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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】オイル供給装置及び圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 2/10 20060101AFI20230502BHJP
   F04C 18/16 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
F04C2/10 341E
F04C18/16 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018012476
(22)【出願日】2018-01-29
(65)【公開番号】P2019132141
(43)【公開日】2019-08-08
【審査請求日】2020-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】竹島 悠太
(72)【発明者】
【氏名】萩原 亮任
(72)【発明者】
【氏名】濱田 克徳
(72)【発明者】
【氏名】福島 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】稲崎 未生
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-210210(JP,A)
【文献】特開2008-064080(JP,A)
【文献】特開2013-253531(JP,A)
【文献】特開2015-175291(JP,A)
【文献】特開2011-032980(JP,A)
【文献】特開平03-169926(JP,A)
【文献】特開2001-304205(JP,A)
【文献】特開2008-169694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 2/10
F04C 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルが貯留されるオイルタンクと、
上下方向に回転軸を備え前記オイルタンクに貯留されているオイルをオイル供給先に供給する縦型のオイルポンプと、を備え、
前記オイルタンクの外壁には、前記外壁の上壁の上面に開口し下方に凹むように密閉可能な凹部が形成されており、
前記凹部の密閉された内部空間に、前記オイルポンプの構成部品が配置されており
記オイルタンクの上面に設けられたポンプモータで前記オイルポンプは駆動され、
前記オイルポンプの軸と前記ポンプモータの軸とは、回転軸として一体となっていることを特徴とする、オイル供給装置。
【請求項2】
前記凹部は、前記オイルポンプのポンプケーシングと一体として前記オイルタンクの外壁に形成されている、請求項1記載のオイル供給装置。
【請求項3】
前記オイルポンプの吸込ポートは、前記凹部の内壁面に形成されており、前記オイルタンク内のオイル溜まりに連通するオイル流路に直接接続されている、請求項2に記載のオイル供給装置。
【請求項4】
前記吸込ポートが形成された前記凹部の内壁面は、前記オイルタンクと別体のポート部材として設けられており、前記ポート部材は、前記オイルタンク内のオイル溜まりに連通するオイル流路に直接接続されている、請求項3記載のオイル供給装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のオイル供給装置と、圧縮機本体とを備える圧縮機。
【請求項6】
前記オイルポンプは、縦型のトロコイドポンプであって前記上壁に設けられており、前記オイルタンクを介してパッケージの台座上に配置されている、請求項5記載の圧縮機。
【請求項7】
前記圧縮機本体を2台備えた2段式の圧縮機であって、2台の前記圧縮機本体は、前記オイルタンク上に分かれて設けられており、2台の前記圧縮機本体の間に前記縦型のトロコイドポンプが配置されている、請求項6記載の圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル供給装置及びオイル供給装置を備える圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1及び2に示されるように、スクリュ圧縮機の圧縮機本体内の軸受、タイミングギヤ及び増速機内の増速ギヤ部等にはオイルが供給されるようになっている。オイルは、オイルタンクに貯留されており、オイルタンクの外部に配置されたオイルポンプによってポンプアップされ、各オイル供給先に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-342982号公報
【文献】特開2006-161734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように、オイルポンプはオイルタンクの外部に配置されているため、オイルタンクとオイルポンプとを接続する配管やオイルポンプのケーシング接続部からのオイル漏れが生じるおそれがある。
【0005】
そこで本発明では、オイルタンクとオイルポンプとを接続する配管やオイルポンプのケーシング接続部からの外部へのオイル漏れのおそれを解消できるオイル供給装置及び当該オイル供給装置を備える圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、オイル供給装置であって、
オイルが貯留されるオイルタンクと、
前記オイルタンクに貯留されているオイルをオイル供給先に供給するオイルポンプと、を備え、
前記オイルタンクの外壁には、密閉可能な凹部が形成されており、
前記凹部の密閉された内部空間に、前記オイルポンプの構成部品が配置されていることを特徴とする。
【0007】
前記構成によれば、オイルポンプの構成部品をオイルタンクの外壁に形成された凹部内に配置することによって、オイルタンクのオイル流路とオイルポンプとの接続部からのオイル漏れ、あるいは、オイルタンクのオイル溜まりとオイルポンプとを流体的に接続する配管と、オイルポンプのケーシングとの接続部からのオイル漏れがあったとしても、漏れたオイルはオイルタンク内に向かうこととなり、外部へのオイル漏れのおそれを解消できる。
【0008】
前記態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0009】
(1)前記凹部は、前記オイルポンプのポンプケーシングと一体として前記オイルタンクの外壁に形成されている。
【0010】
前記構成(1)によれば、オイルタンクの凹部とオイルポンプのポンプケーシングとを一体としてオイルタンクの外壁に形成することによって、オイル供給装置の部品点数を低減することができる。
【0011】
(2)前記構成(1)において、前記オイルポンプの吸込ポートは、前記凹部の内壁面に形成されており、前記オイルタンク内のオイル溜まりに連通するオイル流路に直接接続されている。
【0012】
前記構成(2)によれば、オイルタンクの凹部の内壁面に形成されたオイルポンプの吸込ポートが、オイルタンク内のオイル溜まりに連通するオイル流路に対して別途の配管を用いることなく直接接続されるので、吸込み流路の構成が簡素化されメンテナンス性が向上する。
【0013】
(3)前記構成(2)において、前記吸込ポートが形成された前記凹部の内壁面は、前記オイルタンクと別体のポート部材として設けられており、前記ポート部材は、前記オイルタンク内のオイル溜まりに連通するオイル流路に直接接続されている。
【0014】
前記構成(3)によれば、吸込ポートとオイルタンクとを別体とすることによって、複雑な形状の吸込ポートの加工が容易となる。また、吸込ポートが、オイルタンク内のオイル溜まりに連通するオイル流路である吸込流路に対して別途の配管を用いることなく直接接続されるので、吸込流路の構成が簡素化されメンテナンス性が向上する。
【0015】
(4)前記オイルポンプは、縦型ポンプであり、前記オイルタンクの外壁である上壁に設けられている。
【0016】
前記構成(4)によれば、オイルポンプを縦型ポンプとすることによって、ポンプメンテナンス時のオイルタンク周囲へのオイル漏れのおそれを解消することができる。また、オイルポンプを駆動するポンプモータもオイルタンクの上面に設けることができるようになるので、設置面積(フットプリント)におけるオイルポンプ及びポンプモータの占有領域を小さくすることができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、第1の態様のオイル供給装置と、圧縮機本体とを備える圧縮機である。
【0018】
前記構成によれば、オイルタンクのオイル流路とオイルポンプとの接続部からのオイル漏れ、あるいは、オイルタンクのオイル溜まりとオイルポンプとを流体的に接続する配管と、オイルポンプのケーシングとの接続部からのオイル漏れがあったとしても、外部へのオイル漏れのおそれを解消できるオイル供給装置を備える圧縮機を提供できる。
【0019】
前記第2の態様は、さらに、次のような構成を備えるのが好ましい。
【0020】
(5)前記オイルポンプは、縦型ポンプであって前記オイルタンクの外壁である上壁に設けられており、当該オイルタンクを介してパッケージの台座上に配置されている。
【0021】
前記構成(5)によれば、オイルポンプを縦型ポンプとしてオイルタンクの上壁に設けることによって、ポンプメンテナンス時のオイルタンク周囲へのオイル漏れのおそれを解消することができる。また、オイルポンプを駆動するポンプモータもオイルタンクの上面に設けることができるようになるので、設置面積(フットプリント)におけるオイルポンプ及びポンプモータの占有領域を小さくすることができる。
【0022】
(6)前記圧縮機本体を2台備えた2段式の圧縮機であって、2台の前記圧縮機本体は、前記オイルタンク上に分かれて設けられており、2台の前記圧縮機本体の間に前記縦型ポンプが配置されている。
【0023】
前記構成(6)によれば、オイルタンク上に分かれて設けられている2台の前記圧縮機本体の間に前記縦型ポンプが配置されているので、設置面積(フットプリント)におけるオイルポンプおよび2段式の圧縮機本体の占有領域を小さくすることができ、圧縮機全体のサイズも低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、オイルタンクとオイルポンプとを接続する配管やオイルポンプのケーシング接続部からの外部へのオイル漏れのおそれを解消できるオイル供給装置及び当該オイル供給装置を備える圧縮機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の実施形態に係るオイル供給装置を備える圧縮機の側面図。
図2図1のII-II断面図。
図3】オイル供給装置のオイル供給系統図。
図4】オイルタンク、オイルポンプ及びポンプモータの側面図。
図5】オイルポンプの拡大図。
図6図5のVI-VI断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係るオイル供給装置を備える圧縮機10の側面図であり、図2は、図1のII-II断面図である。図1及び図2に示されるように、圧縮機10は、パッケージ型圧縮機であり、圧縮機本体やオイルタンク等、圧縮機の構成要素を1つのパッケージ11内に収容し、設置の自由度及び利便性を向上させている。
【0028】
パッケージ11は、鋼板のような金属製の板で形成され、吸気口11a及び排気口11bを有している。また、パッケージ11内には、圧縮機本体2及び圧縮機本体2にオイルを供給するオイル供給装置3が配置されている。
【0029】
圧縮機10は、圧縮流体的に直列に接続された2台の圧縮機本体2を備えた2段式のスクリュ圧縮機であり、パッケージ11内において台座12の上に配置されている。本実施形態においては、圧縮機本体2がオイルタンク4上に設けられており、オイルタンク4を介して台座12の上に配置されている。圧縮機本体2は、第1段圧縮機本体21と、第1段圧縮機モータ22と、第2段圧縮機本体23と、第2段圧縮機モータ24と、を備えている。第1段圧縮機本体21及び第2段圧縮機本体23はそれぞれ、内部に雌雄一対のスクリュロータを備えている。第1段圧縮機本体21は、第1段圧縮機モータ22によってスクリュロータが回転駆動されることによって空気を圧縮する。同様に、第2段圧縮機本体23は、第2段圧縮機モータ24によってスクリュロータが回転駆動されることによって空気を圧縮する。第1段圧縮機本体21の吐出口と第2段圧縮機本体23の吸気口とは、図示しない配管によって流体的に接続されている。本実施形態においては、第1段圧縮機本体21及び第1段圧縮機モータ22、及び、第2段圧縮機本体23及び第2段圧縮機モータ24はそれぞれオイルタンク4を介して台座12に固定されている。
【0030】
空気は、パッケージ11外から吸気口11aを通してパッケージ11内に導入される。導入された空気は、第1段圧縮機本体21に吸気されて圧縮された後、第2段圧縮機本体23に送られ、さらに圧縮される。圧縮機本体2で圧縮された高圧かつ高温の空気は、パッケージ11内に配置された空冷式の熱交換器13によって冷却され、熱交換器13の図示しない出口ポートからパッケージ11外に吐出される。
【0031】
第1段圧縮機本体21の軸受及び第2段圧縮機本体23の軸受には、オイル供給装置3によって、オイルが供給されるようになっている。図3は、オイル供給装置3のオイル供給系統図である。図3に示されるように、オイル供給装置3は、オイルを貯留するオイルタンク4と、オイルタンク4内のオイルを加圧して第1段圧縮機本体21及び第2段圧縮機本体23に供給するオイルポンプ5と、オイルポンプ5を駆動するポンプモータ6と、オイルタンク4からのオイルを冷却して第1段圧縮機本体21及び第2段圧縮機本体23に供給するオイルクーラ7と、を備えている。
【0032】
オイルタンク4内のオイルは、ポンプモータ6によって駆動されるオイルポンプ5によって加圧され、オイルクーラ7に送られる。オイルクーラ7によって冷却されたオイルは、第1段圧縮機本体21の軸受及び第2段圧縮機本体23の軸受に供給され、その後、オイルタンク4に戻される。
【0033】
オイルタンク4上には、第1段圧縮機本体21及び第1段圧縮機モータ22と、第2段圧縮機本体23及び第2段圧縮機モータ24が配置されており、第1段圧縮機本体21と第2段圧縮機本体23との間にポンプモータ6が配置されている。また、オイルタンク4は、台座12の中央に直接固定されている。これにより、オイルタンク4、第1段圧縮機本体21、第1段圧縮機モータ22、第2段圧縮機本体23及び第2段圧縮機モータ24は、台座12の中央に配置されるようになっている。
【0034】
図4は、オイルタンク4、オイルポンプ5及びポンプモータ6の部分断面を示す側面図である。図4に示されるように、オイルタンク4の外壁である上壁41には、上壁41の上面に開口するように下方に凹む凹部41aが形成されており、凹部41aの内部空間は、密閉蓋58によって密閉可能になっている。具体的には、密閉蓋58とオイルタンク上面との間はパッキン(Oリング)を介して密閉されている。
【0035】
図5は、オイルポンプ5の断面の拡大図である。図4及び図5に示されるように、密閉された凹部41aには、オイルポンプ5の構成部品が配置されている。本実施形態においては、オイルタンク4の凹部41aを取り囲む部分の上壁41が、オイルポンプ5のポンプケーシング51aと一体として形成されている。そして、ポンプケーシング51aの内部空間としての凹部41aが、オイルタンク4の外壁である上壁41に形成されており、その内部空間が密閉蓋58で密閉されている。
【0036】
図6は、図5のVI-VI断面図である。図5及び図6に示されるように、オイルポンプ5は、上下方向に回転軸を備えた縦型のトロコイドポンプである。ポンプケーシング51aの内部空間(ここでは、凹部41aの内部空間)には、オイルポンプ5の構成部品としての偏心リング51と、アウタロータ52と、インナロータ53と、吸込ポート54aと、吐出ポート54bと、を備えている。オイルポンプ5の軸とポンプモータ6の軸とは、回転軸56として一体となっている。回転軸56には円筒状部品59が締り嵌めによって固定されている。密閉蓋58には回転軸56を通す貫通孔が設けられており、貫通孔には、円筒状部品59を軸封する軸シール58aが固定されている。
【0037】
ポンプケーシング51aは、内側が有底円筒状の空間であり、上壁41に凹部41aとして形成されている。偏心リング51は、ポンプケーシング51a内に固定的に収容された偏心円筒部材である。アウタロータ52は、偏心リング51内に回転自在に設けられている。アウタロータ52の外周面は、偏心リング51に接触し、偏心リング51に対して摺動可能となっている。アウタロータ52は、複数の内歯を有している。
【0038】
インナロータ53は、アウタロータ52の内周側に回転自在に設けられている。インナロータ53は、アウタロータ52の内歯に係合し、内歯より歯数が1つ少ない外歯を有している。インナロータ53は、ポンプモータ6に軸支された回転軸56によって駆動される。回転軸56は、ポンプモータ6によって駆動される。アウタロータ52は、インナロータ53の回転中心に対して偏心して従動回転される。アウタロータ52とインナロータ53との間には、複数のポンプ室57が形成される。ポンプ室57は、両ロータ52、53が回転することで、膨張(容積増大)と圧縮(容積減少)を繰り返す。
【0039】
吸込ポート54aは、ポンプケーシング51aの凹部41aの内壁面(軸方向の端面)に設けられており、オイルタンク4内のオイル溜まりに連通する入口側のオイル流路に別途の配管を用いることなく直接接続されている。本実施形態においては、吸込ポート54aは、オイルタンク4と別体のポート部材54として凹部41aに設けられており、入口側のオイル流路としての吸込流路42と連通している。具体的には、吸込ポート54aは、オイルタンク4の内壁に形成された吸込流路42に連通しており、吸込流路42は、オイルタンク4内のオイル溜まりに連通している。
【0040】
吐出ポート54bは、ポンプケーシング51aの凹部41aの内壁面(軸方向の端面)に設けられており、オイルタンク4の出口側のオイル流路を介してオイルクーラ7に連通している。本実施形態においては、吐出ポート54bは、別途の配管を用いることなくオイルタンク4の内壁に形成された出口側のオイル流路である吐出流路43に連通している。吐出流路43は、図示しない吐出配管を介して、オイルクーラ7に連通している。なお、本実施形態においては、吐出ポート54bは、オイルタンク4と別体のポート部材54として凹部41aに設けられており、出口側のオイル流路としての吐出流路43と連通している。具体的には、吸込ポート54aと吐出ポート54bは、同一のポート部材54であり、凹部41aの内壁面(端面)を構成する柱状部材に形成されている。
【0041】
オイルポンプ5は、両ロータ52、53の回転に伴うポンプ室57の容積変化により、吸込ポート54aから吸入されたオイルを吐出ポート54bから吐出する。1つのポンプ室が両ロータ52、53の回転に伴って回転移動する際、当該ポンプ室は、吸込ポート54aに沿って移動するとき容積を拡大させてオイルを吸入し、容積が最大となった後、吐出ポート54bに沿って移動するときに容積を減少させて流体を吐出するようになっている。
【0042】
前記構成のオイル供給装置3を備える圧縮機10によれば、次のような効果を発揮できる。
【0043】
(1)オイルポンプ5は、オイルタンク4の外壁である上壁41に形成された密閉可能な凹部41aがポンプケーシング51aの内部空間とされており、密閉された内部空間にオイルポンプ5の構成部品が配置されている。これによって、オイルタンクのオイル流路とオイルポンプとの接続部からのオイル漏れ、あるいは、オイルタンク4のオイル溜まりとオイルポンプ5とを流体的に接続する配管とオイルポンプ5のポンプケーシング51aとの接続部からオイル漏れがあったとしても、漏れたオイルはオイルタンク4内に向かうこととなり、外部へのオイル漏れのおそれを解消できる。
【0044】
(2)オイルタンク4の凹部41aを取り囲む部分の上壁41が、オイルポンプ5のポンプケーシング51aと一体として形成されるので、オイル供給装置3の部品点数を低減することができる。
【0045】
(3)オイルタンク4の凹部の内壁面に形成されたオイルポンプ5の吸込ポート54aが、オイルタンク4内のオイル溜まりに連通するオイル流路である吸込流路42に対して別途の配管を用いることなく直接接続されるので、吸込流路42の構成が簡素化されメンテナンス性が向上する。
【0046】
(4)吸込ポート54aとオイルタンク4とが別体とされることによって、複雑な形状の吸込ポート54aの加工が容易となる。また、吸込ポート54aが、オイルタンク4内のオイル溜まりに連通するオイル流路である吸込流路42に対して別途の配管を用いることなく直接接続されるので、吸込流路42の構成が簡素化されメンテナンス性が向上する。
【0047】
(5)オイルポンプ5は縦型ポンプであるので、ポンプメンテナンス時のオイルタンク4周囲へのオイル漏れのおそれを解消することができる。また、オイルポンプ5は、駆動するポンプモータ6もオイルタンク4の上面に設けられるので、設置面積(フットプリント)におけるオイルポンプ5及びポンプモータ6の占有領域を小さくすることができる。
【0048】
(6)オイルタンク4のオイル流路とオイルポンプ5との接続部からのオイル漏れ、あるいは、オイルタンクのオイル溜まりとオイルポンプとを流体的に接続する配管と、オイルポンプのポンプケーシング51aとの接続部からのオイル漏れがあったとしても、外部へのオイル漏れのおそれを解消できるオイル供給装置を備える圧縮機を提供できる。
【0049】
(7)オイルポンプ5を縦型ポンプとしてオイルタンク4の上壁41に設けているので、ポンプメンテナンス時のオイルタンク周囲へのオイル漏れのおそれを解消することができる。また、オイルポンプ5を駆動するポンプモータ6もオイルタンクの上面に設けることができるようになるので、設置面積(フットプリント)におけるオイルポンプ5及びポンプモータ6の占有領域の小さい圧縮機を提供できる。
【0050】
(8)オイルタンク4のオイル溜まりとオイルポンプ5とを接続する吸込流路42は、オイルタンク4内壁に形成されるので、別に吸込流路として吸込配管を設ける必要がなく、オイル供給装置3のサイズ及び部品点数を低減できる。また、吸込配管の接続部からの外部へのオイル漏れのおそれを解消できる。
【0051】
(9)オイルポンプ5の吐出ポート54b及び吐出流路43は、オイルタンク4の内壁に設けられるので、オイルポンプ5の吐出部近傍においてオイル漏れのおそれを解消できる。
【0052】
(10)吐出ポート54bとオイルタンク4とが別体とされることによって、複雑な形状の吐出ポート54bの加工が容易となる。
【0053】
(11)オイルタンク4上には、第1段圧縮機本体21及び第1段圧縮機モータ22と、第2段圧縮機本体23及び第2段圧縮機モータ24とが配置されており、第1段圧縮機本体21と第2段圧縮機本体23との間にポンプモータ6が配置されている。これによって、設置面積(フットプリント)における圧縮機本体(21、23)、圧縮機モータ(22、2)、オイルポンプ5及びポンプモータ6の占有領域の小さい圧縮機を提供できる。そして、重量物であるオイルタンク4、ポンプモータ6、第1段圧縮機本体21、第1段圧縮機モータ22、第2段圧縮機本体23及び第2段圧縮機モータ24を台座12の中央に配置することによって、パッケージ11を重量バランスよく且つコンパクトにまとめることができる。
【0054】
上記実施形態では、オイルポンプ5は縦型ポンプであるが、横型ポンプでもよい。
【0055】
上記実施形態では、オイルポンプ5は、縦型のトロコイドポンプであり、オイルポンプ5の軸とポンプモータ6の軸とは一体となっているが、オイルポンプ5の軸とポンプモータ6の軸とがカップリングで結合されるものでもよい。
【0056】
上記実施形態では、オイルポンプ5の構成部品が配置される密閉可能な凹部41aは、オイルタンク4の上壁41に形成されているが、オイルタンクの外壁、例えば側壁に形成されてもよい。
【0057】
上記実施形態では、吸込ポート54a及び吐出ポート54bは、オイルタンク4と別体のポート部材54としてオイルタンク4の凹部41aの内壁面(軸方向の端面)を構成するように設けられているが、オイルタンク4の内壁に直接形成されてもよい。
【0058】
上記実施形態では、オイルポンプ5のポンプケーシング51aは、凹部41aを取り囲む部分の上壁41で構成されているが、上壁41とは別部材で構成して凹部41a内に収容するものであってもよい。
【0059】
上記実施形態では、吸込ポート54aは、オイルタンク4の内壁に形成された吸込流路42に連通しており、吸込流路42は、オイルタンク4内のオイル溜まりに連通しているが、内壁とは別部材で構成された吸込み流路(配管)によってオイル溜まりに連通するものであってもよい。
【0060】
上記実施形態では、第1段圧縮機本体21と第2段圧縮機本体23とが別のモータに接続されているが、第1段圧縮機本体と第2段圧縮機本体とが増速機で連結されており、増速機を収容する増速機ケーシングがオイルタンクとなっていてもよい。
【0061】
本発明は、上記実施形態で説明した構成には限定されず、特許請求の範囲に記載した内容を逸脱することなく、当業者が考え得る各種変形例を含むことができる。
【符号の説明】
【0062】
2 圧縮機本体
3 オイル供給装置
4 オイルタンク
5 オイルポンプ
6 ポンプモータ
7 オイルクーラ
10 圧縮機
11 パッケージ
12 台座
13 熱交換器
21 第1段圧縮機本体
22 第1段圧縮機モータ
23 第2段圧縮機本体
24 第2段圧縮機モータ
41 上壁
41a 凹部
51 偏心リング
51a ポンプケーシング
52 アウタロータ
53 インナロータ
54 ポート部材
54a 吸込ポート
54b 吐出ポート
56 回転軸
57 ポンプ室
58 密閉蓋
58a 軸シール
59 円筒状部品
図1
図2
図3
図4
図5
図6