(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】燃焼炉
(51)【国際特許分類】
F23H 5/00 20060101AFI20230502BHJP
F23H 9/04 20210101ALI20230502BHJP
F23G 5/46 20060101ALI20230502BHJP
F23B 10/00 20110101ALI20230502BHJP
【FI】
F23H5/00 ZAB
F23H9/04
F23G5/46 B
F23B10/00
(21)【出願番号】P 2021147222
(22)【出願日】2021-09-09
【審査請求日】2022-02-04
(73)【特許権者】
【識別番号】521399065
【氏名又は名称】有限会社スーパーテクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】521399076
【氏名又は名称】関 正
(73)【特許権者】
【識別番号】521399087
【氏名又は名称】関 日出海
(73)【特許権者】
【識別番号】521399098
【氏名又は名称】大原 桃子
(73)【特許権者】
【識別番号】521399102
【氏名又は名称】関 真州海
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】関 正
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-145325(JP,A)
【文献】実公昭47-016158(JP,Y1)
【文献】特開昭52-098367(JP,A)
【文献】中国実用新案第208579526(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106123003(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23H 5/00
F23H 9/04
F23G 5/46
F23B 10/00
F24H 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部容器と、この外部容器内に配置され燃焼室を形成する内部容器と、この内部容器内を上下に区画して、上部に前記燃焼室を形成するとともに、下方に燃焼灰収容室を形成する火格子とを備え、
前記火格子は、
上方の火格子と、下方の火格子と、を有し、上下に間隔をおいて
それぞれの位置で燃焼が行われるように設けられ、
前記外部容器は、
側壁に燃焼物を投入可能な外部開口を有し、
前記内部容器は、前記上方の火格子の取り付け位置の上側に、前記外部開口に対峙し、前記燃焼物を投入可能な内部開口を有し、
前記内部容器は、前記外部容器に対して振動可能に取り付けられていることを特徴とする燃焼炉。
【請求項2】
上方にある前記火格子の格子密度が、下方にある前記火格子の格子密度よりも粗に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼炉。
【請求項3】
前記内部容器と前記外部容器との間に、前記外部容器を支持体として、前記内部容器を、前記外部容器との間に全面に亘って隙間を形成しつつ支持する支持部材が介装されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃焼炉。
【請求項4】
前記上方の火格子と、前記下方の火格子と、の間には、前記上方の火格子に向けて空気を供給する空気供給部が設けられている請求項1~3の何れかに記載の燃焼炉。
【請求項5】
下方にある前記火格子が、前記燃焼灰収容室へ向けて揺動可能に取り付けられ、
前記外部容器および前記内部容器の周壁下部には、前記燃焼灰収容室を外部へ開放する燃焼灰排出口が形成され、
前記燃焼灰収容室には、下方にある前記火格子の揺動中心近傍から前記燃焼灰排出口へ至る燃焼灰誘導板が設けられていることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の燃焼炉。
【請求項6】
前記外部容器の上部には、前記燃焼室に露出させられた蒸気生成器が設けられ、
前記蒸気生成器に、前記蒸気生成器から送り込まれる蒸気によって駆動される発電機が連設されていることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の燃焼炉。
【請求項7】
前記蒸気生成器は、地中から汲み上げた温水を加熱することで蒸気を生成する請求項6に記載の燃焼炉。
【請求項8】
前記燃焼室に投入される燃焼物が、間伐材や廃材等の木材であり、
前記燃焼室に、前記燃焼室から排出される加熱空気を、前記燃焼室への投入前の前記木材へ向けて送り込む予熱管が連設されていることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載の燃焼炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼炉に係わり、特に、燃焼温度を極力高く維持することの可能な燃焼炉に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、廃棄物の減容処理等を目的とした処理装置として、廃棄物を燃焼処理する燃焼炉が知られている。
【0003】
この燃焼炉は、たとえば、特許文献1に示されるように、炉体内部を火格子によって上下に区画してこの火格子上に燃焼室を形成し、この火格子上の燃焼室内に廃棄物等の燃焼物を投入して燃焼させて燃焼灰とすることによって減容し、この燃焼灰を火格子の下方へ落下させて回収する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような従来の燃焼炉においては、処理効率を高めるために燃焼室内における燃焼温度を高めることが要望されている。
【0006】
しかしながら、前述した従来の燃焼炉における燃焼温度は燃焼物の種類に依存し、同一種類の燃焼物を焼却する場合、その燃焼温度がほぼ一義的に決まってしまう。
【0007】
そして、この燃焼温度を上昇させるためには、他の加熱手段からの熱供給を必要とする。
【0008】
このように、他の加熱手段を用いると、燃焼炉自体の構造が複雑化するばかりでなく他の加熱手段の駆動コストがかかり、この結果、燃焼炉の運転コストが上昇してしまうという課題点がある。
【0009】
本発明は、このような従来の課題点に鑑みてなされたもので、燃焼炉の構造を工夫することにより、他の加熱手段を用いることなく燃焼温度を極力高めることの可能な燃焼炉を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の燃焼炉は、前述した課題を解決するために、外部容器と、この外部容器内に配置され燃焼室を形成する内部容器と、この内部容器内を上下に区画して、上方に前記燃焼室を形成するとともに、下方に燃焼灰収容室を形成する火格子とを備え、前記内部容器は、前記外部容器に対して振動可能に取り付けられ、前記火格子が上下に間隔をおいて2カ所に設けられていることを特徴とする。
【0011】
このような構成とすることにより、燃焼室内に投入された燃焼物は、上方の火格子上において燃焼し、燃焼が進んである程度減容した状態において下方の火格子上に落下し、この下方の火格子上で燃焼を継続する。
【0012】
上方の火格子上では、燃焼の継続によって燃焼物の表面に燃焼灰が付着し、燃焼中の燃焼物に供給される空気量が低下して燃焼効率が低下する。
【0013】
この燃焼物の表面の燃焼灰は、燃焼物が上方の火格子から下方の火格子へ落下する際に、落下時の空気抵抗や下方の火格子との衝突による衝撃によって、燃焼物から剥離する。
また、燃焼物が剥離しない場合にあっても、振動させることによって下方へ減容した燃焼物及び燃焼灰を落下させることもできる。
【0014】
これによって、下方の火格子上の燃焼物と空気との接触が回復して燃焼効率の低下が抑制される。
しかも、下方の火格子上の燃焼物は、上方の火格子上における燃焼によって十分な温度を保持していることと、前述したように、空気との十分な接触が得られていることから、その燃焼効率が飛躍的に向上する。
【0015】
ここで、上方の火格子上でも燃焼は継続しており、この結果、燃焼室内においては上下に間隔をおいた2位置で燃焼が行なわれる。
したがって、燃焼物が上下2分割されて2位置で燃焼させられ、かつ、下方の火格子上での燃焼熱によって上方の火格子上の燃焼物が加熱されるから、上方の火格子上における燃焼物の燃焼が促進される。
【0016】
この結果、燃焼室内における燃焼熱が大幅に上昇し、燃焼炉の燃焼効率が高められる。
【0017】
しかも、燃焼室が形成された内部容器は外部容器によって取り囲まれて、内部容器の前面が空気層によって覆われて、この空気層によって内部容器からの放熱が遮断されていることから、内部容器内の燃焼温度の低下が抑制される。
この点からも、燃焼炉の燃焼効率が高められる。
【0018】
下方の火格子上の燃焼灰は、その粒径に応じて格子間の隙間から燃焼灰収容室へ落下するか、内部容器に接続した下方の火格子が振動することにより、この下方の火格子から脱落して、燃焼灰収容室へ収容される。
【0019】
また、前記上方の火格子の格子密度が、下方の火格子の格子密度よりも粗に形成されていることが好ましい。
このような構成とすることにより、燃焼物を、その燃焼の過程で効率よく上下に分割して、前述した2位置での燃焼を効果的に実現することができる。
【0020】
また、前記内部容器と外部容器との間に、この外部容器を支持体として、内部容器を、外部容器との間に全面に亘って隙間を形成しつつ支持する支持部材が介装されている構成とすることができる。
このような構成とすることにより、外部容器と内部容器との間に隙間を確実に形成することができ、内部容器の断熱効果を高めることができる。
【0021】
また、前記支持部材は吊り具によって構成することができる。
このような構成とすることにより、外部容器と内部容器との間の隙間を、外部容器に内部容器を吊り下げるといった簡便な構造によって形成することができる。
【0022】
また、下方の前記火格子が、前記燃焼灰収容室へ向けて揺動可能に取り付けられる構成にすることができる。このような構成によって、下方の火格子に付着した燃焼灰をその衝撃によって振り落とすことができる。
【0023】
前記外部容器および前記内部容器の周壁下部には、燃焼灰収容室を外部へ開放する燃焼灰排出口が形成された構成とすることができる。
このような構成とすることにより、燃焼炉内からの燃焼灰の除去を容易にして、堆積する燃焼灰による熱吸収を抑制して、燃焼室内の温度低下を抑制することができる。
【0024】
前記燃焼灰収納室に、下方の火格子の揺動中心近傍から燃焼灰排出口へ至る燃焼灰誘導板が設けられた構成とすることができる。
このような構成とすることにより、下方の火格子上の燃焼灰を燃焼灰排出口へ誘導して、この燃焼灰を燃焼炉の外部へ円滑に排出することができる。
【0025】
前記外部容器の上部には、前記燃焼室に露出させられた蒸気生成器が設けられた構成とすることができる。
前記蒸気生成器は、内部容器上方を塞ぐように対向配置され、この内部容器内に形成されている燃焼室の熱によって蒸気を生成する。
【0026】
ここで、前記燃焼炉の燃焼温度が前述したように高められており、蒸気生成器へ加えられる熱量も大きい。
したがって、蒸気生成器において生成される蒸気圧もより高くすることができる。
【0027】
また、前記蒸気生成器に、この蒸気生成器から送り込まれる蒸気によって駆動される発電機が連設された構成とすることができる。
【0028】
また、前記蒸気生成器は、地中から汲み上げた温水を加熱することで蒸気を生成する。
これによって、少量のエネルギーで蒸気を生成することが可能となる。
【0029】
ここで、前述したように、蒸気発生器において高い蒸気圧が生成されることから、その蒸気によって駆動される発電機から出力される電力も増加させることができる。
【0030】
また、前述したように、燃焼温度の高い燃焼炉を形成することができるので、比較的水分量の覆い間伐材や廃材等の木材の焼却も可能である。
【0031】
前記燃焼室に、この燃焼室から排出される加熱空気を、燃焼室への投入前の木材へ向けて送り込む予熱管を設けておくこともできる。
【0032】
このような構成とすることにより、木材を予熱して乾燥を促すことにより、この木材の燃焼を円滑なものとすることができる。
【0033】
なお、前記支持部材は複数の弾性体によって構成することができる。
このような構成とすることにより、燃焼物が下方の火格子上へ落下する際の衝撃によって内部容器に振動を生じさせることができる。
さらに、内部容器が振動させられることで、燃焼室内の燃焼物も振動させられ、この振動によって燃焼物表面を覆う燃焼灰の剥離作用を促進させることができる。
【0034】
なお、前記内部容器に、この内部容器に振動を与える加振機が連設された構成とすることができる。
このような構成とすることにより、前述した燃焼物表面の燃焼灰の剥離作用をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0035】
本願発明の燃焼炉によれば、燃焼温度の上昇を燃焼炉の構造を変更することによって達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態が適用された発電設備のシステム構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態を示す拡大縦断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態を示す、
図2のIII-III線断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態を示す、
図2のIV-IV線断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態の作用を示す、拡大縦断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態の蒸気の発生の流れを表す、システム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態が適用された発電設備Gを示すもので、図中、符号1は本実施形態に係わる燃焼炉を示す。
【0038】
本実施形態の燃焼炉1は、発電設備Gの低床A上に設置され、この低床Aの上方に間隔をおいて設けられた高床Bを貫通して設けられている。
【0039】
前記燃焼炉1は、外部容器2と、この外部容器2内に配置され燃焼室3を形成する内部容器4と、この内部容器4内を上下に区画して、上部に燃焼室3を形成するとともに、下方に燃焼灰収容室5を形成する火格子6とを備え、この火格子6が上方に配置された上方の火格子6aと、この上方の火格子6aの下方に間隔をおいて配置された下方の火格子6bとによって構成されている。
【0040】
前記内部容器4は、隔壁7によって左右に2分割されていることにより、燃焼室3および燃焼灰収容室5も左右に2分割されている。
【0041】
また、前記下方の火格子6bも左右に2分割されており、隔壁7に蝶番8を介して連結されており、水平な通常位置と、隔壁7との連結部と反対側の端部が下方へ移動して傾斜した作動位置の2位置間で揺動可能となされている。
【0042】
これらの下方の火格子6bの前述した2位置間の揺動は、下方の火格子6bに牽引ワイヤ(図示略)を取り付けて、この牽引ワイヤにより作業者の手作業によって行なうか、あるいは、牽引ワイヤをモータ等により巻き取りおよび送り出すことによって行なうことができる。
また、モータ等を直接下方の火格子6bに連結しておくことによって、電気的に揺動させることもできる。
【0043】
本実施形態では、外部容器2と内部容器4は、それぞれの間に介装された複数の支持部材9を介して連結されている。
支持部材9について詳述すると、外部容器2の上方から内部容器4を吊り下げて支持する、ワイヤや鎖によって構成された吊り具9aと、側方や底面に介装されることで外部容器2と内部容器4との接触を防ぐ、弾性部材9bとによって構成されている。
【0044】
このように支持部材9によって連結された状態において、外部容器2と内部容器4との間に全面に亘って隙間gが形成され、かつ、内部容器4が外部容器2に対して弾性的に3次元方向に揺動可能となされている。
【0045】
また、隔壁7には、下方の火格子6bが下方へ向けて揺動させられた際に、この下方の火格子6bが当接させられることにより、その作動位置を決定するストッパ10が設けられている。
【0046】
上方の火格子6aの格子密度は、下方の火格子6bの格子密度より粗に形成されている。
すなわち、上方の火格子6aの格子間に形成される隙間の方が大きく形成され、これにより、下方の火格子6bに灰を滞留させることができる。
【0047】
また、上方の火格子6aの下方には、外部容器2の外部からこの上方の火格子6aの面方向に沿って2重管構造の空気供給管11が配設されている。
【0048】
この空気供給管11には、外部に配置された送風機12が接続されて空気が供給されるようになれているとともに、外側の管には、
図4に示すように、上方へ向かう給気口11aが長さ方向に間隔をおいて複数形成されている。
【0049】
前記給気口11aは、その開口面積が、
図4に示すように、後述する内部開口13からの離れるに従って漸次大きくなるように形成されている。これにより空気供給が難しい燃焼室奥での空気の供給を効率的に行う。
【0050】
前記内部容器4の側壁には、燃焼室3に連通する内部開口13が形成されており、外部容器2の側壁には、内部容器4の内部開口13に対峙する外部開口14が、
図3および
図4に示すように形成されている。
【0051】
そして、前記外部容器2に形成された外部開口14は、
図3および
図4に示すように、外部容器2の外面に開閉可能に取り付けられた蓋体15によって開閉可能に閉塞されている。
【0052】
前記内部容器4には、この内部容器4に振動を与える加振機16が連設されており、この加振機16は、
図3に示すように、外部容器2の外壁部に装着されているとともに、この外部容器2の外壁を貫通してこの内部容器4へ接続されている。
【0053】
前記外部容器2および内部容器4の周壁下部には、
図1、
図2、
図3、および、
図5に示すように、燃焼灰収容室5を外部へ開放する燃焼灰排出口17・18が形成されている。
【0054】
前記隔壁7には、下方の火格子6bの揺動中心近傍から燃焼灰排出口17・18を経て外部へ至る燃焼灰誘導板19が設けられている。
【0055】
そして、前記燃焼灰誘導板19の外部側の端部は、外部容器2の下部側方に配置された燃焼灰トレー20内に位置させられている。排出した灰は肥料として用いる。
【0056】
本実施形態においては、前記外部容器2内の上部に、内部容器4の上部開口を介して燃焼室3に露出させられた蒸気生成器21が設けられている。
【0057】
この蒸気生成器21によって生成された蒸気は、
図1に示すように、気液分離器22を経て、発電機23が連設されたタービン24へ送り込まれるようになっている。
【0058】
蒸気生成器21に供給される液体は、地下より汲み上げられた温水や、地熱によって温められた温水とすることが好ましい。これによって、蒸気を発生させ、タービン24を回すのに必要な燃焼物Dの量を削減することができる。
【0059】
本実施形態においては、燃焼物Dとして間伐材や廃材等の木材が用いられており、燃焼炉1の近傍には、
図1に示すように、この燃焼物Dを保管する保管庫25が設置されている。
【0060】
また、必要に応じ、前記保管庫25と燃焼炉1との間にベルトコンベア26が設置され、このベルトコンベア26によって、保管庫25に保管されている燃焼物Dが燃焼炉1の近傍まで搬送されるようになっている。
【0061】
さらに、前記保管庫25には、燃焼炉1の排気筒27から排出される排気を保管庫25内に導いて、保管庫25内をいぶして温度を上昇させる予熱管28が連設されていてもよい。
【0062】
また、この予熱管28に熱交換器(図示略)を設けて、この熱交換器によって排気の熱を吸収して加熱気体を生成し、この加熱気体を保管庫25へ送り込むようにしてもよい。
【0063】
また、
図6に示すように、前記発電設備Gに地中からの温水や蒸気を利用して蒸気を生成することにより、地熱発電とすることもできる。
図6において波線矢印は熱の供給を表している。
地熱発電を始めるにあたっては、汲み上げる熱水や蒸気の温度や圧力が所定の値を超えていなければ十分な発電能力を得ることができないため、予めボーリング調査が行われる。しかしながら、地熱発電に適する熱水等が噴出することは少なく、温水Lが沸く掘削跡が多く残る。
【0064】
このような掘削跡に、ボーリング孔よりも外径が小さい汲み上げ配管P1を通すことで、地熱によって温められた温水や蒸気を簡便に得ることができる。実施形態においては、地中の温水Lを、汲み上げ配管P1と汲み上げポンプP2によって汲み上げ、蒸気生成器21へ移送する。
【0065】
汲み上げられた温水Lは、蒸気生成器21中で熱せられることで、発電に必要な圧力の蒸気を生成する。温水Lは地熱により予め熱せられているため、通常の水を使用するよりも低いエネルギーで蒸気を生成できる。
また、本実施形態の燃焼炉1は高い燃焼熱を得ることができるので、このような利用を行うにあたって特に好ましい。
【0066】
ついで、このように構成された本実施形態の燃焼炉1の作用について説明する。
まず、保管庫25に保管されている燃焼物Dをベルトコンベア26によって燃焼炉1の近傍まで搬送した後に、外部容器2に設けられている蓋体15を操作して、外部容器2に形成されている外部開口14を開放し、この外部開口14から、燃焼物Dを燃焼室3の上方の火格子6a上へ投入する。
【0067】
必要量の燃焼物Dの投入を完了すると、蓋体15を操作して外部容器2の外部開口14を閉じる。
【0068】
ついで、送風機12を起動することにより、燃焼用空気を、空気供給管11を経て燃焼室3内に送り込むとともに、投入された燃焼物Dに着火して焼却を開始する。
【0069】
ここで、前記空気供給管11が上方の火格子6aの下方に位置させられているとともに、燃焼用空気の噴射方向が上方に設定されていることにより、この燃焼用空気が、上方の火格子6a上に投入された燃焼物Dへ効果的に接触させられる。
これによって、燃焼室3内における燃焼物Dの燃焼が効率よく継続されて、燃焼室3内の空気が高温に加熱される。
【0070】
上方の火格子6a上での燃焼物Dの燃焼が継続すると、燃焼物Dが灰化して減容するが、燃焼物Dが所定の大きさに減容すると、この燃焼物Dが上方の火格子6aの隙間から下方へ落下する。
【0071】
このように上方の火格子6aから落下した燃焼物Dは、下方の火格子6bによって受け止められるとともに、この下方の火格子6b上で燃焼を継続する。
【0072】
ここで、上方の火格子6a上で燃焼する燃焼物Dの表面は燃焼灰によって覆われて、燃焼用空気と燃焼物Dへの燃焼用空気の供給量が低下する。
【0073】
このような燃焼用空気の供給量の低下は、燃焼物Dの燃焼が弱くなる原因となる。
しかしながら、前述したように、燃焼物Dは、燃焼の継続に伴う減容により所定形状になった時点で上方の火格子6aから下方の火格子6b上へ落下することから、落下時の空気抵抗や下方の火格子6b上への落下時の衝撃により、燃焼灰が燃焼物Dから剥離する。
【0074】
これによって、下方の火格子6b上に落下した燃焼物Dの表面は空気に露出させられた状態となり、十分な燃焼用空気が供給されて良好な燃焼が継続される。
【0075】
一方、上方の火格子6a上でも燃焼は継続していることから、燃焼室3内においては上下に間隔をおいた2位置で燃焼が行なわれることから、燃焼室3内の温度上昇が効果的に行なわれる。
【0076】
また、下方の火格子6b上での燃焼熱によって上方の火格子6a上の燃焼物Dが加熱されるので、上方の火格子6a上における燃焼物Dの燃焼が促進される。
【0077】
この結果、燃焼炉の燃焼効率が高められる。
しかも、燃焼室3が形成された内部容器4は、外部容器2との間に形成された隙間gによって全面に亘って覆われて、この隙間g内の空気によって内部容器4からの放熱が遮断されていることから、内部容器4内の燃焼温度の低下が抑制される。
この点からも、燃焼炉の焼却効率が高められる。
【0078】
燃焼物Dは、下方の火格子6b上においてほぼ完全に燃焼させられるが、その際に生成される燃焼灰は、下方の火格子6bの隙間から燃焼灰収容室5へ落下する。
【0079】
また、
図5に破線で示すように、下方の火格子6bを下方へ揺動させて燃焼灰収容室5へ滑落させることによって下方の火格子6bから除去される。
【0080】
下方の火格子6bから滑落した燃焼灰は、燃焼灰誘導板19によって誘導されて、内部容器4下部に設けられた燃焼灰排出口18、および、外部容器2下部に設けられた燃焼灰排出口17を経て、燃焼炉1の外部に設置されている燃焼灰トレー20によって回収される。
【0081】
以上のように、燃焼物Dの表面を覆う燃焼灰を効果的に剥離させて、燃焼物Dと燃焼用空気との接触を良好な状態に保持することにより、燃焼物Dを効率よく燃焼させることができる。
これによって、燃焼室3内をより高い温度に加熱することができ、燃焼炉1の処理能力を向上させることができる。
【0082】
さらに、本実施形態においては、燃焼炉1の稼動時に加振機16を作動させることにより、内部容器4に振動を与えることができる。
【0083】
内部容器4に振動を与えると、内部容器4に投入されている燃焼物Dにも同様の振動を与えることができるので、前述した、燃焼物Dからの燃焼灰の剥離作用を高めることができる。
【0084】
一方、燃焼室3において発生させられた熱は、燃焼室3上方に配置された蒸気生成器21を加熱する。
【0085】
このように蒸気生成器21が加熱されると、この蒸気生成器21において蒸気が生成され、この蒸気が気液分離器22を経てタービン24へ供給されることにより、発電機23が駆動されて発電が行なわれる。
【0086】
ここで、前述したように、本実施形態の燃焼炉1においては、燃焼物Dの燃焼効率が改善されて大きな熱量が得られることから、蒸気生成器21に大きな熱量が作用し、この蒸気生成器21によって生成される蒸気の圧力も高くなる。また、蒸気生成器21に供給される液を地中から汲み上げた温水Lにすることで、少ない加熱量で蒸気を生成できる。
【0087】
さらに、燃焼炉1を稼働させた後にあっては、その廃棄熱を利用して燃焼物Dを予め加熱しておくことにより、この燃焼物Dへの着火を容易にし、あるいは、着火後の燃焼の進行を促進することができる。
このような燃焼物Dの予熱により、間伐材等の含水率の高い燃焼物Dの燃焼を容易なものとすることができる。
【0088】
なお、前記実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 燃焼炉
2 外部容器
3 燃焼室
4 内部容器
5 燃焼灰収容室
6 火格子
6a 上方の火格子
6b 下方の火格子
7 隔壁
8 蝶番
9 支持部材
9a 吊り具
9b 弾性部材
10 ストッパ
11 空気供給管
11a 給気口
12 送風機
13 内部開口
14 外部開口
15 蓋体
16 加振機
17 燃焼灰排出口
18 燃焼灰排出口
19 燃焼灰誘導板
20 燃焼灰トレー
21 蒸気生成器
22 気液分離器
23 発電機
24 タービン
25 保管庫
26 ベルトコンベア
27 排気筒
28 予熱管
g 隙間
A 低床
B 高床
D 燃焼物
G 発電設備
P1 汲み上げ配管
P2 汲み上げポンプ
L 温水