(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-05-01
(45)【発行日】2023-05-12
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/241 20180101AFI20230502BHJP
F21S 43/243 20180101ALI20230502BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20230502BHJP
F21S 43/249 20180101ALI20230502BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230502BHJP
F21S 43/10 20180101ALI20230502BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20230502BHJP
F21W 102/30 20180101ALN20230502BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20230502BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20230502BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20230502BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20230502BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20230502BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 107/00 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 109/00 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 113/20 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 115/20 20160101ALN20230502BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230502BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/243
F21S43/245
F21S43/249
F21V8/00 320
F21S43/10
F21W102:00
F21W102:30
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:20
F21W103:35
F21W103:55
F21Y101:00 100
F21Y101:00 300
F21Y103:10
F21Y107:00
F21Y109:00
F21Y113:20
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:20
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2019061239
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】金子 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-191769(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/243
F21S 43/245
F21S 43/249
F21V 8/00
F21S 43/10
F21W 102/00
F21W 102/30
F21W 103/00
F21W 103/10
F21W 103/20
F21W 103/35
F21W 103/55
F21Y 101/00
F21Y 103/10
F21Y 107/00
F21Y 109/00
F21Y 113/20
F21Y 115/10
F21Y 115/15
F21Y 115/20
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子、および当該発光素子を支持する透光フィルムを有する第1光源と、
第2光源と、
前記発光素子の発光面と対向して前記第1光源から出射される第1光が入射する第1入射面、当該第1入射面から入射した前記第1光を内面反射して前記第1光の進行方向を変える反射面、前記反射面で反射された前記第1光を出射する第1出射面、前記第2光源から出射される第2光が入射する第2入射面、および当該第2入射面から入射した前記第2光を出射する第2出射面を有する導光体と、
を備え
、
前記第2入射面は、前記第2光を前記第2出射面に向かう光に変換する形状を有し、且つ前記反射面を兼ねることを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記第1出射面は、前記第2出射面を兼ねる請求項
1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光体は、前記第1入射面から入射した前記第1光を出射する第3出射面を有し、
前記第1光の一部は、前記反射面で反射されて前記第1出射面から出射され、
前記第1光の他の一部は、前記反射面で反射されずに前記第3出射面から出射される請求項1
または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記車両用灯具は、第3光源を備え、
前記導光体は、前記第3光源から出射される第3光が入射する第3入射面と、当該第3入射面から入射した前記第3光を出射する第4出射面と、を有する請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の車両用灯具。
【請求項5】
発光素子、および当該発光素子を支持する透光フィルムを有する第1光源と、
第2光源と、
前記発光素子の発光面と対向して前記第1光源から出射される第1光が入射する第1入射面、当該第1入射面から入射した前記第1光を内面反射して前記第1光の進行方向を変える反射面、前記反射面で反射された前記第1光を出射する第1出射面、前記第2光源から出射される第2光が入射する第2入射面、および当該第2入射面から入射した前記第2光を出射する第2出射面を有する導光体と、
を備え、
前記導光体は、前記第1入射面から入射した前記第1光を出射する第3出射面を有し、
前記第1光の一部は、前記反射面で反射されて前記第1出射面から出射され、
前記第1光の他の一部は、前記反射面で反射されずに前記第3出射面から出射されることを特徴とする車両用灯具。
【請求項6】
発光素子、および当該発光素子を支持する透光フィルムを有する第1光源と、
第2光源と、
前記発光素子の発光面と対向して前記第1光源から出射される第1光が入射する第1入射面、当該第1入射面から入射した前記第1光を内面反射して前記第1光の進行方向を変える反射面、前記反射面で反射された前記第1光を出射する第1出射面、前記第2光源から出射される第2光が入射する第2入射面、および当該第2入射面から入射した前記第2光を出射する第2出射面を有する導光体と、
第3光源と、
を備え、
前記導光体は、前記第3光源から出射される第3光が入射する第3入射面と、当該第3入射面から入射した前記第3光を出射する第4出射面と、を有することを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に自動車などの車両に用いられる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機EL素子で構成される面状光源や、LEDが導電層やフィルムで挟持された構造を有する光源を用いた車両用灯具が提案されている。例えば、特許文献1には、厚み方向における少なくとも一方の面が光出射面を構成する屈曲可能な面状発光体と、面状発光体が係合される係合部を有するホルダーとを備えた車両用灯具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両には、ヘッドランプ、テールランプ、ストップランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプ、フォグランプ等の各種の車両用灯具が搭載される。車両に複数の灯具を搭載すると、灯具全体の設置スペースは当然に大きくなる。このため、1つの車両用灯具に複数の灯具機能を持たせることが考えられるが、この場合は車両用灯具の大型化を招く。一方で、車両デザインの自由度を高めたり、灯具設置とは別の目的で利用できる空間を増やしたりするために、車両用灯具の小型化が求められる場合がある。
【0005】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の灯具機能を有する車両用灯具の小型化を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は車両用灯具である。当該車両用灯具は、発光素子、および当該発光素子を支持する透光フィルムを有する第1光源と、第2光源と、発光素子の発光面と対向して第1光源から出射される第1光が入射する第1入射面、当該第1入射面から入射した第1光を内面反射して第1光の進行方向を変える反射面、反射面で反射された第1光を出射する第1出射面、第2光源から出射される第2光が入射する第2入射面、および当該第2入射面から入射した第2光を出射する第2出射面を有する導光体と、を備える。この態様によれば、車両用灯具の小型化を図ることができる。
【0007】
上記態様において、第2入射面は、第2光を第2出射面に向かう光に変換する形状を有し、且つ反射面を兼ねてもよい。また、上記いずれかの態様において、第1出射面は、第2出射面を兼ねてもよい。また、上記いずれかの態様において、導光体は、第1入射面から入射した第1光を出射する第3出射面を有し、第1光の一部は、反射面で反射されて第1出射面から出射され、第1光の他の一部は、反射面で反射されずに第3出射面から出射されてもよい。また、上記いずれかの態様において、車両用灯具は、第3光源を備え、導光体は、第3光源から出射される第3光が入射する第3入射面と、当該第3入射面から入射した第3光を出射する第4出射面と、を有してもよい。また、上記態様において、第1出射面は、第4出射面を兼ねてもよい。また、上記いずれかの態様において、導光体は、第1光源の両面を挟み込み、第2光源および第3光源は、第1光源および導光体よりも灯具後方側に配置されるとともに、灯具前後方向と直交する方向に並ぶように配置されてもよい。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の灯具機能を有する車両用灯具の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態に係る車両用灯具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る車両用灯具の斜視図である。
図2は、車両用灯具の正面図である。
図3は、
図2のA-A線に沿った断面図である。本実施の形態の車両用灯具1は、例えば車両後方に配置されるリアコンビネーションランプである。
【0013】
車両用灯具1は、灯具前方に開口を有するランプボディ2と、ランプボディ2の開口を覆う透光性のアウターカバー4と、を備える。ランプボディ2は、ハウジングとも呼ばれ、アウターカバー4は、アウターレンズとも呼ばれる。アウターカバー4は、透光性を有し、ランプボディ2とともに車両用灯具1の外筐を構成する。ランプボディ2とアウターカバー4とで形成される灯室6内には、エクステンション部材8と、点灯回路10と、第1光源12と、第2光源14と、第3光源16と、導光体18と、が収容される。
【0014】
エクステンション部材8は、背面板20と、台座22と、を含む。背面板20は、第1光源12~第3光源16および導光体18よりも灯具後方側に配置され、ランプボディ2の開口を覆う板である。背面板20の互いに対向する主表面は、灯具前後方向を向く。背面板20の灯具前方側を向く主表面には、第2光源14が固定される。台座22は、背面板20の灯具前方側を向く主表面から灯具前方に突出する。台座22には、第1光源12、第3光源16および導光体18が固定される。背面板20および台座22は、例えば樹脂の一体成形品である。エクステンション部材8は、図示しない支持機構を介してランプボディ2に固定される。
【0015】
背面板20の灯具後方側には、点灯回路10が配置される。点灯回路10は、第1光源12~第3光源16を駆動する回路である。点灯回路10と第1光源12~第3光源16とは、フレキシブルプリント基板等で構成される配線24で接続される。点灯回路10は、第1光源12~第3光源16を個別に点消灯させることができる。また、点灯回路10は、後述する複数の発光素子26を個別に点消灯させることができる。
【0016】
第1光源12は、発光素子26、および当該発光素子26を支持する透光フィルム28を有する。本実施の形態の第1光源12は、所定の間隔で配列された複数の発光素子26が一対の透光フィルム28で包まれた構造を有する。また、透光フィルム28はL字状であり、複数の発光素子26は数珠つなぎにL字状に並んでいる。
【0017】
発光素子26は、例えばLEDで構成される。透光フィルム28は、例えば特開2016-12554号公報に示されるように、一対のベースフィルム、一対の導電層および接着層を有する。各部はいずれも透光性を有する。一対のベースフィルムは、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)で構成される。一対の導電層は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)で構成される。
【0018】
各発光素子26は、一対の導電層に挟まれて各導電層と電気的に接続される。一方の導電層は給電側の導電経路として利用され、他方の導電層は接地側の導電経路として利用される。接着層は、一対の導電層の間に配置されて両者を接着するとともに、各発光素子26を所定の位置に固定する。各発光素子26、接着層および一対の導電層からなる集合体は、一対のベースフィルムで挟まれて封止される。一対の導電層は、コネクタを介して配線24に電気的に接続される。
【0019】
点灯回路10から送られる電流は、配線24、コネクタおよび一対の導電層を介して各発光素子26に供給される。これにより、各発光素子26が発光する。各発光素子26の光は、一方のベースフィルム側と他方のベースフィルム側との両方に出射される。第1光源12は、発光素子26を除いておおよそ透明である。このため、透光フィルム28に支持された各発光素子26は、あたかも宙に浮いているかのように視認される。透光フィルム28で発光素子26を支持する構造は公知であるため、これ以上の詳細な説明は省略する。
【0020】
第2光源14は、発光素子30、および当該発光素子30が搭載される基板32を有する。発光素子30は、例えばLEDで構成される。基板32は、発光素子30を支持する部材であり、背面板20の灯具前方側を向く主表面に固定される。基板32は、一方の主表面に配線(図示せず)が印刷され、この配線には配線24が電気的に接続される。発光素子30は、基板32の配線上に固定される。本実施の形態では、2つの発光素子30が基板32に搭載されている。点灯回路10から送られる電流は、配線24および基板32の配線を介して各発光素子30に供給される。これにより、各発光素子30が発光する。
【0021】
第3光源16は、面状発光体34と、面状発光体34を支持する支持板36と、を有する。本実施の形態の面状発光体34は、有機EL素子である。面状発光体34を構成する有機EL素子は、公知の構造を有する。具体的には、有機EL素子は、板状の基板と、当該基板上に積層される陽極、有機EL発光層および陰極と、有機EL発光層を外側から封止する封止板と、を有する。基板は、例えば透明な薄膜ガラスからなる。有機EL発光層は、陽極の側から正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層が積層されて構成される。陽極には主にITO等で構成される透明電極が用いられ、陰極には主にアルミニウムで構成される金属電極が用いられる。なお、陰極についてもITO等で構成される透明電極を用いてもよい。
【0022】
陽極は、薄膜状の電極層であり、基板と有機EL発光層との間に配設され、その一端部が有機EL素子の一端側に延在している。陰極は、薄膜状の電極層であり、有機EL発光層と封止板との間に配設され、その一端部が有機EL素子の他端側に延在している。陽極、有機EL発光層および陰極は、例えば蒸着により順次積層される。陽極と陰極には外部電源の端子が接続される。封止板は、薄膜ガラスからなる可撓性基板であり、その周縁部が接着剤を介して基板に固定される。本実施の形態では、接着剤として透光性を有するものが用いられる。封止板と接着剤とで構成される封止部材により有機EL発光層が外側から封止される。この封止部材の内方の空間には不活性ガスが充填される。
【0023】
有機EL素子に電圧を印加すると、陽極から正孔が注入され、陰極からは電子が注入される。これらは有機発光層で結合し、その際に生じるエネルギーで蛍光性有機化合物等の有機化合物が励起され、有機EL発光層が発光する。このとき発せられた光は、透明の陽極および基板を通って正面側に出射される。すなわち、有機EL素子の基板側の面が主な光出射面となる。なお、本実施の形態では基板を薄膜ガラスにて構成しているが、薄膜樹脂フィルム等の可撓性材料を用いてもよい。
【0024】
支持板36は、金属製または樹脂製である。支持板36は、互いに対向する一対の主表面を有し、一方の主表面に面状発光体34が搭載される。例えば、面状発光体34は、支持板36の主表面に粘着テープにより固定される。支持板36は、面状発光体34が灯具前方を向くように姿勢が定められて、一端がエクステンション部材8の台座22に固定される。
【0025】
導光体18は、透光性を有する樹脂部材である。導光体18に用いられる樹脂としては、例えばポリカーボネート(PC)やアクリル樹脂等を挙げることができる。導光体18は、第1光源12~第3光源16が出射する光を導光して、車両用灯具1の外部に向けて出射する。したがって、導光体18は、第1光源12~第3光源16に兼用される。本実施の形態の導光体18は、第1光源12と同様にL字状である。導光体18は、それぞれがL字状の一対の板材で構成され、一対の板材が第1光源12を挟み込んでいる。
【0026】
導光体18は、灯具上下方向に延びる第1部分38と、第1部分38の上端から灯具後方に延びる第2部分40と、を有する。第1光源12は、第1部分38および第2部分40のおおよそ全体にわたって延在する。導光体18は、各発光素子26の発光面26aが灯具左右方向を向くように姿勢が定められて、第1部分38の下端が台座22に固定される。なお、本実施の形態では便宜上、台座22と導光体18とが並ぶ方向を灯具上下方向とし、発光素子26の発光面26aが向く方向を灯具左右方向とするが、車両用灯具1は任意の姿勢で車両に取り付けることができる。
【0027】
第2部分40の灯具後方側の端部は、第2光源14と対向する。第2部分40の当該端部には、各発光素子30に向かって突出する略椀状の凸部42を有する。凸部42の湾曲した表面は、第2光源14の発光素子30と対向する。第1部分38の灯具後方側を向く面は、第3光源16の面状発光体34と対向する。
【0028】
図4は、
図2のB-B線に沿った断面図である。
図5は、
図2のC-C線に沿った断面図である。
図4および
図5では、導光体18を含む領域を抜き出して図示している。導光体18は、第1入射面44a、反射面44bおよび第1出射面44cを有する。第1入射面44aは、各発光素子26の発光面26aと対向し、第1光源12から出射される第1光L1が入射する面である。反射面44bは、第1入射面44aから入射した第1光L1の一部を内面反射して、第1光L1の進行方向を変える面である。反射面44bは、第1光L1を第1出射面44cに向けて反射する。第1出射面44cは、反射面44bで反射されて導光体18内を進む第1光L1を出射する面である。
【0029】
第1入射面44aは、導光体18を構成する一対の板材における、互いに対向する面に設けられる。したがって、第1入射面44aは、灯具左方または灯具右方を向き、第1部分38および第2部分40のおおよそ全体にわたって延在する。反射面44bは、第1部分38および第2部分40の灯具後方側を向く面に設けられる。第1出射面44cは、第1部分38および第2部分40の灯具前方側を向く面に設けられる。
【0030】
また、導光体18は、第3出射面44dを有する。第3出射面44dは、第1入射面44aから入射して導光体18内を進む第1光L1を出射する面であり、第1出射面44cとは異なる方向を向く。第3出射面44dは、導光体18を構成する一対の板材における、互いに反対側を向く面に設けられる。第3出射面44dは、灯具左方または灯具右方を向き、第1部分38および第2部分40のおおよそ全体にわたって延在する。また、第1入射面44aと第3出射面44dとは、互いに対向する。
【0031】
第1光L1の一部は、反射面44bで反射されて第1出射面44cから出射される。反射面44bは主に、第1部分38に配置される各発光素子26の第1光L1の一部と、第2部分40の最も灯具後方側に配置される発光素子26の第1光L1の一部と、を灯具前方に向けて反射する。これらの第1光L1は、第1出射面44cから灯具前方に出射される。
【0032】
また、第1光L1の他の一部は、反射面44bで反射されずに第3出射面44dから出射される。第3出射面44dは、第1部分38に配置される各発光素子26の第1光L1の残部と、第2部分40の最も灯具後方側に配置される発光素子26の第1光L1の残部と、第2部分40に配置されるその他の各発光素子26の第1光L1と、を灯具側方に出射する。
【0033】
また、導光体18の第2部分40は、第2入射面46aおよび第2出射面46bを有する。第2入射面46aは、第2光源14から出射される第2光L2が入射する面である。第2出射面46bは、第2入射面46aから入射し、導光体18内を進む第2光L2を出射する面である。
【0034】
第2入射面46aは、第2部分40の灯具後方側端部に設けられた凸部42の湾曲表面で構成される。凸部42の表面、つまり第2入射面46aは、第2光L2を第2出射面46bに向かう光に変換する形状を有する。例えば、第2入射面46aは、第2光L2を第2出射面46bに向かう平行光に変換する。また、本実施の形態では、第2部分40に配置される反射面44bも、凸部42の湾曲した表面で構成される。したがって、第2入射面46aは、反射面44bを兼ねている。
【0035】
第2出射面46bは、第2部分40の灯具前方側を向く面で構成される。また、本実施の形態では、第2部分40に配置される第1出射面44cも、第2部分40の灯具前方側を向く面で構成されている。したがって、第1出射面44cは、第2出射面46bを兼ねている。
【0036】
また、導光体18の第1部分38は、第3入射面48aおよび第4出射面48bを有する。第3入射面48aは、第3光源16から出射される第3光L3が入射する面である。第4出射面48bは、第3入射面48aから入射した第3光L3を出射する面である。
【0037】
第3入射面48aは、第1部分38の灯具後方側を向く面に設けられる。第1部分38は、灯具左右方向で反射面44bを挟むように配置され、灯具後方に向かって突出する一対の突板部50を有する。各突板部50の灯具後方側を向く面は、第3光源16の面状発光体34と対向し、第3入射面48aを構成する。
【0038】
第4出射面48bは、第1部分38の灯具前方側を向く面に設けられる。また、本実施の形態では、第1部分38に配置される第1出射面44cも、第1部分38の灯具前方側を向く面で構成されている。したがって、第1出射面44cは、第4出射面48bを兼ねている。なお、第3入射面48aに入射しない第3光L3の少なくとも一部は、透光性を有する透光フィルム28や第1部分38等を通過して、灯具前方や側方に出射される。
【0039】
つまり、本実施の形態の車両用灯具1では、導光体18が第1光源12の両面を挟み込んでいる。また、第2光源14および第3光源16が第1光源12および導光体18よりも灯具後方側に配置されるとともに、灯具前後方向と直交する灯具上下方向に並ぶように配置されている。第1光源12から出射される第1光L1は、導光体18によって灯具前方および灯具左右方向に出射される。第2光源14から出射される第2光L2の少なくとも一部および第3光源16から出射される第3光L3の少なくとも一部は、導光体18によって灯具前方に出射される。
【0040】
図1および
図2に示すように、アウターカバー4は、灯具前方を向く第1透光面52と、灯具左右方向を向く一対の第2透光面54と、を有する。第1出射面44c、第2出射面46bおよび第4出射面48bから出射される第1光L1~第3光L3は、主に第1透光面52を介して灯具前方に向けて出射される。第3出射面44dから出射される第1光L1は、主に第2透光面54を介して灯具左右方向に向けて出射される。好ましくは車両用灯具1は、第1透光面52だけでなく第2透光面54の少なくとも一部も車体で覆われないようにして、車体に取り付けられる。これにより、車両用灯具1の光出射範囲を拡げることができ、車両用灯具1の被視認性を向上させることができる。
【0041】
車両用灯具1は、第1光L1の点灯により第1の灯具機能を発揮し、第2光源14の点灯により第2の灯具機能を発揮し、第3光源16の点灯により第3の灯具機能を発揮することができる。あるいは、車両用灯具100は、第1光L1~第3光L3のいずれか2つもしくは3つの点灯によって1つの灯具機能を発揮してもよい。第1~第3の灯具機能としては、例えばストップランプ、テールランプ、クリアランスランプ、ターンシグナルランプ、デイタイムランニングランプ、ポジションランプ、フォグランプ等を挙げることができる。また、車両用灯具1は、複数の発光素子26を順次点灯させることで、いわゆるシーケンシャル発光を実現することができる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係る車両用灯具1は、発光素子26、および発光素子26を支持する透光フィルム28を有する第1光源12と、第2光源14と、導光体18と、を備える。導光体18は、発光素子26の発光面26aと対向して第1光源12から出射される第1光L1が入射する第1入射面44a、当該第1入射面44aから入射した第1光L1を内面反射して第1光L1の進行方向を変える反射面44b、反射面44bで反射された第1光L1を出射する第1出射面44c、第2光源14から出射される第2光L2が入射する第2入射面46a、および当該第2入射面46aから入射した第2光L2を出射する第2出射面46bを有する。
【0043】
車両用灯具1は、第1光源12の点灯により第1の灯具機能を発揮させることができ、第2光源14の点灯により第2の灯具機能を発揮させることができる。つまり、本実施の形態によれば、1つの車両用灯具に複数の灯具機能を持たせることができる。また、本実施の形態では第1光源12と第2光源14とで導光体18を兼用している。このため、各光源に個別に導光体を設ける場合に比べて車両用灯具1の小型化を図ることができる。
【0044】
よって、本実施の形態によれば、1つの車両用灯具に複数の灯具機能を持たせながら、車両用灯具の小型化を図ることができる。また、第1の灯具機能を発揮する車両用灯具と第2の灯具機能を有する車両用灯具とを1つにまとめることで、車両に搭載される車両用灯具の数を減らすことができる。よって、灯具全体の設置スペースを小さくすることができる。また、車両用灯具の部品点数の削減や軽量化を図ることができる。この結果、車両の低コスト化や軽量化を図ることができる。
【0045】
また、本実施の形態の第2入射面46aは、第2光L2を第2出射面46bに向かう光に変換する形状を有し、且つ反射面44bを兼ねる。また、第1出射面44cは、第2出射面46bを兼ねる。これらにより、導光体18の小型化を図ることができる。この結果、車両用灯具1のさらなる小型化を図ることができる。
【0046】
また、導光体18は、第1入射面44aから入射した第1光L1を出射する第3出射面44dを有する。第1光L1の一部は、反射面44bで反射されて第1出射面44cから出射され、第1光L1の他の一部は、反射面44bで反射されずに第3出射面44dから出射される。これにより、車両用灯具1の大型化を抑制しながら、車両用灯具1にさらなる灯具機能を付与することができる。
【0047】
また、本実施の形態の車両用灯具1は、第3光源16を備える。導光体18は、第3光源16から出射される第3光L3が入射する第3入射面48aと、第3入射面48aから入射した第3光L3を出射する第4出射面48bと、を有する。これにより、車両用灯具1の大型化を抑制しながら、車両用灯具1にさらなる灯具機能を付与することができる。
また、第1入射面44aは、第4出射面48bを兼ねる。これにより、導光体18ひいては車両用灯具1の小型化を図ることができる。
【0048】
また、本実施の形態の車両用灯具1において、導光体18は第1光源12の両面を挟み込み、第2光源14および第3光源16は第1光源12および導光体18よりも灯具後方側に配置されるとともに、灯具前後方向と直交する方向に並ぶように配置される。これにより、奥行き感、つまり3次元的な見栄えを視認者に提示することができ、車両用灯具1の誘目性、意匠性を高めることができる。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0050】
実施の形態では、車両用灯具1はリアコンビネーションランプであるが、特にこの構成に限定されず、車両用灯具1はヘッドランプ等であってもよい。発光素子26および発光素子30の数は特に限定されず、1つであってもよいし、図示した数以外の複数であってもよい。第2光源14および第3光源16の構造は特に限定されず、LED、LD、有機EL、無機EL素子等の半導体発光素子や、電球、白熱灯(ハロゲンランプ)、放電灯(ディスチャージランプ)等を適宜採用することができる。実施の形態では、導光体18を構成する一対の板材は第1光源12の全体に接触しているが、第1光源12の一部のみに接触し、他の部分では第1光源12との間に隙間が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 車両用灯具、 12 第1光源、 14 第2光源、 16 第3光源、 18 導光体、 26 発光素子、 26a 発光面、 28 透光フィルム、 44a 第1入射面、 44b 反射面、 44c 第1出射面、 44d 第3出射面、 46a 第2入射面、 46b 第2出射面、 48a 第3入射面、 48b 第4出射面。