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特許7272744MREJタイプXXIのメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出および同定するための配列
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  • 特許-MREJタイプXXIのメチシリン耐性Staphylococcus  aureus(MRSA)を検出および同定するための配列 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】MREJタイプXXIのメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出および同定するための配列
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20230502BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20230502BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/6827 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2017250217
(22)【出願日】2017-12-26
(62)【分割の表示】P 2015503956の分割
【原出願日】2013-03-14
(65)【公開番号】P2018068315
(43)【公開日】2018-05-10
【審査請求日】2018-01-15
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】61/621,368
(32)【優先日】2012-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514136473
【氏名又は名称】ジーンオーム サイエンシーズ カナダ、インク.
【氏名又は名称原語表記】GENEOHM SCIENCES CANADA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メナード、クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー‐ダルベルト、セリーヌ
【合議体】
【審判長】上條 肇
【審判官】長井 啓子
【審判官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-534537(JP,A)
【文献】特表2009-511056(JP,A)
【文献】特表2010-512799(JP,A)
【文献】J.Clinical.Microbiol.vol.42(5),pp.1875-1884(2004)
【文献】Antimicrobial Agents and Chemotherapy,vol.55(8),pp.3765-3773(2011)
【文献】Lancet Infect Dis.,vol.11(8),pp.595-603(2011)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDream3)
BIOSIS/CAPLUS/MEDLINE/WPIDS/REGISTRY(STN)
GenBank/DDBJ/EMBL/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列番号188に示される配列の核酸又は該配列の相補体。
【請求項2】
請求項1に記載の配列に特異的にハイブリダイズする、配列番号2の核酸又は該配列の相補体を含むオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
MREJタイプxxi核酸を含むメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出するための組成物であって、該S.aureusは、mecAホモログ(mecALGA251)を含むブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)エレメントを含み、該SCCmecカセットは、S.aureus染色体DNA内に挿入されており、それによって多型右端接合部(MREJ)タイプxxi配列を生じ、
該配列は、該右端からの多型配列および該多型右端に隣接する染色体DNAを含む配列を含み、
該組成物は、
長さが10~45ヌクレオチドの間であり、標準的なPCR条件下で前記配列番号188のヌクレオチド位置149-774を含むMREJタイプxxi核酸の多型右端配列に特異的にハイブリダイズし、該MREJタイプxxi核酸の該多型右端配列に完全に相補的である、第1増幅プライマー、及び
長さが10~45ヌクレオチドの間であり、標準的なPCR条件下で、S.aureusのorfX遺伝子に特異的にハイブリダイズする、第2増幅プライマーを含み、
該第1および第2増幅プライマーが一緒に、MREJタイプxxi核酸を含むMRSAの存在下で、該標準的なPCR条件下で、MREJタイプxxi核酸の該右端接合部のアンプリコンを生成し、該アンプリコンが、MREJタイプxxi特異的配列を含む、組成物。
【請求項4】
前記標準的なPCR条件下で前記MREJタイプxxi核酸の前記アンプリコンに特異的にハイブリダイズするプローブをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
配列番号156、配列番号157、又は、配列番号158内で特異的にハイブリダイズし、配列番号156内のmecA配列、配列番号157内のmecC配列、又は、配列番号158内のnuc配列を増幅することができるプライマー対をさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
長さが10~45ヌクレオチドの間であり、MREJタイプi~xix MRSAに由来する1種または複数の多型SCCmec右端配列に特異的にハイブリダイズする1種または複数の追加の増幅プライマーをさらに含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
前記1種または複数の多型SCCmec右端配列が、配列番号5~28からなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記第1増幅プライマーが、配列番号2と少なくとも80%同一である、請求項3に記載の組成物。
【請求項9】
前記第2増幅プライマーが、配列番号3と少なくとも80%同一である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
配列番号4または82と少なくとも80%同一であるプローブをさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
MREJタイプxxi核酸を含むメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出するための方法であって、該S.aureusは、mecAホモログ(mecALGA251)を含むブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)エレメントを含み、該SCCmecカセットは、S.aureus染色体DNA内に挿入されており、それによって多型右端接合部(MREJ)タイプxxi配列を生じ、該配列は、該右端からの多型配列および該多型右端に隣接する染色体DNAを含み、
該方法は、
検査試料を、長さが10~45ヌクレオチドの間であり、標準的なPCR条件下で前記配列番号188のヌクレオチド位置149-774を含むMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする第1増幅プライマーと接触させるステップと、
該試料を、長さが10~45ヌクレオチドの間であり、該標準的なPCR条件下でS.aureusのorfX遺伝子にハイブリダイズする第2増幅プライマーと接触させるステップであって、該第1および第2増幅プライマーは一緒に、MREJタイプxxi核酸を含むMRSAの存在下で、該標準的なPCR条件下で、該SCCmec右端接合部(MREJ)xxi核酸のアンプリコンを生成し、該アンプリコンが、MREJタイプxxi特異的配列を含む、ステップと、
該MREJタイプxxi特異的核酸のアンプリコンが、該接触ステップの後に生成されるか否かを判定するステップと
を含む、方法。
【請求項12】
前記接触ステップが、前記試料を、長さが10~45ヌクレオチドの間であり、MREJタイプi~xix MRSAに由来する1種または複数の多型SCCmec右端配列に特異的にハイブリダイズする1種または複数の追加の増幅プライマーと接触させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接触ステップが、前記試料を、前記標準的なPCR条件下でnuc配列に特異的にハイブリダイズし、nuc配列のアンプリコンを生成することができる1種または複数の追加の増幅プライマー対と接触させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記接触ステップが、前記試料を、前記標準的なPCR条件下でmecAおよび/またはmecC配列に特異的にハイブリダイズし、これらの配列のアンプリコンを生成することができる1種または複数の追加の増幅プライマー対と接触させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記MREJタイプxxi特異的核酸のアンプリコンが生成されるか否かを判定するステップが、増幅後の試料中に存在する異なるアンプリコンの一部またはすべてを判別しない、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記MREJタイプxxi特異的核酸のアンプリコンが生成されるか否かを判定するステップが、MREJタイプxxi特異的配列の同定を含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表、表、またはコンピュータープログラムリストへの参照
本願は、電子形式での配列表とともに出願されている。配列表は、サイズが85.6KBである、2013年3月14日に最後に保存したGENOM.114A.txtという表題のファイルとして提供されている。この情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書に開示の実施形態は、メチシリン耐性Staphylococcus aureusを検出するための分子診断ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
コアグラーゼ陽性種Staphylococcus aureus(S.aureus)は、ヒト日和見病原体として十分に実証されている(Murrayら編、1999年、Manual of Clinical Microbiology、7版、ASM Press、Washington,D.C.)。S.aureusによって引き起こされる院内感染は、罹患率および死亡率の主な原因である。S.aureusによって引き起こされる最も一般的な感染症のいくつかは、皮膚が関与し、これらとしては、様々な部位におけるフルンケルまたはおでき、蜂巣炎、膿痂疹、および術後創傷感染がある。S.aureusによって生じるより深刻な感染症のいくつかは、菌血症、肺炎、骨髄炎、急性心内膜炎、心筋炎、心膜炎、脳炎、髄膜炎、熱傷様皮膚症候群、および様々な膿瘍である。ブドウ球菌エンテロトキシンによって媒介される食中毒は、S.aureusに関連した別の重要な症候群である。毒素ショック症候群、市中病(community-acquired disease)も、毒素産生性S.aureusでの感染症またはコロニー形成に起因すると考えられている。
【0004】
メチシリン耐性S.aureus(MRSA)は、病院内の主要な臨床的および疫学的問題として1980年代に出現した(Oliveiraら、(2002)Lancet Infect Dis.、2:180~9)。MRSAは、S.aureus感染症を治癒させるのに最も一般に使用される抗生物質である、ペニシリン、セファロスポリン、カルバペネム、およびモノバクタムを含めたすべてのβ-ラクタムに耐性である。
【0005】
MRSA感染症は、防御のラストラインとして通常使用される有毒でより高価な抗生物質でのみ治療することができる。MRSAは、人を介して患者から患者に容易に伝播し得、世界中の病院が、MRSAを制御する問題と直面している。
【0006】
先ごろまで、株の耐性を知る唯一の方法は、マニュアル抗菌剤感受性試験を実施することであった。抗菌剤感受性試験は、結果が入手可能になるまでの大規模な時間(少なくとも48時間)、再現性の欠如、プロセスの規格化の欠如、ユーザーエラーを含めた、多くの欠点を抱えている。したがって、MRSAの蔓延を低減し、感染患者の診断および治療を改善するためにMRSAを検出および/または同定するための迅速で単純なスクリーニングまたは診断検査を開発する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
MRSAを素早く高感度で検出するための組成物および方法の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示の実施形態は、mecAホモログ遺伝子mecALGA251を保有するものを含めたStaphylococcus aureusのある特定の株が、MRSA核酸のSCCmec領域の右端(right extremity)に位置した同じ配列、すなわち、多型右端接合部を共有するという発見に部分的に基づく。従来の市販の分子ベースアッセイによってこれまで検出不可能であった、これらのMRSA株を検出するのに使用することができる方法および組成物が、本明細書に提供されている。一般に、Staphylococcus aureusのさらなる(例えば、同時または逐次の)検出、ならびに/またはMRSA株に加えてmecAおよび/もしくはmecALGA251のさらなる検出を可能にする組成物および方法も、本明細書に提供されている。
【0009】
したがって、MREJタイプxxi配列を保有するMRSAを検出するための方法および組成物が、本明細書に提供されている。いくつかの実施形態は、MREJタイプxxi核酸を有するメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出するための組成物を提供する。MRSAは、mecAホモログ(mecALGA251またはmecC)を含むブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)エレメントを含むことができ、SCCmecカセットは、S.aureus染色体DNA内に挿入されており、それによって多型右端接合部(MREJ)タイプxxi配列を生じ、この配列は、右端からの多型配列および多型右端に隣接する染色体DNAを含む。組成物は、長さが10~45ヌクレオチドの間であり、標準的なPCR条件下でMREJタイプxxi核酸の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする第1増幅プライマーを含み得る。いくつかの実施形態では、第1増幅プライマーは、前記標準的なPCR条件下で配列番号1の核酸配列またはその相補体に特異的にハイブリダイズする。
【0010】
本明細書に開示の組成物は、標準的なPCR条件下で、染色体DNA内へのSCCmecエレメントの挿入点から1キロ塩基以内に位置したS.aureus染色体配列に特異的にハイブリダイズする、長さが10~45ヌクレオチドの間の第2増幅プライマーをさらに含み得る。好ましくは、第1および第2増幅プライマーは一緒に、MREJタイプxxi核酸を含むMRSAの存在下で、標準的なPCR条件下で、MREJタイプxxi核酸の右端接合部のアンプリコンを生成する。したがって、いくつかの実施形態では、第2増幅プライマーは、標準的なPCR条件下でorfXに特異的にハイブリダイズする。本明細書に開示の組成物は、標準的なPCR条件下でMREJタイプxxi核酸のアンプリコンに特異的にハイブリダイズするプローブ、例えば、蛍光エミッター部分および蛍光クエンチャー部分を含むオリゴヌクレオチドプローブをさらに含み得る。
【0011】
本明細書に開示の組成物は、MREJタイプi~xx MRSAに由来する1種または複数の多型SCCmec右端配列、すなわち、配列番号5~29からなる群から選択される1種または複数の多型SCCmec右端配列に特異的にハイブリダイズする、長さが10~45ヌクレオチドの間の1種または複数の追加の増幅プライマーを含み得る。
【0012】
本方法および組成物は、さらなるオリゴヌクレオチド、すなわち、mecAおよび/もしくはmecALGA251/mecC配列を特異的に増幅するように構成され、かつ/またはStaphylococcus aureus特異的配列を特異的に増幅するように構成されているオリゴヌクレオチドもさらに含み得る。
【0013】
したがって、いくつかの実施形態は、第1増幅プライマーが配列番号2と少なくとも80%同一である組成物を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号3と少なくとも80%同一である第2増幅プライマーを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号4または82と少なくとも80%同一であるプローブを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、乾燥形態、例えば、凍結乾燥したものなどで提供される。
【0015】
MREJタイプxxi核酸を含むメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出するため、およびMREJタイプxxi核酸を検出するための方法であって、S.aureusは、mecAホモログ(mecALGA251またはmecC)を含むブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)エレメントを含む、方法も本明細書に提供されている。SCCmecカセットは、S.aureus染色体DNA内に挿入することができ、それによって多型右端接合部(MREJ)タイプxxi配列を生じ、この配列は、右端からの多型配列(MREP配列)および多型右端に隣接する染色体DNAを含む。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、検査試料を準備するステップと、試料を、標準的なPCR条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする、長さが10~45ヌクレオチドの間の第1増幅プライマーと接触させるステップとを含むことができ、接触ステップは、MREJタイプxxi核酸を含むS.aureusが試料中に存在する場合、MREJタイプxxi核酸のmec右端接合部のアンプリコンが生成される条件下で実施される。本方法は、接触ステップの後にMREJタイプxxi核酸のアンプリコンが生成されるか否かを判定するステップも含み得る。いくつかの実施形態では、第1増幅プライマーは、前記標準的なPCR条件下で配列番号1の核酸配列に特異的にハイブリダイズする。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法は、試料を、標準的なPCR条件下でS.aureusのorfX遺伝子にハイブリダイズする、長さが10~45ヌクレオチドの間の第2増幅プライマーと接触させるステップを含むことができ、前記第1および第2増幅プライマーは一緒に、MREJタイプxxi核酸の存在下で、標準的なPCR条件下で、MRSAのSCCmec右端接合部のSCCmec右端接合部(MREJ)領域配列のアンプリコンを生成する。
【0017】
試料をプローブと接触させるステップをさらに含み、前記プローブは、標準的なPCR条件下で、MREJタイプxxi核酸のSCCmec右端接合部(MREJ)領域配列のアンプリコンに特異的にハイブリダイズする、請求項15に記載の方法。いくつかの実施形態では、プローブは、蛍光エミッター部分および蛍光クエンチャー部分を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、接触ステップは、試料を、MREJタイプi~xx MRSAに由来する1種または複数の多型SCCmec右端配列に特異的にハイブリダイズする、長さが10~45ヌクレオチドの間である1種または複数の追加の増幅プライマーと接触させることも含む。いくつかの実施形態では、接触ステップは、試料を、mecA配列、mecC配列、および/またはStaphylococcus aureus特異的配列のアンプリコンに特異的にハイブリダイズし、これを生成するように構成されている、長さが10~45ヌクレオチドの間の1種または複数の追加の増幅プライマーと接触させることも含む。S.aureus特異的配列の非限定例としては、それだけに限らないが、nuc配列、rRNA配列、femB配列、Sa442配列などがある。しかし、当業者は、Staphylococcus aureusに独特である任意の配列を、本明細書に記載の実施形態において使用することができることを容易に理解するであろう。
【0019】
したがって、本明細書に記載の方法の接触ステップは、核酸増幅反応、例えば、PCR、鎖置換増幅(SDA)、例えば、多置換増幅(MDA)、ループ媒介性等温増幅(LAMP)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、免疫増幅、核酸配列ベース増幅(NASBA)、自己持続配列複製(3SR)、またはローリングサークル増幅などを実施することを含み得る。いくつかの好適な実施形態では、本方法は、マルチプレックスPCRを実施するステップを含む。いくつかの好適な実施形態では、本方法は、リアルタイムPCRを実施するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】タイプxxi MREJ領域の配列を示す図である。本明細書に記載の実施形態に開示の様々なプライマーおよびプローブの位置も示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
前述の一般的な記述および以下の詳細な説明はともに、例示的で説明的であるだけであり、本教示の範囲を限定するように意図されていないことが理解されるべきである。本願では、単数形の使用は、別段に特に明言されていない限り、複数形を含む。また、「含む(comprise)」、「含有する(contain)」、および「含む(include)」、またはこれらの語根の修飾、例えば、それだけに限らないが、「含む(comprises)」、「含有した(contained)」、および「含む(including)」の使用は、限定的であるように意図されていない。「または」の使用は、別段に明言されていない限り、「および/または」を意味する。用語「および/または」は、前後の用語が、一緒に、または別個に採用され得ることを意味する。限定としてではなく、例示の目的で、「Xおよび/またはY」は、「X」もしくは「Y」、または「XおよびY」を意味し得る。
【0022】
値の範囲が本明細書に提供されているときはいつでも、その範囲は、別段に特に明言されていない限り、開始値および終了値、ならびにその間の任意の値または値の範囲を含むことを意味する。例えば、「0.2~0.5」は、0.2、0.3、0.4、0.5;その間の範囲、例えば、0.2~0.3、0.3~0.4、0.2~0.4など;その間の増分、例えば、0.25、0.35、0.225、0.335、0.49など;0.26~0.39などのその間の増分範囲などを意味する。
【0023】
本明細書に使用される節の表題は、編成の目的のみであり、記載される主題を限定するものとして決して解釈されるべきでない。それだけに限らないが、特許、特許出願、記事、書籍、論文、およびインターネットウェブページを含めた、本願で引用されるすべての文献および同様の資料は、このような文献および同様の資料の形式にかかわらず、任意の目的に関してこれらの全体が参照により明白に組み込まれている。組み込まれた文献および同様の資料の1つまたは複数が、ある用語を、本願におけるその用語の定義と矛盾する様式で定義または使用する場合には、本願が支配する。本教示を、様々な実施形態と併せて記載するが、本教示がこのような実施形態に限定されることは意図されていない。反対に、本教示は、当業者が理解することになる様々な代替案、改変、および均等物を包含する。
【0024】
メチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)の改善された検出のための組成物および方法、特に、mecAホモログ遺伝子を保有するS.aureus、例えば、CC130またはcc130 S.aureus株などを検出する方法が、本明細書に提供されている。Staphylococcus aureusのメチシリン耐性は、ペニシリン結合タンパク質2a(PBP-2a)、β-ラクタム耐性トランスペプチダーゼをコードするmecA遺伝子の遺伝子産物に起因する。mecAは、メチシリン感受性S.aureusには存在しないが、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)、例えば、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus haemolyticus、Staphylococcus capitis、S.saprophyticus、S.lentus、S.hominus、S.cohnii、S.delphini、S.xylosus、S.muscae、S.schleiferi、S.coagulansなどを含めたブドウ球菌の他の種の中で広く分布している。mecA遺伝子は、高度に保存されている(Ubukataら、1990、Antimicrob.Agents Chemother.、34:170~172)。メチシリン耐性ブドウ球菌では、mecAは、ブドウ球菌の染色体内に挿入されている、ブドウ球菌カセット染色体mec(SCCmec)と呼ばれる遺伝子エレメント内に存在する。
【0025】
SCCmecカセットは、長さが20kb~60kb超の範囲であり、mecA遺伝子に加えて、部位特異的リコンビナーゼ遺伝子および転位因子を含む。SCCmecカセットは、Staphylococcus aureusの染色体DNA内の「attBscc」と呼ばれる固定された位置に挿入されており、これは、「orfX」と呼ばれるオープンリーディングフレームの3’末端に位置している。Huletskyら(2004)J.Clin.Microbiol、42(5):1875~1884。MRSA株は、SCCmecカセットの機構に基づいて分類されている(「SCCmecタイピング」と呼ばれる)。異なるSCCmecが、これらのリコンビナーゼ遺伝子、ならびにmecAのレギュレーターであるmecI遺伝子およびmecR遺伝子の遺伝子構成に従って分類されている。
【0026】
MRSAを検出および同定するための多くの分子アッセイでは、mecA遺伝子が検出される。しかし、mecAはCoNSにも見つかるため、メチシリン耐性CoNSも陽性と試験することになるので、mecA単独の検出は、MRSAの存在を判定するのに十分でない。この問題に対処するために、mecAに加えてS.aureus特異遺伝子が検出されるアッセイが開発された。Schuenckら、Res.Microbiol.、(2006)、印刷中、Shittuら、(2006)、Diagn Microbiol Infect Dis.、7月17日、Grisoldら、(2006)、Methods Mol.Biol.、345:79~89、Costaら、(2005)、Diag.Microbiol. and Infect.Dis、51:13~17、Mc Donaldら、(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:6147~6149、Zhangら、(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:5026~5033、Hagenら(2005)、Int J Med Microbiol.、295:77~86、Maesら(2002)J.Clin.Microbiol.、40:1514~1517、Saitoら、(1995)J.Clin.Microbiol.、33:2498~2500;Ubukataら、(1992)J.Clin.Microbiol.、30:1728~1733;Murakamiら、(1991)J.Clin.Microbiol.、29:2240~2244;Hiramatsuら、(1992)Microbiol.Immunol.、36:445~453を参照。さらに、LeviおよびTowner(2003)、J.Clin.Microbiol.、41:3890~3892、ならびにPoulsenら(2003)、J Antimicrob Chemother.、51:419~421には、EVIGENE(商標)MRSA検出キットを使用するコアグラーゼ陰性ブドウ球菌およびS.aureusにおけるメチシリン耐性の検出が記載されている。
【0027】
しかし、mecA遺伝子は、S.aureusおよびコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の両方において広く分布しているので、上述した方法のそれぞれは、メチシリン感受性S.aureus(「MSSA」)およびメチシリン耐性コアグラーゼ陰性ブドウ球菌の両方を含有する試料と、MRSAのみを含有し、またはメチシリン感受性S.aureusおよびMRSAの両方を有する試料とを判別することができない。
【0028】
この問題に対処するために、Hiramatsuらは、SCCmec組込み部位の右側のヌクレオチド配列に対応するS.aureus染色体に特異的なプライマーと組み合わせて、SCCmecタイプI~IIIのDNAの右端にハイブリダイズするプライマーを利用する、MRSAに特異的なPCRベースアッセイを開発した。(米国特許第6,156,507号、以下「‘507特許」)。より最近、Zhangら、(2005)、J.Clin.Microbiol.、43:5026~5033は、SCCmecタイプI~V MRSAをサブタイプするためのマルチプレックスアッセイを記載した。他のブドウ球菌種(例えば、S.epidermidisおよびS.haemolyticus)中のSCCmec組込み部位を囲繞するヌクレオチド配列は、S.aureusに見つかるものと異なり、したがって、SCCmecの右端およびS.aureus染色体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを利用するマルチプレックスPCRアッセイは、MRSAの検出に特異的であるという利点を有する。
【0029】
‘507特許に記載されたPCRアッセイは、SCCmec DNAの「MREPタイピング」(mec right extremity polymorphism)の開発も導いた(Itoら、(2001)Antimicrob.Agents Chemother.、45:1323~1336;Hiramatsuら、(1996)J.Infect.Chemother.、2:117~129)。このMREPタイピング方法は、3つのMREPタイプのヌクレオチド配列は、SCCmecの3つのタイプの中の組込み部位に隣接するSCCmec DNAの右端で異なるという事実を利用する。
【0030】
用語「MREJ」は、mec右端接合部<<mec right extremity junction>>を指す。MREJ領域核酸配列は、長さがおよそ1キロ塩基(kb)であり、SCCmec右端からの配列、およびSCCmec組込み部位の右に細菌染色体DNAを含む。MREPタイプi~iiiとして分類された株は、MREJタイプi~iiiに対応する。MREJタイプiv~xxは、Huletskyら、(2004)、J.Clin.Microbiol.、42:1875~1884;国際特許出願第PCT/CA02/00824号、米国特許出願第2008/0227087号によって以前に特徴付けられた。
【0031】
最近、Garcia-Alvarezらは、リボソームRNA分析によってS.aureusであると確認され、慣例的な抗生物質感受性試験を使用してメチシリンに対する耐性を呈した菌株について報告した。Garcia-Alvarezら、(2011)Lancet、11:595~603。しかし意外にも、これらの株は、mecAの検出、または既知のMREJ領域の検出を利用する上述したアッセイを使用して、MRSAとして陰性と試験された。アッセイ特異性は、MREJ領域を同定することに限定される。Garcia-Alvarezらは、これらの株が、既知のmecA遺伝子と限られた相同性、すなわち、アミノ酸レベルで63%の同一性、およびDNAレベルで70%の同一性を共有する新規mecAホモログを保有することを実証し、これらのMRSAを検出するのにmecA遺伝子の検出を利用してアッセイすることができないことを説明した。mecAホモログは、mecALGA251と呼ばれたが、mecCとしても本明細書で知られる。MREJ増幅を利用するアッセイは、mecALGA251MRSA株のいずれも検出することができなかったので、mecALGA251MRSA株は、偽陰性として不正確に同定される。MRSAの診断および同定におけるこのエラーは、患者の健康転帰に深刻なインパクトを与え得る。
【0032】
標準的な抗生物質感受性試験を使用してメチシリン耐性として陽性と試験されたが、それでも慣例的な市販の分子アッセイを使用してMRSAとして検出されなかったS.aureusのいくつかの株をさらに分析した。これらの株を、以下で表1に列挙する。
【0033】
【表1】
【0034】
本明細書に記載されるように、本開示は、mecAホモログ遺伝子、mecALGA251/mecCを保有する分析したMRSA株の大部分は、同じMREJ配列を共有するという意外な知見に部分的に基づく。この意外な知見に基づいて、MRSAの改善された検出のための組成物および方法が、本明細書に提供されている。本明細書に開示の組成物および方法は、有利には、mecALGA251MRSA株の信頼できる、迅速な検出および同定を可能にする。
【0035】
オリゴヌクレオチド
本明細書に開示のいくつかの実施形態によれば、オリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーおよび/または配列特異的プローブが提供される。本明細書において、用語「プライマー」および「プローブ」は、それだけに限らないが、オリゴヌクレオチドを含む。好ましくは、本明細書に開示のオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブは、長さが8~45ヌクレオチドの間であり得る。例えば、プライマーおよび/またはプローブは、長さが少なくとも8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、またはそれ以上のヌクレオチドであり得る。プライマーおよび/またはプローブは、例えば、固体支持体に結合したもの、液体、および凍結乾燥したものを含めた、任意の適当な形態で提供され得る。本明細書に開示のプライマーおよびプローブ配列は、5’もしくは3’末端、または両方で追加のヌクレオチドを含有するように修飾することができる。しかし、増幅プライマー(必ずしもプローブではない)の3’末端への追加の塩基は、一般に、鋳型配列と相補的であることを、当業者は理解するであろう。本明細書に開示のプライマーおよびプローブ配列は、5’または3’末端でヌクレオチドを除去するように修飾することもできる。増幅のために機能するために、プライマーまたはプローブは、本明細書に開示される最小限の長さおよびアニーリング温度のものとなることを、当業者は理解するであろう。
【0036】
オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、融解温度(T)未満の温度であるアニーリング温度でこれらの標的に結合することができる。本明細書において、「T」および「融解温度」は、二本鎖ポリヌクレオチド分子の集団の50%が解離して一本鎖になる温度を指す互換性の用語である。ポリヌクレオチドのTを計算するための式は、当技術分野で周知である。例えば、Tは、以下の式、すなわち、T=69.3+0.41×(G+C)%-6-50/Lによって計算することができ、式中、Lは、ヌクレオチド中のプローブの長さである。ハイブリッドポリヌクレオチドのTも、1Mの塩中のハイブリダイゼーションアッセイから採用され、PCRプライマーのTを計算するのに一般に使用される式、すなわち、[(A+Tの数)×2℃+(G+Cの数)×4℃]を使用して推定することができる。例えば、C.R.Newtonら、PCR、2版、Springer-Verlag(New York:1997)、24頁を参照。Tを計算するために構造特性および配列特性を考慮に入れる他のより洗練された計算が当技術分野で存在する。オリゴヌクレオチドの融解温度は、オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブと結合配列との間の相補性、および塩条件に依存し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるオリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブは、50mMのKCl、10mMのTris-HCl緩衝液中で約90℃未満、例えば、列挙される値の任意の2つの間の範囲を含めた、約89℃、88、87、86、85、84、83、82、81、80、79、78、77、76、75、74、73、72、71、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39℃、またはそれ未満のTを有する。
【0037】
以下でさらに詳細に論じるように、いくつかの実施形態では、本明細書に開示のプライマー、例えば、増幅プライマーは、例えば、順方向プライマーおよび逆方向プライマー(第1増幅プライマーおよび第2増幅プライマー)を含む増幅プライマー対として提供され得る。好ましくは、順方向プライマーおよび逆方向プライマーは、10℃超異ならない、例えば、10℃未満、9℃未満、8℃未満、7℃未満、6℃未満、5℃未満、4℃未満、3℃未満、2℃未満、または1℃未満異なるTを有する。
【0038】
プライマーおよびプローブ配列は、オリゴヌクレオチド配列内にヌクレオチド置換を有する(標的配列と比べて)ことによって修飾されている場合があり、ただし、オリゴヌクレオチドは、標的核酸配列に特異的にハイブリダイズするのに十分な相補性を含有する。このようにして、少なくとも1、2、3、4つ、または最大約5つのヌクレオチドが置換されていてもよい。本明細書において、用語「相補的な」は、2本のポリヌクレオチド鎖の領域間、または同じポリヌクレオチド鎖の2つの領域間の配列相補性を指す。ポリヌクレオチドの第1領域は、同じまたは異なるポリヌクレオチドの第2領域と、2つの領域が逆平行様式で配列されるとき、第1領域の少なくとも1つのヌクレオチドが、第2領域の塩基と塩基対合することができる場合、相補的である。したがって、2つの相補的なポリヌクレオチドがヌクレオチド位置毎に塩基対合する必要はない。「完全に相補的な」は、第2ポリヌクレオチドに100%または「完全に」相補的であり、したがってヌクレオチド位置毎に塩基対を形成する第1ポリヌクレオチドを指す。「部分的に相補的な」は、100%相補的でなく(例えば、90%、または80%、または70%相補的であり)、1つまたは複数のヌクレオチド位置でミスマッチしたヌクレオチドを含有する第1ポリヌクレオチドも指す。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、ユニバーサル塩基を含む。
【0039】
本明細書において、用語「ハイブリダイゼーション」は、相補的な(部分的に相補的を含む)ポリヌクレオチド鎖の対形成を参照して使用される。ハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションの強度(すなわち、ポリヌクレオチド鎖同士間の会合の強度)は、ポリヌクレオチド同士間の相補性の程度や、塩の濃度、形成されるハイブリッドの融解温度、他の成分の存在(例えば、ポリエチレングリコールの存在または非存在)、ハイブリダイジング鎖のモル濃度、およびポリヌクレオチド鎖のG:C含量などの条件によって影響される、関与する条件のストリンジェンシーを含めた、当技術部分野で周知の多くの要因によってインパクトを受ける。いくつかの実施形態、例えば、1つを超えるオリゴヌクレオチドを提供する実施形態では、オリゴヌクレオチドは、1つのオリゴヌクレオチドのTが他のオリゴヌクレオチドのTの2℃以内であるように設計される。核酸のハイブリダイゼーションへの広範なガイドは、Tijssen(1993)Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes、I部、2章(Elsevier、New York);およびAusubelら編、(1995)Current Protocols in Molecular Biology、2章(Greene Publishing and Wiley-Interscience、New York)に見つかる。Sambrookら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Plainview、New York)を参照。本明細書でさらに論じるように、用語「特異的なハイブリダイゼーション」または「特異的にハイブリダイズする」は、核酸増幅に一般に使用される条件下で、無関係な配列へではなく、標的配列、例えば、試料中の定量化される配列、陽性対照標的核酸配列などへのポリヌクレオチド、例えば、オリゴヌクレオチドプライマーまたはプローブなどのハイブリダイゼーションを指す。
【0040】
いくつかの実施形態では、プライマーおよび/またはプローブは、オリゴヌクレオチド配列の全長にわたって標的核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む。このような配列は、互いに対して「完全に相補的」と呼ぶことができる。オリゴヌクレオチドが本明細書の核酸配列に対して「実質的に相補的」と呼ばれる場合、2つの配列は、完全に相補的であり得、またはこれらは、ハイブリダイゼーションの際にミスマッチを形成するが、以下に論じるストリンジェントな条件または標準的な核酸増幅条件下でハイブリダイズする能力を保持する場合がある。本明細書において、用語「実質的に相補的」は、2つの核酸、例えば、オリゴヌクレオチドの相補性領域と標的配列との間の相補性を指す。相補性は、完全である必要はなく、2つの核酸間に任意の数の塩基対ミスマッチが存在し得る。しかし、ミスマッチの数が多すぎてハイブリダイゼーションが最低のストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でさえまったく起こり得ない場合、配列は、実質的に相補的な配列でない。2つの配列が本明細書で「実質的に相補的」と呼ばれる場合、それは、配列が選択された反応条件下でハイブリダイズするのに互いに十分に相補的であることを意味する。特異性を実現するのに十分な核酸相補性とハイブリダイゼーションのストリンジェンシーとの関係は、当技術分野で周知であり、配列同一性、融解温度、およびハイブリダイゼーション条件を参照して以下でさらに記載されている。したがって、実質的に相補的な配列を、本明細書に開示の検出法のいずれにおいても使用することができる。このようなプローブは、例えば、完全に相補的であり得、またはハイブリダイゼーション条件が、例えば、標的配列と非標的配列との間の識別を可能にするのに十分である限り、1つから多くのミスマッチを含有し得る。したがって、実質的に相補的な配列は、参照配列と比較して、100、99、98、97、96、95、94、93、92、91、90、89、88、87、86、85、84、83、82、81、80、75、70、もしくはそれ未満、または間の任意の数値のパーセント同一性の範囲である配列を指すことができる。例えば、本明細書に開示のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドがハイブリダイズする標的配列と比較して、1、2、3、4、5、またはそれ以上のミスマッチおよび/または縮重塩基を含有することができ、ただし、オリゴヌクレオチドは、例えば、標準的な核酸増幅条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズすることができる。
【0041】
したがって、例として、用語「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、以下のうちのいずれかまたは両方を指すことができる:a)約45℃で6×SSC、その後の65℃で0.2×SSC、0.1%のSDS中の1回または複数の洗浄、およびb)12~16時間にわたって、400mMのNaCl、40mMのPIPES、pH6.4、1mMのEDTA、50℃または70℃、その後の洗浄。いくつかの実施形態では、用語「ストリンジェントな条件」は、標準的な核酸増幅(例えば、PCR)条件を指すことができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、試料または検体は、以下でさらに詳細に論じる標準的な核酸増幅条件下で、一連の増幅プライマーと接触させられる。臨床微生物学に適用されるPCR条件などの標準的な核酸増幅条件を含めたPCR技術の総説については、Dordrecht;Boston:Kluwer Academic(2000)が出版したDNA Methods in Clinical Microbiology、Singleton P.、Methods in Molecular Biology 67:Humana Press、Totowa(1997)におけるMolecular Cloning to Genetic Engineering、White,B.A.編、および「PCR Methods and Applications」、1991~1995(Cold Spring Harbor Laboratory Press)を参照。「核酸増幅条件」および「PCR条件」の非限定例としては、本明細書に引用した参考文献に開示された条件、例えば、72℃のアニーリング温度で、50mMのKCl、10mMのTris-HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X-100、2.5mMのMgCl;または59℃のアニーリング温度で、4mMのMgCl、100mMのTris、pH8.3、10mMのKCl、5mMの(NHSO、0.15mgのBSA、4%のトレハロース、または55℃のアニーリング温度で、50mMのKCl、10mMのTris-HCl(pH9.0)、0.1%のTriton X-100、2.5mMのMgClなどがある。
【0043】
本明細書に記載のプライマーは、それだけに限らないが、適切な配列のクローニングおよび消化、ならびに直接化学合成を含めた、当技術分野で公知の技法を使用して調製することができる。本明細書に記載のもののプライマーを作製するのに使用され得る化学合成法としては、それだけに限らないが、Narangら(1979)Methods in Enzymology、68:90によって記載されたホスホトリエステル法、Brownら(1979)Methods in Enzymology、68:109によって開示されたホスホジエステル法、Beaucageら(1981)Tetrahedron Letters、22:1859によって開示されたジエチルホスホラミデート法、および米国特許第4,458,066号に記載された固体支持体法がある。本明細書に記載の合成オリゴヌクレオチドプライマーを調製するための自動オリゴヌクレオチドシンセサイザーの使用も、本明細書で企図されている。
【0044】
したがって、いくつかの実施形態は、MREJタイプxxi配列を有するMRSA株中の多型SCCmec右端配列に特異的にハイブリダイズする(例えば、標準的な核酸増幅条件、例えば、標準的なPCR条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で)オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよびプローブ)を含む組成物に関する。例えば、いくつかの実施形態では、配列番号1またはその相補体中に存在する多型SCCmec右端配列に、特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドを含む組成物が提供される。配列番号1内の多型右端配列を含めた、MREJタイプxxiの多型SCCmec右端配列に特異的にハイブリダイズする例示的なオリゴヌクレオチドは、配列番号2またはその相補体で提供される。したがって、配列番号2またはその相補体と実質的に相補的であるオリゴヌクレオチド、および配列番号2またはその相補体と少なくとも80%同一である(例えば、少なくとも81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の)オリゴヌクレオチドを含めた、配列番号2またはその相補体と比べて1、2、3、4、またはそれ以上のミスマッチまたはユニバーサルヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドが本明細書に提供されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、本組成物および方法は、MREJタイプxxi以外のMREJ領域内の1種または複数の多型右端配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーまたは配列特異的プローブを含み得る。したがって、いくつかの実施形態は、MREJタイプi領域、MREJタイプii領域、MREJタイプiii領域、MREJタイプiv領域、MREJタイプv領域、MREJタイプvi領域、MREJタイプvii領域、MREJタイプviii領域、MREJタイプix領域、MREJタイプx領域、MREJタイプxi領域、MREJタイプxii領域、MREJタイプxiii領域、MREJタイプxiv領域、MREJタイプxv領域、MREJタイプxvi領域、MREJタイプxvii領域、MREJタイプxviii領域、MREJタイプxix領域、およびMREJタイプxx領域から選択される1種または複数のMREJ領域内の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする(標準的な核酸増幅条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で)オリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーまたは配列特異的プローブを提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、本組成物および方法は、mecA配列またはこれらの断片に特異的にハイブリダイズし、それらのアンプリコンを生成することができるオリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーを含み得る。したがって、いくつかの実施形態は、配列番号156内の配列に特異的にハイブリダイズし、それらのアンプリコンを生成することができるオリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーを含む。いくつかの実施形態は、mecC配列、例えば、配列番号157内の配列、またはこれらの断片に特異的にハイブリダイズし、それらのアンプリコンを生成することができるオリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーを含む。いくつかの実施形態は、Staphylococcus aureus特異的配列に特異的にハイブリダイズし、それらのアンプリコンを生成することができるオリゴヌクレオチド、例えば、増幅プライマーを含む。例えば、いくつかの実施形態は、nuc配列(例えば、配列番号158に由来する配列)、femB配列(例えば、配列番号159に由来する配列)、Sa442配列(例えば、Martineauら、1998、J.Clin.Microbiol.、36(3):618~623からの)(配列番号160)に特異的にハイブリダイズし、それらのアンプリコンを生成することができるオリゴヌクレオチドを提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプiii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプiv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプvi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプvii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプviii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプix領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプx領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxiii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxiv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxvi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxvii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxviii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxix領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび配列特異的プローブ)は、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxx領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび/または配列特異的プローブ)は、mecA配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび/または配列特異的プローブ)は、mecC配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび/または配列特異的プローブ)は、nuc配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび/または配列特異的プローブ)は、Sa442配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的オリゴヌクレオチド(例えば、増幅プライマーおよび/または配列特異的プローブ)は、femB配列に特異的にハイブリダイズする。
【0048】
本明細書に開示の実施形態に関係した例示的なMREJ領域配列としては、例えば、
がある。
【0049】
MREJタイプxxi領域内の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする、上記に論じた配列番号2のオリゴヌクレオチドに加えて、本明細書に開示の実施形態において有用な、MREJ領域配列内の1種もしくは複数の多型配列、またはS.aureus染色体DNA配列に特異的であるオリゴヌクレオチドとしては、それだけに限らないが、以下のものがある。

【0050】
前述のことに加えて、本明細書に開示の組成物および方法は、上記で本明細書に述べたものに加えて、様々なMRSA株中のSCCmec配列の右端領域を特異的に検出するためのプライマーおよび/またはプローブを含み得ることを、当業者は理解するであろう。例として、いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物および方法は、国際特許出願公開第WO08/080620号に記載された配列、例えば、プライマーおよび/またはプローブを、これらのバリアント、およびこれらの相補体を含めて、含む。したがって、本明細書に開示の組成物および方法は、以下に列挙するプライマーおよび/またはプローブを含み得る。
【0051】
【表2】
【0052】
したがって、例示的な実施形態では、MREJ xxi、およびMREJタイプi~xxからなる群から選択される1種または複数のMREJタイプを含むMRSAを検出するための方法および組成物が提供される。例えば、いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的、およびS.aureus染色体DNA特異的オリゴヌクレオチドを使用する、タイプi、ii、iii、およびxxi MREJ核酸を含むMRSAの検出および/または同定を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、およびxxi MREJ配列を含むMRSAの検出および/または同定を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、v、vii、およびxxi MREJ核酸を含むMRSAの検出を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、v、vii、およびxxi MREJ核酸を含むMRSAの同定を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、v、vii、およびxxi MREJ核酸を含むMRSAの検出を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、v、vii、およびxxi MREJ核酸を含むMRSAの同定を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、v、vi、vii、ix、xiii、xiv、およびxxi核酸を含むMRSAの検出を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、v、vi、vii、ix、xiii、xiv、およびxxi核酸を含むMRSAの同定を提供する。いくつかの実施形態は、本明細書に開示のMREJ特異的オリゴヌクレオチドの組合せを使用する、タイプi、ii、iii、iv、vii、xvi、およびxxi核酸を含むMRSAの検出および/または同定を提供する。
【0053】
プローブ
いくつかの実施形態では、配列特異的プローブが提供される。プローブには、それだけに限らないが、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドが含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、MREJタイプxxi領域核酸配列などの標的配列に特異的にハイブリダイズする。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、配列番号1、またはその相補体、またはその部分配列(例えば、配列番号1内の領域のアンプリコン)に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、配列特異的プローブは、本明細書に開示の順方向プライマーおよび逆方向プライマーの結合部位が隣接したヌクレオチド配列に特異的にハイブリダイズし、それと完全または実質的に相補的である。いくつかの実施形態では、配列特異的プローブは、配列番号2または3の少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、または25のヌクレオチドを含み、その結果、配列特異的プローブは、本明細書に開示の増幅プライマーの結合部位と重複する。
【0054】
いくつかの実施形態では、orfXにハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、mecAにハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、mecCにハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、nucにハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、femBにハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、Sa442にハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。
【0055】
増幅プライマーと配列特異的プローブとの同族対を一緒に提供することができることを、当業者は容易に理解するであろう。すなわち、特定の配列に特異的にハイブリダイズし、そのアンプリコンを生成する増幅プライマーが提供される実施形態では、本明細書に開示の実施形態は、アンプリコンにハイブリダイズし、それに特異的である配列特異的プローブも含み得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプiii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプiv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプvi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプvii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプviii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプix領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプx領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxiii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxiv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxv領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxvi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxvii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxviii領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxix領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxx領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、mecA配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、mecC配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、nuc配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、femB配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、Sa442配列に特異的にハイブリダイズする。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、染色体DNA内へのSCCmecエレメントの挿入点から1キロ塩基以内に位置したS.aureus染色体配列に特異的にハイブリダイズする。例えば、いくつかの実施形態では、核酸増幅の標準条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でS.aureus orfX配列に特異的にハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、核酸増幅の標準条件下でorfSA0022にハイブリダイズする配列特異的プローブが提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の配列特異的プローブは、MREP配列、例えば、MREPタイプi、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii、xiii、xiv、xv、xvi、xvii、xviii、xix、xx、またはxxi配列に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、1種を超える配列特異的プローブが提供される。例えば、いくつかの実施形態では、MREPタイプxxi配列に特異的にハイブリダイズする配列特異的プローブが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20、またはそれ以上の配列特異的プローブと組み合わせて提供される。
【0058】
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、検出可能部分を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示のオリゴヌクレオチドプローブは、放射性標識を含み得る。放射性標識の非限定例としては、H、14C、32P、および35Sがある。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、それだけに限らないが、リガンド、フルオロフォア、化学発光剤、酵素、および抗体を含めた、1種または複数の非放射性検出可能マーカーまたは部分を含み得る。本発明の方法の感度の増大を可能にすることができる、プローブとともに使用するための他の検出可能マーカーとしては、ビオチンおよび放射性ヌクレオチドがある。特定の標識を選択すると、それがプローブに結合される様式が指示されることは、当業者に明白となるであろう。例えば、鋳型核酸にハイブリダイズすると、蛍光の検出可能な変化が生じるように1種または複数の色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブ。非特異的色素がいくつかの用途にとって望ましい場合があるが、配列特異的プローブは、増幅のより正確な測定をもたらし得る。配列特異的プローブの一構成は、フルオロフォアに繋ぎ止められたプローブの一端、およびクエンチャーに繋ぎ止められたプローブの他端を含み得る。プローブがハイブリダイズしていないとき、これは、ステムループ構成を維持することができ、ここでフルオロフォアは、クエンチャーによってクエンチされ、したがってフルオロフォアが蛍光を発するのが妨げられる。プローブが鋳型核酸配列にハイブリダイズしているとき、これは、直線化され、フルオロフォアをクエンチャーから遠ざけ、したがってフルオロフォアが蛍光を発することが可能になる。配列特異的プローブの別の構成は、FRET対の第1フルオロファアに繋ぎ止められた第1プローブ、およびFRET対の第2フルオロファアに繋ぎ止められた第2プローブを含み得る。第1のプローブおよび第2のプローブは、第1プローブおよび第2プローブが同じアンプリコンにハイブリダイズされているとき、FRETによるエネルギー移動を可能にするのに十分近接した範囲内にあるアンプリコンの配列にハイブリダイズするように配置することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、配列特異的プローブは、フルオロフォアにコンジュゲートされた本明細書に開示のオリゴヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、2種以上のフルオロフォアにコンジュゲートされている。フルオロフォアの例としては、キサンテン色素、例えば、フルオレセインおよびローダミン色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、2-[(エチルアミノ)-3-(エチルイミノ)-2-7-ジメチル-3H-キサンテン-9-イル]安息香酸エチルエステルモノヒドロクロリド(R6G)(約500~560nmの範囲の波長で応答放射線(response radiation)を発する)、1,1,3,3,3’,3’-ヘキサメチルインドジカルボシアニンヨージド(HIDC)(約600~660nmの範囲の波長で応答放射線を発する)、6-カルボキシフルオレセイン(略語FAMおよびFによって一般に公知)、6-カルボキシ-2’,4’,7’,4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン(JOEまたはJ)、N,N,N’,N’-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRAまたはT)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROXまたはR)、5-カルボキシローダミン-6G(R6G5またはG5)、6-カルボキシローダミン-6G(R6G6またはG6)、およびローダミン110など;シアニン色素、例えば、Cy3、Cy5、およびCy7色素;クマリン、例えば、ウンベリフェロン;ベンズイミド色素、例えば、Hoechst33258;フェナントリジン色素、例えば、テキサスレッド;エチジウム色素;アクリジン色素;カルバゾール色素;フェノキサジン色素;ポルフィリン色素;ポリメチン色素、例えば、Cy3(約540~580nmの範囲の波長で応答放射線を発する)、Cy5(約640~680nmの範囲の波長で応答放射線を発する)などのシアニン色素など;BODIPY色素、ならびにキノリン色素がある。対象とする特定のフルオロフォアとしては、ピレン、クマリン、ジエチルアミノクマリン、FAM、フルオレセインクロロトリアジニル、フルオレセイン、R110、エオシン、JOE、R6G、HIDC、テトラメチルローダミン、TAMRA、リッサミン、ROX、ナフトフルオレセイン、テキサスレッド、ナフトフルオレセイン、Cy3、およびCy5などがある。
【0060】
いくつかの実施形態では、プローブは、クエンチャーにコンジュゲートされている。クエンチャーは、電磁放射線を吸収し、それを熱として散逸することができ、したがって暗いままである。例示的なクエンチャーとしては、ダブシル、NFQ、例えば、BHQ-1またはBHQ-2(Biosearch)、IOWA BLACK FQ(IDT)、およびIOWA BLACK RQ(IDT)などがある。いくつかの実施形態では、クエンチャーは、フルオロフォアが発する電磁放射線を吸収するようにフルオロフォアと対を形成するように選択される。本明細書に開示の組成物および方法で有用なフルオロフォア/クエンチャー対は、当技術分野で周知であり、ワールドワイドウェブサイトmolecular-beacons.org/download/marras,mmb06%28335%293.pdfで入手可能なS.Marras、「Selection of Fluorophore and Quencher Pairs for Fluorescent Nucleic Acid Hybridization Probes」に見つけることができ、例えば、記載されている場合がある。
【0061】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、プローブの第1末端に付着されており、クエンチャーは、プローブの第2末端に付着されている。付着は、共有結合を含み得、任意選択により、プローブとフルオロフォアまたはクエンチャーとの間に位置した少なくとも1つのリンカー分子を含み得る。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、プローブの5’末端に付着されており、クエンチャーは、プローブの3’末端に付着されている。いくつかの実施形態では、フルオロフォアは、プローブの3’末端に付着されており、クエンチャーは、プローブの5’末端に付着されている。定量的核酸増幅で使用することができるプローブの例としては、分子ビーコン、SCORPION(商標)プローブ(Sigma)、およびTAQMAN(商標)プローブ(Life Technologies)などがある。本明細書に開示の実施形態で有用である他の核酸検出技術としては、それだけに限らないが、ナノ粒子プローブ技術(Elghanianら(1997)Science、277:1078~1081を参照。)、およびAmplifluorプローブ技術(米国特許第5,866,366号;同第6,090,592号;同第6,117,635号;および同第6,117,986号を参照)がある。
【0062】
本明細書に開示のいくつかの実施形態は、MREJタイプxxi配列、またはMREJタイプxxi配列のアンプリコン、例えば、配列番号1またはその部分配列に特異的にハイブリダイズするプローブを提供する。したがって、本明細書に開示のいくつかの実施形態は、増幅プライマー配列番号2および3を使用する、配列番号1を含む鋳型の増幅からのアンプリコンにハイブリダイズするプローブを提供する。単なる例として、いくつかの実施形態では、配列番号4の配列、またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなることができるプローブが提供される。いくつかの実施形態では、プローブは、本明細書に記載のフルオロフォアおよび/またはクエンチャーを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、配列番号82の配列、またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなることができるプローブが提供される。いくつかの実施形態では、プローブは、本明細書に記載のフルオロフォアおよび/またはクエンチャーを含む。好適な実施形態では、プローブは、フルオロフォア6-カルボキシフルオレセイン(「FAM」)がプローブの5’末端に付着され、クエンチャーIOWA BLACK Black-hole Quencher(登録商標)2(IDT)(「BHQ」)がプローブの3’末端に付着された、配列番号4もしくは配列番号82、またはそのバリアントを含み得る。
【0063】
キット
キットも、本明細書に提供されている。本明細書に開示のキット、プライマー、およびプローブは、in vitroおよび/またはin situ用途の両方において、MREJタイプxxiのMRSAを検出および/または同定するのに(いくつかの実施形態では、MREJタイプi~xxの1種または複数のMRSAをさらに検出および/または同定するのに)使用することができる。例えば、キットは、MREJタイプi~xxのMRSAを検出するための任意の以前に記載されたプライマー/プローブと組み合わせて使用することができることが企図されている。本明細書に開示の診断キット、プライマー、およびプローブは、単独で、またはそれだけに限らないが、核酸検出に基づく任意のアッセイ、任意のイムノアッセイ、任意の酵素アッセイ、任意の生化学アッセイ、任意のリソティピック(lysotypic)アッセイ、任意の血清学的アッセイ、任意の鑑別培地、任意の強化培地、任意の選択培地、任意の特異的アッセイ培地、任意の確認培地、任意の計数培地、任意の細胞染色剤、特定の細胞株に対する任意の培養液、および動物に対する任意の感染力アッセイを含めた、微生物を検出および/または同定するのに適した任意の他のアッセイと組み合わせて使用することができることも企図されている。
【0064】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、標準的な核酸増幅条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、MREJタイプxxi配列(例えば、配列番号1またはその相補体)の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドを含むことになる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、配列番号2またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなるオリゴヌクレオチド(例えば、第1増幅プライマー)を含むことになる。いくつかの実施形態では、キットは、1種または複数の追加のオリゴヌクレオチド、例えば、第1増幅プライマーと一緒にMREJタイプxxi配列の多型右端接合部のアンプリコンを生成する、配列番号3またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなるオリゴヌクレオチドなどの第2増幅プライマーも含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に記載のプローブも含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、キットは、配列番号4またはそのバリアントを含み、それから本質的になり、またはそれからなるオリゴヌクレオチドプローブを含み得る。
【0065】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、標準的な増幅条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドに加えて、MREJタイプi、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii、xiii、xiv、xv、xvi、xvii、xviii、xix、またはxx内のSCCmec多型右端配列(MREP)の1種または複数に特異的に結合する1種または複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示したものは、標準的な増幅条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドに加えて、mecA配列に特異的に結合する1種または複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、標準的な増幅条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドに加えて、mecC配列に特異的に結合する1種または複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、標準的な増幅条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドに加えて、nuc配列に特異的に結合する1種または複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、標準的な増幅条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドに加えて、S.aureus特異的ヌクレオチド配列、例えば、femB配列に特異的に結合する1種または複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のキットは、標準的な増幅条件下でMREJタイプxxi配列の多型右端配列に特異的に結合するオリゴヌクレオチドに加えて、Sa442配列に特異的に結合する1種または複数のオリゴヌクレオチドを含み得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を実施するための試薬および組成物を含有するキットが提供される。このようなキットは、1種または複数の容器、例えば、チューブまたはバイアルなどを中に厳重に閉じ込めて受け入れるように区切られたキャリアを含むことができる。容器の1つは、本明細書に開示の少なくとも1種の標識されていない、または検出可能な程度に標識されたプライマーまたはプローブを含有し得る。1種または複数のプライマーは、必要に応じて凍結乾燥形態で、または適切な緩衝液中に存在し得る。1種または複数の容器は、例えば、核酸増幅反応で利用される1種または複数の酵素または試薬を含有し得る。これらの酵素は、これら自体で、混合物中に、凍結乾燥形態で、または適切な緩衝液中に存在することができる。本明細書に開示の核酸増幅反応で有用な例示的な酵素としては、それだけに限らないが、FASTSTART(商標)Taq DNAポリメラーゼ、APTATAQ(商標)DNAポリメラーゼ(Roche)、KLENTAQ1(商標)DNAポリメラーゼ(AB peptides Inc.)、HOTGOLDSTAR(商標)DNAポリメラーゼ(Eurogentec)、KAPATAQ(商標)HotStart DNAポリメラーゼ、KAPA2G(商標)Fast HotStart DNAポリメラーゼ(Kapa Biosystemss)、PHUSION(商標)Hot Start DNAポリメラーゼ(Finnzymes)などがある。
【0067】
さらに、本明細書に開示のキットは、本明細書に開示の方法を実施するのに必要な追加のエレメントのすべて、例えば、緩衝液、抽出試薬、酵素、ピペット、プレート、核酸、ヌクレオシド三リン酸、濾紙、ゲル材料、転写材、オートラジオグラフィー用品などを含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示の方法の間に調製される反応混合物に要求され、またはその中に含むことが好都合な、かつ/もしくは望ましい追加の試薬を含み、この場合、このような試薬は、1種または複数のポリメラーゼ、水性緩衝媒体(調製され、あるいは成分の1種もしくは複数が予め混合されている場合があり、または成分のすべてが分離している場合がある場合、その構成成分中に存在する)などを含む。キットの様々な試薬成分は、別個の容器内に存在する場合があり、または鋳型核酸と組み合わせるための試薬混合物中にすべて予め組み合わされている場合がある。
【0069】
上記成分に加えて、いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示の方法を実行するための指示書も含むことができる。これらの指示書は、様々な形態でキット中に存在することができ、これらの1種または複数がキット中に存在する場合がある。これらの指示書が存在し得る一形態は、適当な媒体または基板に印刷された情報としてのもの、例えば、情報が印刷された1枚または複数枚の紙、キットの包装中のもの、添付文書中のものなどである。さらに別の手段は、情報が記録された、コンピュータ可読媒体、例えば、ディスケット、CDなどである。存在し得るさらに別の手段は、離れた場所で情報にアクセスするためにインターネットを介して使用することができるウェブサイトアドレスである。任意の好都合な手段がキット中に存在し得る。
【0070】
方法
試料からMREJタイプxxi核酸を有するMRSAを検出、同定、および/または定量化するための方法が、本明細書に提供されている。いくつかの実施形態では、本方法は、分析される試料を、標準的な核酸増幅条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、SCCmec MREJタイプxxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドと接触させるステップを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、SCCmec MREJタイプxxi領域を有するMRSAの存在について試験される試料は、本明細書に開示の方法を実施する前に処理される。例えば、いくつかの実施形態では、試料は、本明細書に開示の方法を実施する前に、単離し、濃縮し、または様々な他の処理ステップにかけることができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示するように、試料をオリゴヌクレオチドと接触させる前に、試料を処理して試料から核酸を単離することができる。本明細書において、語句「核酸を単離する」は、1種または複数の細胞成分からの核酸の精製を指す。自己から「核酸を単離」するために処理された試料は、核酸以外の成分および不純物を含み得ることを、当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、in vitroで試料を培養することなく、試料に対して実施される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、試料を本明細書に開示のオリゴヌクレオチドと接触させる前に試料から核酸を単離することなく、試料に対して実施される。
【0072】
i.非増幅ベース法
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは、本明細書の他で記載するように、検出可能部分を含み、SCCmec MREJタイプxxi領域の多型右端配列へのオリゴヌクレオチドの特異的ハイブリダイゼーションを、例えば、直接的または間接的手段によって検出することができる。したがって、MREJタイプxxi核酸を含むメチシリン耐性Staphylococcus aureus (MRSA)を検出および/または同定するためのいくつかの実施形態は、検査試料を準備するステップと、試料を、標準的な核酸増幅条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、SCCmec MREJタイプxxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップとを含み、オリゴヌクレオチドプローブは、長さが10~45ヌクレオチドの間であり、検出可能部分を含み、接触ステップは、MREJタイプxxi配列を含むS.aureusが試料中に存在する場合、MREJタイプxxi配列のmec右端接合部へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で実施される。MREJタイプxxi配列(試験される試料中に存在する場合)のmec右端接合部に特異的に結合しているプローブの存在および/または量を判定することができ、結合したプローブは、試料中にSCCmec MREJタイプxxi配列を有するMRSAの存在を示す。いくつかの実施形態では、結合しているプローブの量は、試料中にSCCmec MREJタイプxxi配列を有するMRSAの量を判定するのに使用される。
【0073】
同様に、いくつかの実施形態では、非増幅ベース法を、追加のヌクレオチド配列を検出するのに使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、MREJタイプxxi配列に加えて、他のMREJ配列、例えば、MREJタイプi、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii、xiii、xiv、xv、xvi、xvii、xviii、xix、もしくはxx、またはこれらの任意の組合せの1種または複数の存在および/または量を検出するための非増幅ベース法の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、MREJ(またはMREP)タイプxxi配列に加えて、mecA配列の存在を検出するための非増幅ベース法の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、(MREP)MREJタイプxxi配列に加えて、mecC配列の存在を検出するための非増幅ベース法の使用を含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、(MREP)MREJタイプxxi配列に加えて、S.aureus特異的配列、例えば、nuc配列、femB配列、Sa442配列、16S rRNA配列などの存在を検出するための非増幅ベース法の使用を含み得る。したがって、例示的な実施形態では、MREJタイプxxi、i、ii、iii、iv、vii、mecA、mecC、およびnuc配列を同時検出するための方法および組成物が提供される。
【0074】
判定ステップは、接触ステップ後に、それだけに限らないが、in situハイブリダイゼーションを含めた、当業者に公知の任意の方法を使用して実現することができる。ハイブリッドデュプレックスの(すなわち、MREJタイプxxi領域由来の多型右端配列に特異的に結合したプローブの)検出は、いくつかの方法によって実施され得る。一般に、ハイブリダイゼーションデュプレックスがハイブリダイズしていない核酸から分離され、次いで、デュプレックスに結合した標識が検出される。このような標識は、当技術分野で標準的に使用される放射性、蛍光、生物学的、または酵素タグもしくは標識を指す。標識は、オリゴヌクレオチドプローブ、または生体試料に由来する核酸にコンジュゲートすることができる。過剰の試料/標的核酸またはオリゴヌクレオチドプローブ(および適用可能な場合、非結合コンジュゲート)を洗い流すのに、洗浄ステップを使用することができることを、当業者は理解するであろう。さらに、標準的なヘテロジニアスアッセイ形式は、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブ上に存在する標識を使用してハイブリッドを検出するのに適している。
【0075】
したがって、いくつかの実施形態によれば、本明細書に開示の方法は、当技術分野で認められている方法を使用する、例えば、ELISA(例えば、ディップスティック形式、マルチウェル形式など)を含み得る。
【0076】
ii.増幅ベース法
いくつかの実施形態では、MREJタイプxxi核酸を含むメチシリン耐性Staphylococcus aureus(MRSA)を検出および/または同定するための方法は、検査試料を準備するステップと、試料を、標準的な核酸増幅条件、および/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、SCCmec MREJタイプxxi領域の多型右端配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させるステップとを含み、オリゴヌクレオチドプローブは、長さが10~45ヌクレオチドの間である。
【0077】
いくつかの実施形態では、試料は、標準的な増幅条件、またはMREJタイプxxi配列を含むS.aureusが試料中に存在する場合、MREJタイプxxi配列のmec右端多型配列(MREP配列)へのプライマーの特異的ハイブリダイゼーションおよび伸長を可能にする条件下で接触させられる。したがって、本方法は、例えば、MREJタイプxxi配列のmec右端接合部を含むアンプリコンまたは増幅産物を生成するための、試料からのMREJタイプxxi核酸を特異的に増幅させるステップを含む。いくつかの実施形態では、試料は、SCCmec-染色体接合部にわたるアンプリコンを生成するために、標準的な増幅条件、またはプライマー対、例えば、mec右端多型配列(MREP配列)にハイブリダイズする第1プライマー、およびSCCmec右端に隣接するS.aureus染色体配列、すなわち、orfXにハイブリダイズする第2プライマーの特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触させられる。いくつかの実施形態は、SCCmec-染色体接合部にわたるアンプリコンを生成するための、標準的な増幅条件、またはプライマー対、例えば、mec右端多型配列(MREP配列)にハイブリダイズする第1プライマー、およびSCCmec右端に隣接するS.aureus染色体配列、すなわち、orfXにハイブリダイズする第2プライマーの特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で試料を接触させることによって、SCCmec右端接合部配列データを生成する方法を提供する。
【0078】
いくつかの実施形態では、試料は、例えば、MREJタイプxxi特異的オリゴヌクレオチド(複数可)との接触と同時に(マルチプレックスPCRと同様に)、または逐次的に、1種または複数の追加のMREJタイプ配列、例えば、MREJタイプi、ii、iii、iv、v、vi、vii、viii、ix、x、xi、xii、xiii、xiv、xv、xvi、xvii、xviii、xix、またはxx配列の1種または複数の特異的増幅を可能にする追加のプライマーと、同じ標準的な増幅条件下で接触させられる。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、MREJタイプxxi特異的オリゴヌクレオチド(複数可)との接触と同時に(マルチプレックスPCR)、または逐次的に、mecAおよび/またはmecC配列の特異的増幅を可能にする追加のプライマーと、同じ標準的な増幅条件下で接触させられる。いくつかの実施形態では、試料は、例えば、MREJタイプxxi特異的オリゴヌクレオチド(複数可)との接触と同時に(マルチプレックスPCR)、または逐次的に、S.aureusに独特である1種または複数の配列(S.aureus特異的配列)、例えば、nuc、femB、Sa442などの特異的増幅を可能にする追加のプライマーと、同じ標準的な増幅条件下で接触させられる。したがって、いくつかの実施形態では、試料は、MREPタイプxxi、i、ii、iii、iv、v、vii、ix、xiii、xiv、およびxxi配列、ならびにmecA、mecC、およびnuc配列に特異的なプライマーと接触させられる。
【0079】
いくつかの実施形態では、本方法は、配列の特定のタイプ(例えば、MREJタイプxxi配列)の同定を含む。例えば、シンプレックスでMREJタイプxxi配列のみを特異的に増幅する実施形態では、アンプリコンの存在または非存在は、試料中のMREJタイプxxi配列の存在または非存在を示す。いくつかの実施形態では、本方法は、MREJタイプxxi配列の特異的増幅とマルチプレックスで、追加の配列、例えば、MREJ配列、mec配列、S.aureus特異的配列などを特異的に増幅する。マルチプレックス増幅を伴う実施形態では、いくつかの実施形態では、本方法は、例えば、1種のアンプリコンのみにハイブリダイズする配列特異的プローブを使用することによる、特異的配列の同定または検出を含み得る。いくつかの実施形態では、本方法は、増幅後の試料中に存在する異なる可能なアンプリコンの一部またはすべてを判別しない。例えば、いくつかの実施形態では、orfXにハイブリダイズする配列特異的プローブを、1種または複数のMREJタイプのアンプリコンの存在を検出するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、本方法は、特定の配列を特異的に検出することのない増幅産物の検出を含む。
【0080】
標的核酸を特異的に増幅するためのいくつかの方法が当技術分野で公知であり、本明細書に開示の実施形態で有用である。増幅法の非限定例としては、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;参照により本明細書に組み込まれている、Saikiら、1985、Science、230:1350~1354を参照)、リガーゼ連鎖反応(LCR;すべて参照により本明細書に組み込まれている、Wuら、1989、Genomics、4:560~569;Barringerら、1990、Gene、89:117~122;Barany、1991、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、88:189~193を参照)、転写媒介増幅(TMA;参照により本明細書に組み込まれている、Kwohら、1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、86:1173~1177を参照)、自立配列複製(3SR;参照により本明細書に組み込まれている、Guatelliら、1990、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、87:1874~1878を参照)、ローリングサークル増幅(RCA)、核酸配列ベース増幅(NASBA)、Qβレプリカーゼシステム(参照により本明細書に組み込まれている、Lizardiら、1988、BioTechnology、6:1197~1202)、ならびに好熱性SDA(tSDA)を含めた鎖置換増幅(SDA;すべて参照により本明細書に組み込まれている、Walkerら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、89:392~396;Walkerら、1992、Nuc.Acids.Res.、20:1691~1696;およびEP0497272を参照))がある。
【0081】
様々な実施形態では、本明細書に開示の方法は、臨床試料中のSCCmec MREJタイプxxi核酸または配列の存在を検出するのに有用である。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、生理的範囲内にある細菌の濃度(すなわち、細菌に感染した対象から収集された試料中の細菌の濃度)を有する試料中のタイプxxi MREJ領域を有するS.aureusを検出および同定するのに有用である。したがって、MREJタイプxxi核酸を有するMRSAの存在を検出するための細菌集団を単離、濃縮、または拡大(例えば、培養)する必要なく、試料を直接スクリーニングすることができる。様々な実施形態では、本明細書に開示の方法は、約1CFU/ml、10CFU/ml、100CFU/ml、1×10CFU/ml、1×10CFU/ml、約1×10CFU/ml、約1×10CFU/ml、または約1×10CFU/ml、またはその間の任意の数値の細菌濃度を有する試料から、MREJタイプxxi核酸を有するMRSAの存在を検出することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法、本方法は、アンプリコンを生成するためのPCRまたはqPCRのパフォーマンスを含む。多数の異なるPCRおよびqPCRプロトコールが当技術分野で公知であり、以下で本明細書に例示されており、試料中のMREJタイプxxi核酸を有するMRSAを検出および/または同定するために本記載の組成物を使用して使用するのに直接適用し、または適合させることができる。
【0083】
一般に、PCRでは、標的ポリヌクレオチド配列が少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマー、またはオリゴヌクレオチドプライマーの対との反応によって増幅される。プライマー(複数可)が標的核酸の相補性領域に特異的にハイブリダイズし、DNAポリメラーゼがプライマー(複数可)を伸長して標的配列を増幅する。ポリメラーゼベースの核酸増幅産物をもたらすのに十分な条件下で、一サイズの核酸断片が反応生成物を支配する(増幅産物である標的ポリヌクレオチド配列)。単一の標的ポリヌクレオチド配列の濃度を増大させるために、増幅サイクルが繰り返される。反応は、PCRに一般に使用される任意のサーモサイクラーで実施することができる。しかし、リアルタイム蛍光測定能力を有するサイクラー、例えば、SMARTCYCLER(登録商標)(Cepheid、Sunnyvale、CA)、ABI PRISM7700(登録商標)(Applied Biosystems、Foster City、CA)、ROTOR-GENE(商標)(Corbett Research、Sydney、オーストラリア)、LIGHTCYCLER(登録商標)(Roche Diagnostics Corp、Indianapolis、IN)、ICYCLER(登録商標)(Biorad Laboratories、Hercules、CA)、およびMX4000(登録商標)(Stratagene、La Jolla、CA)が好適である。
【0084】
いくつかの実施形態は、定量的PCR(qPCR)(リアルタイムPCRとも呼ばれる)を含む方法を提供する。qPCRは、定量的な測定をもたらすことができ、時間および汚染の低減という利益ももたらすことができる。本明細書において、「定量的PCR」(または「リアルタイムqPCR」)は、反応生成物のサンプリングの繰り返しを必要とすることなく、PCR増幅が行われている際のPCR増幅の進行の直接監視を指す。qPCRでは、反応生成物は、これらが、信号がバックグラウンドレベルを超えて上昇し、しかし反応がプラトーに到達する前に生成および追跡される際に、シグナル伝達機構(例えば、蛍光)を介して監視することができる。蛍光の検出可能または「閾値」レベルを実現するのに要求されるサイクルの数(サイクル閾値または「CT」と本明細書で呼ぶ)は、PCRプロセス開始時の増幅可能標的の濃度とともに直接に変化し、シグナル強度の尺度が、リアルタイムで、試料中の標的核酸の量の尺度をもたらすことを可能にする。
【0085】
PCRおよびqPCRを設定するための方法は、当業者に周知である。反応混合物は、鋳型核酸(例えば、以下に記載する陰性対照の場合を除いて、検査試料中に存在する場合)、ならびに適当な緩衝液、塩などと組み合わせたオリゴヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブ、ならびに適切な濃度の核酸ポリメラーゼを最小限含む。本明細書において、「核酸ポリメラーゼ」は、ヌクレオシド三リン酸の重合を触媒する酵素を指す。一般に、酵素は、標的配列にアニールされたプライマーの3’末端で合成を開始し、合成が終了するまで鋳型に沿って5’方向に進行する。適切な濃度には、本記載方法においてこの反応を触媒するものが含まれる。本明細書に開示の方法で有用な公知のDNAポリメラーゼとしては、例えば、大腸菌(E.coli)DNAポリメラーゼI、T7 DNAポリメラーゼ、Thermus thermophilus(Tth)DNAポリメラーゼ、Bacillus stearothermophilus DNAポリメラーゼ、Thermococcus litoralis DNAポリメラーゼ、Thermus aquaticus(Taq)DNAポリメラーゼ、およびPyrococcus furiosus(Pfu) DNAポリメラーゼ、FASTSTART(商標)Taq DNAポリメラーゼ、APTATAQ(商標)DNAポリメラーゼ(Roche)、KLENTAQ1(商標)DNAポリメラーゼ(AB peptides Inc.)、HOTGOLDSTAR(商標)DNAポリメラーゼ(Eurogentec)、KAPATAQ(商標)HotStart DNAポリメラーゼ、KAPA2G(商標)Fast HotStart DNAポリメラーゼ(Kapa Biosystemss)、PHUSION(商標)Hot Start DNAポリメラーゼ(Finnzymes)などがある。
【0086】
上記成分に加えて、本方法の反応混合物は、プライマー、プローブ、およびデオキシリボヌクレオシド三リン酸(dNTP)を含む。
【0087】
通常、反応混合物は、4種の天然に存在するヌクレオシド塩基に対応する4つの異なるタイプのdNTP、すなわち、dATP、dTTP、dCTP、およびdGTPをさらに含むことになる。本発明の方法では、各dNTPは一般に、約10~5000μΜ、通常、約20~1000μΜ、約100~800μΜ、または約300~600μΜの範囲の量で存在することになる。
【0088】
反応混合物は、一価イオンの供給源、二価陽イオンの供給源、および緩衝剤を含む水性緩衝媒体をさらに含むことができる。一価イオンの任意の好都合な供給源、例えば、塩化カリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム、グルタミン酸カリウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウムなどを使用することができる。二価陽イオンは、マグネシウム、マンガン、亜鉛などであり得、この場合、陽イオンは典型的には、マグネシウムとなる。塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムなどを含めたマグネシウム陽イオンの任意の好都合な供給源を使用することができる。緩衝液中に存在するマグネシウムの量は、0.5~10mMの範囲であってもよく、約1~約6mM、または約3~約5mMの範囲であり得る。緩衝液中に存在し得る代表的な緩衝剤または塩としては、Tris、Tricine、HEPES、MOPSなどがあり、この場合、緩衝剤の量は一般に、約5~150mM、通常、約10~100mM、より通常には、約20~50mMの範囲となり、この場合、ある特定の好適な実施形態では、緩衝剤は、約6.0~9.5の範囲のpH、例えば、約6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、または9.5のpHをもたらすのに十分な量で存在することになる。緩衝媒体中に存在し得る他の作用物質としては、キレート化剤、例えば、EDTA、EGTAなどがある。いくつかの実施形態では、反応混合物は、BSAなどを含むことができる。さらに、いくつかの実施形態では、反応物は、特に、試薬がマスターミックスとして準備される場合、トレハロースなどの凍結保護物質を含むことができ、それは、時間をかけて貯蔵することができる。
【0089】
反応混合物の調製において、様々な構成成分を任意の好都合な順序で組み合わせることができる。例えば、緩衝液をプライマー、ポリメラーゼ、次いで鋳型核酸と組み合わせてもよく、または様々な構成成分のすべてを同時に組み合わせて反応混合物を生成することができる。
【0090】
代わりに、例えば、TAQMAN(登録商標)Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems)、OMNIMIX(登録商標)もしくはSMARTMIX(登録商標)(Cepheid)、IQ&#8482;Supermix(Bio-Rad Laboratories)、LIGHTCYCLER(登録商標)FastStart(Roche Applied Science、Indianapolis、IN)、またはBRILLIANT(登録商標)QPCR Master Mix(Stratagene、La Jolla、CA)を含めた、市販のプレミックス試薬を、製造者の指示に従って本明細書に記載の方法で利用し、または反応条件を改善するように改変することができる(例えば、必要に応じて、緩衝液濃度、陽イオン濃度、またはdNTP濃度の改変)。
【0091】
反応混合物を、プライマー伸長反応条件(「ポリメラーゼベースの核酸増幅産物をもたらすのに十分な条件」)、すなわち、鋳型として鋳型鎖を使用してプライマー分子の末端にヌクレオチドを付加することによってポリメラーゼ媒介プライマー伸長を可能にする条件に付すことができる。多くの実施形態では、プライマー伸長反応条件は、増幅条件であり、これらの条件は、複数の反応サイクルを含み、各反応サイクルは、(1)変性ステップ、(2)アニーリングステップ、および(3)重合ステップを含む。以下に論じるように、いくつかの実施形態では、増幅プロトコールは、アニーリングに専念された特定の時間を含まず、代わりに、変性および伸長に専念された特定の時間のみを含む。反応サイクルの数は、実施される用途に応じて変化することになるが、通常、少なくとも15、より通常には、少なくとも20となり、60以上もの多くである場合があり、異なるサイクルの数は一般に、約20~40の範囲となる。約25超、通常、約30超のサイクルが実施される方法については、酵素プライマー伸長に適した条件が維持されるように、追加のポリメラーゼを反応混合物中に導入することが好都合であり、または望ましい場合がある。
【0092】
変性ステップは、反応混合物を高温に加熱するステップ、および反応混合物中に存在する任意の二本鎖核酸またはハイブリダイズした核酸が解離するのに十分な時間、その高温で混合物を維持するステップを含む。変性に関して、反応混合物の温度は通常、約85~100℃、通常、約90~98℃、より通常には、約93~96℃の範囲の温度に上昇され、これらの温度で約3~120秒、通常、約3秒からの範囲の時間維持されることになる。
【0093】
変性後、反応混合物は、混合物中に存在する鋳型核酸(存在する場合)へのプライマーアニーリングにとって、かつプライマーが、これが鋳型としてハイブリダイズされる核酸を使用して5’から3’方向に伸長される様式でプライマー末端にヌクレオチドを重合するのに十分な条件、すなわち、プライマー伸長産物の酵素産生に十分な条件に付されることができる。いくつかの実施形態では、アニーリングおよび伸長プロセスは、同じステップ内で行われる。これらの条件を実現するために反応混合物が下げられる温度は、通常、最適な効率および特異性をもたらすように選ばれることになり、一般に、約50~85℃、通常約55~70℃、より通常には、約60~68℃の範囲となる。いくつかの実施形態では、アニーリング条件は、約15秒~30分、通常、約20秒~5分、もしくは約30秒~1分、または約30秒の範囲の時間にわたって維持され得る。
【0094】
このステップは、各ステップについて温度および時間の長さのバリエーションおよび最適化を伴ったアニーリングステップおよび伸長ステップのそれぞれの1つを任意選択により含み得る。2ステップのアニーリングおよび伸長では、アニーリングステップは、上記のように進行させられる。鋳型核酸にプライマーをアニールした後、反応混合物は、上記のようにプライマー末端にヌクレオチドを重合するのに十分な条件にさらに付される。重合条件を実現するために、反応混合物の温度は、一般に、約65~75℃、通常、約67~73℃の範囲の温度に上昇され、またはこの温度で維持され、約15秒~20分、通常、約30秒~5分の範囲の時間維持される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、別個のアニーリングおよび伸長ステップを含まない。むしろ、本方法は、アニーリングに特に専用の任意のステップを伴わない、変性ステップおよび伸長ステップを含む。
【0095】
変性、アニーリング、および伸長の上記サイクルは、サーマルサイクラーとして一般に公知の自動デバイスを使用して実施することができる。使用することができるサーマルサイクラーは、本明細書に他で、ならびに米国特許第5,612,473号、同第5,602,756号、同第5,538,871号、および同第5,475,610号に記載されており、これらの特許の開示は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0096】
本明細書に記載の方法は、標的核酸配列であって、このような標的が固体支持体に固定化されている場合のある、配列を検出するために非PCRベース用途において使用することもできる。固体支持体に核酸配列を固定化する方法は、当技術分野で公知であり、Ausubelら編(1995)Current Protocols in Molecular Biology(Greene Publishing and Wiley-Interscience、NY)に、ならびに製造者、例えば、膜について:Pall Corporation、Schleicher &amp;Schuell、磁気ビーズについて:Dynal、培養プレートについて:Costar、Nalgenunc、ビーズアレイプラットフォームについて:LuminexおよびBecton Dickinson、および本明細書に提供される実施形態によって有用な他の支持体について、CPG,Incによって提供されているプロトコールに記載されている。
【0097】
様々な試薬の正確な量、およびPCR、または同様の増幅もしくは検出/定量化結果をもたらす他の適当な増幅手順の条件(例えば、緩衝液条件、サイクリング時間など)に対するバリエーションは、当業者に公知であり、等価であるとみなされる。一実施形態では、対象とするqPCR検出は、試料中の標的核酸(すなわち、MREJタイプxxi核酸)の50コピー未満(好ましくは、25コピー未満、より好ましくは15コピー未満、さらにより好ましくは10コピー未満、例えば、5、4、3、2、または1コピー)を検出する感度を有する。
【0098】
対照
本明細書に開示のアッセイは、対照を任意選択により含み得る。本明細書に開示のPCRまたはqPCR反応は、様々な対照を含有し得る。このような対照は、プライマー、緩衝液、酵素(複数可)、および他の必要な試薬(例えば、MgCl、ヌクレオチドなど)が、添加される検査試料の非存在下でサイクルされる「鋳型なし」陰性対照を含むことができる。これは、試薬が、プライマーと反応性であり、疑わしい増幅産物を生成するポリヌクレオチドで汚染されていないことを保証する。「鋳型なし」対照に加えて、陰性対照は、反応物中に含まれる非特異的標的核酸との増幅反応物も含むことができ、または検査試料を添加することなく、試料調製の任意もしくはすべてのステップ(核酸抽出から増幅調製まで)(例えば、各ステップは、検査試料をまったく使用しないか、もしくはカルバペネム耐性微生物を含まないことが分かっている試料を使用する)を使用して調製される試料とすることができる。
【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、例えば、方法および試薬が予期されたように機能していることを保証するために、陽性対照を含むことができる。陽性対照は、本明細書に開示のMREJタイプxxi標的核酸と無関係である公知の標的を含み得る。増幅の前に、陽性対照核酸(例えば、直線化した、または非直線化したプラスミドの形態での)を増幅反応物に添加することができる。単一反応物は、陽性対照鋳型、陰性対照、もしくは試料鋳型を含有することができ、または単一反応物は、試料鋳型および陽性対照の両方を含有することができる。好ましくは、陽性対照は、本明細書に開示のMREJタイプxxi配列に由来するMREJタイプxxi順方向および逆方向増幅プライマーに実質的に相補的な配列を含み、その結果、MREJタイプxxi配列を増幅するのに使用される増幅プライマー対は、同じアッセイ条件下で対照核酸も増幅することになる。いくつかの実施形態では、陽性対照鋳型核酸から生成されるアンプリコンは、標的アンプリコンより大きい。好ましくは、順方向および逆方向プライマーに相補的または実質的に相補的である陽性対照核酸中の配列は別として、陽性対照核酸は、本明細書に開示の標的アンプリコン/MREJタイプxxi配列と実質的な類似性を共有しない。言い換えれば、順方向および逆方向プライマーから外側で、陽性対照アンプリコンは、例えば、配列同一性がNCBI BLAST ALIGNツールを使用して比較されるとき、陽性対照ポリヌクレオチドと、好ましくは、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、さらにより好ましくは10%未満、同一である。
【0100】
陽性および/または陰性対照は、パラメータであって、その範囲内で検査試料がMREJタイプxxi配列を有するMRSAを有する、または有さないと分類される、パラメータの設定に使用することができる。例えば、qPCR反応では、アンプリコンが陽性対照試料中で検出されるサイクル閾値を、試料を「陽性」と分類するための閾値を設定するのに使用することができ、アンプリコンが陰性対照試料中で検出されるサイクル閾値を、試料を「陰性」と分類するための閾値を設定するのに使用することができる。単一反応からのCTを各対照に使用することができ、または複製試料の中央値または平均を使用することができる。さらに別の実施形態では、ヒストリカル対照値(historical control value)を使用することができる。陰性および陽性対照のそれぞれの検出の最低レベルは、一般に、複数の反応にわたる平均CTの95%信頼区間の下端で設定される。この値は、診断アッセイの要求事項に応じて調整することができる。
【0101】
好ましくは、PCR対照は、同じ増幅反応内で、同じ試薬を使用して、検査試料と同時に実施されるべきである。
【0102】
いくつかの実施形態は、増幅反応の間に、例えば、リアルタイムで、標的増幅産物の素性および/または量の判定をもたらす。例えば、いくつかの実施形態は、例えば、標的アンプリコン核酸、および/または陽性対照アンプリコンに特異的に結合しているプローブの測定(例えば、蛍光によって示される)を行うことに関する。いくつかの実施形態では、配列特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用するのではなく、本方法は、二本鎖核酸に非特異的に結合する非配列特異的プローブ、例えば、インターカレート剤などを利用することができる。インターカレート剤は、非結合であるとき相対的に低い蛍光、および二本鎖核酸に結合すると相対的に高い蛍光を有する。したがって、インターカレート剤は、核酸増幅反応の間の二本鎖核酸の蓄積を監視するのに使用することができる。このような非特異的な色素の例としては、二本鎖核酸の存在下で蛍光を発し、検出可能な信号を生成する、インターカレート剤、例えば、SYBR Green I(商標)(Molecular Probe)、ヨウ化プロピジウム、臭化エチジウム、LCグリーン、SYTO9、EVAGREEN(登録商標)蛍光色素、CHROMOFY(登録商標)、BEBOなどがある。測定は、増幅反応の各サイクルの間の指定時点で、例えば、各伸長ステップの後(各変性ステップの前)に行うことができる。配列特異的オリゴヌクレオチドプローブが使用されるか、非配列特異的オリゴヌクレオチドプローブが使用されるかにかかわらず、標的アンプリコン核酸、および/または陽性対照アンプリコンに特異的に結合しているプローブの量の測定は、各サイクル全体にわたって連続的に行うことができる。
【0103】
代わりに、いくつかの実施形態では、アンプリコン(例えば、標的および/または陽性対照)の素性/量は、増幅反応が完了した後、(例えば)サザンブロット法、ドットブロット法などを含めた標準的な分子技法を使用して確認することができる。
【実施例
【0104】
以下の実施例は、本技術を適用することができる特定の状況および設定を実証するために提供されており、本開示に含まれる本発明の範囲および特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。
【0105】
実施例1臨床試料からのMREJタイプXXI MRSAの検出および同定
MREJタイプxxi核酸を有するMRSAを検出および同定するためのqPCR反応を実施する。臨床試料は、Amies液体スワブ(Copan Diagnostics、Inc)を使用して患者から収集する。
【0106】
製造者の指示に準じてBD GeneOhm(商標)溶解キット(Becton Dickinson)を使用して臨床試料からDNAを任意選択により単離する。単離したDNAの試料を、S.aureus種特異的orfX配列、およびMREJタイプxxiの多型右端配列、すなわち、それぞれ0.2~0.7μMの配列番号2および3に、標準的な増幅条件下で特異底にハイブリダイズするプライマー、0.3μMのdNTP(Roche)、4mMのMgCl(SIGMA)、2.8ユニットのFASTSTART(登録商標)Taqポリメラーゼ(Roche)、100mMのTris、pH8.3(EMD)、10mMのKCl(LaboratoireMat)、5mMの(NHSO(SIGMA)、0.15mg/mLのBSA(SIGMA)、4%のトレハロース(SIGMA)と接触させる。反応物は、検出可能なMREJタイプxxiの右端接合部の増幅産物に特異的にハイブリダイズし、反応混合物に添加されるFAM、テキサスレッドおよびTetチャネルで、BD MAX(商標)(Becton Dickinson)、SMARTCYCLER(登録商標)(Cepheid)装置、またはリアルタイムPCR用に構成された他の装置で検出可能な検出可能部分を含む分子ビーコンプローブも含む。
【0107】
PCRは、以下のような同じサイクリングパラメータを使用して、BD MAX(商標)(Becton Dickinson)またはSMARTCYCLER(登録商標)(Cepheid)で実施する。
【0108】
【表3】
【0109】
FAM、テキサスレッド、およびTETチャネルにおけるサイクル閾値(CT)は、BD MAX(商標)またはSMARTCYCLER(登録商標)ソフトウェアを使用して求める。
【0110】
実施例2臨床試料からのMREJタイプI~XXI MRSAのマルチプレックス検出
MREJタイプi~vii、ix、xiii、xiv、およびxxiのいずれかを有するMRSAの存在を検出するために、マルチプレックス増幅反応を実施する。臨床試料は、Amies液体スワブ(Copan Diagnostics、Inc)を使用して患者から収集する。
【0111】
製造者の指示に準じてBD GeneOhm(商標)溶解キット(Becton Dickinson)を使用して臨床試料からDNAを任意選択により単離する。単離したDNAの試料を、S.aureus種特異的orfX配列、ならびにMREJタイプi~vii、ix、xiii、xiv、およびxxiの多型右端配列、すなわち、それぞれ0.2~0.7μMの配列番号2、3、39、77、および81に、標準的な増幅条件下で特異的にハイブリダイズするプライマー、0.3μMのdNTP(Roche)、4mMのMgCl(SIGMA)、2.8ユニットのFASTSTART(登録商標)Taqポリメラーゼ(Roche)、100mMのTris、pH8.3(EMD)、10mMのKCl(LaboratoireMat)、5mMの(NHSO(SIGMA)、0.15mg/mLのBSA(SIGMA)、4%のトレハロース(SIGMA)と接触させる。反応物は、検出可能なMREJタイプxxiの右端接合部の増幅産物に特異的にハイブリダイズし、反応混合物、すなわち、配列番号4に添加されるFAM、テキサスレッド、およびTetチャネルで、BD MAX(商標)(Becton Dickinson)、SMARTCYCLER(登録商標)(Cepheid)装置、またはリアルタイムPCR用に構成された他の装置で検出可能な検出可能部分を含む分子ビーコンプローブも含む。
【0112】
PCRは、以下のような同じサイクリングパラメータを使用して、BD MAX(商標)(Becton Dickinson)またはSMARTCYCLER(登録商標)(Cepheid)で実施する。
【0113】
【表4】
【0114】
FAM、テキサスレッド、およびTETチャネルにおけるサイクル閾値(CT)を、BD MAX(商標)またはSMARTCYCLER(登録商標)ソフトウェアを使用して求める。CTを使用して、MREJタイプi~vii、xvi、ix、xiii、xiv、およびxxiのいずれかのMRSAが存在するか否かを判定する。
【0115】
実施例3MREJタイプXXI配列は、MECAホモログ、MECCと関連している
MREJタイプxxi領域およびmecC遺伝子のPCR増幅を、ウシまたはヒト宿主から単離したMRSAの51単離体について実施した。
【0116】
単離体のリストを、以下の表に提供する。
【0117】
【表5】
【0118】
製造者の指示に準じてBD GeneOhm(商標)溶解キット(Becton Dickinson)を使用して、mecCを保有することが知られている上記臨床試料からDNAを単離した。PCR反応物を、以下の通り調製した:それぞれ0.2~0.7μMの配列番号182、183、および187、0.3μMのdNTP(Roche)、4mMのMgCl(SIGMA)、2.8ユニットのFASTSTART(登録商標)Taqポリメラーゼ(Roche)、100mMのTris、pH8.3(EMD)、10mMのKCl(LaboratoireMat)、5mMの(NHSO(SIGMA)、0.15mg/mLのBSA(SIGMA)、4%のトレハロース(SIGMA)。
【0119】
反応は、FAMチャネルを使用してBD MAX(登録商標)システムで実施した。
【0120】
データは、mecC遺伝子を保有した51のMRSA株のうちの50がMREJタイプxxi配列を含有していたことを示し、したがって、MREJタイプxxi配列を使用するmecC MRSA株の検出の高い遍在の証拠をもたらす。
【0121】
本発明を一般に記載してきたが、例示のみの目的で本明細書に提供され、限定的であることを意図してないある特定の具体的な実施例を参照して、さらなる理解を得ることができる。
図1
【配列表】
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