(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】膨張可能グラファイト材料を含むプリプレグ、コア及び複合物品
(51)【国際特許分類】
C08L 23/00 20060101AFI20230502BHJP
B29C 70/02 20060101ALI20230502BHJP
B32B 5/10 20060101ALI20230502BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20230502BHJP
B32B 27/04 20060101ALI20230502BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20230502BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230502BHJP
C08K 7/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
C08L23/00
B29C70/02
B32B5/10
B32B5/28 A
B32B27/04 Z
B32B27/18 Z
C08K3/04
C08K7/02
(21)【出願番号】P 2017525944
(86)(22)【出願日】2015-11-12
(86)【国際出願番号】 US2015060289
(87)【国際公開番号】W WO2016077527
(87)【国際公開日】2016-05-19
【審査請求日】2018-11-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2014-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514102858
【氏名又は名称】ハンファ アズデル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツェング,ユ-ツァン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ルオミアオ
(72)【発明者】
【氏名】メイソン,マーク・オー
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,トロイ・ディ
(72)【発明者】
【氏名】ボレンカンプ,エリック・ジェイ
【合議体】
【審判長】杉江 渉
【審判官】細井 龍史
【審判官】藤代 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-49869(JP,A)
【文献】国際公開第2005/82563(WO,A1)
【文献】実開昭58-18562(JP,U)
【文献】特開2007-313893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
B29C70/02
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン熱可塑性材料によって一緒に保持された複数の強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層を含む自動車用熱可塑性複合物品であって、
前記多孔質コア層は0%を超え、95%までの空隙率を有し、
前記多孔質コア層が、前記多孔質コア層の連続気泡構造のウェブ内に均一に分散された非共有結合している膨張可能グラファイト粒子
および共有結合している膨張可能グラファイト材料をさらに含み、
前記自動車用熱可塑性複合物品は1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)の燃焼性試験に適合し、かつ、自己消火し、
前記膨張可能グラファイト粒子は
、前記多孔質コア層中の前記熱可塑性材料の融点よりも20℃またはそれより高いロフト温度でロフトして、前記多孔質コア層の厚さを増加させ、前記多孔質コア層に厚さの増加とともに難燃性を提供
し、
前記多孔質コア層は追加の難燃剤を含まない、自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項2】
前記膨張可能グラファイト粒子が、前記膨張可能グラファイト粒子のロフト開始温度を超える放射加熱後に前記多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加させるのに有効である、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項3】
前記膨張可能グラファイト粒子が、対流加熱時にロフトに対して実質的に不感応であるように選択される、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項4】
前記複数の強化繊維が、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項5】
前記ポリオレフィン熱可塑性材料が、ポリエチレン及びポリプロピレン及びそれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項6】
前記ポリオレフィン熱可塑性材料が粒子を含み、前記ポリオレフィン熱可塑性材料の粒子の平均粒径が前記膨張可能グラファイト粒子の平均粒径に類似し、50%未満の差異を有する、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項7】
前記多孔質コア層
がハロゲン不含有である、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項8】
前記多孔質コア層中に
マイクロスフェアロフト剤をさらに含む、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項9】
更に前記多孔質コア層の表面上に配置された外板を含む、請求項1に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項10】
前記膨張可能グラファイト粒子が、前記熱膨張可能グラファイト粒子のロフト開始温度を超える放射加熱後に前記多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加させるのに有効である、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項11】
前記膨張可能グラファイト粒子が、対流加熱時にロフトに対して実質的に不感応であるように選択される、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項12】
前記複数の強化繊維が、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含む、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項13】
前記ポリオレフィン熱可塑性材料が、ポリエチレン及びポリプロピレン及びそれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項14】
前記ポリオレフィン熱可塑性材料が粒子を含み、前記膨張可能グラファイト粒子の平均粒径が前記ポリオレフィン熱可塑性材料粒子の平均粒径の少なくとも50%である、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項15】
前記多孔質コア層
がハロゲン不含有である、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【請求項16】
前記多孔質コア層中に
マイクロスフェアロフト剤をさらに含む、請求項
9に記載の自動車用熱可塑性複合物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年11月13日に出願された米国仮特許出願第62/079,288号に関し、その優先権を主張し、利益を主張するものであり、その全開示は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、1つ以上の膨張可能グラファイト材料を含む複合物品に関する。特定の構成では、熱可塑性材料を含む熱可塑性コア、複数の強化繊維、及びコアに配置または分散された膨張可能グラファイト材料を含む複合物品が記載されている。
【背景技術】
【0003】
自動車及び建築材料の用途のための物品は、通常、多くの競合する厳しい性能仕様を満たすように設計されている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載のプリプレグ、コア及び複合物品の特定の構成は、物品の表面にわたるより均一なロフト、より良好な音響特性、難燃性、加工性の向上及び有用性の向上を含むが、これらに限定されない望ましい属性を付与する。
【0005】
第1の態様では、複数の強化繊維及び熱可塑性材料を含む多孔質コア層を含み、多孔質コア層が、コア層中に分散された、例えば多孔質コア層のボイド空間内に均一に分散されたEG粒子などの膨張可能グラファイト(EG)材料をさらに含む、熱可塑性複合物品が提供されている。
【0006】
特定の構成では、粒子などの膨張可能グラファイト材料は、膨張可能グラファイト材料(例えば、EG粒子)を、ロフト開始温度以上及び/または樹脂の融点以上の放射加熱後に、多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加するのに有効である。他の構成では、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、対流加熱時にロフトに対して実質的に不感応であるように選択される。いくつかの例では、複数の強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含む。他の場合において、熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4-フェニレン)化合物、シリコーン及びそれらの混合物の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、熱可塑性材料は粒子を含み、熱可塑性材料の粒子の平均粒径は、膨張可能グラファイト粒子の平均粒径とほぼ同じである。特定の実施例では、多孔質コア層は難燃性を提供し、ハロゲン不含有である。いくつかの実施形態において、難燃剤は、多孔質コア層中に存在でき、その難燃剤はN、P、As、Sb、Bi、S、Se、またはTeの少なくとも1つを含む。他の例では、多孔質コア層は難燃性を提供し、難燃剤を含まない。いくつかの実施形態では、多孔質コア層は、多孔質コア層中にロフト剤、例えば、膨張可能グラファイト材料がまた、ロフト剤としても機能するのに有効である他のロフト剤を含むことができる。
【0007】
別の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブに均一に分散された、膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層を含む熱可塑性複合物品を開示する。
【0008】
特定の実施形態では、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、膨張可能グラファイト材料、例えば粒子のロフト開始温度、及び/または樹脂の融点を超える放射加熱後に、多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加させるのに有効である。他の実施形態では、粒子などの膨張可能グラファイト材料は、対流加熱時にロフトに対し実質的に不感応であるように選択される。さらなる例において、複数の強化繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含む。他の実施形態では、熱可塑性材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリエステル、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(1,4-フェニレン)化合物、シリコーン及びこれらの混合物の少なくとも1つを含む。いくつかの実施例では、熱可塑性材料は粒子を含み、熱可塑性材料の粒子の平均粒径は、膨張可能グラファイト粒子の平均粒径とほぼ同じである。他の例では、膨張可能グラファイトの平均粒径は、熱可塑性材料の平均粒径の少なくとも50%である。さらなる例において、多孔質コア層は難燃性を提供し、ハロゲン不含有である。いくつかの実施形態では、難燃剤が多孔質コア層中に提供され、その場合難燃剤は、N、P、As、Sb、Bi、S、Se、またはTeの少なくとも1つを含む。他の例では、多孔質コア層は難燃性を提供し、難燃剤を含まない。特定の実施例では、物品は、多孔質コア層中にロフト剤、例えば、膨張可能グラファイト材料がまた、ロフト剤としても機能するのに有効である他のロフト剤を含むことができる。
【0009】
追加の態様では、複数の強化繊維及び熱可塑性材料を含む多孔質コア層であって、コア層に、例えば多孔質コア層のボイド空間内に均一に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも1つの表面上に配置された外板を含む熱可塑性複合シートが開示されている。
【0010】
特定の実施形態において、シートは、多孔質コア層と外板との間に配置された追加の多孔質コア層を含む。他の実施形態では、追加の多孔質コア層は、熱可塑性材料、複数の強化繊維、及びEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を含む。さらなる実施例では、追加の多孔質コア層のEG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、追加の多孔質コア層内に均一に分散される。いくつかの実施形態では、追加の多孔質コア層の膨張可能グラファイト材料(例えば、EG粒子)は、追加の多孔質コア層内に勾配分布している。特定の構成では、多孔質コア層は難燃性を提供し、ハロゲン不含有である。いくつかの実施形態では、多孔質コア層は難燃性を提供し、難燃剤を含まない。特定の実施形態では、膨張可能グラファイト材料(例えば、EG粒子)は、膨張可能グラファイト粒子のロフト開始温度を超える放射加熱後に多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加させるのに有効である。いくつかの実施例では、シートは多孔質コア層中にロフト剤、例えば、膨張可能グラファイト材料がまた、ロフト剤としても機能するのに有効である他のロフト剤を含む。
【0011】
別の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブに均一に分散された、膨張可能グラファイト材料(例えば、EG粒子)をさらに含む多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも一方の面に配置された外板を備える熱可塑性複合シートが提供される。
【0012】
ある場合には、シートは、多孔質コア層と外板との間に配置された追加の多孔質コア層をさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の多孔質コア層は、熱可塑性材料、複数の強化繊維、及びEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を含む。他の実施例では、追加の多孔質コア層の膨張可能グラファイト材料(例えば、EG粒子)は、追加の多孔質コア層内に均一に分散される。いくつかの実施形態では、追加の多孔質コア層のEG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、追加の多孔質コア層内に勾配分布している。いくつかの構成では、多孔質コア層は難燃性を提供し、ハロゲン不含有である。他の構成では、多孔質コア層は難燃性を提供し、難燃剤を含まない。いくつかの実施形態では、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、膨張可能グラファイト粒子のロフト開始温度を超える放射加熱後に多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加させるのに有効である。他の例では、シートは、多孔質コア層中にロフト剤、例えば、膨張可能グラファイト材料がまた、ロフト剤として機能するのに有効である他のロフト剤を含む。いくつかの実施形態では、外板は、膨張可能グラファイト粒子を含むことができる。
【0013】
追加の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブに均一に分散された、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子をさらに含む多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも1つの表面上に配置された外板を含む熱可塑性複合シートが記載されている。
【0014】
ある実施形態では、シートは、ウェブに分散されたEG粒子などの共有結合している膨張可能グラファイト材料を含むことができる。いくつかの構成では、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子、及び共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子は、ほぼ同じ量で存在する。他の例では、EG粒子などの共有結合したグラファイト材料はウェブに勾配分布で存在する。いくつかの実施形態では、EG粒子などの非共有結合している膨張可能グラファイト材料は、難燃量で存在する。ある実施例では、多孔質コア層は難燃性を提供し、ハロゲン不含有である。さらなる実施形態では、シートは、多孔質コア層中に難燃剤を含むことができ、難燃剤はN、P、As、Sb、Bi、S、SeまたはTeの少なくとも1つを含む。他の実施形態では、膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子は、膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子のロフト開始温度を超える放射加熱後に多孔質コア層の厚さを少なくとも50%増加させるのに有効である。他の例では、シートは、多孔質コア層中にロフト剤、例えば、膨張可能グラファイト材料がまた、ロフト剤として機能するのに有効である他のロフト剤を含む。いくつかの実施形態では、外板は、EG粒子などの共有結合している膨張可能グラファイト材料、またはEG粒子などの非共有結合している膨張可能グラファイト材料を含むことができる。
【0015】
別の態様では、熱可塑性材料、強化繊維及び膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子を混合物中で混合すること、攪拌された水性フォームを形成すること、攪拌された水性フォームをワイヤ支持体上に配置すること、水分を排除してウェブを形成すること、及び熱可塑性材料の溶融温度より高い第1の温度にウェブを加熱すること、ここで第1の温度は膨張可能グラファイト材料(例えば、EG粒子)のロフト開始温度よりも低く、実質的にロフトが生じない、を含む方法が提供される。所望であれば、ウェブに圧力を加えて、ウェブ中に均一に分散したEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を含む熱可塑性複合シートを提供することができることが提供できる。
【0016】
場合によっては、排除する工程は、ワイヤ支持体上に配置された攪拌された水性形態で、膨張したグラファイト材料、例えばEG粒子の5%未満を除去する。他の実施形態では、この方法は、攪拌された水性フォームを、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料が攪拌された水性フォーム中に均一に分散するまで混合することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、対流加熱を用いてウェブを加熱することを含む。特定の実施形態において、この方法は、熱可塑性複合シートに圧力を加えることを含む。いくつかの実施例では、この方法は、放射加熱を用いて熱可塑性複合シートを加熱することを含む。他の構成では、この方法は、追加の膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子を熱可塑性複合シートの表面上に配置することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、撹拌された水性フォームにロフト剤を添加することを含む。さらなる実施例では、この方法は、熱可塑性複合シートを外板に結合させることを含む。いくつかの実施例では、この方法は、熱可塑性複合シートを熱可塑性材料、強化繊維、及びEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を含む追加の熱可塑性複合シートに結合することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、粒子を含む熱可塑性材料を選択することと、膨張可能グラファイト粒子の平均粒径を熱可塑性材料の粒子の平均粒径とほぼ同じになるよう選択することとを含む。
【0017】
さらなる態様では、熱可塑性材料、強化繊維、及びEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を混合物中で混ぜ合わせること、混合物を混合して膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子の実質的に均一な分散を混合物中に提供すること、混合物をワイヤ支持体上に配置すること、配置された混合物から水分を排除してウェブを形成すること、及び第1の加熱条件下でウェブを加熱して、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料の実質的なロフトなしに熱可塑性材料を溶融することを含む方法が提供される。特定の構成では、ウェブに圧力を加えて、ウェブに分散された膨張可能グラファイト粒子を含む熱可塑性複合シートを提供することができる。
【0018】
特定の実施例では、排除する工程は、ワイヤ支持体上に配置された混合物中のEG粒子などの膨張グラファイト材料の5%未満を除去する。他の実施例では、ウェブ中の膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子が熱可塑性材料または強化繊維に共有結合することなく、圧力が加えられる。他の例では、この方法は対流加熱を用いてウェブを加熱することを含む。特定の実施例では、この方法は、加熱された熱可塑性複合シートに圧力を加えることを含む。さらなる例では、この方法は、放射加熱を用いて熱可塑性複合シートを加熱することを含む。他の構成では、この方法は、熱可塑性複合シートの表面上にEG粒子などの追加の膨張可能グラファイト材料を配置することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、混合物にロフト剤を添加することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、熱可塑性複合シートを外板に結合させることを含む。特定の実施例では、この方法は、熱可塑性複合シートを、熱可塑性材料、強化繊維及びEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を含む追加の熱可塑性複合シートに結合することを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、粒子を含む熱可塑性材料を選択すること、及び膨張可能グラファイト粒子の平均粒径を熱可塑性材料の粒子の平均粒径とほぼ同じになるよう選択すること、または膨張可能グラファイト粒子の平均粒径を熱可塑性材料の粒子の平均粒径の約50%以上にするよう選択することを含む。
【0019】
別の態様では、複数の強化繊維及び熱可塑性材料を含む多孔質コア層であって、多孔質コア層のボイド空間に分散されたEG粒子などの膨張可能グラファイト材料をさらに含む多孔質コア層を含む熱可塑性複合物品が、提供される。場合によっては、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0020】
追加の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブに分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層を含む、熱可塑性複合物品が記載されている。場合によっては、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば、非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0021】
別の態様では、複数の強化繊維及び熱可塑性材料を含む多孔質コア層であって、多孔質コア層のボイド空間に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも1つの表面上に配置された外板を含む熱可塑性複合シートが記載される。いくつかの構成では、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0022】
追加の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブ中に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも1つの表面上に配置された外板を含む熱可塑性複合シートが提供される。いくつかの実施形態では、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0023】
別の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された複数の強化繊維によって形成された連続気泡構造のウェブを含むプリプレグであって、連続気泡構造のウェブに分散されたEG粒子などの膨張可能グラファイト材料を含むプリプレグが開示される。特定の実施例では、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば、非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0024】
さらなる態様では、複数の強化繊維及び熱可塑性材料を含む多孔質コア層であって、多孔質コア層のボイド空間に均一に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層であって、EG粒子などの膨張可能グラファイト材料が、物品が1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)の燃焼性試験に適合/合格できる有効量で存在する多孔質コア層を含む熱可塑性物品が記載されている。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0025】
別の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブに均一に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層であって、膨張可能グラファイト材料(例えばEG粒子)が、物品が1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)の燃焼性試験に適合/合格できる有効量で存在する多孔質コア層を含む熱可塑性物品が開示されている。場合によっては、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0026】
さらなる態様では、複数の強化繊維と熱可塑性材料を含む多孔質コア層であって、多孔質コア層のボイド空間内に均一に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層であって、膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子が、物品が1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)の燃焼性試験に適合/合格できる有効量で存在する多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも1つの表面上に配置された外板を含む、熱可塑性複合シートが提供される。特定の実施形態では、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0027】
別の態様では、熱可塑性材料によって一緒に保持された強化繊維のランダム交差を含む連続気泡構造のウェブを含む多孔質コア層であって、連続気泡構造のウェブに均一に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子をさらに含む多孔質コア層であって、膨張可能グラファイト材料が、物品が1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)の燃焼性試験に適合/合格できる有効量で存在する多孔質コア層、及び多孔質コア層の少なくとも1つの表面上に配置された外板を含む、熱可塑性複合シートが開示されている。特定の実施形態では、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料、例えば非共有結合している膨張可能グラファイト粒子である。
【0028】
さらなる態様では、強化繊維、熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子を、熱可塑性材料の融点より上で、膨張可能グラファイト粒子のロフト開始温度よりも低い(例えばEG粒子のロフト開始温度よりも低い)第1の温度に加熱することによって、複数の強化繊維、熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子を含む熱可塑性複合物品を製造する方法が開示されている。
【0029】
ある実施形態では、この方法は、熱可塑性物品をロフトするために、製造された物品を膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子のロフト開始温度より高い第2の温度まで加熱することを含む。他の実施形態では、この方法は、第1の温度よりも少なくとも20℃高い第2の温度に選択することを含む。さらなる実施形態では、この方法は、第1の温度よりも少なくとも40℃高い第2の温度を選択することを含む。さらなる例では、この方法は、第1の温度よりも少なくとも60℃高い第2の温度を選択することを含む。
【0030】
別の態様では、膨張可能グラファイト材料の実質的なロフトを回避しながら(例えば、EG粒子の実質的なロフトを避けながら)熱可塑性材料を溶融させるための第1の加熱条件下で、強化繊維、熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子を加熱することによって、複数の強化繊維、熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料、例えばEG粒子を含む熱可塑性複合物品を製造する方法が開示されている。
【0031】
特定の実施例では、第1の加熱条件は対流加熱を含む。他の実施例では、この方法は、膨張可能グラファイト材料をロフトするため、例えばEG粒子をロフトするための第2の加熱条件下で、製造された物品を加熱することを含む。特定の実施形態では、第2の加熱条件は、例えば第1の加熱条件が対流加熱を含むときに、放射加熱を含む。
【0032】
さらなる特徴、態様、実施例、構成及び実施形態は、以下により詳細に説明される。
特定の実施形態は、添付の図面を参照して記載される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1A】特定の実施例によるプリプレグ(またはコア)の図である。
【
図1B】特定の実施例による、2つの異なるロフト剤についての仮定的ロフト曲線を示す。
【
図2A】特定の構成による2つのプリプレグの図である。
【
図2B】特定の実施形態による、互いに結合されている、
図2Aの2つのプリプレグを形成する複合体の図である。
【
図2C】特定の実施例による、プリプレグ上に配置された外板の図である。
【
図3】特定の実施例による、プリプレグ(またはコア)と、プリプレグ(またはコア)上に配置された外板とを含む物品の図である。
【
図4】特定の構成による、プリプレグ(またはコア)と、プリプレグ(またはコア)の各側に配置された外板とを含む物品の図である。
【
図5】特定の実施例による、プリプレグ(またはコア)、プリプレグ(またはコア)上に配置された外板、及び外板上に配置された装飾層を含む物品の図である。
【
図6】特定の実施例による、中間層を介して互いに結合された2つのプリプレグまたはコアを含む物品の図である。
【
図7】特定の構成による、2つのプリプレグまたはコアと、プリプレグまたはコアのうちの1つの上に配置された外板とを含む物品の図である。
【
図8】特定の構成による、2つのプリプレグまたはコアと、プリプレグまたはコアのそれぞれの上に配置された外板とを含む物品の図である。
【
図9】特定の実施例による、中間層を介して互いに結合された2つのプリプレグまたはコア、及びプリプレグまたはコアの1つに配置された外板を含む物品の図である。
【
図10】特定の実施形態による、プリプレグまたはコア上に配置された材料のストリップの図である。
【
図11】特定の実施例による、様々な種類の加熱及び様々な温度の関数として様々な試験片のロフトの厚さを示す棒グラフである。
【
図14】特定の実施例によるロフト試験の結果を示す棒グラフである。
【
図18】特定の実施例による、3つの異なる膨張可能グラファイト材料の温度の関数として膨張率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
当業者であれば、本開示の利点を考慮して、より使用者に親切なバージョンの図面を提供するために図面の特定の寸法または特徴が拡大され、歪曲され、あるいはさもなければ型にはまらず、または比例せずに呈示されている可能性があることを認識するであろう。図面を描写することにより特定の厚さ、幅または長さにすることは意図されておらず、図面の構成要素の相対的な大きさは、図面のいずれかの構成要素の大きさを限定することを意図するものではない。以下の説明で寸法または値が指定されている場合、寸法または値は説明の目的でのみ提供される。さらに、図面の特定の部分の陰影によって、特定の材料または配置を要求することを意図しておらず、たとえ図面の異なる構成要素が区別のために陰影を含むことがあっても、異なる構成要素は、所望であれば同じまたは同様の材料を含むことができる。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料を含むコア層は、説明の目的で、スタッブルまたはドットを含むものとして示されている。スタッブル及びドットの配置は、特定の図面を説明する文脈において、別段の指定がない限り、特定の分布を示唆するものではない。
【0035】
特定の実施形態は、本明細書で開示される技術を、より使用者に親切に記述するために、単数形及び複数形の用語を参照して以下に記載される。これらの用語は、簡便性のためにのみ用いられ、本明細書に記載の特定の実施形態に存在すると明記されていない限り、特定の特徴を含めるまたは除外するものとして、プリプレグ、コア、物品、複合物及び他の主題を限定することを意図していない。
【0036】
本明細書に記載される特定の物品は、FMVSS 302試験またはSAE J369試験規格のいずれかを満たすことに留意されたい。これらの試験は一般に同等であり、燃焼速度の測定値を測定するために使用される。手短に言えば、試験は、水平な炎用チャンバ、ヒュームフード、長さ約12インチの試験片を取り扱うのに十分な大きさのトート、水源、タイマー、ライター及び定規を使用する。試験片のサイズは約4インチ×約12インチであり、典型的には5つ以上の試験片が試験される。試験片の接着面は、典型的には炎に曝される。FMVSS 302試験の場合、ヒュームフードは、典型的には約150立方フィート/分の空気流量を供給するのに十分に開けられる。SAE J369試験では、例えば、同じ空気の流れを供給するようフュームフードを開くか、全開にすることができる。本明細書で特に明記されていない限り、FMVSS 302試験はSAE J369試験と互換性がある。これらの試験の結果は、DNI、SE/0、SE/NBR、SE/B、B、及びRBを含むいくつかの方法で分類できる。DNIは、15秒間の点火期間中または後に燃焼を維持しない材料、及び/または選択された距離までいずれかの面を横切って火炎面を伝えない材料を示す。SE/0は表面上で点火する物質を示しているが、炎は選択された距離を移動する前に自己消火する。SE/NBRは、タイミングの開始から60秒間燃焼する前に燃焼を停止し、タイミングが開始された時点から約50mm以上燃焼しない材料を示す。SE/Bは、先頭の火炎面が選択された距離を進んでいるが、第2の距離に達する前に自己消火するものを示す。Bは距離全体を燃やす材料を示す。RBは、急速に燃焼して燃焼速度を遅らせることはできない材料を示す。また、燃焼距離、燃焼時間、燃焼速度、及び材料が自己消火性であるかという点の1つ以上を測定できる。火炎が毎分約102mm未満で進む場合、試験片はFMVSS 302またはSAE J369試験に「適合する」または「合格する」とみなされる。試験片が102mm/分より速く燃焼すると、試験片は試験に合格できないものである。
【0037】
特定の例では、熱可塑性複合物品は、しばしば、最終成形部品または物品を提供するために様々な形状に成形または加工される。処理中、処理される物品の1つ以上の構成要素または層の全体的な厚さを増加させることが望ましい場合がある。本明細書に記載のいくつかの構成では、熱可塑性プリプレグまたは熱可塑性コア中に膨張可能グラファイト材料が存在することにより、加熱、成形または他の温度または処理操作中の物品(またはその一部)の全体の厚さの変更が可能になる。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料は、熱可塑性材料及び複数の繊維を含む熱可塑性プリプレグまたはコアのボイド空間内に、例えば表面から表面まで実質的に均一な分布で分散される。特定の実施例では、膨張可能グラファイト材料は、プリプレグまたはコア中の他の材料に非共有結合している。さらなる実施例では、膨張可能グラファイト材料は、熱可塑性材料中に存在する1つ以上の基に共有結合されるか、複数の繊維の1つ以上の基に共有結合されるか、両方であり得る。使用される正確なロフト温度は、プリプレグ、コア及び物品に存在する他の材料に応じて変動させることができ、ある場合には、ロフト温度は、プリプレグ、コア及び物品の中に存在する熱可塑性材料(複数可)の融点の温度以上であってもよい。
【0038】
特定の構成では、本明細書に記載の物品は、プリプレグまたはコア層を含むことができる。特定の理論に縛られることを望まないが、プリプレグは、一般に、完全には硬化または加工されていないコアのバージョンである。例えば、熱可塑性材料、複数の繊維及び膨張可能グラファイト材料を含む部分的に硬化した層が、一般にプリプレグと呼ばれ、熱可塑性材料、複数の繊維及び膨張可能グラファイト材料を含む完全に硬化した層(ロフトされていても、まだロフトされていなくてもよい)は、一般にコアまたはコア層と呼ばれる。本明細書で述べるように、コアは硬化したと見なすことができるが、依然として、コアの厚さを増したり、その形状を変更したり、さもなければ意図された用途に適した成形品または製品を提供するために、加工したりすることができる。以下の説明は、プリプレグとコアの両方を示し、プリプレグに関連して使用される材料(及びそれらの量及び特性)も、所望であればコアに使用することができる。
【0039】
本明細書に記載される特定の構成では、膨張可能グラファイト(EG)材料が、プリプレグコア、及び物品に含まれ、プリプレグ、コア及び物品の選択的ロフトをもたらす。ロフトとは一般に、加工条件、例えば加熱及び/または加圧の適用の間または後のプリプレグ、コアまたは物品の厚さの全体的な増加を指す。例えば、EG材料は、プリプレグ、コアまたは物品が第1の温度及び/または第1の加熱条件でロフトに対して実質的に不感応であり、第2の温度及び/または第2の加熱条件でロフトに対して感応するように選択することができる。いくつかの例では、EG材料を含むプリプレグ、コア及び物品は対流加熱条件下で実質的な程度にロフトしないが、EG材料を含むプリプレグ、コア及び物品は赤外線加熱条件下でロフトする。他の例では、EG材料を含むプリプレグ、コア及び物品は、第1の温度で実質的な程度にロフトせず、第2の温度で実質的な程度までロフトする。例えば、特定の自動車用途では、EG材料は、200℃で実質的にロフトせずに220℃でロフトするように選択することができる。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、第1及び第2の温度は、プリプレグ、コアまたは物品中に存在する熱可塑性材料に応じて変動させ得る。場合によっては、EG材料は、ロフト温度が熱可塑性材料の融点よりも約20℃またはそれより高くなるまで実質的にロフトが生じないように選択される。他の例では、EG材料は、ロフト温度が熱可塑性材料の融点よりも約40℃またはそれより高くなるまで実質的にロフトが生じないように選択される。さらなる例では、EG材料(及び/またはロフト条件)は、ロフト温度が熱可塑性材料の融点よりも約60℃またはそれより高くなるまで実質的にロフトが生じないように選択される。場合によっては、EG材料は、ロフト温度が熱可塑性材料の融点よりも約80℃またはそれより高くなるまで実質的にロフトが生じないように選択される。
【0040】
いくつかの例では、本明細書に記載のプリプレグ、コア及び物品は、連続気泡構造、例えばボイドを含む多孔質または浸透性材料である。このような連続気泡構造によって、プリプレグ、コア及び物品は、多孔質構造内に閉じ込められた空気が可燃性を維持すること及び/または成分が自己消火するのがより困難になり、そのため難燃性であることがより困難になる。熱可塑性材料と繊維を組み合わせたEG材料を含めることによって、プリプレグ、コア及び物品は、難燃性及び/または自己消火性であり得る。例えば、1989年のISO 3795及び2004年のASTM D5132に一般に相当する、1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)燃焼性試験に適合する、複数の強化繊維、熱可塑性材料、及び有効量の膨張可能グラファイト粒子を含む多孔質コア層を含む物品を製造することができる。所望であれば、EG材料を多孔質コア層のボイド空間内に均一に分散させることができる。所望であれば、他の材料の外板を多孔質コア層上に配置することもできる。
【0041】
特定の構成では、連続気泡構造、例えばボイド空間を一緒に有する1つ以上の熱可塑性材料及び複数の繊維を含む多孔質プリプレグを製造することができる。いくつかの構成では、膨張可能グラファイト材料は、膨張可能グラファイト材料が一般に熱可塑性材料及び/または繊維と共有結合しないような方法で、ボイド空間に充填することができる。例えば、熱可塑性材料及び/または繊維は、膨張可能グラファイト材料に対して一般に不活性または非反応性であるように選択することができる。膨張可能グラファイト材料は、熱可塑性材料及び/または繊維に共有結合しない場合があるが、一般に、膨張可能グラファイト材料自体または内部に存在する共有結合がある。他の例では、膨張可能グラファイト材料を熱可塑性材料、繊維または両方に共有結合させて、プリプレグ中にいくらか共有結合している膨張可能グラファイト材料を提供することが望ましい場合がある。結合された膨張可能グラファイト材料が存在する場合であっても、膨張可能グラファイト材料は、プリプレグのロフトを可能にするために、例えば放射加熱のような適切な条件の下でそれらの占める体積を依然増加できることが望ましい。場合によっては、共有結合している膨張可能グラファイト材料と非共有結合している膨張可能グラファイト材料の両方がプリプレグ中に存在してもよい。プリプレグのいくつかの構成は、約100%の膨張可能グラファイト材料が非共有結合している膨張可能グラファイト材料を含むことができるが、ファンデルワールスの相互作用または静電的相互作用などの弱い相互作用が、膨張可能グラファイト材料と他のプリプレグの成分の間に生じ得る。
【0042】
特定の実施例では、及び
図1Aを参照すると、熱可塑性材料と複数の繊維とを含むプリプレグ100が示されている。また、プリプレグ100は、プリプレグ100中に分散する膨張可能グラファイト材料(図示の目的のためにドット105として示されている)を含む。いくつかの例において、膨張可能グラファイト材料分散体は、プリプレグ100の第1の表面102から第2の表面104まで実質的に均質または実質的に均一であってもよい。本明細書でより詳細に説明するように、プリプレグ100内の膨張可能グラファイト材料のこのような実質的に均質なまたは実質的に均一な分布を達成するために、プリプレグ100の成分を一緒に混合して分散体を形成することができる。混合は、分散体が、分散体中の膨張可能グラファイト材料、熱可塑性材料及び繊維の実質的に均質または実質的に均一な混合物を含むまで実行することができる。次いでプリプレグ100は、例えば、適切な敷設プロセスを用いてワイヤスクリーン上に分散体を配置することによって、本明細書に記載されるように形成することができる。他の構成では、膨張可能グラファイト材料の表面102から表面104への勾配分布を提供して、より多くの膨張可能グラファイト材料が他の表面より表面102、104の一方に存在するようにすることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、膨張可能グラファイト材料の実質的に均一な分布がプリプレグ100内に存在し、後に追加の膨張可能グラファイト材料がプリプレグ100の片面に加えられて勾配分布を提供する。このような追加の膨張可能グラファイト材料は、例えば、膨張可能グラファイト材料を含む溶液を噴霧またはコーティングすることによって、プリプレグ100に直接添加することができ、または、外板、追加のプリプレグ、または膨張可能グラファイト材料を含む他の成分を、プリプレグ100に結合することによって添加できる。例えば、また
図2Aを参照すると、第1のプリプレグ210及び第1のプリプレグ210上に配置された第2のプリプレグ220が示されている。第1のプリプレグ210及び第2のプリプレグ220のそれぞれは、膨張可能グラファイト材料の実質的に均一な分布を含むが、プリプレグ210、220における膨張可能グラファイト材料の量は異なる。しかし、所望であれば、プリプレグ210、220の一方のみが膨張可能グラファイト材料を含み、他方のプリプレグがロフト剤を含まなくてもよく、または膨張可能グラファイト材料以外のロフト剤、例えばマイクロスフェアを含んでもよい。マイクロスフェアは、膨張可能グラファイト材料と組み合わせて存在してもよく、または膨張可能グラファイト材料なしにプリプレグ210、220の1つに存在してもよい。プリプレグ210、220の熱可塑性材料を溶融させて単一のプリプレグ250(
図2B)を提供することができる。プリプレグ210、220が一緒に溶融した結果、プリプレグ250内の膨張可能グラファイト材料の勾配分布が存在することになり、表面254に隣接して存在する量と比較して、表面252に隣接する膨張可能グラファイト材料の量が多くなる。プリプレグ250の正確な全体の厚さを、使用される条件に依存して変化させてもよく、また、特定の厚さを
図2Bに示唆することを意図しているのではない。
【0043】
他の構成では、プリプレグ内の膨張可能グラファイト材料の分布は、膨張可能グラファイト材料を含む外板または他の材料をプリプレグに結合することによって提供することができる。
図2Cを参照すると、膨張可能グラファイト材料を含む外板270が、熱可塑性材料、強化繊維及び膨張可能グラファイト材料を含むプリプレグ260上に配置されるものとして示されている。必要ではないが、外板270は典型的には、先にロフトされているプリプレグ260の厚さよりもはるかに薄い厚さで存在する。さらに、識別可能な接合面が、典型的には外板270と接合面260との間に存在する一方、
図2Bに関連して説明したように、2つのプリプレグを互いに結合させると、通常は、最終的に結合されるプリプレグ250において識別可能な接合面が生じない。他の例では、外板270をプリプレグ260に溶融させて、外板270とプリプレグ260とを結合させて、結合された外板/プリプレグ複合材料を、実質的な接合面なしに残し得る。所望であれば、さらに詳細に後述するように、膨張可能グラファイト材料を含んでいてもいなくてもよい追加の外板を、外板270の反対側のプリプレグに結合することもできる。
【0044】
特定の構成では、プリプレグの熱可塑性材料は、繊維形態、粒子形態、樹脂形態、または他の適切な形態で存在してもよい。いくつかの例では、プリプレグに使用される熱可塑性材料は、粒子形態で存在し、膨張可能グラファイト材料の平均粒径と実質的に同じ平均粒径を有することができる。任意の特定の科学理論に拘束されることを望まないが、熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料の粒径を一致させることによって、例えばプリプレグ中の膨張可能グラファイト材料の保持の向上を含むプリプレグの加工の向上を達成することができる。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料の平均粒径及び熱可塑性材料の平均粒径は約5%~約10%変動でき、依然として加工の向上が達成され得る。特定の構成では、プリプレグ中の熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料のそれぞれの平均粒径は、約50ミクロン~約90ミクロン異なることができる。いくつかの構成では、膨張可能グラファイトの平均粒径は、加工の向上をもたらすために熱可塑性材料の粒子の平均粒径の少なくとも50%である。他の例では、熱可塑性材料の平均粒径とほぼ同じ平均粒径を有する膨張可能グラファイト材料を、熱可塑性材料の平均粒径とは異なる平均粒径の膨張可能グラファイト材料と共に存在させることができる。膨張可能グラファイト材料の平均粒径が異なっていても、膨張可能グラファイト材料の化学組成は、同じであっても異なっていてもよい。さらに他の構成では、異なる平均粒径を有する2種以上の熱可塑性材料が存在してもよい。所望であれば、熱可塑性材料の平均粒径と実質的に同じ平均粒径を有する2つの膨張可能グラファイト材料が存在してもよい。2つの膨張可能グラファイト材料は、化学的に同じであってもよいし、化学的に異なるものであってもよい。同様に、熱可塑性材料は、化学的に同じであってもよいし(ただし異なる平均粒径を有する)、化学的に異なるものであってもよい。
【0045】
特定の実施形態では、プリプレグ100は、一般に、ボイド空間がプリプレグ内に存在するような実質的な量の連続気泡構造を含む。例えば、コア層は、0~30%、10~40%、20~50%、30~60%、40~70%、50~80%、60~90%、0~40%、0~50%、0~60%、0~70%、0~80%、0~90%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~95%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~95%、30~70%、30~80%、30~90%、30~95%、40~80%、40~90%、40~95%、50~90%、50~95%、60~95%70~80%、70~90%、70~95%、80~90%、80~95%、またはこれらの例示的な範囲内の任意の例示的な値のボイド量と空隙率を含み得る。いくつかの例では、プリプレグは、例えば、完全には固化していない、0%を超え、約95%までの空隙率またはボイド量を含む。別段の記載がない限り、特定のボイド量または空隙率を含むプリプレグへの言及は、プリプレグの総体積に基づいており、必ずしもプリプレグとプリプレグに結合された他のいずれかの材料または層との合計体積に基づくものではない。
【0046】
特定の実施形態では、プリプレグに存在する高い空隙率により、プリプレグの細孔内の膨張可能グラファイト材料を閉じ込めることが可能になる。例えば、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合でボイド空間に存在することができる。加熱または他の摂動の適用は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料の体積を増加させるよう作用し得、これは、ひいてはプリプレグの全体の厚さを増加させる。例えば、膨張可能グラファイト材料のサイズが増加するにつれて、及び/またはさらなる空気がプリプレグに閉じ込められると、厚さが増加する。例えば、膨張可能グラファイト材料は、適切な刺激、例えば放射加熱の適用がプリプレグの全体的な厚さを増加させるように機能するように、ロフト剤として作用させることができる。ある場合には、プリプレグ中の膨張可能グラファイト材料は、階段状ロフト剤として機能させるのに有効である。本明細書では、階段状ロフトまたは階段状ロフト剤とは、厚さが温度と共に増加し、その後平坦化し、次いで温度が上昇すると再び増加するロフト剤を指す。
図1Bの図を参照すると、2つの仮定的ロフト曲線が示されており、1つの曲線150は、例えばマイクロスフェアのような線形ロフト剤を表し、他の曲線160は、例えば膨張可能グラファイト材料のような階段状ロフト剤を表す。線状ロフト剤の体積は一般に、温度上昇の関数として直線的に増加する。マイクロスフェアロフト剤のような多くのロフト剤が二元的に機能し、ある温度で非ロフトから完全ロフトに移行すると、勾配が急になる傾向がある。対照的に、階段状ロフト剤の体積は、一般に、温度の関数として段階的に増加する。階段状の体積の増加は、プリプレグ全体の厚さの制御の向上をもたらし、過剰なロフトの可能性を低減する。膨張可能グラファイト材料を含むプリプレグを用いた所望の厚さは、適切な加工温度を選択することによって達成することができる。厚さが十分でないならば、多くの場合、より高い温度を適用して全体の厚さを所望の厚さまで増加させることができる。
【0047】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプリプレグの熱可塑性材料は、少なくとも部分的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロライド、及びポリビニルクロリド(可塑化されているものと可塑化されていないものの双方)の少なくとも1つ、及びこれらの材料の互いとのまたは他のポリマー材料とのブレンドを含み得る。他の適切な熱可塑性物質は、ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリエステル、PARMAX(登録商標)として商業的に知られているポリ(1,4-フェニレン)化合物、BayerのAPEC(登録商標)PCなどの耐熱性ポリカーボネート、耐熱性ナイロン及びシリコーン、ならびにこれらの材料と互いとのまたは他のポリマー材料とのアロイ及びブレンドを含むが、これらに限定されない。プリプレグを形成するために使用される熱可塑性材料は、粉末形態、樹脂形態、ロジン形態、繊維形態または他の適切な形態で使用することができる。様々な形態の例示的な熱可塑性材料が本明細書に記載されており、例えば、米国特許出願公開第20130244528号明細書、及び米国特許出願公開第20120065283号明細書にも記載されている。プリプレグ中に存在する熱可塑性材料の正確な量は変えてもよく、例示的な量の範囲は約20重量%~約80重量%である。
【0048】
特定の実施例では、本明細書に記載のプリプレグの繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、合成有機繊維、特に高弾性の有機繊維、例えばパラ系アラミド繊維、及びメタ系アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、または繊維としての使用に適した本明細書に記載の高メルトフローインデックス樹脂のいずれか、天然繊維、例えば麻、サイザル、ジュート、亜麻、コイア、ケナフ及びセルロース系繊維、鉱物繊維、例えば玄武岩、鉱物綿(例えば、岩綿またはスラグウール)、ウォラストナイト、アルミナシリカなど、またはそれらの混合物、金属繊維、金属化天然及び/または合成繊維、セラミック繊維、糸用繊維、またはそれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、前述の繊維のいずれかを使用前に化学的に処理して、所望の官能基を提供するか、繊維に他の物理的特性を付与することができ、例として、化学的に処理して熱可塑性材料、膨張可能グラファイト材料、または両方と反応できるようにすることがあってよい。いくつかの例では、プリプレグに使用される繊維は、膨張可能グラファイト材料と最初に反応して、誘導体化された繊維を提供し、その後これは熱可塑性材料と混合することができる。あるいは、膨張可能グラファイト材料をプリプレグの熱可塑性材料と反応させて、誘導体化された熱可塑性材料を提供し、次にそれを繊維と混合することができる。プリプレグ中の繊維含量は、プリプレグの約20重量%~約90重量%、より詳細にはプリプレグの約30重量%~約70重量%であってもよい。典型的には、プリプレグを含む複合物品の繊維含量は、複合体の約20重量%~約90重量%、より詳細には約30重量%~約80重量%、例えば約40重量%~約70重量%で変動する。使用される繊維の特定のサイズ及び/または配向は、使用されるポリマー材料、及び/または得られるプリプレグの所望の特性に、少なくとも部分的に依存し得る。適切な追加用の繊維のタイプ、繊維の大きさ及び量は、本開示の利益を考慮して、当業者によって容易に選択されるであろう。1つの非限定的な例では、プリプレグを提供するために熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料内に分散された繊維は、一般に、約5ミクロンを超える、より詳細には約5ミクロン~約22ミクロンの直径、約5mm~約200mmの長さを有し、より詳細には、繊維の直径は、約ミクロン~約22ミクロンであり得、繊維の長さは、約5mm~約75mmであり得る。
【0049】
特定の実施例では、本明細書に記載のプリプレグの膨張可能グラファイト材料は、典型的には積層分子層に存在する1つ以上のグラフェンベースの材料を含む。いかなる特定の理論にも束縛されることを望まないが、ロフト能力を提供することに加えて、膨張可能グラファイト材料は、ある程度の難燃性も提供する。いくつかの実施形態では、プリプレグが、一般に1989年のISO 3795及び2004年のASTM D5132に相当する、1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)の燃焼性試験に適合するように、十分な膨張可能グラファイト材料がプリプレグに存在し、例えば、難燃量の膨張可能グラファイト材料が存在している。このような難燃量は、外部の難燃剤を実質的に含まないプリプレグの構築を可能にすることができる。
【0050】
プリプレグに使用される膨張可能グラファイト材料の正確なタイプは、例えば所望のロフト温度、所望の難燃性を含む多くの要因に依存し得る。例示的な市販の膨張可能グラファイト材料は、Nyacol Nano Technologies,Inc.(Ashland、マサチューセッツ州)から入手可能であり、例えば、35、200、249、250、251、KP251及び351グレードの膨張可能グラファイト材料を含む。追加の膨張可能グラファイト材料は、Graftech International(Lakewood、オハイオ州)から商業的に購入することができる。いかなる特定の反応にも拘束されることを望まないが、一般に、グラファイト鉱石を酸性化することによって、膨張可能グラファイト材料を製造することができる。酸性化は、例えば、硫酸がインターカレーターとして働いて、インターカレーションプロセスをもたらす。次いで、溶液を中和して、六方晶炭素-炭素結合材料のシート状の一連の層を提供することができる。これらの層は、一般に平坦であり、追加の六方晶炭素-炭素層と相互作用して層状シート構造を提供する。層状シート構造は、シート間の共有結合または静電的相互作用(またはその両方)によって一緒に保持することができる。本明細書に記載の熱可塑性プリプレグ及びコア中の膨張可能グラファイト材料を加熱することにより、層の間の分離が増大し、結果としてプリプレグの厚さを増加し得る。所望であれば、膨張可能グラファイト材料は、適切な酸化剤を用いて酸化されて、酸化グラフェンを形成することができる。本明細書で述べるように、膨張可能グラファイト材料は、フレーク形態、粒子形態または他の形態を含む多くの形態で存在することができる。場合によっては、膨張可能グラファイト材料は、粒子形態で存在し、例えば、少なくとも300ミクロンの平均粒径を含むことができる。
【0051】
いくつかの構成では、プリプレグは、特定の用途のための有害物質要求の制限を満たすために、実質的にハロゲン不含有である、またはハロゲン不含有であるプリプレグとすることができる。他の例では、プリプレグは、ハロゲン化難燃剤、例えば、F、Cl、Br、I及びAtの1つ以上、またはこのようなハロゲンを含む化合物、例えばテトラブロモビスフェノール-Aポリカーボネートまたはモノハロ-、ジハロ-、トリハロ-またはテトラハロ-ポリカーボネートを含むハロゲン化難燃剤、を含み得る。ある場合には、プリプレグ及びコアに使用される熱可塑性材料は、別の難燃剤を添加することなくある種の難燃性を付与するために、1つまたは複数のハロゲンを含んでもよい。ハロゲン化難燃剤が存在する場合、難燃剤は難燃量で存在することが望ましく、これは存在する他の成分に応じて変えることができる。例えば、ハロゲン化難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(プリプレグの重量に基づいて)、より詳細には、約1重量%~約13重量%、例えば約5重量%~約13重量%で存在できる。所望であれば、2つの異なるハロゲン化難燃剤をプリプレグに添加してもよい。他の場合には、例えば、N、P、As、Sb、Bi、S、Se及びTeの1つまたは複数を含む難燃剤などの非ハロゲン化難燃剤を添加することができる。いくつかの実施形態では、非ハロゲン化難燃剤はリン含有材料を含むことができるので、プリプレグはより環境に優しい可能性がある。非ハロゲン化または実質的にハロゲン不含有である難燃剤が存在する場合、難燃剤は難燃量で存在することが望ましく、難燃量は存在する他の成分に応じて変えることができる。例えば、実質的にハロゲン不含有である難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(プリプレグの重量に基づいて)、より詳細にはプリプレグの重量に基づいて約1重量%~約13重量%、例えば約5重量%~約13重量%で存在する。所望であれば、実質的にハロゲン不含有である2種類の難燃剤をプリプレグに添加してもよい。場合によっては、本明細書に記載のプリプレグは、1種以上の実質的にハロゲン不含有である難燃剤と組み合わせて1種以上のハロゲン化難燃剤を含むことができる。2種類の難燃剤が存在する場合、2つの難燃剤の組み合わせは、存在する他の成分に応じて変えられる難燃量で存在し得る。例えば、存在する難燃剤の総重量は、(プリプレグの重量に基づいて)約0.1重量%~約20重量%、より詳細にはプリプレグの重量に基づいて約1重量%~約15重量%、例えば約2重量%~約14重量%であってもよい。本明細書に記載のプリプレグに使用される難燃剤は、膨張可能グラファイト材料、熱可塑性材料及び繊維を含む混合物に添加することができる(ワイヤスクリーンまたは他の処理用の構成要素にある混合物を処分する前)か、プリプレグが形成された後に添加できる。
【0052】
特定の構成では、本明細書に記載の物品は、多孔質コアを含むことができる。特定の実施例では、多孔質コアは1つ以上の熱可塑性材料と、ウェブまたはネットワーク構造内の硬化熱可塑性材料によって定位置に保持され得る複数の繊維を含み、コアに複数の連続気泡、ボイド空間またはウェブを提供する。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料は、膨張可能グラファイト材料が一般に熱可塑性材料及び/または繊維に共有結合しない様式でコアのボイド空間に存在できる。例えば、膨張可能グラファイト材料に対して一般に不活性または非反応性であるように熱可塑性材料及び/または繊維を選択することができる。膨張可能グラファイト材料は、熱可塑性材料及び/または繊維に共有結合していなくてもよく、典型的には、膨張可能グラファイト材料自体、またはその内部に存在する共有結合がある。例えば、膨張可能グラファイト材料層が、1つ以上のインターカレート剤を通して互いに関連付けられ得る。他の例では、膨張可能グラファイト材料を熱可塑性材料、繊維またはその両方に共有結合させて、コア中にいくらか共有結合している膨張可能グラファイト材料を提供することが望ましい場合がある。結合された膨張可能グラファイト材料がコアに存在する場合であっても、膨張可能グラファイト材料は、望ましくは、例えばコアのロフトを可能にする放射加熱のような適切な条件の下で占める体積を依然増加させることができる。いくつかの例では、共有結合している膨張可能グラファイト材料と非共有結合している膨張可能グラファイト材料の両者がコア中に存在してもよい。コアのいくつかの構成は、約100%膨張可能グラファイト材料が非共有結合である膨張可能グラファイト材料を含むことができるが、ファンデルワールスの相互作用または静電気的な相互作用などの弱い相互作用が、膨張可能グラファイト材料とコアの他の成分の間で起こり得、例えば電荷相互作用または疎水性相互作用が、コア中に存在する種々の成分の間で起こり得る。
【0053】
特定の構成では、
図1のプリプレグと同様のコアを製造することができる。コアは、コア全体に分散された膨張可能グラファイト材料を含む。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料分散体は、コアの第1の表面から第2の表面まで実質的に均質または実質的に均一であり得る。本明細書でさらに詳細に記載するように、コア中の膨張可能グラファイト材料のこのような実質的に均質または実質的に均一な分布を達成するために、コアの成分を一緒に混合して分散体を形成することができる。混合は、分散体が、分散体中の膨張可能グラファイト材料、熱可塑性材料及び繊維の実質的に均質または実質的に均一な混合物を含むまで実行することができる。次いでコアは、例えば、適切な敷設プロセスを用いてワイヤスクリーン上に分散体を配置した後、コアの熱可塑性材料を硬化させることによって、本明細書に記載のように形成することができる。他の構成では、コアの1つの表面からコアの他の表面まで膨張可能グラファイト材料の勾配分布を提供することが望ましい場合がある。いくつかの構成では、膨張可能グラファイト材料の実質的に均一な分布がコアに存在し、次いで、追加の膨張可能グラファイト材料がコアの片側に加えられて、勾配分布を提供する。このような追加の膨張可能グラファイト材料は、例えば、膨張可能グラファイト材料を含む溶液を噴霧またはコーティングすることによって、コアに直接添加することができ、あるいは、外板、追加プリプレグまたはコアまたは膨張可能グラファイト材料を含む他の成分をコアに結合することで添加することができる。例えば、第1のコア及び第1のコア上に配置された第2のコアは、複合物品を提供することができる。コアの各々は、膨張可能グラファイト材料の実質的に均一な分布を含むことができるが、2つのコアにおける膨張可能グラファイト材料の量及び/またはタイプは異なっていてもよく、例えば充填率が異なっていても、材料自体が異なっていてもよい。しかし、所望であれば、一方のコアのみが膨張可能グラファイト材料を含み、他方のコアはロフト剤を含まなくてもよく、または膨張可能グラファイト材料以外のロフト剤、例えばマイクロスフェアを含んでもよい。マイクロスフェアは、膨張可能グラファイト材料と組み合わせて存在してもよく、または膨張可能グラファイト材料なしでコアのうちの1つに存在してもよい。コアの熱可塑性材料を溶融させて、2つのコアに由来する材料を含む単一の組み合わされたコアを提供することができる。コアが溶融する結果、膨張可能グラファイト材料の勾配分布を有する複合コアが生じる。他の構成では、膨張可能グラファイト材料を含む外板または他の材料をコアに結合することによって、コア内の膨張可能グラファイト材料の分布を提供することができる。他の例では、外板をコアに溶融して外板とコアを結合させて、実質的な接合面なしに、結合した外板/コア複合材料を残すことができる。所望であれば、以下でより詳細に説明するように、膨張可能グラファイト材料を含んでいてもいなくてもよい追加の外板を、第1の外板と反対側のコアに結合することもできる。
【0054】
特定の構成では、コアの熱可塑性材料を用いて、繊維形態、粒子形態、樹脂形態または他の適切な形態のコアを提供することができる。いくつかの例では、コアに使用される熱可塑性材料は粒子形態で存在し、膨張可能グラファイト材料の平均粒径と実質的に同じ平均粒径を有する。熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料の粒径を適合させることによって、例えばコア中の膨張可能グラファイト材料の保持の向上、予備的ロフト能力の向上などを含むコアの処理の向上を達成することができる。いくつかの例では、膨張可能グラファイト材料の平均粒径及び熱可塑性材料の平均粒径は約5%~約10%変動することができ、依然として処理の向上が達成され得る。特定の構成では、コア中の熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料のそれぞれの平均粒径は、約50ミクロン~約900ミクロンの範囲であり得る。他の例では、熱可塑性材料の平均粒径とほぼ同じ平均粒径を有する膨張可能グラファイト材料を、熱可塑性材料の平均粒径とは異なる平均粒径の膨張可能グラファイト材料と共に存在させることができる。膨張可能グラファイト材料の平均粒径が異なる場合があっても、膨張可能グラファイト材料の化学組成は、同じであっても異なっていてもよい。さらに他の構成では、異なる平均粒径を有する2つ以上の熱可塑性材料が存在してもよい。所望であれば、2つの熱可塑性材料の平均粒径と実質的に同じ平均粒径を有する2つの膨張可能グラファイト材料をコアに存在させることができる。2つの膨張可能グラファイト材料は、化学的に同じであってもよいし、化学的に異なるものであってもよい。同様に、熱可塑性材料は、化学的に同じであってもよいが(ただし異なる平均粒径を有する)、化学的に異なるものであってもよい。
【0055】
特定の実施形態では、コアは、一般に、ボイド空間がコアに存在するように、実質的な量の連続気泡構造を含む。例えば、コア層は、0~30%、10~40%、20~50%、30~60%、40~70%、50~80%、60~90%、0~40%、0~50%、0~60%、0~70%、0~80%、0~90%、5~30%、5~40%、5~50%、5~60%、5~70%、5~80%、5~90%、5~95%、10~50%、10~60%、10~70%、10~80%、10~90%、10~95%、20~60%、20~70%、20~80%、20~90%、20~95%、30~70%、30~80%、30~90%、30~95%、40~80%、40~90%、40~95%、50~90%、50~95%、60~95%70~80%、70~90%、70~95%、80~90%、80~95%、またはこれらの例示的な範囲内の任意の説明的な値のボイド量または空隙率を含み得る。いくつかの例では、コアは、例えば完全には固化していない、0%を超え、約95%までの空隙率またはボイドの量を含む。別段の記載がない限り、特定のボイド量または空隙率を含むコアへの言及は、コアの全体積に基づくものであり、必ずしもコアとコアに結合されたいずれかの他の材料または層との合計体積に基づくものではない。プリプレグと比較して、コアの空隙率は同じであっても異なっていてもよい。例えば、多くの場合、プリプレグをローラのセットに通すことによって、またはプリプレグの一方の表面をプレスすることによって、プリプレグをコアに形成する。そのような場合、コアの空隙率はプリプレグの空隙率と異なる場合があり、例えば低くなることがある。いくつかの例では、コアの空隙率は、最終成形の物品または製品に含まれるコアのロフトの増加を提供する、匹敵するプリプレグよりも、低くなるように意図的に選択される。
【0056】
特定の実施形態では、コアに存在する高い空隙率により、コアの細孔内に膨張可能グラファイト材料を閉じ込めることが可能になる。例えば、膨張可能グラファイト材料は、非共有結合でボイド空間に存在することができる。加熱または他の摂動の適用は、非共有結合している膨張可能グラファイト材料の体積を増加させるように作用でき、ひいてはコアの全体的な厚さを増加させ、例えば、膨張可能グラファイト材料のサイズが増大するにつれて、グラファイト材料の分子層の間の分離距離が増し、及び/または追加の空気がコア内に閉じ込められるにつれて厚さが増加する。例えば、膨張可能グラファイト材料は、適切な刺激、例えば放射加熱の適用がコアの全体的な厚さを増加させるべく機能するように、ロフト剤として作用することができる。本明細書で述べるように、このような刺激は、膨張可能グラファイト材料の層の間の分離距離を増大させることによって、及び/またはロフト後のコア構造内の空気を閉じ込めることによって、コアの厚さを増加させることができる。いくつかの例では、コア中の膨張可能グラファイト材料は、
図1B及び本明細書のプリプレグの説明に関連して記すような、階段状ロフト剤として機能するのに有効である。添付の実施例に示されているように、膨張可能グラファイト材料を含むコアは、対流加熱温度を低下させるべくコアが一般に不感応(マイクロスフェアと比較して)であるために、ロフト能力を向上させることができる。例えば、膨張可能グラファイト材料を含むプリプレグは、膨張可能グラファイト材料を実質的に膨張させることなくコアに加工することができる。予備的ロフト能力は、エンドユーザがコアをさらに処理して、所望の厚さ及び/または構成の物品または構成要素を提供することを可能にする。対照的に、コアに加工されたマイクロスフェアを含むプリプレグは、典型的には、コアへの加工中にいくらかの膨張(及びマイクロスフェアの潜在的な崩壊)を受ける。このように膨張することで、利用可能な残りの膨張が減少し、最終成形の物品で達成可能な全体の厚さが制限される可能性がある。
【0057】
特定の実施形態では、本明細書に記載のコアの熱可塑性材料は、少なくとも部分的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン、ブタジエン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンテトラクロライド、及びポリビニルクロリド(可塑化されているものと可塑化されていないものの双方)の少なくとも1つ、及びこれらの材料の互いとのまたは他のポリマー材料とのブレンドを含み得る。他の適切な熱可塑性物質は、ポリアリーレンエーテル、ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、熱可塑性ポリエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、アクリロニトリル-ブチルアクリレート-スチレンポリマー、アモルファスナイロン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリールスルホン、ポリエーテルスルホン、液晶ポリマー、PARMAX(登録商標)として商業的に知られているポリ(1,4-フェニレン)化合物、BayerのAPEC(登録商標)PCなどの耐熱性ポリカーボネート、耐熱性ナイロン及びシリコーン、ならびにこれらの材料と互いとのまたは他のポリマー材料とのアロイ及びブレンドを含むが、これらに限定されない。コアを形成するために使用される熱可塑性材料は、粉末形態、樹脂形態、ロジン形態、繊維形態または他の適切な形態で使用することができる。様々な形態の例示的な熱可塑性材料が本明細書に記載されており、例えば、米国特許出願公開第20130244528号明細書、及び米国特許出願公開第20120065283号明細書にも記載されている。コア中に存在する熱可塑性材料の正確な量は変えてもよく、例示的な量は約20重量%~約80重量%の範囲である。
【0058】
特定の実施例では、本明細書に記載のコアの繊維は、ガラス繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、合成有機繊維、特に高弾性の有機繊維、例えばパラ系アラミド繊維、及びメタ系アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、または繊維としての使用に適した本明細書に記載の高メルトフローインデックス樹脂のいずれか、天然繊維、例えば麻、サイザル、ジュート、亜麻、コイア、ケナフ及びセルロース系繊維、鉱物繊維、例えば玄武岩、鉱物綿(例えば、岩またはスラグウール)、ウォラストナイト、アルミナシリカなど、またはそれらの混合物、金属繊維、金属化天然及び/または合成繊維、セラミック繊維、糸用繊維、またはそれらの混合物を含み得る。いくつかの実施形態では、前述の繊維のいずれかを使用前に化学的に処理して、所望の官能基を提供するか、繊維に他の物理的特性を付与することができ、例として、化学的に処理して熱可塑性材料、膨張可能グラファイト材料、または両方と反応できるようにすることがあってよい。いくつかの例では、コアに使用される繊維は、膨張可能グラファイト材料と最初に反応して、誘導体化された繊維を提供し、その後これは熱可塑性材料と混合することができる。あるいは、膨張可能グラファイト材料をコアの熱可塑性材料と反応させて、誘導体化された熱可塑性材料を提供し、次にそれを繊維と混合することができる。コア中の繊維含量は、コアの約20重量%~約90重量%、より詳細にはコアの約30重量%~約70重量%であってもよい。使用される繊維の特定のサイズ及び/または配向は、使用されるポリマー材料、及び/または得られるコアの所望の特性に、少なくとも部分的に依存し得る。適切な追加用の繊維のタイプ、繊維の大きさ及び量は、本開示の利益を考慮して、当業者によって容易に選択されるであろう。1つの非限定的な例では、コアを提供するために熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料内に分散された繊維は、一般に、約5ミクロンを超える、より詳細には約5ミクロン~約22ミクロンの直径を有し、長さは約5mm~約200mmである。より詳細には、繊維の直径は、約ミクロン~約22ミクロンであり得、繊維の長さは、約5mm~約75mmであり得る。
【0059】
特定の実施例では、本明細書に記載のコアの膨張可能グラファイト材料は、1つ以上のグラフェンベースの材料を含む。ロフト能力をもたらすことに加えて、膨張可能グラファイト材料は、コア及び/またはコアを含む任意の物品に対してある程度の難燃性を提供することもできる。いくつかの実施形態では、十分な膨張可能グラファイト材料が存在し、例えば難燃量の膨張可能グラファイト材料がコア内に存在し、コアが、1989年のISO 3795及び2004年のASTM D5132に一般に相当する、1991年の米国自動車安全基準302(FMVSS 302)燃焼性試験に適合するようにする。このような難燃量は、外部または追加の難燃剤を実質的に含まないコアの構築を可能にすることができる。膨張可能グラファイト材料のサイズは、膨張可能グラファイト材料の難燃量がコアを形成するための加工中に保持されるように選択することができる。例えば、マイクロスフェアがロフト剤として使用される場合、実質的な量、例えば30%以上のマイクロスフェアは、コアを形成するために加工中にしばしば除去される。この除去により、潜在的なロフト能力が低下する。適切なサイズの膨張可能グラファイト材料、例えば約300ミクロン以上の平均粒径を有する膨張可能グラファイト材料が使用される場合、コア内の膨張可能グラファイト材料の保持の向上を達成することができる。コアに使用される膨張可能グラファイト材料の正確なタイプは、例えば、所望のロフト温度、所望の難燃性の程度、所望の目付及び他の要因を含む多くの要因に依存し得る。コアに存在し得る例示的な市販の膨張可能グラファイト材料は、Nyacol Nano Technologies,Inc.(Ashland、マサチューセッツ州)から市販されており、例えば、35、200、249、250、251、KP251及び351のグレードの膨張可能グラファイト材料を含む。追加の膨張可能グラファイト材料は、Graftech International(Lakewood、オハイオ州)から商業的に購入することができる。コア中に存在する膨張可能グラファイト材料材料は、一般に、積層分子層として存在する。本明細書に記載の熱可塑性コア中の膨張可能グラファイト材料の加熱は、層の間の分離の増加と結果的にコアの厚さの増加をもたらす可能性がある。膨張可能グラファイト材料は、フレーク形態、粒子形態または他の形態を含む多くの形態で存在することができる。いくつかの例では、コア中の膨張可能グラファイト材料は、フレークまたは粒子の形態で存在し、例えば、少なくとも300ミクロンの平均粒径を含んでいてもよく、またはコア中の熱可塑性材料の平均粒径に実質的に類似の平均粒径を含んでいてもよい。
【0060】
場合によっては、コアは、特定の用途のための有害物質要求の制限を満たすために、実質的にハロゲン不含有である、またはハロゲン不含有であるコアであってもよい。他の例では、コアは、例えば、F、Cl、Br、I及びAtのうちの1つ以上またはそのようなハロゲンを含む化合物、例えば、テトラブロモビスフェノール-Aポリカーボネートまたはモノハロ-、ジハロ-、トリハロ-またはテトラハロ-ポリカーボネートを含むハロゲン化難燃剤などのハロゲン化難燃剤を含み得る。ある場合には、コアに使用される熱可塑性材料は、別の難燃剤を添加することなくある種の難燃性を付与するために、1つ以上のハロゲンを含んでもよい。ハロゲン化難燃剤が存在する場合、難燃剤は難燃量で存在することが望ましく、これは存在する他の成分に応じて変えることができる。例えば、ハロゲン化難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(コアの重量に基づいて)、より詳細には約1重量%~約13重量%、例えば約5重量%~約13重量%存在し得る。所望であれば、2つの異なるハロゲン化難燃剤をコアに添加してもよい。他の場合には、例えば、N、P、As、Sb、Bi、S、Se及びTeの1つまたは複数を含む難燃剤などの非ハロゲン化難燃剤を添加することができる。いくつかの実施形態では、非ハロゲン化難燃剤はリン含有材料を含むことができるので、コアはより環境にやさしい。非ハロゲン化または実質的にハロゲン不含有である難燃剤が存在する場合、難燃剤は難燃量で存在することが望ましく、難燃量は存在する他の成分に応じて変えることができる。例えば、実質的にハロゲン不含有である難燃剤は、約0.1重量%~約15重量%(コアの重量を基準として)、より詳細にはコアの重量に基づいて、約1重量%~約13重量%、例えば約5重量%~約13重量%で存在し得る。所望の場合、2つの異なる実質的にハロゲン不含有である難燃剤をコアに添加してもよい。場合によっては、本明細書に記載のコアは、1つ以上の実質的にハロゲン不含有である難燃剤と組み合わせて1つ以上のハロゲン化難燃剤を含むことができる。2つの異なる難燃剤が存在する場合、2つの難燃剤の組み合わせは、存在する他の成分に応じて変えられる難燃量で存在し得る。例えば、存在する難燃剤の総重量は、(コアの重量に基づいて)約0.1重量%~約20重量%、より詳細には、コアの重量に基づいて約1重量%~約15重量%、例えば約2重量%~約14重量%であり得る。本明細書に記載されるコアに使用される難燃剤は、膨張可能グラファイト材料、熱可塑性材料及び繊維(ワイヤスクリーンまたは他の処理用の構成要素にある混合物を処分する前)を含む混合物に添加することができるか、例えば、コアを難燃剤に浸漬するか、コアに難燃剤を吹き付けることによってコアを硬化させた後に追加することができる。
【0061】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、物品を提供するためにプリプレグまたはコアの表面上に配置された1つまたは複数の外板を含むことができる。
図3を参照すると、物品300は、熱可塑性材料、複数の繊維及び、プリプレグまたはコアのボイド空間に配置された膨張可能グラファイト材料を含むプリプレグまたはコア310を含む。物品300は、プリプレグまたはコア310上に配置された第1の外板320を含む。外板320は、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)箔、織布、不織布を含むことができ、またはプリプレグまたはコア310上に配置された無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在することができる。他の例では、外板320は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を含むことができる。熱可塑性フィルムが外板320(またはその一部)として存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが外板320として(またはその一部として)存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含み得る。熱硬化性コーティングが外板320(またはその一部)として存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール及びエポキシの少なくとも1つを含むことができる。無機コーティングが外板320(またはその一部)として存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含んでもよく、または石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1つを含んでもよい。不織布が外板320(またはその一部)として存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含むことができる。プリプレグまたはコア310は、プリプレグまたはコアに関連して本明細書に記載した材料のいずれか、例えば熱可塑性材料、強化繊維及び、プリプレグまたはコア310に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばプリプレグまたはコア310の一方の表面から他方の表面まで実質的に均一な分布で分散している膨張可能グラファイト材料を含み得る。所望であれば、外板320も、膨張可能グラファイト材料を含むことができる。
【0062】
特定の構成では、本明細書に記載のプリプレグ及びコアを使用して、プリプレグまたはコアの両面に外板を含む物品を提供することができる。
図4を参照すると、プリプレグまたはコア410、プリプレグまたはコア410の第1の表面上に配置された第1の外板420、及びプリプレグまたはコア410上に配置された第2の外板430を含む物品400が示されている。プリプレグまたはコア410は、例えば、熱可塑性材料、強化繊維、及びプリプレグまたはコア410に分散された膨張可能グラファイト材料、例えば、プリプレグまたはコア410の一方の表面から他方の表面まで実質的に均一な分布で分散している膨張可能グラファイト材料などの、プリプレグ及びコアに関する本明細書に記載される材料のいずれかを含み得る。第1の外板420及び第2の外板430の各々は、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)、箔、織布、不織布から独立して選択することができるか、プリプレグまたはコア410上に配置された無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在することができる。他の例では、外板420または外板430(または両方)は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を含むことができる。熱可塑性フィルムが外板420または外板430(またはその両方)として(または外板420の一部として)存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが外板420または外板430(またはその両方)として(または外板420の一部として)存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含み得る。熱硬化性コーティングが外板420または外板430(またはその両方)として(または外板420の一部として)存在する場合、コーティングは不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール及びエポキシの少なくとも1つを含むことができる。無機コーティングが外板420または外板430(またはその両方)として(または外板420の一部として)存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含むことができ、またはそれらは石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1つを含み得る。不織布が外板420または外板430(またはその両方)として(または外板420の一部として)存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含み得る。所望であれば、外板420、430の一方または両方は、膨張可能グラファイト材料も含むことができる。
【0063】
場合によっては、物品は、プリプレグまたはコア、プリプレグまたはコア上に配置された少なくとも1つの外板、及び外板上に配置された装飾層またはカバー層を含むことができる。
図5を参照すると、プリプレグまたはコア510、プリプレグまたはコア510の第1の表面上に配置された外板520、及び外板520上に配置された装飾層530を含む物品500が示されている。プリプレグまたはコア510は、プリプレグまたはコアと関連して本明細書に記載された材料のいずれか、例えば熱可塑性材料、強化繊維、及びプリプレグまたはコア510に分散された膨張可能グラファイト材料、例えばプリプレグまたはコア510の一方の表面から他方の表面に実質的に均一な分布で分散された膨張可能グラファイト材料を含み得る。外板520は、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)、箔、織布、不織布を含むことができるか、プリプレグまたはコア510に分散される無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在することができる。他の例では、外板520は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を含むことができる。熱可塑性フィルムが存在する場合、熱可塑性フィルムはポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含むことができる。熱硬化性コーティングが存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール樹脂及びエポキシの少なくとも1つを含むことができる。無機コーティングが存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含むことができ、または石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1つを含むことができる。不織布が存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含むことができる。装飾層530は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成することができる。装飾層530はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されたフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然繊維及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチなどの後の有機繊維不織布、起毛織物、編物、フロックまたは他のそのような材料などの布は、フォームコアに結合されてもよい。また、布は感圧接着剤及びホットメルト接着剤、例えばポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン及びポリオレフィンを含む熱可塑性接着剤でフォームコアに結合されてもよい。装飾層530はまた、スパンボンド、サーマルボンド、スパンレース、メルトブロー、湿式及び/または乾式法を用いて製造することもできる。
【0064】
特定の構成では、2つ以上のプリプレグまたはコアを、例えば、外板のような介在層または中間層を介して互いに結合することができる。
図6を参照すると、中間層620を介してプリプレグまたはコア630に結合されたプリプレグまたはコア610を含む物品600が示されている。プリプレグまたはコア610、630のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの例では、プリプレグまたはコア610、630の熱可塑性材料及び繊維は同じであるが、プリプレグまたはコア610、630に存在する膨張可能グラファイト材料の充填または膨張可能グラファイト材料の種類が異なる。他の例では、プリプレグまたはコア610、630内の膨張可能グラファイト材料のタイプ及び/または量は同じであってもよく、熱可塑性材料及び/または繊維の一方または両方は異なっていてもよく、例えば、化学的に異なっていてもよく、異なる量で存在してもよい。場合によっては、共有結合している膨張可能グラファイト材料が、プリプレグまたはコア610、630の1つまたは複数の両方に存在してもよい。他の例では、非共有結合している膨張可能グラファイト材料が、プリプレグまたはコア610、630の一方または両方に存在してもよい。所望であれば、1つまたは複数の適切な難燃剤、例えば、ハロゲン化または非ハロゲン化難燃剤が、コア610、630の一方または両方に存在してもよい。プリプレグまたはコア610、630の厚さは、
図6とほぼ同じものとして示されているが、プリプレグまたはコア610、630の厚さは変動できる。いくつかの構成では、プリプレグまたはコア610、630の1つは、膨張可能グラファイト材料以外のロフト剤、例えばマイクロスフェアを含んでもよい。マイクロスフェアは、膨張可能グラファイト材料と組み合わせて存在してもよく、または膨張可能グラファイト材料なしにプリプレグまたはコア610、630の1つに存在してもよい。中間層620は、本明細書に記載されるような外板の形態をとってもよい。例えば、中間層620は、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)、箔、織布、不織布を含み得るか、プリプレグまたはコア610上に配置された無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在することができる。他の例では、層620は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を含むことができる。熱可塑性フィルムが存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが層620として、またはそれに存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含むことができる。熱硬化性コーティングが層620として、またはそれに存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール及びエポキシの少なくとも1つを含むことができる。無機コーティングが層620として、またはそれに存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含んでもよく、石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1種を含んでもよい。不織布が層620として、またはそれに存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含むことができる。図示されていないが、装飾層は、プリプレグまたはコア610、630のいずれか(または両方)に結合することができる。本明細書で述べるように、装飾層は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマー等の熱可塑性フィルムで形成され得る。装飾層はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されるフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然繊維及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチなどの後の有機繊維不織布、起毛織物、編物、フロックまたは他のそのような材料などの布は、フォームコアに結合されてもよい。また、布は感圧接着剤及びホットメルト接着剤、例えばポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン及びポリオレフィンを含む熱可塑性接着剤でフォームコアに結合されてもよい。装飾層はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式及び/または乾式法を用いて製造することもできる。
【0065】
特定の実施形態では、2つ以上のプリプレグまたはコアが互いに結合でき、次いで、プリプレグまたはコアの一方の表面に外板が配置され得る。
図7を参照すると、プリプレグまたはコア730に結合されたプリプレグまたはコア710と、コア730上に配置された外板720とを含む物品700が示されている。プリプレグまたはコア710、720の各々は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの例では、コア710、730の熱可塑性材料及び繊維は同じであるが、コア710、730に存在する膨張可能グラファイト材料の充填または膨張可能グラファイト材料のタイプが異なる。他の例では、コア710、730内の膨張可能グラファイト材料の種類及び/または量は同じであってもよく、熱可塑性材料及び/または繊維の一方または両方が異なっていてもよく、例えば化学的に異なっていてもよく、異なる量で存在していてもよい。ある場合には、共有結合している膨張可能グラファイト材料は、プリプレグまたはコア710、730の1つまたは複数の両方に存在してもよい。他の例では、非共有結合している膨張可能グラファイト材料は、プリプレグまたはコア710、720の一方または両方に存在し得る。所望であれば、1つまたは複数の適切な難燃剤、例えば、ハロゲン化または非ハロゲン化難燃剤が、プリプレグまたはコア710、730の一方または両方に存在してもよい。プリプレグまたはコア710、730の厚さは、
図7においてほぼ同じものとして示されているが、プリプレグまたはコア710、730の厚さは変動できる。いくつかの構成では、プリプレグまたはコア710、730の1つは、膨張可能グラファイト材料以外のロフト剤、例えばマイクロスフェアを含んでもよい。マイクロスフェアは、膨張可能グラファイト材料と組み合わせて存在してもよく、または膨張可能グラファイト材料なしにプリプレグまたはコア710、730の1つに存在してもよい。外板720は、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)、箔、織布、不織布を含むことができ、またはプリプレグまたはコア730に分散する無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在することができる。他の例では、外板720は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を含むことができる。熱可塑性フィルムが外板720として、またはそれに存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニレンスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが外板720として、またはそれに存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含み得る。熱硬化性コーティングが外板720として、またはそれに存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール及びエポキシの少なくとも1つを含むことができる。無機コーティングが外板720として、またはそれに存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含んでもよく、または石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1種を含んでもよい。不織布が外板720として、またはそれに存在する場合、不織布は熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含むことができる。図示されていないが、装飾層は、外板720またはプリプレグまたはコア710の表面に結合することができる。本明細書で述べるように、装飾層は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成される。装飾層はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されるフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然繊維及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチなどの後の有機繊維不織布、起毛織物、編物、フロックまたは他のそのような材料などの布は、フォームコアに結合されてもよい。また、布は感圧接着剤及びホットメルト接着剤、例えばポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン及びポリオレフィンを含む熱可塑性接着剤でフォームコアに結合されてもよい。装飾層はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式及び/または乾式法を用いて製造することもできる。
【0066】
特定の実施形態では、2つ以上のプリプレグまたはコアが互いに結合され、次いでプリプレグまたはコアの各表面に外板が配置されてもよい。
図8を参照すると、プリプレグまたはコア830に結合されたプリプレグまたはコア810、コア830上に配置された第1の外板820、及びコア810上に配置された第2の外板840を含む物品800が示されている。プリプレグまたはコア810、830のそれぞれは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの例では、プリプレグまたはコア810、830の熱可塑性材料及び繊維は同じであるが、プリプレグまたはコア810、830に存在する膨張可能グラファイト材料の充填または膨張可能グラファイト材料の種類が異なる。他の例では、プリプレグまたはコア810、830内の膨張可能グラファイト材料のタイプ及び/または量は同じであってもよく、熱可塑性材料及び/または繊維の一方または両方は異なっていてもよく、例えば、化学的に異なっていても、異なる量で存在してもよい。ある場合には、共有結合している膨張可能グラファイト材料が、プリプレグまたはコア810、830の1つまたは複数の両方に存在してもよい。他の例では、非共有結合している膨張可能グラファイト材料は、プリプレグまたはコア810、830の一方または両方に存在し得る。所望であれば、1つまたは複数の適切な難燃剤、例えば、ハロゲン化または非ハロゲン化難燃剤が、プリプレグまたはコア810、830の一方または両方に存在してもよい。プリプレグまたはコア810、830の厚さは、
図8においてほぼ同じものとして示されているが、プリプレグまたはコア810、830の厚さは変動できる。いくつかの構成では、プリプレグまたはコア810、830の1つは、膨張可能グラファイト材料以外のロフト剤、例えばマイクロスフェアを含むことができる。マイクロスフェアは、膨張可能グラファイト材料と組み合わせて存在してもよく、または膨張可能グラファイト材料なしにコア810、830のうちの1つに存在してもよい。外板820、840のそれぞれは、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)、箔、織布、不織布を独立して含んでもよく、またはプリプレグまたはコア830上に配置された無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在してもよい。他の例では、外板820、840は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を独立して含み得る。熱可塑性フィルムが外板820または外板840(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニルスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが外板820または外板840(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含み得る。熱硬化性コーティングが、外板820または外板840(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール及びエポキシの少なくとも1つを含み得る。無機コーティングが外板820または外板840(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含むことができ、または石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1つを含み得る。不織布が外板820または外板840(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含み得る。図示されていないが、装飾層は、外板820または外板840(またはその両方)に結合することができる。本明細書で述べるように、装飾層は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成することができる。装飾層はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されるフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然繊維及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチなどの後の有機繊維不織布、起毛織物、編物、フロックまたは他のそのような材料などの布は、フォームコアに結合されてもよい。また、布は感圧接着剤及びホットメルト接着剤、例えばポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン及びポリオレフィンを含む熱可塑性接着剤でフォームコアに結合されてもよい。装飾層はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式及び/または乾式法を用いて製造することもできる。
【0067】
特定の実施形態では、2つ以上のプリプレグまたはコアを互いに結合させてから、プリプレグまたはコアの各表面に外板を配置することができる。
図9を参照すると、中間層920を介してプリプレグまたはコア930に結合されたプリプレグまたはコア910と、コア940上に配置された外板840とを含む物品900が示されている。所望であれば、代わりにプリプレグまたはコア930上に外板940を配置することができ、またはプリプレグまたはコア920上に別の外板(図示せず)を配置することができる。プリプレグまたはコア910、930のそれぞれは、同じであっても、異なっていてもよい。いくつかの例では、プリプレグまたはコア910、930の熱可塑性材料及び繊維は同じであるが、プリプレグまたはコア910、930に存在する膨張可能グラファイト材料の充填または膨張可能グラファイト材料のタイプが異なる。他の例では、プリプレグまたはコア910、930内の膨張可能グラファイト材料のタイプ及び/または量は同じであってもよく、熱可塑性材料及び/または繊維の一方または両方は異なっていてもよく、例えば、化学的に異なっていても、異なる量で存在してもよい。ある場合には、共有結合している膨張可能グラファイト材料が、プリプレグまたはコア910、930の1つまたは複数の両方に存在してもよい。他の例では、非共有結合している膨張可能グラファイト材料は、プリプレグまたはコア910、930の一方または両方に存在し得る。所望であれば、1つまたは複数の適切な難燃剤、例えば、ハロゲン化または非ハロゲン化難燃剤がプリプレグまたはコア910、930の一方または両方に存在してもよい。プリプレグまたはコア910、930の厚さは、
図9においてほぼ同じものとして示されているが、プリプレグまたはコア910、930の厚さは変えることができる。いくつかの構成では、プリプレグまたはコア910、930の1つは、膨張可能グラファイト材料以外のロフト剤、例えばマイクロスフェアを含むことができる。マイクロスフェアは、膨張可能グラファイト材料と組み合わせて存在してもよく、または膨張可能グラファイト材料なしでコア910、930のうちの1つに存在してもよい。層920及び外板940は、例えば、フィルム(例えば、熱可塑性フィルムまたはエラストマーフィルム)、フリム、スクリム(例えば、繊維ベースのスクリム)、箔、織布、不織布を独立して含むことができ、またはプリプレグまたはコア830上に配置された無機コーティング、有機コーティングまたは熱硬化性コーティングとして存在してもよい。他の例では、層920及び外板940は、1996年のISO 4589に従って測定して、約22を超える限界酸素指数を独立して含むことができる。熱可塑性フィルムが層920または外板940(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、熱可塑性フィルムは、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルケトン)、ポリ(エーテル-エーテルケトン)、ポリ(フェニルスルフィド)、ポリ(アリーレンスルホン)、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(アミド-イミド)、ポリ(1,4-フェニレン)、ポリカーボネート、ナイロン、及びシリコーンの少なくとも1つを含み得る。繊維ベースのスクリムが層920または外板940(またはその両方)として、またはそれに存在する場合、繊維ベースのスクリムは、ガラス繊維、アラミド繊維、グラファイト繊維、炭素繊維、無機鉱物繊維、金属繊維、金属化された合成繊維、及び金属化された無機繊維の少なくとも1つを含み得る。熱硬化性コーティングが層920または外板940(またはその両方)として、またはそれに存在する場合、コーティングは、不飽和ポリウレタン、ビニルエステル、フェノール及びエポキシの少なくとも1つを含むことができる。無機コーティングが層920または外板940(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、無機コーティングは、Ca、Mg、Ba、Si、Zn、Ti及びAlから選択される陽イオンを含む無機物を含むことができ、石膏、炭酸カルシウム及びモルタルの少なくとも1つを含み得る。不織布が層920または外板940(またはその両方)として、またはその中に存在する場合、不織布は、熱可塑性材料、熱硬化性のバインダー、無機繊維、金属繊維、金属化された無機繊維及び金属化された合成繊維を含み得る。図示されていないが、装飾層を外板920またはプリプレグまたはコア930(またはその両方)に結合することができる。本明細書で述べるように、装飾層は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、熱可塑性ポリエステル、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性フィルムから形成することができる。装飾層はまた、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどから形成されるフォームコアを含む多層構造であってもよい。天然繊維及び合成繊維から作られた織布、ニードルパンチなどの後の有機繊維不織布、起毛織物、編物、フロックまたは他のそのような材料などの布は、フォームコアに結合されてもよい。また、布は感圧接着剤及びホットメルト接着剤、例えばポリアミド、変性ポリオレフィン、ウレタン及びポリオレフィンを含む熱可塑性接着剤でフォームコアに結合されてもよい。装飾層はまた、スパンボンド、熱接着、スパンレース、メルトブロー、湿式及び/または乾式法を用いて製造することもできる。
【0068】
特定の実施形態では、材料のストリップをプリプレグまたはコア層上に配置することができる。
図10を参照すると、物品1000が示されているが、これは、プリプレグまたはコア1010の異なる領域に配置されたストリップ1020、1030を有するプリプレグまたはコア1010を含む。所望であれば、このようなストリップは、
図1A及び
図2A~9に示された例示的な実施形態のいずれかに存在することができる。ストリップ1020、1030は同じであっても異なっていてもよい。いくつかの例では、ストリップ1020、1030は、本明細書で述べるような膨張可能グラファイト材料を含むことができる。例えば、ストリップは、ストリップ内の他の材料に非共有結合している膨張可能グラファイト材料を含んでいてもよく、またはストリップ内の他の材料に共有結合している膨張可能グラファイト材料を含んでいてもよい。いくつかの例では、ストリップ1020、1030は、本明細書に記載のプリプレグまたはコアの形態を独立してとることができる。他の構成では、ストリップは、本明細書で説明されるように、外板または層の形態を取ることができる。特定の例では、ストリップは、例えば、構造上の補強を提供することが望ましい場合がある物品100の領域、または差異的な厚さがあることが望まれる領域に配置することができる。ストリップ1020、1030がマイクロスフェアのようなロフト剤または膨張可能グラファイト材料を含む場合、所望であれば、ストリップ1020、1030を含む領域における追加の厚さを達成することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、プリプレグ及びコアは、所望の物理的または化学的特性を付与するための追加の材料または添加剤を含むことができる。例えば、プリプレグまたはコアに、1つまたは複数の染料、テクスチャー付与剤、着色剤、粘度調整剤、煙抑制剤、相乗的材料、ロフト剤、粒子、散剤、殺生物剤、フォームまたは他の材料を混合または添加することができる。ある場合には、プリプレグまたはコアは、約0.2重量%~約10重量%の量の1種以上の煙抑制剤組成物を含み得る。例示的な煙抑制組成物は、スズ酸塩、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、モリブデン酸カルシウム亜鉛、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。所望であれば、相乗的材料を存在させてプリプレグまたはコアの物理的性質を高めることができる。例えば、膨張可能グラファイト材料の難燃性を高める相乗剤が存在してもよい。所望であれば、ロフト能力を高める相乗的材料が存在してもよい。例示的な相乗的材料には、トリクロロベンゼンスルホン酸ナトリウムカリウム、ジフェニルスルホン3-スルホネート、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。
【0070】
他の例では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、所望の特性をコアに付与するために、プリプレグまたはコアの全重量に基づいて所望の量、例えば、約50重量%未満の少量で熱硬化性材料を含むことができる。熱硬化性材料は、熱可塑性材料と混合してもよく、あるいはプリプレグまたはコアの1つ以上の表面上にコーティングとして添加してもよい。
【0071】
特定の実施形態では、本明細書に記載のプリプレグまたはコアは、ガラスマット熱可塑性複合材(GMT)または軽量強化熱可塑性樹脂(LWRT)として構成する(または使用する)ことができる。このようなLWRTの1つは、HANWHA AZDEL,Inc.によって製造され、商標SUPERLITE(登録商標)マットとして販売されている。膨張グラファイト材料を充填したSUPERLITE(登録商標)マットは、例えば、難燃性及び処理能力の向上を含む望ましい特性を提供することができる。そのようなGMTまたはLWRTの面密度は、GMTまたはLWRT約400グラム/平方メートル(gsm)から約4000グラム/平方メートルの範囲であり得るが、面密度は、特定の用途の必要性に応じて400gsm未満または4000gsm超であり得る。いくつかの実施形態では、高い方の密度は約4000gsm未満であり得る。場合によっては、GMTまたはLWRTは、GMTまたはLWRTのボイド空間に配置された膨張可能グラファイト材料を含むことができる。例えば、GMTまたはLWRTのボイド空間に、共有結合していない膨張可能グラファイト材料が存在することができる。他の例では、共有結合している膨張可能グラファイト材料が、GMTまたはLWRTのボイド空間に存在することができる。さらに他の構成では、非共有結合している膨張可能グラファイト材料と共有結合している膨張可能グラファイト材料の両方が、GMTまたはLWRTに存在することができる。GMTまたはLWRTのプリプレグまたはコアが膨張可能グラファイト材料と組み合わせて使用される場合、GMTまたはLWRTの目付は、依然適切な性能の特性を提供しながら、例えば800gsm、600gsmまたは400gsm未満に減少させることができる。所望であれば、追加のロフト剤、例えばマイクロスフェアがGMTまたはLWRTに存在することができる。
【0072】
本明細書に記載のプリプレグ及びコアを製造するには、湿式法を使用することが望ましい場合がある。例えば、任意選択に、本明細書に記載のいずれか1つ以上の添加剤(例えば、他のロフト剤または難燃剤)を含めた熱可塑性材料、繊維及び膨張可能グラファイト材料などの分散している材料を含む液体または流体媒体を、気体、例えば空気または他の気体の存在下で撹拌(stirまたはagitate)できる。次いで、分散物を、支持体、例えばワイヤスクリーンまたは他の支持物質上に置いて、敷設された材料中に膨張可能グラファイト材料の実質的に均一な分布を提供することができる。膨張可能グラファイト材料の分散及び/または均一性を高めるために、攪拌された分散物は、例えば、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤または非イオン性界面活性剤などの1つ以上の活性剤、例えばIndustrial Soaps Ltd.によってACE液という名で販売されているもの、Glover Chemicals Ltd.によりTEXOFOR(登録商標)FN15材料として販売されているもの、及びFloat-Ore Ltd.によってAMINE Fb 19材料として販売されているものを含むことができる。これらの薬剤は、液体分散物中の空気の分散を促すことができる。これらの成分は、分散を設けるために、空気の存在下で、混合タンク、浮遊セルまたは他の適切な装置に添加することができる。水性分散物を使用することが望ましいが、分散を促したり、流体の粘度を変化させたり、さもなければ分散物またはプリプレグ、コアまたは物品に所望の物理的または化学的性質を付与するために、1種以上の非水性の流体を存在させることもできる。
【0073】
特定の例では、分散物を十分な時間にわたって混ぜ合わせた後、懸濁している材料を含む流体を、スクリーン、可動性ワイヤまたは他の適切な支持構造上に配置して、敷設した材料のウェブを提供することができる。吸引または減圧をウェブに施して、熱可塑性材料、膨張可能グラファイト材料、及び存在する任意の他の材料、例えば繊維、添加剤などを残すために、敷設した材料から液体を除去することができる。本明細書に記載するように、熱可塑性材料の平均粒径と実質的に同じであるか、それより大きくなるように膨張可能グラファイト材料の粒径を選択することによって、(マイクロスフェアの保持のレベルと比較して)膨張可能グラファイト材料の保持の向上を実現することができる。得られたウェブは、所望のプリプレグ、コアまたは物品を提供するために、乾燥、固化、プレス、ロフト、ラミネート、サイジングなどで、さらに処理することができる。いくつかの例では、所望のプリプレグ、コアまたは物品を提供するために、乾燥、固化、プレス、ロフト、ラミネート、サイジングなどのさらなる処理の前に、添加剤または追加の膨張可能グラファイト材料を、ウェブに添加することができる。他の例では、所望のプリプレグ、コアまたは物品を提供するために、膨張可能グラファイト材料を乾燥、固化、プレス、ロフト、ラミネート、サイジングなどのさらなる処理に続いてウェブに添加することができる。存在する熱可塑性材料、膨張可能グラファイト材料及び他の材料の性質に依存して、湿式法を使用することができるが、エアレイド法、乾式ブレンド法、カーディング及びニードル法、または不織布製品を製造するために使用される他の公知の方法をかわりに用いることが望ましい場合がある。いくつかの例では、プリプレグまたはコアがある程度硬化した後、プリプレグまたはコアの表面に対して約90°の角度で膨張可能グラファイト材料を噴霧するように構成された複数のコーティング用ジェットの下にボードを通すことによって、追加の膨張可能グラファイト材料を、プリプレグまたはコアの表面に対して噴霧できる。
【0074】
いくつかの構成では、本明細書に記載のプリプレグ及びコアは、熱可塑性材料、繊維、膨張可能グラファイト材料を、水溶液またはフォームの界面活性剤の存在下で混ぜ合わせることによって製造することができる。混ぜ合わせた成分は、様々な材料を分散させ、材料の実質的に均質な水性混合物を提供するのに十分な時間、混合または攪拌することができる。次いで、分散された混合物を、任意の適切な支持構造、例えば所望の空隙率を有する金網または他のメッシュまたは支持体上に敷設する。次いで、ウェブを形成する金網を通して、水分を排除することができる。ウェブは乾燥させ、熱可塑性粉末の軟化温度超で加熱する。次いで、ウェブを冷却し、所定の厚さにプレスして、約1%~約95%の間のボイド量を有する複合シートを製造する。また、別の実施形態では、水性フォームはバインダー材料を含む。
【0075】
特定の実施例では、GMTの形態のプリプレグまたはコアを製造することができる。場合によっては、GMTは、一般に、切断されたガラス繊維、熱可塑性材料、膨張可能グラファイト材料及び任意選択の熱可塑性ポリマーフィルム(複数可)、及び/またはガラス繊維または熱可塑性樹脂繊維、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、PC/PBTのブレンド、またはPC/PETのブレンドなどで作られた織布または不織布を用いて製造できる。いくつかの実施形態では、PP、PBT、PET、PC/PETのブレンドまたはPC/PBTのブレンドを高メルトフローインデックス樹脂として使用することができる。ガラスマットを製造するために、熱可塑性材料、強化材料、膨張可能グラファイト材料及び/または他の添加剤を、インペラを備えたオープントップの混合用タンクに含まれる分散フォームに、添加または計量添加することができる。任意の特定の理論に縛られることを望むものではないが、気泡の閉じ込められたポケットが存在するため、ガラス繊維、熱可塑性材料及び膨張可能グラファイト材料の分散が促進できる。いくつかの実施例では、ガラスと樹脂との分散混合物は、分配マニホールドを介して抄紙機のワイヤの部分より上に配置されたヘッドボックスに圧送することがある。次いで、分散された混合物を真空を利用して可動式ワイヤスクリーンに供給しながら、ガラス繊維、膨張可能グラファイト材料または熱可塑性物質ではなく、フォームを除去して、均一な繊維状の湿式ウェブを連続的に製造することができる。湿式ウェブは、適切な温度の乾燥機に通して、含水量を減少させ、熱可塑性材料を溶融または軟化させることができる。高温のウェブが乾燥機を出るとき、ガラス繊維のウェブ、膨張可能グラファイト材料、熱可塑性材料及びフィルムを加熱ローラのセットのニップに通すことにより、例えばフィルムなどの表面層をウェブ上に積層することができる。所望であれば、ガラス繊維強化マットの取り扱いを容易にするために、例えば、不織布及び/または織布層のような追加の層を、ウェブの片側または両側に、フィルムと共に取り付けることもできる。その後、複合材をテンションロールに通し、後に最終製品の物品に成形するために、所望のサイズに連続的に切断(ギロチン加工)することができる。このようなGMT複合材の製造に関するさらなる情報は、このような複合材の形成に使用される適切な材料及び加工条件を含め、例えば、米国特許第6,923,494号、同第4,978,489号、同第4,944,843号、同第4,964,935号、同第4,734,321、同第5,053,449、同第4,925,615、同第5,609,966、及び米国特許出願公開第2005/0082881号明細書、米国特許出願公開第2005/0228108号明細書、米国特許出願公開第2005/0217932号明細書、米国特許出願公開第2005/0215698号明細書、米国特許出願公開第2005/0164023号明細書、米国特許出願公開第2005/0161865号明細書に記載されている。
【0076】
特定の実施形態では、熱可塑性材料及び強化繊維と組み合わせたEG材料が存在することによって、従来の液体炭化水素-ポリマーシェルマイクロスフェアで達成できるよりも、ロフトのより良好な制御が可能になっている。例えば、対流加熱に実質的に不感応であり、他のタイプの加熱、例えばIR加熱に感応するEG材料を選択することによって、プリプレグ、コア及び物品は、高い予備的ロフト能力で製造することができる。この構成により、エンドユーザは、プリプレグ、コア及び物品を含む諸部分の可能な最終的な厚さの範囲を広げることができる。例えば、エンドユーザは、所望の得られる厚さをもたらすべく一部を加工するために、望ましい加熱条件を選択することができる。所望であれば、適用される加工条件を特定の領域で変更することによって、その部分の様々な領域は、異なる最終的な厚さを有することができる。
【0077】
場合によっては、混合物中に熱可塑性材料、強化繊維及び膨張可能グラファイト粒子を混ぜ合せて、撹拌された水性フォームを形成することによって、プリプレグ、コアまたは物品を製造することができる。攪拌された水性フォームは、ワイヤ支持体上に配置することができる。水分を排除してウェブまたは連続気泡構造を形成することができる。ウェブは、実質的にロフトが生じないような条件下で、熱可塑性材料の溶融温度より高い温度で、例えば対流加熱を用いて加熱することができ、この工程は場合によっては固化とも呼ばれる。所望であれば、ウェブに圧力を加えて、例えばウェブ(または連続気泡構造)中に均一に分散した、またはウェブ(または連続気泡構造)中に不均一に分散したEG材料を含む膨張可能グラファイト粒子を含む熱可塑性複合シートを提供することができる。シートは、所望のロフトを提供するために、適した加熱条件を選択することによって、さらに処理することができる。いくつかの例では、シートをロフトするのに有効な加熱条件を適用して、ボードの厚さ全体を増加させることができる。例えば、外板、カバー層または他の材料をシート上に配置することができる。多層アセンブリは鋳型内に配置することができ、シートの表面をアセンブリの他の層にプレスすべくシートをロフトするように、加熱条件を適用することができる。シート全体の厚さを増加させることにより、シートとアセンブリの他の層との間のより良好な接着を達成することができる。
【0078】
特定の例では、複合物品を製造する方法は、熱可塑性材料、強化繊維及び膨張可能グラファイト粒子を混合物中で混ぜ合わせて、攪拌された水性フォームを形成することを含む。フォームはワイヤ支持体上に配置され、水は排除されて、熱可塑性材料、繊維及びグラファイト材料を含むウェブまたは連続気泡構造を形成する。場合によっては、次いでウェブを熱可塑性材料の溶融温度より上の第1の温度に加熱するが、第1の温度は膨張可能グラファイト粒子のロフト開始温度よりも低いので、実質的にロフトは生じない。他の例では、ウェブは、熱可塑性材料を溶融する加熱条件を用いて加熱、例えば対流加熱することができるが、膨張可能グラファイト粒子を実質的にロフトさせない。所望であれば、次いで、例えばニップローラまたは他の装置を用いてウェブに圧力を加えて、ウェブに分散された膨張可能グラファイト粒子を含む熱可塑性複合シートを提供することができる。
【0079】
いくつかの実施例を以下に記載し、本明細書に記載された新規の態様及び構成のいくつかをより良く説明する。
【実施例】
【0080】
実施例1
ポリプロピレン樹脂及びガラス繊維を用いて、異なる組成物を製造した。1つの組成物(H1100)は、5重量%で存在する液体炭化水素のコアポリマーマイクロスフェアを含む。第2の組成物は、5重量%で存在するEG-249C膨張可能グラファイト(EG)材料を含んでいた。第3の組成物は、10重量%で存在するEG-249C膨張可能グラファイト材料を含んでいた。第4の組成物は、15重量%で存在するEG-249C膨張可能グラファイト材料を含んでいた。第5の組成物は、10重量%で存在するEG-HV膨張可能グラファイト材料を含んでいた。約60重量%のポリプロピレン及び40重量%のガラス繊維が各組成物中に存在した。各組成物中のEGの重量%は、ポリプロピレンとガラス繊維の総重量を基準にしたものであり、例えば5重量%のEGの組成物は、5gのEGを、40gのガラス繊維及び60gのポリプロピレンを含む組成物に加えることによって、製造し得る。各組成物は、約800gsmの目付を有するシートに製造された。
【0081】
様々な加熱条件下で、厚さの変化について、ボードを検証した。H1100及びEG-HV含有ボードを204℃で空気加熱(
図11の左側の棒)し、225℃で空気加熱した(
図11の右欄)。各EG-249Cボードを同じ温度で空気加熱し、200℃と220℃の赤外線加熱(IR)にも付した(EG-249Cの
図11の左から右までの棒は、204℃の空気加熱、225℃の空気加熱、200℃のIR加熱、及び220℃のIR加熱を表し、EG-HVの棒は、204℃及び225℃での空気加熱を表す)。
【0082】
マイクロスフェアボードの厚さは、両方の温度で増加し、低温時の厚さは高温時の厚さに近かった。マイクロスフェアボードと比較して、EG-249Cボードは、空気加熱に対して一般に不感応であり、厚さの変化がほとんどまたはまったく見られなかった。EG-HVボードの厚さは空気加熱により増加した。EG-HVは、低グレードの膨張可能グラファイト材料であり、EG-249Cよりも低い温度で膨張する。すべてのEG-249Cボードの厚さは、220℃でIR加熱を用いて劇的に増加した。さらに、ボードの厚さは、膨張可能グラファイト材料の充填量とIR加熱温度によって異なっていた。結果は、膨張可能グラファイト材料を使用することにより、所望のロフト温度を選択することでボードの厚さを選択的に増加させるというものに相当する。
【0083】
実施例2
一連のボードを、実施例1に記載の方法を用いて製造した。ボードはそれぞれ、実施例1に示したのと同様の量のポリプロピレン及びガラス繊維を含んでいた。3種のボードを製造した。H1100マイクロスフェアを含むもの、N351膨張可能グラファイト材料を含むもの、N400膨張可能グラファイト材料を含むものである。各ボードを200℃の対流加熱によりステージ1のロフトについて検証した。結果を表1に示す。試験片として、直径99mmの丸型パックを用いた。厚さは、キャリパーを用いて3つの異なる領域で測定した。
【0084】
【0085】
結果は、連続的な加熱によって各ボードの厚さが経時的に増加するというものに相当した。厚さが2分から4分まで減少するにつれて、熱が増加し、マイクロスフェアボード(H1100)には顕著な崩壊があった。膨張可能グラファイト材料ボードの崩壊は観察されなかった。
【0086】
実施例3
実施例2の3つのボードの予備的ロフト能力(追加の厚さがどれだけ達成できるか)を判定するために、各ボードを室温で1日冷却した。次いでボードを、対流加熱により200℃で3分(H1100ボードの場合)、IR加熱によって約220℃で1.5分(EGボードの場合)ステージ2のロフトに付した。マイクロスフェアボード(H1100)は、マイクロスフェアを破裂させることなく最大のロフトを可能にするために、異なる加熱条件に供された。結果を表2に示す。
【0087】
【0088】
ステージ1でトリガされたロフトは、潜在的なロフト能力の損失を表す。例えば、全厚8.892mmのH1100ボードの場合、ステージ1でトリガされたロフトは5.526mmであった。ボードの全厚は、ステージ2のロフト後に8.892であったが、これは、ボードがステージ1の後に、その総ロフト能力の5.526/8.892=62.1%にロフトされたことを意味している。この結果は、そのボードで37.9%の予備的ロフト能力しか残っていないことを意味する。
【0089】
対照的に、同様の時間における膨張可能グラファイト材料ボードは、N351に対して73.5%の予備的ロフト能力、及びN400に対して64.4%の予備的ロフト能力を保持した。これらの結果は、マイクロスフェアと比較して、膨張可能グラファイト材料が付加的な予備的ロフト能力を提供するということに相当する。
【0090】
実施例4
追加の試験を、実施例2のボードを使用して実施した。これらの試験は、加熱中の各ボードの目付及び灰分含量の測定、ならびにオーブンで対流加熱を用いて200℃の温度でボードをロフトした後のロフト指数の判定を含んだ。直径99mmのパックを試験サンプルとして使用し、各実験で10個のパックを使用した。すべてのデータで、厚さの値は10個のパックすべての平均測定値に基づいている。目付、変動係数(COV)、厚さ、ロフト比(ロフトした厚さをもとの厚さで割った値)、灰分含量(サンプルを800℃のオーブンに配置して燃焼することで測定-ガラス繊維のみが残り、残っているのは重量百分率のガラス繊維のみ)、ロフト指数1(ロフト比を灰分含量で割ったもの)、ロフト剤含量(MS含量として
図12の表3に示す)、及びロフト指数2(ロフト剤含量によりロフト指数1を除算)を判定した。ロフト指数の使用によって、各ボードの合計gsmの変動を排除(または正規化)して、直接的に比較し得る結果を導くことができる。マイクロスフェア含量(H1100)は、マイクロスフェアが破裂する前後の重量を測定して、サンプル中のマイクロスフェア含量を計算することによって判定した。EG(N351及びN400)の7%含量は、その量のEGを試験サンプルに添加することに基づいていた。その結果を
図12の表3に示す。
【0091】
すべてのEG試料(N351及びN400)のロフト指数は、同じ加熱時間で対応するマイクロスフェア試料よりも少なくとも50%少なかった。これらの値は、200℃の対流加熱後に予備的ロフト能力を向上させたEG含有ボードと一致している。
【0092】
実施例5
実施例2のボードを使用して、追加の試験を行った。これらの試験は、加熱中の各ボードの目付及び灰分含量の測定、ならびにオーブンで対流加熱を用いて220℃の温度でボードをロフトした後のロフト指数の測定を含んだ。結果は、実施例4に関連して記載したように得られた/判定された。結果を
図13の表4に示す。
【0093】
すべてのEGサンプル(N351及びN400)のロフト指数は、同じ加熱時間での対応するマイクロスフェアのサンプルよりも低かった。各サンプルの各加熱時間におけるロフト指数は、全般に、200℃で得られた対応するロフト指数よりも大きかった。これらの値は、EGが、処理温度を変えることによって、ロフトの制御の強化をもたらすということに相当する。
【0094】
実施例6
異なるタイプの膨張可能グラファイト材料を、実施例2のボードと同様のボードを製造することによって検証した。ボード中の各膨張可能グラファイト材料の重量百分率は、8重量%であった。H1100マイクロスフェアコントロールボードは、24重量%のマイクロスフェアを含んでいた。各ボードの目付は約800gsmであった。ロフトは、表5に列挙した様々な条件下で測定した。TMAは、ロフトの開始が始まる実際の温度を測定すべく熱機械分析器を用いて判定した開始温度を指す。NYACOL値は、供給者によって提供された対応する値である。
【0095】
【0096】
表5の結果は、1分間の200℃の対流加熱後に高い予備的ロフト能力を提供する膨張可能グラファイト材料に相当する。HV、351及びKP251のEG材料の場合、1分間220°Cで高いロフトを達成する能力が、これらの材料を含むボードの予備的ロフト能力を付与している。種々の条件におけるロフトの厚さを比較する棒グラフを
図14に示す。各々の棒のグループの左から右までは、200℃の空気加熱、220℃の空気加熱、200℃のIR加熱、220℃のIR加熱を表す。グラフに示されるように、EGサンプルは、適用される熱の種類に影響される。この選択性は、適切な加熱適用法を選択することによって、ロフトのより良い制御が可能になる。対照的に、マイクロスフィアのロフトは、一般に、適用される熱の種類に影響されない。場合によっては、200℃のロフトと220℃のロフトが大きな差異を有することに基づいてEG材料を選択することが望ましい。この大きな差異は、より高い予備的ロフト能力をもたらす。さらに、差異が大きいことで選択し、対流条件下で実質的なロフトを提供しないEG材料を使用することによって、赤外線加熱(または他の加熱)を適用して、物品の最終的な厚さをより良好に制御することができる。
【0097】
実施例7
熱可塑性複合物品に難燃性を付与するための膨張可能グラファイト材料(難燃剤の不在下での)の能力を検証した。H1100マイクロスフェア及び種々の膨張可能グラファイト材料を含む試験用ボードを含むコントロールボードを検証した。結果を
図15の表6に示す。括弧は、各ボードにおける膨張可能グラファイト材料の充填の重量百分率を表す。各ボードは約800gsmの目付を含み、約2mmの厚さに成形された。燃焼速度は、本明細書に記載の1991年のFMVSS 302試験に示されるように、1分当たりのインチで測定した。燃焼距離は、FMVSS-302の試験方法に示されているようにインチ単位で測定した。
【0098】
結果は、膨張可能グラファイト材料ボードにはロフト前後に影響されない自己消火性があるという成績に相当する。5%のEG-249Cの充填で、ボードは自己消火性があり、難燃性は、わずか5重量%の膨張可能グラファイト材料で付与できることを示している。これと比較して、マイクロスフェアボードは自己消火性ではなかった。表6のタイミングマークは、ボードに適用された火炎の端からおよそ4インチ内側のマークを指す。
【0099】
実施例8
追加のボードのセットを難燃性について検証した。使用された材料及びそれらを充填した重量は、
図16の表7に示されている。膨張可能グラファイト材料ボードはすべて、ボードが2mmに成形されたときに自己消火性であった。ボードの空隙率が増加すると、一般に、自己消火試験に合格することはより困難になる。膨張可能グラファイト材料ボードを、より多くの空気またはより高い空隙率が存在することを意味する8mmの全体の厚さまでロフト及び成形した場合でも、すべての膨張可能グラファイト材料ボードは自己消火性があった。
【0100】
実施例9
いくつかのボードの油の有無での燃焼性について検証した。ボードの目付は約1310gsmであった。ボードはそれぞれ約10重量%のAsbury 3335膨張可能グラファイト材料と組み合わせたSuperlite(商標)コア(ポリプロピレンと約55重量%のガラス繊維の混合物)を含んでいた。ボードを熟成させた後、縦方向または横方向での引張強度の低下はなかった。熟成は、38+/-2℃、相対湿度95+/-2%で48時間ということを含む、異なる時間と湿度の値で、熱及び水にボードを曝すことを含んでいた。150℃で7日間という長い加熱サイクルも、ボードの熟成に採用された。次いで、ボードを室温で48時間、蒸留水中に浸漬した。
【0101】
また、ボードは油の存在下または油なしでの自己消火能力について検証した。2013年のSAE J369試験(本明細書に記載のFMVSS 302試験に相当)を使用して、燃焼性を検証した。試験結果を
図17に示す表8に示す。すべてのボードは、油燃焼性試験に合格した(表8のSE/0と記されている)。200℃のプロセス温度において、8.10mmのフリーロフトがあった。220℃のプロセス温度では、12.46mmのフリーロフトがあった(200℃のボードよりも予備的ロフト能力が低い)。240℃のプロセス温度では、22.97mmのフリーロフトがあった(220℃のボードよりも予備的ロフト能力が低い)。各ボードの5つの複製を検証した。上記により詳細に記載したように、表8の「B」は、燃焼が観察されたボードを指す。「B」を列挙したマス目は、炎がコアにではなく表面上を移動するボードであった。コア内の膨張可能グラファイトは、少なくとも部分的に火炎の消火を助けるべきであるので、コア内に移動することは望ましい。
【0102】
約10重量%のAsbury 3335膨張可能グラファイト材料と2重量%のDJ Semichem.マイクロスフェアロフト剤とを含む同じコア材料(ただし、45重量%のガラスを含む)を用いて別のボードを製造した。厚さ8mmに成形した場合、そのボードは油自己消火試験でSE/0性能(SAE J369試験に合格)を示した。これらの結果は、燃焼性試験に合格するボードを提供する膨張可能グラファイト材料に相当しており、所望の部品または形状にさらなる処置、例えば成形を可能にする予備的ロフト能力を依然として有している。
【0103】
実施例10
同様の量の膨張可能グラファイト材料を含むが、ロフトの厚さが異なるいくつかの追加のボードが製造された。製造されたボードには、EG材料と組み合わせたSuperlite(商標)コアが含まれていた。ボードのリストを表9に示す。
【0104】
【0105】
6~7mm(実験1)にロフトされたボードは、EGなしのSuperlite(商標)コアと同様の方法で処理することができ、例えば、EGなしのSuperlite(商標)コアと同様の温度で成形することができる。実験1及び2では、コアの一方の側に90gsmのHOFスクリムがあり、コアの他方の側に225gsmのポリプロピレンフィルムがあった。実験3では、コアの一方の側に20gsmのポリエチレンテレフタレート(PET)スクリムがあり、ボードの他方の側に98gsmのポリプロピレンフィルムがあった。8~9mm(実験2)の間にロフトされたボードについて、しわが幾分観察された。9mmのフリーロフトよりもロフトしたボードは、Superlite(商標)コアと同様の方法で処理でき、Superlite(商標)コアそのものと比較してサイクルの時間が短縮されていた。
【0106】
実施例11
ボードは、約1200gsmのコア重量で製造することができ、ガラス繊維(40~60重量%)、5~15重量%の膨張可能グラファイト材料、場合によっては0~5重量%のマイクロスフェアロフト剤を含み、残りは例えばポリプロピレンなどのポリオレフィンのような熱可塑性材料を含む。所望であれば、例えばスクリムのような外板の材料をコア材の1つ以上の側面に付着させることができる。場合によっては、難燃性スクリムを一方の面に配置し、非難燃性スクリムを反対の面に配置することができる。スクリムの正確な目付は、約20gsmから約100gsmまで異なり得る。他の例では、コアの一方の側はポリオレフィンフィルムのようなフィルムを含むことができる。
【0107】
実施例12
温度上昇の関数としての、3つの異なる膨張可能グラファイト材料の膨張率を検証した。結果を
図18に示す。種々のEG材料を比較すると、3335材料は、160℃と220℃の間の温度範囲で低い膨張率であった。これらの結果は、特定の処理温度に対して適切なロフト温度を有する膨張可能グラファイト材料を選択することに相当する。例えば、170℃未満でロフトが所望される場合、Nyagraph KP251を使用することができる。180℃未満でロフトが必要な場合、Nyagraph KP251かAsbury 3721のいずれか(またはその両方)を使用できる。
【0108】
本明細書に開示された実施例の要素を導入する場合、冠詞「a」、「an」、「the」及び「said」は、1つまたは複数の要素が存在することを意味することを意図している。「including(含む)」及び「having(有する)」は、オープンエンドであり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味することを意図するものである。当業者は、本開示の利点を考慮し、実施例の様々な構成要素が、他の実施例で、様々な構成要素と交換または置換し得るということを理解されたい。
【0109】
特定の態様、実施例及び実施形態について上述したが、本開示の利点を考慮して、開示された例示的な態様、実施例及び実施形態の追加、置換、修飾及び変更をすることが可能であることは、当業者に理解されたい。