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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】ワーク貼合装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/16 20060101AFI20230502BHJP
【FI】
B29C63/16
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019059322
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020157594
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】304060368
【氏名又は名称】新光エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(74)【代理人】
【識別番号】100134599
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 和之
(72)【発明者】
【氏名】今川 豊
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113310(JP,A)
【文献】特開2017-174977(JP,A)
【文献】特開2015-120327(JP,A)
【文献】特開平11-305180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
B32B
B65G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1内部空間を有する第1チャンバと、
第1ワークが設置される第2内部空間を有し、前記第1チャンバと対向する位置に設けられる第2チャンバと、
前記第1内部空間を閉じるように前記第1チャンバに装着され、前記第1内部空間の加圧に伴い膨張することにより第2ワークを前記第1ワークに向けて押すダイヤフラム膜と、
前記ダイヤフラム膜と前記第2ワークの間に設けられるマスクと、を備え、
前記マスクは、前記第2ワークに対向する位置に形成され、膨張した前記ダイヤフラム膜が通過する開口孔部を有し、
前記マスクは、複数の片部に分割され、
前記ダイヤフラム膜が膨張した状態から前記複数の片部を互いに離れるように移動させるマスク駆動部をさらに備える、
ワーク貼合装置。
【請求項2】
第1内部空間を有する第1チャンバと、
第1ワークが設置される第2内部空間を有し、前記第1チャンバと対向する位置に設けられる第2チャンバと、
前記第1内部空間を閉じるように前記第1チャンバに装着され、前記第1内部空間の加圧に伴い膨張することにより第2ワークを前記第1ワークに向けて押すダイヤフラム膜と、
前記ダイヤフラム膜と前記第2ワークの間に設けられるマスクと、を備え、
前記マスクは、前記第2ワークに対向する位置に形成され、膨張した前記ダイヤフラム膜が通過する開口孔部を有し、
前記第2ワークが装着されるステージ部を有し、前記マスクと前記第1ワークの間に設けられ、前記マスクの前記開口孔部を通過した前記ダイヤフラム膜により押されることにより前記第2ワークを前記第1ワークに貼り合わせるワークステージをさらに備える、
ワーク貼合装置。
【請求項3】
前記マスクは複数の片部に分割され、
前記ワーク貼合装置は、前記ダイヤフラム膜が膨張した状態から前記複数の片部を互いに離れるように移動させるマスク駆動部をさらに備える、
請求項2に記載のワーク貼合装置。
【請求項4】
前記開口孔部は、前記第2ワークよりも小さい面積で、前記第2ワークと同一の縦横比を有する、
請求項1から3の何れか1項に記載のワーク貼合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク貼合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板等の第1ワークにフィルム等の第2ワークを貼り合わせるワーク貼合装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のワーク貼合装置は、空圧凹部を覆うダイヤフラム膜を有する可動チャンバ体と、可動チャンバ体に対向して位置する固定チャンバ体と、を備える。固定チャンバ体内には第1ワークが装着され、ダイヤフラム膜には第2ワークが装着される。そして、可動チャンバ体と固定チャンバ体により囲まれた空間と空圧凹部の内部空間が真空状態とされる。この状態から、空圧凹部の内部空間が真空状態から大気圧に急減に加圧されることにより、ダイヤフラム膜が第1ワークに向かって膨張し、第2ワークが第1ワークに押し付けられる。これにより、第2ワークが第1ワークに貼り合わされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-49048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第2ワークは、その中心位置から外側に向かって順に第1ワークに貼り合わされることが理想であり、これにより、第1ワークと第2ワークの間に空気が入り込むことが抑制される。しかしながら、上記特許文献1の構成においては、空圧凹部の内部空間は真空状態から大気圧となるように加圧されるため、ダイヤフラム膜は急激に膨張する。このため、ダイヤフラム膜により第2ワークが押される位置及び範囲を規定することが困難であった。例えば、図6に模式的に示すように、膨張する過程でダイヤフラム膜122が波打つと、ダイヤフラム膜122は第1位置P1と第2位置P2にて第2ワークW2を第1ワークW1に向けて押す。この場合、第2ワークW2が第1ワークW1に対して撓んだ状態となり、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、第1ワークと第2ワークの間に空気が入り込むことを抑制できるワーク貼合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るワーク貼合装置は、第1内部空間を有する第1チャンバと、第1ワークが設置される第2内部空間を有し、前記第1チャンバと対向する位置に設けられる第2チャンバと、前記第1内部空間を閉じるように前記第1チャンバに装着され、前記第1内部空間の加圧に伴い膨張することにより第2ワークを前記第1ワークに向けて押すダイヤフラム膜と、前記ダイヤフラム膜と前記第2ワークの間に設けられるマスクと、を備え、前記マスクは、前記第2ワークに対向する位置に形成され、膨張した前記ダイヤフラム膜が通過する開口孔部を有し、前記マスクは、複数の片部に分割され、前記ダイヤフラム膜が膨張した状態から前記複数の片部を互いに離れるように移動させるマスク駆動部をさらに備える。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るワーク貼合装置は、第1内部空間を有する第1チャンバと、第1ワークが設置される第2内部空間を有し、前記第1チャンバと対向する位置に設けられる第2チャンバと、前記第1内部空間を閉じるように前記第1チャンバに装着され、前記第1内部空間の加圧に伴い膨張することにより第2ワークを前記第1ワークに向けて押すダイヤフラム膜と、前記ダイヤフラム膜と前記第2ワークの間に設けられるマスクと、を備え、前記マスクは、前記第2ワークに対向する位置に形成され、膨張した前記ダイヤフラム膜が通過する開口孔部を有し、前記第2ワークが装着されるステージ部を有し、前記マスクと前記第1ワークの間に設けられ、前記マスクの前記開口孔部を通過した前記ダイヤフラム膜により押されることにより前記第2ワークを前記第1ワークに貼り合わせるワークステージをさらに備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ワーク貼合装置において、第1ワークと第2ワークの間に空気が入り込むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係る上チャンバが閉じた状態のワーク貼合装置の概略図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る(a)は上チャンバが開いた状態のワーク貼合装置の概略図であり、(b)はマスクが閉じられたときのワーク貼合装置の概略図であり、(c)はマスクが開かれたときのワーク貼合装置の概略図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るマスクの平面図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る(a)は上チャンバが開いた状態のワーク貼合装置の概略図であり、(b)は上チャンバが閉じた状態のワーク貼合装置の概略図であり、(c)は第2ワークが第1ワークに貼り合わされる際のワーク貼合装置の概略図である。
図5】本発明の第3の実施形態に係る(a)は上チャンバが閉じた状態のワーク貼合装置の概略図であり、(b)は第2ワークが第1ワークに貼り合わされる際のワーク貼合装置の概略図である。
図6】背景技術に係るダイヤフラム膜が膨張する際のワーク貼合装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
本発明に係るワーク貼合装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、ワーク貼合装置10は、第2ワークW2を第1ワークW1に貼り付ける2層真空チャンバ方式の装置である。ワーク貼合装置10は、上チャンバ21と、下チャンバ31と、ダイヤフラム膜22と、マスクシャッター装置29と、ワーク支持台32と、制御部40と、真空ポンプ41と、チャンバ駆動部42と、切替弁43a,43bと、開放弁43cと、を備える。
【0011】
下チャンバ31は上チャンバ21に向けて開口する箱状をなす。下チャンバ31は、上チャンバ21が閉じられることにより密閉された空間となる内部空間31aを有する。
ワーク支持台32は、内部空間31aの内底面に固定される板状をなす。ワーク支持台32の上面には第1ワークW1が装着される。
【0012】
上チャンバ21は下チャンバ31に向けて開口する箱状をなす。上チャンバ21の開口側の端面にはダイヤフラム膜22の外周縁部が固定されている。ダイヤフラム膜22により上チャンバ21の内部空間21aが密閉される。ダイヤフラム膜22は、上チャンバ21の内部空間21aが加圧されることにより弾性変形する弾性体、例えばゴム等の超弾性体からなる。
【0013】
図1に示すように、チャンバ駆動部42は、制御部40による制御のもと、上チャンバ21を下チャンバ31に対して接近又は離間するように移動させる。チャンバ駆動部42は、例えば、油圧又は空気圧で動作するシリンダである。
【0014】
開放弁43cは、上チャンバ21に設けられ、制御部40による制御のもと開かれることにより上チャンバ21の内部空間21aを大気圧とする。
切替弁43aは、真空ポンプ41と上チャンバ21の内部空間21aの間を接続する流路45aに設けられる。切替弁43aは、制御部40による制御のもと、流路45aを導通させた開状態と流路45aを遮断させた閉状態の間で切り替わる。
切替弁43bは、真空ポンプ41と下チャンバ31の内部空間31aの間を接続する流路45bに設けられる。切替弁43bは、制御部40による制御のもと、流路45bを流体的に導通させた開状態と流路45bを流体的に遮断させた閉状態の間で切り替わる。
真空ポンプ41は、制御部40による制御のもと動作し、上チャンバ21の内部空間21a及び下チャンバ31の内部空間31aの少なくとも何れかを真空状態とする。
【0015】
制御部40は、マスクシャッター装置29、チャンバ駆動部42、真空ポンプ41、切替弁43a,43b及び開放弁43cを制御する。制御部40は、制御処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、CPUの動作プログラム等が記憶されるROM(Read Only Memory)、CPUのワークエリアとして利用されるRAM(Random Access Memory)等を備える。
【0016】
図1に示すように、マスクシャッター装置29は、マスク28と、シリンダ25a,25bと、出力軸28f,28gと、軸支持部26a,26bと、固定部27と、を備える。
【0017】
図1及び図3に示すように、マスク28は、ダイヤフラム膜22と第2ワークW2の間に設けられ、膨張するダイヤフラム膜22が第2ワークW2に接触する位置及び範囲を規定する機能を有する。マスク28は既存の貼合装置に後付け可能である。マスク28は、ダイヤフラム膜22の膨張により変形しない材質及び形状で形成されている。マスク28は第2ワークW2に対向する開口孔部28eを有する枠状をなす。開口孔部28eはマスク28の中心位置Cに形成される。開口孔部28eの中心位置Cは第2ワークW2の中心位置Cに一致する。開口孔部28eの周縁部は、図1の下方向に向かうにつれて開口孔部28eの中心位置Cに近づくように傾斜する傾斜面28dを有する。傾斜面28dは、マスク28が開かれる際にダイヤフラム膜22を第2ワークW2にスムーズに接触させる機能を有する。
図3に示すように、開口孔部28eは、第2ワークW2よりも小さいサイズで第2ワークW2と同一の縦横比(図3の左右方向の長さと上下方向の長さの比)を有する。本例では、開口孔部28eは第2ワークW2と相似形をなす。例えば、マスク28、開口孔部28e及び第2ワークW2は長方形状をなす。マスク28は、第1片部28a及び第2片部28bに分割される。第1片部28a及び第2片部28bは、それぞれ同一の凹字形状に形成され、互いに対向するようにX方向(図3の左右方向)に並べられる。第1片部28a及び第2片部28bの境界線28cは、マスク28のX方向の中央に位置し、Y方向(図3の上下方向)に延びる。マスク28が開かれたとき第1片部28a及び第2片部28bは離間し、マスク28が閉じられたとき第1片部28a及び第2片部28bは接触する。
【0018】
図1に示すように、シリンダ25a,25bは、下チャンバ31の外部に設けられ、制御部40による制御のもとマスク28を開閉する。シリンダ25aは出力軸28gを介してマスク28の第1片部28aに接続される。シリンダ25bは出力軸28fを介してマスク28の第2片部28bに接続される。
シリンダ25aは、制御部40による制御のもと、第1片部28aをX方向に移動させる。シリンダ25bは、制御部40による制御のもと、第2片部28bをX方向に移動させる。
【0019】
固定部27は、下チャンバ31の開口側の端面に固定される環状の金具である。固定部27は、出力軸28f,28gが通過する孔部27aと、ダイヤフラム膜22の下面外周縁部を支持する支持面27bと、第1片部28a及び第2片部28bが第2ワークW2から離れたときに入り込む凹部27cと、を備える。支持面27bにおける中心位置C側の周縁面は、下方向に向かうにつれて中心位置Cに近づく傾斜面を有する。支持面27bはマスク28の上面に連続する。支持面27bとマスク28の上面は、ダイヤフラム膜22のうち開口孔部28eに対向しない領域を支持する。
軸支持部26a,26bは、固定部27における支持面27bの下方向に固定され、それぞれ出力軸28f,28gを支持する。
【0020】
次に、ワーク貼合装置10の作用について説明する。
まず、図2(a)に示すように、マスク28が開かれ、かつ上チャンバ21が下チャンバ31に対して開いた状態で、第1ワークW1がワーク支持台32の上面に設置され、第1ワークW1の上面に第2ワークW2が設置される。第1ワークW1と第2ワークW2の間には接着剤、例えば、シート状のOCA(Optical Clear Adhesive)や液体状のOCR(Optical Clear Resin)が設けられる。
【0021】
次に、図1に示すように、制御部40は、チャンバ駆動部42を介して上チャンバ21を下チャンバ31に対して閉じるとともに、シリンダ25a,25bを介してマスク28を閉じる。そして、制御部40は、切替弁43a,43bを開状態とし、真空ポンプ41を動作させる。これにより、下チャンバ31の内部空間31aと上チャンバ21の内部空間21aが真空状態となる。この状態において、制御部40は、切替弁43aを閉じ、開放弁43cを開くことにより上チャンバ21の内部空間21aを大気圧まで加圧する。これにより、図2(b)に示すように、ダイヤフラム膜22はマスク28の開口孔部28eを通って第1ワークW1に向かって膨張し、第2ワークW2を第1ワークW1に向けて押し付ける。この際、図2(b)の破線で示すように、ダイヤフラム膜22は中心位置Cから外側に向かって順に第2ワークW2に接触していく。よって、第2ワークW2の中央部が第2ワークW2の外周側よりも先に第1ワークW1に接着される。これにより、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。また、マスク28により、膨張するダイヤフラム膜22が第2ワークW2に接触する位置及び範囲が規定され、ダイヤフラム膜22が波打って第2ワークW2に接触することが抑制される。
【0022】
ダイヤフラム膜22がマスク28の開口孔部28eに対向する全範囲に接触すると、制御部40は、シリンダ25a,25bを介して、図2(c)に示すように、マスク28を開く。このとき、第1片部28a及び第2片部28bはX方向において第2ワークW2から離間し、固定部27の凹部27cに退避する。この際の第1片部28a及び第2片部28bの移動速度と移動開始タイミングは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。第1片部28a及び第2片部28bが第2ワークW2から退避することにより、ダイヤフラム膜22はX方向の外側に向かって第2ワークW2に接触していき、第2ワークW2のX方向の外側を第1ワークW1に押し付ける。これにより、第2ワークW2の第1ワークW1に対する貼り合わせが完了する。
【0023】
第2ワークW2と第1ワークW1の貼り合わせが完了した後、制御部40は、内部空間31aも大気圧として、上チャンバ21を下チャンバ31に対して開く。これにより、第2ワークW2が貼り合わされた第1ワークW1は下チャンバ31から取り出し可能となる。
なお、本実施形態において、第1ワークW1及び第2ワークW2は、長方形状及び正方形を含む多角形板状、円板状又は楕円板状等の何れの形状であってもよい。
また、第1ワークW1は、例えば、液晶基板、プラズマディスプレイ基板又は太陽電池モジュール基板等である。第2ワークW2は、例えば、静電防止用、反射防止用等の各種機能性フィルムである。
【0024】
(効果)
以上、説明した第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ワーク貼合装置10は、第1内部空間の一例である内部空間21aを有する第1チャンバの一例である上チャンバ21と、第1ワークW1が設置される第2内部空間の一例である内部空間31aを有し、上チャンバ21と対向する位置に設けられる第2チャンバの一例である下チャンバ31と、内部空間21aを閉じるように上チャンバ21に装着され、内部空間21aの加圧に伴い膨張することにより第2ワークW2を第1ワークW1に向けて押すダイヤフラム膜22と、ダイヤフラム膜22と第2ワークW2の間に設けられるマスク28と、を備える。マスク28は、第2ワークW2に対向する位置に形成され、膨張したダイヤフラム膜22が通過する開口孔部28eを有する。
この構成によれば、マスク28によりダイヤフラム膜22が第2ワークW2を押す位置及び範囲が規定される。これにより、膨張したダイヤフラム膜22が波打った状態で第2ワークW2を押すことが抑制される。また、第2ワークW2の中央部が第2ワークW2の外周側よりも先に第1ワークW1に接着される。よって、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。
【0025】
(2)開口孔部28eは、第2ワークW2よりも小さい面積で、第2ワークW2と同一の縦横比を有する。
この構成によれば、開口孔部28eは第2ワークW2よりも小さい面積である。このため、マスク28の開口孔部28eを通過したダイヤフラム膜22が第2ワークW2の中央部を押す。よって、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。
また、開口孔部28eは第2ワークW2と同一の縦横比を有する。このため、マスク28の開口孔部28eを通過したダイヤフラム膜22はバランス良く第2ワークW2を押すことができる。
【0026】
(3)マスク28は第1片部28a及び第2片部28bに分割される。ワーク貼合装置10は、ダイヤフラム膜22が膨張した状態から第1片部28a及び第2片部28bを互いに離れるように移動させるマスク駆動部の一例であるシリンダ25a,25bを備える。
この構成によれば、第1片部28a及び第2片部28bは、ダイヤフラム膜22が膨張した状態から互いに離れるように移動する。第1片部28a及び第2片部28bが互いに離れるように移動するにつれて、ダイヤフラム膜22は外側に向かって第2ワークW2を第1ワークW1に押し付けていく。よって、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。
【0027】
(第2の実施形態)
本発明に係るワーク貼合装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、マスクが分割されておらず、マスクが開閉しない点が上記第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0028】
図4(a)に示すように、マスク128は、開口孔部128eを有する一体の枠板状をなす。マスク128は、ダイヤフラム膜22の下側であって、上チャンバ21の開口側の端面に固定されている。
本実施形態では、第1の実施形態におけるシリンダ25a,25b、出力軸28f,28g、軸支持部26a,26b及び固定部27は省略されている。
【0029】
本実施形態の作用について説明する。図4(a),(b)に示すように、ワーク支持台32に第1ワークW1と第2ワークW2が設置された状態で、上チャンバ21が下チャンバ31に対して閉じる。そして、上記第1の実施形態と同様に、上チャンバ21の内部空間21aが加圧されると、図4(c)に示すように、膨張するダイヤフラム膜22はマスク128の開口孔部128eを通って第1ワークW1に向かって膨張し、第2ワークW2を第1ワークW1に向けて押し付ける。この際、図4(c)の破線で示すように、ダイヤフラム膜22は中心位置Cから外側に向かって第2ワークW2に接触していく。これにより、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。
【0030】
(効果)
以上、説明した第2の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)マスク128は、第2ワークW2に対向する位置に形成され、膨張したダイヤフラム膜22が通過する開口孔部128eを有する。
この構成によれば、マスク128によりダイヤフラム膜22が第2ワークW2を押す位置及び範囲が規定される。よって、上記第1の実施形態と同様に、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。
【0031】
(第3の実施形態)
本発明に係るワーク貼合装置の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、ダイヤフラム膜が直接に第2ワークを押さず、ワークステージを介して第2ワークを押す点が上記第1の実施形態と異なる。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0032】
図5(a)に示すように、ワークステージ65はマスク128とワーク支持台32の間に設けられる。ワークステージ65の外周縁部はマスク128の下側において上チャンバ21の開口側の端面に固定されている。ワークステージ65は既存の貼合装置に後付け可能である。ワークステージ65は、ダイヤフラム膜22の膨張によってワーク支持台32に近づく方向に押されることにより、第2ワークW2を第1ワークW1に貼り付ける。
【0033】
詳しくは、ワークステージ65は、第2ワークW2が装着されるステージ部63と、ステージ部63を弾性的に上チャンバ21に支持するステージ支持部64と、を備える。例えば、ステージ部63及びステージ支持部64は弾性体、例えば、塩化ビニル、ゴム等により形成される。ステージ部63及びステージ支持部64は、同一の材質で形成されてもよいし、異なる材質で形成されてもよい。
また、図5(a)に示すように、ワーク支持台32の上面には、X方向(図5の左右方向)において凹状に湾曲した底面を有する収容凹部32aが形成されている。収容凹部32aの底面には、底面に沿った曲板状の第1ワークW1が装着されている。
複数のピロー33は、収容凹部32aをX方向に挟み込むようにワーク支持台32の上面に配置される。図5(b)に示すように、上チャンバ21が下チャンバ31に対して閉じたとき、複数のピロー33は、ワークステージ65に接触し、ワークステージ65を下方向から支持する。
【0034】
図5(b)に示すように、膨張したダイヤフラム膜22は、マスク128の開口孔部128eを通過して、ワークステージ65のステージ部63を第1ワークW1に向けて押す。これにより、ステージ部63は凹状に撓み、第2ワークW2の中心位置Cが第1ワークW1の中心位置Cに接触する。このとき、ステージ部63の曲率は第1ワークW1の曲率よりも大きくなる。この状態から、ダイヤフラム膜22の膨張が進行すると、ステージ部63の曲率が小さくなることにより、第2ワークW2が中心位置Cから外側に向けて第1ワークW1に貼り合わされる。
本実施形態におけるマスク128は、上記第1の実施形態と同様に、開閉可能に構成されてもよい。
【0035】
(効果)
以上、説明した第3の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ワーク貼合装置10は、第2ワークW2が装着されるステージ部63を有し、マスク128と第1ワークW1の間に設けられ、マスク128の開口孔部128eを通過したダイヤフラム膜22により押されることにより第2ワークW2を第1ワークW1に貼り合わせるワークステージ65を備える。
この構成によれば、ダイヤフラム膜22が膨張する際に、ダイヤフラム膜22が波打った状態となっても、第2ワークW2が装着されるステージ部63が波打つことが抑制される。よって、第1ワークW1と第2ワークW2の間に空気が入り込むことが抑制される。
【0036】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0037】
(変形例)
上記各実施形態においては、マスク28,128の開口孔部28e,128eは、第2ワークW2よりも小さい面積で形成されていたが、これに限らず、第2ワークW2よりも大きい面積で形成されてもよい。
また、マスク28,128の開口孔部28e,128eは、第2ワークW2と同一の縦横比を有していたが、異なる縦横比を有していてもよい。
【0038】
上記各実施形態においては、チャンバ駆動部42は上チャンバ21を移動させていたが、これに限らず、下チャンバ31を移動させてもよい。
【0039】
上記各実施形態におけるマスク28,128は、長方形板状であったが、これに限らず、正方形板状を含む多角形板状であってもよい。また、マスク28,128は楕円を含む円板状に形成されてもよい。開口孔部28e,128eは、マスク128と同様に、正方形板状を含む多角形であってもよいし、楕円を含む円形であってもよい。また、開口孔部28e,128eはマスク28,128の中心位置に形成されていたが、中心位置から離れた位置に形成されてもよい。
【0040】
上記第1の実施形態においては、マスク28は2つの片部28a,28bに分割されていたが、3つ以上の片部に分割されてもよい。例えば、片部の数をn個(nは自然数)とした場合、「360°/n」にて算出される角度間隔で異なる方向に各片部を移動させる。また、マスク28は、カメラのシャッターと同様の複数の羽根状の片部を備えていてもよい。
【0041】
上記第1の実施形態においては、図2(a)に示すように、第2ワークW2は、第1ワークW1の上面に装着されていたが、これに限らず、マスク28の下面に装着されてもよい。これと同様に、上記第2の実施形態において、第2ワークW2はマスク128の下面に装着されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…ワーク貼合装置、21…上チャンバ、21a,31a…内部空間、22,122…ダイヤフラム膜、25a,25b…シリンダ、28,128…マスク、28a…第1片部、28b…第2片部、28d…傾斜面、28e,128e…開口孔部、29…マスクシャッター装置、31…下チャンバ、32…ワーク支持台、32a…収容凹部、33…ピロー、40…制御部、41…真空ポンプ、42…チャンバ駆動部、43a,43b…切替弁、43c…開放弁、63…ステージ部、64…ステージ支持部、65…ワークステージ、C…中心位置、W1…第1ワーク、W2…第2ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6