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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】CAD向け作図方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20230502BHJP
   G06F 30/12 20200101ALI20230502BHJP
   G06T 11/20 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
G06F30/10 100
G06F30/12
G06T11/20 300
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022545949
(86)(22)【出願日】2022-04-30
(86)【国際出願番号】 JP2022019472
【審査請求日】2022-07-27
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520091292
【氏名又は名称】五藤 帰己二
(74)【代理人】
【識別番号】100102738
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】五藤 帰己二
【審査官】堀井 啓明
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-022927(JP,A)
【文献】特開2022-022928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00-30/28
G06T 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、 該CADシステムは、 直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、 直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階 と、 辺ABを一辺とする正三角形ABO1を作成する段階と、 正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円を作図する段階と、 OO1上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を 、角度XOYの値に応じて中央角θを定める、角度XOYを変数とする、予め作成された近似 曲線により、中央角θの値を算出する段階と、 OO1上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、 O1A//O2H、O1B//O2I、となるHおよびIをそれぞれ、AZ およびBZ上に求める段階と、 O1HとO2Aとの交点PおよびO1IとO2Bとの交点Qを求める段 階と、 OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する段階とを、実行し、 これにより、角度XOYを3等分するCAD向け作図方法。
【請求項2】
前記CADシステムにおいて、前記近似曲線を作成する段階は、 所与の角度φに基づき、点Oを始点として、角度XOL、角度LOM、角 度MOYそれぞれが角度φとなるように、線分OX、OL、OMおよびO Yを引く段階と、 直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、 直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階 と、 辺ABを一辺とする正三角形ABO1を作成する段階と、 24 正三角形ABO1に外接する中心O2の外接円を作図する段階と、線分OLおよびOMそれぞれと、O2AおよびO2Bの交点PおよびQを 求める段階と、 O2を通り、AO1およびBO1それぞれに平行な線分が、O1PのP 側への延長線、およびO1QのQ側への延長線と交わる点HおよびI を求める段階と、 AHとBIとがなす中央角θを求める段階と、 前記中央角θを求める段階を複数の角度φについて、実行する段階と 、 求めた中央角θおよび角度φに対して、(3φ、θ)をプロットして 、近似曲線を作成する段階とを、実行する、請求項1に記載の角度X OYを3等分するCAD向け作図方法。
【請求項3】
直線OXと直線OYとの間の交角XOYは、0°より大きく、180°以下 である、請求項1に記載の角度XOYを3等分するCAD向け作図方 法。
【請求項4】
前記角度3φが、90°および180°それぞれの場合、中央角θは 、90°および180°であり、前記近似曲線は、少なくともこの2 点を通過する、請求項2に記載の角度XOYを3等分するCAD向け 作図方法。
【請求項5】
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、隣接する3φの角度間 隔は、10°ないし20°ごとに設定される、請求項4に記載の角度 XOYを3等分するCAD向け作図方法。
【請求項6】
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、前記近似曲線の角度3 φに対する微係数に応じて、10°ないし20°の範囲で、隣接する 3φの角度間隔ごとに設定される、請求項5に記載の角度XOYを3 等分するCAD向け作図方法。
【請求項7】
前記近似曲線は、3φと、それに対応する中央角θとによる複数の座 標(3φ、θ)間を接続する折れ線により近似する、請求項6に記載 25 の角度XOYを3等分するCAD向け作図方法。
【請求項8】
前記角度XOYを3等分する作図段階において、角度XOYの値 に応じて、ズームアップ機能を利用して、拡大して作図を行う、請求 項2に記載のCAD向け作図方法。
【請求項9】
正三角形ABO1を作図する場合、O1がABに関してOと反対側に位置する ように位置決めする、請求項2に記載のCAD向け作図方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CAD向け作図方法に関し、より詳細には、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンパスと定規だけを用いた角度の等分の厳密な作図方法に関し、特に角度の3等分の作図方法はあり得ないことが数学的に証明されている。
より詳細には、ギリシャの3大作図問題のひとつである、『角の3等分問題』について、角の3等分問題とは、『任意に与えられた角度を三等分することは可能か?』という問題であり、通常の作図方法、すなわち、コンパスと目盛りの無い定規を用いた作図法では、一般に与えられた角の三等分を作図することが不可能であることが知られている。しかしながら、目盛りのついた定規を使用する作図方法、折り紙を用いた作図方法、放物線を描ける小道具を用いた作図方法等、道具の使い方を変更したり、新しい道具を追加することにより、角の三等分を作図できる場合があることも知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1は、角の3等分作図補助器を開示する。より詳細には、任意角の3等分作図方法の、習得のため、容易に3等分の作図を行う際の補助となる器具を目的として、一方の端部の縁が円弧状になっている略長方形の透明板の円弧側の上面には、扇形の4分円とその中心点を上端とする中心線が引かれ、その中心線の下端では、15度の狭角で傾斜線が4 分円の左角でつながっている。以上の図形を表示し、そして4 分円の中心点には指示針とその指示針を軸支する為の中心軸を基板上に設けた角の3等分作図補助器が開示されている。このような補助器によれば、ノートなどの用紙に任意角と4等分線と中心角が直角となる直線の一辺を書き入れた図面の上に、発案した3等分作図法の法則をつかって3等分線の印を書き入れられる基板1を置き指示針などを、操作することによって、任意角の4分の1である4等分線に、12分の1の角度を加えることにより3等分線が引ける印を書き入れられる。以上の構成により容易に作図がかけるとされている。
【0004】
たとえば、特許文献2は、等分線作図定規器を開示する。より詳細には、等分線を簡単な手法で求めることのできる定規を提供することを目的として、直角2辺と、この2辺間を結ぶ傾斜辺とからなる三角定規において、直角2辺の一辺と傾斜辺との合点を基点とし、この基点と直角2辺の他の一辺の等分点とを結ぶ直線上にスリットによる辺を設けたことを特徴とする等分線作図定規器である。このような等分線作図定規器によれば、測定すべき直線上の2点間の1点に直角2辺の一辺を合わせ、そのときの他の一辺が傾斜辺に交わった点で前記1辺に直交する直線の測定線を引き、この測定線とスリットとが交差する交点が等分点となる。
【0005】
しかしながら、いずれの作図も特殊な器具により、角の等分を作図するに過ぎず、特に角の3等分は厳密な作図はできないとしても、実用的に許容される誤差の範囲で、円または線分の長さを規定するコンパスおよび直線を引く定規のみを用いて、簡単な手順により、作図する方法を提示するものでない。特に、特許文献2は、角度の等分でなく、線分の等分に関する作図器具である。
【0006】
よって、CADにおいても、角度の等分の作図アルゴリズムは、厳密な等分となっておらず、CADのデータに基づいてCAMにより、実際に加工する場合、たとえば、底面が正多角形(正11角形)の正角錐形を加工する場合には、11面の側面が厳密に形成されないことから、たとえば、11面の側面の各々に対する光の反射は、微妙に異なってしまう。そのため、光学系機器において、厳密な光経路の実現が重要となるような用途においては、誤差をなるべく小さくすることが要求されている。
また、CADにおいて、直線または曲線を作図する線の太さは、細いほど好ましく、作図自体が厳密になるほど、線の太さ自体がクローズアップされる。よって、特に、角度の等分の作図方法が厳密になるほど、作図する線の太さ自体を細くすることが要求される。
【0007】
この点、本出願人は、特許文献3において、任意の角度を等分化する作図において、簡便な手順でありながら、従来の作図方法に比べて、実用に供するように誤差を小さくしたCAD向け作図方法を提供している。
このCAD向け作図方法は、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、辺ABを一辺とする正三角形ABO ‘を作成する段階と、正三角形ABO ‘の外接円の中心O11を通り、ABに平行な直線がA O ‘およびB O ‘それぞれと交わる点をAおよびBとする一方、ABの中点をO12とする段階と、ABとB O12、AとA O12それぞれの交点C‘およびCを求める段階と、O ‘CおよびO ‘C‘それぞれの延長線がABと交わる点をEおよびE‘とする段階と、を有し、これにより、EおよびE‘により、ABが3等分され、さらに、AとO ‘Cとの交点F、およびAとO ‘C‘との交点F‘それぞれを求める段階と、AおよびBそれぞれから、F‘またはF‘Eの距離である外接円上の点をそれぞれa及びbとする段階と、a O ‘およびb O ‘それぞれとAとの交点IおよびJを求める段階と、直線OIおよび直線OJを引く段階とを、有し、角XOI、角IOJおよび 角JOYそれぞれが、交角XOYの3等分に相当する、構成としている。
【0008】
しかしながら、このCAD向け作図方法は、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求め、直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成し、辺ABを一辺とする正三角形ABO ‘を作成したうえで、ABが3等分される点EおよびE‘を利用していることに起因して、交角XOYの3等分に相当する角XOI、角IOJおよび 角JOYそれぞれにおいて、作図誤差が少なくとも1%を超える結果を招き、必ずしも実用的なCAD向け作図方法といえるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2001-131593号
【文献】実開平03-95901号
【文献】特開2022-22928号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供することにある。
以上の技術的問題点に鑑み、本発明の目的は、0°から180°までの任意角度を等分化する作図において、従来の作図方法に比べて、誤差を小さくすることにより、実用に供するように作図の線の太さを従来より細くすることが可能なCAD向け作図方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明のCAD向け入れ子式作図方法は、
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABOを作成する段階と、
正三角形ABOに外接する中心Oの外接円を作図する段階と、
OO上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、角度XOYの値に応じて、中央角θを角度XOYを変数とする近似曲線により、中央角θの値を算出する段階と、
OO上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
A//OH、OB//OI、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
HとOAとの交点PおよびOIとOBとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する段階とを、実行する、構成としている。
【0012】
上記構成を有するCAD向け作図方法によれば、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、重心、内心、および外心が一致する正三角形を利用して、OA=OBとなるように求めた、直線OX上の点A、および直線OY上の点Bについて、辺ABを一辺とする正三角形ABOと正三角形ABOに外接する中心Oの外接円に基づき、OO上の頂点Zが構成するZAとZBとのなす角度(以降、中央角度と称する)に着目することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分が可能となる。
より詳細には、任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関し、2つの頂点がそれぞれ、3等分すべき任意角度を形成する各線分上にある任意の大きさの正三角形に基づきながら、3等分すべき任意角度に対応する中央角度に注目し、中央角度を利用して作図する場合において、0°から180°までの間で、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、近似曲線を求めておけば、この近似曲線を利用することにより、任意角度の3等分の作図方法が、数学的には不可能であることが証明されているとしても、それは、線分の太さがない純理論的な場面であり、実際のCAD向け作図方法においては、視認可能が必須であり、そのために、作図を構成する線分の太さが不可欠である点を考慮すれば、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供することが可能となる。
【0013】
また、前記CADシステムにおいて、前記近似曲線を作成する段階は、
所与の角度φに基づき、点Oを始点として、角度XOL、角度LOM、角度MOYそれぞれが角度φとなるように、線分OX、OL、OMおよびOYを引く段階と、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABOを作成する段階と、
正三角形ABOに外接する中心Oの外接円を作図する段階と、
線分OLおよびOMそれぞれと、OAおよびOBの交点PおよびQを求める段階と、
を通り、AOおよびBOそれぞれに平行な線分が、OPのP側への延長線、およびOQのQ側への延長線と交わる点HおよびIを求める段階と、
AHとBIとがなす中央角θを求める段階と、
前記中央角θを求める段階を複数の角度φについて、実行する段階と、
求めた中央角θおよび角度φに対して、(3φ、θ)をプロットして、近似曲線を作成する段階とを、実行するのがよい。
【0014】
さらに、直線OXと直線OYとの間の交角XOYは、0°より大きく、180°以下であるのがよい。
さらにまた、前記角度3φが、90°および180°それぞれの場合、中央角θは、90°および180°であり、前記近似曲線は、少なくともこの2点を通過する。
加えて、複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、隣接する3φの角度間隔は、10°ないし20°ごとに設定されるのがよい。
【0015】
また、複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、前記近似曲線の角度3φに対する微係数に応じて、10°ないし20°の範囲で、隣接する3φの角度間隔ごとに設定されるのがよい。
さらに、前記角度XOYを3等分する作図段階において、角度XOYの値に応じて、ズームアップ機能を利用して、拡大して作図を行うのがよい。
さらにまた、前記近似曲線は、3φと、それに対応する中央角θとによる複数の座標(3φ、θ)間を接続する折れ線により近似するのでもよい。
加えて、正三角形ABOを作図する場合、OがABに関してOと反対側に位置するように位置決めするのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、この発明の一実施例に係る作図支援方法を実現するCAD システムの基本構成の一部を示す機能ブロック図である。
入力部10は、マウスやキーボード等の入力装置から構成される。この入力部10から入力される例えばマウスカーソルの位置情報は、カーソル位置検知部20で検出される。このカーソル位置検知部20によって検出されたこのカーソル位置情報は、表示制御部90に供給され、そこで例えばCRT装置や液晶ディスプレイ装置からなる表示部80の表示画面上の検出された位置にマウスカーソル等が表示される。
また、カーソル位置検知部20からのカーソル位置情報は、コマンド実行処理部30に与えられ、そこでカーソル位置検知部20で検出されたカーソル位置と入力部10からのクリック情報等から選択されたコマンドを実行し、CAD処理部40に対して実行されたコマンド処理を施す。このコマンド実行処理部30は、カーソル位置検知部20で検出されたカーソル位置にアイコン等のコマンド起動メニューが表示されていない場合には、そのカーソル位置情報をCAD処理部40にスルー状態で供給する。
CAD処理部40は、コマンド実行処理部30を介して入力された情報に基づきCAD 処理を行う。このCAD処理部40については、通常のCAD 処理を行うものなので詳しい説明は割愛するが、外部のハードディスク装置等の記憶媒体からなる図形情報記憶部50から図形要素情報を入力し、編集等を加えた後にその図形要素情報を図形情報記憶部50に保存する役割も果たしている。
【0017】
また、カーソル位置検知部20からのカーソル位置情報は、目的要素位置検知部60にも供給される。この目的要素位置検知部60は、カーソル位置検知部20で検出されたカーソル位置情報が、目的要素位置を捕捉したことを検出する。ここで、「目的要素位置」とは、図形情報記憶部50に記憶されている作図済の1又は複数の図形要素、又はCAD処理部40で現在作図中の1又は複数の図形要素( 以下、これらを「反応要素」と呼ぶ)に対して特定の位置関係となる目的要素( 例えば延長線上の交点や水平、垂直線等) の位置のことである。また、「目的要素位置検知」とは、カーソル位置を中心とする所定の近傍範囲に目的要素位置が位置したことを意味している。目的要素位置検知部60は、カーソルが目的要素位置を捕捉したことを検出したら、表示制御部90に、その目的要素及びその位置、並びに反応要素の情報を供給する。
【0018】
表示制御部90は、目的要素位置検知部60からの情報及び予め設定された表示色情報に基づいて、表示部80に表示されるカーソルや反応要素の表示形態を変更したり、反応要素から目的要素までの補助線を表示したりする制御を実行する。
【0019】
図2は、このCAD システムの表示部80上に表示される画面の一例を示す図である。この画面は、図形表示領域、各種メニュー表示領域等で構成されている。まず、画面のメニュー表示領域12 から「作図支援機能」の設定をするためのメニューを選択すると、図3に示すように、作図支援機能設定ダイアログボックスが画面上に表示される。
【0020】
同図に示すように、目作図支援機能有効チェックボックス140をマウス等を用いてクリックしチェックマークを付けることにより、作図支援機能が有効になる。この場合、作図支援機能が選択された旨の情報はカーソル位置検知部20からコマンド実行処理部30、目的要素位置検知部60及び表示制御部90に供給され、目的要素位置検知部60が起動することでその機能が有効になる。この作図支援機能設定ダイアログボックスで設定できる作図支援機能のコマンドは、第1に、反応要素である2つの直線要素の延長上の交点を目的要素として、カーソルがこれを捕捉したときに、カーソルの表示形態を変更する延長交点コマンド150と、第2に、次に示す反応要素のそれぞれの点、
( 1 ) 直線の場合、端点・中点、
( 2 ) 円・楕円・穴記号の場合、中心点、
( 3 ) 円弧・楕円弧の場合、端点・中心点、
( 4 ) 自由曲線の場合、頂点、
の対からX 軸及びY 軸に沿う延長直線の交点を目的要素として、カーソルがこれを捕捉したときに、カーソルの表示形態を変更する等X ・等Yコマンド160と、第3に、反応要素である図形要素の描画開始点から水平又は垂直方向に延びる線を目的要素として、カーソルがこれを補足したときに、カーソルの表示形態を変更する水平・垂直コマンド170と、第4に、反応要素である図形要素の描画開始点から予め入力した角度増量値の値と一致する角度方向に延びる線を目的要素とし、カーソルがこれを捕捉したときに、カーソルの表示形態を変更する角度増量コマンド180との4つのコマンドがあり、それぞれのコマンド150~180のチェックボックスをチェックすることにより、チェックされたコマンドが目的要素位置検知部60で実行される。また、この作図支援機能設定ダイアログボックスには、角度増量コマンド180において任意の角度を入力部10のキーボード等を用いて手入力により入力する角度増量値入力ボックス190も備えられている。
分割数の入力ボックス191および分割対象角度入力ボックス192も備えられている。
【0021】
また、この作図支援機能が有効になったことで表示制御部90では、マウスカーソルを通常モード形状のマウスカーソル250aから作図支援機能モード形状のマウスカーソル250bへ変更し表示部80で表示するように制御する。また、マウスカーソル250bが目的要素位置を捕捉したときに、その目的要素を特定する情報表示カーソル250cがマウスカーソル250bの斜め下位置に表示される。この情報表示カーソル250cの形状は、目的要素の内容が視覚的に認識し易い形状に設定されている。例えば、マウスカーソル250bが反応要素上の端点や点要素等の既存点を捕捉したときには、情報表示カーソルとして既存点であることを示す十字形が表示される。延長交点コマンドや等X ・等Y コマンドが実行された場合には、情報表示カーソルとして× 形が表示される。マウスカーソル250bが反応要素上の点を捕捉しているときには、情報表示カーソルとして要素上点であることを示す表示がなされる。同様に、水平・垂直コマンド及び角度増量コマンドが実行された場合には、水平線、垂直線及び角度標記がそれぞれ情報表示カーソル250cとして表示される。
【0022】
更に、この作図支援機能設定ダイアログボックスには、作図支援機能を有効にした場合に図形表示領域に表示される図形要素の表示色を設定することができる表示色設定機能も備えられている。作図支援図形表示チェックボックスをチェックすることで、表示制御部90内の色表示設定機能が有効になる。この表示色設定機能で設定できる図形要素の表示色は、オペレータがマウス等を用いて入力操作しているときの図形要素の表示色と、反応要素の表示色との2種類がある。この場合、入力中の図形要素の表示色についてはプルダウンメニューで、反応要素の表示色についてはプルダウンメニューで、それぞれ任意の表示色を設定することができる。
【0023】
次に、この作図支援機能を有効にして各コマンド150~180を実行した場合の動作について説明する。図4は、延長交点コマンド150を実行した場合のイメージを表す図である。まず、図形表示領域内に開かれた表示ウィンドウ230に表示された2つの図形要素の直線要素240a ,240b上の任意の位置にマウスカーソル250bを重ね合わせ、マウスクリック等で図形要素240a ,240bを選択/ 決定する。この選択/ 決定操作は、対象を特定して演算量を削除するためになされるもので、演算量が問題なければこの操作を行わないようにしても良い。このとき、マウスカーソル250bの中心位置250dから一定領域の範囲250e内に、直線要素240a ,240bの延長交点成分が入っていなければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0024】
次に、マウスカーソル250b を図中矢印方向に移動させてゆくと、直線要素240a,240b の延長交点P1がマウスカーソル250bの一定領域範囲250e 内に入ってくる。延長交点P1 がマウスカーソル250bの一定領域範囲250e内に入ると情報表示カーソル250cとして交点表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示され、マウスカーソル250bの位置が直線要素240a,240bの延長交点にあることを表示すると共に、例えば、オペレータがこの状態で確定する旨を入力すれば、補助線としてラバーバンド260a,260bが直線要素240a,240bの延長線上に表示され、直線要素240a,240bを正確に延長交点P1まで延長して描画した図形を簡単に作成すること等が可能となる。このとき、直線要素240a,240bは予め設定された反応要素色に変わり、ラバーバンド260a,260bも他の図形要素と異なる表示形態となる。
【0025】
図5は、等X ・等Yコマンド160を実行した場合のイメージを表す図である。まず、上述したように、表示された2つの図形要素の直線要素240a,240b上の任意の位置にマウスカーソル250bを重ね合わせ、マウスクリック等で図形要素240a,240bを選択/決定する。この操作も上述したように任意である。このとき、マウスカーソル250bの中心位置250d から一定領域の範囲250e内に、この場合、直線要素240a,240bの端点a,bからX軸方向及びY軸方向に延びる線の交点が含まれていなければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0026】
次に、マウスカーソル250bを図中矢印方向に移動させてゆくと、直線要素240a,240bの端点a,b からX軸方向及びY軸方向に延びる線の交点P2がマウスカーソル250bの一定領域範囲250e内に入ってくる。このとき、情報表示カーソル250cの形状として交点表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示され、マウスカーソル250bの位置が直線要素240a,240bの端点a,bのX座標値又はY座標値と等しい位置にあることを表示する。このように、直線要素240a,240bの端点a,bの位置を基準とし、そこから等しいX 及びY座標値に対して図形等を描画することも可能になる。
【0027】
図6は、水平・垂直コマンド170を実行した場合のイメージを表す図である。まず、表示ウィンドウ230内の任意の位置にマウスカーソル250bのマウスクリック等で図形要素描画の始点sを設定する。このとき、マウスカーソル250bの中心位置250d又はそこから一定領域の範囲250eが、始点sと水平・垂直の位置関係になければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0028】
次に、マウスカーソル250bを図中矢印(1)又は(2)方向に移動させてゆき、始点sとそのマウスカーソル250bの中心位置250d等とが水平・垂直の位置関係になる位置にマウスカーソル250bの一定領域範囲250eが入ると、情報表示カーソル250cの形状として水平表示形状又は垂直表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示される。この情報表示カーソル250cが水平表示又は垂直表示のときに線分等を作成すれば、水平線分や垂直線分を補助線等用いなくても簡単に描画することができる。
【0029】
図7は、角度増量コマンド180を実行した場合のイメージを表す図である。まず、表示ウィンドウ230内の任意の位置にマウスカーソル250bのマウスクリック等で図形要素描画の始点sを設定する。次に、作図支援機能設定ダイアログボックスの角度増量値入力ボックス190に任意の角度を入力する。例えば、その角度を45°と設定した場合、マウスカーソル250bの中心位置250d又はそこから一定領域の範囲250eが、始点sと設定角度45°の位置関係になければ、情報表示カーソル250cは表示されない。
【0030】
次に、マウスカーソル250bを図中矢印方向に移動させる。始点sとそのマウスカーソル250bの中心位置250d等とが45°の位置関係になる位置にマウスカーソル250bの一定領域範囲250eが入る毎に、情報表示カーソル250cとして角度増量表示形状がマウスカーソル250bの近傍に表示される。この情報表示カーソル250cが角度増量表示のときに線分等を作成すれば、任意の角度で正確に線分等を作成することが可能となる。
【0031】
図1を参照しながら、作図手順フローを説明する。
図1に示すように、まず、step1により、所与の3等分角度φのφminとφmax、および刻み角度幅Δφを設定する。
次いで、step2により、所与の3等分角度φをφminに設定する。
次いで、step3により、所与の3等分角度φに対して中央角度θを、後述の作図方法により求める。
次いで、step4により、所与の3等分角度φがφmax以上であるかを判定し、φmaxを超えていれば、step6に進み、φmax未満であれば、step5に進む。
次いで、step5により、所与の3等分角度φをφ+Δφとして、step3に進み、所与の3等分角度φに対して中央角度θを、後述の作図方法により求める。
次いで、step6により、算出したφおよびθの組み合わせに基づいて、複数の点(3φ、θ)により近似曲線を作成する。
次いで、step7により、3等分対象角度XOYを設定する。
次いで、step8により、step6において作成した近似曲線に基づき、3等分対象角度XOYに対応する中央角度θを求める。
次いで、step9により、求めた中央角度θに基づいて、後述の作図方法により、3等分対象角度XOYの3等分角の作図を実行する。
【0032】
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABOを作成する段階と、
正三角形ABOに外接する中心Oの外接円を作図する段階と、
OO上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、角度XOYの値に応じて、中央角θを角度XOYを変数とする近似曲線により、中央角θの値を算出する段階と、
OO上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
A//OH、OB//OI、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
HとOAとの交点PおよびOIとOBとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する段階とを、実行し、これにより、角度XOYを3等分する。
【0033】
上記構成を有するCAD向け作図方法によれば、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、重心、内心、および外心が一致する正三角形を利用して、OA=OBとなるように求めた、直線OX上の点A、および直線OY上の点Bについて、辺ABを一辺とする正三角形ABOと正三角形ABOに外接する中心Oの外接円に基づき、OO上の頂点Zが構成するZAとZBとのなす角度(以降、中央角度と称する)に着目することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分が可能となる。
より詳細には、任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関し、2つの頂点がそれぞれ、3等分すべき任意角度を形成する各線分上にある任意の大きさの正三角形に基づきながら、3等分すべき任意角度に対応する中央角度に注目し、中央角度を利用して作図する場合において、0°から180°までの間で、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、近似曲線を求めておけば、この近似曲線を利用することにより、任意角度の3等分の作図方法が、数学的には不可能であることが証明されているとしても、それは、線分の太さがない純理論的な場面であり、実際のCAD向け作図方法においては、視認可能が必須であり、そのために、作図を構成する線分の太さが不可欠である点を考慮すれば、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供することが可能となる。
【0034】
前記CADシステムにおいて、前記近似曲線を作成する段階は、
所与の角度φに基づき、点Oを始点として、角度XOL、角度LOM、角度MOYそれぞれが角度φとなるように、線分OX、OL、OMおよびOYを引く段階と、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABOを作成する段階と、
正三角形ABOに外接する中心Oの外接円を作図する段階と、
線分OLおよびOMそれぞれと、OAおよびOBの交点PおよびQを求める段階と、
を通り、AOおよびBOそれぞれに平行な線分が、OPのP側への延長線、およびOQのQ側への延長線と交わる点HおよびIを求める段階と、
AHとBIとがなす中央角θを求める段階と、
前記中央角θを求める段階を複数の角度φについて、実行する段階と、
求めた中央角θおよび角度φに対して、(3φ、θ)をプロットして、近似曲線を作成する段階とを、実行する。
【0035】
直線OXと直線OYとの間の交角XOYは、0°より大きく、180°以下である。
前記角度3φが、90°および180°それぞれの場合、中央角θは、90°および180°であり、前記近似曲線は、少なくともこの2点を通過する。
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、隣接する3φの角度間隔は、10°ないし20°ごとに設定される。
複数の所与の角度φに対応する3φにおいて、前記近似曲線の角度3φに対する微係数に応じて、10°ないし20°の範囲で、隣接する3φの角度間隔ごとに設定される。
前記角度XOYを3等分する作図段階において、角度XOYの値に応じて、ズームアップ機能を利用して、拡大して作図を行う。
前記近似曲線は、3φと、それに対応する中央角θとによる複数の座標(3φ、θ)間を接続する折れ線により近似する
正三角形ABOを作図する場合、OがABに関してOと反対側に位置するように位置決めする。
【0036】
図9に示すような作図手順に従って、3等分する角度に応じて、中央角度θを求めた結果は、以下である。
3等分する角度が、10ごとに、10°、20°、30°、40°、50°、60°、70°、80°、90°、100°、110°、120°、130°、140°、150°、160°、および170°それぞれの場合、中央角度θは、小数点2位まで、110.72°、102.93°、96.60°、91.83°、88.55°、86.72°、86.36°、87.43°、90.00°、94.12°、99.87°、107.31°、116.47°、127.26°、139.48°、152.71°、および166.44°となった。
この結果を、横軸に3等分する角度(3φに相当)、縦軸に中央角度θとして、17点をプロットして、17点を滑らかに通る近似曲線を作成したのが、図10である。
図10に示すように、近似曲線は、60°ないし70°の範囲に最小値を有する下に凸の曲線である。
以下、この近似曲線を利用して、上記17点以外の3等分する角度に対して、近似曲線を利用して、中央角度θを小数点1位まで読み取り、この中央角度θを利用して、3等分の作図を行うと、実施的に誤差がない範囲で作図が可能であることを示す。
【0037】
図11および図12において、角度XOYが67°の場合を例とする作図手順を示す。図面が、CAD用作図画面に相当する。
図11に示すように、(1)および(2)において、直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求め、直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する。
次いで、(3)において、辺ABを一辺とする正三角形ABOを作成する。
次いで、(4)において、正三角形ABOに外接する中心Oの外接円を作図する。
次いで、OO上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、角度XOYの値に応じて、中央角θを角度XOYを変数とする近似曲線により、中央角θの値を算出したうえで、図12に示すように、(5)において、OO上に角度AZB=θとなるZを求める。
次いで、(6)および(7)において、OA//OH、OB//OI、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める。
次いで、(8)において、OHとOAとの交点PおよびOIとOBとの交点Qを求め、OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する。
【0038】
図13において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが67°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで86.4°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(22.33°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY67°の3等分に該当する。
図14において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが4°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで116.1°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(1.33°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY4°の3等分に該当する。
【0039】
図15において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが7°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで113.4°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(2.33°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY7°の3等分に該当する。
図16において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが37°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで93.1°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(12.33°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY37°の3等分に該当する。
図17において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが97°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで92.7°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(32.33°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY97°の3等分に該当する。
【0040】
図18において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが103°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで95.7°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(34.33°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY103°の3等分に該当する。
図19において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが149°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで138.2°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(49.67°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY149°の3等分に該当する。
図20において、上述の近似曲線を利用した3等分のCAD向け作図方法として、角度XOYが179°の場合の作図結果を提示する。
近似曲線によれば、中央角度θは、小数点1桁までで178.7°と読み取れ、それによる作図結果において、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度(59.67°)として、小数点2桁までで完全一致しており、それぞれ、角度XOY179°の3等分に該当する。
【0041】
以上、図13ないし図20はいずれも、3等分すべき角度XOYの角度として、素数角度を選択したものであるが、角度XOP(φ1)、角度POQ(φ2) および角度QOY(φ3)は、角度XOYの3等分に該当する角度として、小数点2桁までで完全一致しており、作図における線の太さを考慮すれば、実用的に実質的に作図誤差のない任意角度の3等分の作図が可能であることを示している。逆にいえば、CADシステムを利用したCAD向け作図方法において、作図用線の太さのさらなる極細化に資するものである。
なお、上述のCADシステムにおいて、10°ごとの(3φ、θ)について、隣接する座標間を直線で近似し、この直線の式を算出し、記憶しておき、3分割すべき角度XOYに基づき、第1に、どの直線の式を適用すべきかを選択し、第2に、選択した直線の式に基づき、中央角θを算出し、算出した中央角度θを利用して、上述の作図方法により作図することにより、実質的に誤差のない3等分を作図可能であることを確認している。この場合、CADシステムにおいて、3φの角度範囲と直線の式との組み合わせをデータベースとして記憶させておくのがよい。
【0042】
上記構成を有するCAD向け作図方法によれば、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分する際、重心、内心、および外心が一致する正三角形を利用して、OA=OBとなるように求めた、直線OX上の点A、および直線OY上の点Bについて、辺ABを一辺とする正三角形ABOと正三角形ABOに外接する中心Oの外接円に基づき、OO上の頂点Zが構成するZAとZBとのなす角度(以降、中央角度と称する)に着目することにより、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分が可能となる。
より詳細には、任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法に関し、2つの頂点がそれぞれ、3等分すべき任意角度を形成する各線分上にある任意の大きさの正三角形に基づきながら、3等分すべき任意角度に対応する中央角度に注目し、中央角度を利用して作図する場合において、0°から180°までの間で、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、近似曲線を求めておけば、この近似曲線を利用することにより、任意角度の3等分の作図方法が、数学的には不可能であることが証明されているとしても、それは、線分の太さがない純理論的な場面であり、実際のCAD向け作図方法においては、視認可能が必須であり、そのために、作図を構成する線分の太さが不可欠である点を考慮すれば、0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムの概略を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、表示部に表示される画面の一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、表示部に表示される画面において、作図支援機能設定ダイアログボックスを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、図2の画面部に表示される延長交点コマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
図5】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、図2の画面部に表示される等X・等Yコマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
図6】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、図2の画面部に表示される水平・垂直コマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
図7】本発明の実施形態に係る作図方法において利用するCADシステムにおいて、図2の画面部に表示される角度増量コマンドを実行した場合のイメージを表す図である。
図8】本発明に係るCAD作図方法の手順を示すフロー図である。
図9】本発明に係るCAD作図方法において、所与の3等分角度Δが20°の場合に、中央角度θを求める作図を示す図である。
図10】本発明に係るCAD作図方法において、有限数の角度それぞれにおいて、角度の3等分の角度に相当する角度そのものを用いて中央角度を算出し、これらの有限個の座標点(3等分対象角度、中央角度)に基づいて、作成した近似曲線を示すグラフである。
図11】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが67°の3等分の作図手順((1)ないし(4))を示す図である。
図12】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが67°の3等分の作図手順((5)ないし(8))を示す図である。
図13】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが67°の3等分の作図結果を示す図である。
図14】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが4°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
図15】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが7°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
図16】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが37°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
図17】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが97°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
図18】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが103°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
図19】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが149°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
図20】本発明に係るCAD作図方法において、角XOYが179°の3等分の作図結果を示す、図13と同様な図である。
【符号の説明】
【0044】
θ:中央角度
φ:3等分角度
XOY(3φ):任意鋭角
ABO:正三角形
O2:正三角形ABOの外接円の中心
Z:OO上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度
H:Oを通り、AOに平行な線分がOPのP側への延長線と交わる
I:Oを通り、BOに平行な線分がOQのQ側への延長線と交わる点
【要約】
【課題】0°から180°までの任意角度において、実質的な誤差を限りなく小さくすることが可能な実用的な任意角度の3等分に関するCAD向け作図方法を提供する。
【解決手段】
CADシステムにより、直線OXと直線OYとの間の交角XOYを3等分するCAD向け作図方法において、
該CADシステムは、
直線OX上に点A、直線OY上に点Bをそれぞれ、OA=OBとなるように求める段階と、
直線OX上の点Aと直線OY上の点Bとを結び、三角形AOBを作成する段階と、
辺ABを一辺とする正三角形ABOを作成する段階と、
正三角形ABOに外接する中心Oの外接円を作図する段階と、
OO上の頂点Zにより構成されるZAとZBとのなす角度(中央角θ)を、角度XOYの値に応じて、中央角θを角度XOYを変数とする近似曲線により、中央角θの値を算出する段階と、
OO上に角度AZB=θとなるZを求める段階と、
A//OH、OB//OI、となるHおよびIをそれぞれ、AZおよびBZ上に求める段階と、
HとOAとの交点PおよびOIとOBとの交点Qを求める段階と、
OPおよびOQを引き、角XOP、角POQおよび角QOYを構成する段階とを、実行し、
これにより、角度XOYを3等分するCAD向け作図方法。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20