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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】浴室
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20230502BHJP
   A47K 3/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A47K4/00
A47K3/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018216911
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020081115
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-08-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ウェブサイトでの公開 (1)事実1 ▲1▼ウェブサイトの掲載日 平成30年10月3日 ▲2▼ウェブサイトのアドレス https://www.g-mark.org/award/describe/47566?token=k7U3MBAuSZ ▲3▼公開者 公益財団法人日本デザイン振興会 (2)事実2 ▲1▼公開日 平成30年10月18日 ▲2▼ウェブサイトのアドレス http://www.sekisui-hometechno.co.jp/company/newsrelease/1330415_16885.html ▲3▼公開者 積水ホームテクノ株式会社 (3)事実3 ▲1▼公開日 平成30年10月17日 ▲2▼ウェブサイトのアドレス https://www.sekisui.co.jp/news/2018/1330337_31754.html ▲3▼公開者 積水化学工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】上田 恭平
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-241357(JP,A)
【文献】特開2003-260003(JP,A)
【文献】特開2004-187898(JP,A)
【文献】意匠登録第1319877(JP,S)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向において対向する第1面及び第2面と、前記第1方向と直交する第2方向において対向する第3面及び第4面と、で囲まれる平面視矩形状の浴室であって、
前記第1面と前記第2面との間に亘って延び、前記第3面に接するように配置された浴槽と、
前記第1面と前記第4面との端辺が近接する隅部に形成され、当該第1面と第4面に対して斜めに延びるコーナー面と、
前記浴槽に隣接し、前記第1面、前記コーナー面、前記第4面、及び前記第2面によって囲まれた洗い場と、
前記コーナー面に設置された水栓具と、
を備え、
前記浴槽における前記第1面側の端部の前記第2方向の幅は、前記第2面側の端部の前記第2方向の幅よりも狭く形成され、
前記浴室において、前記第1方向における前記第3面の中心を通り、前記第2方向に平行な線をA線と規定し、
前記浴槽の前記第2方向の幅は、前記第1面側にいくにしたがって緩やかに狭くなり、前記第1面と前記A線との間で最も幅が狭くなる最狭部を形成し、前記最狭部から前記第1面にいくにしたがって幅が広くなるように形成され、
前記浴槽における前記第4面側の側面は、前記第1面側の端部における前記第3面から前記第2方向の長さが、前記第2面側の端部における前記第3面からの前記第2方向の長さよりも短く形成されている、浴室。
【請求項2】
前記第2方向において、前記浴槽の最も幅の狭い箇所は、前記第1面側の端部の幅より狭く、前記第1方向において、前記第2面よりも前記第1面側に配置されている、請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
前記第2方向において、前記浴槽の最も幅の広い箇所は、前記第2面側の端部の幅より広く、前記第1方向において、前記第1面よりも前記第2面側に配置されている、請求項1または2に記載の浴室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々の浴室ユニットが提案されている。例えば、特許文献1には、洗い場の空間を広く利用するため、洗い場側を向く浴槽の側面を斜めに形成している。すなわち、浴槽の一端部の幅を狭くし、他端部の幅を広くしている。さらに、この浴室ユニットにおいては、浴槽の一端部側の側面に、湯水を供給する水栓具を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4725299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような浴室ユニットでは、水栓具が浴槽側に設けられているため、ユーザは、浴槽の一端部側で、浴槽を向いて洗髪などを行わなければならず、ユーザの周囲に確保されるスペースが制限されていた。そのため、ユーザが向きを変えるなどの動きの自由度が低いという問題があった。本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ユーザが動きやすくなるためのスペースを確保することができる、浴室を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る浴室は、第1方向において対向する第1面及び第2面と、前記第1方向と直交する第2方向において対向する第3面及び第4面と、で囲まれる平面視矩形状の浴室であって、前記第1面と前記第2面との間に亘って延び、前記第3面に接するように配置された浴槽と、前記第1面と前記第4面との端辺が近接する隅部に形成され、当該第1面と第4面に対して斜めに延びるコーナー面と、前記浴槽に隣接し、前記第1面、前記コーナー面、前記第4面、及び前記第2面によって囲まれた洗い場と、前記コーナー面に設置された水栓具と、を備え、前記浴槽における前記第1面側の端部の前記第2方向の幅は、前記第2面側の端部の前記第2方向の幅よりも狭く形成されている。
【0006】
上記浴室では、前記第2方向において前記浴槽の最も幅の狭い箇所を、前記第1面側の端部の幅より狭く、前記第1方向において、前記第2面よりも前記第1面側に配置することができる。
【0007】
上記浴室では、前記第2方向において前記浴槽の最も幅の広い箇所を、前記第2面側の端部の幅より広く、前記第1方向において、前記第1面よりも前記第2面側に配置することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る浴室によれば、ユーザが動きやすくなるためのスペースを確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る浴室の斜視図である。
図2図1の平面図である。
図3】従来の浴室の平面図である。
図4】本発明に係る浴室の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る浴室の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
<1.浴室の概要>
図1は本実施形態に係る浴室の斜視図、図2図1の平面図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係る浴室は、ユニット工法で形成される浴室ユニットからなる。浴室ユニットは建物内に形成された略正方形状の設置空間に配置される。ここでは、説明の便宜のため、図2に示すように、この設置空間を側方から囲むコ字状の3つの壁を、第1壁10、第2壁20、及び第3壁30と称することとする。具体的には、図2の第1方向において第1壁10と第2壁20とが対向し、第1壁10及び第2壁20の右端部同士が第3壁30によって連結されており、この第3壁30は、第1方向と直交する第2方向に延びている。また、図2に記載のように、第1方向における第3壁30の中心を通り、第2方向に平行な線をA線、第2方向における第2壁20の中心を通り、第1方向に平行な線をB線と称することとする。また、特に断りのない限り、第2方向の長さを「幅」と称することとする。
【0012】
この浴室ユニットは、第1壁10、第2壁20、及び第3壁30に対向するように配置される第1パネル(第1面)11、第2パネル(第2面)21、及び第3パネル(第3面)31を有している。また、後述する浴槽7及び洗い場8を挟んで、第3パネル31と反対側には第4パネル(第4面)41及びドア42が配置されている。さらに、第1パネル11及び第4パネル41において互いに近接する端部同士を連結するコーナーパネル(コーナー面)51が設けられている。コーナーパネル51は、第1パネル11及び第4パネル41に対して約45度の角度で延びるように配置されている。
【0013】
したがって、第1パネル11の幅は、コーナーパネル51の分だけ、第1面10よりも短くなっている。また、第4パネル41は、コーナーパネル51の端部からA線までの範囲に設けられ、ドア42は、第4パネル41よりも第2パネル21側には設けられている。ドア42の構成は、特には限定されず、浴室に出入りできるような開き戸、引き戸、折り戸などの公知のドアで構成することが出来る。さらに、上記各パネル11,21,31,41,51の上端部を連結する天井パネル61が設けられている。なお、コーナーパネル51、第1~第4パネル11~41、天井パネル61は、公知の材料、例えば、樹脂被覆鋼板などで形成されている。
【0014】
また、この浴室には、第1パネル11から第2パネル21に亘って延びる浴槽7と、この浴槽7に隣接する洗い場8と、が設けられている。洗い場8は、浴槽7、コーナーパネル51、第4パネル41、ドア42、及び第2パネル21によって囲まれた領域であり、設置空間の下面に配置される防水パン81を有している。この防水パン81は、FRPや、発泡体が中間層に設けられ外層がFRPもしくは金属板からなるサンドイッチパネルで形成されている。また、図2に示すように、この防水パン81には、第1方向の中央付近で、浴槽7に近接する位置に、開口(図示省略)が形成されており、この開口を塞ぐように、長方形状の蓋部材82が設けられている。開口は、防水パン81の下方に設けられた排水口(図示省略)に通じるように形成されており、毛を捕捉するネット部材(図示省略)が着脱自在に取り付けられている。また、蓋部材82は、開口を塞ぐように取り付けられるが、開口の周縁と蓋部材82との間には隙間が形成されており、脱水パン81上の水や湯は、この隙間から開口内へ流れ込むようになっている。
【0015】
<2.浴槽>
次に、浴槽7について説明する。浴槽7は、その長辺側が第3パネル31に接し、第1パネル11から第2パネル21に亘って延びるように形成されている。浴槽7において第1パネル11と接する第1端部71の幅X1は、第2パネル21と接する第2端部72の幅X2よりも小さくなっている。より詳細には、第1端部71の幅X1は、第1面10の第1方向の幅X0の半分の長さよりも短く形成されている。一方、第2端部72の幅X2は、第1面10の幅X0の半分程度の長さとなっている。したがって、浴槽7の幅は、全体として、第2パネル21から第1パネル11側にいくにしたがって、狭くなるように形成されている。浴槽7の底面は、深部と浅部からなり、第1パネル11側が一段上がった浅部となっている。
【0016】
このような形状とするため、浴槽7の第4パネル側の側面73は、曲面によって形成されている。すなわち、この側面73は、第2端部72から第1端部71側にいくにしたがって、B線を越えるように第4パネル41側にやや膨れ、第2パネル21とA線との間で最も幅が広くなる(X3:最広部)。したがって、最広部の幅X3は、浴槽7の第2端部72の幅X2よりも広くなっている。そして、第1端部71側にいくにしたがって緩やかに幅が狭くなるように形成され、第1端部71とA線との間で、幅が最も狭くなる(X4:最狭部)。その後、第1端部71に近づくにしたがって幅が緩やかに広くなり、第1端部71において第1パネル11に接している。したがって、最狭部の幅X4は、浴槽7の第1端部71の幅X1よりも狭くなっている。
【0017】
また、浴槽7の内部空間(湯貯め部分)74の平面形状は、概ね浴槽7の外形の平面形状に沿うように形成されている。例えば、湯溜め部である浴槽7内側の形状も上記と同様、第2パネル21とA線との間で最も幅が広く、第1端部71とA線との間で幅が最も狭くなる。
【0018】
<3.コーナーパネル>
コーナーパネル51は、第1面10及び第4面40の隅部において、第1パネル11及び第4パネル41に対し、約45°の角度で連結された縦長のパネルである。本実施形態において、コーナーパネル51の横方向の幅Yは、第1面10の幅X0の1/6程度であるが、これに限定されず、例えば、幅Yは、200~350mm程度にすることができる。また、図1及び図2に示すように、このコーナーパネル51には、下から上に、湯桶などを置くためのカウンター52、水栓具53、及び鏡54が、この順で配置されている。カウンター52は、第1パネル11、コーナーパネル51、及び第4パネル41に接するように取り付けられ、洗い場8側の端面が円弧状に形成されている。カウンター52は、コーナーパネル51から直交するように浴室空間に向けて延びている。水栓具53は、湯水を排出する吐水口を供え、さらにシャワーホース55が連結されている。したがって、水栓具53を操作することで、シャワーホース55に連結されたシャワーヘッド56から湯水を流すことができるようになっている。なお、シャワーヘッド56は、第1パネル11に設けられた取付具57に、取り外し可能に設置されている。水栓具53は、コーナーパネル51から直交するように浴室空間に向けて取り付けられている。
【0019】
<4.その他>
図1に示すように、第1パネル11には、シャンプーなどの各種の入浴用製品を配置するための収納棚15が設置されている。本実施形態では、3つの収納棚15が上下に配置されているが、配置の位置、数、形状は特には限定されない。
【0020】
<5.特徴>
上記のように構成された浴室は、次のような効果を得ることができる。
【0021】
(1)図2に示すように、水栓具53がコーナーパネル51に配置されている。そのため、ユーザが洗髪などを行う際には、コーナーパネル51、ひいては水栓具53およびカウンター52と正対して座るため、ユーザの右側にスペースS1が形成される。また、浴槽7の第1端部71の幅が狭く形成され、第1パネル11付近では、浴槽7の側面73が第3パネル31側に位置する。したがって、ユーザの左側にもスペースS2が形成される。さらに、第1パネル11とA線との間に最狭部X4が形成され、第2パネル21とA線との間に最広部X3が形成されているため、ユーザの背中側にもスペースS3が形成される。したがって、本実施形態に係る浴室では、例えば、図3のような浴室よりも、ユーザの周囲にスペースが確保されるため、向きを変えるなどのユーザの動きの自由度が高くなり、洗い場8での作業を快適に行うことができる。
【0022】
(2)コーナーパネル51から離れた第2パネル21側では、浴槽7の幅を広くしているため、浴槽7の広さも十分に確保することができる。
【0023】
(3)コーナーパネル51が、第1パネル11及び第4パネル41に対して斜めになっているため、コーナーパネル51を向いているユーザから、第1パネル11及び第4パネル41までの距離が短くなる。したがって、第1パネル11に設置したシャワーヘッド56や収納棚15の製品に手が届きやすくなる。なお、本実施形態では、第1パネル11にシャワーヘッド56及び収納棚15を配置したが、第4パネル41やコーナーパネル51に配置することもできる。
【0024】
(4)コーナーパネル51に水栓具53が配置されているため、水栓具53に湯水を供給するための配管をコーナーパネル51の背面のスペース、つまりコーナーパネル51、第1面10、及び第4面40で囲まれたスペース50に配置することができる。したがって、このような配管を設置空間外に突出させることなく、設置空間を有効に活用することができる。
【0025】
(5)浴槽7の第1端部71側にコーナーパネル51を設け、第1パネル41側で洗髪などが行われるため、その他の第2面20、第4面40の何れにもドアを設けることができる。
【0026】
<4.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせ可能である。
【0027】
<4-1>
上記実施形態では、設置空間が略正方形状であったが、長方形状の設置空間にも適用することができる。例えば、図4に示すように、長方形状の設置空間に合わせて各パネル、浴槽の形状を決定することができる。
【0028】
<4-2>
上記実施形態では、ドア42を第4面40に配置しているが、第2面20に配置することもできる。また、第1パネル~第4パネル11~41の少なくとも一つに窓を設けることもできる。したがって、本発明に係る第1~第4面は、窓やドアが設けられる空間が適宜設けられたものも含む。なお、ドアを設けるためには、第4面40においては、浴槽7の第2端部72の幅X2が第4面40の幅X0の50%以下であることが好ましい。
【0029】
<4-3>
浴槽7の形状は、上記実施形態で示したものに限られず、適宜変更が可能である。すなわち、第2面20側の第2端部72よりも第1面10側の第1端部71の幅が狭ければよく、その間の側面73の形状は適宜変更可能である。したがって、側面73に、複数の最広部、最狭部を設けてもよいし、あるいはこれらを設けず、単なる傾斜面であってもよい。但し、幅の狭い第1端部71は、コーナーパネル51が設けられた側に配置する必要がある。浴槽7と第1パネル11もしくは第2パネル21との間に空間が設けられてもよい。さらにその空間に浴用椅子を設けてもよい。
【0030】
<4-4>
コーナーパネル51の角度は特には限定されず、45°以外でもよい。また、少なくとも水栓具53が設けられていればよいため、テーブル52や鏡54は必ずしも設けなくてもよい。
【0031】
<4-5>
上記実施形態では、家屋の設置空間にパネル11~61を設けることで浴室を構成している。すなわち、第1~第4パネル11~41が本発明に係る第1~第4面として機能する。一方、既にパネルが配置されていたり、上述した第1~第3壁10~30が浴室の壁として整備されている場合には、少なくとも第1~第3パネル11~31は必ずしも必要ではない。すなわち、第1~第3壁10~30が本発明の第1~第3面として機能し、これに加え、第4パネル41、浴槽7、水栓具53が設けられたコーナーパネル51、及び洗い場(下面パネル81)によって本発明の浴室を構成することができる。すなわち、在来工法の浴室にも適用可能である。
【符号の説明】
【0032】
11 第1パネル(第1面)
21 第2パネル(第2面)
31 第3パネル(第3面)
41 第4パネル(第4面)
51 コーナーパネル(コーナー面)
53 水栓具
7 浴槽
8 洗い場
図1
図2
図3
図4