(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】操作装置
(51)【国際特許分類】
H01H 25/04 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
H01H25/04 A
H01H25/04 F
(21)【出願番号】P 2019173059
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000213954
【氏名又は名称】朝日電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 智晃
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-291456(JP,A)
【文献】特開平04-242026(JP,A)
【文献】特開平06-190145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/00 - 25/06
H01H 89/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動操作及び回転操作可能な操作手段と、
前記操作手段に対する揺動操作又は回転操作に伴って揺動又は回転する軸部と、
前記軸部が挿通されて当該軸部の揺動及び回転を許容する開口部を有する筐体部と、
前記筐体部内に収容され、前記操作手段の揺動操作又は回転操作に伴う前記軸部の動作を検出して当該動作に応じた信号を外部に送信可能な検出部と、
前記操作手段の揺動操作によって前記軸部が揺動したとき、当該軸部を初期位置に戻す付勢力が生じる揺動用付勢手段と、
前記操作手段の回転操作によって前記軸部が回転したとき、当該軸部を初期位置に戻す付勢力が生じる回転用付勢手段と、
を具備した操作装置において、
前記揺動用付勢手段の一端を受ける受け面が形成された第1作動子と、
前記揺動用付勢手段の他端を受けるとともに、前記第1作動子を挿通させて前記軸部の軸方向に対する当該第1作動子の変位を許容しつつ前記軸部を挿通させて当該軸部の回転を許容する第2作動子と、
を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記揺動用付勢手段は、前記第1作動子及び第2作動子にコイル部が挿通されたコイルスプリングから成ることを特徴とする請求項1記載の操作装置。
【請求項3】
前記第2作動子は、前記揺動用付勢手段の他端を受ける受け部材が取り付け可能とされたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の操作装置。
【請求項4】
前記第2作動子は、周方向に亘って溝が形成されるとともに、当該溝に前記受け部材を固定するための固定部材が係止されることを特徴とする請求項3記載の操作装置。
【請求項5】
前記筐体部は、前記開口部が形成された保持部材を有し、当該開口部の開口縁面に前記第2作動子の係止面が当接して係止されるとともに、当該係止面は、前記軸部の揺動方向に沿って弧状に形成されたことを特徴とする請求項1~4の何れか1つに記載の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動操作又は回転操作可能な操作手段を具備した操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば船外機を有した船舶を操縦するための操作装置として、揺動操作及び回転操作可能な操作手段と、操作手段に対する揺動操作又は回転操作に伴って揺動又は回転する軸部と、操作手段の揺動操作によって軸部が揺動したとき、当該軸部を初期位置に戻す付勢力が生じる揺動用付勢手段と、操作手段の回転操作によって軸部が回転したとき、当該軸部を初期位置に戻す付勢力が生じる回転用付勢手段と、揺動用付勢手段の一端を受ける作動子とを具備したものが挙げられる。
【0003】
かかる従来の操作装置は、揺動用付勢手段の他端を受けるためのワッシャが軸部の所定位置に取り付けられており、操作手段の揺動操作によって軸部が所望の方向に揺動すると、軸部の軸方向に対して作動子が変位して揺動用付勢手段を圧縮し、その復元力によって軸部及び操作手段を初期位置に戻すよう構成されている。また、操作手段の回転操作によって軸部が回転すると、回転用付勢手段を捩り、その復元力によって軸部及び操作手段を初期位置に戻すよう構成されている。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の操作装置においては、揺動用付勢手段の他端を軸部に取り付けられたワッシャで受ける構成とされているため、操作手段を回転操作することにより軸部が回転する際、ワッシャが揺動用付勢手段の他端に対して摺動して摩擦力が生じてしまう。かかる摩擦力は、軸部の回転時の抵抗力となるため、回転操作時の操作性が悪化してしまう虞があった。
【0005】
さらに、従来の操作装置においては、揺動用付勢手段の付勢力がワッシャを介して軸部に伝達されることから、当該揺動用付勢手段の付勢力(設定荷重)を大きく設定する場合、その付勢力が回転時の軸部に対しても及ぶこととなり、操作手段の揺動操作時に付与される付勢力と、回転操作時に付与される付勢力とを別個独立して適宜に設定することが難しいという問題もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回転操作時の操作性を良好に維持することができるとともに、操作手段の揺動操作時に付与される付勢力と回転操作時に付与される付勢力とを別個独立して適宜に設定することができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、揺動操作及び回転操作可能な操作手段と、前記操作手段に対する揺動操作又は回転操作に伴って揺動又は回転する軸部と、前記軸部が挿通されて当該軸部の揺動及び回転を許容する開口部を有する筐体部と、前記筐体部内に収容され、前記操作手段の揺動操作又は回転操作に伴う前記軸部の動作を検出して当該動作に応じた信号を外部に送信可能な検出部と、前記操作手段の揺動操作によって前記軸部が揺動したとき、当該軸部を初期位置に戻す付勢力が生じる揺動用付勢手段と、前記操作手段の回転操作によって前記軸部が回転したとき、当該軸部を初期位置に戻す付勢力が生じる回転用付勢手段とを具備した操作装置において、前記揺動用付勢手段の一端を受ける受け面が形成された第1作動子と、前記揺動用付勢手段の他端を受けるとともに、前記第1作動子を挿通させて前記軸部の軸方向に対する当該第1作動子の変位を許容しつつ前記軸部を挿通させて当該軸部の回転を許容する第2作動子とを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の操作装置において、前記揺動用付勢手段は、前記第1作動子及び第2作動子にコイル部が挿通されたコイルスプリングから成ることを特徴とする
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の操作装置において、前記第2作動子は、前記揺動用付勢手段の他端を受ける受け部材が取り付け可能とされたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の操作装置において、前記第2作動子は、周方向に亘って溝が形成されるとともに、当該溝に前記受け部材を固定するための固定部材が係止されることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1~4の何れか1つに記載の操作装置において、前記筐体部は、前記開口部が形成された保持部材を有し、当該開口部の開口縁面に前記第2作動子の係止面が当接して係止されるとともに、当該係止面は、前記軸部の揺動方向に沿って弧状に形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、揺動用付勢手段の一端を受ける受け面が形成された第1作動子と、揺動用付勢手段の他端を受けるとともに、第1作動子を挿通させて軸部の軸方向に対する当該第1作動子の変位を許容しつつ軸部を挿通させて当該軸部の回転を許容する第2作動子とを備えたので、回転操作時の操作性を良好に維持することができるとともに、操作手段の揺動操作時に付与される付勢力と回転操作時に付与される付勢力とを別個独立して適宜に設定することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、揺動用付勢手段は、第1作動子及び第2作動子にコイル部が挿通されたコイルスプリングから成るので、操作手段の揺動操作に伴って揺動用付勢手段の付勢力を確実に付与することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、第2作動子は、揺動用付勢手段の他端を受ける受け部材が取り付け可能とされたので、揺動用付勢手段を組み付けた後、受け部材を組み付けて揺動用付勢手段の他端を受けさせることができ、組み付け性を向上させることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、第2作動子は、周方向に亘って溝が形成されるとともに、当該溝に受け部材を固定するための固定部材が係止されるので、受け部材を確実に第2作動子に固定させることができ、揺動用付勢手段の他端を確実且つ安定して受けることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、筐体部は、開口部が形成された保持部材を有し、当該開口部の開口縁面に第2作動子の係止面が当接して係止されるとともに、当該係止面は、軸部の揺動方向に沿って弧状に形成されたので、軸部を弧状の係止面に沿って滑らかに揺動させることができ、操作手段を揺動操作させる際の操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る操作装置の外観を示す斜視図
【
図7】同操作装置における回転部材を上方から見た斜視図
【
図11】同操作装置における第1作動子を示す斜視図
【
図13】同操作装置における第2作動子を示す斜視図
【
図15】同操作装置における軸部材に対する第1作動子及び第2作動子の組み付け状態を示す拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る操作装置は、船舶の操縦席近傍に取り付けられて船外機等を制御可能なもので、
図1~6に示すように、操作手段1と、軸部2と、筐体部3と、角度センサから成る揺動検出部4及び回転検出部5と、揺動用付勢手段7と、回転用付勢手段8と、第1作動子14と、第2作動子15とを具備して構成されている。なお、図中符号Bは、軸部2等を覆う蛇腹状のブーツを示している。
【0019】
操作手段1は、運転者が把持して操作可能な略円筒状部材から成るもので、前後方向(
図2中βで示す方向)及び左右方向(同図中γで示す方向)に対する揺動操作、並びに回転方向(
図1及び
図2中αで示す方向)に対する回転操作が可能とされている。この操作手段1には、
図3~6に示すように、ネジN及び固定ピンP3により軸部2の先端部が固定されている。
【0020】
軸部2は、操作手段1に対する揺動操作又は回転操作に伴って揺動又は回転する軸状部材から成るもので、先端部に操作手段1が取り付けられるとともに、基端部が筐体部3内の揺動ピンP1、P2を中心として揺動可能とされている。すなわち、操作手段1を前後方向(βで示す方向)に揺動操作すると、軸部2が揺動ピンP2を中心として揺動するとともに、操作手段1を左右方向(γで示す方向)に揺動操作すると、軸部2が揺動ピンP1を中心として揺動するよう構成されている。
【0021】
また、軸部2の下端部には、磁石m1が取り付けられており、操作手段1を揺動操作すると、軸部2の揺動動作に追従して磁石m1が移動し得るようになっている。そして、磁石m1の下方の位置には、角度センサから成る揺動検出部4が配設されており、磁石m1の磁気変化を揺動検出部4にて検出することにより、操作手段2の揺動操作に伴う軸部2の動作(揺動動作)を検出し得るよう構成されている。
【0022】
筐体部3は、保持部材13を上部に有するとともに、内部に内ケース9を収容した収容部材から成る。保持部材13は、
図10に示すように、略中央部に開口部13cが形成されており、筐体部3の上部に取り付けられた状態において、開口部13cに軸部2が挿通されて当該軸部2の揺動及び回転を許容し得るようになっている。また、保持部材13の上面における開口部13cの周囲には、
図15に示すように、第1作動子14の当接面14bが当接し得る開口上縁部13aを有するとともに、開口部13cの開口縁面13bには、同図に示すように、第2作動子15の係止面15bが当接し得るようになっている。
【0023】
内ケース9は、
図3~6に示すように、回転部材11を回転可能に保持するとともに、揺動検出部4及び回転検出部5が取り付けられた基板6を保持している。回転部材11は、軸部2の回転に伴って回転動作し得るもので、
図7~9に示すように、円弧状の磁石m2が側方に取り付けられているとともに、操作手段1を回転操作すると、軸部2の回転動作に追従して磁石m2が移動し得るようになっている。そして、磁石m2の下方の位置には、角度センサから成る回転検出部5が配設されており、磁石m2の磁気変化を回転検出部5にて検出することにより、操作手段2の回転操作に伴う軸部2の動作(回転動作)を検出し得るよう構成されている。
【0024】
また、回転部材11の内部には、支持部材10が取り付けられており、軸部2及び支持部材10が揺動ピンP1で連結されるとともに、支持部材10及び回転部材11が揺動ピンP2で連結されている。これにより、操作手段1を揺動操作する場合、軸部2が揺動ピンP1、P2を中心として揺動するとともに、操作手段1を回転操作する場合、その回転力が支持部材10を介して回転部材11に伝達され、当該回転部材11が回転し得るようになっている。
【0025】
さらに、回転部材11と内ケース9との間には、捩りコイルバネから成る回転用付勢手段8が配設されており、かかる回転用付勢手段8の一端が回転部材11に係止されるとともに、他端が内ケース9の所定部位に係止されている。そして、操作手段1の回転操作によって軸部2及び回転部材11が回転すると、回転用付勢手段11が捩られて軸部2及び回転部材11を初期位置に戻す付勢力が生じるようになっている。
【0026】
またさらに、筐体部3内(具体的には、内ケース9内)には基板6が収容されており、かかる基板6には、既述のように、操作手段2の揺動操作又は回転操作に伴う軸部2の動作を検出して当該動作に応じた信号を外部に送信可能な検出部(揺動検出部4及び回転検出部5)が取り付けられている。なお、内ケース9内における基板6が収容された部位(回転部材11を保持した部位と画成された部位)には、樹脂が充填されて防水が図られている。
【0027】
揺動用付勢手段7は、操作手段2の揺動操作によって軸部2が揺動したとき、当該軸部2を初期位置に戻す付勢力が生じるもので、本実施形態においてはコイルスプリングから成る。すなわち、軸部2が前後方向又は左右方向に揺動すると、コイルスプリングから成る揺動用付勢手段7が圧縮されるので、その復元力が軸部2を初期位置に戻す付勢力となって作用するのである。
【0028】
第1作動子14は、
図11、12に示すように、一端部が拡径した軸状部材から成り、拡径した部位における上面で構成される受け面14aと、拡径した部位における下面で構成される当接面14bと、軸方向に貫通する貫通孔14cとを有して構成されている。受け面14aは、
図15に示すように、揺動用付勢手段7の一端を受ける部位から成るとともに、当接面14bは、軸部材2の揺動時に保持部材13の開口上縁部13aと当接し得る部位から成る。また、第1作動子14の貫通孔14cは、第2作動子15を挿通可能な径寸法とされている。
【0029】
第2作動子15は、
図13、14に示すように、一端部が拡径した軸状部材から成り、その軸状の先端部には、周方向に亘って溝15aが形成されるとともに、拡径部には、係止面15bが形成されている。また、第2作動子15には、軸方向に貫通する貫通孔15cが形成されており、かかる貫通孔15cは、軸部2を挿通可能な径寸法とされている。さらに、第2作動子15には、
図15に示すように、揺動用付勢手段7の他端を受けるワッシャから成る受け部材16が取り付けられるとともに、溝15aには、受け部材16を固定するためのEリングから成る固定部材17が取り付けられている。
【0030】
一方、第2作動子15の係止面15bは、第2作動子15が保持部材13の開口部13cに挿通された状態において、開口縁面13bと当接して係止されるようになっている。すなわち、第2作動子15は、開口部13cに挿通された状態において、揺動用付勢手段7により
図15中上方に付勢されており、係止面15bが開口縁面13bに当接することにより、第2作動子15が当該開口縁面13bに係止されて保持されるのである。
【0031】
さらに、本実施形態に係る係止面15bは、軸部2の揺動方向に沿って弧状に形成されている。これにより、操作手段1を揺動操作すると、弧状の係止面15bに沿って開口縁面13bが摺動することとなり、滑らかな揺動操作が可能とされている。なお、軸部2の揺動を許容するものであれば、係止面15bが弧状に形成されていなくてもよく、例えば段状に形成されたもの、或いは揺動操作に伴って弾性変形し得るもの等であってもよい。
【0032】
そして、第2作動子15の係止面15bを保持部材13の開口縁面13bに当接させ、その第2作動子15の軸部を第1作動子14の貫通孔14cに挿通させた状態において、コイルスプリングから成る揺動用付勢手段7のコイル部を第1作動子14及び第2作動子15に挿通させた後、受け部材16を第2作動子15の先端部に挿通させ、溝15aに固定部材17を取り付けることにより、
図15に示すように、揺動用付勢手段7を軸部2に対して組み付けることができる。なお、本実施形態においては、第2作動子15の先端にワッシャ18が挿通されている。
【0033】
これにより、本実施形態の第2作動子15は、揺動用付勢手段7の他端を受けるとともに、第1作動子14を挿通させて軸部2の軸方向に対する当該第1作動子14の変位を許容しつつ軸部2を挿通させて当該軸部2の回転を許容するものとされる。具体的には、操作手段1を揺動操作すると、当接面14bが開口上縁部13aで押圧されるので、第1作動子14が軸部2の軸方向(揺動用付勢手段7を圧縮する方向)に変位して当該軸部2を初期位置に戻す付勢力が生じるとともに、操作手段1を回転操作すると、軸部2は第2作動子15内で回転するので、揺動用付勢手段7の付勢力を受けることなく回転可能とされている。
【0034】
上記実施形態によれば、揺動用付勢手段7の一端を受ける受け面14aが形成された第1作動子14と、揺動用付勢手段7の他端を受けるとともに、第1作動子14を挿通させて軸部2の軸方向に対する当該第1作動子14の変位を許容しつつ軸部2を挿通させて当該軸部2の回転を許容する第2作動子15とを備えたので、回転操作時の操作性を良好に維持することができるとともに、操作手段1の揺動操作時に付与される付勢力と回転操作時に付与される付勢力とを別個独立して適宜に設定することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る揺動用付勢手段7は、第1作動子14及び第2作動子15にコイル部が挿通されたコイルスプリングから成るので、操作手段1の揺動操作に伴って揺動用付勢手段7の付勢力を確実に付与することができる。なお、揺動用付勢手段7は、コイルスプリングに限定されず、操作手段1の揺動操作によって軸部2が揺動したとき、当該軸部2を初期位置に戻す付勢力が生じる他の付勢手段を用いるようにしてもよい。
【0036】
さらに、本実施形態に係る第2作動子15は、揺動用付勢手段7の他端を受ける受け部材16が取り付け可能とされたので、揺動用付勢手段7を組み付けた後、受け部材16を組み付けて揺動用付勢手段7の他端を受けさせることができ、組み付け性を向上させることができる。またさらに、第2作動子15は、周方向に亘って溝15aが形成されるとともに、当該溝15aに受け部材16を固定するための固定部材17が係止されるので、受け部材16を確実に第2作動子15に固定させることができ、揺動用付勢手段7の他端を確実且つ安定して受けることができる。
【0037】
加えて、本実施形態に係る筐体部3は、開口部13cが形成された保持部材13を有し、当該開口部13cの開口縁面13bに第2作動子15の係止面15bが当接して係止されるとともに、当該係止面15bは、軸部2の揺動方向に沿って弧状に形成されたので、軸部2を弧状の係止面15bに沿って滑らかに揺動させることができ、操作手段2を揺動操作させる際の操作性を向上させることができる。
【0038】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸部2の揺動及び回転を検出するための検出部は、角度センサに限定されるものではなく、例えば軸部2の揺動及び回転を検出し得るマイクロスイッチや軸部2の揺動及び回転に応じて電気信号を変化させる接点等としてもよい。また、本実施形態においては、揺動用付勢手段7の他端を受ける受け部材16がワッシャにて構成されているが、軸部2の回転を妨げない固定ピンや第2作動子15と一体形成された拡径部等であってもよい。なお、本実施形態においては、船舶を操縦するための操作装置に適用されているが、例えば二輪車、建設機械(建機)又は農業機械(農機)などの車両に取り付けられた操作装置や所望の表示装置に表示された項目や画面を変更するための操作装置等に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
揺動用付勢手段の一端を受ける受け面が形成された第1作動子と、揺動用付勢手段の他端を受けるとともに、第1作動子を挿通させて軸部の軸方向に対する当該第1作動子の変位を許容しつつ軸部を挿通させて当該軸部の回転を許容する第2作動子とを備えた操作装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 操作手段
2 軸部
3 筐体部
4 揺動検出部
5 回転検出部
6 基板
7 揺動用付勢手段
8 回転用付勢手段
9 内ケース
10 支持部材
11 回転部材
12 蓋部材
13 保持部材
13a 開口上縁部
13b 開口縁面
13c 開口部
14 第1作動子
14a 受け面
14b 当接面
14c 貫通孔
15 第2作動子
15a 溝
15b 係止面
15c 貫通孔
16 受け部材
17 固定部材
B ブーツ
P1、P2 揺動ピン