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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】減速装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/32 20060101AFI20230502BHJP
   F16H 1/16 20060101ALI20230502BHJP
   F16H 57/039 20120101ALI20230502BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16H1/16 Z
F16H57/039
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019010622
(22)【出願日】2019-01-24
(65)【公開番号】P2020118236
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-01
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590001164
【氏名又は名称】アイシンシロキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井土 耕平
(72)【発明者】
【氏名】本西 吉徳
(72)【発明者】
【氏名】永田 俊顕
(72)【発明者】
【氏名】野口 雅生
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-062675(JP,A)
【文献】特開2017-032032(JP,A)
【文献】特開2018-075999(JP,A)
【文献】特開2009-207264(JP,A)
【文献】特開2002-139507(JP,A)
【文献】特開2018-021621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 1/16
F16H 57/039
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構の駆動力によって回転軸まわりに回転させられる従動ギヤと、前記回転軸まわりに回転可能な出力軸と、前記出力軸と前記従動ギヤとの間で回転を伝達する少なくとも一つのギヤと、を有する回転伝達機構と、
前記回転伝達機構が収容される収容開口が設けられ、前記回転軸の径方向における内側に向く前記収容開口の内面と、前記回転軸の軸方向に向く前記収容開口の底面と、前記収容開口の前記底面から突出する第1の支持部と、を有する、ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記収容開口を覆うカバーと、
前記径方向における内側に向くとともに前記第1の支持部に前記出力軸から離間した位置で支持されることが可能な内縁を有し、前記収容開口の前記底面と前記回転伝達機構との間に介在し、弾性により前記回転伝達機構を前記カバーに向かって押す、無端状の座金と、
を具備し、
前記ハウジングは、前記収容開口の前記底面から突出し、前記第1の支持部から前記径方向における内側に離間し、前記出力軸を支持する、第2の支持部を有する、
減速装置。
【請求項2】
駆動機構の駆動力によって回転軸まわりに回転させられる従動ギヤと、前記回転軸まわりに回転可能な出力軸と、前記出力軸と前記従動ギヤとの間で回転を伝達する少なくとも一つのギヤと、を有する回転伝達機構と、
前記回転伝達機構が収容される収容開口が設けられ、前記回転軸の径方向における内側に向く前記収容開口の内面と、前記回転軸の軸方向に向く前記収容開口の底面と、前記収容開口の前記底面から突出する第1の支持部と、を有する、ハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記収容開口を覆うカバーと、
前記径方向における内側に向くとともに前記第1の支持部に前記出力軸から離間した位置で支持されることが可能な内縁を有し、前記収容開口の前記底面と前記回転伝達機構との間に介在し、弾性により前記回転伝達機構を前記カバーに向かって押す、無端状の座金と、
を具備し、
前記座金は、前記回転伝達機構に接触する三つ以上の第1の山と、前記収容開口の前記底面に接触する三つ以上の第2の山と、を有するウェーブワッシャである、
減速装置。
【請求項3】
前記収容開口の前記内面は、前記座金から離間する、請求項1又は請求項2の減速装置。
【請求項4】
前記第1の支持部は、前記回転軸の周方向に延びる環状に形成され、
前記ハウジングは、前記収容開口の前記底面から突出し、前記径方向に延びて前記第1の支持部と前記第2の支持部とに接続される、リブを有する、
請求項の減速装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、減速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外歯ギヤと、外歯ギヤよりも歯数が多い内歯ギヤとの組み合わせによって、モータの回転を減速して、内歯ギヤから出力する減速装置が知られる。外歯ギヤは、回転軸の周りを公転することで、内歯ギヤを回転軸まわりに自転させる。例えば、内歯ギヤに接続された出力軸が、減速された回転を出力する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-080791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力軸の周りに、環状の部材が設けられることがある。出力軸は、当該部材に対して相対的に回転する。出力軸と上記部材とが接触すると、異音が生じる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたものであり、異音を抑制可能な減速装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る減速装置は、一例として、駆動機構の駆動力によって回転軸まわりに回転させられる従動ギヤと、前記回転軸まわりに回転可能な出力軸と、前記出力軸と前記従動ギヤとの間で回転を伝達する少なくとも一つのギヤと、を有する回転伝達機構と、前記回転伝達機構が収容される収容開口が設けられ、前記回転軸の径方向における内側に向く前記収容開口の内面と、前記回転軸の軸方向に向く前記収容開口の底面と、前記収容開口の前記底面から突出する第1の支持部と、を有する、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記収容開口を覆うカバーと、前記径方向における内側に向くとともに前記第1の支持部に前記出力軸から離間した位置で支持されることが可能な内縁を有し、前記収容開口の前記底面と前記回転伝達機構との間に介在し、弾性により前記回転伝達機構を前記カバーに向かって押す、無端状の座金と、を備え、前記ハウジングは、前記収容開口の前記底面から突出し、前記第1の支持部から前記径方向における内側に離間し、前記出力軸を支持する、第2の支持部を有する。よって、一例としては、座金の内縁と出力軸とが擦れることによる異音が抑制される。また、一例としては、座金が、径方向における比較的外側で従動ギヤに接触し、回転伝達機構を安定してカバーに向かって押すことができる。
【0007】
本発明の実施形態に係る減速装置は、一例として、駆動機構の駆動力によって回転軸まわりに回転させられる従動ギヤと、前記回転軸まわりに回転可能な出力軸と、前記出力軸と前記従動ギヤとの間で回転を伝達する少なくとも一つのギヤと、を有する回転伝達機構と、前記回転伝達機構が収容される収容開口が設けられ、前記回転軸の径方向における内側に向く前記収容開口の内面と、前記回転軸の軸方向に向く前記収容開口の底面と、前記収容開口の前記底面から突出する第1の支持部と、を有する、ハウジングと、前記ハウジングに取り付けられ、前記収容開口を覆うカバーと、前記径方向における内側に向くとともに前記第1の支持部に前記出力軸から離間した位置で支持されることが可能な内縁を有し、前記収容開口の前記底面と前記回転伝達機構との間に介在し、弾性により前記回転伝達機構を前記カバーに向かって押す、無端状の座金と、を備え、前記座金は、前記回転伝達機構に接触する三つ以上の第1の山と、前記収容開口の前記底面に接触する三つ以上の第2の山と、を有するウェーブワッシャである。よって、一例としては、座金の内縁と出力軸とが擦れることによる異音が抑制される。また、一例としては、座金は、回転伝達機構を安定してカバーに向かって押すことができる。
【0008】
上記減速装置では、一例として、前記収容開口の前記内面は、前記座金から離間する。よって、一例としては、収容開口の内面と弾性変形する座金とが干渉することが抑制される。
【0009】
上記減速装置では、一例として、前記第1の支持部は、前記回転軸の周方向に延びる環状に形成され、前記ハウジングは、前記収容開口の前記底面から突出し、前記径方向に延びて前記第1の支持部と前記第2の支持部とに接続される、リブを有する。よって、一例としては、第1の支持部及び第2の支持部が変形することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1の実施形態に係るシートを概略的に示す例示的な側面図である。
図2図2は、第1の実施形態の駆動装置を概略的に示す例示的な側面図である。
図3図3は、第1の実施形態の駆動装置を概略的に示す例示的な正面図である。
図4図4は、第1の実施形態の駆動装置を、図2のF4-F4線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。
図5図5は、第1の実施形態の駆動装置を分解して概略的に示す例示的な斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態のハウジングの一部及びストッパプレートの一部を図4のF6-F6線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。
図7図7は、第1の実施形態のハウジング及びストッパプレートを示す側面図である。
図8図8は、第1の実施形態のハウジングを概略的に示す例示的な側面図である。
図9図9は、第1の実施形態のハウジングの一部及びストッパプレートの一部を概略的に示す例示的な側面図である。
図10図10は、第1の実施形態のハウジング及び座金を概略的に示す例示的な斜視図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る減速装置を概略的に示す例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態について、図1乃至図10を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係るシート11を概略的に示す例示的な側面図である。シート11は、四輪自動車のような車両1に搭載される。シート11に、例えば、スライドレール12とシートリフタ13とが設けられる。
【0014】
スライドレール12は、シート11を車両1の前後方向にスライド可能とする。スライドレール12は、例えば、一対のアッパレール21と、一対のロアレール22とを有する。ロアレール22は、車両1のフロア1aに取り付けられる。アッパレール21は、車両1の前後方向にスライド可能に、ロアレール22に取り付けられる。
【0015】
シートリフタ13は、シート11を車両1の上下方向に昇降可能とする。シートリフタ13は、例えば、一対のベースプレート24と、一対のアーム25と、一対のフロントリンク26と、一対のリアリンク27と、ロッド28と、駆動装置29と、を有する。駆動装置29は、例えば、ギアボックスモータと称され得る。
【0016】
ベースプレート24は、アッパレール21に取り付けられる。アーム25は、フロントリンク26及びリアリンク27を介して、車両1の上下方向に昇降可能に、ベースプレート24に取り付けられる。
【0017】
フロントリンク26の一方の端部は、例えばピンによって回転可能に、ベースプレート24の前端部に取り付けられる。フロントリンク26の他方の端部は、例えばピンによって回転可能に、アーム25の前端部に取り付けられる。
【0018】
リアリンク27の一方の端部は、例えばピンによって回転可能に、ベースプレート24の後端部に取り付けられる。リアリンク27の他方の端部は、例えばロッド28によって回転可能に、アーム25の後端部に取り付けられる。一対のアーム25は、ロッド28によって互いに連結される。
【0019】
シートリフタ13は、ベースプレート24と、アーム25と、フロントリンク26と、リアリンク27とで、四節回転機構を形成する。フロントリンク26又はリアリンク27を回転させることで、アーム25は、ベースプレート24に対して昇降する。
【0020】
リアリンク27に、ギヤ部27aが設けられる。ギヤ部27aは、ロッド28を中心として略円弧状に並べられた複数の歯を有する。駆動装置29は、ギヤ部27aが設けられたリアリンク27とともに、アーム25に取り付けられる。駆動装置29は、ピニオン29aを有する。ピニオン29aは、リアリンク27のギヤ部27aに嵌合する。
【0021】
駆動装置29が駆動されると、ピニオン29aが回転する。ギヤ部27aと噛み合うピニオン29aは、リアリンク27を回転させる。これにより、アーム25は、ベースプレート24に対して昇降する。
【0022】
図2は、第1の実施形態の駆動装置29を概略的に示す例示的な側面図である。図3は、第1の実施形態の駆動装置29を概略的に示す例示的な正面図である。図4は、第1の実施形態の駆動装置29を、図2のF4-F4線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図5は、第1の実施形態の駆動装置29を分解して概略的に示す例示的な斜視図である。
【0023】
図2に示すように、駆動装置29は、モータ31と、減速装置32とを有する。モータ31は、例えば、駆動機構と称され得る。駆動装置29は、モータ31の回転を減速装置32によって減速し、ピニオン29aを回転する。
【0024】
図5に示すように、モータ31は、ケース31aと、ケース31aに収容された構成部品とを有する。構成部品には、例えば、モータシャフト、ステータ、ロータ、コイル、及び磁石が含まれる。モータ31は、電力によって駆動され、回転軸Ax1まわりにモータシャフトを回転させる。
【0025】
減速装置32は、いわゆるタウメル機構であり、回転伝達機構35と、ハウジング36と、カバー37と、座金38とを有する。回転伝達機構35は、例えば、減速部と称され得る。カバー37は、例えば、キャップと称され得る。
【0026】
回転伝達機構35は、ハウジング36に収容される。回転伝達機構35は、第1の減速部41と、第2の減速部42と、出力軸43とを有する。モータ31の駆動力は、第1の減速部41を介して第2の減速部42に伝達され、さらに第2の減速部42から出力軸43に伝達される。
【0027】
出力軸43は、回転軸Ax2まわりに回転可能に、ハウジング36及びカバー37に支持される。回転軸Ax2は、回転軸Ax1の軸方向と交差する方向に延びる、出力軸43の中心軸である。回転軸Ax2は、回転軸又は第1の回転軸と称され得る。
【0028】
以下の説明において、軸方向は、回転軸Ax1及び回転軸Ax2のような回転軸に沿う方向であると定義される。さらに、径方向は回転軸と直交する方向であり、周方向は回転軸まわりに回転する方向であると定義される。
【0029】
出力軸43に、駆動装置29のピニオン29aが設けられる。ピニオン29aは、ハウジング36の外部に突出する。ピニオン29aは、出力軸43と一体に、回転軸Ax2まわりに回転可能である。
【0030】
第1の減速部41は、ウォーム51と、ウォームホイール52とを有する。ウォームホイール52は、従動ギヤと称され得る。ウォーム51は、モータ31のモータシャフトに結合され、モータシャフトと一体に回転軸Ax1まわりに回転する。
【0031】
図4に示すように、ウォームホイール52は、回転軸Ax2まわりに回転可能に、ハウジング36及び出力軸43に支持される。ウォームホイール52は、回転軸Ax2を中心とする略円盤状に形成され、第1の端面52aと、第2の端面52bと、複数の歯52cと、支持突起52dとを有する。第1の端面52aは、回転軸Ax2の軸方向の一方側(図4における上方向)に向く。第2の端面52bは、第1の端面52aの反対側に位置する。第2の端面52bは、回転軸Ax2の軸方向の他方側(図4における下方向)に向き、ハウジング36に支持される。複数の歯52cは、回転軸Ax2の周方向に略等間隔に並べられ、ウォーム51と噛み合う。支持突起52dは、第2の端面52bから突出し、回転軸Ax2の周方向に延びる。
【0032】
第1の減速部41において、モータ31の駆動力によってウォーム51が回転軸Ax1まわりに回転すると、ウォームホイール52が回転軸Ax2まわりに回転する。すなわち、ウォームホイール52は、モータ31の駆動力によって回転軸Ax2まわりに回転させられる。第1の減速部41は、モータ31のモータシャフトに対して減速してウォームホイール52を回転させる。
【0033】
第2の減速部42は、偏心軸61と、外歯ギヤ62と、ブッシュ63と、ストッパプレート64と、内歯ギヤ65と、を有する。外歯ギヤ62は、第1のギヤ又はギヤと称され得る。ストッパプレート64は、制限部材と称され得る。内歯ギヤ65は、第2のギヤ又はギヤと称され得る。なお、本実施形態において、偏心軸61はウォームホイール52と一体の部品であり、内歯ギヤ65は出力軸43と一体の部品である。
【0034】
偏心軸61は、ウォームホイール52の第1の端面52aから、回転軸Ax3に沿って突出する。回転軸Ax3は、第2の回転軸と称され得る。回転軸Ax3は、回転軸Ax2と平行であり、回転軸Ax2と異なる位置にある。すなわち、偏心軸61の中心である回転軸Ax3は、ウォームホイール52の中心である回転軸Ax2から偏心している。
【0035】
偏心軸61は、外周面61aを有する。外周面61aは、回転軸Ax3を中心とする略円筒形の外面であり、回転軸Ax3の径方向における外側に向く。さらに、偏心軸61に、挿通孔61bが設けられる。挿通孔61bは、回転軸Ax2に沿って延びる。外周面61aの中心である回転軸Ax3は、挿通孔61bの中心である回転軸Ax2から偏心している。出力軸43は、挿通孔61bに挿通されることで、回転可能に偏心軸61に支持される。出力軸43と、ウォームホイール52及び偏心軸61とは、互いに相対的に回転可能である。
【0036】
外周面61aは、第1の部分61aaと、第2の部分61abとを有する。第1の部分61aaと第2の部分61abとは、回転軸Ax3の軸方向に並べられる。第1の部分61aaの表面粗さは、例えば切削又は研削により、第2の部分61abの表面粗さよりも低くされる。
【0037】
偏心軸61は、ウォームホイール52と一体に回転可能である。回転軸Ax2まわりに回転するウォームホイール52によって、偏心軸61の少なくとも外周面61aを有する部分は、回転軸Ax2の周方向に移動させられる。言い換えると、偏心軸61は、回転軸Ax2の周りを公転する。偏心軸61とともに、回転軸Ax3も回転軸Ax2の周方向に移動(公転)する。
【0038】
外歯ギヤ62は、回転軸Ax3を中心とする板状に形成される。外歯ギヤ62に、回転軸Ax3に沿って延びる挿通孔62aが設けられる。偏心軸61は、外歯ギヤ62に対して回転軸Ax3まわりに相対的に回転可能に、挿通孔62aに挿通される。
【0039】
回転するウォームホイール52及び公転する偏心軸61によって、外歯ギヤ62は、回転軸Ax2と回転軸Ax3との間の距離を半径とする円軌跡を描きながら、回転軸Ax2の周方向に移動させられる。言い換えると、外歯ギヤ62は、回転軸Ax2の周りを公転する。
【0040】
外歯ギヤ62は、第1の平面62bと、第2の平面62cと、凹面62dと、凸面62eと、複数の外歯62fと、フランジ62gと、図5に示す二つのガイド突起62hと、内周面62iとを有する。第1の平面62bは、第4の面と称され得る。第2の平面62cは、第5の面と称され得る。凹面62dは、第1の面と称され得る。凸面62eは、第2の面と称され得る。外歯62fは、第1の歯と称され得る。
【0041】
第1の平面62bは、回転軸Ax3の軸方向の一方側に向く略平坦な円環状の面である。第2の平面62cは、第1の平面62bの反対側に位置し、回転軸Ax3の軸方向の他方側に向く略平坦な円環状の面である。
【0042】
凹面62dは、第1の平面62bから窪み、第1の平面62bよりも第2の平面62cに近い略平坦な面である。凹面62dは、回転軸Ax3の軸方向の一方側に向き、回転軸Ax3の径方向において第1の平面62bの内側に位置する。挿通孔62aの一方の端が、凹面62dで開く。
【0043】
凸面62eは、第2の平面62cから突出し、第2の平面62cよりも第1の平面62bから遠い略平坦な面である。凸面62eは、凹面62dの反対側に位置し、回転軸Ax3の軸方向の他方側に向く。凸面62eは、回転軸Ax3の径方向において第2の平面62cの内側に位置する。挿通孔62aの他方の端が、凸面62eで開く。第2の平面62c及び凸面62eは、間隔を介してウォームホイール52に向く。
【0044】
外歯62fは、回転軸Ax3の径方向において第1の平面62bの外側に位置する。外歯62fは、回転軸Ax3の径方向の外側に突出するとともに、回転軸Ax3の周方向に略等間隔に並べられる。
【0045】
フランジ62gは、第2の平面62cを囲む略環状の部分である。フランジ62gは、第2の平面62cから回転軸Ax3の軸方向の他方側に突出するように、第2の平面62cに接続される。
【0046】
図5に示すように、ガイド突起62hは、フランジ62gから回転軸Ax3の軸方向の他方側に突出する。二つのガイド突起62hは、第1の方向D1に互いに離間する。第1の方向D1は、回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向と直交する方向である。挿通孔62a、第2の平面62c、及び凸面62eは、第1の方向D1において、二つのガイド突起62hの間に位置する。
【0047】
第1の平面62b、第2の平面62c、凹面62d、凸面62e、外歯62f、フランジ62g、及びガイド突起62hは、例えば、半抜き加工(エンボス加工、ハーフパンチ加工、ハーフシャー加工)によって形成される。このため、図4に示すように、第1の平面62bと第2の平面62cとの間の距離(厚さ)は、凹面62dと凸面62eとの間の距離(厚さ)に等しく、且つフランジ62gの厚さに等しい。なお、外歯ギヤ62の加工法及び厚さは、この例に限られない。
【0048】
内周面62iは、挿通孔62aを形成する。言い換えると、内周面62iは、挿通孔62aの縁である。内周面62iは、ブッシュ63を介して偏心軸61の外周面61aに向く。
【0049】
ブッシュ63は、例えば、合成樹脂によって作られる。なお、ブッシュ63は、他の材料によって作られても良い。ブッシュ63は、筒部63aと、第1の鍔部63bと、第2の鍔部63cとを有する。なお、ブッシュ63は、第1の鍔部63b及び第2の鍔部63cのうち一方が省略されても良い。
【0050】
筒部63aは、略円筒状に形成され、外歯ギヤ62の挿通孔62aに圧入される。筒部63aは、外歯ギヤ62の内周面62iに接触し、内周面62iと偏心軸61の外周面61aとの間に介在する。筒部63aは、外周面61aの第1の部分61aaに接触する。筒部63aと第1の部分61aaとの接触部分における摩擦係数は、筒部63aと第2の部分61abとが接触した場合の摩擦係数よりも低い。外周面61aの第2の部分61abは、ブッシュ63から回転軸Ax3の軸方向に離間する。
【0051】
第1の鍔部63bは、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、略円環状に形成される。第1の鍔部63bは、外歯ギヤ62の凹面62dに接触する。第1の鍔部63bの外径は、凹面62dの外径よりも小さい。
【0052】
第2の鍔部63cは、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、略円環状に形成される。第2の鍔部63cは、外歯ギヤ62の凸面62eに接触する。外歯ギヤ62の一部は、第1の鍔部63bと第2の鍔部63cとの間に保持される。このため、外歯ギヤ62とブッシュ63とは、回転軸Ax3の軸方向に相対的に移動することを制限される。
【0053】
本実施形態のブッシュ63において、第1の鍔部63bは、予め形成される。第2の鍔部63cは、例えば、筒部63aに外歯ギヤ62が圧入された後、加締めにより形成される。なお、第1の鍔部63bが加締めにより形成されても良い。
【0054】
ストッパプレート64は、回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向において、ウォームホイール52と外歯ギヤ62との間に位置する。ストッパプレート64は、ハウジング36に支持されるとともに、外歯ギヤ62を支持する。
【0055】
ストッパプレート64は、例えば、金属によって作られる。なお、ストッパプレート64は、他の材料によって作られても良い。ストッパプレート64は、例えば、プレス加工により成型される。このため、ストッパプレート64は、ダレ面64aと、バリ面64bとを有する。ダレ面64aは、第1の表面と称され得る。バリ面64bは、第2の表面と称され得る。
【0056】
ダレ面64aは、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向く略平坦な面である。ダレ面64aは、外歯ギヤ62に向き、外歯ギヤ62のフランジ62gを支持する。バリ面64bは、ダレ面64aの反対側にあり、回転軸Ax2の軸方向の他方側に向く略平坦な面である。バリ面64bの一部は、ハウジング36に向き、ハウジング36に支持される。バリ面64bの他の一部は、間隔を介してウォームホイール52に向く。
【0057】
図6は、第1の実施形態のハウジング36の一部及びストッパプレート64の一部を図4のF6-F6線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図6に示すように、ストッパプレート64は、垂下縁部64cと、突出縁部64dとを有する。
【0058】
垂下縁部64cは、いわゆるダレ(shear drop)であり、ダレ面64aの縁からバリ面64bに向かって垂れ下がった(凹んだ)部分である。突出縁部64dは、いわゆるバリ(burr)であり、バリ面64bの縁から回転軸Ax2の軸方向の他方側に突出した部分である。回転軸Ax2の軸方向の他方側は、ダレ面64aから遠ざかる方向である。なお、垂下縁部64c及び突出縁部64dは、プレス加工とは異なる方法により形成されても良い。
【0059】
図7は、第1の実施形態のハウジング36及びストッパプレート64を示す側面図である。図7に示すように、ストッパプレート64は、第1のガイド71と、二つの第2のガイド72とを有する。
【0060】
第1のガイド71及び第2のガイド72は、第2の方向D2に並べられる。第2の方向D2は、回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向と直交し且つ第1の方向D1と異なる方向である。本実施形態において、第2の方向D2は、第1の方向D1と直交する方向である。第1のガイド71及び第2のガイド72はそれぞれ、ダレ面64a及びバリ面64bを有する。
【0061】
第1のガイド71は、回転対称且つ鏡像対称な形状に形成される。なお、第1のガイド71の形状は、この例に限られない。第1のガイド71に、挿通孔71aと、二つのガイド溝71bとが設けられる。挿通孔71a及びガイド溝71bはそれぞれ、回転軸Ax2の軸方向に延び、第1のガイド71のダレ面64a及びバリ面64bに開く。
【0062】
挿通孔71aは、第1のガイド71の略中央に位置する。図4に示すように、偏心軸61は、挿通孔71aに挿通される。挿通孔71aの直径は、偏心軸61の外周面61aの直径よりも大きい。偏心軸61は、回転軸Ax2の周方向に移動しても、ストッパプレート64から離間している。
【0063】
図7に示すように、二つのガイド溝71bは、第1の方向D1に互いに離間する。本実施形態において、ガイド溝71bは、第1の方向D1における第1のガイド71の端部に開く切欠きである。なお、ガイド溝71bはこの例に限らない。挿通孔71aは、第1の方向D1において、二つのガイド溝71bの間に位置する。
【0064】
外歯ギヤ62のガイド突起62hが、対応するガイド溝71bに嵌め込まれる。ガイド突起62hは、第1のガイド71により、ガイド溝71bに沿って第1の方向D1に移動可能に支持される。これにより、第1のガイド71は、第1の方向D1における外歯ギヤ62の移動を許容するとともに、ストッパプレート64と外歯ギヤ62との回転軸Ax3まわりの相対的な回転を制限する。なお、第1のガイド71は、他の手段により、第1の方向D1に外歯ギヤ62が移動可能にストッパプレート64と外歯ギヤ62との相対的な回転を制限しても良い。
【0065】
二つの第2のガイド72は、第1のガイド71から、第2の方向D2の一方側及び他方側に突出する。言い換えると、二つの第2のガイド72は、第1のガイド71から互いに逆方向に突出する。
【0066】
以下、第2のガイド72のうち、一方を第2のガイド72Aと称し、他方を第2のガイド72Bと称することがある。なお、第2のガイド72A,72Bに共通する説明においては、第2のガイド72A,72Bは単に第2のガイド72と称される。
【0067】
回転軸Ax2(回転軸Ax3)の軸方向と直交し且つ第2の方向D2と直交する第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1が、第2のガイド72Bの中心C2と異なる位置にある。本実施形態において、第3の方向D3は、第1の方向D1と略同一の方向である。なお、第3の方向D3と第1の方向D1とが異なっても良い。
【0068】
本実施形態では、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1は、ストッパプレート64の中心C3と略同一の位置にある。一方、第3の方向D3において、第2のガイド72Bの中心C2は、ストッパプレート64の中心C3と異なる位置にある。
【0069】
第2のガイド72はそれぞれ、第1の側縁72aと、第2の側縁72bとを有する。第1の側縁72aは、第3の方向D3の一方側(図7における上方向)に向くとともに第2の方向D2に延びる。第2の側縁72bは、第3の方向D3の他方側(図7における下方向)に向くとともに第2の方向D2に延びる。
【0070】
第2のガイド72Aの第1の側縁72aと、第2のガイド72Bの第1の側縁72aとは、同一線上に配置される。言い換えると、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの第1の側縁72aと、第2のガイド72Bの第1の側縁72aとは、略同一の位置にある。
【0071】
一方、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの第2の側縁72bは、第2のガイド72Bの第2の側縁72bと異なる位置にある。このため、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの長さ(幅)と、第2のガイド72Bの長さ(幅)と、が異なる。
【0072】
第2のガイド72A,72Bの位置及び幅は、上記の例に限られない。例えば、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1と第2のガイド72Bの中心C2とが共に、ストッパプレート64の中心C3と異なる位置にあっても良い。
【0073】
第2のガイド72は、ハウジング36により、第2の方向D2に移動可能に支持される。これにより、ストッパプレート64は、ハウジング36に対する中心C3まわりの相対的な回転を制限される。
【0074】
以上により、ストッパプレート64は、外歯ギヤ62の回転軸Ax3まわりの回転(自転)を制限する。このため、外歯ギヤ62は、自転を制限されながら、回転軸Ax2の周方向に平行移動(公転)する。
【0075】
図4に示すように、内歯ギヤ65は、回転軸Ax2を中心とする板状に形成される。出力軸43は、内歯ギヤ65と回転軸Ax2まわりに一体に回転可能である。
【0076】
内歯ギヤ65は、平面65bと、フランジ65cと、複数の内歯65dとを有する。平面65bは、第3の面と称され得る。内歯65dは、第2の歯と称され得る。
【0077】
平面65bは、回転軸Ax2の軸方向の他方側に向く略平坦な面である。平面65bは、隙間を介して外歯ギヤ62の第1の平面62bに向く。なお、平面65bは、第1の平面62bに接触しても良い。
【0078】
平面65bと外歯ギヤ62の第1の平面62bとの間の距離は、平面65bと凹面62dとの間の距離よりも短い。すなわち、第1の平面62bは、凹面62dよりも平面65bに近い。また、平面65bと凹面62dとの間の距離は、ブッシュ63の厚さよりも長い。このため、ブッシュ63の第1の鍔部63bは、平面65bから離間する。
【0079】
フランジ65cは、平面65bを囲む略環状の部分である。フランジ65cは、平面65bから回転軸Ax2の軸方向の他方側に突出するように、平面65bに接続される。フランジ65cは、外歯ギヤ62のフランジ62gに支持される。
【0080】
内歯65dは、フランジ65cから回転軸Ax2の径方向の内側に突出するとともに、回転軸Ax2の周方向に略等間隔に並べられる。内歯65dの少なくとも一つが、外歯ギヤ62の外歯62fのうち少なくとも一つと噛み合う。
【0081】
本実施形態において、内歯65dの数は、外歯62fの数よりも多い。例えば、内歯65dの数は、外歯62fの数より一つ又は二つ多い。内歯65dと外歯62fとは、一カ所で噛み合う。外歯ギヤ62が回転軸Ax2の周方向に移動すると、内歯65dと外歯62fとの噛み合い部が回転軸Ax2まわりに移動し、内歯ギヤ65が回転軸Ax2まわりに回転する。すなわち、内歯ギヤ65は、外歯ギヤ62によって回転軸Ax2まわりに回転させられる。
【0082】
第2の減速部42において、内歯65dの数が外歯62fの数よりも多いので、内歯ギヤ65が、ウォームホイール52に対して減速して回転する。内歯ギヤ65に取り付けられた出力軸43と、出力軸43に設けられたピニオン29aとは、内歯ギヤ65と一体に回転する。外歯ギヤ62及び内歯ギヤ65は、ウォームホイール52と出力軸43との間で回転を伝達する。
【0083】
ハウジング36は、例えば、合成樹脂によって作られる。なお、ハウジング36は、金属のような他の材料によって作られても良い。図5に示すように、ハウジング36は、モータ保持部81と、機構保持部82とを有する。
【0084】
モータ保持部81に、取付開口84が設けられる。取付開口84は、回転軸Ax1の軸方向に開く孔である。モータ31は、取付開口84に嵌め込まれることで、モータ保持部81に取り付けられる。
【0085】
機構保持部82は、モータ保持部81と一体に形成される。機構保持部82は、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向く外面82aを有する。機構保持部82に、収容開口85が設けられる。収容開口85は、外面82aに開く有底の穴である。収容開口85は、取付開口84に連通する。回転伝達機構35及び座金38が、収容開口85に収容される。
【0086】
図8は、第1の実施形態のハウジング36を概略的に示す例示的な側面図である。図8に示すように、収容開口85は、第1の収容部87と、二つの第2の収容部88とを有する。
【0087】
図4に示すように、第1の収容部87に、出力軸43、ウォームホイール52、偏心軸61、外歯ギヤ62、ブッシュ63、ストッパプレート64の第1のガイド71、及び内歯ギヤ65が収容される。ハウジング36は、第1の収容部87の内面87a及び底面87bを有する。第1の収容部87の内面87aは、収容開口の内面と称され得る。第1の収容部87の底面87bは、収容開口の底面と称され得る。
【0088】
第1の収容部87の内面87aは、回転軸Ax2の径方向における内側に向いて、間隔を介して回転伝達機構35に向く。第1の収容部87の底面87bは、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向いて、間隔を介して回転伝達機構35に向く。
【0089】
図8に示すように、ハウジング36は、第1の支持部91と、第2の支持部92と、複数のリブ93とをさらに有する。第1の支持部91、第2の支持部92、及びリブ93はそれぞれ、第1の収容部87の底面87bから突出する。
【0090】
第1の支持部91及び第2の支持部92はそれぞれ、回転軸Ax2の周方向に延びる略円環状に形成される。第1の支持部91及び第2の支持部92はこの例に限られず、例えば、底面87bから突出して回転軸Ax2の周方向に並べられた複数の突起により形成されても良い。第1の支持部91及び第2の支持部92は、第1の収容部87の内面87aから回転軸Ax2の径方向における内側に離間する。
【0091】
第1の支持部91の内径は、第2の支持部92の外径よりも大きい。このため、第2の支持部92は、第1の支持部91から回転軸Ax2の径方向における内側に離間する。第2の支持部92の内側に、出力軸43が嵌め込まれる。これにより、第2の支持部92は、回転軸Ax2まわりに回転可能に出力軸43を支持する。
【0092】
リブ93は、第1の支持部91と第2の支持部92との間で、回転軸Ax2の径方向に延びる。言い換えると、リブ93は、放射状に延びる。リブ93は、第1の支持部91と第2の支持部92とに接続される。
【0093】
二つの第2の収容部88は、第1の収容部87から第2の方向D2の一方側及び他方側に延びる。図7に示すように、第2の収容部88に、第2の方向D2におけるストッパプレート64の移動を許容するように、対応する第2のガイド72が収容される。ハウジング36は、第2の収容部88のそれぞれの内面88a及び底面88bを有する。
【0094】
第2の収容部88の内面88aは、第2のガイド72の第1の側縁72a及び第2の側縁72bに向く。内面88aは、第2のガイド72を支持することで、ハウジング36及びストッパプレート64の相対的な回転を制限する。すなわち、第2の収容部88に、ハウジング36及びストッパプレート64の相対的な回転を制限するように、第2のガイド72が収容される。
【0095】
図4に示すように、第2の収容部88の底面88bは、回転軸Ax2の軸方向の一方側に向いて、間隔を介して対応する第2のガイド72のバリ面64bに面する。底面88bは、第1の収容部87の底面87bよりも、ストッパプレート64に近い。
【0096】
ハウジング36は、二つの突出部95をさらに有する。突出部95はそれぞれ、対応する第2の収容部88の底面88bから突出し、対応する第2のガイド72のバリ面64bを支持する。これにより、ストッパプレート64の突出縁部64dは、底面88bから離間する。
【0097】
図8に示すように、突出部95は、第2の収容部88の内面88aから離間する。第3の方向D3において、突出部95の中心は、対応する第2の収容部88の底面88bの中心に位置する。突出部95は、第2の方向D2において対応する底面88bの両端のうち第1の収容部87に近い端に位置する。一方、突出部95は、第2の方向D2において対応する底面88bの両端のうち第1の収容部87から遠い端から離間する。突出部95は、上記のように配置されることで、突出縁部64dから離間する。
【0098】
図7に示すように、ハウジング36は、係合壁101と、係合突起102と、第1の位置決め突起103と、第2の位置決め突起104とを有する。係合壁101及び係合突起102はそれぞれ、第1の係合部と称され得る。係合突起102は、突起と称され得る。係合壁101及び係合突起102は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側(図7及び図8における上方向)に位置する。
【0099】
係合壁101は、回転軸Ax2の周方向において、係合突起102よりも第2のガイド72Bに近い。係合突起102は、回転軸Ax2の周方向において、係合壁101よりも第2のガイド72Aに近い。
【0100】
図9は、第1の実施形態のハウジング36の一部及びストッパプレート64の一部を概略的に示す例示的な側面図である。図9に示すように、係合壁101に、開口101aが設けられる。開口101aは、第1の収容部87から回転軸Ax2の径方向における外側に離間した位置で、機構保持部82の外面82aに開く有底の孔である。
【0101】
係合壁101は、第1の壁101bと、第2の壁101cと、第3の壁101dと、第4の壁101eとを有する。第1の壁101bは、開口101aと第1の収容部87との間に位置する。
【0102】
第2の壁101c及び第3の壁101dは、第1の壁101bから、回転軸Ax2の径方向における外側に突出する。回転軸Ax2の周方向において、第2の壁101cと第3の壁101dとの間に、開口101aが位置する。第2の壁101cは、第3の壁101dよりも、第2のガイド72Bに近い。
【0103】
第4の壁101eは、第2の壁101cと第3の壁101dとに接続される。第1の壁101b、第2の壁101c、第3の壁101d、及び第4の壁101eにより、開口101aが形成される。
【0104】
図8に示すように、係合突起102と、第1の位置決め突起103と、第2の位置決め突起104とはそれぞれ、略円柱状に形成され、機構保持部82の外面82aから突出する。係合突起102の直径及び断面積は、第1の位置決め突起103の直径及び断面積よりも大きく、且つ第2の位置決め突起104の直径及び断面積よりも大きい。さらに、係合突起102は、第1の位置決め突起103よりも回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。
【0105】
第1の位置決め突起103は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側に位置する。第2の位置決め突起104は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の他方側(図7及び図8の下方向)に位置する。
【0106】
ハウジング36に、二つの固定孔108が設けられる。固定孔108は、機構保持部82の外面82aに開く。
【0107】
固定孔108は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の他方側に位置する。
【0108】
第1の位置決め突起103は、回転軸Ax2の周方向において、係合壁101と係合突起102との間に位置する。このため、係合壁101は、回転軸Ax2の周方向において、第2のガイド72Bと、第1の位置決め突起103と、の間に位置する。また、係合突起102は、回転軸Ax2の周方向において、第2のガイド72Aと、第1の位置決め突起103と、の間に位置する。
【0109】
図4に示すように、カバー37は、例えば、金属によって作られる。なお、カバー37は、合成樹脂のような他の材料で作られても良い。図5に示すように、カバー37は、例えば、三つのネジ111によりハウジング36に取り付けられ、収容開口85を覆う。ネジ111は、例えば、カバー37を貫通し、機構保持部82の外面82aに開く孔に挿入される。
【0110】
図2に示すように、カバー37に、露出孔113と、二つの挿通孔114と、二つの位置決め孔115とが設けられる。出力軸43が露出孔113に挿通されることで、出力軸43に設けられたピニオン29aがハウジング36及びカバー37の外部に露出される。二つのボルト116が、固定孔108及び挿通孔114を通り、例えば図1のアーム25に固定される。これにより、ボルト116が、ハウジング36及びカバー37を、車両1のシート11に結合する。位置決め孔115に第1の位置決め突起103及び第2の位置決め突起104が嵌められる。これにより、ハウジング36に対してカバー37が位置決めされる。
【0111】
カバー37は、結合部121と、被係合爪122と、被係合部123とを有する。被係合爪122及び被係合部123はそれぞれ、第2の係合部と称され得る。被係合爪122は、爪と称され得る。結合部121、被係合爪122、及び被係合部123は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側に位置する。
【0112】
結合部121は、例えば、カバー37に溶接されたボルトである。なお、結合部121はこの例に限られ、例えば、リベットや、溶接された部分のような結合のための部分であっても良い。結合部121は、回転軸Ax2の周方向において、第2のガイド72Aと係合突起102との間に位置する。結合部121は、係合突起102及び第1の位置決め突起103から離間している。結合部121と第1の位置決め突起103との間の距離は、結合部121と係合突起102との間の距離よりも長い。
【0113】
結合部121は、ハウジング36から回転軸Ax2の軸方向に浮いている。言い換えると、結合部121は、ハウジング36から離間している。結合部121がハウジング36から離間することで、結合部121の配置の自由度が向上する。結合部121は、例えば図1のアーム25に固定される。これにより、カバー37の結合部121は、車両1のシート11に結合される。
【0114】
減速装置32は、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側において、結合部121によりシート11に結合される。また、減速装置32は、第2のガイド72に対する第3の方向D3の他方側において、ボルト116によりシート11に結合される。すなわち、ハウジング36は、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側において、シート11に結合されていない。なお、ハウジング36はこの例に限られない。
【0115】
被係合爪122は、例えば、カバー37の一部であり、曲げ加工により形成される。被係合爪122は、係合壁101の開口101aに挿入される。これにより、被係合爪122が、係合壁101に係合する。
【0116】
被係合爪122は、係合壁101の第1の壁101bよりも、回転軸Ax2の径方向の外側に位置し、第1の壁101bに沿って延びる。被係合爪122は、回転軸Ax2の径方向における厚さが、回転軸Ax2の周方向における幅よりも小さい。
【0117】
図9に示すように、係合壁101の第2の壁101cは、回転軸Ax2の周方向において、被係合爪122と第2のガイド72Bとの間に位置する。被係合爪122は、回転軸Ax2の周方向において、第2の壁101cと第3の壁101dとの間に位置し、第2の壁101c及び第3の壁101dに面する。
【0118】
第4の壁101eは、被係合爪122よりも、回転軸Ax2の径方向の外側に位置する。回転軸Ax2の径方向において、被係合爪122は、第1の壁101bと第4の壁101eとの間に位置する。
【0119】
被係合爪122は、係合壁101と係合して、係合壁101が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。以下に、係合壁101及び被係合爪122の係合について詳しく例示する。
【0120】
例えば、車両1の前方において衝突が発生し、衝撃によってシート11に荷重が作用することがある。このとき、リアリンク27、ピニオン29a、出力軸43、内歯ギヤ65、及び外歯ギヤ62を介して、ストッパプレート64に回転軸Ax3の周方向に荷重が作用する。これにより、第2のガイド72Bが、第2の収容部88の内面88aに、荷重Fr1を作用させる。
【0121】
荷重Fr1は、ハウジング36のうち、第2のガイド72Bに対して第3の方向D3の一方側に位置する部分36aに作用する。部分36aは、第2のガイド72Bが収容される第2の収容部88の内面88aと、係合壁101と、を含む。
【0122】
荷重Fr1は、係合壁101が回転軸Ax2から遠ざかるように、部分36aを変形させる可能性がある。別の表現によれば、荷重Fr1は、収容開口85が拡大するように、部分36aを変形させる可能性がある。
【0123】
荷重Fr1が部分36aに作用したとき、被係合爪122が、係合壁101の第1の壁101bを、回転軸Ax2の径方向における外側から支持する。このため、被係合爪122は、係合壁101が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。
【0124】
さらに、荷重Fr1が部分36aに作用したとき、押された部分36aが若干移動する。例えば、第2の壁101cは、回転軸Ax2から遠ざかり、且つ被係合爪122に近づく。また、第3の壁101dは、回転軸Ax2から遠ざかり、且つ被係合爪122から遠ざかる。上記の第2の壁101c及び第3の壁101dの移動は、一般的に、機構保持部82の外面82aに近いほど大きくなり、且つ第2のガイド72Bに近いほど大きくなる。このため、部分36aは捩れるように変形する。
【0125】
被係合爪122は、移動する第2の壁101cを、回転軸Ax2の周方向に支持する。これにより、被係合爪122は、ハウジング36の変形を制限する。さらに、第2の壁101cは、被係合爪122に荷重を作用させる。しかし、第3の壁101dが、被係合爪122を支持することで、被係合爪122の変形を制限する。
【0126】
回転軸Ax2の周方向において、係合壁101及び被係合爪122は、第2のガイド72Bと、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115と、の間に位置する。このため、荷重Fr1に起因する荷重は、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115よりも、係合壁101及び被係合爪122により大きく作用する。このため、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115が嵌り合う部分の耐久性が向上する。
【0127】
さらに、回転軸Ax2の周方向において、係合壁101及び被係合爪122は、第2のガイド72Bと、ネジ111によりカバー37がハウジング36に取り付けられた部分と、の間に位置する。このため、荷重Fr1に起因する荷重は、ネジ111による取付部分よりも、係合壁101及び被係合爪122により大きく作用する。このため、ネジ111による取付部分の耐久性が向上する。
【0128】
図2に示すように、被係合部123は、例えば、カバー37の一部である。被係合部123に、開口123aが設けられる。開口123aは、例えば、略円形の孔である。さらに、被係合部123は、開口123aを形成(規定)する縁123bを有する。
【0129】
被係合部123の開口123aに、係合突起102が嵌められる。これにより、被係合部123が、係合突起102に係合する。被係合部123の縁123bの一部は、係合突起102よりも、回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。
【0130】
係合突起102と開口123aの縁123bとの間の隙間は、第1の位置決め突起103と位置決め孔115の縁との間の隙間よりも大きく、且つ第2の位置決め突起104と位置決め孔115の縁との間の隙間よりも大きい。なお、係合突起102と開口123aとの大きさは、この例に限られない。
【0131】
被係合部123は、係合突起102と係合して、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。以下に、係合突起102及び被係合部123の係合について詳しく例示する。
【0132】
例えば、車両1の後方において衝突が発生し、衝撃によってシート11に荷重が作用することがある。このとき、ストッパプレート64に回転軸Ax3の周方向に荷重が作用する。これにより、図7に示すように、第2のガイド72Aが、第2の収容部88の内面88aに、荷重Fr2を作用させる。
【0133】
荷重Fr2は、ハウジング36のうち、第2のガイド72Aに対して第3の方向D3の一方側に位置する部分36bに作用する。部分36bは、第2のガイド72Aが収容される第2の収容部88の内面88aと、係合突起102と、を含む。
【0134】
荷重Fr2は、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるように、部分36bを変形させる可能性がある。別の表現によれば、荷重Fr2は、収容開口85が拡大するように、部分36bを変形させる可能性がある。
【0135】
荷重Fr2が部分36bに作用したとき、被係合部123の縁123bが、係合突起102を、回転軸Ax2の径方向における外側から支持する。このため、被係合部123は、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する。
【0136】
回転軸Ax2の周方向において、係合突起102及び被係合部123は、第2のガイド72Aと、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115と、の間に位置する。このため、荷重Fr2に起因する荷重は、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115よりも、係合突起102及び被係合部123により大きく作用する。このため、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115が嵌り合う部分の耐久性が向上する。
【0137】
さらに、回転軸Ax2の周方向において、係合突起102及び被係合部123は、第2のガイド72Aと、ネジ111による取付部分と、の間に位置する。このため、荷重Fr2に起因する荷重は、ネジ111による取付部分よりも、係合突起102及び被係合部123により大きく作用する。このため、ネジ111による取付部分の耐久性が向上する。
【0138】
結合部121がシート11に結合されるため、結合部121と、例えば係合突起102及び被係合部123との間で、引張荷重が生じる。しかし、回転軸Ax2の周方向において、係合突起102及び被係合部123は、結合部121から離間している。このため、係合突起102及び被係合部123と結合部121との間で、荷重が分散し得る。
【0139】
さらに、回転軸Ax2の周方向において、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115は、係合突起102及び被係合部123よりも、結合部121から離間する。これにより、荷重は、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115よりも、係合突起102及び被係合部123により大きく作用する。このため、第1の位置決め突起103及び位置決め孔115が嵌り合う部分の耐久性が向上する。
【0140】
係合突起102及び被係合部123は、結合部121よりも、回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。このため、係合突起102及び被係合部123は、係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限することができる。
【0141】
車両1の後方における衝突により作用する荷重Fr2は、車両1の前方における衝突により作用する荷重Fr1よりも、一般的に強い。本実施形態では、荷重Fr1に起因する荷重が、曲げ荷重として被係合爪122に入力される。一方、荷重Fr2に起因する荷重が、せん断荷重として被係合部123の縁123bに入力される。このように、より耐久性の高い被係合部123に、より強い荷重が作用するように設計されることで、減速装置32の耐久性が向上する。
【0142】
図5に示すように、本実施形態において、座金38は、ウェーブワッシャである。座金38は、三つの第1の山38aと、三つの第2の山38bと、内縁38cとを有する。なお、第1の山38a及び第2の山38bの数は、この例に限られず、三つより多くても良いし、三つより少なくても良い。
【0143】
図4に示すように、第1の山38aは、回転軸Ax2の軸方向の一方側における座金38の頂点である。第2の山38bは、回転軸Ax2の軸方向の他方側における座金38の頂点である。すなわち、座金38は、回転軸Ax2の軸方向の一方側において三つの頂点(第1の山38a)を形成し、回転軸Ax2の軸方向の他方側において三つの頂点(第2の山38b)を形成するような、波形に形成される。
【0144】
図4に示すように、座金38は、第1の収容部87の底面87bと、回転伝達機構35のウォームホイール52との間に介在する。第1の山38aは、ウォームホイール52の支持突起52dに接触する。第2の山38bは、第1の収容部87の底面87bに接触する。
【0145】
座金38と第1の収容部87の底面87bとの間の接触面積は、座金38とウォームホイール52との間の接触面積よりも大きい。このため、ウォームホイール52が回転したとしても、座金38はハウジング36に対して回転せずに略同一位置に保たれる。
【0146】
出力軸43の一部、ウォームホイール52、偏心軸61、及び内歯ギヤ65は、カバー37と座金38との間に位置する。座金38は、弾性により、出力軸43の一部、ウォームホイール52、偏心軸61、及び内歯ギヤ65を、カバー37に向かって押す。これにより、例えば、出力軸43及び内歯ギヤ65がカバー37に押し付けられ、回転伝達機構35が異音を生じさせることが抑制される。なお、座金38は、回転伝達機構35の他の部品をカバー37に向かって押しても良い。
【0147】
図10は、第1の実施形態のハウジング36及び座金38を概略的に示す例示的な斜視図である。図10に示すように、座金38は、回転軸Ax2の周方向において、第1の支持部91と、第1の収容部87の内面87aとの間に位置する。第1の収容部87の内面87aは、座金38から離間している。
【0148】
内縁38cは、座金38の、回転軸Ax2の径方向における内側の縁である。このため、内縁38cは、回転軸Ax2の径方向における内側に向く。さらに、内縁38cは、間隔を介して出力軸43に向く。
【0149】
第1の支持部91は、座金38の内縁38cと、出力軸43との間に介在する。座金38の内縁38cは、第1の支持部91に、出力軸43から離間した位置で支持されることが可能である。言い換えると、第1の支持部91は、座金38が出力軸43に近づくことを制限する。
【0150】
以上説明された第1の実施形態に係る減速装置32において、ストッパプレート64の第2のガイド72は、第1のガイド71から回転軸Ax2の軸方向と直交する第2の方向D2に突出する。第2の収容部88が第2のガイド72を収容し、第2の収容部88の内面88aがハウジング36及びストッパプレート64の相対的な回転を制限する。すなわち、ストッパプレート64がハウジング36に対して回転しようとすると、第2のガイド72は、第2の収容部88の内面88aに当接し、第2の収容部88の内面88aに、回転軸Ax2の周方向に荷重Fr1,Fr2を入力する。また、カバー37の結合部121は、第2のガイド72に対して回転軸Ax2の軸方向と直交し且つ第2の方向D2と直交する第3の方向D3の一方側に位置し、ハウジング36から離間し、車両1のシート11に結合される。このため、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側において、ハウジング36は、シート11に直接結合されておらず、シート11に対して自由となる。第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36a,36bは、荷重Fr1,Fr2を入力されると、回転軸Ax2から遠ざかるように変形することがある。
【0151】
本実施形態では、ハウジング36は、第2のガイド72に対して第3の方向D3の一方側に位置する係合壁101及び係合突起102を有する。さらに、カバー37は、係合壁101及び係合突起102と係合して、係合壁101及び係合突起102が回転軸Ax2から遠ざかるようなハウジング36の変形を制限する、被係合爪122及び被係合部123を有する。これにより、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36a,36bは、第2のガイド72から荷重Fr1,Fr2を入力されても、回転軸Ax2から遠ざかるように変形することを抑制される。すなわち、ハウジング36の変形が抑制される。
【0152】
被係合部123に開口123aが設けられ、係合突起102は開口123aに嵌められる。これにより、第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36bは、回転軸Ax2から遠ざかるような変形に加え、回転軸Ax2に近づくような変形や、回転軸Ax2の周方向における変形を抑制される。従って、ハウジング36の変形が抑制される。
【0153】
被係合爪122は、係合壁101の第1の壁101bに沿って延びる爪である。これにより、減速装置32が径方向に大きくなることが抑制される。さらに、係合壁101及び被係合爪122の配置の自由度が向上する。
【0154】
係合壁101は、回転軸Ax2の周方向において被係合爪122と第2のガイド72Bとの間に位置し、被係合爪122に面する、第2の壁101cを有する。第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36aは、第2のガイド72から回転軸Ax2の周方向に荷重Fr1を入力されると、当該周方向に移動するように変形する。しかし、被係合爪122が第2の壁101cを支持することで、当該変形が抑制される。従って、ハウジング36の変形が抑制される。
【0155】
被係合爪122は、回転軸Ax2の周方向において第2の壁101cと第3の壁101dとの間に位置する。第2のガイド72に対する第3の方向D3の一方側におけるハウジング36の部分36aは、第2のガイド72から回転軸Ax2の周方向に荷重Fr1を入力されると、当該周方向に移動し且つ回転軸Ax2から遠ざかるように捩れる。当該捩れにより、ハウジング36は被係合爪122に荷重を入力する。しかし、第3の壁101dが被係合爪122を支持することで、被係合爪122が変形することが抑制される。
【0156】
第4の壁101eは、被係合爪122よりも回転軸Ax2の径方向の外側に位置し、第2の壁101cと第3の壁101dとに接続される。これにより、第1の壁101b、第2の壁101c、第3の壁101d、及び第4の壁101eが枠状に形成され、係合壁101の剛性が向上する。
【0157】
ブッシュ63は、偏心軸61の外周面61a及び外歯ギヤ62の内周面62iの間に介在する筒部63aと、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、凹面62dに接触する第1の鍔部63bと、を有する。第1の鍔部63bによりブッシュ63と外歯ギヤ62との間の接触面積が増大する。これにより、ブッシュ63と外歯ギヤ62とが相対的に回転することが抑制され、偏心軸61と外歯ギヤ62との相対的な回転が安定する。さらに、ブッシュ63が挿通孔62aから抜けることが抑制される。
【0158】
ブッシュ63は、回転軸Ax3の径方向における外側に筒部63aから突出し、凸面62eに接触する、第2の鍔部63cを有する。第2の鍔部63cによりブッシュ63と外歯ギヤ62との間の接触面積がさらに増大する。これにより、ブッシュ63と外歯ギヤ62とが相対的に回転することが抑制され、偏心軸61と外歯ギヤ62との相対的な回転が安定する。さらに、外歯ギヤ62が第1の鍔部63bと第2の鍔部63cとの間に保持されるため、ブッシュ63が挿通孔62aから抜けることが抑制される。
【0159】
外歯ギヤ62は、凹面62dよりも平面65bに近い第1の平面62bを有する。ブッシュ63は、内歯ギヤ65から離間する。これにより、ブッシュ63と内歯ギヤ65との接触による、異音や、外歯62fと内歯65dとの噛み合いの減少が抑制される。
【0160】
外歯ギヤ62は、第1の平面62bの反対側に位置する第2の平面62cを有する。凹面62dと凸面62eとの間の距離は、第1の平面62bと第2の平面62cとの間の距離に等しい。これにより、外歯ギヤ62の厚さが減少することが抑制され、外歯ギヤ62が偏心軸61を安定して保持することができる。さらに、当該凹面62dは、例えば、半抜き加工によって形成可能である。このため、ブッシュ63が内歯ギヤ65から離間するように、第1の鍔部63bの厚さに応じて凹面62dと第1の平面62bとの間の距離(深さ)を容易に調整できる。
【0161】
外周面61aは、筒部63aに接触する第1の部分61aaと、ブッシュ63から回転軸Ax2の軸方向に離間した第2の部分61abと、を有する。第1の部分61aaの表面粗さは、第2の部分61abの表面粗さよりも低い。これにより、筒部63aが摩耗することが抑制され、ブッシュ63の耐久性が向上する。さらに、第2の部分61abの表面粗さを低減させる加工が必要無く、減速装置32のコストの増加が抑制される。
【0162】
座金38の内縁38cは、第1の支持部91に出力軸43から離間した位置で支持されることが可能である。これにより、座金38の内縁38cと出力軸43とが擦れることによる、座金38の耐久力の低下や、異音が抑制される。
【0163】
収容開口85の第1の収容部87の内面87aは、座金38から離間する。これにより、第1の収容部87の内面87aと弾性変形する座金38とが干渉することが抑制される。
【0164】
第2の支持部92は、収容開口85の第1の収容部87の底面87bから突出し、第1の支持部91から回転軸Ax2の径方向における内側に離間し、出力軸43を支持する。すなわち、第1の支持部91は、出力軸43を支持する第2の支持部92よりも回転軸Ax2の径方向における外側に位置する。さらに、座金38は、当該第1の支持部91から回転軸Ax2の径方向における外側に離間する。これにより、座金38が、回転軸Ax2の径方向における比較的外側でウォームホイール52に接触し、回転伝達機構35を安定してカバー37に向かって押すことができる。
【0165】
ハウジング36は、第1の収容部87の底面87bから突出し、回転軸Ax2の径方向に延びて第1の支持部91と第2の支持部92とに接続されるリブ93を有する。これにより、第1の支持部91及び第2の支持部92が変形することが抑制される。
【0166】
座金38は、回転伝達機構35に接触する三つ以上の第1の山38aと、第1の収容部87の底面87bに接触する三つ以上の第2の山38bと、を有するウェーブワッシャである。これにより、座金38は、回転伝達機構35を安定してカバー37に向かって押すことができる。また、座金38がウェーブワッシャであることで、荷重の変動が緩やかになる。
【0167】
ストッパプレート64は、第1のガイド71から回転軸Ax2の軸方向と直交する第2の方向D2の一方側及び他方側に突出する二つの第2のガイド72を有する。回転軸Ax2の軸方向と直交し且つ第2の方向D2と直交する第3の方向D3において、第2のガイド72Aの中心C1が、第2のガイド72Bの中心C2と異なる位置にある。これにより、ストッパプレート64が、ダレ面64a及びバリ面64bが逆転する誤った姿勢で収容開口85に配置されることが抑制される。
【0168】
第3の方向D3において、二つの第2のガイド72の長さが異なる。これにより、ストッパプレート64が、ダレ面64a及びバリ面64bが逆転する誤った姿勢で収容開口85に配置されることが抑制される。
【0169】
第2のガイド72Aの第1の側縁72aと、第2のガイド72Bの第1の側縁72aと、が同一線上に配置される。しかし、第3の方向D3において、第2のガイド72Aの第2の側縁72bは、第2のガイド72Bの第2の側縁72bと異なる位置にある。これにより、ストッパプレート64が、ダレ面64a及びバリ面64bが逆転する誤った姿勢で収容開口85に配置されることが抑制される。
【0170】
ストッパプレート64は、外歯ギヤ62に向くダレ面64aと、ダレ面64aの反対側にあるとともに少なくとも一部がハウジング36に向くバリ面64bと、ダレ面64aの縁からバリ面64bに向かって垂れ下がった垂下縁部64cと、バリ面64bの縁からダレ面64aから遠ざかる方向に突出した突出縁部64dと、を有する。垂下縁部64cや突出縁部64dは、例えばプレス加工により形成されることがある。この場合も、突出縁部64dが設けられるバリ面64bが、外歯ギヤ62に向かず、ハウジング36に向くことで、外歯ギヤ62の移動が妨げられることが抑制される。
【0171】
例えば、ダレ面64aの垂下縁部64cが、さらに面取りされても良い。この場合、例えば、面取りされた垂下縁部64cが、外歯ギヤ62のフランジ62gとガイド突起62hとの接続部分(R部分)を避けることができる。
【0172】
ハウジング36は、回転軸Ax2の軸方向に向くとともに第2のガイド72にそれぞれ面する第2の収容部88の底面88bと、第2の収容部88の底面88bから突出して対応する第2のガイド72を支持可能な突出部95と、を有する。突出部95は、突出縁部64dから離間する。これにより、ストッパプレート64が突出部95により支持されるとともに、突出縁部64dがハウジング36に干渉することが抑制される。
【0173】
第3の方向D3において、突出部95の中心は、第2の収容部88の底面88bの中心に位置する。突出部95は、第2の方向D2において底面88bの両端のうち第1の収容部87に近い端に位置し、第2の方向D2において底面88bの両端のうち第1の収容部87から遠い端から離間する。これにより、突出縁部64dがハウジング36に干渉することが抑制されるとともに、突出部95が第2のガイド72を第2の方向D2に移動可能に支持することができる。
【0174】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について、図11を参照して説明する。なお、以下の実施形態の説明において、既に説明された構成要素と同様の機能を持つ構成要素は、当該既述の構成要素と同じ符号が付され、さらに説明が省略される場合がある。また、同じ符号が付された複数の構成要素は、全ての機能及び性質が共通するとは限らず、各実施形態に応じた異なる機能及び性質を有していても良い。
【0175】
図11は、第2の実施形態に係る減速装置32を概略的に示す例示的な断面図である。図11に示すように、第2の実施形態の座金38は、皿バネである。第2の実施形態の座金38も、第1の実施形態と同じく、弾性により、出力軸43の一部、ウォームホイール52、偏心軸61、及び内歯ギヤ65を、カバー37に向かって押す。
【0176】
第2の実施形態のように、座金38は、第1の実施形態のウェーブワッシャに限られない。座金38は、第2の実施形態の皿バネであっても良いし、バネワッシャのような他の座金であっても良い。
【0177】
以上の複数の実施形態における各部品及び部分の形状、材料、位置、機能、及び関係性は、説明されたもの及び図面に示されたものに限定されない。例えば、ウォームホイール52と偏心軸61とは、別の部品であっても良い。また、出力軸43と内歯ギヤ65とは、別の部品であっても良い。
【0178】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態及び変形例はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【符号の説明】
【0179】
1…車両、11…シート、31…モータ、32…減速装置、35…回転伝達機構、36…ハウジング、37…カバー、38…座金、38a…第1の山、38b…第2の山、38c…内縁、43…出力軸、52…ウォームホイール、61…偏心軸、61a…外周面、61aa…第1の部分、61ab…第2の部分、62…外歯ギヤ、62a…挿通孔、62b…第1の平面、62c…第2の平面、62d…凹面、62e…凸面、62f…外歯、62i…内周面、63…ブッシュ、63a…筒部、63b…第1の鍔部、63c…第2の鍔部、64…ストッパプレート、64a…ダレ面、64b…バリ面、64c…垂下縁部、64d…突出縁部、65…内歯ギヤ、65b…平面、65d…内歯、71…第1のガイド、72,72A,72B…第2のガイド、72a…第1の側縁、72b…第2の側縁、82…機構保持部、82a…外面、85…収容開口、87…第1の収容部、87a…内面、87b…底面、88…第2の収容部、88a…内面、88b…底面、91…第1の支持部、92…第2の支持部、93…リブ、95…突出部、101…係合壁、101a…開口、…101b…第1の壁、101c…第2の壁、101d…第3の壁、101e…第4の壁、102…係合突起、121…結合部、122…被係合爪、123…被係合部、123a…開口、Ax1,Ax2,Ax3…回転軸、D1…第1の方向、D2…第2の方向、D3…第3の方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11