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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20230502BHJP
   A61K 8/897 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20230502BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230502BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20230502BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/897
A61K8/891
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/06
A61Q1/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018225689
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2019099576
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2017232575
(32)【優先日】2017-12-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新免 愛実
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 賢二
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 美香子
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/141919(WO,A1)
【文献】特開2012-102061(JP,A)
【文献】特開2016-160218(JP,A)
【文献】特開2017-066092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(H):
(A)スクワランの吸油量が1.0g/g以上、吸水量が1.0g/g以下の球状有機粉体 0.1~10質量%、
(B)皮膜形成剤 0.1~10質量%、
(C)揮発性油 5~60質量%、
(H)水 5~70質量%
を含有し、
成分(A)が、メタクリル酸メチルクロスポリマー、(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマーから選ばれる1種又は2種以上であり、
成分(B)が、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂から選ばれる1種又は2種以上であり、
成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、0.3~20である油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
さらに、(D)25℃で液状の極性油を含有する請求項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)が、0.01~10である請求項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
さらに、(G)比表面積10~100m2/gの酸化亜鉛を含有する請求項1~のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.005~0.8である請求項1~のいずれか1項記載の油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐皮脂性を向上させ、皮脂による化粧崩れを防止する化粧料として、種々の皮膜形成剤を含有する化粧料が検討されている。
例えば、特許文献1には、分子内にシラノール基を有する特定のフッ素変性シリコーン樹脂を含有する化粧下地料が、化粧崩れしにくく、よれにくく、化粧効果持続性に優れることが記載され、特許文献2には、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体及び/またはトリメチルシロキシケイ酸を含有する化粧料が、化粧持続性に優れることが記載され、特許文献3には、デンドリマー型シロキサン構造を側鎖に有するアクリルポリマーを含有する化粧料が、化粧持ちや使用感に優れることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平9-25218号公報
【文献】特開2006-306860号公報
【文献】特開2010-143833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、化粧崩れに関する意識の高まりにより、皮脂による化粧崩れに加え、塗布した化粧料が手や衣服などの物理的な作用によって擦られた際にも取れにくい化粧料が求められている。特許文献1、2、3に記載されている化粧料では、塗布した化粧料が、擦れによってとれる場合があった。
また、化粧料を塗布した後、さらにファンデーションなどのメイクアップ化粧料を重ね付すると、重ねて付けたメイクアップ化粧料がきれいに付着せず、仕上がりが汚くなるという課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の球状有機粉体と、皮膜形成剤及び揮発性油を組み合わせて用いることにより、塗布した化粧料を手や衣服などで擦すっても取れにくく、また、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布する際にも、均一に塗布することができる油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(H):
(A)スクワランの吸油量が1.0g/g以上、吸水量が1.0g/g以下の球状有機粉体 0.1~10質量%、
(B)皮膜形成剤 0.1~10質量%、
(C)揮発性油 5~60質量%、
(H)水 5~70質量%
を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の油中水型乳化化粧料は、皮膚に塗布した油中水型乳化化粧料を手や衣服などで擦すっても取れにくいものである。また、塗布時に伸びが良く、べたつきが抑制され、感触が良好である。また、乳化粒子径が小さく、安定性にも優れている。さらに、油中水型乳化化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布する際も、均一に塗布することができ、良好な仕上がりを得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)は、スクワランの吸油量が1.0g/g以上、吸水量が1.0g/g以下の球状有機粉体である。
ここで、球状とは、真球、略球状、回転楕円体を含み、表面に凹凸がある球状粉体、粉体の表面、内部に空隙がある球状粉体等であっても良い。
球状有機粉体の吸油量は、皮脂との類似性からスクワランの吸油量で示した。また、スクワランの吸油量は、粉体1gあたりのスクワランを吸油する量(g)を示し、吸水量は、粉体1gあたりの水を吸収する量(g)を示す。
【0009】
スクワランの吸油量は、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、1.0g/g以上であり、1.5g/g以上が好ましく、1.8g/g以上がより好ましく、2.2g/g以上がさらに好ましく、4.0g/g以下が好ましく、3.5g/g以下がより好ましく、3.0g/g以下がさらに好ましく、2.8g/g以下がよりさらに好ましい。スクワランの吸油量は、1.0g/g以上であり、1.0~4.0g/gが好ましく、1.5~3.5g/gがより好ましく、1.8~3.0g/gがさらに好ましく、2.2~2.8g/gがよりさらに好ましい。
【0010】
また、吸水量は、擦れによる取れにくさ、伸び、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、1.0g/g以下であり、0.8g/g以下が好ましく、0.5g/g以下がより好ましく、0.2g/g以下がさらに好ましい。
なお、スクワランの吸油量、吸水量は、後述する実施例の方法により求められる。
【0011】
成分(A)の球状有機粉体としては、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、多孔性球状有機粉体が好ましい。多孔性とは、粉体の内部又は表面に多数の小さな空隙を持つ構造のことを示す。
【0012】
成分(A)の球状有機粉体は、伸びを向上させ、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、体積平均粒子径が1μm以上であるのが好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。また、成分(A)の体積平均粒子径は、1~30μmが好ましく、2~20μmがより好ましく、3~15μmがさらに好ましい。
ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定器(堀場製作所製、LA-920)により測定される。本発明において、体積平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
【0013】
成分(A)の球状有機粉体は、擦れによる取れにくさ、スクワランの吸油量を向上させる観点から、比表面積は、50m2/g以上であるのが好ましく、60m2/g以上がより好ましく、70m2/g以上がさらに好ましく、80m2/g以上がよりさらに好ましく、300m2/g以下が好ましく、260m2/g以下がより好ましく、230m2/g以下がさらに好ましく、220m2/g以下がよりさらに好ましい。成分(A)の比表面積は、50~300m2/gであるのが好ましく、60~260m2/gがより好ましく、70~230m2/gがさらに好ましく、80~220m2/gがよりさらに好ましい。
なお、本発明において、比表面積とは、単位質量当たりの表面積のことをいい、本発明では、BET法(N2)により得られた比表面積を意味する。比表面積は、後述する実施例の方法により求めることができる。
【0014】
成分(A)の球状有機粉体としては、擦れによる取れにくさ、スクワランの吸油量を向上させる観点から、溶解度パラメータが7~10のビニル系モノマーの1種又は2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーが好ましい。
【0015】
ここで、溶解度パラメータδ(SP値)は、液体の分子凝集エネルギーEとモル分子容Vからδ=(E/V)1/2(J/cm3)で与えられる物質定数である。SP値は、各種方法で求められるが、本発明においては、Fedorsの方法 (J. BRANDR UP著「POLYMER HANDBOOK 4th」JHON WILEY & SONS,INC 1999年発行、VII685~686項に示されるパラメーターを用いて求めたもの)に従い算出した。
【0016】
溶解度パラメータが7~10のビニル系モノマーとしては、例えば、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、炭素数1~12の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有するスチレン誘導体、炭素数8~20の飽和カルボン酸のビニルエステル、炭素数4~6のジオレフィン等が挙げられる。
成分(A)の球状有機粉体としては、これらのモノマーのうち、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性、スクワランの吸油量を向上させる観点から、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、炭素数1~12の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を有するスチレン誘導体から選ばれる1種または2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーが好ましく、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、スチレンから選ばれる1種または2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーがより好ましく、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルから選ばれる1種または2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーがさらに好ましい。また、架橋したものが好ましい。
【0017】
成分(A)としては、メタクリル酸メチルをエチレングリコールジメタクリレートで架橋した化粧品表示名称「メタクリル酸メチルクロスポリマー」(INCI名称「Methyl Methacrylate Crosspolymer」)、メタクリル酸ステアリル及びスチレンをジビニルベンゼンで架橋した化粧品表示名称「(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー」(INCI名称「Styrene/Stearyl Methacrylate Crosspolymer」)等が挙げられる。成分(A)としては、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性、スクワランの吸油量を向上させる観点から、「メタクリル酸メチルクロスポリマー」、「(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー」が好ましく、「(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー」がより好ましい。
「メタクリル酸メチルクロスポリマー」の市販品としては、MAKIBEADS 150、MAKIBEADS 250(以上、大東化成工業社製)等が挙げられ、「(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー」は、特開昭63-316715号公報記載の方法により製造することができる。
【0018】
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.4質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下であり、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4.3質量%以下がさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であり、1~7質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましく、2.4~4.3質量%がさらに好ましい。
成分(A)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.4質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下であり、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4.3質量%以下がさらに好ましく、4.0質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であり、1~7質量%が好ましく、2~5質量%がより好ましく、2.4~4.3質量%がさらに好ましく、2.4~4.0質量%がよりさらに好ましい。
【0019】
成分(B)の皮膜形成剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂等が挙げられる。
フッ素変性シリコーン樹脂としては、下記一般式(1):
1 gSiO(4-g)/2 (1)
(式中、R1は炭素数1~8の炭化水素基、フェニル基、水酸基又は一般式-R2-Rf(R2は炭素数2~6の2価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す)であって、水酸基及び一般式-R2-Rfを必須とする官能基から任意に選ばれ、gは平均数で1.0≦g≦1.8である。尚、R1は、同じであっても、異なっても良い)
で表される構造を有するものが好ましい。
【0020】
また、フッ素変性シリコーン樹脂は、25℃で固体状であるのが好ましい。このため、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、溶剤に溶解して使用するのが好ましい。
溶剤としては、シリコーン油が挙げられ、シリコーン油としては、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(10cs)から選ばれる1種または2種以上が好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(10cs)から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンがさらに好ましい。
【0021】
このようなフッ素変性シリコーン樹脂としては、化粧品表示名称「トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸」(INCI名称「Trifluoropropyldimethyl/Trimethylsiloxysilicate」が好ましく、予め溶剤に溶解させたXS66-B8226(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、XS66-B8636(50質量%ジメチルポリシロキサン(10cs)溶液)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等の市販品を用いることができる。
【0022】
トリメチルシロキシケイ酸としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で、[(CH33SiO1/2S[SiO2Tで表されるもの(Sは1~3、Tは0.5~8)が好ましい。
【0023】
また、その性状は、25℃で液状、ガム状、ペースト状、固体状などのいずれでも良いが、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、固体状のものが好ましい。また、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、溶剤に溶解して使用するのが好ましい。溶剤としては、シリコーン油、炭化水素油が挙げられ、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(6cs)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種または2種以上が好ましく、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種または2種以上がさらに好ましく、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種または2種以上がよりさらに好ましい。
【0024】
トリメチルシロキシケイ酸としては、化粧品表示名称「トリメチルシロキシケイ酸」(INCI名称「Trimethylsiloxysilicate」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたKF-7312T(60質量%メチルトリメチコン溶液)、KF-7312L(50%ジメチルポリシロキサン(2cs)溶液)、KF-7312J(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312K(50質量%ジメチルポリシロキサン(6cs)溶液)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0025】
アクリルシリコーン樹脂としては、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体等が挙げられる。
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、特開平11―1530号公報、特開2000-63225号公報に記載されたものを用いることが好ましい。
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体の性状は、25℃で液状、ガム状、ペースト状、固体状などのいずれでも良いが、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、固体状のものが好ましい。また、擦れによる取れにくさを向上させる観点からは、溶媒によって希釈された溶液や分散液であることが好ましい。なかでも、液状油によって希釈された分散液として用いるのが好ましく、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種または2種以上を用いるのが好ましく、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種または2種以上を用いるのがより好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種または2種以上を用いるのがさらに好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンがよりさらに好ましい。
【0026】
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体が好ましく、化粧品表示名称「(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Polytrimethylsiloxymethacrylate Copolymer」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたFA4001CM(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA4002ID(40質量%イソドデカン溶液)(以上、東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
【0027】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体としては、特開平2-25411号公報に記載されたものを用いることが好ましい。
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、25℃で固体状のものが好ましい。
また、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、溶剤に溶解して使用するのが好ましい。溶剤としては、シリコーン油、炭化水素油が挙げられ、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種または2種以上が好ましく、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種または2種以上がさらに好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンがよりさらに好ましい。
【0028】
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体としては、化粧品表示名称「(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Dimethicone Copolymer」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたKP545(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KP549(40質量%メチルトリメチコン溶液)、KP550(40質量%イソドデカン溶液)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
【0029】
成分(B)の皮膜形成剤としては、擦れによる取れにくさを向上させる観点から、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、フッ素変性シリコーン樹脂、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体から選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、フッ素変性シリコーン樹脂から選ばれる1種又は2種以上がよりさらに好ましい。
【0030】
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下であり、6質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、3.8質量%以下がさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であり、0.2~6質量%が好ましく、0.5~4.5質量%がより好ましく、1.2~3.8質量%がさらに好ましい。
成分(B)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.2質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がさらに好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、10質量%以下であり、6質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、3.8質量%以下がさらに好まし
く、3.5質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%であり、0.2~6質量%が好ましく、0.5~4.5質量%がより好ましく、1.2~3.8質量%がさらに好ましく、1.5~3.5質量%がよりさらに好ましい。
【0031】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、0.06以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.3以上がよりさらに好ましく、0.78以上が好ましく、20以下が好ましく、11以下がより好ましく、3.1以下がさらに好ましく、2.8以下がよりさらに好ましく、1.6以下が好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.06~20が好ましく、0.08~11がより好ましく、0.1~3.1がさらに好ましく、0.3~2.8がよりさらに好ましく、0.78~1.6が好ましい。
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、0.06以上が好ましく、0.08以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.3以上がよりさらに好ましく、0.78以上が好ましく、1.0以上がよりさらに好ましく、20以下が好ましく、11以下がより好ましく、3.1以下がさらに好ましく、2.8以下がよりさらに好ましく、1.6以下が好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.06~20が好ましく、0.08~11がより好ましく、0.1~3.1がさらに好ましく、0.3~2.8がよりさらに好ましく、0.78~1.6が好ましく、1.0~1.6がよりさらに好ましい。
【0032】
成分(C)の揮発性油において、揮発性とは、35~100℃の引火点を有するものである。
揮発性油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、シリコーン油、炭化水素油、エーテル油等が挙げられる。
シリコーン油としては、鎖状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサンが挙げられる。鎖状ジメチルポリシロキサンとしては、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、直鎖のものとしては、ジメチルポリシロキサン(1.5cs)、ジメチルポリシロキサン(2cs)等が挙げられ、分岐鎖のもとしては、メチルトリメチコン、トリス(トリメチルシリル)メチルシラン、テトラキス(トリメチルシリル)シラン等が挙げられる。環状ジメチルポリシロキサンとしては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
炭化水素としては、イソドデカン、イソトリデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等が挙げられ、エーテル油としては、エチルパーフルオロブチルエーテル等が挙げられる。
【0033】
これらのうち、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種または2種以上が好ましく、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカン、軽質イソパラフィンから選ばれる1種または2種以上がより好ましく、ジメチルポリシロキサン(2cs)、デカメチルシクロペンタシロキサンから選ばれる1種または2種以上がよりさらに好ましい。
成分(C)の揮発性油としては、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、少なくともシリコーン油を含有することが好ましく、少なくともシリコーン油を15~100質量%含むのがより好ましく、少なくとも50~100質量%含むのがさらに好ましく、少なくとも80~100質量%含むのがよりさらに好ましい。
なお、成分(C)は、成分(B)を溶解する溶剤としても使用することができる。
【0034】
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に5質量%以上であり、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、60質量%以下であり、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に5~60質量%であり、10~50質量%が好ましく、15~30質量%がより好ましい。
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に5質量%以上であり、10質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、60質量%以下であり、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に5~60質量%であり、10~50質量%が好ましく、15~30質量%がより好ましい。
【0035】
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、0.005以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、0.09以上がよりさらに好ましく、0.8以下が好ましく、0.21以下がより好ましく、0.19以下がさらに好ましく、0.16以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、0.005~0.8が好ましく、0.02~0.21がより好ましく、0.05~0.19がさらに好ましく、0.09~0.16がよりさらに好ましい。
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、0.005以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、0.09以上がよりさらに好ましく、0.8以下が好ましく、0.21以下がより好ましく、0.19以下がさらに好ましく、0.16以下がよりさらに好ましい。また、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、0.005~0.8が好ましく、0.02~0.21がより好ましく、0.05~0.19がさらに好ましく、0.09~0.16がよりさらに好ましい。
【0036】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させる観点から、(D)25℃で液状の極性油を含有することが好ましい。ここで、液状とは流動性を有するもので、クリーム状やペースト状のものも含まれる。
25℃で液状の極性油としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、エステル油、炭素数12~24のアルコール及び炭素数12~24の脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0037】
具体的には、エステル油としては、例えば、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、モノイソステアリン酸ジグリセリル等のモノエステル油;リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル等のジエステル油;トリイソステアリン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルのトリエステル油などが挙げられる。
【0038】
炭素数12~24のアルコールとしては、例えば、オクチルト゛デカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
炭素数12~24の脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソミリスチン酸、リノレン酸、リノール酸、リシノール酸、オキシステアリン酸等が挙げられる。
【0039】
成分(D)としては、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制する観点から、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、モノエステル油、ジエステル油から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、モノエステル油がさらに好ましい。また、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、少なくともパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルを含むのが好ましい。
成分(D)としては、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制する観点から、エステル油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、モノエステル油、ジエステル油から選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、モノエステル油がよりさらに好ましい。また、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、少なくともパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルを含むのが好ましい。
【0040】
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8.0質量%以下がさらに好ましく、6.5質量%以下がよりさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、全組成中に0.1~15質量%が好ましく、0.4~12質量%がより好ましく、1.0~8.0質量%がさらに好ましく、1.5~6.5質量%がよりさらに好ましい。
【0041】
本発明において、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させる観点から、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、0.01~10が好ましく、0.03~6がより好ましく、0.10~0.9がさらに好ましい。
本発明において、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましく、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましく、0.9以下がよりさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)は、0.01~10が好ましく、0.03~6がより好ましく、0.10~1.3がさらに好ましく、0.4~0.9がよりさらに好ましい。
【0042】
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、1以上が好ましく、2.4以上がより好ましく、3.15以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、9.0以下がさらに好ましい。また、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、1~50が好ましく、2.4~40がより好ましく、3.15~9.0がさらに好ましい。
本発明において、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、擦れによる取れにくさを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、1以上が好ましく、2.4以上がより好ましく、3.15以上がさらに好ましく、3.17以上がよりさらに好ましく、4以上が一層好ましく、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、12以下がさらに好ましく、9.0以下がよりさらに好ましく、7.5以下が一層好ましい。また、成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)は、1~50が好ましく、2.4~40がより好ましく、3.15~12がさらに好ましく、3.17~9.0がよりさらに好ましく、4~7.5が一層好ましい。
【0043】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、乳化粒子径を小さくさせる観点から、(E)HLB8未満の非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
成分(E)の非イオン性界面活性剤のHLBは、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、乳化粒子径を小さくさせる観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、8未満が好ましく、7未満がより好ましく、6未満がさらに好ましい。
【0044】
ここで、HLB(親水性-親油性のバランス〈Hydrophilic-Lypophilic Balance〉)は、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、非イオン界面活性剤については、グリフィン(Griffin)の式により求められるものである。2種以上の非イオン界面活性剤から構成される混合界面活性剤のHLBは、次のようにして求められる。混合界面活性剤のHLBは、各非イオン界面活性剤のHLB値をその配合比率に基づいて相加算平均したものである。
混合HLB=Σ(HLBx×Wx)/ΣWx
HLBxは、非イオン界面活性剤XのHLB値を示す。Wxは、HLBxの値を有する非イオン界面活性剤Xの質量(g)を示す。
【0045】
このような非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、アルカノールアミド、アミンオキサイド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルサッカライド、α-モノアルキルグリセリルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。
【0046】
成分(E)のHLB8未満の非イオン性界面活性剤としては、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、乳化粒子径を小さくさせる観点から、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上が好ましい。ポリエーテル変性シリコーンは、市販品を用いることができ、例えば、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体として、KF-6015(HLB4.5)、KF-6017(HLB4.5)、KF-6028(HLB4)(以上、信越化学工業社製)、SH3775M(HLB5)(東レ・ダウコーニング社製)等;アルキル変性された共重合体として、KF-6038(HLB3)(信越化学工業社製);ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体として、KF-6012(HLB7)(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0047】
成分(E)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、乳化粒子径を小さくさせる観点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、全組成中に0.1~8質量%が好ましく、0.2~5質量%がより好ましく、0.3~2質量%がさらに好ましい。
【0048】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、(F)板状粉体を含有することが好ましい。
ここで、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。
成分(F)の板状粉体は、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、体積平均粒子径8~60μmであるのが好ましく、10~30μmがより好ましく、アスペクト比10~80が好ましく、15~70がより好ましい。
体積平均粒子径は、成分(A)と同様の方法で測定される。
また、アスペクト比は、体積平均粒子径と粒子の平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(体積平均粒子径/平均厚さ)で定義される。
なお、粒子の平均厚さは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察して測定した10~50個の母粒子の厚さを数平均して求められる。
【0049】
成分(F)の板状粉体としては、例えば、板状酸化セリウム、板状硫酸バリウム、タルク、マイカ、板状カオリン、セリサイト、白雲母、板状合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、板状無水ケイ酸、板状ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、板状セラミックスパウダー、板状アルミナ、板状窒化ホウ素、板状酸化鉄、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン処理マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母、アルミニウム、板状ガラス末等が挙げられる。
【0050】
成分(F)の板状粉体としては、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、タルク、マイカ、板状合成雲母、板状窒化ホウ素、板状ガラス末から選ばれる1種または2種以上が好ましく、板状合成雲母、板状ガラス末から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、合成金雲母、板状ガラス末から選ばれる1種または2種以上がよりさらに好ましい。
成分(F)としては、例えば、PDM-1000(体積平均粒子径12μm、アスペクト比20)、PDM-40L(体積平均粒子径40μm、アスペクト比80)、PDM-10L(体積平均粒子径12μm、アスペクト比60)(以上、トピー工業社製)等の合成金雲母の市販品を用いることができる。また、成分(F)としては、例えば、メタシャインMC1040RC(体積平均粒子径40μm、アスペクト比40)、シルキーフレークFTD025FY-F02(体積平均粒子径25μm、アスペクト比62.5)、シルキーフレークFTD025FY-F12(体積平均粒子径25μm、アスペクト比62.5)、シルキーフレークFTD010FY-F01(体積平均粒子径10μm、アスペクト比25)(以上、日本板硝子社製)等のガラス末の市販品を用いることができる。
【0051】
また、成分(F)の板状粉体は、そのまま用いることができるほか、必要に応じて、疎水化処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、シリコーン処理、フッ素処理、脂肪酸処理、N-アシルアミノ酸処理等が挙げられる。シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、フッ素処理としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、脂肪酸処理としては、ステアリン酸処理、ミリスチン酸処理等が挙げられ、N-アシルアミノ酸処理としては、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理等が挙げられる。
疎水化処理としては、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、シリコーン処理、フッ素処理が好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理がより好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理がさらに好ましい。
疎水化処理は、通常の方法により行うことができる。
なお、成分(F)を疎水化処理した場合、成分(F)の含有量、体積平均粒子径、粒子の厚さは、疎水化処理した剤を含めての含有量、体積平均粒子径、粒子の厚さを意味する。
【0052】
成分(F)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、伸びを向上させ、べたつきを抑制し、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布した際の均一性を向上させる観点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。また、成分(F)の含有量は、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、0.2~8質量%がより好ましく、0.3~5質量%がさらに好ましい。
【0053】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制する観点から、(G)比表面積10~100m2/gの酸化亜鉛を含有することが好ましい。
成分(G)の酸化亜鉛は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制する観点から、比表面積15~95m2/gであるのが好ましい。
ここで、比表面積は、成分(A)と同様の方法で測定されるものである。
【0054】
また、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制する観点から、平均粒子径は、5~50nmであるのが好ましく、10~40nmがより好ましい。
平均粒子径は、透過電子顕微鏡写真から、粒子の長軸と短軸の相加平均として求められる値である。
成分(G)の酸化亜鉛は、そのまま用いることができるほか、必要に応じて、成分(F)と同様に、疎水化処理したものを用いることもできる。
【0055】
成分(G)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制する観点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.1~20質量%が好ましく、0.5~17質量%がより好ましく、1~15質量%がさらに好ましい。
成分(G)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、擦れによる取れにくさ、伸びを向上させ、べたつきを抑制する観点から、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。また、成分(G)の含有量は、全組成中に0.1~20質量%が好ましく、0.5~17質量%がより好ましく、1~15質量%がさらに好まし
く、5~15質量%がよりさらに好ましい。
【0056】
本発明の油中水型乳化化粧料において、(H)水の含有量は、全組成中に5質量%以上であり、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、70質量%以下であり、65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。また、成分(H)の水の含有量は、全組成中に5~70質量%であり、8~65質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましい。
【0057】
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、肌をきれいなメイクアップ効果で仕上げる観点から、着色顔料を含有することが好ましく、酸化チタン、酸化鉄から選ばれる1種または2種以上を含むことがより好ましい。
着色顔料は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、肌をきれいなメイクアップ効果で仕上げる観点から、全組成中に0.001~20質量%が好ましく、0.005~15質量%がより好ましく、0.01~10質量%がさらに好ましい。
【0058】
本発明の乳化化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、成分(A)、(F)、(G)及び着色顔料以外の粉体、成分(C)及び(D)以外の油、成分(E)以外の界面活性剤、水溶性高分子、エタノール、多価アルコール、防腐剤、酸化防止剤、増粘剤、pH調整剤、香料、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0059】
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法により製造することができる。具体的には、以下の手順により本発明における油中水型乳化化粧料が得られる。すなわち、25℃程度の所定の温度において、混合した油相成分(成分(B)、(C)及びその他の油性成分)に、粉体相(成分(A)及びその他の粉体成分)を添加して、分散する。その後、水相成分(成分(H)及びその他の水性成分)を添加し、撹拌することにより油中水型乳化化粧料を得る。
本発明により得られる油中水型乳化化粧料は、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、乳液状、クリーム状が好ましい。
【0060】
本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、リキッドファンデーション、コンシーラー、日やけ止め乳液、日焼け止めクリームがより好ましく、化粧下地、リキッドファンデーションがさらに好ましい。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、単品のみの使用においても、リキッドファンデーションやパウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の重ね付けにおいても使用することができる。
【0061】
本発明の油中水型乳化化粧料は、皮膚、好ましくは顔、身体、手足等のいずれかに塗布することにより、使用することができる。本発明の油中水型乳化化粧料は、皮膚に塗布した化粧料を手や衣服などで擦すっても取れにくいものである。また、塗布時に伸びが良く、べたつきが抑制され、感触が良好である。また、乳化粒子径が小さく、安定性にも優れている。さらに、化粧料を塗布した後に重ねてメイクアップ化粧料を塗布する際も、均一に塗布することができ、良好な仕上がりを得ることができる。
【0062】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下の組成物を開示する。
【0063】
<1>次の成分(A)、(B)、(C)及び(H):
(A)スクワランの吸油量が1.0g/g以上、吸水量が1.0g/g以下の球状有機粉体 0.1~10質量%、
(B)皮膜形成剤 0.1~10質量%、
(C)揮発性油 5~60質量%、
(H)水 5~70質量%
を含有する油中水型乳化化粧料。
【0064】
<2>成分(A)のスクワランの吸油量が、好ましくは、1.5g/g以上であって、1.8g/g以上がより好ましく、2.2g/g以上がさらに好ましく、4.0g/g以下が好ましく、3.5g/g以下がより好ましく、3.0g/g以下がさらに好ましく、2.8g/g以下がよりさらに好ましい前記<1>記載の油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)の吸水量が、好ましくは、0.8g/g以下であって、0.5g/g以下がより好ましく、0.2g/g以下がさらに好ましい前記<1>又は<2>記載の油中水型乳化化粧料。
<4>成分(A)が、好ましくは、多孔性球状有機粉体である前記<1>~<3>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0065】
<5>成分(A)の体積平均粒子径が、好ましくは、1μm以上であって、2μm以上がより好ましく、3μm以上がさらに好ましく、30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい前記<1>~<4>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<6>成分(A)の比表面積が、好ましくは、50m2/g以上であって、60m2/g以上がより好ましく、70m2/g以上がさらに好ましく、80m2/g以上がよりさらに好ましく、300m2/g以下が好ましく、260m2/g以下がより好ましく、230m2/g以下がさらに好ましく、220m2/g以下がよりさらに好ましい前記<1>~<5>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0066】
<7>成分(A)が、好ましくは、溶解度パラメータが7~10のビニル系モノマーの1種又は2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーである前記<1>~<6>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<8>成分(A)が、好ましくは、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、炭素数1~12の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素基を有するスチレン誘導体から選ばれる1種または2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーであって、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキル、スチレンから選ばれる1種または2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーがより好ましく、炭素数1~24の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸アルキルから選ばれる1種または2種以上を重合して得られる多孔性ビニル系ポリマーがさらに好ましい前記<1>~<7>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0067】
<9>多孔性ビニル系ポリマーが、好ましくは、架橋したものである前記<7>又は<8>記載の油中水型乳化化粧料。
<10>成分(A)が、好ましくは、化粧品表示名称「メタクリル酸メチルクロスポリマー」(INCI名称「Methyl Methacrylate Crosspolymer」)、化粧品表示名称「(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー」(INCI名称「Styrene/Stearyl Methacrylate Crosspolymer」)であって、「(スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー」がより好ましい前記<1>~<9>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<11>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、2.4質量%以上がさらに好ましく、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4.3質量%がさらに好ましい前記<1>~<10>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<12>成分(A)の含有量が、好ましくは、全組成中に1質量%以上であって、2質量%以上がより好ましく、2.4質量%以上がさらに好ましく、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4.3質量%以下がさらに好ましく、4.0質量%以下がよりさらに好ましい前記<1>~<10>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0068】
<13>成分(B)の皮膜形成剤が、好ましくは、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂から選ばれる1種又は2種以上であって、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、フッ素変性シリコーン樹脂、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体から選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、フッ素変性シリコーン樹脂から選ばれる1種又は2種以上がよりさらに好ましい前記<1>~<12>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0069】
<14>フッ素変性シリコーン樹脂が、好ましくは、下記一般式(1):
1 gSiO(4-g)/2 (1)
(式中、R1は炭素数1~8の炭化水素基、フェニル基、水酸基又は一般式-R2-Rf(R2は炭素数2~6の2価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す)であって、水酸基及び一般式-R2-Rfを必須とする官能基から任意に選ばれ、gは平均数で1.0≦g≦1.8である。尚、R1は、同じであっても、異なっても良い)
で表される構造を有するものであって、化粧品表示名称「トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸」(INCI名称「Trifluoropropyldimethyl/Trimethylsiloxysilicate」がより好ましい前記<13>記載の油中水型乳化化粧料。
<15>トリメチルシロキシケイ酸が、好ましくは、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で、[(CH33SiO1/2S[SiO2Tで表されるもの(Sは1~3、Tは0.5~8)であって、化粧品表示名称「トリメチルシロキシケイ酸」(INCI名称「Trimethylsiloxysilicate」)がより好ましい前記<13>記載の油中水型乳化化粧料。
【0070】
<16>アクリルシリコーン樹脂が、好ましくは、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体である前記<13>記載の油中水型乳化化粧料。
【0071】
<17>カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体が、好ましくは、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体であって、化粧品表示名称「(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Polytrimethylsiloxymethacrylate Copolymer」)がより好ましい前記<16>記載の油中水型乳化化粧料。
<18>アクリル-シリコーン系グラフト共重合体が、好ましくは、化粧品表示名称「(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Dimethicone Copolymer」)である前記<16>記載の油中水型乳化化粧料。
【0072】
<19>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.2質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がさらに好ましく、6質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、3.8質量%以下がさらに好ましい前記<1>~<18>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<20>成分(B)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.2質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1.2質量%以上がさらに好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、6質量%以下が好ましく、4.5質量%以下がより好ましく、3.8質量%以下がさらに好ましく、3.5質量%以下がよりさらに好ましい前記<1>~<18>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0073】
<21>成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.06以上であって、0.08以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.3以上がよりさらに好ましく、0.78以上が好ましく、20以下が好ましく、11以下がより好ましく、3.1以下がさらに好ましく、2.8以下がよりさらに好ましく、1.6以下が好ましい前記<1>~<20>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<22>成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、好ましくは、0.06以上であって、0.08以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましく、0.3以上がよりさらに好ましく、0.78以上が好ましく、1.0以上がよりさらに好ましく、20以下が好ましく、11以下がより好ましく、3.1以下がさらに好ましく、2.8以下がよりさらに好ましく、1.6以下が好ましい前記<1>~<20>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0074】
<23>成分(C)の揮発性油が、好ましくは、シリコーン油、炭化水素油、エーテル油から選ばれる1種または2種以上であって、シリコーン油、炭化水素油から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、シリコーン油から選ばれる1種または2種以上がさらに好ましい前記<1>~<22>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<24>成分(C)の揮発性油が、好ましくは、少なくともシリコーン油を含有し、少なくともシリコーン油を15~100質量%含むのがより好ましく、少なくとも50~100質量%含むのがさらに好ましく、少なくとも80~100質量%含むのがよりさらに好ましい前記<1>~<23>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0075】
<25>成分(C)の含有量が、好ましくは、全組成中に10質量%以上であって、15質量%以上がより好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい前記<1>~<24>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<26>成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、好ましくは、0.005以上であって、0.02以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、0.09以上がよりさらに好ましく、0.8以下が好ましく、0.21以下がより好ましく、0.19以下がさらに好ましく、0.16以下がよりさらに好ましい前記<1>~<25>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0076】
<27>さらに、(D)25℃で液状の極性油を含有することが好ましい前記<1>~<26>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<28>成分(D)の極性油が、好ましくは、エステル油、炭素数12~24のアルコール及び炭素数12~24の脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であって、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、モノエステル油、ジエステル油から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、モノエステル油から選ばれる1種または2種以上がさらに好ましく、少なくともパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルを含むのがよりさらに好ましい前記<27>記載の油中水型乳化化粧料。
<29>成分(D)の極性油が、好ましくは、エステル油、炭素数12~24のアルコール及び炭素数12~24の脂肪酸から選ばれる1種又は2種以上であって、エステル油から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、モノエステル油、ジエステル油から選ばれる1種又は2種以上がさらに好ましく、モノエステル油から選ばれる1種又は2種以上がよりさらに好ましく、少なくともパラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシルを含むのがよりさらに好ましい前記<27>記載の油中水型乳化化粧料。
<30>成分(D)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.4質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましく、1.5質量%以上がよりさらに好ましく、15質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8.0質量%以下がさらに好ましく、6.5質量%以下がよりさらに好ましい前記<27>~<29>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0077】
<31>成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)が、好ましくは、0.01以上であって、0.03以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましく、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい前記<27>~<30>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<32>成分(D)に対する成分(B)の質量割合(B)/(D)が、好ましくは、0.01以上であって、0.03以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましく、0.4以上がよりさらに好ましく、10以下が好ましく、6以下がより好ましく、1.3以下がさらに好ましく、0.9以下がよりさらに好ましい前記<27>~<30>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<33>成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)が、好ましくは、1以上であって、2.4以上がより好ましく、3.15以上がさらに好ましく、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、9.0以下がさらに好ましい前記<27>~<32>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<34>成分(D)に対する成分(C)の質量割合(C)/(D)が、好ましくは、1以上であって、2.4以上がより好ましく、3.15以上がさらに好ましく、3.17以上がよりさらに好ましく、4以上が一層好ましく、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、12以下がさらに好ましく、9.0以下がよりさらに好ましく、7.5以下が一層好ましい前記<27>~<32>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0078】
<35>さらに、(E)HLB8未満の非イオン性界面活性剤を含有することが好ましく、ポリエーテル変性シリコーンから選ばれる1種または2種以上を含有するのがより好ましい前記<1>~<34>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<36>成分(E)のHLBが、好ましくは、1以上であって、2以上がより好ましく、3以上がさらに好ましく、8未満が好ましく、7未満がより好ましく、6未満がさらに好ましい前記<35>記載の油中水型乳化化粧料。
<37>成分(E)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、8質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下がさらに好ましい前記<35>又は<36>記載の油中水型乳化化粧料。
【0079】
<38>さらに、(F)板状粉体を含有することが好ましい前記<1>~<37>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<39>成分(F)の板状粉体が、好ましくは、タルク、マイカ、板状合成雲母、板状窒化ホウ素、板状ガラス末から選ばれる1種または2種以上が好ましく、板状合成雲母、板状ガラス末から選ばれる1種または2種以上がより好ましく、合成金雲母、板状ガラス末から選ばれる1種または2種以上がよりさらに好ましい前記<38>記載の油中水型乳化化粧料。
<40>成分(F)の板状粉体が、好ましくは、疎水化処理したものであって、シリコーン処理、フッ素処理がより好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理がより好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理がさらに好ましい前記<38>又は<39>記載の油中水型乳化化粧料。
<41>成分(F)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい前記<38>~<40>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【0080】
<42>さらに、(G)比表面積10~100m2/gの酸化亜鉛を含有することが好ましいく、比表面積15~95m2/gの酸化亜鉛がより好ましい前記<1>~<41>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<43>成分(G)の平均粒子径が、好ましくは、5~50nmであって、10~40nmがより好ましい前記<42>記載の油中水型乳化化粧料。
<44>成分(G)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい前記<42>又は<43>記載の油中水型乳化化粧料。
<45>成分(G)の含有量が、好ましくは、全組成中に0.1質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましく、5質量%以上がよりさらに好ましく、20質量%以下が好ましく、17質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい前記<42>又は<43>記載の油中水型乳化化粧料。
【0081】
<46>(H)水の含有量が、好ましくは、全組成中に5質量%以上であって、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい前記<1>~<45>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
<47>さらに、着色顔料を含有することが好ましい前記<1>~<46>のいずれか1記載の油中水型乳化化粧料。
【実施例
【0082】
製造例1((A)球状有機粉体の製造)
ビーカーに、水500g、ポリビニルアルコール1.5gを添加し、20℃の条件で撹拌混合し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。その後、メタクリル酸ステアリル25g、スチレン40g、ジビニルベンゼン35g、n-へプタン150g、過酸化ラウロイル3gを混合撹拌した溶液を、前記ポリビニルアルコール水溶液に添加し、ホモミキサーで撹拌し、乳化液を得た。調製した乳化液を、攪拌機、還流管,窒素導入管を備えた、2Lのセパラブルフラスコに添加し、攪拌しながら、70℃に昇温し、10時間窒素雰囲気下で重合を行った。重合終了後、エバポレーターでn-へプタンを留去し、濾別後、水で洗浄し、乾燥した。得られた固形物をミルにより解砕し、体積平均粒子径8μmの多孔性ビニル系ポリマー((スチレン/メタクリル酸ステアリル)クロスポリマー)を得た。
【0083】
以下、本発明において、粉体のスクワランの吸油量、吸水量及び比表面積の測定は、以下の方法に従って行うものである。また、実施例で用いた粉体の測定結果を、表1に示した。
【0084】
(1)粉体のスクワランの吸油量の測定方法:
JIS K5101-13-2:2004に規定される顔料の吸油量測定法を参考にして測定した。まず、粉体1gをガラス板上に取り、ピペットを用いてスクワランを少量ずつ滴下し、その都度、パレットナイフを用いて、粉体とスクワランを練り込んだ。粉体とスクワランが固いペースト状に変化したら、スクワランを1滴ごとに練り合わせ、スクワランの最後の1滴の滴下により、ペーストが急激に軟らかくなり、流動を始める点を吸油量の終点とした。終点に達した時のスクワラン量(g)を粉体1gあたりの吸油量とした。JIS法では油として煮あまに油を用いるが、本法では皮脂との類似性からスクワランを用いた。
なお、終点は、スクワランの最後の1滴の滴下によりペーストが急激に軟らかくなり、パレットナイフに前記ペーストを半分以上載せ、パレットナイフの平らな面を地面に対し90°傾け、10秒以内にペーストが落ちた場合とした(10秒以内に落ちない場合は、ペースト状の終点とはしなかった)。
また、粉体にスクワランを滴下し、パレットナイフでスクワランを粉体へ押しつける作業を2回行い、明らかにスクワランと粉体が混じらない場合は、吸油量を0g/gとした。
【0085】
(2)粉体の吸水量の測定方法:
スクワランの吸油量測定方法において、スクワランを水に変えて同様の方法で行った。
【0086】
(3)粉体の比表面積の測定方法:
粉体の比表面積は、80℃で15時間減圧乾燥させたサンプルについて、測定サンプル約0.1gを測定セルに小数点以下4桁まで精量し、比表面積の測定直前に120℃の雰囲気下で10分間乾燥した後、比表面積測定装置(1点式BET比表面積測定装置 フローソーブIII 2305、島津製作所製)を用いて窒素吸着法(BET法)により測定した。
【0087】
【表1】
【0088】
実施例1~27及び比較例1~4
表2~表4に示す組成の油中水型乳化化粧料を製造し、乳化粒子径の大きさ、擦れによる取れにくさ、伸ばしやすさ、べたつきのなさ及び重ね塗りしたパウダーファンデーションの仕上がりを評価した。結果を表2~表4に併せて示す。
また、乳化粒子径の値を測定した結果を、表5に示す。
なお、実施例12は参考例である。
【0089】
(製法)
25℃で、混合した油相成分(成分(B)、(C)、(D),(E)及びその他の油性成分)に、粉体相(成分(A)、(F)、(G)及びその他の粉体成分)添加して、分散した。その後、水相成分(成分(H)及びその他の水性成分)を添加し、撹拌することにより、油中水型乳化化粧料を得た。
【0090】
(評価方法)
(1)乳化粒子径の大きさ:
各油中水型乳化化粧料を光学顕微鏡で100倍の倍率で観察し、一視野につき任意の10個の乳化粒子を選び、乳化粒子の長径を測定し、平均長径を算出した(小数点第1位を四捨五入)。平均長径に応じて下記の通り点数をつけた。乳化粒子径は、保存安定性と相関があり、小さい(5)ほど安定性が良いことを示す。
5;21μm未満。
4;21μm以上26μm未満。
3;26μm以上31μm未満。
2;31μm以上36μm未満。
1;36μm以上。
【0091】
(2)擦れによる取れにくさ:
黒色の人工皮革(型番ラフォーレ S2923 クロ、オカモト化成品社製)に、0.152mmのアプリケーターを用いて、各化粧料を5×8cm2の大きさに塗布し、12時間乾燥させた。黒革の化粧料が塗布された部分は、化粧料で覆われている。その後、塗布した化粧料の2×3cm2の大きさについて、指を用いて一定圧の力で10回擦り、擦った部分の状態を目視で評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者5人が、下記の5段階で評価し、5人の合計点で示した。
5;黒革の表面が、化粧料で覆われて、塗布した化粧料の色が変化していない。
4;黒革の表面が、化粧料で覆われて、塗布した化粧料の色が薄くなっている。
3;黒革の表面が、化粧料で覆われていない部分がわずかにあり、塗布した化粧料の色が薄くなっている。
2;黒革の表面が、化粧料で覆われていない部分が一部あり、塗布した化粧料の色が薄くなっている。
1;黒革の表面が、化粧料で覆われていない部分がほとんどである。
【0092】
(3)伸ばしやすさ:
専門評価者5人が油中水型化粧料を肌に塗布し、塗布中の伸びを以下の5段階で評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者5人の合計点で示した。
5;肌上での伸びが非常によい。
4;肌上での伸びがよい。
3;肌上での伸びがややよい。
2;肌上での伸びがやや悪い。
1;肌上での伸びが悪い。
【0093】
(4)べたつきのなさ:
専門評価者5人が油中水型化粧料を肌に塗布中、肌を触ったときのべたつきについて以下の5段階で評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者5人の合計点で示した。
5;塗布中の肌にべたつきが全くない。
4;塗布中の肌にべたつきがほとんどない。
3;塗布中の肌にべたつきが少しある。
2;塗布中の肌にべたつきがある。
1;塗布中の肌にべたつきがかなりある。
【0094】
(5)重ね塗りしたパウダーファンデーションの仕上がり:
専門評価者5人が油中水型化粧料を肌に塗布した後、さらにパウダーファンデーション(ソフィーナ プリマヴィスタ きれいな素肌質感 パウダーファンデーション、花王社製)を重ねて塗布し、仕上がりについて以下の5段階で評価した。なお、表中の評価結果は、専門評価者5人の合計点で示した。
5;ファンデーションが均一に付着している。
4;ファンデーションがほぼ均一に付着している。
3;ファンデーションの一部が均一に付着していない。
2;ファンデーションがあまり均一に付着していない。
1;ファンデーションが明らかに均一に付かない。
【0095】
(6)乳化粒子径の大きさ:
各油中水型乳化化粧料を光学顕微鏡で100倍の倍率で観察し、一視野につき任意の10個の乳化粒子を選び、乳化粒子の長径を測定し、平均長径を算出した(小数点第1位を四捨五入)。乳化粒子径は、保存安定性と相関があり、小さいほど安定性が良いことを示す。結果を表5に示す。
【0096】
【表2】
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
【表5】
【0100】
本発明の成分(A)である吸油量が1.0g/g以上(2.42g/g)で、吸水量が1.0g/g以下(0g/g)の球状有機粉体を含有する実施例1は、擦れによる取れにくさ、伸ばしやすさ、べたつきのなさ、乳化粒子径の大きさ、重ね塗りしたパウダーファンデーションの仕上がりが優れていた。同様に、吸油量が1.73g/g、吸水量が0g/gのメタクリル酸メチルクロスポリマーを含有する実施例2、吸油量が1.93g/g、吸水量が0g/gのメタクリル酸メチルクロスポリマーを含有する実施例3も同様に優れていた。
一方、成分(A)と異なり、吸油量が1.0g/g以上(1.17g/g)であるが、吸水量が0g/g以上(1.41g/g)の(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマーを含有する比較例1、吸油量が1.0g/g以下(0.64g/g)であり、吸水量が1.0g/g以下(0.54g/g)のメタクリル酸メチルクロスポリマーを含有する比較例2は、実施例1に対し、いずれも擦れによる取れにくさ、伸ばしやすさ、べたつきのなさ、乳化粒子径の大きさ、重ね塗りしたパウダーファンデーションの仕上がりが劣っていた。
【0101】
*1:球状有機粉体:製造例1(体積平均粒子径8μm)、
*2:メタクリル酸メチルクロスポリマー:大東化成工業社製、MAKIBEADS 150(体積平均粒子径8μm)、
*3:メタクリル酸メチルクロスポリマー:大東化成工業社製、MAKIBEADS 250(体積平均粒子径8μm)、
*4:(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー:信越化学工業社製、KSP-100(体積平均粒子径5μm)、
*5:メタクリル酸メチルクロスポリマー:松本油脂製薬社製、マツモトマイクロスフェアー M-305(体積平均粒子径13μm)、
*6:フッ素変性シリコーン樹脂(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液):モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、シリコーン XS66-B8226、
*7:トリメチルシロキシケイ酸(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液):信越化学工業社製、シリコーン KF-7312J、
*8:アクリル-シリコーン系グラフト共重合体(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液):信越化学工業社製、シリコーン KP-545、
*9:シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液):東レ・ダウコーニング社製、DOW CORNING FA 4001 CM SILICONE ACRYLATE、
*10:トリメチルシロキシケイ酸(50質量%ジメチルポリシロキサン溶液 *11):信越化学工業社製、シリコーン KF-7312L、
*11:ジメチルポリシロキサン:信越化学工業社製、シリコーン KF-96L-2CS、
*12:イソドデカン:丸善石油化学社製、マルカゾール R、
*13:軽質イソパラフィン:日油社製、パールリーム 3、
*14:ジメチルポリシロキサン:信越化学工業社製、シリコーン KF-96L-6CS、
*15:フッ素変性シリコーン:特開2016-222599号公報、合成例1記載の化合物、
*16:ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体:ダウコーニング社製、シリコーン SH 3775 M(HLB 5)、
*17:PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン:信越化学工業社製、シリコーン KF-6028(HLB 4)、
*18:ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン:信越化学工業社製、シリコーン KF-6038(HLB 3)、
*19:ポリ(N-プロピオニルポリエチレンイミン変性シリコーン:特開2016-222599号公報、合成例3記載の化合物、
*20:シリコーン2質量%処理合成金雲母:トピー工業社製、PDM-10Lに2質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの(体積平均粒子径12μm、アスペクト比60)、
*21:シリコーン6質量%処理酸化亜鉛:堺化学工業社製、FINEX-50に6質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの、(比表面積50m2/g、平均粒子径20nm)、
*22:シリコーン2質量%処理酸化チタン:酸化チタンに2質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの、
*23:シリコーン2質量%処理赤酸化鉄:赤酸化鉄に2質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの、
*24:シリコーン2質量%処理黄酸化鉄:黄酸化鉄に2質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの
【0102】
処方例1(リキッドファンデーション)
(成分)
(A)球状有機粉体 *1 3質量%、
(B)フッ素変性シリコーン樹脂
(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液) *6 5質量%、
(C)デカメチルシクロペンタシロキサン 5質量%、
(C)ジメチルポリシロキサン *11 15質量%、
フッ素変性シリコーン *15 7質量%、
(D)パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 4質量%、
(E)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 *16 1質量%、
(H)精製水 30.38質量%、
ポリ(N-プロピオニルポリエチレンイミン)変性シリコーン *19 0.38質量%、
エタノール 7.87質量%、
ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 0.5質量%、
硫酸マグネシウム 0.5質量%、
(F)シリコーン2質量%処理合成金雲母 *20 1質量%、
(G)シリコーン6質量%処理酸化亜鉛 *21 9質量%、
シリコーン2質量%処理酸化チタン *22 8.5質量%、
シリコーン2質量%処理赤酸化鉄 *23 0.35質量%、
シリコーン2質量%処理黄酸化鉄 *24 1.5質量%、
シリコーン2質量%処理黒酸化鉄 *25 0.02質量%
【0103】
*25:シリコーン2質量%処理黒酸化鉄:黒酸化鉄に2質量%メチルハイドロジェンポリシロキサン処理したもの
【0104】
処方例2(化粧下地)
(成分)
(A)球状有機粉体 *1 3質量%、
(B)フッ素変性シリコーン樹脂
(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液) *6 5質量%、
(C)デカメチルシクロペンタシロキサン 5質量%、
(C)ジメチルポリシロキサン *11 15質量%、
フッ素変性シリコーン *15 7質量%、
(D)パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 4質量%、
(E)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 *16 1質量%、
(H)精製水 39.68質量%、
ポリ(N-プロピオニルポリエチレンイミン)変性シリコーン *19 0.38質量%、
エタノール 7.87質量%、
ヒアルロン酸ナトリウム(1質量%水溶液) 0.5質量%、
硫酸マグネシウム 0.5質量%、
(F)シリコーン2質量%処理合成金雲母 *20 1質量%、
(G)シリコーン6質量%処理酸化亜鉛 *21 9質量%、
フッ素5質量%処理酸化チタン *26 1質量%、
フッ素5質量%処理赤酸化鉄 *27 0.02質量%、
フッ素5質量%処理黄酸化鉄 *28 0.04質量%、
フッ素5質量%処理黒酸化鉄 *29 0.01質量%
【0105】
*26:フッ素5質量%処理酸化チタン:酸化チタンに5質量%パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したもの、
*27:フッ素5質量%処理赤酸化鉄:赤酸化鉄に5質量%パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したもの、
*28:フッ素5質量%処理黄酸化鉄:黄酸化鉄に5質量%パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したもの、
*29:フッ素5質量%処理黒酸化鉄:黒酸化鉄に5質量%パーフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したもの