができる。
この場合、例えば自動車の運転室に
図6に示すように上記メッセージM1,M2に対応した表示選択ボタンスイッチ61、62を設け、これらのボタンスイッチを選択にONすることによって公知の電光表示パネル制御手段66を介し第1,第2表示板10,20に所望のメッセージM1,M2表示されるようにすることができる。
【0041】
また、自動車2が備える公知の送受信手段(通信手段)68を用いて、ONされたボタンスイッチに対応した場所(例えば、警察、JAF、消防指令センター等)と自動的に通信可能な状態となるようにすることもできる。また、同時に、自動車が備えるナビゲーションシステム69のGPS信号による位置情報を上記ONされたボタンスイッチに対応した場所へ自動的に送信するようににすることもできる。
【0042】
また、表示選択ボタンスイッチ61、62のいずれかがONされたとき、第1表示板10を回動させる回動駆動機構30を駆動制御する公知の駆動制御手段63と、第1表示板10から第2表示板20を突出させる突出機構40を駆動制御する公知の駆動制御手段64とを介して第1表示板10を回動させた後第2表示板20を突出させるようにする。
60Bはスイッチボードであり、公知のボタンスイッチ用コントロールユニットで構成することができる。
【0043】
図3,
図4に示すように、第1表示板10を回動させる回動駆動機構30は、
自動車の車体またはベース部31と、
このベース部31に立設され、第1表示板10の左右(自動車の進行方向から見て左右。以下同じ)を軸11で回動可能に支持する支持板32,32と、
ベース部31または一方の支持板32に取り付けられ、前記駆動制御手段63で駆動制御される駆動モータ(ステッピングモータ)33と、
このモータで駆動されるねじ軸(ボールねじを含む)34と、
このねじ軸34とねじ結合していることによって軸方向に移動させられるスライダ35と、
このスライダ35と第1表示板10とを連結しているリンク36とを有している。
なお、この実施の形態では、上記ねじ軸34、スライダ35、およびリンク36は、左右一対設けられており(
図3(b))、ねじ軸34,34はベベルギヤ37および連結シャフト38を介して連動するようになっている。
【0044】
この回動駆動機構30は次のように作動する。
図3(a)に実線で示すように、第1表示板10がスポイラ位置P1にある状態から、モーター33の駆動でねじ軸34が正方向に回転すると、スライダ35が後方(矢印R方向)へ移動し、リンク36による連動作用で第1表示板10が回動して表示位置P2へと起立する。なお、ねじ軸34が逆転すると、各部材は原位置に復帰する。
【0045】
図3,
図4に示すように、第1表示板10から第2表示板20を突出させる突出機構40は、
第1表示板10の左右に設けられ、第2表示板20の左右をスライド可能に案内するガイド部(図示のものはガイド溝)12、12と、
第2表示板20の左右に設けられたラック21,21と、
第1表示板10の後部(起立した状態での上部)に設けられ、前記駆動制御手段64で駆動制御される両軸モータ(ステッピングモータ)13と、
この両軸モータ13で軸14,14を介して駆動され、前記ラック21,21と噛み合うピニオン15,15と、を備えている。
【0046】
この突出機構40は次のように作動する。
図3(a)に仮想線で示すように、第1表示板10が表示位置P2にある状態から、モーター13が正転してピニオン15,15が正転すると、ラック21,21とともに第2表示板20が上動し、第1表示板10から上方へ突出する。なお、モーター13が逆転すると、各部材は原位置に復帰する。
【0047】
例えば
図5に示した、第1表示板10および/または第2表示板20の第1メッセージM1および/または第2メッセージM2を照明する照明手段60は、適宜の照明手段、例えばLEDで構成することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。例えば、
【0049】
第1表示板10の回動および第2表示板20のスライドを手動で行う場合、これら表示板には照明手段(ないし発光手段)60のためのバッテリを設けることができる。
手動にする場合、第2表示板20の上部25は指掛け部とする。
手動にする場合、ベース部31または支持板32と第1表示板10との間、および第1表示板10と第2表示板20との間には公知の適宜のロック機構を設ける。
【0050】
第1、第2表示板10,20は本発明の機能を損なわない範囲で適宜の形状を採用することができる。
【符号の説明】
【0051】
1: スポイラ状表示板
10: 第1表示板
20: 第2表示板
30: 回動駆動機構
40: 突出機構
60: 照明手段
【要約】
【課題】自動車運転時に事故等が発生したり急病が発症したりしたとき、周囲に適切なメッセージを表示することができるスポイラ状表示板および自動車を提供する。
【解決手段】自動車2の後部またはルーフ部に設けられるスポイラ状の表示板であって、 自動車2の後部またはルーフ部に回動可能に設けられ、リアスポイラまたはルーフスポイラとして機能するスポイラ位置P1と、このスポイラ位置P1から回動して起立した表示位置P2とを選択的に取り得、表示位置P2にあるとき自動車2の少なくとも後方Rに向けて第1メッセージM1を表示する第1表示板10と、表示位置P2にある第1表示板10から上方に突出し、自動車2の少なくとも後方Rに向けて第2メッセージM2を表示する第2表示板20とを備えている。
【選択図】
図1